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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019001
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】監視区域内のRFIDタグの位置特定
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20240201BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108195
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】22187913
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ロマーノ,エンツォ
(72)【発明者】
【氏名】グランジェ,ジャンマルコ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィアーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】カンブルサーノ,マウリツィオ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB01
5J062CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定する方法を提供する。
【解決手段】監視区域内の所定の基準位置で基準RFIDタグから基準情報を含む基準信号を発し、複数の受信機において基準信号を複数の受信基準信号として受信し、受信基準信号に応じて基準RFIDタグの位置を計算し、試験結果を得るために基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置とを比較し、RFIDタグからRFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号を発し、複数の受信機において動作信号を複数の受信動作信号として受信し、検証結果を得るために受信した動作情報とRFIDタグに関連付けられた所定の検証情報とを比較し、試験結果及び/又は検証結果に応じて受信動作信号に基づいて又はそれに応じてRFIDタグの位置を計算し、及び/又は、受信動作信号に基づいて又はそれに応じてRFIDタグの位置を示す位置信号を発することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための方法(100)であって、
前記監視区域(S)内の所定の基準位置(P)で、基準RFIDタグ(11)から基準情報を含む基準信号(ST1)を発するステップ(120)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するステップ(130)と、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて、前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(140)と、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)と、
前記RFIDタグ(10)から、当該RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発するステップ(160)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'~S1'''')として受信するステップ(170)と、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)と、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグ10の位置を示す位置信号を発するステップ(191)と、
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの受信機(21,22,23,24)を順次停止するステップ(115)と、
残りの受信機(21,22,23,24)によって受信された前記基準情報に応じて、前記基準RFIDタグの位置を計算するステップ(140)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験結果は、前記基準RFIDタグの計算された位置と前記所定の基準位置(P)及び/又は以前に計算された位置との間の位置ずれを示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)は、前記位置ずれが所定の閾値以下であるか否かを判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動作情報及び/又は基準情報は、暗号化キー、識別情報、タイムスタンプのいずれかを含む、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記試験結果及び/又は検証結果は、所定の通信規格の準拠を示すものである、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
受信した前記動作情報と前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、又は、前記位置信号を発するステップ(191)は、各受信機(21,22,23,24)で行われる、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
受信した前記基準情報を、前記基準RFIDタグ(11)に関連付けられた所定の基準情報と比較するステップ(150)を含む、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記RFIDタグ(10)の位置を計算するステップ(180)がブロックされ、及び/又は、前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記監視区域に関連付けられた機械を安全モードに置くことを指示する安全信号を発する、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
発せられた前記基準信号(ST1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、前記第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された基準信号(ST1,ST2)を同時に発するステップ(122)と、前記結合された基準信号(ST1)を複数の結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''';ST2'-ST2'''')として受信するステップ(132)と、前記結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(142)とを含む、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
発せられた動作信号(S1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された動作信号(S1,S2)を同時に発するステップ(162)と、前記結合された動作信号(S1,S2)を複数の結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')として受信するステップ(172)と、前記検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(182)とを含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記方法のステップの少なくとも1つのサブセットは、所定の期間に応じて周期的に実行される、請求項1~11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための位置特定システム(20)であって、
基準情報を含む基準信号(ST1)を発する少なくとも1つの基準RFIDタグ(11)と、
前記RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発する少なくとも1つのRFIDタグ(10)と、
前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するとともに、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'-S1'''')として受信する複数の受信機(21,22,23,24)と、
安全ユニット(15)と、を備え、
前記安全ユニット(15)は、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算(140)し、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と所定の基準位置(P)とを比較(150)し、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較(180)し、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算(190)し、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を示す位置信号(191)を発する、
ように構成されている、位置特定システム。
【請求項14】
前記安全ユニット(15)は、前記受信機(21,22,23,24)のいずれかに少なくとも部分的に構成されている、請求項13に記載の位置特定システム。
【請求項15】
監視区域(S)に入るオペレータに着用されるウェアラブルを更に備え、前記ウェアラブルは、前記RFIDタグ(10)を備える、請求項13または14に記載の位置特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視区域内のRFIDタグの位置を特定(localizing)する方法及び監視区域内のRFIDタグの位置を特定する位置特定(localization)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)放射に基づく技術は、監視区域、例えば工業プラント内の区域の安全性を高めるために、監視区域が安全とみなされるように使用され得る。監視区域は、位置特定タグ、特にRFIDタグの位置が、確立され受け入れられた安全基準に従って、特に信頼できる方法で知ることができる場合、「安全」と見なされ得る。位置特定タグは、監視区域に入る物体や人に取り付けられ、物体や人の位置が監視システムに伝達されるようにすることができる。このような位置は、特に、潜在的に危険な装置、例えば、工業プラントに存在する機械の安全関連動作を定義する際のフィードバック変数として使用することができる。
【0003】
前記位置は、リアルタイムでわかることが望ましい。これは、いわゆる「リアルタイム・ローカライゼーション・システム」(RTLS)ソリューションと言われる。
【0004】
上述したシステムの主な不都合は、それらが本質的に安全ではないこと、すなわち、安全機能がRFシステム自体で完全に実現されていないことであり、所望のレベルの安全性を達成するために、特に必要な安全基準に従って他の装置が必要である。その例は、米国特許出願公開第2021/0232102号明細書において提供され、2つの異なる技術が相互に検証するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、そのような不都合を克服することができる、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための改良された方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための方法を提供する。本方法は、
監視区域内の所定の基準位置で、基準RFIDタグから基準情報を含む基準信号を発するステップと、
複数の受信機において、基準信号を複数の受信基準信号として受信するステップと、
前記受信基準信号に応じて、前記基準RFIDタグの位置を計算するステップと、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置と比較するステップと、
前記RFIDタグから、当該RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号を発するステップと、
