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特開2024-1890蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001890
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
B65D77/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131679
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2023101453の分割
【原出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】63/354,278
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA03
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB26
3E067AB99
3E067AC01
3E067AC03
3E067BA07A
3E067BB01A
3E067BB06A
3E067BB12A
3E067BB13A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB02
3E067EB07
3E067EB11
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、蓋体が紙系素材で形成されている場合に、蓋体で容器の開口部を被覆した状態で内容物を知ることが可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び蓋体の製造方法を提供する。
【解決手段】開口部を被覆する部分で構成される蓋領域対応部50Bと、蓋領域対応部よりも外側部分で構成される外側領域対応部50Cと、を有し、外側領域対応部の外周縁75に複数の延出部111を備え、少なくとも一部の延出部から蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、外周縁よりも内側の位置に、容器の内容物に応じて定められた意匠を表示する意匠部112が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器に対して前記開口部を被覆した状態を形成し且つ前記容器を接合することが可能となるように形成され、
前記開口部を被覆する部分で構成される蓋領域対応部と、
前記蓋領域対応部よりも外側部分で構成される外側領域対応部と、を有し、
前記外側領域対応部の外周縁に複数の延出部を備え、
少なくとも一部の前記延出部から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、前記容器の内容物に応じて定められた意匠を表示する意匠部が設けられている、
蓋体。
【請求項2】
複数の前記延出部のそれぞれの形成位置から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、それぞれの前記延出部に対応した前記意匠部が設けられている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
複数の前記延出部は、前記外側領域対応部の所定の部分に偏在している、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
中心角が60度以下で前記外側領域対応部を切り分けて、前記中心角が60度以下となる第1部分と該第1部分を除く第2部分とを形成した状態を想定した場合に、複数の前記延出部は、前記第1部分に偏在している、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項5】
前記外側領域対応部は、前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部を有し、
前記意匠部の少なくとも一部が、前記接合領域対応部に形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記延出部の基端に、基端脆弱化部が形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項7】
前記延出部の先端と前記外周縁との間に、中間脆弱化部が形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項8】
少なくとも前記延出部と前記外側領域対応部は、紙系素材で形成されており、
且つ、前記延出部が前記外側領域対応部に一体的に形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項9】
前記蓋領域対応部に、貫通部が形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項10】
前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、複数の前記貫通部と、少なくとも2つの前記貫通部の間に形成された少なくとも一つの連続部とを有する、
請求項9に記載の蓋体。
【請求項11】
前記脆弱化部は、前記連続部の周囲に放射状に複数の前記貫通部を形成している、
請求項10に記載の蓋体。
【請求項12】
前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、ハーフカット構造を有する、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項13】
前記蓋領域対応部は、前記容器の前記開口部よりも小さな開口面積を有する小開口部を有するベース部と、前記小開口部を開閉する小蓋部と、前記ベース部と前記小蓋部とを繋げるヒンジ部とを備え、
前記小蓋部は、前記ヒンジ部を軸として前記ベース部に対して回動可能に構成されており、
少なくとも一部の前記貫通部が、前記小蓋部の外周縁と前記小開口部の開口縁との境界位置に形成されている、
請求項9に記載の蓋体。
【請求項14】
前記小蓋部の上面側に摘み部が設けられている、
請求項13に記載の蓋体。
【請求項15】
前記延出部は、下記の条件を満たすように構成されている、
請求項1に記載の蓋体。
条件:前記延出部の平面視上、仮想直線で分割された前記延出部の領域を第1分割領域及び第2分割領域とした場合に、前記延出部の重心が前記第2分割領域に位置し、且つ、前記第2分割領域の面積が前記第1分割領域の面積よりも大きい。
