(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018923
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】負荷装置、及び負荷装置の増設装置
(51)【国際特許分類】
H04B 3/54 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H04B3/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062165
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2022121213
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】岩島 健人
(72)【発明者】
【氏名】平下 英里
(72)【発明者】
【氏名】野村 啓幸
【テーマコード(参考)】
5K046
【Fターム(参考)】
5K046AA03
5K046BA03
5K046BA05
5K046BB05
5K046PS21
5K046PS24
5K046PS51
(57)【要約】
【課題】電力線通信の質を向上できる負荷装置、及び負荷装置の増設装置を提供する。
【解決手段】負荷装置2は、第1の電力路W14から分岐して負荷部24に接続される第2の電力路W15を備える。そのため、外部からの電力は、第1の電力路W14を流れ、第2の電力路W15へ分岐して負荷部24へ供給される。このとき、第2の電力路W15から第1の電力路W14へ向かって負荷部24で発生した負荷ノイズが流れる。これに対し、フィルタ部23が第2の電力路W15に設けられている。従って、負荷部24で発生した負荷ノイズは、第2の電力路W15の中途位置にてフィルタ部23によって遮断される。従って、第1の電力路W14を流れるPLC信号に負荷ノイズが混入することを防止できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力線通信を行う電力線通信部と、
電力を用いる負荷部と、
負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、
前記電力線通信部に接続される第1の電力路と、
前記第1の電力路から分岐して前記負荷部に接続される第2の電力路と、
前記フィルタ部は前記第2の電力路に設けられ、
前記電力線通信部は、前記負荷部との間で信号のやりとりを行う、負荷装置。
【請求項2】
前記フィルタ部は、前記第2の電力路に対して着脱可能である、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項3】
前記第2の電力路に対して、複数の前記フィルタ部を着脱可能である、請求項2に記載の負荷装置。
【請求項4】
前記電力線通信部と、前記負荷部との間では、前記負荷部に対する制御信号が流れる、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項5】
前記電力線通信部と前記負荷部との間にセンサ部が設けられ、前記センサ部からの検出信号が前記電力線通信部へ流れる、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項6】
前記電力線通信部と前記負荷部との間にセンサ部が設けられ、前記センサ部からの検出信号が前記負荷部へ流れる、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項7】
他の負荷装置へ電力を送る送り部と、
前記第1の電力路から分岐して前記送り部に接続される第3の電力路と、を更に備える、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項8】
前記負荷部は、他の負荷装置へ電力を送る機能を有する負荷部兼送り部として構成される、請求項1に記載の負荷装置。
【請求項9】
電力路に接続されて電力を用いる負荷部を備える既存負荷装置に対して後付けによって設けられる負荷装置の増設装置であって、
電力線通信を行う電力線通信部と、
負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、
電力を供給されると共に、前記電力線通信部に接続される第1の電力路と、
前記第1の電力路から分岐して前記負荷部に接続される第2の電力路と、を備え、
前記フィルタ部は前記第2の電力路に設けられ、
