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特開2024-18991重ねられたプレート部材を使用したタービンノズル又はタービンブレードの振動減衰システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018991
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】重ねられたプレート部材を使用したタービンノズル又はタービンブレードの振動減衰システム
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/16 20060101AFI20240201BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F01D5/16
F01D9/02 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104972
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】17/815,376
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー ジョン スナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マコーネル デルヴォー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ タイソン バルカム ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン デンバー ポッター
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202BA02
3G202BB03
3G202GA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重ねられたプレート部材を使用したタービンノズル又はタービンブレード用の振動減衰システムを提供する。
【解決手段】振動減衰システム120は、タービンノズル112又はタービンブレード114用の振動減衰要素166を含む。本体開口部160は、タービンノズル112又はタービンブレード114の先端部132と基端部130との間においてタービンノズル112又はタービンブレード114内を延在する。振動減衰要素166は、本体開口部160内に重ねられた複数のプレート部材170を含む。各プレート部材170は、ノズル112又はブレード114の振動を減衰させる摩擦が生じるように、少なくとも1つの隣接するプレート部材170と面接触している。本体開口部160は内側寸法を有し、各プレート部材170は、振動を減衰させるために、本体開口部160の内側寸法と摩擦係合する外側寸法を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の振動減衰システム(120)用の振動減衰要素(166)であって、
前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体開口部(160)内の重ねられた複数のプレート部材(170)であって、各プレート部材(170)は、少なくとも1つの隣のプレート部材(170)と面接触しており、前記本体開口部(160)は内側寸法を有し、各プレート部材(170)は、振動を減衰させるために、前記本体開口部(160)の内側寸法と摩擦係合する外側寸法を有する、複数のプレート部材(170)
を含む、振動減衰要素(166)。
【請求項2】
各プレート部材(170)は中央開口部(180)を含み、前記振動減衰要素(166)は、前記本体開口部(160)内を延在する細長い本体部(186)であって、前記本体開口部(160)に対して固定された細長い本体部(186)を更に含み、前記細長い本体部(186)は、重ねられた複数のプレート部材(170)の各プレート部材(170)の中央開口部(180)を貫通する、請求項1に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項3】
重ねられた複数のプレート部材(170)の各プレート部材は、杯状であり、前記細長い本体部(186)を自由にスライドする、請求項2に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項4】
重ねられた複数のプレート部材(170)は少なくとも2つのグループ(200)に分離されており、前記細長い本体部(186)に設けられた保持部材(192)が、各グループ(200)の一番端のプレート部材(170X)と係合して、それぞれのグループ(200)が前記細長い本体部(186)に対して相対的に移動するのを防止する、請求項2に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項5】
前記本体開口部(160)は、前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体部(128)の先端部(132)と基端部(130)との間において、前記本体部(128)内を延在し、前記細長い本体部(186)は、第1の自由端部(188)と、前記基端部(130)及び前記先端部(132)の一方の端部に対して固定された第2の端部(190)とを有している、請求項2に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項6】
前記細長い本体部(186)の第2の端部(190)は、前記本体部(128)の先端部(132)に対して固定され、前記第1の自由端部(188)は前記基端部(130)に向かって延びており、
重ねられた前記複数のプレート部材(170)が前記細長い本体部(186)に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部(186)に設けられた保持部材(192)を更に含む、請求項5に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項7】
前記細長い本体部(186)の第2の端部(190)は、前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体部(128)の基端部(130)に対して固定され、前記第1の自由端部(188)は、前記先端部(132)に向かって延びており、
重ねられた前記複数のプレート部材(170)が前記細長い本体部(186)に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部(186)に設けられた保持部材(192)を更に含む、請求項5に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項8】
前記細長い本体部(186)は、前記細長い本体部の長さ方向に中空であり、
前記細長い本体部(220)の中空を貫通するケーブル(212)と、
前記ケーブル(212)の端部(216)に結合された保持体(214)であって、前記保持体(214)は、前記細長い本体部(220)の重ねられた複数のプレート部材(170)の一番端のプレート(170X)と係合して、重ねられた複数のプレート部材(170)を前記細長い本体部(220)に保持する、保持体(214)と
を含む、請求項2に記載の振動減衰要素(166、266)。
【請求項9】
重ねられた前記複数のプレート部材(170)を貫通するケーブル(212)、及び
前記ケーブル(212)の端部(216)に結合された保持体(214)であって、前記保持体(214)は、重ねられた前記複数のプレート部材(170)の一番端のプレート(170X)と係合して、重ねられた前記複数のプレート部材(170)を前記ケーブル(212)に保持する、保持体(214)
を含む、請求項1に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項10】
タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)用の振動減衰システム(120)であって、
前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の先端部(132)と基端部(130)との間において、前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体部(128)内を延在する本体開口部(160)、及び
前記本体開口部(160)内に配置された振動減衰要素(166)であって、前記振動減衰要素(166)は、前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体開口部(160)内に、重ねられた複数のプレート部材(170)を含み、各プレート部材(170)は、少なくとも1つの隣のプレート部材(170)と面接触している、振動減衰要素(166)
を含み、
前記本体開口部(160)は内側寸法を有し、各プレート部材(170)は、振動を減衰させるために、前記本体開口部(160)の内側寸法と摩擦係合する外側寸法を有する、振動減衰システム(120)。
【請求項11】
各プレート部材(170)は中央開口部(180)を含み、前記振動減衰システム(120)は、前記本体開口部(160)内を延在する細長い本体部(186)であって、前記本体開口部(160)に対して固定された細長い本体部(186)を更に含み、前記細長い本体部(186)は、各プレート部材(170)の中央開口部(180)を貫通する、請求項10に記載の振動減衰システム(120)。
