(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018895
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】キャリアプレートおよびウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20240201BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E05F11/48 D
B60J1/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026536
(22)【出願日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2022120825
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 信悟
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛史
【テーマコード(参考)】
3D127
【Fターム(参考)】
3D127AA12
3D127CB05
3D127CC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ホルダの側縁に伝わって落ちてきた水を所定の経路で流すことができるキャリアプレートおよびウインドレギュレータを提供する。
【解決手段】キャリアプレートは、窓ガラスがホルダを介して取り付けられ、ガイドレールを摺動するキャリアプレートであって、前記ホルダが取り付けられる取付部71と、前記取付部71の一方側に設けられ、前記ホルダの一方側側縁を伝わって落ちてきた水を下方に案内する案内部743と、前記案内部743から前記ホルダが取り付けられる領域に向かって所定距離離れた位置に設けられ、前記ホルダの取付位置を規制する壁部732と、を備え、前記ホルダの側縁を伝わって落ちてきた水が前記案内部743と前記壁部732との間を流れるように構成された。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスがホルダを介して取り付けられ、ガイドレールを摺動するキャリアプレートであって、
前記ホルダが取り付けられる取付部と、
前記取付部の一方側に設けられ、前記ホルダの一方側側縁を伝わって落ちてきた水を下方に案内する案内部と、
前記案内部から前記ホルダが取り付けられる領域に向かって所定距離離れた位置に設けられ、前記ホルダの取付位置を規制する壁と、
を備え、
前記ホルダの一方側側縁を伝わって落ちてきた水が前記案内部と前記壁との間を流れるように構成されたキャリアプレート。
【請求項2】
前記壁は、前記案内部側に傾斜する傾斜面を有する請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項3】
前記取付部の前記壁が設けられた側とは反対側に、前記ホルダの一方側側縁とは反対側の他方側側縁を伝わって落ちてきた水を下方に案内するビード部をさらに備える請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項4】
前記ビード部の一端は、前記案内部に向けて延びており、前記壁と前記案内部との間に形成される流路の出口には、前記ビード部の先端部、前記壁、及び、前記案内部により部分的に囲まれ、前記流路から流出する水と、前記ビード部により案内された水とが合流し、合流した水を前記ビード部の先端部と前記案内部の間から前記案内部に沿って下方に流す合流領域が形成されている請求項3に記載のキャリアプレート。
【請求項5】
前記壁と前記案内部との間に形成される流路の上流側の流路の一部を残して切り欠いた切欠部が形成されている請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項6】
前記取付部の前記窓ガラスが取り付けられる側の縁部は、前記案内部が設けられている側に傾斜する傾斜面を有する請求項1に記載のキャリアプレート。
【請求項7】
前記縁部は、前記ホルダの一部が載置される平坦面を有する請求項6に記載のキャリアプレート。
【請求項8】
前記縁部は、前記平坦面と一方の側で略垂直に交わり、かつ、他方の側で前記傾斜面と交わる面を有する請求項7に記載のキャリアプレート。
【請求項9】
請求項1に記載のキャリアプレートを備えるウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアプレートおよびウインドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、窓ガラスを保持するキャリアプレートをケーブルで牽引してガイドレール上を摺動させ、窓ガラスを昇降させるウインドレギュレータが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、窓ガラスを伝わってきた雨水等の水を排水するための排水構造を有するキャリプレートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、窓ガラスを保持するホルダがキャリアプレートに取り付けられる場合、ホルダの位置がずれてホルダの側縁とキャリアプレートとの隙間が小さくなると、窓ガラスからホルダの側縁を伝わって落ちてきた水があふれて下方に落ち、ウインドレギュレータに備えられた、例えば、ケーブルを巻き取るドラムを駆動する駆動モータのヨークにかかる場合があり、故障の原因となる虞がある。
