(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019024
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】フォトリレーを使った論理回路の構成方法、フォトリレーを使った論理回路、論理回路のシミュレータ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H03K 17/78 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H03K17/78 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113657
(22)【出願日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2022121331
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 防衛大学校理工学研究報告 第60巻 第1号 別冊第31~36頁,防衛大学校 発行日 令和4年11月30日
(71)【出願人】
【識別番号】519310193
【氏名又は名称】株式会社GSEC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 義亮
(72)【発明者】
【氏名】竹之上 典昭
【テーマコード(参考)】
5J050
【Fターム(参考)】
5J050AA37
5J050BB24
5J050CC14
5J050DD18
5J050EE05
5J050FF04
5J050FF10
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を有するフォトリレーを使った論理回路を提供すること。
【解決手段】論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群及び第2の抵抗群を有し、前記第1の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が1の入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧を前記フォトリレーの入力側の一方の端子に供給し、前記第2の抵抗群の抵抗を前記論理関数の論理値が0の入力に応じて当該抵抗を介して接地とし、前記フォトリレーの入力側の両端子間に並列に接続するように抵抗網を構成し、前記論理関数の入力に応じた論理値が前記フォトリレーの出力側の導通関数となるように、前記抵抗網をしきい論理の関数に基づき構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群及び第2の抵抗群を有し、前記第1の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が1の入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧を前記フォトリレーの入力側の一方の端子に供給し、前記第2の抵抗群の抵抗を前記論理関数の論理値が0の入力に応じて当該抵抗を介して接地とし、前記フォトリレーの入力側の両端子間に並列に接続するように抵抗網を構成し、前記論理関数の入力に応じた論理値が前記フォトリレーの出力側の導通関数となるように、前記抵抗網を下記のしきい論理の関数f(x)に基づき構成する。
フォトリレーを使った論理回路の構成方法。
ここで
t:フォトリレーの電気的エネルギのしきい値
wi:重みとしての各抵抗の抵抗値
xi:各抵抗を論理関数の論理値1に相当する電源電圧の入力とする第1の抵抗群の抵抗とするか、各抵抗を論理値0に相当する接地を入力とする第2の抵抗群の抵抗とするかの変数
【請求項2】
請求項1に記載のフォトリレーを使った論理回路の構成方法であって、
前記フォトリレーの出力側の導通関数によるネットワークを用いて論理回路を階層構造化する
フォトリレーを使った論理回路の構成方法。
【請求項3】
フォトリレーと、
論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群及び第2の抵抗群を有し、前記第1の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が1の入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧を前記フォトリレーの入力側の一方の端子に供給し、前記第2の抵抗群の抵抗を前記論理関数の論理値が0の入力に応じて当該抵抗を介して接地とし、前記フォトリレーの入力側の両端子間に並列に接続するように構成された抵抗網と
を具備し、
前記論理関数の入力に応じた論理値が前記フォトリレーの出力側の導通関数となるように構成した
フォトリレーを使った論理回路。
【請求項4】
請求項3に記載のフォトリレーを使った論理回路であって、
前記抵抗網は、下記のしきい論理の関数f(x)に基づき構成された
フォトリレーを使った論理回路。
ここで、
t:フォトリレーの電気的エネルギのしきい値
wi:重みとしての各抵抗の抵抗値
xi:各抵抗を論理関数の論理値1に相当する電源電圧の入力とする第1の抵抗群の抵抗とするか、各抵抗を論理値0に相当する接地を入力とする第2の抵抗群の抵抗とするかの変数
【請求項5】
請求項3又は4に記載のフォトリレーを使った論理回路であって、
前記フォトリレーの出力側の導通関数によるネットワークを用いて階層構造化された
フォトリレーを使った論理回路。
【請求項6】
回路要素としてのリレー素子及び接続線を少なくとも含む論理回路のシミュレータであって、
表示部で所定の操作によって各前記回路要素を接続して前記論理回路を構成する回路構成部と、
前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、各前記回路要素の両端子において、電位が高い端子から電位が低い端子に電流が流れものとして各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示し、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得る演算部と
を具備する論理回路のシミュレータ。
【請求項7】
請求項6に記載の論理回路のシミュレータであって、
表示部で所定の操作によって所望の前記回路要素に断線又は短絡の故障を発生させる故障発生部を具備し、
前記演算部は、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、故障発生後の各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示すとともに、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得る
論理回路のシミュレータ。
【請求項8】
回路要素としてのリレー素子及び接続線を少なくとも含む論理回路のシミュレータのプログラムであって、
表示部で所定の操作によって各前記回路要素を接続して前記論理回路を構成させるステップと、
前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、各前記回路要素の両端子において、電位が高い端子から電位が低い端子に電流が流れものとして各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示し、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得るステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムであって、
前記表示部での所定の操作によって所望の前記回路要素に断線又は短絡の故障を発生させるステップを具備し、
前記導通変数を得るステップは、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、故障発生後の各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示すとともに、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得る
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリレーを使った論理回路の構成方法、フォトリレーを使った論理回路、論理回路のシミュレータ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
論理回路は通常半導体素子によって構成される。このような技術としては、例えば特許文献2の他、多数の公知文献が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-98081号公報
【特許文献2】特開2022-044813号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.signal.co.jp/products/railway/faq/faq09/
【非特許文献2】Y. Koga, Y. Suzuki and K. Mizukami,"Logic Elements for Fail-Safe Circuit Design", IEEE, FTCS-10, pp351-353, (1980).
【非特許文献3】水上, 古賀:半導体によるフェイルセーフ論理回路の一実現法, 電気情報通信学会論文誌, J65-D, No.12,pp「〇で囲んだ1」1550-1557, (1982).
