(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019029
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
E05B 77/04 20140101AFI20240201BHJP
E05B 79/08 20140101ALI20240201BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E05B77/04
E05B79/08
B60J5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114489
(22)【出願日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2022120849
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】赤木 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 英人
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250MM01
2E250MM03
2E250PP02
2E250PP04
2E250PP05
2E250RR11
(57)【要約】
【課題】衝突荷重の入力によるドアの変形に起因して、ラッチ解除となるのを防止し得るドアラッチ装置を提供する。
【解決手段】ドアラッチ装置10は、フェンスブロック23と、ストライカ5を保持するラッチ位置とストライカ5の保持を解除したオープン位置との間を回動可能なフォーク31と、ラッチ位置のフォーク31を係止する係止位置とフォーク31の係止を解除した係止解除位置との間を回動可能なクロー32と、係止位置を越えるクロー32の回動を規制するストッパ37と、係止位置のクロー32に対してフォーク31とは挿通溝23が延びる方向の反対側に間隔αをあけて設けられたカシメ軸(受部)26Aとを備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを挿通可能な挿通溝を有するベース部材と、
前記ベース部材に配置され、前記ストライカを保持するラッチ位置と前記ストライカの保持を解除したオープン位置との間を回動可能なフォークと、
前記ベース部材に配置され、前記ラッチ位置の前記フォークを係止する係止位置と前記フォークの係止を解除した係止解除位置との間を回動可能で、前記係止解除位置側から前記係止位置側に付勢されたクローと、
前記係止位置を越える前記クローの回動を規制する規制部と、
前記係止位置の前記クローに対して前記フォークとは前記挿通溝が延びる方向の反対側に間隔をあけて設けられた受部と
を備える、ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記間隔は、前記係止位置の前記クローと前記ラッチ位置の前記フォークとの係り代よりも小さい、請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項3】
前記挿通溝が延びる方向から見て、前記受部は前記クローと重なる位置に設けられている、請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項4】
前記クローの前記受部と対向する部分は、前記クローの回転軸を中心とする円弧状である、請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項5】
前記クローの前記受部と対向する部分は、前記受部に近づくに従って前記フォークの回転軸に近づく向きに傾斜し、一部が前記受部よりも前記回転軸側に配置されている、請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項6】
前記クローは、前記ラッチ位置の前記フォークと前記ベース部材との間に介在する鍔部を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項7】
前記ベース部材のうち前記フォークと前記クローが配置された一面側に配置され、前記フォーク及び前記クローそれぞれの回転軸の一端を支持するカバープレートと、
前記ベース部材の前記一面側とは反対の他面側に配置され、前記フォーク及び前記クローそれぞれの前記回転軸の前記一端とは反対の他端側を支持するセットプレートと
を備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項8】
前記受部は、前記ベース部材よりも硬い剛体である軸部材からなり、両端が前記カバープレートと前記セットプレートにそれぞれ支持されている、請求項7に記載のドアラッチ装置。
【請求項9】
前記受部は、前記ベース部材よりも硬い剛体である前記カバープレートに形成された切起片からなる、請求項7に記載のドアラッチ装置。
【請求項10】
前記受部は、前記ベース部材よりも硬い剛体である前記セットプレートに形成された切起片からなる、請求項7に記載のドアラッチ装置。
【請求項11】
