(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019062
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】軍艦寿司用包装フィルム、および軍艦寿司
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240201BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A23L7/10 F
B65D85/50 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120066
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】P 2022120535
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522301452
【氏名又は名称】株式会社テイクス
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】勝見 昇一
【テーマコード(参考)】
3E035
4B023
【Fターム(参考)】
3E035AA10
3E035BA10
3E035BB04
3E035BC02
3E035BD04
4B023LC08
4B023LE17
4B023LG01
4B023LK12
4B023LK16
4B023LP10
4B023LP18
(57)【要約】
【課題】シャリ玉、具材および海苔の間における水分の移動を防ぎ、且つ資材コストの削減および包装処理の簡略化を図ることが可能な軍艦寿司用包装フィルムおよび軍艦寿司を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる軍艦寿司用包装フィルム(フィルム100)の構成は、シャリ玉202、具材204および海苔206からなる軍艦寿司200に用いられる軍艦寿司用包装フィルムであって、シャリ玉202の側面に巻回され、シャリ玉202と海苔206との間に配置される帯部110と、シャリ玉202の上面を覆い、シャリ玉202と具材204との間に配置される中敷部120と、を有し、帯部110と中敷部120は一体に成形されていて、シャリ玉202、具材204および海苔206の間から一度に引抜可能であることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャリ玉、具材および海苔からなる軍艦寿司に用いられる軍艦寿司用包装フィルムであって、
前記シャリ玉の側面に巻回され、該シャリ玉と前記海苔との間に配置される帯部と、
前記シャリ玉の上面を覆い、該シャリ玉と前記具材との間に配置される中敷部と、
を有し、
前記帯部と前記中敷部は一体に成形されていて、
前記シャリ玉、前記具材および前記海苔の間から一度に引抜可能であることを特徴とする軍艦寿司用包装フィルム。
【請求項2】
前記帯部の上隅近傍には、前記海苔の角を挿入可能な斜めのスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の軍艦寿司用包装フィルム。
【請求項3】
前記帯部の下辺には、前記シャリ玉と前記海苔とが接触可能となる切欠が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の軍艦寿司用包装フィルム。
【請求項4】
前記シャリ玉、前記具材、前記海苔、および請求項1に記載の軍艦寿司用包装フィルムを含むことを特徴とする軍艦寿司。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャリ玉、具材および海苔からなる軍艦寿司に用いられる軍艦寿司用包装フィルム、ならびにそれを用いた軍艦寿司に関する。
【背景技術】
【0002】
寿司の1つとして、酢飯からなるシャリ玉を海苔によって巻いて具材を乗せた軍艦寿司が知られている。例えば特許文献1には、軍艦巻き寿司に用いられる包装シートが開示されている。特許文献1の包装シートは、夫々中央部にて2分可能な帯状の内フィルムと外フィルムとの間に海苔(帯状のシート状食品)が収容され、両フィルム外周縁が熱溶着される。また特許文献1では、内フィルムの両側縁に矩形のフィルム片が突設されており、両フィルム片を軍艦巻き寿司の上面と下面に被せ、シートの帯状部にて寿司の周面を包んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装シートによれば、内フィルムと外フィルムとの間に海苔が収容されることにより、海苔の湿気は防止できる。しかしながら特許文献1の包装シートでは、シャリ玉(寿司飯)と具材(具)とが接触した状態となるため、具材の水分がシャリ玉に移りやすくなる。すると、過度な水分によるシャリ玉のべたつきや、具材の乾燥が生じてしまう。
