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特開2024-18967弾性テンプルを有するメガネ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018967
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】弾性テンプルを有するメガネ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G02C5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094080
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】202210900903.X
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】503438403
【氏名又は名称】株式会社インターメスティック
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】林 暁丹
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で、用途に応じて頭部に固定可能なメガネを提供すること。
【解決手段】
フレームと、フレームに回転可能に設けられるテンプルと、を備える弾性テンプルを有するメガネであって、テンプルのフレームから遠い端に弾性テンプルアセンブリが着脱可能に設けられ、弾性テンプルアセンブリは、折り曲げ可能な弾性鋼片を備え、弾性鋼片には、弾性鋼片を上弾性鋼片と下弾性鋼片とに分ける開口が設けられ、上弾性鋼片の右端部と下弾性鋼片の右端部とが固定連結され、上弾性鋼片の左端と下弾性鋼片の左端とに上固定片と下固定片とが固定され、上固定片と下固定片とがずれて重ねて設けられ、上固定片の左端部と下固定片の左端部とがカシメにより固定連結されることを特徴とする弾性テンプルを有するメガネ。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、フレームに回転可能に設けられるテンプルと、を備える弾性テンプルを有するメガネであって、
前記テンプルのフレームから遠い端に弾性テンプルアセンブリが着脱可能に設けられ、
前記弾性テンプルアセンブリは、折り曲げ可能な弾性鋼片を備え、
前記弾性鋼片には、弾性鋼片を上弾性鋼片と下弾性鋼片とに分ける開口が設けられ、
前記上弾性鋼片の右端部と前記下弾性鋼片の右端部とが固定連結され、
前記上弾性鋼片の左端と前記下弾性鋼片の左端とに上固定片と下固定片とが固定され、前記上固定片と前記下固定片とがずれて重ねて設けられ、前記上固定片の左端部と前記下固定片の左端部とが固定連結されることを特徴とする弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項2】
前記弾性テンプルアセンブリは、更にテンプルに連結される固定ブロックを備え、
前記開口内には、前記上弾性鋼片及び前記下弾性鋼片に固定連結される連結片が設けられ、
前記固定ブロック内に孔が設けられ、前記上固定片と前記下固定片とが前記固定ブロックの孔内に位置して前記固定ブロックに固定連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項3】
前記テンプルの固定ブロックに向かう端に可動溝が設けられ、
前記テンプルの他方の前記テンプルに向かう側には、前記可動溝と連通して設けられる取付孔が設けられ、
前記取付孔の上下の内側壁に少なくとも一組の係合溝が設けられ、前記固定ブロックの左端に可動ロッドが固定され、
前記可動ロッドが可動溝内に設けられ、
前記可動ロッドの前部に係合ピンが固定され、
前記固定ブロックが前記可動ロッドの前記係合ピンを介して前記テンプルにおける前記係合溝と係合して固定連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項4】
前記弾性鋼片にはフィットしたシリコーンスリーブが嵌着されている、ことを特徴とする請求項3に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項5】