【請求項12】
重ねられた複数のプレート部材(170)の各プレート部材は、杯状であり、前記細長い本体部(186)を自由にスライドする、請求項11に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項13】
重ねられた複数のプレート部材(170)は少なくとも2つのグループ(200)に分離されており、前記細長い本体部(186)に設けられた保持部材(192)が、各グループ(200)の一番端のプレート部材(170X)と係合して、それぞれのグループ(200)が前記細長い本体部(186)に対して相対的に移動するのを防止する、請求項11に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項14】
前記本体開口部(160)は、前記タービンノズル(112)又はタービンブレード(114)の本体部(128)の先端部(132)と基端部(130)との間において、前記本体部(128)内を延在し、前記細長い本体部(186)は、第1の自由端部(188)と、前記基端部(130)及び前記先端部(132)の一方の端部に対して固定された第2の端部(190)とを有している、請求項11に記載の振動減衰要素(166)。
【請求項15】
前記細長い本体部(186)の第2の端部(190)は、前記本体部(128)の先端部(132)に対して固定され、前記第1の自由端部(188)は前記基端部(130)に向かって延びており、
重ねられた前記複数のプレート部材(170)が前記細長い本体部(186)に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部(186)に設けられた保持部材(192)を更に含む、請求項14に記載の振動減衰要素(166)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、タービンノズル又はタービンブレードの振動を減衰させることに関する。更に、本開示は、タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部内に、重ねられた複数のプレート部材を使用した振動減衰要素を含む振動減衰システムに関する。振動減衰要素は、ヘリカル金属リボンばねを含むこともできる。
【背景技術】
【0002】
タービンを運転するときの1つの懸念事項は、運転中に、タービンブレード又はタービンノズルが振動応力を受ける傾向があることである。多くの設備では、タービンは頻繁に加減速される条件下で運転される。タービンの加減速中、ブレードのエアフォイルは、少なくとも瞬間的には、ある周波数における振動応力を受け、多くの場合、二次周波数又は三次周波数における振動応力を受ける。ノズルのエアフォイルも同様の振動応力を受ける。例えば、ガスの温度、圧力、及び/又は密度が変動すると、ロータアセンブリ全体、特にノズル又はブレードのエアフォイル内で振動が生じる恐れがある。タービン部及び/又は圧縮機部の上流から周期的、又は「脈動」的に出て行くガスも、望ましくない振動を生じさせる恐れがある。エアフォイルが振動応力を受けると、その振動の振幅が、ガスタービンの動作又は構成要素の寿命に悪影響を及ぼす恐れがある値まで容易に増大することがある。
【発明の概要】
【0003】
以下に記載する全ての態様、実施例、及び特徴は、技術的に可能なあらゆる方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の一態様は、タービンノズル又はタービンブレードの振動減衰システム用の振動減衰要素を提供する。前記振動減衰要素は、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部内の重ねられた複数のプレート部材であって、各プレート部材は、少なくとも1つの隣のプレート部材と面接触しており、前記本体開口部は内側寸法を有し、各プレート部材は、振動を減衰させるために、前記本体開口部の内側寸法と摩擦係合する外側寸法を有する、複数のプレート部材を含む。
【0005】
本開示の別の態様は、上記の態様を含み、重ねられた前記複数のプレート部材の各プレート部材は中央開口部を含み、前記振動減衰要素は、前記本体開口部内を延在する細長い本体部であって、前記本体開口部に対して固定された細長い本体部を更に含み、前記細長い本体部は、重ねられた前記複数のプレート部材の各プレート部材の中央開口部を貫通する。
【0006】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた複数のプレート部材の各プレート部材は、杯状であり、前記細長い本体部を自由にスライドする。
【0007】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた複数のプレート部材は少なくとも2つのグループに分離されており、前記細長い本体部に設けられた保持部材が、各グループの一番端のプレート部材と係合して、それぞれのグループが前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止する。
【0008】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記本体開口部は、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体部の先端部と基端部との間において、前記本体部内を延在し、前記細長い本体部は、第1の自由端部と、前記基端部及び前記先端部の一方の端部に対して固定された第2の端部とを有している。
【0009】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部の第2の端部は、前記タービンノズル又はタービンブレードの前記本体部の先端部に対して固定され、前記第1の自由端部は前記基端部に向かって延びており、重ねられた前記複数のプレート部材が前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部に設けられた保持部材を更に含む。
【0010】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部の第2の端部は、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体部の基端部に対して固定され、前記第1の自由端部は、前記先端部に向かって延びており、重ねられた前記複数のプレート部材が前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部に設けられた保持部材を更に含む。
【0011】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部は、前記細長い本体部の長さ方向に中空であり、前記細長い本体部の中空を貫通するケーブルと、前記ケーブルの端部に結合された保持体であって、前記保持体は、前記細長い本体部の重ねられた複数のプレート部材の一番端のプレートと係合して、重ねられた前記複数のプレート部材を前記細長い本体部に保持する、保持体とを含む。
【0012】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた前記複数のプレート部材を貫通するケーブル、及び前記ケーブルの端部に結合された保持体であって、前記保持体は、重ねられた前記複数のプレート部材の一番端のプレートと係合して、重ねられた前記複数のプレート部材を前記ケーブルに保持する、保持体を含む。
【0013】
本開示の一態様は、タービンノズル又はタービンブレード用の振動減衰システムを含む。振動減衰システムは、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体部の先端部と基端部との間において、前記本体部内を延在する本体開口部、及び前記本体開口部内に配置された振動減衰要素であって、前記振動減衰要素は、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部内に、重ねられた複数のプレート部材を含み、各プレート部材は、少なくとも1つの隣のプレート部材と面接触している、振動減衰要素を含み、前記本体開口部は内側寸法を有し、重ねられた前記複数のプレート部材の各プレート部材は、振動を減衰させるために、前記本体開口部の内側寸法と摩擦係合する外側寸法を有する。
【0014】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた前記複数のプレート部材の各プレート部材は中央開口部を含み、前記振動減衰システムは、前記本体開口部内を延在する細長い本体部であって、前記本体開口部に対して固定された細長い本体部を更に含み、前記細長い本体部は、各プレート部材の中央開口部を貫通する。
【0015】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた複数のプレート部材の各プレート部材は、杯状であり、前記細長い本体部を自由にスライドする。
【0016】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた複数のプレート部材は少なくとも2つのグループに分離されており、前記細長い本体部に設けられた保持部材が、各グループの一番端のプレート部材と係合して、それぞれのグループが前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止する。