【0005】
また特許文献1の包装シートは、海苔を収容する内フィルムおよび外フィルムに加え、軍艦巻き寿司の上面と下面に被せる矩形のフィルム片を有する。このため、構成部材が複数となって資材コストが嵩む上、包装処理(製造工程)に手間を有するという課題がある。したがって特許文献1の包装シートには更なる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、シャリ玉、具材および海苔の間における水分の移動を防ぎ、且つ資材コストの削減および包装処理の簡略化を図ることが可能な軍艦寿司用包装フィルムおよび軍艦寿司を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる軍艦寿司用包装フィルムの代表的な構成は、シャリ玉、具材および海苔からなる軍艦寿司に用いられる軍艦寿司用包装フィルムであって、シャリ玉の側面に巻回され、シャリ玉と海苔との間に配置される帯部と、シャリ玉の上面を覆い、シャリ玉と具材との間に配置される中敷部と、を有し、帯部と中敷部は一体に成形されていて、シャリ玉、具材および海苔の間から一度に引抜可能であることを特徴とする。
【0008】
上記帯部の上隅近傍には、海苔の角を挿入可能な斜めのスリットが形成されているとよい。また上記帯部の下辺には、シャリ玉と海苔とが接触可能となる切欠が形成されているとよい。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる軍艦寿司の代表的な構成は、シャリ玉、具材、海苔、および上述した軍艦寿司用包装フィルムを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シャリ玉、具材および海苔の間における水分の移動を防ぎ、且つ資材コストの削減および包装処理の簡略化を図ることが可能な軍艦寿司用包装フィルムおよび軍艦寿司を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルムの展開図である。
【
図2】包装フィルムへの海苔の取付を説明する図である。
【
図3】本実施形態にかかる軍艦寿司について説明する図である。
【
図4】第2実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルムの展開図である。
【
図5】軍艦寿司の包装処理(製造工程)を説明する図である。
【
図6】包装フィルムの除去処理を説明する図である。
【
図7】第3実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルムの展開図である。
【
図8】軍艦寿司の包装処理(製造工程)を説明する図である。
【
図9】軍艦寿司の包装処理(製造工程)を説明する図である。
【
図10】包装フィルムの除去処理を説明する図である。
【
図11】第4実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルムの展開図である。
【
図12】軍艦寿司の包装処理(製造工程)を説明する図である。
【
図13】包装フィルムの除去処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルム(以下、包装フィルム100)の展開図である。
図1に示すように本実施形態の包装フィルム100は、シャリ玉202、具材204および海苔206からなる軍艦寿司200(
図3参照)に用いられる包装資材であり、帯部110と中敷部120を含んで構成される。包装フィルム100は、樹脂(例えばポリプロピレン)、ワックスペーパー、グラシン紙等の薄いシートで形成することができる。
【0014】
帯部110は、シャリ玉202の側面に巻回され、シャリ玉202と海苔206との間に配置される部位である。帯部110は、シャリ玉202の側面を覆う矩形状である。中敷部120は、シャリ玉202の上面を覆い、シャリ玉202と具材204との間に配置される部位である。中敷部120は、シャリ玉202の上面を覆う長丸形状となっている。
【0015】
帯部110と中敷部120とは連結部130によって連結されていて、それらは一体に成形されている。連結部130の幅は、中敷部120の長丸形状の長さよりも短く形成している。
【0016】
図2は、包装フィルム100への海苔206の取付を説明する図である。
図1、
