(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019070
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】配電線の碍子におけるドライバンドアーク放電を軽減するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20240201BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120509
(22)【出願日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】17/875673
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】キラン プスティ
(72)【発明者】
【氏名】センティル クマール
【テーマコード(参考)】
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
5G352AC03
5G352AC04
5G367AB03
5G367BB04
5G367BB10
5G367BB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドライバンドアーク放電が碍子に沿って発生することを軽減する、配電線用ポリマー碍子用に構成されるカバーを提供する。
【解決手段】ドライバンドアーク放電を軽減するアセンブリ300は、配電線用ポリマー碍子100と、カバー200と、を備える。カバー200は、本体またはシュラウド部201を含む。本体201は、キャビティ203を共に画定する側壁202と上壁206とを含む。キャビティ203は、碍子100の環状シェッドまたはスカート118のうちの1つまたは複数を受け入れる。カバー200の本体201は、碍子100の上部の1つまたは複数の環状シェッド118を覆い、すなわち、カバー200は、碍子100の上端部に取り付けられている。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリ(300)であって、前記アセンブリは、
配電線用ポリマー碍子(100)と、
カバー(200)と、を備え、
前記配電線用ポリマー碍子(100)は、
コア(110)と、
前記コアの両端部に取り付けられた2つの端部取付具(104、106)と、
前記コアを周方向に取り囲むハウジング(112)であって、前記ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部(114)および下端部(116)と、前記ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッド(118)とを含む、ハウジングと、
を含み、
前記カバー(200)は、側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)を含み、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が下部開口部(207)を画定し、前記上壁は上部開口部(205)を含み、前記下部開口部および前記上部開口部が前記キャビティに連通しており、
前記ハウジングの前記上端部の少なくとも一部が、前記カバーの前記上部開口部を通って受け入れられ、前記環状シェッドのうちの1つまたは複数が、前記カバーの前記キャビティ内に受け入れられている、アセンブリ。
【請求項2】
前記カバーは、前記上壁から上方に延びるカラー(204)をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記カラーの上縁部が、前記キャビティに連通する前記上部開口部を画定する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記カバーの前記上部開口部は、前記碍子の前記ハウジングの前記上端部と締まり嵌めを形成するようにサイズ決めおよび構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記カバーの前記上壁の上面が、テーパ状であるか、または角度が付けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記カバーは、一体部品または単体部品として形成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記カバーは、前記上壁から半径方向外方に延びる第1の環状フランジ縁部(208A)をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記カバーは、前記側壁の前記下縁部から半径方向外方に延びる第2の環状フランジ縁部(208B)をさらに含む、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項9】
配電線用碍子(100)のカバー(200)であって、前記カバーは、
側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)であって、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が、前記キャビティに連通する下部開口部(207)を画定し、前記カバーの前記上壁の上面が、テーパ状であるか、または角度が付けられている、本体と、
前記上壁から上方に延びるカラー(204)であって、前記カラーの上縁部が、前記キャビティに連通する上部開口部(205)を画定する、カラーと
を備え、
前記上部開口部は、前記碍子のハウジング(112)の少なくとも一部を受け入れるように構成され、前記キャビティは、前記碍子の前記ハウジングから半径方向外方に延びる1つまたは複数の環状シェッド(118)を受け入れるように構成されている、カバー。