前記受部は、前記ベース部材から前記カバープレートに向けて膨出した一体構造の凸部からなり、前記挿通溝に沿って延びている、請求項7に記載のドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたドアラッチ装置は、フォーク(ラッチ)とクロー(ポール)を有するラッチ機構を備える。ラッチ機構は、ドアに設けられたハンドルの操作によって、ラッチ状態からラッチ解除に切り換わる。ラッチ状態では、フォークがストライカを保持し、クローがフォークを係止する。ラッチ解除では、クローによるフォークの係止が解除され、フォークはストライカから外れる。ラッチ解除によりドアが開放可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の衝突時、特に側突時、衝突荷重の入力によりドアが変形する。このドアの変形に起因して、ストライカとフォークを介してクローに大きな荷重が加わると、クローが変位してフォークから外れ、ラッチ機構がラッチ状態からラッチ解除に切り換わる可能性がある。このような意図しないラッチ解除に起因するドアの開放防止について、特許文献1に記載のドアラッチ装置には改善の余地がある。
【0005】
本発明は、衝突荷重の入力によるドアの変形に起因して、ラッチ解除となるのを防止し得るドアラッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ストライカを挿通可能な挿通溝を有するベース部材と、前記ベース部材に配置され、前記ストライカを保持するラッチ位置と前記ストライカの保持を解除したオープン位置との間を回動可能なフォークと、前記ベース部材に配置され、前記ラッチ位置の前記フォークを係止する係止位置と前記フォークの係止を解除した係止解除位置との間を回動可能で、前記係止解除位置側から前記係止位置側に付勢されたクローと、前記係止位置を越える前記クローの回動を規制する規制部と、前記係止位置の前記クローに対して前記フォークとは前記挿通溝が延びる方向の反対側に間隔をあけて設けられた受部とを備える、ドアラッチ装置を提供する。
【0007】
係止位置のクローに対してフォークとは挿通溝が延びる方向の反対側に間隔をあけて受部が設けられている。これにより、ストライカとフォークを介して衝突荷重が加わったクローが、フォークから外れる向きに変位すると受部に当接する。そのため、クローの変位を抑制でき、クローによるフォークの係止を維持できる。よって、ラッチ機構のラッチ解除への切り換わりを防止できるため、意図しないドアの開放を防止できる。しかも、受部は、通常時にクローの回動を規制する規制部とは別に設けられ、クローに対して間隔をあけて位置している。よって、クローの通常作動時及び走行時にクローと受部が干渉しないため、異音の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドアラッチ装置では、衝突荷重の入力によるドアの変形に起因して、ラッチ解除となるのを防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るドアラッチ装置を車両に取り付けた状態の平面図。
【
図2】カバープレートを外したドアラッチ装置の斜視図。
【
図3】フェンスブロックとラッチ機構を車長方向後側から見た分解斜視図。
【
図4】フェンスブロックとラッチ機構を車長方向前側から見た分解斜視図。
【
図6】フェンスブロックに組み付けたラッチ状態のラッチ機構の正面図。
【
図9】
図6のIX部分であるラッチ状態のラッチ機構の拡大図。
【
図14】第2実施形態に係るドアラッチ装置の
図9と同様の拡大図。
【
図15】第3実施形態に係るドアラッチ装置の斜視図。
【
図16】第3実施形態に係るドアラッチ装置の
図9と同様の拡大図。
【
図18】第4実施形態に係るドアラッチ装置の
図9と同様の拡大図。
【
図20】第5実施形態に係るドアラッチ装置の
図9と同様の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係るドアラッチ装置10は、車体1に開閉可能に取り付けられたドア6内に配置されている。
【0012】
添付図面におけるX方向は車長方向であり、矢印が示す向きが前側で、矢印とは逆向きが後側である。Y方向は車幅方向であり、矢印が示す向きが車内側で、矢印とは逆向きが車外側である。Z方向は車高方向であり、矢印が示す向きが上側で、矢印とは逆向きが下側である。以下では、ドア6を閉じた状態を基準として説明する。
【0013】
図1を参照すると、車体1は、アウタパネル2、インナパネル3、及びエンドパネル4を備える。アウタパネル2とインナパネル3は、車幅方向に対向し、それぞれXZ平面に沿って延びている。エンドパネル4は、アウタパネル2及びインナパネル3それぞれの車長方向の前端部に連なり、YZ平面に沿って延びている。エンドパネル4には、車長方向に突出するように車高方向から見てU字状のストライカ5が取り付けられている。
【0014】
ドア6は、アウタパネル7、インナパネル8、及びエンドパネル9を備える。アウタパネル7とインナパネル8は、車幅方向に対向し、それぞれXZ平面に沿って延びている。エンドパネル9は、アウタパネル7及びインナパネル8それぞれの車長方向の後端部に連なり、YZ平面に沿って延びており、車体1のエンドパネル4と対向している。ドア6は、車高方向に延びるヒンジ軸によって回動可能な汎用ドアである。但し、ドア6は、車長方向に延びるヒンジ軸によって回動可能なガルウイングドア、及び車体1に沿って車長方向に移動するスライドドア等であってもよい。また、ドア6は、本実施形態ではサイドドアであるが、ハッチバックドアであってもよい。
