(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018918
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055536
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2022119168の分割
【原出願日】2022-07-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-04
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】暗号資産が電子マネーに変換される場合であっても暗号資産を発行する事業者が利益を得られるようにする。
【解決手段】暗号資産管理サーバ1は、発行事業者によって発行された暗号資産を、決済事業者による決済に利用可能な電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける受付部131と、変換対象金額に対応する変換後金額を算出する算出部132と、暗号資産の変換対象金額をユーザの暗号資産口座から減算するとともに、電子マネーの変換後金額をユーザの電子マネー口座に加算するための第1指示を出力する変換指示出力部133と、暗号資産が電子マネーに変換されたこと又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたことに対する、決済事業者又は電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、発行事業者の口座に加算するための第2指示を出力する対価付与指示出力部135と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産を、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける受付部と、
前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産のうち、変換対象とする前記暗号資産の金額である変換対象金額を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するとともに、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーの金額であって、前記変換対象金額に対応する金額である変換後金額を前記ユーザに関連付けられた電子マネー口座に加算するための変換指示を出力する変換指示出力部と、
前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項3】
前記変換指示出力部は、前記変換対象金額に対応する前記暗号資産を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から前記決済事業者に関連付けられた暗号資産口座に移転することにより、前記変換対象金額を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するための前記変換指示を出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決済事業者が保有する前記暗号資産を所定の通貨に変換する際に、前記決済事業者が変換を希望する前記暗号資産の金額から前記対価に対応する金額を減算した上で前記通貨に変換するための対価徴収指示を出力する対価徴収指示出力部をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対価付与指示出力部は、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたタイミング又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたタイミングのうち一方で、前記対価付与指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対価は、前記変換対象金額が大きいほど大きい金額、又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用された金額が大きいほど大きい金額である、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対価付与指示出力部は、所定の通貨、前記暗号資産又は前記電子マネーのいずれかである前記対価を、前記決済事業者又は前記店舗事業者に関連付けられた口座から前記発行事業者に関連付けられた口座に移転するための前記対価付与指示を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記暗号資産は、特定の地域内でのみ利用可能であり、
前記変換指示出力部は、記憶部に予め記憶された、前記暗号資産を利用可能な地域と、前記電子マネーが利用可能な地域と、を示す情報に基づいて、前記特定の地域内で前記電子マネーが利用可能であるか否かを判定し、前記特定の地域内で前記電子マネーが利用可能であると判定したことを条件として、前記変換指示を送信する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記暗号資産は、特定の地域内でのみ利用可能であり、
前記変換指示出力部は、記憶部に予め記憶された、前記ユーザの居住地を示す情報に基づいて、前記特定の地域内に居住する前記ユーザが前記特定の地域外に転居したか否かを判定し、前記ユーザが前記特定の地域外に転居したと判定したことを条件として、前記変換指示を送信する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項10】
発行事業者によって発行された暗号資産に関する情報を管理する情報処理装置と、決済事業者による決済に利用可能な電子マネーを利用した決済を実行する決済装置と、を含み、
前記情報処理装置は、
ユーザが保有する前記暗号資産を、前記ユーザが保有する前記電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける受付部と、
前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、
を有し、
前記決済装置は、
前記ユーザが保有する前記電子マネーを利用して前記決済を実行する決済部
を有する、情報処理システム。
【請求項11】
