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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018803
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】画像表示装置及び光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240201BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240201BHJP
   G02C 11/00 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
G02C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122356
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100108419
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 治仁
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】山口 論人
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA48
2H199CA59
(57)【要約】
【課題】コンバイナーの前段の光学素子を保護すること。
【解決手段】画像表示装置100は、映像素子11aと、第1映像素子11aの光射出側に配置される第1光学部材2aと、第1光学部材2aの光射出側に配置される入射面22aと、光軸AXを折り曲げる反射面22bと、凹面の射出面22cとを有する第2光学部材2bと、第1光学部材2aを収納し第2光学部材2bを保持するバレル41とを備え、第2光学部材2bの射出面22cは、バレル41の開口41oに露出し、射出面22cの外縁22cpは、開口41oの縁部44に囲まれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像素子と、
前記映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、
前記第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、
前記第1光学部材を収納し前記第2光学部材を保持するバレルとを備え、
前記第2光学部材の前記射出面は、前記バレルの開口に露出し、前記射出面の外縁は、前記開口の縁部に囲まれる、画像表示装置。
【請求項2】
前記第2光学部材の前記射出面の外縁は、前記バレルの前記開口の縁部よりも後退した内側に配置される、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2光学部材の前記射出面は、凹曲面である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
映像素子と、
前記映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、
前記第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、
前記第1光学部材を収納し前記第2光学部材を保持するバレルとを備え、
前記第2光学部材の前記射出面の外縁は、前記バレルの開口の縁部よりも後退した内側に配置される、画像表示装置。
【請求項5】
映像素子と、
前記映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、
前記第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、
前記第1光学部材を収納し前記第2光学部材を保持するバレルとを備え、
前記第2光学部材の前記射出面は、前記バレルの開口に露出し、前記第2光学部材の前記射出面は、凹曲面である、画像表示装置。
【請求項6】
前記バレルは、光軸が延びる面に対して略平行に延び互いに離間する2つの側板部材と、前記光軸が延びる面に垂直な面に略沿って延び前記開口が設けられた底板部材と、前記底板部材及び前記2つの側板部材の前方端を連結する前板部材とを有するバレル本体と、前記底板部材の反対側に配置され前記バレル本体の内側を覆うことによって収納空間を形成するバレルカバーとを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記第1光学部材及び前記第2光学部材は、前記バレル本体において前記2つの側板部材から内側に突起する案内凸部に対して片寄された状態でアライメントされる、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記バレルカバーは、前記第2光学部材の前記反射面の外側を覆い、
前記バレルカバーの内面は、前記反射面に沿って前記反射面の近傍に延びる、請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記第1光学部材と前記第2光学部材との間に配置される絞り板部材を備え、
前記絞り板部材は、前記バレルの前記底板部材の近傍に配置される中央部と、前記中央部から前記2つの側板部材に沿って延びる2つの側辺部とを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記第2光学部材の光射出側に配置されるコンバイナーを備え、
前記コンバイナーは、前記バレルの外側に延びる一対の突起部に対してアライメントされ接着によって固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記バレルは、ポリカーボネート樹脂で形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記映像素子に表示動作を行わせる表示制御装置をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
映像素子と、
前記映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、
前記第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、
前記第1光学部材を収納し前記第2光学部材を保持するバレルとを備え、
