IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェジアン ジーカー インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ ヴィリディ イー-モビリティ テクノロジー (ニンボー) カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ ジェジアン ギーリー ホールディング グループ カンパニー リミテッドの特許一覧

特開2024-19032車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体
<>
  • 特開-車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体 図1
  • 特開-車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体 図2
  • 特開-車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体 図3
  • 特開-車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体 図4
  • 特開-車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019032
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240201BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
G01R31/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115176
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202210891074.3
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523267494
【氏名又は名称】ジェジアン ジーカー インテリジェント テクノロジー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523267508
【氏名又は名称】ヴィリディ イー-モビリティ テクノロジー (ニンボー) カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523267519
【氏名又は名称】ジェジアン ギーリー ホールディング グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジウェイ ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャンビン ニウ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ルイティアン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジウェイ デン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ スン
(72)【発明者】
【氏名】ヤチ ニウ
【テーマコード(参考)】
2G036
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BB08
5G503BB02
5G503EA08
5G503FA06
5G503FA18
5G503GD02
5G503GD06
5H030AA06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF31
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気自動車の熱暴走現象の発生リスクを判定し、熱暴走早期警告情報を出力する車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体を提供する。
【解決手段】車両熱暴走早期警告方法は、車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得するステップと、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出するステップと、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両熱暴走早期警告方法であって、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得するステップと、
前記運転データの収集時系列に従って前記複数のセル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出するステップと、
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップと、
を含む車両熱暴走早期警告方法。
【請求項2】
前記運転データの収集時系列に従って前記複数のセル電圧データについて時間窓への区分けを行うステップの後に、
前記車両内の電池パックの電圧範囲を取得するステップと、
前記電圧範囲と既定の電圧区間範囲とに基づいて、前記車両の運転データに対応する、少なくとも1つの電圧サブ区間を含む電圧区間を構築するステップと、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データを対応する電圧サブ区間へ区分けするステップと、
をさらに含む請求項1に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項3】
前記セル電圧特徴は、第1の特徴値と第2の特徴値とを含み、
区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する前記ステップは、
各前記電圧サブ区間の中から、前記部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と、対応する低電圧サブ区間とを選択するステップと、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定するステップと、
前記第1の電圧偏差値と前記第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を前記第1の特徴値とし、前記第2の電圧偏差値を前記第2の特徴値とするステップと、
を含む請求項2に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項4】
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップの前に、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、且つ、前記第1の特徴値の第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、前記第2の特徴値の第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定するステップと、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、前記第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、前記第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定するステップと、
をさらに含む請求項3に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項5】
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定する前記ステップは、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得するステップと、