記電力線通信部は、前記負荷部との間で信号のやりとりを行う、負荷装置の増設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷装置、及び負荷装置の増設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力線通信部とブロッキングフィルタを有した親機と、電力線通信部と負荷部を有した負荷装置があった(例えば特許文献1)。この親機と負荷装置との間の電力路には、第1の搬送周波数を通過させ第2の搬送周波数を遮断するフィルタ部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のシステムでは、負荷部から出る負荷ノイズ等を遮断することはできない。従って、負荷ノイズの影響によって電力線通信が行い難くなり、通信の質が低下するという課題があった。そこで、電力線通信の質を向上できる負荷装置が求められていた。
【0005】
本発明は、電力線通信の質を向上できる負荷装置、及び負荷装置の増設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る負荷装置は、電力線通信を行う電力線通信部と、電力を用いる負荷部と、 負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、電力線通信部に接続される第1の電力路と、第1の電力路から分岐して負荷部に接続される第2の電力路と、フィルタ部は第2の電力路に設けられ、電力線通信部は、負荷部との間で信号のやりとりを行う。
【0007】
本発明に係る負荷装置は、電力線通信部に接続される第1の電力路を備える。そのため、PLC信号は、第1の電力路を介して電力線通信部に送受信される。また、電力線通信部は、負荷部との間で信号のやりとりを行う。従って、電力線通信部は、PLC信号に基づいた信号を負荷部へ送信することが可能となる。また、負荷装置は、第1の電力路から分岐して負荷部に接続される第2の電力路を備える。そのため、外部からの電力は、第1の電力路を流れ、第2の電力路へ分岐して負荷部へ供給される。このとき、第2の電力路から第1の電力路へ向かって負荷部で発生した負荷ノイズが流れる。これに対し、フィルタ部が第2の電力路に設けられている。従って、負荷部で発生した負荷ノイズは、第2の電力路の中途位置にてフィルタ部によって遮断される。従って、第1の電力路を流れるPLC信号に負荷ノイズが混入することを防止できる。以上より、電力線通信の質を向上できる。
【0008】
フィルタ部は、第2の電力路に対して着脱可能であってよい。この場合、負荷装置にとって必要な性能を有するフィルタ部を第2の電力路へ付け替えることができる。
【0009】
第2の電力路に対して、複数のフィルタ部を着脱可能であってよい。この場合、複数のフィルタ部の中から選択して、負荷装置にとって必要な性能を有するフィルタ部を第2の電力路へ設けることができる。
【0010】
電力線通信部と、負荷部との間では、負荷部に対する制御信号が流れてよい。この場合、電力線通信部は、外部から受信したPLC信号に基づいた制御信号を負荷部へ送信することができる。
【0011】
電力線通信部と負荷部との間にセンサ部が設けられ、センサ部からの検出信号が電力線通信部へ流れてよい。この場合、電力線通信部は、センサ部から受信した検出信号に基づいたPLC信号を外部へ送信することができる。
【0012】
電力線通信部と負荷部との間にセンサ部が設けられ、センサ部からの検出信号が負荷部へ流れてよい。この場合、負荷部において、センサ部からの検出信号に基づいた制御が行われる。
【0013】
負荷装置は、他の負荷装置へ電力を送る送り部と、第1の電力路から分岐して送り部に接続される第3の電力路と、を更に備えてよい。例えば、電源からの電力路に対して他の負荷装置を接続する場合、電源の電力路に対して端子台を設ける必要があった。すなわち、複数の負荷装置ごとに端子台が必要になり、配線が煩雑になる場合があった。これに対し、送り部が他の負荷装置へ電力を送ることで、負荷装置ごとの端子台を省略することができる。
【0014】
負荷部は、他の負荷装置へ電力を送る機能を有する負荷部兼送り部として構成されてよい。負荷部が、負荷部兼送り部として他の負荷装置へ電力を送ることで、負荷装置ごとの端子台を省略することができる。また、各負荷装置において同様の制御を行う場合には、他の負荷装置において、個別の制御を行うために必要となる機能を省略することができる。
【0015】
本発明に係る負荷装置の増設装置は、電力路に接続されて電力を用いる負荷部を備える既存負荷装置に対して後付けによって設けられる負荷装置の増設装置であって、電力線通信を行う電力線通信部と、負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、電力を供給されると共に、電力線通信部に接続される第1の電力路と、第1の電力路から分岐して負荷部に接続される第2の電力路と、を備え、フィルタ部は第2の電力路に設けられ、電力線通信部は、負荷部との間で信号のやりとりを行う。