前記シリコーンスリーブは、中央が広く両側が狭い構造であり、前記シリコーンスリーブの開口部と前記固定ブロックとが固定連結される、ことを特徴とする請求項4に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項6】
前記フレーム内には、前記フレームに着脱可能に取り付けられるレンズが設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項7】
前記レンズの縁部に連結凸部が固定され、
前記連結凸部と前記レンズとの連結部に第1弧状係合溝及び第2弧状係合溝が設けられ、
前記フレーム内には連結凸部に係合する連結溝が設けられ、
前記連結溝内には、前記フレームと固定連結される第1弧状係合ブロック及び第2弧状係合ブロックが設けられ、
前記フレームが前記第1弧状係合ブロック及び前記第2弧状係合ブロックを介して前記レンズの前記第1弧状係合溝及び前記第2弧状係合溝と係合して連結される、ことを特徴とする請求項5に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項8】
前記レンズの下部に切り欠きが設けられ、前記切り欠きの下部の幅が前記切り欠きの上部の幅よりも大きく、前記切り欠き内には、前記レンズに固設される鼻パッドが設けられ、
前記鼻パッドの前記レンズに向かう面に取付溝が設けられ、前記レンズの下縁部が前記取付溝内に位置し、
前記鼻パッドの下端に位置決め溝が設けられ、前記位置決め溝の深さが前記取付溝の深さよりも大きく、
前記切り欠きの内側壁に位置決めバーが固定され、
前記位置決めバーが前記位置決め溝内に位置して前記鼻パッドと係合される、ことを特徴とする請求項6に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項9】
前記シリコーンスリーブの一側には、複数の滑り止め溝が斜めに交差して設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項10】
前記レンズと前記連結凸部とが一体成形される、ことを特徴とする請求項8に記載の弾性テンプルを有するメガネ。
【請求項11】
設計図面及び要件に基づいて製造プロセスを作成し、所要部品のサイズを決定して準備する準備ステップ1と、
超弾性ステンレス鋼を切断テーブルに固定し、レーザ切断機により図面のサイズに従って超弾性ステンレス鋼を弾性鋼片ブランクに切断する切断ステップ2と、
弾性鋼片ブランクの上固定片の左端部と下固定片の左端部とをカシメにより固定連結するカシメステップ3と、
同じバッチの弾性鋼片ブランクの弾性力及び耐用年数を測定機により測定して、測定データを得、要件を満たすか否かを判断し、要件を満たすと、次のステップに入る測定ステップ4と、
測定要件を満たす場合、弾性鋼片ブランクの外面を研磨機により研磨する研磨ステップ5と、
研磨後の弾性鋼片ブランクに対してメッキ処理を行って、弾性鋼片を得るメッキ処理ステップ6と、
金型Aによって射出成形してテンプルを得、射出成形する際に、弾性鋼片を金型内に入れてテンプルと固定連結させ、射出被覆し、半製品の弾性テンプルを得る1回目の射出被覆ステップ7と、
半製品の弾性テンプルを塗装機により塗装する塗装ステップ8と、
塗装した半製品の弾性テンプルの弾性鋼片及びテンプルを金型Bにより2回目の射出被覆をして、完成品の弾性テンプルを得る2回目の射出被覆ステップ9と、を含むことを特徴とする弾性テンプルを有するメガネの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メガネの技術分野に属し、特に弾性テンプルを有するメガネ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、市販されている普段用メガネは、スポーツ時にずり落ちて破損しやすくなっており、スポーツ専用メガネは、日常生活での着用に適していないため、人々はスポーツ時又は普段に、特定のメガネを交換する必要があり、日常生活に大きな不便をもたらし、普段用メガネとスポーツ用メガネの2本のメガネを購入する必要があり、使用者のコストが高くなっている。
【0003】
これらに対応して、頭部に固定するための構造を備えたメガネが開発されている。