【請求項10】
配電線用ポリマー碍子におけるドライバンドアーク放電を軽減するための方法であって、前記方法は、
コア(110)と、前記コアの両端部に取り付けられた2つの端部取付具(104、106)と、前記コアを周方向に取り囲むハウジング(112)とを含む、配電線用ポリマー碍子(100)であって、前記ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部(114)および下端部(116)と、前記ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッド(118)とを含む、碍子を設けることと、
側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)を含むカバー(200)であって、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が下部開口部(207)を画定し、前記上壁は上部開口部(205)を含み、前記下部開口部と前記上部開口部とは前記キャビティに連通している、カバーを設けることと、
前記カバーを前記碍子の前記ハウジング上へ下方に押して、前記碍子の1つまたは複数の環状シェッドが前記カバーの前記キャビティに受け入れられるようにすることと、
前記ハウジングの前記上端部の少なくとも一部が前記カバーの前記上部開口部を通って受け入れられるまで、前記カバーを下方に押し続けることと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電線用碍子のカバーに関し、より詳細には、配電線用ポリマー碍子におけるドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているカバーおよびアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱などの支持構造体が、配電線などの送電線を地表の上方で懸架するためにしばしば使用される。これらの支持構造体は、一般に屋外に位置し、1本または複数本の線を懸架するための様々な異なる構成であり得る。複合ポリマー碍子を使用して、電力導体を支持し、電力導体を支持構造体に固定する。特に、一般的には、複合ポリマー碍子を使用して、高電圧(HV)電力線を支持し取り付ける。本明細書で使用されるとき、「高電圧」とは、69キロボルト(kV)以上の電圧で運用する電力線を意味する。複合ポリマー碍子は、通常、細長い電気絶縁コア、コアを取り囲む電気絶縁ハウジング、およびコアの端部に取り付けられた端部取付具(end fitting)を含む。例えば、
図1A、
図1B参照。コアは機械的強度をもたらす。
端部取付具は、金属(例えば、鋼)から形成されてよく、碍子の端部をケーブルおよび/または支持体に結合するように構成されている。コアは、ガラス繊維複合材料(例えば、ガラス繊維強化樹脂)から形成されてよい。ハウジングは、エラストマー材料(例えば、シリコーンゴム)から形成されてよい。ハウジングを、成形(例えば、射出成形)によって、またはコアを予め形成されたハウジングに挿入することによってコアに取り付けることができる。
【0003】
ハウジングは、半径方向外方に突出するシェッドを含んでもよい。シェッドは、碍子の端から端までの表面距離を増加させることによって、碍子の沿面距離(または漏れ距離)を最大化するのを助け、湿潤状態(例えば、雨)において碍子から環境汚染物質(例えば、塩、汚染物質、埃)を除去するのを助ける。沿面距離または漏れ距離は、碍子の導電性端部間における碍子の表面に沿った最短距離を表す。環境汚染物質は、碍子の性能に強い影響を及ぼすことがある。碍子の表面の汚染物質が多いほど、その汚染物質の多くが導電性であるため漏れ電流が発生しやすくなる。電流が通電状態の電気回路から地面へ碍子の表面に沿って「漏れる」ことを防ぐのを助ける碍子形状を有することが望ましい。電流漏れにより、碍子の損傷および最終的な故障が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した送電線、特に高電圧の電力を伝送する配電線に関する1つの問題は、ドライバンドアーク放電である。ドライバンドアーク放電は、特に汚染された(例えば、汚れた、湿潤の)サービス領域において、これらの配電線用の複合ポリマー碍子に見られる、一般的な現象である。碍子が濡れると、水の薄膜が表面に形成されることがあり、小さい漏れ電流が流れ始めることがある。この水の薄膜が大気温度の上昇により蒸発すると、「ドライバンド」が碍子の表面に形成される。ドライバンドは電流の流れを妨げ、ドライバンドにわたって電圧勾配が現れる。電圧勾配は、表面にわたって静電応力を及ぼし、さらなる水の蒸発とドライバンド幅の増加とを生じさせるため、より大きい電圧勾配を作り出して、小さいアーク放電を生じさせる。
ドライバンドアーク放電により、可視アークおよび可聴ノイズが生じ、しばしば顧客の苦情が発生し得る。これらのドライバンドアーク放電事象は、ある環境条件において、例えば、露/湿気の多いときに数日から数週間続くことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、ドライバンドアーク放電が碍子に沿って発生することを軽減するのを助けるために、配電線用ポリマー碍子で使用するように構成されているカバーに関する。一部の実施形態において、カバーは、水の膜が碍子のハウジングおよび/または環状シェッドに形成されることを防ぐのを助け、それにより、ドライバンドアーク放電を生じさせ得る状態を軽減するのを助ける。加えて、一部の実施形態において、カバーは、碍子の導電性端部間における碍子の表面に沿った沿面距離または漏れ距離を増加させ、それにより、碍子の損傷および/または最終的な故障を生じさせ得る電流漏れを軽減するのを助ける。
