(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018931
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 17/00 20060101AFI20240201BHJP
H04N 1/32 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G06T17/00
H04N1/32 144
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067419
(22)【出願日】2023-04-17
(62)【分割の表示】P 2022549382の分割
【原出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】316014722
【氏名又は名称】株式会社VRC
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 英弟
(72)【発明者】
【氏名】張 彦鵬
(72)【発明者】
【氏名】許 夢▲セン▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 雨佳
(72)【発明者】
【氏名】井口 道久
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA18
5B080DA01
5B080DA06
5B080FA09
(57)【要約】
【課題】3Dデータシステムにおいて電子透かしをより多様な用途に利用する。
【解決手段】情報処理システムは、3Dモデルに関する情報の変更を受け付ける受付手段と、前記変更を特定するコードを生成する生成手段と、前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込む埋込手段とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dモデルに関する情報の変更を受け付ける受付手段と、
前記変更を特定するコードを生成する生成手段と、
前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込む埋込手段と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記生成手段は画像コードを生成し、
前記埋込手段は前記画像コードを前記3Dモデルに埋め込む
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記埋込手段は、前記画像コードを前記3Dモデルのジオメトリの変化として埋め込む
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記埋込手段は、前記画像コードを前記3Dモデルのテクスチャの変化として埋め込む
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記3Dモデルから前記電子透かしを除去する除去手段と、
前記除去手段により前記電子透かしが除去された3Dモデルを表示する表示手段と
を有する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記3Dモデルに関する情報の変更が、前記3Dモデルの編集である
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記コードが、前記3Dモデルの変更履歴を示す
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記コードが、前記3Dモデルの被写体から得られた生体情報を示す
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記生体情報が、あらかじめ定められた複数種類の生体情報のいずれかであり、
前記埋込手段は、前記受付手段において変更が受け付けられた情報の種類に応じた形式の電子透かしを前記3Dモデルに埋め込む
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
3Dモデルに関する情報の変更を受け付けるステップと、
前記変更を特定するコードを生成するステップと、
前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込むステップと
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状データに透かし情報を埋め込む技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、3次元形状データに透かし情報を埋め込む技術が知られている。例えば特許文献1は、3次元形状データに透かし情報を埋め込むため、表示態様に関するパラメータの所定のビットを、透かし情報を変換して得られた数値情報に変更することで、透かし情報を3次元形状モデル情報に埋め込む技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、透かし情報として用いられる電子透かしは著作権保護のためのものであり、その用途が限られていた。