前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得するステップと、
前記第1の電圧平均値差値と前記第1の電圧偏差度との第1の積に基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、前記第2の電圧平均値差値と前記第2の電圧偏差度との第2の積に基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得るステップと、
を含む請求項3に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項6】
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得する前記ステップは、
最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとするステップと、
前記初期窓データ内の前記高電圧サブ区間の第1のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第2のセル電圧値と、前記初期窓データ内の前記低電圧サブ区間の第3のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記低電圧サブ区間の第4のセル電圧値とを取得するステップと、
前記第1のセル電圧値と前記第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値とし、前記第3のセル電圧値と前記第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とするステップと、
を含む請求項5に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項7】
前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得する前記ステップは、
前記高電圧サブ区間における各セル電圧データの第5のセル電圧値と、前記低電圧サブ区間における各セル電圧データの第6のセル電圧値と、各前記複数のセル電圧データに対応する電圧中央値とを取得するステップと、
前記第5のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を得て、前記第6のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を得るステップと、
を含む請求項5に記載の車両熱暴走早期警告方法。
【請求項8】
車両熱暴走早期警告装置であって、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得する取得モジュールと、
前記運転データの収集時系列に従って前記複数のセル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する抽出モジュールと、
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する制御モジュールと
を含む車両熱暴走早期警告装置。
【請求項9】
電子機器であって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信可能に接続されたメモリと、を備え、
前記メモリには前記少なくとも1つのプロセッサにより実行できる命令が記憶されており、前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されることで、前記少なくとも1つのプロセッサにより請求項1~7の何れか一項に記載の車両熱暴走早期警告方法を実行できる
電子機器。
【請求項10】
車両熱暴走早期警告方法を実現するプログラムであって、
プロセッサにより実行されることで、請求項1~7の何れか一項に記載の車両熱暴走早期警告方法を実現する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気自動車の技術分野に関し、特に車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の高速発展に伴い、リチウム電池は高い電圧、高い比エネルギー及び長いサイクル寿命などの特徴を備えているため、電気自動車に広く応用されている。電気自動車が故障する時、電池内部に大量の熱エネルギーが放出され、すなわち、電気自動車の熱暴走現象が発生する。過剰な熱エネルギーは車両の火災ひいては爆発を引き起こす恐れがあるので、電気自動車の熱暴走発生のリスクを検知し、事前に早期警告を行うことで、電池パックを交換して熱暴走現象を回避するように使用者に提示することが特に重要である。
【0003】
従来、熱暴走のリスクを検知する方法として、電池表面の温度、電圧、電流と放電レートなどのパラメータを取得して熱暴走のリスクを検知するのが一般的であるが、熱暴走現象は通常、一つのセルから徐々に電池全体に蔓延するため、電池全体のパラメータのみに基づいて車両の熱暴走発生リスクを検知しては、熱暴走リスクの早期警告の適時性が悪く、使用者が電池を適時に交換することができず、車両の熱暴走現象の発生のリスクは依然として高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、従来技術における、車両に熱暴走現象の発生リスクが高いという技術的課題を解決するための、車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本願は、車両熱暴走早期警告機器に適用される車両熱暴走早期警告方法を提供する。前記車両熱暴走早期警告方法は、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得するステップと、
前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出するステップと、
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップと
を含む。
【0006】
また、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行うステップの後に、
前記車両内の電池パックの電圧範囲を取得するステップと、
前記電圧範囲と既定の電圧区間範囲とに基づいて、前記車両の運転データに対応する、少なくとも1つの電圧サブ区間を含む電圧区間を構築するステップと、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データを対応する電圧サブ区間へ区分けするステップと
をさらに含んでもよい。
【0007】
また、前記セル電圧特徴は、第1の特徴値と第2の特徴値とを含み、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する前記ステップは、
各前記電圧サブ区間の中から、前記部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と、対応する低電圧サブ区間とを選択するステップと、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定するステップと、
前記第1の電圧偏差値と前記第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を前記第1の特徴値とし、前記第2の電圧偏差値を前記第2の特徴値とするステップと、
を含んでもよい。
【0008】
また、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップの前に、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、且つ、前記第1の特徴値の第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、前記第2の特徴値の第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定するステップと、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、前記第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、前記第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定するステップと、