前記第2光学部材の前記射出面は、前記バレルの開口に露出し、前記射出面の外縁は、前記開口の縁部に囲まれる、光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虚像の観察を可能にする画像表示装置及び光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置として、映像を表示する表示素子と、表示素子からの映像光を光学瞳に導くとともに透過して外界も見ることができる接眼プリズムと、表示素子と接眼プリズムの一部とを内包し保持する筐体とを備え、接眼プリズムの周囲と筐体とに接するようにパッキンを設けたものが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-157291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術文献の装置では、接眼プリズムの端部に映像光を入射させるが、外界を観察可能にするコンバイナーの片面に映像光を入射させるタイプの画像表示装置では、コンバイナーの前段の光学素子からコンバイナーの片面までの光路を露出させることになり、かかる光学素子の保護が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面における画像表示装置は、映像素子と、映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、第1光学部材を収納し第2光学部材を保持するバレルとを備え、第2光学部材の射出面は、バレルの開口に露出し、射出面の外縁は、開口の縁部に囲まれる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像表示装置の装着状態を説明する外観斜視図である。
図2】片側の表示装置の内部構造を説明する側方断面図である。
図3】表示部の光学的構造を具体的に説明する側方断面図である。
図4】表示部の支持構造を説明する斜視図である。
図5】表示部の外形を説明する斜視図である。
図6】バレル及びこれに保持された光学部材の側方断面図である。
図7】バレルカバーを除いた残り部分の背面図等を示す。
図8】ガード及びプリズムミラーの配置関係を説明する斜視図等を示す。
図9】バレルに対するコンバイナーの固定を説明する正面図及び平面図である。
図10】片側の表示装置の正面断面構造を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図1、2等を参照して、本発明に係る画像表示装置の一実施形態について説明する。
【0008】
図1は、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDとも称する。)200の装着状態を説明する図であり、HMD200は、これを装着する観察者又は装着者USに虚像としての映像を認識させる。図1等において、X、Y、及びZは、直交座標系であり、+X方向は、HMD200又は画像表示装置100を装着した観察者又は装着者USの両眼EYの並ぶ横方向に対応し、+Y方向は、装着者USにとっての両眼EYの並ぶ横方向に直交する上方向に相当し、+Z方向は、装着者USにとっての前方向又は正面方向に相当する。±Y方向は、鉛直軸又は鉛直方向に平行になっている。
【0009】
HMD200は、右眼用の第1表示装置100Aと、左眼用の第2表示装置100Bと、表示装置100A,100Bを支持するテンプル状の一対の支持装置100Cと、情報端末であるユーザー端末90とを備える。第1表示装置100Aは、単独で画像表示装置として機能し、上部に配置される第1表示駆動部102aと、メガネレンズ状で眼前を覆う第1コンバイナー103aとで構成される。第2表示装置100Bも同様に、単独で画像表示装置として機能し、上部に配置される第2表示駆動部102bと、メガネレンズ状で眼前を覆う第2コンバイナー103bとで構成される。支持装置100Cは、装着者USの頭部に装着される装着部材であり、外観上一体化されている表示駆動部102a,102bを介して一対のコンバイナー103a,103bの上端側を支持している。第1表示装置100Aと第2表示装置100Bとは、光学的に同一又は左右反転させたものであり、第2表示装置100Bについては、詳細な説明を省略する。
【0010】
図2は、第1表示装置100Aの内部構造を説明する側方断面図である。第1表示装置100Aは、第1映像素子11aと第1表示部20aと第1回路部材80aとを備える。第1映像素子11aは、画像光生成装置であり、表示素子とも呼ぶ。第1表示部20aは、虚像を形成する結像光学系であり、投射レンズ21と、プリズムミラー22と、シースルーミラー23とを一体化した状態で有する。第1表示部20aのうち、投射レンズ21とプリズムミラー22とは、第1映像素子11aからの画像光MLが入射する第1投射光学系12aとして機能し、シースルーミラー23は、上記第1投射光学系12aから射出される画像光MLを瞳位置PP又は眼EYに向けて部分的に反射する部分透過ミラー123として機能する。第1表示部20aは、第1投射光学系12aと第1コンバイナー103aとを一体化した状態で有するものである。第1投射光学系12aを構成する投射レンズ21は、第1映像素子11aの光射出側に配置される第1光学部材2aに相当し、プリズムミラー22は、投射レンズ21である第1光学部材2aの光射出側に配置される第2光学部材2bに相当する。また、第1映像素子11aと投射レンズ21とプリズムミラー22とは、図1に示す第1表示駆動部102aの一部に対応し、シースルーミラー23は、第2光学部材2bの光射出側に配置されており、図1に示す第1コンバイナー103aに対応する。第1投射光学系12aを構成する投射レンズ21及びプリズムミラー22は、第1映像素子11aとともに相互にアライメントされた状態で容器状のバレル41内で固定されている。
【0011】
第1投射光学系12aを構成する光学部材2a,2bを支持するバレル41は、第1フレーム52aに支持され、第1フレーム52aの下側に配置されている。第1フレーム52aは、カバー71によって覆われ、バレル41も、カバー71によって全体的に覆われている。第1フレーム52aは、金属材料で形成されている。バレル41とカバー71とは、遮光性の樹脂材料で形成され、バレル41の開口41oにおいて、プリズムミラー22の一面を露出させている。バレル41は、上部ののうち例えばバレルカバー41uが第1フレーム52aに嵌合するように当接し、第1フレーム52aに吊るされた状態で固定されている。結果的に、第1表示部20aは、バレル41を介して第1フレーム52aに吊るされた状態で固定されている。第1フレーム52aは、第1回路部材80aを配置するための凹所REを上側に有する。