複数の受信機において、前記動作信号を複数の受信動作信号として受信するステップと、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報と比較するステップと、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ、及び/又は、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じてRFIDタグの位置を示す位置信号を発するステップと、
を含む。
【0007】
第2態様によれば、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための位置特定システムを提供する。本位置特定システムは、
基準情報を含む基準信号を発する少なくとも1つの基準RFIDタグと、
前記RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号を発する少なくとも1つのRFIDタグと、
前記基準信号を複数の受信基準信号として受信するとともに、前記動作信号を複数の受信動作信号として受信する複数の受信機と、
安全ユニットと、を備え、
前記安全ユニットは、
前記受信基準信号に応じて前記基準RFIDタグの位置を計算し、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置とを比較し、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報とを比較し、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算し、及び/又は、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を示す位置信号を発する、
ように構成されている。
【0008】
「監視区域」とは、RFIDタグの位置を特定する必要がある任意の区域を意味する。位置特定は、安全性の理由から必要とされる場合がある。監視区域は、例えば、固定又は移動可能な1以上の危険な機械を備える作業工場内の作業区域である。RFIDタグは、例えば、監視区域内で動作し移動する作業者のような人、又は、例えば、監視区域内で動作し移動する車両や機械のような物体に設けられる。RFIDタグは、直交座標系に対してその座標を定義することによって、監視区域内の位置を特定される。直交座標系は、RFIDタグの位置を特定するために3つの座標を定義する必要がある空間3Dシステム、2つの座標を定義する必要がある平面2Dシステム、又は1つの座標を定義する必要がある水平又は垂直トラックなどの1Dシステムであってもよい。
【0009】
「受信機」は、RFIDタグが発する無線信号を受信するために使用される装置、例えばアンテナである。複数の受信機は、監視区域の内部又はその近くに任意の数だけ設置されてもよい。受信機の数は、監視区域の寸法に依存し、通常、より大きな区域はより多くの受信機を必要とする。多数の受信機は、所望のレベルの冗長性を提供する。
【0010】
RFIDタグと基準RFIDタグとは、アクティブRFIDタグ又はパッシブRFIDタグであってもよい。RFIDタグ及び基準RFIDは、1つのエミッタと1つのメモリチップとを備えるアクティブタグであってもよい。また、RFIDタグ及び基準RFIDタグは、それぞれ2つのエミッタを備え、各エミッタがそれぞれの周波数で発するアクティブRFIDタグであり、1つのメモリチップを備えている。基準RFIDタグは、監視区域内の所定の基準位置に位置決めされる。所定の基準位置は、試験結果を得るために、基準RFIDタグの計算された位置と比較される。試験結果は、所定の基準位置を計算する方法又はシステムの能力の指標を提供する。検証結果は、RFIDタグから受信した信号から動作情報を抽出する方法又はシステムの能力の指標となる。動作情報は、RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報に適合する必要がある。
【0011】
「安全ユニット」とは、本発明の第1態様又は第2態様を参照して特定されたステップを実行するように構成される任意のソフトウェア又はハードウェアユニットを意味する。安全ユニットは、例えば、監視区域又はその近くに設けられたコンピュータクライアント又はサーバであってもよい。また、安全ユニットは、監視区域から遠隔に設置されてもよい。安全ユニットは、有線でも有線でなくてもよい任意の通信手段によって受信機に接続されることができる。本発明の実施形態によれば、安全ユニットは、少なくとも部分的に受信機の1以上に備えられることができる。
【0012】
試験結果及び/又は検証結果に応じて、RFIDタグの位置が計算されるか否かが決定されてもよい。例えば、試験結果が、方法又はシステムが所定の基準位置を計算できることを示し、検証結果が、動作情報が所定の検証情報に適合することを示す場合、RFIDタグの位置は、受信動作信号に基づいて又はそれに応じて計算される。ここで、「基づいて又はそれに応じて」という表現は、監視区域に関連付けられた座標系に対するRFIDタグの座標を計算するために、受信動作信号を数学的実体として扱うことができることを意味している。RFIDタグの位置の計算に対して代替的又は付加的に、RFIDタグの位置を示す位置信号が生成されてもよい。位置信号は、例えば、監視区域内で実行される複数の動作の入力として使用されてもよい。例えば、位置信号は、監視区域内で1以上の機械を操作するための入力として使用されてもよい。例えば、試験結果及び/又は検証結果が、方法又はシステムが所定の基準位置を計算できないこと及び/又は動作情報が所定の検証情報に適合していないことを示す場合、RFIDタグは計算されない。その結果、システムは、ロックアウト状態に置かれ得る。
【0013】
また、本発明は、RFIDタグの定格位置、特に、安全基準に関する定格位置を提供する。これは、単一の技術(RF)に基づくシステムで提供される。従って、このシステムは、本質的に安全であると考えることができ、すなわち、安全基準に準拠し、その準拠を確認するために別の付加的なシステムを必要としない。
【0014】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、更に、少なくとも1つの受信機を順次停止させるステップと、残りの受信機によって受信された基準情報に応じて基準RFIDタグの位置を計算するステップとを含む。
【0015】
「順次」という言葉は、ここでは「次々と」という意味で理解されてもよい。具体的には、全ての受信機は、同じ第1時間に起動される。基準RFIDタグの位置は、受信基準信号に応じて計算され、基準RFIDタグの計算された位置は、試験結果を得るために所定の基準位置と比較される。その後、第1時間より遅い第2時間において、1つの受信機が駆動され、基準RFIDタグの位置が、受信基準信号に応じて再び計算され、基準RFIDタグの計算された位置が、試験結果を得るために所定の基準位置、又は第1時間に計算された基準位置と比較される。この一連のステップは、全ての受信機に対して繰り返される。この実施形態は、1以上の受信機が正しく機能しないか否かを特定することができる。
【0016】
一実施形態によれば、試験結果は、基準RFIDタグの計算された位置と、所定の基準位置及び/又は以前に計算された位置との間の位置ずれを示すものである。基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置とを比較するステップは、位置ずれが所定の閾値以下であるか否かを判定することを含み得る。所定の基準位置は、固定され、既知であり、すなわち、監視区域に関連付けられた直交座標を基準とする所定の基準位置の座標は既知である。位置ずれは、所定の基準位置と計算された位置との間の距離として計算されてもよい。そのような差は、試験結果を得るために所定の閾値と比較されてもよい。
【0017】
一実施形態によれば、動作情報及び/又は検証情報は、暗号化キー、識別情報、タイムスタンプのいずれかを含む。動作情報及び/又は検証情報は、暗号化されてもよい。暗号化キーは、共有キー又はキーの周期的なリストであってもよい。試験結果及び/又は検証結果は、暗号化キーと検証キーとの比較に依存してもよい。識別情報は、RFIDタグのIDコードを含んでもよい。試験結果及び/又は検証結果は、IDコードと予想されるIDコードとの比較に依存してもよい。タイムスタンプは、ある事象がいつ発生したかを特定する情報、特に符号化された情報である。試験結果及び/又は検証結果は、タイムスタンプと予想されるタイムスタンプとの比較に依存してもよい。
【0018】
一実施形態によれば、試験結果及び/又は検証結果は、所定の通信規格の準拠を示すものである。具体的には、検証結果は、RFIDタグと受信機との間の通信が、電気/電子/プログラム可能な電子安全関連システムの機能的安全性に関する安全規格、例えば機械類の安全性に関するIEC13849及び/又はIEC61508-2、特に付属書Aに係る安全規格に準拠していることを示す。
【0019】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、受信した動作情報と、各受信機においてRFIDタグに関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップを含む。同じ又は別の実施形態によれば、第1態様に係る方法は、各受信機において、受信動作信号に基づいて又はそれに応じて、RFIDタグの位置を計算するステップ、又は、位置信号を発するステップを含む。このような実施形態によれば、各受信機は、他の受信機から独立して機能することができる。
【0020】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、RTLSアルゴリズムを実行し、監視区域内の座標系に関する位置を判定するステップを含む。RTLSアルゴリズムは、マルチラテレーションアルゴリズムであってもよい。
【0021】
複数の実施形態において、RFIDタグの位置を計算するステップは、試験結果及び/又は検証結果が、位置特定システム、例えばRFIDタグ及び/又は受信機の正常又は有効な状態を示す場合にのみ、実行される。試験結果及び検証結果は、基準タグの位置ずれ、妨害信号、不要な干渉信号などの異常を示すことがある。正常な状態は、デバイスが妨害されずに機能している状態である。
【0022】
複数の実施形態において、試験結果及び/又は検証結果が異常を示す場合、監視区域に関連付けられた機械を安全モードにするように指示する安全信号を発する。安全モードは、監視区域を安全にするために、機械の部品や装置を停止させることを含んでもよい。安全モードにおいて、好ましくは、危険な事象は発生しない。
【0023】
一実施形態によれば、発せられた基準信号は、第1周波数を有し、第1態様に係る方法は、更に、第1周波数及び第2周波数で、結合された基準信号を同時に発するステップと、結合された基準信号を複数の結合された受信基準信号として受信するステップと、結合された受信基準信号に応じて基準RFIDタグの位置を計算するステップと、を含む。
【0024】
一実施形態によれば、発せられた動作信号は、第1周波数を有し、第1態様に係る方法は、更に、第1周波数及び第2周波数で、結合された動作信号を同時に発するステップと、結合された動作信号を複数の結合された受信動作信号として受信するステップと、検証結果を得るために、受信した動作情報と、結合された受信動作信号に関連付けられた所定の検証情報と比較するステップとを含む、
【0025】
信号が2つの異なる周波数で発せられる実施形態は、検証結果及び試験結果を得るために、より詳細な比較を提供する。
【0026】
第1態様に係る方法の実施形態によれば、方法のステップの少なくとも1つのサブセットは、ある期間、具体的には100~500msの期間に応じて周期的に実行される。好ましくは、前記期間は、安全区域における人又は物体の動きを監視するための安全基準によって規定された安全要件に基づいて予め設定される。上述又は下述の安全基準は、関連してもよい。具体的には、検証結果及び試験結果は、前記期間に応じて周期的に更新されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、第2態様に係る位置特定システムは、監視区域に入る作業者が着用するウェアラブルを備え、ウェアラブルは、RFIDタグを備える。ウェアラブルは、例えば、リストバンド又は他のタイプの衣服であってよい。ウェアラブルは、作業者に関する更なる情報を提供するためのセンサ、例えば、心臓周波数センサ及び/又はストレスセンサを備えてもよい。安全に関する行動は、このようなセンサによって提供される情報によって更に条件付けられてもよい。例えば、作業者のストレスレベルが所定のストレス閾値を超えている場合、警告が提供されてもよい。センサは、例えばアクセス権と比較するために、作業者のIDを認識するために更に使用されてもよい。例えば、作業者が監視区域に入るために必要な特定の権限を有していない場合、警告を発してもよい。これにより、権限のない作業者が権限のある作業者からRFIDタグを借りることを防ぐことができる。
