IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニトリホールディングスの特許一覧 ▶ サンコロナ小田株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カーテン及びカーテンの製造方法 図1
  • 特開-カーテン及びカーテンの製造方法 図2
  • 特開-カーテン及びカーテンの製造方法 図3
  • 特開-カーテン及びカーテンの製造方法 図4
  • 特開-カーテン及びカーテンの製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000188
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】カーテン及びカーテンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47H 23/08 20060101AFI20231225BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20231225BHJP
   D03D 15/20 20210101ALI20231225BHJP
   D03D 15/547 20210101ALI20231225BHJP
   D03C 17/06 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
A47H23/08
D03D1/00 Z
D03D15/20 100
D03D15/547
D03C17/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098816
(22)【出願日】2022-06-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年8月16日 2021年度グッドデザイン賞二次審査 令和3年10月20日 https://www.g-mark.org/award/describe/52138?token=q4UWobP9sv 令和3年10月19日 https://www.nitorihd.co.jp/news/items/0ea7dcbe220da124ff65eba26f400e49.pdf 令和3年10月20日 https://www.nitori-net.jp/ec/feature/coordinate/good-design-award/translucent-adjustable-sheer-curtain/ 令和3年10月20日 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000073913.html 令和4年2月21日から順次 株式会社ニトリの店舗 令和4年2月21日 https://www.nitori-net.jp/ec/product/7343803s/、https://item.rakuten.co.jp/nitori/7343803/、https://item.rakuten.co.jp/nitori/7343804/、https://item.rakuten.co.jp/nitori/7343805/、https://item.rakuten.co.jp/nitori/7343806/
(71)【出願人】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(71)【出願人】
【識別番号】513070004
【氏名又は名称】サンコロナ小田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117444
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 健一
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 久仁子
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 隆幸
【テーマコード(参考)】
2E182
4L048
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AB03
2E182AC01
2E182CC01
2E182EE01
2E182FF02
4L048AA56
4L048AB12
4L048AC01
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA00
4L048DA19
4L048EA00
(57)【要約】
【課題】遮像性と透像性、すなわち外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することができるカーテンを提供する。
【解決手段】カーテン10は、取付部14と、取付部14の高さ方向下側に設けられた本体部16と、を備え、本体部16は、幅方向一端側に設けられ、光を透過する透像部18と、幅方向他端側に設けられ、視界を遮る程度に光を反射する遮像部22と、透像部18と遮像部22とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部20と、を備えている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部と、