【0006】
本発明では、ホルダの側縁に伝わって落ちてきた水を所定の経路で流すことができるキャリアプレートおよびウインドレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明におけるキャリアプレートは、
窓ガラスがホルダを介して取り付けられ、ガイドレールを摺動するキャリアプレートであって、
前記ホルダが取り付けられる取付部と、
前記取付部の一方側に設けられ、前記ホルダの一方側側縁を伝わって落ちてきた水を下方に案内する案内部と、
前記案内部から前記ホルダが取り付けられる領域に向かって所定距離離れた位置に設けられ、前記ホルダの取付位置を規制する壁部と、
を備え、
前記ホルダの一方側側縁を伝わって落ちてきた水が前記案内部と前記壁部との間を流れるように構成された。
【0008】
本発明におけるウインドレギュレータは、
上記のキャリアプレートを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るキャリアプレートでは、ホルダの側縁に伝わって落ちてきた水を所定の経路で流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータの正面図である。
【
図2】
図2は、ウインドレギュレータの側面図である。
【
図3】
図3は、ガイドレールに組み付けられたキャリアプレートの斜視図である。
【
図4】
図4は、キャリアプレートを厚さ方向他側から見たときの矢視図である。
【
図5】
図5は、キャリアプレートを上方向から見たときの矢視図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態におけるキャリアプレートの構造の一部を示す図である。
【
図7】
図7は、比較例におけるキャリアプレートの構造の一部を示す図である。
【
図8】
図8は、傾斜部を有するキャリアプレートの斜視図である。
【
図9】
図9は、傾斜部が形成された上側縁部の側面図である。
【
図10】
図10は、上側縁部の平坦面と略垂直に交わる面がない上側縁部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)ウインドレギュレータ
本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータ1について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るウインドレギュレータの正面図である。
図2はウインドレギュレータの側面図である。なお、以下の説明では、ウインドレギュレータ1の正面図を、ウインドレギュレータ1を平面視した場合の図として説明する。
図1には、X軸、Y軸およびZ軸が描かれている。
図1の紙面の奥行方向を厚さ方向又はX方向といい、手前側を厚さ方向一側又は「+X方向」、奥側を厚さ方向他側又は「-X方向」という。また、
図1において左右方向を幅方向又はY方向といい、左方向を幅方向一側又は「+Y方向」、右方向を幅方向他側又は「-Y方向」という。また、
図1において上下方向を長さ方向又はZ方向といい、上方向を上側又は「+Z方向」、下方向を下側又は「-Z方向」という。なお、窓ガラスの昇降方向を上下方向(Z方向)といい、窓ガラスの上昇方向を「+Z方向」、窓ガラスの下降方向を「-Z方向」という場合がある。
【0012】
ウインドレギュレータ1は、車両のドアパネル(図示せず)に支持される。ウインドレギュレータ1は、移動対象物である窓ガラス(図示せず)を昇降移動させる機構である。
【0013】
図1および
図2に示すように、ウインドレギュレータ1は、主に、ガイドレール31と、キャリアプレート32と、上昇側ケーブル33と、下降側ケーブル34と、駆動部35とを備えている。
【0014】
ガイドレール31は、窓ガラスの昇降方向(Z方向)に沿って設けられ、キャリアプレート32を窓ガラスの昇降方向に案内する部材である。ガイドレール31は、概ね車両上下方向(Z方向)に延びており、具体的には取り付けられる窓ガラス(図示せず)に対してわずかに斜めに傾斜するようにされている。
【0015】
図3は、ガイドレール31に組み付けられたキャリアプレート32の斜視図である。キャリアプレート32は、窓ガラスの下端部を保持するとともに、ガイドレール31に係合して窓ガラスの昇降方向に摺動案内される部材である。キャリアプレート32は、ガイドレール31の縁に沿って昇降する。キャリアプレート32の構造は後に詳細に説明する。
【0016】
ガイドレール31の上端部には、上昇側ケーブル33の移動方向を転換するための方向転換部材としての上部ケーブルガイド45(
図1を参照)が設けられている。
【0017】
図1および
図2に示すように、ガイドレール31の下端には、上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34の巻き取り及び繰り出しを行うための駆動部35が設けられている。駆動部35は、ドラムハウジング51と、ドラム(図示せず)と、駆動モータ56とを有している。ドラムハウジング51は、ガイドレール31の下端部に取り付けられ、車両のドアパネル(図示せず)にガイドレール31を固定する。
【0018】
ドラムハウジング51は、ドラムを回転自在に支持する。駆動モータ56は、ドラムハウジング51に一体的に取り付けられ、ドラムを正逆両方向に回転駆動する。
【0019】
