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特開2024-1892完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001892
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/32 20100101AFI20231227BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20231227BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231227BHJP
【FI】
H01L33/32
F21V9/38
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132445
(22)【出願日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】202210720731.8
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523311650
【氏名又は名称】納微朗科技(深▲せん▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲えん▼ 春輝
(72)【発明者】
【氏名】杜 彦浩
(72)【発明者】
【氏名】孫 偉
(72)【発明者】
【氏名】楊 安麗
(72)【発明者】
【氏名】聶 大偉
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲じん▼▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】鍾 増梁
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241AA40
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA40
5F241CB15
5F241CB36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】GaNベース長波長LED発光効率が低いことを解决するための完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器を提供する。
【解決手段】エピタキシャルチップ構造10は基板101の同一側の主面に成長しているn型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を含み、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104はエレクトロルミネッセンス方式で第1色の光線を生成し、第1色の光線はさらに第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることで、フォトルミネッセンス方式で第2色の光線を生成する。第1色の光線を生成し、フォトルミネッセンスによる第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を配置することで、第1色の光線をさらに第2色の光線に変換して出射し、チップの発光効率を向上する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造であって、
前記エピタキシャルチップ構造は基板の同一側の主面に成長しているn型半導体層、p型半導体層、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系、及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系を含み、
前記n型半導体層と前記p型半導体層とは前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の対向両側に設けられ、前記p型半導体層から出力された正孔と前記n型半導体層から出力された電子とは前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系内で複合することで、前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系はエレクトロルミネッセンス方式で第1色の光線を生成し、前記第1色の光線はさらに前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることで、前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系はフォトルミネッセンス方式で第2色の光線を生成することを特徴とするエピタキシャルチップ構造。
【請求項2】
前記エピタキシャルチップ構造はP型電極をさらに含み、前記P型電極は前記p型半導体層の、前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系から離反する側に設けられ、前記P型電極は反射電極であり、又は前記エピタキシャルチップ構造は前記P型電極と前記p型半導体層との間に設けられる導電反射層をさらに含むことで、前記第1色の光線を前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に反射することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項3】
前記p型半導体層から出力された正孔は、前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送不能であるように配置されることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項4】
前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の厚さは、前記p型半導体層から出力された正孔が前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送不能であるように配置されることを特徴とする請求項3に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項5】
前記エピタキシャルチップ構造は、前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系との間に設けられる分離レイヤーをさらに含み、前記分離レイヤーは、前記p型半導体層から出力された正孔が前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることを阻止することを特徴とする請求項3に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項6】
前記分離レイヤーの材料はn型半導体であることを特徴とする請求項5に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項7】
前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とは前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に挟まれることを特徴とする請求項4~6の何れか1項に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項8】
前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とは前記n型半導体層の対向両側に設けられることを特徴とする請求項3に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項9】
