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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018994
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】集排水管ユニットおよび設置方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   E03F 3/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B09B1/00 F ZAB
E03F3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106636
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2022120090
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207562
【氏名又は名称】タキロンシーアイシビル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 春花
(72)【発明者】
【氏名】丸吉 克典
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】若林 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】古野間 達
【テーマコード(参考)】
2D063
4D004
【Fターム(参考)】
2D063BA02
2D063BA22
4D004BB04
4D004BB05
(57)【要約】
【課題】他の集排水管との接続が容易でありながら、支持部材に固定された集排水管と貯留場の底面部に延在する他の集排水管との接続を確実なものにできる。
【解決手段】廃棄物の貯留場に設けられる集排水管ユニット10であって、貯留場内の設置場所の設置底部に配置される底面板12と、設置場所の設置背部に配置される背面板13と、を備え、底面板12と背面板13とを熱溶接により接合して構成された支持部材11と、背面板13を貯留場の場内から場外に亘って貫通し、かつ、底面板12に場内側端部14bが支持され、かつ、背面板13と熱溶接された集排水管14と、を備える。支持部材11と集排水管14の外周面との接続を補強する補強板22,23,24を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の貯留場に設けられる集排水管ユニットであって、
前記貯留場内の設置場所の設置底部に配置される底面板と、前記設置場所の設置背部に配置される背面板と、を備える支持部材と、
前記背面板を前記貯留場の場内から場外に亘って貫通し、かつ、前記底面板に少なくとも一部が支持された集排水管であって、前記背面板と固定された前記集排水管と、を備える
集排水管ユニット。
【請求項2】
前記底面板と前記背面板とは、熱溶接によって接合されている
請求項1に記載の集排水管ユニット。
【請求項3】
前記集排水管と前記背面板とは、熱溶接によって接合されている
請求項1に記載の集排水管ユニット。
【請求項4】
前記集排水管の少なくとも一部は、前記底面板に直接的又は他の要素によって間接的に支持されている
請求項1に記載の集排水管ユニット。
【請求項5】
前記支持部材と前記集排水管の外周面との接続を補強する補強板を備える
請求項1に記載の集排水管ユニット。
【請求項6】
前記補強板は、上側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場内側に突出した外周面上側部分と、前記背面板の前記場内側の内面と、に熱溶接によって接合されている
請求項5に記載の集排水管ユニット。
【請求項7】
前記補強板は、横側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場内側に突出した外周面横側部分と、前記底面板の前記場内側の上面と、前記背面板の前記場内側の内面と、に熱溶接によって接合されている
請求項5に記載の集排水管ユニット。
【請求項8】
前記補強板は、場外側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場外側に突出した前記集排水管の外周面と、前記背面板の前記場外側の外面と、に熱溶接によって接合されている
請求項5に記載の集排水管ユニット。
【請求項9】
前記底面板と前記背面板とがなすコーナ部の前記場内側に設けられる溶接部分の脚長は、前記背面板の板厚以上である
請求項2に記載の集排水管ユニット。
【請求項10】
前記背面板から前記場内側に突出した前記集排水管の外周面下側部分と前記底面板の上面との間には、隙間が構成される場合があり、
前記隙間には、充填剤が詰められる
請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の集排水管ユニット。
【請求項11】
前記設置底部と対向する前記底面板の外面および前記設置背部と対向する前記背面板の外面のうち少なくとも一方の外面は、アンカーを備えている
請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の集排水管ユニット。
【請求項12】
廃棄物を貯留する貯留場の設置場所に集排水管ユニットを配置する設置方法であって、
前記集排水管ユニットは、底面板と背面板とを備える支持部材と、前記背面板を前記貯留場の場内から場外に亘って貫通し、かつ、前記底面板に少なくとも一部が支持された集排水管であって、前記背面板と固定された前記集排水管と、を備え、
前記底面板を、前記設置場所を構成する設置底部に配置するとともに、前記背面板を、前記設置場所を構成する設置背部に配置する工程と、
前記支持部材の周縁部を覆うように遮水シートを配置し、前記遮水シートを、前記支持部材の場内側の面に固定する工程と、を備える
設置方法。
【請求項13】
前記底面板と前記背面板とは、熱溶接によって接合されており、
前記集排水管ユニットは、前記底面板と前記背面板とがなすコーナ部の場内側に設けられる溶接部分の脚長は、前記背面板の板厚以上であり、
前記遮水シートを配置する工程では、前記溶接部分に前記遮水シートを沿わすように配置して熱溶接する
請求項12に記載の設置方法。
【請求項14】
前記背面板から前記場内側に突出した前記集排水管の外周面下側部分と前記底面板の上面との間に隙間が構成されている場合に、前記隙間に対して、充填剤が詰める工程をさらに備える
請求項12または13に記載の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場等の遮水構造に用いられる集排水管ユニットおよび集排水管ユニットを設置するための設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場において、廃棄物を貯留する貯留場から外部に汚水など浸出水が漏出することを防ぐため、貯留場の内部と外部の境界には、遮水シートが敷設されている。貯留場の内部で生じた浸出水は、遮水シートを貫通して延びる集排水管を通って浸出水処理施設へと運ばれる。
【0003】
例えば、特許文献1の排水構造は、貯留提の内壁に遮水シートを配設し、貯留提を貫通した筒状部および筒状部に接続された集排水管を介して貯留提内部の浸出水を外部に排水される。筒状部の端部は、貯留提の底部とほぼ同じ高さにおいて、貯留提の内部に臨む前壁と面一である。集排水管に端部は、前壁と面一の筒状部の端部と接続される。
【0004】
また、特許文献2は、集排水管としての連通管が側面を構成する背面より突出し、かつ、連通管が底面と離間している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-321933号公報
【特許文献2】特開2016-175068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の筒状部と集排水管との接続は、筒状部の端部に対して集排水管の端部を突き合わせて接合することしかできない。このため、貯留提の内部に廃棄物が貯留されて、集排水管に荷重が加わると、集排水管の端部と筒状部の端部との突合がずれ漏水のおそれが生じる。また、筒状部の端部は、前壁と面一であることから、集排水管の端部との突合部をコンクリートで巻き立てて補強することも困難である。