【非特許文献4】S. Muroga, "Threshold Logics AND Its Applications",John Wiley & Sons, (1972)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、フォトリレーを使って論理回路を構成することを検討している。半導体素子によって構成される論理回路の出力でフォトリレーを導通・非導通とする構成が考えられるが、過酷な環境等においては信頼性の点で問題がある。
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明は、高い信頼性を有するフォトリレーを使った論理回路の構成方法及びフォトリレーを使った論理回路を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、この種の論理回路をより簡単にかつ視覚を通じてより直感的なシミュレーションが可能な論理回路のシミュレータ及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路の構成方法は、論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群及び第2の抵抗群を有し、第1の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が1の入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧をフォトリレーの入力側の一方の端子に供給し、第2の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が0の入力に応じて当該抵抗を介して接地とし、フォトリレーの入力側の両端子間に並列に接続するように抵抗網を構成し、前記論理関数の入力に応じた論理値が前記フォトリレーの出力側の導通関数となるように、前記抵抗網を下記のしきい論理の関数f(x)に基づき構成する。
【0009】
【0010】
ここで
t:フォトリレーの電気的エネルギのしきい値
wi:重みとしての各抵抗の抵抗値
xi:各抵抗を論理関数の論理値1に相当する電源電圧の入力とする第1の抵抗群の抵抗とするか、各抵抗を論理値0に相当する接地を入力とする第2の抵抗群の抵抗とするかの変数
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路の構成方法では、前記フォトリレーの出力側の導通関数によるネットワークを用いて論理回路を階層構造化してもよい。
【0011】
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路は、フォトリレーと、論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群及び第2の抵抗群を有し、第1の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が1となる入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧をフォトリレーの入力側の一方の端子に供給し、第2の抵抗群の抵抗を論理関数の論理値が0の入力に応じて当該抵抗を介して接地し、論理回路の入力に応じてフォトリレーの入力側の両端子間に並列に接続するように構成された抵抗網とを具備し、前記論理関数の入力に応じた論理値が前記フォトリレーの出力側の導通関数となるように構成した。
【0012】
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路では、前記抵抗網を、上記のしきい論理の関数f(x)に基づき構成した。
【0013】
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路では、前記フォトリレーの出力側の導通関数によるネットワークを用いて階層構造化してもよい。
【0014】
本発明に係る論理回路のシミュレータは、回路要素としてのリレー素子及び接続線を少なくとも含む論理回路のシミュレータであって、表示部で所定の操作によって各前記回路要素を接続して前記論理回路を構成する回路構成部と、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、各前記回路要素の両端子において、電位が高い端子から電位が低い端子に電流が流れものとして各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示し、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得る演算部とを具備する。
【0015】
本発明に係る論理回路のシミュレータでは、表示部で所定の操作によって所望の前記回路要素に断線又は短絡の故障を発生させる故障発生部を具備し、前記演算部は、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、故障発生後の各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示すとともに、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得てもよい。
【0016】
本発明に係るプログラムは、回路要素としてのリレー素子及び接続線を少なくとも含む論理回路のシミュレータのプログラムであって、表示部で所定の操作によって各前記回路要素を接続して前記論理回路を構成させるステップと、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、各前記回路要素の両端子において、電位が高い端子から電位が低い端子に電流が流れものとして各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示し、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得るステップとをコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明に係るプログラムでは、前記表示部での所定の操作によって所望の前記回路要素に断線又は短絡の故障を発生させるステップを具備し、前記導通変数を得るステップは、前記リレー素子の入力側に前記論理関数の変数に応じた電圧を入力し、故障発生後の各前記回路要素の電圧印加状態を得て前記表示部に示すとともに、前記リレー素子の出力側から前記論理関数の論理値としての導通変数を得てもよい。
【0018】
本発明に係る論理回路は、入力側の一端が接地され、論理関数の論理値を出力側の導通変数とするフォトリレーと、前記論理関数の変数に対応して電源/所定電位への接続を切り替えるスイッチ部を介して前記フォトリレーの入力側の他端に接続される抵抗を前記論理関数の各変数に対応して有する抵抗網とを具備する。
【0019】
本発明に係る論理回路では、前記論理関数をOR論理関数とする場合に、前記フォトリレーを通常開タイプとし、前記電源からの入力供給電圧をEとし、前記フォトリレーのしきい値を超えてonとなる電圧をVonとし、前記抵抗網の抵抗の数をnとしたとき、
E/n>Von
となるように構成すればよい。
【0020】
本発明に係る論理回路は、前記論理関数をAND論理関数とする場合に、前記フォトリレーを通常開タイプとし、前記フォトリレーの入力側の端子間に並列抵抗を並列接続し、前記電源からの入力供給電圧をEとし、前記フォトリレーのしきい値を超えてonとなる電圧をVonとし、前記フォトリレーのしきい値を超えないoffとなる電圧をVoffとし、前記抵抗網の抵抗の数をnとし、Rs/Rp=m(Rsは前記入力側に直列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値、Rpは前記入力側に並列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値)としたとき、
E/(1+m/n)>Von
E・(n―1)/(n+m)<Voff
となるように構成すればよい。
【0021】
本発明に係る論理回路は、前記論理関数を任意のn、最小の整数k>n/2を満たす多数決論理関数とする場合に、前記フォトリレーを、通常開タイプとし、前記フォトリレーの入力側の端子間に並列抵抗を並列接続し、前記電源からの入力供給電圧をEとし、前記フォトリレーのしきい値を超えてonとなる電圧をVonとし、前記フォトリレーのしきい値を超えないoffとなる電圧をVoffとし、前記抵抗網の抵抗の数をnとし、Rs/Rp=m(Rsは前記入力側に直列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値、Rpは前記入力側に並列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値)としたとき、
E・k/(n+m)>Von
E・(k―1)/(n+m)<Voff
となるように構成すればよい。
【0022】