【0017】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部は、第1の自由端部と、前記基端部及び前記先端部の一方の端部に対して固定された第2の端部とを有している。
【0018】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部の第2の端部は、前記タービンノズル又はタービンブレードの前記本体部の先端部に対して固定され、前記第1の自由端部は前記基端部に向かって延びており、
重ねられた前記複数のプレート部材が前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部に設けられた保持部材を更に含む。
【0019】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部の第2の端部は、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体部の基端部に対して固定され、前記第1の自由端部は、前記先端部に向かって延びており、
重ねられた前記複数のプレート部材が前記細長い本体部に対して相対的に移動するのを防止するために、前記細長い本体部に設けられた保持部材を更に含む。
【0020】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い本体部は、前記細長い本体部の長さ方向に中空であり、前記細長い本体部の中空を貫通するケーブルと、前記ケーブルの端部に結合された保持体であって、前記保持体は、前記細長い本体部の重ねられた複数のプレート部材の一番端のプレートと係合して、重ねられた複数のプレート部材を前記細長い本体部に保持する、保持体とを含む。
【0021】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、重ねられた前記複数のプレート部材を貫通するケーブル、及び前記ケーブルの端部に結合された保持体であって、前記保持体は、重ねられた前記複数のプレート部材の一番端のプレートと係合して、重ねられた前記複数のプレート部材を前記ケーブルに保持する、保持体を含む。
【0022】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記本体開口部は、前記細長い本体部の対応する外側寸法よりも大きい寸法を有し、それによって、前記細長い本体部は前記本体開口部内で限られた範囲を移動することができ、前記本体開口部内における前記細長い本体部の撓みにより振動を減衰することができる。
【0023】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様の振動減衰システムを含むタービンノズル又はタービンブレードを含む。
【0024】
本開示の一態様は、タービンノズル又はタービンブレードの振動減衰システム用の振動減衰要素を含み、前記振動減衰要素は前記タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部内にヘリカル金属リボンばねを含み。前記本体開口部は内側寸法の内面を有し、前記ヘリカル金属リボンばねは、振動を減衰させるために前記本体開口部の内面と摩擦係合する外側寸法を有する。
【0025】
本開示の別の態様は、タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部に振動減衰要素を設置する方法を含み、本方法は、重ねられた複数のプレート部材の各プレート部材の中央開口部を貫通するようにケーブルを配置することであって、前記ケーブルは、重ねられた前記複数のプレート部材を前記ケーブルに保持するための保持体を含む、ケーブルを配置すること、及び重ねられた前記複数のプレート部材を、前記ケーブルが前記複数のプレート部材を貫通した状態で、前記タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部160に配置することを含む。
【0026】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、細長い中空の本体部が、前記ケーブルを覆い、重ねられた複数のプレート部材の各プレート部材の中央開口部を貫通するように、前記中空の細長い本体部220を配置することを更に含み、重ねられた複数のプレート部材を前記本体開口部に配置することは、前記細長い中空の本体部を使用して、重ねられた複数のプレート部材を挿入することを含む。
【0027】
本開示の別の態様は、上記の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記細長い中空本体部を、重ねられた複数のプレート部材及び前記本体開口部から取り外し、重ねられた前記複数のプレート部材を前記本体開口部内に残すことを更に含む。
【0028】
本開示に記載されている2つ以上の態様(本概要に記載されている態様を含む)を組み合わせて、本明細書に具体的に記載されていない実装を得ることができる。
【0029】
1つ以上の実装の詳細は、添付図面及び以下の発明を実施するための形態に記載されている。他の特徴、目的及び利点は、発明を実施するための形態及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになる。
【0030】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付図面と併せて、以下の本開示の発明を実施するための形態の様々な態様から、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ガスタービンシステムの形式である例示的なターボマシンの断面図である。
図2】本開示の実施形態による例示的なタービンの一部の断面図である。
図3】本開示の実施形態による、振動減衰システムを含む例示的なタービンノズルの斜視図である。
図4】本開示の実施形態による、振動減衰システムを含む例示的なタービンブレードの斜視図である。
図5】本開示の実施形態による、重ねられた複数のプレート部材を含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図6】本開示の他の実施形態による、平面状である重ねられた複数のプレート部材の拡大断面図である。
図7】本開示の追加的な実施形態による、図6のビュー線7-7から見た振動減衰要素の断面図である。
図8】本開示の他の実施形態による、重ねられた複数のプレート部材を含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図9】本開示の実施形態による、図8のビュー線9-9から見たプレート部材及び細長い本体部の拡大断面図である。
図10】本開示の他の実施形態による、図8に類似するが、振動減衰要素の細長い本体部に設けられた保持体を含む概略断面図である。
図11】本開示の追加的な実施形態による、重ねられた複数のプレート部材を含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図12】本開示の他の実施形態による、重ねられた複数のプレート部材を含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図13】本開示の追加的な実施形態による、グループ化された重ねられたプレート部材を含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図14】本開示の実施形態による、振動減衰要素を含む振動減衰システムの位置決めシステムの側面図である。
図15】本開示の実施形態による、図14の位置決めシステムを備えた振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図16】本開示の他の実施形態による、振動減衰要素を含む振動減衰システムの位置決めシステムの側面図である。
図17】本開示の他の実施形態による、図16の位置決めシステムを有する振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図18】本開示の他の実施形態による、ヘリカル金属リボンばねを含む振動減衰要素を含む振動減衰システムを有するタービンノズル又はタービンブレードの概略断面図である。
図19】本開示の他の実施形態による、ヘリカル金属リボンばねを含む図18の振動減衰要素の拡大概略断面図である。
【0032】
本開示の図面は必ずしも同一の縮尺ではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面間にわたって同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
最初に、本開示の対象を明確に説明するために、タービン内の関連する機械の構成要素に言及して説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈を与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解する。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含むことがあり、複数の構成要素を含むものとして言及されることがある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0034】