【0007】
また、特許文献2は、連通管が背面より突出し、かつ、連通管が底面と離間しているので、連通管の根元部分が撓んでしまうおそれがある。連通管に加わる荷重によって連通管の根元が撓んでしまった場合には、連通管の根元部分と背面との接合部分が破損してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための集排水管ユニットは以下のような態様を有する。
〔態様1〕廃棄物の貯留場に設けられる集排水管ユニットであって、前記貯留場内の設置場所の設置底部に配置される底面板と、前記設置場所の設置背部に配置される背面板と、を備える支持部材と、前記背面板を前記貯留場の場内から場外に亘って貫通し、かつ、前記底面板に少なくとも一部が支持された集排水管であって、前記背面板と固定された前記集排水管と、を備える集排水管ユニット。
【0009】
上記構成によれば、集排水管が背面板から場内側に突出していることで、他の集排水管との接続が容易となる。さらに集排水管が底面板に少なくとも一部が接することで、場内側に突出した集排水管を底面板で支持できる。その結果、集排水管の支持部材に対する根元の撓みを抑えることができ、支持部材に固定された集排水管と貯留場の底面部に延在する他の集排水管との接続を確実なものにできる。
【0010】
〔態様2〕前記底面板と前記背面板とは、熱溶接によって接合されている〔態様1〕に記載の集排水管ユニット。
上記構成によれば、底面板と背面板とのコーナ部分において、場内側から場外側への浸出水の漏出を抑制できる。
【0011】
〔態様3〕前記集排水管と前記背面板とは、熱溶接によって接合されている〔態様1〕に記載の集排水管ユニット。
上記構成によれば、集排水管と背面板とのコーナ部分において、場内側から場外側への浸出水の漏出を抑制できる。
【0012】
〔態様4〕前記集排水管の少なくとも一部は、前記底面板に直接的又は他の要素によって間接的に支持されている〔態様1〕に記載の集排水管ユニット。
上記構成によれば、集排水管の少なくとも一部が他の要素によって間接的に支持される構成とすることで、集排水管と底面板との間の隙間を大きくすることができる。これにより、集排水管と底面板との間に、別の配管等を挿通することができる。
【0013】
〔態様5〕前記支持部材と前記集排水管の外周面との接続を補強する補強板を備える〔態様1〕に記載の集排水管ユニット。
上記構成によれば、支持部材と集排水管との接合を補強することができる。
【0014】
〔態様6〕前記補強板は、上側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場内側に突出した外周面上側部分と、前記背面板の前記場内側の内面と、に熱溶接によって接合されている〔態様5〕に記載の集排水管ユニット。
【0015】
上記構成によれば、上側補強板によって、集排水管と背面板との溶接部分が場内側に突出した集排水管に対する荷重によって破損することを抑制できる。
〔態様7〕前記補強板は、横側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場内側に突出した外周面横側部分と、前記底面板の前記場内側の上面と、前記背面板の前記場内側の内面と、に熱溶接によって接合されている〔態様5〕または〔態様6〕に記載の集排水管ユニット。
【0016】
上記構成によれば、横側補強板によって、底面板と背面板との溶接部分および集排水管と背面板との溶接部分が、支持部材や場内側に突出した集排水管に対する荷重により破損することを抑制できる。
【0017】
〔態様8〕前記補強板は、場外側補強板であって、前記集排水管の前記背面板から前記場外側に突出した前記集排水管の外周面と、前記背面板の前記場外側の外面と、に熱溶接によって接合されている〔態様5〕ないし〔態様7〕のうち何れか1つに記載の集排水管ユニット。
【0018】
上記構成によれば、場外側補強板によって、場外側にコンクリートを打設する際に、集排水管の背面板から場外側に突出した部分が揺らぐことを抑制できる。
〔態様9〕前記底面板と前記背面板とがなすコーナ部の前記場内側に設けられる溶接部分の脚長は、前記背面板の板厚以上である〔態様1〕ないし〔態様8〕のうち何れか1つに記載の集排水管ユニット。
【0019】
支持部材は、その周縁部が遮水シートによって被覆し、遮水シートを支持部材の場内側の内面に融着する。この際に、底面板と背面板とがなすコーナ部の場内側に設けられる溶接部分は、脚長が背面板の板厚以上とすることで、広面積となる。したがって、当該部分にも、遮水シートを沿わして配置することができる。すなわち、遮水シートを溶接部分に隙間なく配置できる。
【0020】
〔態様10〕前記背面板から前記場内側に突出した前記集排水管の外周面下側部分と前記底面板の上面との間には、隙間が構成される場合があり、前記隙間には、充填剤が詰められる〔態様1〕ないし〔態様9〕のうち何れか1つに記載の集排水管ユニット。
【0021】
上記構成によれば、背面板から場内側に突出した集排水管の外周面下側部分を充填剤で支持でき、その結果、同部分を底面板側に撓みにくくできる。
〔態様11〕前記設置底部と対向する前記底面板の外面および前記設置背部と対向する前記背面板の外面のうち少なくとも一方の外面は、アンカーを備えている〔態様1〕ないし〔態様10〕のうち何れか1つに記載の集排水管ユニット。
【0022】
上記構成によれば、底面板の外面および背面板の外面のうち少なくとも一方の外面に設けられたアンカーが設置場所に食い込むことで、設置状態が強固となる。
〔態様12〕廃棄物を貯留する貯留場の設置場所に集排水管ユニットを配置する設置方法であって、前記集排水管ユニットは、底面板と背面板とを備える支持部材と、前記背面板を前記貯留場の場内から場外に亘って貫通し、かつ、前記底面板に少なくとも一部が支持された集排水管であって、前記背面板と固定された前記集排水管と、を備え、前記底面板を、前記設置場所を構成する設置底部に配置するとともに、前記背面板を、前記設置場所を構成する設置背部に配置する工程と、前記支持部材の周縁部を覆うように遮水シートを配置し、前記遮水シートを、前記支持部材の場内側の面に熱溶接する工程と、を備える設置方法。
【0023】
〔態様13〕前記底面板と前記背面板とは、熱溶接によって接合されており、前記集排水管ユニットは、前記底面板と前記背面板とがなすコーナ部の場内側に設けられる溶接部分の脚長は、前記背面板の板厚以上であり、前記遮水シートを配置する工程では、前記溶接部分に前記遮水シートを沿わすように配置して熱溶接する〔態様12〕に記載の設置方法。
【0024】
〔態様14〕前記背面板から前記場内側に突出した前記集排水管の外周面下側部分と前記底面板の上面との間に隙間が構成されている場合に、隙間に対して、充填剤が詰める工程をさらに備える〔態様12〕または〔態様13〕に記載の設置方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、他の集排水管との接続などの設置作業を容易としながら、支持部材に固定された集排水管と貯留場の底面部に延在する他の集排水管との接続を確実なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第1実施形態における、クローズドシステム型処分場を示す斜視図である。
図2】第1実施形態における、集排水管ユニットの設置状態を示す断面図である。
図3】第1実施形態における、集排水管ユニットを貯留地の場内側から見た斜視図である。
図4】第1実施形態における、集排水管ユニットを貯留地の場外側から見た斜視図である。
図5】第1実施形態における、底面板と背面板との溶接部分の脚長、および、集排水管と底面板との間に構成される底面板との間に構成される隙間を説明する断面図である。
図6】第1実施形態における、集排水管ユニットを場内側から見た分解斜視図である。
図7】第1実施形態における、集排水管ユニットの製造工程を説明する工程図である。
図8】第1実施形態における、集排水管ユニットを設置するための設置方法を説明する工程図である。
