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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018845
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】衛生薄葉紙製品包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D77/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176719
(22)【出願日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022120295
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小坂 亜弓
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA16
3E067AA24
3E067AB76
3E067AB77
3E067AC03
3E067AC11
3E067AC14
3E067BA11B
3E067BA11C
3E067BA18C
3E067BA24C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC06B
3E067BC06C
3E067CA24
3E067EA01
3E067EA06
3E067EA40
3E067EB03
3E067EB22
3E067EE12
3E067FA04
3E067FB07
3E067FB20
3E067FC01
3E067GB02
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる衛生薄葉紙製品包装体を提供する。
【解決手段】本発明は、フィルムガゼット包装袋1p内に複数個の衛生薄葉紙製品2が収納されている衛生薄葉紙製品包装体1であって、前記フィルムガゼット包装袋1pの天面、正面、背面、および/または側面には、弁として機能する開孔部が少なくとも1つ設けられているものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムガゼット包装袋内に複数個の衛生薄葉紙製品が収納されている衛生薄葉紙製品包装体であって、前記フィルムガゼット包装袋の天面、正面、背面、および/または側面には、弁として機能する開孔部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項2】
前記フィルムガゼット包装袋は、天面側に持ち手部を有し、
前記開孔部は、前記フィルムガゼット包装袋の天面において、前記持ち手部を境として正面側および背面側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項3】
前記開孔部が切込み片により開閉可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項4】
前記開孔部が天面に前記持ち手部を境として対称に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項2に従属する請求項3に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項5】
前記開孔部が複数設けられており、これらの総面積が28mm2以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【請求項6】
前記衛生薄葉紙製品がフィルム包装ティシュペーパーであり、前記フィルム包装ティシュペーパーのフィルム包装袋に、弁として機能する開孔部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の衛生薄葉紙製品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生薄葉紙製品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレットロールやフィルム包装されたティシュペーパー(以下、「フィルム包装ティシュペーパー」とも言う)などの衛生薄葉紙製品が収納されている衛生薄葉紙製品包装体として、ガゼット包装袋内に複数個の衛生薄葉紙製品が収納されている衛生薄葉紙製品包装体が知られている。
【0003】
この種の衛生薄葉紙製品包装体の一例として、天面側に設けられた持ち手部に、シールラインを不連続としてガゼット包装袋内外を連通する空気孔が形成され、この空気孔によって衛生薄葉紙製品の包装工程においてガゼット包装袋を膨らませたときや衛生薄葉紙製品の包装状態において不用意に破裂等しないように抜気できるようになっているものが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5396917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早く十分に抜気できない場合、衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることが考えられる。特許文献1では、この点について十分考慮されていないため、特許文献1に記載の衛生薄葉紙製品包装体では、積み上げたときに安定した状態で保管や陳列できないおそれがある。
