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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019016
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】段ボール箱開梱装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65B69/00 D
B65B69/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112083
(22)【出願日】2023-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2022121406
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】591205835
【氏名又は名称】株式会社ニッコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一雄
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA02
3E058BA05
3E058CA03
3E058CB03
3E058DA05
3E058EA01
3E058FA02
3E058FA05
3E058GA08
3E058GA09
(57)【要約】
【課題】 梱包された段ボール箱の底蓋を封止している粘着テープを確実に切断し、かつ自動的に内容物を取り出すことのできる、段ボール箱開梱装置を提供する。
【解決手段】 搬出コンベア7の搬送方向手前側の移送面において刃先を上方に向けて保持された底蓋テープ切断刃51を備える底蓋テープ切断手段5と、段ボール箱10を把持するとともに101底蓋を封止している粘着テープ20をその長手方向に沿って底蓋テープ切断刃51に所定の押圧力で当接させながら移送することにより、粘着テープ20を切断しつつ段ボール箱10を搬出コンベア7上に移送し、段ボール箱10を持ち上げて内容物30を自重により搬出コンベア7上に取り出す内容物取出手段6とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包された段ボール箱の底蓋を封止している粘着テープを切断して底面から内容物を取り出す段ボール箱開梱装置であって、
梱包された前記段ボール箱を搬入する搬入コンベアと、
前記段ボール箱から取り出された内容物を搬出する搬出コンベアと、
前記段ボール箱の底蓋から左右の側面にかけて貼付された前記粘着テープのうち稜線部分を切断する稜線テープ切断手段と、
前記搬出コンベアの搬送方向手前側の移送面において刃先を上方に向けて保持された底蓋テープ切断刃を備える底蓋テープ切断手段と、
前記段ボール箱を把持するとともに前記底蓋を封止している粘着テープをその長手方向に沿って前記底蓋テープ切断刃に所定の押圧力で当接させながら移送することにより、前記粘着テープを切断しつつ前記段ボール箱を前記搬出コンベア上に移送し、前記段ボール箱を持ち上げて前記内容物を自重により前記搬出コンベア上に取り出す内容物取出手段と
を有する、前記段ボール箱開梱装置。
【請求項2】
前記底蓋テープ切断刃は、前記段ボール箱の搬送方向に対して直交する方向に複数枚を並設して構成されている、請求項1に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項3】
前記底蓋テープ切断刃は、移送面から搬送方向の斜め下方に退避可能であって、かつ所定の付勢力をもって揺動支持されている、請求項1または請求項2に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項4】
前記稜線テープ切断手段は、前記搬入コンベアの搬入先に並設されており、
前記搬入方向に対して直交する左右方向に前記段ボール箱を移動させる移動ローラー部と、
左側に移動された前記段ボール箱を係止する左ストッパー部と、
前記左ストッパー部に係止された前記段ボール箱の左側の前記粘着テープの稜線部分を切断する左カッター部と、
右側に移動された前記段ボール箱を係止する右ストッパー部と、
前記右ストッパー部に係止された前記段ボール箱の右側の前記粘着テープの稜線部分を切断する右カッター部と
を有する、請求項1に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項5】
前記搬出コンベアは、前記稜線テープ切断手段の左右いずれかの方向に配設されており、
前記搬出コンベアが配設された方向側のストッパー部およびカッター部は、前記内容物取出手段が前記段ボール箱を前記移動ローラー部上から前記搬出コンベア上に移送させる際に移送の妨げにならないように、前記移送面より下方に退避可能に構成されている、請求項4に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項6】
前記搬出コンベア上において前記内容物取出手段により持ち上げられた前記段ボール箱の前記底蓋を開口する底蓋開口手段を有する、請求項1に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項7】
前記底蓋開口手段は、
前記搬出コンベアの両側に配置された伸縮制御および揺動制御が可能な一対の伸縮揺動アーム部と、
前記各伸縮揺動アーム部の先端に設けられて前記底蓋を掴む掴持部と
を有する、請求項6に記載の段ボール箱開梱装置。
【請求項8】
前記底蓋開口手段は、
前記掴持部が、先端に前記底蓋の底面を吸着する吸着面を備えるとともに、前記伸縮揺動アーム部の先端を基端として揺動可能に接続されており、
