IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日精株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図1
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図2
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図3
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図4
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図5
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図6
  • 特開-機械式駐車装置の給電装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018806
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の給電装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240201BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20240201BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240201BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/18 610
E04H6/42 H
B60L53/14
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122360
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 将之
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125FF14
5H125FF30
(57)【要約】
【課題】トレーを正規の停止位置に停止させたまま給電を行うことができ、移動後も直ちに給電を行うことができ、給電部に対して受電部を有するトレーがいずれの向きからも移動できる機械式駐車装置の給電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4と、トレー4が格納される格納部2と、格納部2に、少なくともひとつの空き区画3を有し、受電部60に電力を供給する給電部50を有する複数の格納区画3と、を含んで構成される機械式駐車装置1の給電装置7であって、給電装置7は、受電部60に対向して上下方向に昇降させる駆動部70を有して受電部60に接触又は離間させる給電部50を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電される車両を載置する受電部を有するトレーと、前記トレーが格納される格納部と、前記格納部に、少なくともひとつの空き区画を有し、前記受電部に電力を給電する給電部を有する複数の格納区画と、を含んで構成される機械式駐車装置の給電装置であって、
前記給電装置は、前記受電部に対向して上下方向に昇降させる駆動部を有して前記受電部に接触又は離間させる給電部を備える、機械式駐車装置の給電装置。
【請求項2】
前記給電部は、前記トレーの下方に配置される、請求項1に記載の機械式駐車装置の給電装置。
【請求項3】
前記給電部は、電力の供給を要しない、又は電力の供給を一時中断する場合、前記受電部から離間し、電力の供給が再開される際に、前記受電部に対して前記供給部が接触して電力の供給が再開される、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の給電装置。
【請求項4】
前記トレーは、前記給電部に対し、いずれの方向からも移動可能とされる、請求項1又は2に記載の機械式駐車装置の給電装置。
【請求項5】