前記取付部の高さ方向下側に設けられた本体部と、を備え、
前記本体部は、
幅方向一端側に設けられ、光を透過する透像部と、
幅方向他端側に設けられ、視界を遮る程度に光を反射する遮像部と、
前記透像部と前記遮像部とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部と、
を備えるカーテン。
【請求項2】
前記グラデーション部は、
高さ方向に延出された複数の前記透像部と前記遮像部とが交互につなぎ目なく配列されており、
複数の前記透像部は幅方向他端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされ、複数の前記遮像部は幅方向一端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされている、
請求項1に記載のカーテン。
【請求項3】
前記遮像部と前記透像部とは、経糸の糸種及び筬入れ本数が異なる、
請求項2に記載のカーテン。
【請求項4】
前記経糸は、酸化チタン含有量が異なる、
請求項3に記載のカーテン。
【請求項5】
幅方向一端側に設けられ光を透過する透像部と、幅方向他端側に設けられ視界を遮る程度に光を反射する遮像部と、前記透像部と前記遮像部とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部とを備えたカーテンの製造方法であって、
原糸に撚りをかける撚糸工程と、
前記撚糸工程により撚り合わされた原糸のうち経糸を、前記遮像部と前記透像部と前記グラデーション部とに応じて分割された枠立てへ給糸し、均一化された張力で前記枠立てからビームへと前記経糸を巻き付ける整経工程と、
前記整経工程により整経された前記経糸を用いて製織を行う製織工程と、
を備えるカーテンの製造方法。
【請求項6】
前記グラデーション部は、高さ方向に延出された複数の前記透像部と前記遮像部とが交互につなぎ目なく配列されており、前記経糸を変えることにより、高さ方向に延出された前記透像部と前記遮像部とを織り分ける、
請求項5に記載のカーテンの製造方法。
【請求項7】
整経機1台に対して前記ビーム1本を用いて整経を行う、
請求項5に記載のカーテンの製造方法。
【請求項8】
前記張力は1400ニュートン以上1550ニュートン以内とされている、
請求項5に記載のカーテンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相反する機能を有するカーテン及びカーテンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コロナ禍において日中の在宅時間が増える傾向にあり、外部からの遮像性と内部からの透過性を同時に実現することにより、テレワーク時の画面への写り込みを防ぎながらも明るい外部視野を確保することが望まれている。
【0003】
このように相反する機能を同時に実現するカーテンとしては、例えば、下記特許文献1に、左右の中央部よりも左側又は右側に偏倚した位置を境界として、採光性の異なる左側幕部と右側幕部を配置し、つなぎ合わせるレースカーテンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3190383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のレースカーテンでは、左側幕部と右側幕部とが互いに異なる生地とされ、境界において、取付部から裾部に亘って公知のオーバーロック方式等により継ぎ合わされているにすぎないため、窓の目立つ位置に採光性の違いによる境界や物理的な凹凸が生じ、景観を損ねる。
【0006】
本発明は上記事実に鑑み、遮像性と透像性、すなわち外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現するカーテン及びカーテンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の態様に係るカーテンは、取付部と、前記取付部の高さ方向下側に設けられた本体部と、を備え、前記本体部は、幅方向一端側に設けられ、光を透過する透像部と、幅方向他端側に設けられ、視界を遮る程度に光を反射する遮像部と、前記透像部と前記遮像部とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部と、を備えている。
【0008】
第1の態様に係るカーテンによれば、光を透過する透像部と、視界を遮る程度に光を反射する遮像部とが、中央部付近においてグラデーションを形成するように織り込まれ、物理的、機能的な境界を感じることがない。この結果、外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することが可能となる。
【0009】
第2の態様に係るカーテンは、第1の態様に係るカーテンにおいて、前記グラデーション部は、高さ方向に延出された複数の前記透像部と前記遮像部とが交互につなぎ目なく配列されており、複数の前記透像部は幅方向他端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされ、複数の前記遮像部は幅方向一端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされている。
