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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018975
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】注出部材及び飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097273
(22)【出願日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022121763
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】伊東 裕二
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082EE02
3E082FF03
(57)【要約】
【課題】飲料の注出に伴う粗い泡の発生を低減させることができると共に、汎用性を高めることができる。
【解決手段】一実施形態に係る注出部材は、飲料が通る液体用ノズルを有するカランに取り付けられる注出部材20である。注出部材20は、液体用ノズルに取り付けられ、液体用ノズルに取り付けられた状態で液体用ノズルの第1内部空間に連通する第2内部空間21bを有する筒状部21と、筒状部21の第2内部空間21bに連通する第3内部空間22bを有し、第3内部空間22bを通る飲料を注出部材20の外部に注出する飲料流路部22と、を備える。第3内部空間22bの少なくとも筒状部21とは反対側に位置する端部が鉛直方向D2に対して斜めに延在している。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が通る液体用ノズルを有するカランに取り付けられる注出部材であって、
前記液体用ノズルに取り付けられ、前記液体用ノズルに取り付けられた状態で前記液体用ノズルの第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、
前記筒状部の前記第2内部空間に連通する第3内部空間を有し、前記第3内部空間を通る飲料を前記注出部材の外部に注出する飲料流路部と、
を備え、
前記第3内部空間の少なくとも前記筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して斜めに延在している、
注出部材。
【請求項2】
前記飲料流路部は、複数の前記第3内部空間を有する、
請求項1に記載の注出部材。
【請求項3】
前記飲料流路部は、前記筒状部の下端から広がる形状を有し、
前記第3内部空間は、前記飲料流路部の内部に形成された孔である、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項4】
前記筒状部を前記液体用ノズルに対して着脱可能とする着脱機構を有する、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項5】
前記飲料流路部は、前記飲料が注出される飲料容器の鉛直上方に設けられ、
前記飲料流路部から鉛直下方に延びると共に前記飲料容器の側面に対向する飲料容器ガイド部を備える、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項6】
前記カランは、前記飲料の発泡体が通る発泡体用ノズルを有し、
前記発泡体用ノズルに取り付けられる筒部、及び前記飲料流路部に載せられる載置部を有する発泡体注出部を備え、
前記飲料流路部は、前記筒部が通される貫通孔を有し、
前記載置部が前記飲料流路部に載せられた状態で前記筒部の下部が前記貫通孔に通されると共に前記筒部の上部が前記発泡体用ノズルに取り付けられる、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項7】
前記飲料流路部は、前記第3内部空間が内部に形成されており且つ斜め下方に延在するパイプ状の流路形成部を有する、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項8】
前記カランは、前記飲料の発泡体が通る発泡体用ノズルを有し、
前記発泡体用ノズルに取り付けられると共に前記発泡体用ノズルからの前記発泡体を注出する筒部、及び前記飲料流路部に載せられる載置部を有する発泡体注出部を備え、
前記筒部は、前記発泡体用ノズルとは反対側に位置すると共に鉛直方向に対して斜めに延在する先端部を有する、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項9】
前記飲料流路部は、前記飲料を注出する飲料注出口を有し、
前記飲料注出口は、長円形状を呈する、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項10】
前記発泡体注出部は、前記発泡体を注出する発泡体注出口を有し、
前記発泡体注出口は、長円形状を呈する、
請求項8に記載の注出部材。
【請求項11】
前記飲料が注出される飲料容器に載せられることによって前記飲料容器に対する前記飲料流路部の位置決めを行う位置決め部を備え、
前記位置決め部が前記飲料容器に載せられた状態において、前記飲料流路部の下端は前記飲料容器の上端よりも上方に位置する、
請求項1又は2に記載の注出部材。
【請求項12】
飲料が収容される筐体と、
前記筐体に取り付けられると共に前記飲料が通る第1内部空間が形成された液体用ノズルを有するカランと、
前記液体用ノズルに取り付けられる注出部材と、
を備え、
前記注出部材は、
前記液体用ノズルに取り付けられ、前記液体用ノズルに取り付けられた状態で前記第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、
前記第2内部空間に連通する第3内部空間を有し、前記第3内部空間を通る飲料を前記注出部材の外部に注出する飲料流路部と、
を備え、
前記第3内部空間の少なくとも前記筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して斜めに延在している、
飲料サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飲料を注出する注出部材及び飲料サーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生ビールを注出する生ビール自動注出装置が記載されている。生ビール自動注出装置は、基底台と、基底台から鉛直上方に延びる支持体と、支持体の上端に位置する箱状の装置本体と、支持体の側方且つ装置本体の下方に位置するジョッキ受台とを備える。
【0003】
支持体には、左右一対に並ぶ支持片と、一対の支持片に通された支軸とが設けられている。ジョッキ受台は、ジョッキが載せられる水平板と、当該水平板の端部から鉛直方向に突設した垂直板との一体構成となっている。ジョッキ受台の水平板と垂直板との間の部分に支軸が通されており、ジョッキ受台は支軸を中心として傾動自在とされている。
【0004】
生ビール自動注出装置は、ジョッキ受台を傾動させるジョッキ傾動手段を備える。ジョッキ傾動手段は、ジョッキ受台の鉛直下方において支持体に固定されており支持体から斜め上方に延在する油圧シリンダと、油圧シリンダから水平板まで延びるシリンダロッドとを有する。ジョッキ傾動手段は、油圧シリンダの伸縮によってジョッキ受台を傾動させる。
【0005】
生ビール自動注出装置は、装置本体から鉛直下方に延びる実用ノズル及び泡用ノズルを備える。実用ノズルの下端に位置するノズル端部は、ジョッキの内方に位置する開口内壁面に対向する状態になるように所定角度だけ傾斜している。このようにノズル端部がジョッキの開口内壁面に対向することにより、注出されるビールは泡立ちを生ずることなくジョッキ内に貯留される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-6084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように、装置本体から鉛直下方に延びる実用ノズルの下端を曲げた場合であっても、ジョッキの傾斜角度によっては飲料の注出に伴う粗い泡の発生を十分に低減できないことがある。また、前述した生ビール自動注出装置では、予め実用ノズルを曲げられた特殊な形状としなければならず、飲料を注出するカランとしては通常のものを用いることができない。従って、汎用性の点で改善の余地がある。
【0008】
本開示は、飲料の注出に伴う粗い泡の発生を低減させることができると共に、汎用性を高めることができる注出部材及び飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る注出部材は、(1)飲料が通る液体用ノズルを有するカランに取り付けられる注出部材である。注出部材は、液体用ノズルに取り付けられ、液体用ノズルに取り付けられた状態で液体用ノズルの第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、筒状部の第2内部空間に連通する第3内部空間を有し、第3内部空間を通る飲料を注出部材の外部に注出する飲料流路部と、を備える。第3内部空間の少なくとも筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して斜めに延在している。
【0010】