本発明に係る記載の論理回路は、前記論理関数をNOR論理関数とする場合に、前記フォトリレーを、通常閉タイプとし、前記電源からの入力供給電圧をEとし、前記フォトリレーのしきい値を超えてonとなる電圧をVonとし、前記抵抗網の抵抗の数をnとしたとき、
E/n>Von
となるように構成すればよい。
【0023】
本発明に係る論理回路は、前記論理関数をNAND論理関数とする場合に、前記フォトリレーを通常閉タイプとし、前記フォトリレーの入力側の端子間に並列抵抗を並列接続し、前記電源からの入力供給電圧をEとし、前記フォトリレーのしきい値を超えてonとなる電圧をVonとし、前記フォトリレーのしきい値を超えないoffとなる電圧をVoffとし、前記抵抗網の抵抗の数をnとし、Rs/Rp=m(Rsは前記入力側に直列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値、Rpは前記入力側に並列接続されることとなる前記抵抗の合成抵抗値)としたとき、
E/(1+m/n)>Von
E・(n―1)/(n+m)<Voff
となるように構成すればよい。
【0024】
本発明に係る論理回路は、出力側が並列に接続された通常開タイプの第1及び第2のフォトリレーと、EXOR論理関数の第1の変数に対応して電源/所定電位への接続を切り替える第1のスイッチ部を前記第1のフォトリレーの入力側の一端に接続し、前記EXOR論理関数の第2の変数に対応して電源/所定電位への接続を切り替える第2のスイッチ部を前記第2のフォトリレーの入力側の一端に接続し、各抵抗を介して前記第1及び第2のスイッチ部を前記第1の及び第2のフォトリレーの入力側の他端に接続する抵抗網とを具備する。
【0025】
本発明に係る論理回路は、上記のいずれかの論理回路からなる同一の構成で同一の前記論理関数の変数が入力される第1~第4の論理回路を有し、前記第1の論理回路の出力側と前記第2の論理回路の出力側とを直列に接続し、前記第3の論理回路の出力側と前記第4の論理回路の出力側とを直列に接続し、直列接続された前記第1の論理回路及び前記第2の論理回路の出力側と直列接続された前記第3の論理回路及び前記第4の論理回路の出力側とを並列に接続したリレー群と、前記第1の論理回路の出力側と前記第2の論理回路の出力側との間の第1の接続部と前記第3の論理回路の出力側と前記第4の論理回路の出力側との間の第2の接続部との間に介挿され、これらの間の電流の流れの有無を検出する検出部とを具備する。
【0026】
本発明に係る論理回路は、入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力される第1~第4のリレーと、入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力される第5~第8のリレーと、入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力される第9~第12のリレーとを有する論理回路であって、当該論理回路の出力側の導通変数fijとしたとき、論理式として
fij=XYXY+XZXZ+YXYX+YZYZ+ZYZY+ZXZX
が成立するように前記第1~第12のリレーの出力側を接続して構成したものである。
【0027】
本発明に係るフォトリレーを用いた論理回路の構成方法は、入力側の一端が接地され、論理関数の論理値を出力側の導通変数とするフォトリレーと、前記論理関数の変数に対応して電源/所定電位への接続を切り替えるスイッチ部を介して前記フォトリレーの入力側の他端に接続される抵抗を前記論理関数の各変数に対応して有する抵抗網とを具備する論理回路を用いて論理回路を構成する方法であって、前記論理関数の種別に応じて、前記フォトリレーを通常開タイプか通常閉タイプかを選択し、前記フォトリレーの入力側の端子間に並列接続される並列抵抗を介挿するかどうかを選択し、前記フォトリレーがしきい値を超えてonとなる電圧及び/又は前記フォトリレーのしきい値を超えないoffとなる電圧をVoffを設定する。
【0028】
ところで、鉄道信号制御には、電磁リレーが用いられている。電磁リレーは大きなノイズや外来サージの多発する環境下でも安定し、安全性を確保した動作が期待できる(非特許文献1参照)が、よりコンパクトで省電力化が可能なフォトリレーを鉄道信号制御に用いることが検討されている(特許文献1参照)。また、この種の回路において、安全性を強化するためのフェイルセーフ論理回路も従来から提案されている(非特許文献2、3参照)
この種の制御にフォトリレーを採用する場合には、電磁リレーと同等の安全性を確保することが要求される。
【0029】
本発明は、フォトリレーを用いたことでよりコンパクトで省電力化が可能であり、更に断線等の故障検出が可能なセンサーを提供することを目的とする。
【0030】
本発明に係るセンサーは、電源と接地との間に、センサースイッチと、ケーブルを介して前記センサースイッチと直列接続され、前記センサースイッチの接/断に応じて入力側が接/断する第1のフォトリレーとが介挿されたセンサーであって、前記センサースイッチと並列に接続された第1の抵抗と、前記第1のフォトリレーの入力側と直列又は並列に接続された故障検出用のLED又は第2のフォトリレーとを具備する。
【0031】
本発明に係るセンサーは、前記第1のフォトリレーの入力側と並列に接続され、前記第1のフォトリレーのしきい値を設定するための第2の抵抗を具備してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、高い信頼性を有するフォトリレーを使った論理回路を提供することができる。
【0033】
本発明によれば、この種の論理回路をより簡単にかつ視覚を通じてより直感的なシミュレーションが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】フォトリレーの入力側の電気的な特性を示すグラフである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る論理回路を示す回路図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るフォトリレーの入力側の端子間に並列抵抗を並列接続しない場合の論理回路の回路図である。
【
図5】フォトリレーの入力側の電圧がしきい値を越えない場合の並列抵抗の取り扱いを説明するための図である。
【
図6】フォトリレーの入力側の電圧がしきい値を越えた場合の並列抵抗の取り扱いを説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る論理回路を示す回路図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るフォトリレーの入力側の端子間に並列抵抗を並列接続した場合の論理回路の回路図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るEXOR論理関数を実現する論理回路の構成を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るFTC機能及び故障検出機能を有する論理回路の構成を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るFTC化した論理回路の構成例である。
【
図12】本発明の実施形態に係る断線等の故障検出が可能なセンサーの構成を示す回路図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムにおいて論理回路のシミュレーションを実行するプログラムを起動し、
図11に示したFTC化した論理回路をその画面上で構成した状態を示す表示画面図である。
【
図14】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=0、Y=0、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図15】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=0、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図16】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=0、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図17】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=1、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図18】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=0、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図19】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=1、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図20】
