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特開2024-19044調整可能な浮遊式バラストを有するクレーン
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  • 特開-調整可能な浮遊式バラストを有するクレーン 図1
  • 特開-調整可能な浮遊式バラストを有するクレーン 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019044
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】調整可能な浮遊式バラストを有するクレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/76 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B66C23/76 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118130
(22)【出願日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 812.4
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボーナッカー ローランド
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205GA04
(57)【要約】
【課題】安定性の面で犠牲を払うことなく、クレーン使用時のCOバランスを改善する。
【解決手段】本発明は、クレーン、特にラチスブーム移動式クレーンに関し、このクレーンは、垂直回転軸を中心に回転可能な上部旋回体と、浮遊式バラストガイドを介して上部旋回体に接続された浮遊式バラストとを備える。浮遊式バラストガイドは、上部旋回体の回転軸から浮遊式バラストの距離を変えるための駆動装置を含む。本発明によれば、浮遊式バラストガイドは、少なくとも1つの力伝達部材を介して上部旋回体に接続されている。力伝達部材は、浮遊式バラストの重量力に対抗するアンロード力によって浮遊式バラストガイドを部分的にアンローディングし、それによって対応する反力を上部旋回体に導入するように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回垂直軸回りに旋回可能な上部旋回体(14)と、
浮遊式バラストガイド(22)を介して前記上部旋回体に接続された浮遊式バラスト(20)とを有し、
前記浮遊式バラストガイド(22)が、浮遊式バラスト半径を変化させるための駆動装置(28)を含む、クレーン、特にラチスブーム移動式クレーンであって、
前記浮遊式バラストガイド(22)が、前記浮遊式バラスト(20)の重量力(F)に対抗し、それにより対応する反力(F)を前記上部旋回体(14)に導入するように構成された少なくとも1つの力伝達部材(40)を介して前記上部旋回体(14)に接続される、
ことを特徴とする、クレーン(22)。
【請求項2】
前記力伝達部材(40)は、前記浮遊式バラストガイド(22)の前記駆動装置(28)の一部ではない、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記力伝達部材(40)は、前記上部旋回体(14)の後部に取り付けられ、
好ましくは前記上部旋回体(14)から後方に突出する支持装置(42)に連結される、
請求項1又は2に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
少なくとも2つの力伝達部材(40)が設けられ、
前記少なくとも2つの力伝達部材(40)が、前記上部旋回体の回転軸を通って延びる起伏平面に対して、横方向に、特に対称に、配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
前記浮遊式バラストガイド(22)は、揺動継手(23)を介して互いに枢着された2つのラチス部(24,26)を備え、
第1のラチス部(24)は、水平揺動軸を中心に揺動可能な態様で前記上部旋回体(14)の後部に連結され、
好ましくは、前記駆動装置(28)は、前記ラチス部(24,26)の少なくとも1つに揺動可能に接続された油圧シリンダを備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
前記力伝達部材(40)は、前記2つのラチス部(24,26)の一方、好ましくは前記第1のラチス部(24)に、揺動可能に連結される、
請求項5に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記力伝達部材(40)によって前記ラチス部(24,26)の一方に導入された力が、重量力Fの結果として、起伏軸(21)周りに発生するトルクよりも小さい、前記起伏軸(21)周りのアンロードトルクを発生させる、
請求項5又は6に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
前記力伝達部材(40)によって加えることができるアンロード力(F)の大きさは、一定又は可変であり、好ましくは制御可能である、
請求項1から7のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記力伝達部材(40)が、前記浮遊式バラストガイド(22)及び前記上部旋回体(14)に永久的に接続されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記力伝達部材(40)が、バネ部材を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
積極的にアンロード力(F)を発生させる前記力伝達部材(40)を油圧で作動させることができ、特に油圧シリンダを備え、
好ましくは、前記力伝達部材(40)を、所定のアンロード力(F)又は反力(F)が確立されるように、クレーン制御装置(60)によって作動させるか、又は制御することができる、
