IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 明泰科技股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-多周波アンテナ 図1
  • 特開-多周波アンテナ 図2
  • 特開-多周波アンテナ 図3
  • 特開-多周波アンテナ 図4
  • 特開-多周波アンテナ 図5
  • 特開-多周波アンテナ 図6
  • 特開-多周波アンテナ 図7
  • 特開-多周波アンテナ 図8
  • 特開-多周波アンテナ 図9
  • 特開-多周波アンテナ 図10
  • 特開-多周波アンテナ 図11
  • 特開-多周波アンテナ 図12
  • 特開-多周波アンテナ 図13
  • 特開-多周波アンテナ 図14
  • 特開-多周波アンテナ 図15
  • 特開-多周波アンテナ 図16
  • 特開-多周波アンテナ 図17
  • 特開-多周波アンテナ 図18
  • 特開-多周波アンテナ 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018829
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】多周波アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240201BHJP
   H01Q 5/364 20150101ALI20240201BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q5/364
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148826
(22)【出願日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】111128448
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504025778
【氏名又は名称】明泰科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳冠廷
(72)【発明者】
【氏名】林光偉
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA03
5J045DA08
5J045LA01
5J045NA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】多周波数帯域の無線通信製品に適用可能な多周波アンテナを提供する。
【解決手段】多周波アンテナ1は、金属板材製の第一放射体10と、第一放射体10に電気的に接続され、信号のフィード用であるフィード部材12と、第一放射体10に電気的に接続される第一接地部材14と、第一放射体10の外周を取り囲むとともに、第一放射体10との間に間隔が空けられた金属板材製の第二放射体16と、第一放射体10と第二放射体16とを電気的に接続するブリッジ部材18と、第二放射体16に電気的に接続される第二接地部材20と、を含む。これによって、多周波アンテナ1は、複数の周波数帯域の信号伝送に好適に用いられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多周波アンテナであって、
金属板材製の第一放射体と、
前記第一放射体に電気的に接続され、信号のフィード用であるフィード部材と、
前記第一放射体に電気的に接続され、前記第一放射体の接地用である第一接地部材と、
前記第一放射体の外周の一部を取り囲むとともに、前記第一放射体との間に間隔が空けられた金属板材製の第二放射体と、
前記第一放射体と前記第二放射体とを電気的に接続するブリッジ部材と、
前記第二放射体に電気的に接続され、前記第二放射体の接地用である第二接地部材とを含む、多周波アンテナ。
【請求項2】
前記第二放射体は、収容溝を有し、前記収容溝は、開放側及び閉鎖側を有し、前記第一放射体の少なくとも一部は、前記収容溝内に位置する、請求項1に記載の多周波アンテナ。
【請求項3】
前記収容溝の幅は、前記開放側から前記閉鎖側に向かって次第に縮小され、前記第一放射体の幅は、前記開放側から前記閉鎖側に向かって次第に縮小される、請求項2に記載の多周波アンテナ。
【請求項4】
前記第一放射体は、前記収容溝の開放側から突出する縁を有する、請求項2に記載の多周波アンテナ。
【請求項5】
前記第一放射体は、背向する第一表面及び第二表面を有し、前記第二放射体は、背向する第三表面及び第四表面を有し、前記第一表面と前記第三表面とは、同じ方向に向いており、前記フィード部材及び前記第一接地部材は、前記第二表面の一方側に位置するとともに前記第二表面に接続され、前記第二接地部材は、前記第四表面の一方側に位置するとともに前記第四表面に接続される、請求項1に記載の多周波アンテナ。
【請求項6】