前記決済部は、前記電子マネーに変換可能な前記暗号資産を利用可能な地域内の店舗において前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料を、前記地域外の店舗において前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料よりも下げる、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記決済部は、前記暗号資産から変換された前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料を、前記暗号資産から変換されていない前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料よりも下げる、
請求項10に記載の情報処理システム。
【請求項13】
プロセッサが実行する、
発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産を、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を受け付けるステップと、
前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するための情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済循環を活性化させることを目的として、自治体等の事業者が決済に利用可能な暗号資産を発行することが行われている。特許文献1には、暗号資産(仮想通貨ともいう)を預かる口座から、現金を預かる口座へ、暗号資産の価値に対応する金額を送金するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの利便性を高めるために、暗号資産を様々な店舗での電子決済に利用可能な電子マネーに変換可能にすることが考えられる。しかし、暗号資産が電子マネーに変換されると暗号資産が決済に利用される割合が低下するため、暗号資産を発行する事業者は暗号資産が利用されることによって得られる見込みの利益を得られないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、暗号資産が電子マネーに変換される場合であっても暗号資産を発行する事業者が利益を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産を、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける受付部と、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、を有する。
【0007】
本発明の第2の態様の情報処理装置は、発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産のうち、変換対象とする前記暗号資産の金額である変換対象金額を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するとともに、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーの金額であって、前記変換対象金額に対応する金額である変換後金額を前記ユーザに関連付けられた電子マネー口座に加算するための変換指示を出力する変換指示出力部と、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、を有する。
【0008】
前記変換指示出力部は、前記変換対象金額に対応する前記暗号資産を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から前記決済事業者に関連付けられた暗号資産口座に移転することにより、前記変換対象金額を前記ユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するための前記変換指示を出力してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記決済事業者が保有する前記暗号資産を所定の通貨に変換する際に、前記決済事業者が変換を希望する前記暗号資産の金額から前記対価に対応する金額を減算した上で前記通貨に変換するための対価徴収指示を出力する対価徴収指示出力部をさらに有してもよい。
【0010】
前記対価付与指示出力部は、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたタイミング又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたタイミングのうち一方で、前記対価付与指示を出力してもよい。
【0011】
前記対価は、前記変換対象金額が大きいほど大きい金額、又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用された金額が大きいほど大きい金額であってもよい。
【0012】
前記対価付与指示出力部は、所定の通貨、前記暗号資産又は前記電子マネーのいずれかである前記対価を、前記決済事業者又は前記店舗事業者に関連付けられた口座から前記発行事業者に関連付けられた口座に移転するための前記対価付与指示を出力してもよい。
【0013】
前記暗号資産は、特定の地域内でのみ利用可能であり、前記変換指示出力部は、記憶部に予め記憶された、前記暗号資産を利用可能な地域と、前記電子マネーが利用可能な地域と、を示す情報に基づいて、前記特定の地域内で前記電子マネーが利用可能であるか否かを判定し、前記特定の地域内で前記電子マネーが利用可能であると判定したことを条件として、前記変換指示を送信してもよい。
【0014】
前記暗号資産は、特定の地域内でのみ利用可能であり、前記変換指示出力部は、記憶部に予め記憶された、前記ユーザの居住地を示す情報に基づいて、前記特定の地域内に居住する前記ユーザが前記特定の地域外に転居したか否かを判定し、前記ユーザが前記特定の地域外に転居したと判定したことを条件として、前記変換指示を送信してもよい。
【0015】
本発明の第3の態様の情報処理システムは、発行事業者によって発行された暗号資産に関する情報を管理する情報処理装置と、決済事業者による決済に利用可能な電子マネーを利用した決済を実行する決済装置と、を含み、前記情報処理装置は、ユーザが保有する前記暗号資産を、前記ユーザが保有する前記電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける受付部と、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する対価付与指示出力部と、を有し、前記決済装置は、前記ユーザが保有する前記電子マネーを利用して前記決済を実行する決済部を有する。
【0016】
前記決済部は、前記電子マネーに変換可能な前記暗号資産を利用可能な地域内の店舗において前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料を、前記地域外の店舗において前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料よりも下げてもよい。