図13の多数決論理回路において、その変数がX=1、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図21】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=0、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図22】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図23】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図24】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図25】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図26】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図27】
図13の多数決論理回路において、接続線の一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図28】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=0、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図29】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図30】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図31】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=1、Z=0のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図32】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=0、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図33】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=0、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【
図34】
図13の多数決論理回路において、フォト・デバイスの一か所に断線故障を生じさせたときであって、その変数がX=1、Y=1、Z=1のときのシミュレーション状況及び結果を表示した状態を示した表示画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0036】
本発明に係るフォトリレーを使った論理回路の構成方法は、フォト・デバイスとして新たに開発されて普及しつつあるフォトリレーの入力側に抵抗網を付加して、多変数の論理関数を実現する。しきい多変数論理はコンピュータの黎明期において、国産パラメトロン・コンピュータに関して開発された。
【0037】
パラメトロン素子が端緒となったしきい論理は、イリノイ大学に奉職されていた室賀三郎教授による非特許文献4に集約されている。
【0038】
しきい論理の関数f(x)は(式1)のように定義する。
【0039】
【0040】
wiは重みであり、tがしきい値でxiは0または1の値をとる。定義の意味はn個の各変数の値に重みを乗じて、各変数項の和が、しきい値のtに等しいかそれ以上の場合を1、しきい値以下の関数値は0とする。ここでwiは正または負の値である。
【0041】
本発明では、例えばフォトリレー固有のしきい値は一定のまま入力側に接続されるゲート論理回路としての抵抗網の各抵抗の抵抗値をwiに設定して、しきい関数を与える。
【0042】
例えばフォトリレーの出力側は両方向に電流を導通でき、フォトリレーの入力側の抵抗網の論理値は出力側の導通関数に適用できる。また例えばフォトリレーの出力側は導通関数によるネットワークを利用した階層構造化した論理構成ができる。
【0043】
フォトリレーの入力側に電流が流れると光を発生する発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))が入力側でスイッチする役目を果たす。出力側はLEDの発光により電圧を発生するダイオード(PD(Photo Diode))があり、その電圧をもとに両方向に導通させる半導体デバイスがある。電磁リレーの励磁コイルが入力のLEDで、励磁コイルが励振されると磁力により動作するスイッチ機構が出力側の半導体デバイスとみなせる。
【0044】
電磁リレーでは機械的な接点によるチャタリング現象を吸収するために電気的な回路が必要である。フォトリレーではチャタリングが発生しないので附属回路は必要としない。さらにフォトリレーは機械的な動きによる電磁リレーよりも高速な論理動作が実現できる特徴がある。抵抗網を使用する構成回路は、アナログ電気回路の扱いとなるのでオームの法則を適用することができる。
【0045】
フォトリレーの出力側を導通・非導通とする電気的エネルギのしきい値、つまりフォトリレーのしきい値は定まった電圧レベルとそれに伴うトリガー電流がかかわっている。フォトリレーの入力側の電気的な特性の一例を
図1に示す。
【0046】
横軸は入力供給電圧、縦軸の左側はLED端子の入力端子電圧と右側に入力電流値を示している。ここでは、800Ω直列保護抵抗を接続した場合である。この
図1に示すようにフォトリレーは抵抗値により入力電力が変位することを利用して論理関数を実現することができる。フォトリレーの入力側の入力端子電圧がしきい値を越す前の抵抗値は大きく(実測結果例は50KΩ以上)、ほとんど電流は流れないが、入力端子電圧がしきい値を越すと内部抵抗は数Ω以下(実測結果例)となって電流が流れる。つまりフォトリレーの入力側の抵抗値は入力端子電圧により大きく変化する。これまでのしきい論理回路ではwiの係数は電圧のみに着目していたが、フォトリレーではしきい値による電流変化を含めて論理構成を扱う必要がある。例えば交直流電圧により最大電流5Aを流すことができるフォトリレーの出力側がonとなる入力側の電圧1.8Vで電流は3mA以上と5.4mWの電力が必要であり、電圧だけを電圧1.8V以上と高くしても電流が流れなければ出力側の状態はonにならないことを確認している。しきい値を挟んで抵抗値は数万倍以上の差があり、論理的な動作の設定にもこの差を利用する。一般的には電磁リレーではこのような明確なしきい値は存在しない。また
図1に示したようにフォトリレーの入力側はLEDによる1V程度のしきい値がある。
【0047】
本明細書ではフォトリレーの入力側のしきい値を利用した論理回路をしきい論理関数とも呼ぶ。本明細書で記述する記号を次に定義する。
【0048】
電圧変数の定義(単位はボルト)
入力供給電圧(抵抗網の入力供給電圧) E
しきい値を越えてonとなる電圧 Von
しきい値を越えないoffとなる電圧 Voff
フォトリレー入力LED端子の電圧 Vk
電流変数の定義(単位はミリ・アンペア)
フォトリレーの入力許容最大電流 Imax
フォトリレーがVonとなるトリガー電流 Imin
入力の電圧がVonの状態を維持する電流 Ion
フォトリレーの入力側の内部抵抗値は、しきい値を境にして数万倍以上で変化する特徴を基に、しきい論理に応用する抵抗網構成の基礎的な事項を説明する。
【0049】
図2にフォトリレーの入力側に接続される抵抗網を示す。
【0050】
抵抗網20は、論理関数の入力に応じた抵抗からなる第1の抵抗群21及び第2の抵抗群22を有する。抵抗網20は、第1の抵抗群21の抵抗を論理関数の入力に応じて当該抵抗を介して電源電圧Eをフォトリレー10の入力側12の一方の端子に供給するように構成されている。抵抗網20は、第2の抵抗群22の抵抗を論理関数の入力に応じてフォトリレー10の入力側12の両端子間に並列に接続するように構成されている。このような抵抗網20は、論理関数の入力に応じた論理値がフォトリレー10の出力側11の導通関数となるように、しきい論理の関数f(x)に基づき構成されている。
【0051】
ここで抵抗の抵抗値表示を次のように定義する。
【0052】
フォトリレー10の入力側12の内部抵抗値 Ri
第1の抵抗群21の抵抗の抵抗値 Rs
第2の抵抗群22の抵抗の抵抗値 Rp
フォトリレー10の入力は、前述したように、しきい値を越えると内部抵抗Riが数Ω程度の低い抵抗値となるので、3ボルトの供給電圧であっても数アンペアの電流が流れ、破損するので絶対最大値を越さないため保護抵抗Rsを直列に接続する必要がある。
【0053】