上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34は、キャリアプレート32を上下方向(Z方向)に牽引するものであり、複数の金属素線または樹脂繊維素線を寄り合わせた公知のものを用いることができる。上昇側ケーブル33は、一端がキャリアプレート32に連結され、上部ケーブルガイド45に掛け回されて、他端がドラムに連結されている。下降側ケーブル34は、一端がキャリアプレート32に連結され、他端がドラムに連結されている。
【0020】
駆動部35は、駆動モータ56が、ドラムを回転することにより、上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34を巻き取り及び繰り出を行う。
【0021】
図4は、キャリアプレートを厚さ方向他側から見たときの矢視図である。上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34の一端には、それぞれのエンド33aおよびエンド34aが設けられている。エンド33a及びエンド34aは、例えば、金属材料のダイカストにより形成されるものであり、上昇側ケーブル33又は下降側ケーブル34の一端が取り付けられる基端部と、基端部よりも大きい外径である鍔部とを有している。基端部は、円柱形状又は円錐台形状に形成され、鋳込み、カシメ止め、接着、溶接、ボルト止め、その他の方法で上昇側ケーブル33又は下降側ケーブル34の一端が固定されている。
【0022】
エンド33a及びエンド34aには、それぞれコイルスプリング85及びコイルスプリング87が装着されている。コイルスプリング85及びコイルスプリング87は、上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34の弛みを取る方向にエンド33a及びエンド34aを付勢する付勢部材である。
【0023】
(2)ガイドレール
ガイドレール31は、自動車の窓ガラスの湾曲に合わせて緩く湾曲している。ガイドレール31は、例えば、ステンレススチール、アルミニウム合金、その他の硬質の材料で構成されている。
【0024】
図1に描かれたガイドレール31の正面図にガイドレール31を上方向から見たコ字形状の横断面Cを重ねて示す。ガイドレール31は、基部37と、側壁部38aと、側壁部38bと、フランジ部39aと、フランジ部39bとを有している。基部37は、幅方向(Y方向)に所定の長さを有し、上下方向(Z方向)に延在している。側壁部38aは、基部37の幅方向一端側(+Y方向)の端に位置し、基部37の長さ方向(Z方向)に沿って基部37の長辺から立設している。側壁部38bは、基部37の幅方向他端側(-Y方向)の端に位置し、基部37の長さ方向(Z方向)に沿って基部37の長辺から立設している。
【0025】
フランジ部39aは、側壁部38aから直角に屈曲して、基部37と平行に且つ幅方向一端側(+Y方向)に延びている。
【0026】
フランジ部39bは、側壁部38bから直角に屈曲して、基部37と平行に且つ幅方向他端側(-Y方向)に延びている。
【0027】
(3)ドラムハウジング
ドラムハウジング51は、ガイドレール31との嵌合部と円筒状のドラム収容部とを有する本体51a(
図1を参照)を有している。本体51aには、ドラムを収容する円柱状の凹所が形成されている。凹所から上昇側ケーブル33及び下降側ケーブル34をそれぞれ通して外部に導出するための上昇側ケーブル導出溝57及び下降側ケーブル導出溝59が本体51aに形成されている。
【0028】
(4)キャリアプレートの構造
次に、本実施の形態におけるキャリアプレート32の構造について
図4、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、キャリアプレート32を上方向から見たときの矢視図である。
図6は、本実施の形態におけるキャリアプレート32の構造の一部を示す図である。
【0029】
図4および
図5に示すように、キャリアプレート32は、本体32aを有している。本体32aは、基体であり、他の構造が形成される部分であればよい。
【0030】
本体32aは、面32bと、面32cと、上側縁部32dと、下側縁部32eと、一側縁部32fと、他側縁部32gとを有している。
【0031】
面32bは、本体32aが有する厚さ方向一側(+X方向)にある面である。面32cは、厚さ方向他側(-X方向)に面する。
【0032】
上側縁部32dは、本体32aが有する外周縁のうち、上側(+Z方向)に位置し、幅方向一側(+Y方向)に位置する端から幅方向他側(-Y方向)に延在する縁である。下側縁部32eは、本体32aが有する外周縁のうち、下側(-Z方向)に位置し、幅方向一側(+Y方向)に位置する端から幅方向他側(-Y方向)に延在する縁である。
【0033】
一側縁部32fは、本体32aが有する外周縁のうち、幅方向一側(+Y方向)に位置し、上側(+Z方向)に位置する端から下方向(-Z方向)に対して幅方向他側(-Y方向)へ斜め方向に延在する縁である。
【0034】
他側縁部32gは、本体32aが有する外周縁のうち、幅方向他側(-Y方向)に位置し、上側(+Z方向)に位置する端から下方向(-Z方向)に対して幅方向一側(+Y方向)へ斜め方向に延在する縁である。他側縁部32gのうち、上側(+Z方向)に位置する縁部、上下方向(Z方向)の中央部に位置する縁部、および、下側(-Z方向)に位置する縁部のそれぞれを、縁部32g1、縁部32g2および縁部32g3という。
【0035】
図3から
図5に示すように、面32b側には、取付部71,73が設けられている。取付部71,73は、窓ガラス(図示せず)を保持するためのホルダ91(
図6を参照)が取り付けられる。ホルダ91は、所定厚を有するプレート状であって、取り付けられるホルダに応じた外形とされ、本実施形態では逆台形状の外形を有する。