この注出部材は、カランの液体用ノズルに取り付けられた状態で液体用ノズルの第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、筒状部の第2内部空間に連通する第3内部空間を有する飲料流路部とを備える。飲料流路部は第3内部空間を通る飲料を注出部材の外部に注出する部位であって、第3内部空間の少なくとも筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して傾斜している。よって、飲料は第3内部空間から鉛直方向に対して斜めに注出され、飲料を飲料容器の内面に注出することができるので、粗い泡の発生を低減させることができる。飲料は、液体用ノズルの第1内部空間、筒状部の第2内部空間、及び飲料流路部の第3内部空間を通って注出される。よって、液体用ノズルの第1内部空間、筒状部の第2内部空間、及び飲料流路部の第3内部空間を通る間に飲料の速度が低下するので、飲料の注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。注出部材では筒状部がカランの液体用ノズルに取り付けられるので、カランとしては既製品等、液体用ノズルが曲がっていない通常のものを用いることができる。従って、汎用性が高い注出部材とすることができる。
【0011】
(2)上記(1)において、飲料流路部は、複数の第3内部空間を有してもよい。この場合、筒状部の第2内部空間を流れる飲料が複数の第3内部空間に分岐されるので、第3内部空間を流通する飲料の速度をより確実に低減できる。従って、各第3内部空間から注出される飲料による粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、飲料流路部は、筒状部の下端から広がる形状を有してもよく、第3内部空間は、飲料流路部の内部に形成された孔であってもよい。この場合、第3内部空間が孔として形成されるので、第3内部空間を有する飲料流路部を備えた注出部材の作製を容易に行うことができる。また、第3内部空間が孔であることにより、孔を流れる飲料の抵抗を低減させることができるので、孔からスムーズに飲料を注出することができる。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、注出部材は、筒状部を液体用ノズルに対して着脱可能とする着脱機構を有してもよい。この場合、筒状部を液体用ノズルから外してカランから注出部材を外すことができるので、注出部材をカランから外して洗浄することができる。従って、注出部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0014】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、飲料流路部は、飲料が注出される飲料容器の鉛直上方に設けられてもよく、注出部材は、飲料流路部から鉛直下方に延びると共に飲料容器の側面に対向する飲料容器ガイド部を備えてもよい。この場合、飲料容器ガイド部を飲料容器の側面に対向させることにより、飲料流路部の直下に位置するように飲料容器をガイドすることができる。従って、飲料容器の配置を容易に且つ適切に行うことができるので、飲料容器への飲料の注出をスムーズに行うことができる。
【0015】
(6)上記(1)~(5)のいずれかにおいて、カランは、飲料の発泡体が通る発泡体用ノズルを有してもよい。注出部材は、発泡体用ノズルに取り付けられる筒部、及び飲料流路部に載せられる載置部を有する発泡体注出部を備えてもよいい。飲料流路部は、筒部が通される貫通孔を有してもよく、載置部が飲料流路部に載せられた状態で筒部の下部が貫通孔に通されると共に筒部の上部が発泡体用ノズルに取り付けられてもよい。この場合、載置部を飲料流路部に載せて筒部の下部を貫通孔に通し、筒部の上部を発泡体用ノズルに取り付けることによって発泡体注出部が取り付けられる。発泡体は、発泡体用ノズルから筒部を通って飲料流路部の下方から注出される。この発泡体注出部が発泡体用ノズルに取り付けられることにより、発泡体が注出される位置の高さを飲料が注出される位置の高さに揃えることができる。従って、飲料容器への飲料の注出、及び発泡体の注出を一層効率よく且つ精度よく行うことができる。
【0016】
(7)上記(1)~(6)のいずれかにおいて、飲料流路部は、第3内部空間が内部に形成されており且つ斜め下方に延在するパイプ状の流路形成部を有してもよい。この場合、飲料流路部の第3内部空間を画成するパイプ状の流路形成部が斜め下方に延在することにより、飲料流路部における飲料の注出部分をより下方の飲料容器に近づけることができる。従って、飲料容器への飲料の注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0017】
(8)上記(1)~(7)のいずれかにおいて、カランは、飲料の発泡体が通る発泡体用ノズルを有してもよい。注出部材は、発泡体用ノズルに取り付けられると共に発泡体用ノズルからの発泡体を注出する筒部、及び飲料流路部に載せられる載置部を有する発泡体注出部を備えてもよい。筒部は、発泡体用ノズルとは反対側に位置すると共に鉛直方向に対して斜めに延在する先端部を有してもよい。この場合、発泡体は先端部から鉛直方向に対して斜めに注出され、発泡体を液面ではなく飲料容器の内面に注出することができるので、粗い泡の発生をより確実に低減できる。
【0018】
(9)上記(1)~(8)のいずれかにおいて、飲料流路部は、飲料を注出する飲料注出口を有してもよい。飲料注出口は、長円形状を呈してもよい。この場合、飲料注出口が長円形状を呈することにより、飲料注出口からの飲料の流れを弱めることができる。したがって、飲料の注出に伴う粗い泡の発生をより確実に抑制できる。
【0019】
(10)上記(6)又は(8)において、発泡体注出部は、発泡体を注出する発泡体注出口を有してもよい。発泡体注出口は、長円形状を呈してもよい。この場合、発泡体注出口が長円形状を呈することにより、発泡体注出口からの発泡体の流れを弱めることができる。したがって、粗い泡の発生をさらに確実に抑制できる。
【0020】
(11)上記(1)~(10)のいずれかにおいて、注出部材は、飲料が注出される飲料容器に載せられることによって飲料容器に対する飲料流路部の位置決めを行う位置決め部を備えてもよい。位置決め部が飲料容器に載せられた状態において、飲料流路部の下端は飲料容器の上端よりも上方に位置してもよい。この場合、位置決め部が飲料容器に載せられた状態において、飲料流路部の下端が飲料容器の上端よりも上方に位置する。よって、飲料流路部が飲料容器に入り込んで飲料流路部の下端が飲料容器の上端よりも下方に位置する場合と比較して、飲料容器に対する飲料流路部の配置を容易に行うことができる。
【0021】
本開示に係る飲料サーバーは、(12)飲料が収容される筐体と、筐体に取り付けられると共に飲料が通る第1内部空間が形成された液体用ノズルを有するカランと、液体用ノズルに取り付けられる注出部材と、を備える。注出部材は、液体用ノズルに取り付けられ、液体用ノズルに取り付けられた状態で第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、第2内部空間に連通する第3内部空間を有し、第3内部空間を通る飲料を注出部材の外部に注出する飲料流路部と、を備える。第3内部空間の少なくとも筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して斜めに延在している。
【0022】
この飲料サーバーは、筐体、カラン及び注出部材を備え、注出部材は、液体用ノズルに取り付けられた状態で液体用ノズルの第1内部空間に連通する第2内部空間を有する筒状部と、筒状部の第2内部空間に連通する第3内部空間を有する飲料流路部とを備える。飲料流路部の第3内部空間の少なくとも筒状部とは反対側に位置する端部が鉛直方向に対して傾斜しているので、飲料は第3内部空間から鉛直方向に対して斜めに注出され、飲料を飲料容器の内面に注出することができる。従って、粗い泡の発生を低減させることができる。飲料は、液体用ノズルの第1内部空間、筒状部の第2内部空間、及び飲料流路部の第3内部空間を通って注出される。よって、前述した注出部材と同様、液体用ノズルの第1内部空間、筒状部の第2内部空間、及び飲料流路部の第3内部空間を通る間に飲料の速度が低下するので、飲料の注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。更に、注出部材では筒状部がカランの液体用ノズルに取り付けられるので、カラン及び飲料サーバーとしては既製品等、液体用ノズルが曲がっていない通常のものを用いることができる。従って、汎用性が高い飲料サーバーとすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、飲料の注出に伴う粗い泡の発生を低減させることができると共に、汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る飲料サーバーの例を示す斜視図である。
図2図1の飲料サーバーに取り付けられるカランの例を示す断面図である。
図3】実施形態に係る注出部材を示す斜視図である。
図4図3の注出部材の縦断面図である。
図5】実施形態に係る飲料サーバーに設置される飲料容器及び注出部材を示す部分断面図である。
図6図5の注出部材の発泡体注出部を示す斜視図である。
