(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018966
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】加熱非燃焼式スティック
(51)【国際特許分類】
A24F 40/20 20200101AFI20240201BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20240201BHJP
【FI】
A24F40/20
A24F40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023092617
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】22187257
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーフィギル, レイス スリマン
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ, ピア パオロ
(72)【発明者】
【氏名】リーサン, アフマド
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用中にエアロゾル発生消耗品が破損し又は折れる可能性が低減する方法を提供する。
【解決手段】加熱非燃焼式スティックとして、エアロゾル発生消耗品(10)は、可撓性部分(20)を含む管状体(12)を含み、それにより、上記エアロゾル発生消耗品(10)の第1端(10a)が上記エアロゾル発生消耗品(10)の第2端(10b)に対して移動することを可能にし、上記可撓性部分(20)は、上記エアロゾル発生消耗品(10)の上記第2端(10b)から所定の距離をおいて位置決めされ、上記所定の距離は、上記エアロゾル発生消耗品(10)を収容して上記エアロゾル発生消耗品(10)の加熱によりエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置の空洞の長さに対応する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生消耗品であって、
可撓性部分を含む管状体を含み、それにより、前記エアロゾル発生消耗品の第1端が前記エアロゾル発生消耗品の第2端に対して移動することを可能とされ、
を含み、
前記可撓性部分は、前記エアロゾル発生消耗品の前記第2端から所定の距離をおいて位置決めされ、前記所定の距離は、前記エアロゾル発生消耗品を収容して前記エアロゾル発生消耗品の加熱によりエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置の空洞の長さに対応する、
エアロゾル発生消耗品。
【請求項2】
前記管状体の前記可撓性部分は、可撓性材料を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項3】
前記可撓性材料は、シリコンを含む、請求項2に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項4】
前記管状体の前記可撓性部分は、前記管状体の外周を回って延在する複数のリブを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項5】
前記管状体の前記可撓性部分は、折り畳み構造で配置された材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項6】
前記管状体の前記可撓性部分は、前記エアロゾル発生消耗品内に空気が流入することを可能にするように構成された複数の開口を含み、前記複数の開口は、折り畳み位置では覆われており、前記複数の開口は、展開位置では覆われていない、請求項5に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項7】
前記管状体は、前記管状体の前記可撓性部分を提供するように構成された第1層と、前記第1層の上に少なくとも部分的に配置された第2層とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項8】
前記管状体の前記第2層は、前記エアロゾル発生消耗品の前記第1端から前記エアロゾル発生消耗品の前記第2端まで延在し、それにより、前記管状体の前記第1層を完全に覆う、請求項7に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項9】
前記管状体の前記第2層は、前記第1層の前記可撓性部分を覆う部分にミシン目を含む、請求項7又は8に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項10】
前記管状体は、
第1層と、