【0005】
本発明は、3Dデータシステムにおいて電子透かしをより多様な用途に利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、3Dモデルに関する情報の変更を受け付ける受付手段と、前記変更を特定するコードを生成する生成手段と、前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込む埋込手段とを有する情報処理システムを提供する。
【0007】
前記生成手段は画像コードを生成し、前記埋込手段は前記画像コードを前記3Dモデルに埋め込んでもよい。
【0008】
前記埋込手段は、前記画像コードを前記3Dモデルのジオメトリの変化として埋め込んでもよい。
【0009】
前記埋込手段は、前記画像コードを前記3Dモデルのテクスチャの変化として埋め込んでもよい。
【0010】
この情報処理システムは、前記3Dモデルから前記電子透かしを除去する除去手段と、前記除去手段により前記電子透かしが除去された3Dモデルを表示する表示手段とを有してもよい。
【0011】
前記3Dモデルに関する情報の変更が、前記3Dモデルの編集であってもよい。
【0012】
前記コードが、前記3Dモデルの変更履歴を示してもよい。
【0013】
前記コードが、前記3Dモデルの被写体から得られた生体情報を示してもよい。
【0014】
前記生体情報が、あらかじめ定められた複数種類の生体情報のいずれかであり、前記埋込手段は、前記受付手段において変更が受け付けられた情報の種類に応じた形式の電子透かしを前記3Dモデルに埋め込んでもよい。
【0015】
本発明の別の一態様は、3Dモデルに関する情報の変更を受け付けるステップと、前記変更を特定するコードを生成するステップと、前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込むステップとを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、3Dデータシステムにおいて電子透かしをより多様な用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの概要を示す図。
【
図4】変更用端末のハードウェア構成を例示する図。
【
図5】閲覧用端末のハードウェア構成を例示する図。
【
図6】3Dデータ変更処理を例示するシーケンス図。
【
図8】3Dデータ表示処理を行う閲覧用端末の動作を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.構成
図1は、一実施形態に係る情報処理システムSの概要を示す図である。情報処理システムSは、サーバ10、ネットワーク20、変更用端末30、及び閲覧用端末40から構成される。ネットワーク20は、インターネットなどのネットワーク回線網である。変更用端末30及び閲覧用端末40は、ネットワーク20に有線又は無線で接続可能であり、ネットワーク20を介して、ネットワーク20に接続されているサーバ10との通信が可能である。
【0019】
情報処理システムSは、3Dモデルのデータ(以下、3Dデータという)の変更に基づいて電子透かしを生成し、生成された電子透かしを3Dデータに埋め込むシステムである。3Dモデルは、3Dスキャナを用いて生成される、被写体の形状をした立体的なモデルであって、例えば人、又はペットなどの動物である。3Dモデルは、人体の外観の特徴を細かく再現している。電子透かしは、3Dモデルに関する情報(以下、モデル情報という)を含んでいる。モデル情報は、例えば、3Dモデルに対応する被写体の生体情報である。被写体の生体情報とは、例えば、心拍数、血圧、体温マップ、採寸データ、運動履歴、食事履歴、又は病歴である。モデル情報は、変更用端末30におけるユーザ(以下、変更者という)による操作によって、変更される。モデル情報の変更とは、例えば、既に存在するモデル情報の編集、新たなモデル情報の追加、又は既に存在するモデル情報の削除である。モデル情報の変更に係る情報(以下、変更情報という)は、変更情報を特定するために生成されたコードによって特定される。すなわち、コードは変更情報を含んでいる。コードは、例えば、QRコード(登録商標)、体温マップ、又は等高線(以下、総称して画像コードという)である。コードは、電子透かしとして3Dモデルに埋め込まれる。電子透かしとして埋め込まれたコードは、所定の条件に基づいて、表示と非表示とが切り替わる。
【0020】
変更情報を含んだコードが3Dデータとともに記録され、そのような3Dデータが閲覧用端末40に表示されることによって、3Dデータをキーとした種々のサービスが実現可能となる。種々のサービスとは、例えば、遠隔医療の支援、健康増進の支援、又は装飾品購入の支援である。具体的には、一例として、患者の生体情報の履歴を含んだコードが、患者を被写体とした3Dモデルに電子透かしとして埋め込まれる場合が想定される。患者の所在地とは異なる場所において患者を診察する医師は、3Dモデルを用いて患者の体格を確認しながら、電子透かしとして埋め込まれている生体情報の履歴を用いて、患者を診察することができる。この場合、変更者は患者であって、閲覧者は医師である。