をさらに含んでもよい。
【0009】
また、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定する前記ステップは、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得するステップと、
前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得するステップと、
前記第1の電圧平均値差値と前記第1の電圧偏差度との第1の積に基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、前記第2の電圧平均値差値と前記第2の電圧偏差度との第2の積に基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得るステップと、
を含んでもよい。
【0010】
また、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得する前記ステップは、
最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとするステップと、
前記初期窓データ内の前記高電圧サブ区間の第1のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第2のセル電圧値と、前記初期窓データ内の前記低電圧サブ区間の第3のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記低電圧サブ区間の第4のセル電圧値とを取得するステップと、
前記第1のセル電圧値と前記第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値とし、前記第3のセル電圧値と前記第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とするステップと、
を含んでもよい。
【0011】
また、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得する前記ステップは、
前記高電圧サブ区間における各セル電圧データの第5のセル電圧値と、前記低電圧サブ区間における各セル電圧データの第6のセル電圧値と、各前記セル電圧データに対応する電圧中央値とを取得するステップと、
前記第5のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を得て、前記第6のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を得るステップと、
を含んでもよい。
【0012】
以上の目的を達成するために、本願は、車両熱暴走早期警告機器に適用される車両熱暴走早期警告装置をさらに提供する。前記車両熱暴走早期警告装置は、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得する取得モジュールと、
前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する抽出モジュールと、
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する制御モジュールと
を含む。
【0013】
また、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行うステップの後に、前記車両熱暴走早期警告装置はさらに、
前記車両内の電池パックの電圧範囲を取得し、
前記電圧範囲と既定の電圧区間範囲とに基づいて、前記車両の運転データに対応する、少なくとも1つの電圧サブ区間を含む電圧区間を構築し、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データを対応する電圧サブ区間へ区分けしてもよい。
【0014】
また、前記セル電圧特徴は、第1の特徴値と第2の特徴値とを含み、前記抽出モジュールはさらに、
各前記電圧サブ区間の中から、前記部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と、対応する低電圧サブ区間とを選択し、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定し、
前記第1の電圧偏差値と前記第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を前記第1の特徴値とし、前記第2の電圧偏差値を前記第2の特徴値としてもよい。
【0015】
また、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップの前に、前記車両熱暴走早期警告装置はさらに、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、且つ、前記第1の特徴値の第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、前記第2の特徴値の第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定し、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、前記第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、前記第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定してもよい。
【0016】
また、前記抽出モジュールはさらに、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得し、
前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得し、
前記第1の電圧平均値差値と前記第1の電圧偏差度との第1の積に基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、前記第2の電圧平均値差値と前記第2の電圧偏差度との第2の積に基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得てもよい。
【0017】
また、前記抽出モジュールはさらに、
最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとし、
前記初期窓データ内の前記高電圧サブ区間の第1のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第2のセル電圧値と、前記初期窓データ内の前記低電圧サブ区間の第3のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記低電圧サブ区間の第4のセル電圧値とを取得し、
前記第1のセル電圧値と前記第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値とし、前記第3のセル電圧値と前記第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値としてもよい。
【0018】
また、前記抽出モジュールはさらに、
前記高電圧サブ区間における各セル電圧データの第5のセル電圧値と、前記低電圧サブ区間における各セル電圧データの第6のセル電圧値と、各前記セル電圧データに対応する電圧中央値とを取得し、
前記第5のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を得て、前記第6のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を得てもよい。
【0019】
本願は電子機器をさらに提供し、前記電子機器は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶されて前記プロセッサ上で動作できる前記車両熱暴走早期警告方法のプログラムとを含み、前記車両熱暴走早期警告方法のプログラムがプロセッサにより実行された場合、上述したような車両熱暴走早期警告方法のステップを実現することができる。
