(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018839
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】広帯域リング共振器及び広帯域リング共振器の設計システム
(51)【国際特許分類】
G02B 6/125 20060101AFI20240201BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G02B6/125
G02B6/12 341
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022167035
(22)【出願日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】111128683
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪勇智
(72)【発明者】
【氏名】呉承軒
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BD03
2H147BE15
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147EA14C
2H147FD20
(57)【要約】
【課題】広い周波数帯域にわたって高く安定した光出力の性能を発揮し、光の損失が少ない広帯域リング共振器を提供する。
【解決手段】第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.3≦W
1/W
2≦1.7の条件を満たし、W
1は前記第1の幅であり、W
2は第2の幅である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、
前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、
前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.3≦W1/W2≦1.7の条件を満たし、W1は前記第1の幅であり、W2は第2の幅である
ことを特徴とする広帯域リング共振器。
【請求項2】
前記第2の半径は式1の半径と有効屈折率の関係に基づいて、
【数1】
が得られ、
前記式1において、n
eff1は第1の有効屈折率であり、n
eff2は第2の有効屈折率であり、R
1は前記第1の半径であり、R
2は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくない
ことを特徴とする請求項1に記載の広帯域リング共振器。
【請求項3】
前記第2のカップリング部と前記第1のカップリング部はカップリング角度を有し、カップリングギャップの距離が開いており、前記第1の幅は470ナノメートルから600ナノメートルであり、
前記第2の幅は300ナノメートルから400ナノメートルであり、前記カップリングギャップは150ナノメートルから250ナノメートルであり、且つ実質的に近い前記カップリング効率の前記広帯域部が対応する入射光の波長は1280ナノメートルから1330ナノメートルである
ことを特徴とする請求項2に記載の広帯域リング共振器。
【請求項4】
シミュレーション共振器に基づいて広帯域リング共振器の配置パラメーターを得て、前記シミュレーション共振器は第1の導波路と第2の導波路を有し、前記第1の導波路は第1のカップリング部を備え、前記第2の導波路は第2のカップリング部を備え、前記第2のカップリング部と前記第1のカップリング部はカップリング角度を有し、カップリングギャップの距離が開いている広帯域リング共振器の設計システムであって、
前記カップリングギャップと、複数の導波路の幅と、複数の導波路の半径を受けるユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースに通信可能に連接されたプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
半径と有効屈折率の関係を取得し、前記半径と前記有効屈折率の関係に基づいて、前記第1のカップリング部の幅と半径に加えて前記第2のカップリング部の幅と半径を取得し、
前記カップリング角度を調整し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率を実質的に近くさせ、
前記第1のカップリング部の前記幅と前記半径、前記第2のカップリング部の前記幅と前記半径、前記カップリングギャップと前記カップリング角度における一つを調整し、前記広帯域部の前記カップリング効率を0%から100%にさせ、
前記第1のカップリング部の前記幅と前記半径、前記第2のカップリング部の前記幅と前記半径、前記カップリングギャップと前記カップリング角度の前記配置パラメーターを出力する
ことを特徴とする広帯域リング共振器の設計システム。
【請求項5】
前記プロセッサは前記配置パラメーターの一つを再度調整するために更に用いられ、0%から100%に位置する前記カップリング効率を上昇させ又は下降させることにより1%から20%にさせ、上昇させた又は下降させた前記カップリング効率、及び対応する前記配置パラメーターを出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の広帯域リング共振器の設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリング共振器(ring resonator)に関し、特に広帯域部(broadband;又はbroad wavelength band)で光を出力する性能の均一性が高いリング共振器に関する。また、本発明は広帯域リング共振器の設計システムに関し、特に上記のリング共振器の配置パラメ-タ-を得ることができる設計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リング共振器 (又はマイクロリング共振器 (micro-ring resonator, MRR) と呼ばれる。) は、高密度集積光システムにおいて非常に重要で基本的な要素である。一般に、リング共振器は閉じた導波路(閉リング)と長い直線導波路で構成されており、2つの導波路は光カップリングをさせるために近接して配置され、光子を長い直線導波路から閉リングに結合させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の閉じた導波路のサイズは集積回路と統合される場合が多く、同じウエハで高密度の光電子集積回路を実現するためには、ミクロンスケールの寸法と同程度に小さく製造することが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上述の問題に鑑みて以下の構成を備える。即ち、
第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、
前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、
前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.3≦W1/W2≦1.7の条件を満たし、W1は前記第1の幅であり、W2は第2の幅である。
【0005】
また、前記第2の半径は式1の半径と有効屈折率の関係に基づいて、
【0006】
【0007】
が得られ、
前記式1において、neff1は第1の有効屈折率であり、neff2は第2の有効屈折率であり、R1は前記第1の半径であり、R2は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくない。
【0008】
また、前記第2のカップリング部と前記第1のカップリング部はカップリング角度を有し、カップリングギャップの距離が開いており、前記第1の幅は470ナノメートルから600ナノメートルであり、
前記第2の幅は300ナノメートルから400ナノメートルであり、前記カップリングギャップは150ナノメートルから250ナノメートルであり、且つ実質的に近い前記カップリング効率の前記広帯域部が対応する入射光の波長は1280ナノメートルから1330ナノメートルである。
【0009】
また、シミュレーション共振器に基づいて広帯域リング共振器の配置パラメーターを得て、前記シミュレーション共振器は第1の導波路と第2の導波路を有し、前記第1の導波路は第1のカップリング部を備え、前記第2の導波路は第2のカップリング部を備え、前記第2のカップリング部と前記第1のカップリング部はカップリング角度を有し、カップリングギャップの距離が開いている広帯域リング共振器の設計システムであって、
前記カップリングギャップと、複数の導波路の幅と、複数の導波路の半径を受けるユーザーインターフェースと、
前記ユーザーインターフェースに通信可能に連接されたプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
半径と有効屈折率の関係を取得し、前記半径と前記有効屈折率の関係に基づいて、前記第1のカップリング部の幅と半径に加えて前記第2のカップリング部の幅と半径を取得し、
前記カップリング角度を調整し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率を実質的に近くさせ、
前記第1のカップリング部の前記幅と前記半径、前記第2のカップリング部の前記幅と前記半径、前記カップリングギャップと前記カップリング角度における一つを調整し、前記広帯域部の前記カップリング効率を0%から100%にさせ、
前記第1のカップリング部の前記幅と前記半径、前記第2のカップリング部の前記幅と前記半径、前記カップリングギャップと前記カップリング角度の前記配置パラメーターを出力する。
【0010】
また、前記プロセッサは前記配置パラメーターの一つを再度調整するために更に用いられ、0%から100%に位置する前記カップリング効率を上昇させ又は下降させることにより1%から20%にさせ、上昇させた又は下降させた前記カップリング効率、及び対応する前記配置パラメーターを出力する。
【0011】
また、本実施形態によれば、上記広帯域部に対応する入射光の波長は1250ナノメートル(nm)から1370ナノメートル(nm)である。
【0012】
また、第1の有効屈折率はfirst effective indexの意味であり、第2の有効屈折率はsecond effective indexの意味である。
【0013】
また、本実施形態において、実質的に近い前記カップリング効率は0%から85%の範囲にある。また、実質的に近いカップリング効率はカップリング角度と第1の幅の何れかを調整することにより得られる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の実施形態によれば、広帯域リング共振器及び広帯域リング共振器の設計システムを提供することができる。また、本発明によれば、広帯域リング共振器の第1の導波路と第2の導波路の配置パラメーターを上記の設計システムによって互いに実質的に一致させる(近づけさせる)ことができる。