【0017】
前記決済部は、前記暗号資産から変換された前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料を、前記暗号資産から変換されていない前記電子マネーを利用して前記決済を行うための手数料よりも下げてもよい。
【0018】
本発明の第4の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産を、決済事業者による決済に利用可能な前記ユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を受け付けるステップと、前記暗号資産が前記電子マネーに変換されたこと又は前記暗号資産から変換された前記電子マネーが前記決済に利用されたことに対する、前記決済事業者又は前記電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者が負担する対価を、前記発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力するステップと、を有する。
【0019】
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、暗号資産が電子マネーに変換される場合であっても暗号資産を発行する事業者が利益を得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】情報処理システムが暗号資産及び電子マネーを管理する方法を説明するための模式図である。
【
図5】顧客であるユーザが保有する暗号資産を電子マネーに変換する方法を説明するための模式図である。
【
図6】対価付与指示出力部が対価付与指示を出力するタイミングを説明するための模式図である。
【
図7】第1実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【
図8】第2実施形態に係る暗号資産管理サーバのブロック図である。
【
図9】第2実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、暗号資産管理サーバ1と、決済サーバ2と、ユーザ端末3と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
暗号資産管理サーバ1(情報処理装置)は、暗号資産に関する情報を管理するためのコンピュータである。暗号資産は、代金の決済等に利用可能であり、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよい。暗号資産は、所定の換算条件に従って所定の電子マネーに変換可能である。暗号資産は、所定の変換比率で所定の通貨に変換可能であってもよい。暗号資産は、自治体や会社等の発行事業者によって、ユーザに対して発行される。暗号資産は、例えば記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際に顧客であるユーザから店舗であるユーザに移転される。
【0024】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0025】
本実施形態において、暗号資産は、例えば、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、当該地域外の店舗において実行不可能である。また、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の所定の店舗(例えば、登録された店舗)のみにおいて実行可能であってもよい。一方、電子マネーを用いた決済は、当該地域外の店舗において実行可能である。電子マネーを用いた決済は、当該地域内及び当該地域外の両方の店舗において実行可能であってもよい。
【0026】
また、2人のユーザ間で商品の売買(例えば、個人間取引のWebサイトにおける売買)がなされる場合に、商品を販売するユーザ個人を店舗として扱ってもよい。この場合に、商品を販売するユーザの住所に基づいて、店舗が地域内にあるか否かの判定が行われてもよい。
【0027】
暗号資産管理サーバ1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。暗号資産管理サーバ1は、例えば、決済サーバ2から受信した決済要求に応じて、暗号資産の保有者をあるユーザから別のユーザに変更することにより、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。暗号資産管理サーバ1は、ネットワークを介して決済サーバ2及びユーザ端末3と通信可能である。
【0028】
決済サーバ2は、暗号資産又は電子マネーを用いて代金の決済を行うためのコンピュータである。決済サーバ2は、決済事業者によって管理される。電子マネーは、決済事業者による代金の決済等に利用可能な電子的な資産である。電子マネーは、例えば、法定通貨(日本円や米国ドル等)を単位として管理されるが、その他の単位で管理されてもよい。電子マネーは、所定の変換比率で暗号資産から変換可能である。電子マネーは、所定の変換比率で所定の通貨に変換可能であってもよい。
【0029】
決済サーバ2は、各ユーザが保有する電子マネーを、当該ユーザに関連付けられた電子マネー口座において管理する。決済サーバ2は、例えば、ユーザ端末3又はその他の端末(POS(Point Of Sales)端末等)から受信した決済情報に基づいて、ユーザの電子マネー口座から決済金額を減算し、電子マネーを決済に利用可能な店舗を運営する店舗事業者に対して決済金額に対応する電子マネー又は通貨を付与することにより、決済を実行する。決済サーバ2は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1及びユーザ端末3と通信可能である。
【0030】
ユーザ端末3は、ユーザが利用するコンピュータである。ユーザは、例えば、店舗事業者に対して、商品(物品、サービス等)の代金を、暗号資産又は電子マネーを利用して支払う顧客である。また、ユーザは、他の店舗に対して、暗号資産又は電子マネーを利用して代金を支払う店舗であってもよい。ユーザ端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末3は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1及び決済サーバ2と通信可能である。
【0031】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。発行事業者は、ユーザに対して、暗号資産を発行する(1)。発行された暗号資産は、暗号資産管理サーバ1によって、ユーザの暗号資産口座において管理される。
