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特開2024-18823情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018823
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240201BHJP
   G06Q 50/16 20240101ALI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135351
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2022121569の分割
【原出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】522304338
【氏名又は名称】マイクロベース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134430
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 卓士
(72)【発明者】
【氏名】仙石 裕明
(72)【発明者】
【氏名】西山 知樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L049CC35
(57)【要約】
【課題】 本発明によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。
【解決手段】 入力データとして、家屋の築年数、家屋の世帯情報、家屋のインフラ設備の経過年、および、家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、家屋の空き家年代予測を行う予測部と、地図上に、予測部による予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成部と、を備えた情報処理装置である。
【選択図】 図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測部と、
地図上に、前記予測部による予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測ステップと、
地図上に、前記予測ステップにおける予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項3】
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測ステップと、
地図上に、前記予測ステップにおける予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成ステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、エネルギー消費量の測定履歴情報に基づいて空家種別を判定して、地図上の所定エリア毎の空家率を空家率マップとして生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-157634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、現在の空き家状態を推定するが、将来空き家になるという予測結果を示すことができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測部と、
地図上に、前記予測部による予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成部と、
を備えた。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測ステップと、
地図上に、前記予測ステップにおける予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
入力データとして、家屋の築年数、前記家屋の世帯情報、前記家屋のインフラ設備の経過年、および、前記家屋における生活に必須なインフラ資源の使用量の少なくとも1つを入力し、教師データとして、空き家データベースの空き家情報を用いて空き家予測を行う学習モデルを用いることにより、前記家屋の空き家年代予測を行う予測ステップと、
地図上に、前記予測ステップにおける予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせる画像生成ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2A】第2実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図2B】第2実施形態に係る空き家年代予測ヒートマッップを示す図である。
図2C】第2実施形態に係る空き家年代予測ヒートマッップを示す図である。
図3A】第2実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図3B】第2実施形態に係る空き家予測モデル生成部の機能構成を示すブロック図である。
図4A】第2実施形態に係る入力データ蓄積部の構成を示す図である。
図4B】第2実施形態に係る教師データ蓄積部の構成を示す図である。
図4C】第2実施形態に係る空き家年代予測ヒートマップテーブルの構成を示す図である。
図5A】第2実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5B】第2実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態に係る空き家予測モデル生成部の機能構成を示すブロック図である。
図7】第4実施形態に係る空き家予測モデル生成部の機能構成を示すブロック図である。
図8A】第5実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図8B】第5実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図9】第5実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図10】第5実施形態に係る給水計画生成テーブルの構成を示す図である。
図11】第5実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図12A】第6実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図12B】第6実施形態に係る情報処理装置の他の処理概要を示す図である。