【0021】
また、他の例として、スポーツジムのトレーニーの運動履歴を含んだコードが、トレーニーを被写体とした3Dモデルに電子透かしとして埋め込まれる場合が想定される。トレーニーに運動指導を行うトレーナーは、3Dモデルを用いて患者の体格を詳細に確認しながら、電子透かしとして埋め込まれている運動履歴を用いて、トレーニーに運動指導をすることができる。この場合、変更者はトレーニーであって、閲覧者はトレーナーである。
【0022】
さらに、ほかの例として、衣服の着用者の採寸データを含んだコードが、着用者を被写体とした3Dモデルに電子透かしとして埋め込まれる場合が想定される。衣服の購入者は、3Dモデルを用いて着用者の体のサイズを確認しながら、着用者の体に合った衣服を選択し、購入することができる。閲覧用端末40を用いて、着用者の3Dモデルに衣類の3Dモデルを仮想的に着させることによって、購入者は着用者の3Dモデルにおいて仮想的な試着をすることができる。この場合、変更者は着用者であって、閲覧者は購入者である。
【0023】
サーバ10は、変更用端末30から取得された変更情報に基づいて、3Dモデルに電子透かしを埋め込むサーバである。サーバ10は、変更情報を特定するコードを生成する。サーバ10は、生成されたコードを電子透かしとして3Dモデルに埋め込み、電子透かしが埋め込まれた状態の3Dモデルを記憶する。
【0024】
変更用端末30は、変更者による操作に応じて、3Dデータ又はモデル情報の変更を受け付ける端末である。変更用端末30は、変更情報を生成し、サーバ10に変更情報を送信する。閲覧用端末40は、閲覧者による操作に応じて、3Dデータを取得する。閲覧用端末40は、電子透かしが除去された3Dデータを表示する。
【0025】
図2は、情報処理システムSの機能構成を例示する図である。情報処理システムSは、要求手段201、取得手段202、送信手段203、取得手段204、受付手段205、生成手段206、送信手段207、受付手段208、生成手段209、埋込手段210、記憶手段211、送信手段212、取得手段213、除去手段214、表示手段215、制御手段216、制御手段217、及び制御手段218を有する。
【0026】
サーバ10における機能を説明する。取得手段202は、変更用端末30から、3Dデータの要求を取得する。送信手段203は、変更用端末30からの要求に応じて、変更用端末30に3Dデータを送信する。受付手段208は、変更用端末30から、モデル情報の変更を受け付ける。生成手段209は、モデル情報の変更を特定するコードを生成する。埋込手段210は、3Dモデルにコードを電子透かしとして埋め込む。記憶手段211は、3Dデータを含む、各種のデータを記憶する。送信手段212は、閲覧用端末40からの要求に応じて、閲覧用端末40に3Dデータを送信する。制御手段216は、各種の制御を実行する。
【0027】
変更用端末30における機能を説明する。要求手段201は、サーバ10に、3Dデータの送信を要求する。取得手段204は、サーバ10から3Dデータを取得する。受付手段205は、変更者による変更用端末30の操作を介して、モデル情報の変更を受け付ける。生成手段206は、変更情報を生成する。送信手段207は、サーバ10に、変更情報を送信する。制御手段217は、各種の制御を実行する。
【0028】
閲覧用端末40における機能を説明する。取得手段213は、サーバ10から3Dデータを取得する。除去手段214は、3Dデータから電子透かしを除去する。表示手段215は、電子透かしが除去された3Dデータを表示する。制御手段218は、各種の制御を実行する。
【0029】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、ストレージ103、及び通信IF(Interface)104を有するコンピュータ装置である。CPU101は、プログラムを実行して各種の演算を行い、サーバ10の他のハードウェア要素を制御する制御装置である。メモリ102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する主記憶装置である。ストレージ103は、各種のプログラム及びデータを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。通信IF104は、所定の通信規格(例えばイーサネット(登録商標))に従って他の装置と通信する通信装置である。
【0030】
この例において、ストレージ103は、コンピュータ装置を情報処理システムSにおけるサーバ10として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)を記憶する。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、コンピュータ装置に