前記伸縮揺動アーム部が前記底蓋側に伸張する動きに連動して、前記掴持部の吸着面を前記底蓋と平行する位置に揺動させる掴持部揺動部を備えている、請求項7に記載の段ボール箱開梱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープによって封止された段ボール箱を開梱し、内容物を取り出すことのできる、段ボール箱開梱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品や材料などの運搬には、梱包材として段ボール箱が用いられている。このような段ボール箱は、四方の側面から上下方向に天面および底面の蓋となるフラップ部材が延出されており、梱包する際には、各フラップ部材を内側方向に折り畳んで、外側フラップの突き合わせ部分に粘着テープを貼付し、封止することで箱形に形成されている。
【0003】
従来、搬送されてきた段ボール箱から内容物を取り出す開梱作業は、手作業で行われている。具体的には、天面の粘着テープをカッターで切断し、各フラップ部材を立ち上げ、箱から持ち上げるようにして内容物を取り出している。これら一連の作業では、屈んだり、腰を曲げたり、持ち上げたりと、様々な姿勢の作業を複合的に行うことになる。このため、作業時間がかかるばかりではなく、体への負担も大きく、作業者の腰痛や関節痛、怪我などの原因になっている。特に、食品工場では、肉や魚などの冷凍食材や醤油などの液体調味料など重たいものが多く、一日に何箱も開梱する必要があり、体に最も負担のかかる作業の一つになっている。
【0004】
そこで、これまでに段ボール箱の開梱を自動化する装置が開発されている。例えば、特開2013-100118号公報では、天面の粘着テープが切断された段ボール箱をロボットアームで反転させて内容物を取り出す開梱装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
また、特開2020-75731号公報では、ベルトコンベアにより運搬される段ボール箱の底蓋の粘着テープを切断するカッター装置と、段ボール箱の底蓋を開くオープン装置と、オープン装置直下にトレーを搬送するトレー搬送装置とを有する段ボール箱開梱システムが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-100118号公報
【特許文献2】特開2020-75731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された発明においては、予め天面の粘着テープを切断しておく必要があり、完全には自動化されていない。また、ロボットアームが段ボール箱をひっくり返す途中で内容物が箱から転がり出てしまうため、損傷のおそれもある。
【0008】
また、特許文献2に記載された発明においては、内容物を受けるトレーを搬送するためのベルトコンベアを必要とし、物流センターのような比較的大規模な施設に導入されるシステムであって、中小規模の施設には導入が困難であるという問題がある。また、カッター装置の構成の記載がなく、どのように底蓋の粘着テープを切断するかについて具体的な技術は開示されていない。また、段ボール箱の底蓋を開くオープン装置は、外側フラップと同じ大きさのエアーグリッパーで当該外側フラップを吸着し、前記エアーグリッパーを回転させることにより前記外側フラップを稜を中心に開くものであるが、所定の大きさの外側フラップの段ボール箱の開梱しかできないという問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、梱包された段ボール箱の底蓋を封止している粘着テープを確実かつ速やかにに切断し、自動的に内容物を取り出すことのできる、段ボール箱開梱装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る段ボール箱開梱装置は、段ボール箱の底蓋の粘着テープを確実かつ速やかに切断し、内容物を自動的に取り出すという課題を解決するために、梱包された段ボール箱の底蓋を封止している粘着テープを切断して底蓋から内容物を取り出す段ボール箱開梱装置であって、梱包された前記段ボール箱を搬入する搬入コンベアと、前記段ボール箱から取り出された内容物を搬出する搬出コンベアと、前記段ボール箱の底蓋から左右の側面にかけて貼付された前記粘着テープのうち稜線部分を切断する稜線テープ切断手段と、前記搬出コンベアの搬送方向手前側の移送面において刃先を上方に向けて保持された底蓋テープ切断刃を備える底蓋テープ切断手段と、前記段ボール箱を把持するとともに前記底蓋を封止している粘着テープをその長手方向に沿って前記底蓋テープ切断刃に所定の押圧力で当接させながら移送することにより、前記粘着テープを切断しつつ前記段ボール箱を前記搬出コンベア上に移送し、前記段ボール箱を持ち上げて前記内容物を自重により前記搬出コンベア上に取り出す内容物取出手段とを有する。
【0011】
また、本発明の一態様として、底蓋テープ切断刃に対する粘着テープの位置のずれに対応し、粘着テープを切断する確実性をより高めるという課題を解決するために、前記底蓋テープ切断刃は、前記段ボール箱の搬送方向に対して直交する方向に複数枚を並設して構成されていてもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、内容物を傷つけずに粘着テープのみを切断し、段ボール箱の切り屑の発生を抑制するという課題を解決するために、前記底蓋テープ切断刃は、移送面から搬送方向の斜め下方に退避可能であって、かつ所定の付勢力をもって揺動支持されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様として、様々な大きさの段ボール箱の稜線部分の粘着テープの切断を可能にするという課題を解決するために、前記稜線テープ切断手段は、前記搬入コンベアの搬入先に並設されており、前記搬入方向に対して直交する左右方向に前記段ボール箱を移動させる移動ローラー部と、左側に移動された前記段ボール箱を係止する左ストッパー部と前記左ストッパー部に係止された前記段ボール箱の左側の前記粘着テープの稜線部分を切断する左カッター部と、右側に移動された前記段ボール箱を係止する右ストッパー部と、前記