【0010】
第2の態様に係るカーテンによれば、相反する機能を備えた布種が、段階的にすなわち布種が交互に細幅から太幅となる構造とされているため、外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することが可能となる。
【0011】
第3の態様に係るカーテンは、第2の態様に係るカーテンにおいて、前記遮像部と前記透像部とは、経糸の糸種及び筬入れ本数が異なる。
【0012】
第3の態様に係るカーテンによれば、2つの異なる織構造を有する布種が交互に細幅から太幅となる構造とされているため、外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することが可能となる。
【0013】
第4の態様に係るカーテンは、第3の態様に係るカーテンにおいて、前記経糸は、酸化チタン含有量が異なる。
【0014】
第4の態様に係るカーテンによれば、透像部の経糸と遮像部の経糸の酸化チタン含有量が異なり、酸化チタンは屈折率が大きく、繊維中に練り込むことで透過光を減少させるものである。このため、遮像性の異なる透像部と遮像部とを共通の緯糸で同時につなぎ目なく織り込むことが可能となる。
【0015】
第5の態様に係るカーテンの製造方法は、幅方向一端側に設けられ光を透過する透像部と、幅方向他端側に設けられ視界を遮る程度に光を反射する遮像部と、前記透像部と前記遮像部とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部とを備えたカーテンの製造方法であって、原糸に撚りをかける撚糸工程と、前記撚糸工程により撚り合わされた原糸のうち経糸を、前記遮像部と前記透像部と前記グラデーション部とに応じて分割された枠立てへ給糸し、均一化された張力で前記枠立てからビームへと前記経糸を巻き付ける整経工程と、前記整経工程により整経された前記経糸を用いて製織を行う製織工程と、を備えている。
【0016】
第5の態様に係るカーテンの製造方法によれば、遮像部、透像部及びグラデーション部において使用する経糸が異なり、整経工程において、予め各部に応じ枠立てを分割して給糸する。各部は緯糸挿入方向に並列しているため、布種(経糸や筬入れ本数・織密度)の異なる各部を共通の緯糸で短時間に織り上げることが可能となる。この結果、緯糸を変えて布種の異なる各部を織り上げ、縦置きに使用する場合と比較し、コストパフォーマンスや生産効率を向上させることができる。
【0017】
第6の態様に係るカーテンの製造方法は、第5の態様に係るカーテンの製造方法において、前記グラデーション部は、高さ方向に延出された複数の前記透像部と前記遮像部とが交互につなぎ目なく配列されており、前記経糸を変えることにより、高さ方向に延出された前記透像部と前記遮像部とを織り分けるものである。
【0018】
第6の態様に係るカーテンの製造方法によれば、グラデーション部に、経糸の異なる複数の透像部と遮像部とが交互に配列されているため、共通の緯糸でつなぎ目なく織り分けることが可能となる。
【0019】
第7の態様に係るカーテンの製造方法は、第5の態様に係るカーテンの製造方法において、整経機1台に対して前記ビーム1本を用いて整経を行うものである。
【0020】
第7の態様に係るカーテンの製造方法によれば、糸種や筬入れ本数に応じ数本のビームで行う整経をビーム1本で行うため、作業効率を向上させることができる。
【0021】
第8の態様に係るカーテンの製造方法は、第5の態様に係るカーテンの製造方法において、前記張力は1400ニュートン以上1550ニュートン以内とされている。
【0022】
第8の態様に係るカーテンの製造方法によれば、一般的に要求される張力よりも強い所定の張力で整経、製織を行うため、経糸、糸種及び筬入れ本数が部分的に異なる場合でも、幅方向両側の張力のムラやばらつきを解消することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明に係るカーテン及びカーテンの製造方法は、遮像性と透像性、すなわち外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るカーテンの全体構成の一例を表す概念図である。
図2図1に示すカーテンの使用状態の一例を表す概念図である。
図3図1に示すカーテンのグラデーション部の一例を表す部分拡大図である。
図4図1に示すカーテンの製造時に使用する整経機の一例である。
図5図1に示すカーテンの使用効果の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下、図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係るカーテン10の構造について説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0026】
[カーテン10の構成]
まず、図1乃至図3を用いて、本発明の第1実施形態に係るカーテン10の構成について説明する。
【0027】