更に、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。中心軸に対して異なる半径方向の位置に配置された部品の説明を要求されることがある。用語「半径の」は、軸に対して垂直な動き又は位置を表す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内側に」又は「内側に」あると記載される。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側に」又は「外側に」あると記載される場合がある。用語「軸の」は、軸に対して平行な動き又は位置を表す。最後に、用語「円周の」は、軸の周りの動き又は位置を表す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用できることが理解される。
【0035】
更に、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図するものではない
【0036】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことを意図している。用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを述べているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことが更に理解される。「任意の」又は「任意に」は、その後に記述される事象若しくは状況が発生してもよいし発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される構成要素若しくは要素が存在してもよいし存在しなくてもよいことを意味し、また、その記述が、その事象が発生する又はその構成要素が存在する例と、その事象が発生しない又はその構成要素が存在しない例とを含むことを意味する。
【0037】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、又は「に結合されている」ものとして言及されている場合、他の要素又は層に、直接的に接触、係合、接続、又は結合していてもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に結合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、用語「及び/又は」は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組み合わせを含む。
【0038】
本開示の実施形態は、タービンノズル(静止ベーン)又はタービンブレード(回転ブレード)用の振動減衰要素を含む振動減衰システムを提供する。システムは、タービンノズル又はタービンブレードの本体部の先端部と基端部との間において、本体部内を延在する(例えば、ノズル又はブレードの位置的に他の複数の部分の間においてエアフォイル内を延在する)本体開口部を含むことができる。振動減衰要素は、タービンノズル又はタービンブレードの本体開口部内に、重ねられた複数のプレート部材を含む。各プレート部材は、ノズル又はブレードの振動を減衰させる摩擦が生じるように、少なくとも1つの隣接するプレート部材と面接触している。更に、本体開口部は内側寸法を有し、各プレート部材は、振動を減衰させるために、本体開口部の内側寸法と摩擦係合する大きさの外側寸法を有する。
【0039】
特定の実施形態において、各プレート部材は中央開口部を含むことができ、細長い本体部は、重ねられた複数のプレート部材の各プレート部材の中央開口部を貫通することができる。細長い本体部は、本体開口部に対して固定されている。代替実施形態では、振動減衰要素は、ヘリカル金属リボンばねを含む。関連する組立方法も開示されている。重ねられたプレート部材又はヘリカル金属リボンばねを含む振動減衰要素は、単純な配置でノズル又はブレードの振動を低減し、ノズル又はブレードに余分に大きな質量を追加することがない。従って、振動減衰要素は、ノズルの基端部又はブレードの先端部に遠心力を更に加えることはなく、ノズル又はブレードの構成を変更する必要もない。
【0040】
図面を参照すると、図1に、本開示の教示を適用することができるタービンを含む例示的な機械の断面図が示されている。図1では、燃焼タービン又はガスタービン(GT)システム100(以下、「GTシステム100」という)の形態のターボマシン90が示されている。GTシステム100は、圧縮機102と燃焼器104とを含む。燃焼器104は、燃焼領域105及び燃料ノズル部106を含む。また、GTシステム100は、タービン108と、圧縮機/タービンに共通のシャフト110(以下、「ロータ110」と称する)とを含む。
【0041】
サウスカロライナ州グリーンビルのゼネラル・エレクトリック・カンパニイから市販されている7HA.03エンジンとすることができる。本開示は、任意の特定のGTシステムに限定されず、他のエンジン(例えば、ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスのエンジンモデル及び他の会社のエンジンモデル)に実装することができる。更に重要なのは、本開示で教示していることは、必ずしもGTシステムのタービンにのみ適用可能というわけではなく、実際には任意の種類の産業機械又は他のタービン(例えば、蒸気タービン、ジェットエンジン、(図1に示すような)圧縮機、ターボファン、ターボチャージャなど)に適用することができる。したがって、GTシステム100のタービン108に言及しているのは、単に説明目的のためであり、これに限定しているわけではない。
【0042】
図2は、タービン108の例示的な部分の断面図を示す。図示の例では、タービン108は、図1のGTシステム100で使用することができる4つの段L0~L3を含んでいる。4つの段は、L0、L1、L2、及びL3と呼ばれる。段L0は第1の段であり、4つの段のうちの最小の段(半径方向について)である。段L1は第2の段であり、第1の段L0に軸方向において隣接するように配置されている。段L2は第3の段であり、第2の段L1に軸方向において隣接するように配置されている。段L3は第4の最後の段であり、最大の段(半径方向において)である。4つの段は一例として示されているに過ぎず、各タービンは4つより多い又は少ない段を有していてもよいことが理解される。
【0043】
複数の静止タービンベーン又はタービンノズル112(以下、「ノズル112」又は「複数のノズル112」)は、複数の回転タービンブレード114(以下、「ブレード114」、又は「複数のブレード114」)と協働してタービン108の各段L0~L3を形成し、タービン108の作動流体経路の一部を画定することができる。各段のブレード114は、例えば、ブレードをロータ110(図1)に円周方向に結合するそれぞれのロータホイール116によって、ロータ110(図1)に結合されている。すなわち、ブレード114は、例えば、ロータホイール116によって、円周方向に間隔を空けてロータ110に機械的に結合される。静止ノズル部115は、ケーシング124に取り付けられた複数の静止ノズル112であって、ロータ110(図1)の周りにおいて円周方向に間隔を空けて配置された複数の静止ノズル112を含んでいる。ブレード114はロータ110(図1)と共に回転し、従って遠心力を受けるが、ノズル112は静止していることがわかる。
【0044】
図1及び図2を参照する。動作においては、空気が圧縮機102に流れ、加圧された空気が燃焼器104に供給される。具体的には、加圧された空気は、燃焼器104に一体化された燃料ノズル部106に供給される。燃料ノズル部106は、燃焼領域105と流体連通している。また、燃料ノズル部106は、燃料源(図1には示されていない)と流体連通しており、燃焼領域105に燃料と空気を供給する。燃焼器104は、燃料に点火して燃焼し、燃焼ガスを発生する。燃焼器104はタービン108と流体連通しており、燃焼された燃料(例えば作動流体)が作動流体経路に供給されることにより、タービン108内で、燃焼ガス流からの熱エネルギーが機械的回転エネルギーに変換され、ブレード114が回転する。タービン108は、ロータ110に回転可能に結合され、ロータ110を駆動する。圧縮機102は、ロータ110に回転可能に結合されている。ロータ110の少なくとも一端は、圧縮機102又はタービン108から軸方向に延在し、発電機、負荷圧縮機、及び/又は別のタービンなど(これらに限定されることはない)の負荷又は機械(図示せず)に取り付けることができる。
【0045】
図3及び図4は、本開示の振動減衰システム120及び振動減衰要素166の実施形態で使用することができる型式の(静止)ノズル112又は(回転)ブレード114の斜視図をそれぞれ示している。本明細書で説明されるように、図5図8図10図13図15図17、及び図18は、本開示の様々な実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示している。
【0046】
図3及び図4を参照すると、各ノズル112又はブレード114は本体部128を含んでおり、本体部128は、基端部130と、先端部132と、基端部130と先端部132との間に延在するエアフォイル134とを有している。図3に示されるように、ノズル112は、基端部130に外側端壁136を含み、先端部132に内側端壁138を含んでいる。外側端壁136は、ケーシング124(図2)に結合する。図4に示されるように、ブレード114は、基端部130にダブテール140を含んでおり、ダブテール140によって、ブレード114はロータ110(図2)のロータホイール116(図2)に取り付けられる。ブレード114の基端部130は、ダブテール140とプラットフォーム146との間に延在するシャンク142を更に含むことができる。プラットフォーム146は、エアフォイル134とシャンク142との接合部に配置され、タービン108を流れる作動流体経路(図2)の内側境界の一部を画定する。