前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはInGaN又はInGaAlNの量子井戸層をそれぞれ含み、前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の量子井戸層中のIn含有量は、前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系の量子井戸層中のIn含有量より小さいことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項10】
前記n型半導体体層は第1サブ半導体層及び第2サブ半導体層を含み、又は前記p型半導体層は第1サブ半導体層及び第2サブ半導体層を含み、前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系は前記第1サブ半導体層と前記第2サブ半導体層との間に挟まれることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項11】
前記エピタキシャルチップ構造はスペクトル反射強化構造をさらに含み、前記スペクトル反射強化構造は前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系の、前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系から離反する側に設けられ、前記スペクトル反射強化構造は、前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に吸収されていない前記第1色の光線を前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に反射して、前記第2色の光線を透過させることを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項12】
前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系は、前記第1色の光線の一部を前記第2色の光線に変換するように配置され、前記第2色の光線はさらに、前記第1色の光線の残りの部分と複合して第3色の光線を生成することを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項13】
前記エピタキシャルチップ構造は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系をさらに含み、前記第1色の光線及び/又は前記第2色の光線は前記第2フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることで、前記第2フォトルミネッセンス量子井戸層系はフォトルミネッセンス方式で第3色の光線を生成し、前記反射電極又は前記導電反射層はさらに、前記第2色の光線及び/又は前記第3色の光線を反射することを特徴とする請求項2に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項14】
前記第2フォトルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とは前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の同一側に設けられ、又は、
前記第2フォトルミネッセンス量子井戸層系と前記第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とは前記エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の両側に設けられることを特徴とする請求項13に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項15】
前記第1色の光線の波長範囲は360nm~460nmであることを特徴とする請求項1~14の何れか1項に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項16】
前記第1色の光線の波長範囲は360nm~420nmであり、前記第2色の光線の波長範囲は420nm~480nmであり、又は、
前記第1色の光線の波長範囲は420~480nmであり、前記第2色の光線の波長範囲は490nm~550nmであり、又は、
前記第1色の光線の波長範囲は490~550nmであり、前記第2色の光線の波長範囲は560nm~650nmであることを特徴とする請求項1~14の何れか1項に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項17】
前記エピタキシャルチップ構造はノーマル構造、フリップ構造、垂直構造又は前記基板を除去した薄膜構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャルチップ構造。
【請求項18】
発光機器であって、前記発光機器は請求項1~17の何れか1項に記載のエピタキシャルチップ構造及び蛍光体粉末を含み、前記蛍光体粉末は前記エピタキシャルチップ構造の光射出側の表面に設けられ、前記第1色の光線及び/又は前記第2色の光線は前記蛍光体粉末に伝送されることで、前記蛍光体粉末は誘導されて第4色の光線を生成することを特徴とする発光機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は半導体光電の技術分野に関して、特に完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器に関している。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)ベース白色光LEDは省エネルギー、使用寿命が長く、体積が小さいなどの利点を具備する。現在、バックライト、車両用ライトなどの照明分野に大幅に適用されている。現在、GaNベース長波長LEDは、発光効率が低く、光学効果のdroop問題及び発光ピークの青方偏移の問題が存在するため、LED白色光を実現するための主流の方式は、GaNベース青色光チップ+橙色蛍光体粉末であり、ところが、このような方式による白色光指標パラメータが悪く、色度ムラ及び性能衰退などの問題が存在する。
【0003】
また、Micro LEDは次世代フルカラー表示技術として、1つのスクリーンに高密度、微小サイズの赤、緑、青の三原色LEDチップアレイを集積する必要があるため、赤、緑、青の三原色LEDチップの部分物質移動技術はその発展を制限する主な技術的ボトルネックになる。赤、緑、青三原色GaNベースLEDチップを同一チップに成長させて集積させると、最終製品の製造の複雑さを大幅に低減できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくともGaNベース長波長LED発光効率が低いことを解决するための完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の第1実施例は完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造を提供し、当該エピタキシャルチップ構造は基板の同一側の主面に成長しているn型半導体層、p型半導体層、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系を含み、n型半導体層とp型半導体層とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系の対向両側に設けられ、p型半導体層から出力された正孔とn型半導体層から出力された電子とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系内で複合することで、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系はエレクトロルミネッセンス方式で第1色の光線を生成し、第1色の光線はさらに第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることで、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系はフォトルミネッセンス方式で第2色の光線を生成する。