前記ブリッジ部材は、前記第二表面及び前記第四表面の一方側に位置するとともに、前記ブリッジ部材の両端は、前記第二表面及び前記第四表面にそれぞれ接続される、請求項5に記載の多周波アンテナ。
【請求項7】
前記ブリッジ部材は、2つの縦方向セクション及び1つの横方向セクションを有し、一方の前記縦方向セクションの一端は、前記第二表面に接続され、他方の前記縦方向セクションの一端は、前記第四表面に接続され、前記横方向セクションの両端は、前記2つの縦方向セクションの他端にそれぞれ接続される、請求項6に記載の多周波アンテナ。
【請求項8】
前記第二表面及び前記第四表面から離間したキャリアプレートを含み、前記第一接地部材は、前記キャリアプレートと前記第二表面との間に接続され、前記第二接地部材は、前記キャリアプレートと前記第四表面との間に接続される、請求項5に記載の多周波アンテナ。
【請求項9】
前記第一放射体及び前記第二放射体は、それぞれ前記第一接地部材及び前記第二接地部材によって前記キャリアプレートに支持される、請求項8に記載の多周波アンテナ。
【請求項10】
前記第二放射体は、第一アーム及び第二アームを含み、前記第一アーム及び前記第二アームは、前記第一放射体の対向する両側にそれぞれ位置し、前記ブリッジ部材の一端は、前記第一アームに接続され、前記第二接地部材は、前記第二アームに接続される、請求項5に記載の多周波アンテナ。
【請求項11】
前記第二放射体の前記第一アームと前記第二アームとの間に収容溝が形成され、前記第一放射体は、2つの側辺を有し、前記2つの側辺は、それぞれ前記第一アーム及び前記第二アームに離間して平行である、請求項10に記載の多周波アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属アンテナに関し、特に、複数の周波数帯域が適用される多周波アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、無線信号の応用もますます増えており、無線通信の製品を例とすると、既存の無線通信製品、例えば携帯電話、タブレットPC、ノートPC等のWiFi無線通信装置の殆どは、金属アンテナを用いて無線信号を送受信するものであり、金属アンテナに最も広く使用される周波数帯域は、2.4GHz又は5GHzの周波数帯域であるが、WiFi 6E製品の発展により、更に6GHZの周波数帯域の応用が多くなる。
【0003】
WiFi 6E無線通信製品の金属アンテナは、平面逆Fアンテナ又はモノポールアンテナを用いるものが多く、その適用周波数帯域は、単一の周波数帯域であるため、WiFi 6E無線通信製品には、複数の周波数帯域が適用されるように複数のアンテナが必要となる。その結果、複数のアンテナの占有体積が増加するため、無線通信製品全体の体積も増加する。
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明の目的は、多周波数帯域の無線通信製品に適用可能な多周波アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による多周波アンテナは、金属板材製の第一放射体と、前記第一放射体に電気的に接続され、信号のフィード用であるフィード部材と、前記第一放射体に電気的に接続され、前記第一放射体の接地用である第一接地部材と、前記第一放射体の外周の一部を取り囲むとともに、前記第一放射体との間に間隔が空けられた金属板材製の第二放射体と、前記第一放射体と前記第二放射体とを電気的に接続するブリッジ部材と、前記第二放射体に電気的に接続され、前記第二放射体の接地用である第二接地部材とを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果としては、1つのフィード部材により信号がフィードされるようにするとともに、複数の周波数帯域の信号伝送に好適に用いられる2つの放射体が備えられており、従来の無線通信製品に複数のアンテナが必要となるという欠点は、効果的に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの斜視図である。
図2図2は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの平面図である。
図3図3は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの正面図である。
図4図4は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの背面図である。
図5図5は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの左側面図である。
図6図6は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの右側面図である。