図13】第6実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図14】第6実施形態に係る地域計画生成テーブルの構成を示す図である。
図15】第6実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図16】第7実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図17】第7実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図18】第7実施形態に係る施策評価テーブルの構成を示す図である。
図19】第7実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図20】第8実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。
図21】第8実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図22】第8実施形態に係る凍結予測テーブルの構成を示す図である。
図23】第8実施形態に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図24】第9実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成要素は単なる例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、図1を用いて説明する。情報処理装置100は、学習モデルを用いて空き家予測を行う装置である。
【0013】
図1に示すように、情報処理装置100は、予測部101と、画像生成部102と、を含む。予測部101は、入力データとして、築年数を入力し、教師データとして、空き家調査結果を用いて中長期的空き家予測を行う学習モデル111と、入力データとして、水道使用量を入力し、教師データとして、空き家調査結果を用いて短期的空き家予測を行う学習モデル112と、を組み合わせて用いることにより、家屋の空き家年代予測を行う。画像生成部102は、地図(122)上に、予測部101による予測結果に基づいて生成した空き家年代予測ヒートマップ121を重ね合わせる。
【0014】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。本実施形態の空き家年代予測は、中長期的空き家予測を行う学習モデルと短期的空き家予測を行う学習モデルとを組み合わせて行われることにより、より正確な空き家予測を提供できる。そして、予測結果から生成された空き家年代予測ヒートマップが、地図上に重ね合わせられて提示されることにより、空き家状態の把握が容易となる。
【0015】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、学習モデルへの入力データとして、築年数に加えて世帯構成および居住者年齢(世帯主年齢を含む)、あるいは、築年数に代えて水道管埋設年、道路設置年、ガス管埋設年、および電線埋設年あるいは空中配線年などのインフラ設備の経過年が用いられる。あるいは、教師データとして、空き家調査結果および/または、空き家バンク情報、所有者アンケート調査、所有者の自己申告などにより生成された空き家データベースの空き家情報を用いる。また、入力データおよび教師データを含む個人情報が漏洩しないように秘匿化される。
【0016】
<情報処理装置の処理概要>
図2Aは、本実施形態に係る情報処理装置200の処理概要を示す図である。
【0017】
情報処理装置200には、空き家予測モデルとなる学習モデルの説明変数となる入力データ201が入力される。また、情報処理装置200には、学習モデルの目的変数となる教師データ202が入力される。情報処理装置200は、入力データ201と教師データ202とに基づいて空き家予測モデルを生成し、家屋毎(世帯毎)に将来空き家となる確率を予測する。
【0018】
空き家予測モデルは、中長期的空き家予測モデルと短期的空き家予測モデルとを有する。中長期的空き家予測モデルとなる学習モデルには、入力データ201として家屋の築年数または水道埋設年が用いられる。さらに、入力データ201として、世帯構成や、世帯主年齢を含む居住者年齢、あるいは、居住開始日付などが用いられてもよい。教師データ202としては、家屋への訪問や外観に基づく空き家調査結果および/または、空き家バンク情報、所有者アンケート調査、あるいは居住者の自己申告を記憶する空き家データベースの空き家データが用いられる。また、短期的空き家予測モデルとなる学習モデルには、入力データ201として水道使用量が用いられる。また、入力データ201として、ガス使用量などの他のインフラ設備における使用量が用いられてもよい。さらに、世帯構成や、世帯主年齢を含む居住者年齢を含めば、予測精度の向上が見込める。
【0019】
情報処理装置200は、中長期的空き家予測モデルと短期的空き家予測モデルとを組み合わせて、出力データ203として、地域毎の空き家年代予測211、家屋毎の空き家年代予測212、あるいは、地図上に空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせた画像214を表示部210に表示する。
【0020】
(空き家年代予測ヒートマッップ)
図2Bおよび図2Cは、本実施形態に係る空き家年代予測ヒートマッップを示す図である。
【0021】
図2Bは、地図上に、家屋毎の空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせた画像215を示す。画像215は、2022年-2050年の空き家年代予測ヒートマップが表示されており、色の濃度(図面では明度)の濃淡により、濃い色が短期的予測を示し薄くなるにつれて中長期予測が示される。ユーザは、画像215を観ることで、濃い色が集まった地域では短期的に空き家が増加すること、一方、薄い地域では長期的に空き家の発生が少ないことを認識できる。それにより、インフラの維持整備や縮小停止、地域計画としての空き家の増加地域から他の地域への移転支援、などが可能となる。
【0022】
図2Cは、地図上に、2025年の家屋毎の空き家予測ヒートマップを重ね合わせた画像216と、2050年の家屋毎の空き家予測ヒートマップを重ね合わせた画像217と、を示す。画像216と217とを比較することにより、2025年と2050年の空き家予測の変化が把握でき、中長期的な地域計画の支援に使用できる。
【0023】
<情報処理装置の機能構成>