図6に示す逆台形状の周縁のうち、上側(+Z方向)に位置する周縁、下側(-Z方向)に位置する周縁、幅方向一側(+Y方向)に位置する周縁、および、幅方向他側(-Y方向)に位置する周縁のそれぞれを
図6に示すように上側周縁911、下側周縁912、一側周縁913、および、他側周縁914という。なお、取付部71,73については、後に詳細に説明する。
【0036】
図4及び
図5に示すように、面32c側には、ガイド溝75、回転防止爪77、弾性爪78、上昇側エンドホルダ79および下降側エンドホルダ81のそれぞれが設けられている。
【0037】
ガイド溝75は、幅方向(Y方向)の中央部には配置される。ガイド溝75は、ガイドレール31の側壁部38a(
図1を参照)およびフランジ39a(
図1を参照)を摺動する溝である。側壁部38aおよびフランジ39aは、XY平面の断面形状がL字状である。これにより、キャリアプレート32における幅方向中央に位置する中央部は、側壁部38aおよびフランジ39aに対して、厚さ方向(X方向)および幅方向(Y方向)のガタツキが生じにくい。
【0038】
回転防止爪77は、ガイド溝75よりも幅方向他側(-Y方向)に配置される。回転防止爪77は、キャリアプレート32のガイド溝75回りの回転を防止するものである。弾性爪78は、幅方向(Y方向)でガイド溝75と回転防止爪77との間に配置される。弾性爪78は、本体32aに設けられた厚さ方向他側(-X方向)の面32cから厚さ方向他側(-X方向)に対して幅方向他側(-Y方向)へ斜め方向に延在する。
【0039】
弾性爪78は、弾性を有している。これにより、弾性爪78は、例えば外力等によって厚さ方向一側(+X方向)に撓んだ場合、厚さ方向他側(-X方向)に戻ろうとする復元力を有する。弾性爪78は、フランジ39aが有する厚さ方向一側(+X方向)に位置する面に接する。また、回転防止爪77は、フランジ39aが有する厚さ方向他側(-X方向)に位置する面に接する。これにより、キャリアプレート32における幅方向他側(-Y方向)端部は、フランジ39aに対して厚さ方向(X方向)にガタツキが生じにくい。
【0040】
つまり、キャリアプレート32がガイドレール31に組み付けられた状態においては、ガイド溝75は、ガイドレール31に備えられたフランジ39aを摺動する。回転防止爪77と弾性爪78との間に設けられた溝(隙間)は、ガイドレール31に備えられたフランジ部39bを摺動する。
【0041】
(取付部71の詳細)
次に、ホルダ91が取り付けられる取付部71の詳細について
図3および
図5を参照して説明する。取付部71は、面32bのうち、幅方向一側(+Y方向)かつ上側(+Z方向)の領域に配置される。
【0042】
取付部71は、壁711,712,713,714とビード部721,722とを有する。
【0043】
壁711は、YZ平面に沿って広がる壁であって、穴711aおよび穴711bを有している。
【0044】
穴711aは、取付部71が配置される領域における幅方向一側(+Y方向)かつ下側(-Z方向)に位置し、壁711を厚さ方向(X方向)に貫通する穴であって、所定の内周形状を有する穴である。穴711aの周縁のうち、上側(+Z方向)に位置する周縁、下側に位置する周縁、幅方向一側に位置する周縁、幅方向他側(-Y方向)に位置する周縁のそれぞれを、上側周縁711a1、下側周縁711a2、一側周縁711a3および他側周縁711a4という。
【0045】
穴711bは、取付部71が配置される領域におけるほぼ中央に位置し、壁711を厚さ方向(X方向)に貫通する穴であって、ホルダ91を壁711に締結するためのボルト(図示せず)が挿通する穴である。
【0046】
壁712は、壁711から厚さ方向一側(+X方向)へ所定長さ(ホルダ91の厚さに応じた長さ)だけ離れて配置され、YZ平面に沿って広がる壁であって、穴711aの内周形状に対応する外周形状を有する壁である。壁712の周縁のうち、上側(+Z方向)に位置する周縁、下側に位置する周縁、幅方向一側に位置する周縁、幅方向他側(-Y方向)に位置する周縁のそれぞれを、上側周縁7121、下側周縁7122、一側周縁7123および他側周縁7124という。
【0047】
壁713は、一側周縁711a3と一側周縁7123との間の隙間を塞ぐように、一側周縁711a3から一側周縁7123に向けて立ち上げられた壁である。
【0048】
壁714は、下側周縁711a2と下側周縁7122との間の隙間を塞ぐように、下側周縁711a2から下側周縁7122に向けて立ち上げられた壁である。
【0049】
ビード部721は、壁714が有する幅方向他側(-Y方向)に位置する端から幅方向他側に延在し、壁711側から厚さ方向一側(+X方向)に向かって突出する凸条部である。
【0050】
ビード部722は、ビード部721が有する幅方向他側(-Y方向)に位置する端から、上方向(+Z方向)に対して幅方向他側へ斜め方向に延在し、壁711側から厚さ方向一側(+X方向)に向かって突出する凸条部である。
【0051】
以上のように、壁711および壁712のそれぞれは、YZ方向に沿って広がる壁であって、壁712が壁711から厚さ方向一側(+X方向)へ所定長さ(ホルダ91の厚さに応じた長さ)だけ離れて配置される。これにより、壁711および壁712のそれぞれは、ホルダ91(窓ガラス)が厚さ方向(X方向)に移動することを制限する。
【0052】
壁713、壁714、ビード部721およびビード部722のそれぞれは、厚さ方向一側(+X方向)からの平面視において、ホルダ91が備える