フォトリレー10の入力内部抵抗値が変化すると周辺の抵抗網20に流れる電流にも変化があり、本明細書では論理値を出力側12は導通変数とし、入力側11は電源接続を論理値1、接地接続を論理値0と定義する。しかし、これは一例に過ぎない。
【0054】
接地接続を論理値0と設定した理由はフォトリレー10の入力側11でのしきい論理構成は電圧に依存するとともに電流によって論理機能を変更できるので論理的に正確な動作させるためである。なお、接地接続としないで単に断とすれば関数形態が変る事象を確認している。フォトリレー10の入力側11及び出力側12の故障に関しては別途の理論となる。
【0055】
フォトリレー10の入力側11に接続するn変数に相当するn個のスイッチを伴う抵抗網20についてより詳細に説明する。
【0056】
図3の各変数の値に相当する切換スイッチ接点からなるスイッチ部23は、入力供給電圧Eに接続する場合は論理値1、接地接続の場合は論理値0となることを解り易く説明するためのスイッチであり、このスイッチ接点に相当する機能はフォトリレーによっても置き換えできる。
【0057】
図3の抵抗網20において、スイッチ部23をすべて接地側に接続すると図の端子R
tはオームの法則により抵抗値R
s/nで電圧は接地に接続され、スイッチ部23をすべて入力供給電圧Eに接続すると端子R
tは同様に抵抗値R
s/nで入力供給電圧Eに接続される。
【0058】
ここで任意のk個のスイッチ部23を電源E側に、残りのn―k個が接地側に接続する状態を表す数値をkと定義する。このkの値を用いると
図3に示した電源E側の抵抗値は
図4に示すようにR
s/kであり、接地接続側の抵抗値はR
s/(n―k)である。
【0059】
フォトリレー10の入力側11の電圧がしきい値を越えない場合は、フォトリレー10の入力側11の内部抵抗値R
i>>R
s/(n―k)であるから、R
iの値はほぼ無限大とみなして抵抗値が低いR
s/(n―k)のみとしてよい。従って
図5に示すようにフォトリレー10は抵抗網20から切り離されているように扱うことができる。
【0060】
入力端子電圧がしきい値を越えた場合は、逆転してR
s/(n―k)>>R
iとなり内部抵抗R
iは数Ω程度となる。R
s/(n―k)の値がR
iより数桁以上大きい場合は、R
i≒0とみなして、
図6に示すように入力供給電圧EはR
s/kによる接地接続とすることができる。
【0061】
以上の仮定から、k個のスイッチ部23を入力供給電圧Eに接続し、残りのn-k個のスイッチ部23を接地接続とする状態のフォトリレー10の入力側11の電圧Vkは供給電圧Eによって次式となる。
【0062】
【0063】
入力LEDの電圧V
k<V
offの場合は、
図5の状態となり、抵抗網20に流れる電流Iは次式となる。
【0064】
【0065】
入力端子電圧V
k>V
onの場合は、
図6の状態となり、抵抗網20のR
s/k両端の電位差がE-V
onとなり、フォトリレー10の入力側11の抵抗値はRi≒0とみなすことができるので、流れる電流は次式となる。
【0066】
【0067】
図2等に示した論理回路1では、並列接続されたフォトリレー10及び第2の抵抗群22の一端を接地していたが、本発明はこれに限定されず、並列接続されたフォトリレー10及び第2の抵抗群22の一端に0以外の所定の電圧を印加してもよい。また、
図7に示すように、並列接続されたフォトリレー10及び第2の抵抗群22の一端に所望のプラスの電圧及び/又はマイナスの電圧を印加できる可変電圧電源26を接続して論理回路1′を構成してもよい。可変電圧電源26の電圧を可変することで、所望の論理関数、例えばOR論理関数、AND論理関数、多数決論理関数等のいずれかを選択することができる。
【0068】
ここで、
図8に示すようにフォトリレー10の入力側11にこれまでの抵抗網20とは別の抵抗25を並列に接続した場合とこのような抵抗25を並列接続しない場合(
図4参照)とでは異なる論理関数となる。以下、これらの場合についてそれぞれ説明する。
【0069】
〈抵抗25なしの場合〉
図4に示したように、フォトリレー10の入力側11に並列接続するための抵抗25がない場合の実施形態を説明する。ここでは、フォトリレー10は通常開タイプであり、このフォトリレー10を使ってOR論理関数の論理回路を構成している。
【0070】
図4において、k=0、すなわち全ての入力とも接地した場合は、V
k=0であるから、フォトリレー10の出力側12の導通は無い。
【0071】
OR論理関数の構成は、いずれか一つの変数の論理値が1のときフォトリレー10の出力側12が1で残りのn-1個の変数を0となるようにしきい値を設定すればよい。ここでいうしきい値は、フォトリレーの出力側の導通・非導通を切り替えるための電気的エネルギのしきい値である。電気的エネルギとは、
図1に示したとおり電圧と電流である。
【0072】
従って、(式2)にk=1とすればn変数のOR論理関数は抵抗値に無関係の次式が与えられるので入力変数の数は入力供給電圧のみで決定できる。nの最大値は入力供給電圧Eのみで決定できる。
【0073】
V1=E/n=Von
(式5)
しきい値を越える電流は(式3)から次式となる。
【0074】
Ion=(E-Von)/Rs>Imin
(式6)
ここで、フォトリレー10によるしきい論理関数の構成で注意すべきことはフォトリレー10の入力側11(LED)にフォトリレー10の許容最大電流Imaxがある。
【0075】
n個の全変数が1となる場合の抵抗値はRs/nとなるので次式がフォトリレー10のしきい論理関数のすべての電流制限条件である。
【0076】
(E-V
on)/(R
s/n)<I
max
(式7)
〈抵抗25ありの場合〉
図8はこの実施形態に係るフォトリレー10の入力側11の端子間に抵抗値R
pの並列抵抗25を並列接続した場合の論理回路の回路図である。フォトリレー10は、通常開タイプである。
【0077】
OR論理関数ではフォトリレーの入力側に並列接続する抵抗を接続しなくとも構成できるが、AND論理関数と多数決論理関数は、しきい値を正確に設定するために、
図8に示すように、フォトリレー10の入力側11の端子間に抵抗25を並列に接続する。
【0078】
図8において、n個の入力のうちk個を論理値1として入力供給電圧側に接続し、残りのn―k変数を論理値0として接地接続した場合、並列接続されることとなる抵抗値R
tは次式となる。
【0079】
【0080】
電源Eとフォトリレー10の入力側11の端子間にはk個のスイッチ部23が接続されているので抵抗値がR
s/kの等価抵抗が直列接続される。従って、n個のスイッチ部23のうちk個が電源側に接続された
図8の入力電圧Eと接地(図中右側)間の抵抗値R
kは次式となる。
【0081】
【0082】
フォトリレー10の入力側11(LED)の端子間にかかる電圧Vkは入力供給電圧Eと接地間の抵抗値Rkを分母とし端子間の抵抗値Rtを分子とする次式で与えられる。
【0083】
【0084】
式(10)にRs/Rp=mとして簡約化するとVkの値を定める簡単化された次式が得られる。
【0085】
Vk=E・k/(n+m)
(式11)
この(式11)の意味は、入力変数の数をnとし、変数に相当するn個のスイッチ部23のうちk個のスイッチ部23が電源側に接続されたとき、抵抗値Rsと抵抗値Rpの比mによりフォトリレー10の入力側11の端子間にかかる電圧Vkは(式11)で与えられる。n入力変数によるフォトリレー10のしきい値をどのkの整数で設定するかによりしきい論理関数が(式11)をもとに設定できる。
【0086】
kの値の設定によりAND論理関数及び多数決論理関数を以下とのとおり構成できる。
【0087】
〈AND論理関数〉
AND論理関数は、
図8に示した回路で構成され、フォトリレー10は、通常開タイプである。
【0088】
AND論理関数はn変数のすべての変数の論理値が1となる場合にのみ1となるので、 (式10)にk=nとして、すべての変数の論理値が1の場合の値Vnをしきい値Vonより高い電圧とするため、次式が条件となる。
【0089】
Vn=E/(1+m/n)>Von
(式12)
またAND論理関数のしきい値の設定としてn-1個の変数までは0としたときはVoffより低い電圧にする必要がある。その条件を満たすために(式11)のkをn―1としてVn―1となる次式も条件である。
【0090】
Vn―1=E・(n―1)/(n+m)<Voff
(式13)
AND論理関数の全変数が1となる場合、抵抗値がRs/nとなるのでIonは次式となる。
【0091】
I
on=(E―V
on)/(R
s/n)>I
min
(式14)
〈多数決論理関数〉
多数決論理関数も同様に
図8に示した回路で構成され、フォトリレー10は、通常開タイプである。
【0092】
多数決論理関数は任意n、最小の整数k>n/2を満たす多数決論理関数であり、任意の多数決論理関数は式(11)から次式の条件で構成できる。
【0093】
Vk=E・k/(n+m)>Von
(式15)
多数決論理関数についてもAND論理関数と同様に次式の制限条件がある。
【0094】
Vk―1=E・(k―1)/(n+m)<Voff
(式16)
多数決論理関数のしきい値を越えるIonは次式となる.