図7】第1変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図8】第2変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図9】(a)は、第3変形例に係る注出部材の筒状部及び飲料流路部を示す斜視図である。(b)は、更に別の変形例に係る注出部材の発泡体注出部を示す斜視図である。
図10】第4変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図11】第4変形例に係る注出部材を示す側面図である。
図12】(a)は、第5変形例に係る注出部材を示す斜視図である。(b)は、第5変形例に係る注出部材を示す平面図である。
図13】(a)は、第6変形例に係る注出部材を示す斜視図である。(b)は、第6変形例に係る注出部材を示す側面図である。
図14】(a)は、第7変形例に係る注出部材を示す斜視図である。(b)は、(a)とは異なる方向から見た第7変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図15】第7変形例に係る注出部材を示す底面図である。
図16】第8変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図17】第8変形例に係る注出部材の内部構造を示す側面図である。
図18】第9変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図19】第9変形例に係る注出部材の内部構造を示す側面図である。
図20】第10変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図21図20の注出部材の筒状部及び飲料流路部を示す斜視図である。
図22図20の注出部材の筒状部及び飲料流路部を示す底面図である。
図23図20の注出部材の発泡体注出部を示す側面図である。
図24】第11変形例に係る注出部材を示す斜視図である。
図25図24の注出部材を示す側面図である。
図26図24の注出部材の筒状部、飲料流路部及び位置決め部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る注出部材及び飲料サーバーの実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0026】
図1は、本実施形態に係る一例としての飲料サーバー1を示す斜視図である。飲料サーバー1はカラン10を備える。飲料サーバー1は、例えば、飲食店に設けられる装置であって顧客の注文に応じてカラン10を操作することによって飲料を注出可能となっている。飲料は、発泡性飲料である。
【0027】
発泡性飲料は、例えば、炭酸ガス等のガス含有発酵酒を含んでおり、飲料容器C(図5参照)に注出されたときに飲料Dの上に飲料Dの発泡体Bの層が形成される泡立ち特性と、形成された発泡体Bが一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。飲料Dは、例えば、EBC(European Brewery Convention:欧州醸造協会)法によるNIBEM値が50秒以上を示す発泡性飲料である。NIBEM値は飲料の泡持ち特性を示す指標値である。
【0028】
飲料Dは、例えば、ビールテイスト飲料である。ビールテイスト飲料は、ビールのような味わいを奏する飲料、及び、ビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料を含む。アルコール度数が1%以上であるビールテイスト飲料は、ビールテイストアルコール飲料とも称される。
【0029】
更に、ビールテイスト飲料は、原料として麦芽を使用するビール、発泡酒、ノンアルコールビール、リキュール(例えば、酒税法上「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)等の麦芽発酵飲料、及び、原料として麦又は麦芽を使用しないビールテイスト飲料(例えば、酒税法上「その他の醸造酒(発泡性)(1)」に分類される飲料)を含んでいる。なお、飲料Dは、ビールテイスト飲料ではない飲料であってもよい。以下では、飲料Dがビールである例について説明する。
【0030】
飲料サーバー1は飲料Dを収容する筐体2を備え、カラン10は筐体2に取り付けられている。飲料サーバー1には、飲料ホースが接続されており、飲料ホースから飲料サーバー1の内部に飲料が供給される。飲料サーバー1は、供給された飲料を冷却する。一例として、飲料サーバー1は、電気式の瞬間冷却式サーバーである。
【0031】
例えば、飲料サーバー1は筐体2を支持する複数の脚部3を備え、脚部3が飲料サーバー1の設置面Sに載せられることによって筐体2の下面2bは設置面Sから離隔している。例えば、飲料サーバー1は飲料容器Cが載せられる載置台4を有し、載置台4は落下した飲料Dを受け入れる受け皿5を有する。
【0032】
以下では、筐体2から見て飲料サーバー1を用いて飲料Dを注出する注出者を向く方向を前、前側又は前方と称し、筐体2から見て注出者とは反対側の方向を後、後側又は後方と称する。しかしながら、これらの方向は説明の便宜のためのものであって、物の配置位置、及び物が配置される方向等を限定するものではない。載置台4及びカラン10は、例えば、筐体2の前面2cに取り付けられ、載置台4はカラン10の下方において筐体2に対して着脱可能とされている。これにより、筐体2から載置台4を外して、載置台4を洗浄することが可能となる。
【0033】
図2は、カラン10を模式的に示すカラン10の縦断面図である。図1及び図2に示されるように、例えば、カラン10は、手で握って移動操作が可能なレバー11と、レバー11が取り付けられると共に筐体2に固定されるカラン本体部12と、カラン本体部12から斜め下方に延在する液体用ノズル13と、液体用ノズル13から見て筐体2の反対側(前側)に位置する発泡体用ノズル14とを備える。
【0034】
レバー11は、例えば、前方及び後方の双方に移動可能とされている。レバー11は、例えば、カラン本体部12から上方に延在する棒状とされている。一例として、レバー11は、上方に向かうに従って徐々に拡径している。カラン本体部12は、例えば、レバー11、液体用ノズル13及び発泡体用ノズル14が設けられる筒状部12bと、筒状部12bの一端から拡径する取付部12cとを備える。取付部12cは、筐体2に対する取付部分として機能する。
【0035】
カラン本体部12は、カラン本体部12の内部に位置する飲料の流路を開閉するスライド弁12dを有する。例えば、レバー11が前側に移動するとスライド弁12dが後側に移動して液体用ノズル13から飲料Dが注出される。レバー11が後側に移動すると、スライド弁12dが前側に移動すると共にスライド弁12dの内部に飲料Dが入り込み、スライド弁12dの内部において飲料Dが発泡体Bに変換される。そして、変換された発泡体Bが発泡体用ノズル14に流れ込む。
【0036】
液体用ノズル13は、例えば、筒状とされており、カラン本体部12から離隔するに従って前側(発泡体用ノズル14側)に傾斜している。一例として、液体用ノズル13は、円筒状とされており、先端(下端)に向かうに従って先細りしていてもよい。しかしながら、液体用ノズル13の形状は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0037】
液体用ノズル13は、飲料Dが通る液体用流路を構成する第1内部空間13bを有する。発泡体用ノズル14は、液体用ノズル13の前側においてカラン本体部12から斜め下方に延在している。発泡体用ノズル14は、発泡体Bが通る発泡体用流路を構成する内部空間14bを有する。
【0038】
図2及び図3に示されるように、飲料サーバー1は、液体用ノズル13に取り付けられる注出部材20を備える。図3は、注出部材20を示す斜視図である。注出部材20は、例えば、液体用ノズル13に着脱可能とされている。注出部材20は、液体用ノズル13の第1内部空間13bを通った飲料Dの流れの状態を変換して飲料Dを注出部材20の外部に注出する。
【0039】
例えば、注出部材20は、樹脂により一体成形されている。一例として、注出部材20は、3Dプリンタによって作製されていてもよい。但し、注出部材20の材料は、例えば、金属であってもよく、特に限定されない。また、注出部材20の作製方法についても特に限定されない。
【0040】
注出部材20は、例えば、液体用ノズル13に取り付けられる筒状部21と、筒状部21の軸線L1が延びる方向である軸線方向D1の一端において筒状部21から拡径する飲料流路部22と、飲料流路部22から鉛直下方に延びる飲料容器ガイド部23とを備える。例えば、筒状部21、飲料流路部22及び飲料容器ガイド部23は一体とされている。
【0041】
図4は、筒状部21の軸線L1に沿って注出部材20を切断したときにおける注出部材20の縦断面図である。図3及び図4に示されるように、筒状部21は、飲料Dが通る第2内部空間21bを有する。第2内部空間21bは、筒状部21が液体用ノズル13に取り付けられた状態で液体用ノズル13の第1内部空間13bに連通する。
【0042】
注出部材20は、筒状部21を液体用ノズル13に対して着脱する着脱機構20bを有する。着脱機構20bでは、筒状部21の内部に液体用ノズル13が挿入された状態で液体用ノズル13に注出部材20が着脱可能に取り付けられる。着脱機構20bは、一例として、筒状部21の飲料流路部22とは反対側の端部から軸線方向D1に沿って延びるスリット21cと、液体用ノズル13が挿入された筒状部21を締め付ける締付部材30(図14(a)又は図14(b)参照)とを含む。
【0043】