右ストッパー部に係止された前記段ボール箱の右側の前記粘着テープの稜線部分を切断する右カッター部とを有していてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、装置をワンユニット化してコンパクトな構成にし、狭い場所に設置可能とするという課題を解決するために、前記搬出コンベアは、前記稜線テープ切断手段の左右いずれかの方向に配設されており、前記搬出コンベアが配設された方向側のストッパー部およびカッター部は、前記内容物取出手段が前記段ボール箱を前記移動ローラー部上から前記搬出コンベア上に移送させる際に移送の妨げにならないように、前記移送面より下方に退避可能に構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、内容物が軽量であるなどの理由により、粘着テープを切断した段ボール箱を持ち上げても、内容物が自重により取り出せないという課題を解決するために、前記搬出コンベア上において前記内容物取出手段により持ち上げられた前記段ボール箱の前記底蓋を開口する底蓋開口手段を有するようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様として、大きさの異なる様々な段ボール箱であっても底蓋を開口させるという課題を解決するために、前記底蓋開口手段は、前記搬出コンベアの両側に配置された伸縮制御および揺動制御が可能な一対の伸縮揺動アーム部と、前記各伸縮揺動アーム部の先端に設けられて前記底蓋を掴む掴持部とを有するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様として、底蓋を吸着力を利用して開口するという課題を解決するために、前記底蓋開口手段は、前記掴持部が、先端に前記底蓋の底面を吸着する吸着面を備えるとともに、前記伸縮揺動アーム部の先端を基端として揺動可能に接続されており、前記伸縮揺動アーム部が前記底蓋側に伸張する動きに連動して、前記掴持部の吸着面を前記底蓋と平行する位置に揺動させる掴持部揺動部を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、梱包された段ボール箱の底蓋を封止している粘着テープを確実かつ速やかにに切断し、自動的に内容物を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る段ボール箱開梱装置の第一実施形態を示す斜視図である。
図2】本第一実施形態の段ボール箱開梱装置の内部構造を示す斜視図である。
図3】本第一実施形態の段ボール箱開梱装置を示す左側面図である。
図4】本第一実施形態における左カッター部を示す拡大斜視図である。
図5】本第一実施形態における複数枚の底蓋テープ切断刃を示す拡大斜視図である。
図6】本第一実施形態における底蓋テープ切断手段を示す拡大斜視図である。
図7】本第一実施形態において、事前準備として奥側係止部を所定の位置に移動させ、かつ把持部を段ボール箱の搬入の妨げとならない位置に退避させた状態を示す斜視図である。
図8】本第一実施形態において段ボール箱の搬入する工程を示す斜視図である。
図9】本第一実施形態において段ボール箱の左側における粘着テープの稜線部分を切断する工程を示す斜視図である。
図10】本第一実施形態において段ボール箱の右側における粘着テープの稜線部分を切断する工程を示す斜視図である。
図11】本第一実施形態において段ボール箱を把持部で把持する工程を示す斜視図である。
図12】本第一実施形態において段ボール箱を搬出コンベアに移動させつつ底蓋の粘着テープを切断する工程を示す斜視図である。
図13】本第一実施形態において段ボール箱から内容物を取り出す工程を示す斜視図である。
図14】本第一実施形態において空になった段ボール箱を排出する工程を示す斜視図である。
図15】本発明に係る段ボール箱開梱装置の第二実施形態における底蓋開口手段を示す側面図である。
図16】本第二実施形態において粘着テープを切断した段ボール箱を持ち上げた状態を示す側面図である。
図17】本第二実施形態において底蓋開口手段の伸縮揺動アーム部を揺動させ、掴持部を段ボール箱の下方に配置した状態を示す側面図である。
図18】本第二実施形態において伸縮揺動アーム部を伸張させ、掴持部で段ボール箱の底蓋を掴んだ状態を示す側面図である。
図19】本第二実施形態において伸縮揺動アーム部を収縮させ、掴持部で掴んだ段ボール箱の底蓋を開口した状態を示す側面図である。
図20】本第二実施形態において伸縮揺動アーム部を外側に揺動させ、掴持部で掴んだ段ボール箱の底蓋をさらに大きく開口した状態を示す側面図である。
図21】本第二実施形態において伸縮揺動アーム部をさらに外側に揺動させ、底蓋を全開させ、内容物を搬出コンベア上に取り出した状態を示す側面図である。
図22】本第二実施形態において掴んだ段ボール箱の底蓋を掴持部から放し、空の段ボール箱を持ち上げた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る段ボール箱開梱装置の第一実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
本第一実施形態の段ボール箱開梱装置1は、図1および図2に示すように、装置を納める筐体2と、この筐体2に段ボール箱10を搬入する搬入コンベア3と、搬入された段ボール箱10を封止する粘着テープ20の稜線部分201を切断する稜線テープ切断手段4と、前記段ボール箱10の底蓋101の粘着テープ20を切断する底蓋テープ切断手段5と、前記底蓋テープ切断手段5に段ボール箱10の底蓋101の粘着テープ20を切断させ、その段ボール箱10を持ち上げることで内容物30を取り出す内容物取出手段6と、段ボール箱10から取り出された内容物30を前記筐体2から搬出する搬出コンベア7と、各手段を制御する制御コントローラー8とを有する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0022】