請求項1から10のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記力伝達部材(40)によって発生するアンロード力(F)又は反力(F)を、前記クレーン(10)の負荷トルク制限に利用可能とすることができ、
前記負荷トルク制限により、好ましくは変更可能であり、特に制御可能である、
請求項1から11のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
少なくとも2つの力伝達部材(40)が、互いに独立して制御可能又は調整可能である、請求項4に記載の特徴によってさらに形成される、
請求項11又は12に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記上部旋回体(14)にヒンジ接続され、
第1のガイ(31)を介して前記浮遊式バラスト(20)に接続され、
第2のガイ(32)を介して、特にガイブロック(17)を介して前記上部旋回体(14)に接続される、デリックブーム(16)をさらに備える、
請求項1から13のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
前記上部旋回体(14)が、
前記浮遊式バラスト(20)に加えて、前記上部旋回体(14)に対して動かず、積み重ね可能なカウンタウエイト要素を有する上部旋回体バラスト(50)を備え、
前記カウンタウエイト要素は、前記浮遊式バラスト(20)の上に、好ましくは選択的に、積み重ね可能である、
請求項1から14のいずれか1項に記載のクレーン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン、特に請求項1に記載の前提部に係るラチスブーム型移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式下部走行体と、下部走行体上に回転可能に取り付けられた上部旋回体と、上部旋回体に揺動可能に取り付けられたラチスブームとに加え、大型ラチスブームクレーンは、しばしば上部旋回体上に揺動可能に取り付けられた追加のデリックブームを有する。デリックブームは、通常、起伏調整様式の長さ調整可能なガイを介してメインブームに接続され、さらにガイシステムを介して追加のガイブロックに接続されている。上部旋回体に連接されたガイブロックは、次いで、長さ調節可能な起伏調節機構を介して、上部旋回体に連結されている。これにより、メインブームのガイ角度が大きくなる。
【0003】
メインブームを介して持ち上げられる荷物によって生じる負荷トルクに対抗するために、典型的には、上部旋回体バラストとしても知られるカウンタウエイト装置が、いくつかの積み重ね可能なカウンタウエイトプレートを備え、上部旋回体の後部に存在する。メインブームの組立及び分解のために、また特に重い荷物を持ち上げるために、上部旋回体バラストに加えて浮遊式バラストを設けることができ、このバラストは、典型的には鋼棒の形態である、さらなるガイを介してデリックブームの先端に接続され、負荷トルクを打ち消す付加的な逆トルクを発生する。浮遊式バラストは、地面上に吊り下げて保持することができ、又は浮遊式バラストが使用される場合でも上部旋回体を回転させることができるように可動バラスト台車に着座させることができる。浮遊式バラストは、典型的には、その上に積み重ねられた複数のカウンタウエイトプレートを有する支持プレートを備える。ガイには可変長のシリンダが設けられている。
【0004】
浮遊式バラストの上部旋回体の後部への距離、又は上部旋回体の回転軸への距離を、特に連続的に調節することができ、したがって、それぞれの持ち上げ作業に発生するカウンタトルクを適合させることができるように、例えば、独国特許出願第 10 2018 102 025号明細書から、浮遊式バラストが、揺動及び折り畳み浮遊式バラストガイドを介して上部旋回体の後部に連結されることが知られている。この浮遊式バラストガイドは、2つの関節式ラチス部を備え、駆動装置として、ラチス部を内外に折り畳むための、ひいては浮遊式バラスト半径を減少又は増加させるための、1つ又は複数の油圧シリンダを備える。
【0005】
調整可能な浮遊式バラストガイドを備えた浮遊式バラスト操作において、比較的大きな上部旋回体バラストは、特に起伏面(すなわち荷が起伏している面)に対して垂直なクレーン全体の傾斜に関して、クレーンの安定性を確保するために必要である。このような負荷は、例えば側面からの風によって引き起こされる。このようなクレーンの通常、非常に長いジブシステムのために、大きな力及びトルクが、ここで発生する可能性がある。
【0006】
浮遊式バラストは、浮遊式バラストガイド及びデリックブームを介して上部旋回体に連結されている。しかし、特に浮遊式バラストが、大きな半径に設定されている場合、両者の接続は比較的「柔らかい」。したがって、ブームシステムの起伏面に垂直な、宙に浮くバラストは、クレーンの転倒に対してわずかな安定性しか提供できない。一方、これは上部旋回体バラストによって可能となる。上部旋回体バラストの各積重体は、それ自身の重心を有する。上部旋回体バラスト全体には重心があり、この重心は一般的にブームシステムの起伏面にも配置されているが、下部走行体又は支持部によって定められる、クレーンの横方向転倒縁部までの関連する距離を常に有している。上部旋回体は、通常、上部旋回体バラストを堅固に支持するので、これは、横方向の転倒に対する安定性を増加させることができる。
【0007】
現在のクレーン運転では、COバランスシートが関連指標となる。重いカウンタウエイト要素の輸送は特に不利な要素である。重いカウンタウエイト要素は、すぐに輸送車両が過積載となり、これは、追加の輸送車両を使用しなければならず、したがってCOバランスを悪化させることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