図9】第1実施形態において、設置底部となる位置に、集排水管ユニットを設置するためのユニット据付架台を設置した状態を説明する図である。
図10】第1実施形態において、設置背部となる位置に、集排水管ユニットを設置するための鉄筋を設置した状態を説明する図である。
図11】第1実施形態において、設置背部となる位置に、集排水管ユニットを設置するための型枠を設置した状態を説明する図である。
図12】第1実施形態において、設置背部となる位置に設置された型枠にコンクリートを打設した状態を説明する図である。
図13】第2実施形態における、集排水管ユニットを貯留地の場内側から見た斜視図である。
図14】第3実施形態における、オープン型処分場を示す斜視図である。
図15】第3実施形態における、貯留地の法面に設置される集排水管ユニットを場内側から見た斜視図である。
図16】第3実施形態における、貯留地の法面に設置される集排水管ユニットを場外側から見た斜視図である。
図17】第4実施形態における、貯留地の法面に設置される集排水管ユニットを場内側から見た斜視図である。
図18】第1実施形態の変形例における、集排水管ユニットの設置状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明が適用された集排水管ユニットについて図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
〔クローズドシステム型処分場〕
図1に示すように、クローズドシステム型処分場1は、廃棄物を貯留する貯留場2を屋根などの覆蓋施設3で覆った最終処分場である。これにより、浸出水2aの発生量の抑制、廃棄物の飛散防止などを実現できる。貯留場2は、例えば、土質遮水層の上に複数種類のシートを積層した遮水シート9を配設し、さらに遮水シートの保護のため、保護マットを敷設している。貯留場2の底面部4には、浸出水2aを集排水する底面部集排水管5が配設されている。底面部集排水管5は、表面に多数の貫通孔を備えた高開孔率の管であって吸水性に優れた管である。底面部集排水管5の周囲には、ぐり石、フィルター材などの裏込材が敷設されている。
【0028】
貯留場2は、一例として埋立ピットである。貯留場2は、底面部4と、底面部4の周囲に立設された貯留提の側面を構成する直壁6とを備えている。直壁6は、例えばコンクリート打設後、遮水シート9を融着し、さらに保護マットを敷設して構成されている。底面部4と直壁6のなすコーナ部には、底面部集排水管5と接続される集排水管ユニット10が配置される。
【0029】
〔集排水管ユニット〕
図2および図3に示すように、集排水管ユニット10の設置場所は、底面部4に構成される設置底部7と、直壁6に構成される設置背部8と、を備えている。集排水管ユニット10は、設置場所に設置される支持部材11と、支持部材11と一体的に固定される集排水管14と、を備えている。
【0030】
〔支持部材〕
支持部材11は全体がL字形状を有している。支持部材11は、底面板12と、背面板13と、を備えている。底面板12および背面板13は、ポリエチレン、オレフィン、ガラス繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の成形体である。集排水管14も、ポリエチレン、オレフィン、ガラス繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の成形体である。底面板12および背面板13の厚さは、例えば30mm以上である。
【0031】
底面板12および背面板13は、一例として矩形平板である。底面板12に対する背面板13の傾きは、設置場所における設置底部7に対する設置背部8の傾きに対応する。本実施形態では、設置底部7に対する設置背部8の傾きが直角であるので、底面板12に対する背面板13の角度も直角である。
【0032】
図5に示すように、底面板12と一辺と背面板13とは、熱溶接によって接合される。具体的に、底面板12の上面であって、一辺に沿う位置に、背面板13の一辺を構成する端面が突き合わされる。そして、底面板12と一辺と背面板13の一辺とで構成されるコーナ部16bの外側は、開先溶接15によって接合されている。ここでの開先は、一例としてV形である。
【0033】
場内側となる底面板12と一辺と背面板13の一辺とがなすコーナ部16bの内側は、化粧溶接16が施されている溶接部分である。化粧溶接16は、コーナ部16bの全長に亘って設けてもよいが、本実施形態では集排水管14に対応する位置を避けるように設けられている(図6参照)。コーナ部16bの全長に亘って溶接を行う場合は、開先溶接15とともに強度を高めることができる。底面板12の場内側の上面および背面板13場内側の内面は、遮水シート9が配置される面である。したがって、化粧溶接16は、コーナ部16bにおいても、遮水シート9が沿うように配置できるように広い傾斜面16aを構成する。
【0034】
一例として、化粧溶接16は、脚長Lが背面板13の板厚T以上となるように構成されている。好ましくは、脚長Lが背面板13の板厚Tよりも大きくなるように構成されている。このような場所での脚長Lは、背面板13の板厚Tよりも小さいことが多いが、本実施形態では、背面板13の板厚T以上とすることで、表面の傾斜面16aをより広面積なものとする。これにより、傾斜面16aに遮水シート9が倣うように配置され易くなる。
【0035】
図6に示すように、背面板13には、集排水管14を挿通するための貫通孔17が形成されている。貫通孔17が設けられる位置は、背面板13の中でコーナ部16bを構成する一辺に隣接して設けられている。具体的に、背面板13において、貫通孔17は、その下端がコーナ部16bを構成する背面板13の一辺から管本体14aの外径と場内側端部14bの外径の差分の寸法だけ離間するように設けられている。集排水管14は、その管軸が底面板12と平行、すなわち背面板13に対して垂直に延びる。
【0036】
底面板12の外面は、設置底部7との対向面である。底面板12の外面は、アンカーを構成するためのアンカーシート26が熱溶接される。アンカーシート26も、ポリエチレン、オレフィン、ガラス繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂の成形体である。アンカーシート26は、シート基材26aと、シート基材26aの一方の面に成形された複数のスタッド26bと、を備えている。複数のスタッド26bは、各々が突起形状を有し、シート基材26aの一方の面に散点的に設けられている。また、シート基材26aの一方の面に互いに平行に突条突部が設けられている。何れの形状の場合であっても、各スタッド26bは、先端部に膨出部を備え、先端部より下側の根本部にくびれ部を備えている。これにより、スタッド26bは、打設されるコンクリートに食い込むことができる。スタッド26bとしては、2つの突部がシート基材26aからV字形状に突出する構成であってもよい。
【0037】
アンカーシート26は、シート基材26aの周囲が底面板12の外面に、熱溶接される。底面板12の外面は、シート基材26aを接着剤などで固定するようにしてもよい。また、アンカーシート26は、熱溶接と接着剤で固定するようにしてもよい。アンカーシート26は、底面板12の外面の幅方向に延在される。そして、底面板12の外面において、2か所設けられる。アンカーシート26の配置位置は、底面板12が設置底部7に強固に固定されるのであれば特に限定されるものではない。本実施形態において、アンカーシート26は、一例として、底面板12の外面における集排水管14と重なる位置と、これより先端側であって集排水管14と重ならない位置に配置される。
【0038】
アンカーシート26は、背面板13の外面にも、幅方向に延在するように熱溶接される。背面板13の外面は、設置背部8との対向面である。本実施形態において、背面板13の外面には、アンカーシート26は1か所に設けられる。
【0039】
アンカーシート26のスタッド26bは、設置底部7および設置背部8を構成するコンクリートに食い込むことによって、支持部材11の設置底部7および設置背部8に対する接合強度を高める。
【0040】