【0028】
RFIDタグの位置を特定するための位置特定システム及び/又は位置特定システムに備えられるデバイスは、開示及び/又は請求される方法を協同的に実行するように設けられることが理解されるべきである。
【0029】
更なる態様によれば、本発明は、少なくとも1つのコンピュータで実行されるとき、第1態様に係る監視区域内のRFIDタグの位置を特定するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品に関連する。
【0030】
コンピュータプログラム手段などのコンピュータプログラム製品は、メモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVDとして、又はネットワーク内のサーバからダウンロードされ得るファイルとして具現化されてもよい。例えば、そのようなファイルは、コンピュータプログラム製品を構成するファイルを無線通信ネットワークから転送することによって提供されてもよい。
【0031】
本発明の更に可能な実施態様又は代替的な解決策は、実施態様に関して上述又は後述する特徴の組み合わせ(本明細書で明示的に言及されていない)も含む。また、当業者は、本発明の最も基本的な形態に、個別又は孤立した態様及び特徴を追加してもよい。本開示において言及されている規制、規範、又は規格は、本願の出願時又はその優先日におけるそれぞれのバージョンを指すことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の更なる実施形態、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて参照される、以降の説明及び従属請求項から明らかになる。
【0033】
図1】本発明の第2態様に係る位置特定システムを備える監視区域を示す図である。
図2】本発明に係るRFIDタグの第1実施例を示す図である。
図3】本発明に係るRFIDタグの第2実施例を示す図である。
図4】本発明の第1態様に係る方法のブロック図である。
図5図4のブロック図の第1変形例を示す図である。
図6図4のブロック図の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面において、同様の参照数字は、特に指示しない限り、同様の要素又は機能的に等価な要素を示す。
【0035】
図1図3は、監視区域内SでRFIDタグ10の位置を特定するための位置特定システム20を示している。監視区域は、1以上の危険な機械(図1には表されていない、静止型又は可動型のいずれか)を備える作業工場内の作業区域であり得る。監視区域Sには、直交座標系XYZが関連付けられ、監視区域S内の各点は、直交座標系XYZの3つの座標X、Y、Zによって定義されている。図1の表現では、直交座標系XYZの第3座標Zは、図の平面に対して垂直な方向を向いており、観察者の方に出ている。本発明の他の実施形態(図示せず)によれば、直交座標系は、定義される2つの座標を必要とする平面2Dシステム、又は定義される1つの座標を必要とする1Dシステム、例えば水平又は垂直トラックであり得る。
【0036】
位置特定システム20は、所定の通信及び安全基準に従って、以下でより明確にされるように、直交座標系XYZに対するRFIDタグ10の座標X、Y、Zを計算することによって、監視区域S内のRFIDタグ10の位置を特定する。
【0037】
RFIDタグ10は、例えば監視区域S内で動作して移動する作業者のような人、又は、例えば監視区域S内で動作して移動する車両や機械のような物体に設けることができる。RFIDタグ10は、動作信号S1,S2をそれぞれ周波数F1,F2で発するように構成されたアクティブRFIDである。動作信号S1,S2は、RFIDタグ10に関連付けられた動作情報を含む。
【0038】
図2は、本発明の第1実施形態に係るアクティブRFIDタグ10又は基準RFIDタグ11の第1実施例を示している。第1態様のアクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、それぞれ、エミッタ10a,11a及びメモリチップ10c,11cを備えている。エミッタ10a,11aは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F1で、動作信号S1及び基準信号ST1を発する。メモリチップ10c,11cは、アクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11に関する識別情報をそれぞれ含む。図3は、本発明の第2態様に係るアクティブRFIDタグ10又は基準RFIDタグ11の第2実施例を示す図である。第2実施例のアクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、それぞれ、第1エミッタ10a,11a、第2エミッタ10a,11a、及びメモリチップ10c,11cを備えている。第1エミッタ10a,11aは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F1で、第1動作信号S1及び第1基準信号ST1を発する。第2エミッタ10b,11bは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F2で、第2動作信号S2及び第2基準信号ST2を発する。例えばCEVE-RivieraWaves(登録商標)として使用するように、超広帯域の周波数を考慮してもよい。タグは、IEEE 802.15.4z HPRに準拠してもよい。
【0039】
位置特定システム20は、基準RFIDタグ11を更に備える。RFIDタグ11は、それぞれ、周波数F1,F2で基準信号ST1,ST2を発するように構成されたアクティブRFIDである。基準信号ST1,ST2は、基準情報を含む。RFIDタグ11は、所定の基準位置Pに位置決めされることを前提としている。直交座標系XYZに対して所定の基準位置Pの座標は、既知である。
【0040】
位置特定システム20は、基準信号ST1,ST2を複数の受信基準信号ST1'-ST1'''',ST2'-ST2''''として受信し、動作信号S1,S2を複数の受信動作信号S1'-S1''',S2'-S2''''として受信する複数の受信機(図1の実施形態では4つの受信機21,22,23,24)を更に備えている。複数の受信機21,22,23,24は、RFIDタグが発する無線信号を受信可能な複数のアンテナとして設けられてもよい。本発明の異なる実施形態によれば、複数の受信機は、監視区域の内部又はその近くに任意の数で設けられる。受信機21,22,23,24によって受信された信号ST1'-ST1'''',ST2'-ST2'''',S1'-S1'''',S2'-S2'''’は、直交座標系XYZに対するRFIDタグ10,11の位置を計算するために用いられる。従って、図1の例示的な実施形態のように、3つの座標を定義しなければならない場合、最低3つの受信機が必要とされる。ある程度余剰であることが望ましいので、好ましい実施形態は、4以上の受信機を備える。
【0041】
位置特定システム20は、安全ユニット15を更に備えている。安全ユニットは、例えば、監視区域S又はそれに近い場所に設けられたコンピュータクライアント又はサーバであり得る。本発明の他の実施形態によれば、安全ユニットは、監視区域から遠隔に設けられてもよい。安全ユニット15は、任意の通信手段によって受信機に接続され、任意の通信手段は、有線であっても有線でなくてもよい。本発明の実施形態によれば、安全ユニットは、少なくとも部分的に受信機21,22,23,24のいずれかに備えられてもよい。
【0042】
安全ユニット15は、図4に示すように、監視区域S内におけるRFIDタグ10の位置を特定するための方法100を実行するように構成される。
【0043】
方法100は、基準RFIDタグ11が、監視区域S内の既知の基準位置Pに配置され、すなわち、直交座標系XYZに対して座標X,Y,Zが付与された位置Pに配置されるステップ110を含む。
【0044】
方法100のステップ120において、基準信号ST1は、基準RFIDタグ11から発せられる。基準信号ST1は、基準RFIDタグ11を再保護する基準情報を含む。基準情報は、暗号化キー(又はキーの周期的リスト)及び/又は識別(ID)情報及び/又はタイムスタンプを含む。ステップ120の後、方法100のステップ130において、基準信号ST1は、複数の受信機21,22,23,24において、複数の受信基準信号ST1'、ST1''、ST1'''、ST1''''として受信される。ステップ130の後、方法100のステップ140において、基準RFIDタグ11の位置は、受信基準信号ST1'-ST1''''に応じて計算される。前記位置は、RTLSアルゴリズム、例えばマルチラテレーションアルゴリズムによって計算されてもよい。基準RFIDタグ11の位置は、直交座標系XYZに対する3つの座標X1,Y1,Z1を通じて定義されてもよい。ステップ140の後、方法100のステップ150において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、所定の基準位置Pと比較され、受信した基準情報は、試験結果を得るために、基準RFIDタグに関連付けられた所定の基準情報と比較される。試験結果は、基準RFIDの計算された位置X1,Y1,Z1と所定の基準位置Pとの間の位置ずれを示すものであり得る。本発明の実施形態において、方法100のステップ150は、計算された位置の座標X1,Y1,Z1と基準位置Pの座標X,Y,Zとの間の位置ずれを計算し、位置ずれが所定の閾値を下回るか否かを判定することを含む。位置ずれは、座標X1,Y1,Z1と座標X,Y,Zとの間の幾何学的距離として計算され得る。従って、試験結果は、受信基準信号ST1'-ST1''''に基づいて又はそれに応じて、既知の基準位置Pをいかに正確に計算することができるかという指標となる。所定の閾値は、そのような計算の許容される精度を決定する。試験結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、RFIDタグ10の位置の信頼できる測定値を提供することができると想定することができる。試験結果は、受信した基準情報と、基準RFIDタグに関連付けられた所定の基準情報との間の比較に更に依存し得る。試験結果は、所定の通信規格に準拠していることを示すものであってもよい。基準情報は、例えば、暗号化されてもよい。基準情報メッセージの動的復号化により、基準RFIDタグ11が、所定の規格、例えばIEC13849及び/又はIEC61508-2に従って正しく動作していることが確認される。試験結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、所定の標準規格に従って安全に通信できる、及び/又は、基準RFIDタグ11が正しく動作している、と想定することができる。
【0045】
ステップ120,130,140,150又はこれと並行して、方法100は、人又は物体が監視区域Sに入る前に、例えばその内部で1以上の動作を行うために、RFIDタグ10を人又は物体に装着するステップ111を含む。ステップ111は、RFIDタグ10を備えるウェアラブルを着用して監視区域Sに入る作業者によって実行され得る。ウェアラブルは、例えば、リストバンド又は任意の他のタイプの衣服であってよい。
【0046】
監視区域Sに人や物体が入ったか否かを検知するために、監視区域Sに更なる安全装置(添付図には示されていない)を設けてもよい。当該安全装置は、例えば、光カーテン、又はレーザスキャナや光グリッドを備える光電センサ、又は他の類似品であってもよい。当該安全装置は、受信機21,22,23,24と関連して動作し、人又は物体が、それに取り付けられるRFIDタグ無しで監視区域Sに進入しているか否かを検知することができる。この場合、警告信号が生成されてもよい。
【0047】