図3Aは、本実施形態に係る情報処理装置200の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
情報処理装置200は、通信制御部3010と、空き家予測部310と、入出力インタフェース320と、を備える。通信制御部3010は、ネットワークを介して、自治体保有データベース330や民間保有データベース340から学習モデルの入力データや教師データとして用いるデータの受信を制御する。入出力インタフェース320は、表示部210や操作部321とのインタフェースを制御する。なお、表示部210や操作部321は、情報処理装置200に含まれてもよい。
【0025】
空き家予測部310は、入力データ取得部311と、教師データ取得部312と、地図データ取得部313と、データベース314と、中長期的空き家予測モデル生成部315と、短期的空き家予測モデル生成部316と、空き家年代予測部317と、画像生成部318と、を備える。空き家予測部310は、さらに、オプションとしてデータ秘匿化部319を備える。
【0026】
入力データ取得部311は、自治体保有データベース330や民間保有データベース340から受信したデータから、学習モデルの説明変数となる入力データを取得して、データベース314の入力データ蓄積部341に蓄積する。教師データ取得部312は、自治体保有データベース330や民間保有データベース340から受信したデータから、学習モデルの目的変数となる教師データを取得して、データベース314の教師データ蓄積部342に蓄積する。地図データ取得部313は、民間保有データベース340から地図データを取得して、データベース314の地図データ蓄積部344に蓄積する。データベース314は、学習モデルの説明変数となる入力データを蓄積する入力データ蓄積部341と、学習モデルの目的変数となる教師データを蓄積する教師データ蓄積部342と、を有する。また、データベース314は、中長期的空き家予測モデル生成部315および短期的空き家予測モデル生成部316における学習モデル生成アルゴリズム343と、空き家年代予測ヒートマップと重ね合わせる地図データを蓄積する地図データ蓄積部344と、を有する。さらに、データベース314は、画像生成部318が生成した空き家年代予測ヒートマップを地図上の重ね合わせた画像の画像データを蓄積する画像データ蓄積部345を有する。
【0027】
中長期的空き家予測モデル生成部315は、学習モデル生成アルゴリズム343に従って、入力データと教師データとに基づいて中有長期的空き家予測モデルを生成する。短期的空き家予測モデル生成部316は、学習モデル生成アルゴリズム343に従って、入力データと教師データとに基づいて短期的空き家予測モデルを生成する。空き家年代予測部317は、中有長期的空き家予測モデルと短期的空き家予測モデルとを組み合わせて、各家屋の空き家年代予測を生成する。画像生成部318は、空き家年代予測ヒートマップテーブル381を有し、各家屋の空き家年代予測から生成された空き家年代予測ヒートマップを地図上に重ね合わせた画像を生成する。オプションのデータ秘匿化部319は、データベース314に得席される個人情報を漏洩されないように秘匿化する。なお、秘匿化の方法は限定されることなく、既存の秘匿化法あるいは新規の秘匿化法が使用される。
【0028】
(空き家予測モデル生成部の機能構成)
図3Bは、本実施形態に係る空き家予測モデル生成部315、316の機能構成を示すブロック図である。中長期的空き家予測モデル生成部315は学習モデル351を有する。学習モデル351は、空き家調査結果および/または自己申告空き家データの履歴を教師データとし、築年数または水道埋設年などと、世帯構成と、世帯主年齢を含む居住者年齢とを入力データとして学習し、中長期的空き家予測モデルを生成する。短期的空き家予測モデル生成部316は学習モデル361を有する。学習モデル361は、空き家調査結果および/または自己申告空き家データの履歴を教師データとし、水道使用量と世帯構成と世帯主年齢を含む居住者年齢とを入力データとして学習し、短期的空き家予測モデルを生成する。そして、中長期的空き家予測モデルと短期的空き家予測モデルとを組み合わせて、各家屋の短期的空き家予測から中長期的空き家予測までを生成する。
【0029】
なお、本実施形態の学習モデルのアルゴリズムとしては、例えば、1つの事象(イベント)が発生するまでの時間を予測するための機械学習アルゴリズムとして、イベント発生時期予測、イベント時系列予測、状態空間モデル、生存時間分析などが用いられる。
【0030】
(入力データ蓄積部)
図4Aは、本実施形態に係る入力データ蓄積部341の構成を示す図である。入力データ蓄積部341は、中長期的空き家予測モデル生成部315や短期的空き家予測モデル生成部316が用いる学習モデルの説明変数となる入力データを蓄積する。
【0031】
入力データ蓄積部341は、自治体所有データ名411に対応付けて、データ内容412と、利用するデータ413と、学習モデルの説明変数として使用する入力データ414と、を記憶する。説明変数として使用する入力データ414としては、水道使用量情報からの水道使用量や、住民基本台帳からの世帯人数(世帯構成)、入居経過日数、世帯主年齢を含む居住者年齢や、固定資産税台帳からの経過日数、築年数や、不動産登記からの築年数などがあるが、これに限定されない。
【0032】
(教師データ蓄積部)
図4Bは、本実施形態に係る教師データ蓄積部342の構成を示す図である。教師データ蓄積部342は、中長期的空き家予測モデル生成部315や短期的空き家予測モデル生成部316が用いる学習モデルの目的変数となる教師データを蓄積する。
【0033】
教師データ蓄積部342は、家屋ID421に対応付けて住所(あるいは、地図上の経緯と緯度)422を記憶する。各家屋ID421には、空き家情報取得元423として、調査結果と自己申告とがある。調査結果と自己申告とのそれぞれについて、図4Bでは、1950年から2022年までの毎月の空き家情報424が蓄積される。なお、学習モデルにおいては、教師データ(目的変数)の事象(本例では、空き家)が発生するまでの期間を分析するので、空き家になったあるいは推測された後のデータは不要なデータである。また、調査結果には不正確な推測や時間ズレが含まれ、自己申告があった場合は自己申告のデータに置き換えるのが望ましい。
【0034】
(空き家年代予測ヒートマップテーブル)
図4Cは、本実施形態に係る空き家年代予測ヒートマップテーブル381の構成を示す図である。空き家年代予測ヒートマップテーブル381は、画像生成部318が地図上に各家屋の空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせた画像を生成するために用いられる。
【0035】
