(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018926
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】上開き式のキャリア
(51)【国際特許分類】
B65D 85/38 20060101AFI20240201BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D85/38 300
H01L21/68 U
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064538
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】63/392858
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】潘 詠晉
(72)【発明者】
【氏名】鍾 承恩
(72)【発明者】
【氏名】林 志銘
(72)【発明者】
【氏名】李 柏廷
(72)【発明者】
【氏名】劉 維虔
(72)【発明者】
【氏名】▲ふぁん▼ 子寧
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA03
3E096BA15
3E096BB03
3E096CA02
3E096CA09
3E096CB03
3E096DA11
3E096DA17
5F131AA12
5F131CA32
5F131CA37
5F131CA49
5F131GA05
5F131GA13
5F131GA32
5F131GA62
5F131GA66
5F131GA72
5F131GA77
5F131GA82
5F131GA83
5F131GA84
5F131GA87
5F131GA92
5F131JA04
5F131JA16
5F131JA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来からの基板容器が有する色々な問題点を解消する。
【解決手段】上開き式の基板キャリアは、容器本体と、扉部材と、少なくとも1つのラッチ構造とを備える。ラッチ構造は、回転駆動部材と、第1カムフォロアと、第2カムフォロアと、第1連結棒と、第2連結棒と、2つの縦方向ラッチアームと、2つの横方向ラッチアームとを含む。第1カムフォロアと第2カムフォロアが、それぞれ回転駆動部材の相対する両側に配置され、回転駆動部材は外力を受けて回転し、第1連結棒と第2連結棒を連動させ、第1カムフォロアと第2カムフォロアを同期駆動して回転させ、複数のロック孔に突き出して施錠状態になるように2つの縦方向ラッチアームと2つの横方向ラッチアームを連動させ、または複数のロック孔から引っ込めて解錠状態になるように2つの縦方向ラッチアームと2つの横方向ラッチアームを連動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間と前記収納空間に連通する上部開口とを有し、複数のロック孔が設けられた容器本体と、
ラッチ空間を有し、前記上部開口に配置された扉部材と、
回転駆動部材と、第1カムフォロアと、第2カムフォロアと、第1連結棒と、第2連結棒と、2つの縦方向ラッチアームと、2つの横方向ラッチアームとを含み、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアがそれぞれ前記回転駆動部材の相対する両側に配置され、前記第1連結棒が少なくとも前記第1カムフォロアと前記回転駆動部材に連結され、前記第2連結棒が少なくとも前記第2カムフォロアと前記回転駆動部材に連結され、前記ラッチ空間に配置された少なくとも1つのラッチ構造と、を備え、
前記回転駆動部材は、外力を受けて回転し、前記第1連結棒と前記第2連結棒を連動させると共に、前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアを同期駆動して回転させることにより、前記複数のロック孔に突き出して施錠状態になるように2つの前記縦方向ラッチアームと2つの前記横方向ラッチアームを連動させ、または前記複数のロック孔から引っ込めて解錠状態になるように2つの前記縦方向ラッチアームと2つの前記横方向ラッチアームを連動させる、ことを特徴とする、
上開き式のキャリア。
【請求項2】
前記回転駆動部材は、カムであり、
前記第1連結棒は、前記回転駆動部材の第1係合部と前記第1カムフォロアに連結され、前記第2連結棒は、前記回転駆動部材の第2係合部と前記第2カムフォロアに連結されることを特徴とする、
請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項3】
前記第1連結棒は、さらに前記第2カムフォロアに延伸され、前記第2連結棒は、さらに前記第1カムフォロアに延伸されており、前記第1連結棒と前記第2連結棒とは相互に平行することが特徴とする、請求項2に記載の上開き式のキャリア。
【請求項4】
