(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019067
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】プローブヘッド及びプローブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01R1/067 B
G01R1/067 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120336
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】111128543
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523281076
【氏名又は名称】晝思有限公司
【氏名又は名称原語表記】AZOTH STUDIO LTD. CO.
(74)【代理人】
【識別番号】100228304
【弁理士】
【氏名又は名称】呂 勁毅
(72)【発明者】
【氏名】林卓儀
【テーマコード(参考)】
2G011
【Fターム(参考)】
2G011AA09
2G011AB01
2G011AB03
2G011AB04
2G011AB07
2G011AC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より安定なプローブ測定性及びより長い使用寿命等の利点を有する、半導体装置を電気的に測定するためのプローブヘッドを提供する。
【解決手段】プローブヘッド100は、プローブヘッド本体110と、プローブヘッド本体の一端面111に結合する少なくとも1つの多辺形錐状の接触部120を含み、プローブヘッド本体は、軸方向に沿って順番に積層されて結合する少なくとも3つの本体部を有し、第2本体部113の外径は、第1本体部112及び第3本体部114の外径よりも大きい。少なくとも1つ接触部は、プローブヘッド本体の端面の周辺に沿って設置され、接触部のそれぞれは、プローブヘッド本体の中心部分から上かつ外へ傾斜する斜辺又は斜面122を有し、斜辺又は斜面は、プローブヘッド本体の中心軸に向けて位置づけられ、第1本体部の硬度は、少なくとも1つ接触部の硬度以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置を電気的に測定するためのプローブヘッドであって、
中心軸方向に沿って順番に積層されて結合する、接触面を有する第1本体部、第2本体部、及び第3本体部を含むプローブヘッド本体と、
前記中心軸に向ける斜辺又は斜面を有し、前記接触面に結合して前記接触面の周辺に配置される多辺形錐状の少なくとも1つの接触部と、を備え、
前記斜辺又は斜面は、前記中心軸に近づく位置から上かつ外へ傾斜し、電気的測定を行う際に、測定対象の中心領域から離れた側部で前記測定対象に接触し、
前記少なくとも1つの接触部の前記斜辺の長さは、650μmよりも小さく、
前記斜辺又は斜面と前記接触面のなす角は、約40°~80°であることを特徴とするプローブヘッド。
【請求項2】
前記少なくとも1つの接触部の前記斜面の面積は、0.2mm2よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のプローブヘッド。
【請求項3】
前記第2本体部は、前記第1本体部の外径及び前記第3本体部の外径よりも大きい外径を有することで、プローブヘッド本体の凸縁部を形成し、
前記凸縁部は、前記第1本体部及び前記第3本体部にリベットするための制限空間を提供することを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項4】
前記第1本体部の硬度は、前記少なくとも1つの接触部の硬度以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接触部は、対応する接触部と前記第1本体部との間に設置されるパッド層をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項6】
前記少なくとも1つ接触部は、ニッケル又はニッケル合金を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項7】
前記少なくとも1つ接触部は、パラジウム又はパラジウム合金を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項8】
前記第1本体部は、ニッケル又はニッケル合金を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項8】
前記第2本体部及び前記第3本体部は、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、金(Au)、カーボン(C)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の元素を含む請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項10】