なお、底面板12の外面に設けられるアンカーシート26は、突条のスタッド26bの延在方向が前後方向となるように設けてもよい。また、背面板13の外面に設けられるアンカーシート26は、突条のスタッド26bの延在方向が上下方向となるように設けてもよい。このようにアンカーシート26を配置しても、突条のスタッド26bを幅方向に延在させた場合と同様な効果を得ることができる。
【0041】
〔集排水管〕
ここで、集排水管14は、直管であって、管本体14aと、場内側端部14bと、場外側端部14cと、を備えている。場内側端部14bは、一例として受口部である。したがって、受口部としての場内側端部14bは、管本体14aに対して外径が大径である。受口部の内径も、差口部が挿入される分、管本体14aの内径よりも大径である。場外側端部14cは、一例として差口部である。差口部としての場外側端部14cは、管本体14aに対して外径が同じまたは若干大きい。場外側端部14cの内径は、管本体14aの内径と同じである。集排水管14は、場外側端部14cを挿入端として、貫通孔17に対して、場外側端部14cが場外側に位置するように嵌入される。場内側端部14bは、底面板12上に位置する。
【0042】
例えば、場内側端部14bは、背面板13の内面から1mm以上突出する。場外側端部14cも、背面板13の外面から1mm以上突出する。また、管本体14aにおける内径は、例えば300mm以上である。また、貫通孔17の位置には、管本体14aが位置する。場内側端部14bの先端位置は、底面板12の先端よりも突出しない長さである。これによって、底面板12の先端部分にも、遮水シート9を延在させることが可能となる。本実施形態では、例えば、底面板12の先端は、場内側端部14bの先端から200mm以上先の位置に位置する。したがって、場内側端部14bの先端は、底面板12の先端からはみ出さない。
【0043】
なお、図示しないが、集排水管14は、差口部が構成された場外側端部14cを挿入端として、貫通孔17に対して、受口部が構成された場内側端部14bが場外側に位置するように嵌入することもできる。この場合、差口部として構成された場外側端部14cは、底面板12上に位置する。集排水管14の両端部が差口部で構成されている場合は、何れかの端部を挿入端として、貫通孔17に対して嵌入する。この場合も、一方の端部に構成された差口部は、底面板12上に位置する。
【0044】
また、底面板12の幅は、管本体14aの両横に、横側補強板23を配置できる十分な大きさを備える。例えば、底面板12および背面板13の幅は、管本体14aの外径に、例えば200mmを加え、さらに2枚の横側補強板23の厚さを加えた寸法とされる。背面板13の高さは、管本体14aの外径に200mmを加え、さらに上側補強板22の高さを加えた寸法とされる。
【0045】
図4に示すように、背面板13の場外側の外面において、背面板13と集排水管14とは、熱溶接21によって、集排水管14の外周に沿って接合される。また、集排水管14の一部である受口部としての場内側端部14bの外周面は、底面板12の上面に接することで支持される。なお、背面板13の内面において、集排水管14の外周面と貫通孔17の周囲とは、化粧溶接することもできる。また、場内側端部14bの外周面と底面板12の上面とも化粧溶接することもできる。
【0046】
図5に示すように、場内側端部14bと背面板13との間において、管本体14aの外周面下側部分と底面板12の上面との間には、管本体14aの外径と場内側端部14bの外径の差分に相当する高さの隙間19が設けられる。隙間19は、場内側端部14bの管本体14a側の端とコーナ部16bとによって区画される。隙間19には、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)、シーリング材、セメント改良土、流動化処理土、コンクリートなどの充填剤20が詰められる。これにより、管本体14aにおいて、場内側端部14bの端とコーナ部16bとの間の領域を充填剤20が支持するので、管本体14aの同領域が底面板12側に撓みにくくできる。
【0047】
〔補強板〕
図2に示すように、支持部材11に対する集排水管14との固定は、補強板によって補強されている。具体的に、図3に示すように、背面板13の内面において、背面板13と集排水管14とは、上側補強板22によって補強されている。また、集排水管14と底面板12と背面板13とは、横側補強板23によって補強されている。上側補強板22および横側補強板23は、場内側に配置される場内側補強板である。上側補強板22および横側補強板23も、底面板12、背面板13、および、集排水管14と同じ材料の成形品である。
【0048】
図3および図6に示すように、上側補強板22は、その外径形状が直角三角形である。上側補強板22は、直角部分が管本体14aの外周面上側部分と背面板13の内面とがなす角に位置するように配置されることで、外周面上側部分と背面板13の内面に隙間なく配置される。そして、上側補強板22における、背面板13の内面および管本体14aの外周面上側部分の接合は、熱溶接22bによって接合される。上側補強板22には、フックなどの吊下具を係合させるための孔22aが形成されている。このような上側補強板22は、管本体14aと背面板13と熱溶接21などが場内側に突出した集排水管14に対する荷重により破損することを抑制する。上側補強板22の外径形状は、直角部分を有していれば、その直角三角形の他、四角形形状であってもよい。
【0049】
横側補強板23は、集排水管14の外周面横側部分に配置される板材であって、全体が矩形形状を有している。横側補強板23は、管本体14aの左右両側に立てられるように配置される。横側補強板23は、板面が集排水管14の管軸と平行となるように配置される。横側補強板23における、背面板13の内面、底面板12の上面、および管本体14aの外周面横側部分の接合は、熱溶接23bによって接合される。横側補強板23には、フックなどの吊下具を係合させるための孔23aが形成されている。このような横側補強板23は、底面板12と背面板13との開先溶接15および管本体14aと背面板13との熱溶接21などが場外側に突出した集排水管14に対する荷重による破損を抑制する。勿論、横側補強板23は、コーナ部16bに位置合わせするため、直角部分を有し、かつ管本体14aの外周面横側部分と接する大きさを有していれば、矩形形状に限定されるものではなく、例えば直角三角形などであってもよい。
【0050】
さらに、図4および図6に示すように、背面板13の外面において、集排水管14と背面板13とは、場外側補強板24によって補強されている。場外側補強板24も、底面板12、背面板13、および集排水管14と同じ材料の成形品である。場外側補強板24は、その外径形状が直角三角形である。場外側補強板24は、直角部分が管本体14aの外周面上側部分と背面板13の外面とがなすコーナ部に位置するように配置されることで、外周面上側部分と背面板13の外面に隙間なく配置される。一例として、場外側補強板24は、集排水管14の管軸を中心に放射方向に延び、かつ、等間隔に配置される。そして、場外側補強板24における、背面板13の外面および管本体14aの外周面上側部分の接合は、熱溶接24aによって接合される。このような場外側補強板24は、場外側の設置背部8を成形するためコンクリートを打設する際に、集排水管14の背面板13から場外側に突出した部分が揺らぐことを抑制できる。
【0051】
なお、上側補強板22および場外側補強板24は、同じ構成であって、部品を共通化して、部品点数の削減が図られている。勿論、上側補強板22および場外側補強板24は、異なる構成としてもよい。
【0052】
〔製造方法〕
次に、集排水管ユニット10の製造方法について図7を参照して説明する。
集排水管ユニット10は、先ず、貫通孔17を備えた背面板13を用意する(工程101)。背面板13は、熱可塑性樹脂の成形品であって、貫通孔17は、成形によって設けてもよいし、成形後に、切断装置で形成してもよい。
【0053】
次いで、底面板12を用意し、次いで、底面板12と背面板13とを熱溶接によって接合する(工程102)。具体的に、底面板12の上面であって、一辺に沿う位置に、底面板12の一辺を構成する端面が突き合わされる。ここで、底面板12の一辺と背面板13とで構成されるコーナ部の外側は、開先が設けられている。底面板12と一辺と背面板13の一辺とは、開先溶接15によって接合される。底面板12の一辺と背面板13とで構成されるコーナ部の内側は、化粧溶接16が施される。なお、化粧溶接16は、脚長が足りなかった場合など、設置場所に集排水管ユニット10が設置されてから遮水シート9が敷設される前に行うこともできる。