図2(a)および(b)に示すように本実施形態の包装フィルム100では、帯部110の上隅近傍には、海苔206の角を挿入可能な斜めのスリット112が形成されている。これにより、
図2(a)に示す海苔206を帯部110のスリット112に挿入することにより、
図2(b)に示すように包装フィルム100に海苔206を取り付けることができる。
【0017】
また本実施形態の包装フィルム100では、帯部110の下辺110bには切欠が形成されている。詳細には、帯部110の下辺110bのうち、中央には中央切欠114aが形成されていて、端部には端部切欠114bが形成されている。これにより、
図2(b)に示すように包装フィルム100に海苔206を取り付けたときに、切欠114に相当する領域において海苔206が包装フィルム100に覆われていない状態(露出した状態)となる。したがって、切欠114に相当する領域において海苔206がシャリ玉202と接触可能となる。このように海苔206とシャリ玉202が接触して付着する部分があることによって、包装フィルム100を抜きやすくすることができる。
【0018】
更に本実施形態の包装フィルム100では、帯部110の上辺110aの端部にタブ116が形成されている。また、連結部130の中央には打ち抜きでタブ136が形成されている。これにより、後述するようにタブ116、136を把持して引っ張ることで包装フィルム100をシャリ玉202と海苔206との間から引き抜くことができる。
【0019】
図3は、本実施形態にかかる軍艦寿司200について説明する図であり、軍艦寿司200の包装処理(製造工程)を図示している。本実施形態の軍艦寿司200は、シャリ玉202、具材204、海苔206、および
図1の包装フィルム100を含んで構成される。
【0020】
本実施形態の軍艦寿司200の包装処理では、
図3(a)に示すようにシャリ玉202に対して、包装フィルム100をシャリ玉202側にし、海苔206をシャリ玉202の反対側にして配置する。そして
図3(b)に示すように包装フィルム100をシャリ玉202に押し付ける。これにより、中央切欠114aにおいて露出している海苔206がシャリ玉202と接触し、シャリ玉202の水気によって海苔206とシャリ玉202が付着した状態となる。
【0021】
次に
図3(c)に示すように帯部110の一方をシャリ玉202に巻き、端部切欠114bをシャリ玉202の側面に押し付ける。これにより、一方の端部切欠114bにおいて露出している海苔が202と接触し、それらが付着した状態となる。その後に
図3(d)に示すように帯部110の他方をシャリ玉202に巻き、その端部切欠114bをシャリ玉202の側面に押し付ける。これにより、海苔206とシャリ玉202が他方の端部切欠114bにおいて更に付着した状態となる。
【0022】
また
図3(d)では、2つの端部切欠114bにおいて露出している海苔同士がシャリ玉202の水分によって湿った状態となって付着する。これにより、シャリ玉202の側面に包装フィルム100の帯部110がシャリ玉202の全周に巻きつけられた状態となり、包装フィルム100がシャリ玉202に保持される。このとき、2つのタブ116は重なった状態となる。
【0023】
帯部110をシャリ玉202の側面に巻きつけたら、
図3(d)に示すように包装フィルム100の連結部130を折り曲げて、中敷部120をシャリ玉202の上面に向かって押し付ける。これにより、シャリ玉202の上面が中敷部120によって覆われた状態となり、且つ連結部130のうちタブ136が帯部110の上辺110aから飛び出た状態となる。
【0024】
シャリ玉202の上面を中敷部120によって覆ったら、
図3(e)に示すように中敷部120の上に具材204を乗せる。これにより、シャリ玉202、具材204および海苔206が包装フィルム100によって一体化された軍艦寿司200が完成する。
【0025】
本実施形態の包装フィルム100によれば、それを用いて包装された軍艦寿司200は、シャリ玉202、具材204および海苔206の間に帯部110および中敷部120が介在することとなる。これにより、各食材間における水分の移動を防ぐことができる。したがって、各食材を好適な状態に維持し、高品質な軍艦寿司を提供することが可能となる。本実施形態の軍艦寿司200は特に、折詰に詰められる場合や、工場で製造して運搬する場合や、店頭で仕込みに利用する等、製造時から提供時までの時間が長い場合に上述した効果を発揮する。
【0026】
また本実施形態の包装フィルム100は、帯部110、中敷部120および連結部130が一体成形されていて、所定の部位をシャリ玉202に対して押し付けるだけで包装処理が完結する。したがって、資材コストの削減および包装処理の簡略化を図ることが可能である。