【0006】
好ましくは、エピタキシャルチップ構造はP型電極をさらに含み、P型電極はp型半導体層の、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系から離反する側に設けられ、P型電極は反射電極であり、又はエピタキシャルチップ構造はP型電極とp型半導体層との間に設けられる導電反射層をさらに含むことで、第1色の光線を第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に反射する。
【0007】
好ましくは、p型半導体層から出力された正孔は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送不能であるように配置される。
【0008】
好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の厚さは、p型半導体層から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送不能であるように配置される。
【0009】
好ましくは、エピタキシャルチップ構造はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系との間に設けられる分離レイヤーをさらに含み、分離レイヤーは、p型半導体層から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることを阻止する。
【0010】
好ましくは、分離レイヤーの材料はn型半導体である。
【0011】
好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはn型半導体層とp型半導体層との間に挟まれる。
【0012】
好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはn型半導体層の対向両側に設けられる。
【0013】
好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはInGaN又はInGaAlNの量子井戸層をそれぞれ含み、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系の量子井戸層中のIn含有量は、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系の量子井戸層中のIn含有量より小さい。
【0014】
好ましくは、n型半導体体層は第1サブ半導体層及び第2サブ半導体層を含み、又はp型半導体層は第1サブ半導体層及び第2サブ半導体層を含み、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系は第1サブ半導体層と第2サブ半導体層との間に挟まれる。
【0015】
好ましくは、エピタキシャルチップ構造はスペクトル反射強化構造をさらに含み、スペクトル反射強化構造は、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系の、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系から離反する側に設けられ、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に吸収されていない第1色の光線を第1フォトルミネッセンス量子井戸層系に反射して、第2色の光線を透過させる。
【0016】
好ましくは、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系は第1色の光線の一部を第2色の光線に変換するように配置され、第2色の光線はさらに第1色の光線の残りの部分と複合して第3色の光線を生成する。
【0017】
好ましくは、エピタキシャルチップ構造は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系をさらに含み、第1色の光線及び/又は第2色の光線は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系に伝送されることで、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系はフォトルミネッセンス方式で第3色の光線を生成し、反射電極又は導電反射層はさらに第2色の光線及び/又は第3色の光線を反射する。
【0018】
好ましくは、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系の同一側に設けられ、又は、
第2フォトルミネッセンス量子井戸層系と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系の両側に設けられる。
【0019】
好ましくは、第1色の光線の波長範囲は360nm~460nmである。
【0020】
好ましくは、第1色の光線の波長範囲は360nm~420nmであり、第2色の光線の波長範囲は420nm~480nmであり、又は、
第1色の光線の波長範囲は420~480nmであり、第2色の光線の波長範囲は490nm~550nmであり、又は、
第1色の光線の波長範囲は490~550nmであり、第2色の光線の波長範囲は560nm~650nmである。
【0021】
好ましくは、エピタキシャルチップ構造はノーマル構造、フリップ構造、垂直構造又は基板を除去した薄膜構造を含む。
【0022】
本出願の第2実施例は発光機器を提供し、当該発光機器は上記のエピタキシャルチップ構造及び蛍光体粉末を含み、蛍光体粉末はエピタキシャルチップ構造の光射出側の表面に設けられ、第1色の光線及び/又は第2色の光線は蛍光体粉末に伝送されることで、蛍光体粉末は誘導されて第4色の光線を生成する。
【発明の効果】
【0023】
従来技術に対して、本出願はエピタキシャルチップ構造の基板の同一側にエレクトロルミネッセンスによるエレクトロルミネッセンス量子井戸層系を配置することで、第1色の光線を生成し、フォトルミネッセンスによる第1フォトルミネッセンス量子井戸層系を配置して、第1色の光線をさらに第2色の光線に変換して出射することで、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系から生成された第1色の光線の大部分を受け取って、第2色の光線に変換し、色変換効率を効果的に向上するとともに、蛍光体粉末を使用して発光することに存在する損失及び衰退という問題を解決して、さらに、エピタキシャルチップ構造の発光効率を向上する。
【0024】
ここで、以上の一般的な記載及び以下の細部の記載は本出願を限定しておらず、例示的及び解釈的なものに過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本出願実施例における技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、これらの図面に基づいて他の図面を取得できる。
図1】本出願のエピタキシャルチップ構造の第1実施例の構造模式図である。
図2】本出願のエピタキシャルチップ構造の第2実施例の構造模式図である。
図3】本出願のエピタキシャルチップ構造の第3実施例の構造模式図である。
図4】本出願のエピタキシャルチップ構造の第4実施例の構造模式図である。
図5】本出願のエピタキシャルチップ構造の第5実施例の構造模式図である。
図6】本出願のエピタキシャルチップ構造の第6実施例の構造模式図である。