例えば、特許文献1のメガネ用のテンプルは、一対の連結部と連結部に挟まれるように配置された弾性部を備えた屈曲部材を有し、連結部が第1姿勢と第2姿勢とに切り換わることが可能となっている。
また、特許文献2の弾性テンプルは、板バネ材によって設けられたテンプル全体が弾性を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/002379号
【特許文献2】特開2015-138206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のテンプルにおいては、屈曲部材が少なくとも連結部及び弾性部を備えるものであり、部品点数が多い。
また、特許文献2のテンプルにおいては、テンプル全体が弾性を有するため、普段用とスポーツ用とのように、用途に応じてメガネの頭部に対する固定の強度を切り替えることができない。
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、少ない部品点数で、用途に応じて頭部に固定可能なメガネを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、テンプル末端を1対の弾性鋼片により設け、これらを屈曲させてその両端を固定することにより、少ない部品点数で、テンプルの末端を変形させてメガネを頭部に固定可能であることを見出した。本発明はこの知見に基づく。
【0007】
上述した技術的課題を解消するために、本発明は(1)、フレーム1と、フレーム1に回転可能に設けられるテンプル2と、を備える弾性テンプルを有するメガネAであって、テンプル2のフレーム1から遠い端に弾性テンプルアセンブリ3が着脱可能に設けられ、弾性テンプルアセンブリ3は、折り曲げ可能な弾性鋼片5を備え、弾性鋼片5には、弾性鋼片5を上弾性鋼片7と下弾性鋼片8とに分ける開口6が設けられ、上弾性鋼片7の右端部と下弾性鋼片8の右端部とが固定連結され、上弾性鋼片7の左端と下弾性鋼片8の左端とに上固定片9と下固定片10とが固定され、上固定片9と下固定片10とがずれて重ねて設けられ、上固定片9の左端部と下固定片10の左端部とが固定連結されることを特徴とする弾性テンプルを有するメガネAを提供する。
【0008】
さらに(2)、前記弾性テンプルアセンブリ3は、更にテンプル2に連結される固定ブロック4を備え、前記開口6内には、上弾性鋼片7及び下弾性鋼片8に固定連結される連結片11が設けられ、前記固定ブロック4内に孔12が設けられ、前記上固定片9と前記下固定片10とが固定ブロック4の孔12内に位置して固定ブロック4に固定連結される。
【0009】
さらに(3)、前記テンプル2の固定ブロック4に向かう端に可動溝13が設けられ、前記テンプル2の他方のテンプル2に向かう側には、可動溝13と連通して設けられる取付孔14が設けられ、前記取付孔14の上下の内側壁に少なくとも一組の係合溝30が設けられ、前記固定ブロック4の左端に可動ロッド15が固定され、前記可動ロッド15が可動溝13内に設けられ、前記可動ロッド15の前部に係合ピン16が固定され、前記固定ブロック4が可動ロッド15の係合ピン16を介してテンプル2における係合溝30と係合して固定連結される。
【0010】
さらに(4)、前記弾性鋼片5にはフィットしたシリコーンスリーブ17が嵌着されており、前記シリコーンスリーブ17は、中央が広く両側が狭い構造であり、前記シリコーンスリーブ17の開口部と固定ブロック4とが固定連結される。
【0011】
さらに(5)、前記シリコーンスリーブ17は、中央が広く両側が狭い構造であり、前記シリコーンスリーブ17の開口部と固定ブロック4とが固定連結される。
【0012】
さらに(6)、前記フレーム1内には、フレーム1に着脱可能に取り付けられるレンズ18が設けられる。
【0013】
さらに(7)、前記レンズ18の縁部に連結凸部19が固定され、前記連結凸部19とレンズ18との連結部に第1弧状係合溝20及び第2弧状係合溝21が設けられ、前記フレーム1内には連結凸部19に係合する連結溝22が設けられ、前記連結溝22内には、フレーム1と固定連結される第1弧状係合ブロック23及び第2弧状係合ブロック24が設けられ、前記フレーム1が第1弧状係合ブロック23及び第2弧状係合ブロック24を介してレンズ18の第1弧状係合溝20及び第2弧状係合溝21と係合して連結される。
【0014】