【0047】
ノズル112及びブレード114のエアフォイル134は、ノズル112又はブレード114において作動流体の流れを遮る構成要素であって、ブレード114の場合には、ロータ110(図1)を回転させる構成要素であることが理解される。ノズル112及びブレード114のエアフォイル134は、凹状の正圧面側(PS)外壁150と、円周方向又は横方向において反対側に位置する凸状の負圧面側(SS)外壁152とを含んでおり、外壁150及び152は、反対側に位置する前縁154と後縁156との間で軸方向に延在していることが分かる。側壁150及び152は、半径方向に、基端部130(すなわち、ノズル112については外側端壁136であり、ブレード114についてはプラットフォーム146である)から先端部132(すなわち、ノズル112については内側端壁138であり、ブレード114については先端部158である)に延在している。図示された例では、ブレード114は、先端シュラウドを含んでいないが、本開示は、先端部158において先端シュラウドを含むブレードに等しく適用可能であることを教示していることに留意する。図3~4に示すノズル112及びブレード114は例示に過ぎず、本開示の教示は多種多様なノズル及びブレードに適用できる。
【0048】
タービンの動作中、ノズル112又はブレード114は、いくつかの異なる加振作用によって振動が引き起こされることがある。例えば、作動流体の温度、圧力、及び/又は密度の変動によって、ロータアセンブリ全体、特にブレード114又はノズル112のエアフォイル及び/又は先端で振動が引き起こされることがある。タービン部及び/又は圧縮機部の上流で周期的又は「脈動」的に排出されるガスも、望ましくない振動を引き起こすことがある。本開示は、ノズル又はブレードの設計を大幅に変更することなく、静止タービンノズル112又は回転タービンブレード114の振動を低減させることを目的としている。
【0049】
図5は、本開示の実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示す。(図5図8図10図13図15図17、及び図18の概略断面図におけるノズル112は、説明を容易にするために、図3に示されるノズルと比較して垂直に反転され、内側端壁138なしの状態で示されている。基端部130と先端部132を参照すると、ノズル112では、ブレード114と比較して逆であることを理解されたい)。タービンノズル112又はタービンブレード114用の振動減衰システム120は、本体部128の先端部132と基端部130との間において本体部128を通り、エアフォイル134を通る本体開口部160を含むことができる。本体開口部160は、基端部130と先端部132との間の距離の一部分に延在していてもよいし、基端部130及び先端部132のうちの一方又は両方を貫通してもよい。本体開口部160は、ブレード114の基端部130を起点としてもよいし、(図3に示すように)ノズル112の先端端132を起点としてもよい。
【0050】
本体開口部160は、どんな構造の本体部128のどの部分にも画定することができる。例えば、本体部128が、例えば、本体部に冷却回路を画定するための内部仕切り壁(図示せず)を含む場合、本体開口部160は、本体部128の仕切り壁の内部空洞として画定することができる。本体開口部160は、本体部128の概ね半径方向に延在している。しかしながら、本体部128の半径方向の範囲に対して本体開口部160にある程度の角度を付けたり、曲げたりすることは可能である。本体開口部160は内面162を有している。
【0051】
例えば図5及び図8に示すように、本体開口部160は、基端部130において開口し、先端部132において終端していてもよく、図11に示すように、先端部132において開口し、基端部130まで延在していてもよい。開放端は、ノズル112又はブレード114に振動減衰システム120を組み立てる助けになり、開放端によって、既存のノズル又はブレードに振動減衰システムを取り付けることができる。図5に示すように、本体開口部160が基端部130を貫通する場合、本体開口部160を塞ぐ蓋又は固定部材176を備えることができる。図11に示されるように、本体開口部160が先端部132を貫通する場合、本体開口部160用の蓋又は固定部材196を備えることができる。蓋又は固定部材176、196を使用して本体開口部160を塞ぐこともできる。あるいは、これから説明するように、蓋又は固定部材176、196は、本体開口部160を塞ぎ、細長い本体部186(又は図17の細長い中空の本体部220)を本体開口部160内に使用可能な状態で取り付けることができる。
【0052】
ノズル112又はブレード114用の振動減衰システム120は、本体開口部160内に配置された振動減衰要素166を含むことができる。振動減衰要素166は、タービンノズル114又はタービンブレード114の本体開口部160内に、重ねられた複数のプレート部材170を含むことができる。図6は、本体開口部160内の多数のプレート部材170の拡大断面図を示す。図5及び図6に示すように、各プレート部材170は、少なくとも1つの隣接するプレート部材170と面接触している。本体開口部160内には、任意の数(例えば50、100、500、1000など)のプレート部材170を積み重ねることができる。表面接触によって、ノズル112又はブレード114が動く間にプレート部材170が擦れ合うので振動が減衰する。
【0053】
更に、本体開口部160は、内側寸法IDを有する内面162を有し、各プレート部材170は、ノズル112又はブレード114が動いている間の振動を減衰させるために、本体開口部160の内側寸法IDに摩擦係合する大きさの外側寸法OD1を有する。すなわち、各プレート部材170の外側寸法OD1は、本体開口部160の内面162と摩擦し、例えば、ノズル112又はブレード114のエアフォイル134が動いている間の振動を減衰する。1つの非限定的な例では、プレート部材170の外側寸法OD1と本体開口部160の内面162の内側寸法IDとの間の差は、約0.04~0.06ミリメートル(mm)の範囲内とすることができ、これにより、プレート部材170を挿入することができるが、ノズル112又はブレード114のエアフォイル134の使用中にエアフォイル134が相対的に動く間に摩擦係合することが可能になる。
【0054】
プレート部材170は様々な形態をとることができる。図5では、各プレート部材は中実のプレート部材であるが、杯状になっている。すなわち、各プレート部材170は、プレート部材の一方の側に凹面を有し、他方の側に凸面を有し、プレート部材170は、杯を重ねるやり方で積み重ねることができる。図6は、各プレート部材170が平板状である他の実施形態を示す。各プレート部材170の外形は、概ね本体開口部160の外形と一致している。図7の断面図(図6のライン7-7参照)に示す一例では、本体開口部160及びプレート部材170は、円形の断面形状を有することができる。しかしながら、他の形状も可能であり、楕円形若しくは長円形、又は多角形(正方形、長方形、五角形など)などが可能であるが、これらの形状に限定されることはない。
【0055】
各プレート部材170は、振動を減衰させる所望の動きを実現するのに十分な厚さを有することができる。非限定的な一例では、各プレート部材170は、約0.76ミリメートル(mm)~2.54ミリメートル(mm)の間の厚さT(図6)を有することができる。各プレート部材170の厚さTは、各プレート部材の幅の10%以下である。プレート部材170は、特定の用途に必要とされる所望の耐振性を有する任意の材料(例えば、金属又は金属合金)で作製することができる。一部の実施形態では、プレート部材170は十分に高い硬度又は剛性が必要とされることがあり、この結果、金属又は金属合金よりも剛性の高い代替材料(セラミックマトリックス複合材料(CMC)などであるが、これに限定されることはない)が必要となる可能性がある。また、プレート部材170は、その摩擦特性を変化させるために、様々なコーティング材料で被覆することができる。プレート部材170の外側エッジは、本体開口部160の内面162と平行で内面162に近接するように構成することができる。
【0056】
多数のプレート部材170は、任意の方法で本体開口部160に保持されるようにすることができる。図5及び図6に示すように、多数のプレート部材170は、その多数のプレート部材が保持されるように本体開口部160の端部172に当接させることができる。本体開口部160が本体部128内を延在する場合、本体開口部160の先端部132における端部172は、蓋又は固定部材(図6には示されておらず、図5に基端部130用に示された蓋部材176と同様のものである)、例えば、本体開口部160を塞ぐプラグ又は他の機構を含むことができる。いずれにしても、理解されるように、ブレードが回転すると、ブレード114にかかる遠心力によって、多数のプレート部材170は、タービンブレード114の本体部128の先端部132の端部172に押し付けられる。同様に、多数のプレート部材170の重量によって、プレート部材170は、静止ノズル114の本体開口部160の先端部132における端部172に押し付けられる。後者の場合、図8に示すように、ばね又は他の付勢システム178を使用して、静止構成要素(ノズル112など)の定位置にプレート部材170を保持することもできる。本体開口部160の基端部130の対向端部174は、図5に示すように、既知の又は将来的に開発される任意の蓋部材又は固定部材176によって塞ぐことができる。本明細書に記載される蓋部材又は固定部材176(及び196)は、既知の又は将来的に開発される任意の機構(溶接、締結具、及び雄雌コネクタを含むが、これらに限定されることはない)を用いて固定することができる。