【0015】
このため、第1の導波路と第2の導波路とは、広い周波数帯域(広帯域)においてほぼ同様の結合効率(以下、カップリング効率、coupling ratio、結合係数(coupling coefficient)ともいう。)を有することができるので、広い周波数帯域において複数の均一性の高い光を出力できる。
【0016】
このため、シミュレーションによって設計された同じ広帯域リング共振器によって、本実施形態の広帯域リング共振器は、種々の波長の入射光に適した結合(カップリング)を提供することができ、これらの異なる波長の入射光は、複数の均一性が高い光出力性能を得ることができる。
【0017】
したがって、本実施形態は、ミクロンスケールという極めて小さいデバイス製造の寸法で、広い周波数帯域にわたって高く安定した光出力の性能を発揮し、光の損失(optical loss)が少ない広帯域リング共振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態による広帯域リング共振器の上面構造を示した図である。
【
図2】
図1の広帯域リング共振器のA-A´断面図である。
【
図3】本実施形態によってシミュレートされた共振器の上面構造を示した図である。
【
図4】本実施形態による広帯域リング共振器の設計システムの概略図である。
【
図5】本実施形態による広帯域リング共振器の半径と有効屈折率との間の関係をモデル化する動作を示した図である。
【
図6A】本実施形態によるシミュレートされた共振器の異なるカップリング角度とカップリング効率との間のシミュレートされた関係を示した図である。
【
図6B】
図6Aの異なるカップリング角度と全体のカップリング効率の第1の実施形態のシミュレーションの関係を示した図である。
【
図6C】
図6Aの異なるカップリング角度と全体のカップリング効率の第2の実施形態のシミュレーションの関係を示した図である。
【
図7A】本実施形態による固定された第1の幅(W
1=500nm)で、シミュレートされた共振器の異なるカップリング角度の広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図7B】
図7Aの配置パラメーター及び特定のカップリング角度(θ=23°)配置のシミュレーション共振器の広い周波数帯域にわたるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図8A】本実施形態による固定された第1の幅(W
1=525nm)で、シミュレートされた共振器の異なるカップリング角度の広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図8B】
図8Aの配置パラメーター及び特定のカップリング角度(θ=20°)配置のシミュレーション共振器の広い周波数帯域にわたるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図9A】本実施形態による固定された第1の幅(W
1=550nm)で、シミュレートされた共振器の異なるカップリング角度の広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図9B】
図9Aの配置パラメーター及び特定のカップリング角度(θ=16.5°)配置のシミュレーション共振器の広い周波数帯域にわたるカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
【
図10】本実施形態を示しており、シミュレーション共振器の光カップリング部と直進するように長い第2の導波路の共振器の光カップリング部の異なる第1の幅と広帯域部でのカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【
図11】
図9Bに示した配置パラメーターのリング共振器の光カップリング部と直進するように長い第2の導波路の共振器の光カップリング部の光透過率(transmission coefficient)に対するシミュレーションの関係図である。
【
図12A】
図7Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップ、第1の幅、及び第2の幅に調整するように配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【
図12B】
図8Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップ、第1の幅、及び第2の幅に調整するように配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【
図12C】
図9Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップ、第1の幅、及び第2の幅に調整するように配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【
図13A】
図9Bの配置パラメーターを示しており、特定のカップリング角度(θ=16.5°)で、シミュレーション共振器の異なるカップリングギャップ、第1の幅、及び第2の幅の広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係を示す図である。
【
図13B】
図13Aの配置パラメーターのシミュレーション共振器の異なるカップリングギャップ、第1の幅、第2の幅の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13C】
図13A及び
図13Bの第1の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13D】
図13A及び
図13Bの第2の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13E】
図13A及び
図13Bの第3の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13F】
図13A及び
図13Bの第4の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13G】
図13A及び
図13Bの第5の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13H】
図13A及び
図13Bの第6の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【
図13I】
図13A及び
図13Bの第7の配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1と
図2を同時に参照して本発明の実施形態を説明する。ここで、
図1は本実施形態による広帯域リング共振器10aの上面構造を示した図であり、
図2は
図1の広帯域リング共振器10aのA-A´断面図である。
【0020】
図1と
図2において、広帯域リング共振器10aは、第1の導波路12aと第2の導波路14を含む。第1の導波路12aは、中心Cを有する閉リング120aであり、例えば、第1の導波路12aは導波路コイル(ring waveguide)とすることができる。
【0021】
閉リング120aは、第1のカップリング部122を有し、第1のカップリング部122の幅と半径は、それぞれ第1の幅W1と第1の半径R1である。第1の半径R1は、閉リング120aの中心Cから第1のカップリング部122の中心までの距離であり、すなわち、第1のカップリング部122の内径に第1の幅W1の半分の幅を加えたものを指す。
【0022】
第2の導波路14は、順に接続された第1の部分140、第2のカップリング部143、及び第2の部分144を含み、例えば、第2の導波路14は、湾曲した方向性結合器(curved directional coupler, CDC;若しくはbus waveguide)であってもよい。
【0023】
第2のカップリング部143は第1のカップリング部122と平行であり、その間の距離はカップリングギャップW0であるので、第2のカップリング部143の中心は閉リング120aの中心Cである。第2のカップリング部143の幅と半径は、それぞれ第2の幅W2と第2の半径R2である。
【0024】
第2の半径R2は中心Cから第2のカップリング部143の中心までの距離であり、すなわち、第2のカップリング部143の内径に第2の幅W2の半分を加えたものを指す。ここで、上記第2の半径R2は第1の半径R1よりも長い。
【0025】
第2の幅W2に対する第1の幅W1の比は、例えば、1.3と1.7との間、すなわち、1.3≦W1/W2≦1.7であるが、これに限定されない。
【0026】
第2のカップリング部143と第1のカップリング部122はカップリング角度θを有し、すなわち、第1のカップリング部122の両端と第2のカップリング部143の両端と、中心Cを結ぶ直線との夾角をカップリング角度θとし、第1のカップリング部122のカップリング角度θと第2のカップリング部143のカップリング角度θは実質的に同じである。
【0027】
したがって、カップリングギャップW0、第1の幅W1、第1の半径R1、第2の幅W2、及び第2の半径R2の間には、次の式2の寸法関係が存在する。
【0028】
【0029】
さらに、モードカップリング理論(Coupled-Mode Theory)及び位相合わせ条件(Phase matching condition)によって各配置パラメーターのシミュレーションマッチングが行われる。
【0030】
そのため、第1のカップリング部122と第2のカップリング部143との間のカップリングギャップW0、第1の幅W1、第1の半径R1、第2の幅W2、第2の半径R2、及びカップリング角度θを実質的に一致させることができ(詳細は後述する)、広帯域リング共振器10aは、広い周波数帯域において光を出力する性能(例えば、均一性の高い共振ディップ(resonant dips)や光損失。詳細は後述する)の均一性を高く維持できる。
【0031】
なお、上記の広い周波数帯域は、例えば、これに限定されないが、Oバンド(O band;波長範囲1260nm~1360nm)、Eバンド(E band;波長範囲1360nm~1460nm)、Sバンド(S band;波長範囲1460nm~1530nm)、Cバンド(C band;波長範囲1530nmから1565nm)、Lバンド(L band;波長範囲1565nmから1625nm)、又はUバンド(U band;波長範囲1625nmから1675nm)である。
【0032】
これにより、同じ設計の広帯域リング共振器10aによって、本実施形態の広帯域リング共振器10aは、第2の導波路14の一端から複数の異なる波長の入射光を進入させて第1の導波路12aの光カップリング部にカップリングすることができ、これにより異なる波長の入射光のカップリングは、実質的に近いカップリング効率を有することができ、配置パラメーターを調整した後に広帯域リング共振器10aは広い帯域内で複数の高い均一性を有する光出力を得ることができる。