前記縦方向ラッチアームの一端及び前記横方向ラッチアームの一端は、前記第1カムフォロアにスライド可能に連結され、前記ラッチアームのそれぞれが前記第1カムフォロアから前記複数のロック孔に突き出すことまたは引っ込めることができており、
前記縦方向ラッチアームの他端及び前記横方向ラッチアームの他端は、前記第2カムフォロアにスライド可能に連結され、前記ラッチアームのそれぞれが前記第2カムフォロアから前記複数のロック孔に突き出すことまたは引っ込めることができることを特徴とする、
請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項5】
前記回転駆動部材は、リンク部材であり、
前記第1連結棒と前記第2連結棒は、それぞれ前記第1カムフォロア及び前記第2カムフォロアに連結され、前記リンク部材は、前記第1連結棒及び前記第2連結棒に連結されることを特徴とする、
請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項6】
前記縦方向ラッチアームの延伸する方向は、前記横方向ラッチアームの延伸する方向に直交することを特徴とする、請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項7】
前記ラッチ構造は、2つであり、2つの前記ラッチ構造は、互いに鏡像対称に前記ラッチ空間において配置されることを特徴とする、請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項8】
前記第1カムフォロアと前記第2カムフォロアにそれぞれ2つのガイド溝が配置され、2つの前記縦方向ラッチアームと2つの前記横方向ラッチアームは、それぞれガイドピンを介してスライド可能に前記ガイド溝に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項9】
前記扉部材は、扉体と扉蓋を含み、前記扉蓋は、前記扉体を覆うことにより、前記ラッチ空間を特定することを特徴とする、請求項1に記載の上開き式のキャリア。
【請求項10】
前記縦方向ラッチアームと前記横方向ラッチアームは、それぞれ少なくとも1つの弾性部品をさらに含み、前記弾性部品の一端が前記扉体の表面に押し当てることを特徴とする、請求項9に記載の上開き式のキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本發明は、キャリアに関するものであり、特に、上開き式のキャリアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業用基板は、例えば、プリント基板などの各種のシートが挙げられており、半導体分野を中心に幅広く各産業分野で使用される。基板は、製造プロセスに備えるベース基板であってもよく、プロセスを行われている基板であってもよく、プロセスの完成された基板であってもよい。基板は、どの段階であっても、外部からの衝撃力と環境汚染から基板を保護するために、基板容器で載置及び搬送される必要がある。
【0003】
基板容器は、自動化装置によって積み上げた複数の基板を一括して取り出し、または各基板を一枚ずつ取り出すことができるように、複数の基板を安定に載置できるものが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明は、従来からの基板容器が有する色々な問題点を解消するために、上開き式のキャリアを提供する
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的とその他の目的を達成するために、本発明に係る上開き式のキャリアは、収納空間と収納空間に連通する上部開口とを有し、複数のロック孔が設けられた容器本体と、ラッチ空間を有し、上部開口に配置された扉部材と、回転駆動部材と、第1カムフォロアと、第2カムフォロアと、第1連結棒と、第2連結棒と、2つの縦方向ラッチアームと、2つの横方向ラッチアームとを含み、第1カムフォロアと第2カムフォロアがそれぞれ回転駆動部材の相対する両側に配置され、第1連結棒が少なくとも第1カムフォロアと回転駆動部材に連結され、第2連結棒が少なくとも第2カムフォロアと回転駆動部材に連結され、ラッチ空間に配置された少なくとも1つのラッチ構造とを備え、回転駆動部材は、外力を受けて回転し、第1連結棒と第2連結棒を連動させると共に、第1カムフォロアと第2カムフォロアを同期駆動して回転させることにより、複数のロック孔に突き出して施錠状態になるように2つの縦方向ラッチアームと2つの横方向ラッチアームを連動させ、または複数のロック孔から引っ込めて解錠状態になるように2つの縦方向ラッチアームと2つの横方向ラッチアームを連動させる。
【0006】
本発明の一実施例において、回転駆動部材は、カムであり、第1連結棒は、回転駆動部材の第1係合部と第1カムフォロアに連結され、第2連結棒は、回転駆動部材の第2係合部と第2カムフォロアに連結される。
【0007】