図7】本出願のエピタキシャルチップ構造のスペクトル強度模式図である。
図8】本出願のエピタキシャルチップ構造と従来型LEDとの波長青方偏移の比較模式図である。
図9】本出願のエピタキシャルチップ構造の第7実施例の構造模式図である。
図10】本出願のエピタキシャルチップ構造の第8実施例の構造模式図である。
図11】本出願のエピタキシャルチップ構造の第9実施例の構造模式図である。
図12】本出願のエピタキシャルチップ構造の第10実施例の構造模式図である。
図13】本出願の発光機器の1つの実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
当業者が本出願の技術案をよりよく理解するために、以下、図面及び具体的な実施形態を結合して本出願が提供する完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造及び発光機器をさらに詳しく記載する。ここで、記載される実施例は全ての実施例ではなく、本出願の一部の実施例に過ぎない。本出願における実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として、取得した他の全ての実施例は何れも本出願の保護範囲に属している。
【0027】
本出願における「第1」、「第2」などの用語は特定順序を記載しておらず、異なる対象を区別するためのものである。また、用語である「含む」、「具備」及びこれらの任意の変形は非排他的包含を含むように意図される。例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は機器は、挙げられたステップ又はユニットに限定されず、挙げられていないステップ又はユニットを含んでもよいし、又は、これらの過程、方法、製品或又は機器の固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0028】
本出願は完全窒化物によるエピタキシャルチップ構造を提供することで、従来技術において外付け波長変換器を使用してエピタキシャルチップ構造を変換することで生成された色光の色変換効率及び発光強度が低く、蛍光体粉末による発光には損失及び衰退存在し、さらに、当該LED及び波長変換器を使用する照明装置の発光効率が低いという問題を解決する。
【0029】
図1を参照し、図1は本出願のエピタキシャルチップ構造の第1実施例の構造模式図である。図1に示すように、エピタキシャルチップ構造10は基板101、n型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を含む。
【0030】
具体的に、n型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は基板101の同一側の主面に成長している。n型半導体層102とp型半導体層105とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の対向両側に設けられ、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の、p型半導体層105から離反する側に位置する。好ましくは、本実施例はn型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の、基板101上の成長・沈積順序を限定しておらず、上記配列関係を満たしていればよい。
【0031】
好ましくは、本実施例において、基板101はサファイア双投基板であってもよく、その厚さは10μm~1000μmである。
【0032】
好ましくは、本実施例のp型半導体層105はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に順に成長しているp-GaN層及びp-AlGaN層を含む。p-GaN層の厚さは10nm~500nmであり、p-AlGaN層の厚さは5nm~50nmである。
【0033】
p型半導体層105から出力された正孔とn型半導体層102から出力された電子とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合することで、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104はエレクトロルミネッセンス方式で第1色の光線を生成し、好ましくは、本実施例において、第1色の光線の波長範囲は360nm~460nmである。第1色の光線はさらに第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることで、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103はフォトルミネッセンス方式で第2色の光線を生成する。好ましくは、本実施例において、ニーズに応じてエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103中のIn含有量を設置することで、対応のする量子井戸層系に相応的な色の光線を生成させる。
【0034】
具体的に、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とはInGaN又はInGaAlNの量子井戸層をそれぞれ含み、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の量子井戸層中のIn含有量は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の量子井戸層中のIn含有量より小さい。好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の量子井戸層中のIn含有量は0~20%であり、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の量子井戸層中のIn含有量は12%~50%である。
【0035】
エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の厚さは5nm~1000nmであり、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の厚さは5nm~200nmである。エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は何れも少なくとも1つの量子井戸、及び少なくとも1つのポテンシャル障壁層を含み、量子井戸の厚さは0.5nm~10nmであり、ポテンシャル障壁層の厚さは3nm~100nmである。好ましくは、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は何れも多周期構造であり、1つの量子井戸と1つのポテンシャル障壁層とは1つの周期構造を形成し、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の周期数は1~15対であり、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の周期数は1~100対である。
【0036】
好ましくは、他の実施例において、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103はさらに、第1色の光線の一部を第2色の光線に変換するように配置され、第2色の光線はさらに第1色の光線の残りの部分と複合して第3色の光線を生成する。
【0037】
好ましくは、本実施例において、第1色の光線の波長範囲は360nm~420nmであり、第2色の光線の波長範囲は420nm~480nmであり、又は第1色の光線の波長範囲は420~480nmであり、第2色の光線の波長範囲は490nm~550nmであり、或いは第1色の光線の波長範囲は490~550nmであり、第2色の光線の波長範囲は560nm~650nmである。本実施例において、波長が近い第1色の光線と第2色の光線とを選択することで、短波長の第1色の光線を長波長の第2色の光線に変換する変換効率がより高くなるとともに、波長変換のエネルギー損失を低減する。