ただし、前記仮想直線は、中点位置と前記蓋領域対応部の中心とを通過する直線として定められるものとし、前記中点位置は、前記延出部の2つの突出開始位置を結ぶ線分の中点であり、前記突出開始位置は、前記延出部の外周縁のうち前記延出部の基端となる位置であるものとする。
【請求項16】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
【請求項17】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有する、
蓋体と容器の組み合わせ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体、蓋体付き容器、及び蓋体と容器の組み合わせ、に関する。
【背景技術】
【0002】
上端に開口部を形成した容器に飲食料品等(以下においては「内容物」とも言う。)を収容して蓋体を取り付けることで容器内を閉じた蓋体付き容器の状態で提供することが広く行われている。
【0003】
容器に取り付けられる蓋体としては、環境負荷軽減の観点から、紙系素材を用いたものを用いることが求められている。容器に蓋体を取り付ける方法としては、特許文献1には、ヒートシール等の方法を用いて蓋体を容器の上端の開口部の外周を形成する縁部に接合する方法(シール法)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-530372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓋体が紙系素材で形成されている場合においては、蓋体で容器の開口部を被覆した蓋体付き容器の状態でも内容物の識別性に優れた蓋体を得る観点で改良が要請されている。
本発明は、蓋体が紙系素材で形成されている場合に、蓋体で容器の開口部を被覆した状態で内容物を知ることが可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び蓋体の製造方法の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の(1)から(11)にかかる発明を要旨としている。
【0007】
(1)開口部を有する容器に対して前記開口部を被覆した状態を形成し且つ前記容器に接合することが可能となるように形成され、
前記開口部を被覆する部分で構成される蓋領域対応部と、
前記蓋領域対応部よりも外側部分で構成される外側領域対応部と、を有し、
前記外側領域対応部の外周縁に複数の延出部を備え、
少なくとも一部の前記延出部から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、前記容器の内容物に応じて定められた意匠を表示する意匠部が設けられている、
蓋体。
(2)複数の前記延出部のそれぞれの形成位置から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、それぞれの前記延出部に対応した前記意匠部が設けられている、
上記(1)に記載の蓋体。
(3)複数の前記延出部は、前記外側領域対応部の所定の部分に偏在している、
上記(1)に記載の蓋体。
(4)中心角が60度以下で外側領域対応部を切り分けて、前記中心角が60度以下となる第1部分と該第1部分を除く第2部分とを形成した状態を想定した場合に、複数の前記延出部は、前記第1部分に偏在している、
上記(1)に記載の蓋体。
(5)前記外側領域対応部は、前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部を有し、
前記意匠部の少なくとも一部が、前記接合領域対応部に形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(6)前記延出部の基端に、基端脆弱化部が形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(7)前記延出部の先端と前記外周縁との間に、中間脆弱化部が形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(8)少なくとも前記延出部と前記外側領域対応部は、紙系素材で形成されており、
且つ、前記延出部が前記外側領域対応部に一体的に形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(9)前記蓋領域対応部に、貫通部が形成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
(10)前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、複数の前記貫通部と、少なくとも2つの前記貫通部の間に形成された少なくとも一つの連続部とを有する、
上記(9)に記載の蓋体。
(11)前記脆弱化部は、前記連続部の周囲に放射状に複数の前記貫通部を形成している、
上記(10)に記載の蓋体。
(12)前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、ハーフカット構造を有する、
上記(1)に記載の蓋体。
(13)前記蓋領域対応部は、前記容器の前記開口部よりも小さな開口面積を有する小開口部を有するベース部と、前記小開口部を開閉する小蓋部と、前記ベース部と前記小蓋部とを繋げるヒンジ部とを備え、
前記小蓋部は、前記ヒンジ部を軸として前記ベース部に対して回動可能に構成されてお
り、
少なくとも一部の前記貫通部が、前記小蓋部の外周縁と前記小開口部の開口縁との境界
位置に形成されている、
上記(9)に記載の蓋体。
(14)前記小蓋部の上面側に摘み部が設けられている、
上記(13)に記載の蓋体。
(15) 前記延出部は、下記の条件を満たすように構成されている、
上記(1)に記載の蓋体。
条件:前記延出部の平面視上、仮想直線で分割された前記延出部の領域を第1分割領域及び第2分割領域とした場合に、前記延出部の重心が前記第2分割領域に位置し、且つ、前記第2分割領域の面積が前記第1分割領域の面積よりも大きい。
ただし、前記仮想直線は、中点位置と前記蓋領域対応部の中心とを通過する直線として定められるものとし、前記中点位置は、前記延出部の2つの突出開始位置を結ぶ線分の中点であり、前記突出開始位置は、前記延出部の外周縁のうち前記延出部の基端となる位置であるものとする。
(16)上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