【0016】
本発明に係る負荷装置の増設装置によれば、既存の負荷装置に対して後付けで増設することで、上述の負荷装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電力線通信の質を向上できる負荷装置、及び負荷装置の増設装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る負荷装置を備えるエネルギーマネージメントシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】変形例に係る負荷装置を示すブロック図である。
【
図3】着脱可能なフィルタ部の一例を示す図である。
【
図4】増設装置によって増設された負荷装置を示すブロック図である。
【
図5】増設装置によって増設された負荷装置を示すブロック図である。
【
図6】変形例に係る負荷装置を示すブロック図である。
【
図7】変形例に係る負荷装置を示すブロック図である。
【
図8】変形例に係る負荷装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る負荷装置2を備えるエネルギーマネージメントシステム100を示すブロック構成図である。エネルギーマネージメントシステム100は、所定の機器を備える管理対象エリア内におけるエネルギーを管理するシステムである。エネルギーマネージメントシステム100は、通信装置1と、負荷装置2と、交流電源3と、電力路W10と、を備える。交流電源3は電力路W10を介して、電子機器に交流電力を供給する。電力路W10からは、各電気機器に電力を供給するための複数の電力路W11,W12,W13が分岐している。なお、図においては電力路W10の一部のみが示されており、電力路W10からは更に多数の電力路が分岐する。なお、電力路W10,W11,W12,W13は二本の電力線6,7を有する。以降の電力路も二本の電力線6,7を有する。
【0021】
通信装置1は、エネルギーマネージメントシステム100内の機器を管理する機器である。通信装置1は、エネルギーマネージメントシステム100内で親機として機能する。通信装置1は、電力路W10から分岐した電力路W11に接続される。負荷装置2は、電力を用いた所定の処理を行う機器である。負荷装置2は、エネルギーマネージメントシステム100内で子機として機能する。図においては、二台の負荷装置2A,2Bが設けられる。負荷装置2Aは、電力路W10から分岐した電力路W12に接続される。負荷装置2Bは、電力路W10から分岐した電力路W13に接続される。ただし、負荷装置2の個数は特に限定されない。
【0022】
ここで、エネルギーマネージメントシステム100内では、電力線通信(PLC通信:Power Line Communication)によって機器間の情報伝達が行われる。電力線通信は、例えば、商用周波数の電力波形に商用周波数と異なる周波数の通信信号を重畳して送信すると共にこの電力波形から異なる周波数の通信信号を分離して受信することによって、電力線を用いて通信信号を送受信する通信方式である。なお、電力線通信は、その周波数帯域により、電波法の適用を受ける場合がある。ただし、本実施形態に係るエネルギーマネージメントシステム100では、屋内及び屋外でも使用でき、なおかつ、ある程度のまとまったデータ転送を実現するために、例えば100KHz~450KHzの周波数帯域の電力線通信を用いてよい。ただし、それ以上、または、それ以下の周波数帯域の電力線通信も利用可能である。例えば、周波数帯域は、10KHz以下としてよいし、2MHz以上としてもよい。また、100KHz~450KHzの周波数帯域の電力線通信を用いるとして、その変調方式も特に限定されず、OFDM方式が採用されてもよいし、DCSK方式が採用されてもよい。電力路における電力線6,7は、主目的として、商用周波数の交流電力を供給するための配線であり、電力線通信を行うに当たってはその伝送路となる。具体的に、通信装置1と負荷装置2との間では電力線通信が行われる。電力線通信では、AC100VやAC200Vなどの交流の電力路に対して通信信号を重畳することができる。負荷装置2からの通信信号は、電力路を介して通信装置1へ送られる。通信装置1からの通信信号は、電力路を介して負荷装置2へ送られる。
【0023】
次に、通信装置1の詳細なブロック構成について説明する。通信装置1は、電力線通信部11と、制御部12と、設定部13と、を備える。電力線通信部11は、負荷装置2と通信を行うユニットである。電力線通信部11は、負荷装置2と電力線通信を行う回路を有する。制御部12は、通信装置1全体の動作を制御するユニットである。制御部12は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。制御部12は、負荷装置2が照明装置や空調装置である場合、各照明及び空調のON/OFFの切替、及び出力の強弱の調整などを制御するための制御情報を演算する。設定部13は、例えばスイッチやLCD、LEDなどで構成され、負荷装置2における各種設定を行う。