【0027】
更に本実施形態の軍艦寿司200では、包装を解く際には
図3(e)に示す「重なった2枚のタブ116およびタブ136」をつまんで上方に引っ張る。これにより、
図3(f)に示すようにシャリ玉202、具材204および海苔206の間から包装フィルム100を一度に引き抜くことができる。このとき切欠114(中央切欠114a、端部切欠114b)において海苔206とシャリ玉202が接触して付着していることにより、包装フィルム100を引き抜くときに海苔206とシャリ玉202がずれてしまうことがない。このため、包装を解く際に複数のフィルムを割いたり、フィルムを定められた順序に剥がしたりするといった作業が不要である。したがって本実施形態の軍艦寿司200は簡単な作業で食すことが可能である。
【0028】
図4は第2実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルム(以下、包装フィルム300)の展開図である。
図4に示す包装フィルム300は、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、海苔206の外側を覆う帯部312を備える点において異なっている。
【0029】
包装フィルム300は、帯部310、312と、中敷部320を含んで構成される。帯部310と帯部312は一体に形成された矩形状の部位であり、中間の折れ線311の位置で細長く折り畳むことにより、帯部310が海苔の内側を、帯部312が海苔の外側を包む。
【0030】
中敷部320は、内側の帯部310に連結部330によって一体に連結して成形されている。中敷部320は、シャリ玉202の上面を覆い、シャリ玉202と具材204との間に配置される部位である。中敷部320は、シャリ玉202の上面を覆う長丸形状となっている。
【0031】
帯部310、312の端部には、折れ線311まで切れ込みを入れることによってタブ316が形成されている。また、連結部330の中央には、折れ線311まで打ち抜くことによりタブ336が形成されている。これにより、後述するようにタブ316、336を把持して引っ張ることで包装フィルム300をシャリ玉202と海苔206との間から引き抜くことができる。
【0032】
内側の帯部310の中央には、連結部330を折り曲げることにより中央切欠314aが形成される。また帯部310の両端には端部切欠314bが形成されている。これにより、
図5(a)に示すように包装フィルム300で海苔206を挟んだときに、切欠314a、314bに相当する領域において海苔206が包装フィルム300に覆われていない状態(露出した状態)となる。したがって、切欠314a、314bに相当する領域において海苔206がシャリ玉202と接触可能となる。このように海苔206とシャリ玉202が接触して付着する部分があることによって、包装フィルム300を抜きやすくすることができる。
【0033】
図5は軍艦寿司200の包装処理(製造工程)を説明する図、
図6は包装フィルム300の除去処理を説明する図である。
【0034】
本実施形態の包装フィルム300を用いた包装処理では、まず
図5(a)に示すように帯部310、312を折れ線311で折り畳み、海苔206を挟むように包む。そして中央切欠314aの位置にシャリ玉202を押し付ける。これにより中央切欠314aにおいて露出している海苔206がシャリ玉202と接触し、シャリ玉202の水気によって海苔206とシャリ玉202が付着した状態となる。
【0035】
次に
図5(b)に示すように帯部310、312の一方をシャリ玉202に巻き、端部切欠314bをシャリ玉202の側面に押し付ける。これにより、一方の端部切欠314bにおいて露出している海苔が202と接触し、それらが付着した状態となる。その後に
図5(c)に示すように帯部310、312の他方をシャリ玉202に巻き、その端部切欠314bをシャリ玉202の側面に押し付ける。これにより、海苔206とシャリ玉202が他方の端部切欠314bにおいて更に付着した状態となる。このとき、2つのタブ316は重なった状態となる。
【0036】
帯部310、312をシャリ玉202の側面に巻きつけたら、
図5(c)に示すように包装フィルム300の連結部330を折り曲げて、中敷部320をシャリ玉202の上面に向かって押し付ける。これにより、シャリ玉202の上面が中敷部320によって覆われた状態となり、且つタブ336が帯部310、312の折れ線311から上方に飛び出た状態となる。
【0037】
シャリ玉202の上面を中敷部320によって覆ったら、