【0038】
図1に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10はP型電極107及びN型電極106をさらに含み、P型電極107はp型半導体層105の、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から離反する側に設けられ、正孔を生成するようにp型半導体層105を誘導し、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられ、電子を生成するようにn型半導体層102を誘導する。
【0039】
具体的に、本実施例において、P型電極107は反射電極であり、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線の一部は直接的に第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送され、他の一部はP型電極107に伝送されて反射されることで、第1色の光線の他の一部も第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送され、これによって、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線の大部分を受け取り、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の色変換効率及びエピタキシャルチップ構造10の発光効率を効果的に向上する。また、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は第1色の光線を第2色の光線に変換して、透明な基板101を介してエピタキシャルチップ構造10外部に出射する。
【0040】
p型半導体層105から出力された正孔は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送不能であるように配置され、又はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の厚さは、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103伝送不能であるように配置され、これによって、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103がエレクトロルミネッセンスを生成して、第2量子井戸系103から生成される第2色のスペクトルが広くなることを防止し、さらに、エピタキシャルチップ構造10から生成された光線が設置ニーズを満たしていないことを防止する。
【0041】
P型電極107の厚さは10nm~1000nmであり、N型電極106の厚さは10nm~1000nmである。好ましくは、P型電極107及びN型電極106は何れも金属電極であり、P型電極107の金属成分はチタン、アルミニウム、銀、金、ニッケル、白金などのうちの1つ又はいくつかの組み合わせであってもよく、N型電極106の金属成分はチタン、アルミニウム、銀、金、ニッケル、白金などのうちの1つ又はいくつかの組み合わせであってもよい。
【0042】
図1を結合して、図2をさらに参照し、図2は本出願のエピタキシャルチップ構造の第2実施例の構造模式図である。図2に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、n型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、P型電極107、N型電極106及びP型電極107とp型半導体層105との間に設けられる導電反射層111を含む。
【0043】
具体的に、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、導電反射層111及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0044】
導電反射層111はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成されて、P型電極107に伝送される第1色の光線を第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に反射し、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の色変換効率、及びエピタキシャルチップ構造10の発光効率をさらに向上する。
【0045】
図1を結合して、図3をさらに参照し、図3は本出願のエピタキシャルチップ構造の第3実施例の構造模式図である。図3に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、バッファー層110、n型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、P型電極107及びN型電極106を含む。バッファー層110は基板101とn型半導体層102との間に設けられる。
【0046】
具体的に、バッファー層110、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0047】
好ましくは、他の実施例において、バッファー層110はGaN核形成層であってもよい。GaN核形成層の厚さは5nm~200nmである。
【0048】
具体的に、本実施例において、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とはn型半導体層102とp型半導体層105との間に挟まれる。本実施例において、n型半導体層102から出力された電子は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、p型半導体層105から出力された正孔は同じようにエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105及びエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の厚さを設置することで実現される。
【0049】
図1及び図3を結合して、図4をさらに参照し、図4は本出願のエピタキシャルチップ構造の第4実施例の構造模式図である。図4に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、バッファー層110、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、n型半導体層102、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、P型電極107及びN型電極106を含む。
【0050】
具体的に、バッファー層110、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、n型半導体層102、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0051】
エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とはn型半導体層102の対向両側に設けられる。n型半導体層102から出力された電子及びp型半導体層105から出力された正孔は直接的にエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及びn型半導体層102の厚さを設置すればよい。
【0052】
好ましくは、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10はun-GaN層をさらに含み、un-GaN層は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とバッファー層110との間に設けられる。un-GaN層の厚さは100nm~10000nmである。