図7図7は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの底面図である。
図8図8は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナが2~8GHzで動作する際のリターンロスの曲線図である。
図9図9は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナの別のセッティング方向の平面図である。
図10図10は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナが2.45GHzで動作する際の放射パターン図である。
図11図11は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナが5.5GHzで動作する際の放射パターン図である。
図12図12は、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナが6.5GHzで動作する際の放射パターン図である。
図13図13は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの斜視図である。
図14図14は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの平面図である。
図15図15は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの正面図である。
図16図16は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの背面図である。
図17図17は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの左側面図である。
図18図18は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの右側面図である。
図19図19は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明できるように、好ましい実施例を掲げ、図面を参照して以下の通りに詳しく説明する。図1図7に示すように、本発明の第一好ましい実施例における多周波アンテナ1は、第一放射体10、フィード部材12、第一接地部材14、第二放射体16、ブリッジ部材18及び第二接地部材20を含む。本実施例において、前記多周波アンテナ1は、WiFi無線通信装置に適用されるものを例とし、その周波数帯域は、2GHz、5GHz、6GHz等の周波数帯域であり得る。説明の便宜上、互いに直交する第一軸方向X、第二軸方向Y及び第三軸方向Zを定義する。
【0009】
前記第一放射体10は、金属板材製であり、本実施例において、前記第一放射体10は、例えば是二等辺三角形のような三角形の金属板とされるが、これに限定されない。前記第一放射体10は、三角形の底辺である縁102を有し、前記第一放射体10は、第一軸方向Xにおける幅が、前記縁102から第二軸方向Yに沿って他端に向かって次第に縮小される。前記第一放射体10は、背向する第一表面10a及び第二表面10bを第三軸方向Zに有する。前記第一表面10aは、多周波アンテナ1の外側に向いている。前記第一放射体10は、前記第二軸方向Yにおける長さLが約16.77mmであり、縁102の幅Wが約8.1mmである。
【0010】
前記フィード部材12は、前記第一放射体10に電気的に接続され、信号のフィード用である。本実施例において、前記フィード部材12は、金属板とされるとともに第二表面10bの一方側に位置し、前記フィード部材12は、一端が前記第二表面10bに接続され、他端が信号のフィード用とされる。前記フィード部材12は、幅方向が第一軸方向Xに沿って延在し、長さ方向が第三軸方向Zに沿って延在する。
【0011】
前記第一接地部材14は、前記第一放射体10に電気的に接続され、前記第一放射体10の接地用である。本実施例において、前記第一接地部材14は、金属板とされるとともに第二表面10bの一方側に位置し、つまり、前記第一接地部材14及び前記フィード部材12は、何れも前記第二表面10bの傍らに位置する。前記第一接地部材14の一端は、前記第二表面10bに接続される。前記第一接地部材14と前記フィード部材12とは、第二軸方向Yに距離Dだけ離れており、Dは約10.2mmであり、前記第一接地部材14は、幅方向が第一軸方向Xに沿って延在し、長さ方向が第三軸方向Zに沿って延在する。
【0012】