(17)上記(1)から(15)のいずれか1つに記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋体が紙系素材で形成されている場合に、蓋体で容器の開口部を被覆した状態で内容物を知ることが可能な蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び蓋体の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、本発明の第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。図1Bは、図1AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態の変形例3にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図4図4Aは、本発明の第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体の延出部の一実施例を模式的に示す平面図である。図4Bは、図4AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体の延出部の一実施例を模式的に示す平面図である。
図6図6A図6Bは、本発明の第2の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図7図7A図7Bは、本発明の第2の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図10図10Aは、蓋体付き容器の一実施例を模式的に示す斜視図である。図4Bは、図4AのC-C線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図11図11は、蓋体の製造工程を模式的に示す図である。
図12図12は、本発明の第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図13図13は、本発明の第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図14図14Aは、本発明の第1の実施形態にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。図14Bは、延出部を折り曲げた状態の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明に係る蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
以下、本発明に関係した第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態、及び適用例について、順次、図面を参照しながら説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。
【0012】
[1 第1の実施形態]
[1-1. 構造]
第1の実施形態にかかる蓋体10は、開口部502を有する容器501に対して開口部502を被覆した状態を形成し且つ容器501を接合することが可能となるように形成される。蓋体10は、図10等を用いて後述するように、上端に形成された開口部502と開口部502の外周を形成する上端縁部となる縁部503とを有する容器501に接合可能に形成されている。図10は、図1に示す蓋体10を容器501に接合した蓋体付き容器500の例を示す斜視図、断面図である。蓋体10は、容器501の縁部503に対して接合されて用いることができるものである。蓋体10において、蓋体10の平面視上、縁部503に接合される領域を接合領域Rと呼ぶ。図1は、蓋体10の一実施例を示す平面図である。なお、容器501としては、開口部502の縁部503に可撓性を有するものがより好ましく用いられる。ただし、これらのことは容器501が、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。なお、図1に示す蓋体10と容器501との接合は、接着又は粘着による蓋体10と容器501との接続を示すものとする。
【0013】
蓋体10の面のうち蓋体付き容器500の状態で、容器501の開口部502側に向けられる方の面を対向面73と称呼し、対向面73とは背反する面で外側に露出させる方の面を露出面72と称呼する。
【0014】
接合領域Rは、図1の例では、容器501の開口部502に応じた形状で開口部502に沿っておおむね環状に形成される領域に対応している。
【0015】
蓋体10は、紙系素材を含むことが好適である。
【0016】
(紙系素材)
紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルム0や不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0017】
蓋体10は、図1に示すように、蓋領域対応部50Bと外側領域対応部50Cと、を有している。また、図1の例に示す蓋体10では、接合領域対応部50Aが定められる。
【0018】
(接合領域対応部)
接合領域対応部50Aは、蓋体10のうち容器501の縁部503に沿って容器501に接合される領域に対応する部分である。すなわち、接合領域対応部50Aは、接合領域R(容器501の縁部503に向かい合う領域且つ容器501に接合される領域)に対応した蓋体10の部分である。接合領域対応部50Aは、蓋体付き容器500においては、蓋体10のうち蓋体10と容器501との接合部651を形成する部分である。具体的には、蓋体10の平面視上(図1Aの例ではZ軸方向(上下方向)を視線方向とした場合)、接合領域Rを形成する部分が接合領域対応部50Aとして定められる。接合領域対応部50Aは、通常、図1Aに示すように環状に形成されている。特に、図1に示すように、容器501の縁部503がおおむね円環状に形成されている場合には、接合領域Rが円環状となり、接合領域対応部50Aについても蓋体10の平面視上、おおむね円環状となる。接合領域対応部50Aの外縁は、接合領域Rの外縁の位置に応じて定められる。接合領域対応部50Aの外縁は、蓋体10の外周縁に位置していてもよいし、図1の例に示すように蓋体10の外周縁よりも内側に位置してもよい。蓋体10と容器501との接合領域Rが連続的に形成されていない場合には、隣り合う接合領域Rで挟まれた部分且つ縁部503に向かい合う部分についても後述する接合領域対応部50Aに含まれるものとする。
【0019】
(蓋領域対応部)