【0032】
暗号資産管理サーバ1は、例えば、ユーザ端末3から、暗号資産を電子マネーに変換するための変換要求を受け付ける(2)。変換要求は、電子マネーへの変換対象とする暗号資産の金額である変換対象金額を示す。暗号資産管理サーバ1は、所定の変換比率を用いて、変換対象金額に対応する電子マネーの金額である変換後金額を算出する(3)。
【0033】
暗号資産管理サーバ1は、暗号資産の変換対象金額をユーザの暗号資産口座から減算するとともに、電子マネーの変換後金額をユーザの電子マネー口座に加算するための変換指示を出力する(4)。
【0034】
決済サーバ2は、暗号資産管理サーバ1が出力した変換指示に応じて、ユーザに対して電子マネーを付与する(5)。付与された電子マネーは、決済サーバ2によって、ユーザの電子マネー口座において管理される。ユーザは、付与された電子マネーを、店舗事業者が運営する店舗において商品の代金の決済に利用することができる(6)。
【0035】
暗号資産管理サーバ1は、暗号資産が電子マネーに変換されたこと又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたことに対する、決済事業者又は店舗事業者が負担する対価を、発行事業者に付与する(7)。暗号資産管理サーバ1は、例えば、暗号資産又は電子マネーである対価を、決済事業者又は店舗事業者の口座から、発行事業者の口座に移転する。
【0036】
このように、情報処理システムSは、発行事業者が発行した暗号資産が電子マネーに変換された場合に、決済事業者又は店舗事業者が負担する対価を発行事業者に付与する。これにより、情報処理システムSは、発行事業者が、暗号資産が決済に利用されなくとも電子マネーに変換されたことに応じた利益を得られるようにすることができる。
【0037】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0038】
暗号資産管理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。暗号資産管理サーバ1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、暗号資産管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0039】
通信部11は、ネットワークを介して決済サーバ2及びユーザ端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、決済サーバ2又はユーザ端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを決済サーバ2又はユーザ端末3に送信する。
【0040】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、暗号資産を電子マネーに変換するための換算条件を予め記憶している。記憶部12は、暗号資産管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0041】
制御部13は、受付部131と、算出部132と、変換指示出力部133と、暗号資産処理部134と、対価付与指示出力部135と、対価徴収指示出力部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、算出部132、変換指示出力部133、暗号資産処理部134、対価付与指示出力部135、対価徴収指示出力部136として機能する。受付部131、算出部132、変換指示出力部133、暗号資産処理部134、対価付与指示出力部135、対価徴収指示出力部136それぞれが行う処理については後述する。
【0042】
決済サーバ2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を有する。決済サーバ2は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、決済サーバ2は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0043】
通信部21は、ネットワークを介して暗号資産管理サーバ1及びユーザ端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部21は、暗号資産管理サーバ1又はユーザ端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部23に通知する。また、通信部21は、ネットワークを介して、制御部23から出力されたデータを暗号資産管理サーバ1又はユーザ端末3に送信する。
【0044】
記憶部22は、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部22は、店舗又は店舗事業者の所在地を含む店舗情報を予め記憶してもよい。記憶部22は、決済サーバ2の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部23との間でデータの授受を行ってもよい。
【0045】
制御部23は、受信部231と、電子マネー処理部232と、決済部233と、送信部234と、を有する。制御部23は、例えばCPU等のプロセッサであり、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部231、電子マネー処理部232、決済部233及び送信部234として機能する。受信部231、電子マネー処理部232、決済部233及び送信部234それぞれが行う処理については後述する。
【0046】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産及び電子マネーを管理する方法を説明する。
図3は、情報処理システムSが暗号資産及び電子マネーを管理する方法を説明するための模式図である。
【0047】
暗号資産管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。暗号資産を保有する複数のユーザは、顧客、発行事業者、決済事業者、店舗事業者等を含む。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザのID(例えば、暗号資産口座のID)に関連付けられている。暗号資産管理サーバ1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で通貨を移転する。
【0048】