図6(a)に示すように中敷部320の上に具材204を乗せる。これにより、シャリ玉202、具材204および海苔206が包装フィルム300によって一体化された軍艦寿司200が完成する。
【0038】
包装フィルム300の包装を解く際には、
図6(b)に示すように「重なった2枚のタブ316およびタブ336」をつまんで上方に引っ張る。これによりシャリ玉202、具材204および海苔206の間から包装フィルム300を一度に引き抜くことができる。このため、包装を解く際に複数のフィルムを割いたり、フィルムを定められた順序に剥がしたりするといった作業が不要である。したがって本実施形態の軍艦寿司200は簡単な作業で食すことが可能である。
【0039】
本実施形態の包装フィルム300によれば、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、海苔206の外側が帯部312によって覆われている。これによって海苔206が湿気るまでの時間を遅らせることができる。
図1に示した包装フィルム100では、例えば2~3時間程度の待機時間が最適であり、ケータリング(配達)に適している。
図3に示した包装フィルム300によれば、4時間程度の待機時間を持たせることができ、店内の仕込みやテイクアウト(持ち帰り)に適している。
【0040】
図7は第3実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルム(以下、包装フィルム400)の展開図である。
図4に示す包装フィルム400は、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、帯部および中敷部が2分割の半帯402A、402Bとなっていて、さらに全体の外周を覆う外帯450の合計3ピースを備えている点において異なっている。2分割の半帯402A、402Bに分けているのは、引き抜きやすくするためである。また、シャリ玉202と海苔206を接触させる切欠きがない点においても異なっている。
【0041】
順を追って説明する。包装フィルム400は、シャリ玉202と海苔206と具材204を隔てる2分割の半帯402A、402Bを備えている。半帯402A、402Bはそれぞれ、帯部410、412と、中敷部420を含んで構成される。帯部410と帯部412は一体に形成された矩形状の部位であり、中間の折れ線411(折れ線411は説明上の線であり、現物には線はない)の位置で細長く折り畳むことにより、帯部410が海苔の内側を、帯部412が海苔の外側を包む。
【0042】
さらに402Aの長手方向両端には、折れ線411を起点とするタブ432がそれぞれ打ち抜くことにより形成されている。帯部410と帯部412とを折れ線411で折り畳むことにより、タブ432はその稜線から突出する。一方、半帯402Bの長手方向両端近傍には、折れ線411と重なる位置に切れ込み434がそれぞれ形成されている。そしてタブ432を切れ込み434に挿入することにより、半帯402Aと半帯402Bとを引き抜き可能に接合することができる。
【0043】
中敷部420は、半帯402A、402Bのそれぞれに備えられている。中敷部420は、外側の帯部412に連結部430によって一体に連結して成形されている。中敷部420は、シャリ玉202の上面を覆い、シャリ玉202と具材204との間に配置される部位である。中敷部420は、シャリ玉202の上面の「半分強」を覆う長方形となっている。
【0044】
連結部430の中央には、折れ線411まで打ち抜くことによりタブ436が形成されている。これにより、後述するようにタブ436を把持して引っ張ることで半帯402A、402Bをそれぞれシャリ玉202と海苔206との間から引き抜くことができる。
【0045】
ここで、
図4に示した包装フィルム300では中敷部320が内側(シャリ側)にあったので中央切欠314aが形成されていたが、
図7に示す包装フィルム400では中敷部420が外側に配置される。このため
図7の包装フィルム400では、シャリ玉202と海苔206を接触させる切欠きがない。
【0046】
図8、
図9は軍艦寿司200の包装処理(製造工程)を説明する図、
図10は包装フィルム400の除去処理を説明する図である。
【0047】
本実施形態の包装フィルム400を用いた包装処理では、まず
図8(a)に示すように帯部410、412を折れ線411で折り畳む。このとき2枚の半帯402A、402Bの端を重ねて、タブ432を切れ込み434に挿入して接合することにより、半帯402Aと半帯402Bとを一体化する。この状態で