空き家年代予測ヒートマップテーブル381は、家屋ID431に対応付けて、住所432と、短期的および中長期的な空き家年代予測433と、を記憶する。空き家年代予測433は、空き家となる予測時期が早いものから(2022年~)遅いものまで(2050年~)、例えば、色表示であれば濃い色から薄い色で地図に重ね合わせて表示する。このように、予測時期が目視できるように表示することによって、空き家率が増加する地域と減少する地域をユーザは一瞬で把握できるので、対策を迅速に立てることができる。
【0036】
<情報処理装置のハードウェア構成>
図5Aは、本実施形態に係る情報処理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0037】
図5Aで、CPU(Central Processing Unit)510は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図3Aの構成要素を実現する。ROM(Read Only Memory)520は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびプログラムを記憶する。ネットワークインタフェース530は、ネットワークを介して自治体保有データベース330や民間保有データベース340との通信を制御して、データを取得する。
【0038】
RAM(Random Access Memory)540は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM540には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。取得データ541は、ネットワークインタフェース530を介して、自治体保有データベース330や民間保有データベース340から取得したデータである。入力データ542は、学習モデルの説明変数となるデータであり、中長期的予測のための築年数や世帯主年齢を含む居住者年齢、世帯構成などや、短期的予測のための水道使用量などが含まれる。教師データ543は、学習モデルの目的変数となるデータであり、中長期的予測のため短期的予測のために共通の空き家調査結果や自己申告の空き家データベースからの空き家データが含まれる。学習モデルデータ544は、学習モデル生成アルゴリズム343に関するデータである。中長期的空き家予測データ545は、予測された中長期的空き家予測のデータである。短期的空き家予測データ546は、予測された短期的空き家予測のデータである。空き家年代予測データ547は、中長期的空き家予測モデルと短期的空き家予測モデルとを組み合わせて予測した空き家年代予測のデータである。空き家年代予測ヒートマップ548は、空き家年代予測データ547に基づいて生成された空き家年代予測ヒートマップである。重ね合わせ画像データ549は、地図上に、空き家年代予測ヒートマップ548を重ね合わせた画像データである。
【0039】
ストレージ550には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。入力データ蓄積部341は、図4Aで説明された入力データの蓄積部である。教師データ蓄積部342は、図4Bで説明された教師データの蓄積部である。学習モデル生成アルゴリズム343は、本実施形態の学習モデルとして使用されるアルゴリズムである。地図データ蓄積部344は、取得された地図データの蓄積部である。
【0040】
ストレージ550には、以下のプログラムが格納される。情報処理プログラム551は、情報処理装置200の全体を制御するプログラムである。データ取得モジュール552は、ネットワークインタフェース530を介して、入力データや教師データや地図データを含むデータを自治体保有データベース330や民間保有データベース340から取得するためのモジュールである。空き家年代予測モジュール553は、中長期的空き家予測モジュール554と短期的空き家予測モジュール555とを含み、家屋毎の空き家年代予測を生成するためのモジュールである。空き家年代予測ヒートマップ生成モジュール556は、中長期的空き家予測と短期的空き家予測とを組み合わせた空き家年代予測ヒートマップを生成するモジュールである。重ね合わせ画像生成モジュール557は、地図上に空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせた画像を生成するモジュールである。
【0041】
入出力インタフェース320は、表示部210や操作部321などとのインタフェースを行う。
【0042】
なお、図7のRAM540やストレージ550には、情報処理装置200が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関連するプログラムやデータは図示されていない。
【0043】
<情報処理装置の処理手順>
図5Bは、本実施形態に係る情報処理装置200の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、図5AのCPU510がRAM540を用いて実行し、図3Aの機能要素を実現する。なお、図5Bのフローチャート全体をステップS500として後述のフローチャートにおいて使用する。
【0044】
情報処理装置200は、ステップS501において、学習モデルの説明変数(入力データ)を取得する。情報処理装置200は、ステップS503において、学習モデルの目的変数(教師データ)を取得する。情報処理装置200は、ステップS505において、学習モデルにより中長期的空き家予測を実行する。情報処理装置200は、ステップS507において、学習モデルにより短期的空き家予測を実行する。情報処理装置200は、ステップS509において、中長期的予測と短期的予測とを組み合わせて、家屋毎の空き家年代予測を生成する。情報処理装置200は、ステップS511において、地図上に家屋毎の空き家年代予測ヒートマップを重ね合わせた画像を生成する。そして、情報処理装置200は、ステップS513において、生成された画像の表示指示を行う。
【0045】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。さらに、学習モデルの入力データを追加したり、学習モデルの教師データの正確性を高めたりすることによって、より正確な空き家予測を提供できる。
【0046】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態と比べると、学習モデルの入力データとして、さらに、立地条件としての新幹線の駅からの距離または空港からの距離と、公示地価との少なくともいずれかが使用される、あるいは、地域の属性が使用される点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0047】