図3の機能が実装される。CPU101がサーバプログラムを実行している状態において、メモリ102及びストレージ103の少なくとも一方が記憶手段211の一例であり、CPU101が、生成手段209、埋込手段210、及び制御手段216の一例であり、通信IF104が、取得手段202、送信手段203、受付手段208、及び送信手段212の一例である。
【0031】
図4は、変更用端末30のハードウェア構成を例示する図である。変更用端末30は、プロセッサ301、メモリ302、インターフェース303、通信部304、出力部305、及び入力部306を有するコンピュータ装置である。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0032】
プロセッサ301は、メモリ302に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより変更用端末30の各部を制御する。プロセッサ301は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリ302は、プロセッサ301に読み込まれるOS、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ302は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ302は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置を有してもよい。インターフェース303は、プロセッサ301と通信部304、出力部305、及び入力部306とを通信可能に接続する通信回路である。通信部304は、ネットワーク20を介してサーバ10との間で行う通信を制御する。出力部305は、ディスプレイ等の表示部及びスピーカ等の音声出力部で構成され、画像、文字、又は音声を出力する。具体的には、出力部305は、本実施形態ではディスプレイ3051で構成される。ディスプレイ3051は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイで構成され、画像又は文字を出力する。入力部306は、キーボード又はマウス等で構成される操作部であり、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。本実施形態では、入力部306はタッチパネル3061で構成される。タッチパネル3061は、フラットパネルディスプレイであるディスプレイ3051に位置入力装置を組み合わせたタッチパッドのような電子部品であり、ユーザが画面上の表示部分に触れることで機器を操作可能な入力装置である。
【0033】
この例において、メモリ302が記憶するプログラムには、コンピュータを情報処理システムSにおける変更用端末30として機能させるためのプログラム(以下「変更用端末プログラム」という)が含まれる。プロセッサ301が変更用端末プログラムを実行することにより、変更用端末30に
図2の機能が実装される。プロセッサ301がプログラムを実行している状態において、プロセッサ301が、受付手段205、生成手段206、及び制御手段217の一例であり、通信部304が、要求手段201、取得手段204、及び送信手段207の一例である。
【0034】
変更用端末30としては、本実施形態では、タブレット端末が用いられるが、PC(パーソナルコンピュータ)あるいは、スマートフォンなどを用いてもよい。
【0035】
図5は、閲覧用端末40のハードウェア構成を例示する図である。閲覧用端末40は、プロセッサ401、メモリ402、インターフェース403、通信部404、出力部405、及び入力部406を有するコンピュータ装置である。これらの構成は、例えばバスで、互いに通信可能に接続されている。
【0036】
プロセッサ401は、メモリ402に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出して実行することにより閲覧用端末40の各部を制御する。プロセッサ401は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。メモリ402は、プロセッサ401に読み込まれるOS、各種のプログラム、データ等を記憶する記憶手段である。メモリ402は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有する。なお、メモリ402は、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ等を有してもよい。インターフェース403は、プロセッサ401と通信部404、出力部405、及び入力部406とを通信可能に接続する通信回路である。通信部404は、ネットワーク20を介してサーバ10との間で行う通信を制御する。出力部405は、ディスプレイ等の表示部及びスピーカ等の音声出力部で構成され、画像、文字、又は音声を出力する。具体的には、出力部405は、本実施形態ではディスプレイ4051で構成される。ディスプレイ4051は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイで構成され、画像又は文字を出力する。入力部406は、キーボード又はマウス等で構成される操作部であり、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。本実施形態では、入力部406はタッチパネル4061で構成される。タッチパネル4061は、フラットパネルディスプレイであるディスプレイ4051に位置入力装置を組み合わせたタッチパッドのような電子部品であり、ユーザが画面上の表示部分に触れることで機器を操作可能な入力装置である。