方法100のステップ160においては、RFIDタグ10から動作信号S1が発せられる。動作信号S1は、RFIDタグ10に関連する動作情報を含む。動作情報は、暗号化キー(又はキーの周期的リスト)及び/又は識別(ID)情報及び/又はタイムスタンプを含む。ステップ160の後、方法100のステップ170において、動作信号S1は、複数の受信機21,22,23,24において、複数の受信動作信号S1',S1'',S1''',S1''''として受信される。ステップ170の後、方法100のステップ180において、受信した動作情報は、検証結果を得るために、RFIDタグ10に関連付けられた所定の検証情報と比較される。検証結果は、所定の通信規格に準拠していることを示すものであり得る。動作情報は、例えば、暗号化されてもよい。基準情報メッセージの動的復号化により、RFIDタグ10が、例えばIEC13849及び/又はIEC61508-2のような所定の規格に従って正しく動作していることが確認される。検証結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、所定の規格に従って安全に通信できる、及び/又は、RFIDタグ10が正しく動作している、と想定することができる。
【0048】
方法100のステップ160,170,180は、ステップ120,130,140,150の後又はこれと平行して実行され得る。
【0049】
方法100のステップ190において、RFIDタグ10の位置は、試験結果及び/又は検証結果に応じて計算される。試験結果又は検証結果が、位置特定システム20及び/又は方法100がRFIDタグ10の位置の信頼できる測定値を提供できないこと及び/又は所定の通信規格に適合していないことを示す場合、RFIDタグ10の位置は、計算されない。この場合、警告が生成され、及び/又は、システムがロックアウト状態に置かれてもよい。RFIDタグ10の位置は、受信動作信号S1'~S1''''に基づいて又はそれに応じて、例えばマルチラテレーションアルゴリズムなどのRTLSアルゴリズムによって計算される。ステップ190に対して代替的に又は付加的に、方法100は、受信動作信号S1'~S1''''に基づいて又はそれに応じて、RFIDタグ10の位置を示す位置信号を生成するステップ191を含んでもよい。位置信号は、例えば、監視区域内で実行される複数の動作の入力として使用されてもよい。例えば、位置信号は、監視区域内で1以上の機械を動作させるための入力として使用されてもよい。
【0050】
方法100のステップの少なくとも一部又はサブセット、例えばステップ120,130,140,150,160,170,180,190/191のシーケンスは、100~500msの間で構成される期間に従って周期的に実行されてもよい。
【0051】
図5は、図4の方法100に対する第1変形例を示している。図5に係る変形例において、方法100は、1つの受信機21,22,23,24を停止するステップ115を含み、ステップ140が、残りの受信機21,22,23,24が受信した基準情報に応じて基準RFIDタグ11の位置を計算することを含むことが前述したものと異なる。1つの受信機21,22,23,24の停止は、反復的且つ順次行われ、各反復において受信機21,22,23,24の1つが停止される。従って、4つの受信機21,22,23,24を有する添付図の実施形態において、受信機21,22,23,24の1つの停止は、4回実行される。本発明の他の実施形態によれば、各反復において、複数の受信機が同時に停止される。
【0052】
図5の方法によれば、ステップ150の実行後、全ての受信機21,22,23,24が順次停止されたか否かを確認するためのステップ151が実行される。全ての受信機21,22,23,24が順次停止されていない場合、前記方法は、1つの受信機21,22,23,24が停止されるステップ115を継続する。その後、ステップ120,130,140,150が、他の駆動された受信機(添付図の実施形態では3つの駆動された受信機)に対して繰り返される。全ての受信機21,22,23,24が順次停止された後、受信機21,22,23,24の順次停止の反復は終了される。ステップ150の各実行において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、更新され、試験結果を得るために所定の基準位置Pと比較される。また、ステップ150の各実行において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、更新され、前の反復で計算された位置と比較される。試験結果の反復は、1つの停止された受信機21,22,23,24で毎回1以上の受信機が正しく機能していないことを示し得る。
【0053】
図6は、図4の方法100に対する第2変形例を示している。図6に係る変形例において、発せられた基準信号ST1及び発せられた動作信号S1は、第1周波数F1を有し、前記方法は、更に、
第1周波数F1及び第2周波数F2で、結合された基準信号ST1,ST2を同時に発するステップ122と、
結合された基準信号ST1を複数の結合された受信基準信号ST1'-ST1'''';ST2'-ST2''''として受信するステップ132と、
結合された受信基準信号ST1'-ST1''''に応じて基準RFIDタグ11の位置を計算するステップ142と、
第1周波数F1及び第2周波数F2で、結合された動作信号S1,S2を同時に発するステップ162と、
動作信号S1,S2を複数の結合された受信動作信号S1'-S'''';S2'-S2''''として受信するステップ172と、
受信した動作情報と、結合された受信動作信号S1'-S1'''';S2'-S2''''に関連付けられた所定の検証情報とを比較し、検証結果を得るステップ182と、
を含む。
【0054】
方法100の図6の変形例のステップのシーケンスは、以下に詳述される。RFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、図3の実施形態に従う。
【0055】
ステップ110の後、方法100のステップ117において、基準RFIDタグ11のエミッタ11a,11bの両方が停止され、受信機21,22,23,24によって信号が受信されないことがチェックされる。その後、第1エミッタ11aのみが、基準信号ST1を発するために第1周波数F1で駆動される。
【0056】
ステップ117の後、ステップ120,130,140,150のシーケンスは、図4を参照して説明したように実行される。ステップ150の後、前のステップ150で計算された試験結果が、基準RFIDタグ11が基準位置Pを計算するための第1周波数F1で正しく動作していること示すか否かをチェックするためのステップ153が行われる。ステップ153のチェックが肯定的である場合、上述したステップ122,132,142のシーケンスが行われる。ステップ142の後、方法100のステップ152において、ステップ142で計算された位置が、試験結果を更新するために、所定の基準位置Pと比較される。システムが正しく動作している場合、ステップ150及び152の両方からの試験結果が同じか類似していることが予想される。
【0057】
ステップ117,120,130,140,150,153,122,132,142,152又はこれと平行して、方法100は、人又は物体が監視区域Sに入る前に、例えばその内部で1以上の動作を行うために、RFIDタグ10を人又は物に取り付けるステップ111を含む。
【0058】
ステップ111の後、方法100のステップ118において、基準RFIDタグ10のエミッタ10a,10bの両方が停止され、受信機21,22,23,24によって信号が受信されないことがチェックされる。その後、第1エミッタ10aのみが、動作信号S1を発するために第1周波数F1で駆動される。
【0059】
ステップ118の後、ステップ160,170,170,180のシーケンスは、図4を参照して説明したように実行される。ステップ180の後、ステップ183が実行され、前のステップ180で計算された試験結果が、RFIDタグ10が第1周波数F1で正しく動作していることを示すか否かがチェックされる。ステップ183のチェックが肯定的である場合、上述したステップ162,172,182のシーケンスが実行される。システムが正しく動作している場合、ステップ180及び182の両方からの検証結果が同じか類似していることが予想される。エミッタ10a,10bの両方が同時に発せられると、理論上既知のビート周波数(|F1-F2|)を有し、所定の振幅及び位相を有するパルス波が発生する。このような波が、2つのエミッタ10a,10bによって発せられた信号の理論的な重ね合わせに対応しない場合、ステップ182で否定的な検証結果が発せられる。
【0060】
ステップ118,160,170,180,183,162,172,182は、ステップ117,120,130,140,150,153,122,132,142,152の後に実行されてもよいし、これと並行に実行されてもよい。例えば、ステップ118,160,170,180,183,162,172,182のシーケンスは、ステップ150,152でその肯定的な試験結果が得られた後にのみ実行されてもよい。
【0061】
ステップ152,182の後、図4を参照して説明したように、ステップ190,191が実行される。
【0062】
本発明を好適な実施形態に従って説明したが、全ての実施形態において変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。提示された技術が、言及された数値及び範囲、例えば、周波数及び/又は期間に限定されないことは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
10 RFIDタグ
11 基準RFIDタグ
20 位置特定システム
21,22,23,24 受信機
100 方法
110,111,115,117,118,120,130 方法ステップ
132,140,142,150,151,152,153 方法ステップ
160,162,170,172,180,182,183 方法ステップ
190,191 方法ステップ
F1,F2 周波数
S 監視区域
ST1,ST2 基準信号
ST1'-ST1'''';ST2'-ST2'''' 受信基準信号
S1,S2 動作信号
S1'-S1'''';S2'-S2'''' 受信動作信号
X,X1,Y,Y1,Z,Z1 座標
XYZ 座標系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視区域内のRFIDタグの位置を特定(localizing)する方法及び監視区域内のRFIDタグの位置を特定する位置特定(localization)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)放射に基づく技術は、監視区域、例えば工業プラント内の区域の安全性を高めるために、監視区域が安全とみなされるように使用され得る。監視区域は、位置特定タグ、特にRFIDタグの位置が、確立され受け入れられた安全基準に従って、特に信頼できる方法で知ることができる場合、「安全」と見なされ得る。位置特定タグは、監視区域に入る物体や人に取り付けられ、物体や人の位置が監視システムに伝達されるようにすることができる。このような位置は、特に、潜在的に危険な装置、例えば、工業プラントに存在する機械の安全関連動作を定義する際のフィードバック変数として使用することができる。
【0003】
前記位置は、リアルタイムでわかることが望ましい。これは、いわゆる「リアルタイム・ローカライゼーション・システム」(RTLS)ソリューションと言われる。
【0004】
上述したシステムの主な不都合は、それらが本質的に安全ではないこと、すなわち、安全機能がRFシステム自体で完全に実現されていないことであり、所望のレベルの安全性を達成するために、特に必要な安全基準に従って他の装置が必要である。その例は、米国特許出願公開第2021/0232102号明細書において提供され、2つの異なる技術が相互に検証するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、そのような不都合を克服することができる、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための改良された方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための方法を提供する。本方法は、
監視区域内の所定の基準位置で、基準RFIDタグから基準情報を含む基準信号を発するステップと、
複数の受信機において、基準信号を複数の受信基準信号として受信するステップと、
前記受信基準信号に応じて、前記基準RFIDタグの位置を計算するステップと、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置と比較するステップと、
前記RFIDタグから、当該RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号を発するステップと、