筐体2は、内容物取出手段6等を収容する中空状の箱体であって、本第一実施形態では、図1および図3に示すように、正面には段ボール箱10を搬入する搬入口21、右側面には取り出された内容物30を搬出する搬出口22、左側面には内容物30を取り出した空の段ボール箱10を排出する空箱排出口23がそれぞれ開口されている。
【0023】
また、図2に示すように、空箱排出口23の内側には、前記空箱排出口23に向けて下り傾斜状に設けられた排出スロープ24が設けられており、内容物取出手段6によって前記排出スロープ24の上に空箱を降ろすことで、空箱が滑り降りて筐体2の外に排出されるようになっている。
【0024】
搬入コンベア3は、粘着テープ20によって封止された段ボール箱10を筐体2へ搬入するコンベアであって、筐体2の正面の搬入口21の外側に設置されている。
【0025】
稜線テープ切断手段4は、搬入された段ボール箱10の底蓋101から左右の側面にかけて貼付された粘着テープ20のうち稜線部分201を切断するためのものであり、本第一実施形態では、段ボール箱10を左右方向に移動させる移動ローラー部41と、搬入方向の奥側で段ボール箱10を係止する奥側係止部42と、移動ローラー部41の左側で段ボール箱10を係止する左ストッパー部43と、左側の粘着テープ20の稜線部分201を切断する左カッター部44と、移動ローラー部41の右側で段ボール箱10を係止する右ストッパー部45と、右側の粘着テープ20の稜線部分201を切断する右カッター部46とを有する。
【0026】
移動ローラー部41は、搬入された段ボール箱10を搬入方向に直交する左右方向に移動させるためのものであり、本第一実施形態では、コンベアラインで搬送物の進行方向を直角方向(90°方向)に変えることのできる直角移載装置が用いられている。具体的には、図2に示すように、複数本の左右回転ローラー411と、各左右回転ローラー411の間で搬入方向に回動することのできる複数の搬入回動コンベア412とから構成されており、前記搬入回動コンベア412は、前記左右回転ローラー411より下方に退避可能に構成されている。つまり、移動ローラー部41は、搬入方向への移動を搬入回動コンベア412で行い、左右方向への移動の際には搬入回動コンベア412を下方に退避させ、左右回転ローラー411を回転させて左右に移動させる構成になっている。
【0027】
奥側係止部42は、移動ローラー部41によって搬入方向に移動された段ボール箱10を所定の位置で係止するものであり、搬入方向に対して任意の前後位置に移動可能に構成されている。本第一実施形態では、左カッター部44および右カッター部46による切断可能な範囲に、段ボール箱10の粘着テープ20が配置される位置で前記段ボール箱10を係止するようになっている。
【0028】
左ストッパー部43は、移動ローラー部41によって左側に移動された段ボール箱10を係止するストッパーであり、本第一実施形態では、図2に示すように、移動ローラー部41の左側に立設されている。また、左ストッパー部43の略中央位置には、凹状の切り欠きが形成されており、当該切り欠き部分に左カッター部44が配置されている。
【0029】
左カッター部44は、段ボール箱10の底蓋101から左側面にかけて貼付された粘着テープ20の稜線部分201を切断するものであり、本第一実施形態では、図4に示すように、サイド切断刃441の刃先が斜め上方に向くように取り付けられており、前記サイド切断刃441を稜線部分201に向けて斜め上方に移動させるとともに、搬入方向に移動させることで粘着テープ20の稜線部分201を切断するようになっている。
【0030】
右ストッパー部45は、移動ローラー部41によって右側に移動された段ボール箱10を係止するストッパーであり、本第一実施形態では、段ボール箱10を搬出コンベア7に移送する際に邪魔にならないように、搬出コンベア7の搬送方向手前側に構成される移送面9より下方に退避可能に構成されている。
【0031】
右カッター部46は、右側の粘着テープ20の稜線部分201を切断するものであり、本第一実施形態では、図示しないが、左カッター部44と同様に、サイド切断刃441の刃先が斜め上方に向くように取り付けられており、前記サイド切断刃441を稜線部分201に向けて斜め上方に移動させるとともに、搬入方向に移動させることで粘着テープ20の稜線部分201を切断するようになっている。
【0032】
底蓋テープ切断手段5は、段ボール箱10の底蓋101の粘着テープ20を切断するものであって、搬出コンベア7の搬送方向手前側の移送面9において刃先を上方に向けて保持された底蓋テープ切断刃51を備えている。本第一実施形態における底蓋テープ切断刃51は、底蓋101の粘着テープ20を確実に切断するため、図5に示すように、段ボール箱10の搬送方向に対して直交する方向に複数枚を並設して構成されている。底蓋テープ切断刃51同士の間隔や枚数は特に限定されるものではないが、本第一実施形態では、3枚の底蓋テープ切断刃51が2mm間隔で並設されている。
【0033】
また、底蓋テープ切断刃51は、粘着テープ20の切断時に過度に段ボール箱10を傷つけて切り屑などが発生しないように、移送面9から搬送方向の斜め下方に退避可能であって、かつ所定の付勢力をもって揺動支持されており、本第一実施形態では、図6に示すように、支持力を調整することのできる空圧式回転シリンダー52によって底蓋テープ切断刃51を揺動自在に支持している。つまり、空圧式回転シリンダー52は、底蓋テープ切断刃51の刃先を上方に向けて保持し、前記刃先に所定の力以上の力を受けた場合には、所定の付勢力を持って底蓋テープ切断刃51を傾斜させることで移送面9から搬送方向の斜め下方に退避させ、底蓋テープ切断刃51の刃先を粘着テープ20に適度な力で当接させるように自動的に力が調整されるようになっている。これにより、底蓋テープ切断刃51が必要以上に段ボール箱10に深く入り込まないため、内容物30を傷つけることなく表面にある粘着テープ20のみを切断し、段ボール屑が生じるのを防ぐことができる。