図6に示す一側周縁913、下側周縁912および他側周縁914の形状に対応する形状を有する。これにより、壁713、壁714、ビード部721およびビード部722のそれぞれは、ホルダ91(窓ガラス)が幅方向(Y方向)に移動することを制限し、また、ホルダ91(窓ガラス)が下側(-Z方向)に移動することを制限する。
【0053】
(取付部73の詳細)
次に、ホルダ91が取り付けられる取付部73の詳細について
図3、
図5および
図6を参照して説明する。取付部73は、面32bのうち、幅方向他側(-Y方向)かつ上側(+Z方向)の領域に配置される。
【0054】
取付部73は、壁731,732,733と、ビード部741,742と、案内部743とを有する。
【0055】
壁731は、YZ平面に沿って広がる壁であって、穴731aおよび穴731bを有している。
【0056】
図6に示すように、穴731aは、取付部73が配置される領域における幅方向他側(-Y方向)かつ下側(-Z方向)に位置し、壁731を厚さ方向(X方向)に貫通する穴であって、所定の内周形状を有する穴である。内周形状は扇形状であって、扇形状の縁のうち、幅方向一側(+Y方向)に位置する直線状の縁、幅方向他側(-Y方向)に位置する直線状の縁、および、上側(+Z方向)に位置する円弧状の縁のそれぞれを、縁731a1、縁731a2および縁731a3という。
【0057】
穴731bは、取付部73が配置される領域におけるほぼ中央に位置し、壁731を厚さ方向(X方向)に貫通する穴であって、ホルダ91を壁731に締結するためのボルト(図示せず)が挿通する穴である。
【0058】
壁732は、壁731から厚さ方向一側(+X方向)へ所定長さ(ホルダ91の厚さに応じた長さ)だけ離れて配置され、YZ平面に沿って広がる壁であって、穴731aの内周形状に対応する外周形状を有する壁である。外形形状のうち、縁731a1に対応する縁、縁731a2に対応する縁および縁731a3に対応する縁のそれぞれを、縁7321、縁7322および縁7323という。
【0059】
壁733は、縁731a2と縁7322との間の隙間を塞ぐように、縁731a2から縁7322に向けて立ち上げられた壁である。壁733は、幅方向(Y方向)で所定の肉厚を有し、下方向(-Z方向)に対して幅方向一側(+Y方向)へ斜め方向に延在する。壁733が有する下方向に位置する端7331は、縁731a2および縁7322のそれぞれが有する下方向に位置する端と同じ位置まで延ばされている。壁733が有する上方向(+Z方向)に位置する端7332は、縁731a2および縁7322のそれぞれが有する上方向に位置する端よりも、上方向に対して幅方向他側(-Y方向)へ斜め方向に延ばされている。
【0060】
端7332は、下方向(-Z方向)に対して幅方向他側(-Y方向)へ傾斜する傾斜面734を有する。換言すれば、傾斜面734は、幅方向他側(-Y方向)である案内部743側に傾斜する。
【0061】
ビード部741は、壁731が有する幅方向一側(+Y方向)かつ上方向(+Z方向)に位置する端から下方向(-Z方向)に対して幅方向他側(-Y方向)へ斜めに延在し、壁731側から厚さ方向一側(+X方向)に向かって突出する凸条部である。
【0062】
ビード部742は、ビード部741が有する幅方向他側(-Y方向)に位置する端から、幅方向他側に延在し、延在する端7421を有し、壁731側から厚さ方向一側(+X方向)に向かって突出する凸条部である。
【0063】
以上のように、壁731および壁732のそれぞれは、YZ方向に沿って広がる壁であって、壁732が壁731から厚さ方向一側(+X方向)へ所定長さ(ホルダ91の厚さに応じた長さ)だけ離れて配置される。これにより、壁731および壁732のそれぞれは、ホルダ91(窓ガラス)が厚さ方向(X方向)に移動することを制限する。
【0064】
壁733、ビード部741およびビード部742のそれぞれは、厚さ方向一側(+X方向)からの平面視において、ホルダ91が備える一側周縁913、下側周縁912および他側周縁914の形状に対応する形状を有する。これにより、壁733、ビード部741およびビード部742のそれぞれは、ホルダ91(窓ガラス)が幅方向(Y方向)に移動することを制限し、また、ホルダ91(窓ガラス)が下側(-Z方向)に移動することを制限する。換言すれば、壁733、ビード部741およびビード部742のそれぞれは、ホルダ91の取付位置を規制する。
【0065】
ビード部741およびビード部742は、ホルダ91が有する一側周縁913を伝わって落ちてきた水を下方に案内する。
【0066】
本実施の形態におけるキャリアプレート32の構造は、一側周縁913に伝わって落ちてきた水を所定の経路で流すことが可能なものである。
【0067】
案内部743は、他側縁部32gが有する上側(+Z方向)に位置する縁部32g1に配置されている。縁部32g1が有する上方向(+Z方向)に位置する端32g11は、厚さ方向(X方向)からの平面視で、ホルダ91が有する他側周縁914と重なっている。縁部32g1が有する側縁32g12は、端32g11から案内部743に向かって下方向(-Z方向)に延在し、案内部743が有する上側(+Z方向)に位置する端7431に接続されている。これにより、他側周縁914を伝わって落ちてきた水は、側縁32g12に沿って流下する。つまり、側縁32g12が所定の経路を構成する。案内部743は、側縁32g12に沿って流下する水をさらに下方に案内する。
【0068】