複数の受信機において、前記動作信号を複数の受信動作信号として受信するステップと、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報と比較するステップと、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ、及び/又は、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じてRFIDタグの位置を示す位置信号を発するステップと、
を含む。
【0007】
第2態様によれば、監視区域内におけるRFIDタグの位置を特定するための位置特定システムを提供する。本位置特定システムは、
基準情報を含む基準信号を発する少なくとも1つの基準RFIDタグと、
前記RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号を発する少なくとも1つのRFIDタグと、
前記基準信号を複数の受信基準信号として受信するとともに、前記動作信号を複数の受信動作信号として受信する複数の受信機と、
安全ユニットと、を備え、
前記安全ユニットは、
前記受信基準信号に応じて前記基準RFIDタグの位置を計算し、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置とを比較し、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報とを比較し、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算し、及び/又は、前記受信動作信号に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を示す位置信号を発する、
ように構成されている。
【0008】
「監視区域」とは、RFIDタグの位置を特定する必要がある任意の区域を意味する。位置特定は、安全性の理由から必要とされる場合がある。監視区域は、例えば、固定又は移動可能な1以上の危険な機械を備える作業工場内の作業区域である。RFIDタグは、例えば、監視区域内で動作し移動する作業者のような人、又は、例えば、監視区域内で動作し移動する車両や機械のような物体に設けられる。RFIDタグは、直交座標系に対してその座標を定義することによって、監視区域内の位置を特定される。直交座標系は、RFIDタグの位置を特定するために3つの座標を定義する必要がある空間3Dシステム、2つの座標を定義する必要がある平面2Dシステム、又は1つの座標を定義する必要がある水平又は垂直トラックなどの1Dシステムであってもよい。
【0009】
「受信機」は、RFIDタグが発する無線信号を受信するために使用される装置、例えばアンテナである。複数の受信機は、監視区域の内部又はその近くに任意の数だけ設置されてもよい。受信機の数は、監視区域の寸法に依存し、通常、より大きな区域はより多くの受信機を必要とする。多数の受信機は、所望のレベルの冗長性を提供する。
【0010】
RFIDタグと基準RFIDタグとは、アクティブRFIDタグ又はパッシブRFIDタグであってもよい。RFIDタグ及び基準RFIDは、1つのエミッタと1つのメモリチップとを備えるアクティブタグであってもよい。また、RFIDタグ及び基準RFIDタグは、それぞれ2つのエミッタを備え、各エミッタがそれぞれの周波数で発するアクティブRFIDタグであり、1つのメモリチップを備えている。基準RFIDタグは、監視区域内の所定の基準位置に位置決めされる。所定の基準位置は、試験結果を得るために、基準RFIDタグの計算された位置と比較される。試験結果は、所定の基準位置を計算する方法又はシステムの能力の指標を提供する。検証結果は、RFIDタグから受信した信号から動作情報を抽出する方法又はシステムの能力の指標となる。動作情報は、RFIDタグに関連付けられた所定の検証情報に適合する必要がある。
【0011】
「安全ユニット」とは、本発明の第1態様又は第2態様を参照して特定されたステップを実行するように構成される任意のソフトウェア又はハードウェアユニットを意味する。安全ユニットは、例えば、監視区域又はその近くに設けられたコンピュータクライアント又はサーバであってもよい。また、安全ユニットは、監視区域から遠隔に設置されてもよい。安全ユニットは、有線でも有線でなくてもよい任意の通信手段によって受信機に接続されることができる。本発明の実施形態によれば、安全ユニットは、少なくとも部分的に受信機の1以上に備えられることができる。
【0012】
試験結果及び/又は検証結果に応じて、RFIDタグの位置が計算されるか否かが決定されてもよい。例えば、試験結果が、方法又はシステムが所定の基準位置を計算できることを示し、検証結果が、動作情報が所定の検証情報に適合することを示す場合、RFIDタグの位置は、受信動作信号に基づいて又はそれに応じて計算される。ここで、「基づいて又はそれに応じて」という表現は、監視区域に関連付けられた座標系に対するRFIDタグの座標を計算するために、受信動作信号を数学的実体として扱うことができることを意味している。RFIDタグの位置の計算に対して代替的又は付加的に、RFIDタグの位置を示す位置信号が生成されてもよい。位置信号は、例えば、監視区域内で実行される複数の動作の入力として使用されてもよい。例えば、位置信号は、監視区域内で1以上の機械を操作するための入力として使用されてもよい。例えば、試験結果及び/又は検証結果が、方法又はシステムが所定の基準位置を計算できないこと及び/又は動作情報が所定の検証情報に適合していないことを示す場合、RFIDタグは計算されない。その結果、システムは、ロックアウト状態に置かれ得る。
【0013】
また、本発明は、RFIDタグの定格位置、特に、安全基準に関する定格位置を提供する。これは、単一の技術(RF)に基づくシステムで提供される。従って、このシステムは、本質的に安全であると考えることができ、すなわち、安全基準に準拠し、その準拠を確認するために別の付加的なシステムを必要としない。
【0014】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、更に、少なくとも1つの受信機を順次停止させるステップと、残りの受信機によって受信された基準情報に応じて基準RFIDタグの位置を計算するステップとを含む。
【0015】
「順次」という言葉は、ここでは「次々と」という意味で理解されてもよい。具体的には、全ての受信機は、同じ第1時間に起動される。基準RFIDタグの位置は、受信基準信号に応じて計算され、基準RFIDタグの計算された位置は、試験結果を得るために所定の基準位置と比較される。その後、第1時間より遅い第2時間において、1つの受信機が駆動され、基準RFIDタグの位置が、受信基準信号に応じて再び計算され、基準RFIDタグの計算された位置が、試験結果を得るために所定の基準位置、又は第1時間に計算された基準位置と比較される。この一連のステップは、全ての受信機に対して繰り返される。この実施形態は、1以上の受信機が正しく機能しないか否かを特定することができる。
【0016】
一実施形態によれば、試験結果は、基準RFIDタグの計算された位置と、所定の基準位置及び/又は以前に計算された位置との間の位置ずれを示すものである。基準RFIDタグの計算された位置と所定の基準位置とを比較するステップは、位置ずれが所定の閾値以下であるか否かを判定することを含み得る。所定の基準位置は、固定され、既知であり、すなわち、監視区域に関連付けられた直交座標を基準とする所定の基準位置の座標は既知である。位置ずれは、所定の基準位置と計算された位置との間の距離として計算されてもよい。そのような差は、試験結果を得るために所定の閾値と比較されてもよい。
【0017】
一実施形態によれば、動作情報及び/又は検証情報は、暗号化キー、識別情報、タイムスタンプのいずれかを含む。動作情報及び/又は検証情報は、暗号化されてもよい。暗号化キーは、共有キー又はキーの周期的なリストであってもよい。試験結果及び/又は検証結果は、暗号化キーと検証キーとの比較に依存してもよい。識別情報は、RFIDタグのIDコードを含んでもよい。試験結果及び/又は検証結果は、IDコードと予想されるIDコードとの比較に依存してもよい。タイムスタンプは、ある事象がいつ発生したかを特定する情報、特に符号化された情報である。試験結果及び/又は検証結果は、タイムスタンプと予想されるタイムスタンプとの比較に依存してもよい。
【0018】
一実施形態によれば、試験結果及び/又は検証結果は、所定の通信規格の準拠を示すものである。具体的には、検証結果は、RFIDタグと受信機との間の通信が、電気/電子/プログラム可能な電子安全関連システムの機能的安全性に関する安全規格、例えば機械類の安全性に関するIEC13849及び/又はIEC61508-2、特に付属書Aに係る安全規格に準拠していることを示す。
【0019】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、受信した動作情報と、各受信機においてRFIDタグに関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップを含む。同じ又は別の実施形態によれば、第1態様に係る方法は、各受信機において、受信動作信号に基づいて又はそれに応じて、RFIDタグの位置を計算するステップ、又は、位置信号を発するステップを含む。このような実施形態によれば、各受信機は、他の受信機から独立して機能することができる。
【0020】
一実施形態によれば、第1態様に係る方法は、RTLSアルゴリズムを実行し、監視区域内の座標系に関する位置を判定するステップを含む。RTLSアルゴリズムは、マルチラテレーションアルゴリズムであってもよい。
【0021】
複数の実施形態において、RFIDタグの位置を計算するステップは、試験結果及び/又は検証結果が、位置特定システム、例えばRFIDタグ及び/又は受信機の正常又は有効な状態を示す場合にのみ、実行される。試験結果及び検証結果は、基準タグの位置ずれ、妨害信号、不要な干渉信号などの異常を示すことがある。正常な状態は、デバイスが妨害されずに機能している状態である。
【0022】
複数の実施形態において、試験結果及び/又は検証結果が異常を示す場合、監視区域に関連付けられた機械を安全モードにするように指示する安全信号を発する。安全モードは、監視区域を安全にするために、機械の部品や装置を停止させることを含んでもよい。安全モードにおいて、好ましくは、危険な事象は発生しない。
【0023】
一実施形態によれば、発せられた基準信号は、第1周波数を有し、第1態様に係る方法は、更に、第1周波数及び第2周波数で、結合された基準信号を同時に発するステップと、結合された基準信号を複数の結合された受信基準信号として受信するステップと、結合された受信基準信号に応じて基準RFIDタグの位置を計算するステップと、を含む。
【0024】
一実施形態によれば、発せられた動作信号は、第1周波数を有し、第1態様に係る方法は、更に、第1周波数及び第2周波数で、結合された動作信号を同時に発するステップと、結合された動作信号を複数の結合された受信動作信号として受信するステップと、検証結果を得るために、受信した動作情報と、結合された受信動作信号に関連付けられた所定の検証情報と比較するステップとを含む、
【0025】
信号が2つの異なる周波数で発せられる実施形態は、検証結果及び試験結果を得るために、より詳細な比較を提供する。
【0026】
第1態様に係る方法の実施形態によれば、方法のステップの少なくとも1つのサブセットは、ある期間、具体的には100~500msの期間に応じて周期的に実行される。好ましくは、前記期間は、安全区域における人又は物体の動きを監視するための安全基準によって規定された安全要件に基づいて予め設定される。上述又は下述の安全基準は、関連してもよい。具体的には、検証結果及び試験結果は、前記期間に応じて周期的に更新されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、第2態様に係る位置特定システムは、監視区域に入る作業者が着用するウェアラブルを備え、ウェアラブルは、RFIDタグを備える。ウェアラブルは、例えば、リストバンド又は他のタイプの衣服であってよい。ウェアラブルは、作業者に関する更なる情報を提供するためのセンサ、例えば、心臓周波数センサ及び/又はストレスセンサを備えてもよい。安全に関する行動は、このようなセンサによって提供される情報によって更に条件付けられてもよい。例えば、作業者のストレスレベルが所定のストレス閾値を超えている場合、警告が提供されてもよい。センサは、例えばアクセス権と比較するために、作業者のIDを認識するために更に使用されてもよい。例えば、作業者が監視区域に入るために必要な特定の権限を有していない場合、警告を発してもよい。これにより、権限のない作業者が権限のある作業者からRFIDタグを借りることを防ぐことができる。