【0033】
図2を参照すると、本実施形態では、上述の広帯域リング共振器10aがシリコンフォトニクス(silicon photonics)プラットフォームに適用されるので、高速光接続、化学・生物医学センシング、温度センシング、光コンピューティング、光スペクトルフィルタリング等の機能を持つことができる。
【0034】
例えば、
図2において、広帯域リング共振器10aは、ベース層40、第1の保護層30、波導層16、及び第2の保護層20を更に含む。第1の保護層30はベース層40上に位置する。波導層16は第1の保護層30の上に位置する。第1の導波路12aと第2の導波路14は波導層16上に位置する。
【0035】
第2の保護層20は波導層16(第1の導波路12a及び第2の導波路14を含む)上に位置する。上記のベース層40の材料は、例えばシリコン(SiO2)であるがこれに限定されず、その厚さも特に限定されない。第1の保護層30の材料は、例えば二酸化シリコン(SiO2)であり、第1の保護層30の厚さH5は例えば1μm~10μmである。
【0036】
波導層16の材料は例えばシリコンであり、導波層16の厚さH4は例えば150nm以下であるがこれに限定されない。第1の導波路12a及び第2導波路14の材料は、例えばシリコンであるが、これに限定されない。
【0037】
第1の導波路12aと第2の導波路14は、波導層16の表面からそれぞれ突出している。第1の導波路12a及び第2の導波路14の上面と波導層16の表面との間の距離は、それぞれ、第1の導波路12aの突起の高さH1、第2の導波路14の突起の高さH2であり、ここでH1とH2は、例えば、それぞれ70nm~220nmであるが、これらに限定されない。
【0038】
第2の保護層20の材料は、例えばSiO2であるが、これに限定されない。第2の保護層20の上面と波導層16の表面との間の距離は第2の保護層20の厚さH3であり、第2の保護層20の厚さH3は、例えば、1μm~10μmであるが、これに限定されない。
【0039】
したがって、シリコンからなる第1の導波路12aと第2の導波路14(それぞれシリコン光導波路の光ガイド層として)とSiO2からなる第1保護層30と第2保護層20(それぞれクラッド層(cladding layer)として)との屈折率の明らかな差により、寸法が比較的小さいシリコン光導波路を提供することができと共に閉じ込める力が強く、このため大規模な統合光学システムに適用できる。
【0040】
更に、実質的に一致する第1のカップリング部122と第2のカップリング部143との間の比較的広い許容ワーキングウィンドウ(詳細は後述)を通じて、本実施形態では、設計サイズを緩和することができ、それによって製造プロセスで許容される誤差限界を緩和でき、同時に、緩和された誤差限界の下で、広帯域リング共振器10aは、広い周波数帯域において高い均一性を有する複数の光を出力する性能を有するように製造できる。
【0041】
本実施形態では、例えば、相補型金属酸化物半導体(complementary metal-oxide-semiconductor,CMOS)ウエハの製造におけるフォトリソグラフィ(optical lithography)等のミクロンスケール寸法でのプロセスエラーのより正確な制御という困難な課題を克服することができる。
【0042】
本発明の実施形態をより明確に説明するために、シリコンフォトニックプラットフォームに適用される広帯域リング共振器10aについて説明するが、これらの説明は単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲はこれらの特定の実施形態に限定されない。
【0043】
引き続き
図1を参照して説明する。本実施形態では第1の部分140は第1の前部141と第1の中部142を含む。第2の部分144は第2の中部145と第2の後部146を含む。第1の前部141と第2の後部146は、第1の中部142、第2のカップリング部143、及び第2の中部145を介して順次接続される。
【0044】
第1の中部142の両端部は、それぞれ長く直線状に延伸する第1の前部141と第2のカップリング部143に接続される。第1の中部142は曲率半径を有し、その中心は中心Cの反対側に位置する。
【0045】
第2の中部145の両端部は、それぞれ第2のカップリング部143と長く直線状に延伸する第2の後部146に接続される。同様に、第2の中部145は曲率半径を有し、その中心は中心Cに対して反対側に位置する。
【0046】
なお、第1の中部142と第2の中部145の形状並びに曲率半径は、互いに同一(例えば、鏡面対称)であっても良く、互いに異なっていても良い。
【0047】
したがって、第1の中部142と第2の中部145の配置により、本実施形態では第1のカップリング部122と第2のカップリング部143との間のカップリングの程度をより正確に調節することができる。例えば、カップリング角度θとカップリングの長さ(例えば、第2の半径R2にカップリング角度θを乗じたものでも良い。これにより、第1のカップリング部122と第2のカップリング部143とをより正確に実質的に一致させることができるが、詳細は後述する。
【0048】
図1と
図3を参照して説明する。ここで、
図3は本実施形態のシミュレーション共振器10bの上面構造を示した図である。本実施形態では、
図1に示されるような広帯域リング共振器10aの配置パラメーターは、
図3に示されたシミュレーション共振器10bによって、事前にシミュレートし調整することによって得られるが、詳しくは後述する。
【0049】
図1の広帯域リング共振器10aと比較すると、
図3のシミュレーション共振器10bにおける構成とそれらの配置関係は、
図1の広帯域リング共振器10aと下記の点を除き一致する。
【0050】
異なる点としては、
図3の第1の導波路12bは非閉リング120bを具備し、例えばこれには限られないが、開口の角度が180°の半円形のリング或いはその他の開口角度を有する弧形リングである。
【0051】
なお、
図3の半円形の第1の導波路は例示的な説明を行うためにのみ説明するものであって、本発明の技術的範囲を
図3の実施形態に制限する趣旨ではない。
【0052】
図3において、第2の導波路14の両端は、それぞれ入力ポートP
0(input port)と出力ポートP
2(through port或いはbar port)である。入射光は上記入力ポートP
0から入力され、入射光の一部或いは全部が出力ポートP
2から出力される。
【0053】
第1の導波路12bは半円形の導波路であり、第2の導波路14の入力ポートP0から離れた一端はカップリングポートP1(coupled port或いはcross port)である。
【0054】
入射光の別の部分は第2の導波路14が第1の導波路12bに十分に近い(すなわち、十分に小さいカップリングギャップW0を有する)ため、第1の導波路12bと第2の導波路14との間の共鳴条件を満足し、入射光は第2の導波路14から第1の導波路12bにカップリング(結合)することができ、その後、入射光の他の部分がカップリングポートP1から出力される。
【0055】
このため、入射光の総入射光量は、カップリングポートP1と出力ポートP2とを合わせた総出力光量となる。
【0056】
図1において、第1の導波路12aは閉リングであるため、
図3の第1の導波路12bにカップリングされた光子は、
図1の第1の導波路12a内に留まり続けることができる。しかし、第1の導波路12aにカップリングされた光子は、第1の導波路12a内に長時間留まるので、これはこれらの光子の光損失を引き起こす可能性がある。
【0057】
本実施形態では、上述の光損失は広帯域リング共振器10aの透過スペクトルを実際に測定することによって得られる品質係数(quality factor)によって定義することができる。
【0058】
上記の品質係数は、例えば、透過入射光の波長を透過スペクトルの対応する半値幅で除算することによって得ることができる。また、品質係数が高ければ高いほど相対的な光損失が小さくなり、光子が第1の導波路12aに閉じ込められ易くなり、これを使用して広帯域リング共振器10aの品質を判断できる。
【0059】
本実施形態では、高速リング共振器光変調器を例にとると、上記のシミュレーション及び調整後の広帯域リング共振器10aの品質係数は5000から10000の間となり、例えば少なくとも約7000である。より具体的には、品質係数は1300nmから1320nm(例えば、1310nm)の広い周波数範囲にわたって少なくとも約8000である。
【0060】
また、本実施形態では、上述の広帯域リング共振器10aの品質係数は、より良好なカップリング状態で動作するように最適化することができ、その結果、品質係数は百万レベルに達することができる。
【0061】
図1、
図3乃至
図5を同時に参照して説明する。
図4は、本実施形態による広帯域リング共振器10aの設計システム50の概略図である。
図5は本実施形態によるシミュレーション共振器10bの半径と有効屈折率との間の関係をシミュレートする動作を示した図である。
【0062】
本実施形態では、
図1に示される広帯域リング共振器10aの配置パラメーターは、
図3に示されるシミュレーション共振器10bに基づいて、広帯域リング共振器10aの設計システム50(
図4を参照のこと)を事前にシミュレートして調整することによって得られる。
【0063】
本実施形態では、上述の広帯域リング共振器10aの設計システム50は、ユーザーインターフェース52とプロセッサ54を含む(
図4を参照のこと)。上述のユーザーインターフェース52は、入力エレメント520と表示エレメント522(
図4を参照のこと)を含む。
【0064】
上述の入力エレメント520はカップリングギャップW0、複数の導波路の幅W(例えば、第1の導波路12bの第1の幅W1、第2の導波路14の第2の幅W2の少なくとも1つ)及び複数の導波路の半径R(例えば導波路12bの第1の半径R1、第2の導波路14の第2の半径R2の少なくとも1つ)を受け取るために使用される。
【0065】
ユーザーインターフェース52およびプロセッサ54は、互いに通信可能に接続されているので、ユーザーインターフェース52は、入力エレメント520及び表示エレメント522にも通信可能に接続されている。
【0066】
プロセッサ54は、ステップ1において、カップリングギャップW
0、導波路の幅W及び導波路の半径Rに基づいて半径と有効屈折率(radius- waveguide effective index, n
effR)との間の関係を得るために使用される。半径と有効屈折率とは、例えば、
図5の半径と有効屈折率との関係図、下記式1の半径と有効屈折率との関係式の少なくともいずれかである。
【0067】
式1における半径と有効屈折率との関係は、例えば、下記の式3における半径と有効屈折率との関係から導き出すことができる。
【0068】