【0006】
本発明は、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる衛生薄葉紙製品包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、フィルムガゼット包装袋内に複数個の衛生薄葉紙製品が収納されている衛生薄葉紙製品包装体であって、前記フィルムガゼット包装袋の天面、正面、背面、および/または側面には、弁として機能する開孔部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
この構成により、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【0009】
本発明の第2形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、前記フィルムガゼット包装袋が、天面側に持ち手部を有し、前記開孔部が、前記フィルムガゼット包装袋の天面において、前記持ち手部を境として正面側および背面側に形成されていることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【0010】
この構成により、衛生薄葉紙製品包装体において、保管時等に持ち手部が天面の正面側又は背面側のいずれかに折り重ね合わされたときであっても、少なくとも持ち手部を境として正面側および背面側のいずれか一方の開孔部を通して確実に抜気することができる。
【0011】
本発明の第3形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、前記開孔部が切込み片により開閉可能に形成されていることを特徴とする第1形態又は第2形態として記載のものである。
【0012】
この構成により、衛生薄葉紙製品包装体内への埃等の異物の侵入を防止しつつ衛生薄葉紙製品包装体外へ確実に抜気することができる。
【0013】
本発明の第4形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、前記開孔部が天面に前記持ち手部を境として対称に形成されていることを特徴とする第2形態または第2形態を引用する第3形態として記載のものである。
【0014】
この構成により、衛生薄葉紙製品包装体において持ち手部を境として正面側および背面側の開孔部をダイカットロール等により一工程で簡単に形成できる。
【0015】
本発明の第5形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、前記開孔部が複数設けられており、これらの総面積が28mm2以上であることを特徴とする第1形態又は第2形態として記載のものである。
【0016】
この構成により、より効果的に素早くかつ十分に抜気可能である。
【0017】
本発明の第6形態に係る衛生薄葉紙製品包装体は、前記衛生薄葉紙製品がフィルム包装ティシュペーパーであり、前記フィルム包装ティシュペーパーのフィルム包装袋に、弁として機能する開孔部が設けられていることを特徴とする第1形態または第2形態として記載のものである。
【0018】
この構成により、フィルム包装ティシュペーパーについても、素早くかつ十分に抜気することができ、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の全体斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の正面図である。
図3】本発明に係る衛生薄葉紙製品包装体の天面側の傾斜面に形成された開孔部周辺の拡大平面図であり、(a)は第1実施形態に係る開孔部の形状について示し、(b)は第1実施形態の変形例に係る開孔部の形状について示す。
図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る、衛生薄葉紙製品包装体に収納される衛生薄葉紙製品の全体斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の全体斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の正面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の天面側の平面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1から図8を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る衛生薄葉紙製品包装体は、複数個の衛生薄葉紙製品を収納してガゼット包装したものであり、本発明に係る衛生薄葉紙製品包装体に収納される衛生薄葉紙製品は、トイレットロール、フィルム包装ティシュペーパー、キッチンタオルロール、ハンドタオルロール等である。以下、本発明の一実施形態では、2枚のティシュペーパーを1組として、複数組のティシュペーパーを交互に折り畳み積層した積層体をフィルムによってピロー包装またはキャラメル包装したフィルム包装ティシュペーパーを衛生薄葉紙製品として説明する。図中、衛生薄葉紙製品包装体に収納されるフィルム包装ティシュペーパーを二点鎖線で表す。