図1に示されるように、カーテン10は、正面視にて幅方向に長い略矩形状の織物12から形成されている。図2に示されるように、カーテン10は、取付部14と、取付部14の高さ方向下側に連結された本体部16とを備えており、本体部16は、遮像性の異なる透像部18、グラデーション部20及び遮像部22が幅方向にそれぞれ連結されている。
【0028】
(取付部14)
取付部14は、織物12の高さ方向上端部側に、略矩形状の芯となる生地(芯地、図示省略)を縫い合わせた状態で窓側に折り返し、折り返し下端部を本体部16の全幅に亘って縫い合わせることにより形成されている。
【0029】
取付部14には、幅方向等間隔(本実施形態においては、約15cm間隔)で複数のヒダ山24が形成されている。ヒダ山24は、取付部14(織物12の上端部)をカーテン10使用状態における屋内側につまみ上げ、屋内側が頂部、屋外側が裾部となる山が2つないし3つ形成されるように、つまみ上げた部分を蛇腹状に折り畳み、数か所縫い留められている。
【0030】
ヒダ山24と芯地の間には、屋内側に空隙が形成されており、当該空隙を挿入口として、S字状のカーテンフック(図示省略)の端部を、カーテン10の高さ方向上方に向かって挿入可能とされている。
【0031】
(本体部16)
取付部14の高さ方向下側には、下方に向かって本体部16が延出されている。本体部16は、織物12のうち、上端部を折り返した取付部14のその余の部分とされており、正面視にて左右両端部に、織物12を屋外側に折り返して縫合した耳部26が形成されている。
【0032】
図1に示されるように、本体部16は、一例として、全幅t1が207[cm](仕上幅100[cm])、耳内t2が204[cm]、全丈t3が100[cm]の略矩形状とされており、幅方向一端側(図1においては左側)に遮像部22(幅t4:127.4[cm])、幅方向他端側(図1においては右側)に透像部18(幅t6:68.4[cm])が配置され、グラデーション部20(幅t5:8.2[cm])によりつなぎ目なく連結されている。
【0033】
カーテン10は、同一サイズで、遮像部22及び透像部18とが正面視にて左右対称、すなわち図1と異なり透像部18が幅方向左側、遮像部22が幅方向右側に配置された他のカーテン10と一対のカーテン10として使用される。
【0034】
図2に示されるように、遮像部22が幅方向左側に形成された図1の一方のカーテン10は、窓の幅方向左側に設置され、遮像部22が幅方向右側に形成された他方のカーテン10は、窓の幅方向右側に設置されるため、それぞれのカーテン10の透像部18が窓の中央部に配置される。
【0035】
遮像部22は、透像部18より幅広とされており、一対の遮像部22の全幅(幅の合計)が、窓の全幅よりも大きく設定されている。これにより、図2Aに示されるように、一対のグラデーション部20を窓の中央部に寄せて使用した場合に、窓の全幅に亘って遮像部22が窓を覆い、外部からの視界を遮ることが可能となる。
【0036】
(遮像部22)
遮像部22は、艶消し材として酸化チタンが練り込まれたポリエステル繊維に撚り加工がなされた加工糸を緯糸及び経糸に使用している。この緯糸と経糸とは酸化チタンの含有量が異なる。緯糸の酸化チタン含有量は、セミダル糸として市販される加工糸と同程度の含有量とされており、本実施形態においては、3.0質量%未満とされている。
【0037】
これに対し、経糸の酸化チタン含有量は、フルダル糸として市販される加工糸と同程度の含有量とされており、本実施形態においては、3.0質量%以上とされている。また、経糸は、透像部18の経糸より筬入れ本数を多くすることで高密度に織り込まれ、視界を遮る程度に光を反射する構成とされている。
【0038】
(透像部18)
透像部18は、前述のセミダル糸を経糸及び緯糸に使用し、1つの筬に1本の経糸を通して製織がされている。経糸は、透像性を確保しつつ目ずれを抑制するための撚り加工がされている。
【0039】
一対の透像部18の全幅(幅の合計)は、窓の半幅以上とされている。このため、図2Bに示されるように、一対のグラデーション部20を窓の左右両側に離間させ、透像部18を広げて使用した場合に、窓の中央部から光を取り込むことが可能とされている。
【0040】
(グラデーション部20)
グラデーション部20は、正面視にて本体部16の幅方向中央部からやや左右いずれかの側に寄った位置に配置されている。
【0041】
図3に示されるように、グラデーション部20は、高さ方向に延出された複数の透像部18と遮像部22とが交互につなぎ目なく配列されている。複数の透像部18は幅方向他端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされる一方、複数の遮像部22は幅方向一端側に向かって徐々に幅狭になる配列とされている。
【0042】
複数の透像部18及び遮像部22は、幅方向に沿って徐々に遮像性が増加ないし減少する構成とされているため、遮像性の観点からもつなぎ目を感じさせることなく、遮像部22と透像部18との切替が可能となる。
【0043】
[カーテン10の製造方法]
次に、図4を用いて、カーテン10の製造方法について説明する。
【0044】
(撚糸工程)
まず、撚糸工程において、原糸を引き揃えて長手方向の軸を中心にねじり、撚りをかける。具体的には、原糸を巻きつけた糸巻を撚糸機のスピンドルに取り付け、S方向(時計回り)又はZ方向(反時計周り)に、所定の撚り回数分(本実施形態では、中撚の一般的な撚り回数である500~1000[T/m]であるが、甘撚~500[T/m]や、強撚1000~[T/m]でもよい。)回転させ、撚り上げる。