【0020】
本願はコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、前記コンピュータ可読媒体には車両熱暴走早期警告方法を実現するプログラムが記憶されており、前記車両熱暴走早期警告方法のプログラムがプロセッサにより実行された場合、上述したような車両熱暴走早期警告方法のステップを実現する。
【0021】
本願はコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両熱暴走早期警告方法のステップを実現する。
【0022】
本願は、車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体を提供し、車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得し、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出し、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する。
【0023】
こうして、本願は、車両の時系列電圧データ内のセル電圧のセル電圧特徴を抽出し、セル電圧特徴に基づいて車両の熱暴走発生リスクを判定し、さらに、車両の熱暴走リスクを警告することにより、電池のセル電圧の電圧特徴の変化傾向に基づいて、車両の熱暴走発生リスクを判定し、車両に熱暴走のリスクがある場合に熱暴走早期警告情報を入力して電池を交換するように使用者に提示することにより、車両の熱暴走現象を回避し、ひいては車両の熱暴走現象発生の危険性を低減し、車両の安全性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書の図面は、明細書に含まれてかつ本明細書の一部を構成し、本願に合致する実施例を示し、明細書とともに本願の原理の説明に用いられる。
【0025】
本願の実施例及び従来技術における技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例又は従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面により他の添付図面を得ることができることは、明らかである。
【0026】
図1】本願の車両熱暴走早期警告方法の第1の実施例の模式フローチャートである。
【0027】
図2】本願の車両熱暴走早期警告方法の一つの応用シナリオの模式図である。
【0028】
図3】本願の車両熱暴走早期警告方法の別の応用シナリオの模式図である。
【0029】
図4】本願の車両熱暴走早期警告方法にかかる、ハードウェア運転環境の機器構成模式図である。
【0030】
図5】本願の車両熱暴走早期警告装置の一実施例にかかる、装置構成模式図である。
【0031】
本願の実施例における車両熱暴走早期警告方法にかかるハードウェア運転環境の機器構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解できるように、以下では、本願の実施例における添付図面を参照し、本願の実施例における技術案について明確かつ完全に説明する。説明される実施形態は本願の全ての実施形態ではなく、一部の実施形態に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく得る全ての他の実施例は、本願の保護範囲に属す。
【0033】
本願の実施例は、車両熱暴走早期警告方法を提供し、本願の車両熱暴走早期警告方法の第1の実施例において、本願の車両熱暴走早期警告方法は、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得するステップと、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出するステップと、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップとを含む。
【0034】
なお、本実施例において、電気自動車の熱暴走発生を回避するために、電気自動車の熱暴走発生のリスクを検知し、事前に早期警告を行うことで、電池パックを交換して熱暴走現象を回避するように使用者に提示する。従来、電池表面の温度、電圧、電流と放電レートなどのパラメータを取得して熱暴走のリスクを検知するのが一般的であるが、熱暴走現象は通常、一つのセルから徐々に電池全体に蔓延するため、電池全体のパラメータのみに基づいて車両の熱暴走発生リスクを検知しては、熱暴走リスクの早期警告の適時性が悪く、使用者が電池を適時に交換することができず、車両の熱暴走現象の発生のリスクは高い。
【0035】
上記の現象に対し、本願は、車両の時系列電圧データ内のセル電圧のセル電圧特徴を抽出し、セル電圧特徴に基づいて車両の熱暴走発生リスクを判定し、さらに、車両の熱暴走リスクを警告することにより、電池のセル電圧の電圧特徴の変化傾向に基づいて、車両の熱暴走発生リスクを判定し、車両に熱暴走のリスクがある場合に熱暴走早期警告情報を入力して電池を交換するように使用者に提示することにより、車両の熱暴走現象を回避し、ひいては車両の熱暴走現象発生の危険性を低減し、車両の安全性を向上させる。
【0036】
図1を参照し、図1に示すように、本願の車両熱暴走早期警告方法の第1の実施例において、本願の車両熱暴走早期警告方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0037】
S10において、車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得する。
【0038】
本願の車両熱暴走早期警告方法は、車両にも、車両内の制御システムにも適用可能であり、また、車両と通信可能に接続されるサーバにも適用可能であり、データのやりとりや処理を実現し、車両の熱暴走リスクを予測するために、通信接続は、インターフェース等の有線接続であってもよく、ブルートゥース(登録商標)、ローカルエリアネットワークなどの無線接続であっでもよい。なお、読みやすく理解しやすいように、以下では、上記車両を本願の車両熱暴走早期警告方法の実行主体として本実施例を具体的に説明する。
【0039】
なお、本実施例において、車両の運転データは、既定の時間間隔毎に取得される、車両内の電池パックのセル電圧データである。既定の時間間隔は、車両の運転データを収集する既定の間隔時間であり、5sであってもよく10sであってもよく、車両の制御システム及び/又は車両によりランダムに選択されてもよく、使用者自身によって設定されてもよい。
【0040】
本実施例において、車両に熱暴走現象が発生する前に、車両は、車両の運転データを取得する。
【0041】
本実施例において、車両は、電池パックに内蔵された圧力センサから送信される車両の運転データを受信して取得する。
【0042】
ステップS20において、前記車両の運転データにおいて、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する。
【0043】
本実施例において、車両運転データ数と、既定の各時間窓データ内の窓データの数である既定の窓データ数との第1の比に基づいて、車両運転データについて時間窓への区分けを行う。既定の窓データ数は、車両運転データ数で割り切れる数であり、既定の窓データ数は、20000件であってもよいし、15000件であってもよい。例えば、車両運転データ数が60000件、既定の窓データ数が20000件の場合、時間窓データ数を3つとし、車両運転データを時系列順に3つの時間窓データに区分けするか、或いは、既定の時間間隔と既定の窓データ数との積から、各時間窓の開始時間と終了時間とを求め、各時間窓の開始時間と終了時間とに基づいて、車両運転データについて時間窓への区分けを行う。例えば、既定の時間間隔が10s、既定の窓データ数が6件の場合、1番目の時間窓データの開始時間と終了時間は0s~60s、2番目の時間窓データの開始時間と終了時間は60s~120sとなる。
【0044】