【0023】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、フィルムガゼット包装袋やフィルム包装袋の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。
【0024】
さらに、本明細書、特許請求の範囲、および図面の記載において、「高さ方向」、「幅方向」、および「奥行き方向」はそれぞれ直交するものとする。
【0025】
また、本明細書の記載において、「矩形」とは、長方形のほか正方形を含むだけでなく、略長方形や略正方形を含むものであり、「直方体」とは、立方体を含むだけでなく、略直方体や略立方体を含むものである。
【0026】
本明細書、特許請求の範囲、および図面の記載において、「開孔部」とは、例えば、切込み片と、当該切込み片が外側に突出することで形成される小孔とで構成される、いわば弁として機能するものとして参照される。具体的には、例えば、衛生薄葉紙製品包装体や衛生薄葉紙製品の内部が、膨張したり、外部からの圧力によって圧迫されたりしたときに、切込み片が開放する(突出する)ことによって、衛生薄葉紙製品包装体や衛生薄葉紙製品の内部に在る空気が、当該小孔を通って外側に向けて抜気され(逃げ)、当該抜気された後は、切込み片の基端が持つ復元力によって、切込み片が元の位置に戻り閉鎖される、という弁のような動作が「開孔部」において行われる。
【0027】
本明細書、特許請求の範囲、および図面の記載において、「開孔部の面積」とは、開孔部の外側輪郭で囲まれた領域の面積をいい、例えば、開孔部が切込み片と、当該切込み片が外側に突出することで形成される小孔とで構成される場合、当該切込み片の切れ込みと、当該切れ込みの端部同士を連結した直線とで囲まれた面積を表す。
【0028】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1の全体斜視図であり、図2は本実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1の正面図である。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、天面側に天面側封止部11を有するフィルムガゼット包装袋1p内に複数個の衛生薄葉紙製品(フィルム包装ティシュペーパー)2が収納されている衛生薄葉紙製品包装体1であって、フィルムガゼット包装袋1pの天面には、天面側封止部11を境として正面側および背面側に弁として機能する開孔部121が設けられている。
【0030】
この構成により、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体1が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。なお、本実施形態では、フィルムガゼット包装袋1pの天面において、傾斜面12の正面側および背面側に開孔部121が二対設けられているが、本発明ではこの限りではなく、開孔部121が設けられる場所は、フィルムガゼット包装袋1pの天面、正面、背面、および/または側面の何処でもよいし、開孔部121が設けられる数は、1つ以上であれば特に限定されない(後述の第2および第3実施形態も参照)。
【0031】
本実施形態では、衛生薄葉紙製品包装体1は、図1から図3に示すように、天面側の開口を封止するための天面側封止部11と、天面側封止部11を挟むように正面側と背面側に位置する一対の傾斜面12と、を天面に有する頂部1Aと、5個のフィルム包装ティシュペーパー2を横詰めで収納している胴部1Bとで構成される。本発明では、フィルム包装ティシュペーパー2については、その底面を天面に乗せていき平積みするような横詰めに限らず、側面をフィルムガゼット包装袋1pの底面に向けて並置するような縦詰めするようしてもよい。
【0032】
ガゼット包装は、天底側の熱融着等による接着部分の間にある袋状の空間に、被包装物が複数個内包され、正面と背面との間にマチを有する包装形態であり、本実施形態においても、天面側封止部11と底面側封止部13との間であって、正面と背面との間にマチ14が形成され、天面側封止部11と底面側封止部13との間にある袋状の空間に、被包装物であるフィルム包装ティシュペーパー2が複数個内包されている。なお、天面側封止部11には、幅方向両端部にフィルムが4枚重ね合わされた4枚重ね部11aが形成されているとともに、幅方向両側の4枚重ね部11aの間にフィルムが2枚重ね合わされた2枚重ね部11bが形成され、かつ互いに重ね合わされたフィルムが幅方向に沿って直線状にヒートシール結合されている。また、底面側封止部13には、天面側封止部11と同様に、幅方向両端部にフィルムが4枚重ね合わされた4枚重ね部13aが形成されているとともに、幅方向両側の4枚重ね部13aの間にフィルムが2枚重ね合わされた2枚重ね部13bが形成され、互いに重ね合わされたフィルムが幅方向に沿って直線状にヒートシール結合されている。