さらに(8)、前記レンズ18の下部に切り欠き25が設けられ、前記切り欠き25の下部の幅が切り欠きの上部の幅よりも大きく、前記切り欠き25内には、レンズ18に固設される鼻パッド26が設けられ、前記鼻パッド26のレンズ18に向かう面に取付溝27が設けられ、前記レンズ18の下縁部が取付溝27内に位置し、前記鼻パッド26の下端に位置決め溝28が設けられ、前記位置決め溝28の深さが取付溝27の深さよりも大きく、前記切り欠き25の内側壁に位置決めバー29が固定され、前記位置決めバー29が位置決め溝28内に位置して鼻パッド26と係合される。
【0015】
さらに(9)、前記シリコーンスリーブ17の一側には、複数の滑り止め溝が斜めに交差して設けられる。
【0016】
さらに(10)、前記レンズ18と前記連結凸部19とが一体成形される。
【0017】
本発明は、さらに(11)、設計図面及び要件に基づいて製造プロセスを作成し、所要部品のサイズを決定して準備する準備ステップ1と、超弾性ステンレス鋼を切断テーブルに固定し、レーザ切断機により図面のサイズに従って超弾性ステンレス鋼を弾性鋼片ブランクに切断する切断ステップ2と、弾性鋼片ブランクの上固定片9の左端部と下固定片10の左端部とをカシメにより固定連結するカシメステップ3と、同じバッチの弾性鋼片ブランクの弾性力及び耐用年数を測定機により測定して、測定データを得、要件を満たすか否かを判断し、要件を満たすと、次のステップに入る測定ステップ4と、測定要件を満たす場合、弾性鋼片ブランクの外面を研磨機により研磨する研磨ステップ5と、研磨後の弾性鋼片ブランクに対してメッキ処理を行って、弾性鋼片を得るメッキ処理ステップ6と、金型Aによって射出成形してテンプルを得、射出成形する際に、弾性鋼片5を金型内に入れてテンプル2と固定連結させ、射出被覆し、半製品の弾性テンプルを得る1回目の射出被覆ステップ7と、半製品の弾性テンプルを塗装機により塗装する塗装ステップ8と、塗装した半製品の弾性テンプルの弾性鋼片及びテンプルを金型Bにより2回目の射出被覆をして、完成品の弾性テンプルを得る2回目の射出被覆ステップ9と、を含むことを特徴とする弾性テンプルを有するメガネAの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有益な効果は、上弾性鋼片7の上固定片9と下弾性鋼片8の下固定片10とをずれて重ねて設けることにより、弾性鋼片5を曲げることができる。
その結果、弾性鋼片5が弾性力を有するので、スポーツ時に、弾性鋼片5の先端部を曲げて、弾性鋼片5の先端部を環状にして頭部にフィットさせ(このときの弾性鋼片5の弧状の中央突出部が頭部から離れている)、環状把持固定の役割を果たすことができる。
そのため、スポーツ時のメガネのずり落ちを防止し、スポーツ後に、スポーツをしない時に、弾性鋼片5の先端部を反対方向に曲げて、弾性鋼片5の先端部を頭部から離し(このときの弾性鋼片5の弧状の中央突出部が頭部と接触している)、弾性鋼片5の環状把持を解除して、普段時に使用できるようになる。
したがって、使用環境によってメガネの使用状態を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の構造概略図である。
図2】本発明の鼻パッドがレンズに設けられた構造概略図である。
図3】本発明の鼻パッドの構造概略図である。
図4】本発明の第1弧状係合ブロックがレンズ内に設けられた構造概略図である。
図5】本発明の第2弧状係合ブロックがレンズ内に設けられた構造概略図である。
図6】本発明のレンズの構造概略図である。
図7】本発明の弾性鋼片がずれて重ねられた状態の構造概略図である。
図8】本発明の弾性鋼片がずれて重ねられていない状態の構造概略図である。
図9】本発明のレンズの構造概略図である。
図10】他の実施形態に係る、本発明の弾性テンプルを有するメガネの構造概略図である。
図11】他の実施形態に係る弾性テンプルアセンブリの固定手段を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1~2に示すように、この実施例は、フレーム1と、フレーム1に回転可能に設けられるテンプル2と、を備える弾性テンプルを有するメガネAを開示する。