【0012】
第1表示装置100Aにおいて、第1映像素子11aは、自発光型の画像光生成装置である。第1映像素子11aは、画像光MLを第1投射光学系12aに射出する。バレル41は、第1投射光学系12aを構成する光学素子とともに第1映像素子11aを収納して支持する。第1映像素子11aは、例えば有機EL(有機エレクトロルミネッセンス、Organic Electro-Luminescence)ディスプレイであり、2次元の表示面11dにカラーの静止画又は動画を形成する。第1映像素子11aは、第1回路部材80a、具体的には表示制御装置88に駆動されて表示動作を行う。第1映像素子11aは、有機ELディスプレイに限らず、無機EL、有機LED、LEDアレイ、レーザーアレイ、量子ドット発光型素子等を用いた表示デバイスに置き換えることができる。第1映像素子11aは、自発光型の画像光生成装置に限らず、LCDその他の光変調素子で構成され、当該光変調素子をバックライトのような光源によって照明することによって画像を形成するものであってもよい。第1映像素子11aとして、LCDに代えて、LCOS(Liquid crystal on silicon, LCoSは登録商標)や、デジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。なお、第1表示装置100Aにおいて、表示制御装置88を除いたものも、画像表示装置100と呼ぶ。
【0013】
図3は、第1表示部20aの光学的構造を具体的に説明する側方断面図である。第1表示部20aは、2つの反射面を含み、シースルーミラー23及びプリズムミラー22よって光路の折り曲げが行われる。第1表示部20aは、軸外し光学系OSとなっている。投射レンズ21、プリズムミラー22、及びシースルーミラー23は、非軸対称に配置されている。この第1表示部20aでは、基準面であるYZ面に平行な軸外し面内で光軸AXの折り曲げを行うことで、かかる軸外し面(すなわち基準面)に沿って光学素子21,22,23が配列されている。具体的には、YZ面に平行で紙面に対応する軸外し面において、投射レンズ21から反射面22bまでの光路部分P1と、反射面22bからシースルーミラー23までの光路部分P2と、シースルーミラー23から瞳位置PPまでの光路部分P3とが、Z字状に2段階で折り返される配置となっている。これに対応して、投射レンズ21から反射面22bまでの光軸部分AX1と、反射面22bからシースルーミラー23までの光軸部分AX2と、シースルーミラー23から瞳位置PPまでの光軸部分AX3とは、Z字状に2段階で折り返される配置となっている。シースルーミラー23において、光軸AXが交差する中央箇所の法線は、Z方向に対してθ=40~50°程度の角度をなす。この第1表示部20aでは、第1表示装置100Aを構成する光学素子21,22,23が縦方向に高さ位置を変えて配列されることになり、第1表示装置100Aの横幅の増大を防止することができる。さらに、プリズムミラー22等での反射による光路の折り畳みによって、光路部分P1~P3又は光軸部分AX1~AX3がZ字状に2段階で折り返される配置となっており、かつ、光路部分P1,P3又は光軸部分AX1,AX3が比較的水平に近いため、第1表示部20aを上下方向や前後方向に関しても小型化することできる。また、シースルーミラー23の中央箇所の傾斜角θが40~50°であることから、視線に対応する光路部分P3の傾きが一定とした場合、光路部分P2のZ軸に対する傾きが70°から90°となり、画像表示装置100のZ方向の厚みを低減することが容易になる。
【0014】
第1表示部20aのうち、投射レンズ21から反射面22bまでの光路部分P1は、視点を基準とする後方に向かってやや斜め上方向又はZ方向に平行に近い方向に延びている。反射面22bからシースルーミラー23までの光路部分P2は、前方に向かって斜め下方向に延びている。水平面方向(XZ面)を基準とした場合、光路部分P2の傾斜が光路部分P1の傾斜よりも大きくなっている。シースルーミラー23から瞳位置PPまでの光路部分P3は、後方に向かってやや斜め上方向又はZ方向に平行に近い方向に延びている。図示の例では、光軸AXのうち光路部分P3に対応する部分は、+Z方向に向かって、下向きを負として、-10°程度となっている。つまり、部分透過ミラー123は、光軸AX又は光路部分P3が所定角度上向き、つまり10°程度上向きとなるように画像光MLを反射する。結果的に、光路部分P3に対応する光軸部分AX3を延長した射出光軸EXは、前方の+Z方向に平行な中心軸HXに対して10°程度下向きに傾いて延びる。これは、人間の視線が水平方向より下側に約10°傾いた若干の伏し目状態で安定するからである。なお、瞳位置PPに対して水平方向に延びる中心軸HXは、第1表示装置100Aを装着した装着者USが直立姿勢でリラックスして正面に向いて水平方向又は水平線を注視した場合を想定したものとなっている。
【0015】
第1表示部20aのうち、投射レンズ21は、第1レンズ21o、第2レンズ21p、及び第3レンズ21qを含む。投射レンズ21は、第1映像素子11aから射出された画像光MLを受けて、プリズムミラー22に入射させる。投射レンズ21は、第1映像素子11aから射出された画像光MLを平行光束に近い状態に集光する。投射レンズ21を構成する第1レンズ21oの入射面21a及び射出面21bと、第2レンズ21pの入射面21c及び射出面21dと、第3レンズ21qの入射面21e及び射出面21fとは、自由曲面又は非球面である。各光学面21a,21b,21c,21d,21e,21fは、YZ面に平行で光軸AXと交差する縦方向に関して、光軸AXを挟んで非対称性を有し、横方向又はX方向に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。第1レンズ21o、第2レンズ21p、及び第3レンズ21qは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。投射レンズ21を構成する第1レンズ21o、第2レンズ21p、及び第3レンズ21qの光学面には、反射防止膜を形成することができる。
【0016】