【0033】
このようなガゼット包装は、例えば、ガゼットチューブともいわれる筒状のフィルムガゼット包装袋の側部を袋内側に折り込みして偏平にしたガゼットチューブの天面側となる部分を熱融着してヒートシールすることにより、天面側の開口を封止する天面側封止部11を形成し、その後に天面側が封止されたフィルムガゼット包装袋前駆体の底面側開口を拡開してそこから被包装物であるフィルム包装ティシュペーパー2を(本実施形態では5個を横詰めで)挿入し、その後に底面側も熱融着等の適宜の封止手段にて封止して底面側封止部13を形成するようにして製造される。ここで、フィルムガゼット包装袋前駆体の底面側開口からのフィルム包装ティシュペーパー2(本実施形態では5個を横詰めで)の挿入に先立ち、フィルムガゼット包装袋p1に開孔部121を形成しておけば、フィルムガゼット包装袋前駆体の底面側開口からのフィルム包装ティシュペーパー2の挿入時に開孔部121を通して抜気しつつフィルム包装ティシュペーパー2をフィルムガゼット包装袋前駆体の底面側開口から不都合なく挿入することができる。
【0034】
本実施形態では、衛生薄葉紙製品包装体1において、開孔部121が切込み片により開閉可能に形成されている。この構成により、衛生薄葉紙製品包装体1内への埃等の異物の侵入を防止しつつ衛生薄葉紙製品包装体1外へ確実に抜気することができる。
【0035】
なお、本発明では、天面側に天面側封止部11を有するフィルムガゼット包装袋1p内に複数個の衛生薄葉紙製品(フィルム包装ティシュペーパー2)が収納される構成であればよく、底面側封止部13については、互いに重ね合わされたフィルムを幅方向に沿って直線状にヒートシール結合する構成に限らず、合わせ包みヒートシール包装により封止するようにしてもよい。
【0036】
図3は本発明に係る衛生薄葉紙製品包装体の天面側の傾斜面に形成された開孔部周辺の拡大平面図であり、図3(a)は第1実施形態に係る開孔部121の形状について示し、図3(b)は第1実施形態の変形例に係る開孔部121’の形状について示す。
【0037】
開孔部121は、切込み片121dと、当該切込み片121dが外側に突出することで形成される小孔とで構成される。切込み片121dは、一直線上にない3点を結ぶ2辺を連続的に結ぶ直線あるいは曲線の切れ込みであり、開閉可能となっている。本実施形態では、図1から図3(a)に示すように、フィルムガゼット包装袋1pの傾斜面12に円形に切れ込みを入れていき一部を残すことで形成されている。詳しく説明すると、図3(a)に示すように、円状に切れ込みを入れて上下に連結部121cを残す形で開孔部121が2つの半円状の孔により略円形に形成されている。このように一部を残すことで、切れ込みが入った場所においてフラップ状の切込み片121dが開孔部121を開閉可能となり、開孔部121を通して抜気することが可能となり、また、開孔部121からの塵埃等の異物の侵入を抑制することが可能となる。単一の開孔部121の面積(2つの半円状の孔により構成される単一の開孔部121の面積)は、例えば、7mm2~50mm2とすることができる。また、開孔部121の総面積(単一の開孔部の面積×開孔部の個数(本実施形態の場合には4個))は、本発明の効果を奏する上で、28mm2~200mm2とすることができる。特に、開孔部121の総面積が28mm2を下回ると、抜気効果が低下することとなる。
【0038】
なお、本発明では、開孔部121の切れ込み形状は円形に限られず、略円形、楕円、卵形、2つの同形の円弧を両端部でそれぞれ接続したような貝形状、多角形等が採用されうる。また、本発明では、開孔部121において切込みを残す部分は、本発明の効果を奏する限りにおいて、様々な箇所や形状が採用されうる。また、本発明では、開孔部121を切込み片121dにより開閉可能とする場合に限らず、開孔部121を常時開口する円形や多角形等の開口として形成するようにしてよい。
【0039】
本発明の第1実施形態の変形例では、図3(b)に示すように、開孔部121’において切込み片121’dはV字形状を有するものであり、切れ込みの端部同士の連結部分が、切込み片121’dの基端となっている。ここで例えば、衛生薄葉紙製品包装体1の内部から抜気される際、その基端から切込み片121’dが外側へ向けて突出することになり、抜気後には、その基端において復元力が作用し、切込み片121’dが元の位置に戻り、小孔を閉鎖することになり、塵埃侵入防止として機能することになる。
【0040】
本実施形態に係るフィルム包装ティシュペーパー2は、ティシュペーパーの束をオーバーラップ包装したものであり、当該オーバーラップ包装は、キャラメル包装または合せ包み包装とも呼ばれる包装である。
【0041】
フィルム包装ティシュペーパー2の外装を構成する柔軟性のある樹脂製の包装フィルムの具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが挙げられる。また、環境保護の観点から、サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることが望ましい。コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0042】