【0006】
本発明のさらなる実施形態は、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリに関する。アセンブリは配電線用ポリマー碍子を備え、ポリマー碍子は、コアと、コアの両端部に取り付けられた2つの端部と、コアを周方向に取り囲むハウジングとを有する。ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部および下端部と、ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッドとを含む。アセンブリは、側壁と上壁とを含む本体を有するカバーをさらに備え、側壁と上壁とは共にキャビティを画定する。側壁の下縁部が下部開口部を画定し、上壁は上部開口部を含み、下部開口部および上部開口部の両方がキャビティに連通している。ハウジングの上端部の少なくとも一部が、カバーの上部開口部を通って受け入れられ、環状シェッドのうちの1つまたは複数が、カバーのキャビティ内に受け入れられる。
【0007】
本発明のさらなる実施形態は、配電線用碍子のカバーに関する。カバーは、側壁と上壁とを含む本体を備える。側壁と上壁とは共にキャビティを画定する。側壁の下縁部が、キャビティに連通する下部開口部を画定し、カバーの上壁の上面が、テーパ状であるか、または角度が付けられている。カバーは、上壁から上方に延びるカラーをさらに備え、カラーの上縁部が、キャビティに連通する上部開口部を画定する。上部開口部は、碍子のハウジングの少なくとも一部を受け入れるように構成され、キャビティは、碍子のハウジングから半径方向外方に延びる1つまたは複数の環状シェッドを受け入れるように構成されている。
【0008】
本発明のさらなる実施形態は、配電線用ポリマー碍子におけるドライバンドアーク放電を軽減するための方法に関する。方法は、(a)コアと、コアの両端部に取り付けられた2つの端部取付具と、コアを周方向に取り囲むハウジングとを有する、配電線用ポリマー碍子であって、ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部および下端部と、ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッドとを含む、碍子を設けることと、(b)側壁と上壁とを含む本体を有するカバーであって、側壁と上壁とは共にキャビティを画定し、側壁の下縁部が下部開口部を画定し、上壁は上部開口部を有し、下部開口部と上部開口部とはキャビティに連通している、カバーを設けることと、(c)カバーを碍子のハウジング上へ下方に押して、碍子の1つまたは複数の環状シェッドがカバーのキャビティに受け入れられるようにすることと、(d)ハウジングの上端部の少なくとも一部がカバーの上部開口部を通って受け入れられるまで、カバーを下方に押し続けることとを含む。
【0009】
本発明のさらなる機構、利点、および詳細が、以下の好ましい実施形態の図面および詳細な説明を読むことにより、当業者に明らかになろう。このような説明は、本発明の単なる例示である。
【0010】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】典型的な配電線用ポリマー碍子の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による配電線用ポリマー碍子のカバーの側面図である。
【
図3】
図1Aの碍子に取り付けられた、
図2のカバーの拡大側面図である。
【
図4A】本発明の実施形態による、
図2のカバーを使用した、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリの斜視図である。
【
図5A】本発明の実施形態による配電線用ポリマー碍子の代替カバーの斜視上面図である。
【
図6A】本発明の実施形態による、
図5A~
図5Cのカバーを使用した、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されている別のアセンブリの斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態による、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されている別のアセンブリの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下で、本発明の例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、本発明をより十分に説明する。図中、領域または機構の相対的な大きさは、明確にするために誇張されている場合がある。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものとなるように、かつ当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提示される。
【0013】
要素が別の要素に「結合されている」または「接続されている」と言及される場合、その要素は他の要素に直接結合もしくは接続することができ、または介在する要素が存在してもよいことを理解されたい。これに対して、要素が別の要素に「直接結合されている」または「直接接続されている」と言及される場合に、介在する要素は存在しない。同一の数字は、全体を通じて同一の要素を指す。本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0014】