蓋領域対応部50Bは、蓋体付き容器500の状態で開口部502を被覆する部分で構成される。蓋領域対応部50Bは、図1の例では、蓋体10のうち接合領域対応部50Aから内側の部分となっている。蓋領域対応部50Bは、蓋体付き容器500において開口部502を覆う部分となっている。なお、開口部502を覆う部分とは、開口部502の少なくとも一部を覆う部分であり、第3の実施形態でも説明するように一部に窓部が形成されている場合及び第2の実施形態等でも説明するように小開口部を有する場合等が含まれる。
【0020】
(外側領域対応部)
外側領域対応部50Cは、蓋体10の平面視上、蓋体10のうち蓋領域対応部50Bよりも外側部分で構成される。なお、図1の例に示すように、蓋体10の蓋領域対応部50Bの外側の部分である外側領域対応部50Cは、接合領域対応部50Aと同じ部分又は接合領域対応部50Aを含む部分となる。
【0021】
蓋体10は、外側領域対応部50Cの外周縁75に複数の延出部111を備えている(延設している)。また、少なくとも一部の延出部111から蓋領域対応部50Bの中心CTに向かった所定の位置、且つ、外周縁75よりも内側の位置に、意匠部112が設けられている。
【0022】
(延出部)
延出部111は、意匠部112との組み合わせでラベル部113として機能することができる。延出部111の大きさや形状は、ラベルとして使用可能な程度に突出した形状を有していれば特に限定されない。複数の延出部111は、その間隔(WD)が均等となるように(WDが一定となるように)形成されてもよい。
【0023】
延出部111は、基端114を軸として折り曲げ可能に形成されている。延出部111の基端114は、おおむね延出部111の外縁部115に沿って突出を開始する2つの位置(突出開始位置N1、N2)を結ぶ直線で定められる部分であるものとする。
【0024】
延出部111は、基端114の位置に切り込みが形成されてもよいし、エンボス加工が施されてもよい。なお、突出開始位置N1、N2は、延出部111の基端114に切込みが形成されている場合には、切り込みの奥端の位置に定められる。
【0025】
また、基端114の長さ(突出開始位置N1と突出開始位置N2の距離)よりも、延出部111の幅が長くなる部分が存在していることが好ましい。延出部111の幅とは、突出開始位置N1、N2を結ぶ直線に対して平行な線で延出部111を、その厚み方向(延出部111の厚み方向)に沿って切断した場合に認められる断面の幅を示すものとする。
【0026】
(意匠部)
意匠部112は、蓋体10を取り付けられる容器501の内容物に応じて定められた意匠を表示する部分として定義することができる。意匠部112は、文字、図形、賦形形状、色、記号などいずれでもよくまたこれらの組み合わせでもよい。また、意匠部112は、互いに繋がっていてもよい。意匠部112は、互いに分離していることで、延出部111と意匠部112との組み合わせで内容物の識別ラベルとして活用することが容易となる。図1の例では、意匠部112が文字で構成されている。すなわち、それぞれの意匠部112は、COLA、TEA、JUICE、OTHERという文字を形成した部分となっている。この例では、容器501の内容物が、COLA、TEA、JUICE、OTHER(そのほかの飲料物)に区分される場合が想定されており、容器501のこれらの内容物を識別するために意匠部112が用いられる。なお、意匠部112は、印刷部であってもよいし、エンボス等で凹凸形状を賦形した部分であってもよい。図1の例は、意匠部112は印刷部となっている。この例では、印刷部は、文字を印刷した部分となっている。
【0027】
意匠部112の位置については、意匠部112の少なくとも一部が外側領域対応部50Cに形成されている。この場合、意匠部112は、その少なくとも一部が接合領域対応部50Aに形成されていることが好ましい。複数の延出部111のそれぞれの形成位置から蓋領域対応部50Bの中心に向かった所定の位置、且つ、外周縁75よりも内側の位置に、それぞれの延出部111に対応した意匠部112が形成されていることが好ましい。図1の例では、意匠部112の全体が外側領域対応部50Cに形成されている。また、この例では、意匠部112の全体が接合領域対応部50Aに形成されている。
【0028】
第1の実施形態にかかる蓋体10によれば、蓋体10を容器501に接合させた蓋体付き容器500の状態において、図1Bに示すように、延出部111の基端114を軸として矢印BE方向に折り曲げることで、折り曲げられた延出部111に対応する意匠部112の内容に応じて、容器501内の内容物に関する情報を使用者に認識させることができる。この場合、延出部111が形成され且つ延出部111に対応した位置に意匠部112が形成されているため、延出部111が下方向に折り曲げられる場合には、延出部111で意匠部112が被覆されることもなく、容器501内の内容物に関する情報を使用者に認識させることができる。
【0029】
第1の実施形態にかかる蓋体10によれば、蓋体10が紙系素材で形成されていることで、延出部111の基端114を軸として折り曲げた状態を維持しやすくなり、識別性の保持性を向上させることができる。
【0030】
[1-2. 製造方法]
図1の例に示す蓋体10は、ブランク材30から形成される。ブランク材30は、図11に示すように、蓋体10の材質に応じた材料で形成されたシート材料(原反シート301)を蓋体10の形状に応じて打ち抜き形成されたブランク材30から形成される。図11の例の場合、蓋体10においては、延出部111が外側領域対応部50Cに一体的に形成される。原反シート301における蓋体10の打ち抜きエリア(図11においてブランク材対応部31のエリア)のレイアウトは、打ち抜き後のシート材料(原反シート301)の廃棄ロスを減じる観点からは、図11に示すように、原反シート301の長手方向(矢印LG方向)に沿ってブランク材対応部31のエリアの位置を移動するごとに原反シート301の幅方向(矢印WI方向)にブランク材対応部31の配置位置を交互に変えながら、ジグザグに配置(ジグザグ配置)されていることが好ましい。
【0031】
さらに、このような原反シート301の廃棄ロスを減じる観点からは、蓋体10においては、複数の延出部101は、外側領域対応部50Cの外周縁75のうち所定の部分に偏在していることが好ましい。外側領域対応部50Cの外周縁75のうち所定の部分として定められた部分(限局された部分)から、複数の延出部101が形成されていることで、図11に示すような互い違いに、延出部101の向きを異ならせて蓋体10を配置した状態に対応するようにブランク材対応部31を互い違いに(ジグザグに)配置したレイアウトとすることができ、原反シート301の廃棄ロスを減じることができる。また、延出部101を偏在させる部分に関しては、中心角L1が60度以下であることが好ましく、さらに、中心角L1を規定する辺SIA、SIBで外側領域対応部50Cを切り分けて、前記中心角が60度以下となる第1部分AR1と第1部分AR1を除く第2部分AR2とを形成した状態を想定した場合(第1部分AR1と第2部分AR2の境界線は、第1部分AR1に含まれる)に、複数の延出部111は、第1部分AR1に偏在している、ことが好ましい。ここにおいて、中心角L1は、ジグザグに配置された隣り合う3つのブランク材対応部31における蓋領域形成部30Bの中心CTに対応する位置を結ぶ三角形のうち、ジグザグに配置された2つのブランク材対応部31で定められる2つの辺(図11において破線で示す辺SIA、SIB)のなす角を示す。なお、図11においては、説明の便宜上、原反シート301の図面中に、ブランク材対応部31に合わせてブランク材30の符号についても記載する。