Ion=(E―Von)/(Rs/k)>Imin
(式17)
〈NAND論理関数・NOR論理関数〉
フォトリレー10を通常閉タイプとし、抵抗網20を上記のOR論理関数の場合と同様の構成とすることで、NOR論理関数を実現する論理回路1を構成できる。
【0095】
フォトリレー10を通常閉タイプとし、抵抗網20を上記のAND論理関数の場合と同様の構成とすることで、NAND論理関数を実現する論理回路1を構成できる。
【0096】
〈EXOR(排他的論理和)論理関数〉
図9は本発明の一実施形態に係るEXOR論理関数を実現する論理回路の構成を示す図である。
【0097】
図9に示すように、EXOR論理関数を実現する論理回路30は、第1及び第2のフォトリレー40、50と、抵抗網60とを有する。
【0098】
第1及び第2のフォトリレー40、50は、共に通常開タイプであり、第1のフォトリレー40の出力側41と第2のフォトリレー50の出力側51とが並列に接続されている。この出力値、つまり導通関数の値をXとする。
【0099】
抵抗網60は、EXOR論理関数の第1の変数Aに対応して電源/接地への接続を切り替える第1のスイッチ部61を第1のフォトリレー40の入力側42の一端に接続し、EXOR論理関数の第2の変数Bに対応して電源/接地への接続を切り替える第2のスイッチ部62を第2のフォトリレー50の入力側52の一端に接続し、各抵抗63、64を介して第1及び第2のスイッチ部61、62を第1の及び第2のフォトリレー40、50の入力側42、52の他端に接続する。
【0100】
ここで、EXOR論理関数は、第1の変数Aと第2の変数Bが等しい値の場合Xは0、異なった値の場合Xは1となる論理関数である。
【0101】
第1の変数Aと第2の変数Bが接地又は供給電圧に接続された場合に、しきい値以下の電位となるため第1及び第2のフォトリレー40、50の入力側42、52に電流は流れない。
【0102】
従って、第1及び第2のフォトリレー40、50の入力側42、52の両方ともに電流が流れないので、導通関数の値はX=0である。第1の変数Aと第2の変数Bのいずれか一方が接地のままで、残りの一方に給電電圧が加わると抵抗63、64は直列接続となるので、入力電圧の1/2に相当する電圧が片側に生じて出力側41、51に導通が生じる。出力側41、51は並列接続になっているので、いずれか一方が導通になれば導通関数の値はX=1となる。
【0103】
なお、入力供給電圧Eによって2個の抵抗63、64の抵抗値は既述のフォトリレー40、50による入力制限電流以内を満たすことが抵抗値の必要条件を満たす抵抗となる。また、出力側41、51が導通となる場合、導通に関与しないフォトリレー40又は50には逆電圧が印加されるので許容逆電圧Vrev以下の入力供給電圧Eとする必要がある。
【0104】
〈FTC(Fault Tolerant Circuit:耐障害型回路)機能及び故障検出機能を有する論理回路〉
図10は、本発明の一実施形態に係るFTC機能及び故障検出機能を有する論理回路の構成を示す図である。
【0105】
図10に示す論理回路70は、同一の構成で同一の論理関数の変数が入力される第1~第4の論理回路E1、E2、E3、E4からなるリレー群71を有する。各第1~第4の論理回路E1、E2、E3、E4は、例えば上記の実施形態で説明した多数決論理関数を実現する論理回路1である。
【0106】
リレー群71では、第1の論理回路E1の出力側(
図1に示した論理回路1のフォトリレー10の出力側12、以下同様。)と第2の論理回路E2の出力側とを直列に接続し、第3の論理回路E3の出力側と第4の論理回路E4の出力側とを直列に接続し、直列接続された前記第1の論理回路E1及び第2の論理回路E2の出力側と直列接続された第3の論理回路E3及び第4の論理回路E4の出力側とを並列に接続している。i-jがこのリレー群71つまり論理回路70の出力側(導通関数の値)となる。
【0107】
検出部としての双方向LED72は、第1の論理回路E1の出力側と第2の論理回路E2の出力側との間の第1の接続部と第3の論理回路E3の出力側と第4の論理回路E4の出力側との間の第2の接続部との間に介挿され、これらの間のいずれかの方向に電流の流れがあると点灯する。双方向LED72は、第1の接続部と第2の接続部との間の電流の流れの有無を検出するものである。検出部は、このような機能を有すればよく、双方向LEDには限定されない。例えば、導通方向が互いに異なる一対の発光ダイオードを用いてもよい。
【0108】
図10では、第1の論理回路E1に故障があり、出力側の値が0継続になった場合を示している。第2~第3の論理回路E2、E3、E4に故障がなく正常であり、第2~第3の論理回路E2、E3、E4の出力側の値が1になっても第1の論理回路E1の出力側の値は0であるため、第3の論理回路E3を介して、第4の論理回路E4の出力側だけでなく、第2の論理回路E2にも電流が流れ、双方向LED72が点灯する。これにより、4つの論理回路E2、E3、E4のいずれか1つが故障しても多数決論理関数としての正常な機能を維持しつつ、4つの論理回路E2、E3、E4のいずれかに故障があったことを検出することができる。本実施形態に係る論理回路70では、それぞれの論理回路E2、E3、E4はそれぞれ1のフォトリレーで多数決論理関数を実現しているので、4つのフォトリレー、つまり非常に少ない数のフォトリレーでこのような機能を実現することができる。
【0109】
なお、本発明は、多数決論理関数ではなく既に説明した実施形態に係る他の論理関数を実現する論理回路にも適用できる。
【0110】
〈FTC化した論理回路〉
図11はFTC化した論理回路の構成例である。
【0111】
図11中のX、Y、Zはそれぞれ多数決論理関数の変数を示しており、これら変数Xに対して6個のフォト・デバイス、Yに対して6個のフォト・デバイス、Zに対して6個のフォト・デバイスの入力側が対応している。例えば、変数Xが0ならば6個のフォト・デバイスの出力側は0であり、変数Xが1ならば6個のフォト・デバイスの出力側は1である。
【0112】
つまり、この論理回路80は、入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力される第1~第4のフォト・デバイスと、入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力される第5~第8のフォト・デバイスと、入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力される第9~第12のフォト・デバイスとを有する。
【0113】
論理回路80は、論理回路80の出力側の導通変数f
ijとしたとき、論理式として
f
ij=XYXY+XZXZ+YXYX+YZYZ+ZYZY+ZXZX
が成立するように第1~第12のフォト・デバイスの出力側を接続して構成される。
図11に示す論理回路80は、この接続構成を示している。
【0114】
ここで、論理回路80のij間に電圧が印加され、iからjに電流が流れるとしたときに、電流iは入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイス、入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイス及び入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの3つの出力側に入力される。これら3つの出力側の出力をそれぞれX、Y、Zとする。
【0115】
Xは入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイス及び入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの2つの出力側に入力される。これら2つの出力側の出力をそれぞれXY、XZとする。
【0116】
Yは入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイス及び入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの2つの出力側に入力される。これら2つの出力側の出力をそれぞれYX、YZとする。
【0117】
Zは入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイス及び入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイスの2つの出力側に入力される。これら2つの出力側の出力をそれぞれZY、ZXとする。
【0118】
XYは入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をXYXとする。
【0119】