前記管状体の前記可撓性部分を提供するように構成された第2層であって、少なくとも部分的に前記第1層の上に配置される当該第2層と、
を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項11】
前記第2層は、前記エアロゾル発生消耗品の前記第1端又は前記第2端から延在する、請求項10に記載のエアロゾル発生消耗品。
【請求項12】
システムであって、
ある長さを有する空洞を含むエアロゾル発生装置と、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生消耗品と、
を含む、システム。
【請求項13】
使用中に前記エアロゾル発生消耗品が前記エアロゾル発生装置の前記空洞に挿入されたときに、前記エアロゾル発生消耗品の前記可撓性部分の少なくとも一部は、前記空洞の開口内に位置するように配置される、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱非燃焼式スティックに関する。
【背景技術】
【0002】
(気化器としても知られる)エアロゾル発生装置及びシステムの人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ、及び巻きタバコなどの、従来のタバコ製品の代替として、ここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃焼させるのとは対照的に、エアロゾル化可能物質を加熱し又は加温する様々な装置及びシステムが利用可能であり、ニコチン又は他の活性物質を含む場合も含まない場合もある。
【0003】
一般的に利用可能なエアロゾル発生システムは、基材加熱式エアロゾル発生又は加熱非燃焼タイプである。このタイプのシステムは、再構成タバコなどのエアロゾル基材を含む消耗品(すなわち「加熱非燃焼式スティック」)を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を燃焼させるか又は燃やすのではなく加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼による望ましくない副生成物を含まないエアロゾルが放出される。また、タバコその他のエアロゾル化可能材料の加熱により生成されるエアロゾルは、典型的には、燃焼の結果としてユーザにとって不快になりかねない焦げ臭く又は苦い味を含んでいない。
【0004】
典型的には、加熱非燃焼式消耗品は、例えばスティック状であって、加熱非燃焼式装置の空洞に挿入され、スティックの端部が装置から突出して吸入用マウスピースを形成する。次に、加熱非燃焼式装置が、スティックに熱を供給し、スティック内のエアロゾル基材に含まれるエアロゾル化可能材料をエアロゾル化し、生成されたエアロゾルが、スティックの突出端部からユーザに供給される。
【0005】
典型的な加熱非燃焼式システムで経験する共通の問題は、使用時にエアロゾル発生装置から突出するスティックのマウスピース部分が、特に空洞の開口の近傍で、折れる傾向があることである。これが起こることを防止するため、その代わりに、ユーザは、使用中にスティックに加わる曲げ力を最小限に抑える位置に装置を保持する必要がある。このような位置は、装置を操作するために要する労力及び不快感を増大させ、ユーザ体験を低下させる。
【発明の概要】
【0006】
それゆえ、本発明の目的は、上述した問題を解決することである。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル発生消耗品が提供され、当該エアロゾル発生消耗品は、可撓性部分を含む管状体を含み、それにより、エアロゾル発生消耗品の第1端がエアロゾル発生消耗品の第2端に対して移動することが可能とされ、上記可撓性部分は、エアロゾル発生消耗品の第2端から所定の距離をおいて位置決めされ、上記所定の距離は、エアロゾル発生消耗品を収容してエアロゾル発生消耗品の加熱によりエアロゾルを発生させるように構成されたエアロゾル発生装置の空洞の長さに対応する。
【0008】
このように、エアロゾル発生消耗品は、エアロゾル発生装置における使用中に撓曲(flex)することができ、それにより、エアロゾル発生消耗品を破損させるリスクを低減する。例えば、使用中に、曲げ力、引張力、圧縮力、又はねじり力などの、外力がスティックに加えられるかもしれない。管状体に可撓性部分を設けることにより、可撓性部分は、撓曲して破損せずに外力に対応し得る。追加的に、エアロゾル発生消耗品の第1端の位置及び角度がエアロゾル発生装置に対して変化し得るので、エアロゾル発生装置は、使用中にユーザにより様々な位置に保持され、それにより、人間工学性及びユーザ体験が改善され得る。
【0009】