また、フィルム包装ティシュペーパー2の外装を構成する包装フィルムは、意匠性や手触り性に優れる梨地フィルムであってもよいし、さらに、香り付きのティシュペーパーなど臭気のあるものを包装するのであれば、保香性に優れるエチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いることができる。エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの一方面または両面に、ポリエチレン樹脂製フィルムやポリプロピレン樹脂製フィルムを積層して熱融着性が高められた複層の樹脂フィルムを用いてもよい。
【0043】
フィルムガゼット包装袋1pのフィルムとしては、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルムであるのがコスト面及び開封性の点で望ましく、ポリエチレンフィルムとしては、直鎖低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムを用いることが可能である。フィルム包装ティシュペーパー2の外装を構成する包装フィルムと同様に、環境保護の観点から、サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることが望ましい。
【0044】
従来、ガゼット包装内に複数個の衛生薄葉紙製品が収納されている衛生薄葉紙製品包装体の一例として、天面側に設けられた持ち手部には、シールラインを不連続としてガゼット包装袋内外を連通する空気孔が形成され、この空気孔によって衛生薄葉紙製品の包装工程においてガゼット包装袋を膨らませたときや衛生薄葉紙製品の包装状態において不用意に破裂等しないように抜気できるようになっているものが特許文献1に記載されている。
【0045】
ところで、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体を積み上げたときに、素早く十分に抜気できない場合、衛生薄葉紙製品包装体が傾いたり、崩れたりすることが考えられる。特許文献1では、この点について十分考慮されていないため、特許文献1に記載の衛生薄葉紙製品包装体では、積み上げたときに安定した状態で保管や陳列できないおそれがある。
【0046】
本実施形態によれば、店頭等において、複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を積み上げたときに、素早くかつ十分に抜気して衛生薄葉紙製品包装体1が傾いたり、崩れたりすることを抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、衛生薄葉紙製品包装体に収納される衛生薄葉紙製品としてのフィルム包装ティシュペーパー2のフィルム包装袋には設けられていないが、本実施形態の変形例では、フィルム包装ティシュペーパー2のフィルム包装袋の不要な膨張を防止すべく、フィルム包装ティシュペーパー2のフィルム包装袋に、開孔部121を設けてもよい。
【0048】
図4は、本実施形態の変形例に係る、衛生薄葉紙製品包装体に収納されるフィルム包装ティシュペーパー2の全体斜視図である。本実施形態に係る衛生薄葉紙製品2を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、本発明の第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
フィルム包装ティシュペーパー2は、フィルム包装袋2p内にティシュペーパーの束が収納されている状態で略直方体を呈しているものであり、フィルム包装袋2pには、図4に示すように、当該ティシュペーパーの取り出し口が形成されるミシン目220が天面部22に直線状に形成されている。また、フィルム包装袋2pの一対の長側面部23には、図4に示すように、二対の開孔部121が離間して形成されている。この構成により、フィルム包装ティシュペーパー2の包装袋2pの不要な膨張を防止することが可能となる。なお、開孔部121の数は、これに限られず、開孔部121が形成される箇所は、略直方体のフィルム包装袋2pを構成する長側面部23および短側面部24のいずれの面部であってもよい。この構成を有するフィルム包装ティシュペーパー2は、上記の本発明の第1実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1に収納されてもよいし、後述の第2または第3実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’、1’’に収納されてもよい。また、開孔部121は、上記本発明の一実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1と同様に、切込み片により開閉可能に形成することが好ましく、これにより、フィルム包装ティシュペーパー2内への埃等の異物の侵入を防止しつつフィルム包装ティシュペーパー2外へ確実に抜気することができる。