使用されるカウンタウエイトプレートの総数及び質量を減らすために、上部旋回体又は回転組立体(すなわち、レバーアーム)の回転軸からの、それらの距離は、それに応じて増加しなければならない。しかしながら、浮遊式バラストの質量は、通常、既に最適に利用されている。より大きな半径を有する、安定性に関連する上部旋回体バラストを使用することは、なお考えられるであろう。しかし、必要となる上部旋回体の長尺化は、懸架バラストの調整性にマイナスの影響を与える可能性がある。上部旋回体バラストを、浮遊式バラスト(これは、上部旋回体バラストよりも上部旋回体の回転軸からより遠い距離にある)にシフトさせることは、他方では、上述した横方向の転倒に対する安定性に関して、それがもはや確保されないので、問題である。
【0009】
このような背景から、本発明の根底にあるのは、安定性の面で犠牲を払うことなく、この種のクレーンの使用のCOバランスを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するクレーンによって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0011】
請求項1
したがって、クレーン、特にラチスブーム移動式クレーンが提案され、これは、垂直回転軸の周りに旋回可能な上部旋回体と、浮遊式バラストガイドを介して上部旋回体に接続された浮遊式バラストとを備える。浮遊式バラストガイドは、浮遊式バラスト半径、すなわち、回転組立体の中心からの浮遊式バラスト又は上部旋回体の回転軸の距離を、それぞれ変えるための駆動装置を備える。クレーンは、クローラクレーンでもよい。
【0012】
本発明によれば、浮遊式バラストガイドは、少なくとも1つの力伝達部材を介して上部旋回体に接続されている。力伝達部材は、浮遊式バラストの重量力に対抗するアンロード力の手段によって浮遊式バラストガイドを部分的にアンローディング又は解放し、それによって対応する反力を上部旋回体に導入するように構成されている。
【0013】
上部旋回体に導入される反力は、浮遊式バラストの重量力の方向に作用する成分を有する。この力の大きさ及び加力位置に応じて、上部旋回体に固定されている、上部旋回体バラストは、結果として、完全に又は部分的に交換することができる。
【0014】
これにより、他の方法で、上部旋回体バラストを形成するカウンタウエイトプレートを、クレーンの安定性を損なうことなく、浮遊式バラスト上に全体的に又は部分的に敷設又は積み重ねることができる。力伝達部材を介して上部旋回体に導入された反力は、クレーンが横に転倒するのを防止する横方向スタビライザとして作用することができる。カウンタウエイトプレートを上部旋回体から浮遊式バラストに移設することは、レバーアーム又は上部旋回体の回転軸からの距離を増加させ、その結果、より少ないカウンタウエイトプレートを使用して、負荷トルクに反作用する同じカウンタトルクを発生させるに違いない。さらに、任意の数のカウンタウエイトプレートを積み重ねるのに十分な設置スペースが浮遊式バラスト上で利用可能である。これにより、カウンタウエイトプレートを工事現場に搬入する必要がなくなり、COを節約することができる。
【0015】
この反力又はその下向きの力成分は、浮遊式バラスト全体及び浮遊式バラストガイドの重量力と比較して、小さい大きさとすることができる。したがって、浮遊式バラスト半径が大きい場合、浮遊式バラストの重量力によって、関与又はアンローディングされる全ての構成要素は、同様に高いままであり、同じ方向に積載される。したがって、浮遊式バラストガイドは、上部旋回体上の、その水平起伏軸を中心とした、その揺動方向を変えることはない(すなわち、力伝達部材によって生成されるアンロード力は、浮遊式バラスト及び浮遊式バラストガイドの重量力に打ち勝って、浮遊式バラストガイドを上方に押すには十分ではない)。
【0016】
本発明にしたがって提供される力伝達部材によって、上部旋回体バラストは、かなり小さくなるか、又は最良には、完全に排除されるように選択され、一定又は可変の反力で置き換えることができる。
【0017】
以下の記載において、上部旋回体バラストに取ってかわる又はそれを補う反力について言及する場合、厳密には、これは浮遊式バラストの重量力の方向に作用する反力の下向き成分を指す。反力の作用方向は、力伝達部材の配置及び設計に依存し、該当する場合には、懸架バラストガイドの位置に依存し、特定の角度に制限されず、説明を簡単にするために、以下では、通常、反力のみを言及する。
【0018】
1つの可能な実施形態において、力伝達部材が浮遊式バラストガイドの駆動装置の一部でないことが考えられる。例えば、駆動装置は、浮遊式バラストガイドを上部旋回体に結合する1つ以上の油圧シリンダを含むことができる。この場合、これらの油圧シリンダは、上部旋回体にいくらかの反力を導入することもできる。なお、これらの油圧シリンダの場合、より一般的には、浮遊式バラストガイドの駆動装置の場合、それは、明確に、本発明に係る力伝達部材の事項ではない。これは、追加で設けられ、上部旋回体への一定の又は可変の反力の目標とされる導入のために役立ち、浮遊式バラスト又は浮遊式バラストガイドを調整するためのものではない。
【0019】
別の可能な実施形態では、力伝達部材が、上部旋回体の後部に取り付けられ、好ましくは、上部旋回体から後方に出っ張る又は突出する支持装置に接続されることが考えられる。支持装置は、上部旋回体の後部に取り付けられた支持フレームを構成するか、又は備えることができる。これにより、上部旋回体の回転軸に対する力伝達部材の接続点の距離を後方に伸ばすことができ、また地面よりも上の、その高さも減らすことができるので、支持装置と浮遊式バラストガイドとの間の力伝達部材のために十分な設置スペースが利用可能である。片持ち支持装置のために、上部旋回体に導入された反力は、より大きなレバーアームを有する上部旋回体にも作用し、したがって、上部旋回体バラストが使用される場合よりも一層好ましい。
【0020】
また、支持装置が上部旋回体の後部に取り付けられるという事実は、支持装置の取付点が、上部旋回体の側面に全体的又は部分的に配置される場合を含む。任意に、支持装置は、それが揺動できるように、浮遊式バラストガイドが上部旋回体上に取り付けられる起伏軸に接続できる。