案内部743は、壁731側から厚さ方向一側(+X方向)に向かって立ち上げられたフランジである。案内部743は、壁733から幅方向他側(-Y方向)へ所定距離離れた位置に配置される。案内部743は、上方向(+Z方向)に位置する端7431から下方向(-Z方向)に対して幅方向一側(+Y方向)へ斜め方向に延在する。前述するように、壁733は、下方向(-Z方向)に対して幅方向一側(+Y方向)へ斜め方向に延在する。これにより、壁733と案内部743との間には所定幅を有する流路744が形成される。流路744は、側縁32g12を伝わって落ちてきた水を壁733と案内部743との間に流す。つまり、流路744が所定の経路を構成する。
【0069】
側縁32g12には、流路744の上流側(上方向)の位置において水が流下する流を残して円弧状に切りかかれた切欠部745が設けられている。
【0070】
案内部743は、壁733が有する下方向に位置する端7331よりも下方向(-Z方向)に所定距離だけ離れた位置に幅方向他側(-Y方向)から曲げられた出口形成部746を有する。案内部743は、出口形成部746が配置された位置から下方向(-Z方向)に対して幅方向一側(+Y方向)へ斜め方向に延在する。
【0071】
ビード部742が有する端7421は、下方向(-Z方向)に曲げられている。端7421は出口形成部747を有する。出口形成部747は、出口形成部746よりも幅方向一側(+Y方向)に所定距離だけ離れた位置に配置されている。
【0072】
壁733は、ビード部742が有する端7421(出口形成部747)と、壁733が有する下方向(-Z方向)に位置する端7331と、案内部743が有する出口形成部746とにより部分的に囲まれた合流領域731cを有する。
【0073】
以上の構成により、ホルダ91が有する他側周縁914を伝わって落ちてきた水は、側縁32g12、案内部743、および、流路744に沿って流れ、合流領域731cで合流し、出口形成部746と出口形成部747との間に設けられた隙間(出口)を通って流下する。つまり、側縁32g12、案内部743、流路744、合流領域731c、および、隙間(出口)が所定の経路となる。また、ホルダ91が有する一側周縁913を伝わって落ちてきた水は、ビード部741およびビード部742に沿って流れ、合流領域731cで合流し、隙間(出口)を通って流下する。つまり、ビード部741、ビード部742、および、隙間(出口)が所定の経路となる。これにより、一側周縁913や他側周縁914を伝わって落ちてきた雨水を所定の経路で流し易くなるため、例えば、駆動モータ56が有するヨークに雨水がかかり難くなる。具体的には、隙間(出口)を取って流下した水が32gと32eとに設けられた壁を伝って、幅方向一側へ案内され、ガイドレール31を挟んでヨーク56が設けられている側とは反対側に排出される。
【0074】
(比較例)
次に、比較例におけるキャリアプレート320の構造について
図7を参照して説明する。
図7は、比較例におけるキャリアプレート320の構造の一部を示す図である。比較例の説明において、本実施の形態と異なる構成を主に説明し、同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
図6に示した本実施の形態におけるキャリアプレート32は、壁733を有している。これに対して、比較例におけるキャリアプレート320は、壁733を有していない。
【0076】
また、本実施の形態における壁733は、案内部743よりも幅方向一側(+Y方向)へ所定距離だけ離れていて、壁733と案内部743との間には流路744が形成されている。これに対して、比較例におけるキャリアプレート320には、案内部743を有しているが、壁733を有しておらず、流路744も形成されていない。
【0077】
以上から、比較例におけるキャリアプレート320では、
図7に示すように、ホルダ91が有する他側周縁914を伝わって落ちてきた雨水の一部が案内部743に入らず、キャリアプレート320から幅方向他側(-Y方向)へ落ちてしまう。
【0078】
これに対して、本実施の形態におけるキャリアプレート32は、流路744が形成されているため、他側周縁914を伝わって落ちてきた雨水を流路744に流すことができる。従来は、ホルダ91の取付位置が幅方向他側に寄ると流路がせまくなり、流路から雨水が溢れるが、本実施の形態では、ホルダ91の位置決めをすることで、流路を確実に確保することができるため、雨水が溢れることを防止することが可能となる。
【0079】
また、本実施の形態におけるキャリアプレート32は、ビード部741およびビード部742を有している。これに対して、比較例におけるキャリアプレート320は、ビード部741およびビード部742を有していない。
【0080】
以上から、比較例におけるキャリアプレート320では、ホルダ91が有する一側周縁913を伝わって落ちてきた雨水を所定の経路で流すことができない。これに対して、本実施の形態におけるキャリアプレート32は、ビード部741およびビード部742を有しているため、一側周縁913を伝わって落ちてきた雨水を所定の経路で流すことができる。
【0081】
なお、
図3に示されるように、上記実施の形態におけるキャリアプレート32の上側縁部32dはほぼ水平な面であったが、上側縁部32dに、案内部743が設けられている側に傾斜する傾斜部を設けることとしてもよい。
【0082】
以下、この傾斜部について、
図8~
図10を用いて詳しく説明する。
図8は、傾斜部800を有するキャリアプレート32の斜視図である。
図9は、傾斜部800が形成された上側縁部32dの側面図である。
図9は、上側縁部32dをキャリアプレート32の幅方向他側(-Y方向)からみた図である。
【0083】
図8および