【0034】
なお、底蓋テープ切断刃51を適度に退避させ、かつ付勢力を発揮させるものは、空圧式回転シリンダー52によるものに限定されるものではなく、板バネやコイルバネ、ゴムなどの弾性を備えた樹脂素材などから適宜選択してもよい。
【0035】
内容物取出手段6は、移動ローラー部41に載置された段ボール箱10を把持して搬出コンベア7上に移動させる際に、底蓋101の粘着テープ20を底蓋テープ切断刃51に当接させて切断させ、切断後の段ボール箱10を持ち上げて内容物30を自重により取り出すものである。また、本第一実施形態では、内容物30を取り出して空になった段ボール箱10を筐体2の外に排出するために排出スロープ24の位置まで移動させる際にも使用される。
【0036】
具体的には、内容物取出手段6は、図2に示すように、段ボール箱10を把持する把持部61と、前記把持部61を左右方向および上下方向に移動させる駆動部62とを有する。
【0037】
把持部61は、前後2枚の把持プレート611,611を有しており、これら2枚の把持プレート611,611が互いの距離を縮めることで段ボールを両側から把持するようになっている。本第一実施形態における把持プレート611,611の段ボール箱10を把持する把持面612には、滑り止めとして、段ボール箱10の側面を貫通しない程度の高さに形成された複数個の突起613を備えている。また、把持部61は、段ボール箱10の強度などに応じて把持力が調整できるようになっている。
【0038】
なお、把持面612の滑り止めは、突起613によるものに限定されるものではなく、摩擦抵抗の大きい樹脂素材などにより構成されていてもよい。
【0039】
駆動部62は、把持部61を左右方向および上下方向に自在に移動させるものであり、本第一実施形態では、水平状に設けられた水平レール621と、垂直状に設けられた2本の垂直レール622,622とを有しており、図示しないが、電動モータ等によって前記把持部61を水平レール621および垂直レール622に沿って自在に移動できるように構成されている。
【0040】
搬出コンベア7は、段ボール箱10から取り出された内容物30を筐体2の外に搬出するためのコンベアであり、本第一実施形態では、移動ローラー部41の右側に移送面9が設けられており、搬出コンベア7はその移送面9の右側に配置されている。これにより、搬入コンベア3、移動ローラー部41および搬出コンベア7が平面視略L字状に配置されており、ワンユニット化されたコンパクトな配置に構成されている。
【0041】
制御コントローラー8は、各手段を制御するコントーラーであり、タッチパネル式の入力手段を備えている。本第一実施形態では、図3に示すように、筐体2の左側面に設けられており、開梱する段ボール箱10の外形寸法や強度、内容物30の大きさや重さ、種類などの設定データが入力できるようになっている。また、各設定データが段ボール箱10や内容物30に応じて予めプリセットされている場合は、プリセットされた情報を選択して入力することもできる。
【0042】
また、制御コントローラー8は、設定データに基づき搬入コンベア3、稜線テープ切断手段4、内容物取出手段6および搬出コンベア7等に適宜制御信号を送信し、段ボール箱10の搬入、粘着テープ20の切断、内容物30の取り出し、内容物30の搬出および空の段ボール箱10の排出を自動的に実行するようになっている。
【0043】
次に、本第一実施形態の段ボール箱開梱装置1における各構成の作用について説明する。
【0044】
まず、事前準備として、開梱する段ボール箱10を搬入するために、制御コントローラー8により段ボール箱10の外形寸法や内容物30の設定データを入力または選択する。本第一実施形態では、設定データを入力または選択されると、図7に示すように、前記設定データに基づき奥側係止部42が左カッター部44および右カッター部46によって、段ボール箱10の粘着テープ20の稜線部分201を切断可能な範囲に前記段ボール箱10を係止する位置に移動する。また、把持部61が段ボール箱10の搬入の妨げとならない位置に退避する。
【0045】
次に、図8に示すように、段ボール箱10を搬入コンベア3に載置する。このとき段ボール箱10は、底蓋101の粘着テープ20の貼付されている方向が搬入方向(図8に記載の矢印方向)と直交するように(左右方向に沿うように)載置する。
【0046】
次に、制御コントローラー8から各手段に対し制御信号を送信して開梱作業を開始させ、図8図14に示すように、段ボール箱10の搬入から内容物30の搬出および空箱の排出工程までを自動的に実行させる。
【0047】
具体的には、図8の矢印で示すように、搬入コンベア3が段ボール箱10を筐体2の搬入口21から内部に搬入する。また、図9に示すように、移動ローラー部41の搬入回動コンベア412が段ボール箱10を搬入方向に移動させ、予め移動させておいた奥側係止部42に係止させる。さらに、搬入回動コンベア412を下方に退避させ、左右回転ローラー411により段ボール箱10を左右に移動させる。本第一実施形態では、先に左側(図9の矢印の方向)に移動させ、段ボール箱10を左ストッパー部43に係止させる。そして、左カッター部44によって段ボール箱10の左側における粘着テープ20の稜線部分201を切断する。
【0048】
次に、図10に示すように、左右回転ローラー411を逆回転させて段ボール箱10を右側に移動させる。このとき、右ストッパー部45は、移送面9より上方に出た状態にして、段ボール箱10を係止する。そして、右カッター部46により段ボール箱10の右側における粘着テープ20の稜線部分201を切断する。
【0049】
このように、本第一実施形態における稜線テープ切断手段4は、段ボール箱10を左右に寄せて切断するため、異なる大きさの段ボール箱10における粘着テープ20の稜線部分201を切断することができる。
【0050】