本発明の一実施例において、第1連結棒は、さらに第2カムフォロアに延伸され、第2連結棒は、さらに第1カムフォロアに延伸されており、第1連結棒と第2連結棒とは相互に平行する。
【0008】
本発明の一実施例において、縦方向ラッチアームの一端及び横方向ラッチアームの一端は、第1カムフォロアにスライド可能に連結され、ラッチアームのそれぞれが第1カムフォロアから複数のロック孔に突き出すことまたは引っ込めることができており、縦方向ラッチアームの他端及び横方向ラッチアームの他端は、第2カムフォロアにスライド可能に連結され、ラッチアームのそれぞれが第2カムフォロアから複数のロック孔に突き出すことまたは引っ込めることができる。
【0009】
本発明の一実施例において、回転駆動部材は、リンク部材であり、第1連結棒と第2連結棒は、それぞれ第1カムフォロア及び第2カムフォロアに連結され、リンク部材は、第1連結棒及び第2連結棒に連結される。
【0010】
本発明の一実施例において、縦方向ラッチアームの延伸する方向は、横方向ラッチアームの延伸する方向に直交する。
【0011】
本発明の一実施例において、ラッチ構造は、2つであり、2つのラッチ構造は互いに鏡像対称にラッチ空間において配置される。
【0012】
本発明の一実施例において、第1カムフォロアと第2カムフォロアにそれぞれ2つのガイド溝が配置され、2つの縦方向ラッチアームと2つの横方向ラッチアームは、それぞれガイドピンを介してスライド可能にガイド溝に配置される。
【0013】
本発明の一実施例において、扉部材は、扉体と扉蓋を含み、扉蓋は、扉体を覆うことにより、ラッチ空間を特定する。
【0014】
本発明の一実施例において、縦方向ラッチアームと横方向ラッチアームは、それぞれ少なくとも1つの弾性部品をさらに含み、弾性部品の一端が前記扉体の表面に押し当てる。
【発明の効果】
【0015】
これにより、本発明に係る上開き式のキャリアは、特に開口が上方に向けることにより、基板の数量に応じて収納空間の高さを調整できるだけではなく、キャリアの支持部品を簡潔化することができ、また、1つのラッチ構造を操作することだけで、扉部材を複数の方向で簡単に施錠又は解錠することができる。本発明に係る上開き式のキャリアのラッチ構造は、従来技術と比較すると、施錠には便利で、手間を省いて時間を短縮し、部品数を抑えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施例に係る上開き式のキャリアの分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るラッチ構造が施錠状態から解錠状態に変更することを示す図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係るラッチ構造が解錠状態から施錠状態に変更することを示す図である。
【
図4】本発明の第1実施例に係るラッチ構造の一部を拡大して示す図である。
【
図5】
図3におけるA-A’線による部分断面を示す図。
【
図6】本発明の第2実施例に係るラッチ構造を示す図であり、縦方向ラッチアームと横方向ラッチアームは省略される。
【
図7】本発明の第3実施例に係るラッチ構造の一部を示す斜視図である。
【
図8】
図7におけるラッチ構造の施錠状態から解錠状態に変更することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を充分に理解するために、具体的な実施例と図面をもって本発明について詳細に説明する。当業者は、本明細書に開示された内容から、本発明の目的、特徴および効果を理解することができる。ただし、本発明は、他の異なる具体的な実施例を用いて実施または適用することができ、本明細書の詳細についても、本発明の主旨に逸脱しない範囲で、異なる視点や応用に基づいて修正や変更を行うことができる。以下の実施形態は、本発明の関連技術内容をさらに詳しく説明するが、開示された内容は、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。以下に説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例に係る上開き式のキャリア100は、容器本体1と、扉部材2と、少なくとも1つのラッチ3構造とを備える。
【0019】
容器本体1は、収納空間Sと収納空間Sに連通する上部開口11とを有し、上部開口11の開口方向が上になっており、ラッチ構造3で差し固めるように、容器本体1の上部開口11に近接する位置にはさらに複数のロック孔12が設けられる。ロック孔12は、ラッチ構造3の設計に合わせて、位置、数量、寸法を調整することができる。ロック孔12は、ロック位置を複数の方向で備えるために、上部開口11の周縁を囲むように設けられることが好ましい。収納空間Sは、複数の基板Pが上部開口11から入れられ、収納空間Sにおいて密着して積み上げられるように複数の基板Pを収納する。各基板Pは、それぞれ1つのトレイ(tray)に載せられており、各基板Pを互いに接触させないように、各トレイを積み上げることが好ましい。基板Pを積み上げるまたは取り出す場合は、自動化装置(例えば、機器アーム)によって開口の上方から積み上げたトレイを直接に挟み出す/吸い付けて出すこと、または各トレイを1つずつ取り出すことで実現することができる。