一つの可能な実施例として、上記のステップS20において、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行うステップの後に、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0045】
前記車両内の電池パックの電圧範囲を取得するステップ。
【0046】
なお、本実施例において、電圧範囲は、車両内の電池パックの電圧最大値と電圧最小値とから構成され、車両内の電池パックの電池特徴によって決まる。ここで、電池特徴は、電池型番と電池性能とを含み、電圧範囲は、3.5~4.2Vとすることができる。
【0047】
本実施例において、車両内の電池パックの電池型番と電池性能とを取得し、電池型番と電池性能とに基づいて、電池パックの電圧範囲を求める。
【0048】
前記電圧範囲と既定の電圧区間範囲とに基づいて、前記車両の運転データに対応する、少なくとも1つの電圧サブ区間を含む電圧区間を構築する。
【0049】
なお、本実施例において、既定の電圧区間範囲は、既定の各電圧区間の電圧間隔であり、既定の電圧区間範囲は0.05Vであっても0.1Vであってもよい。
【0050】
本実施例において、電圧範囲と既定の電圧区間範囲との第2の比に基づいて、車両運転データに対応する各電圧区間を、例えば、電圧範囲が3.5V~4.2Vであり、既定の電圧区間範囲が0.1Vである場合、第1の電圧サブ区間が(3.5~3.6)、第2の電圧サブ区間が(3.6~3.7)、第3の電圧サブ区間が(3.7~3.8)、…、第nの電圧サブ区間が(4.1~4.2)となるように構築する。
【0051】
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ対応する電圧サブ区間へ区分けする。
【0052】
本実施例において、各時間窓に対応する部分セル電圧データの電圧中央値を取得して各時間窓における時刻セル電圧値として、セル電圧値が属する電圧区間に基づいて、各部分セル電圧データの時刻セル電圧値を、対応する電圧サブ区間へ区分けする。例えば、第1の時間窓における第0s~第1sのセル電圧データの電圧中央値が3.57Vである場合、第1の時間窓における第0s~第1sの時刻セル電圧値が3.57Vであり、第1の電圧サブ区間(3.5~3.6)へ区分けされる。
【0053】
一例として、図2を参照し、図2には、時間窓データ(図示の時間窓1、時間窓2、…、時間窓n、及びデータフレーム1、データフレーム…)と、電圧サブ区間(図示の電圧区間1、電圧区間2、…、電圧区間14)とが含まれる。
【0054】
一つの可能な実施例として、上記のステップS20において、前記セル電圧特徴は、第1の特徴値と第2の特徴値とを含み、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する前記ステップは、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0055】
ステップS21において、各前記電圧サブ区間の中から、前記部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と、対応する低電圧サブ区間とを選択する。
【0056】
本実施例において、各電圧サブ区間の電圧範囲と既定の電圧区間数とに基づいて、既定の電圧区間数の部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と対応する低電圧サブ区間とを選択する。例えば、既定の電圧区間数が2の場合、各電圧サブ区間の電圧範囲が最も低い2区間を低電圧サブ区間とし、各電圧サブ区間の電圧範囲が最も高い2区間を高電圧サブ区間とし、或いは、各電圧サブ区間の電圧範囲が最も低い2区間の平均値を求め、低電圧サブ区間を得て、各電圧サブ区間の電圧範囲が最も高い2区間の平均値を求め、高電圧サブ区間を得る。
【0057】
ステップS22において、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定する。
【0058】
本実施例において、各前記部分セル電圧データに基づいて、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを算出する。
【0059】
ステップS23において、前記第1の電圧偏差値と前記第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を前記第1の特徴値とし、前記第2の電圧偏差値を前記第2の特徴値とする。
【0060】
本実施例において、各時間窓に対応する部分セル電圧データの各第1の電圧偏差値と各第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を第1の特徴値とし、各第2の電圧偏差値を第2の特徴値とし、第1の特徴値と第2の特徴値とを統合して、各時間窓における部分セル電圧データに対応するセル電圧特徴を得る。
【0061】
一つの可能な実施例において、上記のステップS30において、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップの前に、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0062】
ステップA10において、前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、かつ、前記第1の特徴値の第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、前記第2の特徴値の第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定する。
【0063】
ステップA20において、前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、前記第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、前記第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定する。
【0064】
なお、本実施例において、既定の特徴閾値は、高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値との電圧偏差差値が小さすぎると判定される既定の第1の特徴値臨界値であり、0.00001であってもよく0.00002であってもよい。既定の第1の分散度は、車両に熱暴走のリスクがあると判定される、高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値との電圧偏差差値の既定の分散度であり、4σとすることができる。既定の第2の分散度は、車両に熱暴走のリスクがあると判定される、低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値の既定の分散度であり、1σとすることができる。既定の電圧早期警告条件は、車両に熱暴走のリスクがある既定のセル電圧特徴条件である。
【0065】
なお、第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きい場合、車両の電池パックに過熱現象が発生した可能性のある1つのセル電圧が存在することが示され、その上、第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、かつ、第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、車両の電池パックに過熱現象が発生した複数のセル電圧が存在すること、すなわち、車両に熱暴走のリスクがあることが示される。
【0066】
本実施例において、第1の特徴値の第1の分散度と、第2の特徴値の第2の分散度とを取得し、第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、かつ、第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定する。第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定する。第1の特徴値が既定の特徴閾値以下であり、且つ/又は、第1の分散度が既定の第1の分散度を満たさず、且つ/又は、第2の分散度が既定の第2の分散度を満たさない場合、セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たさないと判定する。