また、段ボール箱10が奥側係止部42、左ストッパー部43および右ストッパー部45により所定の位置で係止されており、切断する粘着テープ20の稜線部分201の位置が定まっているため、左カッター部44および右カッター部46によって確実に切断することができる。さらに、本第一実施形態では、サイド切断刃441等を斜め上方に移動させて粘着テープ20に当接させるため当接範囲が広めに確保されており、段ボールの厚み等により稜線部分201の位置が上下方向に多少ずれていても、粘着テープ20を精度良く切断することができる。
【0051】
次に、図11に示すように、右ストッパー部45は移送面9より下方に退避する。そして、内容物取出手段6の把持部61が段ボール箱10の外形寸法および強度に基づき前記段ボール箱10を破壊しない適度な力で両側から把持する。このとき把持部61は、内容物30を取り出す工程で段ボール箱10を持ち上げた際に把持力が前記内容物30の自重による取り出しを妨げないように、段ボール箱10の側面の上下中央位置より上方の位置を把持する。また、把持面612に形成された複数個の突起613が、段ボール箱10の側面を突き刺すようにして把持する。よって、段ボール箱10は、内容物30の重量が重くても把持部61により確実に把持された状態で移動させることができる。なお、突起613は段ボール箱10の側面を貫通しない程度の高さに形成されているため内容物30を傷つけることがない。
【0052】
次に、図12に示すように、把持部61が水平レール621に沿って移動し、把持した段ボール箱10を移送面9に沿うように一定の高さを保って搬出コンベア7の上に移送する。この際、底蓋テープ切断刃51に対し、段ボール箱10の底蓋101の粘着テープ20を長手方向に沿って所定の押圧力で当接させるため、前記段ボール箱10を移動させながら粘着テープ20を切断する。
【0053】
また、本第一実施形態では、複数枚の底蓋テープ切断刃51が並設されているため、広めにに切断幅が設定されており、仮に底蓋101の突き合わせ部分が設定データに基づく中央位置に対して搬入方向に僅かにずれていた場合であっても確実に粘着テープ20を切断する。
【0054】
さらに、内容物30が食品などの場合には、内容物30の損傷や切り屑などの異物の混入は大問題となるが、本第一実施形態における底蓋テープ切断刃51は、大きな当接力を受けると所定の付勢力を保ちつつ搬送方向の斜め下方に退避するため、内容物30を傷つけることなく、粘着テープ20を切断するだけであって、切り屑の発生を抑えることができる。
【0055】
次に、図13に示すように、把持部61が垂直レール622に沿って上方に移動し、段ボール箱10を上方(図13における矢印方向)に持ち上げる。これにより底蓋101は内容物30の重みによって広く開封され、前記内容物30は自重によって自動的に搬出コンベア7の上に取り出される。このとき、把持力によって段ボール箱10が変形して内容物30の取り出しを妨げるおそれがあるが、本第一実施形態では、把持力が調整されているとともに段ボール箱10の側面の上方の位置を把持しているため、底蓋101側の変形が抑制され、自重による取り出しを妨げない。
【0056】
搬出コンベア7は、取り出された内容物30を筐体2の搬出口22から外に搬出し、トレー40に搬出される。
【0057】
また、図14に示すように、把持部61は、持ち上げた空の段ボール箱10を搬出方向とは逆方向(図14における矢印方向)に移動させ、排出スロープ24の上で降ろす。段ボール箱10は、排出スロープ24の傾斜によって滑り落ち、筐体2の空箱排出口23から外に排出される。
【0058】
以上のような本第一実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
1.底蓋テープ切断刃51を段ボール箱10の底蓋101の粘着テープ20の長手方向に沿って所定の押圧力で当接させることができるため、確実に粘着テープ20を切断することができる。
2.段ボール箱10の底蓋101の突き合わせ部分が外形寸法の中央位置に対してずれていたとしても、並設された複数枚の底蓋テープ切断刃51によって確実に粘着テープ20を切断することができる。
3.底蓋テープ切断刃51が段ボール箱10から所定以上の当接力を受けると所定の付勢力を持って移送面9の下方に退避するため、内容物30を傷つけず、粘着テープ20のみを切断し、切り屑の発生などを抑制することができる。
4.稜線テープ切断手段4が、段ボール箱10を左右に寄せながら粘着テープ20の稜線部分201を切断するため、様々な大きさの段ボール箱10の粘着テープ20を切断することができる。
5.搬入コンベア3、移動ローラー部41および搬出コンベア7を平面視略L字状に配置することで、装置全体をコンパクトなワンユニットとして構成することができ、狭い場所にも設置することができる。
【0059】
次に、本発明に係る段ボール箱開梱装置の第二実施形態について図面を用いて説明する。なお、前述した第一実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0060】
本第二実施形態の段ボール箱開梱装置1は、搬出コンベア7上において底蓋101の粘着テープ20を切断した段ボール箱10を内容物取出手段6により持ち上げたとき、内容物30が軽量であることなどの理由により自重により底蓋101を押し下げることができない、または押し下げにくい場合に、強制的に底蓋101を開口するための底蓋開口手段11を備えたものである。
【0061】
底蓋開口手段11は、底蓋101を開口するものであり、本第二実施形態では、前記粘着テープ20で固定されていた外側フラップ101aと、この外側フラップ101aより先に折り畳まれて箱の内側に配置される内側フラップ101bとからなる前記底蓋101において、外側の前記外側フラップ101aを強制的に開口させるものである。
【0062】
本第二実施形態における底蓋開口手段11は、図15に示すように、搬出コンベア7の両側に配置された一対の伸縮揺動アーム部111と、前記各伸縮揺動アーム部111の先端に設けられた掴持部112と、前記伸縮揺動アーム部111の伸張する動きに連動して掴持部112を揺動させる掴持部揺動部113とを有する。