プリズムミラー22は、ミラーとレンズとを複合させた機能を有する屈折反射機能を有する光学部材であり、投射レンズ21からの画像光MLを屈折させつつ反射する。プリズムミラー22は、第1光学部材の光射出側に配置される入射面22aと、光軸AXを折り曲げる反射面22bと、反射面22bに対向して入射面22aとは対称的な方向に配置される射出面22cとを有する。プリズムミラー22は、投射レンズ21が配置された前方から入射する画像光MLを、入射方向を反転させた方向(プリズムミラー22から見た光源の方向)に対して下方に傾斜した方向に折り返すように射出する。プリズムミラー22を構成する光学面である入射面22aと反射面22bと射出面22cとは、YZ面に平行で光軸AXと交差する縦方向に関して、光軸AXを挟んで非対称性を有し、横方向又はX方向に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。プリズムミラー22の光学面、つまり入射面22aと反射面22bと射出面22cとは、例えば自由曲面である。入射面22aと反射面22bと射出面22cとは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。プリズムミラー22は、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。反射面22bについては、全反射によって画像光MLを反射するものに限らず、金属膜又は誘電体多層膜からなる反射面とすることもできる。この場合、反射面22b上に、例えばAl、Agのような金属で形成された単層膜又は多層膜からなる反射膜を蒸着等によって成膜し、或いは金属で形成されたシート状の反射膜を貼り付ける。詳細な図示は省略するが、入射面22a及び射出面22c上には、反射防止膜を形成することができる。
【0017】
プリズムミラー22の射出面22cは、全体的に凹面であり、YZ面に平行で光軸部分AX1~AX3が通る軸外し面上すなわち紙面上において凹面であり、YZ面に垂直で射出面22cの中心を通る横断面CS(図2参照)においても凹面である。つまり、射出面22cは、軸外し面において非対称性を有する凹面であり、軸外し面に垂直な横断面CSにおいて対称性を有する凹面である。プリズムミラー22の射出面22cは、バレル41の開口41oにおいて露出するため、凹面とすることにより、外の物体との接触を回避し易くなり、損傷の発生を抑制することができる。プリズムミラー22の射出面22cは、比較的小さな中間像IMの近くに配置されており、画像光MLの光束断面が絞られた箇所に配置されるので、面積を比較的小さくすることができる。プリズムミラー22の射出面22cの面積を比較的小さくすることによっても、射出面22cに発生する損傷を抑制することができる。中間像IMの位置は、シースルーミラー23の反射面23cよりもプリズムミラー22の射出面22cに近い位置に配置されている。反射面23cから中間像IMまでの距離DIは、光路部分P2又は光軸部分AX2の長さをL2として、L2×(1/2)以下、より好ましくはL2×(2/5)以下とする。
【0018】
プリズムミラー22の射出面22cは、光軸部分AX2が交差する位置の内面側において、光軸部分AX2に対して平行に近い状態となっている。これにより、射出面22cでの屈折量を少なくして、収差が増大することを抑制できる。なお、光軸部分AX2が交差する位置の内面側にける射出面22cの傾きδは、光軸部分AX2と、光軸部分AX2が交差する箇所における射出面22cに垂直な横断面CSとの成す角に相当し、例えば70°以下となっている。
【0019】
シースルーミラー23すなわち第1コンバイナー103aは、凹の表面ミラーとして機能する湾曲した板状の反射光学部材であり、プリズムミラー22からの画像光MLを部分的に反射するとともに外界光OLを部分的に透過させる。シースルーミラー23は、プリズムミラー22からの画像光MLを瞳位置PPに向けて反射する。シースルーミラー23は、反射面23cと外側面23oとを有する。
【0020】
シースルーミラー23は、眼EY又は瞳孔が配置される瞳位置PPを覆うとともに瞳位置PPに向かって凹形状を有し、外界に向かって凸形状を有する凹面ミラーである。瞳位置PP又はその開口PPaは、アイポイント又はアイボックスと呼ばれる。瞳位置PP又は開口PPaは、第1表示部20aの射出側における射出瞳EPに相当する。シースルーミラー23は、コリメーターであり、表示面11dの各点から射出された画像光MLの主光線であって、第1投射光学系12aのプリズムミラー22の射出側近傍に結像した後で広がった画像光MLの主光線を瞳位置PPに収束させる。シースルーミラー23は、凹面ミラーとして、画像光生成装置である第1映像素子11aに形成され第1投射光学系12aによって再結像された中間像IMを拡大視することを可能にする。より詳細には、シースルーミラー23は、視野レンズと同様に機能し、プリズムミラー22の射出面22cの後段に形成された中間像IMの各点からの画像光MLをコリメートした状態で瞳位置PPに全体として集めるように入射させる。シースルーミラー23は、中間像IMと瞳位置PPとの間に配置される観点で、画角に相当する有効領域EA以上の広がりを有することが必要となる。ここで、画角は、眼の正面方向に延びる光軸AXを基準として上下左右における視野角を合わせたものであり、具体例では対角45°程度に設定されている。シースルーミラー23において、有効領域EAよりも外側に延びる外領域については、結像に直接影響しないので、任意の面形状とすることができるが、メガネレンズ状の外観を確保する観点からは、有効領域EAの外縁の面形状の曲率と同じ、又は当該外縁から連続的に変化するものであることが望ましい。
【0021】
シースルーミラー23は、板状体23bの裏面上に透過性反射膜23aを形成した構造を有する半透過型のミラー板である。シースルーミラー23の反射面23cは、YZ面に平行で光軸AXと交差する縦方向に関して、光軸AXを挟んで非対称性を有し、横方向又はX方向に関して光軸AXを挟んで対称性を有する。シースルーミラー23の反射面23cは、例えば自由曲面である。反射面23cは、自由曲面に限らず、非球面とすることもできる。反射面23cは、有効領域EA以上の広がりを有する必要がある。反射面23cが有効領域EAよりも広い外領域に形成されている場合、有効領域EAの背後からの外界像と、上記外領域の背後からの外界像とに関して、見え方の差が生じにくくなる。
【0022】