【0021】
別の可能な実施形態では、少なくとも2つの力伝達部材が提供され、これらの部材は、上部旋回体の回転軸を通って延びる起伏平面に対して横方向に、特に鏡面対称に配置される。このように、対応する反力は、上部旋回体の後部に横方向に導入され、クレーンの横方向傾斜に対する最適な安定化効果を発生させることができる。力伝達部材は、互いに結合又は同期可能であるか、あるいは互いに独立して動作又は作用することが可能である。
【0022】
別の可能な実施形態では、浮遊式バラストガイドが、スイベルジョイントを介して互いにヒンジ接続される、2つのラチス部を備えることが提供され、第1のラチス部は、水平起伏軸を中心として上部旋回体の後部に回動可能に接続される。好ましくは、アクチュエータは、1つのラチス部に揺動可能に接続された、1つ又は複数の油圧シリンダを備える。浮遊式バラストガイドの可能な実施形態が独国特許出願第10 2018 102 025号明細書に開示されており、その内容は明示的に参照される。浮遊式バラストガイドは、例えば、回転組立体の中心から浮遊式バラストの可能な最小距離をさらに減少できるようにするために、2以上のラチス部又は2以上のスイベル継手を有することができる。
【0023】
別の可能な実施形態では、力伝達部材が、好ましくは上部旋回体にヒンジ結合された第1のラチス部に、浮遊式バラストガイドの、前述のラチス部の1つに揺動可能に結合されることが考えられる。一方、駆動装置は、第2のラチス部を上部旋回体に結合する、1つ以上の油圧シリンダを備えることができる。
【0024】
さらなる可能な実施形態において、力伝達部材によって加えられることができる、アンロード力、すなわち、特に、アンロード力の垂直力成分(反力についての入門的な見解を参照)の大きさは、浮遊式バラストの重量力よりも小さいことが、考えられる。その結果、浮遊式バラストは、アンローディング又は解放されるだけであり、重量力に抗して持ち上げられることはない。このように浮遊式バラストは負荷トルクに対して作用し続ける。
【0025】
さらなる可能な実施形態において、力伝達部材によって加えられ得るアンロード力の大きさが一定であってもよい。これは当然、対応する反力にも当てはまる。これは、特に浮遊式バラストガイドの一定の位置に対して積極的にアンロード力やカウンタ力を変化させることができないことを意味する。一方、これが浮遊式バラストガイドと支持装置との間の距離を変更させることから、例えば受動的な力伝達部材の場合、浮遊式バラストガイドの位置に伴って、加えられるアンロード力又は反力を変更することが当てはまる場合がある。
【0026】
あるいは、力伝達部材によって加えることができるアンロード力又は反力の大きさを変化させることができる。特に、これは、浮遊式バラストガイドが一定位置にあるときに、目標とする方法で、アンロード力又は反力を変え得ることを意味することができる。好ましくは、アンロード力又は反力の大きさは、例えば、クレーン制御及び/又は負荷トルク制限によって制御することができる。これにより、上部旋回体に作用する反力を必要に応じて、例えば、横方向の安定性の目標とされる操作や、特定の持ち上げ作業に応じて可変に調節することができる。また、制御可能な力の場合には、浮遊式バラストガイドの位置にかかわらず、規定された、一定の力又は最小の力が確立されるように、力伝達部材を制御することもできる。
【0027】
別の可能な実施形態において、力伝達部材が浮遊式バラストガイド及び上部旋回体に恒久的に接続されていてもよい。したがって、受動的な力伝達部材の場合、力は、恒久的に作用することができ、一方、能動的に制御可能又は調節可能な力伝達部材の場合、生成される力は、特定的に活性化若しくは非活性化又は調節され得る。
【0028】
別の可能な実施形態では、力伝達部材が、バネ装置を備えてもよい。
【0029】
さらなる可能な実施形態において、力伝達部材が、積極的にアンロード力又は反力を生成するために液圧的に作動されてもよく、特に、油圧シリンダを備えてもよい。後者は、力伝達部材が油圧シリンダである場合を含む。力伝達部材は、好ましくは、所定のアンロード力又は反力が確立されるような方法で、クレーン制御システムによって制御又は調節することができる。アンロード力又は反力は、例えば、クレーン制御システム及び/若しくは負荷トルクリミッタによって自動的に、並びに/又はクレーンのオペレータによって手動で設定することができる。好ましくは、油圧シリンダ型式の少なくとも2つの力伝達部材が設けられる。これらは互いに油圧接続されていないと有利である。油圧シリンダは、力制御されることが好ましい。したがって、各油圧シリンダは、独立して、その反力を上部旋回体に導入する。
【0030】
さらに、受動的な力伝達部材と能動的な力伝達部材との組み合わせ、例えば、バネ装置と油圧シリンダとの組み合わせも考えられる。
【0031】
さらなる可能な実施形態において、力伝達部材によって生成されるアンロード力又は反力の値が、クレーンの負荷トルクリミッタに伝達され、この負荷トルクリミッタによって、特に制御可能で、可変であることが好ましい。負荷トルクリミッタは、クレーン制御装置の一部にすることも、それによって行うこともできる。
【0032】
これに代えて又はこれに加えて、浮遊式バラストが地面から一定の距離にあるように力伝達部材を制御又は調整する補助システムを設けることができる。好ましくは、浮遊式バラストは、急速に降ろすことができ、かつ、クレーンのブームシステムが後方に転倒する前に降ろすことができるように、常に地面に接近していなければならない。
【0033】