例えば、使用中にエアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置の空洞に挿入されたときに、可撓性部分の少なくとも一部は、エアロゾル発生装置の空洞の外側に位置するように配置される。これにより、使用中にエアロゾル発生消耗品の第1端がエアロゾル発生装置に対して撓曲することが可能となる。
【0010】
好ましくは、使用中にエアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置の空洞に挿入されたときに、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分の少なくとも一部は、空洞の開口内に位置するように配置される。換言すれば、可撓性部分は、一部が空洞の内側にあり、一部が空洞の外側にある。このように、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分は、空洞の開口に対するクッション材を提供し、それにより、エアロゾル発生消耗品の破損のリスクをさらに低減し得る。代替的に、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分の全てが、エアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置に挿入されたときに空洞の外側に位置するように配置されてもよい。
【0011】
管状体の可撓性部分は、可撓性材料を含み得る。本明細書で使用される場合、「可撓性材料」という用語は、破損又は破断せずに曲がり、伸張し、及び/又は変形し得る任意の材料を指す。可撓性材料は、外力が取り除かれた時点で初期位置に復帰する、弾性材料であってもよい。代替的に、可撓性材料は、外力が取り除かれた時点で自発的に初期位置に復帰しない、柔軟な材料であってもよい。可撓性材料は、管状体の可撓性部分における可撓性材料の層により提供されてもよい。可撓性材料は、可撓性紙を含んでもよい。可撓性材料は、シリコンを含んでもよい。
【0012】
管状体の可撓性部分は、管状体の外周を回って延在する複数のリブを含み得る。リブは、管状体の内面又は外面のいずれかに窪みとして設けられてもよく、リブにより、エアロゾル発生消耗品に外力が加えられたときにエアロゾル発生消耗品が変形しやすくなり得る。このように、周方向リブは、管状体が破損又は破断せずに曲げ力の下で曲がることを可能にし、それにより、エアロゾル発生消耗品の第1端がエアロゾル発生消耗品の第2端に対して移動することを可能にし得る。
【0013】
管状体の可撓性部分は、折り畳み構造で配置された材料を含んでもよい。このように、伸張し得る材料から管状体を形成すること無しに、管状体の可撓性が提供されてもよい。例えば、折り畳み構造で配置された材料は紙であってもよい。折り畳み構造は、折り畳み位置と展開位置との間で動くことが可能であってもよい。
【0014】
管状体の可撓性部分は、エアロゾル発生消耗品内に空気が流入することを可能にするように構成された複数の開口を含んでよく、複数の開口は、折り畳み位置では覆われており、複数の開口は、展開位置では覆われていない。このように、ユーザは、使用中にエアロゾル発生消耗品内に流入し得る空気の量を制御し、それにより、気化材料の濃度及び/又は強度を制御し得る。ユーザは、エアロゾル発生消耗品を引っ張って又はエアロゾル発生消耗品を曲げて折り畳み構造を展開位置に少なくとも部分的に動かすことにより、複数の開口のうちのどれだけの数の開口が覆われないかを選択し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、管状体は、管状体の可撓性部分を提供するように構成された第1層と、少なくとも部分的に第1層の上に配置された第2層とを含み得る。
【0016】
管状体の第2層は、エアロゾル発生消耗品の第1端からエアロゾル発生消耗品の第2端まで延在し、それにより、管状体の第1層を完全に覆い得る。このように、エアロゾル発生消耗品は、エアロゾル発生消耗品の他の構成要素に第2層を巻き付けることにより簡単且つ迅速に組み立てられ、連続した外面を有するエアロゾル発生消耗品が作製され得る。連続した外面を有することにより、エアロゾル発生消耗品の内部構成要素に保護が与えられ得るとともに、エアロゾル発生消耗品の輸送又は保管中に有益であり得るある程度の剛性がエアロゾル発生消耗品に与えられ得る。
【0017】
管状体の第2層は、第1層の可撓性部分を覆う部分にミシン目を含んでもよい。このように、外力が加わるときなどの、エアロゾル発生消耗品の使用中に、ミシン目により、第1層などの、エアロゾル発生消耗品の他の部分が破損せずに、第2層が少なくとも部分的に破断することが可能となる。
【0018】