【0032】
また、蓋体10がブランク材30で形成されるとは、蓋体10がブランク材30のみで形成されている場合に限定されず、図9等を用いて後述するような蓋体10がブランク材30にタブ部材22等の部材を取り付けられた構造を有している場合を含み、また、蓋体10がブランク材30に賦形処理(エンボス処理等)といった各種の加工処理が施される場合も含まれるものとする。
【0033】
原反シート301は、紙系素材を含む繊維シート302で構成されていることが好適である。繊維シートを形成する紙系素材は、蓋体10の好ましい材質として上述した紙系素材と同様であるので説明を省略する。
【0034】
(紙系素材を含む繊維シート)
紙系素材を含む繊維シート302としては、紙系材料を含む又は紙系材料からなる繊維原料のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥、抄紙してシート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類を挙げることができる。また、紙系素材を含む繊維シート302には、上記したような紙類を複数枚積層した積層構造を有するものが含まれる。また、繊維シート302には、紙系素材の他、化学繊維や、耐水性等の機能を付与された繊維、金属繊維、ガラス繊維等のパルプ以外の繊維を有するシート材料が含まれる。
【0035】
繊維シート302は、紙系素材等の繊維のみで構成されていてもよいし(繊維31Aの交絡構造のみ)、複数の繊維を架橋剤等で架橋した構造を有していてもよく、後述する樹脂材料を除く他の添加物を含むものでもよい。繊維シート302において、複数の繊維が架橋剤で相互に架橋されていることで、繊維シート302の形状が安定化し、解繊された状態が形成されにくくなる。
【0036】
(繊維)
繊維シート302を構成する繊維は、1つの単位繊維で構成されてもよいし、複数の単位繊維を交絡させた構造(交絡構造)を有してもよく、いずれの構造を有する繊維についても繊維シート302に含まれてよい。繊維シート302は、このような交絡構造を有する複数の繊維がさらに交絡した状態で形成されていてもよい。
【0037】
[1-3. 変形例]
(変形例1)
第1の実施形態の蓋体10においては、意匠部112のレイアウトは図1A図1Bの例に限定されず、意匠部112の少なくとも一部が、延出部111よりも蓋領域対応部50B側の位置に形成されていればよく、図12図13等に示すように、少なくとも一部の意匠部112が接合領域対応部50Aから外れた領域に形成されてもよい(変形例1)。図12図13は、第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である。例えば、第1の実施形態の変形例1にかかる蓋体10では、意匠部112の少なくとも一部が、接合領域対応部50Aよりも蓋領域対応部50B側に形成されていてもよい。図13の例では、意匠部112の全体が蓋領域対応部50Bに形成されている。図2の例に示すように、意匠部112の一部が蓋領域対応部50Bに形成されていてもよい。複数の意匠部112のうちのいくつかについて(図2の例では2つの意匠部112について)、意匠部112の一部が蓋領域対応部50Bに形成されていてもよい。また、図12に示すように、接合領域対応部50A側の部分から延出部111まで形成されていてもよい。図12の例は、意匠部112は、文字と着色部(図12において文字の周囲に塗り広がる領域で定められる部分)の組み合わせで構成されており、意匠部112のうち、文字は延出部111よりも蓋領域対応部50B側(接合領域対応部50A内)に形成されており、着色部は蓋領域対応部50B側の所定部分から延出部111までの領域(露出面72側の領域)に形成されている。
【0038】
(変形例2)
第1の実施形態の蓋体10においては、延出部111の基端114又は、基端114と延出部111の先端116の中間よりも基端114側の位置(好ましくは基端114またはその近傍)に、基端脆弱化部117が形成されていてもよい(変形例2)。この形態を、第1の実施形態の変形例2と称呼する。図2は、第1の実施形態の変形例2にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である(なお、図2は、第1の実施形態の変形例1の例も兼ねている)。図2に示す蓋体10の例では、延出部111の基端114に、基端脆弱化部117が形成されている。基端脆弱化部117は、図5A図5Bに示すように、切断部119と連続部120を交互に配列したミシン目構造を有する部分で形成されてもよいし、図4A図4Bに示すような、ハーフカット構造118を有する部分で形成されていてもよい。ハーフカット構造118は、図4Bに示すように露出面72側から対向面73側に向かって所定の深さまで切り込んだ部分でもよいほか、対向面73側から露出面72側に向かって所定の深さまで切り込んだ部分でもよく、それら両方を有してもよい。また、基端脆弱化部117は、上記したミシン目構造とハーフカット構造を組み合わせて形成してもよい。さらに基端脆弱化部117は、ハーフカット構造118を用いる場合には、その切り込んだ部分の切込み深さは全体的に同じであってもよいし、切込み深さを変化させてもよい。例えば、ハーフカット構造118において、切込み深さが深く形成されている部分(説明の便宜上、第1ハーフカット構造という)と、切込み深さが第1ハーフカット構造よりも浅く形成されている部分(説明の便宜上、第2ハーフカット構造という)とを交互に繰り返して形成することにより形成してもよいし、ハーフカット構造を形成する切込み線の一端部から他端部に掛けて順次切込み深さを変化させるように形成してもよい。
【0039】
(変形例3)