このような支援システムは、例えば、風力タービンの建設に使用することができる。必要荷重を達成するために、クレーンのブームシステムが荷重を下に降ろした後に、後方に転倒する危険性があるほどに、多くの浮遊式バラストを適用することもできる。この場合、クレーンは優先的に浮遊式バラストを降ろし、補助クレーンは降ろされた浮遊式バラストからカウンタウエイトプレートを取り外す。その後、クレーンは浮遊式バラストを再び拾い上げ、移動することができる。次に、ブームシステムと浮遊式バラストがバランスを再び保つ。本発明の解決策では、任意に設けられた補助システムが、力伝達部材を能動的に制御し、力成分をブームシステムから取り出し(アンロード力)、同時にそれを力成分として上部旋回体に導入する(反力)ことができる。これにより、カウンタウエイト要素を浮遊式バラストから取り外したり積み重ねたりすることなく、ブームシステムを平衡状態に戻すことができる。
【0034】
さらなる可能な実施形態において、少なくとも2つの力伝達部材が、互いに独立して制御又は調節され得るようにしてもよい。好ましくは、少なくとも2つの力伝達部材が油圧シリンダ型式で設けられる。これらは互いに油圧接続されていないと有利である。シリンダは、力制御されることが好ましい。このように、各油圧シリンダは、独立して、その反力を上部旋回体に導入する。
【0035】
別の可能な実施形態では、クレーンが、上部旋回体に連結されたデリックブームをさらに備えていてもよい。このデリックブームは、第1のガイを介して浮遊式バラストに接続され、第2のガイを介して、特にガイブロックを介して上部旋回体に接続される。デリックブーム及び/又はメインブームは、それぞれのブームに作用する力がブームの動きと共に再調整されることが好ましい、油圧支持シリンダによって、後方に傾くことに対して保証できる。
【0036】
さらなる可能な実施形態において、上部旋回体が、浮遊式バラストに加えて、積み重ね可能なカウンタウエイト要素を備えた、動かない上部旋回体バラストを備えていてもよく、カウンタウエイト要素は、場合により浮遊式バラスト上に積み重ね可能であることが好ましい。あるいは、上部旋回体が、上部旋回体バラストを備えていないが、上部旋回体バラストが、力伝達部材を介して付加され得る反力によって、上部旋回体バラストと完全に置き換えられるようにすることもできる。
【0037】
本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、図面を参照して以下に説明される例示的な実施形態から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるクレーンの第1の実施形態を示す側面図である。
図2】本発明によるクレーンの第2の実施形態の一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、第1の実施形態に係るクレーン10の側面図を示す。ここに示す実施形態は、ラチスブーム移動式クレーン10であり、これは、クローラシャーシを備えた移動式の下部走行体12と、垂直軸の周りを回転するように下部走行体12上に取り付けられた上部旋回体14とを備える。メインブーム15の役割をする、荷重を吊り上げるためのラチスブームは、水平軸の周りで揺動可能又は起伏可能となるように、上部旋回体14に取り付けられる。メインブーム15の後方には、水平軸を中心に揺動するように、デリックブーム16が上部旋回体14に取り付けられている。
【0040】
デリックブーム16は、長さ調節可能なガイ33を介してメインブーム15に接続されている。デリックブーム16の先端は、第1のガイ31を介して浮遊式バラスト20に接続されており、これは、持ち上げられた荷重によって発生する負荷トルクに、対応する逆トルクに対抗する。したがって、浮遊式バラスト20の質量は、第1のガイ31を介してデリックブーム16の先端に作用する。第2のガイ32を介して、デリックブーム16は上部旋回体14に取り付けられたガイブロック17に接続され、水平軸を中心に揺動できるようになっている。ガイブロック17は、今度は、長さ調節可能な起伏ストランドを介して、上部旋回体14に接続される。メインブーム15は、長さ調節可能なガイ33によって上下に起伏される。
【0041】
メインブーム15とデリックブーム16の両方は、ここでの図示例では、油圧式ガイ支持体又は支持シリンダ18によって「後方に倒れる」ように保持されている。しかし、それぞれのブーム15,16の起伏運動と共に動かされる、これらのガイ支持部18は、力の点で制限され、特に、大きな浮遊式バラスト半径でデリックブーム16の上方に吊り下げられた浮遊式バラスト20の大きな質量体を保持するようには構成されていない。ガイ支持部18の機能は、ブーム15,16を後部に固定するための反力又はストッパとして作用することである。
【0042】
図1の実施例では、クレーン10は上部旋回体バラスト50を備え、これは上部旋回体14の後部13で側方に不動に取り付けられるカウンタウエイト要素の2つの積層体を備える。しかしながら、以下に説明する力伝達部材40の機能により、これらのバラスト積層体の高さは、公知のクレーンと比較してかなり低減される。
【0043】
動作中に浮遊式バラスト20又は浮遊式バラスト半径の距離を、可変かつ連続的に調節できるようにするために、浮遊式バラスト20は、調節可能な浮遊式バラストガイド22を介して上部旋回体14の後部13に連結されている。ここに示した実施形態では、浮遊式バラストガイド22は、水平揺動継手23を介して互いに揺動可能に接続された2つのラチス部24,26、すなわち、水平起伏軸21を中心に揺動可能なように上部旋回体後部13に取り付けられた第1のラチス部24と、関節式で浮遊式バラスト20に接続された第2のラチス部26とを備える(図2参照)。1つ又はそれ以上の油圧シリンダ式の駆動装置28は、浮遊式バラストガイド22の2つのラチス部24,26を折り畳んだり広げたりするのに使用され、それによって浮遊式バラスト半径を変更する。1つ又は複数の油圧シリンダ28は、上部旋回体後部13又は第1のラチス部24及び第2のラチス部26に揺動可能に取り付けられている。駆動装置(油圧シリンダ28)が完全に伸張されるか、浮遊式バラストガイド22が完全に折り畳まれるとき、浮遊式バラスト20の上部旋回体の回転軸に対する距離、ひいては浮遊式バラスト20によって発生するカウンタトルクは最大である。
【0044】