前記テンプル2のフレーム1から遠い端に弾性テンプルアセンブリ3が着脱可能に設けられ、弾性テンプルアセンブリ3を設けることにより、頭部を環状に把持することができ、スポーツ時のメガネのずり落ちを防止する。
以下、左右の方向について言う場合、図1~2及び図8を基準とする。
【0021】
前記弾性テンプルアセンブリ3は、テンプル2に連結される固定ブロック4と、折り曲げ可能な弾性鋼片5と、を備える。弾性鋼片5は、厚さが0.2mm~0.3mmのSUS304超弾性ステンレス鋼であり、弧状に設けられた前記弾性鋼片5には、弾性鋼片5を上弾性鋼片7と下弾性鋼片8とに分ける開口6が設けられる。前記上弾性鋼片7の右端部と前記下弾性鋼片8の右端部とが固定連結される。
上弾性鋼片7の右端部と下弾性鋼片8の右端部(すなわち、テンプル2の末端側)とが一体成形されることで、堅牢性を高める。
【0022】
前記上弾性鋼片7の左端と前記下弾性鋼片8の左端とに上固定片9と下固定片10とが固定され、前記上固定片9と前記下固定片10とがずれて重ねて設けられ、前記上固定片9の左端部と前記下固定片10の左端部(すなわち、フロント1側)とがカシメにより固定連結される。
上弾性鋼片7の上固定片9と下弾性鋼片8の下固定片10とをずれて重ねて設けることにより、弾性鋼片5を曲げることができる。
【0023】
そのため、弾性鋼片5が弾性力を有し変形するので、スポーツ時に、弾性鋼片5の先端部を曲げて、弾性鋼片5の先端部を環状にして頭部にフィットさせ(このときの弾性鋼片5の弧状の中央突出部が頭部から離れている)、環状把持固定の役割を果たし、スポーツ時のメガネのずり落ちを防止することができる。
また、スポーツ後やスポーツをしない普段時に、弾性鋼片5の先端部を反対方向に曲げて、弾性鋼片5の先端部を頭部から離し(このときの弾性鋼片5の弧状の中央突出部が頭部と接触している)、弾性鋼片の環状把持を解除して、普段時に使用できるようになる。
【0024】
より詳しくは、先端部が開いた(すなわち、内側に凸な状態)弾性鋼片5の先端部に力を加えると独特のクリック感をもって弾性鋼片5が変形し、先端部が閉じた状態(すなわち、外側に凸な状態)となる。
弾性鋼片5は、この姿勢を維持するので、弾性テンプルを有するメガネAを頭部に保持することが可能となる。
弾性テンプルを有するメガネAを頭部から外す際には、同様に弾性鋼片5の先端に力を加えることで、独特のクリック感をもって弾性鋼片5が変形し、先端が開いた状態となる。この場合も、変形された弾性鋼片5はその状態を維持するため、弾性テンプルを有するメガネAを容易に着脱することができる。
【0025】
前記開口6内には、上弾性鋼片7及び下弾性鋼片8に固定連結される連結片11を設けることにより、緩衝の役割を果たし、応力点が弾性鋼片5の先端部に集中することを防止して、弾性鋼片5の先端部に割れが発生するか又は弾性鋼片5の先端部が完全破断することを防止する。
【0026】
前記固定ブロック4内に孔12が設けられ、前記上固定片9と前記下固定片10とが固定ブロック4の孔12内に位置して固定ブロック4に固定連結される。
上下の固定片を固定ブロック内4に固設することにより、大きさの異なる頭部にフィットさせる必要がある場合、固定ブロック4に近い端の弾性鋼片5を折り曲げて、弾性鋼片5の先端部を頭部に接近又は離間させ、頭部の大きさによって調整することができる。
そのため、弾性鋼片5が頭部に近すぎることを防止し、着用時の圧迫感を軽減し、上固定片9及び下固定片10に対して固定の役割を果たし、弾性鋼片5のテンプル2への取り付けが容易になる。
【0027】
さらに、前記テンプル2の固定ブロック4に向かう端に可動溝13が設けられ、前記テンプル2の他方のテンプルに向かう側には、可動溝13と連通して設けられる取付孔14が設けられる。
前記取付孔14の上下の内側壁に少なくとも一組の係合溝30が設けられ、前記固定ブロック4の左端に可動ロッド15が固定される。
前記可動ロッド15が可動溝13内に設けられ、前記可動ロッド15の前部に係合ピン16が固定され、前記固定ブロック4が可動ロッド15の係合ピン16を介してテンプル2における係合溝30と係合して固定連結される。
【0028】
人によって顔型が異なり、耳から目までの距離も異なる。
そのため、テンプル2を調整する必要がある場合、可動ロッド15がテンプル2の可動溝13内に可動に設けられているため、可動ロッド15を引っ張って可動溝13内で移動させ、係合ピン16をテンプル2の係合溝30内に固定させることで、テンプル2と固定ブロック4に固設される弾性鋼片5との間の距離を容易に調整することができる。