図8(b)に示すように海苔206を挟む。そして外帯450の両端の挿入部452を折り曲げて、帯部410と海苔206の間、もしくは海苔206と帯部412の間に差し込む。これにより
図8(c)に示すように、半帯402A、402B、外帯450、海苔206が折り重なった状態となり、海苔206の両面全面が覆われた状態となる。
【0048】
次に
図9(a)に示すように、上記のように重ねた半帯402A、402B、外帯450、海苔206によってシャリ玉202を巻く。このとき半帯402A、402Bが内側(シャリ玉202側)である。そして
図9(b)に示すように、半帯402A、402B、外帯450、海苔206の一端を他端の隙間に挿入する。そしてタブ432を切れ込み434に挿入することにより、抜け止めとする。これによりシャリ玉202の側面が巻かれた状態となる。
【0049】
次に
図9(c)に示すように、連結部430を折り曲げて、2つの中敷部420をシャリ玉202の上面に向かって押し付ける。2つの中敷部420はそれぞれシャリ玉202の上面の「半分強」の寸法であるから、2枚を重ねることでシャリ玉202の上面全体を覆うことができる。
【0050】
そして
図9(d)に示すように、中敷部420の上に具材204を乗せると、シャリ玉202、具材204および海苔206が包装フィルム400によって一体化された軍艦寿司200が完成する。
【0051】
包装フィルム400の包装を解く際には、
図10(a)に示すように、一方の半帯402Bのタブ436を上方に引っ張ることにより、シャリ玉202、具材204および海苔206の間から半帯402Aを引き抜く。同様に
図10(b)に示すように、残った半帯402Aのタブ436を上方に引っ張って引き抜く。引き抜くパーツが2分割の半帯402A、402Bに分けられていることにより、全周を囲むパーツと比べると、飛躍的に引き抜きやすく、また寿司の形を崩しにくいという利点がある。半帯402A、402Bのどちらを先に引き抜くこともできるが、上になっている方(一端が挿入「されている」方。本実施形態では半帯402B)が引き抜きやすい。
【0052】
外帯450は、半帯402A、402Bを引き抜いたことにより、固定が解除されている。そのため、外帯450は取り外されているも同然である。したがって本実施形態にかかる包装フィルム400は、ほぼ半帯402A、402Bを引き抜くという2ステップで包装を解くことができる。
【0053】
本実施形態の包装フィルム400によれば、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、海苔206の全面が半帯402A、402Bおよび外帯450によって覆われている。これによって海苔206が湿気るまでの時間をさらに遅らせることができる。
図7に示した包装フィルム400によれば、5時間以上の待機時間を持たせることができ、スーパーマーケットなどの店頭販売に適している。
【0054】
図11は第4実施形態にかかる軍艦寿司用包装フィルム(以下、包装フィルム500)の展開図である。
図11に示す包装フィルム500は、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、全体的に長丸形状である軍艦寿司の両端にタブ516を備える点において異なっている。
【0055】
包装フィルム500は、帯部510、512と、中敷部520を含んで構成される。帯部510と帯部512は一体に形成された矩形状の部位であり、中間の折れ線511の位置で細長く折り畳むことにより、帯部510が海苔の内側を、帯部512が海苔の外側を包む。
【0056】
中敷部520は、内側の帯部510に連結部530によって一体に連結して成形されている。中敷部520は、シャリ玉202の上面を覆い、シャリ玉202と具材204との間に配置される部位である。中敷部520は、シャリ玉202の上面を覆う長丸形状となっている。
【0057】
帯部512の中途部には、折れ線511まで切れ込みを入れることによって2つのタブ516が形成されている。これにより、後述するように2つのタブ516を把持して引っ張ることで包装フィルム500をシャリ玉202と海苔206との間から引き抜くことができる。また帯部512の中央には、追加のタブ536が形成されている。
【0058】
内側になる帯部510において、連結部530を折り曲げた位置は中央切欠514aとなる。また帯部510の両端には端部切欠514bが形成されている。これにより、
図12(a)に示すように包装フィルム500で海苔206を挟んだときに、切欠514a、514bに相当する領域において海苔206が包装フィルム500に覆われていない状態(露出した状態)となる。したがって、切欠514a、514bに相当する領域において海苔206がシャリ玉202と接触可能となる。このように海苔206とシャリ玉202が接触して付着する部分があることによって、包装フィルム500を抜きやすくすることができる。