【0020】
扉部材2は、上部開口11に設けられ、ラッチ空間Qを有する。扉部材2は、収納空間Sを閉めるように上部開口11を覆っており、扉部材2が容器本体1に対して外されることにより、基板Pを取り出したり入れたりすることができる。本実施例では、扉部材2が扉体21と扉蓋22を含み、扉蓋22が扉体21を覆うことによりラッチ空間Qを特定する。ただし、本発明はそれに限定されるものではなく、上部開口11に近接するラッチ空間Qを形成すれば、扉部材2は異なる構造を有してもよい。
【0021】
ラッチ構造3は、
図1~
図3に示すように、ラッチ空間Qに配置される。ラッチ構造3は、回転駆動部材30、第1カムフォロア31、第2カムフォロア32、第1連結棒33、第2連結棒34、2つの縦方向ラッチアーム35及び2つの横方向ラッチアーム36を備える。第1カムフォロア31と第2カムフォロア32は、それぞれ回転駆動部材30の相対する両側に配置され、第1連結棒33が少なくとも第1カムフォロア31と回転駆動部材30に連結され、第2連結棒34が少なくとも第2カムフォロア32と回転駆動部材30に連結される。
【0022】
以下、ラッチ構造3の施錠や解錠を駆動するために、回転駆動部材30を回転させる方法について説明する。
【0023】
回転駆動部材30は、手動または自動化装置よりの推動力によって回転することができる。ラッチ構造3がラッチ空間Qに配置され、上方から扉蓋22に覆われる場合は、鍵が扉孔221を通して回転駆動部材30の鍵穴に挿入することにより、回転駆動部材30を駆動して時計回り、または反時計回りに回転させることができる。
【0024】
図2に示すように、回転駆動部材30は、外力を受けて第1方向(例えば、時計回り方向)に回転すると共に、第1連結棒33と第2連結棒34を連動させ、さらに、第1カムフォロア31と第2カムフォロア32を連動させて同様に時計回りに回転させることにより、2つの縦方向ラッチアーム35と2つの横方向ラッチアーム36を複数のロック孔12、操作孔211から引っ込めさせて解錠状態になるように駆動する。
【0025】
逆に言えば、
図3に示すように、回転駆動部材30が外力を受けて第2方向(例えば、反時計回り方向)に回転すると共に、第1連結棒33と第2連結棒34を連動させ、さらに、第1カムフォロア31と第2カムフォロア32を連動させて同様に反時計回りに回転させることにより、2つの縦方向ラッチアーム35と2つの横方向ラッチアーム36を(扉体21の周縁における操作孔211を通して)複数のロック孔12へ突き出させて施錠状態になるように駆動する。上述した回転駆動部材30の「解錠方法として時計回りに回転させることと、施錠方法として反時計回りに回転させること」は、実施例の一態様のみであり、本発明は、解錠または施錠状態になるための特定の回転方向に限定されるものではない。
【0026】
以下、第1カムフォロア31と第2カムフォロア32の回転により、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36を駆動して伸縮させる方法について説明する。縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36を駆動する構造と作動方式として、第1カムフォロア31が第2カムフォロア32とは同じである。ここでは
図4を参照とし、第1カムフォロア31が一組の縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36を駆動する例が挙げられたため、第2カムフォロア32の構造と作動方式については、再び説明しない。
【0027】
第1カムフォロア31には、2つのガイド溝311、312が設けられており、2つのガイド溝311、312は、略円弧形であり、ガイド溝311、312それぞれの端点から第1カムフォロア31の回転中心までの距離は異なる。縦方向ラッチアーム35の一端は、第1カムフォロア31におけるガイド溝311にスライド可能に連結されており、横方向ラッチアーム36の一端は、第1カムフォロア31におけるガイド溝312にスライド可能に連結される。第1カムフォロア31は、第1連結棒33に駆動され、時計回りまたは反時計回りに回転する場合、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36は、それに応じてそれぞれガイド溝311、312をスライドするため、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36の連結端が第1カムフォロア31の回転中心に対する距離も応じて変更する。縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36は、第1カムフォロア31の回転中心から遠ざかる場合、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36それぞれの他端(連結端とは反対側)が各ロック孔12に押し付けられることにより、施錠状態になる。一方、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36は、第1カムフォロア31の回転中心に近づく場合、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36それぞれの他端が各ロック孔12から引き戻されることにより、解錠状態になる。