他の実施形態では、管状体は、第1層と、管状体の可撓性部分を提供するように構成された第2層とを含んでもよく、第2層は、少なくとも部分的に第1層の上に配置される。第1層は、エアロゾル発生消耗品の第1端からエアロゾル発生消耗品の第2端まで延在し得る。代替的に、エアロゾル発生消耗品の第1端は、第2層により画定され得る。このように、エアロゾル発生消耗品の第1層により、任意の内部構成要素に保護が与えられてよく、エアロゾル発生消耗品に曲げ力が加えられたときに、第2層により、第1層に構造的支持が与えられ得る。これにより、使用中にエアロゾル発生消耗品が破損し又は折れる可能性が低減される。
【0019】
第2層は、エアロゾル発生消耗品の第1端又は第2端から延在し得る。好ましくは、第2層は、エアロゾル発生消耗品の第1端(すなわち、ユーザに蒸気を供給するように構成された端部)から延在する。このように、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分の大きさ又は長さを増加させ、それにより、エアロゾル発生消耗品がより広範囲の位置及び/又は外力に対応することが可能となる。例えば、第2層は、エアロゾル発生消耗品の第1層に巻き付けられたシリコン膜であってもよい。
【0020】
本発明の別の態様によれば、ある長さを有する空洞を含むエアロゾル発生装置と、上で説明したようなエアロゾル発生消耗品とを含むシステムが提供される。例えば、使用中にエアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置の空洞に挿入されたときに、可撓性部分の少なくとも一部が、エアロゾル発生装置の空洞の外側に位置するように配置される。
【0021】
使用中にエアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置の空洞に挿入されたときに、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分の少なくとも一部は、空洞の開口内に位置するように配置されてもよい。換言すれば、可撓性部分は、一部が空洞の内側にあり、一部が空洞の外側にある。代替的に、エアロゾル発生消耗品の可撓性部分の全てが、エアロゾル発生消耗品がエアロゾル発生装置に挿入されたときに空洞の外側に位置するように配置されてもよい。
【0022】
本発明が単なる例として本明細書で説明され、本発明の範囲内で細部の修正を行うことができることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
ここで、以下の添付の図面を参照しながら、1つ又は複数の実施形態を単なる例として説明する:
【0024】
【
図1A】加熱非燃焼式スティックなどの典型的なエアロゾル発生消耗品の概略図を示す。
【
図1C】装置に挿入されたスティックの破損前の加熱非燃焼式スティックの図を示す。
【
図1D】装置に挿入されたスティックの破損後の加熱非燃焼式スティックの図を示す。
【
図2A】可撓性部分を含む管状体を有する加熱非燃焼式スティックの実施形態を示す。
【
図2B】
図1Bに示す例に対応する加熱非燃焼式スティックの例を示す。
【
図2D】可撓性部分が曲がることによりスティックの第1端がスティックの第2端に対して移動している、
図2Cの加熱非燃焼式装置及びスティックを示す。
【
図3A】
図1に示す加熱非燃焼式装置及び典型的な加熱非燃焼式スティックを操作するユーザを示す。
【
図3B】
図2に示す加熱非燃焼式装置及び加熱非燃焼式スティックの実施形態を操作するユーザを示す。
【
図4】
図4A~
図4Cは、可撓性部分が可撓性紙管により提供される加熱非燃焼式スティックの実施形態を示す。
【
図5】
図5A~
図5Cは、折り畳み構造により提供される可撓性部分を備えたスティックを示す。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、管状体の可撓性部分を提供し得る複数のリブを含む可撓性管の例を示す。
【
図7】管状体の可撓性部分を提供する外層を含む加熱非燃焼式スティックの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明及び添付の図面では、対応する特徴群は、説明されるその共通の特徴をありとあらゆる実施形態について詳細に説明する必要性を回避するために、好ましくは対応する参照符号を使用して識別されているかもしれない。
【0026】
本明細書で説明するように、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質を指すと一般に理解されており、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味し、一方、エアロゾルは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生させる吸入可能媒体の形態に関して同義で使用され得ることに留意すべきである。
【0027】
ここで、
図1A~
図1Dを参照して、加熱非燃焼式スティック10'などの典型的なエアロゾル発生物品を詳細に説明する。簡潔にするために、「加熱非燃焼式スティック」を指すために「スティック」という用語が使用されているかもしれない。