前記ニッケル合金は、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含む請求項6記載のプローブヘッド。
【請求項11】
前記ニッケル合金は、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含む請求項8記載のプローブヘッド。
【請求項12】
前記パラジウム合金は、パラジウム(Pd)、及びニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、インジウム(In)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含む請求項7記載のプローブヘッド。
【請求項13】
前記少なくとも1つ接触部は、ビッカース硬度が約500以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項14】
前記第1本体部は、ビッカース硬度が約700~1200であることを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項15】
前記第2本体部及び第3本体部は、導電率が国際的に採択された焼鈍標準軟銅の30%以上である材料を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項16】
前記少なくとも1つの接触部は、2つ又は複数の接触部を有し、前記2つ又は複数の接触部同士の距離は10μm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のプローブヘッド。
【請求項17】
中空パイプと、
請求項1又は2記載のプローブヘッドであって、前記プローブヘッドのプローブヘッド本体は、少なくとも部分的に前記中空パイプの一端から前記中空パイプに挿入されるとともに、前記中空パイプに結合されるプローブヘッドと、
前記中空パイプの他端から部分的に前記中空パイプに入れるプランジャーと、
前記中空パイプ内において、前記プローブヘッドと前記プランジャーの間に設置され、前記プローブヘッドを前記中空パイプの外側に向けて軸方向に付勢するためのバネと、を含むプローブアセンブリ。
【請求項18】
前記プローブヘッド本体の前記第1本体部及び前記第3本体部における制限空間で前記プローブヘッドを前記中空パイプにリベットすることにより、前記プローブヘッドと前記中空パイプを結合することを特徴とする請求項17記載のプローブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブヘッドに関し、具体的には、プローブヘッドにより測定対象に生じた凹み変形量及び接触位置を改善するプローブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業では、半導体装置の安定性、及び正常に働くことができるかどうかを確認するために、完成した半導体装置を電気的に測定する必要がある。測定している期間において、通常、測定装置及び測定ソケットを用いて半導体装置を測定する。測定装置は、パットを含む。測定ソケットは、半導体装置の端子を測定装置のパットに接続することにより、半導体装置の端子と測定装置を電気的に接続することで、電気信号を交換する。
【0003】
通常、測定ソケットには、測定部とするプローブアレイが設けられる。前記プローブアレイは、複数のプローブアセンブリを有する。プローブアセンブリは、それぞれ、プローブヘッドと、弾性部材と、プローブヘッドに結合するパイプケーシングとを少なくとも有する。一例として、
図1は、従来のプローブアセンブリ1を分解する立体図を示す。プローブアセンブリ1は、概ね、プローブヘッド10と、プローブヘッド10に結合するパイプケーシング20とを有する。
図1に示すように、プローブヘッド10は、プローブヘッド本体12、及び当該プローブヘッド本体12の一端に形成される接触部14を有する。
図1に示すように、従来のプローブヘッド10の接触部14は、ピラミッド形となる錐状である。このような従来のプローブヘッド10を用いて半導体装置を測定する場合、プローブヘッド10の接触部14は、その錐状先端で半導体装置端子のバンプ16と接触する(
図2に示す)。
【0004】
従来、プローブヘッド10の接触部14の摩耗を低減し、プローブヘッド10の使用寿命を延長するために、接触部14は、高硬度及び高耐摩耗性の材料(例えば、ニッケル及びニッケル合金材料)で製造される。測定する際に、弾性部材を押して変形することにより、プローブに必要な付勢力を生じる。この付勢力がプローブヘッドの接触部に伝達することにより、接触部がバンプの水平方向に対して垂直下向き力を与えるようになる。これにより、接触部は、バンプの表面の金属酸化物を貫通してバンプに接触することで、電気信号を交換することできる。したがって、毎回プローブヘッド10の接触部14とバンプ16が接触するとき、バンプ16の中心又は中心領域で破壊的な凹みの圧痕を生成するのみならず、接触する際に生じた金属屑も残留するため、バンプの完全性を破壊し、パッケージの歩留まりが低下するおそれがある。また、バンプに残留した金属屑は、電気的測定の結果の一致性及び安定性に影響を与える。