図9に示すように、キャリアプレート32の上側縁部32dには、傾斜部800、および、傾斜部800と上側縁部32dの平坦面との間に設けられる面801が形成されている。
【0084】
上側縁部32dは、
図6に示したホルダ91が取り付けられる取付部73において、窓ガラスが配置される側の端部である。また、面801は、上側縁部32dの平坦面と一方の側で略垂直に交わり、かつ、他方の側で傾斜面800と交わる面である。
【0085】
さらに、上側縁部32dの平坦面は、ホルダ91の一部が載置される面となっている。
図9には、上側縁部32dの平坦面に載置されたホルダ91が点線で示されている。
【0086】
上側縁部32dに、案内部743が設けられている側に傾斜する傾斜部800を設けることにより、ホルダ91の表面を伝わって落ちてきた水を、ビード部741,742、及び、案内部743により形成される所定の経路で流すことができる。
【0087】
また、上側縁部32dにホルダ91の一部が載置される平坦面を設けることにより、ホルダ91をキャリアプレート32が安定して支持することができる。
【0088】
なお、窓ガラスを保持しているホルダ91をキャリアプレート32に上側(+Z方向)から取り付ける際、キャリアプレート32は、ガイドレール31の中間部に位置する。
【0089】
この場合、上昇側ケーブル33により、
図1に示すキャリアプレート32におけるガイドレール31よりも左側(+Y方向)の部分が紙面の奥側(-X方向)に引っ張られ、キャリアプレート32が、ガイドレール31のガイド溝75(
図5を参照)と嵌合する部位を軸として、下側(-Z方向)からみて反時計回りに回転する。
【0090】
そのため、キャリアプレート32の左側(+Y方向)にある取付部71は、紙面の奥側(-X方向)に移動し、右側(-Y方向)にある取付部73は、紙面の手前側(+X方向)に移動する。
【0091】
このような状況において、ホルダ91をキャリアプレート32の取付部73に上側(+Z方向)から取り付けようとすると、ホルダ91の底部がキャリアプレート32の上側縁部32dと接触し、ホルダ91の取り付けがしにくくなる。
【0092】
これに対し、上側縁部32dに傾斜部800が設けられていると、傾斜部800によりホルダ91の底部がキャリアプレート32の取付部73の所定の位置までスムーズに導かれるため、キャリアプレート32が回転したとしても、ホルダ91の取り付けがしやすくなる。
【0093】
また、
図9に示したように、上側縁部32dの平坦面と略垂直に交わる面801を形成することにより、上側縁部32dの平坦面の面積、および、傾斜部800の面積が小さくなることを防ぎつつ、傾斜部800を介して、ホルダ91の底部をキャリアプレート32の取付部73の所定の位置までよりスムーズに導くことができる。
【0094】
また、
図8および
図9では、キャリアプレート32の上側縁部32dに面801が形成されている場合について説明したが、面801は必ずしも必要ではない。
図10は、上側縁部32dの平坦面と略垂直に交わる面801がない上側縁部32dの側面図である。
図10は、上側縁部32dをキャリアプレート32の幅方向他側からみた図である。
【0095】
図10に示す傾斜部800は、上側縁部32dの平坦面と一方の側で交わっており、かつ、他方の側で取付部73の壁731と交わっている。
【0096】
このような構成であっても、ホルダ91の表面を伝わって落ちてきた水を、ビード部741,742、及び、案内部743により形成される所定の経路で流すことができる。また、キャリアプレート32がガイドレール31を軸として回転したとしても、ホルダ91の取り付けがしやすくなる。
【0097】
また、
図8~
図10では、取付部71および取付部73のうち、取付部73の側にある上側縁部32dに傾斜部800が設けられる場合について説明したが、取付部71の側にある上側縁部32dに同様の傾斜部を設けることとしてもよい。また、取付部71の側にある上側縁部32d、および、取付部73の側にある上側縁部32dの両方に、同様の傾斜部を設けることとしてもよい。
【0098】
ただし、前述のように、キャリアプレート32は、ガイドレール31を軸として、下側(-Z方向)からみて反時計回りに回転するため、少なくとも取付部73の側にある上側縁部32dに傾斜部800を設けることが望ましい。
【0099】
さらに、
図8~
図10では、傾斜部800が平面である場合について説明したが、傾斜部800が凸面または凹面であってもよい。ただし、傾斜部800を平面または凹面にすると、ホルダ91の底部をキャリアプレート32の取付部73の所定の位置まで安定して導くことができるので、より望ましい。
【0100】
上記の本実施の形態におけるキャリアプレート32は、窓ガラスがホルダ91を介して取り付けられ、ガイドレール31を摺動するキャリアプレートであって、ホルダ91が取り付けられる取付部73と、取付部73の他方側に設けられ、ホルダ91の他側周縁914を伝わって落ちてきた水を下方に案内する案内部743と、案内部743から幅方向一側(+Y方向)に所定距離離れた位置に設けられ、ホルダ91の取付位置を規制する壁733と、を備え、他側周縁914を伝わって落ちてきた水が案内部743と壁733との間に設けられた流路744を流れるように構成される。
【0101】
上記構成により、案内部743とその案内部743から幅方向一側に所定距離離れた壁733との間に流路744が形成さているため、ホルダ91の他側周縁914を伝わって落ちてきた水を流路744に流すことができる。