【0028】
RFIDタグの位置を特定するための位置特定システム及び/又は位置特定システムに備えられるデバイスは、開示及び/又は請求される方法を協同的に実行するように設けられることが理解されるべきである。
【0029】
更なる態様によれば、本発明は、少なくとも1つのコンピュータで実行されるとき、第1態様に係る監視区域内のRFIDタグの位置を特定するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品に関連する。
【0030】
コンピュータプログラム手段などのコンピュータプログラム製品は、メモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVDとして、又はネットワーク内のサーバからダウンロードされ得るファイルとして具現化されてもよい。例えば、そのようなファイルは、コンピュータプログラム製品を構成するファイルを無線通信ネットワークから転送することによって提供されてもよい。
【0031】
本発明の更に可能な実施態様又は代替的な解決策は、実施態様に関して上述又は後述する特徴の組み合わせ(本明細書で明示的に言及されていない)も含む。また、当業者は、本発明の最も基本的な形態に、個別又は孤立した態様及び特徴を追加してもよい。本開示において言及されている規制、規範、又は規格は、本願の出願時又はその優先日におけるそれぞれのバージョンを指すことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の更なる実施形態、特徴、及び利点は、添付の図面と併せて参照される、以降の説明及び従属請求項から明らかになる。
【0033】
図1】本発明の第2態様に係る位置特定システムを備える監視区域を示す図である。
図2】本発明に係るRFIDタグの第1実施例を示す図である。
図3】本発明に係るRFIDタグの第2実施例を示す図である。
図4】本発明の第1態様に係る方法のブロック図である。
図5図4のブロック図の第1変形例を示す図である。
図6図4のブロック図の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面において、同様の参照数字は、特に指示しない限り、同様の要素又は機能的に等価な要素を示す。
【0035】
図1図3は、監視区域内SでRFIDタグ10の位置を特定するための位置特定システム20を示している。監視区域は、1以上の危険な機械(図1には表されていない、静止型又は可動型のいずれか)を備える作業工場内の作業区域であり得る。監視区域Sには、直交座標系XYZが関連付けられ、監視区域S内の各点は、直交座標系XYZの3つの座標X、Y、Zによって定義されている。図1の表現では、直交座標系XYZの第3座標Zは、図の平面に対して垂直な方向を向いており、観察者の方に出ている。本発明の他の実施形態(図示せず)によれば、直交座標系は、定義される2つの座標を必要とする平面2Dシステム、又は定義される1つの座標を必要とする1Dシステム、例えば水平又は垂直トラックであり得る。
【0036】
位置特定システム20は、所定の通信及び安全基準に従って、以下でより明確にされるように、直交座標系XYZに対するRFIDタグ10の座標X、Y、Zを計算することによって、監視区域S内のRFIDタグ10の位置を特定する。
【0037】
RFIDタグ10は、例えば監視区域S内で動作して移動する作業者のような人、又は、例えば監視区域S内で動作して移動する車両や機械のような物体に設けることができる。RFIDタグ10は、動作信号S1,S2をそれぞれ周波数F1,F2で発するように構成されたアクティブRFIDである。動作信号S1,S2は、RFIDタグ10に関連付けられた動作情報を含む。
【0038】
図2は、本発明の第1実施形態に係るアクティブRFIDタグ10又は基準RFIDタグ11の第1実施例を示している。第1態様のアクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、それぞれ、エミッタ10a,11a及びメモリチップ10c,11cを備えている。エミッタ10a,11aは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F1で、動作信号S1及び基準信号ST1を発する。メモリチップ10c,11cは、アクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11に関する識別情報をそれぞれ含む。図3は、本発明の第2態様に係るアクティブRFIDタグ10又は基準RFIDタグ11の第2実施例を示す図である。第2実施例のアクティブRFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、それぞれ、第1エミッタ10a,11a、第2エミッタ10a,11a、及びメモリチップ10c,11cを備えている。第1エミッタ10a,11aは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F1で、第1動作信号S1及び第1基準信号ST1を発する。第2エミッタ10b,11bは、3.1~10.6MHzの範囲の周波数F2で、第2動作信号S2及び第2基準信号ST2を発する。例えばCEVE-RivieraWaves(登録商標)として使用するように、超広帯域の周波数を考慮してもよい。タグは、IEEE 802.15.4z HPRに準拠してもよい。
【0039】
位置特定システム20は、基準RFIDタグ11を更に備える。RFIDタグ11は、それぞれ、周波数F1,F2で基準信号ST1,ST2を発するように構成されたアクティブRFIDである。基準信号ST1,ST2は、基準情報を含む。RFIDタグ11は、所定の基準位置Pに位置決めされることを前提としている。直交座標系XYZに対して所定の基準位置Pの座標は、既知である。
【0040】
位置特定システム20は、基準信号ST1,ST2を複数の受信基準信号ST1'-ST1'''',ST2'-ST2''''として受信し、動作信号S1,S2を複数の受信動作信号S1'-S1''',S2'-S2''''として受信する複数の受信機(図1の実施形態では4つの受信機21,22,23,24)を更に備えている。複数の受信機21,22,23,24は、RFIDタグが発する無線信号を受信可能な複数のアンテナとして設けられてもよい。本発明の異なる実施形態によれば、複数の受信機は、監視区域の内部又はその近くに任意の数で設けられる。受信機21,22,23,24によって受信された信号ST1'-ST1'''',ST2'-ST2'''',S1'-S1'''',S2'-S2'''’は、直交座標系XYZに対するRFIDタグ10,11の位置を計算するために用いられる。従って、図1の例示的な実施形態のように、3つの座標を定義しなければならない場合、最低3つの受信機が必要とされる。ある程度余剰であることが望ましいので、好ましい実施形態は、4以上の受信機を備える。
【0041】
位置特定システム20は、安全ユニット15を更に備えている。安全ユニットは、例えば、監視区域S又はそれに近い場所に設けられたコンピュータクライアント又はサーバであり得る。本発明の他の実施形態によれば、安全ユニットは、監視区域から遠隔に設けられてもよい。安全ユニット15は、任意の通信手段によって受信機に接続され、任意の通信手段は、有線であっても有線でなくてもよい。本発明の実施形態によれば、安全ユニットは、少なくとも部分的に受信機21,22,23,24のいずれかに備えられてもよい。
【0042】
安全ユニット15は、図4に示すように、監視区域S内におけるRFIDタグ10の位置を特定するための方法100を実行するように構成される。
【0043】
方法100は、基準RFIDタグ11が、監視区域S内の既知の基準位置Pに配置され、すなわち、直交座標系XYZに対して座標X,Y,Zが付与された位置Pに配置されるステップ110を含む。
【0044】
方法100のステップ120において、基準信号ST1は、基準RFIDタグ11から発せられる。基準信号ST1は、基準RFIDタグ11を再保護する基準情報を含む。基準情報は、暗号化キー(又はキーの周期的リスト)及び/又は識別(ID)情報及び/又はタイムスタンプを含む。ステップ120の後、方法100のステップ130において、基準信号ST1は、複数の受信機21,22,23,24において、複数の受信基準信号ST1'、ST1''、ST1'''、ST1''''として受信される。ステップ130の後、方法100のステップ140において、基準RFIDタグ11の位置は、受信基準信号ST1'-ST1''''に応じて計算される。前記位置は、RTLSアルゴリズム、例えばマルチラテレーションアルゴリズムによって計算されてもよい。基準RFIDタグ11の位置は、直交座標系XYZに対する3つの座標X1,Y1,Z1を通じて定義されてもよい。ステップ140の後、方法100のステップ150において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、所定の基準位置Pと比較され、受信した基準情報は、試験結果を得るために、基準RFIDタグに関連付けられた所定の基準情報と比較される。試験結果は、基準RFIDの計算された位置X1,Y1,Z1と所定の基準位置Pとの間の位置ずれを示すものであり得る。本発明の実施形態において、方法100のステップ150は、計算された位置の座標X1,Y1,Z1と基準位置Pの座標X,Y,Zとの間の位置ずれを計算し、位置ずれが所定の閾値を下回るか否かを判定することを含む。位置ずれは、座標X1,Y1,Z1と座標X,Y,Zとの間の幾何学的距離として計算され得る。従って、試験結果は、受信基準信号ST1'-ST1''''に基づいて又はそれに応じて、既知の基準位置Pをいかに正確に計算することができるかという指標となる。所定の閾値は、そのような計算の許容される精度を決定する。試験結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、RFIDタグ10の位置の信頼できる測定値を提供することができると想定することができる。試験結果は、受信した基準情報と、基準RFIDタグに関連付けられた所定の基準情報との間の比較に更に依存し得る。試験結果は、所定の通信規格に準拠していることを示すものであってもよい。基準情報は、例えば、暗号化されてもよい。基準情報メッセージの動的復号化により、基準RFIDタグ11が、所定の規格、例えばIEC13849及び/又はIEC61508-2に従って正しく動作していることが確認される。試験結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、所定の標準規格に従って安全に通信できる、及び/又は、基準RFIDタグ11が正しく動作している、と想定することができる。
【0045】
ステップ120,130,140,150又はこれと並行して、方法100は、人又は物体が監視区域Sに入る前に、例えばその内部で1以上の動作を行うために、RFIDタグ10を人又は物体に装着するステップ111を含む。ステップ111は、RFIDタグ10を備えるウェアラブルを着用して監視区域Sに入る作業者によって実行され得る。ウェアラブルは、例えば、リストバンド又は任意の他のタイプの衣服であってよい。
【0046】
監視区域Sに人や物体が入ったか否かを検知するために、監視区域Sに更なる安全装置(添付図には示されていない)を設けてもよい。当該安全装置は、例えば、光カーテン、又はレーザスキャナや光グリッドを備える光電センサ、又は他の類似品であってもよい。当該安全装置は、受信機21,22,23,24と関連して動作し、人又は物体が、それに取り付けられるRFIDタグ無しで監視区域Sに進入しているか否かを検知することができる。この場合、警告信号が生成されてもよい。
【0047】
方法100のステップ160においては、RFIDタグ10から動作信号S1が発せられる。動作信号S1は、RFIDタグ10に関連する動作情報を含む。動作情報は、暗号化キー(又はキーの周期的リスト)及び/又は識別(ID)情報及び/又はタイムスタンプを含む。ステップ160の後、方法100のステップ170において、動作信号S1は、複数の受信機21,22,23,24において、複数の受信動作信号S1',S1'',S1''',S1''''として受信される。ステップ170の後、方法100のステップ180において、受信した動作情報は、検証結果を得るために、RFIDタグ10に関連付けられた所定の検証情報と比較される。検証結果は、所定の通信規格に準拠していることを示すものであり得る。動作情報は、例えば、暗号化されてもよい。基準情報メッセージの動的復号化により、RFIDタグ10が、例えばIEC13849及び/又はIEC61508-2のような所定の規格に従って正しく動作していることが確認される。検証結果が肯定的である場合、位置特定システム20及び/又は方法100は、所定の規格に従って安全に通信できる、及び/又は、RFIDタグ10が正しく動作している、と想定することができる。