(空き家予測モデル生成部の機能構成)
図6は、本実施形態に係る空き家予測モデル生成部615、616の機能構成を示すブロック図である。なお、本実施形態の情報処理装置における他の構成要素は図3Aと同様である。
【0048】
中長期的空き家予測モデル生成部615は、学習モデル651を有する。また、短期的空き家予測モデル生成部616は、学習モデル661を有する。学習モデル651および661の入力データとしては、さらに、立地条件としての新幹線の駅からの距離または空港からの距離などと、公示地価との少なくともいずれかが含まれる。また、学習モデル651および661の入力データとしては、さらに、地域の属性が含まれてもよい。地域の属性としては、山間部か、平地か、市街地か、などや、再建築禁止区域かなどが含まれる。
【0049】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。さらに、学習モデルの入力データをさらに追加することによって、より一層正確な空き家予測を提供できる。
【0050】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、空き家発生の地域的な相互作用を表す空間的自己相関を用いて空き家予測を行うことになる。その他の構成および動作は、第2実施形態、第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0051】
(空き家予測モデル生成部の機能構成)
図7は、本実施形態に係る空き家予測モデル生成部715、716の機能構成を示すブロック図である。なお、図7において、図6と同様の入力データについては説明を省略する。また、本実施形態の情報処理装置における他の構成要素は図3Aと同様である。
【0052】
中長期的空き家予測モデル生成部715は、学習モデル751を有し、学習モデル751は空間的自己相関部752を有する。空間的自己相関部752は、家屋間のあるいは地域間における空き家発生の地域的な相互作用を表す空間的自己相関を算出して、空き家予測に反映させる。また、短期的空き家予測モデル生成部716は、学習モデル761を有し、学習モデル761は空間的自己相関部762を有する。空間的自己相関部762は、家屋間のあるいは地域間における空き家発生の地域的な相互作用を表す空間的自己相関を算出して、空き家予測に反映させる。
【0053】
例えば、ある地域における空き家率が上昇すると、隣の地域においても空き家率の上昇による生活環境の悪化の影響を受けて空き家が増加する(転出が増加する)などの相関がある。一方、ある地域における空き家率が下降すると、隣の地域においても空き家率の下降による生活環境の向上の影響を受けて空き家が減少する(転入が増加する)などの相関がある。家屋単位でも同様の傾向がある。なお、空間的自己相関については既知であるので詳説は省略する。
【0054】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を示すことができる。さらに、空き家発生の地域的な相互作用を表す空間的自己相関を用いて空き家予測を行うことによって、住民感情が考慮されたより正確な空き家予測を提供できる。
【0055】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態ないし第4実施形態と比べると、上記実施形態による空き家年代予測を用いて、インフラのダウンサイジングを行うべき地域および年代を提案する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0056】
<情報処理装置の処理概要>
図8Aおよび図8Bは、本実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。なお、図8Aにおいて、図2Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0057】
図8Aは、第1実施形態ないし第4実施形態にように、学習モデルにより空き家予測モデルを生成して、空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップを生成した後に、情報処理装置が、さらに、空き家対策の処理を行うことを示している。
【0058】
情報処理装置が、生成した空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップを用いた種々の表示803を行うことによって、自治体向けには、事前空き家・相続支援対策策定、施策効果測定などが実現できる。また、自治体およびインフラ企業向けには、都市計画・施設再配置、公共工事の優先順位決定、水道・道路更新判断、分散型インフラ導入効果の判断、凍結対策地域の特定などが実現できる。例えば、空き家に関連して実施した施策データ801に対応する、空き家予測モデルによる空き家予測の結果から施策が与えた影響を評価することができる。
【0059】
図8Bは、図8Aにおける「水道・道路更新判断」に含まれる給水更新判断に関連する、空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップを用いた表示画面810を示す。表示画面810には、2015年における給水区域811における給水対象家屋数(23戸)と給水区域812における給水対象家屋数(15戸)とが表示されている。ここで、給水対象家屋数は、区域内の存在家屋数から空き家家屋数を差し引いた数である。空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップを用いて予測した2040年においては、給水区域811における給水対象家屋数(21戸)と給水区域812における給水対象家屋数(3戸)とが表示されている。
【0060】
この表示画面810から、2040年に向けて、給水区域811は給水継続対象区域として、給水区域812は給水変更対象区域として、給水計画が策定される。なお、給水計画には、給水区域812からの退出支援なども含まれる。
【0061】
<情報処理装置の機能構成>
図9は、本実施形態に係る情報処理装置900の機能構成を示すブロック図である。なお、図9において、図3と同様の構成要素である空き家予測部310についてはその詳細な構成を省略し、また、他の図3と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0062】