前記第二放射体16は、金属板材製であるとともに、前記第二放射体16は、前記第一放射体10の外周の一部を取り込んでいる。前記第二放射体16の内周縁と、前記第一放射体10の外周縁との間に間隔が空けられている。本実施例において、前記第二放射体16は、第二軸方向Yに沿って凹んで収容溝162が形成され、前記収容溝162は、対向する開放側162a及び閉鎖側162bを前記第二軸方向Yに有し、前記収容溝162は、前記第一軸方向Xにおける幅が、前記開放側162aから前記閉鎖側162bに向かって次第に縮小される。前記第一放射体10の少なくとも一部は、前記縁102が前記開放側162aに対応するように、前記収容溝162内に位置するとともに、前記第一放射体10の幅は、前記開放側162aから前記閉鎖側162bに向かって次第に縮小される。より具体的に、前記第二放射体16は、第一アーム164及び第二アーム166を含み、前記第一アーム164及び前記第二アーム166は、前記第一軸方向Xにそれぞれ前記第一放射体10の対向する両側に位置するとともにV字形をなし、前記第一アーム164と前記第二アーム166との間の空間により前記収容溝162が形成される。前記第一アーム164及び前記第二アーム166は、第一放射体10の一部を囲むとともに、前記第一アーム164及び前記第二アーム166は、それぞれ前記第一放射体10の両側辺に離間して平行である。前記第一アーム164の一端と前記第二アーム166の一端とが接続されて前記収容溝162の閉鎖側162aが形成され、前記第一アーム164の他端と前記第二アーム166の他端との間に前記収容溝162の開放側162aが形成される。前記第一放射体10の縁102は、第二軸方向Yにおいて、前記第一アーム164の他端及び前記第二アーム166の他端と面一であるが、これに限定されず、開放側162aの外にやや突出するか、又は収容溝162内にやや引っ込んでもよい。前記第一放射体10の縁102の第一軸方向Xにおける両端は、前記第一アーム164及び第二アーム166との間の距離D1が約1.52mmであり、距離D1は、前記第二放射体16の内周縁と前記第一放射体10の外周縁との間の間隔に同等である。
【0013】
前記第二放射体16は、背向する第三表面16a及び第四表面16bを第三軸方向Zに有する。前記第三表面16aは、多周波アンテナ1の外側に向いており、つまり、前記第二放射体16の第三表面16aと前記第一放射体10の第一表面10aとは、同じ方向に向いている。前記第二放射体16は、前記第二軸方向Yにおける長さL1が約25.5mmである。前記第二放射体16は、前記第二軸方向Yにおける一端の幅W1が約21.5mmであり、他端の幅W2が約7.8mmである。
【0014】
前記ブリッジ部材18は、共振電流を伝導するために、前記第一放射体10と前記第二放射体16とを電気的に接続する。本実施例において、前記ブリッジ部材18は、前記第二表面10b及び前記第四表面16bの一方側に位置するとともに、前記ブリッジ部材18の両端は、前記第二表面10b及び前記第四表面16bにそれぞれ接続され、これによって、前記第一放射体10及び前記第二放射体16による水平面(X-Y平面)上での放射が前記ブリッジ部材18によって影響されることを回避できる。より具体的に、前記ブリッジ部材18は、2つの縦方向セクション182、184及び1つの横方向セクション186を有し、各縦方向セクション182、184は、第三軸方向Zに沿って延在し、前記ブリッジ部材18における一方の前記縦方向セクション182の一端は、前記第二軸方向Yにおいて、前記フィード部材12と前記第一放射体10の縁との間に位置し、他方の前記縦方向セクション184の一端は、前記第一アーム164に接続され、両縦方向セクション182、184間の第一軸方向Xにおける距離D2は、約5mmである。前記横方向セクション186は、第一軸方向Xに沿って延在し、前記横方向セクション186の両端は、前記2つの縦方向セクション182、184の他端にそれぞれ接続される。
【0015】
前記第二接地部材20は、前記第二放射体16に電気的に接続され、前記第二放射体16の接地用である。本実施例において、前記第二接地部材20は、金属板とされるとともに前記第二放射体16の第四表面16bの一方側に位置し、前記第二接地部材20の一端は、前記第二放射体16の第二アーム166上の第四表面16bに接続されるとともに、前記第二軸方向Yにおいて、前記第二接地部材20は、前記第一接地部材14と前記フィード部材12との間に位置する。前記第二接地部材20及び前記第一接地部材14は、接地に電気的に接続される。
【0016】
本実施例において、前記多周波アンテナ1は、前記第一接地部材14及び前記第二接地部材20の接地用に供されるキャリアプレート22を更に含む。前記キャリアプレート22は、例えば金属板とされるが、これに限定されず、プリント回路基板であってもよい。前記キャリアプレート22の一方の表面22aは、前記第三軸方向Zにおいて、前記第二表面10b及び前記第四表面16bから離間しており、前記キャリアプレート22の他方の表面は、回路基板24に結合される。前記第一接地部材14は、前記キャリアプレート22と前記第一放射体10の第二表面10bとの間に接続され、前記第二接地部材20は、前記キャリアプレート22と前記第二放射体16の第二アーム166の第四表面16bとの間に接続される。前記キャリアプレート22の表面22aから、前記第二表面10b及び前記第四表面16bまでの前記第三軸方向Zにおける距離D3は、約4.5~5mmであり、本実施例において、D3が約4.6mmとされる。