XZは入力側に多数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をXZXとする。
【0120】
YXは入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をYXYとする。
【0121】
YZは入力側に多数決論理関数の第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をYZYとする。
【0122】
ZYは入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をZYZとする。
【0123】
ZXは入力側に多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をZXZとする。
【0124】
YXY及びZXZは数決論理関数の第1の変数(X)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をYXYX+ZXZXとする。
【0125】
XYX及びZYZは第2の変数(Y)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をXYXY+ZYZYとする。
【0126】
YZY及びXZXは多数決論理関数の第3の変数(Z)が入力されるフォト・デバイスの1つの出力側に入力される。この1つの出力側の出力をYZYZ+XZXZとする。
【0127】
よって、j側の出力はYXYX+ZXZX+XYXY+ZYZY+YZYZ+XZXZとなる。
【0128】
すなわち、このように構成された論理回路80において、
fij=XYXY+XZXZ+YXYX+YZYZ+ZYZY+ZXZX
が成立する。
【0129】
ここで、
図11に示す論理回路80において、例えば丸で囲んだXに対応するフォト・デバイスに断線や短絡の故障があっても、多数決論理関数としての正常な機能を維持することができる。これについては後述の〈論理回路を用いた論理回路のシミュレーション方法〉において説明する。
【0130】
リレーを使って多数決論理関数を実現する論理回路で1つの故障に耐えることができるFTCは4重化で実現することが知られている。これに対して、本実施形態に係る論理回路80では、
図11に示したようそれを3重化、つまり18個のフォト・デバイスで構成できる。従って、フォト・デバイスの数を減少させることができる。
【0131】
なお、本発明は、電磁リレー等にも適用可能である。
【0132】
〈断線等の故障検出が可能なセンサー〉
図12は、本発明の実施形態に係る断線等の故障検出が可能なセンサーの構成を示す回路図である。
【0133】
図12に示すように、センサー140は、センサースイッチ101と、ケーブル105を介してセンサースイッチ101と直列接続された通常開のフォトリレー103とを有する。センサースイッチ101の一端はケーブル105が接続され、他端は接地されている。フォトリレー103の入力側の一端はケーブル105が接続され、他端は電源Eが接続されて3Vの直流電圧が印加されている。センサースイッチ101には抵抗102が並列に接続され、フォトリレー103の入力側には抵抗108が直列に接続されている。フォトリレー103の入力側にはしきい値を設定する抵抗110が並列に接続されている。フォトリレー103の入力側と並列に故障検出用の0.5mA程度で点灯するLED109が介挿されている。LED109の一端が抵抗107を介してケーブル105に接続され、LED109の他端が電源Eに接続されている。
【0134】
センサースイッチ101が断のときには、フォトリレー103はしきい値以下の電圧が印加され、センサースイッチ101と同様に断となる。センサースイッチ101が接のときには、フォトリレー103はしきい値以上の電圧が印加され、センサースイッチ101と同様に接となる。これにより、センサー140は、フォトリレー103の出力側において例えば遠方のセンサースイッチ101の接/断を検出する。
【0135】
本実施形態では、電源Eの電圧を3Vとして、抵抗102の抵抗値を1KΩ、抵抗値108の抵抗値を1KΩ、抵抗107の抵抗値を2kΩ、抵抗110の抵抗値を2kΩに設定した。電源Eの電圧を5Vとした場合には、抵抗110の抵抗値を470Ωに設定した。すなわち、本実施形態では、通常開となっているセンサースイッチ101には高い抵抗値の抵抗102を並列接続しておき、低い電圧と電流で導通時状態を常時監視しておき、センサースイッチ101が接になった場合はフォトリレー103のしきい値を越す電圧と電流を加えるものである。
【0136】
本実施形態に係るセンサー140では、LED109が0.5mA程度で点灯することを利用して、LED109に微弱な電流を流して導通状態を確認している。すなわち、このセンサー140が正常な場合には、電源Eは抵抗107等を介してセンサースイッチ101の接地側に接続され、微弱な電流が流れLED109は点灯するが、ケーブル105の断線故障や図示を省略したコネクタの接触不良などがあると、電源Eが抵抗107等を介しての接地がされなくなって電流が流れなくなりLED109は消灯する。これにより、本実施形態に係るセンサー140では、ケーブル105の断線故障や図示を省略したコネクタの接触不良などをLED109によって常時監視できる。
【0137】
上記の実施形態では、センサースイッチ101は通常開タイプであるが、通常閉タイプにすれば、センサースイッチ101の故障も検出可能であり、フォトリレー103系統の故障と区別可能である。
【0138】
本発明では、LED109に代え、フォトリレーを用いても構わない。また、フォトリレー103とLED109(又はフォトリレー)とを直列に接続してもよい。
【0139】
〈論理回路のシミュレーション方法〉
本実施形態に係る導通関数シミュレータでは、典型的には、コンピュータシステムにおいて、表示部としてのその画面上でリレー素子を用いた論理回路を構成し、その論理回路のシミュレーションを実行するプログラムがコンピュータシステムに実装されている。
【0140】
本実施形態に係る導通関数シミュレータでは、リレー素子及び接続線などの回路要素がそれぞれ1つのオブジェクトとして存在し、回路要素を画面上に配置して接続線で接続することでリレー素子を用いた論理回路が構成でき、そのシミュレーションが実行できるようになっている。具体的には、以下のとおりである。
【0141】
本実施形態に係る導通関数シミュレータで扱う回路要素としては、リレー素子及び接続線の他に、電源、抵抗がある。リレー素子は、磁石式リレー及びフォトリレーがある。
【0142】
磁石式リレーには、非励磁状態で開(a接点)、非励磁状態で閉(b接点)、非励磁/励磁で接点切替(c接点)の3種があり、励磁用の端子をもつ(sw)。従って、端子としては{r、a、b、sw}がある。
【0143】
フォトリレーには、通常時開(タイプa)、通常時閉(タイプb)がある。
【0144】
接続線は、接点間の接続を2点間の接続として処理する。
電源には、磁石式リレーの論理用(電位)[Zero,True]、励磁用[ON,OFF]がある。励磁用のこの値は、swの端子が2つあり、互に相反した論理値になった時にリレーが反応する事を示す値である。実際のシミュレーションで端子swに接続線をつなぐことがない場合には、swに直接励磁用の値を入力することができる。フォトリレーで扱う値として、論理用(電位)[Uncertain,Zero, True]の3値とし、値の評価としては、以下の素子の真理値表のとおりとする。
【0145】
【0146】
回路設計で、sw端子を個々に接続する場合には、論理値を流すことで、励磁用の値とすることができる。
【0147】
本実施形態に係る導通関数シミュレータでは、テスト用データとして、以下のものを用いる。
【0148】
接点励磁用
テストパターン数:Rn
接点名リスト :["R1","R2",・・・,"Rx"]
入力データ :[[接点名に対応したデータ列]×Rn]
電源用
テストパターン数:Pn
電源名リスト :["PowerR1","PowerR2, …,"PowerRx"]
入力データ :[[電源名に対応したデータ列]×Pn]
論理計算の概要は以下のとおりである。
【0149】
(1)リレー論理回路は、双方向に電流が流れる無向グラフのため、一般の論理シミュレータのように扱うことができない。その為、電位の高い方から電位の低い方へ電流は流れる現象を検証することとした。
【0150】
(2)検証のアルゴリズム
ア.全ての接点、接続線の各端子を初期化(Zero設定)する。
【0151】
イ.励磁データを接点に与え、電源を印加(True設定)する。
【0152】
ウ.a,b,c接点の区分に従い、Trueの値をZeroの値の方向に流し、Trueとする。
【0153】
エ.接続線についても、Trueの値をZeroの値の方向に流し、Trueとする。
【0154】