【0028】
つまり、本実施例に係るラッチ構造3は、2つのガイド溝311、312の回転中心に対する異なる距離の変化により、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36の伸縮状態を変更する。また、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36及び第1カムフォロア31と第2カムフォロア32との設計を変更することにより、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36を第1カムフォロア31、第2カムフォロア32の回転によって伸縮させてもよい。すなわち、上述したガイド溝の構造に限定されるものではなく、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36の回転によって伸縮させることができる機構であれば、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0029】
以上のように、本発明に係る上開き式のキャリア100によれば、1つのラッチ構造3を簡単に操作することだけで、複数の方向で扉部材2を施錠又は解錠することができる。前記複数の方向とは、
図2と
図3を参照すると、図面の上方、下方と側方の片側である。現在の大型基板を載置するには、大型の基板容器が必要であるため、安定したラッチ構造の設計が必要となる。よって、本発明は、平面上の4方向における複数箇所でのロックを同時に確実にするために、さらに、必要に応じて鏡像対称の2組のラッチ構造3を同様にラッチ空間Qに設けられるように設計することができる。本発明は、ラッチ構造3の使用数を制限するものではなく、扉部材に対してより多くのラッチ構造3を配置してもよい。また、従来技術と比較すると、本発明に係る上開き式のキャリア100のラッチ構造3は、施錠の時に便利で、手間を省いて時間を短縮し、部品数を抑えることができるという利点がある。
【0030】
なお、
図2と
図3に示すように、第1実施例では、回転駆動部材30がカムであり、第1連結棒33が回転駆動部材30における第1係合部301(係り合う部分はバンプであってもよい)と第1カムフォロア31に連結され、第2連結棒34が回転駆動部材30における第2係合部302(係り合う部分はバンプであってもよい)と第2カムフォロア32に連結される。また、第1連結棒33は、さらに第2カムフォロア32に延伸され、第2連結棒34は、さらに第1カムフォロア31に延伸され、第1連結棒33と第2連結棒34とは互いに平行である。このような設計により、各カムの回転を安定させることができる。
【0031】
ただし、第1連結棒33(または第2連結棒34)は、回転駆動部材30と、両側に設けられる第1カムフォロア31と第2カムフォロア32とを一体的に連動することが、本発明の必要条件ではなく、第1連結棒33または第2連結棒34は、複数部分に分解されて回転駆動部材30に第1カムフォロア31と第2カムフォロア32を別々に駆動させる構成してもよい。例えば、
図6に示すように、本発明に係る第2実施例では、ラッチ構造3aの回転駆動部材30がカムであり、第1連結棒33aが回転駆動部材30における第1係合部301と第1カムフォロア31だけに連結され、第2連結棒34aが回転駆動部材30における第2係合部302及び第2カムフォロア32だけに連結される。
【0032】
また、
図7と
図8に示すように、本発明に係る第3実施例では、駆動技術の原理を変更せずに、回転駆動部材30bをリンク部材とし、第1連結棒33bと第2連結棒34bは別々に第1カムフォロア31と第2カムフォロア32に連結され、リンク部材である回転駆動部材30bが第1連結棒33bと第2連結棒34bに連結される。
【0033】
図8の矢印で示すように、リンク部材である回転駆動部材30bの回転方向が、例えば、時計回りに90度回転する場合、回転駆動部材30bは、両側に設けられる第1カムフォロア31と第2カムフォロア32とを同時に駆動し、2つの縦方向ラッチアーム35と2つの横方向ラッチアーム36をそれぞれ施錠位置から引っ込めさせることにより、施錠状態を解除することができる。同じように、改めて回転駆動部材30bを逆回転させ、例えば、反時計回りに90度回転させる場合、ラッチ構造を施錠状態に戻すことができる。