図1Aは、長手方向軸線に沿って延在する典型的なスティック10'を示し、スティック10'は、第1端10a'と第2端10b'とを有する。スティック10'は、第1端12a'と第2端12b'とを備えた管状体12'を含む。管状体12'は、所定の直径を有する略円筒状であり得るが、管状体12'は、例えば立方体状又は円錐形などの他の形状を有してもよいことが認識されるであろう。
【0028】
スティック10'の管状体12'は、加熱非燃焼式装置により加熱されたときに、ユーザに供給されるエアロゾル又は蒸気を形成する、エアロゾル基材(図示せず)を収容する。装置50の使用は、「蒸気吸入」と呼ばれることがある。スティック10'の第1端10a'は、ユーザに蒸気を供給するためのマウスピースとして構成され、フィルタ(図示せず)などの構成要素を含み得る。スティック10'の第2端10b'は、加熱非燃焼式装置に挿入されるように構成される。スティック10'の第2端10b'は、エアロゾル基材を管状体12'の内部に保持するためのプラグ(図示せず)などの構成要素を含み得る。管状体12'は、フィルタとプラグとエアロゾル基材に巻き付けられて固定された1つ又は複数のラッパーから形成され得る。
【0029】
加熱非燃焼式装置50の例が
図1Bに示されているが、本明細書で説明する加熱非燃焼式スティックと共に他の加熱非燃焼式装置が使用されてもよいことが認識されるであろう。簡潔にするために、「加熱非燃焼式装置」を指すために「装置」という用語が使用されているかもしれない。装置50は、装置50の様々な構成要素を保持するように構成されたハウジング51を含む。ハウジング51は、様々な構成要素に適合するような大きさとされる任意の形状であって、ユーザが手助けなしに片手で無理なく保持できる任意の形状であり得る。装置50は、開口54を備えた空洞52を含む。空洞52は、スティック10'の形状に対応する形状を有する。スティック10'が実質的に円筒状である場合、空洞52は、スティック10'の管状体12'の直径に対応する直径を有し得る。例えば、空洞52の直径は、スティック10'が空洞52に挿入され得るように、管状体12'の直径よりも僅かに大きい直径であり得る。挿入後にスティック10'が空洞52内に固定されたままであることを確実にするために、内部リブ、エンボス加工部、又は平坦面などの、保持要素又は拘束要素(図示せず)が、それら自体の間にスティック10'の管状体12'の直径と等しいか又はそれよりも僅かに小さい直径を局所的に画定するように、空洞52内に設けられ得る。空洞52の長さは、
図1Cに示すように、スティック10'の第2端10b'が空洞52に挿入されたときにスティック10'の第1端10a'が加熱非燃焼式装置50から突出するように、スティック10'の長さよりも短い。スティック10'内のエアロゾル基材を気化させるための熱を供給するために、加熱要素(図示せず)がハウジング51内に設けられ得る。加熱非燃焼式装置50は、本明細書では詳細に説明しない電源及び制御回路などの、多数の追加の構成要素を含み得る。
【0030】
図1Dに示すように、加熱非燃焼式装置50の使用中に、特にスティック10'の突出する第1端10a'において、スティック10'に外力Fが加えられ得る。例えば、力は、曲げ力、伸張力若しくは引張力、圧縮力、及び/又はねじり力若しくはねじれ力を含み得る。スティック10'と加熱非燃焼式装置50との間の相対移動は空洞により制限されるので、外力によりスティック10'が破損することがある。例えば、スティック10'は、完全に折れるかもしれず、スティック10'を通る蒸気の流れを妨げる様態で曲げられるかもしれず、又はスティック10'の内部構成要素を環境にさらす仕方で別様に損傷を受けるかもしれない。典型的には、スティック10'の管状体12'は、スティックの様々な部分をまとめて保持するラッパーがスティック10'の曲がりに対応するように伸張できないので、壊れやすい。それゆえ、スティック10'の破損が発生するたびに、スティック10'を廃棄して交換しなければならず、装置の操作にかかる無駄及びコストの増加につながる。破損は、スティック10'のどの箇所でも起こり得るが、典型的には、
図1Dに示すように、空洞52の開口54の近傍で起こる。スティック10'が開口54の近傍で破損すると、この破損により、スティック10'の残り部分を装置50から除去することが困難になり、それにより、スティック10'を交換するのにかかる時間が増加するというさらなる問題が提示される。
【0031】
ここで、
図2A~
図2Dを参照しながら、上記の課題を解決する加熱非燃焼式スティック10の実施形態を説明する。
図2Aに示すスティック10は、管状体12、及びスティック10の第1端10aにおけるフィルタなどの内部構成要素、スティック10の第2端10bにおけるプラグ、管状体12内に収容されたエアロゾル基材などの、