【0054】
背面板13の貫通孔17には、集排水管14が挿入される(工程103)。一例として、集排水管14は、場外側端部14cを挿入端として、貫通孔17に対して、場外側端部14cが場外側に位置するように嵌入される。背面板13の外面において、背面板13と集排水管14とは、熱溶接21によって、集排水管14の外周面に沿って接合される。場内側端部14bの外周面下側部分は、底面板12上に当接し、底面板12の上面と管本体14aの外周面下側部分との間であって、かつ、場内側端部14bの管本体14a側の端とコーナ部16bとの間には、隙間19が構成される。
【0055】
次いで、支持部材11と集排水管14とは、補強板によって補強される(工程104)。具体的に、上側補強板22が管本体14aの外周面上側部分と背面板13の内面との角に配置され、その後、熱溶接22bより接合される。また、横側補強板23が管本体14aの左右両側に立てられるように配置され、その後、熱溶接23bにより接合される。さらに、場外側補強板24が管本体14aの外周面横側部分と背面板13の外面との角に配置され、その後、熱溶接24aにより接合される。
【0056】
底面板12の外面および背面板13の外面には、アンカーシート26が熱溶接される。アンカーシート26が支持部材11に設けられるタイミングは、底面板12および背面板13を熱溶接する(工程102)前または後でもよいし、集排水管14を挿通する(工程103)前や後でもよいし、さらに補強板を熱溶接する(工程104)前または後でもよい。
【0057】
以上のように製造された集排水管ユニット10は、孔22a,23aにクレーンなどの吊下げ装置のフックを係合させて運搬装置などに移送することができる。また、集排水管ユニット10は、運搬装置から設置場所へも吊下げ装置によって移送される。
【0058】
〔設置方法〕
次に、集排水管ユニット10を設置場所に設置するための設置方法について図8を参照して説明する。
【0059】
集排水管ユニット10の設置場所は、底面部4と直壁6のなすコーナ部である。貯留場2を構成する底面部4も直壁6もRC(Reinforced Concrete)構造であって、鉄筋を組んで、型枠にコンクリートを流し込んで構成される。図9に示すように、設置底部7となる位置には、コンクリートの打設時、ユニット据付架台27を設置して、ユニット据付架台27に集排水管ユニット10を設置する(工程110)。そして、図10に示すように、底面部4および設置底部7を構築するため型枠内にコンクリートを打設する(工程111)。このとき、設置底部7の表面と底面板12の上面とが面一とされる。
【0060】
次いで、図10に示すように、集排水管ユニット10を直壁6および設置背部8を構築するための鉄筋28などに補強筋などを使って固定する。そして、図11に示すように、直壁6を構築するための型枠29を組む。このとき、場内側の壁面を構築するための一方の型枠29aは、背面板13の内面に沿うように添接される。そして、図12に示すように、直壁6および設置背部8を造成するため型枠29内にコンクリートを打設し、直壁6および設置背部8を構築する(工程112)。これにより、設置背部8の表面と背面板13の内面とが面一となる。
【0061】
そして、集排水管14の場外側端部14cは、浸出水集水ピット、浸出水処理施設などの施設と接続された場外集排水管と接続される。一例として、場外集排水管の接続端部と集排水管14の場外側端部14cとは、EF融着接合、ゴム輪接合、溶接などによって接続される。さらに、場内側端部14bには、底面部4に設置された底面部集排水管5の接続端部が接続される。一例として、場内側端部14bと底面部集排水管5の接続端部とは、EF融着接合、ゴム輪接合、溶接などによって接続される。
【0062】
なお、EF融着接合は、電熱線の通電により溶融し、受口部の内周面と差口部の外周面を一体化させる継手接合である。ゴム輪接合は、ゴム製ガスケットを受口部の内周面と差口部の外周面との間に介在させる継手接合である。溶接は、受口部の内周面に対して差口部の先端を溶接する継手接合である。
【0063】
次いで、底面部4および直壁6は、遮水シート9が敷設される(工程113)。集排水管ユニット10において、遮水シート9は、背面板13から場内側に露出した管本体14aおよび場内側端部14bを除き、底面板12および背面板13を被覆するように配置される。そして、底面板12および背面板13は、底面部4に広げられた遮水シート9と熱溶接される。設置底部7の表面と底面板12の上面とが面一に構築されているので、遮水シート9を底面板12に熱溶接する作業が容易となる。また、設置背部8の表面と背面板13の内面とも面一に構築されているので、遮水シート9を背面板13に熱溶接する作業が容易となる。
【0064】
遮水シート9は、ここでは複数層で構成されており、一例として、下層保護マット、下層遮水シート、中間保護マット、上層遮水シートなどが積層されて構成されている。そして、この順で下層から一層ずつ敷設される。各シートは、例えばポリエチレン製シートやオレフィン系熱可塑性シート、塩化ビニルシートなどの様々な弾性および可撓性を有する弾性シートである。これらの遮水シートは、熱融着可能な熱可塑性樹脂シートである。
【0065】
なお、底面板12の端には、底面部4との間に段差が形成されることもある。例えば、底面板12の上面よりも遮水シート9の敷設前の底面部4の表面の方が一段低くなることがある。このような場合、段差には、保護マットなどの間詰材が間詰される。支持部材11の外側部分における遮水シート9上には、上層保護マット、遮水工保護マットなどで構成された保護マットが敷設される。保護マットは、短繊維不織布、長繊維不織布、反毛フェルトなどで構成されている。
【0066】
次いで、底面板12の上面と管本体14aの外周面下側部分との間の隙間19には、充填剤20が詰められる(工程114)。その後、底面部4には、裏込材などが敷設される。一例として、底面板12には、充填剤20を打設するための型枠が設置されて、型枠内に、充填剤20が詰められる。
【0067】
〔第1実施形態の効果〕
以上のような第1実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(1-1)集排水管14が背面板13から場内側に突出していることで、底面部集排水管5との接続が容易となる。さらに、場内側端部14bが底面板12に支持されることで、場内側に突出した集排水管14が底面板12の方向に撓みにくくなる。その結果、支持部材11に固定された集排水管14と底面部集排水管5との接続を確実なものにできる。
【0068】
(1-2)集排水管14の下側には、底面板12が配置されているので、集排水管14の下側に、浸出水2aが滞留することを防ぐことができる。また、遮水シート9も、底面板12と熱溶接によって接合する必要があっても、集排水管14の下にまで延在させる必要がなくなる。したがって、遮水シート9と底面板12との熱溶接作業も容易なものとなる。
【0069】
(1-3)底面板12と背面板13とは、開先溶接15によって接合されている。したがって、支持部材11において、底面板12と背面板13とのコーナ部分において、場内側から場外側への浸出水の漏出を抑制できる。
【0070】
(1-4)集排水管14と背面板13とは、熱溶接21によって接合されている。したがって、集排水管14と背面板13との境界部分において、場内側から場外側への浸出水の漏出を抑制できる。
【0071】
(1-5)クローズドシステム型処分場1は、貯留場2の側壁が直壁6で構成されることが多いところ、集排水管ユニット10は、底面板12と背面板13とが直角となるように接合されている。したがって、集排水管ユニット10は、背面板13を直壁6に沿わすように固定することができる。
【0072】
(1-6)集排水管14は、場内側において、背面板13よりも突出していても、場内側端部14bが底面板12の上面に接して支持されるので、場内側端部14bと底面部集排水管5との接続を確実なものにできる。