【0037】
この例において、メモリ402が記憶するプログラムには、コンピュータを情報処理システムSにおける閲覧用端末40として機能させるためのプログラム(以下「閲覧用端末プログラム」という)が含まれる。プロセッサ401が閲覧用端末プログラムを実行することにより、閲覧用端末40に
図2の機能が実装される。プロセッサ401がプログラムを実行している状態において、プロセッサ401が、除去手段214、及び制御手段218の一例であり、通信部404が、取得手段213の一例であり、ディスプレイ4051が、表示手段215の一例である。
【0038】
閲覧用端末40としては、本実施形態では、タブレット端末が用いられるが、PC(パーソナルコンピュータ)あるいは、スマートフォンなどを用いてもよい。
【0039】
2.動作
2.1 3Dデータの変更
図6は、情報処理システムSにおいて3Dデータ変更処理を例示するシーケンス図である。変更用端末30は、変更者による操作を介して、3Dデータの編集を実行するためのアプリケーションを起動する。変更用端末30の要求手段201は、サーバ10に、変更用端末30のアプリケーションにおいて表示するための3Dデータを要求する(ステップS601)。サーバ10の取得手段202は、変更用端末30から3Dデータの要求を取得する。
【0040】
ステップS602において、サーバ10の送信手段203は、変更用端末30に、3Dデータを送信する。変更用端末30の取得手段204は、サーバ10から送信された3Dデータを取得する。
【0041】
ステップS603において、変更用端末30の受付手段205は、変更者による操作を介して、モデル情報の変更を受け付ける。
【0042】
ステップS604において、変更用端末30の生成手段206は、変更情報を生成する。変更情報は、モデルID、変更日、変更のカテゴリ、変更内容、及び変更者の氏名を含んでいる。モデルIDは、3Dモデルに対応する被写体を一意に特定するためのIDである。変更のカテゴリは、編集、追加、又は削除であって、既に存在するモデル情報が編集される場合は編集であって、新たにモデル情報が追加される場合は追加であって、既に存在するモデル情報が削除される場合は削除である。例えば、2022年6月12日に、山田太郎という人物が、モデルIDがxxxである3Dモデルの顔に、メガネを追加したと想定する。この場合、変更情報は、モデル名を「xxx」、変更を実行した日付として「2022年6月12日」を、変更のカテゴリとして「追加」を、変更内容として「メガネ」を、変更者の氏名として「山田太郎」を含んでいる。3Dモデルがもともとかけていたメガネの色を変更した場合は、変更のカテゴリは「編集」であって、変更内容は「メガネ」である。
【0043】
ステップS605において、変更用端末30の送信手段207は、サーバ10に変更情報を送信する。サーバ10の受付手段208は、変更用端末30から送信された変更情報を受け付ける。
【0044】
ステップS606において、サーバ10の生成手段209は、変更情報を特定するためのコードを生成する。コードの形式は複数あり、例えば、コードに含まれる情報の種類によって異なる。コードに含まれる情報の種類とは、例えば、3Dモデル表面における物理量の分布を表す情報(以下、分布情報という)、又は3Dモデル表面における物理量の分布を表さない情報(以下、非分布情報という)である。分布情報を示すコードの形式は、例えば、体温マップ、又は等高線である。非分布情報を示すコードの形式は、例えば、QRコード(登録商標)である。ステップS606においてどの形式のコードを生成するかは、変更情報の内容に応じて決定される。例えば、変更情報が血圧である場合は、QRコード(登録商標)が生成され、変更情報が体温マップである場合は、体温マップが生成される。
【0045】
ステップS607において、サーバ10の埋込手段210は、コードを電子透かしとして3Dモデルに埋め込む。3Dモデルは、ジオメトリ及びテクスチャで構成される。ジオメトリは、3Dモデルとして表示される立体の外形を構成する、関数や数式のパラメータなどを表すデータ群のことである。テクスチャは、立体の表面の質感又は色を表現するために用いられる画像のことである。電子透かしは、3Dモデルのジオメトリの変化として埋め込まれる場合と、3Dモデルのテクスチャの変化として埋め込まれる場合と、3Dモデルのジオメトリ及びテクスチャの両方の変化として埋め込まれる場合とがある。電子透かしが3Dモデルのジオメトリの変化として埋め込まれる場合、3Dモデルに形状の変化が与えられ、その変化を視認できる形で、電子透かしが3Dモデルに埋め込まれる。電子透かしが3Dモデルのテクスチャの変化として埋め込まれる場合、3Dモデルに形状の変化は与えられない状態で、色などがついた電子透かしが3Dモデルに埋め込まれる。電子透かしが3Dモデルのジオメトリ及びテクスチャの両方の変化として埋め込まれる場合、3Dモデルに形状の変化が与えられ、その変化を視認できる形で、色などがついた電子透かしが3Dモデルに埋め込まれる。電子透かしがどのように埋め込まれるかは、例えば、変更者を介した変更用端末30の操作などによって、決定される。