図1Aに示すスティック10'の多数の特徴を共有する。また、スティック10の第2端10bは、
図2Bに示すものなどの加熱非燃焼式装置50に挿入されるように構成され、装置50は、開口54を備えた空洞52を含む。
【0032】
図2A~
図2Dの実施形態では、管状体12は、可撓性部分20をさらに含む。可撓性部分20は、スティック10の第1端10aがスティック10の第2端10bに対して動くことを可能にする。本明細書で使用される場合、「動く」という用語は、スティックの端部10a、10b間の任意の相対的な動きを指す。例えば、「動く」とは、第2端10bに対する第1端10aの長手方向軸線の角度の変化(曲がり若しくは撓曲などによる)、若しくはスティック10の端部10a、10b間の距離の変化(伸張若しくは圧縮などによる)、及び/又はスティック10の端部10a、10b間の長手方向軸線を中心とする相対的な回転(例えば、ねじりなどによる)を指すことがある。可撓性部分20は、スティック10の第2端10bから所定の距離Dに位置する。所定の距離Dは、加熱非燃焼式装置50の空洞52の長さLに少なくとも対応する。例えば、可撓性部分20は、管状体12の長さに沿って距離Xだけ延在してもよく、所定の距離Dは、可撓性部分20の中点を定義し得る。
【0033】
使用中にスティック10が装置50の空洞52に挿入されたときに、可撓性部分20の少なくとも一部は、装置50の空洞52の外側に位置するように配置される(すなわち、D+X/2>L)。好ましくは、スティック10が装置50の空洞52に挿入されたときに、スティック10の可撓性部分50の少なくとも一部は、空洞52の開口54内に位置するように配置される(すなわち、D-X/2<L<D+X/2)。換言すれば、可撓性部分20は、
図2Cに示すように、一部が空洞52の内側にあり、一部が空洞52の外側にある。このように、スティック10の可撓性部分20は、空洞52の開口54に対するクッション材を提供し、それにより、スティック10の破損のリスクをさらに低減し得る。代替的に、スティック10の可撓性部分20の全てが、スティック10が装置50に挿入されたときに、空洞52の外側に位置するように配置されてもよい(すなわち、D-X/2>L)。
【0034】
図2Dに示すように、装置50の使用中に外力Fがスティック10に加えられたときに、スティック10の第1端10aは、スティック10が破損することなく、スティック10の第2端10bに対して動く。特に、
図2Dは、可撓性部分20の曲がりを示しているが、圧縮運動、引張運動、又はねじり運動も、加えられる外力の種類に応じて、可撓性部分20により対応され得る。
【0035】
ここで、
図3A及び
図3Bを参照しながら、スティック10のさらなる利点を説明する。
図3Aは、加熱非燃焼式装置50に挿入された典型的な加熱非燃焼式スティック10'を操作するユーザを示す。上で説明したようにスティック10'の破損を防止するために、ユーザは、スティック10'の第1端10a'と係合するように、装置50を持ち上げてユーザの口に向けて装置50を傾けなければならない。逆に、本発明によるスティック10の実施形態を使用する場合、ユーザは、より快適な程度に装置50を保持してよく、スティック10の破損を防止するために装置50を傾ける必要がない。このことは、ユーザが、スティック10を破損させるリスクなしに、ユーザにとって最も快適な位置に装置50を保持し得ることを意味する。
【0036】
ここでより詳細に説明するように、スティック10の可撓性部分20は、多数の方法で実現され得る。例えば、可撓性部分20は、可撓性紙又はシリコンなどの、可撓性材料を含み得る(例えば、
図7及び
図8)。代替的に、可撓性部分20は、折り畳み、窪み、リブ、及び/又は波形などの構造により提供され得る(例えば、
図5及び
図6)。可撓性部分20は、管状体12に組み込まれた可撓性管22を使用して提供されてもよく、管状体12上に配置された外層により提供されてもよく、及び/又は可撓性被覆若しくは層でなど、他の任意の好適な形態で提供されてもよい。上で説明した実施態様のいずれかが、さらなる可撓性を提供するために組み合わされ得ることが認識されるであろう。さらに、スティック10は、スティック10の長さに沿って異なる位置に位置する2つ以上の可撓性部分20を含んでもよい。これらの可撓性部分20の各々は、互いに同じ方法で、又は異なる方法で実現されてよい。
【0037】
図4Aは、可撓性部分20を備えたスティック10-1の実施形態の縦断面図を示す。スティック10-1は、スティック10-1の第1端10aにフィルタ13を含み、フィルタ13はフィルタラッパー14で包装される。また、スティック10-1は、スティック10-1の第2端10bにプラグ15を含み、プラグ15はプラグラッパー16で包装される。スティック10-1の可撓性部分20は、可撓性管22により提供される。この例では、可撓性管22は、フィルタ13とプラグ15との間に延在する可撓性紙管22であるが、可撓性管22の可撓性を提供する他の方法があることが認識されるであろう。例えば、可撓性管22は、代わりに、軟質シリコンチューブであってもよく、可撓性紙を含んでもよく、折り畳み構造(