【0073】
(1-7)支持部材11に対する集排水管14との固定は、補強板22,23,24によって補強することができる。
(1-8)具体的に、上側補強板22によって、集排水管14と背面板13との溶接部分が場内側に突出した集排水管14に対する荷重による破損を抑制できる。
【0074】
(1-9)横側補強板23によって、底面板12と背面板13との溶接部分および集排水管14と背面板13との溶接部分が、支持部材11や場内側に突出した集排水管14に対する荷重による破損を抑制できる。
【0075】
(1-10)場外側補強板24によって、場外側にコンクリートを打設する際に、集排水管14の背面板13から場外側に突出した部分が揺らぐことを抑制できる。
(1-11)底面板12および背面板13の周縁部を覆うように遮水シート9を配置し、遮水シート9を底面板12および背面板13の周縁部に熱溶接する。この際に、コーナ部16bの場内側に設けられる溶接部分は、脚長Lが背面板13の板厚T以上なので、広面積となる。したがって、当該部分にも、遮水シート9を沿わして配置することができる。すなわち、遮水シート9を傾斜面16aに隙間なく配置できる。これにより、遮水シート9を傾斜面16aに隙間なく配置できる。
【0076】
(1-12)隙間19には、充填剤20が詰められる。これにより、隙間19を区画する、管本体14aの外周面下側部分や、場内側端部14bの管本体14a側の端やコーナ部16bを、充填剤20により保護することができる。また、管本体14aにおいて、場内側端部14bの端とコーナ部16bとの間の領域を充填剤20が支持するので、管本体14aの同領域が底面板12側に撓みにくくできる。
【0077】
(1-13)底面板12の外面および背面板13の外面の各々には、アンカーシート26が設けられている。したがって、底面板12の外面には、設置底部7に強固に固定できる。また、背面板13の外面には、設置背部8に強固に固定できる。
【0078】
〔第2実施形態〕
図13は、第2実施形態としての集排水管ユニット30である。集排水管ユニット30もクローズドシステム型処分場1に設置される。この集排水管ユニット30において、集排水管14は、場内側端部が受口部で構成されていない。集排水管14は、外周面下側部分が底面板12の上面に線接触する。なお、第1実施形態では管本体14aと底面板12との間に隙間19が設けられていたが、本実施形態では隙間19は設けられておらず、充填剤20も使用されていない。ただし、集排水管14の外周面下側部分と底面板12の上面とは化粧溶接をしてもよい。このような集排水管14は、その一端と底面部集排水管5の一端とが例えばバット融着接合や突合せ接合される。
【0079】
以上のような集排水管ユニット30によっても、第1実施形態の集排水管ユニット10と同様な作用効果を実現することができる。
〔第3実施形態〕
〔オープン型処分場〕
図14に示すように、オープン型処分場41は、廃棄物を貯留する貯留場42に覆蓋施設は設けられておらず、自然の降雨によって埋立廃棄物の安定化を図る最終処分場である。オープン型処分場41でも、貯留場42の底面部43には、浸出水2aを集排水する底面部集排水管45が配設されている。底面部集排水管45の周囲には、裏込材が敷設されている。貯留場2の側壁は、直壁ではなく、法面壁44で構成されていることが多い。オープン型処分場41では、底面部43と法面壁44のなすコーナ部には、底面部集排水管45と接続される集排水管ユニット50が配置される。オープン型処分場41では、側壁が法面壁44で構成されているため、直壁6に対応した第1実施形態の集排水管ユニット10や集排水管ユニット30を使用することは困難である。第3実施形態での集排水管ユニット50は、底面部43と法面壁44とがなすコーナ部に設置可能に構成されている。
【0080】
〔集排水管ユニット〕
図15に示すように、集排水管ユニット50は、設置場所に設置される支持部材51を備えている。支持部材51も、底面板52と、背面板53と、を備えている。底面板52および背面板53は、熱可塑性樹脂の成形体であって、かつ、一例として矩形平板である。底面板52に対する背面板53の傾きは、設置場所における設置底部に対する設置背部の傾きに対応する。底面板52に対する背面板53の傾きは、底面部43に対する法面壁44の傾きに対応する。本実施形態において、底面板52に対する背面板53の傾きは、鈍角である。
【0081】
底面板52と一辺と背面板53の一辺とは、第1実施形態と同様に、熱溶接54によって接合される。また、底面板52と一辺と背面板53の一辺とがなすコーナ部の内側は、化粧溶接54aが施されている。化粧溶接54aは、コーナ部においても、遮水シート9が沿うように配置できるように広い傾斜面を構成する。集排水管14は、その管軸が底面板52と平行となるように設けられる。
【0082】
場内側端部14bの外周面は、底面板52の上面に接することで支持される。そして、底面板52の上面と管本体14aの外周面下側部分との間には、管本体14aの外径と受口部となる場内側端部14bの外径の差分に相当する高さの隙間19が設けられる。隙間19には、充填剤20が詰められる。
【0083】
図15および図16に示すように、集排水管ユニット50でも、支持部材51に対する集排水管14との固定は、補強板によって補強されている。具体的に、背面板53の内面において、集排水管14と背面板53とは、上側補強板56によって補強されている。また、集排水管14と底面板52と背面板53とは、横側補強板57によって補強されている。
【0084】
上側補強板56は、その外形形状が平行四辺形である。上側補強板56は、一方の対角が鋭角であって、他方の対角が鈍角であり、鈍角は、集排水管14の外周面上側部分と背面板53とのなすコーナ部の角度に対応している。これにより、上側補強板56は、管本体14aの外周面上側部分と背面板53とのなすコーナ部に隙間なく配置される。そして、上側補強板56における、背面板53の内面および管本体14aの外周面上側部分の接合は、熱溶接56bによって接合される。上側補強板56には、フックなどの吊下具を係合させるための孔56aが形成されている。このような上側補強板56は、管本体14aと背面板53と熱溶接などが場内側に突出した集排水管14に対する荷重による破損することを抑制する。
【0085】
横側補強板57も、その外径形状が平行四辺形である。横側補強板57は、一方の対角が鋭角であって、他方の対角が鈍角であり、鈍角は、底面板52の上面と背面板53とのなすコーナ部の角度に対応している。これにより、横側補強板57は、底面板52の上面と背面板53とのなすコーナ部に隙間なく配置される。そして、横側補強板57における、底面板52の上面と背面板53の内面および管本体14aの外周面横側部分の接合は、熱溶接57bによって接合される。横側補強板57には、フックなどの吊下具を係合させるための孔57aが形成されている。このような横側補強板57は、底面板52と背面板53との熱溶接54および管本体14aと背面板53との熱溶接55などが場内側に突出した集排水管14に対する荷重による破損を抑制する。なお、上側補強板56および横側補強板57は、同じ構成であって、部品を共通化して、部品点数の削減が図られている。
【0086】
さらに、背面板53の外面において、集排水管14と背面板53とは、場外側補強板58によって補強されている。場外側補強板58は、その外径形状が直角三角形である。そして、背面板53の外面に突き当てられる端面は、背面板53の外面の傾きに対応した傾斜面で構成されている。場外側補強板58は、直角部分が管本体14aの外周面上側部分と背面板53の外面とがなすコーナ部に位置するように配置される。また、場外側補強板58は、その板面が底面板52と平行となるように配置される。これにより、場外側補強板58は、外周面上側部分と背面板53の外面に隙間なく配置される。そして、場外側補強板58における、背面板53の外面および管本体14aの外周面横側部分の接合は、熱溶接58aによって接合される。このような場外側補強板58は、場外側の設置背部を成形するためコンクリートを打設する際に、集排水管14の背面板53から場外側に突出した部分が揺らぐことを抑制できる。
【0087】