【0053】
図1及び図3を結合して、図5をさらに参照し、図5は本出願のエピタキシャルチップ構造の第5実施例の構造模式図である。図5に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、バッファー層110、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、P型電極107及びN型電極106を含む。分離レイヤー109はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103との間に設けられ、分離レイヤー109はp型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを阻止する。
【0054】
具体的に、バッファー層110、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0055】
本実施例において、n型半導体層102から出力された電子は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び分離レイヤー109によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、p型半導体層105から出力された正孔は同じように、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び分離レイヤー109の厚さを設置することで実現される。
【0056】
好ましくは、本実施例の分離レイヤー109の材料はn型半導体であり、具体的にn-GaN層であり、その厚さは100nm~10000nmである。
【0057】
図2及び図5を結合して、図6をさらに参照し、図6は本出願のエピタキシャルチップ構造の第6実施例の構造模式図である。図6に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、スペクトル反射強化構造108、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、導電反射層111、P型電極107及びN型電極106を含む。スペクトル反射強化構造108は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103の、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から離反する側に設けられ、具体的に、基板101とn型半導体層102との間に設けられ、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に吸収されていない第1色の光線を第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に反射して、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線を透過させる。
【0058】
具体的に、スペクトル反射強化構造108、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、導電反射層111及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0059】
本実施例において、n型半導体層102から出力された電子は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び分離レイヤー109によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、p型半導体層105から出力された正孔は同じように、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、対応するように、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び分離レイヤー109の厚さを設置すればよい。
【0060】
具体的に、本実施例において、スペクトル反射強化構造108を配置することで、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から出力された第1色の光線を反射できるとともに、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から発した第2色光線を全面的に透過させることができる。好ましくは、本実施例において、スペクトル反射強化構造108は反射鏡又は反射コーティングなどであってもよい。
【0061】
図6を結合して、図7及び図8をさらに参照し、図7は本出願のエピタキシャルチップ構造のスペクトル強度模式図であり、図8は本出願のエピタキシャルチップ構造と従来型LEDとの波長青方偏移の比較模式図である。
【0062】
図7に示すように、本出願のエピタキシャルチップ構造10のエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線の中心波長は400nmほどであり、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線の中心波長は520nmほどである。また、図7から分かるように、第2色の光線のスペクトル強度が第1色の光線のスペクトル強度よりも遥かに大きく、即ち、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は第1色の光線の少なくとも大部分を吸収して、第2色の光線に変換して出射する。
【0063】
図7に示すように、本実施例において、第2色の光線は具体的に緑色光であり、さらに図8に示すように、同じ電流密度で、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10から出力された緑色光のピーク波長位相は、従来型緑色光LEDのピーク波長位相より小さく、即ち、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は長波長EL LEDのスペクトル青方偏移という問題を効果的に解决でき、これに基づいて、さらに長波長EL LEDの光学効果Droopという問題を解決できる。
【0064】
図2図3及び図6を結合して、図9をさらに参照し、図9は本出願のエピタキシャルチップ構造の第7実施例の構造模式図である。図9に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、バッファー層110、スペクトル反射強化構造108、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、導電反射層111、P型電極107及びN型電極106を含む。
【0065】
p型半導体層105は第1サブ半導体層113及び第2サブ半導体層114を含み、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は第1サブ半導体層113と第2サブ半導体層114との間に挟まれる。具体的に、第1サブ半導体層113はp-GaN層であり、第2サブ半導体層114はp-AlGaN層である。
【0066】
具体的に、導電反射層111、バッファー層110、n型半導体層102、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、第2サブ半導体層114、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第1サブ半導体層113、スペクトル反射強化構造108及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0067】