【0063】
伸縮揺動アーム部111は、先端に設けられた掴持部112を上下左右に移動させるためのアーム状の部材であり、本第二実施形態では、搬出コンベア7の両側に一対になるように配置されている。また、伸縮揺動アーム部111は、上下方向に伸縮制御可能に構成されているとともに、下側基端として底蓋101の外側フラップ101aが開口する方向である前記搬出コンベア7の搬出方向と直交する方向に揺動制御可能に構成されている。本第二実施形態において伸縮揺動アーム部111の伸縮制御および揺動制御は、制御コントローラー8によって予め記憶された段ボール箱10の大きさなどを基に実行される。
【0064】
なお、伸縮揺動アーム部111は、搬出コンベア7の両側に1本ずつ配置されるものに限定されるものではなく、底蓋101が横幅(搬出コンベア7の搬出方向と直交する方向の幅)に対して縦幅(搬出コンベア7の搬出方向の幅)が2倍以上の長さを有するなど、搬出方向に長く形成されている場合においては、前記搬出方向に対して複数本の伸縮揺動アーム部111を並列配置するようにしてもよい。
【0065】
掴持部112は、段ボール箱10の底蓋101を掴む部分であり、本第二実施形態では、吸着力で底蓋101の底面を吸着する吸着面112aを有する。具体的には、可撓性を有する素材によって、先端を開口させた筒状に形成されており、筒内の空気を筒外に吸い出すための吸気ポンプ(図示しない)と通気可能に連結されている。そして、先端の開口部が底蓋101の底面を吸着する吸着面112aとして機能するようになっている。
【0066】
また、掴持部112は、伸縮揺動アーム部111の先端を基端として揺動可能に接続されており、本第二実施形態では、搬出コンベア7の搬出方向と直交する方向に揺動可能に接続されている。
【0067】
つまり、本第二実施形態における底蓋開口手段11では、伸縮揺動アーム部111が下方を基端として搬出コンベア7の搬出方向と直交する方向(底蓋101の外蓋101aが開口する方向)に揺動制御されるように構成されており、掴持部112は、当該伸縮揺動アーム部111の先端において、前記外蓋101aが開口する方向と同じ方向に、さらに揺動するように接続されている。これにより、後述するように、外側フラップ101aの開度に応じて吸着面112aを底蓋101の底面と平行に保ち、吸着力を保持できるようになっている。
【0068】
なお、掴持部112において底蓋101を掴む構成は、吸着によるものに限定されるものではなく、例えば、鋭利な先端の爪や針を突き刺して底蓋101を保持可能な構成などから適宜選択してもよい。
【0069】
掴持部揺動部113は、伸縮揺動アーム部111が底蓋101側に伸張する動きに連動して、掴持部112の吸着面112aを閉じた状態の底蓋101と平行する位置に揺動させるものであり、本第二実施形態では、図15に示すように、掴持部112を揺動させるバネ部材113aと、揺動した掴持部112を所定の位置に保持させるストッパー部材113bとを有する。
【0070】
バネ部材113aは、伸縮揺動アーム部111が伸張する動きに連動して掴持部112を揺動させるためのバネ材であり、伸縮揺動アーム部111の伸張に伴い引き延ばされることで発揮する付勢力により、掴持部112を伸縮揺動アーム部111側に引っ張ることで掴持部112を揺動させるものである。
【0071】
本第二実施形態におけるバネ部材113aは、弦巻バネによって構成されており、伸縮揺動アーム部111の伸張しない基部と掴持部とを、前記伸縮揺動アーム部111および前記掴持部112の外側の側面において連結されている。
【0072】
ストッパー部材113bは、伸縮揺動アーム部111が底蓋101側に伸張する動きに連動して揺動する掴持部112の吸着面112aを、前記底蓋101と平行する位置に保持するためのストッパーであり、本第二実施形態では、掴持部112においてバネ部材113aを連結している部分に螺合させ、伸縮揺動アーム部111側に突出させたネジ材により構成されている。
【0073】
つまり、ストッパー部材113bは、掴持部112の吸着面112aが底蓋101と平行となったときに伸縮揺動アーム部111に当接し、吸着面112aが底蓋101と平行となった角度で掴持部112の揺動を止めるようになっている。
【0074】
なお、掴持部揺動部113は、本第二実施形態におけるバネ部材113aとストッパー部材113bとからなる構成に限定されるものではなく、油・空圧力、電磁力などにより駆動可能なアクチュエータなどで構成し、伸縮揺動アーム部111の伸張する動きに連動して、掴持部112の吸着面112aを前記底蓋101と平行する位置まで揺動させるように作動させてもよい。
【0075】
次に、本第二実施形態の段ボール箱開梱装置1における各構成の作用について説明する。
【0076】
まず、図15に示すように、底蓋開口手段11は、一対の伸縮揺動アーム部111を揺動制御して、段ボール箱10を搬出コンベア7に移送する動きを妨げない位置に退避させておく。
【0077】
第一実施形態と同様、段ボール箱10を搬入コンベア3に載置し、段ボール箱開梱装置1に搬入する。左右回転ローラー411により段ボール箱10を左右に移動させる。左カッター部44および右カッター部46により段ボール箱10の左右両側における粘着テープ20の稜線部分201を切断する。
【0078】
内容物取出手段6は、左右の稜線部分201の粘着テープ20が切断された段ボール箱10を把持するとともに底蓋101を封止している粘着テープ20をその長手方向に沿って底蓋テープ切断刃51に所定の押圧力で当接させながら移送し、前記粘着テープ20を切断しつつ前記段ボール箱10を前記搬出コンベア7上に移送する。
【0079】
次に、図16に示すように、内容物取出手段6が、段ボール箱10を持ち上げる。ここで、内容物30が軽量であることなどの理由により底蓋101を押し下げられない場合または押し下げ難い場合は、底蓋開口手段11を作動させる。
【0080】
底蓋開口手段11では、図17に示すように、持ち上げた段ボール箱10の大きさに応じて、下方に掴持部112が配置されるように伸縮揺動アーム部111を揺動制御する。