暗号資産管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。暗号資産管理サーバ1は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたデータ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。各ブロックは、ユーザの暗号資産口座間で暗号資産が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0049】
暗号資産管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたデータを、暗号資産管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0050】
決済サーバ2は、複数のユーザそれぞれが保有する電子マネーを、電子マネー口座において管理する。電子マネーを保有する複数のユーザは、顧客、発行事業者、決済事業者、店舗事業者等を含む。複数のユーザそれぞれの電子マネー口座は、当該ユーザのID(例えば、電子マネー口座のID)に関連付けられている。決済サーバ2は、電子マネーの管理として、電子マネー口座に対して電子マネーを入金及び出金し、又は複数の電子マネー口座間で電子マネーを移転(送金)する。
【0051】
決済サーバ2は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの電子マネー口座における一又は複数の取引の内容と、を関連付けたデータを、決済サーバ2が有する記憶部22上にデータベースとして記憶する。また、決済サーバ2は、電子マネー口座において、電子マネーと、当該電子マネーが暗号資産から変換された電子マネーであるか否かを示す情報(フラグ等)と、を関連付けて記録してもよい。
【0052】
[変換処理の説明]
情報処理システムSが暗号資産を電子マネーに変換する処理を実行するための構成を以下に説明する。顧客であるユーザ(以下、単にユーザという)は、暗号資産を電子マネーに変換することを希望する場合に、ユーザ端末3において、発行事業者によって発行されたユーザが保有する暗号資産として管理されている金額のうち、電子マネーへの変換対象とする暗号資産の金額である変換対象金額を入力する。
【0053】
図4は、ユーザ端末3が表示する画面の模式図である。ユーザ端末3は、変換対象金額の入力を受け付ける。ユーザ端末3は、後述の換算条件に従って算出される変換対象金額に対応する電子マネーの金額を表示してもよい。ユーザ端末3は、ユーザによる操作部の操作に応じて、ユーザが保有する暗号資産をユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を暗号資産管理サーバ1に送信する。変換要求は、例えば、ユーザのIDと、ユーザによって入力された変換対象金額と、を示す情報である。
【0054】
暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、ユーザ端末3が送信した変換要求を受け付ける。また、受付部131は、ユーザ端末3に限られず、暗号資産管理サーバ1又はその他の装置が生成した変換要求を受け付けてもよい。
【0055】
算出部132は、所定の換算条件に従って、受付部131が受け付けた変換要求が示す暗号資産の金額である変換対象金額に対応する、電子マネーの金額である変換後金額を算出する。本実施形態において、電子マネーの金額は日本の法定通貨である日本円で表されるが、その他の通貨で表されてもよい。換算条件は、例えば暗号資産を電子マネーに変換するための変換比率(レート)を示しており、記憶部12に予め記憶されている。変換比率は、例えば、100コイン=90円のような比率である。算出部132は、例えば、記憶部12に記憶されている換算条件が示す変換比率を用いて、変換対象金額から変換後金額を算出する。
【0056】
また、算出部132は、暗号資産が電子マネーに変換されたこと又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたことに対して、発行事業者に付与される対価を算出する。対価は、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーの金額である。算出部132は、例えば、記憶部12に予め記憶された規則に従って、変換対象金額、又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用された金額である決済金額から、対価を算出する。算出部132は、例えば、変換対象金額又は決済金額が大きいほど大きい金額になり、変換対象金額又は決済金額が小さいほど小さい金額になるように、対価を算出する。算出部132は、後述の対価付与指示出力部135が対価付与指示を出力する前の所定のタイミングで対価を算出する。
【0057】
変換指示出力部133(第1指示出力部)は、変換対象金額をユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するとともに、算出部132が算出した変換後金額をユーザに関連付けられた電子マネー口座に加算するための変換指示(第1指示)を出力する。変換指示は、例えば、ユーザのIDと、変換対象金額と、変換後金額と、を示す情報である。変換指示出力部133は、例えば、変換指示を、暗号資産処理部134に通知するとともに、ネットワークを介して決済サーバ2に送信する。
【0058】
図5は、顧客であるユーザが保有する暗号資産を電子マネーに変換する方法を説明するための模式図である。暗号資産管理サーバ1において、暗号資産処理部134は、変換指示出力部133が出力した変換指示に従って、例えば、ブロックチェーンに対して、変換対象金額に対応する一又は複数のコインをユーザの暗号資産口座から決済事業者の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加することにより、変換対象金額をユーザの暗号資産口座から減算して決済事業者の暗号資産口座に加算する。
【0059】
決済サーバ2において、受信部231は、変換指示出力部133が出力した変換指示を受信する。電子マネー処理部232は、受信部231が受信した変換指示に従って、例えば、変換後金額に対応する電子マネーを、決済事業者の電子マネー口座からユーザの電子マネー口座に移転(送金)する。また、電子マネー処理部232は、ユーザの電子マネー口座において、電子マネーを、当該電子マネーが暗号資産から変換された電子マネーであることを示す情報と、関連付けて記録する。これにより、変換対象の暗号資産から変換された電子マネーがユーザに付与され、変換元である暗号資産が決済事業者に付与される。
【0060】