【0045】
(整経工程)
次に、撚糸工程により撚り合わされた原糸のうち経糸を、遮像部22、透像部18、グラデーション部20に応じて3分割された枠立て(クリール装置)28へ給糸する。なお、本実施形態では3分割されているが、本体部16に織り込まれる遮像部22、透像部18、グラデーション部20の数に応じて、4分割以上とされてもよい。
【0046】
ここで、整経機30は、図4に示されるように、ビーム32、枠立て28及びガイドローラ34を備えている。枠立て28は、経糸の糸条パッケージ36を仕掛ける架台38が設けられ、架台38には、複数のアーム40が立設されている。アーム40には、支持軸42がアーム40の長手方向に沿って等間隔で複数(本実施形態では8本)接合されており、支持軸42に糸条パッケージ36の中空軸を挿入することにより、糸条パッケージ36が架台38に係合される。
【0047】
枠立て28の装置前方には、経糸群44を巻き付けるビーム32が、ビーム32上方にはガイドローラ34が設置され、ビームスタンド46により固定されている。駆動手段(図示省略)によりビーム32を所定速度で回転させることにより、枠立て28の糸条パッケージ36から装置前方に引き出された経糸群44をガイドローラ34を介して巻き取り、ビーム32に巻き付ける。
【0048】
枠立て28は、フルダル糸を筬に2本入れて織り込む遮像部22、セミダル糸を筬に1本入れて織り込む透像部18、遮像部22と透像部18とが所定間隔で交互に配列されたグラデーション部20に応じて3分割され、それぞれ給糸されている。
【0049】
ビーム32には、生地幅の筬枚数に筬入れ本数を乗じた本数の経糸が均一化された張力(本実施形態では、1400ニュートン以上1550ニュートン以内)で巻き付けられており、経糸が所定幅で均整に配列された糸条シートが形成される。
【0050】
(製織工程)
製織機に緯糸をセットし、経糸を綜絖、筬に挿入する。綜絖を上下させることにより経糸の開口を形成し、当該開口に緯糸を挿入した後、筬を緯糸に向けて打ち込み、製織を行う。
【0051】
次に、図2及び図5を用いて、本発明の効果について説明する。
【0052】
図2Aに示されるように、一対のグラデーション部20を窓の中央部に寄せて使用した場合に、窓の全幅に亘って遮像部22が窓を覆う。このため、外部が暗く、室内の灯りをつけると外部から室内が見えてしまう時間帯でも、図5Aに示されるように、外部からの視界を遮ることが可能となる。
【0053】
また、一対のグラデーション部20を窓の中央部に寄せた状態で、7月の午前中・晴天時に、窓から1.5[m]離れたデスクに照度計を置き計測したところ、約570[lux]の照度が計測されており、日中、適度な明るさを感じながら外部からの視界を遮ることも可能である。
【0054】
これに対し、図2Bに示されるように、一対のグラデーション部20を窓の左右両側に離間させ、透像部18を広げて使用した場合には、上記と同様の条件で約870[lux]の照度が計測されており、上記の遮像部22を広げた場合と比較し、約1.5倍の明るさを確保することが可能である。
【0055】
また、日中外部が明るければ(上記同様の条件におけるブランク時の照度:約1300[lux])、図5Bに示されるように、約870[lux]の明るさが確保された室内でも、外部との比較において、外部からの視界をある程度遮ることが可能となる。
【0056】
このように、本発明に係るカーテン10は、取付部14と、取付部14の高さ方向下側に設けられた本体部16と、を備え、本体部16は、幅方向一端側に設けられ、光を透過する透像部18と、幅方向他端側に設けられ、視界を遮る程度に光を反射する遮像部22と、透像部18と遮像部22とがつなぎ目なく織り込まれたグラデーション部20と、を備えている。
【0057】
光を透過する透像部18と、視界を遮る程度に光を反射する遮像部22とが、中央部付近においてグラデーションを形成するように織り込まれ、物理的、機能的な境界を感じることがない。この結果、外部からの視界を遮りながら光を取り込むという相反する機能をつなぎ目なく実現することが可能となる。
【0058】
<本実施形態の補足説明>
なお、本実施形態においては、本体部16の中央部付近においてグラデーション部20を織り込んでいるが、例えば、幅方向両端部を遮像部22として、これの幅方向内側に一対のグラデーション部20を隣接させ、これの幅方向内側すなわち幅方向中央部に透像部18を設けるなど、グラデーション部20やグラデーション部20を構成する複数の遮像部22、透像部18の設置数に限定はない。
【0059】
また、経糸を太くし、生地に厚みを持たせ、厚地カーテンすることも可能であり、生地の厚みに限定はない。
【0060】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、上記の実施形態及び変形例の組み合わせ、種々の改良あるいは変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 カーテン
14 取付部
16 本体部
18 透像部
20 グラデーション部
22 遮像部

図1
図2
図3
図4
図5