なお、以上のような集排水管ユニット50も、第1実施形態の集排水管ユニット10と同様に製造することができる。そして、第1実施形態の集排水管ユニット10と同様に設置場所に設置することができる。
【0088】
〔第3実施形態の効果〕
以上のような第3実施形態は、以下のように列挙する効果を得ることができる。
(3-1)オープン型処分場41などでは、法面壁44を備えていることが多いところ、集排水管ユニット50は、底面部43と法面壁44とのコーナ部にも設置することができる。
【0089】
(3-2)集排水管ユニット50における集排水管ユニット10との相違点は、底面板に対する背面板の角度である。したがって、集排水管ユニット50は、(1-1)、(1-2)、(1-4)~(1-11)と同様な作用効果を得ることができる。
【0090】
〔第4実施形態〕
図17は、第4実施形態としての集排水管ユニット60である。集排水管ユニット60も、オープン型処分場41に設置される。この集排水管ユニット60において、集排水管14は、第3実施形態の集排水管ユニット50と比較して、場内側端部が受口部で構成されていない。集排水管14は、外周面下側部分が底面板12の上面に線接触する。なお、第3実施形態では管本体14aと底面板12との間に隙間19が設けられていたが、本実施形態では隙間19は設けられておらず、充填剤20も使用されていない。ただし、集排水管14と底面板12の上面とは化粧溶接をしてもよい。このような集排水管14は、その一端と底面部集排水管5の一端とが例えばバット融着接合される。
【0091】
以上のような集排水管ユニット60によっても、第3実施形態の集排水管ユニット50と同様な作用効果を実現することができる。
〔変形例〕
なお、以上のような集排水管ユニットは、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0092】
・第1実施形態~第4実施形態において、アンカーシート26は、設置場所に堅固にできるのであれば、底面板12,52の外面および背面板13,53の外面のうちの少なくとも一方の外面に設けるだけでもよい。すなわち、底面板12,52の外面だけにアンカーシート26を設けてもよいし、背面板13,53の外面だけにアンカーシート26を設けてもよい。また、底面板12,52の外面および背面板13,53の外面のうちの少なくとも一方の外面にアンカーシート26を設ける場合において、外面の全域にアンカーシート26を設けるようにしてもよいし、外面の一部の領域に設けるようにしてもよい。
【0093】
・スタッド26bは、底面板12,52の外面および背面板13,53の外面に一体的に設けられていてもよい。このような構成にすれば、底面板12,52の成形時や背面板13,53の成形時に、同時にアンカーが設けられることになる。したがって、アンカーシート26の接合工程などを省略することができる。
【0094】
・アンカーシート26において、スタッド26bの単位面積当たりの本数などは、設置場所に堅固にできるのであれば、特に限定されるものではない。また、スタッド26bを設ける位置も特に限定されるものではない。
【0095】
・アンカーシートとしては、底面板12,52の外面および背面板13,53の外面に、コンクリートに係合する長方形の片を立設して構成してもよい。この場合、底面板12,52の外面に設けられる長方形の片は、幅方向に延びるように設ける。これにより、底面板12,52の前後方向にずれることを抑えることができる。なお、底面板12,52の外面および背面板13,53の外面において、長方形の片を前後方向に延びるように設けるようにしてもよい。これにより、幅方向にずれることを抑えることができる。
【0096】
また、背面板13,53の外面に設ける長方形の片は、上下方向に延びるように設ければ、幅方向にずれることを抑えることができる。また、背面板13,53の外面に幅方向に延びるように設ければ、前後方向および上下方向にずれることを抑えることができる。
【0097】
・第1実施形態において、底面板12の上面と管本体14aの外周面下側部分との間の隙間19には、他の支持手段がある場合などには、充填剤20を詰めなくてもよい(図5参照)。また、第3実施形態においても、底面板52の上面と管本体14aの外周面下側部分との間の隙間19には、他の支持手段がある場合などには、充填剤20を詰めなくてもよい(図15参照)。
【0098】
・第2実施形態において、集排水管14の場内側端部に受口部が構成されていない場合も、集排水管14の外周面下側部分と底面板12の上面とが接している部分に、充填剤20を詰めるようにしてもよい。これにより、集排水管14が当該部分で動くことを抑えることができ、集排水管14と底面板12との接合部が破損することを防ぐことができる。第4実施形態においても、集排水管14の場内側端部に受口部を備えていない場合も、集排水管14の外周面下側部分と底面板52の上面とが接している部分に、充填剤20を詰めるようにしてもよい。これにより、集排水管14が当該部分で動くことを抑えることができ、集排水管14と底面板52との接合部が破損することを防ぐことができる。
【0099】
・第2実施形態および第4実施形態のように、集排水管14の場内側端部に受口部が設けられていなくても、集排水管14の外周面下側部分と底面板12の上面には、隙間19が設けられる場合があってもよい。例えば、集排水管14の外周面下側部分に、突片、突起などの管側突出部分が設けられている場合がある。このような場合、管側突出部分は、底面板12の上面に当接することで、底面板12の上面と集排水管14の外周面下側部分との間には、隙間19が構成されることになる。また、底面板12の上面に集排水管14の外周面下側部分を支持するための支持片などの底板側突出部分が設けられている場合もある。このような場合、底板側突出部分は、集排水管14の外周面下側部分に当接することで、底面板12の上面と集排水管14の外周面下側部分との間には、隙間19を構成することになる。
【0100】
第2実施形態および第4実施形態のように、集排水管14の場内側端部に受口部が設けられていない場合であっても、隙間19が構成されている場合は、当該隙間19に充填剤20を充填することが好ましい。これにより、充填剤20は、底面板12の上面に集排水管14の外周面下側部分を支持することができる。
【0101】
・第1実施形態および第2実施形態において、化粧溶接16は、脚長Lが背面板13の板厚T以上となる構成を備えていなくてもよい(図5参照)。一例として、傾斜面16aが遮水シート9を沿わして配置できるのであれば、脚長Lが背面板13の板厚T未満であってもよい。例えば、遮水シート9のシート積層数が少なく薄く構成されている場合、遮水シート9は、一層撓み易くなる。このような場合には、脚長Lが背面板13の板厚T未満に構成できることもある。なお、第3実施形態および第4実施形態においても、脚長Lが背面板53の板厚T未満であってもよい。
【0102】
・第1実施形態および第2実施形態において、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板で十分であれば、場外側補強板24を省略してもよい(図4参照)。また、第3実施形態および第4実施形態においても、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板で十分であれば、場外側補強板58を省略してもよい(図16参照)。
【0103】
・第1実施形態および第2実施形態において、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板で十分であれば、横側補強板23省略してもよい(図3参照)。また、第3実施形態および第4実施形態においても、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板を設けるだけで十分であれば、横側補強板57を省略してもよい(図15参照)。
【0104】
・第1実施形態および第2実施形態において、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板で十分であれば、上側補強板22省略してもよい(図3参照)。また、第3実施形態および第4実施形態においても、集排水管14に対する荷重に対する強度が他の補強板を設けるだけで十分であれば、上側補強板56を省略してもよい(図15参照)。