【0067】
ステップS30において、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する。
【0068】
なお、本実施例において、熱暴走早期警告情報は、使用者が電池を交換するように、車両に熱暴走のリスクがあることを使用者に警告するための情報であり、熱暴走早期警告情報の内容は、文字表示内容であってもよく、音声再生内容であってもよく、文字表示と音声再生とを組み合わせた内容であってもよい。
【0069】
本実施例において、各セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすか否かを判定し、各セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する。部分セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たさない場合、車両に熱暴走のリスクがないと判定し、且つ、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する実行ステップに戻る。
【0070】
また、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップは、具体的には、熱暴走早期警告情報を表示するように車両の車載モニターを制御するステップ、及び/又は、熱暴走早期警告情報を再生するように車両の音声再生モジュールを制御するステップを含んでもよい。
【0071】
等価回路モデルにより車両の電池パック内の各セルの内部抵抗を算出し、各セルの内部抵抗の変化状況に基づいて、車両の熱暴走発生リスクを判定して、熱暴走早期警告情報を出力するように車両を制御することで、熱暴走のリスクを回避する。実車の運転状況が一定ではないため、電池パック内のセルの内部抵抗の変化のみで車両の熱暴走発生リスクを判定することは、他の要因を考慮しておらず、熱暴走リスクの判定が不正確である結果が生じやすいので、車両の熱暴走警告の精度が低い(例えば、車両に熱暴走リスクがないときに熱暴走警告し、或いは車両に熱暴走リスクがあるときに熱暴走警告を適時に行えない)。本願の実施例は、車両の電池パックの現在の温度、温度上昇速度、電圧値、電圧値の変化速度、電池パック内の圧力値、ガス成分及び含有量等の特徴を収集することにより、車両の熱暴走発生リスクを判定して、熱暴走早期警告情報を出力するように車両を制御することで、熱暴走のリスクを回避する。この方法では、安全故障が既に発生した時の車両の早期特徴を捕捉し、安全故障の警告を与えることしかできず、使用者のために予め取っておく電池交換の時間が短いため、車両の熱暴走発生リスクが高い。また、上記の特徴を収集するのに、内蔵のセンサが必要であるが、センサは通常定期的なメンテナンスを必要とするため、車両の熱暴走リスク検出のコストが増大する。
【0072】
既定の電圧早期警告条件は、熱暴走現象が発生した大量の車両の運転データに基づいて得られた電圧特徴早期警告の経験値であることは、理解できるであろう。これにより、既定の電圧早期警告条件に基づいて、電池のセル電圧の電圧特徴の変化傾向について車両の熱暴走リスクの判定を行い、車両に熱暴走のリスクがある場合に熱暴走早期警告情報を入力して電池を交換するように使用者に提示することにより、車両の熱暴走現象を回避し、ひいては車両の熱暴走現象発生の危険性を低減することができる。
【0073】
本実施例において、本願は、車両熱暴走早期警告方法、装置、電子機器及び可読記憶媒体を提供し、車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得し、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出し、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する。
【0074】
こうして、本願は、車両の時系列電圧データ内のセル電圧のセル電圧特徴を抽出し、セル電圧特徴に基づいて車両の熱暴走発生リスクを判定し、さらに、車両の熱暴走リスクを警告することにより、電池のセル電圧の電圧特徴の変化傾向に基づいて、車両の熱暴走発生リスクを判定し、車両に熱暴走のリスクがある場合に熱暴走早期警告情報を入力して電池を交換するように使用者に提示することにより、車両の熱暴走現象を回避し、ひいては車両の熱暴走現象発生の危険性を低減し、車両の安全性を向上させる。
【0075】
さらに、上述した本願の車両熱暴走早期警告方法の第1の実施例に基づいて、本願の車両熱暴走早期警告方法の第2の実施例を提供する。
【0076】
本実施例において、本願の車両熱暴走早期警告方法は、同様に、上述した車両を実行主体として実施される。一つの可能な実施例として、ステップS22において、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定する前記ステップは、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0077】
ステップB10において、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得する。
【0078】
なお、本実施例において、電圧平均値差値は、各時間窓における部分セル電圧データの電圧サブ区間の値の状況を表すためのものである。
【0079】
本実施例において、部分セル電圧データに基づいて、各時間窓における部分セル電圧データの高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを算出する。
【0080】
一つの可能な実施例として、ステップB10において、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得する前記ステップは、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0081】
ステップB11において、最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとする。
【0082】
本実施例において、各時間窓に対応する収集時系列に従って、最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとし、例えば、第1の時間窓の部分セル電圧データを初期窓データとする。
【0083】
ステップB12において、前記初期窓データ内の前記高電圧サブ区間の第1のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第2のセル電圧値と、前記初期窓データ内の前記低電圧サブ区間の第3のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記低電圧サブ区間の第4のセル電圧値とを取得する。
【0084】
本実施例において、初期窓データ内の高電圧サブ区間のセル電圧平均値を取得し、高電圧サブ区間の第1のセル電圧値を得て、各時間窓に対応する部分セル電圧データ内の高電圧サブ区間のセル電圧平均値を取得し、高電圧サブ区間の第2のセル電圧値を得て、初期窓データ内の低電圧サブ区間のセル電圧平均値を取得し、低電圧サブ区間の第3のセル電圧値を得て、各時間窓に対応する部分セル電圧データ内の低電圧サブ区間のセル電圧平均値を取得し、低電圧サブ区間の第4のセル電圧値を得る。
【0085】
ステップB13において、前記第1のセル電圧値と前記第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値とし、前記第3のセル電圧値と前記第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とする。
【0086】
本実施例において、第1のセル電圧値と第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値として算出し、第3のセル電圧値と第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値として算出する。