したがって、顔型に合わせて容易に調整することができる。
【0029】
さらに、前記弾性鋼片5にはフィットしたシリコーンスリーブ17が嵌着されており、シリコーンスリーブ17を設けることにより、頭部に対して保護の役割を果たし、快適さを与える。
前記シリコーンスリーブ17は、中央が広く両側が狭い構造であり、シリコーンスリーブ17を中央が広く両側が狭い構造にし、さらにシリコーンスリーブ17を弾性鋼片5に嵌着することにより、位置決めの役割を果たし、シリコーンスリーブ17の摺動を防止する。
【0030】
前記シリコーンスリーブ17の開口部と固定ブロック4とが固定連結され、シリコーンスリーブ17の開口部と固定ブロック4とを固定接着剤により密封して連結することにより、毛髪がシリコーンスリーブ17内(弾性鋼片5とシリコーンスリーブ17との間)に入る場合、メガネを外す際に、毛髪がシリコーンスリーブ17内に位置するため、毛髪を引っ張ることがあり、毛髪の損傷や痛みを引き起こすことを防止する。
【0031】
さらに、前記フレーム1内には、フレーム1に着脱可能に取り付けられるレンズ18が設けられ、レンズをフレーム内に着脱可能に設けることにより、自分のニーズや天候によって対応するレンズを容易に交換することができる。
【0032】
さらに、前記レンズ18の縁部に連結凸部19が固定され、前記連結凸部19とレンズ18との連結部に第1弧状係合溝20及び第2弧状係合溝21が設けられる。
前記第2弧状係合溝の深さが第1弧状係合溝の深さよりも大きく、前記フレーム1内には連結凸部19に係合する連結溝22が設けられる。
前記連結溝22内には、フレーム1と固定連結される第1弧状係合ブロック23及び第2弧状係合ブロック24が設けられている。
【0033】
前記フレーム1が第1弧状係合ブロック23及び第2弧状係合ブロック24を介してレンズ18の第1弧状係合溝20及び第2弧状係合溝21と係合して連結される。
レンズ18をフレーム1内に係合することにより、レンズ18の着脱や交換を容易にし、レンズ18を交換する必要がある場合、レンズ18を上方に移動させ、第2弧状係合ブロック24を第2弧状係合溝21から離脱させた後、引き続きレンズ18を上方に移動させ、第1弧状係合ブロック23を第1弧状係合溝20から離脱させることで、レンズ18を外すことができる。
レンズ18を取り付ける場合、第1弧状係合ブロック23を第1弧状係合溝内20に入れた後、レンズ18を下方へ押圧し、第2弧状係合ブロック24を第2弧状係合溝内21に位置させることで、レンズ18を固定して取り付けることができる。
【0034】
さらに、前記レンズ18の下部に切り欠き25が設けられる。
前記切り欠き25の下部の幅が切り欠き25の上部の幅よりも大きく、前記切り欠き25内には、レンズ18に固設される鼻パッド26が設けられ、前記鼻パッド26のレンズ18に向かう面に取付溝27が設けられる。
鼻パッド26にはレンズ18に係合する取付溝27が設けられることで、鼻パッド26をレンズ18に取り付ける際に、鼻パッド26に対して位置規制の役割を果たす。
【0035】
前記レンズ18の下縁部が取付溝27内に位置し、前記鼻パッド26の下端に位置決め溝28が設けられ、前記位置決め溝28の深さが取付溝27の深さよりも大きく、前記切り欠き25の内側壁に位置決めバー29が固定され、前記位置決めバー29が位置決め溝28内に位置して鼻パッド26と係合される。
鼻パッド26に位置決め溝28が設けられ、位置決めバー29の上端が位置決め溝28内に位置することで、レンズ18に対して支持及び係合の役割を果たし、位置決めの役割を果たす。
【0036】
さらに、前記シリコーンスリーブ17の一側には、複数の滑り止め溝31が斜めに交差して設けられ、複数の滑り止め溝を斜めに交差して設けることにより、複数の滑り止めブロックを形成し、着用したり外したりする際に、滑り止めの役割を果たす。
【0037】
さらに、前記レンズ18と前記連結凸部19とが一体成形される。
【0038】