【0024】
次に、負荷装置2の詳細なブロック構成について説明する。負荷装置2は、電力線通信部21と、制御部22と、フィルタ部23と、負荷部24と、センサ部25と、第1の電力路W14と、第2の電力路W15と、を備える。
【0025】
電力線通信部21は、通信装置1または他の負荷装置2と通信を行うユニットである。電力線通信部21は、通信装置1または他の負荷装置2と電力線通信を行う回路を有する。
【0026】
制御部22は、負荷装置2全体の動作を制御するユニットである。制御部22は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。制御部22は、通信装置1からの制御信号に基づいて負荷部24の制御を行う。また、制御部22は、センサ部25から受信した検出信号に基づいて、電力線通信部21を介して通信装置1へ信号を送信する。
【0027】
負荷部24は、電力を用いて各種処理を行う機器である。負荷部24として、例えば、照明装置や空調装置が採用可能である。なお、センサ部25は、負荷部24の制御に用いられる各種センサを有してもよい。負荷部24が照明装置であった場合、センサ部25は照度センサや人感センサなどを有してよい。負荷部24が空調装置であった場合、センサ部25は温度センサなどを有してよい。
【0028】
フィルタ部23は、負荷部24から発生する負荷ノイズを遮断する機器である。フィルタ部23は、電力線通信における周波数付近の信号を遮断するが、電力供給に係る周波数は通過させる。フィルタ部23の具体的なフィルタ部品は特に限定されない。
【0029】
第1の電力路W14は、電力供給のための電力路W12,W13と、電力線通信部21とに接続される電力路である。第2の電力路W15は、第1の電力路W14から分岐して負荷部24に接続される電力路である。また、電力線通信部21は配線26を介して制御部22と接続される。負荷部24は配線27を介して制御部22と接続される。センサ部25は配線29を介して制御部22と接続される。
【0030】
負荷装置2における信号の流れについて説明する。交流電源3からの電力は、電力路W10,W12,W13を介して負荷装置2へ供給される。また、電力は、第1の電力路W14を介して電力線通信部21へ供給されると共に、途中で分岐して第2の電力路W15を介して負荷部24へ供給される。通信装置1の電力線通信部11からのPLC信号は、電力路W11,W10,W12,W13を介して、負荷装置2へ送信される。PLC信号は、第1の電力路W14を介して電力線通信部21へ送信される。また、電力線通信部21からのPLC信号は、第1の電力路W14を介して通信装置1へ送信される。このとき、第1の電力路W14を流れるPLC信号は、第2の電力路W15ではフィルタ部23で遮断されることによって、負荷部24へは送信されない。また、負荷部24で発生した負荷ノイズは、フィルタ部23で遮断されることによって、第2の電力路15を介して第1の電力路14のPLC信号に混入することが防止される。
【0031】
電力線通信部21は、負荷部24との間で信号のやりとりを行う。具体的には、電力線通信部21は、配線26,27及び制御部22を介して制御信号を負荷部24へ送信する。電力線通信部21は、検出信号をセンサ部25から受信する。
【0032】
電力線通信部21が、通信装置1からPLC信号を受信したら、当該PLC信号に基づく制御信号を配線26を介して制御部22へ送信する。制御部22は、当該制御信号に基づいて、配線27を介して制御信号を負荷部24へ送信する。これにより、電力線通信部21と、負荷部24との間では、負荷部24に対する制御信号が流れる。
【0033】
センサ部25が検出を行うと、センサ部25は、配線29を介して制御部22へ検出信号を送信する。制御部22は、センサ部25からの検出信号に対して所定の処理を行って配線29を介して電力線通信部21へ送信する。電力線通信部21は、検出情報を示すPLC信号を通信装置1へ送信する。これにより、電力線通信部21と負荷部24との間にセンサ部25が設けられ、センサ部25からの検出信号が電力線通信部21へ流れる。
【0034】
また、センサ部25からの検出信号が負荷部24へ流れてもよい。センサ部25が検出を行うと、センサ部25は、制御部22へ検出信号を送信し、制御部22は当該検出信号を負荷部24へ送信し、負荷部24においてそのまま検出信号に基づいた制御が行われてもよい。
【0035】
次に、本実施形態に係る負荷装置2の作用・効果について説明する。
【0036】