締付部材30は、手で回すことが可能な回転操作部31を有し、回転操作部31を回すことによって容易に筒状部21から着脱できる。なお、筒状部21を液体用ノズル13に対して着脱する着脱機構の構成は、上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば、当該着脱機構はスリット21cのみであってもよい。
【0044】
筒状部21はスリット21cによって筒状部21の径方向に撓むので、液体用ノズル13への筒状部21の取り付けを容易に行うことができる。例えば、筒状部21は複数のスリット21cを有し、複数のスリット21cは筒状部21の周方向に並んでいる。一例として、スリット21cの数は4である。
【0045】
飲料流路部22は、飲料Dが注出される飲料容器Cの鉛直上方に設けられる。飲料流路部22は、筒状部21の第2内部空間21bに連通する第3内部空間22bを有し、第3内部空間22bを通る飲料Dを注出部材20の外部に注出する。飲料流路部22は、例えば、鉛直上方に向けられる上面22fと、上面22fとは反対側を向く下面22gとを有する。
【0046】
筒状部21は、例えば、飲料流路部22の下面22gが水平方向に沿う向きで液体用ノズル13に取り付けられる。筒状部21の軸線L1は、下面22gに直交すると共に鉛直方向D2に延びる仮想直線Xに対して傾斜している。これにより、液体用ノズル13に筒状部21が取り付けられたときに飲料流路部22の下面22gを水平方向に沿わせることができる。
【0047】
例えば、飲料流路部22は、筒状部21の下端から広がる形状を呈する。飲料流路部22は、例えば、筒状部21の第2内部空間21bに連通する複数の第3内部空間22bが形成された流路形成部22cを有する。流路形成部22cは、側面視において台形状を呈する。流路形成部22cの内部には、例えば、複数の第3内部空間22bが形成されている。
【0048】
平面視において(上面22fに直交する方向から見て)、複数の第3内部空間22bは、例えば、放射状に延びている。すなわち、平面視において、複数の第3内部空間22bは第2内部空間21bから筒状部21の径方向外側に延びるように形成されている。以上、第3内部空間22bの数が複数である例について説明した。しかしながら、流路形成部22cの内部の第3内部空間22bの数は単数であってもよい。
【0049】
例えば、第3内部空間22bは、飲料流路部22の内部に形成された孔である。第3内部空間22bは、例えば、飲料流路部22の上面22fに沿って延びる第1流路部22jと、第1流路部22jに対して斜め下方に延びる第2流路部22hとを有する。第1流路部22jは、筒状部21の第2内部空間21bの下端から延びている。
【0050】
一例として、第2流路部22hは直線状を呈する。第2流路部22hは、第1流路部22jの第2内部空間21bとは反対側の端部から下面22gまで延在している。例えば、第2流路部22hは、第3内部空間22bの筒状部21とは反対側に位置する端部であり、仮想直線X(鉛直方向D2)に対して斜めに延在している。
【0051】
図5は、注出部材20が飲料容器Cに対向している状態を模式的に示す側面図である。図3図5に示されるように、飲料流路部22は、例えば、流路形成部22cの下端において拡径する拡径部22dを有する。例えば、拡径部22dは円板状を呈する。一例として、流路形成部22c及び拡径部22dは、平面視において円形状を呈する。
【0052】
飲料容器ガイド部23は、飲料容器Cの側面C1に対向する部位である。飲料容器ガイド部23は、例えば、拡径部22dから拡径部22dの面外方向に延在している。すなわち、飲料容器ガイド部23は、拡径部22dから拡径部22dの厚さ方向に突出している。具体例として、飲料容器ガイド部23は、平面視における拡径部22dの外周の一部から鉛直下方に延在する。
【0053】
例えば、飲料容器Cは、スペーサ6を介して載置台4に載せられる。スペーサ6は、載置台4に対する飲料容器Cの高さを調整する高さ調整部材である。スペーサ6によって、載置台4から注出部材20までの飲料容器Cの高さを一定とすることが可能となる。例えば、飲料容器Cの種類に応じて複数種類のスペーサ6を用意しておき、飲料容器Cの高さに合ったスペーサ6に当該飲料容器Cを載せることによって載置台4から注出部材20までの飲料容器Cの高さを一定にすることができる。
【0054】
例えば、平面視において飲料容器ガイド部23は円弧状を呈する。一例として、平面視における飲料容器ガイド部23の曲率は、平面視における飲料容器Cの曲率と同一である。飲料容器ガイド部23は、内面23bを有し、内面23bに飲料容器Cの側面C1が対向することによって平面視における飲料容器Cの位置をガイドする。
【0055】
例えば、平面視における飲料容器Cの曲率に応じて複数種類の飲料容器ガイド部23を備えた複数の注出部材20が用意されていてもよい。この場合、飲料容器Cの曲率に応じた飲料容器ガイド部23を有する注出部材20が液体用ノズル13に取り付けられることにより、より適切且つ高精度に飲料容器Cをガイドすることができる。
【0056】
例えば、注出部材20は、発泡体用ノズル14に取り付けられる発泡体注出部25を備える。発泡体注出部25は、飲料容器Cに対して発泡体Bが注出される部分の高さを調整するために設けられる。具体的には、液体用ノズル13に筒状部21が取り付けられたときに飲料Dが注出される部分よりも発泡体用ノズル14の高さが相対的に高くなるため、発泡体用ノズル14に発泡体注出部25が取り付けられることによって発泡体Bが注出される部分の高さを飲料Dが注出される部分に合わせて低くしている。
【0057】
発泡体注出部25は、例えば、筒状部21、飲料流路部22及び飲料容器ガイド部23とは別部材とされている。飲料流路部22は、発泡体注出部25が通される貫通孔24を有する。例えば、平面視における貫通孔24の形状は円形状である。例えば、貫通孔24は、平面視における流路形成部22cと拡径部22dとの境界部分に形成されている。
【0058】
図6は、発泡体注出部25を示す斜視図である。図5及び図6に示されるように、発泡体注出部25は、発泡体用ノズル14に取り付けられる筒部26と、飲料流路部22に載せられる載置部27と、筒部26及び載置部27を互いに接続する接続部28とを備える。筒部26は、発泡体用ノズル14に取り付けられる上部26bと、上部26bから下方に延びる下部26cとを含む。更に、筒部26は、発泡体用ノズル14の内部空間14bに連通する内部空間26gを有する。
【0059】
例えば、上部26bは、本体部26dと、発泡体用ノズル14に挿し込まれる挿し込み部26fとを有する。挿し込み部26fは、本体部26dの上端から上方に突出する部位であり、挿し込み部26fの外径は本体部26dの外径よりも小さい。挿し込み部26fが発泡体用ノズル14に挿し込まれることによって発泡体用ノズル14の内部空間14bと筒部26の内部空間26gとが互いに連通する。
【0060】
下部26cは、飲料流路部22の貫通孔24に挿入される部位である。例えば、下部26cは、上部26bの下端に嵌め込まれている。例えば、下部26cの軸線L2は、上部26bの軸線L3に対して傾斜している。前述したように、発泡体用ノズル14はカラン本体部12から斜め下方に延在している。筒部26は、上部26bの軸線L3が発泡体用ノズル14の延在方向に一致し、且つ下部26cの軸線L2が鉛直方向に一致するように発泡体用ノズル14に取り付けられる。これにより、筒部26からの発泡体Bの注出口を水平にすることが可能となる。
【0061】
載置部27は、接続部28を介して筒部26に接続されている。載置部27は、例えば、平面視において環状を呈する。載置部27の内径は筒状部21の外径よりも大きい。貫通孔24に筒部26の下部26cが通され、且つ載置部27に筒状部21が通されることにより、筒状部21及び飲料流路部22に発泡体注出部25が取り付けられる。この状態で筒状部21が液体用ノズル13に取り付けられ、且つ筒部26の上部26bが発泡体用ノズル14に取り付けられることにより、カラン10に注出部材20が取り付けられる。
【0062】
次に、本実施形態に係る注出部材20及び飲料サーバー1から得られる作用効果について説明する。図3図5に示されるように、注出部材20は、カラン10の液体用ノズル13に取り付けられた状態で液体用ノズル13の第1内部空間13bに連通する第2内部空間21bを有する筒状部21と、筒状部21の第2内部空間21bに連通する第3内部空間22bを有する飲料流路部22とを備える。飲料流路部22は第3内部空間22bを通る飲料Dを注出部材20の外部に注出する部位であって、第3内部空間22bの少なくとも筒状部21とは反対側に位置する端部(例えば第2流路部22h)が鉛直方向D2に対して傾斜している。よって、飲料Dは第3内部空間22bから鉛直方向D2に対して斜めに注出され、飲料Dを飲料容器Cの内面に注出することができるので、粗い泡の発生を低減させることができる。
【0063】
飲料Dは、液体用ノズル13の第1内部空間13b、筒状部21の第2内部空間21b、及び飲料流路部22の第3内部空間22bを通って注出される。よって、液体用ノズル13の第1内部空間13b、筒状部21の第2内部空間21b、及び飲料流路部22の第3内部空間22bを通る間に飲料Dの速度が低下するので、飲料Dの注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。注出部材20では筒状部21がカラン10の液体用ノズル13に取り付けられるので、カラン10としては既製品等、液体用ノズル13が曲がっていない通常のものを用いることができる。従って、汎用性が高い注出部材20とすることができる。