【0050】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態では、第1実施形態と異なり、フィルムガゼット包装袋1pの天面側に形成された天面側封止部11を幅広にして、掴んで衛生薄葉紙製品包装体を持ち運び可能に持ち手部11hを設ける。
【0051】
図5は本発明の第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’の全体斜視図であり、図6は本実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’の正面図であり、図7は本実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’の天面側の平面図である。本実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、本発明の第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施形態では、天面側封止部11が持ち手部11hを兼ねており、天面側封止部11の4枚重ね部11aおよび2枚重ね部11bにおいて、互いに重ね合わされたフィルムが全域に亘って部分的にヒートシール結合され、ヒートシール部111が形成されており、かつ天面側封止部11の2枚重ね部11bには指掛け孔112が形成されている。
【0053】
本実施形態では、衛生薄葉紙製品包装体1’において、図7に示すように、開孔部121が天面に持ち手部11hを境として対称に二対形成されている。この構成により、衛生薄葉紙製品包装体1’において持ち手部11hを境として正面側および背面側の開孔部121をダイカットロール等により一工程で簡単に形成できる。本発明では、開孔部121の数はこれに限られず、また、天面の正面側および背面側のいずれか一方に開孔部121を設ける態様も許容されうる。
【0054】
本実施形態では、指掛け孔112が持ち手部11hの幅方向に離間して2箇所設けられている。この構成により、持ち運び時に持ち手部11hに作用する力が分散し、持ち手部11hの全体に亘って強度を効果的に向上することができる。本発明では、指掛け孔112は、持ち手部11hに1箇所設けられても良いし、持ち手部11hの幅方向に離間して3箇所以上設けられても良いし、持ち手部11hに指掛け孔112が全く設けられない態様も許容されうる。
【0055】
本実施形態では、持ち手部11hにおいて互いに重ね合わされたフィルムが持ち手部11h全域に亘って網点状にヒートシール結合されている。この構成により、持ち手部11hの全体に亘って凹凸が付与され、ひいては、持ち手部11hの滑りが防止されて運搬時の作業性が向上する。持ち手部11hには、図5および図6に示すように、互いに重ね合わされたフィルムをヒートシール結合することで、複数の矩形状のヒートシール部111が縦横方向において所定間隔をもって整列して形成されている。なお、本発明では、持ち手部11hにヒートシール部111が形成されない態様も許容されうる。
【0056】
ヒートシール部111の網点状の点の形状は、本実施形態では矩形であるが、本発明ではこれに限られず、例えば、正方形や、曲線を含む角丸多角形、円、楕円等が採用されうる。また、ヒートシール部111の網点状のパターンは、本実施形態では矩形のヒートシール部111が縦横方向に所定間隔をもって整列した格子パターンとしたが、本発明ではこれに限られず、斜め格子パターンなど様々な配列パターンが採用可能である。
【0057】
フィルムガゼット包装袋1’pの持ち手部11hにおいて、フィルム2枚重ね部11bに指掛け孔112を有する構成とするための好ましい要件としては、図1および図2を参照して、(1)衛生薄葉紙製品包装体1’の奥行き寸法L2≦衛生薄葉紙製品包装体1’の幅寸法L1×0.6、かつ(2)持ち手部11hの幅寸法L3≦衛生薄葉紙製品包装体1’の幅寸法L1×1.1である。ここで上記(2)の数値1.1は、衛生薄葉紙製品包装体1’が幅方向に圧縮されることを考慮したものである。
【0058】
また、持ち手部11hが天面側封止部を兼ねる構成に限らず、例えば、持ち手部11hとフィルム包装ティシュペーパー2の収納部との間において、互いに重ね合わされたフィルムを幅方向に沿って直線状にヒートシール結合して封止する天面側封止部を別途設けるようにしてもよい。
【0059】
従来、特に特許文献1に記載の上記構造にあっては、保管時等に持ち手部が天面の正面側又は背面側のいずれかに折り重ね合わされたときに、空気孔が塞がれて抜気できず、安定した状態で保管できない等の問題があった。
【0060】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するほか、フィルムガゼット包装袋1’pの天面であって、持ち手部11hを境として正面側および背面側に開孔部121を形成しているので、持ち手部11hが天面の正面側又は背面側のいずれかに折り重ね合わされた場合であっても、正面側および背面側のいずれか一方の開孔部121を通して確実に抜気することができる。
【0061】
<第3実施形態>