図5を参照)を含んでもよく、及び/又は周方向リブ(
図6を参照)を含んでもよく、又は可撓性を提供するための他の任意の好適な手段を含んでもよい。
【0038】
可撓性管22は、第1層22として言及されてもよく、第2の材料層18が少なくとも部分的に第1層22の上に配置される。可撓性管22は、ラッパーにより固定される、第1端10aと第2端10bとの間のスティック10-1の中間セクションを形成してもよい。特に、第1端10aにおいてフィルタ13、フィルタラッパー14、及び可撓性管22の少なくとも一部にチップペーパー18aが巻き付けられてもよい。同様に、エアロゾル基材15のプラグ、プラグラッパー16、及び可撓性管22の少なくとも一部に基材紙18bが巻き付けられてもよい。このように、スティック10-1の管状体12は、第1層22(可撓性管22)と第2層18(チップペーパー18a、18bの部分)とにより提供される。
図4Bは、フィルタラッパー14、プラグラッパー16、並びにチップペーパー18a及び基材紙18bの一部などの要素が部分的に巻き付けられていない、
図4Aのスティック10-1の図を示す。
【0039】
図4Cは、可撓性部分20を備えたスティック10-2の別の実施形態の断面図を示す。スティック10-2は、
図4A及び
図4Bに示すスティック10-1と多数の特徴を共有するので、これらの共通の特徴をさらに詳細には説明しない。しかしながら、
図4Cのスティック10-2は、単一の外側ラッパー18がスティック10-2の第1端10aからスティック10-2の第2端10bまで延在し、それにより、管状体の第1層18を完全に覆うという点で異なる。外側ラッパー18は、可撓性管22並びにフィルタ13、フィルタラッパー14、プラグ15、及びプラグラッパー16を完全に覆うように巻き付けられる単一の紙片18により提供される。このように、スティック10-2は、外側ラッパー18をスティック10-2の他の構成要素に巻き付けることにより、簡単且つ迅速に組み立てられ得る。このことは、
図4Aのスティック10-1で必要であり得るように、第2の外側ラッパー片18を巻き付けるためにスティック10-2を反転させる必要がないことを意味する。追加的に、単一の外側ラッパー18を使用することにより、連続した外面を有するスティック10-2が作製される。連続した外面を有することにより、スティック10-2の内部構成要素に保護が与えられ得るとともに、スティック10-2のストレージの輸送中に有益であり得るある程度の剛性がスティック10-2に与えられ得る。
【0040】
好ましくは、外側ラッパー18は、第1層22を覆う部分にミシン目を含む。スティック10-2の使用中に外力が加えられたときに、ミシン目により、外側ラッパー18が曲がることが可能となり、第1層22などの、スティック10-2の他の部分が破損せずに、外側ラッパー18が少なくとも部分的に破断することが可能となり得る。また、スティックは、第1層22と外側ラッパー18の両方を通る経路を提供する空気流開口19を含んでもよい。
【0041】
図5A~
図5Cは、可撓性部分20を備えたスティック10-3の別の実施形態の断面図を示す。特に、管状体12は、折り畳み構造26として配置された可撓性管22を含む。このように、折り畳み構造26は、使用中にスティック10-3に加えられ得る外力に対応するために、折り畳み位置と展開位置との間で動き得る。特に、折り畳み構造26は、管状体12に伸張(又は引張)力が加えられたときに、展開位置へと均一に動き得る(
図5Aを参照)。逆に、折り畳み構造26は、管状体12に圧縮力が加えられたときに、折り畳み位置に均一に動き得る(
図5Bを参照)。代替的又は追加的に、管状体12に曲げ力が加えられたときに、折り畳み構造26の片側が折り畳み位置へと動き、その一方で、折り畳み構造26の別の(例えば反対)側が展開位置へと動き得る(
図5Cを参照)。
【0042】
追加的に、可撓性管22の折り畳み構造26に複数の開口(図示せず)が設けられてもよく、開口は、スティック10-3内に空気が流入することを可能にするように構成される。開口は、折り畳み位置(例えば、
図5B)では覆われ得るが、展開位置(例えば、
図5A)では覆われない。このように、ユーザは、スティック10-3を引っ張って(すなわち、引張力を加えて)、折り畳み構造26を展開位置に少なくとも部分的に移動させ、それにより、開口の少なくとも1つの覆いを外し得るか又は開口の少なくとも1つを露出させ得る。これにより、ユーザが、使用中にスティック10-3内に流入し得る空気の量を制御し、それにより、気化材料の濃度及び/又は強度を制御することが可能となる。
【0043】