【0005】
従来のプローブヘッドは、上記のような欠点及び課題が多数存在するため、半導体装置の測定に係る技術分野において、上記課題を解決できるプローブヘッドが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者らは、上述のような従来のプローブヘッドの欠点を鑑み、鋭意研究及び試験改良をした結果、新規なプローブヘッド構造を開発した。当該新規なプローブヘッド構造は、接触部及び本体部を含み、前記接触部は、検出対象中心領域から離れた傾斜の接触構造を有するとともに、前記本体は、高硬度及び高導電性の材料を含むことで、従来のプローブヘッドの上記欠点を効率的に解決することができるのみならず、より安定なプローブ測定性及びより長い使用寿命等の利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体装置を電気的に検出するためのプローブヘッドを提供する。前記プローブヘッドは、中心軸方向に沿って順番に積層されて結合する、接触面を有する第1本体部、第2本体部、及び第3本体部を含むプローブヘッド本体と、前記中心軸に向ける斜辺又は斜面を有し、前記接触面に結合して前記接触面の周辺に配置される多辺形錐状の少なくとも1つの接触部と、を備え、前記斜辺又は斜面は、前記中心軸に近づく位置から上かつ外へ傾斜し、電気的測定を行う際に、測定対象の中心領域から離れた側部で前記測定対象に接触し、前記第1本体部の硬度は、前記少なくとも1つの接触部の硬度以上である。
【0008】
一実施例によれば、前記少なくともの1つ接触部は、それぞれ、前記検出対象に接触するための斜辺を有し、前記斜辺は、それぞれの接触部の底部から上かつ外へ傾斜し、前記プローブヘッド本体の中心に対向して位置づけてもよい。本明細書では、「斜辺」とは、「直線」又は「曲率を有する直線」等の形状を含む。
【0009】
他の実施例によれば、前記少なくともの1つ接触部は、それぞれ、前記検出対象に接触するための斜面を有し、前記斜面は、それぞれの接触部の底部から上かつ外へ傾斜し、前記プローブヘッド本体の中心に対向して位置づけてもよい。本明細書では、「斜面」とは、「平面」又は「多辺形を有する平面」等の形状を含む。
【0010】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも1つの接触部の前記斜辺又は斜面は、一端が延長して前記プローブヘッド本体の前記接触面と交差し、前記接触面とのなす角が約40°~80°であってもよい。
【0011】
本発明の実施例によれば、前記第2本体部は、前記第1本体部の外径及び前記第3本体部の外径よりも大きい外径を有することで、プローブヘッド本体の凸縁部を形成し、前記凸縁部は、前記第1本体部及び前記第3本体部にリベットするための制限空間を提供してもよい。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記プローブヘッド本体の前記接触面と垂直する方向から見るとき、前記少なくとも1つ接触部は、部分的に第1本体部の範囲外に超えてもよい。
【0013】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも1つ接触部は、対応する接触部と前記第1本体部との間に設置されるパッド層をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の実施例によれば、前記接触部は、ニッケル又はニッケル合金を含んでもよい。
【0015】
本発明の実施例によれば、前記接触部は、パラジウム又はパラジウム合金を含んでもよい。
【0016】
本発明の実施例によれば、前記第1本体部は、ニッケル又はニッケル合金を含んでもよい。
【0017】
本発明の実施例によれば、前記第2本体部及び前記第3本体部は、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、金(Au)、カーボン(C)、インジウム(In)、ルテニウム(Ru)、錫(Sn)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の元素を含んでもよい。
【0018】
本発明の実施例によれば、前記ニッケル合金は、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含んでもよい。
【0019】