【0015】
ドアラッチ装置10は、一部がエンドパネル9から露出するようにドア6内に配置され、ストライカ5を保持することで、車体1に対してドア6を閉状態に保持する。本実施形態のドアラッチ装置10は、アクチュエータ42(
図4参照)の駆動力でストライカ5の保持を解除する電動式である。そのため、ドア6の内外には、手動で開操作する露出したドアハンドルは設けられていない。車内のユーザがドア6を開放する場合、例えばドア6に設けられたスイッチ(図示せず)を操作する。車外のユーザがドア6を開放する場合、例えば電子キー(図示せず)を操作する。
【0016】
図1及び
図2を参照すると、ドアラッチ装置10は、車高方向から見てL字形状のハウジング20を備える。
図2から
図4を参照すると、ドアラッチ装置10は、ハウジング20内に、フェンスブロック(ベース部材)23、ラッチ機構30、電動のリリース機構40、及び電動のクロージャ機構45を備える。また、ドアラッチ装置10は、通常時には使用されず、電動リリース機構40が動作不可能な非常時に使用されるエマージェンシ用の手動リリース機構50を備える。
【0017】
図1及び
図2を参照すると、ハウジング20は、エンドパネル9の内側に沿って車幅方向に延びるように配置された第1収容部21と、インナパネル8の内側に沿って車長方向に延びるように配置された第2収容部22とを備える。第2収容部22は、第1収容部21の車幅方向の内端から突出しており、第1収容部21内と空間的に連通している。
【0018】
フェンスブロック23は、第1収容部21に配置され、ストライカ5を挿通可能な挿通溝23aを備える。挿通溝23aは、車長方向後側の外面23b側(一面側)から車長方向前側の内面23c側(他面側)に窪み、車幅方向に延びており、車幅方向の内端と車長方向の後端とが開放されている。
【0019】
図3から
図5を参照すると、ラッチ機構30は、フォーク31、クロー32、及びオープンレバー33を備える。フォーク31とクロー32は、フェンスブロック23の外面23b側に回動可能に配置されている。オープンレバー33は、フェンスブロック23の内面23c側に配置され、クロー32と一体に回動可能である。
図6を参照すると、クロー32の車幅方向内側には、意図しないクロー32の変位を抑制するカシメ軸(受部)26Aが配置されている。このカシメ軸26Aについては後に詳述する。
【0020】
図8に示すラッチ解除状態で
図1に示すドア6が閉じられると、ストライカ5の進入によってフォーク31が
図9に示すラッチ位置に反時計回りに回動し、ストライカ5を保持したフォーク31をクロー32が係止することで、ドア6を閉状態に保持する。電動リリース機構40又は手動リリース機構50によって、
図10に示す初期位置のオープンレバー33が反時計回りに回動されると、
図9に示す係止位置のクロー32が
図11に示す係止解除位置に時計回りに一体に回動する。これにより、
図11に示すラッチ位置のフォーク31が
図8に示すオープン位置に時計回りに回動し、ラッチ機構30がラッチ解除に切り換わる。その結果、フォーク31からストライカ5が離脱可能になり、車体1に対してドア6を開放できる。
【0021】
図4及び
図7を参照すると、電動リリース機構40は、アクチュエータ42及び作動部材41を備える。アクチュエータ42は、
図1に示す第2収容部22に配置されている。作動部材41は、フェンスブロック23の内面23c側に回動可能に配置されている。
【0022】
アクチュエータ42は制御部(図示せず)によって作動され、作動部材41を
図7において時計回りに回動させる。これにより、作動部材41がオープンレバー33を反時計回りに回動させ、それによって
図9に示す係止位置のクロー32が
図11に示す係止解除位置に回動し、ラッチ機構30がラッチ解除に切り換わる。アクチュエータ42が停止されると、作動部材41は、図示しないトーションバネ(付勢部材)の付勢力によって
図7に示す初期位置に復帰する。
【0023】
図2、
図6、及び
図7を参照すると、クロージャ機構45は、アクチュエータ49及びクロージャレバー46を備える。アクチュエータ49は、ハウジング20の外部であるドア6(
図1参照)内に配置されている。クロージャレバー46は、後に詳述するカバープレート24とセットプレート25の間に回動可能に配置され、フェンスブロック23の側面に配索されたケーブル47を介してアクチュエータ49に機械的に接続されている。
【0024】
開状態のドア6が閉じられ、
図8に示すオープン位置のフォーク31が
図9に示すラッチ位置側へ時計回りに所定角度(例えば39度)回動すると、制御部によってアクチュエータ49が駆動する。これにより、ケーブル47を介してクロージャレバー46が
図2において時計回りに回動し、後述する操作受部31dへの当接によって、フォーク31が
図6及び
図9に示すラッチ位置に回動する。その結果、フォーク31にクロー32が係止し、ラッチ機構30がラッチ状態に切り換わる。
【0025】
図4及び