シースルーミラー23の反射面23cは、画像光MLの反射に際して一部の光を透過させる。これにより、外界光OLがシースルーミラー23を通過するので、外界のシースルー視が可能になり、外界像に虚像を重ねることができる。この際、板状体23bが数mm程度以下に薄ければ、外界像の倍率変化を小さく抑えることができる。反射面23cの画像光MLや外界光OLに対する反射率は、画像光MLの輝度確保や、シースルーによる外界像の観察を容易にする観点で、想定される画像光MLの入射角範囲(有効領域EAに相当)において10%以上50%以下とする。シースルーミラー23の基材である板状体23bは、例えば樹脂で形成されるが、ガラス製とすることもできる。板状体23bは、これを周囲から支持する支持板61と同一の材料で形成され、支持板61と同一の厚みを有する。透過性反射膜23aは、例えば膜厚を調整した複数の誘電体層からなる誘電体多層膜で形成される。透過性反射膜23aは、膜厚を調整したAl、Ag等の金属の単層膜又は多層膜であってもよい。透過性反射膜23aは、例えば蒸着を利用した積層によって形成できるが、シート状の反射膜を貼り付けることによっても形成できる。板状体23bの外側面23oには、反射防止膜が形成されている。
【0023】
光路について説明すると、第1映像素子11aからの画像光MLは、投射レンズ21に入射して略コリメートされた状態で投射レンズ21から射出される。投射レンズ21を通過した画像光MLは、プリズムミラー22に入射して入射面22aを屈折されつつ通過し、反射面22bによって100%に近い高い反射率で反射され、射出面22cで再度屈折される。プリズムミラー22からの画像光MLは、一旦中間像IMを形成した後、シースルーミラー23に入射し、反射面23cによって50%程度以下の反射率で反射される。シースルーミラー23で反射された画像光MLは、装着者USの眼EY又は瞳孔が配置される瞳位置PPに入射する。瞳位置PPには、シースルーミラー23やその周囲の支持板61を通過した外界光OLも入射する。つまり、第1表示装置100Aを装着した装着者USは、外界像に重ねて、画像光MLによる虚像を観察することができる。
【0024】
図2に示す表示制御装置88は、表示制御回路であり、第1表示素子11aに対して画像に対応する駆動信号を出力し第1表示素子11aの表示動作を制御する。表示制御装置88は、例えばIF回路、信号処理回路等を備え、外部から受け取った画像データ又は画像信号に応じて、第1表示素子11aに2次元的な画像表示を行わせる。表示制御装置88は、第1表示装置100Aと第2表示装置100Bとを統括するメイン基板を含むものであってもよい。メイン基板は、図1に示すユーザー端末90との間で通信を行いユーザー端末90から受信した信号に対して信号変換を行うインターフェース機能や、第1表示装置100Aの表示動作と第2表示装置100Bの表示動作とを連携させる統合機能を有するものとすることができる。なお、表示制御装置88やユーザー端末90を備えないHMD200又は虚像表示装置100も虚像表示装置である。
【0025】
図4を参照して、HMD200の表示駆動部102a,102b中に組み込まれている支持構造について説明する。第1表示装置100Aにおいて、第1フレーム52aは、ネジのような締結具50f等を利用して第1表示部20aのバレル41に対して固定されており、第1表示部20aを吊るすように支持している。第1フレーム52aには、矩形の開口52oが形成され、矩形の開口52oの周囲52rの一部が第1表示部20aのバレル41又はバレルカバー41uと当接し密着する。なお、第1フレーム52a上の凹所REには、第1回路部材80aが配置される。第1フレーム52aは、例えばマグネシウム合金で形成される。第2表示装置100Bにおいて、第2フレーム52bは、ネジのような締結具50f等を利用して第2表示部20bのバレル41に対して固定されており、第2表示部20bを吊るすように支持している。第2フレーム52bには、矩形の開口52oが形成され、矩形の開口52oの周囲52rの一部が第2表示部20bのバレル41又はバレルカバー41uと当接し密着する。なお、第2フレーム52b上の凹所REには、第2回路部材80bが配置される。第2フレーム52bは、例えばマグネシウム合金で形成される。
【0026】
支持装置50は、第1フレーム52a及び第2フレーム52bに加えて、第1フレーム52aと第2フレーム52bとを連結して相対的に固定するジョイント50cを備える。ジョイント50cは、マグネシウム合金のような金属製の部材であり、締結具50g等を利用して第1フレーム52aの一端部に連結され、締結具50g等を利用して第2フレーム52bの他端部に連結されている。第1表示部20aを取り付けた第1フレーム52aと、第2表示部20bを取り付けた第2フレーム52bとは、中央のジョイント50cを介して、相互に光学的にアライメントされた状態で固定されている。
【0027】
図5は、図4に示すHMD200から支持装置50を除いた状態を説明する斜視図である。第1表示部20aは、第1投射光学系12aと第1コンバイナー103aとを一体化した状態で有するものであり、第2表示部20bは、第2投射光学系12bと第2コンバイナー103bとを一体化した状態で有するものである。第1投射光学系12aにおいて、バレル41には、第1コンバイナー103aがアライメントされた状態で接着等によって固定されている。第1投射光学系12aのバレル41は、第1映像素子11aを収納する空間を有し、第1映像素子11aを図2に示す投射レンズ21等に対してアライメントされた状態で支持する。第2投射光学系12bにおいて、バレル41には、第2コンバイナー103bがアライメントされた状態で接着等によって固定されている。第2投射光学系12bのバレル41は、第2映像素子11bを収納する空間を有し、第2映像素子11bを図2に示す投射レンズ21等に対してアライメントした状態で支持する。各バレル41には、図4に示す第1フレーム52a又は第2フレーム52bにネジ止めするため複数の締結部51fが設けられている。
【0028】
図6及び7を参照して、バレル41の構造について説明する。図6中で、領域AR1は、バレル41及びこれに保持された光学部材2a,2bの側方断面図であり、領域AR2は、バレルカバー41uを除いた残り部分の側方断面図である。また、図7中で、領域BR1は、バレルカバー41uを除いた残り部分の背面図であり、領域BR2は、バレルカバー41uを除いた残り部分のうち後端部の平面図である。
【0029】