【0064】
本実施形態において、飲料流路部22は、複数の第3内部空間22bを有する。よって、筒状部21の第2内部空間21bを流れる飲料Dが複数の第3内部空間22bに分岐されるので、第3内部空間22bを流通する飲料Dの速度をより確実に低減できる。従って、各第3内部空間22bから注出される飲料Dによる粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0065】
本実施形態において、飲料流路部22は、筒状部21の下端から広がる形状を有し、第3内部空間22bは、飲料流路部22の内部に形成された孔である。本実施形態では、複数の第3内部空間22bが飲料流路部22の内部に形成された孔であるため、複数の第3内部空間22bを有する飲料流路部22を備えた注出部材20の作製を容易に行うことができる。また、第3内部空間22bが孔であることにより、当該孔を流れる飲料Dの抵抗を低減させることができるので、当該孔からスムーズに飲料Dを注出することができる。
【0066】
本実施形態において、注出部材20は、筒状部21を液体用ノズル13に対して着脱可能とする着脱機構20bを有する。よって、筒状部21を液体用ノズル13から外してカラン10から注出部材20を外すことができるので、注出部材20をカラン10から外して洗浄することができる。従って、注出部材20のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0067】
本実施形態において、飲料流路部22は、飲料Dが注出される飲料容器Cの鉛直上方に設けられ、注出部材20は、飲料流路部22から鉛直下方に延びると共に飲料容器Cの側面C1に対向する飲料容器ガイド部23を備える。よって、飲料容器ガイド部23を飲料容器Cの側面C1に対向させることにより、飲料流路部22の直下に位置するように飲料容器Cをガイドすることができる。従って、飲料容器Cの配置を容易に且つ適切に行うことができるので、飲料容器Cへの飲料Dの注出をスムーズに行うことができる。
【0068】
本実施形態において、注出部材20は、発泡体用ノズル14に取り付けられる筒部26、及び飲料流路部22に載せられる載置部27を有する発泡体注出部25を備える。飲料流路部22は、筒部26が通される貫通孔24を有し、載置部27が飲料流路部22に載せられた状態で筒部26の下部26cが貫通孔24に通されると共に筒部26の上部26bが発泡体用ノズル14に取り付けられる。
【0069】
従って、載置部27を飲料流路部22に載せて筒部26の下部26cを貫通孔24に通し、筒部26の上部26bを発泡体用ノズル14に取り付けることによって発泡体注出部25が取り付けられる。発泡体Bは、発泡体用ノズル14から筒部26を通って飲料流路部22の下方から注出される。発泡体注出部25が発泡体用ノズル14に取り付けられることにより、発泡体Bが注出される位置の高さを飲料Dが注出される位置の高さに揃えることができる。
【0070】
従って、飲料容器Cへの飲料Dの注出、及び発泡体Bの注出を一層効率よく且つ精度よく行うことができる。より具体的には、発泡体注出部25が無い場合には、飲料容器Cに飲料流路部22から飲料Dを注出した後に、発泡体用ノズル14の高さまで飲料容器Cを持ち上げた後に発泡体Bを注出する必要がある。これに対し、発泡体注出部25を備える注出部材20では、飲料Dを注出した後に、特に飲料容器Cを持ち上げたりせずに、そのまま発泡体Bを注出できる。従って、発泡体Bの注出を一層効率よく行える。
【0071】
本実施形態に係る飲料サーバー1は、筐体2、カラン10及び注出部材20を備え、注出部材20は、前述した筒状部21及び飲料流路部22を有する。飲料流路部22の第3内部空間22bの第2流路部22hが鉛直方向D2に対して傾斜し、飲料Dは第3内部空間22bから鉛直方向D2に対して斜めに注出されるので、飲料Dを飲料容器Cの内面に注出することができる。従って、粗い泡の発生を低減させることができる。液体用ノズル13の第1内部空間13b、筒状部21の第2内部空間21b、及び飲料流路部22の第3内部空間22bを通る間に飲料Dの速度が低下するので、飲料Dの注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。更に、注出部材20では筒状部21がカラン10の液体用ノズル13に取り付けられるので、カラン10及び飲料サーバー1としては既製品等、液体用ノズル13が曲がっていない通常のものを用いることができる。従って、汎用性が高い飲料サーバー1とすることができる。
【0072】
次に、第1変形例に係る注出部材40について図7を参照しながら説明する。注出部材40の一部の構成は、前述した注出部材20の一部の構成と同一である。従って、以降の説明では、前述した注出部材20の構成と重複する部分の説明を同一の符号を付して適宜省略する。
【0073】
図7に示されるように、注出部材40は飲料流路部42を有し、飲料流路部42は筒状部21の第2内部空間21bに連通する複数の第3内部空間42bを有する。複数の第3内部空間42bは、流路形成部22cの内部の孔として形成されている。平面視において、複数の第3内部空間42bは、互いに異なる方向に延びている。
【0074】
第3内部空間42bは、筒状部21の第2内部空間21bから延びる第1流路部42cと、第1流路部42cの第2内部空間21bとは反対側の端部において曲がる湾曲部42dと、湾曲部42dの第1流路部42cとは反対側の端部から斜め下方に延びる第2流路部42fとを有する。飲料Dは斜め下方に延びる複数の第2流路部42fのそれぞれから注出されるので、注出部材40からは前述した注出部材20と同様の作用効果が得られる。
【0075】
平面視における第1流路部42cの延在方向と、平面視における第2流路部42fの延在方向とは互いに異なっている。平面視において、複数の第1流路部42cの延在方向は互いに異なっており、複数の第2流路部42fの延在方向は互いに異なっている。従って、飲料Dが第2内部空間21bから第3内部空間42bに流れ込むと、複数の第2流路部42fから渦巻き状に飲料Dが注出される。
【0076】
よって、注出部材40では、飲料Dを渦巻き状に回転させながら注出できる。更に、飲料Dに僅かに泡が入った場合であっても、この泡が飲料Dの注出時に渦巻き状に回転する。従って、回転する泡を見て楽しみながら飲料Dを注出できる。例えば、第3内部空間42bの数は3以上且つ6以下(一例として5)である。第3内部空間42bの数が3以上であることにより、泡をより確実に回転させながら飲料Dを注出できる。第3内部空間42bの数が6以下であることにより、注出部材40の構造を簡易にできるので注出部材40の作製を容易に行うことができる。
【0077】
続いて、第2変形例に係る注出部材50について図8を参照しながら説明する。図8に示されるように、注出部材50は飲料流路部52を有する。飲料流路部52は、前述した貫通孔24に代えて、凹部53を有する。凹部53は、平面視における飲料流路部52の外縁52bから窪んでいる。この凹部53に筒部26の下部26cを挿入することにより、発泡体注出部25の筒部26を飲料流路部52に保持させることが可能である。
【0078】
第3変形例に係る注出部材60について図9(a)及び図9(b)を参照しながら説明する。注出部材60は、飲料流路部52と、筒部26とは異なる筒部66を有する発泡体注出部65とを備える。筒部66は下部26cとは異なる下部66cを有し、下部66cは下部66cの軸線方向D3とは異なる向きに開口する発泡体流出口66dを有する。よって、発泡体用ノズル14から筒部66に入り込んだ発泡体Bは発泡体流出口66dから横向きに注出されるので、飲料Dの液面に対する発泡体Bの衝撃力を抑えて当該液面上にクリーミーな発泡体Bを注出することが可能となる。
【0079】
次に、第4変形例に係る注出部材70について図10及び図11を参照しながら説明する。注出部材70は、筒状部21と、筒状部21から分離可能な飲料流路部72とを備える。飲料流路部72は、筒状部21に接続される接続部72bと、接続部72bの筒状部21とは反対側に接続される流路形成部72cとを有する。接続部72b及び流路形成部72cは中空とされている。
【0080】
接続部72bは、筒状部21のスリット21cが形成されている端面21dとは反対側に位置する端部21fが嵌め込まれる開口72dを有する。接続部72bは、開口72dから離隔するに従って拡径する載頭円錐状を呈する。流路形成部72cは、側面視において台形状を呈する。流路形成部72cは、上底部72fと下底部72gとを有する。上底部72fにおける流路形成部72cの直径は、下底部72gにおける流路形成部72cの直径よりも大きい。
【0081】
流路形成部72cは、上底部72fに形成された開口72hと、流路形成部72cの側壁72jを貫通する複数の第3内部空間72kとを有する。開口72hには、接続部72bの筒状部21とは反対側に位置する端部72mが嵌め込まれる。第3内部空間72kは、側壁72jを貫通する孔として形成されている。
【0082】
流路形成部72cは複数(一例として6つ)の第3内部空間72kを有し、複数の第3内部空間72kは流路形成部72cの周方向に沿って並ぶように形成されている。第3内部空間72kは、鉛直方向D2に対して斜めに延びている。よって、筒状部21の第2内部空間21bに液体用ノズル13から入り込んだ飲料Dは、複数の第3内部空間72kのそれぞれを通って鉛直方向D2に対して斜めに注出される。従って、注出部材70からは前述した注出部材20等と同様の作用効果が得られる。