図7を参照すると、手動リリース機構50は、操作レバー51を備える。操作レバー51は、フェンスブロック23の内面23c側に配置され、作動部材41と同じ回転軸52に回動可能に支持されている。操作レバー51には、図示しないケーブルを介してエマージェンシレバーが接続されている。エマージェンシレバーは車内に配置され、通常時にはカバーによって覆い隠されている。
【0026】
非常時にエマージェンシレバーが操作されると、
図7において操作レバー51が時計回りに回動する。これにより、作動部材41を介してオープンレバー33が回動することで、クロー32が
図9に示す係止位置から
図11に示す係止解除位置に回動し、ラッチ機構30がラッチ解除に切り換わる。
【0027】
以下、フェンスブロック23、ラッチ機構30、及びカシメ軸26Aの構成について、より具体的に説明する。
【0028】
図2から
図4を参照すると、フェンスブロック23は樹脂製であり、外面23bの大部分が金属製のカバープレート24によって覆われ、内面23cの一部が金属製のセットプレート25によって覆われている。
【0029】
フェンスブロック23には、挿通溝23aの上側に、フォーク31のフォーク軸(回転軸)34を貫通させる貫通孔23dが設けられている。挿通溝23aの下側、つまり挿通溝23aに対してフォーク31と反対側には、クロー32のクロー軸(回転軸)32bを貫通させる貫通孔23eが設けられている。クロー32用の貫通孔23eは、フォーク31用の貫通孔23dに対して車幅方向内側に間隔をあけて配置されている。
【0030】
クロー32用の貫通孔23eの下側には更に、貫通孔23f,23g,23hが設けられている。貫通孔23f,23gには、フェンスブロック23にカバープレート24とセットプレート25を固着するカシメ軸26A,26Bがそれぞれ貫通されている。貫通孔23hには、操作レバー51の回転軸52が貫通されている。また、フォーク31用の貫通孔23dの上側には、フォーク31の回動角度範囲を規制する円弧状の規制溝23iが設けられている。
【0031】
カバープレート24は、挿通溝23aに対応する挿通溝24aを備える。カバープレート24には、フェンスブロック23の貫通孔23d~23hに対応する支持孔24b~24fが設けられている。また、カバープレート24には、クロージャレバー46の回転軸48に対応する支持孔24gが設けられている。
【0032】
セットプレート25は、フェンスブロック23の内面23cの形状に沿うように屈曲している。セットプレート25には、カバープレート24の支持孔24b~24e,24gに対応する支持孔25a~25eが設けられている。また、セットプレート25には、フェンスブロック23の規制溝23iに対応する規制溝25fが設けられている。
【0033】
4つの軸部材のカシメ接合によって、カバープレート24はフェンスブロック23の外面23bに固着され、セットプレート25はフェンスブロック23の内面23cに固着されている。4つの軸部材のうち1つは、フォーク31が備える金属製のフォーク軸34である。4つの軸部材のうち1つは、クロージャレバー46が備える金属製の回転軸48である。4つの軸部材のうち残りの2つは、車幅方向に間隔をあけて配置された金属製のカシメ軸26A,26Bである。
【0034】
図2及び
図6を参照すると、フォーク31は、フェンスブロック23の挿通溝23aの上側に配置されている。フォーク31のフォーク軸34は、フォーク31、フェンスブロック23の貫通孔23d、カバープレート24の支持孔24b、及びセットプレート25の支持孔25aを貫通し、カバープレート24とセットプレート25に対してそれぞれカシメ接合されている。つまり、フォーク軸34の一端はカバープレート24に支持され、フォーク軸34の他端はセットプレート25に支持されている。これにより、フォーク31は、フォーク軸34まわりに回動可能である。
【0035】
図3から
図5を参照すると、フォーク31は、トーションバネ(付勢部材)35によってラッチ位置からオープン位置に向けて付勢されている。トーションバネ35はフォーク軸34を取り囲むように配置され、一端がフェンスブロック23に係止され、他端がフォーク31に係止されている。
【0036】
図5及び
図9を参照すると、フォーク31は、保持溝31a、係止凸部31b、及び操作受部31dを備える。
【0037】
保持溝31aは、
図8に示すオープン位置にあるとき、車幅方向の外側に向かうに従って上向きに傾斜して延び、ストライカ5を離脱可能である。保持溝31aは、
図9に示すラッチ位置にあるとき、挿通溝23aに対して交差し、車幅方向内側に向かうに従ってフォーク軸34に向けて上向きに傾斜して延び、ストライカ5を離脱不可能に保持する。
【0038】
係止凸部31bは、
図9に示すラッチ位置にあるとき、フォーク31の車幅方向内側かつ下側に位置する部分に設けられている。係止凸部31bは概ね三角形状に突出している。
【0039】
操作受部31dは、
図9に示すラッチ位置にあるとき、上端に位置する部分に設けられ、概ね三角形状に突出している。操作受部31dは、
図6に示すクロージャレバー46の操作を受けて、フォーク31全体をラッチ位置に回動させるために設けられている。操作受部31dには、フェンスブロック23の規制溝23iとセットプレート25の規制溝25fを貫通する規制突起31eが設けられている。