【0046】
ステップS608において、サーバ10の記憶手段211は、電子透かしが埋め込まれた3Dモデルを変更情報データベースに記憶する。
【0047】
図7は、変更情報データベースを例示する図である。変更情報データベースは、変更情報を含んでいる。例えば、変更情報データベースは、モデルIDに紐づけて、変更日、変更のカテゴリ、変更内容、及び変更者の氏名を記憶している。変更情報データベースは、過去に記憶された変更情報も記憶している。
【0048】
2.2 3Dデータの表示
図8は、3Dデータ表示処理を行う閲覧用端末40の動作を例示するフローチャートである。閲覧用端末40は、閲覧者による操作を介して、3Dデータの表示を実行するためのアプリケーションを起動する。3Dデータ表示処理は、閲覧用端末40がサーバ10に3Dデータの表示を要求することをトリガーとして開始される。サーバ10の送信手段212は、3Dデータを送信する。閲覧用端末40の取得手段213は、3Dデータを取得する(ステップS901)。
【0049】
ステップS902において、閲覧用端末40の除去手段214は、閲覧用端末40が、3Dデータにあらかじめ対応付けて記憶されている暗号キーを有している場合に、3Dデータに含まれる電子透かしを除去する。すなわち、ステップS901において取得された3Dデータの電子透かしを除去することに関して、閲覧用端末40が認証を受けている場合に、電子透かしが除去される。また、他の所定の条件を満たしている場合、電子透かしは除去される。所定の条件とは、例えば、3Dデータに対応する被写体が閲覧用端末40に対して被写体自身の3Dモデルの表示を許可している場合、又は、閲覧用端末40が、情報処理システムSの管理者などから指定されているアプリケーションを用いて3Dモデルを取得している場合である。さらに、変更情報の種類に応じて、電子透かしが除去されてもよい。例えば、取得された3Dモデルに埋め込まれている電子透かしに対応する変更のカテゴリが、特定のカテゴリ(例えば「追加」又は「削除」)である場合、電子透かしが除去されてもよい。
【0050】
ステップS903において、閲覧用端末40の表示手段215は、電子透かしが除去された3Dデータを表示する。閲覧用端末40に表示された各種ボタンが閲覧者によって選択されることによって、3Dデータは各種のデータを表示可能である。
【0051】
図9~
図12は、3Dデータ表示画面を例示する図である。
図8に示す図においては、3Dモデル、透かしボタン901、変更履歴ボタン902、及び体温マップボタン903(総称してボタンという)が表示されている。閲覧者は、閲覧用端末40の操作を介して、透かしボタン901、変更履歴ボタン902、及び体温マップボタン903の少なくとも1つを選択可能である。ボタンは、閲覧者による閲覧用端末40におけるボタンの押下に応じて、選択される。選択されているボタンを囲う線は、選択されていないボタンを囲う線よりも太いため、閲覧者はどのボタンが選択状態にあるかを容易に認識できる。
【0052】
図9は、ステップS903において閲覧用端末40に表示される3Dデータ表示画面である。
図9に示す図においては、ボタンのすべてが選択されていない状態である。
【0053】
図10に示す図においては、透かしボタン901が選択されている状態であって、変更履歴ボタン902及び体温マップボタン903が選択されていない状態である。透かしボタン901が選択されていると、電子透かしが3Dモデルに重なって表示される。
図10に示す図においては、電子透かしとして、QRコード(登録商標)1001~1003が表示されている。透かしボタン901が選択されている状態において、透かしボタン901が閲覧者による操作を介して押下されると、透かしボタン901は選択されていない状態となり、3Dモデルには電子透かしが表示されなくなる。閲覧者が使用している閲覧用端末40が電子透かしの除去に関する認証を受けていない場合、
図10に示すような画面が、閲覧用端末40に表示される。また、閲覧用端末40が認証を受けている場合であっても、閲覧者が透かしボタンを押下したことによって透かしボタン901が選択状態となった場合、
図10に示すような画面が閲覧用端末40に表示される。
【0054】
図11に示す図においては、変更履歴ボタン902が選択されている状態であって、透かしボタン901及び体温マップボタン903が選択されていない状態である。変更履歴ボタン902が選択されていると、3Dモデルの変更履歴が3Dモデルとともに表示される。変更履歴は、変更情報のうち、変更を実行した日付、変更のカテゴリ、変更内容、及び変更者の氏名を含んでいる。例えば、