【0057】
図8は、本開示の他の実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示す。この実施形態では、図8図9の上から見た図に示されるように、多数のプレート部材170の各プレート部材170は、中央開口部180を含む。振動減衰要素166は、本体開口部160内に延在する細長い本体部186であって、本体開口部160に対して固定された細長い本体部186を含むことができる。細長い本体部186は、重ねられた複数の部材170の各プレート部材170の中央開口部180を貫通している。中央開口部180及び細長い本体部186は、プレート部材170が細長い本体部186を自由にスライドするような大きさ及び形状に形成されている。従って、重ねられた複数のプレート部材170の各々は、平面状又は杯状であり、細長い本体部186を自由にスライドすることができる。
【0058】
細長い本体部186は、第1の自由端部188と、基端部130又は先端部132(図8では基端部130)に対して固定された第2の端部190とを含む。本体開口部160は、細長い本体部186の対応する外側寸法OD2(図8)よりも大きい内側寸法ID(図6)を有し、それによって、細長い本体部186は本体開口部160内で限られた範囲を移動することができ、本体開口部160内における細長い本体部186の撓みにより振動を減衰することができる。細長い本体部186は、タービンノズル112又はブレード114の本体部128の先端部132と基端部130との間を半径方向に延在するので、本体開口部160内における細長い本体部186の撓みによって振動を減衰させることができる。
【0059】
細長い本体部186の長さは、ノズル112又はブレード114内で所望の撓み及び振動減衰を実現するために望まれる長さであって、以下に説明されるように、任意の数のプレート部材170を配置するために望まれる長さとすることができる。細長い本体部186は、プレート部材170が細長い本体部186に対して自由にスライドするように所望の断面形状を有することができる。例えば、細長い本体部186及び中央開口部180は、円形又は楕円形の断面形状を有することができ、すなわち、それらは円筒形又は棒状である(例えば、図9参照)。しかしながら、他の断面形状も可能である。細長い本体部186は、特定の用途に必要とされる所望の耐振性を有する任意の材料(例えば、金属又は金属合金)で作ることができる。一部の実施形態では、細長い本体部186は、十分に高い硬度又は剛性が必要となることがあり、この場合、金属又は金属合金よりも剛性の高い代替材料(セラミックマトリックス複合材料(CMC)などであるが、この材料に限定されることはない)が必要とされることがある。図8の実施形態では、細長い本体部186は、固体部材(例えば、固体ロッド)とすることができる。
【0060】
図10は、本開示の追加の実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示す。図8及び図10において、細長い本体部186の第2の端部190は、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体部128の基端部130に対して固定され、第1の自由端部188は、先端部132に向かって延びている。図6及び図8において、複数のプレート部材180は、本体開口部160の内側端部172に接触することによって本体開口部内に保持される。図10は、重ねられた複数のプレート部材170が細長い本体部186に対して相対的に移動するのを防止するために、保持部材192が細長い本体部186の端部188に配置されている実施形態を示す。ここで、プレート部材170は、本体開口部160の端部172ではなく、保持部材192に接触している。保持部材192は、プレート部材170が細長い本体部186から滑り落ちることが防止されるような任意の形状又は大きさを有することができる。
【0061】
図11は、本開示の他の実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示す。図11において、細長い本体部186の第2の端部190は、本体部128の先端部132に対して固定されており、第1の自由端部188は、基端部130に向かって延びている。ここで、細長い本体部186の保持部材194は、重ねられた複数のプレート部材170が細長い本体部186に対して相対的に移動するのを防止する。保持部材194は、プレート部材170が細長い本体部186から滑り落ちるのを防止するような形状又は大きさを有することができる。いずれにしても、理解されるように、ブレードが回転すると、ブレード114にかかる遠心力によって、多数のプレート部材170が、タービンブレード114の本体部128の先端部132の端部172に押し付けられる。同様に、多数のプレート部材170の重量は、ばね又は他の力システム178(図8)からの補助を伴うことで、使用中に、プレート部材を、静止ノズル114の基端部130の細長い本体部186の保持部材194に付勢する。本体開口部160の先端部132の端部172は、既知の又は将来的に開発される蓋又は固定部材196によって閉じることができる。
【0062】
図8図10及び図11において、第2の端部190は、既知の方法又は将来的に開発される方法で固定することができる。タービンブレード114に使用される図11に示す一例では、第2の端部190は、タービン108(図1図2)の動作中の半径方向の負荷によって、即ち、遠心力によって固定することができる。別の例では、第2の端部190は、例えば、カプラー、締結具、及び/又は溶接を用いた結合技術によって、物理的に固定することができる。例えば、細長い本体部186は、ねじ部付き締結具によって先端部130又は基端部132に物理的に固定することができる第2の端部190を含むことができる。
【0063】
図12は、本開示の他の実施形態による振動減衰システム120を含むノズル112又はブレード114の概略断面図を示す。図12は、重ねられた複数のプレート部材170の各プレート部材170が中央開口部180を含むことを除いて、図5に実質的に類似している。図8図10、及び図11とは異なり、細長い本体部186は省略されている。
【0064】
重ねられた複数のプレート部材170は、複数の方法を用いることによってその位置が保持されてもよいし、動きが制限されてもよい。先に述べたように、細長い本体部186の保持部材192(図10)、194(図11)を使用して、プレート部材170を拘束してもよい。したがって、本開示の実施形態では、細長い本体部186の保持部材192、194を使用して、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160内において、動作状態で細長い本体部186に対してプレート部材170を保持することができる。図13は、重ねられた複数のプレート部材170が少なくとも2つのグループ200に分離されている別の実施形態の断面図を示す。図13では、3つのグループ200A~Cが示されているが、任意の数のグループを使用することができる。細長い本体部186の保持部材202は、それぞれのグループが細長い本体部186に対して相対的に移動するのを防止するために、各グループ200A~200Cの一番端のプレート部材170Xと係合する。本体開口部160の端部172が、先端部132に最も近いグループ200Aを保持してもよいし、別の保持部202(図示せず)を使用してもよい。各グループが任意の数のプレート部材170を含む任意の数のグループ200を使用して、所望の振動減衰を実現することができる。
【0065】
重ねられた複数のプレート部材170を本体開口部160に設置することは、使用中はプレート部材170を重ねられた形態で確実に位置決めする様々な方法で実行することができる。一実施形態では、プレート部材170は、重ねられた形態で(例えば、1枚ずつ及び/又はグループで)本体開口部160に慎重に位置決めすることができる。別の実施形態において、プレート部材170は細長い本体部186に位置決めされ、細長い本体部186は、本体開口部160に位置決めされ、本体開口部160に対して固定される。この方法では、図8図10図11及び図13に示すように、細長い本体部186は本体開口部160に存在し、すなわち、細長い本体部186は振動減衰システム120の一部である。
【0066】
別の実施形態では、位置決めシステム210を使用して、重ねられた複数のプレート部材170を設置することができる。図14図15は、位置決めシステム210を使用してタービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に振動減衰要素166を設置する方法の実施形態を示す。図14は、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に、重ねられた複数のプレート部材170を配置する及び/又は挿入するためのケーブル212を含む位置決めシステム210の側面図を示す。図15は、図14の位置決めシステム210を有するノズル112又はブレード114の断面図を示す。
【0067】
タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に振動減衰要素166を設置する方法は、図14に示すように、重ねられた複数のプレート部材170の各々の中央開口部180をケーブル212が貫通するように配置することを含むことができる。この実施形態では、各プレート部材170は、ケーブル212が貫通する中央開口部180を含む。プレート部材170は、重ねられたプレート部材が形成されるように、任意の方法で(例えば、プレート部材1つずつ及び/又はプレート部材をグループで)ケーブル212に配置することができる。保持体214は、多数のプレート部材170をケーブル212に保持するために、一番端のプレート部材170Xと係合する。保持体214は、ケーブル212の端部216に接続可能な構造であって、プレート部材214がケーブル212から滑り落ちることを防止するのに十分な大きさを有する構造とすることができる。図14では、プレート部材170は杯状であるが、この形状に代えて、プレート部材を平坦な形状とすることができる。ケーブル212は、複数のプレート部材170を貫通するように張架することができる細長い可撓性の要素であって、振動減衰要素166の設置に耐え、更に、運転中のタービンノズル112又はタービンブレード114の環境に耐えるのに十分な強度を有する細長い可撓性の要素とすることができる。一実施例では、ケーブル212は、金属ロープ、金属合金ロープ、織り込まれた撚線、又は単一の撚線とすることができる。
【0068】
図15は、重ねられた複数のプレート部材170を、ケーブル212が複数のプレート部材170を貫通した状態で、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に配置する様子を示す。一実施例では、当該位置決めには、重ねられた複数のプレート部材170をケーブル212を使用して垂直に吊り下げることと、保持体214が本体開口部160の端部172に到達するまで、重ねられた複数のプレート部材170を本体開口部160内に下降させることを含むことができる。ケーブル212は、本明細書で説明するように、蓋又は固定部材176に固定してもよいし、固定しない構成で残してもよい。いずれにしても、プレート部材170は、振動減衰システム120の振動減衰要素166の一部として使用されるように、本体開口部160内に重ねられた状態で配置される。この設置方法を使用する場合、振動減衰システム120の振動減衰要素166は、重ねられた複数のプレート部材170と、重ねられた複数のプレート部材170を貫通するケーブル212と、ケーブル212の端部216に結合された保持体214とを含む。保持体214は、重ねられた複数のプレート部材170の一番端のプレート170Xと係合して、重ねられた複数のプレート部材170を(少なくとも設置中に、あるいは使用中に)ケーブル212に保持する。
【0069】
図16図17は、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に振動減衰要素166を設置する方法の代替実施形態を示す。図16は、細長い中空の本体部220を含む位置決めシステム210の側面図を示す。細長い中空の本体部220は、ケーブル212を覆っており、重ねられた複数のプレート部材170の内側に存在している。図17は、細長い中空の本体部220を含む位置決めシステム210を有するノズル112又はブレード114の断面図を示す。細長い中空の本体部220は、その長さ方向に沿って中空、すなわち管状である。細長い本体部220は、他の点では、本明細書に記載の細長い本体部186と同一である。
【0070】
図16に示すように、この実施形態は、重ねられた複数のプレート部材170の中央開口部180を貫通するようにケーブル212を配置するステップと、細長い中空の本体部220が、ケーブル212を覆い、重ねられた複数のプレート部材170の各プレート部材の中央開口部180(図9)を貫通するように、細長い中空の本体部220を配置するステップとを更に含む。これらのステップは、どのような順序で実行してもよい。例えば、これらのステップは、a)プレート部材170がケーブル212を覆うようにプレート部材170を配置した後、細長い中空の本体部220がケーブル212を覆うように細長い中空の本体部220をプレート部材170に挿入するようにしてもよいし、b)プレート部材170が細長い中空の本体部220を覆うようにプレート部材170を配置した後、ケーブル212を細長い中空の本体部220に貫通させるようにしてもよい。あるいは、これらのステップを同時に実行してもよい。ケーブル212を細長い中空の本体部220に貫通させ、プレート部材170が、細長い中空の本体部220と、細長い中空の本体部220に貫通したケーブル212との両方を覆うように、プレート部材170を配置してもよい。
【0071】
図17は、重ねられた複数のプレート部材170を本体開口部160に配置するステップを示しており、このステップには、細長い中空の本体部212を使用して、重ねられた複数のプレート部材170を挿入することが含まれる。すなわち、重ねられた複数のプレート部材17を配置することには、細長い中空の本体部220とケーブル212の両方を使用することを含む。細長い中空の本体部220は、ケーブル212だけを使用する場合よりも、重ねられたプレート部材170が更にきれいに一列に並ぶように維持するのを支援することができ、プレート部材170をタービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部に挿入する間に一定の力を加えることができる。図16及び図17に示すように、振動減衰要素166を、細長い中空の本体部220及びケーブル212と共に、重ねられた複数のプレート部材170に恒久的に取り付けるために、蓋又は固定部材176を細長い中空の本体部220に結合することができる。
【0072】
この設置方法を用いる場合、振動減衰システム120の振動減衰要素166は、重ねられた減衰プレート部材170と、細長い本体部220であって、細長い本体部220の長さ方向に中空である細長い本体部220と、重ねられた複数のプレート部材170を貫通するケーブル212と、ケーブル212の端部216に結合された保持体214とを含む。この場合も、保持体214は、重ねられた複数のプレート部材170のうちの一番端のプレート170Xと係合して、重ねられた複数のプレート部材170をケーブル212に(少なくとも設置中に、あるいは使用中に)保持する。細長い中空の本体部220も保持体214に係合することができるが、これは必ずしも全ての例に必要ではないかもしれない。いずれにしても、細長い中空の本体部220は、細長い本体部186と同様に機能する。
【0073】
再び図15を参照すると、方法の代替実施形態において、重ねられた複数のプレート部材170が、図17に示すように細長い中空の本体部220を使用してタービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160に設置されると、細長い中空の本体部220は、重ねられた複数のプレート部材170内から取り外され、複数のプレート部材170をケーブル212と共に本体開口部160内に残すことができる。このプロセスは任意の形態を取ることができる。一実施例では、重ねられた複数のプレート部材170は、(例えば、プレート部材170と本体開口部の内面162との間において一番端のプレート部材170Xに対向するように配置することが可能な細長い要素(図示せず)を用いて)本体開口部160に保持することができ、細長い中空の本体部220は、重ねられた複数のプレート部材170の中央開口部180からスライドさせて本体開口部160の外に出すことができる。図15に示すように、ケーブル212は本体開口部160内に残る。
【0074】
図18は、本開示の別の実施形態による、タービンノズル112又はタービンブレード114用の振動減衰システム120の振動減衰要素266の断面図を示す。図19は、図18の振動減衰要素の概略拡大断面図である。この実施形態では、振動減衰要素266は、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体開口部160内にヘリカル金属リボンばね270を含む。本体開口部160は、内側寸法IDの内面162を有し、ヘリカル金属リボンばね270は、ノズル112又はブレード114が動いている間の振動を減衰させるために本体開口部160の内面162と摩擦係合する外側寸法OD3を有する。ヘリカルばね270は、所望の振動減衰が得られ、隣接する巻き部分の間に所望の摩擦面係合が得られる任意の適切なスプリング金属で作ることができる。ヘリカルばね270の巻き部分は、所望の幅及び/又は所望の形状を有することができ、ヘリカルばね270の接触する巻き部分の間の摩擦相互作用をカスタマイズするために、本明細書で説明されるようにプレート部材170を被覆することができる。ヘリカル金属リボンばね270の巻き部分の外縁表面は、本体開口部160の内面162と平行になるように構成することができる。任意選択で、ヘリカル金属リボンばね270の一端又は両端を任意の方法で固定することができる。
【0075】
本明細書に記載されているような細長い本体部186又は細長い中空の本体部220は、ヘリカル金属リボンばね270を貫通するように任意選択で設けることができる。
【0076】
本方法に関連して説明された実施形態では、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体部128の基端部130は、本体開口部160にアクセスする入口を提供しており、細長い本体部186、220は、基端部130において、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体部128に対して固定されている。本方法に関する本開示の教示は、アクセスする入口が先端部132によって提供される実施形態、及び/又は、細長い本体部186、220がタービンノズル112又はタービンブレード114の本体部128に対して先端部132において固定される実施形態に適用できることが認識される。