【0040】
図3から
図5を参照すると、クロー32は、構造の簡素化と組立性向上のために、クロー本体32aにクロー軸32bを一体に形成した構成であり、フェンスブロック23の挿通溝23aの下側に配置されている。クロー軸32bは、クロー本体32aから車長方向の前側と後側に突出し、クロー本体32aと一体に回動可能である。クロー軸32bの車長方向後端側は、カバープレート24の支持孔24cに回動可能に支持されている。クロー軸32bの車長方向前側は、フェンスブロック23の貫通孔23eを貫通し、セットプレート25の支持孔25bに回動可能に支持されている。クロー軸32bの車長方向前端には、オープンレバー33を取り付けるための断面非円形状の取付部32cが設けられている。
【0041】
クロー32は、トーションバネ(付勢部材)36によって
図11に示す係止解除位置から
図9に示す係止位置に向けて付勢されている。トーションバネ36はクロー軸32bを取り囲むように配置され、一端がフェンスブロック23に係止され、他端がオープンレバー33に係止されている。つまり、トーションバネ36は、オープンレバー33を介してクロー32を付勢している。
【0042】
図5及び
図9を参照すると、クロー本体32aは、車幅方向に長尺で車高方向に短尺なブロック体である。クロー本体32aの車幅方向内端であるカシメ軸26Aと対向する部分(以下「対向部32d」と言う)は、クロー軸32bを中心とする円弧状である。クロー本体32aには、係止凹部32eと鍔部32gが設けられている。
【0043】
係止凹部32eは、フォーク31の係止凸部31bと対向する部分であるクロー軸32bの右側に隣接して設けられ、上側から下側に向けて一様に窪んでいる。この係止凹部32eの形成によってクロー軸32b側には係止面32fが形成されている。この係止面32fは、係止凹部32eの底から車高方向上向きに突出し、クロー32が係止位置にある状態でXZ平面に沿って延びており、フォーク31の係止凸部31bを係止する。
【0044】
鍔部32gは、クロー本体32aの車長方向前端であるフェンスブロック23と対向する部分に設けられている。鍔部32gは、YZ平面に沿ってクロー本体32aの外周から突出するとともに、係止凹部32eの車長方向前側端を塞いでいる。
図12を参照すると、鍔部32gの車長方向の厚みは、ラッチ位置のフォーク31とフェンスブロック23との間に介在可能な寸法である。
【0045】
図4、
図5、及び
図10を参照すると、オープンレバー33は、フェンスブロック23に対してクロー本体32aとは反対側、より具体的にセットプレート25の車長方向前側に配置されている。オープンレバー33は、クロー軸32bの取付部32cに取り付けられる非円形状の取付孔33aを備え、クロー32と一体に回動する。オープンレバー33には、作動部材41の操作を受ける操作受部33bと、ストッパ37に当接する当接片33cとが設けられている。オープンレバー33は、トーションバネ36によって
図10に示す初期位置に時計回りに付勢されている。
【0046】
ストッパ(規制部)37は、弾性的に変形可能なゴム製であり、フェンスブロック23の内面23c側に配置され、セットプレート25によって挟み込まれている。ストッパ37は、オープンレバー33の当接片33cの当接によって、
図9に示す係止位置を越える反時計回りのクロー32の回動を規制する。
【0047】
車両の衝突、特に側突に際して、ドアラッチ装置10は以下のような挙動を示す。
【0048】
図9に矢印で概念的に示すように、衝突荷重入力により
図1に示すドア6が変形すると、ストライカ5には、挿通溝23aから抜け出る向きの力F1が相対的に作用することがある。この場合、力F1によってフォーク31には、ラッチ位置からオープン位置に向けて時計回りに回動する力F2が作用する。これにより、フォーク31に係止したクロー32には、フォーク31から外れる向きの力F3が作用する。この力F3によってクロー32は変位し、変位が過度な場合には、フォーク31からクロー32が外れ、ラッチ状態のラッチ機構30がラッチ解除に切り換わり、
図1に示すドア6が開放してしまう可能性がある。
【0049】
このような衝突荷重入力によるドア6の変形に起因して、ラッチ解除となるのを防止するために、本実施形態では、クロー32の変位を抑制するようにカシメ軸(受部)26Aが配置されている。
【0050】
図2及び
図9を参照すると、カシメ軸26Aは、係止位置のクロー32に対して車幅方向の内側、つまりフォーク31とは挿通溝23aが延びる方向の反対側に設けられ、衝突荷重入力によるクロー32の変位を受け止める。言い換えると、カシメ軸26Aは、衝突荷重入力によってクロー32が変位するときの向きの前側に設けられている。
【0051】
カシメ軸26Aは、樹脂製のフェンスブロック23よりも硬い剛体であり、クロー軸32bに対して平行に延びている。
図12を参照すると、カシメ軸26Aの両端は、カバープレート24の支持孔24dとセットプレート25の支持孔25cにそれぞれ支持されている。
【0052】