既存の揺動式の浮遊式バラストガイド22による、可変浮遊式バラスト動作では、既知のクレーンにおいて、全方向、すなわち360°での安定性を確保するために、比較的高い上部旋回体バラスト50が必要であろう。ここで言及した、これらの360°は、主として上部旋回体14を旋回させることにほとんど関与しておらず、むしろクレーン10全体を起伏面に対して横方向に傾けることを含む。浮遊式バラスト20は、浮遊式バラストガイド22及びデリックブーム16を介して上部旋回体14に連結されている。両方の接続部は、特に浮遊式バラスト20が大きな半径に設定される場合には、「ソフト」である。したがって、ブームシステムの起伏平面に垂直な浮遊式バラスト20は、クレーン10の転倒に対する少量の安定性しか提供できない。一方、従来のクレーンでは、これは、上部旋回体14に堅固に取り付けられた上部旋回体バラスト50によって可能になる。
【0045】
説明のために、この点でクレーン10の安定性についての一般的な見解がいくつか作られている。下部走行体12は、クローラトラックが走行するローラの領域に転倒縁部を有する。これらの転倒縁部は、クローラトラックに沿って、かつ2つのクローラトラックの間を延びる、4つの転倒縁部を持つ長方形を形成する。クレーン10の転倒を防止するために、クレーン10の全体の重心は常に、これらの転倒縁部内になければならない。この目的のために、クレーン制御装置60は、通常、クレーン10を前方に、すなわちメインブーム15上の荷重方向に傾けようとする負荷トルクを監視する。この負荷トルクは、上部旋回体バラスト50及び浮遊式バラスト20(もちろん浮遊式バラストガイド22)の質量から生じるカウンタトルク又はバラストトルクによって打ち消される。上部旋回体14が下部走行体12の周りを360°回転する場合、考慮すべき転倒縁部又は転倒縁部内の重心の相対位置もまた、規則的に変化する。
【0046】
さらに、メインブーム15とデリックブーム16で構成されるブームシステムの安定性も考慮しなければならない。負荷トルクは、負荷の方向にメインブーム15を前方に動かすことを「望む」。これは、メインブーム15をデリックブーム16に接続する調整ガイ33によって防止される。デリックブーム16は、一方では第1のガイ31を介して浮遊式バラスト20によって保持され、他方では第2のガイ32を介してガイブロック17によって保持され、デリックブーム16の揺動点へのレバーアームを決定する。
【0047】
クレーン運転において、冒頭で説明したように、上部旋回体14の回転位置とは無関係に、例えば横風のために、ブームシステムの起伏面から横方向にクレーン10全体を傾けることも考慮しなければならない。
【0048】
典型的には、浮遊式バラスト20の大きな質量は主としてブームシステムの上昇又は下降のために必要であるが、より小さな浮遊式バラスト20は、実際の荷物の持ち上げには、十分であることが多い。したがって、メインブーム15に荷重がない場合、全ての浮遊式バラスト20の重量は、通常、クレーン10が後方に転倒する危険性があるほどに高くなる。したがって、このような状況、すなわち荷物を降ろし又は載置するときには、カウンタウエイトプレートを浮遊式バラスト20から取り外す必要があるか、所定のバラスト効果で急峻なジブ位置に近づけることができない。
【0049】
原則として、例えば、2つのカウンタウエイトプレートの横方向積層を配置することができる浮遊式バラストフレームを備えた、2つの部分の浮遊式バラスト20(第1浮遊式バラスト部)と、第1浮遊式バラスト部に着脱自在に接続することができる第2浮遊式バラスト部とを設けることができ、これらは、接続され、重量ストロークのため又はブームを上昇させるために全質量で作用する。実際のクレーン運転及び「通常」吊り荷昇降の場合、第1浮遊式バラスト部から、より軽い第2浮遊式バラスト部を取り外すことができる。これは建設現場での作業の流れにおいて有利である。しかし、このような解決策は、第1浮遊式バラスト部のバラストウエイトが、メインブーム15を架設するためだけに必要であっても、依然としてそれらを建設現場に運搬しなければならないので、建設現場に運搬されるカウンタウエイトプレートの削減をもたらすものではない。
【0050】
したがって、最大のカウンタウエイトトルクがブーム15を起こすために必要とされる(必要に応じて起伏ジブを用いて)。上部旋回体バラスト50及び浮遊式バラスト20の質量を減少させるために、上部旋回体の回転軸からの、それらの距離を増大しなければならないが、これは、しかしながら、最初に言及された欠点を伴うであろう。
【0051】
本発明によれば、浮遊式バラストガイド22は、したがって、1つ以上の力伝達部材40を介して上部旋回体後部13に接続されている。ここに示す例では、油圧シリンダ型式の2つの力伝達部材40が、上部旋回体の回転軸を通って中心に延びる起伏平面から同じ距離だけ離れて配置されている。支持装置42が、上部旋回体後部13に取り付けられ、そこから半径方向後方に突出している。力伝達部材40は、ここでは浮遊式バラストガイド22の第1のラチス部24に示される実施例において、支持装置42及び浮遊式バラストガイド22の両方に関節方式で接続される。力伝達部材40の連結点は、支持装置42の後端部に位置し、さらに、浮遊式バラストガイド22の関節点21(図2参照)の下に位置する。
【0052】
あるいは、単一の力伝達部材40のみを設けることもでき、この場合、特に起伏面内に配置される。さらに、2つよりも多い力伝達部材40を設けることもできる。
【0053】
力伝達部材40によって、すなわち、ここで油圧シリンダ40の対応する加圧によって示される具体例において、規定されたアンロード力Fを発生することができ、これは浮遊式バラスト20の重量力Fに対抗し、浮遊式バラストガイド22及び特にバラストガイ31をアンローディングする。対応する対力F(アンロード力Fに対する反力)は、反対方向、すなわち、支持装置42の方向に作用し、したがって、上部旋回体14を負荷する。この反力Fは、上部旋回体バラスト50全体又はその少なくとも一部の代替として使用することができる。
【0054】