本実施例において、n型半導体層102から出力された電子はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、第1サブ半導体層113から出力された正孔は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び第2サブ半導体層114によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、同じように、第2サブ半導体層114から出力された正孔はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、n型半導体層102から出力された電子が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、P型電極107及びN型電極106に印加される電流密度を制御することで実現される。
【0068】
図2図3及び図6を結合して、図10をさらに参照し、図10は本出願のエピタキシャルチップ構造の第8実施例の構造模式図である。図10に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、バッファー層110、スペクトル反射強化構造108、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、導電反射層111、P型電極107及びN型電極106を含む。
【0069】
n型半導体層102は第1サブ半導体層115及び第2サブ半導体層116を含み、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103は第1サブ半導体層115と第2サブ半導体層116との間に挟まれる。具体的に、第1サブ半導体層115及び第2サブ半導体層116は何れもn-GaN層である。
【0070】
具体的に、スペクトル反射強化構造108、バッファー層110、第2サブ半導体層116、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第1サブ半導体層115、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、導電反射層111及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0071】
本実施例において、p型半導体層105から出力された正孔はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、第1サブ半導体層115から出力された電子はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、第2サブ半導体層116から出力された電子は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び第1サブ半導体層115によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び第1サブ半導体層115の厚さを設置することで実現される。
【0072】
図2及び図5を結合して、図11をさらに参照し、図11は本出願のエピタキシャルチップ構造の第9実施例の構造模式図である。図11に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、n型半導体層102、p型半導体層105、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、導電反射層111、第1分離レイヤー118、第2分離レイヤー119、P型電極107及びN型電極106を含む。第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の同一側に設けられる。
【0073】
エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線及び/又は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117に伝送されることで、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117はフォトルミネッセンス方式で第3色の光線を生成する。
【0074】
具体的に、n型半導体層102、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117、第2分離レイヤー119、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第1分離レイヤー118、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、導電反射層111及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。
【0075】
導電反射層111はさらに、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線、及び/又は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117から生成された第3色の光線を反射する。
【0076】
本実施例において、n型半導体層102から出力された電子は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117、第2分離レイヤー119、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び第1分離レイヤー118によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、また、p型半導体層105から出力された正孔はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、第1分離レイヤー118、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第2分離レイヤー119及び第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117の厚さを設置することで実現される。
【0077】
好ましくは、他の実施例において、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103との間に第2分離レイヤー119を配置する必要がなく、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104との間に第1分離レイヤー118を配置すればよく、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、第1分離レイヤー118、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103及び第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117の厚さを配置することで、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止する。
【0078】
好ましくは、他の実施例において、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103はn1対のIny(1)Ga1 y(1)N/GaN、n2対のIny(2)Ga1 y(2)N、…nk対のIny(k)Ga1 y(k)N/GaNのうちの1つ又はいくつかの組み合わせであってもよく、n1、n2、…nkの和であるnは総的な周期対数であり、nの値は1~100であり、y(k)はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の量子井戸層中のIn含有量より小さく、y(k) の値は0.12~0.5である。