暗号資産が特定の地域内でのみ利用可能である場合に、変換指示出力部133は、暗号資産を利用可能な地域内の店舗において、電子マネーが利用可能であることを条件として、変換指示を出力してもよい。この場合に、変換指示出力部133は、記憶部12に予め記憶された、暗号資産を利用可能な地域と、電子マネーが利用可能な地域と、を示す情報に基づいて、暗号資産を利用可能な地域内の店舗において、電子マネーが利用可能であるか否かを判定する。これにより、暗号資産管理サーバ1は、暗号資産が利用可能な地域内で変換後の電子マネー利用可能な場合のみ暗号資産から電子マネーへの変換を許可し、地域内から地域外へ資産が流出しづらくすることができる。
【0061】
また、暗号資産が特定の地域内でのみ利用可能である場合に、変換指示出力部133は、暗号資産を利用可能な地域内に居住するユーザが地域外に転居したことを条件として、変換指示を出力してもよい。この場合に、変換指示出力部133は、記憶部12に予め記憶された、ユーザの居住地を示す情報に基づいて、暗号資産を利用可能な地域内に居住するユーザが地域外に転居したか否かを判定する。これにより、暗号資産管理サーバ1は、ユーザが暗号資産を利用可能な地域外に転居した場合のみ暗号資産から電子マネーへの変換を許可し、地域内から地域外へ資産が流出しづらくすることができる。
【0062】
対価付与指示出力部135(第2指示出力部)は、変換指示出力部133が変換指示を出力した後に、算出部132が算出した対価を発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示(第2指示)を出力する。上述のように、対価は、例えば、変換対象金額又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用された決済金額に対応する、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーの金額である。
【0063】
対価付与指示出力部135は、発行事業者に付与する対価を、決済事業者又は店舗事業者に負担させる。対価を負担する店舗事業者が運営する店舗は、例えば、暗号資産が利用不可能な店舗又は暗号資産を利用可能な地域外の店舗であることが望ましい。これにより、暗号資産管理サーバ1は、暗号資産が電子マネーに変換されることにより恩恵を受ける店舗事業者に対価を負担させることができる。
【0064】
対価付与指示出力部135は、例えば、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーのいずれかである対価を、所定の口座から発行事業者に関連付けられた口座に移転するための対価付与指示を出力することにより、対価を発行事業者に付与する。対価の移転元である口座は、例えば、対価の原資を管理する原資口座である。対価付与指示は、例えば、発行事業者のIDと、対価と、を示す情報である。
【0065】
対価付与指示出力部135は、暗号資産が電子マネーに変換されたタイミング又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたタイミングのうち一方で、対価付与指示を出力する。
【0066】
図6(a)、
図6(b)は、対価付与指示出力部135が対価付与指示を出力するタイミングを説明するための模式図である。
図6(a)の例では、対価付与指示出力部135は、暗号資産管理サーバ1が変換要求に応じて変換指示を出力したことを契機として、対価付与指示を出力する。これにより、発行事業者は、暗号資産が決済に利用されなくとも、暗号資産が電子マネーに変換された際に利益を得られる。
【0067】
図6(b)の例では、対価付与指示出力部135は、決済サーバ2が暗号資産から変換された電子マネーを利用して決済を行ったことを契機として、対価付与指示を出力する。この場合に、決済サーバ2において、受信部231は、ユーザ端末3又はその他の端末(POS端末等)から、決済情報を受信する。決済情報は、例えば、ユーザのIDと、店舗事業者のIDと、ユーザが電子マネーを利用して店舗事業者に支払う金額である決済金額と、を示す。
【0068】
決済部233は、受信部231が受信した決済情報に基づいて、ユーザが保有する電子マネーを利用して決済を実行する。ここで決済部233は、決済に用いられる電子マネーが、暗号資産から変換された電子マネーか否かを判定する。決済部233は、例えば、ユーザの電子マネー口座から、ユーザが保有する電子マネーそれぞれが暗号資産から変換された電子マネーであるか否かを示す情報を取得する。
【0069】
決済金額に対応する電子マネーが暗号資産から変換された電子マネーを含む場合に、送信部234は、決済金額のうち暗号資産から変換された電子マネーに対応する金額を決済金額として示す情報を、暗号資産管理サーバ1に送信する。暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、決済サーバ2が送信した決済金額を示す情報を受信する。対価付与指示出力部135は、算出部132が決済金額に対して算出した対価を示す対価付与指示を出力する。これにより、発行事業者は、暗号資産が決済に利用されなくとも、暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用された際に利益を得られる。
【0070】
暗号資産管理サーバ1、決済サーバ2又はその他の装置(銀行が運営する銀行サーバ等)は、対価付与指示出力部135が出力した対価付与指示に従って、例えば、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーのいずれかである対価を、原資口座から発行事業者に関連付けられた口座に移転する。これにより、暗号資産が電子マネーに変換されたこと又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたことに対する対価が発行事業者に付与される。
【0071】
決済サーバ2において、決済部233は、電子マネーに変換可能な暗号資産を利用可能な地域内の店舗において電子マネーを利用して決済を行うための手数料を、当該地域外の店舗において電子マネーを利用して決済を行うための手数料よりも下げて、決済を行ってもよい。
【0072】
この場合に、決済部233は、例えば、受信部231が決済情報を受信したことに応じて、ユーザが決済を行う店舗又は店舗事業者の店舗情報を記憶部22から取得し、取得した店舗情報に含まれている所在地が電子マネーに変換可能な暗号資産を利用可能な地域内であるか否かを判定する。決済部233は、例えば、店舗が電子マネーに変換可能な暗号資産を利用可能な地域内である場合に第1手数料を適用し、そうでない場合に第1手数料よりも高い第2手数料を適用する。これにより、情報処理システムSは、地域内で利用可能な暗号資産から変換された電子マネーが地域外に流出することによる、当該地域内の店舗の不利益を軽減できる。
【0073】