【0087】
ステップB20において、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得する。
【0088】
本実施例において、第1の電圧平均値差値と、第1のセル電圧値と、第3のセル電圧値とに基づいて、高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を算出し、第2の電圧平均値差値と、第2のセル電圧値と、第4のセル電圧値とに基づいて、低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を算出する。
【0089】
一つの可能な実施例として、ステップB20において、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得する前記ステップは、具体的には、以下のステップを含んでもよい。
【0090】
ステップB21において、前記高電圧サブ区間における各セル電圧データの第5のセル電圧値と、前記低電圧サブ区間における各セル電圧データの第6のセル電圧値と、各前記セル電圧データに対応する電圧中央値とを取得する。
【0091】
本実施例において、各時間窓に対応する部分セル電圧データ内の高電圧サブ区間の各セル電圧値のセル電圧平均値を取得し、高電圧サブ区間の第5のセル電圧値を得て、各時間窓に対応する部分セル電圧データ内の低電圧サブ区間の各セル電圧値のセル電圧平均値を取得し、低電圧サブ区間の第6のセル電圧値を得て、高電圧サブ区間における各セル電圧平均値の中央値を取得し、高電圧サブ区間におけるセル電圧値の第1の電圧中央値を得て、低電圧サブ区間における各セル電圧平均値の中央値を取得し、低電圧サブ区間におけるセル電圧値の第1の電圧中央値を得る。
【0092】
ステップB22は、前記第5のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を得て、前記第6のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を得る。
【0093】
本実施例において、第5のセル電圧値と、第1の電圧中央値と、高電圧サブ区間の電圧データ数とに基づいて、高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を決定し、第6のセル電圧値と、第2の電圧中央値と、低電圧サブ区間の電圧データ数とに基づいて、低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を決定する。
【0094】
具体的には、
【数1】
を含んでもよい。ここで、devは電圧サブ区間の電圧偏差度、nは電圧サブ区間における電圧データ数、vmidは電圧サブ区間における各セル電圧データの電圧中央値、vは電圧サブ区間における各セル電圧データのセル電圧値である。
【0095】
ステップB30において、前記第1の電圧平均値差値と前記第1の電圧偏差度との第1の積に基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、前記第2の電圧平均値差値と前記第2の電圧偏差度との第2の積に基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得る。
【0096】
本実施例において、第1の電圧平均値差値と第1の電圧偏差度との第1の積を計算して、高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、第2の電圧平均値差値と第2の電圧偏差度との第2の積を計算して、低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得る。
【0097】
一例として、図3は本願により提供される車両熱暴走早期警告方法の一つの応用シナリオの模式図である。図3に示すように、この応用シナリオには、車両01と、車両01と通信可能に接続された制御機器03と、車両01と通信可能に接続されたユーザ機器02とが含まれてもよい。図3において、車両01の全ての使用者が車両01内にいないとき、車両01を介して熱暴走早期警告情報を全ての使用者に対応する使用者機器02に送信して、車両電池パックを交換するように使用者に提示するか、又は、車両01の第1の使用者が車両01内にいて、第2の使用者が車両01内にいないとき、車両01を介して熱暴走早期警告情報を出力して表示し、且つ/又は、熱暴走早期警告情報を第2の使用者に対応する使用者機器02に送信するか、又は、全ての使用者が車両01内にいないとき、車両01を介して熱暴走早期警告方法を制御機器03に送信して、電池パックを交換するように車両の運用保守者に提示する。
【0098】
本実施例によれば、時系列の車両運転データ内の各時間窓データに対応するセル電圧特徴を取得し、セル電圧特徴に対する既定の電圧早期警告条件判定により、車両の熱暴走発生リスクを判定し、車両に熱暴走のリスクがある場合に熱暴走早期警告情報を入力して電池を交換するように使用者に提示することにより、車両の熱暴走現象を回避し、ひいては車両の熱暴走現象発生の危険性を低減し、車両の安全性を向上させる。
【0099】
なお、本願の実施例は、上記の何れか一つの実施例に言及されたような車両をさらに提供する。
【0100】
図4を参照し、図4は本願の実施例の案に言及された車両にかかるハードウェア運転環境の機器構成模式図である。
【0101】
図4に示すように、当該車両は、プロセッサ1001(例えばCPU)、通信バス1002、ネットワークインターフェース1003、メモリ1004を含んでもよい。その中で、通信バス1002はプロセッサ1001とメモリ1004との間の接続や通信を実現する。メモリ1004としては高速RAMメモリであってもよく、安定したメモリ(non-volatile memory)、例えば磁気ディスクメモリでもよい。また、メモリ1004は前記プロセッサ1001とは独立した記憶機器であってもよい。
【0102】
また、この車両はさらにグラフィックユーザインターフェース、ネットワークインターフェース、ウェブカメラ、RF(Radio Frequency,無線周波数)回路、センサ、オーディオ回路、WiFiモジュール等を含んでもよい。グラフィックユーザインターフェースはディスプレイ(Display)、入力サブモジュール(例えばキーボード(Keyboard))を含んでもよく、また、グラフィックユーザインターフェースはさらに標準の有線インターフェース、無線インターフェースを含んでもよい。また、ネットワークインターフェースは標準の有線インターフェース、無線インターフェース(例えばWI-FI(登録商標)インターフェース)を含んでもよい。
【0103】
当業者であれば、図4に示す構造は車両に対する限定を構成せず、実際の応用の異なる設計需要によっては、異なる可能な実施形態において、車両は、図示より多い或いは少ない部品を含んでもよく、或いは一部の部品を組み合わせたり、異なる部品の配置をしたりしてもよいことを、理解できるであろう。
【0104】
図4に示すように、一種の記憶媒体としてのメモリ1004には、オペレーティングシステム、ネットワーク通信モジュール、及び車両熱暴走早期警告プログラムが含まれてもよい。オペレーティングシステムとは、車両のハードウェア及びソフトウェアに基づくリソースを管理及び制御するプログラムであり、車両熱暴走早期警告プログラム及び他のソフトウェア及び/又はプログラムの実行をサポートする。ネットワーク通信モジュールはメモリ1004の内部の各構成部品の間の通信、及び車両熱暴走早期警告システムの中の他のハードウェア及びソフトウェアとの間の通信を実現するためのものである。
【0105】
図4に示す車両において、プロセッサ1001は、メモリ1004に記憶されている車両熱暴走早期警告プログラムを実行して、上記の何れか一つの実施例に記載の車両熱暴走早期警告方法のステップを実現する。
【0106】
本願の車両に基づく具体的な実施形態は、上述した車両熱暴走早期警告方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0107】
さらに、本願は、車両熱暴走早期警告装置をさらに提供する。本願の車両熱暴走早期警告装置は、車両により、車両の熱暴走早期警告を制御するのに使用され、図5に示すように、本願の車両熱暴走早期警告装置は、