【0105】
・第1実施形態~第4実施形態において、補強板としては、上側補強板22,56、横側補強板23,57、場外側補強板24,58の中で、何れか1つの補強板を設けるようにしてもよいし、2つの補強板を設けるようにしてもよい。
【0106】
・第1実施形態~第4実施形態において、上側補強板22,56、横側補強板23,57、場外側補強板24,58の各枚数は、強度を確保できるのであれば、特に限定されるものではない。
【0107】
・第1実施形態~第4実施形態において、補強板の形状は、集排水管14と底面板12,52および背面板13,53との位置関係によって決められるものであって、直角三角形、長方形に限定されるものではない。例えば、台形や平行四辺形でもよいし、五角形、六角形の多角形形状であってもよい。
【0108】
・第1実施形態~第4実施形態において、一例として、上側補強板22および横側補強板23の間に補強板がさらに配置されていてもよい。また、第1実施形態~第4実施形態において、背面板13,53の内面における全ての補強板が集排水管14の外周面から放射方向に延びるように設けるようにしてもよい。また、第3実施形態および第4実施形態において、背面板13,53の外面における場外側補強板58が集排水管14の外周面から放射方向に延びるように設けるようにしてもよい。第1実施形態および第2実施形態において、背面板13,53の内面における横側補強板23が集排水管14の外周面から放射方向に延びるように設けるようにしてもよい。
【0109】
・第1実施形態および第2実施形態において、場外側補強板24にも、孔22a,23aと同様な孔を設けてもよい。また、孔22a,23aの何れかまたは両方を省略してもよい。第3実施形態および第4実施形態において、場外側補強板58にも、孔57a,58aと同様な孔を設けてもよい。また、孔57a,58aの何れかまたは両方を省略してもよい。
【0110】
・第1実施形態~第4実施形態において、保護シートの構成は、単層で構成されていてもよいし、上述のように複数層に構成されていてもよい。複数層の場合、保護マット、遮水シートなどを適宜組み合わせて構成することが可能である。
【0111】
・第1実施形態~第4実施形態において、支持部材11は、底面板12,52の上面であって、一辺に沿う位置に、背面板13,53の一辺を構成する端面を突き合わせる構成に限定されるものではない。例えば、背面板13,53の上面であって、一辺に沿う位置に、底面板12,52の一辺を構成する端面を突き合わせる構成としてもよい。また、底面板12,52および背面板13,53の何れか一方の板の端面を、他方の板の他方の一辺から離間した位置に熱溶接する構成としてもよい。すなわち、支持部材11は、全体がL字形状ではなく、T字形状であってもよい。
【0112】
・第1実施形態~第4実施形態において、底面板12,52および背面板13,53の形状は、矩形形状に限定されるものではなく、台形や三角形や五角形などの多角形であってもよい。また、縁部は、直線形状ではなく、外方に膨らんだ円弧形状、内方に凹んだ円弧形状、波線形状などの曲線形状であってもよい。
【0113】
さらに、底面板12,52および背面板13,53には、さらなる板材や部材が接合されて構成されていてもよい。例えば、底面板12,52および背面板13,53には、フックなどの吊下具を係合させるためのフック片が接合されていてもよい。
【0114】
図18は、第1実施形態の変形例である。図18の例において、支持部材71は、支持部材11のように、底面板12と背面板13とを熱溶接で接合して構成する(図2参照)のではなく、一連の矩形板を折曲して全体がL字形状を有するように構成されている。このような支持部材71によれば、底面板12と背面板13との熱溶接作業が不要となり製造が容易となる。
【0115】
また、第1実施形態において、集排水管14は、場内側端部14bが受口部であり、この受口部が底面板12上に接触して位置している。集排水管14は、底面板12上に直接的に支持されている。これに対して、図18の変形例では、場内側端部14bが底面板12に対して離間し、他の要素72を介して集排水管14が底面板12に間接的に支持されるように構成されている。ここでの他の要素72は、木材、樹脂、金属、コンクリートなどの角材、板材などである。
【0116】
例えば、集排水管14と底面板12との間に、集排水管14と交差するように、別の配管を挿通する必要が生じた場合、管本体14aの外周面下側部分と底面板12の上面との間の隙間19だけでは、空間が足りないことがある。このような場合、他の要素72を使って、集排水管14を更に底面板12に対して離間させることで、別の配管を集排水管14と底面板12との間に挿通可能とする。また、充填剤20も、場内側端部14bと底面板12との間に充填することで、他の要素72としての支持材として機能させることもできる。
【0117】
以上のような考え方は、第2実施形態~第4実施形態において、集排水管14と底面板12とを離間させて、集排水管14と底面板12との間に他の要素72を配置し、他の要素72で集排水管14を支持するように構成してもよい。
【0118】
・第1実施形態における支持部材11は、底面板12と背面板13とを熱溶接で接合しているが、L字金具をコーナ部に当てて、ボルトでL字金具と底面板12と背面板13と接合してもよい。第2実施形態~第4実施形態においても、L字金具をコーナ部に当てて、ボルトでL字金具と底面板12,52と背面板13,53と接合してもよい。
【0119】
・第1実施形態~第4実施形態において、集排水管14と背面板13,53との接合において、熱溶接21,55を省略する構成としてもよい。この場合、集排水管14は、補強板22,23,24,56,57,58を通じて、間接的に背面板13,53に対して固定されることになる。
【0120】
・第1実施形態~第4実施形態において、集排水管14としては、外圧管であってもよいし、内圧管であってもよい。集排水管として、外圧管を選択するか、内圧管を選択するかは、設置場所に応じて適宜選択することになる。また、集排水管14は、使用場所に応じて、直管ではなく、90度、45度などに曲がった曲管であってもよい。さらに、集排水管14は、流路が分岐する分岐管であってもよい。集排水管14が曲管の場合、場内側は背面板13に対して垂直に延び、場外側で曲がっている場合もあれば、場外側は背面板13に対して垂直に延び、場内側で曲がっている場合もある。集排水管14が分岐管の場合、場内側で分岐する場合もあれば、場外側で分岐する場合もある。
【0121】
・第1実施形態~第4実施形態において、場外集排水管の接続端部と集排水管14の場外側端部14cとの継手、場内側端部14bと底面部集排水管45の接続端部との継手は、フランジ継手であってもよい。
【0122】
・集排水管14は、背面板13,53の場内側の内面であって貫通孔17の周囲に熱溶接されてもよい。
・第1実施形態~第4実施形態において、場内側端部14bは、受口部ではなく差口部が構成されていてもよい。
【0123】
・第1実施形態~第4実施形態において、場外側端部14cは、差口部ではなく受口部が構成されていてもよい。
・第1実施形態~第4実施形態において、集排水管14は、両端部が差口部に構成されていてもよいし、両端部が受口部に構成されていてもよい。
【0124】
・第1実施形態~第4実施形態において、貯留場2,42には、遮水シート損傷位置検知モニタリング設備を設置するようにしてもよい。
・処分場としては、大深度地下(地下室の建設のための利用が通常行われない深さ(地下40m以深)、または、建築物の基礎の設置のための利用が通常行われない深さ(支持地盤上面から10m以深))に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…クローズドシステム型処分場
9…遮水シート
10…集排水管ユニット
12…底面板
13…背面板
14…集排水管
14a…管本体
14b…場内側端部
15…開先溶接
16…化粧溶接
16a…傾斜面
19…隙間
20…充填剤
22…上側補強板
23…横側補強板
24…場外側補強板
L…脚長
T…板厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18