また、決済部233は、暗号資産から変換された電子マネーを利用して決済を行うための手数料を、暗号資産から変換されていない電子マネーを利用して決済を行うための手数料よりも下げて、決済を行ってもよい。この場合に、決済部233は、例えば、ユーザの電子マネー口座から、ユーザが保有する電子マネーそれぞれが暗号資産から変換された電子マネーであるか否かを示す情報を取得する。決済部233は、例えば、決済金額のうち暗号資産から変換された電子マネーに対応する金額に対して第1手数料を適用し、その他の金額に対して第1手数料よりも高い第2手数料を適用する。これにより、情報処理システムSは、例えば電子マネーを利用して決済を行うための手数料が暗号資産を利用して決済を行うための手数料よりも高い場合に、暗号資産が電子マネーに変換されることによる店舗の不利益を軽減できる。
【0074】
対価徴収指示出力部136(第3指示出力部)は、対価付与指示出力部135が対価付与指示を出力するタイミングの前又は後に、決済事業者又は店舗事業者に関連付けられた口座から、決済事業者又は店舗事業者が負担する対価を減算するための対価徴収指示(第3指示)を出力する。対価徴収付与指示は、例えば、対価を負担する決済事業者又は店舗事業者のIDと、対価と、を示す情報である。
【0075】
暗号資産管理サーバ1、決済サーバ2又はその他の装置(銀行が運営する銀行サーバ等)は、対価徴収指示出力部136が出力した対価徴収指示に従って、例えば、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーのいずれかである対価を、対価を負担する決済事業者又は店舗事業者に関連付けられた口座から原資口座に移転する。これにより、暗号資産管理サーバ1は、対価を負担する決済事業者又は店舗事業者から発行事業者に付与される対価の原資を徴収し、原資口座に入金できる。
【0076】
また、対価徴収指示出力部136は、決済事業者が対価を負担する場合に、決済事業者が保有する暗号資産を所定の通貨に変換するための手数料として対価を徴収してもよい。この場合に、対価徴収指示出力部136は、例えば、決済事業者が保有する暗号資産を所定の通貨(日本円等)に変換する際に、決済事業者が変換を希望する暗号資産の金額である変換対象金額から対価に対応する金額を減算した上で、記憶部12に予め記憶された所定の換算条件に従って通貨の金額である変換後金額を算出する。対価徴収指示出力部136は、例えば、対価を負担する決済事業者のIDと、暗号資産の変換対象金額と、通貨の変換後金額と、を示す対価徴収指示を出力する。
【0077】
暗号資産管理サーバ1、決済サーバ2又はその他の装置(銀行が運営する銀行サーバ等)は、対価徴収指示出力部136が出力した対価徴収指示に従って、例えば、決済事業者の暗号資産口座から暗号資産の変換対象金額を減算し、決済事業者の通貨口座に通貨の変換後金額を加算する。
【0078】
これにより、暗号資産管理サーバ1は、暗号資産が電子マネーに変換されることにより決済事業者の暗号資産口座に蓄積される暗号資産が所定の通貨に変換される際に、対価の原資を換金手数料として自動的に徴収できる。決済事業者は、対価の原資を予め用意しておく必要がなくなるため、利便性が向上する。
【0079】
[情報処理方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。ユーザ端末3は、ユーザによる操作部の操作に応じて、ユーザが保有する暗号資産をユーザが保有する電子マネーに変換するための変換要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(S11)。暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、ユーザ端末3が送信した変換要求を受け付ける。
【0080】
算出部132は、記憶部12に予め記憶された所定の換算条件に従って、受付部131が受け付けた変換要求が示す暗号資産の金額である変換対象金額に対応する、電子マネーの金額である変換後金額を算出する(S12)。
【0081】
また、算出部132は、暗号資産が電子マネーに変換されたこと又は暗号資産から変換された電子マネーが決済に利用されたことに対して、発行事業者に付与される対価を算出する(S13)。
【0082】
変換指示出力部133は、変換対象金額をユーザに関連付けられた暗号資産口座から減算するとともに、算出部132が算出した変換後金額をユーザに関連付けられた電子マネー口座に加算するための変換指示を出力する(S14)。
【0083】
暗号資産処理部134は、変換指示出力部133が出力した変換指示に従って、例えば、ブロックチェーンにおいて、変換対象金額に対応する暗号資産を、ユーザの暗号資産口座から決済事業者の暗号資産口座に移転する。決済サーバ2において、電子マネー処理部232は、受信部231が受信した変換指示に従って、例えば、変換後金額に対応する電子マネーを、決済事業者の電子マネー口座からユーザの電子マネー口座に移転(送金)する(S15)。
【0084】
対価付与指示出力部135は、変換指示出力部133が変換指示を出力した後に、算出部132が算出した対価を発行事業者に関連付けられた口座に加算するための対価付与指示を出力する(S16)。暗号資産管理サーバ1、決済サーバ2又はその他の装置(銀行が運営する銀行サーバ等)は、対価付与指示出力部135が出力した対価付与指示に従って、例えば、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーのいずれかである対価を、原資口座から発行事業者に関連付けられた口座に移転することにより、発行事業者に対価を付与する(S17)。
【0085】
対価徴収指示出力部136は、決済事業者又は店舗事業者に関連付けられた口座から、決済事業者又は店舗事業者が負担する対価を減算するための対価徴収指示を出力する(S18)。暗号資産管理サーバ1、決済サーバ2又はその他の装置(銀行が運営する銀行サーバ等)は、対価徴収指示出力部136が出力した対価徴収指示に従って、例えば、所定の通貨、暗号資産又は電子マネーのいずれかである対価を、決済事業者又は店舗事業者に関連付けられた口座から原資口座に移転することにより、決済事業者又は店舗事業者から対価を徴収する(S19)。
【0086】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、暗号資産管理サーバ1は、発行事業者が発行した暗号資産が電子マネーに変換された場合に、決済事業者又は店舗事業者が負担する対価を発行事業者に付与する。これにより、暗号資産管理サーバ1は、発行事業者が、暗号資産が決済に利用されなくとも電子マネーに変換されたことに応じた利益を得られるようにすることができる。
【0087】
<第2実施形態>
本実施形態に係る情報処理システムSは、ユーザが暗号資産を決済に利用したことに応じて、決済事業者による決済に利用可能な、電子マネーとは異なるポイントをユーザに付与する。以下、第1実施形態とは異なる部分を主に説明する。
【0088】
図8は、本実施形態に係る暗号資産管理サーバ1のブロック図である。本実施形態に係る暗号資産管理サーバ1の制御部13は、