図2は、本発明によるクレーン10の第2の実施形態を、上部旋回体14及び浮遊式バラスト20の領域の横方向部分で示し、それによって第1の実施形態と比較して、上部旋回体バラスト50は、上部旋回体14に取り付けられていない。また、図2は、言及した力F、F及びFを示している。
【0055】
本発明によれば、上部旋回体バラスト50は、したがって、もはや少なくとも完全ではなく、対応するカウンタウエイトプレートによって形成されるが、力伝達部材40によって、特に置き換えられるか、又は補完される。その結果、前の上部旋回体バラスト50の節約されたカウンタウエイトプレートは、ここで、浮遊式バラスト20上に、例えば上述した第1の浮遊式バラスト部分上に、積み重ねられ、対応するカウンタウエイト積層体の高さを増加させることができる。ここでは、十分な設置スペースがある。今度は増加したレバーアーム(上部旋回体の旋回軸に対する距離)のために、同じカウンタトルクを生成するために必要なカウンタウエイトプレートは少なくて済む。このように、不必要なカウンタウエイトプレートは、工事現場に搬入する必要がないので、COを節約することができる。
【0056】
力伝達部材40は、支持装置42と組み合わされて、クレーン10を、対応する下向きに作用する反力Fを起伏面の横方向に上部旋回体14に導入することによって、横方向に安定させるようにさらに働く。このようにして、クレーン10は、横方向の傾斜に対して効果的に保護することができる。
【0057】
好ましくは、油圧シリンダ40は、互いに油圧接続されておらず、特に、力制御される。このように、各シリンダ40は、独立して、その力を上部旋回体後部13に向ける。
【0058】
好ましくは、油圧シリンダ40は、油圧シリンダ40に供給するための下層の油圧回路の対応する制御/調整によって制御/調整される。ここで、クレーン制御装置60は、好ましくは、1つ又は複数の油圧ポンプ及び/又は制御弁などの油圧源を制御して、1つ又は複数の油圧シリンダ40内に所望の油圧を生成するために、所望のアンロード力又は反力F,Fを提供することができる。
【0059】
アンロード力F及び反力F(又はそれらの垂直方向に作用する力構成要素)は、好ましくは、浮遊式バラスト全体の重量力に比較して比例的に小さい。したがって、関係する/アンロードの、全ての構成要素は、浮遊バラスト半径が大きい場合、同様のレベルで同じ方向に荷重を受け続ける。また、浮遊式バラストガイド22は、水平起伏軸21を中心としてその回転方向を変えることはない。
【0060】
一般に、力伝達部材40を介して、スイベルバラストガイド22から上部旋回体14に一定又は制御可能な力を加えることが可能である。ここで説明する油圧シリンダ40のケースでは、加えられる力Fは、好ましくは、制御することができ、作動中に連続的に調整することができる。制御は、図1のみに符号60で概略的に示されているクレーン10のクレーン制御装置を介して行うことが好ましい(クレーン制御装置60の実際の位置は、もちろん示されている位置に限定されない)。
【0061】
反力Fの大きさを設定し、特に制御することができる好ましい場合では、クレーン10の荷重トルク制限のためのパラメータ変数として使用することができる。このようにして、クレーン10は、より変動的に、かつ増加した許容荷重で使用することができる。
【0062】
本発明による解決法を使用すると、上部旋回体バラスト50は、実質的に小さくなるように選択することができ、又は最良には、力伝達部材又は力伝達手段40からの一定の又は可変の力に置き換えることもできる。
【0063】
油圧シリンダとしての構成に代わるものとして、少なくとも1つの力伝達部材40をばね支持体として設計することもできる。このとき、クレーン制御装置60によって制御される一定力F又は可変力Fを上部旋回体後部13に加えることができる。
【0064】
上述のように、補助システムは、一般的なクレーンにおいて、例えば、風力タービンの建設での使用において、利用することができる。本発明の好適な実施形態では、補助システムは、少なくとも1つの力伝送部材40を制御し、ブームシステムから特定の力構成要素Fを選択的に取り出し、同時にそれを力構成要素Fとして、上部旋回体14に導入することができる。このようにして、ブームシステムは、例えば、荷物が構造物上に積み上げられた後に、平衡状態に戻すことができる。
【0065】
さらに、片持梁支持装置42のため、上部旋回体後部13に導入された力Fは、より大きなレバーアームを備えた上部旋回体14に作用し、したがって、上部旋回体14に堅固に取り付けられた上部旋回体バラスト50が使用される場合よりも有利に作用する。
【0066】
したがって、本発明による解決策は、上部旋回体バラスト50の代わりとして可変バラスト状態を生成することができる。この目的のために、荷重トルク制限を備えた適切な制御又は調整をクレーン制御装置60によって提供することができる。浮遊式バラストガイド22を継続的に使用することの可能性は、クレーン運転中に追加の可変条件を作り出す。したがって、分割可能な浮遊式バラスト20を使用することができる。また、浮遊式バラスト半径は広範囲に調整可能である。このようにして、最大バラスト又はカウンタトルクを、荷重を伴う運転中又は組立中の高荷重トルクのためにクレーン10に提供することができる。
【0067】
1つの可能な適用分野では、最も角度の大きいブーム位置にさえも接近させることができる。このような状態は、荷重がメインブーム15の急勾配位置に設定された後の動作位置として発生し得る。この位置では、次の設定がサポートされている。
1. 最大可能な運動自由度(旋回、駆動)のためのバラストの質量及びその半径に関する浮遊式バラスト20の最小自由吊り下げ条件。これは、次のように表現することである。浮遊式バラスト20の質量とその振り出し長さの比が最適化される。浮遊式バラスト20がさらに振り出されると、クレーン10が(旋回及び移動時に)建設現場で必要とするスペースが増える。より多くの浮遊式バラスト20が必要とされるほど、より多くのカウンタウエイトプレートが建設現場に輸送される必要がある。さらに、クレーン10が自由に回転し移動できるように、浮遊式バラスト20を頻繁に地面から持ち上げる必要がある。