開孔部121は、衛生薄葉紙製品包装体1の天面に限らず、正面、背面や側面に形成してもよい。つまり、天面に開孔部121が形成されている上記本発明の第1実施形態や第2実施形態のような構成に代えて、正面、背面や側面に開孔部121が形成されている構成を採用してもよい。この場合にも、開孔部121は、上記本発明の第1実施形態や第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1、1’と同様に、切込み片により開閉可能に形成することが好ましく、これにより、衛生薄葉紙製品包装体1’’内への埃等の異物の侵入を防止しつつ衛生薄葉紙製品包装体1’’外により効果的に抜気することができる。
【0062】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’’の全体斜視図である。本実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1’’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、本発明の第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。衛生薄葉紙製品包装体1’’のフィルムガゼット包装袋1’’pには、図8に示すように、開孔部121が、衛生薄葉紙製品包装体1’’の一対の正面部・背面部15の上部に二対形成され、左右一対の側面部16の上部に一対形成されている。開孔部121の数と場所については、一対の正面部・背面部15に1個ずつ形成されてもよいし、一対の正面部・背面部15、左右一対の側面部16のいずれかの面部に形成されてもよいし、様々な態様が採用されうる。この構成により、衛生薄葉紙製品包装体1’’のフィルムガゼット包装袋1’’pの不要な膨張を防止することが可能となる。なお、本発明では、天面に開孔部121が形成されている上記本発明の第1実施形態や第2実施形態のような構成に、正面、背面や側面に開孔部121が形成されている構成を追加する態様も許容されうる。これらの場合にも、開孔部121は、上記本発明の第1実施形態や第2実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1、1’と同様に、切込み片により開閉可能に形成することが好ましく、これにより、衛生薄葉紙製品包装体1’’内への埃等の異物の侵入を防止しつつ衛生薄葉紙製品包装体1’’外へ抜気することができる。
【0063】
<その他>
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0064】
また、上記第2および第3実施形態では、フィルムガゼット包装袋1pの天面に持ち手部11hを境として正面側および背面側に開孔部121を形成したが、持ち手部11hを省略し、上述したように、フィルムガゼット包装袋1pの天面および/または正面、背面、側面に単一又は複数の開孔部を設けるようにしてもよい。この場合には、衛生薄葉紙製品包装体1の製造後の後工程において複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を段ボール箱に箱詰めするに際し、その箱詰め動作により衛生薄葉紙製品包装体1を抜気しつつ複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を段ボール箱にがたつきなく安定して箱詰めすることができる。特に、段ボール箱を安定して段積みできるように段ボール箱の大きさを小さめに設定し、複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を圧縮しつつ段ボール箱に箱詰めするに際して衛生薄葉紙製品包装体1を抜気しつつ複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を段ボール箱にがたつきなく安定して箱詰めすることができる。また、この場合には、開孔部をフィルムガゼット包装袋1pの隣接する二つ面、例えば、フィルムガゼット包装袋1pの天面および正面に設けるようにすれば、複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を圧縮しつつ段ボール箱に箱詰めするに際し、その圧縮方向にかかわらず、衛生薄葉紙製品包装体1を抜気しつつ複数個の衛生薄葉紙製品包装体1を段ボール箱にがたつきなく安定して箱詰めすることができる。これらの場合にも、上記本発明の一実施形態に係る衛生薄葉紙製品包装体1と同様に、開孔部を切込み片により開閉可能に形成することが好ましく、これによっても、衛生薄葉紙製品包装体1内への埃等の異物の侵入を防止しつつ衛生薄葉紙製品包装体1外へ抜気することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1’、1’’ 衛生薄葉紙製品包装体
1p、1’p、1’’p フィルムガゼット包装袋
1A 頂部
11 天面側封止部
11h 持ち手部
111 ヒートシール部
112 指掛け孔
12 傾斜面
121 開孔部
1B 胴部
2 衛生薄葉紙製品(フィルム包装ティシュペーパー)
2p フィルム包装袋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8