図13を参照すると、カシメ軸26Aは、クロー本体32aの対向部32dに対して、挿通溝23aが延びる方向に間隔α,βをあけて位置している。つまり、カシメ軸26Aとクロー本体32aとの間には間隔α,βの隙間が確保されている。間隔αは、カシメ軸26Aとクロー本体32aの対向部32dとの最短距離である。間隔βは、クロー32に作用する力F3の方向におけるカシメ軸26Aとクロー本体32aの最短距離である。本実施形態では、ラッチ位置のフォーク31にクロー32が係止した状態での係止凸部31bと係止面32fの当接位置とフォーク軸34の中心とを通る直線(以下「基準線BL1」という。)が、クロー32に作用する力F3の方向に一致している。但し、クロー32に作用する力F3の方向は、ドアラッチ装置10の三次元データを用いたシミュレーション、又は実験等によって導き出してもよい。
【0053】
間隔αは間隔β以下である(α≦β)。これらの間隔α,βは、フォーク31の係止凸部31bとクロー32の係止面32fの係り代γよりも小さい(α≦β<γ)。係り代γとは、ラッチ位置のフォーク31にクロー32が係止可能なクロー32の移動範囲を意味し、係止面32fの開放された上端32f1を通り基準線BL1に対して平行な基準線BL2、及び仮想線TLで示す係止凸部31bの先端の回転軌道の交点と、係止面32fの上端32f1との間の距離である。
【0054】
間隔α,βを過度に大きくすると、衝突荷重入力により変位したクロー32がカシメ軸26Aに当接する前に、係止凸部31bと係止面32fの係止が解除される可能性がある。間隔α,βを過度に小さくすると、クロー32が
図9に示す係止位置と
図11に示す係止解除位置の間を回動する通常時、不可避な製品誤差等によってクロー本体32aがカシメ軸26Aに干渉し、クロー32の回動を妨げる可能性がある。これらの不都合を防ぐため、カシメ軸26Aとクロー本体32aとの間には、係止凸部31bと係止面32fの係り代γよりも小さい間隔α,βを設けることが好ましい。例えば、係り代γが1.55mmの場合、間隔α,βは、0mmよりも大きく1mm未満(より具体的には0.5mm±0.5mm)とすることが好ましい。
【0055】
図12を参照すると、挿通溝23aが延びる方向(車幅方向)から見て、カシメ軸26Aはクロー本体32aと重なる位置に設けられている。本実施形態のカシメ軸26Aの直径は、係止位置のクロー本体32aの上端から下端までの幅よりも小さい。クロー本体32aと重なる位置とは、カシメ軸26Aの少なくとも一部がクロー本体32aの車高方向の幅内に位置することを意味し、本実施形態ではカシメ軸26Aの全体がクロー本体32aの幅内に位置している。
【0056】
図9を参照すると、カシメ軸26Aは、フェンスブロック23の挿通溝23aに沿って延びる基準線BL1上に配置されている。基準線BL1上に配置するとは、カシメ軸26Aの断面の一部が基準線BL1上に位置することを意味し、本実施形態ではカシメ軸26Aの断面中心が基準線BL1に対して下側に間隔をあけて位置している。
【0057】
このようにカシメ軸26Aが配置されたドアラッチ装置10の場合、
図9に示すように、衝突荷重入力によるドア6の変形時に、ストライカ5とフォーク31を介してクロー32に力F3が加わると、力F3の向きに変位するクロー32がカシメ軸26Aに当接する。クロー32とカシメ軸26Aの間隔α,βがフォーク31とクロー32の係り代γよりも小さいため、クロー32によるフォーク31の係止解除前にクロー32がカシメ軸26Aに当接し得る。その結果、衝突荷重入力によるドア6の変形に起因してラッチ機構30がラッチ解除となるのを防止し得る。
【0058】
このように構成したドアラッチ装置10は、以下の特徴を有する。
【0059】
係止位置のクロー32に対してフォーク31とは挿通溝23aが延びる方向の反対側に間隔αをあけてカシメ軸(受部)26Aが設けられている。これにより、衝突荷重が加わったクロー32がフォーク31から外れる向きに変位すると、カシメ軸26Aに当接する。そのため、クロー32の変位とクロー軸32bの変形を抑制でき、クロー32によるフォーク31の係止を維持できる。よって、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを防止できるため、意図しないドア6の開放を防止できる。カシメ軸26Aは、クロー32の回動を規制するストッパ37とは別に設けられ、クロー32に対して間隔αをあけて位置している。よって、クロー32の通常作動時及び走行時にクロー32とカシメ軸26Aが干渉しないため、異音の発生を防止できる。
【0060】
カシメ軸26Aとクロー32の間隔α,βは、係止位置のクロー32とラッチ位置のフォーク31との係り代γよりも小さい。これにより、クロー32の変位によってフォーク31との係止が解除される前に、クロー32がカシメ軸26Aに当接する。そのため、フォーク31へのクロー32の係止を確実に維持でき、意図しないドア6の開放を確実に防止できる。
【0061】
挿通溝23aが延びる方向から見て、カシメ軸26Aはクロー32と重なる位置に設けられている。これにより、変位したクロー32をカシメ軸26Aによって受け止めることができる。そのため、フォーク31へのクロー32の係止を確実に維持でき、意図しないドア6の開放を確実に防止できる。
【0062】