オ.リレー論理回路の接続の段数以上、ウ~エを繰り返す。
【0155】
(3)テストテータのパターン
ア.論理回路としてのデータ列は、励磁用のパターンで流す。
【0156】
イ.従って、電源の印加パターンは、回路の設計時に決めた一通りで、リレー論理回路のシミュレーションは終了する。
【0157】
ウ.回路の双方向性の検証や、故障箇所の付加には、任意の場所に電源の印加パターンを与えて検証することで実施できる。
【0158】
エ.その為、シミュレーションとしては、励磁用テストパターンRn×電源用テストパターンPnの回数のシミュレーションを実施することとなる。
【0159】
ここで、無向グラフの回路としての有効性を評価する為に、電位が高い方から低い方へ流れるシミュレーションとした。その為、1つの状態のシミュレーションが終わると必ず、各端子の電圧をZero値にクリアしなければならない。これは、無向グラフとしての電気回路のシミュレーションには必要な処置である。現実世界では、値Zeroを示すということは、アースされた状態を示しており、必ずZeroにならねばならない。
【0160】
すなわち、本実施形態に係る導通関数シミュレータは、リレー素子及び接続線などの各回路要素を接続して論理回路を構成し、リレー素子の入力側に論理関数の変数に応じた電圧を入力し、各回路要素の両端子において、電位が高い端子から電位が低い端子に電流が流れものとして各回路要素の電圧印加状態を示し、リレー素子の出力側から論理関数の論理値としての導通変数を得るものである。
【0161】
従来の論理シミュレータは、ANDやORの論理ゲートを用いており、電流の方向が一方向である。そのため、電流が双方に流れる磁気リレーやフォトリレーを含むリレー素子の場合には、電流の流れる方向ごとに導通関数を設定し、複数のシミュレーションを実施する必要がある。これに対して、本実施形態に係る導通関数シミュレータは、1つのシミュレーションを実施するだけでよい。また、本実施形態に係る導通関数シミュレータは、直流ばかりでなく、交流も扱うことができる。
【0162】
次に、
図11に示したFTC化した論理回路を本実施形態に係る導通関数シミュレータを使ってシミュレーションした例を説明する。
【0163】
図13はコンピュータシステムにおいてフォトリレーを用いた論理回路のシミュレーションを実行するプログラムを起動し、
図11に示したFTC化した論理回路をその画面上で構成した状態を示している。
【0164】
図13において、画面上部の大半の領域には構成された論理回路が示されている。この回路において、四角の箱で囲まれた領域は、それぞれ接続線を除く回路要素である。点線は接続線を示す。接続線は電圧が印加されていない状態(接地)の状態を点線で示し、電圧が印加されるとその点線が実線となる。
【0165】
画面上の下部の領域の四角の箱で囲まれた各領域は、各種命令を実行させるためのボタンである。例えば「シミュレーション」のボタンをクリックすると画面上に表示された論理回路のシミュレーションが実行される。また画面上の論理回路の所定部位をクリック後に「故障の設定」をクリックすると、当該所定の部位を故障に設定することができる。故障としては、例えば接続線やリレー素子の断線や短絡等を設定できる。
【0166】
画面上部の回路表示領域と画面下部の命令ボタン表示領域の間の領域には、シミュレーション結果が表示される。
【0167】
図13は全ての接点、接続線の各端子を初期化(Zero設定)した状態を示している(上記の「(2)検証のアルゴリズム ア.」)。なお、この状態では、
図13のシミュレーション結果表示領域には、結果は示されていない。
【0168】
図13に示した状態より、シミュレーションを実行する。
【0169】
つまり上記した「(2)検証のアルゴリズム」のとおり、
イ.励磁データを接点に与え、電源を印加(True設定)する。
【0170】
ウ.a,b,c接点の区分に従い、Trueの値をZeroの値の方向に流し、Trueとする。
【0171】
エ.接続線についても、Trueの値をZeroの値の方向に流し、Trueとする。
【0172】
オ.リレー論理回路の接続の段数以上、ウ~エを繰り返す。
【0173】
図14は「X0_E-net」~「X5_E-net」、「Y0_E-net」~「Y5_E-net」、「Z0_E-net」~「Z5_E-net」の接点に励磁データを与え、電源「Y0_E-net.r」側より印加(True設定)する(検証のアルゴリズム イ.」)。その際に、「検証のアルゴリズム ウ.」及び「検証のアルゴリズム エ.」を実行する。
図14のシミュレーション結果である接地(Z5_E-net.a)側はZeroである。
【0174】
図14のシミュレーション結果表示領域に表示された
X0_E-net.sw0,Y0_E-net.sw0,Z0_E-net.sw0,Y0_E-net.r,Z5_E-net.a
Zero,Zero,Zero,True,Zero
は以上の状況を示している。
【0175】
つまり、
図14の状況は、
図11に示した多数決論理回路において、X=0、Y=0、Z=0のとき、この多数決論理回路の論理値は0であることを示している。
【0176】
図15はX=0、Y=0、Z=1のときの結果を示している。(シミュレーション結果表示領域の一番下の行、以下同様。)
図16はX=0、Y=1、Z=0のときの結果を示している。
【0177】
図17はX=1、Y=1、Z=0のときの結果を示している。
【0178】
図18はX=0、Y=1、Z=1のときの結果を示している。
【0179】
図19はX=1、Y=0、Z=1のときの結果を示している。
【0180】
図20はX=1、Y=1、Z=1のときの結果を示している。
【0181】
以上で、「検証のアルゴリズム オ.」、つまりリレー論理回路の接続の段数以上、ウ~エを繰り返したことになる。
【0182】
以上のシミュレーション結果から
図11に示した多数決論理回路が正常に動作をしていることが確認できる。
【0183】
既述の如く例えば
図13に示した画面上の論理回路の所定部位をクリック後に「故障の設定」をクリックすると、当該所定の部位を故障に設定することができる。故障としては、例えば接続線やリレー素子の断線や短絡等を設定できる。
【0184】
図21は接続線の1か所が断線した場合に、このFTC化したリレー素子が多数決論理回路として正常に動作するかのシミュレーションを設定した画面である。図中「0」に×を重ねた表示は0故障と呼び断線を意味する。なお、「1に×を重ねた表示は1故障と呼び短絡を意味する。
【0185】
【0186】
図28はリレー素子としてのフォト・デバイスの1か所が断線した場合に、このFTC化したリレー素子が多数決論理回路として正常に動作するかのシミュレーションを設定した画面である。
【0187】
【0188】
図27中のシミュレーション結果表示領域の値及び
図34中のシミュレーション結果表示領域の値は、
図20中のシミュレーション結果表示領域の値と一致していることがわかる。よって、
図11に示したFTC化したリレー素子80において、1つの回路要素に断線や短絡の故障があっても、多数決論理関数としての正常な機能を維持することができることが本発明に係るシミュレーションによって検証できる。
【0189】
また、本発明に係る本発明に係るシミュレータは、回路要素に対応したオブジェクトを画面上に配置してシミュレーションする回路を設定でき、更にそのシミュレーションにおける電流の流れ等を画面上で把握できるので、例えば回路の設計に問題がある場合などに、その原因を視覚を通じて直感的に把握することができる。
【0190】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、様々に変形して実施が可能であり、その実施の範囲も本発明の技術的範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0191】
1 論理回路
10 フォトリレー
11 フォトリレーの入力側
12 フォトリレーの出力側
20 抵抗網
21 第1の抵抗群
22 第2の抵抗群
E 入力供給電圧
1′ 論理回路
23 スイッチ部
24 抵抗
25 並列抵抗
26 可変電圧電源
30 論理回路
40 第1のフォトリレー
41 第1のフォトリレーの出力側
42 第1のフォトリレーの入力側
50 第2のフォトリレー
51 第2のフォトリレーの出力側
52 第2のフォトリレーの入力側
60 抵抗網
61 第1のスイッチ部
62 第2のスイッチ部
63 抵抗
64 抵抗
70 論理回路
71 リレー群
72 双方向LED
E1 第1の論理回路
E2 第2の論理回路
E3 第3の論理回路
E4 第4の論理回路
80 FTC化した論理回路
140 センサー
101 センサースイッチ
102 抵抗
103 通常開のフォトリレー
105 ケーブル
107 抵抗
108 抵抗
109 LED