式1と式3において、neff1は第1の有効屈折率(first effective index)であり、neff2は第2の有効屈折率(second effective index)であり、R1は第1の半径であり、R2は第2の半径であり、dは誤差閾値(式1を参照のこと)であり、該誤差閾値dは10%より大きくない。
【0069】
【0070】
【0071】
次に、ステップ2でプロセッサ54を使用して、式1の半径と有効屈折率の関係、第1の導波路12bの第1のカップリング部122の幅と半径(すなわち、第1の半径R1と、第1の半径R1及び第1の幅W1)との間の関係を用いて、第2の導波路14の第2のカップリング部143の幅と半径(すなわち、それぞれ前述の第2の半径R2と第2の幅W2)を得る。
【0072】
図5を参照して説明する。
図5の半径と有効屈折率との関係の図は導波路の半径(R;すなわち
図5の横軸)に対して半径-有効屈折率(n
effR;すなわち
図5の縦軸)をプロットすることによって得られ、且つ、導波路の半径Rを大きくすると、各導波路における幅Wの導波路の半径Rは半径-有効屈折率n
effRとほぼ正の線形関係にある。
【0073】
本実施形態では、ステップ2-1において、プロセッサ54はカップリングギャップW0を固定し、且つ特定の半径-有効屈折率neffRを選択し、横軸に平行な点線を対応する半径-有効屈折率neffR上に引いて、点線上の特定の第1の幅W1と対応する第1の半径R1を得る。
【0074】
次に、上述のプロセッサ54は、ステップ2-2において、特定の第2の幅W2及び対応する同じ点線上の第2の半径R2を取得する。
【0075】
具体的には、
図5において上述のプロセッサ54はステップ2-1で、第1の半径-第1の有効屈折率n
effR
1(約30.75)を選択して固定し、
図5の縦軸の30.75に対応する位置に、横軸に平行な破線が引かれている。
【0076】
次に、プロセッサ54を使用して、導波路の幅Wを第1の幅W
1として選択し、点線と第1の幅W
1の曲線との交点、及び
図5の横軸に対応する値(つまり、
図5に示す第1の半径R
1)を求める。
【0077】
次に、プロセッサ54を使用して、ステップ2-2で第2の幅W
2として導波路の幅Wを選択し、そして、点線と第2の幅W
2の曲線との交点と、その
図5の横軸に対応する値を得る(つまり、
図5に示す第2の半径R
2)。
【0078】
次に、ステップ2-3で、上記プロセッサ54を用いて、得られた第2の半径R2と上記の式3に基づいてバックプッシュすることにより、第2の半径R2が対応する第2の有効屈折率neff2を求め、第2の有効屈折率neff2と上記の式2により、上記の式2の左側に位置する第2の半径R2(ここでは第2のプッシュバック半径R2'ともいう)が得られる。
【0079】
次に、上記のプロセッサ54はステップ2-4で使用され、次の式4に基づいて、第2の半径R2と第2のプッシュバック半径R2'の誤差率DVを取得する。次に、式4の誤差率DVが式1の誤差閾値dよりも大きい場合、プロセッサ54を使用してステップ2-2から2-4を再度実行し、他の導波路の幅Wを第2の幅W2として選択する。
【0080】
あるいは、式4の誤差率DVが式1の誤差閾値dよりも大きくない(すなわち、以下である)場合、プロセッサ54は、ステップ2-5を用いて、対応するカップリングギャップW0、第1の幅W1、第1の半径R1、第2の幅W2、及び第2の半径R2を出力する。
【0081】
本実施形態では、第2の幅W2に対する第1の幅W1の比率は、1.3と1.7の間、すなわち、1.3≦W1/W2≦1.7である。上記の式1の誤差閾値dは、プロセスの要件やプロセスの制約に基づいて更に調節しても差し支えない。例えば、10%、好ましくは5%、より好ましくは3%、更に好ましくは1%、更に好ましくは0.5%である。
【0082】
【0083】
例えば、上記のステップ2-4~2-5において、上記の式1の誤差閾値dが1%又は0.5%であり、上記プロセッサ54の処理により得られた上記の式1に適合する誤差閾値dの配置パラメーターを以下の表1に示す。
【0084】
表1において、プロセッサ54は、式4に基づいて、プロセッサ54によって処理され、上記式1の誤差閾値dに適合する誤差率DVの範囲を得ることができ、例えば、-0.033%~0.431%(絶対値をとると上記誤差率DVの範囲は0.033%~0.431%)、そして、全てが上記の式1の誤差閾値d(つまり、1%又は0.5%)よりも低い。
【0085】
【0086】
次に、ステップ3で、プロセッサ54を使用して、第1の導波路12bと第2の導波路14のカップリング角度θ(すなわち、カップリングの長さ(カップリング長)を間接的に調整する。例えば、カップリングの長さは、第2の半径R2にカップリング角度を乗じたものである)を調整する。これにより、第1の導波路12bと第2の導波路14を含むシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域におけるカップリング効率は概ね100%近くとなる。
【0087】
本実施形態では、上述のプロセッサ54は、3D時間領域有限差分法(Finite-difference time-domain, FDTD)を使用し、又は3D機能モード拡張方法(Eigen Mode Expansion, EME)を使用することにより、方向性カップリング器のスペクトルをシミュレートして、第1の導波路12bと第2の導波路14のカップリング角度θを調整する。
【0088】
図6Aを参照して説明する。
図6Aは本実施形態によるシミュレーション共振器10bの異なるカップリング角度θとカップリング効率のシミュレーションの関係を示す図である。
図6Aにおいて、異なるカップリング角度θを変化させることにより、プロセッサ54は、各配置パラメーター(たとえば、以下の表2の配置パラメーター)に基づいて構成されたシミュレーション共振器10bの特定の周波数帯域(例えば、
図6Aの入射光の波長は1250nm~1350nm)における各カップリングポートP1のカップリング効率を得ることができる。
【0089】
上記カップリングポートP1のカップリング効率は、正弦曲線(sinusoid)の傾向に基づいて、異なるカップリング角度θで0%から100%まで変化する。したがって、カップリングポートP1のより良好なカップリング効率は、これらの正弦波のピーク部分に対応する特定の周波数帯域で生じる。
【0090】
したがって、カップリング角度θをシミュレートして調整することにより、カップリングポートP
1のカップリング効率(例えば、実質的に100%に近い。例えば、
図6Aに示すカップリング効率は、0%から90%の範囲、又は0%から85%の範囲である)を向上させることができる配置パラメーターを取得できる。
【0091】
次に、配置パラメーターに基づいてシミュレーションと調整が実行され、カップリングポートP1のカップリング効率は、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値に調整できる。
【0092】
【0093】
図6A乃至
図6Cを同時に参照して説明する。ここで、
図6Bは
図6Aの異なるカップリング角度θと全体のカップリング効率の第1の実施形態のシミュレーションの関係を示した図である。また、
図6Cは
図6Aの異なるカップリング角度θと全体のカップリング効率の第2の実施形態のシミュレーションの関係を示した図である。
【0094】
図6Bと
図6Cは、
図6Aのプロセッサ54によって得られた各カップリングポートP
1のカップリング効率と各カップリングポートP
1に対応する各出力ポートP
2のカップリング効率をそれぞれ示す。
【0095】
また、各カップリングポートP1に対応する全体のカップリング効率(つまりP1+P2)は、それぞれ波長当たり10個の格子点(比較的少ない)及び波長当たり18個の格子点(比較的多い)を用いたシミュレーションと描画によって得られる。
【0096】
図6B及び
図6Cでは、より多くの格子点によってシミュレートされた
図6CのカップリングポートP
1のカップリング効率と比較して、より少ない格子点を有する
図6Bのシミュレーションは、カップリングポートP
1のカップリング効率が僅かに低くなる。
【0097】
その原因としては、より多くの格子点でシミュレーションを行うことで、導波路構造(第1の導波路12bと第2の導波路14を含む)の微妙な変化を十分に表現でき、理論値に近いカップリング効率が得られるからである。
【0098】
例えば、
図6A~
図6Cのカップリング角度θ=41°のデータを例にとると、カップリング角度θ=41°は、表2の配置パラメーターと一致する。
【0099】
すなわち、
図6Cに示すように、広い周波数帯域が1300nm~1320nm(例えば1310nm)の場合、カップリングポートP
1のカップリング効率がほぼ100%(例えば、
図6Bに示されるカップリングポートP
1のカップリング効率は0%から90%の範囲、又は0%から85%の範囲である。または、例えば
図6Cに示されるカップリングポートP
1のカップリング効率は80%から100%の範囲、又は85%から100%の範囲である。)に近いシミュレーション共振器10bが得られる。
【0100】
次に、プロセッサ54は、ステップ4で、ステップ3で得られた配置パラメーター(第1の半径R1、第1の幅W1、第2の半径R2、第2の幅W2、カップリングギャップW0、及びカップリング角度θを含む)に基づいて前記配置パラメーター(第1の半径R1、第1の幅W1、第2の半径R2、第2の幅W2、カップリングギャップW0、及びカップリング角度θを含む)の少なくとも1つを調整するために使用される。
【0101】
調整されたシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域の一部におけるカップリング効率は0%から100%の範囲である。本実施形態では第2の幅W2に対する第1の幅W1の比率は、1.3~1.7である。
【0102】
次に、ステップ5でプロセッサ54を使用して、調整されたカップリング効率と対応する配置パラメーター(第1の半径R1、第1の幅W1、第2の半径R2、第2の幅W2、カップリングギャップW0、及びカップリング角度θを含む)を出力する。
【0103】
上記の出力された各配置パラメーターは許容範囲であってもよい。例えば、第1の幅W1を出力するための許容範囲は470nmから600nmである。あるいは、例えば、カップリングギャップW0を出力する許容範囲は150nm~250nmである。
【0104】
ここで、得られる配置パラメーターは上記のほぼ一致する配置パラメーターである。配置パラメーターは、例えば、カップリングギャップW0は十分に小さいが、その製造を困難にするほど小さすぎないものである。または、例えば、カップリング角度θは十分に大きく、それに対応してカップリング長(たとえば、第2の半径R2にカップリング角度θを掛けた値)は十分に長いので、シミュレーション共振器10bは、広い周波数帯域で実質的に同様のカップリング効率を有することができる。
【0105】
したがって、ほぼ一致した配置パラメーターで配置された第1の導波路12bの第1のカップリング部122と第2の導波路14の第2のカップリング部143は、前述の実質的に一致した第1のカップリング部122と第2のカップリング部143である。