【0048】
方法100のステップ160,170,180は、ステップ120,130,140,150の後又はこれと平行して実行され得る。
【0049】
方法100のステップ190において、RFIDタグ10の位置は、試験結果及び/又は検証結果に応じて計算される。試験結果又は検証結果が、位置特定システム20及び/又は方法100がRFIDタグ10の位置の信頼できる測定値を提供できないこと及び/又は所定の通信規格に適合していないことを示す場合、RFIDタグ10の位置は、計算されない。この場合、警告が生成され、及び/又は、システムがロックアウト状態に置かれてもよい。RFIDタグ10の位置は、受信動作信号S1'~S1''''に基づいて又はそれに応じて、例えばマルチラテレーションアルゴリズムなどのRTLSアルゴリズムによって計算される。ステップ190に対して代替的に又は付加的に、方法100は、受信動作信号S1'~S1''''に基づいて又はそれに応じて、RFIDタグ10の位置を示す位置信号を生成するステップ191を含んでもよい。位置信号は、例えば、監視区域内で実行される複数の動作の入力として使用されてもよい。例えば、位置信号は、監視区域内で1以上の機械を動作させるための入力として使用されてもよい。
【0050】
方法100のステップの少なくとも一部又はサブセット、例えばステップ120,130,140,150,160,170,180,190/191のシーケンスは、100~500msの間で構成される期間に従って周期的に実行されてもよい。
【0051】
図5は、図4の方法100に対する第1変形例を示している。図5に係る変形例において、方法100は、1つの受信機21,22,23,24を停止するステップ115を含み、ステップ140が、残りの受信機21,22,23,24が受信した基準情報に応じて基準RFIDタグ11の位置を計算することを含むことが前述したものと異なる。1つの受信機21,22,23,24の停止は、反復的且つ順次行われ、各反復において受信機21,22,23,24の1つが停止される。従って、4つの受信機21,22,23,24を有する添付図の実施形態において、受信機21,22,23,24の1つの停止は、4回実行される。本発明の他の実施形態によれば、各反復において、複数の受信機が同時に停止される。
【0052】
図5の方法によれば、ステップ150の実行後、全ての受信機21,22,23,24が順次停止されたか否かを確認するためのステップ151が実行される。全ての受信機21,22,23,24が順次停止されていない場合、前記方法は、1つの受信機21,22,23,24が停止されるステップ115を継続する。その後、ステップ120,130,140,150が、他の駆動された受信機(添付図の実施形態では3つの駆動された受信機)に対して繰り返される。全ての受信機21,22,23,24が順次停止された後、受信機21,22,23,24の順次停止の反復は終了される。ステップ150の各実行において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、更新され、試験結果を得るために所定の基準位置Pと比較される。また、ステップ150の各実行において、基準RFIDタグ11の計算された位置は、更新され、前の反復で計算された位置と比較される。試験結果の反復は、1つの停止された受信機21,22,23,24で毎回1以上の受信機が正しく機能していないことを示し得る。
【0053】
図6は、図4の方法100に対する第2変形例を示している。図6に係る変形例において、発せられた基準信号ST1及び発せられた動作信号S1は、第1周波数F1を有し、前記方法は、更に、
第1周波数F1及び第2周波数F2で、結合された基準信号ST1,ST2を同時に発するステップ122と、
結合された基準信号ST1を複数の結合された受信基準信号ST1'-ST1'''';ST2'-ST2''''として受信するステップ132と、
結合された受信基準信号ST1'-ST1''''に応じて基準RFIDタグ11の位置を計算するステップ142と、
第1周波数F1及び第2周波数F2で、結合された動作信号S1,S2を同時に発するステップ162と、
動作信号S1,S2を複数の結合された受信動作信号S1'-S'''';S2'-S2''''として受信するステップ172と、
受信した動作情報と、結合された受信動作信号S1'-S1'''';S2'-S2''''に関連付けられた所定の検証情報とを比較し、検証結果を得るステップ182と、
を含む。
【0054】
方法100の図6の変形例のステップのシーケンスは、以下に詳述される。RFIDタグ10及び基準RFIDタグ11は、図3の実施形態に従う。
【0055】
ステップ110の後、方法100のステップ117において、基準RFIDタグ11のエミッタ11a,11bの両方が停止され、受信機21,22,23,24によって信号が受信されないことがチェックされる。その後、第1エミッタ11aのみが、基準信号ST1を発するために第1周波数F1で駆動される。
【0056】
ステップ117の後、ステップ120,130,140,150のシーケンスは、図4を参照して説明したように実行される。ステップ150の後、前のステップ150で計算された試験結果が、基準RFIDタグ11が基準位置Pを計算するための第1周波数F1で正しく動作していること示すか否かをチェックするためのステップ153が行われる。ステップ153のチェックが肯定的である場合、上述したステップ122,132,142のシーケンスが行われる。ステップ142の後、方法100のステップ152において、ステップ142で計算された位置が、試験結果を更新するために、所定の基準位置Pと比較される。システムが正しく動作している場合、ステップ150及び152の両方からの試験結果が同じか類似していることが予想される。
【0057】
ステップ117,120,130,140,150,153,122,132,142,152又はこれと平行して、方法100は、人又は物体が監視区域Sに入る前に、例えばその内部で1以上の動作を行うために、RFIDタグ10を人又は物に取り付けるステップ111を含む。
【0058】
ステップ111の後、方法100のステップ118において、基準RFIDタグ10のエミッタ10a,10bの両方が停止され、受信機21,22,23,24によって信号が受信されないことがチェックされる。その後、第1エミッタ10aのみが、動作信号S1を発するために第1周波数F1で駆動される。
【0059】
ステップ118の後、ステップ160,170,170,180のシーケンスは、図4を参照して説明したように実行される。ステップ180の後、ステップ183が実行され、前のステップ180で計算された試験結果が、RFIDタグ10が第1周波数F1で正しく動作していることを示すか否かがチェックされる。ステップ183のチェックが肯定的である場合、上述したステップ162,172,182のシーケンスが実行される。システムが正しく動作している場合、ステップ180及び182の両方からの検証結果が同じか類似していることが予想される。エミッタ10a,10bの両方が同時に発せられると、理論上既知のビート周波数(|F1-F2|)を有し、所定の振幅及び位相を有するパルス波が発生する。このような波が、2つのエミッタ10a,10bによって発せられた信号の理論的な重ね合わせに対応しない場合、ステップ182で否定的な検証結果が発せられる。
【0060】
ステップ118,160,170,180,183,162,172,182は、ステップ117,120,130,140,150,153,122,132,142,152の後に実行されてもよいし、これと並行に実行されてもよい。例えば、ステップ118,160,170,180,183,162,172,182のシーケンスは、ステップ150,152でその肯定的な試験結果が得られた後にのみ実行されてもよい。
【0061】
ステップ152,182の後、図4を参照して説明したように、ステップ190,191が実行される。
【0062】
本発明の第1態様によれば、
監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための方法(100)であって、
前記監視区域(S)内の所定の基準位置(P)で、基準RFIDタグ(11)から基準情報を含む基準信号(ST1)を発するステップ(120)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するステップ(130)と、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて、前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(140)と、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)と、
前記RFIDタグ(10)から、当該RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発するステップ(160)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'~S1'''')として受信するステップ(170)と、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)と、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグ10の位置を示す位置信号を発するステップ(191)と、
を含む、方法を提供する。
【0063】
本発明の第2態様によれば、少なくとも1つの受信機(21,22,23,24)を順次停止するステップ(115)と、
残りの受信機(21,22,23,24)によって受信された前記基準情報に応じて、前記基準RFIDタグの位置を計算するステップ(140)と、
を含む、第1態様に記載の方法を提供する。
【0064】
本発明の第3態様によれば、前記試験結果は、前記基準RFIDタグの計算された位置と前記所定の基準位置(P)及び/又は以前に計算された位置との間の位置ずれを示す、第1又は2態様に記載の方法を提供する。
【0065】
本発明の第4態様によれば、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)は、前記位置ずれが所定の閾値以下であるか否かを判定することを含む、第3態様に記載の方法を提供する。
【0066】
本発明の第5態様によれば、前記動作情報及び/又は基準情報は、暗号化キー、識別情報、タイムスタンプのいずれかを含む、第1~4態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0067】
本発明の第6態様によれば、前記試験結果及び/又は検証結果は、所定の通信規格の準拠を示すものである、第1~5態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0068】
本発明の第7態様によれば、受信した前記動作情報と前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、又は、前記位置信号を発するステップ(191)は、各受信機(21,22,23,24)で行われる、第1~6態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0069】
本発明の第8態様によれば、受信した前記基準情報を、前記基準RFIDタグ(11)に関連付けられた所定の基準情報と比較するステップ(150)を含む、第1~7態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0070】
本発明の第9態様によれば、前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記RFIDタグ(10)の位置を計算するステップ(180)がブロックされ、及び/又は、前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記監視区域に関連付けられた機械を安全モードに置くことを指示する安全信号を発する、第1~8態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0071】