2. 浮遊式バラストガイド22と上部旋回体後部13との間のアンロード力伝達部材40上の高支持力(力構成要素F,F)。
【符号の説明】
【0068】
10 クレーン
12 下部走行体
13 上部旋回体後部、後部
14 上部旋回体
15 メインブーム
16 デリックブーム
17 ガイブロック
18 支持シリンダ
20 浮遊式バラスト
21 起伏軸
22 浮遊式バラストガイド
23 揺動継手
24 第1のラチス部
26 第2のラチス部
28 駆動装置(油圧シリンダ)
31 第1ガイ
32 第2ガイ
33 長さ調節可能なガイ
40 力伝達部材
42 支持装置
50 上部旋回体バラスト
60 クレーン制御装置
311 浮遊式バラストホイストシリンダ
浮遊式バラストの重量力
アンロード力
反力
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回垂直軸回りに旋回可能な上部旋回体(14)と、
浮遊式バラストガイド(22)を介して前記上部旋回体に接続された浮遊式バラスト(20)とを有し、
前記浮遊式バラストガイド(22)が、浮遊式バラスト半径を変化させるための駆動装置(28)を含む、クレーン、特にラチスブーム移動式クレーンであって、
前記浮遊式バラストガイド(22)が、前記浮遊式バラスト(20)の重量力(F)に対抗し、それにより対応する反力(F)を前記上部旋回体(14)に導入するように構成された少なくとも1つの力伝達部材(40)を介して前記上部旋回体(14)に接続される、
ことを特徴とする、クレーン(10)。
【請求項2】
前記力伝達部材(40)は、前記浮遊式バラストガイド(22)の前記駆動装置(28)の一部ではない、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【請求項3】
前記力伝達部材(40)は、前記上部旋回体(14)の後部に取り付けられ、
好ましくは前記上部旋回体(14)から後方に突出する支持装置(42)に連結される、
請求項1又は2に記載のクレーン(10)。
【請求項4】
少なくとも2つの力伝達部材(40)が設けられ、
前記少なくとも2つの力伝達部材(40)が、前記上部旋回体の回転軸を通って延びる起伏平面に対して、横方向に、特に対称に、配置されている、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項5】
前記浮遊式バラストガイド(22)は、揺動継手(23)を介して互いに枢着された2つのラチス部(24,26)を備え、
第1のラチス部(24)は、水平揺動軸を中心に揺動可能な態様で前記上部旋回体(14)の後部に連結され、
好ましくは、前記駆動装置(28)は、前記ラチス部(24,26)の少なくとも1つに揺動可能に接続された油圧シリンダを備える、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項6】
前記力伝達部材(40)は、前記2つのラチス部(24,26)の一方、好ましくは前記第1のラチス部(24)に、揺動可能に連結される、
請求項5に記載のクレーン(10)。
【請求項7】
前記力伝達部材(40)によって前記ラチス部(24,26)の一方に導入された力が、重量力Fの結果として、起伏軸(21)周りに発生するトルクよりも小さい、前記起伏軸(21)周りのアンロードトルクを発生させる、
請求項5又は6に記載のクレーン(10)。
【請求項8】
前記力伝達部材(40)によって加えることができるアンロード力(F)の大きさは、一定又は可変であり、好ましくは制御可能である、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項9】
前記力伝達部材(40)が、前記浮遊式バラストガイド(22)及び前記上部旋回体(14)に永久的に接続されている、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項10】
前記力伝達部材(40)が、バネ部材を備える、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項11】
積極的にアンロード力(F)を発生させる前記力伝達部材(40)を油圧で作動させることができ、特に油圧シリンダを備え、
好ましくは、前記力伝達部材(40)を、所定のアンロード力(F)又は反力(F)が確立されるように、クレーン制御装置(60)によって作動させるか、又は制御することができる、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項12】
前記力伝達部材(40)によって発生するアンロード力(F)又は反力(F)を、前記クレーン(10)の負荷トルク制限に利用可能とすることができ、
前記負荷トルク制限により、好ましくは変更可能であり、特に制御可能である、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項13】
少なくとも2つの力伝達部材(40)が設けられ、
前記少なくとも2つの力伝達部材(40)が、前記上部旋回体の回転軸を通って延びる起伏平面に対して、横方向に、特に対称に、配置されており、
少なくとも2つの力伝達部材(40)が、互いに独立して制御可能又は調整可能である
請求項11又は12に記載のクレーン(10)。
【請求項14】
前記上部旋回体(14)にヒンジ接続され、
第1のガイ(31)を介して前記浮遊式バラスト(20)に接続され、
第2のガイ(32)を介して、特にガイブロック(17)を介して前記上部旋回体(14)に接続される、デリックブーム(16)をさらに備える、
請求項に記載のクレーン(10)。
【請求項15】
前記上部旋回体(14)が、
前記浮遊式バラスト(20)に加えて、前記上部旋回体(14)に対して動かず、積み重ね可能なカウンタウエイト要素を有する上部旋回体バラスト(50)を備え、
前記カウンタウエイト要素は、前記浮遊式バラスト(20)の上に、好ましくは選択的に、積み重ね可能である、
請求項1に記載のクレーン(10)。
【外国語明細書】