【0059】
また外側になる帯部512の一方の端にも端部切欠514cが形成されている。この端部切欠514cは、他端の海苔を付着させる場所となる。
【0060】
図12は軍艦寿司200の包装処理(製造工程)を説明する図、
図13は包装フィルム500の除去処理を説明する図である。
【0061】
本実施形態の包装フィルム500を用いた包装処理では、まず
図12(a)に示すように帯部510、512を折れ線511で折り畳み、海苔206を挟むように包む。そして中央切欠514aの位置にシャリ玉202を押し付ける。これにより中央切欠514aにおいて露出している海苔206がシャリ玉202と接触し、シャリ玉202の水気によって海苔206とシャリ玉202が付着した状態となる。
【0062】
次に
図12(b)に示すように帯部510、512の端部切欠514cがある側をシャリ玉202に巻き、端部切欠514bをシャリ玉202の側面に押し付ける。これにより、端部切欠514bにおいて露出している海苔が202と接触し、それらが付着した状態となる。その後に
図12(c)に示すように帯部510、512の他方をシャリ玉202に巻き、外側の端部切欠514cにおいて露出している海苔206の上に、後から巻いた端部切欠514bの海苔206を押し付ける。これにより、海苔206がシャリ玉202の全周を巻いて付着した状態となる。
【0063】
帯部510、512をシャリ玉202の側面に巻きつけたら、
図12(c)に示すように包装フィルム500の連結部530を折り曲げて、中敷部520をシャリ玉202の上面に向かって押し付ける。これにより、シャリ玉202の上面が中敷部520によって覆われた状態となる。
【0064】
シャリ玉202の上面を中敷部520によって覆ったら、
図13(a)に示すように中敷部520の上に具材204を乗せる。これにより、シャリ玉202、具材204および海苔206が包装フィルム500によって一体化された軍艦寿司200が完成する。
【0065】
包装フィルム500の包装を解く際には、
図13(b)に示すように2つのタブ516をつまんで上方に引っ張る。これによりシャリ玉202、具材204および海苔206の間から包装フィルム500を一度に引き抜くことができる。包装フィルム500を引き抜くときに中敷部520がついてこない場合は、追加のタブ536を引くことで具材204の下から中敷部520を引き抜きやすい。このように、包装を解く際に複数のフィルムを割いたり、フィルムを定められた順序に剥がしたりするといった作業が不要である。したがって本実施形態の軍艦寿司200は簡単な作業で食すことが可能である。
【0066】
本実施形態の包装フィルム500によれば、
図1に示した包装フィルム100と比較すると、海苔206の外側が帯部512によって覆われている。これによって海苔206が湿気るまでの時間を遅らせることができる。
図1に示した包装フィルム100では、例えば2~3時間程度の待機時間が最適であり、ケータリング(配達)に適している。
図11に示した包装フィルム500によれば、4時間程度の待機時間を持たせることができ、店内の仕込みやテイクアウト(持ち帰り)に適している。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、シャリ玉、具材および海苔からなる軍艦寿司に用いられる軍艦寿司用包装フィルム、ならびにそれを用いた軍艦寿司として利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
100…包装フィルム、110…帯部、110a…上辺、110b…下辺、112…スリット、114a…中央切欠、114b…端部切欠、116…タブ、120…中敷部、130…連結部、136…タブ、200…軍艦寿司、202…シャリ玉、204…具材、206…海苔、300…包装フィルム、310…帯部、311…折れ線、312…帯部、314a…中央切欠、314b…端部切欠、316…タブ、320…中敷部、330…連結部、400…包装フィルム、402…半帯、410…帯部、411…折れ線、412…帯部、420…中敷部、430…連結部、432…タブ、434…切れ込み、436…タブ、450…外帯、452…挿入部、460…テープ、500…包装フィルム、510…帯部、511…折れ線、512…帯部、514a…中央切欠、514b…端部切欠、514c…端部切欠、516…タブ、520…中敷部、530…連結部、536…タブ