第1の実施形態の蓋体10においては、図3に示すように、延出部111の先端116と基端114との間に、中間脆弱化部121が形成されていてもよい(変形例3)。このような形態を第1の実施形態の変形例3と称呼する。図3は、第1の実施形態の変形例3にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である。図3に示す蓋体10の例では、延出部111の基端114から先端116に向かう方向を横切るように、中間脆弱化部121が形成されている。中間脆弱化部121は、変形例2で説明した基端脆弱化部117と同様に、ミシン目構造を有する部分であってもよいし、ハーフカット構造を有する部分であってもよい。
【0040】
(変形例4)
第1の実施形態の蓋体10においては、少なくとも1つの延出部111について、図14Aに示すように、延出部111の平面視上、仮想直線(直線M)で分割された延出部111の領域を第1分割領域S1及び第2分割領域S2とした場合に、延出部111の重心CGが第2分割領域S2に位置し、第2分割領域S2の面積が第1分割領域S1の面積よりも大きくなるように構成されてよい(変形例4)。延出部111の突出開始位置N1と突出開始位置N2とを結ぶ線分BLの中点となる中点位置(位置MP)を想定した場合に、仮想直線(直線M)は、中点位置(位置MP)と中心CTとを通過する直線として定められる。図14Aでは、全ての延出部111について、上記の条件(延出部111の重心CGが第2分割領域S2に位置し、第2分割領域S2の面積が第1分割領域S1の面積よりも大きくなる)を満たしている。なお、突出開始位置N1、N2は、延出部111の外周縁のうち延出部111の基端となる位置であり、上述したように、蓋体1の外周縁に沿って蓋体11の外周縁の輪郭形状を順次定める場合に延出部111の外周縁に沿って突出を開始する位置を対応する位置として定めることができるものとする。
【0041】
延出部111の重心CGは、できるだけ線分BLから離れた位置に存在していることが好ましい。延出部111の重心CGは、延出部111を下方向に折り曲げやすくする観点からは、延出部111の先端116と基端114との中間位置よりも先端116側に位置していることが好ましい。
【0042】
容器501の材質が紙等で形成されて開口部502を円形等の凸湾曲形状を有するように形成している場合、蓋体付き容器500の状態で延出部111を折り曲げるための応力が延出部111に負荷された際に、その応力が容器501にも伝わり、容器501の縁部103に凹みや容器501の変形が生じやすくなる可能性がある。特に、容器501が紙系素材で形成されている場合には、凹みや形状変形が容器501の折り癖になってしまい、容器501の形状変形がより一層再生されやすい状態となる虞がある。
【0043】
第1の実施形態の変形例4にかかる蓋体10では、延出部111の重心CGが第2分割領域S2に位置し、第2分割領域S2の面積が第1分割領域S1の面積よりも大きくなるように構成されている。このため、蓋体付き容器500の状態で延出部111を折り曲げるための応力が延出部111に負荷されても、容器501に形状変形を生じにくくすることができる。
【0044】
すなわち、第1の実施形態の変形例4にかかる蓋体10では、蓋体付き容器500の状態で延出部111を折り曲げるための応力が延出部111に負荷された際に、第2分割領域S2のほうが第1分割領域S1よりも早くまがりやすい。延出部111を下方向に折り曲げていくと、図14Bに示すように、おおむね第2分割領域S2の部分から容器501に接触し、第1分割領域S1と第2分割領域S2の境界は容器501に接しにくくなる。このため、延出部111に負荷された応力は容器501の中心方向(CTに向かう方向)からずれやすくなり、容器501の形状変形が生じにくくなるものと考えられる。なお、図14Bは、蓋体付き容器500の状態で、延出部111を折り曲げた状態を底面側から上面に向かう方向を視線方向とした眺めた場合における延出部111の部分の一例を模式的に示す図である。
【0045】
[2 第2の実施形態]
第2の実施形態にかかる蓋体10は、図6A図7A等に示すように、蓋領域対応部50Bに貫通部122が形成されている(第2の実施形態)。図6A図7Aは、第2の実施形態にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である。第2の実施形態にかかる蓋体10は、貫通部122を設けた構成を除く他の構成については、第1の実施形態と同様でよい。したがって、第2の実施形態にかかる蓋体10は、延出部111、意匠部112、接合領域対応部50A、蓋領域対応部50B及び外側領域対応部50C等の各種の構成については第1の実施形態と同様でよいため詳細な説明を省略する。
【0046】
(貫通部)
貫通部122は、蓋体10の一方面から他方面まで(露出面72から対向面73まで)上下方向(厚み方向)に切り込まれた構造(貫通させた構造)を有しており、いわゆる切り込み部である。貫通部122の形状は、特に限定されず、図6Aに示すような十字形状でもよいし、図7Aに示すようなC字状でもよい。これらは、一例であり、貫通部122の形状を限定するものではない。
【0047】
貫通部122は、外部からストローなどを差し込む差し込み口125として機能させることができる。
【0048】
(変形例1)
第2の実施形態の蓋体10においては、差し込み口125として機能する部分は、図6A図7Aの例では貫通部122のみで形成されているが、差し込み口125として機能する部分は、図6A図7Aに示す構造に限定されない。
【0049】
また、第2の実施形態の蓋体10においては、差し込み口125に対応する位置に、図6B図7B等に示すように、蓋領域対応部50Bにおける分断位置を案内する脆弱化部124が設けられていてもよい。この形態を第2の実施形態の変形例1と称呼する。図6B図7Bは、第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である。脆弱化部124は、例えば図6B図7Bに示す例では、複数の貫通部122と、少なくとも2つの前記貫通部122の間に形成された少なくとも一つの連続部123とを有する。この場合、蓋体10は、差し込み口125を形成する構造の一部として貫通部を有することになる。
【0050】
また、脆弱化部124を有する場合において、貫通部122と連続部123のレイアウトは特に限定されない。脆弱化部124は、図6Bに示すように、連続部123の周囲に放射状にのびるように複数の前記貫通部122を形成していてもよい。また、図7Bに示すように、脆弱化部124は、Cの文字を構成する軌跡上に、貫通部122と連続部123が交互に並ぶように形成されてもよい。図7Bの例では、4つの貫通部122と3つの連続部123が交互に並ぶ。図7Bの例において、脆弱化部124の上側から下方向に外部からストローなどを差し込むと、3つの連続部123が破壊され、C字を構成する基端を結ぶ直線部分を回転軸として脆弱化部124の内側の部分がストロー等によって押し下げられる方向に回動する。