【0106】
図7A、
図8A及び
図9Aを参照すると、
図7A、
図8A及び
図9Aはそれぞれ、第1の幅(W
1=500nm/525nm/550nm)を固定し、シミュレーション共振器10bの異なるカップリング角度θの広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションの関係を示している。
【0107】
図7A、
図8A及び
図9Aにおいて、上述のプロセッサ54は、ステップ4で使用され、ステップ3で得られた配置パラメーターに基づいて、異なる第1の幅W
1(同時に他の配置パラメーターが固定される。例として
図7Aを取り上げると、具体的な配置パラメーターを以下の表3に示す。) のみを調整する。調整されたシミュレーション共振器10bの特定の周波数帯域(例えば、
図7Aの入射光の波長は1250nm~1370nm) の広い周波数帯域の一部のカップリング効率は0%から85%の範囲に設定される。
【0108】
【0109】
上記構成パラメーターにおいて、ここでのカップリングギャップW0は固定値であるため、第1の幅W1(例えば、第1の幅W1を450nmから500nmに増加させる)を幅調整量だけ増加させる。
【0110】
即ち、例えば、第1の導波路12bの中心C(
図3参照)に近づく方向では幅の調整量を二分の一にすることを意味し、第1の導波路12bの中心C(
図3参照)から遠ざかる方向に幅の調整量を二分の一に調整して得られたものである。
【0111】
したがって、カップリングギャップW0と第2の幅W2を固定するために、第2の導波路14の第2の半径R2も第1の導波路12bの中心Cから離れる方向に幅の調整量の半分だけ大きくする必要があり、その逆についても同様である。
【0112】
具体的には、表2と表3の配置パラメーターを例として挙げると、表2の第1の幅W1(W1=450nm)と比較して、表3の第1の幅W1は500nmに増加する。
【0113】
したがって、表3の第2の半径R
2もまた幅の調整量(すなわち50nm)の半分(すなわち25nm;0.025μm)だけ、中心C(
図3参照)から離れる方向に対応するように増加させるようにして、表3の第2の半径R
2 (すなわち11.925 μm) を取得する。
【0114】
引き続き
図7Aを参照して説明する。
図7Aでは上述のプロセッサ54をステップ4で使用して、ステップ3で得られた配置パラメーターに基づいて異なる第1の幅W
1とカップリング角度θ(同時に、他の配置パラメーターが固定される。具体的な配置パラメーターについては、上記の表3を参照のこと)のみを調整する。調整済みのシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域(例えば、
図7Aの入射光の波長は1250nm~1370nm)におけるカップリング効率は25%から30%の範囲である。
【0115】
プロセッサ54は、先ず
図7Aの各配置パラメーター(第1の幅W
1を含む)を選択し、カップリング角度θを更に調整するだけであるため、プロセッサ54は少なくとも2つの配置パラメーター(第1の幅W
1とカップリング角度θを含む)を実質的に調整する。
【0116】
図6Cと
図7Aを同時に参照して説明する。
図6Cの第1の幅W
1のカップリングポートP
1のカップリング効率(約80%~100%)を例にとり、
図6Cと比較すると、
図7AのカップリングポートP
1のカップリング効率(約25%~30%)は、プロセッサ54によって約50%から75%に減少し、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値になり得る。
【0117】
図7Bを参照して説明する。
図7Bは、
図7Aの配置パラメーターで配置されたシミュレーション共振器10bの広帯域におけるカップリング効率と特定のカップリング角度(θ=23°)のシミュレーション関係を示す図である。
【0118】
より具体的には、
図7Bは、
図7Aにおけるカップリング角度θ=23°に基づいて得られたカップリングポートP
1のカップリング効率と、カップリングポートP
1に対応する出力ポートP
2のカップリング効率とを示している。また、カップリングポートP
1に対応する全体のカップリング効率(P
1+P
2)は、シミュレーションと描画によって得られる。
【0119】
図7Bにおいて、シミュレーション共振器10bは、カップリングポートP
1のカップリング効率が、特定の周波数帯域の一部(例えば、
図7Bの入射光の波長は1250nm~1370nm)で25%から30%の範囲にある。より正確には、カップリングポートP
1のカップリング効率は28%±1%の範囲にある。
【0120】
図8Aを参照すると、
図8Aは、本実施形態による固定された第1の幅(W
1=525nm)を有する広い周波数帯域におけるシミュレーション共振器10bの異なるカップリング角度θのシミュレーションの関係を示す図である。
図8Aでは上述のプロセッサ54をステップ4で使用して、ステップ3で得られた配置パラメーターに基づいて異なる第1の幅W
1とカップリング角度θ(他の配置パラメーターを同時に固定する場合については、具体的な配置パラメーターは以下の表4を参照されたい)のみを調整する。
【0121】
シミュレーション共振器10bの広い周波数帯域(例えば、
図8Aにおける入射光の波長は1250nm~1370nmである)におけるカップリング効率は、13%から20%の範囲内である。ここで、プロセッサ54は、上述のように少なくとも2つの配置パラメーター(第1の幅W
1とカップリング角度θを含む)を実質的に調整する。
【0122】
図6Cと
図8Aを同時に参照し、
図6Cの第1の幅W
1のカップリングポートP
1のカップリング効率(約80%~100%)を例にとり、
図6Cと比較すると、
図8AのカップリングポートP
1のカップリング効率(約13%~20%)は、上述のプロセッサ54によって約60%~87%に低下するが、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値にすることができる。
【0123】
【0124】
図8Bを参照すると、
図8Bは
図8Aの配置パラメーター及び特定のカップリング角度(θ=20°)で配置されたシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションを示す図である。
【0125】
より具体的には、
図8Bは、
図8Aにおいてカップリング角度θ=20°に基づいて得られたカップリングポートP
1のカップリング効率と、カップリングポートP
1に対応する出力ポートP
2のカップリング効率とを示す。また、カップリングポートP
1に対応する全体のカップリング効率(P
1+P
2)は、シミュレーションと描画によって得られる。
【0126】
図8Bにおいて、シミュレーション共振器10bはカップリングポートP
1のカップリング効率が特定の周波数帯域の一部(例えば、
図8Bの入射光の波長は1250nm~1370nm)でいずれも13%から20%の範囲内のカップリングポートP
1のカップリング効率となる。より正確には、カップリングポートP
1のカップリング効率は19%±1%の範囲内となる。
【0127】
図9Aを参照すると、
図9Aは、本実施形態による固定された第1の幅(W
1=550nm)における、シミュレーション共振器10bの異なるカップリング角度θの広い周波数帯域のカップリング効率に対するシミュレーションを示す図である。
【0128】
図9Aにおいて、上述のプロセッサ54はステップ4で使用され、ステップ3で得られた配置パラメーターに基づいて異なる第1の幅W
1とカップリング角度θ(同時に他の配置パラメーターを固定する場合の具体的な配置パラメーターについては次の表5を参照のこと)のみを調整し、調整済みのシミュレーション共振器10bが広い周波数帯域(例えば、
図9Aの入射光の波長は1250nm~1370nm)のカップリング効率は7%から14%の範囲内となる。
【0129】
ここで、プロセッサ54は、上述のように少なくとも2つの配置パラメーター(第1の幅W1とカップリング角度θを含む)を実質的に調整する。
【0130】
図6Cと
図9Aを同時に参照し、
図6Cの第1の幅W
1のカップリングポートP
1のカップリング効率(約80%から100%)を例にとり、
図6Cと比較すると、
図9AのカップリングポートP
1のカップリング効率(約7%~14%)は、上述のプロセッサ54によって約66%~93%に低下するが、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値にすることができる。
【0131】
【0132】
図9Bを参照すると、
図9Bは
図9Aの配置パラメーター及び特定のカップリング角度(θ=16.5°)で配置されたシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域におけるカップリング効率のシミュレーションの関係を示した図である。
【0133】
具体的には、
図9Bは、
図9Aにおいてカップリング角度θ=16.5°に基づいて得られたカップリングポートP
1のカップリング効率とカップリングポートP
1に対応する出力ポートP
2のカップリング効率とを示す。また、カップリングポートP
1に対応する全体のカップリング効率(P
1+P
2)は、シミュレーションと描画によって得られる。
【0134】
図9Bにおいて、シミュレーション共振器10bは、特定の周波数帯域の一部(例えば、
図9Bの入射光の波長は1250nm~1370nm)でいずれも7%~14%の範囲内のカップリングポートP1のカップリング効率となる。より正確には、カップリングポートP
1の結合効率は10%±0.5%の範囲である。
【0135】
次に、表示エレメント522は、ステップ5でプロセッサ54によって出力された配置パラメーター(第1の半径R1、第1の幅W1、第2の半径R2、第2の幅W2、カップリングギャップW0、及びカップリング角度θを含む)を受け取り、これらの配置パラメーター(第1の半径R1、第1の幅W1、第2の半径R2、第2の幅W2、カップリングギャップW0、及びカップリング角度θを含む)と調整されたカップリング効率を出力する。
【0136】
このようにして、例えば
図1の広帯域リング共振器10aにおける閉リング120aを有する第1の導波路12aを得るために、得られた配置パラメーターに基づいて、
図3のシミュレーション共振器10bにおける半円形の第1の導波路12bを更に接続することができる。
【0137】
このため、このようにして得られた本実施形態の広帯域リング共振器10aは、広い周波数帯域において複数の高い均一性を具備する光出力性能(例:共振(共鳴)ノッチの均一性が高く、光損失が少ない)と比較的高い品質係数を得られる。
【0138】
図10を参照して説明する。
図10は本実施形態を示しており、シミュレーション共振器10bの光カップリング部と直進するように長い第2の導波路14の共振器の光カップリング部の異なる第1の幅W