クロー32のカシメ軸26Aと対向する対向部32dは、クロー軸32bを中心とする円弧状である。これにより、変位したクロー32をカシメ軸26Aによって確実に受け止めることができる。また、クロー32の通常作動時及び走行時にクロー32とカシメ軸26Aが干渉しないため、異音の発生を効果的に防止できる。
【0063】
クロー32は、ラッチ位置のフォーク31とフェンスブロック23との間に介在する鍔部32gを有する。そのため、鍔部32gによって、クロー軸32bに沿った車長方向のクロー32の変位を防止できる。よって、フォーク31へのクロー32の係止を確実に維持でき、意図しないドア6の開放を確実に防止できる。
【0064】
カシメ軸26Aは、フェンスブロック23よりも硬い剛体であり、両端が金属製のカバープレート24とセットプレート25にそれぞれ支持されている。これにより、カシメ軸26A自体の変位と変形を抑制でき、変位したクロー32を確実に受け止めることができるため、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを確実に防止できる。
【0065】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0066】
(第2実施形態)
図14を参照すると、第2実施形態のドアラッチ装置10は、クロー本体32aの形状のみが、
図9に示す第1実施形態と異なっている。具体的には、第2実施形態では、クロー本体32aの対向部32dが、カシメ軸(受部)26Aに近づくに従ってフォーク軸34に近づく向きに傾斜している。対向部32dの車幅方向内端側の一部は、カシメ軸26Aの上端よりも上側、かつカシメ軸26Aの車幅方向外端よりも車幅方向内側に配置され、対向部32dの残りの部分は、カシメ軸26Aの上端よりも下側、かつカシメ軸26Aの車幅方向外端よりも車幅方向外側に配置されている。つまり、対向部32dの内端は、車高方向においてカシメ軸26Aの上端よりもフォーク軸34側、かつ挿通溝23aが延びる方向においてカシメ軸26Aの外端よりもフォーク31から離れて位置している。
【0067】
この第2実施形態のドアラッチ装置10では、衝突荷重入力によってストライカ5とフォーク31を介してクロー32が変位すると、傾斜した対向部32dがガイド部として機能する。具体的には、カシメ軸26Aに対向部32dが当接すると、クロー32全体がフォーク軸34側、つまりクロー32とフォーク31の係り代が深くなる向きに移動する。そのため、フォーク31へのクロー32の係止を確実に維持でき、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを防止できる。よって、意図しないドア6(
図1参照)の開放を確実に防止できる。
【0068】
(第3実施形態)
図15から
図17を参照すると、第3実施形態のドアラッチ装置10は、受部の構成のみが、
図9に示す第1実施形態と異なっている。具体的には、第3実施形態の受部は、フェンスブロック23よりも硬い剛体である金属製のカバープレート24に形成された切起片24hからなる。カバープレート24に逆U字形状の打ち抜き溝を設け、打ち抜き溝内に位置する部分を車長方向前側に屈曲させることで、切起片24hが形成されている。フェンスブロック23へのカバープレート24の組み付けによって、切起片24hは、
図16に示すように、クロー32の車幅方向内側に間隔をあけて配置され、基準線BL1に沿って延び、
図17に示すように、車高方向におけるクロー32の幅内に位置する。
【0069】
この第3実施形態のドアラッチ装置10では、衝突荷重入力によってストライカ5とフォーク31を介してクロー32が変位すると、第1実施形態と同様に、変位したクロー32を切起片24hによって受け止めることができる。これにより、クロー32によるフォーク31の係止解除を防止できるため、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを防ぎ、意図しないドア6(
図1参照)の開放を防止できる。また、受部がカバープレート24に設けた切起片24hからなり、専用部品の追加は不要のため、組立作業が煩雑になることも防止できる。
【0070】
(第4実施形態)
図18及び
図19を参照すると、第4実施形態のドアラッチ装置10は、受部の構成のみが、
図9に示す第1実施形態と異なっている。具体的には、第4実施形態の受部は、フェンスブロック23よりも硬い剛体である金属製のセットプレート25に形成された切起片25gからなる。セットプレート25にU字形状の打ち抜き溝を設け、打ち抜き溝内に位置する部分を車長方向後側に屈曲させることで、切起片25gが形成されている。フェンスブロック23へのセットプレート25の組み付けによって、切起片25gは、貫通孔23fを通してクロー32の車幅方向内側に間隔をあけて配置され、基準線BL1に沿って延び、車高方向におけるクロー32の幅内に位置する。
【0071】
この第4実施形態のドアラッチ装置10では、衝突荷重入力によってストライカ5とフォーク31を介してクロー32が変位すると、第1実施形態と同様に、変位したクロー32を切起片25gによって受け止めることができる。これにより、クロー32によるフォーク31の係止解除を防止できるため、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを防ぎ、意図しないドア6(