本実施形態に係る負荷装置2は、電力線通信部21に接続される第1の電力路W14を備える。そのため、PLC信号は、第1の電力路W14を介して電力線通信部21に送受信される。また、電力線通信部21は、負荷部24との間で信号のやりとりを行う。従って、電力線通信部21は、PLC信号に基づいた信号を負荷部24へ送信することが可能となる。また、負荷装置2は、第1の電力路W14から分岐して負荷部24に接続される第2の電力路W15を備える。そのため、外部からの電力は、第1の電力路W14を流れ、第2の電力路W15へ分岐して負荷部24へ供給される。このとき、第2の電力路W15から第1の電力路W14へ向かって負荷部24で発生した負荷ノイズが流れる。これに対し、フィルタ部23が第2の電力路W15に設けられている。従って、負荷部24で発生した負荷ノイズは、第2の電力路W15の中途位置にてフィルタ部23によって遮断される。従って、第1の電力路W14を流れるPLC信号に負荷ノイズが混入することを防止できる。以上より、電力線通信の質を向上できる。
【0037】
電力線通信部21と、負荷部24との間では、負荷部24に対する制御信号が流れてよい。この場合、電力線通信部21は、外部から受信したPLC信号に基づいた制御信号を負荷部24へ送信することができる。
【0038】
電力線通信部21と負荷部24との間にセンサ部25が設けられ、センサ部25からの検出信号が電力線通信部21へ流れてよい。この場合、電力線通信部21は、センサ部25から受信した検出信号に基づいたPLC信号を外部へ送信することができる。
【0039】
電力線通信部21と負荷部24との間にセンサ部25が設けられ、センサ部25からの検出信号が負荷部24へ流れてよい。この場合、負荷部24において、センサ部25からの検出信号に基づいた制御が行われる。
【0040】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
例えば、フィルタ部23は、第2の電力路W15に対して着脱可能であってよい。この場合、負荷部24にとって必要な性能を有するフィルタ部23を第2の電力路W15へ付け替えることができる。また、第2の電力路W15に対して、複数のフィルタ部23を着脱可能であってよい。この場合、複数のフィルタ部23の中から選択して、負荷装置2にとって必要な性能を有するフィルタ部23を第2の電力路W15へ設けることができる。
【0042】
具体的に、
図2に示すような負荷装置2を採用してよい。
図2(a)に示すように、負荷装置2は、第2の電力路W15に対して複数(ここでは三つ)のフィルタ部23を着脱可能である。負荷装置2は、第2の電力路W15にフィルタ部23を着脱可能に取り付ける取付部28を有する。各取付部28に対しては、大きさが互いに異なるフィルタ部23を取り付けることができる。第2の電力路W15は、各取付部28に並列に接続される。このため、負荷部24からの負荷ノイズの大きさに応じて、フィルタ部23の大きさを選択し、当該大きさのフィルタ部23を、対応する取付部28へ取り付ける(
図2(b)参照)。
【0043】
図3は、着脱可能なフィルタ部23及び取付部28を示す斜視図である。フィルタ部23は、フィルタ部品40と、フィルタ部品40に巻き付けられた配線41と、配線41の両端に設けられた端子42,43と、を有する。取付部28は、基板45と、基板上に設けられて端子42,43を着脱可能に接続する接続端子44,46と、を備える。
図3(a)に示すように、端子42,43を接続端子44,46に接続することによって、フィルタ部23を取付部28に取り付ける。
図3(b)に示すように、端子42,43を接続端子44,46から取り外すことにより、フィルタ部23を取付部28から取り外すことができる。
【0044】
なお、
図2では、複数のフィルタ部23を着脱可能であったが、一つのフィルタ部23が着脱可能であってもよい。例えば、第2の電力路W15に着脱不能なフィルタ部23と、当該フィルタ部23と直列接続された取付部28を設けてよい。負荷部24の負荷ノイズが大きい場合に、取付部28に追加のフィルタ部23を設けることができる。なお、取付部28にフィルタ部23を取り付けないときは、接続端子44,46同士を配線で繋げばよい。あるいは、フィルタ部23を有さない第2の電力路W15に取付部28を設けてよい。フィルタ部23を交換するときに、フィルタ部23を着脱してよい。
【0045】
図4に示すような増設装置50が採用されてよい。負荷装置の増設装置50は、電力路に接続されて電力を用いる負荷部24を備える既存負荷装置53に対して後付けによって設けられる。増設装置50は、電力線通信を行う電力線通信部21と、負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部23と、電力を供給されると共に、電力線通信部21に接続される第1の電力路W14と、第1の電力路W14から分岐して負荷部24に接続される第2の電力路W15と、を備える。また、フィルタ部23は第2の電力路W15に設けられ、電力線通信部21は、負荷部24との間で信号のやりとりを行う。