さらに、弾性テンプルを有するメガネAの製造方法は、設計図面及び要件に基づいて製造プロセスを作成し、所要部品のサイズを決定して準備する準備ステップ1と、超弾性ステンレス鋼を切断テーブルに固定し、レーザ切断機により図面のサイズに従って超弾性ステンレス鋼を弾性鋼片ブランクに切断する切断ステップ2と、弾性鋼片ブランクの上固定片9の左端部と下固定片10の左端部とをカシメにより固定連結するカシメステップ3と、同じバッチの弾性鋼片ブランクの弾性力及び耐用年数を測定機により測定して、測定データを得、要件を満たすか否かを判断し、要件を満たすと、次のステップに入る測定ステップ4と、測定要件を満たす場合、弾性鋼片ブランクの外面を研磨機により研磨する研磨ステップ5と、研磨後の弾性鋼片ブランクに対してメッキ処理を行って、弾性鋼片を得るメッキ処理ステップ6と、金型Aによって射出成形してテンプル2を得、射出成形する際に、弾性鋼片5を金型内に入れてテンプル2と固定連結させ、射出被覆し、半製品の弾性テンプルを得る1回目の射出被覆ステップ7と、半製品の弾性テンプルを塗装機により塗装する塗装ステップ8と、塗装した半製品の弾性テンプルの弾性鋼片5及びテンプル2の固定ブロック4を金型Bにより2回目の射出被覆をし、シリコーンスリーブ17を弾性鋼片5及び固定ブロック6に嵌着させて、完成品の弾性テンプルを得る2回目の射出被覆ステップ9と、を含む。
【0039】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者によって上記の説明に基づいてなされたいかなる修正、変更又は均等な置換は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0040】
図10は、他の実施形態に係る、本発明の弾性テンプルを有するメガネAの構造概略図である。
本発明の弾性テンプルを有するメガネAにおいて、フレーム1の形態は任意である。例えば図10に示すように、いわゆるウェリントン形状としてもよい。
また、弾性テンプルアセンブリ3のテンプルに対する固定手段は、固定ブロック4によるものに限らない。
【0041】
図11は、他の実施形態に係る弾性テンプルアセンブリ3の固定手段を示す説明図である。
矢印は、後述するロウ付けの前後を示す。
例えば、弾性鋼片5にのこぎり状部分(いわゆる返し部)を設け、更に上弾性鋼片7と下弾性鋼片8の先端部に通穴Pを設ける(図11の下の状態)。
そして、上弾性鋼片7と下弾性鋼片8との先端を重ね合わせて通穴Pを一致させる。
この状態を維持させるため、ロウ付けして仮固定する。
【0042】
次に、テンプル2を射出形成する際、上弾性鋼片7と下弾性鋼片8との通穴Pを重ね合わせた状態で金型にセットし、弾性鋼片5とテンプル2とを一体成型する(インサート射出成形、図11の上の状態)。
この言った成形された状態では、樹脂材が通穴Pやのこぎり状部分の凹凸部に入り込んで硬化した状態となる。
この固定手段による場合、テンプル2と弾性テンプルアセンブリ3とを製造時(成形時)に一体化でき、別途組み付ける必要がないため、製造工数が軽減される。
なお、上述したように、テンプル2と一体成型された弾性鋼片5にはシリコーンスリーブ17(図示しない)が装着されることで、着用感が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の弾性テンプルを有するメガネAは、普段用とスポーツ用と、のように、複数の用途に応じて頭部への固定の強度を変更しようとするメガネやサングラス等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
A・・・弾性テンプルを有するメガネ
1・・・フレーム
2・・・テンプル
3・・・弾性テンプルアセンブリ
4・・・固定ブロック
5・・・弾性鋼片
6・・・開口
7・・・上弾性鋼片
8・・・下弾性鋼片
9・・・上固定片
10・・・下固定片
11・・・連結片
12・・・孔
13・・・可動溝
14・・・取付孔
15・・・可動ロッド
16・・・係合ピン
17・・・シリコーンスリーブ
18・・・レンズ
19・・・連結凸部
20・・・第1弧状係合溝
21・・・第2弧状係合溝
22・・・連結溝
23・・・第1弧状係合ブロック
24・・・第2弧状係合ブロック
25・・・切り欠き
26・・・鼻パッド
27・・・取付溝
28・・・位置決め溝
29・・・位置決めバー
30・・・係合溝
31・・・滑り止め溝
P・・・通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11