前記トレーは、前記給電部に対し、いずれの方向からも移動可能とされる、請求項3に記載の機械式駐車装置の給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電力を給電される車両を駐車させる駐車装置であって、車両を各々に搭載可能な上から見て略長方形の輪郭をもつ複数のパレットと、複数の前記パレットが移動できる経路である移動経路に沿って配され複数のパレットを各々に置くことをできる複数の駐車空間を形成する主構造体と、複数の前記駐車空間のうちの少なくとも1つの駐車空間である特定駐車空間に対応して配される少なくとも1つの給電端子を有し該給電端子に電力を給電できる電源装置と、前記パレットに設けられ前記給電端子から電力を給電される駐車空間側中継端子を有し該駐車空間側中継端子に給電される電力を車両に中継できる中継機器と、複数のパレットを水平面内で互いに直交して直線状に延びる仮想線である仮想横方向線と仮想縦方向線とに選択的に沿って移動させることで前記移動経路に沿って移動させて複数の駐車空間に各々に位置させるパレット移動機構と、を備え、前記仮想横方向線が前記パレットの略長方形の輪郭の短辺に平行であり、前記仮想縦方向線が前記パレットの略長方形の輪郭の長辺に平行であり、前記特定駐車空間に位置する前記パレットを前記移動経路から外れて前記移動経路に直交する前記仮想縦方向線または前記仮想横方向線のうちの一方の方向線に沿って所定の距離Jだけ移動させると前記駐車空間側中継端子が前記特定駐車空間に対応して配された前記給電端子に電気的に接続し、前記主構造体がアース用ブラシをもち、前記パレットは 上から見て略四辺形の形状を持ち車両を搭載可能な構造体であるパレット主構造体と前記仮想横方向線または前記仮想縦方向線に沿って移動させるため前記パレット移動機構により支持されるレール面を形成するレール構造とを有し、前記レール構造は前記パレット主構造体の下側に仮想縦方向線に平行に延びる様に設けられレール面を下方に向けるレールである1対の縦方向レールと仮想縦方向線に直交して延びる様に設けられレール面を下方に向けるレールである1対の横方向レールとで構成され、縦方向レールの両端部の下面は、端部から中心部へ移動するのに応じて下方へ移動する様に傾斜する傾斜面を持ち、横方向レールの両端部の下面は、端部から中心部へ移動するのに応じて下方へ移動する様に傾斜する傾斜面を持ち、前記特定駐車空間に位置する前記パレットを前記移動経路から外れて前記移動経路に直交する前記仮想縦方向線または前記仮想横方向線の一方の仮想線に沿って所定の距離Jだけ移動させると前記アース用ブラシが前記傾斜面を摺って前記レール面に接触し前記パレットが前記主構造体にアースされる、ことを特徴とする駐車装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、複数の駐車スペースと、車両を搭載可能であり、駐車スペース間を第1方向および前記第1方向と交差する第2方向に移動可能なパレット、を備え、前記複数の駐車スペースのうちの少なくとも1つの駐車スペースには給電端子が設けられ、前記パレットには受電端子が設けられ、前記給電端子と前記受電端子とは、前記第1方向に接続可能であり、前記給電端子は、前記パレットが前記給電端子が設けられた駐車スペースへ前記第2方向に移動する際に、前記受電端子と接触しない位置に設けられており、前記給電端子が設けられた駐車スペース内の停止位置に前記パレットが移動した後、前記パレットを前記給電端子側の充電位置へ更に移動させて前記受電端子を前記給電端子へ接触させることを特徴とする機械式駐車場が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6150488号公報
【特許文献2】特許第6618261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、駐車空間のうちの少なくとも1つの特定駐車空間に対応しつつ、パレットの移動経路から外れて配置される給電端子と、該給電端子から電力を供給される駐車空間側中継端子が設けられたパレットと、を備え、該給電端子に該駐車空間側中継端子が接触するように、パレットがパレット移動機構を用いて移動されるようにしている。
このため、車両を搭載する大きなパレットを、パレットの移動経路から外れる位置に移動させなければならず、その都度、パレット移動機構を精度よく駆動させなければならない。また、パレットを駐車空間で移動させる場合には、パレット移動機構を精度よく駆動させてパレットを移動経路に戻さなければならない。換言すれば、パレットに電力が供給する位置からパレットに電力を供給しない移動経路上の位置に、駐車装置の運転の都度、パレットを移動させなければパレットの移動経路上での移動ができない。さらに、給電端子が、平面視、パレットの外側に配置されることで駐車装置のスペース効率の低下を余儀なくされている。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明は、駐車スペースのうちの少なくとも1つの駐車スペースに設けられた給電端子と、受電端子が設けられたパレットとを備え、パレットは、給電端子が設けられた駐車スペース内の停止位置に移動した後、該給電端子側の充電位置へ更に移動させて、受電端子を給電端子に接触させるようにしている。