【0017】
前記第一接地部材14により前記第一放射体10が前記キャリアプレート22上に架設され、前記第二接地部材20により前記第二放射体16が前記キャリアプレート22上に架設され、つまり、前記第一放射体10は、前記第一接地部材14によってのみ前記キャリアプレート22上に支持され、前記第二放射体16は、前記第二接地部材20によってのみ前記キャリアプレート22上に支持され、前記第一放射体10及び前記第二放射体16は、他の支持部品を介して前記キャリアプレート22上に直接接続されていない。
【0018】
前記フィード部材12により前記第一放射体10を経由して前記第一接地部材14に至る高周波(4.5GHz以上)の共振電流経路が形成され、前記フィード部材12により前記ブリッジ部材18、前記第一アーム164、前記第二アーム166を経由して前記第二接地部材20に至る低周波(2~3GHz)の共振電流経路が形成される。
【0019】
図8は、前記多周波アンテナ1が2~8GHzの周波数帯域で動作する際のS11リターンロス(return loss)の曲線図を示しており、2.4GHzの周波数帯域には、共振モードがあるのに対して、5GHz及び6GHzの周波数帯域には、帯域幅が約38%の広帯域共振モードがある。図8から分かるように、前記多周波アンテナ1がカバーしている周波数帯域は、WiFi 6E及びWiFi 7の2.4~2.5GHz、5.15~5.85GHz及び5.925~7.125GHzの3つの周波数帯域をサポート可能である。
【0020】
図9図12を参照されたい。図10図12は、それぞれ図9のセッティング方向に対応して2.45GHz、5.5GHz及び6.5GHzで動作する際の水平面の放射パターン図である。図10図12から分かるように、前記多周波アンテナ1は、2.45GHz、5.5GHz及び6.5GHzの3つの周波数帯域の何れでも、無指向性(omni-directional)の特性を持っており、様々な無線通信製品に適用可能である。
【0021】
図13図19は、本発明の第二好ましい実施例における多周波アンテナ2を示しており、多周波アンテナ2は、第一実施例とほぼ同じ結構を有し、同様に第一放射体30、フィード部材32、第一接地部材34、第二放射体36、ブリッジ部材38、第二接地部材40及びキャリアプレート42を含むが、その相違としては、前記第一放射体30が、長い矩形の金属板とされ、前記第一放射体30の第二軸方向Yにおける幅が前記フィード部材32と同じである点にある。前記第二放射体36は、第一アーム362、第二アーム364及び接続セクション366を含み、前記第一アーム362と前記第二アーム364とは、平行であるとともに第二軸方向Yに沿って延在し、前記接続セクション366は、第一軸方向Xに沿って延在するとともに、両端が前記第一アーム362及び前記第二アーム364にそれぞれ接続され、これによって、前記第二放射体36は、3つの囲辺及び1つの開放側368aを持つ形状とされる。前記ブリッジ部材38の一端は、前記第二軸方向Yにおいて、前記フィード部材32と前記第一接地部材34との間であって、フィード部材32の近くに位置する。前記第二接地部材40は、前記第二アーム364における前記接続セクション366に近い位置に接続される。前記第一放射体30の縁302は、前記第二放射体36の収容溝368の開放側368aから突出しており、突出量が0.5mmとされるが、これに限定されない。
【0022】
本実施例において、L=17.225mm、W=3mm、D=9.95mm、L1=23.75mm、W1=21mm、W2=21mm、D1=4mm、D2=6.125mm、D3=5mmとされるが、これらの寸法に限定されない。前記多周波アンテナ2は、同様に2.4~2.5GHz、5.15~5.85GHz及び5.925~7.125GHzの3つの周波数帯域に適用可能であるとともに、無指向性の特性を持つことになる。
【0023】
上記の各実施例における第二放射体は、V字形の金属板、3つの囲辺付きの形状の金属板の他に、第一放射体の外周を取り囲む金属板として、収容溝付きの半円、楕円等の形状の金属板を有してもよい。
【0024】
上記によれば、本発明に係る多周波アンテナは、1つのフィード部材により信号がフィードされるようにするとともに、複数の周波数帯域の信号伝送に好適に用いられる2つの放射体が備えられており、2GHz、5GHz、6GHz、ひいては7GHzといった複数の周波数帯域に適用可能であるとともに、良好な無指向性の特性を持っており、様々な無線通信製品に適用可能である。従来の無線通信製品に複数のアンテナが必要となるという欠点は、効果的に改善される。
【0025】