情報処理装置900は、給水情報取得部901と、給水計画生成部902と、給水計画画像生成部903と、さらに備える。給水情報取得部901は、上下水道管の埋設を含むに給水に関する情報を自治体保有データベース330から取得する。給水計画生成部902は、給水計画生成テーブル921を有し、空き家予測部310からの空き家年代予測と給水情報とに基づいて、給水の継続、削減、中止を含む給水計画の策定支援を生成する。給水計画画像生成部903は、給水計画生成部902が生成した給水計画を地図上に重ね合わせた画像を生成して表示部210に表示し、給水計画を提案し支援する。なお、給水情報取得部901が取得した情報は、データベース314に格納されてもよい。
【0063】
(給水計画生成テーブル)
図10は、本実施形態に係る給水計画生成テーブル921の構成を示す図である。給水計画生成テーブル921は、給水計画生成部902が給水情報と所定地域内の家屋の空き家年代予測とに基づいて、給水計画を生成して提案するために使用される。
【0064】
給水計画生成テーブル921は、地域ID1001に対応付けて、地域に含まれる家屋ID1002を記憶する。そして、各家屋ID1002に対応付けて空き家年代予測を記憶する。各家屋ID1002の空き家年代予測から求めた、各地域ID1001に対応する地域空き家率年代予測1004を記憶する。そして、地域空き家率年代予測1004と給水情報1005とを参照して生成された、給水計画1006を記憶する。給水計画1006は、給水継続と給水変更(停止)とを含む。
【0065】
<情報処理装置の処理手順>
図11は、本実施形態に係る情報処理装置900の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5AのCPU510がRAM540を用いて実行し、図9の機能要素を実現する。また、図11において、図5Bと同様のステップであるステップS500の詳細は省略する。
【0066】
情報処理装置900は、ステップS1101において、ユーザから給水計画の生成を指示されたか否かを判定する。給水計画の生成を指示された場合、情報処理装置900は、ステップS1103において、自治体保有データベース330から給水状態(上下水道管の埋設など)を取得する。情報処理装置900は、ステップS1105において、予測された家屋毎の空き家年代予測を取得する。情報処理装置900は、ステップS1107において、家屋毎の空き家年代予測らか地域毎の空き家率年代予測を算出する。情報処理装置900は、ステップS1109において、給水計画生成テーブル921を用いて、地域毎の空き家率年代予測に基づいて給水継続、給水調整停止を含む給水計画支援データを生成する。情報処理装置900は、ステップS1111において、地図上に、給水計画支援データを重ね合わせた画像を生成する。そして、情報処理装置900は、ステップS1113において、重ね合わせた画像の表示部210への表示を指示する。
【0067】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を用いて、インフラ(水道設備や電気設備、ガス設備、道路整備など)のダウンサイジングを行うべき地域および年代を提案することができる。
【0068】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第5実施形態と比べると、上記実施形態による空き家年代予測を用いて、地域の属性および住民の属性に対応するまちづくりを提案する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
<情報処理装置の処理概要>
図12Aは、本実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。情報処理装置は、生成した空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップと、地域の特性とに基づいて、地域計画を作成して表示画面1210に表示する。地域の特性としては、病院圏1211、学校圏1212、経済圏1213、農林圏1214が含まれる。例えば、病院周囲の病院圏1211では高齢者世帯の居住を優先する。学校周囲の学校圏1212では子育て世帯の居住を優先する。商店とオフィスとが集まる経済圏1213では商店やオフィスのインフラ整備と公共空間化を目指す。農林業が中心の農林圏1214では自立世帯の居住、インフラの削減や撤去、公共空間化を目指す。
【0070】
生成した空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップを参照しながら、例えば、世帯の年齢とライフイベントとに対応して、転居や転出、転入の支援を行う。ライフイベントには、結婚、就職、退職、出産などが含まれる。
【0071】
図12Bは、本実施形態に係る情報処理装置の他の処理概要を示す図である。情報処理装置は、生成した空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップと、各家屋の救急病院からの距離(救急車による搬送時間に対応)とに基づいて、緊急病院から高齢者居住家屋の搬送時間を予測して表示画面1220に表示する。この搬送時間が30分以内の距離になるように、空き家予測に基づいた居住計画をする。
【0072】
<情報処理装置の機能構成>
図13は、本実施形態に係る情報処理装置1300の機能構成を示すブロック図である。なお、図13において、図3と同様の構成要素である空き家予測部310についてはその詳細な構成を省略し、また、他の図3と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0073】
情報処理装置1300は、地域情報取得部1301と、地域計画生成部1302と、地域計画画像生成部1303と、さらに備える。地域情報取得部1301は、地域の特性に関する情報を自治体保有データベース330から取得する。地域計画生成部1302は、地域計画生成テーブル1321を有し、空き家予測部310からの空き家年代予測と地域情報とに基づいて、実施する地域計画の策定支援を生成する。地域計画画像生成部1303は、地域計画生成部1302が生成した地域計画を地図上に重ね合わせた画像を生成して表示部210に表示し、地域計画を提案し支援する。なお、地域情報取得部1301が取得した情報は、データベース314に格納されてもよい。
【0074】
(地域計画生成テーブル)
図14は、本実施形態に係る地域計画生成テーブル1321の構成を示す図である。地域計画生成テーブル1321は、地域計画生成部1302が地域情報と空き家年代予測とに基づいて、地域計画を生成して提案するために使用される。
【0075】