このため、車両を搭載する大きなパレットを、パレットの第1方向及び第2方向への移動経路から外れる位置に移動させなければならず、その都度、第2移動装置を精度よく駆動させなければならない。また、パレットを停止位置に移動させる場合には、第2移動装置を精度よく駆動させてパレットを移動の経路となる停止位置に戻さなければならない。換言すれば、パレットに電力が供給する位置からパレットに電力を供給しない移動の経路上の停止位置に、駐車装置の運転の都度、パレットを移動させなければパレットの第1方向又は第2方向への移動ができない。さらに、給電端子が、平面視、パレットの外側に配置されることで機械式駐車場のスペース効率の低下を余儀なくされている。
【0007】
本発明は、トレーを正規の停止位置に停止させたまま給電を行うことができ、移動後も直ちに給電を行うことができる。また、給電部に対して受電部を有するトレーがいずれの向きからも移動できるため、機械式駐車装置の運転動作に無駄が発生しない。さらに、機械式駐車装置におけるスペース効率の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機械式駐車装置の給電装置は、給電される車両を載置する受電部を有するトレーと、前記トレーが格納される格納部と、前記格納部に、少なくともひとつの空き区画を有し、前記受電部に電力を給電する給電部を有する複数の格納区画と、を含んで構成される機械式駐車装置の給電装置であって、前記給電装置は、前記受電部に対向して上下方向に昇降させる駆動部を有して前記受電部に接触又は離間させる給電部を備える。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置の給電装置は、第1態様に係る機械式駐車装置の給電装置において、前記給電部は、前記トレーの下方に配置される。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置の給電装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置の給電装置において、前記給電部は、電力の供給を要しない、又は電力の供給を一時中断する場合、前記受電部から離間し、電力の供給が再開される際に、前記受電部に対して前記供給部が接触して電力の供給が再開される。
【0011】
第4態様に係る機械式駐車装置の給電装置は、第1態様又は第2態様に係る機械式駐車装置の給電装置において、前記トレーは、前記給電部に対し、いずれの方向からも移動可能とされる。
【0012】
第5態様に係る機械式駐車装置の給電装置は、第3態様に係る機械式駐車装置の給電装置において、前記トレーは、前記給電部に対し、いずれの方向からも移動可能とされる。
【発明の効果】
【0013】
第1態様に係る機械式駐車装置の給電装置によれば、トレーを正規の停止位置から給電位置に移動させるものに比べて、トレーを正規の停止位置に停止させたまま給電を行うことができ、移動後も直ちに給電を行うことができる。また、給電部に対して、受電部を有するトレーがいずれの向きからも移動できるため、機械式駐車装置の運転動作に無駄が発生しない。さらに、機械式駐車装置におけるスペース効率が向上される。
【0014】
第2態様に係る機械式駐車装置の給電装置によれば、トレーの外周部より外側に給電部が配置されるものに比べて、スペースの無駄が発生せず、機械式駐車装置のスペース効率が向上される。
【0015】
第3態様に係る機械式駐車装置の給電装置によれば、トレーを正規の停止位置から給電位置に移動させて給電するものに比べて、電力の供給及び停止の制御が簡略化される。
【0016】
第4態様又は第5態様に係る機械式駐車装置の給電装置によれば、給電部及び受電部の端子の向きによる移動方向の制約があるものに比べて、トレーをいずれの方向からでも給電する格納区画に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における全体構成を示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるトレーと、トレーに設置される受電部と縦送りフレームに設置される給電部とが接触している状態を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態における給電部と受電部とが非接触状態で給電がされていない状態を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態における給電部の昇降部材が下降端に位置する時の位置検出装置の状態を示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態における給電部と受電部とが接触状態で給電が可能とされる状態を示す側面図である。
図6】本発明の一実施形態における給電部の昇降部材が上昇端に位置する時の位置検出装置の状態を示す側面図である。