1と広帯域部でのカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【0139】
図10では、
図3に示したシミュレーション共振器10bの光カップリング部(第1のカップリング部122と第2のカップリング部143)をCDC(curved directional coupler)で表しており、
図3のシミュレーション共振器10bにおける湾曲した第2の導波路14が長い直線の第2の導波路に置き換えられたリング共振器の光カップリング部分(すなわち、第1のカップリング部122と第2のカップリング部143に対応する)に対応するSDC(直線方向性結合器,straight directional coupler)によって表される。
【0140】
各CDCとSDCは、
図7B、
図8B、及び
図9Bの配置パラメーター(以下の表6に示す)に基づいて構成され、各SDCの第2の導波路は長く直線的な第2の導波路であるため、SDCの第2の半径R
2は、第2のカップリング部143(
図3を参照)から中心Cまでの最短距離である。
【0141】
図10では、
図7Bの配置パラメータ(W
1=500nm)で配置されたCDCとSDCの第1グループについて言えば、CDCのカップリングポートP
1のカップリング効率は約25%から30%であり、SDCのカップリングポートP
1のカップリング効率は約2.5%から5%である。また、CDCのカップリングポートP
1のカップリング効率は、SDCのカップリングポートP
1のカップリング効率よりも明らかに高い。
【0142】
同様の状況は、
図8Bと
図9Bに示すように、それぞれ第2グループ、第3グループの配置パラメーターによって配置されたCDCとSDCにも見られる。CDCのカップリングポートP
1のカップリング効率は、それぞれ約17.5%から20%、及び10%から12.5%であり、SDCのカップリングポートP
1のカップリング効率は、それぞれ約1%から4%、及び1%から3%である。
【0143】
CDC(湾曲した第2の導波路14)は、SDC(長く直進する第2の導波路)よりもカップリングポートP1のカップリング効率が高いことが分かる。第2の導波路14は第1の導波路12bにカップリングされる。
【0144】
【0145】
図11は
図9Bに示した配置パラメーターのリング共振器の光カップリング部10aと直進するように長い第2の導波路の共振器の光カップリング部の光透過率(光透過係数)(transmission coefficient)に対するシミュレーションの関係図である。
【0146】
図11において、CDCとSDCのリング共振器の導波路損失はともに65dB/cmに設定されており、広い周波数帯域(例えば
図11の入射光の波長は1250nm~1370nm)で多波長の共振条件を満たしているので、CDC及びSDCの第2の導波路14の入射光は、それぞれ対応する第1の導波路12aにカップリングして閉じ込めることができ、光出力の複数の信号のトラフ (つまり、谷、共振凹溝)が
図11に現れる。
【0147】
図11では、CDCのこれらの信号のトラフの深さは非常に均一(消光比(extinction ratio)は約14±2dB)となる。したがって、
図11に示すCDC(すなわち、広帯域リング共振器10a)は、広帯域(例えば、
図11の入射光の波長が1250nm~1370nm)の操作で、光出力性能の高い均一性を有する。
【0148】
対照的に、
図11では、SDCのこれらの信号のトラフの深さに、比較的明白で大きな違いがある。例えば、波長1250nmと1365nmの光透過係数の差は約10%である。これは、SDCが広い周波数帯域(例えば
図11の入射光の波長は1250nm~1370nm)で動作することが困難であり、光を出力する性能を高いレベルで均一に提供することが困難であることを意味する。
【0149】
したがって、本実施形態の広帯域リング共振器10aは、広い周波数帯域(例えば、1250nm~1370nm)において均一性の高い複数の光を安定して出力する性能(例:共鳴ノッチの均一性が高く、光損失/消光比が低い)を得られる。
【0150】
本実施形態では、上述のプロセッサ54は、ステップ4で使用され、ステップ3で得られた配置パラメーターに基づいて、異なるカップリング角度θ、カップリングギャップW0、第1の幅W1および第2の幅W2等の4つの配置パラメーター(その他の構成パラメーターを同時に固定する)を調整し、既に調整されたシミュレーション共振器10bの広い周波数帯域におけるカップリング効率は0%から100%の範囲内である。
【0151】
本実施形態では、第2の幅W2に対する第1の幅W1の比率は1.3~1.7である。本実施形態では、第1の幅W1は470nmから600nmである。
【0152】
本実施形態ではカップリングギャップW0は150nmから250nmである。本実施形態では第2の幅W2は300nmから400nmである。
【0153】
これにより、第2の幅W2に対する第1の幅W1の比率の上述の制限及び/又は第1の幅W1の制限及び/又はカップリングギャップW0の制限及び/又は本実施形態の第1の導波路12bは、少なくとも1250nmから1370nmの範囲内で第2の導波路14と光学的にカップリングすることができ、実質的に100%に近いカップリング効率(あるいは、0%から85%の範囲または85%から100%の範囲のカップリング効率まで上下に調整することができる)を有する。
【0154】
図12Aを参照して説明する。ここで、
図12Aは
図7Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2に調整するように配置されたシミュレーション共振器10bの広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【0155】
図12Aでは、
図7Bに示すように、カップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(500nm)、及び第2の幅W
2(350nm)が調整のために選択され、他の配置パラメーターは
図12Bに示されているが、ここでは詳細に説明しない。
【0156】
図12Aでは,上記プロセッサ54は、カップリングギャップW
0(+20nm、+10nm、-10nm及び-20nm(即ち220nm、210nm、190nm及180nm))、第1の幅W
1(-20nm、-10nm、+10nm及び+20nm(即ち480nm、490nm、510nm及び520nm))及び第2の幅W
2(-20nm、-10nm、+10nm及び+20nm(即ち330nm、340nm、360nm及370nm))等の配置パラメーターを更に調整する。
【0157】
図12AにおけるカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(500nm)及び第2の幅W
2(350nm)を有するカップリングポートP
1のカップリング効率(約28%±1%、すなわち、約27%~29%)は参考値である。
【0158】
上記プロセッサ54を介して、カップリングギャップW0は、約10nm/20nmだけ僅かに増加する(同時に、第1の幅W1及び第2の幅W2は約10nm/20nmだけ僅かに減少する)。
【0159】
すなわち、そのカップリングポートP1のカップリング効率を約2%から17%に減少させることができ、約10%から25%(すなわち、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)である。
【0160】
これに対して、プロセッサ54は、カップリングギャップW0を約10nm/20nmだけ僅かに下げる(同時に、第1の幅W1及び第2の幅W2を約10nm/20nmだけ僅かに増やす)。
【0161】
すなわち、カップリングポートP1のカップリング効率を約1%から23%に増加させることができ、約30%から50%(即ち0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)にできる。
【0162】
図12Bを参照して説明する。ここで、
図8Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2に調整するように配置されたシミュレーション共振器10bの広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【0163】
図12Bでは、
図8Bに示すように、カップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(525nm)、及び第2の幅W
2(350nm)を選択する。他の配置パラメーターは
図8Bおよび表4に示され、ここでは詳細に説明しない。
【0164】
図12Bでは、上記プロセッサ54はカップリングギャップW
0(+30nm、+20nm、+10nm、-10nm、-20nm及び-30nm(即ち230nm、220nm、210nm、190nm、180nm及び170nm))、第1の幅W
1(-30nm、-20nm、-10nm、+10nm、+20nm及び+30nm(即ち495nm、505nm、515nm、535nm、545nm及555nm))及び第2の幅W
2(-30nm、-20nm、-10nm、+10nm、+20nm及び+30nm(即320nm、330nm、340nm、360nm、370nm及380nm))等の配置パラメーターを更に調整する。
【0165】
図12BのカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(525nm)、及び第2の幅W
2(350nm)のカップリングポートP
1のカップリング効率(約19%±1%、又は約18%~20%)を基準(参考)値とする。
【0166】
プロセッサ54は、カップリングギャップW0を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに増加させる(同時に、第1の幅W1及び第2の幅W2を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに減少させる)。すなわち、そのカップリングポートP1のカップリング効率は、約3%から17%に減少させることができ、これは約3%から15%(すなわち、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)である。
【0167】
これに対して、カップリングギャップW0を約10nm/20nm/30nm(同時に、第1の幅W1と第2の幅W2を10nm/20nm/30nm程度若干大きくする)だけ僅かに減少させることにより、プロセッサ54は、カップリングポートP1のカップリング効率を約4%から24%、約22%から42%(つまり、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)まで増加させることができる。
【0168】
図12Cを参照して説明する。ここで、
図12Cは
図9Bに示す配置パラメーター及び異なるカップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2に調整するように配置されたシミュレーション共振器10bの広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係図である。