図6A及び
図6Bは、スティック10の管状体12の可撓性部分20を提供するために使用され得る可撓性管22の別の例を示す。この実施形態では、可撓性管22は、可撓性管22の外周を回って延在する複数のリブ28(一部にのみ符号が付されている)を含む。リブ28は、可撓性管22の内面又は外面のいずれかに窪み又は波形として設けられてもよく、スティック10に曲げ力が加えられたときに変形するように予め構成され得るか又は変形しやすい特性を有し得る。可撓性管22は、紙を含んでもよく、又は、上で説明したシリコン若しくは可撓性紙などの可撓性若しくは伸縮性材料を含んでもよい。
図6Bに示すように、可撓性管22に曲げ力が加えられており、それにより、可撓性管22が全体として破損又は破断することなく、周方向リブ28が可撓性管22の少なくとも片側で畳み込まれる。このように、可撓性管22がスティック10の管状体12に組み込まれたときに、スティック10の第1端10aは、スティック10の第2端10bに対して動き得る。可撓性管22は、可撓性ストロー曲げ機(例えば、Jx021機)などにより容易に製造され得るので有利である。
図4A~
図4Cに示すスティック10-1などの、任意の好適なスティック10の可撓性部分20を提供するために、この可撓性管22が使用されてもよい。代替的に、可撓性管22をスティック10の他の構成要素に組み付ける必要なしに、リブ28がスティック10上に直接形成されてもよい。例えば、可撓性ストロー曲げ機は、上で既に説明した典型的なスティック10'などの、既存のスティック10の管状体12上にリブ28を直接形成し得る。
【0044】
図7は、可撓性部分20を有するスティック10-4の別の実施形態を示す。スティック10-4は、さらに詳細には説明しない、多数の特徴を既に説明したスティック10と共有する。この実施形態では、スティック10-4は、少なくともエアロゾル基材プラグ15と、先に既に説明したプラグラッパー16とに巻き付けられた第1の(紙)層30を含む。追加的に、チップペーパー32などの第2層32(又は「外層」)は、第1の紙層30と、フィルタプラグ13及びフィルタラッパー14などのスティック10-4の残りの内部構成要素との上に少なくとも部分的に配置され、第2層32は、スティックの第1端10aまで延在する管状体12の可撓性部分20を提供するように構成される。例えば、第2層32は、スティック10-4の第1端10aと第2端10bとを接続するために第1層30に少なくとも部分的に巻き付けられたシリコン膜であり得る。第2層32としてのそのようなシリコン膜は、標準的なチップペーパーと比較して固有の弾性及び可撓性を呈し、これにより、外力が加えられた場合に備えて、第1端10aのある程度の可撓性を実現する。
図7に示すように、第2層32は、スティック10-4の第1端10aから延在する。このように、スティック10-4の可撓性部分20の長さを増加させ、それにより、スティック10-4がより広範囲の位置及び/又は外力に対応することが可能となる。
【0045】
上で説明した実施形態が任意の好適な方法で組み合わされ得ることが理解されるであろう。例えば、
図7との関連で説明した層32が、他の加熱非燃焼式スティック10のいずれかに設けられてもよい。また、スティック10が2つ以上の可撓性部分20を含んでもよく、可撓性部分20の各々がスティックの長さに沿って異なる距離をおいて位置し得ることも認識されるであろう。可撓性部分20の各々は、互いに同じ方法で実現され得るか、又は異なる方法で実現され得る。
【0046】
前述の内容は本発明の例示的な実施形態を対象としているが、本明細書では本発明を単なる例として説明していることと、本発明の範囲内で細部の修正を行うことができることが理解されるであろう。さらに、当業者であれば、本発明が、本明細書に開示する実施形態により限定されるものではなく、又は本明細書で詳細に説明されておらず、特許請求の範囲に定義されていない、添付図面に示す任意の細部に限定されるものではないことを理解するであろう。
【0047】
その上、本発明の他の及びさらなる実施形態が、本明細書を考慮することで当業者にとって明らかになり、後に続く特許請求の範囲により決定される本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考案され得る。
【符号の説明】
【0048】
10a 第1端
10b 第2端
10-1 スティック
10-2 スティック
10-3 スティック
10-4 スティック
12' 管状体
12a' 第1端
12b' 第2端
13 フィルタ
14 フィルタラッパー
15 プラグ
16 プラグラッパー
18 第1層
18a チップペーパー
18b 基材紙
19 空気流開口
20 可撓性部分
22 可撓性管
26 折り畳み構造
28 リブ
30 第1層
32 第2層
50 加熱非燃焼式装置
51 ハウジング
52 空洞
54 開口
【外国語明細書】