図7】本発明の一実施形態におけるトレーに配置される車両給電装置の配置状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態に係る機械式駐車装置の給電装置の一例について図面を参照しながら説明する。なお、図中に示す矢印Wは装置幅方向を示し、矢印Dは装置奥行方向を示し、矢印Hは装置高さ方向を示す。また、装置幅方向Wは「トレーの短手方向」と、また、装置奥行方向Dは「トレーの長手方向」と、また、装置高さ方向Hの側から見ることを「平面視」と、それぞれ言い換えることがある。
【0019】
[実施形態]
<機械式駐車装置の全体構成>
本発明の一実施形態として、機械式駐車装置の全体構成を図1に示す。
【0020】
図1に示すように、機械式駐車装置1は、給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4と、前記トレー4が格納される格納部2と、前記格納部2に、少なくともひとつの空き区画3を有し、前記受電部60に電力を給電する給電部50を有する複数の格納区画3と、を含んで構成される。
【0021】
[格納部]
具体的には、格納部2は、複数の格納区画3が、装置幅方向Wと装置奥行方向Dの両方向に複数列が設定され、各格納区画3は、トレー4を装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に移動可能に構成されている。本実施形態ではひとつの層のみを図示しているが、格納部2は装置高さ方向Hの方向に沿って複数設けて、複数層の機械式駐車装置1としている。また、本実施形態では、空き区画3を複数設定し、トレー4の循環移動に要する時間を短縮するようにしている。
【0022】
また、格納部2の一部には、特定の格納区画3に隣接して昇降装置6が配置され、格納部2において循環移動されたトレー4を格納部2よりも上方又は下方に設置される図示しない乗降室と連絡してトレー4を昇降させる。また、昇降装置6は、複数層とされる格納部2において、特定の層の格納部2とは別の層の格納部2との間でトレー4を移動させることも可能となっている。
【0023】
〔格納区画〕
格納区画3は、縦送りフレーム32及び横送りフレーム34を含んで構成され、各縦送りフレーム32及び横送りフレーム34はそれぞれ隣接する格納区画3を連絡するように構成されている。格納区画3にはそれぞれ、トレー4を装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に移動させる図示しない縦横送り装置が設置され、制御盤10の制御により、装置幅方向W又は装置奥行方向Dの方向に適宜移動されて、格納部2の中で移動される。また、格納区画3にはそれぞれ、後述する給電装置7の給電部50が設けられ、給電が必要なバッテリを搭載した車両が載置されたトレー4に対して給電が行い得るように構成されている。なお、本実施形態では、図1に示すように、格納区画3のすべて及びトレー4のすべてに給電部50及び受電部60を有するように図示しているが、すべての格納区画3に給電部50を有する給電装置7を備える必要がない場合は、一例として、昇降装置6から遠い位置の複数の格納区画3にのみ給電部50を有する給電装置7を設けてもよい。
【0024】
〔トレー〕
図1、2に示すように、トレー4は、本実施形態では、装置幅方向Wに沿う側が短く、装置奥行方向Dに沿う側が長い平面視矩形状であって、装置高さ方向Hに沿う方向に厚みを有する。トレー4の下面には、縦送り車輪4Aと横送り車輪4Bとが一組となって、トレー4の四隅近傍に合計4組が設けられ、縦送り車輪4Aは縦送りフレーム32上を走行可能であり、横送り車輪4Bは横送りフレーム34上を走行可能となっている。
【0025】
また、トレー4には、図2図7に示すように、トレー4の装置奥行方向Dの一方又は両端部に車両給電装置44がトレー4に対して軸44を支点として起倒自在に設けられている。車両給電装置44には、起立したときに上方となる自由端の側に給電用のコンセントが設けられている。車両給電装置44は、図7に示すように、トレー4に設けられる収納部44Bの収納されるように倒伏され、車両給電装置44が収納部44Bに収納されると、車両給電装置44は、車両の走行が可能なように車路の一部として利用される。また、トレー4は、上面が平坦であり、トレー4の上面の周囲には止水部材42が設けられ、車両が持ち込む雨水や雪氷による融水等の水分が周囲に流下することを防止する。トレー4上に溜まる水分は、トレー4の長手方向の両端部の切り欠き部分に設けられる図示しない水分誘導手段によって、図示しない排水樋に流下されるようになっている。この切り欠き部分は、車両給電装置44に対してトレー短手方向にずらした位置に設けてもよい。また、止水部材42は、バッテリを搭載する車両Mに給電する際に用いられる車載充電コード48がトレー4の外に落ちないようにする落下防止の機能を兼ね備えている。
【0026】
(受電部)