【0051】
(変形例2)
第2の実施形態の変形例1にかかる蓋体10については、蓋領域対応部50Bに、貫通部にかえて、第1の実施形態で図4を参照しながら説明したようなハーフカット構造、及びミシン目構造とハーフカット構造とを組み合わせた構造などが形成されてもよい。
【0052】
[3 第3の実施形態]
第3の実施形態にかかる蓋体10は、図8等に示すように、蓋領域対応部50Bに開口形成部126が形成されている(第3の実施形態)。図8は、第3の実施形態にかかる蓋体10の一実施例を模式的に示す平面図である。第3の実施形態にかかる蓋体10は、開口形成部126を設けた構成を除く他の構成については、第1の実施形態と同様でよい。したがって、第3の実施形態にかかる蓋体10は、延出部111、意匠部112、接合領域対応部50A、蓋領域対応部50B及び外側領域対応部50C等の各種の構成については第1の実施形態と同様でよいため詳細な説明を省略する。
【0053】
(開口形成部)
図8に示す第3の実施形態にかかる蓋体10の例では、蓋領域対応部50Bの開口形成部126は、容器501の開口部502よりも小さな開口面積を有する開口部分として定められる小開口部128と、小開口部128を開閉する小蓋部129と、ベース部127と小蓋部129とを繋げるヒンジ部130とを備える。蓋領域対応部50Bのうち小蓋部129とヒンジ部130を除く部分がベース部127を形成している。ベース部127は、小開口部128を有する部分となっている。小蓋部129は、ヒンジ部130を軸としてベース部127に対して回動可能に構成されている。小蓋部129の外周縁132とベース部127に形成された小開口部128の開口縁133とが向かい合うことが可能となっており、開口形成部126は、小蓋部129の外周縁132と小開口部128の開口縁131との向かいあう部分(小蓋部129と小開口部128の境界)の少なくとも一部(図8の例では、小蓋部129と小開口部128の境界の全体)を貫通部122で形成している。貫通部122の構造は、上記した第2の実施形態で示した貫通部と同様でよいから詳細な説明を省略する。開口形成部126は、蓋領域対応部50Bのうち、意匠部112や延出部111からできるだけ離れた位置に形成されていることが、小開口部128と延出部111とをできるだけ離間することができて好ましい。小開口部128と延出部111とをできるだけ離間することで、容器501に蓋体10を取り付ける者(取付者)と容器501の内容物を摂取する者(摂取者)が別人である場合に取付者が延出部111を手で折り曲げても小開口部128が取付者の手で汚染されにくくなり、摂取者が安心して小開口部128から容器501の内容物を摂取することができる。この観点から、蓋領域対応部50Bのうち、中心CTと延出部111を結ぶ直線に対して小開口部128の開口縁131が交差しないように、開口形成部126が形成されていることが好ましい。
【0054】
(変形例1)
第2の実施形態の蓋体10においては、図9に示すように、小蓋部129の上面側に摘み部133が設けられていてもよい。図9の例では、小蓋部129で小開口部128を閉鎖した状態において、小蓋部129の露出面(蓋体10の露出面72)側である上面側に摘み部133が設けられている。摘み部133の構造は、ヒンジ部130を軸として小蓋部129を回動させることができるものであれば特に限定されないが、図9の例では、摘み部133としてタブ部材134が設けられている。
【0055】
[4 適用例]
第1の実施形態にかかる蓋体10は、図10A図10Bに示すように蓋体付き容器500を形成する部材として用いることができる。図10Aは、第1の実施形態にかかる蓋体10を、上端に形成された開口部502を有する容器501の開口部502の外周を形成する縁部503に接合させた実施例を示す斜視図である。図10Bは、図10Aの縦断面の状態を模式的に示す断面図である。図10A図10Bを用いて蓋体付き容器500について説明を続ける。
【0056】
(蓋体付き容器)
蓋体付き容器500は、容器501と蓋体10とが接合する接合部651を有しており、接合部651を形成する蓋体10の領域が接合領域Rとなる。蓋体10と容器501との接合方法は特に限定されず、圧着法や、熱融着法(ヒートシール)等の接合方法を適宜用いることができる。以下では第1の実施形態にかかる蓋体10を蓋体付き容器500に使用した場合を例として説明する。
【0057】
容器501は、上方向にむかって径が太くなるような(下方向に向かって先細りするような)筒状の側壁504と底部507を有し内部に空間部505を形成する容器本体510と、容器本体510の上端(側壁504の上端)で開口した開口部502を有する。図示しないが、容器501の開口部502は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器501は一例であり、容器501の構成を限定するものではない。たとえば、容器501は開口部502を矩形状に形成されてもよい。容器501は、蓋体10で開口部502を被覆できるものであればよい。また、容器501の内部(空間部505)に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0058】
図10A等に示す容器では、開口部502の縁部503は、フランジ部を有している。フランジ部は、容器本体510を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部508であってもよいし、外側方向に平面上に延びる部分(つば部)として形成されてもよい。
【0059】
また、第1実施形態にかかる蓋体10は、開口部502を有する容器501との組み合わせとされてもよい。
【0060】
上記した[4 適用例]で示したことは、第1実施形態にかかる蓋体10を用いる場合に限定されない。第2の実施形態から第3の実施形態にかかる蓋体ついても、第1の実施形態と同様に容器501に接合した蓋体付き容器500を形成する部材として用いることができる(図示せず)。
【0061】
これまで説明したように、本発明に係る蓋体10は、このような多くの態様の蓋体10に対して適用することができる。また、上記した以外の態様の蓋体10に対しても適用することが可能である。以上、本発明に係る蓋体について詳細に説明したが、上記したのは本発明に係る蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。また、上記した蓋体の構成は、それぞれの例の蓋体の構成を独立して用いてもよいし、それぞれの例の蓋体の構成を適宜組み合わせて適用してもよい。