図1参照)の開放を防止できる。また、受部がセットプレート25に設けた切起片25gからなり、専用部品の追加は不要のため、組立作業が煩雑になることも防止できる。
【0072】
(第5実施形態)
図20及び
図21を参照すると、第5実施形態のドアラッチ装置10は、受部の構成のみが、
図9に示す第1実施形態と異なっている。具体的には、第5実施形態の受部は、フェンスブロック23に形成された凸部23jからなる。凸部23jは、樹脂製のフェンスブロック23と一体構造であり、フェンスブロック23の外面23bからカバープレート24に向けて膨出している。凸部23jの車幅方向外端はクロー32に対して間隔をあけて位置し、凸部23jの車幅方向内端はフェンスブロック23の側壁に連なっている。つまり、凸部23jは、挿通溝23a及び基準線BL1に沿って車幅方向に延びている。
【0073】
この第5実施形態のドアラッチ装置10では、衝突荷重入力によってストライカ5とフォーク31を介してクロー32が変位すると、第1実施形態と同様に、変位したクロー32を凸部23jによって受け止めることができる。この際、凸部23jは、樹脂製のフェンスブロック23と一体構造であるが、クロー32が変位する方向である車幅方向に延び、フェンスブロック23の側壁に連なっているため、車幅方向の耐圧強度は高い。これにより、クロー32によるフォーク31の係止解除を防止できるため、ラッチ機構30のラッチ解除への切り換わりを防ぎ、意図しないドア6(
図1参照)の開放を防止できる。また、受部がフェンスブロック23に設けた凸部23jからなり、専用部品の追加は不要のため、組立作業が煩雑になることも防止できる。
【0074】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0075】
例えば、
図14に示す第2実施形態のドアラッチ装置10に、
図17に示す切起片24hからなる第3実施形態の受部、
図19に示す切起片25gからなる第4実施形態の受部、又は
図21に示す凸部23jからなる第5実施形態の受部を用いてもよい。また、受部は、衝突荷重入力によるクロー32の変位を防止できれば、いずれの部品に設けられてもよいし、専用部品によって構成されてもよい。
【0076】
クロー軸32bをクロー本体32aとは別体に設け、クロー本体32aをクロー軸32bまわりに回動可能としてもよい。
【0077】
通常時にオープンレバー33を介して係止位置を越えるクロー32の回動を規制できれば、別体のストッパ37を設けることなく、規制部を、フェンスブロック23の一部又はセットプレート25の一部によって構成してもよい。また、規制部は、クロー32に直接当接することによって、係止位置を越えるクロー32の回動を規制する構成であってもよい。
【0078】
衝突荷重入力によるクロー32の変位を防止できれば、受部は、挿通溝23aが延びる方向から見てクロー32と重ならない位置に設けられてもよい。
【0079】
衝突荷重入力によりフォーク31に対するクロー32の係止解除を防止できれば、クロー32の対向部32dは、円弧状や傾斜した形状以外であってもよい。
【0080】
クロー軸32bに沿った車長方向のクロー32の変位を防止できれば、クロー32の鍔部32gは設けなくてもよい。
【0081】
ドアラッチ装置10は、
図1に示すドア6が備えるドアハンドルの操作力をクロー32に伝達可能なアンロック位置と伝達不可能なロック位置とに切換可能なロック機構を備え、ロック機構を介してドアハンドルの操作力をラッチ機構30に伝達して、ラッチ状態のラッチ機構30をラッチ解除に切り換える機械式であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 車体
2 アウタパネル
3 インナパネル
4 エンドパネル
5 ストライカ
6 ドア
7 アウタパネル
8 インナパネル
9 エンドパネル
10 ドアラッチ装置
20 ハウジング
21 第1収容部
22 第2収容部
23 フェンスブロック(ベース部材)
23a 挿通溝
23b 外面(一面)
23c 内面(他面)
23d~23h 貫通孔
23i 規制溝
23j 凸部(受部)
24 カバープレート
24a 挿通溝
24b~24g 支持孔
24h 切起片(受部)
25 セットプレート
25a~25e 支持孔
25f 規制溝
25g 切起片(受部)
26A カシメ軸(受部、軸部材)
26B カシメ軸(軸部材)
30 ラッチ機構
31 フォーク
31a 保持溝
31b 係止凸部
31d 操作受部
31e 規制突起
32 クロー
32a クロー本体
32b クロー軸(回転軸)
32c 取付部
32d 対向部
32e 係止凹部
32f 係止面
32g 鍔部
33 オープンレバー
33a 取付孔
33b 操作受部
33c 当接片
34 フォーク軸(回転軸)
35,36 トーションバネ(付勢部材)
37 ストッパ(規制部)
40 電動リリース機構
41 作動部材
42 アクチュエータ
45 クロージャ機構
46 クロージャレバー
47 ケーブル
48 回転軸
49 アクチュエータ
50 手動リリース機構
51 操作レバー
52 回転軸
α 間隔(カシメ軸とクロー本体の最短距離)
β 間隔(クローが変位する方向におけるカシメ軸とクロー本体の最短距離)
γ クローとフォークの係り代