地域計画生成テーブル1321は、地域の特性である地域圏1401と地域情報1402とに対応付けて、地域圏に含まれる家屋ID1403を記憶する。地域圏1401には、高齢者世帯の居住を優先する病院圏、子育て世帯の居住を優先する学校圏、商店やオフィスのインフラ整備と公共空間化を目指す経済圏、自立世帯の居住、インフラの削減や撤去、公共空間化を目指す農林圏などが含まれる。そして、各地域圏1401に存在する家屋ID1403を記憶する。各家屋ID1403に対応して、居住世帯の属性である世帯特性1404と、予測された空き家年代予測1405と、病院からの距離情報1406と、ライフイベント1407と、を記憶する。そして、各地域圏1401、世帯特性1404、空き家年代予測1405、ライフイベント1407を考慮した、空き家対策としての地域計画1408を記憶する。地域計画1408としては、例えば、居住世帯の移住を課題とする場合には、入居支援あるいは転出支援が含まれる。なお、世帯特性1404には年齢や子供の有無、世帯構成などが含まれ、ライフイベント1407としては就職、退職、結婚、出産などが含まれる。
【0076】
<情報処理装置の処理手順>
図15は、本実施形態に係る情報処理装置1300の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5AのCPU510がRAM540を用いて実行し、図13の機能要素を実現する。また、図15において、図5Bと同様のステップであるステップS500の詳細は省略する。
【0077】
情報処理装置1300は、ステップS1501において、ユーザから地域計画の生成を指示されたか否かを判定する。地域計画の生成を指示された場合、情報処理装置1300は、ステップS1503において、自治体保有データベース330から地域状態データ(地域圏データ)を取得する。情報処理装置1300は、ステップS1505において、自治体保有データベース330の家屋位置データや地図データから家屋毎の病院からの距離情報を取得する。情報処理装置1300は、ステップS1507において、家屋毎の空き家年代予測を取得する。情報処理装置1300は、ステップS1909において、地域計画生成テーブル1321を用いて、地域の特性である地域圏、世帯特性およびライフイベントなどに対応して地域計画支援データを生成する。情報処理装置1300は、ステップS1511において、地図上に、地域計画支援データを重ね合わせた画像を生成する。そして、情報処理装置1300は、ステップS1513において、重ね合わせた画像の表示部210への表示を指示する。
【0078】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を用いて、地域の特性および住民世帯の特性に対応するまちづくりを提案することができる。
【0079】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第6実施形態と比べると、上記実施形態による空き家年代予測を用いて、空き家に関連する施策を評価する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0080】
<情報処理装置の処理概要>
図16は、本実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。情報処理装置は、空き家関連施策の1つである啓蒙資料の送付について、送付なしから送付4回まで効果として、生成した空き家年代予測への影響を表示画面1610に表示する。表示画面1610からは、啓蒙資料の送付の回数が、空き家年代予測に対する施策効果として現れていることが判断できる。
【0081】
<情報処理装置の機能構成>
図17は、本実施形態に係る情報処理装置1700の機能構成を示すブロック図である。なお、図17において、図3と同様の構成要素である空き家予測部310についてはその詳細な構成を省略し、また、他の図3と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0082】
情報処理装置1700は、施策情報取得部1701と、施策評価部1702と、施策評価画像生成部1703と、さらに備える。施策情報取得部1701は、実施される施策情報を自治体保有データベース330から取得する。施策評価部1702は、施策評価テーブル1721を有し、空き家予測部310からの空き家年代予測と実施した施策情報とに基づいて、実施した施策を評価する。施策評価画像生成部1703は、施策評価部1702の施策評価結果を地図上に重ね合わせた画像を生成して表示部210に表示し、施策評価を今後の施策実施に反映させる。なお、施策情報取得部1701が取得した情報は、データベース314に格納されてもよい。
【0083】
(施策評価テーブル)
図18は、本実施形態に係る施策評価テーブル1721の構成を示す図である。施策評価テーブル1721は、施策評価部1702が実施した施策を評価して施策を提案するために使用される。
【0084】
施策評価テーブル1721は、実施した施策1801に対応つけて、施策対象の家屋ID1802を記憶する。そして、家屋ID1802に対応付けて、施策実施前の空き家年代予測1803と、施策実施後の空き家年代予測1803とを記憶する。さらに、実施した施策1801に対応つけて、実施効果1804と提案施策1805とを記憶する。なお、実施した施策1801としては、啓蒙資料の送付、相談窓口への訪問回数、イベント開催、職員による電話対応回数、などが含まれる。また、施策実施後の空き家年代予測1803としては、例えば、啓蒙資料の送付であれば1回の送付(施策1)、…、4回の送付(施策N)が含まれる。
【0085】
<情報処理装置の処理手順>
図19は、本実施形態に係る情報処理装置1700の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5AのCPU510がRAM540を用いて実行し、図17の機能要素を実現する。また、図19において、図5Bと同様のステップであるステップS500の詳細は省略する。
【0086】
情報処理装置1700は、ステップS1901において、ユーザから実施した施策の評価を指示されたか否かを判定する。施策の評価を指示された場合、情報処理装置1700は、ステップS1903において、自治体保有データベース330から実施した施策情報を取得する。情報処理装置1700は、ステップS1905において、施策実施後の空き家年代予測処理を実行する。なお、空き家年代予測処理はステップS500と同様であるので、重複する説明を省略する。情報処理装置1700は、ステップS1907において、条件の異なる施策(例えば、啓蒙資料の送付の実施回数の違いなど)があるか否かを判定する。条件の異なる施策があれば、情報処理装置1700は、ステップS1905に戻って、空き家年代予測処理を繰り返す。条件の異なる施策がなければ、情報処理装置1700は、ステップS1909において施策評価テーブル1721を用いて施策実施前と実施後との空き家年代予測の表示画像を生成する。そして、情報処理装置1700は、ステップS1911において、生成された画像の表示部210への表示を指示する。