【0062】
以上の本明細書の説明に基づき、本発明は、次に示す[E1]から[E17]の構成を採用されてよい。
[E1]開口部を有する容器に対して前記開口部を被覆した状態を形成し且つ前記容器に接合することが可能となるように形成され、
前記開口部を被覆する部分で構成される蓋領域対応部と、
前記蓋領域対応部よりも外側部分で構成される外側領域対応部と、を有し、
前記外側領域対応部の外周縁に複数の延出部を備え、
少なくとも一部の前記延出部から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、前記容器の内容物に応じて定められた意匠を表示する意匠部が設けられている、
蓋体。
[E2]複数の前記延出部のそれぞれの形成位置から前記蓋領域対応部の中心に向かった所定の位置、且つ、前記外周縁よりも内側の位置に、それぞれの前記延出部に対応した前記意匠部が設けられている、
上記[E1]に記載の蓋体。
[E3]複数の前記延出部は、前記外側領域対応部の所定の部分に偏在している、
上記[E1]又は[E2]に記載の蓋体。
[E4]中心角が60度以下で外側領域対応部を切り分けて、前記中心角が60度以下となる第1部分と該第1部分を除く第2部分とを形成した状態を想定した場合に、複数の前記延出部は、前記第1部分に偏在している、
上記[E1]から[E3]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E5]前記外側領域対応部は、前記容器に接合される領域に対応する接合領域対応部を有し、
前記意匠部の少なくとも一部が、前記接合領域対応部に形成されている、
上記[E1]から[E4]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E6]前記延出部の基端に、基端脆弱化部が形成されている、
上記[E1]から[E5]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E7]前記延出部の先端と前記外周縁との間に、中間脆弱化部が形成されている、
上記[E1]から[E6]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E8]少なくとも前記延出部と前記外側領域対応部は、紙系素材で形成されており、
且つ、前記延出部が前記外側領域対応部に一体的に形成されている、
上記[E1]から[E7]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E9]前記蓋領域対応部に、貫通部が形成されている、
上記[E1]から[E8]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E10]前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、複数の前記貫通部と、少なくとも2つの前記貫通部の間に形成された少なくとも一つの連続部とを有する、
上記[E9]に記載の蓋体。
[E11]前記脆弱化部は、前記連続部の周囲に放射状に複数の前記貫通部を形成している、
上記[E10]に記載の蓋体。
[E12]前記蓋領域対応部に、前記蓋領域対応部における分断位置を案内する脆弱化部が設けられており、
前記脆弱化部は、ハーフカット構造を有する、
上記[E1]から[E8]のいずれか1つに記載の蓋体。
[E13]前記蓋領域対応部は、前記容器の前記開口部よりも小さな開口面積を有する小開口部を有するベース部と、前記小開口部を開閉する小蓋部と、前記ベース部と前記小蓋部とを繋げるヒンジ部とを備え、
前記小蓋部は、前記ヒンジ部を軸として前記ベース部に対して回動可能に構成されており、
少なくとも一部の前記貫通部が、前記小蓋部の外周縁と前記小開口部の開口縁との境界位置に形成されている、
上記[E9]に記載の蓋体。
[E14]前記小蓋部の上面側に摘み部が設けられている、
上記[E13]に記載の蓋体。
[E15]前記延出部は、下記の条件を満たすように構成されている、
上記[E1]から[E14]のいずれか1つに記載の蓋体。
条件:前記延出部の平面視上、仮想直線で分割された前記延出部の領域を第1分割領域及び第2分割領域とした場合に、前記延出部の重心が前記第2分割領域に位置し、且つ、前記第2分割領域の面積が前記第1分割領域の面積よりも大きい。
ただし、前記仮想直線は、中点位置と前記蓋領域対応部の中心とを通過する直線として定められるものとし、前記中点位置は、前記延出部の2つの突出開始位置を結ぶ線分の中点であり、前記突出開始位置は、前記延出部の外周縁のうち前記延出部の基端となる位置であるものとする。
[E16]上記[E1]から[E15]のいずれか1つに記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
[E17]上記[E1]から[E15]のいずれか1つに記載の蓋体と、
上端に形成された前記開口部を有する前記容器と、を有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【符号の説明】
【0063】
10 :蓋体
22 :タブ部材
30 :ブランク材
30B :蓋領域形成部
31 :ブランク材対応部
31A :繊維
50A :接合領域対応部
50B :蓋領域対応部
50C :外側領域対応部
72 :露出面
73 :対向面
75 :外周縁
101 :延出部
103 :縁部
111 :延出部
112 :意匠部
113 :ラベル部
114 :基端
115 :外縁部
116 :先端
117 :基端脆弱化部
118 :ハーフカット構造
119 :切断部
120 :連続部
121 :中間脆弱化部
122 :貫通部
123 :連続部
124 :脆弱化部
125 :差し込み口
126 :開口形成部
127 :ベース部
128 :小開口部
129 :小蓋部
130 :ヒンジ部
131 :開口縁
132 :外周縁
133 :摘み部
134 :タブ部材
301 :原反シート
302 :繊維シート
500 :蓋体付き容器
501 :容器
502 :開口部
503 :縁部
504 :側壁
505 :空間部
507 :底部
508 :カール部
510 :容器本体
651 :接合部
AR1 :第1部分
AR2 :第2部分
BL :線分
CAT :矢印
CG :重心
CT :中心
L1 :中心角
N1 :突出開始位置
N2 :突出開始位置
R :接合領域
S1 :第1分割領域
S2 :第2分割領域
SIA :辺
SIB :辺

図1
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