図2に示した制御部13の構成に加えて、ポイント付与部137を有する。ポイント付与部137は、
図9を用いて後述するように、ユーザが暗号資産を決済事業者による決済に利用したことを条件として、決済事業者による決済に利用可能な、電子マネーとは異なるポイントである決済事業者ポイントをユーザに付与する。
【0089】
図9は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。ユーザ端末3又はその他の端末(POS端末等)は、ユーザが店舗に対して暗号資産を利用して決済を行う際に、決済情報を送信する(S21)。決済情報は、例えば、ユーザのIDと、店舗事業者のIDと、ユーザが暗号資産を利用して店舗事業者に支払う金額である決済金額と、を示す情報である。
【0090】
決済サーバ2において、受信部231は、ユーザ端末3又はその他の端末から決済情報を受信する。送信部234は、受信部231が決済情報を受信したことに応じて、決済金額の決済を行うための決済要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(S22)。決済要求は、例えば、ユーザのIDと、店舗事業者のIDと、決済金額と、を示す情報である。
【0091】
暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、決済サーバ2から決済要求を受信する。暗号資産処理部134は、受付部131が決済要求を受信したことに応じて、例えば、ブロックチェーンに対して、決済金額に対応する一又は複数のコインの保有者をユーザから店舗事業者に変更することを示すトランザクションを追加することにより、決済金額に対応する暗号資産をユーザの暗号資産口座から店舗事業者の暗号資産口座に移転する(S23)。
【0092】
ポイント付与部137は、発行事業者によってユーザに対して発行される、暗号資産とは異なるポイントである発行事業者ポイントをユーザに付与する(S24)。発行事業者ポイントは、暗号資産と同様に、ブロックチェーンを用いて暗号資産口座において管理される。ポイント付与部137は、例えば、決済金額が大きいほど大きく、決済金額が小さいほど小さい発行事業者ポイントをユーザに付与する。暗号資産処理部134は、例えば、ブロックチェーンに対して、ポイント付与部137が付与する発行事業者ポイントをユーザの暗号資産口座に加算することを示すトランザクションを追加する。
【0093】
ポイント付与部137は、暗号資産を利用した決済が完了したことと、ユーザに対して付与された発行事業者ポイントと、を示す決済結果を、決済サーバ2に送信する。決済サーバ2において、受信部231は、暗号資産管理サーバ1から決済結果を受信する。送信部234は、受信部231が決済結果を受信したことに応じて、発行事業者ポイントを決済事業者ポイントに変換するための変換要求を暗号資産管理サーバ1に送信する(S25)。変換要求は、例えば、ユーザのIDと、変換対象の発行事業者ポイントと、を示す情報である。
【0094】
暗号資産管理サーバ1において、受付部131は、決済サーバ2から変換要求を受信する。ポイント付与部137は、受付部131が変換要求を受信したことに応じて、ユーザに対して発行された発行事業者ポイントを、ユーザが保有する決済事業者ポイントに変換する。決済事業者ポイントは、決済事業者による決済に利用可能な、電子マネーとは異なるポイントである。ポイント付与部137は、例えば、記憶部12に予め記憶された所定の換算条件に従って、発行事業者ポイントに対応する決済事業者ポイントを算出する。
【0095】
暗号資産処理部134は、例えば、ブロックチェーンに対して、変換要求が示す発行事業者ポイントの保有者をユーザから決済事業者に変更することを示すトランザクションを追加することにより、発行事業者ポイントをユーザの暗号資産口座から決済事業者の暗号資産口座に移転する(S26)。
【0096】
ポイント付与部137は、算出した決済事業者ポイントを示す変換情報を、決済サーバ2に送信する。決済サーバ2において、受信部231は、暗号資産管理サーバ1から変換情報を受信する。電子マネー処理部232は、受信部231が変換情報を受信したことに応じて、変換情報が示す決済事業者ポイントをユーザに付与する(S27)。決済事業者ポイントは、電子マネーと同様に、データベースを用いて電子マネー口座において管理される。電子マネー処理部232は、例えば、例えば、変換情報が示す決済事業者ポイントを、決済事業者の電子マネー口座からユーザの電子マネー口座に移転する。送信部234は、ユーザに付与された決済事業者ポイントを示すポイント情報を、ユーザ端末3に送信する。
【0097】
本実施形態に係る情報処理システムSは、ユーザが暗号資産を決済に利用したことに応じて、発行事業者によって発行される発行事業者ポイントを決済事業者による決済に利用可能な決済事業者ポイントに自動的に変換してユーザに付与する。これにより、情報処理システムSは、電子マネーと同様に決済に利用可能な決済事業者ポイントをユーザに付与できるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0098】
<第3実施形態>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では暗号資産管理サーバ1が暗号資産から電子マネーに変換する処理を行う情報処理装置として機能しているが、決済サーバ2が暗号資産から電子マネーに変換する処理を行う情報処理装置として機能してもよい。本実施形態において、決済サーバ2の制御部23(プロセッサ)は、上述の受付部131、算出部132、変換指示出力部133、暗号資産処理部134、対価付与指示出力部135、対価徴収指示出力部136及びポイント付与部137として機能する。
【0099】
本実施形態によれば、決済サーバ2が暗号資産を電子マネーに変換して所定の対価を発行事業者に付与する処理を実行できるため、装置間の通信による負荷や待ち時間を削減することができる。
【0100】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0101】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0102】
S 情報処理システム
1 暗号資産管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 算出部
133 変換指示出力部
134 暗号資産処理部
135 対価付与指示出力部
136 対価徴収指示出力部
137 ポイント付与部
2 決済サーバ
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
231 受信部
232 電子マネー処理部
233 決済部
234 送信部
3 ユーザ端末