バレル41は、バレル本体41aとバレルカバー41uとを含み、第1光学部材2aを収納し、第2光学部材2bを保持する。バレル本体41a及びバレルカバー41uは、内部に固定される光学素子の支持精度や強度を考慮してポリカーボネート樹脂で形成される。バレル本体41aは、上方が開放されたバスタブ状の容器であり、底の一部に開口41oを有する。バレルカバー41uは、バレル本体41aを上方から覆うように固定される。バレル本体41aは、2つの側板部材41cと底板部材41dと前板部材41eと2つの突起部41f,41gとを有する。2つの側板部材41cは、光軸AXが延びる軸外し面SS(図7参照)に対して略平行に延び互いに離間する。底板部材41dは、光軸AXが延びる軸外し面SSに垂直なXZ面に略沿って延び、後方端側に開口41oが設けられている。前板部材41eは、底板部材41dの前方端と2つの側板部材41cの前方端とを連結している。2つの突起部41f,41gは、2つの側板部材41cの上部から外側に張り出すように横方向に延びている。
【0030】
一方の側板部材41cの内側には、第1光学部材2aを構成する第1レンズ21o、第2レンズ21p、及び第3レンズ21qと、第2光学部材2bのプリズムミラー22とを支持する突起として、段差を有する案内凸部45a,45b,45c,45dが形成されている。なお、図示を省略しているが、他方の側板部材41c(図7参照)の内面にも、案内凸部45a,45b,45c,45dと同様の案内凸部が形成されている。2つの側板部材41cの内面に設けられた2つの第1の案内凸部45aによって第1レンズ21oが片寄された状態でアライメントされてバレル本体41aに支持される。同様に、第2の案内凸部45bによって第2レンズ21pがアライメントされてバレル本体41aに支持され、第3の案内凸部45cによって第3レンズ21qがアライメントされてバレル本体41aに支持され、第4の案内凸部45dによってプリズムミラー22がアライメントされてバレル本体41aに支持される。
【0031】
バレルカバー41uは、底板部材41dの反対側に配置されバレル本体41aの内側を覆うことによって収納空間ISを形成する。バレルカバー41uは、天板41xと後部板41yとを備える。天板41xは、XZ面に平行に延び、後部板41yは、第2光学部材2bのプリズムミラー22の反射面22bの外側を覆うようにXZ面とXY面とに対して傾斜して配置される。後部板41yの内面41mは、プリズムミラー22の反射面22bに沿って反射面22bの近傍に延びている。反射面22bの外側と、後部板41yの内面41mとの間には、一様な隙間GAが形成されている。隙間GAの間隔は、例えば0.1mm~1mm程度とする。
【0032】
バレルカバー41uの外縁42qとバレル本体41aの上端42pとの間には、例えば段差のような嵌合構造が設けられ、相互のアライメントを達成できる。バレルカバー41uの外縁42qとバレル本体41aの上端42pとの隙間には、接着材又はシール材を充填することができる。この場合、収納空間ISの機密性を高めることができる。
【0033】
バレル41内において、第1光学部材2aと第2光学部材2bとの間には、絞り板部材26が配置されている。絞り板部材26は、第1映像素子11aと中間像IMとの間であって、表示面11d上の各点からの光束径が最も大きくなる中間瞳の位置又はその近傍に配置されることが望ましい。図示の場合、絞り板部材26は、プリズムミラー22の入射面22aに隣接して取り付けられている。図7を参照して、絞り板部材26は、バレル41の底板部材41dの近傍に配置される中央部26aと、中央部26aから2つの側板部材41cに沿って延びる2つの側辺部26bとを有する。本実施形態の場合、プリズムミラー22の上端部22jまでが光学的な有効領域となっている。このため、絞り板部材26は、上辺を省略して、下辺に相当する中央部26aと、左右辺に相当する側辺部26bとを備える開放型となっているが、光学性能に大きな影響がないことを確認している。このような絞り板部材26により、プリズムミラー22の上端部22jにバレルカバー41uを近づけることが容易になる。結果的に、バレルカバー41uの突出量が増加することを防止でき、バレル41を小型化することができる。
【0034】
絞り板部材26は、周囲の4箇所に切欠き26fを有し、切欠き26fは、プリズムミラー22の入射面22aの外側であって側面22s側に形成された4つの突起22fと嵌合する。これにより、プリズムミラー22の入射面22aに対して絞り板部材26がアライメントされる。絞り板部材26は、切欠き26fの周辺で接着材によって突起22fに固定される。
【0035】
バレル41において、前板部材41eに臨む空間ISaには、第1映像素子11aが孔41zを介して上方から挿入され、アライメントされた状態で固定されている。
【0036】
バレル41内における第2光学部材2b又はプリズムミラー22の固定について説明する。プリズムミラー22は、入射面22aと反射面22bと射出面22cとに挟まれた一対の側面22sにおいて、突起22tを有する。突起22tの入射面22a側の一対の第1支持面28aは、バレル本体41aに形成された案内凸部45dに設けられた一対の第1載置面48aに当接している。突起22tの射出面22c側の一対の第2支持面28bは、バレル本体41aに形成された案内凸部45dに設けられた一対の第2載置面48bに当接している。側面22sにおいて突起22tの下側に設けられた外向きの一対の第3支持面28cは、バレル本体41aに形成された案内凸部45dに設けられた内向き一対の第3載置面48cに当接している。第1支持面28aと第1載置面48aとの当接を用いることで、Z方向の位置とY軸及びX軸の周りの傾斜とに関してプリズムミラー22のアライメントが可能になる。第2支持面28bと第2載置面48bとの当接を用いることで、Y方向の位置とZ軸の周りの傾斜とに関してプリズムミラー22のアライメントが可能になる。第3載置面48cと第3載置面48cとの当接を用いることで、X方向の位置に関してプリズムミラー22のアライメント可能になる。プリズムミラー22をバレル本体41aに組み付ける際には、バレル本体41aを案内凸部45d又は開口41oが上側となるように縦置きとする。その後、案内凸部45dの第1載置面48a、第2載置面48b、及び第3載置面48cの適所に接着材AMを塗布し、一対の案内凸部45dに一対の突起22tが載るようにしてプリズムミラー22を引き出しのように挿入する。アライメント完了後に各部の接着材AMを硬化させることで、プリズムミラー22をバレル本体41aに対して精密に固定することができる。接着材AMとしては、例えばUV硬化型の接着材を用いることができるが、これに限るものではない。
【0037】
以上では、プリズムミラー22をバレル本体41aに形成された案内凸部45dにアライメントして固定する方法を説明したが、第1レンズ21o、第2レンズ21p、及び第3レンズ21qを、第1の案内凸部45a、第2の案内凸部45b、第3の案内凸部45cに固定する方法も、プリズムミラー22の場合と同様であり、説明を省略する。組み立てる順番については、まず第1レンズ21oをバレル本体41aに固定し、次に第2レンズ21pをバレル本体41aに固定し、次に第3レンズ21qをバレル本体41aに固定し、最後にプリズムミラー22をバレル本体41aに固定する。