本発明の第10態様によれば、発せられた前記基準信号(ST1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、前記第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された基準信号(ST1,ST2)を同時に発するステップ(122)と、前記結合された基準信号(ST1)を複数の結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''';ST2'-ST2'''')として受信するステップ(132)と、前記結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(142)とを含む、第1~9態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0072】
本発明の第11態様によれば、発せられた動作信号(S1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された動作信号(S1,S2)を同時に発するステップ(162)と、前記結合された動作信号(S1,S2)を複数の結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')として受信するステップ(172)と、前記検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(182)とを含む、第1~10態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0073】
本発明の第12態様によれば、前記方法のステップの少なくとも1つのサブセットは、所定の期間に応じて周期的に実行される、第1~11態様のいずれか1つに記載の方法を提供する。
【0074】
本発明の第13態様によれば、監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための位置特定システム(20)であって、
基準情報を含む基準信号(ST1)を発する少なくとも1つの基準RFIDタグ(11)と、
前記RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発する少なくとも1つのRFIDタグ(10)と、
前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するとともに、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'-S1'''')として受信する複数の受信機(21,22,23,24)と、
安全ユニット(15)と、を備え、
前記安全ユニット(15)は、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算(140)し、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と所定の基準位置(P)とを比較(150)し、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較(180)し、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算(190)し、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を示す位置信号(191)を発する、
ように構成されている、位置特定システムを提供する。
【0075】
本発明の第14態様によれば、前記安全ユニット(15)は、前記受信機(21,22,23,24)のいずれかに少なくとも部分的に構成されている、第13態様に記載の位置特定システムを提供する。
【0076】
本発明の第15態様によれば、監視区域(S)に入るオペレータに着用されるウェアラブルを更に備え、前記ウェアラブルは、前記RFIDタグ(10)を備える、第13又は14態様に記載の位置特定システムを提供する。
【0077】
本発明を好適な実施形態に従って説明したが、全ての実施形態において変更が可能であることは、当業者にとって明らかである。提示された技術が、言及された数値及び範囲、例えば、周波数及び/又は期間に限定されないことは理解されるべきである。
【符号の説明】
【0078】
10 RFIDタグ
11 基準RFIDタグ
20 位置特定システム
21,22,23,24 受信機
100 方法
110,111,115,117,118,120,130 方法ステップ
132,140,142,150,151,152,153 方法ステップ
160,162,170,172,180,182,183 方法ステップ
190,191 方法ステップ
F1,F2 周波数
S 監視区域
ST1,ST2 基準信号
ST1'-ST1'''';ST2'-ST2'''' 受信基準信号
S1,S2 動作信号
S1'-S1'''';S2'-S2'''' 受信動作信号
X,X1,Y,Y1,Z,Z1 座標
XYZ 座標系
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための方法(100)であって、
前記監視区域(S)内の所定の基準位置(P)で、基準RFIDタグ(11)から基準情報を含む基準信号(ST1)を発するステップ(120)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するステップ(130)と、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて、前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(140)と、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)と、
前記RFIDタグ(10)から、当該RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発するステップ(160)と、
複数の受信機(21,22,23,24)において、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'~S1'''')として受信するステップ(170)と、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)と、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'~S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグ10の位置を示す位置信号を発するステップ(191)と、
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの受信機(21,22,23,24)を順次停止するステップ(115)と、
残りの受信機(21,22,23,24)によって受信された前記基準情報に応じて、前記基準RFIDタグの位置を計算するステップ(140)と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験結果は、前記基準RFIDタグの計算された位置と前記所定の基準位置(P)及び/又は以前に計算された位置との間の位置ずれを示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と前記所定の基準位置(P)とを比較するステップ(150)は、前記位置ずれが所定の閾値以下であるか否かを判定することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記動作情報及び/又は基準情報は、暗号化キー、識別情報、タイムスタンプのいずれかを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記試験結果及び/又は検証結果は、所定の通信規格の準拠を示すものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
受信した前記動作情報と前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(180)、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算するステップ(190)、又は、前記位置信号を発するステップ(191)は、各受信機(21,22,23,24)で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
受信した前記基準情報を、前記基準RFIDタグ(11)に関連付けられた所定の基準情報と比較するステップ(150)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記RFIDタグ(10)の位置を計算するステップ(180)がブロックされ、及び/又は、前記試験結果及び/又は検証結果が前記RFIDタグ及び/又は前記受信機の異常状態を示す場合、前記監視区域に関連付けられた機械を安全モードに置くことを指示する安全信号を発する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
発せられた前記基準信号(ST1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、前記第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された基準信号(ST1,ST2)を同時に発するステップ(122)と、前記結合された基準信号(ST1)を複数の結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''';ST2'-ST2'''')として受信するステップ(132)と、前記結合された受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算するステップ(142)とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
発せられた動作信号(S1)は、第1周波数(F1)を有し、
前記方法は、更に、第1周波数及び第2周波数(F1,F2)で、結合された動作信号(S1,S2)を同時に発するステップ(162)と、前記結合された動作信号(S1,S2)を複数の結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')として受信するステップ(172)と、前記検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記結合された受信動作信号(S1'-S1'''';S2'-S2'''')に関連付けられた所定の検証情報とを比較するステップ(182)とを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記方法のステップの少なくとも1つのサブセットは、所定の期間に応じて周期的に実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
監視区域(S)内におけるRFIDタグ(10)の位置を特定するための位置特定システム(20)であって、
基準情報を含む基準信号(ST1)を発する少なくとも1つの基準RFIDタグ(11)と、
前記RFIDタグに関連付けられた動作情報を含む動作信号(S1)を発する少なくとも1つのRFIDタグ(10)と、
前記基準信号(ST1)を複数の受信基準信号(ST1'-ST1'''')として受信するとともに、前記動作信号(S1)を複数の受信動作信号(S1'-S1'''')として受信する複数の受信機(21,22,23,24)と、
安全ユニット(15)と、を備え、
前記安全ユニット(15)は、
前記受信基準信号(ST1'-ST1'''')に応じて前記基準RFIDタグ(11)の位置を計算(140)し、
試験結果を得るために、前記基準RFIDタグ(11)の計算された位置と所定の基準位置(P)とを比較(150)し、
検証結果を得るために、受信した前記動作情報と、前記RFIDタグ(10)に関連付けられた所定の検証情報とを比較(180)し、
前記試験結果及び/又は検証結果に応じて、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を計算(190)し、及び/又は、前記受信動作信号(S1'-S1'''')に基づいて又はそれに応じて前記RFIDタグの位置を示す位置信号(191)を発する、
ように構成されている、位置特定システム。
【請求項14】
前記安全ユニット(15)は、前記受信機(21,22,23,24)のいずれかに少なくとも部分的に構成されている、請求項13に記載の位置特定システム。
【請求項15】
監視区域(S)に入るオペレータに着用されるウェアラブルを更に備え、前記ウェアラブルは、前記RFIDタグ(10)を備える、請求項13に記載の位置特定システム。
【外国語明細書】