【0169】
図12Cにおいて、
図9Bに示されるようなカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(550nm)及び第2の幅W
2(350nm)を調整のために選択するが、他の配置パラメーターは、
図9Bと表5に示され、ここでは詳細に説明しない。
【0170】
図12Cにおいて、上記プロセッサ54はカップリングギャップW
0(+30nm、+20nm、+10nm、-10nm、-20nm及び-30nm(即ち230nm、220nm、210nm、190nm、180nm及170nm))、第1の幅W
1(-30nm、-20nm、-10nm、+10nm、+20nm及び+30nm(即ち520nm、530nm、540nm、560nm、570nm及580nm))及び第2の幅W
2(-30nm、-20nm、-10nm、+10nm、+20nm及+30nm(即ち320nm、330nm、340nm、360nm、370nm及380nm))等の配置パラメーターを調整する。
【0171】
図12CのカップリングポートP
1のカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(525nm)、及び第2の幅W
2(350nm)のカップリング効率(約10%±0.5%、つまり約9.5%~10.5%)を基準値(参考値)とする。
【0172】
プロセッサ54は、カップリングギャップW0を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに増加させる(同時に、第1の幅W1及び第2の幅W2を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに減少させる)。すなわち、そのカップリングポートP1のカップリング効率を約1.5%から5.5%に減少させることができ、約5%から9%(すなわち、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)である。
【0173】
これに対し、プロセッサ54は、カップリングギャップW0を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに下げる(同時に、第1の幅W1及び第2の幅W2を約10nm/20nm/30nmだけ僅かに増やす)と、カップリングポートP1のカップリング効率は、約3.5%から13.5%に増加させることができ、約13%から23%(すなわち、0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値)となる。
【0174】
図12A~
図12Cから、プロセッサ54が、カップリング角度θ、カップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2等の4つの配置パラメーターを僅かに調整できる(上昇又は低下させることができる)ことが分かる。すなわち、カップリングポートP
1のカップリング効率は、約1%から20%に増加させ、又は減少させることができ、カップリングポートP
1のカップリング効率は0%から100%の範囲内の任意の範囲又は値であり得る。
【0175】
さらに、
図12A~
図12Cから、カップリングポートP
1のカップリング効率に比較的明らかな影響を与えるのは、僅かな調整(上げ下げできる)だけであることも分かる。
【0176】
したがって、シミュレーション共振器10bの上記特性は、そのプロセス監視にも使用することができ、カップリングポートP1のカップリング効率のリアルタイム監視結果により、各配置パラメーター(例えば、第1のカップリング部122の第1の幅W1)に関連する所定のプロセスに異常又は誤差がないかを知ることができる。
【0177】
このように、本実施形態では、種々のプロセスに異常又は誤りがないかを正確に制御して知ることができ、所定のプロセス、及びそれに対応する配置パラメーターをリアルタイムで調整して、不要なプロセス損失を減らすこともできる。
【0178】
次に、
図13Aと
図13Bを同時に参照して説明する。ここで、
図13Aは、
図9Bの配置パラメーターを示しており、特定のカップリング角度(θ=16.5°)で、シミュレーション共振器10bの異なるカップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2の広帯域部のカップリング効率に対するシミュレーションの関係を示す図である。
【0179】
また、
図13Bは、
図13Aの配置パラメーターのシミュレーション共振器10bの異なるカップリングギャップW
0、第1の幅W
1、第2の幅W
2の広帯域部のカップリング効率に対する実際の測定量の関係を示した図である。
【0180】
図13A及び
図13Bでは、
図9Bに示したカップリング角度θ(16.5°)を固定し、カップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(550nm)、第2の幅W
2(350nm)は、第1の配置パラメーターL1~第7の配置パラメーターL7(詳細な配置パラメーターは
図13Bで確認できる)を更に調整するために選択される。なお、他の配置パラメーターは
図9Bと表5に示され、ここでは詳細に説明されない。ここで使用される測定方法は上記を参照することができ、ここでは詳細に説明しない。
【0181】
図13AのカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(550nm)、及び第2の幅W
2(350nm)(すなわち、13Bにおける第2の配置パラメーターL2に対応する)のシミュレートされたカップリングポートP
1のカップリング効率(約14%~18%)は参考値(基準値)である。
【0182】
図13Bの入射光の波長範囲1260nm~1330nmにおいて、第2の配置パラメーターL2の実測により得られるカップリングポートP
1のカップリング効率は約9%~11%であり、2つのカップリングポートP
1のカップリング効率の傾向は同じであり、その差は約3%から9%である。
【0183】
図13A及び
図13Bから、他の第1の配置パラメーターL1、第3の配置パラメーターL3から第7の配置パラメーターL7のシミュレーションとカップリングポートP
1の実際に測定されたカップリング効率も同様の傾向を有することが分かり、ここでは詳しく説明しない。
【0184】
したがって、広帯域リング共振器10aの設計システム50がシミュレートすることにより得られた配置パラメーターを実際に使用して、特定の周波数帯域(少なくとも1280nmから1330nmの範囲内)用の広帯域リング共振器10aを実際に製造し、複数の均一性が高い光を出力する性能を実現できる。
【0185】
図13Aの両側(つまり、入射光の波長はそれぞれ1250nm~1260nm及び1330nm~1350nmである)の実際の測定量のカップリングポートP
1のカップリング効率と
図13AのシミュレーションのカップリングポートP
1のカップリング効率の間の差異は大きい。
【0186】
その理由は、上記の測定が真の湾曲方向性結合器(CDC)の性能ではなく、光入力および出力インターフェイス(グレーティングカプラー)の帯域幅の制限を受けるためである。
【0187】
このため、オペレーターが他の光出力及び入力インターフェイスを使用して、広帯域エッジ発光カプラー(edge emission coupler)のコンポーネントのカップリング効率を測定すると、上記の帯域幅制限の影響を解決できる。
【0188】
これに基づいて、本実施形態では、広帯域リング共振器10aの設計システム50によってシミュレートされた配置パラメーターを実際に使用して、特定の周波数帯域(少なくとも1260nmから1330nmの範囲)用の広帯域リング共振器10aを実際に製造することができる。
【0189】
【0190】
図13Cから
図13Iにおいて、
図9Bに示すカップリング角度θ(16.5°)を固定し、カップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(550nm)、及び第2の幅W
2(350nm)を、第1の配置パラメーターL1から第7の配置パラメーターL7(詳細な配置パラメーターについては、
図13Bを参照)を調整するために選定する。なお、その他の配置パラメーターは、
図9B及び表5に示され、ここでは詳細に説明しない。
【0191】
図9Bのシミュレートされた出力ポートP
2のカップリング効率(約89%から91%)を基準値として、
図13Cにおいて、1260nmから1330nmまでの入射光の波長範囲において、実際に測定された出力ポートP
2のカップリング効率は約83%から87%であり、2つの出力ポートP
2のカップリング効率の傾向は同じで、差は約6%から8%にすぎない。
【0192】
したがって、カップリングポートP1と出力ポートP2のカップリング効率の差の傾向によれば、広帯域リング共振器10aの設計システム50によってシミュレートされたカップリング効率は、実際に測定されたカップリング効率と実際に近いことが分かる。これは、特定の周波数帯域(少なくとも1260nmから1330nmの範囲)用の広帯域リング共振器10aを実際に製造するのに適していると言える。
【0193】
したがって、広帯域リング共振器10aを実際に製造するとき、本実施形態は、シミュレーションによって得られた配置パラメーターを直接使用することができ、又は僅かな調整を行うだけでよい。すなわち、少なくとも1260nm~1330nmの広い周波数帯域内の複数の周波数帯域において均一性の高い光を出力する性能を発揮することができる。
【0194】
同様に、
図13D~
図13IではカップリングギャップW
0(200nm)、第1の幅W
1(550nm)、及び第2の幅W
2(350nm)はそれぞれ上下するように調整されて、
図13Bの第1の配置パラメーターL1、第3の配置パラメーターL3乃至第7の配置パラメーターとすることができる。
【0195】
図13Dから
図13Iから、各図のカップリングポートP
1と出力ポートP
2のカップリング効率は、少なくとも1260nmから1330nmまでの入射光の波長範囲内で安定した同様の傾向を有することが分かる。
【0196】
したがって、カップリングポートP1と出力ポートP2のカップリング効率の差異の傾向を考慮すると、カップリングギャップW0、第1の幅W1及び第2の幅W2を変更しても、広帯域リング共振器10aの設計システム50によるシミュレーションから得られたカップリング効率は、実際に測定されたカップリング効率とほぼ同じとなる。
【0197】
特に、特定の周波数帯域(少なくとも1260nmから1330nmの範囲内)用の広帯域リング共振器10aの実際の製造にそれを適用することは有益である。
【0198】