図2に示すように、受電部60は、トレー4の下面に設置され、装置高さ方向Hの下方を向いて受電端子62が設けられている。本実施形態では、受電端子62は、装置幅方向Wの方向に沿って長い部材が、装置奥行方向Dの方向に所定の間隔を隔てて3本設けられている(図1も参照)。受電部60には、後述する給電部50が装置高さ方向Hのトレー4の下方から接触して給電を行うようになっている。
【0027】
<要部の構成>
次に、本発明における要部の構成について、図3及び図4を用いて説明する。
【0028】
[給電装置]
図3に示すように、給電装置7は、受電部60に対向して装置高さ方向Hに沿って上下方向に昇降させる駆動部70を有して、受電部60に接触又は離間させる給電部50を備える。
【0029】
具体的には、給電装置7は、給電部50と、給電部50を昇降させる駆動部となるリニアドモータ70と、を含んで構成されている。より具体的には、給電部50は、装置高さ方向Hの上方を向く給電端子52が設けられ、給電部50は、リニアドモータ70に一体的に組み込まれた昇降部72によって昇降可能に支持される昇降部材54の上端に設けられている。本実施形態では、給電端子52は、装置幅方向Wの方向に沿って長い部材が、装置奥行方向Dの方向に所定の間隔を隔てて3本設けられている(図1も参照)。また、リニアドモータ70は、縦送りフレーム32に設けられる図示しないブラケットに固定部材74によって取り付けられている。また、リニアドモータ70には、昇降部材54の位置を検出する位置検出装置76が備えられ、位置検出装置76が昇降部材54の位置を検出することで、給電部50の給電端子52がいずれの位置にあるかを検出する。位置検出装置76の構成については後述する。
【0030】
〔位置検出装置〕
図4に示すように、位置検出装置76は、昇降部材54の上昇停止位置を検出する第1検出センサ76Aと、昇降部材54の下降停止位置を検出する第2検出センサ76Bと、を含んで構成されている。一例として、本実施形態では、第1検出センサ76A及び第2検出センサ76Bはリミットスイッチで構成されている。一方、昇降部材54の第1検出センサ76A及び第2検出センサ76Bの側を向く面に、被位置検出部材56が設けられている。被位置検出部材56は、その上端を第1検出センサ76Aが検出したとき、給電部50の給電端子52がトレー4に設けられる受電部60の受電端子62と接触したことを検出するようになっている。被位置検出部材56の下端は、第2検出センサ76Bが検出した時点で、給電部50の給電端子52とトレー4に設けられる受電部60の受電端子62とが離れたことを検知する位置である。本実施形態では、一例として、被位置検出部材56は、昇降部材54から突出する突起状のストライカで構成されている。なお、第1検出センサ76A、第2検出センサ76B、及び被位置検出部材56が設けられる部分はセンサカバー78で覆われている。
【0031】
<要部の作用>
次に、要部の作用について、図3から図6を用いて説明する。
【0032】
図3に示すように、給電部50は受電部60から離れた位置に位置している。ここで、制御盤10からの起動信号を受けて、リニアドモータ70が昇降部材54を図6に示す矢印Cの方向に上昇させると、第1検出センサ76Aは被位置検出部材56の上端を検出し矢印B方向に収縮して、第1検出センサ76Aから検出信号が制御盤10に送信されて、制御盤10の制御によりリニアドモータ70は停止する。このとき、図5に示すように、給電部50の給電端子52は受電部60の受電端子62と接触する。この接触状態は第1検出センサ76Aからの検出信号により確認されているため、制御盤10は、図1に示す電力供給部12に電力の供給を指示する信号を送信し、電力供給部12は、新たな供給先となる受電部60に電力を供給する。このとき、既に電力が供給されている受電部60(トレー4)がある場合は継続して電力が供給されるよう構成されている。
【0033】
一方、電力の供給を要しない、又は、電力の供給を一時中断する場合がある。これは、第1に、車両に搭載されたバッテリが満充電状態となって、その信号が発出された場合、制御盤10は、電力供給部12に、その格納区画に対応する電力の供給を停止させ、加えて、リニアドモータ70に起動信号を与えて、昇降部材54を、図4に示す矢印A方向に下降させて、第2検出センサ76Bは、被位置検出部材56を検出して矢印B方向に収縮すると、下降位置であることの検出信号を制御盤10に送信して、リニアドモータ70を停止させる。
【0034】
また、第2に、機械式駐車装置1において、図示しない乗降室の外側に設けられる操作盤から入庫又は出庫の指令を制御盤10が受けた場合、格納部2の給電装置7を有する格納区画3のすべての給電を一時停止すべく、制御盤10は、電力供給部12に対してすべての給電装置7に対して電力の供給を停止する信号、及び、給電部50が受電部60から離れるようリニアドモータ70に対して昇降部材54を下降させる信号を送信して、図3に示す状態に移行させる。そして、機械式駐車装置1における入庫又は出庫の作業が終了し、格納部2においてトレー4の移動が終了した時点で、給電装置7は再び受電部60に対して給電部50を接触させて電力の供給を再開できる。