【0083】
続いて、第5変形例に係る注出部材80について図12(a)及び図12(b)を参照しながら説明する。注出部材80は、筒状部21と、筒状部21から拡径する飲料流路部82とを備える。飲料流路部82は、筒状部21から拡径する拡径部82bと、拡径部82bの筒状部21とは反対側の端部から縮径する縮径部82cとを有する。
【0084】
飲料流路部82は、複数の第3内部空間82kを有する。平面視において、複数の第3内部空間82kは放射状とされている。第3内部空間82kは、筒状部21の第2内部空間21bから延びる第1流路部82pと、第1流路部82pの第2内部空間21bとは反対側の端部において第1流路部82pとは異なる方向に延在する第2流路部82qとを含む。第1流路部82p及び第2流路部82qのそれぞれは、鉛直方向D2に対して傾斜している。
【0085】
飲料流路部82は、第2流路部82qを通った飲料Dが注出される開口82rを有する。開口82rは、縮径部82cに形成されている。平面視において、複数の第1流路部82pは互いに異なる方向に延在しており、且つ複数の第2流路部82qは互いに異なる方向に延在している。
【0086】
飲料流路部82は複数の開口82rを有し、複数の開口82rは飲料流路部82の周方向に沿って並ぶように配置されている。筒状部21の第2内部空間21bから飲料流路部82に流入した飲料Dは、複数の第3内部空間82kのそれぞれを通り、複数の開口82rのそれぞれから注出される。第1流路部82p及び第2流路部82qは鉛直方向D2に対して傾斜しており、各開口82rからは鉛直方向D2に対して傾斜する方向に飲料Dが注出される。従って、注出部材80からは前述した注出部材20等と同様の作用効果が得られる。
【0087】
次に、第6変形例に係る注出部材85について図13(a)及び図13(b)を参照しながら説明する。図13(a)及び図13(b)に示されるように、注出部材85は、第3内部空間86bの構成が注出部材80とは異なっている。注出部材85は1つの第3内部空間86bを有し、第3内部空間86bは飲料流路部82の周方向に延在している。
【0088】
注出部材85は第3内部空間86bを通った飲料Dが注出される隙間86cを有し、隙間86cは飲料流路部82の縮径部82cに形成されている。隙間86cは飲料流路部82の周方向に延在している。隙間86cは鉛直方向D2に対して傾斜しているので、飲料Dは隙間86cから斜め下方に注出される。従って、注出部材85からは前述した注出部材20等と同様の効果が得られる。更に、注出部材85では、飲料流路部82の周方向に延びる隙間86cから飲料Dが注出される。従って、流速が低下した飲料Dが隙間86cから満遍なく注出されるので、粗い泡の発生をより確実に低減することができる。
【0089】
続いて、第7変形例に係る注出部材90について図14(a)、図14(b)及び図15を参照しながら説明する。注出部材90は、液体用ノズル13に着脱可能に取り付けられる筒状部91と、筒状部91から延び出すと共に筒状部91の外周に対向する位置に設けられた飲料流路部92とを備える。
【0090】
筒状部91は、液体用ノズル13に取り付けられる筒状取付部91bと、筒状取付部91bの軸線方向の一端において筒状取付部91bから拡径する拡径部91cとを有する。注出部材90は、前述した注出部材20と同様、締付部材30を備えた着脱機構20bを有する。筒状部91は、前述した第2内部空間21bと同様の第2内部空間を有する。
【0091】
筒状取付部91bは、例えば、前述した注出部材20の筒状部21と同様、複数のスリット21cを有する。筒状部91は、液体用ノズル13が挿入された筒状取付部91bが締付部材30(回転操作部31の回転操作)によって締め付けられることによって液体用ノズル13に取り付けられる。また、回転操作部31の回転操作によって筒状取付部91bから締付部材30を外した状態で液体用ノズル13から筒状部91を外すことが可能である。拡径部91cは、筒状取付部91bの下端から斜め下方に延びる傾斜面91dと、傾斜面91dの下端から下方に延びる側面91fとを有する。
【0092】
飲料流路部92は、筒状部91の下部から延び出すチューブ92bと、チューブ92bの位置を固定する位置固定部92cとを有する。チューブ92bは、筒状取付部91bの下部に形成された開口91gに挿し込まれた状態で固定されており、開口91gから傾斜面91dに沿って斜め下方に延在している。
【0093】
チューブ92bは、開口91gから平面視における筒状部91の径方向外側に延在している。チューブ92bの内部には、筒状部91の第2内部空間に連通する第3内部空間92dが形成されている。位置固定部92cは、開口91gから延び出すチューブ92bが通される開口を有する環状部材である。位置固定部92cは側面91fに固定されており、開口91gから延び出すチューブ92bは湾曲し位置固定部92cに挿通された状態で固定されている。開口91gから延び出すチューブ92bは、拡径部91cの周方向に沿うように湾曲している。
【0094】
飲料流路部92は複数のチューブ92bを有する。飲料流路部92は、複数のチューブ92bを纏めて保持する保持部材92fを備え、保持部材92fは側面91fに対向する位置に設けられる。平面視におけるチューブ92bの延在方向は互いに異なっている。従って、注出部材90では、飲料Dが筒状部91の第2内部空間から各チューブ92bの第3内部空間92dに流れ込むと、複数の第3内部空間92dから渦巻き状に飲料Dが注出される。従って、注出部材90では、前述した注出部材40等と同様、飲料Dを渦巻き状に回転させながら注出でき、前述した実施形態及び各変形例と同様の作用効果が得られる。
【0095】
次に、第8変形例に係る注出部材100について図16及び図17を参照しながら説明する。図16は、注出部材100の斜視図である。図17は、注出部材100の内部構造を示す側面図である。注出部材100は、液体用ノズル13に取り付けられる筒状部21と、筒状部21から拡径する飲料流路部102と、飲料流路部102から延びる飲料容器ガイド部103とを備える。
【0096】
飲料流路部102は、筒状部21の下部に位置する凸部102cと、凸部102cから見て筒状部21とは反対側に位置する拡径部102dと、筒状部21の第2内部空間21bに連通する第3内部空間102bを画成する流路形成部102fとを有する。例えば、拡径部102dは、平板状(一例として円板状)を呈する。
【0097】
凸部102cは、例えば、平面視における拡径部102dの中央を含む領域において拡径部102dの面外方向に突出している。一例として、凸部102cの平面形状は円形状である。流路形成部102fは、拡径部102dから凸部102cの反対側に延び出している。流路形成部102fの延在方向に直交する平面で流路形成部102fを切断したときの断面は、例えば、隅丸長方形状(一例として隅丸正方形状)を呈する。飲料流路部102において、第3内部空間102bの一部は凸部102cの内部に形成されており、第3内部空間102bの残部は流路形成部102fの内部に形成されている。
【0098】
流路形成部102fの内部に第3内部空間102bが形成されている。流路形成部102fは、例えば、パイプ状を呈する。例えば、飲料流路部102は複数の流路形成部102fを有し、平面視において複数の流路形成部102fは放射状に広がっている。流路形成部102fの少なくとも筒状部21との反対側の端部は、斜め下方に延在している。
【0099】
例えば、平面視において、複数の流路形成部102fは互いに異なる方向を向いている。従って、複数の第3内部空間102bを通った飲料Dは斜め下方に且つ互いに異なる方向に注出される。例えば、第3内部空間102bは、第1流路部102jと、第1流路部102jの下流側に位置する第2流路部102kと、第2流路部102kの下流側に位置する第3流路部102pとを有する。第3流路部102pの下流側には、飲料Dが注出される注出口102qが形成されている。
【0100】
第1流路部102jは第2内部空間21bの下端から凸部102cの径方向に沿って延びており、第2流路部102kは第1流路部102jの第2内部空間21bとは反対側の端部から拡径部102dの厚さ方向(一例として鉛直方向D2)に延びている。第3流路部102pは、第2流路部102kの第1流路部102jとは反対側の端部から斜め下方に延在する。例えば、第1流路部102jと第2流路部102kの間、及び第2流路部102kと第3流路部102pの間は、湾曲部とされている。
【0101】
飲料容器ガイド部103は、拡径部102dの周方向に沿って延びると共に拡径部102dから下方に延在する。例えば、飲料容器ガイド部103は、拡径部102dの径方向の外側に位置する外径部103bと、外径部103bの当該径方向の内側に位置する内径部103cとを有する。例えば、外径部103bの下方への突出量は、内径部103cの下方への突出量よりも大きい。
【0102】
以上、第8変形例に係る注出部材100において、飲料流路部102は、第3内部空間102bが内部に形成されており且つ斜め下方に延在するパイプ状の流路形成部102fを有する。よって、飲料流路部102の第3内部空間102bを画成するパイプ状の流路形成部102fが斜め下方に延在することにより、飲料流路部102における飲料Dの注出部分である注出口102qを下方の飲料容器Cにより近づけることができる。従って、飲料容器への飲料Dの注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0103】