したがって、広帯域リング共振器10aを実際に製造するとき、本実施形態は、シミュレーションによって得られた配置パラメーターを直接使用することができ、又は僅かな調整を行うだけでよい。すなわち、少なくとも1260nm~1330nmの広い周波数帯域内の複数の周波数帯域において均一性の高い光を出力する性能を発揮することができる。
【0199】
また、
図13A~
図13Eから、実際に広帯域リング共振器10aを製造する際には、本実施形態では、カップリングギャップW
0、第1の幅W
1、及び第2の幅W
2が許容するワーキングウィンドウ(上記許容ワーキングウィンドウ)は、±10nm(約±5%から±7%のカップリング効率に対応する)であってもよい。
【0200】
また、シミュレーションによって得られた配置パラメーターは、少なくとも1260nmから1330nmの広い周波数範囲内の複数の周波数帯域で非常に均一な光を出力するために、直接転送するか、又は僅かに調整するだけで足りる。
【0201】
以上をまとめると、本実施形態では、広帯域リング共振器の第1の導波路と第2の導波路との間の配置パラメーターが、その設計システムによってシミュレート設計して得られ、且つ上述の配置パラメーターが互いに実質的に一致するので、第1の導波路と第2の導波路は広い周波数帯域にわたって0%から100%の範囲で実質的に同様のカップリング効率を実際に有する。
【0202】
さらに、カップリング効率を調整する効果は、第2の導波路の半径(前述の第2の半径)等の他の配置パラメーターを大幅に変更することなく、少なくとも第1の導波路の幅(つまり、前述の第1の幅)を調整することのみによって達成することができる。
【0203】
これにより、広帯域リング共振器は、広い周波数帯域において異なる波長帯域の共振・カップリング条件を満たすことができ、均一性の高い複数の光を出力する性能を発生させることができる。
【0204】
そのため、ミクロンスケールの部品製造寸法でも、本実施形態は、カップリング効率を調整することによりその配置パラメーターを大きく変更することなく、安定した高い光を出力する性能が得られ、広い周波数帯域で光損失を低くでき、広帯域リング共振器を正確に製造することができる。このため、製造プロセスに優れ、本発明の実施形態が適用可能な分野が広がる。
【0205】
本発明は、前述の実施形態によって説明したが、本発明の精神と範囲から逸脱することがなければ、当業者が僅かな変更や修正を加えても本発明の技術的範囲に属するものとし、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0206】
10a 広帯域リング共振器
10b シミュレーション共振器
12a、12b 第1の導波路
120a 閉リング
120b 非閉リング
122 第1のカップリング部
14 第2の導波路
140 第1の部分
141 第1の前部
142 第1の中部
143 第2のカップリング部
144 第2の部分
145 第2の中部
146 第2の後部
16 波導層
20 第2の保護層
30 第1の保護層
40 ベース層
50 広帯域リング共振器の設計システム
52 ユーザーインターフェース
520 入力エレメント
522 表示エレメント
54 プロセッサ
A-A´ 断面線
C 中心
H1 第1の導波路の突起の高さ
H2 第2の導波路の突起の高さ
H3 第2の保護層の厚さ
H4 波導層の厚さ
H5 第1の保護層の厚さ
L1 第1の配置パラメーター
L2 第2の配置パラメーター
L3 第3の配置パラメーター
L4 第4の配置パラメーター
L5 第5の配置パラメーター
L6 第6の配置パラメーター
L7 第7の配置パラメーター
P0 入力ポート
P1 カップリングポート
P2 出力ポート
R1 第1の半径
R2 第2の半径
W0 カップリングキャップ
W1 第1の幅
W2 第2の幅
θ カップリング角度
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、
前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、
前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、
前記第1の半径、前記第2の半径及び前記第2の幅は、半径と有効屈折率との関係を示すグラフと、下記式1で表される半径と有効屈折率との関係とに従って定まり、
【数1】
前記式1において、n
eff1
は第1の有効屈折率であり、n
eff2
は第2の有効屈折率であり、R
1
は前記第1の半径であり、R
2
は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくなく、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ
1.231≦W
1/W
2≦
1.667の条件を満たし、W
1は前記第1の幅であり、W
2は
前記第2の幅
である
広帯域リング共振器。
【請求項2】
第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、
前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、
前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、
前記第1の半径、前記第2の半径及び前記第2の幅は、半径と有効屈折率との関係を示すグラフと、下記式1で表される半径と有効屈折率との関係とに従って定まり、
【数2】
前記式1において、n
eff1
は第1の有効屈折率であり、n
eff2
は第2の有効屈折率であり、R
1
は前記第1の半径であり、R
2
は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくなく、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.231≦W
1
/W
2
≦1.667の条件を満たし、W
1
は前記第1の幅であり、W
2
は前記第2の幅であり、広帯域に対応する入射光の波長は1280ナノメートルから1330ナノメートルの範囲である
広帯域リング共振器。
【請求項3】
第1の導波路と、第2の導波路とを備えた広帯域リング共振器において、
前記第1の導波路は閉リングであり、前記閉リングは第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径を有し、
前記第2の導波路は順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径を有し、広帯域部で前記第1の導波路にカップリングされた前記第2の導波路のカップリング効率は実質的に近く、
前記第1の半径、前記第2の半径及び前記第2の幅は、半径と有効屈折率との関係を示すグラフと、下記式1で表される半径と有効屈折率との関係とに従って定まり、
【数3】
前記式1において、n
eff1
は第1の有効屈折率であり、n
eff2
は第2の有効屈折率であり、R
1
は前記第1の半径であり、R
2
は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくなく、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.231≦W
1
/W
2
≦1.667の条件を満たし、W
1
は前記第1の幅であり、W
2
は前記第2の幅であり、
前記第2のカップリング部と前記第1のカップリング部はカップリング角度を有し、カップリングギャップの距離が開いており、前記第1の幅は
500ナノメートルから
550ナノメートルであり、前記第2の幅は300ナノメートルから
380ナノメートルであり、前記カップリングギャップは
200ナノメートルであり、
且つ前記広帯域部が対応する入射光の波長は1280ナノメートルから1330ナノメートル
である
広帯域リング共振器。
【請求項4】
ベース層と、
前記ベース層上に設けられた第1の保護層と、
前記第1の保護層上に設けられた波導層と、
前記波導層上に設けられた第1の導波路であって、閉リングであり、第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径とを有する、第1の導波路と、
前記波導層上に設けられた第2の導波路であって、順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径とを有し、広帯域部で前記第2の導波路のカップリング効率は前記第1の導波路のカップリング効率に結合され、前記第1の導波路のカップリング効率と前記第2の導波路のカップリング効率とは互いに近い、第2の導波路と、
前記波導層、前記第1の導波路及び前記第2の導波路上に設けられた第2の保護層と、
を備え、
前記第1の半径、前記第2の半径及び前記第2の幅は、半径と有効屈折率との関係を示すグラフと、下記式1で表される半径と有効屈折率との関係とに従って定まり、
【数4】
前記式1において、n
eff1
は第1の有効屈折率であり、n
eff2
は第2の有効屈折率であり、R
1
は前記第1の半径であり、R
2
は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくなく、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.231≦W
1
/W
2
≦1.667の条件を満たし、W
1
は前記第1の幅であり、W
2
は前記第2の幅である
広帯域リング共振器。
【請求項5】
ベース層と、
前記ベース層上に設けられた第1の保護層と、
前記第1の保護層上に設けられた波導層と、
前記波導層上に設けられた第1の導波路であって、閉リングであり、第1のカップリング部を備え、前記第1のカップリング部は第1の幅と第1の半径とを有する、第1の導波路と、
前記波導層上に設けられた第2の導波路であって、順に互いに連接された第1の部分、第2のカップリング部、及び第2の部分を含み、前記第2のカップリング部は第2の幅と第2の半径とを有し、広帯域部で前記第2の導波路のカップリング効率は前記第1の導波路のカップリング効率に結合され、前記第1の導波路のカップリング効率と前記第2の導波路のカップリング効率とは互いに近い、第2の導波路と、
前記波導層、前記第1の導波路及び前記第2の導波路上に設けられた第2の保護層と、
を備え、
前記第1の半径、前記第2の半径及び前記第2の幅は、半径と有効屈折率との関係を示すグラフと、下記式1で表される半径と有効屈折率との関係とに従って定まり、
【数5】
前記式1において、n
eff1
は第1の有効屈折率であり、n
eff2
は第2の有効屈折率であり、R
1
は前記第1の半径であり、R
2
は前記第2の半径であり、dは誤差閾値であり、且つ前記誤差閾値は10%より大きくなく、
前記第2の半径は前記第1の半径より大きく、且つ1.231≦W
1
/W
2
≦1.667の条件を満たし、W
1
は前記第1の幅であり、W
2
は前記第2の幅であり、広帯域に対応する入射光の波長は1280ナノメートルから1330ナノメートルの範囲である
広帯域リング共振器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】