【0087】
本実施形態によれば、将来空き家になるという予測結果を用いて、空き家に関連する施策を評価することができる。
【0088】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第7実施形態と比べると、上記実施形態による空き家年代予測を用いて、給水管凍結による破裂漏水に対する対策を提案する点で異なる。を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0089】
<情報処理装置の処理概要>
図20は、本実施形態に係る情報処理装置の処理概要を示す図である。情報処理装置は、生成した空き家年代予測あるいは空き家年代予測ヒートマップ2011と、気象観測データ2012とに基づいて、地域あるいは家屋における凍結を予測し、凍結予測2013を表示画面2010に表示する。表示画面2010に基づいて、水道管凍結による破裂漏水が発生しないようあらかじめ対策を行うことができる。
【0090】
<情報処理装置の機能構成>
図21は、本実施形態に係る情報処理装置2100の機能構成を示すブロック図である。なお、図21において、図3と同様の構成要素である空き家予測部310についてはその詳細な構成を省略し、また、他の図3と同様の構成要素には同じ参照番号を付して、説明を省略する。
【0091】
情報処理装置2100は、水道管情報取得部2101と、気象情報取得部2102と、水道管凍結予測部2103と、凍結予測画像生成部2104と、さらに備える。水道管情報取得部2101は、水道管の配管データを自治体保有データベース330から取得する。気象情報取得部2102は、気象観測データあるいは予測データ、特に気温予測を気象庁や民間保有データベース340から取得する。水道管凍結予測部2103は、凍結予測テーブル2131を有し、空き家予測部310からの空き家情報や空き家予測と、水道管の配管データおよび気象観測データあるいは予測データ、特に気温予測とに基づいて、水道管の凍結を予測する。なお、凍結予測は警報のための短期的なものであっても、水道管の設置計画につながる中長期的なものであってもよい。凍結予測画像生成部2104は、水道管凍結予測部2103の凍結予測結果を地図上に重ね合わせた画像を生成して表示部210に表示し、給水管凍結による破裂漏水に対する対策を提案する提案部として機能する。なお、水道管情報取得部2101や気象情報取得部2102が取得した情報は、データベース314に格納されてもよい。
【0092】
(凍結予測テーブル)
図22は、本実施形態に係る凍結予測テーブル2131の構成を示す図である。凍結予測テーブル2131は、水道管凍結予測部2103が水道管の凍結を予測しその対策を提案するために使用される。
【0093】
凍結予測テーブル2131は、家屋ID2201に対応付けて、空き家情報2202と、水道願情報2203と、気温予測を含む気象情報2204と、凍結予測2205と、対策内容2206と、を記憶する。空き家情報2202には、空き家調査結果、自己申告空き家情報、空き家予測が含まれる。
【0094】
<情報処理装置の処理手順>
図23は、本実施形態に係る情報処理装置2100の処理手順を示すフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5AのCPU510がRAM540を用いて実行し、図21の機能要素を実現する。また、図23において、図5Bと同様のステップであるステップS500の詳細は省略する。
【0095】
情報処理装置2100は、ステップS2301において、ユーザから水道管の凍結予測を指示されたか否かを判定する。水道管の凍結予測を指示された場合、情報処理装置2100は、ステップS2303において、水道管情報を取得する。情報処理装置2100は、ステップS2305において、気象情報(予測気温)を取得する。情報処理装置2100は、ステップS2307において、家屋毎の空き家情報および/または空き家予測を取得する。情報処理装置2100は、ステップS2309において、凍結予測テーブル2131を用いて水道管の凍結予測データを生成する。情報処理装置2100は、ステップS2311において、地図上に、水道管の凍結予測データおよび/または対策提案を重ね合わせた画像を生成する。そして、情報処理装置2100は、ステップS2313において、重ね合わせた画像の表示部210への表示を指示する。
【0096】
本実施形態によれば、空き家情報および空き家予測を用いて、給水管凍結による破裂漏水に対する対策を提案することができる。
【0097】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係る情報処理装置について説明する。本実施形態に係る情報処理装置は、上記第2実施形態および第8実施形態と比べると、中長期的空き家予測と短期的空き家予測とを1つの学習モデルで一体に行う点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0098】
<情報処理装置の機能構成>
図24は、本実施形態に係る情報処理装置2400の機能構成を示すブロック図である。なお、図24において、図3Aと同様の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省略する。
【0099】
情報処理装置2400は、中長期的/短期的空き家予測モデル生成部2415を備える。中長期的/短期的空き家予測モデル生成部2415は、共通の入力データと教師データとに基づいて、中長期的空き家予測および短期的空き家予測を行う。例えば、入力データや教師データに重み付けをして、中長期的空き家予測および短期的空き家予測それぞれの空き家予測に適切なデータを用いるなどにより実現してもよい。
【0100】
本実施形態によれば、短期的空き家予測から中長期的空き家予測への移行をよりスムーズに行うことができる。
【0101】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本実施形態では、空き家予測を、学習モデルを用いて行ったが、学習モデルを用いて予測が可能な、例えば災害などにおける復旧や施策にも適用できて同様の効果を奏する。
【0102】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるサーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24