続いて、第9変形例に係る注出部材110について図18及び図19を参照しながら説明する。図18は、注出部材110の斜視図である。図19は、注出部材110の内部構造を示す側面図である。注出部材110は、注出部材100の第3内部空間102bとは異なる第3内部空間112bが形成された流路形成部112fを有する飲料流路部112を備える。
【0104】
飲料流路部112の第3内部空間112bは、第1流路部112jと、第1流路部112jの下流側に位置する第2流路部112kと、第2流路部112kの下流側に位置する第3流路部112pとを有する。第2流路部112kは、第1流路部112jの第2内部空間21bとは反対側の端部から拡径部102dの径方向外側に且つ斜め下方に延在している。
【0105】
注出部材110は複数の流路形成部112fを有し、複数の流路形成部112fは斜め下方に且つ拡径部102dの周方向に延在している。これに伴い、第3内部空間112bの第3流路部112pは、斜め下方に且つ拡径部102dの周方向に延在している。従って、飲料Dが第3内部空間112bに流れ込むと、複数の流路形成部112fから渦巻き状に飲料Dが注出される。
【0106】
よって、注出部材110では、飲料Dを渦巻き状に回転させながら注出できる。更に、飲料Dに僅かに泡が入った場合であっても、この泡が飲料Dの注出時に渦巻き状に回転する。従って、回転する泡を見て楽しみながら飲料Dを注出できるので、前述した注出部材40と同様の効果が得られる。更に、流路形成部112fは拡径部102dから斜め下方に延在するパイプ状とされているので、注出部材100と同様、飲料Dの注出部分をより下方に位置させることができる。従って、注出部材110でも、飲料容器への飲料Dの注出時における粗い泡の発生をより確実に低減させることができる。
【0107】
次に、第10変形例に係る注出部材120について図20図23を参照しながら説明する。図20は、注出部材120を示す斜視図である。注出部材120は、例えば、カラン10(図1参照)に着脱可能とされている。注出部材120は、カラン10の液体用ノズル13に取り付けられる筒状部121と、筒状部121の液体用ノズル13とは反対側に接続された飲料流路部122と、カラン10の発泡体用ノズル14に取り付けられる発泡体注出部130とを備える。
【0108】
図21は、筒状部121および飲料流路部122を示す斜視図である。図22は、筒状部121および飲料流路部122を示す底面図である。図20図21および図22に示されるように、筒状部121は、前述した筒状部21(図3参照)と同様、筒状部121の飲料流路部122とは反対側の端部から軸線方向D1に沿って延びるスリット121cを有する。
【0109】
飲料流路部122は、筒状部121の下部に位置する基部122bと、基部122bから下方に延び出す複数の分岐流路部122qとを有する。軸線方向D1に沿って見た場合において基部122bは扇形状を呈する。例えば、基部122bは、上面122cと、第1傾斜面122dと、第1延在面122fと、第2傾斜面122gと、第2延在面122hと、下面122jと、第1側面122kと、第2側面122pとを有する。
【0110】
上面122cは、筒状部121の下端において扇形状を呈する。第1傾斜面122dは、上面122cの筒状部121とは反対側の端部において斜め下方に延在する。第1延在面122fは、第1傾斜面122dの下端から斜め下方に延在する。第2傾斜面122gは、第1延在面122fの下端から斜め下方に延在する。
【0111】
第2延在面122hは、第2傾斜面122gの下端から下方に延在している。下面122jは、上面122cとは反対を向いている。平面視において、第1傾斜面122d及び第2傾斜面122gは、円弧状を呈する。下面122jは扇形状を呈する。平面視において、第1側面122k及び第2側面122pは当該扇形の径に沿って延在している。
【0112】
基部122bは、筒状部121の下端から軸線方向D1に交差する方向D4に突出している。注出部材120は、例えば、筒状部121の下端から基部122bが前方のみ(飲料を注出する注出者を向く方向)に突出するように液体用ノズル13に取り付けられる。この場合、飲料容器C(図5参照)に対する注出部材120の配置を容易に行うことができる。
【0113】
分岐流路部122qは筒状部121の第2内部空間21bに連通する第3内部空間122rを有し、第3内部空間122rを通った飲料Dが注出部材120の外部に注出される。複数の分岐流路部122qは、扇形状を呈する基部122bの周方向D5に沿って並んでいる。一例として、飲料流路部122は、3個の分岐流路部122qを有する。
【0114】
分岐流路部122qは、基部122bから下方に延在する延在部122sと、延在部122sの下端から斜め下方に延在する傾斜部122tとを有する。延在部122s及び傾斜部122tは、湾曲部122vを介して互いに接続されている。延在部122s、湾曲部122vおよび傾斜部122tの内部に第3内部空間122rが形成されている。
【0115】
飲料流路部122は、飲料Dを注出する飲料注出口122wを有する。飲料注出口122wからは第3内部空間122rを通った飲料Dが注出部材120の外部に注出される。飲料注出口122wは、長円形状を呈する。より具体的には、液体用ノズル13に注出部材120が取り付けられた状態において、飲料注出口122wは、縦長に延びる長円形状を呈する。すなわち、飲料注出口122wは、鉛直方向に延びる長軸、及び水平方向に延びる短軸を有する長円形状を呈する。なお、「長円形状」は、隅丸長方形状および楕円形状を含む。
【0116】
図23は、発泡体注出部130を示す側面図である。図20及び図23に示されるように、発泡体注出部130は、筒状部121及び飲料流路部122に対して着脱自在とされている。発泡体注出部130は、発泡体用ノズル14に取り付けられる筒部131と、飲料流路部122に載せられる載置部132とを有する。
【0117】
筒部131は、発泡体用ノズル14に挿し込まれる挿し込み部131bと、挿し込み部131bが発泡体用ノズル14に挿し込まれたときに発泡体用ノズル14に沿って下方に延びる柱状部131cと、柱状部131cの下端から軸線方向D1に交差する方向D6に延びる延在部131dとを有する。
【0118】
筒部131は、発泡体用ノズル14とは反対側に位置する先端部131fを有する。先端部131fは、延在部131dの柱状部131cとは反対側の端部から斜め下方に延びる傾斜部131gと、傾斜部131gの延在部131dとは反対側の端部から下方に延びる下端部131hとを有する。
【0119】
挿し込み部131b及び柱状部131cは軸線方向D1に沿って延在しており、例えば、延在部131dが延びる方向D6は軸線方向D1に直交する方向であってもよい。例えば、傾斜部131gが延びる方向D7は延在部131dが延びる方向D6に対して直交する方向である。
【0120】
発泡体用ノズル14からの発泡体B(図5参照)は、下端部131hから注出される。下端部131hは、発泡体Bが注出する発泡体注出口131jを有する。発泡体注出口131jは、斜め下方を向くと共に長円形状を呈する。例えば、下端部131hの内部に形成された発泡体Bの流路の幅は、発泡体注出口131jに近づくにしたがって広くなっている。
【0121】
例えば、載置部132は、筒部131に接続される接続部132bと、筒状部121が通される貫通孔132cを有すると共に飲料流路部122に載せられる環状部132dとを有する。接続部132bは、柱状部131cの下部から突出している。一例として、接続部132bは、矩形状を呈する。環状部132dは、接続部132bの柱状部131cとは反対側の端部から円環状に延びている。環状部132dの貫通孔132cに筒状部121が通されて載置部132が飲料流路部122の上に載せられた状態でカラン10に注出部材120が取り付けられる。
【0122】
以上、注出部材120は、発泡体用ノズル14に取り付けられると共に発泡体用ノズル14からの発泡体Bを注出する筒部131、及び飲料流路部122に載せられる載置部132を有する発泡体注出部130を備える。筒部131は、発泡体用ノズル14とは反対側に位置すると共に鉛直方向に対して斜めに延在する先端部131fを有する。この場合、発泡体Bは、先端部131f(下端部131h)から鉛直方向に対して斜めに注出され、発泡体Bを液面ではなく飲料容器Cの内面に注出することができるので、粗い泡の発生をより確実に低減できる。
【0123】
飲料流路部122は、飲料Dを注出する飲料注出口122wを有し、飲料注出口122wは、長円形状を呈する。この場合、飲料注出口122wが長円形状を呈することにより、飲料注出口122wからの飲料Dの流れを弱めることができる。したがって、飲料Dの注出に伴う粗い泡の発生をより確実に抑制できる。
【0124】
発泡体注出部130は、発泡体Bを注出する発泡体注出口131jを有し、発泡体注出口131jは長円形状を呈する。この場合、発泡体注出口131jが長円形状を呈することにより、発泡体注出口131jからの発泡体Bの流れを弱めることができる。したがって、粗い泡の発生をさらに確実に抑制できる。
【0125】
さらに、発泡体注出部130の筒部131は、柱状部131cと、柱状部131cとは異なる方向D6に延びる延在部131dと、延在部131dから延在部131dとは異なる方向に延びる先端部131fとを有し、柱状部131c、延在部131d及び先端部131fの内部において発泡体Bが流通する。よって、筒部131の内部において発泡体Bの流速を低下させることができるので、粗い泡の発生が一層確実に抑制される。