【0079】
図2及び図5を結合して、図12をさらに参照し、図12は本出願のエピタキシャルチップ構造の第10実施例の構造模式図である。図12に示すように、本実施例において、エピタキシャルチップ構造10は基板101、n型半導体層102、p型半導体層105、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、導電反射層111、分離レイヤー109、P型電極107及びN型電極106を含む。第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117と第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104の両側に設けられる。
【0080】
具体的に、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117、導電反射層111及びP型電極107は基板101の1側面に順に配置され、N型電極106はn型半導体層102の、基板101から離反する側に設けられる。導電反射層111は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線、第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117から生成された第3色の光線及びエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線を全反射させる。
【0081】
本実施例において、n型半導体層102から出力された電子は第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117及び分離レイヤー109によってエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送され、また、p型半導体層105から出力された正孔はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104に伝送されることで、電子と正孔とはエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104内で複合する。また、p型半導体層105から出力された正孔が第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103に伝送されることを防止するために、p型半導体層105、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び分離レイヤー109の厚さを設置することで実現される。また、n型半導体層102から出力された電子が第2フォトルミネッセンス量子井戸層系117に伝送されることを防止するために、n型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104及び分離レイヤー109の厚さを設置することで実現される。
【0082】
具体的に、本出願の第1実施例~第6実施例、第8実施例~第10実施例に示されるエピタキシャルチップ構造10の構造は何れもフリップ構造であり、第7実施例に示されるエピタキシャルチップ構造10の構造は何れもノーマル構造である。好ましくは、他の実施例において、エピタキシャルチップ構造10はさらに、垂直構造又は基板101を除去した薄膜構造として設置されてもよく、第1実施例~第10実施例に含まれる層構造は、実際ニーズに応じて自由に組み合わせて設計されることで、対応するノーマル構造、フリップ構造、垂直構造又は薄膜構造を実現する。薄膜構造から基板101を除去することは、エピタキシャルチップ構造10に含まれる多層構造の成長順序に影響していない。
【0083】
本出願において、エピタキシャルチップ構造10にエレクトロルミネッセンスによるエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104を配置することで、第1色の光線を生成し、フォトルミネッセンスによる第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を配置して、第1色の光線をさらに第2色の光線に変換して出射することで、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103はエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線の大部分を受け取って、第2色の光線に変換し、エピタキシャルチップ構造10の色変換効率を効果的に向上する。
【0084】
また、本出願は蛍光体粉末の代わりとして、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を使用することで、蛍光体粉末による発光に存在する損失及び衰退という問題を解決して、さらに、エピタキシャルチップ構造10の発光効率を向上し、本出願は従来のエレクトロルミネッセンス構造の長波長LEDの代わりとして、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103を使用することで、電圧印加による光学効果Droop及びスペクトル青方偏移という問題を解決する。そして、本実施例は単一チップのエピタキシャルチップ構造10によって多波長集積誘導を実現し、さらに、RGB表示画素又はRGB白色光源を形成し、さらに、エピタキシャルチップ構造10はMicro LEDの設置ニーズを満たし、最終製品の製造の複雑さを低減する。
【0085】
また、本出願において、基板101の1側にn型半導体層102、第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103、分離レイヤー109、エレクトロルミネッセンス量子井戸層系104、p型半導体層105、導電反射層111及びP型電極107のうちの任意の組み合わせを成長させ、即ち、基板101の一面で1回の成長を行うことで、基板101の両面で2回の成長を行って2回目の成長が1回目の成長によって形成された構造に対して傷害及び悪影響を与えることを回避し、例えば、高温GaNの2回目の成長の時、1回目で成長した量子井戸に対して結晶品質の破壊を与えて、機器の機能が実現しにくい。また、基板101の1側で1回の成長を行うと、本出願のエピタキシャルチップ構造10を取得でき、製造工程コストを低減して、製品の良品率を向上できる。
【0086】
本出願は発光機器をさらに提供し、図13を参照し、図13は本出願のエピタキシャルチップ構造の第10実施例の構造模式図である。図13に示すように、発光機器20はエピタキシャルチップ構造21及び蛍光体粉末22を含む。エピタキシャルチップ構造21は上記の何れか1つの実施例に記載のエピタキシャルチップ構造10である。
【0087】
具体的に、蛍光体粉末22はエピタキシャルチップ構造21の光射出側の表面に設けられ、エピタキシャルチップ構造21のエレクトロルミネッセンス量子井戸層系104から生成された第1色の光線及び/又は第1フォトルミネッセンス量子井戸層系103から生成された第2色の光線は蛍光体粉末22に伝送されることで、蛍光体粉末22は誘導されて第4色の光線を生成する。
【0088】
第1色の光線はさらに、第2色の光線及び第4色の光線と複合して第5色の光線を生成する。好ましくは、第1色の光線は青色光であり、第2色の光線は緑色光であり、第4色の光線は赤色光であり、複合による第5色の光線は白色光である。
【0089】
以上は本出願の特許範囲を限定しておらず、本出願の実施例に過ぎず、本出願の明細書及び図面内容を使用して完成した等効構造又は等価フロー変換は直接又は間接的に他の関連技術分野に適用され、何れも本出願の特許保護範囲内に含まれる。
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図13