本発明の実施例によれば、前記パラジウム合金は、パラジウム(Pd)、及びニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、インジウム(In)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含んでもよい。
【0020】
本発明の実施例によれば、前記接触部は、ビッカース硬度(Vickers hardness(Hv))が約500以上であり、前記第1本体部は、ビッカース硬度が約700~1200であり、前記第2本体部及び第3本体部は、それぞれ導電率が国際的に採択された焼鈍標準軟銅の30%以上である材料を含んでもよい。
【0021】
本発明の実施例によれば、前記第2本体部と前記第3本体部は、互いに積層されてもよい。
【0022】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも1つの接触部の斜辺の長さは、650μmよりも小さい。
【0023】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも1つの接触部の斜面の面積は、0.2mm2よりも小さい。
【0024】
本発明の実施例によれば、前記少なくとも1つの接触部は、2つ又は複数の接触部を有し、前記2つ又は複数の接触部同士の距離は10μm以上であってもよい。
【0025】
本発明の実施例によれば、前記接触部は、先端がヒント又は微小な平面であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、従来のプローブヘッドの欠点を効率的に解決することができるのみならず、より安定なプローブ測定性及びより長い使用寿命等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、従来のプローブアセンブリを分解する立体模式図である。
【
図2】
図2は、従来のプローブヘッドと半導体装置端子のバンプの接触を示す模式平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施例に係るプローブヘッドの模式立体図である。
【
図4】
図4は、第1実施例に係るプローブヘッドとバンプの接触を示す模式側面図である。
【
図5】
図5は、第1実施例に係るプローブヘッドが接触部と第1本体部との間に設置されるパッド層を含む変化例を示す立体模式図である。
【
図6】
図6A、6Bは、第1実施例に係るプローブヘッドが1つ、4つの接触部を含む態様をそれぞれ示す立体模式図である。
【
図7】
図7は、第1実施例に係るプローブヘッドと中空パイプがリベットされる構造を示す一部断面側面図である。
【
図8】
図8は、第1実施例に係る接触部が部分的に接触面の外部を超える態様を示す立体模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施例に係るプローブヘッドの模式立体図である。
【
図10】
図10は、第2実施例に係るプローブヘッドとバンプの接触を示す模式側面図である。
【
図11】
図11は、第2実施例に係るプローブヘッドが接触部と第1本体部との間に設置されるパッド層を含む変化例を示す立体模式図である。
【
図12】
図12A、12Bは、第2実施例に係るプローブヘッドが1つ、4つの接触部を含む態様をそれぞれ示す立体模式図である。
【
図13】
図13は、本発明に係るプローブヘッドを含む本発明の第2態様に係る半導体装置を電気的に測定するためのプローブアセンブリを分解する模式立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3~
図13を参照しながら、本発明に係る半導体装置を電気的に測定するためのプローブヘッド及びプローブアセンブリについて説明する。
【0029】
図3は、本発明の第1実施例に係るプローブヘッド100の模式立体図である。
図3に示すように、第1実施例に係るプローブヘッド100は、略円筒形となるプローブヘッド本体110と、前記プローブヘッド本体110に結合される2つの多辺形錐状の接触部120とを含む。前記プローブヘッド本体110の形状は、
図3に示すような略円筒形となる以外、他の実施例において、プローブヘッド本体110は、他の形状、例えば、多角柱形状であってもよい。前記プローブヘッド本体110は、中心軸方向に沿って順番に積層されて結合する複数の本体部を含む。例えば、前記プローブヘッド本体110は、前記2つの接触部120が結合される接触面111を有する第1本体部112と、一端が前記第1本体部112の他端に結合される第2本体部113と、一端が前記第1本体部112の他端に結合される第3本体部114とを有する。前記第2本体部113の外径は、第1本体部112の外径及び第3本体部114の外径よりも大きいことで、前記プローブ本体110の凸縁部を形成する。前記凸縁部は、中空パイプと組み合わせてプローブアセンブリを形成する際に、プローブヘッド100を中空パイプに制限的にリベットするための機能を提供する。前記第1本体部112の硬度は、前記2つの接触部120の硬度以上であることが好ましい。
【0030】