【0081】
そして、図18に示すように、伸縮揺動アーム部111を底蓋101側に伸張させる。掴持部112は、掴持部揺動部113によりこの伸張する動きに連動して揺動する。具体的には、バネ部材113aが、伸縮揺動アーム部111の伸張する動きに連動して引き延ばされて掴持部112を伸縮揺動アーム部111の基部側に引き寄せる付勢力を発揮する。これにより、掴持部112は、外側方向に揺動する。
【0082】
また、ストッパー部材113aは、揺動する掴持部112を、その吸着面112aが底蓋101と平行する位置の状態で揺動を止め、前記バネ部材113aの付勢力とともにその状態を保持する。
【0083】
伸縮揺動アーム部111は、底蓋101側にさらに伸張することで、掴持部112の先端側を底蓋101の底面に押し当てる。掴持部112は、吸気ポンプを作動させ、吸着面112aを底蓋101に吸着させて、前記底蓋101(外蓋101a)を掴む。掴む位置は特に限定されるものではないが、てこの原理で外蓋101aを開口させ易くするために、底蓋101の突き合わせ位置近傍を掴ませることが好ましい。
【0084】
次に、図19に示すように、伸縮揺動アーム部111を収縮させる。掴持部112によって掴まれた外側フラップ101aは、伸縮揺動アーム部111の収縮により下方に引っ張られて開口する。
【0085】
また、図20に示すように、伸縮揺動アーム部111を外側方向に揺動させ、外側フラップ101aを大きく開口させる。掴持部112は、伸縮揺動アーム部111の先端に揺動可能に接続されているため、底蓋101の開度にあわせて内側に揺動することができる。バネ部材113aも伸びることができるためこの揺動を妨げない。これにより、掴持部112は、伸縮揺動アーム部111を外側方向に揺動させても、底蓋101を吸着した状態を維持することができる。
【0086】
なお、本第二実施形態では、図19および図20に示すように、掴持部112により底蓋101を掴んだ後の伸縮揺動アーム部111の収縮制御および外側方向への揺動制御は、段階的に作動するものとして説明しているが、伸縮制御と揺動制御とは同時並行に作動させてもよく、また収縮制御と揺動制御の順を入れ替えて制御してもよい。
【0087】
次に、図21に示すように、外側フラップ101aを90度以上に全開させる。内容物30は、自重により内側フラップ101bを押し下げ、搬出コンベア7の上に取り出される。内側フラップ101bは、外側フラップ101aが底蓋開口手段11によって全開されているため、外蓋101aからの摩擦抵抗を受けることなく開口することができ、内容物30が軽量であっても、自重のみで開口することができる。
【0088】
次に、図22に示すように、吸気ポンプを停止し、吸着力により掴んでいた外側フラップ101aを掴持部112から放す。また、内容物取出手段6は、段ボール箱10を持ち上げ、内容物30を段ボール箱10から完全に取り出す。その後は、第一実施形態と同様、内容物取出手段6が、空の段ボール箱10を搬出方向とは逆方向に移動させ、筐体2の外に排出する。
【0089】
以上のような本第二実施形態によれば、第一実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、底蓋開口手段11を作動させ、強制的に底蓋101を開口することができる。これにより、内容物30が軽量で底蓋101の粘着テープ20を切断した段ボール箱10を持ち上げるだけでは取り出せない場合であっても、内容物30を確実に取り出すことができ、内容物30を選ばず開梱作業を自動で行うことができる。また、伸縮揺動アーム部111の伸縮制御量、揺動制御量を変えることで異なる大きさの段ボール箱10に対応することができる。さらに、掴持部112の吸着面112aが常に底蓋101と平行する位置になるように構成されているため、前記底蓋101を開口させる間の掴持部112による吸着力を一定に保つことができる。
【0090】
なお、本発明に係る段ボール箱開梱装置は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、搬入コンベア3、移動ローラー部41および搬出コンベア7を直線状に配置し、移動ローラー部41の前後に退避可能なストッパー部を設け、段ボール箱10を搬入・搬出方向の略直線状に移動させながら、開梱作業を行える構成にしてもよい。
【0091】
また、底蓋開口手段11は、底蓋101の外側フラップ101aを開口するものに限定されるものではなく、外側フラップ101aとともに内側フラップ101bを開口するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 段ボール箱開梱装置
2 筐体
21 搬入口
22 搬出口
23 空箱排出口
24 排出スロープ
3 搬入コンベア
4 稜線テープ切断手段
41 移動ローラー部
411 左右回転ローラー
412 搬入回動コンベア
42 奥側係止部
43 左ストッパー部
44 左カッター部
441 サイド切断刃
45 右ストッパー部
46 右カッター部
5 底蓋テープ切断手段
51 底蓋テープ切断刃
52 空圧式回転シリンダー
6 内容物取出手段
61 把持部
611 把持プレート
612 把持面
613 突起
62 駆動部
621 水平レール
622 垂直レール
7 搬出コンベア
8 制御コントローラー
9 移送面
10 段ボール箱
101 底蓋
101a 外側フラップ
101b 内側フラップ
11 底蓋開口手段
111 伸縮揺動アーム部
112 掴持部
112a 吸着面
113 掴持部揺動部
113a バネ部材
113b ストッパー部材
20 粘着テープ
201 稜線部分
30 内容物
40 トレー
図1
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図6
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図22