【0102】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、壁733は、案内部743側に傾斜する傾斜面734を有する。これにより、ホルダ91が有する他側周縁914に伝わって落ちてきた水が壁733に達した場合、傾斜面734が水を案内部743側に誘導するため、他側周縁914に伝わって落ちてきた水を案内部743に流すことが可能となる。
【0103】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32は、取付部73の壁733が設けられた側とは反対側に、ホルダ91の他側周縁914とは反対側の一側周縁913を伝わって落ちてきた水を下方に案内するビード部741,742をさらに備える。これにより、一側周縁913に伝わって落ちてきた水を、所定の経路で流すことが可能となる。
【0104】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、ビード部742の一端は、案内部743に向けて延びており、壁733と案内部743との間に形成される流路744の出口には、ビード部742の先端部、壁733、及び、案内部743により部分的に囲まれ、流路744から流出する水と、ビード部742により案内された水とが合流し、合流した水をビード部742の先端部と案内部743の間から案内部743に沿って下方に流す合流領域731cが形成されている。これにより、ビード部742に沿って流れる水と、案内部743を通って流れる水とを合流領域731cで合流させることが可能となる。また、流路744を伝わる水の勢いを保ちつつ、幅方向一側からビード部742に沿って流れる水の排水路も共通化して、簡易かつ効果的に排水することが可能となる。また、合流領域731cが壁733の下方向であって、幅方向他側に寄せて設けられているため、下降側エンドホルダ81等の配置を変更する必要がなく、下降側エンドホルダ81等のレイアウト等が容易となる。
【0105】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、壁733と案内部743との間に形成される流路744の上流側の流路の一部を残して切り欠いた切欠部745が形成されている。これにより、ホルダ91が有する他側周縁914に伝わって落ちてきた水が切欠部745に沿って流路744の上流側に移動して、流路744を通るため、他側周縁914に伝わって落ちてきた水を流路744に流すことが可能となる。
【0106】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、取付部73の窓ガラスが取り付けられる側の上側縁部32dは、案内部743が設けられている側に傾斜する傾斜面800を有する。これにより、ホルダ91の表面を伝わって落ちてきた水を、ビード部741,742、及び、案内部743により形成される所定の経路で流すことができる。また、キャリアプレート32がガイドレール31を軸として回転したとしても、ホルダ91の取り付けがしやすくなる。
【0107】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、上側縁部32dは、ホルダ91の一部が載置される平坦面を有する。これにより、ホルダ91をキャリアプレート32が安定して支持することができる。
【0108】
また、上記実施の形態におけるキャリアプレート32では、上側縁部32dは、上記平坦面と一方の側で略垂直に交わり、かつ、他方の側で傾斜面800と交わる面801を有する。これにより、上側縁部32dの平坦面の面積、および、傾斜部800の面積が小さくなることを防ぎつつ、傾斜部800を介して、ホルダ91の底部をキャリアプレート32の取付部73の所定の位置までよりスムーズに導くことができる。
【0109】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、自動車の窓ガラスを昇降駆動するためのウインドレギュレータに適用できる。
【符号の説明】
【0111】
1 ウインドレギュレータ
31 ガイドレール
32 キャリアプレート
320 キャリアプレート
32a 本体
32b 面
32c 面
32d 上側縁部
32e 下側縁部
32f 一側縁部
32g 他側縁部
32g1 縁部
32g11 端
32g12 側縁
32g2 縁部
32g3 縁部
33 上昇側ケーブル
33a エンド
34 下降側ケーブル
34a エンド
35 駆動部
37 基部
38a 側壁部
38b 側壁部
39a フランジ部
39b フランジ部
45 上部ケーブルガイド
51 ドラムハウジング
51a 本体
56 駆動モータ
57 上昇側ケーブル導出溝
59 下降側ケーブル導出溝
71 取付部
711 壁
711a 穴
711a1 上側周縁
711a2 下側周縁
711a3 一側周縁
711a4 他側周縁
711b 穴
712 壁
7121 上側周縁
7122 下側周縁
7123 一側周縁
7124 他側周縁
713 壁
714 壁
721 ビード部
722 ビード部
73 取付部
731 壁
731a 穴
731b 穴
731c 合流領域
732 壁
733 壁
7331 端
7332 端
734 傾斜面
741 ビード部
742 ビード部
7421 端
743 案内部
744 流路
745 切欠部
746 出口形成部
747 出口形成部
75 ガイド溝
77 回転防止爪
78 弾性爪
79 上昇側エンドホルダ
81 下降側エンドホルダ
85 コイルスプリング
87 コイルスプリング
91 ホルダ
800 傾斜部
801 面
911 上側周縁
912 下側周縁
913 一側周縁
914 他側周縁