【0126】
続いて、第11変形例に係る注出部材140について図24図26を参照しながら説明する。図24は、注出部材140を示す斜視図である。図25は、注出部材140を示す側面図である。注出部材140の一部の構成は、前述した注出部材120の一部の構成と同一である。よって、以下では注出部材120の構成と重複する構成については、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0127】
図24及び図25に示されるように、注出部材140は、飲料流路部122とは異なる形状を呈する飲料流出部142と、飲料容器Cに載せられる位置決め部143とを有する。飲料流出部142は、筒状部121の下部に位置する第1部分142bと、第1部分142bの下端から斜め下方に屈曲する第2部分142cと、第2部分142cの第1部分142bとは反対側に位置する先端部142dとを有する。
【0128】
第1部分142b、第2部分142c及び先端部142dの内部に飲料Dが通る第3内部空間142fが形成されている。例えば、飲料Dが通る第3内部空間142fの幅は、第1部分142bから、第2部分142c及び先端部142dに向かうに従って狭くなっている。
【0129】
飲料流出部142は飲料Dを注出する飲料注出口142gを有し、飲料注出口142gは先端部142dに形成されている。一例として、飲料注出口142gは円形状を呈する。しかしながら、飲料注出口142gは長円形状を呈していてもよく、飲料注出口142gの形状は特に限定されない。
【0130】
図26は、筒状部121、飲料流出部142及び位置決め部143を示す斜視図である。図24図26に示されるように、位置決め部143は、飲料流出部142との隣接位置において筒状部121の下端から下方に延び出している。位置決め部143は、例えば、板状を呈する。
【0131】
例えば、平面視において、位置決め部143は円弧状を呈しており、位置決め部143の円弧の内側に飲料流出部142の一部(第2部分142c及び先端部142d)が配置されている。例えば、平面視における位置決め部143の曲率は、飲料容器Cの曲率に合わせられている。この場合、平面視における位置決め部143の曲率は、飲料容器Cの曲率と一致していてもよい。
【0132】
位置決め部143は位置決め部143を貫通する貫通孔143bを有し、貫通孔143bに飲料流出部142の第2部分142c及び先端部142dが通されている。位置決め部143は、飲料容器Cに載せられる載置部143cを有する。載置部143cは、例えば、位置決め部143の下端143fに位置する。載置部143cは、位置決め部143の内周面143dから底面視における位置決め部143の外側に延びる第1面143c1と、第1面143c1から下方に延びる第2面143c2とを有する。第2面143c2は、位置決め部143の下端143fまで延びている。
【0133】
位置決め部143は、載置部143cの第1面143c1が飲料容器Cの上端に載せられると共に、載置部143cの第2面143c2が飲料容器Cの外周面に対向した状態で飲料容器Cに載せられる。位置決め部143が飲料容器Cに載せられた状態において、飲料流出部142の下端(飲料注出口142g)は飲料容器Cの上端よりも上方に位置する。
【0134】
以上、注出部材140は、飲料Dが注出される飲料容器Cに載せられることによって飲料容器Cに対する飲料流出部142の位置決めを行う位置決め部143を備え、位置決め部143が飲料容器Cに載せられた状態において、飲料流出部142の下端は飲料容器Cの上端よりも上方に位置する。よって、飲料流出部142が飲料容器Cに入り込んで飲料流出部142の下端が飲料容器Cの上端よりも下方に位置する場合と比較して、飲料容器Cに対する飲料流出部142の配置を容易に行うことができる。
【0135】
以上、本開示に係る注出部材及び飲料サーバーの実施形態及び種々の変形例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において更に変形されたものであってもよい。すなわち、注出部材及び飲料サーバーの各部の形状、大きさ、材料、数、及び配置態様は、前述した要旨の範囲内において適宜変更可能である。また、本開示に係る注出部材及び飲料サーバーは、前述した実施形態、及び第1~第11変形例のうちの複数の例が組み合わされたものであってもよい。
【0136】
前述した実施形態では、直線状を呈する第2流路部22hを含む第3内部空間22bが形成された注出部材20について説明した。しかしながら、第3内部空間は曲線状であってもよく、第3内部空間の形状は特に限定されない。前述した実施形態では、樹脂により一体成形されている注出部材20について説明した。しかしながら、注出部材の材料は特に限定されない。更に、注出部材の形状についても特に限定されない。例えば、半割り構造を有する注出部材であってもよく、半割り構造を合わせることによって液体用ノズルの延在方向に交差する方向から液体用ノズルに取り付けられる注出部材であってもよい。
【0137】
前述した実施形態では、手で押し引きされるレバー11を有するカラン10を備えた飲料サーバー1について説明した。しかしながら、カラン及び飲料サーバーの構成は適宜変更可能である。例えば、発泡体用ノズル14を有しないカランであってもよい。また、飲料サーバーは、飲料を自動的に注出するオートサーバーであってもよい。ところで、既製のオートサーバーでは、粗い泡の発生を抑制するために、飲料容器を傾け、傾けた飲料容器に飲料を注出することが通常である。すなわち、既製のオートサーバーは、飲料容器を傾ける傾動機構を備える。
【0138】
これに対し、前述した実施形態及び各変形例に係る注出部材を備えた飲料サーバーでは、飲料容器Cを傾けなくても粗い泡の発生を低減できる。従って、当該注出部材を備えるオートサーバーでは、上記の傾動機構を不要とすることができる。このように、本開示に係る飲料サーバーは、当該注出部材を備え、且つ傾動機構を有しないオートサーバーであってもよい。この場合、オートサーバーの構成を簡易にすることができる。
【符号の説明】
【0139】
1…飲料サーバー、2…筐体、2b…下面、2c…前面、3…脚部、4…載置台、5…受け皿、6…スペーサ、10…カラン、11…レバー、12…カラン本体部、12b…筒状部、12c…取付部、12d…スライド弁、13…液体用ノズル、13b…第1内部空間、14…発泡体用ノズル、14b…内部空間、20…注出部材、20b…着脱機構、21…筒状部、21b…第2内部空間、21c…スリット、21d…端面、21f…端部、22…飲料流路部、22b…第3内部空間、22c…流路形成部、22d…拡径部、22f…上面、22g…下面、22h…第2流路部、22j…第1流路部、23…飲料容器ガイド部、23b…内面、24…貫通孔、25…発泡体注出部、26…筒部、26b…上部、26c…下部、26d…本体部、26f…挿し込み部、26g…内部空間、27…載置部、28…接続部、30…締付部材、31…回転操作部、40…注出部材、42…飲料流路部、42b…第3内部空間、42c…第1流路部、42d…湾曲部、42f…第2流路部、50…注出部材、52…飲料流路部、52b…外縁、53…凹部、60…注出部材、65…発泡体注出部、66…筒部、66d…発泡体流出口、70…注出部材、72…飲料流路部、72b…接続部、72c…流路形成部、72d…開口、72f…上底部、72g…下底部、72h…開口、72j…側壁、72k…第3内部空間、72m…端部、80…注出部材、82…飲料流路部、82b…拡径部、82c…縮径部、82k…第3内部空間、82p…第1流路部、82q…第2流路部、82r…開口、85…注出部材、86b…第3内部空間、86c…隙間、90…注出部材、91…筒状部、91b…筒状取付部、91c…拡径部、91d…傾斜面、91f…側面、91g…開口、92…飲料流路部、92b…チューブ、92c…位置固定部、92d…第3内部空間、92f…保持部材、、、100…注出部材、102…飲料流路部、102b…第3内部空間、102c…凸部、102d…拡径部、102f…流路形成部、102j…第1流路部、102k…第2流路部、102p…第3流路部、102q…注出口、103…飲料容器ガイド部、103b…外径部、103c…内径部、110…注出部材、112…飲料流路部、112b…第3内部空間、112f…流路形成部、112j…第1流路部、112k…第2流路部、112p…第3流路部、120…注出部材、121…筒状部、122…飲料流路部、122b…基部、122c…上面、122d…第1傾斜面、122f…第1延在面、122g…第2傾斜面、122h…第2延在面、122j…下面、122k…第1側面、122p…第2側面、122q…分岐流路部、122r…第3内部空間、122s…延在部、122t…傾斜部、122v…湾曲部、122w…飲料注出口、130…発泡体注出部、131…筒部、131b…挿し込み部、131c…柱状部、131d…延在部、131f…先端部、131g…傾斜部、131h…下端部、131j…発泡体注出口、132…載置部、132b…接続部、132c…貫通孔、132d…環状部、140…注出部材、142…飲料流出部、142b…第1部分、142c…第2部分、142d…先端部、142f…第3内部空間、142g…飲料注出口、B…発泡体、C…飲料容器、C1…側面、D…飲料、D1…軸線方向、D2…鉛直方向、D3…軸線方向、L1,L2,L3…軸線、S…設置面、X…仮想直線。
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