車両の運転データであって、前記車両内の電池パックの複数のセル電圧データである前記運転データを取得する取得モジュールと、
前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行い、区分けにより得た各時間窓に対応する部分セル電圧データからセル電圧特徴を抽出する抽出モジュールと、
各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御する制御モジュールと
を含む。
【0108】
また、前記運転データの収集時系列に従って複数の前記セル電圧データについて時間窓への区分けを行うステップの後に、前記車両熱暴走早期警告装置はさらに、
前記車両内の電池パックの電圧範囲を取得し、
前記電圧範囲と既定の電圧区間範囲とに基づいて、前記車両の運転データに対応する、少なくとも1つの電圧サブ区間を含む電圧区間を構築し、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データを対応する電圧サブ区間へ区分けしてもよい。
【0109】
また、前記セル電圧特徴は、第1の特徴値と第2の特徴値とを含み、前記抽出モジュールはさらに、
各前記電圧サブ区間の中から、前記部分セル電圧データに対応する高電圧サブ区間と、対応する低電圧サブ区間とを選択し、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値とを決定し、
前記第1の電圧偏差値と前記第2の電圧偏差値との電圧偏差差値を前記第1の特徴値とし、前記第2の電圧偏差値を前記第2の特徴値としてもよい。
【0110】
また、各前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たす場合、前記車両に熱暴走のリスクがあると判定し、熱暴走早期警告情報を出力するように前記車両を制御するステップの前に、前記車両熱暴走早期警告装置はさらに、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、且つ、前記第1の特徴値の第1の分散度が既定の第1の分散度を満たすか否かを判定し、前記第2の特徴値の第2の分散度が既定の第2の分散度を満たすか否かを判定し、
前記第1の特徴値が既定の特徴閾値より大きく、前記第1の分散度が既定の第1の分散度を満たし、且つ、前記第2の分散度が既定の第2の分散度を満たす場合、前記セル電圧特徴が既定の電圧早期警告条件を満たすと判定してもよい。
【0111】
また、前記抽出モジュールはさらに、
各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値と前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値とを取得し、
前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度と前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度とを取得し、
前記第1の電圧平均値差値と前記第1の電圧偏差度との第1の積に基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差値を得て、前記第2の電圧平均値差値と前記第2の電圧偏差度との第2の積に基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差値を得てもよい。
【0112】
また、前記抽出モジュールはさらに、
最初の時間窓に対応する部分セル電圧データを初期窓データとし、
前記初期窓データ内の前記高電圧サブ区間の第1のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記高電圧サブ区間の第2のセル電圧値と、前記初期窓データ内の前記低電圧サブ区間の第3のセル電圧値と、各前記時間窓に対応する部分セル電圧データ内の前記低電圧サブ区間の第4のセル電圧値とを取得し、
前記第1のセル電圧値と前記第2のセル電圧値との第1の電圧差値を、前記高電圧サブ区間の第1の電圧平均値差値とし、前記第3のセル電圧値と前記第4のセル電圧値との第2の電圧差値を、前記低電圧サブ区間の第2の電圧平均値差値としてもよい。
【0113】
また、前記抽出モジュールはさらに、
前記高電圧サブ区間における各セル電圧データの第5のセル電圧値と、前記低電圧サブ区間における各セル電圧データの第6のセル電圧値と、各前記セル電圧データに対応する電圧中央値とを取得し、
前記第5のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記高電圧サブ区間の第1の電圧偏差度を得て、前記第6のセル電圧値と対応する前記電圧中央値とに基づいて、前記低電圧サブ区間の第2の電圧偏差度を得てもよい。
【0114】
本願の車両熱暴走早期警告装置の各機能モジュールの具体的な実施形態は、上述した車両熱暴走早期警告方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0115】
本願の実施例はコンピュータ記憶媒体を提案し、前記コンピュータ記憶媒体には1つ又は複数のプログラムが記憶され、前記1つ又は複数のプログラムはさらに、1つ又は複数のプロセッサにより実行されることで、上記の何れか一項に記載の車両熱暴走早期警告方法のステップを実現することができる。
【0116】
本願のコンピュータ記憶媒体の具体的な実施形態は、上述した車両熱暴走早期警告方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0117】
本願はコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品をさらに提供し、当該コンピュータプログラムがプロセッサにより実行された場合、上記の車両熱暴走早期警告方法のステップを実現する。
【0118】
本願のコンピュータプログラム製品の具体的な実施形態は、上述した車両熱暴走早期警告方法の各実施例と基本的に同じであるため、ここでは重複した説明を省略する。
【0119】
本文において、「含む」、「含める」といった術語或いは何れの他のバリエーションは非排他的な包含を意味することで、一連の要素の過程、方法、物品或いは装置がそれらの要素だけでなく、明確に列挙されていない他の要素を含み、或いはこの種の過程、方法、物品或いは装置に固有の要素を含むようにする。それ以上の制限がない状況で、「一つの…を含む」という文により限定される要素は、当該要素を含む過程、方法、物品或いは装置の中に他の同じ要素がさらに存在することを除外しない。
【0120】
上記本発明実施例の番号は説明のためのものだけであって、実施例の優劣を表すものではない。
【0121】
以上の実施態様の説明を通して、当業者は、上記の実施例の方法はソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを加える方法(勿論ハードウェアによることも可能であるが、多くの場合では前者がより良い実施方法)で実現できることを明確に理解できる。このような理解に基づいて、本発明の技術案は、本質としては、或いは先行技術に対して貢献する部分は、ソフトウェア製品の形式で体現できる。当該コンピュータソフトウェア製品は記憶媒体(例えばROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)の中に記憶でき、一台の端末機器(車載コンピュータ、スマートフォン、コンピュータ、サーバ、エアコン、又はネットワーク機器等でもよい)に本発明の各実施例で説明する方法を実行させるための幾つかの命令を含む。
【0122】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、それによって本発明の特許の保護範囲を制限するわけではない。本発明の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた均等構造或いは均等流れ変換、或いは直接又は間接的な他の関連する技術分野への応用も、同じ理由で本発明の特許の保護範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5