図3に示すように、前記2つの接触部120は、前記接触面111の周辺に配置される。それぞれの接触部120は、斜辺122を有する。当該斜辺122は、一端が前記プローブヘッド本体110の前記接触面111と交差するとともに、前記接触面111とのなす角が約40°~80°である。当該斜辺122は、プローブヘッド本体110の中心に近づく位置から上かつ外へ傾斜することにより、前記斜辺122と前記バンプ16の表面との接触は、前記バンプ16(即ち、検出対象)の側部161(參見
図4)になるため、バンプ16の中心領域で破壊的な凹みが生じなくなる。
【0031】
図3において、斜辺122は、「線」として示されるが、当該斜辺122は、「曲率を有する直線」であってもよい。したがって、接触部120の斜辺122とバンプ16の表面が接触した後、前記バンプ16の側部161には、対応する「直線」又は「曲率を有する直線」の形状を有する。
【0032】
接触部120の斜辺122は、前記バンプ16とのなす角が約40°~80°になるように、前記バンプ16と接触する。したがって、接触部120の斜辺122と接触してバンプ16が受ける接触力は、水平方向の分力により減少することで、前記接触部120の斜辺122と前記バンプ16との間の摩擦を低減するとともに、接触部120の耐摩耗性を向上する。言い換えれば、接触部120が同一又は優れた耐摩耗性を有する場合、ニッケル又はニッケル合金よりも硬度が低い材料を採用することができ、耐摩耗性のみならず、多様化の測定需要にも満たす。
【0033】
より詳しく言えば、接触部120の耐摩耗性に影響しないことを前提として、接触部120は、高い耐摩耗性のニッケル又はニッケル合金材料の代わりに、低い耐摩耗性のパラジウム又はパラジウム合金材料を採用することができる。このようなパラジウム又はパラジウム合金材料は、バンプ16の材料に粘着しない特性を有するだけでなく、ニッケル又はニッケル合金材料のように磁気吸引効果も有しない。よって、耐摩耗性及び高周波性を有する接触部120を形成することができるから、耐摩耗性及び高周波性の測定需要を同時に満たす。
【0034】
また、斜辺122とのなす角が40°よりも小さい場合は、斜辺122の垂直方向における分力が小さすぎるため、接触部120とバンプ16との接触が確実ではない可能性があるため、電気的伝送がよくない。一方、斜辺122とのなす角が80°よりも大きい場合は、斜辺122の垂直方向における分力が大きすぎるため、バンプ16の完全性が破壊されやすい。
【0035】
また、接触部120は、ビッカース硬度(Hv)が約500以上である。接触部120は、ニッケル又はニッケル合金を含んでもよい。当該ニッケル合金は、ニッケル(Ni)を含む以外、鉄(Fe)、タングステン(W)、銅(Cu)、ホウ素(B)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含んでもよい。
【0036】
接触部120は、パラジウム又はパラジウム合金を含んでもよい。当該パラジウム合金は、パラジウム(Pd)を含む以外、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、インジウム(In)、炭素(C)、コバルト(Co)、銀(Ag)、マンガン(Mn)から選択される少なくとも1種類の合金元素を含んでもよい。
【0037】
また、接触部120の斜辺122の長さは、650μmよりも小さくてもよい。
【0038】
また、それぞれの接触部120と第1本体部112との間には、パッド層Pを設けてもよい(
図5参照)。当該パッド層Pは、接触部120の自由端から第1本体部112までの距離を増加することができる。
【0039】
図3に示す実施例に係るプローブヘッド100は、2つの接触部120を含むが、本発明に係るプローブヘッドは、実際には、少なくとも1つ接触部を含んでもよい。例えば、他の実施例において、本発明に係るプローブヘッドは、1つの接触部(
図6A)、3つの接触部、4つの接触部(
図6B)、5つの接触部、7つの接触部等を含んでもよい。
【0040】
第1本体部112の硬度は、接触部120の硬度以上である。言い換えれば、第1本体部112は、比較的に剛性の高い構造であることで、測定時に接触部120が受けた機械的衝撃を低減することができるから、接触電気信号がより安定になる。本実施例では、第1本体部112は、ビッカース硬度(Hv)が約700~1200である。
【0041】
第2本体部113及び第3本体部114は、導電率が国際的に採択された焼鈍標準軟銅の30%以上である材料を含むことで、パイプとリベットする場合には、導電性が向上する。また、第2本体部113は、第1本体部112の外径及び第3本体部の外径114よりも大きい外径を有することで、凸縁部を形成する。第1本体部112及び第3本体部114は、当該凸縁部により、第2本体部113を制限的に固定する制限空間を形成する。例えば、プローブヘッド100をプローブアセンブリの中空パイプ510の一端にリベットする場合、第1本体部112及び第3本体部114の制限空間で中空パイプ510が変形して凹むことにより、プローブヘッド100と中空パイプ510との相対的運動を制限するとともに、プローブヘッド100を前記中空パイプ510にリベットする(