図11に示す図においては、2022年6月12日に、山田太郎という変更者によって、3Dモデルにメガネが追加されている。変更履歴ボタン902が選択されている状態において、変更履歴ボタン902が閲覧者による操作を介して押下されると、変更履歴ボタン902は選択されていない状態となり、閲覧用端末40のディスプレイ4051には変更履歴が表示されなくなる。閲覧用端末40に変更履歴が表示されることによって、閲覧者は、3Dモデルの変更の変遷を容易に認識することができる。
【0055】
図12に示す図においては、体温マップボタン903が選択されている状態であって、透かしボタン901及び変更履歴ボタン902が選択されていない状態である。体温マップボタン903が選択されていると、体温マップが3Dモデルに重なって表示される。体温マップボタン903が閲覧者による操作を介して押下されると、体温マップボタン903は選択されていない状態となり、3Dモデルには体温マップが表示されなくなる。閲覧用端末40に体温マップが表示されることによって、閲覧者は、3Dモデルに対応する人物の体温分布を容易に認識することができる。例えば、閲覧者が医師であって、3Dモデルに対応する人物が、医師のいる場所とは異なる場所にいる患者である場合、医師は、患者の体のどの部分がどの程度の温度であるのかを具体的に知ることができる。
【0056】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0057】
モデル情報として用いられる生体情報は、心拍数、血圧、体温マップ、採寸データ、運動履歴、食事履歴、又は病歴に限定されず、3Dモデルの被写体の体の状態に係る情報であればよい。生体情報は、例えば、体重の履歴であってもよい。
【0058】
3Dデータ表示画面に表示されるボタンは、透かしボタン901、変更履歴ボタン902、及び体温マップボタン903に限定されない。ボタンは、例えば、等高線を表示させるための等高線ボタンであってもよい。
【0059】
3Dデータ表示画面に表示される変更履歴は、必ずしも全ての変更履歴が表示されなくてもよい。例えば、過去半年間など所定の期間における変更履歴が表示されても良いし、変更のカテゴリが編集である変更情報のみが表示されてもよい。
【0060】
変更用端末30及び閲覧用端末40は、互いに異なる端末であることに限定されず、変更用端末30及び閲覧用端末40は同じ端末であってもよい。
【0061】
変更用端末プログラム及び閲覧用端末プログラムは、互いに異なるプログラムであることに限定されず、同一のプログラムであってもよい。変更用端末プログラムと閲覧用端末プログラムとが同一のプログラムである場合、そのプログラムは、3Dモデルを変更する機能及び3Dモデルを表示する機能の両方を備える。
【0062】
情報処理システムSにおける機能要素とハードウェア要素との対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部が、別のサーバに実装してもよい。あるいは、実施形態においてサーバ10の機能として説明したものの一部を、ネットワーク上の他の装置に実装してもよい。サーバ10は物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウドを含む)であってもよい。変更用端末30又は閲覧用端末40の機能の一部または全部がサーバ10に実装されてもよい。
【0063】
情報処理システムSの動作は上述した例に限定されない。情報処理システムSの処理手順は、矛盾の無い限り、順序が入れ替えられてもよい。また、情報処理システムSの一部の処理手順が省略されてもよい。
【0064】
要するに、本発明に係る情報処理システムにおいて、3Dモデルに関する情報の変更を受け付ける受付ステップと、前記変更を特定するコードを生成する生成手段と、前記生成されたコードを電子透かしとして前記3Dモデルに埋め込む埋込手段とが実行されていればよい。
【0065】
実施形態において例示した各種のプログラムは、それぞれ、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよいし、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…サーバ、20…ネットワーク、30…変更用端末、40…閲覧用端末、101…CPU、102…メモリ、103…ストレージ、104…通信IF、201…要求手段、202…取得手段、203…送信手段、204…取得手段、205…受付手段、206…生成手段、207…送信手段、208…受付手段、209…生成手段、210…埋込手段、211…記憶手段、212…送信手段、213…取得手段、214…除去手段、215…表示手段、216…制御手段、217…制御手段、218…制御手段、301…プロセッサ、302…メモリ、303…インターフェース、304…通信部、305…出力部、306…入力部、401…プロセッサ、402…メモリ、403…インターフェース、404…通信部、405…出力部、406…入力部、901…透かしボタン、902…変更履歴ボタン、903…体温マップボタン、1001…QRコード、1002…QRコード、1003…QRコード、3051…ディスプレイ、3061…タッチパネル、4051…ディスプレイ、4061…タッチパネル