【0046】
具体的には、
図4に示すように、既存負荷装置53は、負荷部24を備える。増設装置50は、電力線通信部21、制御部22、及びセンサ部25を備える第1の増設部51と、フィルタ部23を備える第2の増設部52と、を備える。第1の増設部51及び第2の増設部52は、既存負荷装置53に対して着脱可能な別部材として構成されている。また、第1の増設部51及び第2の増設部52も互いに着脱可能な別部材として構成されている。なお、増設装置50を増設した後は、
図1の負荷装置2と同様な構成を有する負荷装置2が完成する。
【0047】
上述の増設装置50は、増設部51,52を有していたが、
図5に示すように、増設装置50が、電力線通信部21、制御部22、センサ部25、及びフィルタ部23を備えてもよい。
【0048】
負荷装置の増設装置50によれば、既存負荷装置53に対して後付けで増設することで、上述の負荷装置と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0049】
図6に示すような負荷装置2が採用されてもよい。
図6に示す負荷装置2は、
図1に示す負荷装置2に対して、他の負荷装置へ電力を送る送り部121と、第1の電力路W14から分岐して送り部に接続される第3の電力路W110と、を更に備える。
【0050】
負荷装置2Aの送り部121は、第3の電力路W110を介して、第1の電力路W14と接続される。第3の電力路W110は、送り部121を通過して、負荷装置2の端部まで延び、外部の電力線と接続可能である。ここでは、負荷装置2Aと負荷装置2Bとを接続する電力路W113を第3の電力線W110に接続可能である。負荷装置2Aの送り部121は、負荷装置2Aと負荷装置2Bとを接続する電力路W113を介して、負荷装置2Bの第1の電力路W14と接続される。これにより、送り部121は、交流電源3からの電力、及び通信装置1の電力線通信部11からのPLC信号を他の負荷装置2Bへ送ることができる。
【0051】
図6に示す負荷装置2の作用・効果について説明する。
【0052】
例えば、
図1に示すように、交流電源3からの電力路W10に対して他の負荷装置2Bを接続する場合、交流電源3の電力路W10に対して端子台を設ける必要があった。
図1に示す例では、負荷装置2Bからの電力路W13と、交流電源3の電力路W10との間に、端子台を設ける必要があった。すなわち、負荷装置2が増える場合、負荷装置2ごとに端子台が必要となる。従って、配線が煩雑になる場合があった。これに対し、
図6に示す負荷装置2(2A)によれば、送り部121が他の負荷装置2(2B)へ電力を送ることで、負荷装置2ごとの端子台を省略することができる。このため、エネルギーマネージメントシステム100における配線が煩雑になることを抑制することができる。
【0053】
図7に示す負荷装置2を採用してもよい。
図7に示す負荷装置2Aにおける負荷部24は、他の負荷装置へ電力を送る機能を有する負荷部兼送り部124として構成されている。
【0054】
負荷部兼送り部124からは、電力線W114が負荷装置2Aの端部まで引き出され、外部の電力線と接続可能である。ここでは、負荷装置2Aと負荷装置102Bとを接続する電力路W117を第3の電力線W114に接続可能である。また、制御部22には、外部の配線と接続可能な配線120が接続されている。
【0055】
負荷装置102B,102Cは、負荷部兼送り部124及び制御部22を備え、負荷装置2Aの他の構成要素は省略可能とされている。負荷部兼送り部124は、外部の電力線と接続可能な電力線W115,W116と接続されている。制御部22は、配線27を介して負荷部兼送り部124と接続される。また、制御部22は、外部の配線と接続可能な配線125,122と接続されている。
【0056】
負荷装置2Aの負荷部兼送り部124と、負荷装置102Bの負荷部兼送り部124とは、電力路W114,W117,W115を介して接続される。また、負荷装置102Bの負荷部兼送り部124と負荷装置102Cの負荷部兼送り部124とは、電力路W116,W118,W115を介して接続される。これにより、負荷装置2Aの負荷部兼送り部124は、交流電源3からの電力を他の負荷装置102B,102Cの負荷部兼送り部124へ送ることができる。
【0057】
負荷装置2Aの制御部22と、負荷装置102Bの制御部22とは、配線120,123,121を介して接続される。また、負荷装置102Bの制御部22と負荷装置102Cの制御部22とは、配線122,126,121を介して接続される。これにより、負荷装置2Aの制御部22は、制御信号を負荷装置102B,102Cの制御部22へ送ることができる。負荷装置102B,102Cの制御部22は、負荷装置2Aの制御部22と同様の処理を各負荷部兼送り部124に対して行うことができる。