【0038】
プリズムミラー22等をバレル本体41aに固定する方法は、上記した片寄を利用するものに限らず、嵌合その他の様々な手法を用いたものに置き換えることができる。
【0039】
図8を参照して、バレル41の開口41o周辺について説明する。図8中で、領域CR1は、開口41oの周辺を説明する斜視図であり、領域CR2は、開口41oの周辺を説明する側面図であり、領域CR3は、開口41oの周辺を説明する正面図である。バレル41の底板部材41dの後方に設けられた開口41oの周辺には、バレル41の底部から突出するようにガード43aが形成されている。ガード43aは、底板部材41dの本体41jよりも下方に突出するプリズムミラー22の側面を保護する。ガード43aは、傾斜した後部43cと側部43dとを有する。ガード43aと本体41jとに囲まれて傾斜した開口41oが形成されている。開口41oは、下向きの-Y方向を基準として前向きの+Z方向に数10°傾斜している。開口41oの周囲に設けられた矩形環状の縁部44は、プリズムミラー22の射出面22cの外縁22cpを囲むように配置されている。開口41oの縁部44は、ガード43aの後部43cに対応する部分44aと、ガード43aの側部43dに対応する部分44bと、底板部材41dの本体41jに対応する部分44cとを含む。開口41oの周囲に設けられた縁部44は、プリズムミラー22の射出面22cの外縁22cpを外側から囲むことで、プリズムミラー22の射出面22cを周囲から保護している。この際、プリズムミラー22の射出面22cの外縁22cpは、開口41oの縁部44よりも後退した内側に配置される。つまり、プリズムミラー22の射出面22cは、開口41oの縁部44よりも奥まって配置されている。具体的には、プリズムミラー22の射出面22cの外縁22cpの上端は、開口41oの縁部44の上端よりも、0.1mm~1mm程度だけ+Yに低くなっている。これにより、プリズムミラー22の外縁22cpに意図しない物体が当たったり、外縁22cpに触ったりすることを回避でき、射出面22cの劣化を抑制できる。開口41oのサイズは、例えば6.5mm×15mmに設定されている。
【0040】
なお、プリズムミラー22の射出面22cの外縁22cpと、開口41oの縁部44との間には、それらの隙間に接着材又はシール材を充填することができる。この場合、収納空間ISの機密性を高めることができる。
【0041】
図9は、バレル41に対する第1コンバイナー103aの固定、すなわち第1投射光学系12aに対するシースルーミラー23の固定を説明する図である。図9中で、領域DR1は、バレル41及び第1コンバイナー103aの正面図であり、領域DR2は、バレル41及び第1コンバイナー103aの平面図である。バレル41を含む第1投射光学系12aとバレル41に対して固定された第1コンバイナー103aとを組み合わせた第1表示部20aに対して第1映像素子11aを組付けたものを光学ユニット300と呼ぶ。
【0042】
光学ユニット300において、バレル41の前側には、一対の突起部41f,41gが横方向外側に張り出すように形成されている。また、第1コンバイナー103aの上端61gには、一対の取付部62a,62bが内側に張り出すように形成されている。一対の取付部62a,62bの一対の対向する62sは、バレル41の一対の外向きの横側面51sを挟むようにこれらと嵌合し、±X方向のアライメントが傾きを低減するように行われる。一対の取付部62a,62bの一対の後側面62tは、バレル41の段差状の一対の前側面51rに当接し、±Z方向のアライメントが傾きを低減するように行われる。さらに、一対の突起部41f,41gの底面59jから突起する複数の凸部59pは、一対の取付部62a,62bの一対の上面62jと当接し、±Y方向のアライメントが行われる。以上のアライメント後、つまり6軸のアライメント後、突起部41f,41gの底面59jと取付部62a,62bの上面62jとの間に周囲から接着材49を供給し、供給した接着材49を紫外線等で硬化させることにより、バレル41に対する第1コンバイナー103aの固定が完了する。
【0043】
図10は、図1に示す第1表示装置100Aの第1表示駆動部102aの正面断面図である。バレル41には、第1フレーム52aが固定されている。第1フレーム52aは、バレル41を含む第1表示部20aを支持して配置を決定している。バレル41の下側を覆うように下カバー71aが配置されている。下カバー71aは、図4に示すジョイント50cや第1フレーム52aに支持されており、図面左側の端部において、図1に示す支持装置100Cに連結されている。下カバー71aに対しては、上カバー71bが着脱可能に取り付けられている。
【0044】
以上で説明した実施形態の画像表示装置100は、映像素子11aと、第1映像素子11aの光射出側に配置される第1光学部材2aと、第1光学部材2aの光射出側に配置される入射面22aと、光軸AXを折り曲げる反射面22bと、凹面の射出面22cとを有する第2光学部材2bと、第1光学部材2aを収納し第2光学部材2bを保持するバレル41とを備え、第2光学部材2bの射出面22cは、バレル41の開口41oに露出し、射出面22cの外縁22cpは、開口41oの縁部44に囲まれる。
【0045】
この画像表示装置100では、第2光学部材2bの射出面22cはバレル41の開口41oに露出し、射出面22cの外縁22cpは開口41oの縁部44に囲まれるので、第2光学部材2bの射出面22cがバレル41の開口41oの縁部44に保護され、外力による劣化が発生しにくくなる。
【0046】
本実施形態の画像表示装置100において、第2光学部材2bの射出面22cの外縁22cpは、バレル41の開口41oの縁部44よりも後退した内側に配置される。この場合、第2光学部材2bの射出面22cが開口41oの縁部44よりも奥まって配置され、第2光学部材2bの射出面22cの保護が確実となる。
【0047】
また、本実施形態の画像表示装置100において、第2光学部材2bの射出面22cは、凹曲面である。この場合、第2光学部材2bの射出面22cが全体的にバレル41の開口41oの縁部44に保護され、第2光学部材2bの射出面22cの保護が確実となる。
【0048】
〔変形例その他〕