【0035】
このように、給電装置7は、そのときの状態に対応して、給電部50と受電部60との接触又は離間を行うことができる。また、給電装置7は、トレー4の下面側に配置されているため、トレー4の外周より外側に給電部50が突出せず、また、格納部2が複数層の場合でも、トレー4を移動させる縦横送り装置の高さの範囲内に収まるため、スペース効率が向上される。さらに、給電部50の給電端子52と受電部60の受電端子62の平面視における向きに制約がある中で、給電部50が受電部60に対して装置高さ方向Hの下方から上昇して接触する構成としているため、トレー4の給電部50に対する移動方向に制約がない。
【0036】
このように、本発明の機械式駐車装置の給電装置は、給電される車両Mを載置する受電部60を有するトレー4と、トレー4が格納される格納部2と、格納部2に、少なくともひとつの空き区画3を有し、受電部60に電力を給電する給電部50を有する複数の格納区画3と、を含んで構成される機械式駐車装置1の給電装置7であって、給電装置7は、受電部60に対向して上下方向に昇降させるリニアドモータ70を有して受電部60に接触又は離間させる給電部50を備える。
【0037】
これにより、トレー4を正規の停止位置から給電位置に移動させるものに比べて、トレー4を正規の停止位置に停止させたまま給電を行うことができ、移動後も直ちに給電を行うことができる。また、給電部50に対して、受電部60を有するトレー4がいずれの向きからも移動できるため、機械式駐車装置1の運転動作に無駄が発生しない。さらに、機械式駐車装置1におけるスペース効率が向上される。
【0038】
また、給電部50は、トレー4の下方に配置される。
【0039】
これにより、トレー4の外周部より外側に給電部50が配置されるものに比べて、スペースの無駄が発生せず、機械式駐車装置のスペース効率が向上される。
【0040】
また、給電部50は、電力の供給を要しない、又は電力の供給を一時中断する場合、受電部60から離間し、電力の供給が再開される際に、受電部60に対して給電部50が接触して電力の供給が再開される。
【0041】
これにより、トレー4を正規の停止位置から給電位置に移動させて給電するものに比べて、電力の供給及び停止の制御が簡略化される。
【0042】
また、トレー4は、給電部50に対し、いずれの方向からも移動可能とされる。
【0043】
これにより、給電部50及び受電部60の端子の向きによる移動方向の制約があるものに比べて、トレー4をいずれの方向からでも給電する格納区画に移動させることができる。
【0044】
以上、各実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、本実施形態は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更をして実施でき、また、本発明の権利範囲がこれら実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0045】
例えば、給電装置7の給電部50を昇降させる機構としてリニアドモータ70を用いると説明したが、これに限らず、給電部50を昇降させる昇降部材54を昇降可能に支持できるものであればいずれの構成を用いてもよい。
【0046】
また、給電装置7は、縦送りフレーム32に設けられると説明したが、これに限らず、横送りフレーム34に設けてもよいし、格納部2の床面から立ち上げて設けてもよい。
【0047】
また、機械式駐車装置1は平面的に格納区画3を配置する態様で説明したが、これに限らず、エレベータ式立体駐車装置、すなわち、垂直方向に配置されるエレベータに隣接する格納区画にも対応できることは勿論であり、機械式駐車装置の形式は問わない。
【符号の説明】
【0048】
1 機械式駐車装置
10 制御盤
12 電力供給部
2 格納部
3 格納区画
32 縦送りフレーム
34 横送りフレーム
4 トレー
4A 縦送り車輪
4B 横送り車輪
42 止水部材
44 車両給電装置
44A 軸
44B 収納部
46 コンセント
48 車載充電コード
50 給電部
52 給電端子
54 昇降部材
56 被位置検出部材
6 昇降装置
60 受電部
62 受電端子
7 給電装置
70 リニアドモータ(駆動部の一例)
72 昇降部
74 固定部材
76 位置検出装置
76A 第1検出センサ
76B 第2検出センサ
78 センサカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7