【0058】
図7に示す負荷装置2の作用・効果について説明する。
【0059】
負荷装置2Aの送り部121は、負荷装置2Aと負荷装置2Bとを接続する電力路W113を介して、負荷装置2Bの第1の電力路W14と接続される。これにより、送り部121は、交流電源3からの電力、及び通信装置1の電力線通信部11からのPLC信号を他の負荷装置2Bへ送ることができる。
【0060】
負荷装置2Aの負荷部24が、負荷部兼送り部124として他の負荷装置102A,102Bへ電力を送ることで、負荷装置ごとの端子台を省略することができる。また、各負荷装置2A,102B,102Cにおいて同様の制御を行う場合には、他の負荷装置102B,102Cにおいて、個別の制御を行うために必要となる機能を省略することができる。例えば、
図7に示す例においては、負荷装置102B,102Cの電力線通信部21、フィルタ部23、負荷部兼送り部124、センサ部25が省略されている。ただし、負荷装置102B,102Cにおいて、これらの少なくともいずれかが構成要素が省略されなくてもよい。
【0061】
負荷装置2が有する送り部121の数は特に限定されない。例えば、
図8に示すように、負荷装置2Aが二つの送り部121A,121Bを有してもよい。第3の電力路W110は、二つの電力路110A,110Bに分岐する。電力路110Aは送り部121Aに接続され、電力路110Bは送り部121Bに接続される。
【0062】
図4及び
図5に示す増設構造に対して、
図6に示す送り部121、及び
図7に示す負荷部兼送り部124を採用してもよい。例えば、
図4に示す第1の増設部51に対して送り部121を追加してもよい。
図5に示す増設装置50に対して送り部121を追加してもよい。また、
図4及び
図5に示す負荷部24を負荷部兼送り部124に置き換えると共に、電力路W114を追加してもよい。なお、
図5に示す第2の電力路W15は、増設装置50の内部にて電力路W12から分岐しているが、増設装置50の外部にて電力路W12から分岐してもよい。
【0063】
また、負荷装置2は、送り部121と負荷部兼送り部124を同時に有していてもよい。
【0064】
[形態1]
電力線通信を行う電力線通信部と、
電力を用いる負荷部と、
負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、
前記電力線通信部に接続される第1の電力路と、
前記第1の電力路から分岐して前記負荷部に接続される第2の電力路と、
前記フィルタ部は前記第2の電力路に設けられ、
前記電力線通信部は、前記負荷部との間で信号のやりとりを行う、負荷装置。
[形態2]
前記フィルタ部は、前記第2の電力路に対して着脱可能である、形態1に記載の負荷装置。
[形態3]
前記第2の電力路に対して、複数の前記フィルタ部を着脱可能である、形態2に記載の負荷装置。
[形態4]
前記電力線通信部と、前記負荷部との間では、前記負荷部に対する制御信号が流れる、形態1~3の何れか一項に記載の負荷装置。
[形態5]
前記電力線通信部と前記負荷部との間にセンサ部が設けられ、前記センサ部からの検出信号が前記電力線通信部へ流れる、形態1~4の何れか一項に記載の負荷装置。
[形態6]
前記電力線通信部と前記負荷部との間にセンサ部が設けられ、前記センサ部からの検出信号が前記負荷部へ流れる、形態1~5の何れか一項に記載の負荷装置。
[形態7]
他の負荷装置へ電力を送る送り部と、
前記第1の電力路から分岐して前記送り部に接続される第3の電力路と、を更に備える、形態1~6の何れか一項に記載の負荷装置。
[形態8]
前記負荷部は、他の負荷装置へ電力を送る機能を有する負荷部兼送り部として構成される、形態1~7の何れか一項に記載の負荷装置。
[形態9]
電力路に接続されて電力を用いる負荷部を備える既存負荷装置に対して後付けによって設けられる負荷装置の増設装置であって、
電力線通信を行う電力線通信部と、
負荷部から発生する負荷ノイズを遮断するフィルタ部と、
電力を供給されると共に、前記電力線通信部に接続される第1の電力路と、
前記第1の電力路から分岐して前記負荷部に接続される第2の電力路と、を備え、
前記フィルタ部は前記第2の電力路に設けられ、
記電力線通信部は、前記負荷部との間で信号のやりとりを行う、負荷装置の増設装置。
【符号の説明】
【0065】
2…負荷装置、21…電力線通信部、23…フィルタ部、24…負荷部、25…センサ部、50…増設装置、121…送り部、124…負荷部兼送り部、W14…第1の電力路、W15…第2の電力路、W110…第3の電力路。