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0049】
以上では、HMD200が第1表示装置100Aと第2表示装置100Bとを備えるとしたが、HMD200又は画像表示装置100は、単一の第1表示装置100A又は第2表示装置100Bを支持装置100Cによって眼前に支持するようなものであってもよい。
【0050】
以上では、第1フレーム52aと第2フレーム52bとをジョイント50cを介して連結しているが、第1フレーム52aと第2フレーム52bと直接接続することができ、或いは第1フレーム52aと第2フレーム52bとジョイント50cとを一体化した金属部品とすることもできる。
【0051】
以上では、画像表示装置100が頭部に装着されて使用されることを前提としたが、上記画像表示装置100は、頭部に装着せず双眼鏡のようにのぞき込むハンドヘルドディスプレイとしても用いることができる。つまり、本発明において、ヘッドマウントディスプレイには、ハンドヘルドディスプレイも含まれる。
【0052】
具体的な態様における画像表示装置は、映像素子と、映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、第1光学部材を収納し第2光学部材を保持するバレルとを備え、第2光学部材の射出面は、バレルの開口に露出し、射出面の外縁は、開口の縁部に囲まれる。
【0053】
上記画像表示装置では、第2光学部材の射出面はバレルの開口に露出し、射出面の外縁は開口の縁部に囲まれるので、第2光学部材の射出面がバレルの開口の縁部に保護され、外力による劣化が発生しにくくなる。
【0054】
具体的な態様における画像表示装置において、第2光学部材の射出面の外縁は、バレルの開口の縁部よりも後退した内側に配置される。この場合、第2光学部材の射出面が開口の縁部よりも奥まって配置され、第2光学部材の射出面の保護が確実となる。
【0055】
具体的な態様における画像表示装置において、第2光学部材の射出面は、凹曲面である。この場合、第2光学部材の射出面が全体的にバレルの開口の縁部に保護され、第2光学部材の射出面の保護が確実となる。
【0056】
具体的な態様における画像表示装置において、バレルは、光軸が延びる面に対して略平行に延び互いに離間する2つの側板部材と、光軸が延びる面に垂直な面に略沿って延び開口が設けられた底板部材と、底板部材及び2つの側板部材の前方端を連結する前板部材とを有するバレル本体と、底板部材の反対側に配置されバレル本体の内側を覆うことによって収納空間を形成するバレルカバーとを含む。この場合、第1光学部材や第2光学部材を容器状のバレル中に配置することが容易になる。
【0057】
具体的な態様における画像表示装置において、第1光学部材及び第2光学部材は、バレル本体において2つの側板部材から内側に突起する案内凸部に対して片寄された状態でアライメントされる。この場合、案内凸部に載せるようにして第1光学部材や第2光学部材をバレル本体に保持させることができ、第1光学部材や第2光学部材のアライメントが容易になる。
【0058】
具体的な態様における画像表示装置において、バレルカバーは、第2光学部材の反射面の外側を覆い、バレルカバーの内面は、反射面に沿って反射面の近傍に延びる。この場合、反射面を保護しつつバレルカバーの内面との接触を回避することができる。
【0059】
具体的な態様における画像表示装置において、第1光学部材と第2光学部材との間に配置される絞り板部材を備え、絞り板部材は、バレルの底板部材の近傍に配置される中央部と、中央部から2つの側板部材に沿って延びる2つの側辺部とを有する。これにより、第2光学部材がバレルカバー側において有効領域が外縁近傍に配置される場合であっても、絞り板部材によって過度の遮光が行われることを回避できる。
【0060】
具体的な態様における画像表示装置において、バレルカバーにおいて光軸が延びる面に垂直な面に沿って延びる帯状部分は、絞り板部材の一対の側辺部の端部間に亘って延びる。この場合、帯状部分を絞りの一部として機能させることができる。
【0061】
具体的な態様における画像表示装置において、第2光学部材の光射出側に配置されるコンバイナーを備え、コンバイナーは、バレルの外側に延びる一対の突起部に対してアライメントされ接着によって固定されている。この場合、コンバイナーのバレルや第2光学部材に対する配置精度を高めることができる。
【0062】
具体的な態様における画像表示装置において、バレルは、ポリカーボネート樹脂で形成されている。
【0063】
具体的な態様における画像表示装置において、映像素子に表示動作を行わせる表示制御装置をさらに備える。
【0064】
本発明の一側面における光学ユニットは、映像素子と、映像素子の光射出側に配置される第1光学部材と、第1光学部材の光射出側に配置される入射面と、光軸を折り曲げる反射面と、射出面とを有する第2光学部材と、第1光学部材を収納し第2光学部材を保持するバレルとを備え、第2光学部材の射出面は、バレルの開口に露出し、射出面の外縁は、開口の縁部に囲まれる。
【符号の説明】
【0065】
2a…第1光学部材、2b…第2光学部材、11a,11b…映像素子、12a,12b…投射光学系、20a,20b…表示部、21…投射レンズ、21o…第1レンズ、21p…第2レンズ、21q…第3レンズ、22…プリズムミラー、22a…入射面、22b…反射面、22c…射出面、22cp…外縁、22s…側面、22t…突起、23…シースルーミラー、23a…透過性反射膜、23c…反射面、26…絞り板部材、28a,28b,28c…支持面、41…バレル、41a…バレル本体、41c…側板部材、41d…底板部材、41e…前板部材、41f,41g…突起部、41o…開口、41s…帯状部分、41u…バレルカバー、41x…天板、42p…上端、42q…外縁、43a…ガード、44…縁部、45a,45b,45c,45d…案内凸部、48a,48b,48c…載置面、50…支持装置、50c…ジョイント、52a,52b…フレーム、61…支持板、71…カバー、80a,80b…回路部材、88…表示制御装置、90…ユーザー端末、100,100A,100B…表示装置、100C…支持装置、102a,102b…表示駆動部、103a,103b…コンバイナー、300…光学ユニット、AM…接着材、AX…光軸、AX1-AX3…光軸部分、EP…射出瞳、EY…眼、GA…隙間、IM…中間像、IS…収納空間、ML…画像光、OL…外界光、OS…軸外し光学系、P1-P3…光路部分、SS…軸外し面、US…装着者
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