【0077】
タービンノズル112又はタービンブレード114の動作中、振動減衰システム120の振動減衰要素166は、先端部132、すなわちエアフォイル134の先端部132が、ノズル112又はブレード114の基端部130に対して相対的な動きをするように動作する。ここで、振動減衰システム120は、先端部132の撓みによる相対的な動きと、重ねられた複数のプレート部材170が互いに係合すること及び/又は本体開口部160の内面162と摩擦係合することによって、振動減衰をすることができる。備わっている場合、ヘリカル金属リボンばね270の接触面は、振動を減衰させるために同様の摩擦係合を提供する。図8図10図13図17及び図18の実施形態では、振動減衰システム120は、細長い本体部186、220の自由端部188が、先端部132、すなわちエアフォイル134と共に動き、ノズル112又はブレード114の基端部130に対して相対的な動きをするように動作する。ここで、振動減衰システム120は、細長い本体部186、220の撓みと、重ねられた複数のプレート部材170が互いに係合すること及び/又は本体開口部160の内面162と摩擦係合することを通じて、振動減衰することもできる。あるいは、備わっている場合には、ヘリカル金属リボンばね270が、重ねられたプレート部材170と同様の摩擦係合を提供する。
【0078】
振動減衰は、いくつかの方法でカスタマイズすることができる。例えば、プレート部材170のサイズ、数、形状、コーティング、厚さ、及び材料、重ねられたプレート部材170のグループ化(図13)、又は細長い本体部186又は細長い中空の本体部220を設けたり、その形態をカスタマイズする(例えば、細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の剛性、プレート部材170に対する細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の固定度合い、及び/又は細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の長さをカスタマイズする)ことができるが、これらに限定されることはない。同様に、ヘリカル金属リボンばね270が使用される場合、振動減衰は、いくつかの方法でカスタマイズすることができる。例えば、金属リボンのサイズ及び形状、巻き数、コーティング、巻き部分の厚さ、材料、又は細長い本体部186もしくは細長い中空の本体部220を設けたり、その形態をカスタマイズする(例えば、細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の剛性、ヘリカルばね270に対する細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の固定度合い、及び/又は細長い本体部186又は細長い中空の本体部220の長さをカスタマイズする)ことができるが、これらに限定されることはない。
【0079】
本体開口部160は、基端部130又は先部端132で終端してもよいし、基端部130又は先端部132を貫通してもよい。任意の形態の蓋又は固定部材176、196を設けて、開口部260を閉じ、及び/又は本体開口部160を閉じて、細長い本体部186(図17の220)の第2の端部190を基端部130に対して固定的に結合してもよい。蓋及び固定部材176、196は、細長い本体部186(図17の220)を本体開口部160の基端部130又は先端部132に対して固定的に結合する既知の又は将来的に開発される任意の構造(例えば、細長い本体部186、220用の締結具又は溶接部を有するプレート)を含むことができる。
【0080】
様々な実施形態によれば、タービンノズル112又はタービンブレード114の動作中にタービンノズル112又はタービンブレード114の振動を減衰する方法は、レベルが異なる様々な振動減衰を提供することを含む。例えば、方法は、本体開口部160内に半径方向に配置された細長い本体部186、220であって、タービンノズル112又はタービンブレード114の本体部128の先端部132と基端部130との間に延在する細長い本体部186、220が撓むことによって、振動を減衰させることができる。前述のように、細長い本体部186、220は、第1の自由端部188と、本体部128の基端部130又は先端部132に対して固定された第2の端部190とを含むことができる。本方法は、細長い本体部186、220を取り囲むことができる重ねられた複数のプレート部材170が互いに摩擦係合する及び/又は複数のプレート部材170が本体開口部160の内面162と摩擦係合することによって、振動を減衰させることもできる。
【0081】
あるいは、本方法は、細長い本体部186、220を取り囲むことができるヘリカル金属リボンばね270の巻き部分が互いに摩擦係合する及び/又は巻き部分が本体開口部160の内面162と摩擦係合することによって、振動を減衰させることもできる。重ねられたプレート部材170又はヘリカル金属リボンばね270が表面接触することによって摩擦が生じ、したがって、振動による入力エネルギーが消散する。また、摩擦力によって、細長い本体部186、220の動きが制限され、したがって変位を減少させることができる。回転ブレード114の場合、ノズル112と比較して、摩擦係合による振動減衰は増加する可能性がある。これは、遠心力が、重ねられたプレート部材170どうしの摩擦係合の力若しくはヘリカルばね270の巻き部分どうしの摩擦係合の力、及び/又は重ねられたプレート部材170若しくはヘリカルばね270の巻き部分と本体開口部160の内面162との摩擦係合の力を増加させるからである。
【0082】
本明細書で説明する一部の実施形態は、運転中に遠心力を受け、したがって、高性能の振動減衰を維持する特定の構造を必要とする回転タービンブレード114に主に適用可能であることは明らかである。しかし、上述の実施形態のいずれも、タービンノズル112又はタービンブレード114の一部とすることができる。
【0083】
本開示の実施形態は、簡単な構造でノズル112又はブレード114の振動を低減するために、重ねられた複数のプレート部材170又はヘリカル金属リボンばね270を含む振動減衰要素166を提供する。前述のように、様々な保持システムを使用して、プレート部材170の位置又はプレート部材170のグループの位置を維持することができる。振動減衰システム120は、ノズル112又はブレード114に余分な質量をそれほど加えるものではないので、振動減衰システム120は、ブレード先端部に更なる遠心力を追加することがなく、ノズル又はブレードの構成に変更を必要とすることもない。更に、振動減衰システム120が存在していると、ノズル112又はブレード114の応力を低減することができ、それによって、そのような構成要素の耐用年数を延ばすことができる。
【0084】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここに記載されたこと並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定を組み合わせること及び/又は置き換えることが可能である。文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含される全ての部分範囲を含む。範囲の特定の端の値に適用される「約」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された端の値の+/-10%を示すことができる。
【0085】
特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものを含んでいることも、開示された形態で本開示に限定することも意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの改変及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態についての開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態が選択され、かつ記載された。
【符号の説明】
【0086】
90 ターボマシン
100 ガスタービン(GT)システム
102 圧縮機
104 燃焼器
105 燃焼領域
106 燃料ノズル部
108 タービン
110 シャフト
112 タービンノズル
114 タービンブレード
115 静止ノズル部
116 ロータホイール
120 振動減衰システム
124 ケーシング
128 本体部
130 基端部
132 先端部
134 エアフォイル
136 外側端壁
138 内側端壁
140 ダブテール
142 シャンク
146 プラットフォーム
150、152 外壁
154 前縁
156 後縁
158 先端部
160 本体開口部
162 内面
166 振動減衰要素
170 プレート部材
170X 一番端のプレート部材
172 端部
174 対向端部
176 固定部材
178 力システム
180 中央開口部
186 細長い本体部
188 自由端部
190 端部
192 保持部材
194 保持部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【外国語明細書】