上述したのは、本発明の実施可能な好ましい実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲を利用してなされた同等のバリエーションは、何れも本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0026】
1: 多周波アンテナ
10: 第一放射体
10a: 第一表面
10b: 第二表面
102: 縁
12: フィード部材
14: 第一接地部材
16: 第二放射体
16a: 第三表面
16b: 第四表面
162: 収容溝
162a: 開放側
162b: 閉鎖側
164: 第一アーム
166: 第二アーム
18: ブリッジ部材
182: 縦方向セクション
184: 縦方向セクション
186: 横方向セクション
20: 第二接地部材
22: キャリアプレート
22a: 表面
24: 回路基板
2: 多周波アンテナ
30: 第一放射体
302: 縁
32: フィード部材
34: 第一接地部材
36: 第二放射体
362: 第一アーム
364: 第二アーム
366: 接続セクション
368: 収容溝
368a: 開放側
38: ブリッジ部材
40: 第二接地部材
42: キャリアプレート
D、D1、D2:距離
L、L1: 長さ
W、W1、W2:幅
X: 第一軸方向
Y: 第二軸方向
Z: 第三軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多周波アンテナであって、
金属板材製の第一放射体と、
前記第一放射体に電気的に接続され、信号のフィード用であるフィード部材と、
前記第一放射体に電気的に接続され、前記第一放射体の接地用である第一接地部材と、
前記第一放射体の外周の一部を取り囲むとともに、前記第一放射体との間に間隔が空けられた金属板材製の第二放射体と、
前記第一放射体と前記第二放射体とを電気的に接続するブリッジ部材と、
前記第二放射体に電気的に接続され、前記第二放射体の接地用である第二接地部材とを含み、
前記第二放射体は、収容溝を有し、前記収容溝は、開放側及び閉鎖側を有し、前記第一放射体の少なくとも一部は、前記収容溝内に位置する、
多周波アンテナ。
【請求項2】
前記収容溝の幅は、前記開放側から前記閉鎖側に向かって次第に縮小され、前記第一放射体の幅は、前記開放側から前記閉鎖側に向かって次第に縮小される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項3】
前記第一放射体は、前記収容溝の開放側から突出する縁を有する、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項4】
前記第一放射体は、背向する第一表面及び第二表面を有し、前記第二放射体は、背向する第三表面及び第四表面を有し、前記第一表面と前記第三表面とは、同じ方向に向いており、前記フィード部材及び前記第一接地部材は、前記第二表面の一方側に位置するとともに前記第二表面に接続され、前記第二接地部材は、前記第四表面の一方側に位置するとともに前記第四表面に接続される、請求項1に記載の多周波アンテナ。
【請求項5】
前記ブリッジ部材は、前記第二表面及び前記第四表面の一方側に位置するとともに、前記ブリッジ部材の両端は、前記第二表面及び前記第四表面にそれぞれ接続される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項6】
前記ブリッジ部材は、2つの縦方向セクション及び1つの横方向セクションを有し、一方の前記縦方向セクションの一端は、前記第二表面に接続され、他方の前記縦方向セクションの一端は、前記第四表面に接続され、前記横方向セクションの両端は、前記2つの縦方向セクションの他端にそれぞれ接続される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項7】
前記第二表面及び前記第四表面から離間したキャリアプレートを含み、前記第一接地部材は、前記キャリアプレートと前記第二表面との間に接続され、前記第二接地部材は、前記キャリアプレートと前記第四表面との間に接続される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項8】
前記第一放射体及び前記第二放射体は、それぞれ前記第一接地部材及び前記第二接地部材によって前記キャリアプレートに支持される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項9】
前記第二放射体は、第一アーム及び第二アームを含み、前記第一アーム及び前記第二アームは、前記第一放射体の対向する両側にそれぞれ位置し、前記ブリッジ部材の一端は、前記第一アームに接続され、前記第二接地部材は、前記第二アームに接続される、請求項に記載の多周波アンテナ。
【請求項10】
前記第二放射体の前記第一アームと前記第二アームとの間に収容溝が形成され、前記第一放射体は、2つの側辺を有し、前記2つの側辺は、それぞれ前記第一アーム及び前記第二アームに離間して平行である、請求項に記載の多周波アンテナ。