【0034】
リンク部材である回転駆動部材30bは、ラッチ構造3の一部として第1連結棒33bと第2連結棒34bに常時に配置され、機器アームによって回転させられてもよい。他の例では、リンク部材である回転駆動部材30bが、第1連結棒33bと第2連結棒34bに常時に配置されることではなく、施錠/解錠が必要である場合のみ鍵のように使用され、機器又は手動によってリンク部材である回転駆動部材30bを第1連結棒33bと第2連結棒34bに連結することにより、第1カムフォロア31と第2カムフォロア32を駆動する。
【0035】
第1実施例の回転駆動部材30に対して第3実施例の回転駆動部材30bの回転ルートは短く、すなわち、小さな角度で回転することで縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36の伸縮を制御することができる。回転ルートの長さは、前記ガイド溝またはガイド溝の相当する構造を調整することにより、対応に変更することができる。
【0036】
また、本発明に係る実施例では、長方形の上部開口11に合わせるように、縦方向ラッチアーム35の延伸方向が横方向ラッチアーム36の延伸方向に直交する。ただし、本発明はそれに限定されるものではなく、他の実施例では、例えば、上部開口11は長方形ではない場合、縦方向ラッチアーム35の延伸方向が横方向ラッチアーム36の延伸方向に直交しなくてもよい。
【0037】
また、
図4に示すように、本発明に係る第1実施例では、第1カムフォロア31に2つのガイド溝311、312が設けられ、1つの縦方向ラッチアーム35と1つの横方向ラッチアーム36がそれぞれガイドピン351、361を介してスライド可能に2つのガイド溝311、312に配置される。同様に、第2カムフォロア32にも2つのガイド溝(図示せず)が設けられ、他の縦方向ラッチアーム35と他の横方向ラッチアーム36がそれぞれガイドピン351、361を介してスライド可能に2つのガイド溝に配置される。ガイドピン351、361は、ガイド溝311、312に合わせてガイド溝311、312に係合するために、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36のそれぞれの連結端がガイド溝311、312を脱落することなくスライド可能に設計されてもよい。
【0038】
また、
図5に示すように、本発明に係る第1実施例では、縦方向ラッチアーム35と横方向ラッチアーム36のそれぞれが、少なくとも1つの弾性部品37をさらに有しており、弾性部品37の一端が扉体21の表面に押し当てる。弾性部品37は、弾性シートまたは弾性を有するその他の類似部品であってもよい。弾性部品37は、縦方向ラッチアーム35(または横方向ラッチアーム36)と上蓋との間に位置する。弾性部品37は、少なくとも以下のような効果を有する。その1は、縦方向ラッチアーム35、横方向ラッチアーム36が第1カムフォロア31、第2カムフォロア32と作動する際、縦方向ラッチアーム35、横方向ラッチアーム36が第1カムフォロア31、第2カムフォロア32と作動することでガイド溝から脱落しないために、弾性部品37により、縦方向ラッチアーム35、横方向ラッチアーム36の連結端をガイド溝内に安定して位置することを確保することができる。その2は、縦方向ラッチアーム35、横方向ラッチアーム36と第1カムフォロア31、第2カムフォロア32は、静止する場合、弾性部品37が縦方向ラッチアーム35、横方向ラッチアーム36を元の位置に強制に位置決めさせることにより、各部品同士の衝突、振動による破損、騒音、または微小な粒子の発生を低減することができる。
【0039】
本発明では、上述のように実施例が開示されたが、前記実施例は、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する人であれば、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するためのものに過ぎないことを理解すべきである。なお、前記実施例と同等の変更や置換などは、本発明の範囲に含まれるものである。よって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって特定されるものを準ずる。
【符号の説明】
【0040】
100 上開き式のキャリア
1 容器本体
11 上部開口
12 ロック孔
2 扉部材
21 扉体
211 操作孔
22 扉蓋
221 扉孔
3 ラッチ構造
30 回転駆動部材
301 第1係合部
302 第2係合部
30b 回転駆動部材
31 第1カムフォロア
311 ガイド溝
312 ガイド溝
32 第2カムフォロア
33 第1連結棒
33a 第1連結棒
33b 第1連結棒
34 第2連結棒
34a 第2連結棒
34b 第2連結棒
35 縦方向ラッチアーム
351 ガイドピン
36 横方向ラッチアーム
361 ガイドピン
37 弾性部品
3a ラッチ構造
P 基板
Q ラッチ空間
S 収納空間