図7参照)。
【0042】
図3に示す実施例において、接触部120は、プローブ本体110の接触面111の周辺に設置され、接触面111の範囲内に位置する態様が示されたが、他の実施例において、接触部120は、少なくとも部分的に接触面111の範囲外を超えるように設置されてもよい(
図8参照)。
【0043】
さらに、
図9~
図12を参照しながら、本発明の第2実施例に係るプローブヘッド200について説明する。
図9は、第2実施例に係るプローブヘッド200の模式立体図である。
【0044】
図9に示すように、第2実施例に係るプローブヘッド200は、第1実施例と同様なプローブヘッド本体110と、前記プローブヘッド本体110に結合される2つの多角錐形状の接触部220とを含む。以下、第1実施例と異なる部分のみ説明する。
【0045】
図9に示すように、第2実施例に係るプローブヘッド200と第1実施例に係るプローブヘッド100との差異点として、第2実施例に係るプローブヘッド200の接触部220は、プローブヘッド200の中心に向ける斜面222を有する。当該斜面222は、一端が前記プローブヘッド本体110に向けて延長して前記接触面111と交差するとともに、前記接触面111とのなす角が約40°~80°である。当該斜面222は、プローブヘッド本体110の中心に近づく位置から上かつ外へ傾斜することにより、前記斜面222と前記バンプ16本体との接触は、前記バンプ16本体の側部161(參見
図10)になるため、バンプ16の中心領域で、破壊的な凹みが生じなくなる。
【0046】
本発明の第2実施例によれば、接触部220の斜面222とバンプ16の本体が接触した後、前記バンプ16本体の側部161には、「平面」又は「多辺形平面」の形状を有するようになる。
【0047】
本発明の第2実施例によれば、前記それぞれの接触部220の斜面222の面積は、0.2mm2よりも小さい。
【0048】
第2実施例は、第1実施例と類似し、それぞれの接触部220と第1本体部112との間には、パッド層P(
図5参照)を設けてもよい(
図11参照)。前記パッド層Pは、接触部120の自由端から第1本体部112までの距離を増加することができる。さらに、第2実施例に係るプローブヘッドは、少なくとも1つの接触部、例えば、1つの接触部(
図12A)、3つの接触部、4つの接触部(
図12B)、5つの接触部、7つの接触部等を含んでもよい。
【0049】
次に、
図13を参照しながら、本発明に係るプローブヘッドを含むプローブアセンブリ500について説明する。
図13に示すように、プローブアセンブリ500は、中空パイプ510と、本発明の上記態様に係るプローブヘッド(例えば、
図3に示すようなプローブヘッド100)であって、プローブヘッド本体110が、少なくとも部分的に前記中空パイプ510の一端から前記中空パイプ510に挿入されるとともに、前記中空パイプ510に結合されるプローブヘッドと、前記中空パイプ510の他端から部分的に前記中空パイプ510に入れるプランジャー530と、前記中空パイプ510内において、前記プローブヘッド100と前記プランジャー530の間に設置され、前記中空パイプの外側に向けて軸方向に付勢するように一端が前記プローブヘッド100に当接し、他端が前記プランジャー530に当接するバネ540とを含む。プローブヘッド100と中空パイプ510が結合する方式として、プローブヘッド本体110の第2本体部113により形成された凸縁部の上側面、下側面における制限空間でリベットすることにより、プローブヘッド100を前記中空パイプ510の一端にリベットして固定する(
図7参照)。
【0050】
本発明に係るプローブヘッド及びプローブアセンブリの態様及び例示的な実施例について、本明細書に記載されている実施例及び添付している図面を参照しながら説明したが、本発明は、本明細書の記載及び添付している図面に係る特徴及び構成に限定されない。上記各実施例は、あくまでも例示したものであり、当業者であれば、上記各実施例同士の内容を互いに組み合わせることを言うまでもない。本発明に係る他の可能な修正及び変化は、添付している特許請求の範囲及びそれに均等する範囲によって定められるものに含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1:プローブアセンブリ
10:プローブヘッド
12:プローブヘッド本体
14:接触部
16:バンプ
20:パイプケーシング
100、200:プローブヘッド
110:プローブヘッド本体
111:接触面
120:接触部
112:第1本体部
113:第2本体部
114:第3本体部
122:斜辺
161:側部
222:斜面
P:パッド層
500:プローブアセンブリ
510:中空パイプ
530:プランジャー
540:バネ
【外国語明細書】