加えて、本明細書において、図示されている1つの要素または機構と別の要素または機構との関係を記述するための説明を容易にするために、「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上部」などの空間的に相対的な用語が使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図示されている向きに加えて、使用時または動作時におけるデバイスの異なる向きを包含することを意図している。例えば、図のデバイスを反転させた場合には、他の要素もしくは機構の「下」または「真下」と記述される要素は、他の要素もしくは機構の「上」を向くことになる。したがって、「下」という例示的な用語は、上および下の向きの両方を包含することができる。デバイスは他の向き(90度回転、または他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈されてよい。
【0015】
本明細書において使用されている用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであって、本発明を限定することを意図したものではない。本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。「comprises(含む)」および/または「comprising(含んでいる)」という用語は、本明細書で使用されるとき、記述される機構、整数、ステップ、動作、要素、および/もしくは構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の機構、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/もしくはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことが、さらに理解されるだろう。
【0016】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明の属する分野における当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されるような用語は、関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明記しない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されないことが、さらに理解されるだろう。
【0017】
以下で、
図1A~
図8を参照しながら、本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0018】
前述したように、公知の複合ポリマー碍子100が
図1A、
図1Bに示されている。碍子100を使用して、第1の部品と第2の部品とを機械的に分離し、電気的に絶縁することができる。通常、一方の部品が送電導体であり、他方の部品が送電導体または支持構造体である。一般に、碍子100は、碍子の縦軸L-Lと軸方向両端部102A、102Bとを有する。
【0019】
一部の実施形態において、碍子100は、例えば、商用配電システムなどの配電システムの一部を形成する。このタイプの複合ポリマー碍子を使用可能な任意の用途または配電システムにおいて、碍子100を使用できることが理解されるだろう。支持構造体は他の形態をとることができ、碍子100の構成を、異なる用途に適応するように修正することができる。例えば、碍子100を、導体とブラケットとの間の隔離碍子としてシステムに組み込むことができる。他の実施形態において、碍子100をカップリングにより2本の細長い導体(例えば、電力線)に、かつこれらの導体間に固定して、碍子100が導体間の距離に及び、導体を互いに機械的に離間させ、電気的に絶縁するようになっている。
【0020】
図1A、
図1Bに示すように、碍子100は、コア110とハウジング112とを含む(例えば、
図4B、
図6、
図7も参照)。コア110は、碍子100の縦軸L-Lと同軸の長手方向軸LC-LCを有する。コア110は、円筒形状であってよく、第1の端部または上端部110Aから反対側の第2の端部または下端部110Bへ延びる。コア110は、任意の適切な誘電材料または電気絶縁材料から形成されてよい。端部取付具104、106が、コア110の両端部に取り付けられている。端部取付具104、106は、任意の適切な材料から形成されてよく、通常、鋼、鋳鉄またはダクタイル鉄、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属から形成される。
【0021】
ハウジング112は、コア110を周方向に取り囲む。ハウジング112は、上端部または上部接合部114と下端部または下部接合部116とを含む。上部接合部114は端部取付具104に重なり、下部接合部116は端部取付具106に重なる。一連の軸方向に離間した環状シェッドまたはスカート118が、ハウジング112の外面から半径方向外方に突出する。ハウジング112は、任意の適切な誘電材料または電気絶縁ポリマー材料、例えば、シリコーンゴム、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、または他の適切なゴムまたは他のエラストマー材料および/またはポリマー材料から形成されてよい。碍子100のこれらの構成部品は、当業者に周知であり、本明細書でさらに詳細に説明する必要はない。
【0022】
一般に、電力線に接続されている碍子100の端部(例えば、上端部102A)は、碍子100の反対側の低電圧端部または接地端部(例えば、下端部102B)よりも高い電気エネルギー(高い電圧)を有する。言い換えると、碍子100に加わる電気応力は、高通電の(電圧)上端部102Aから低電圧下端部または接地下端部102Bに移動するにつれて、碍子の縦軸L-Lに沿って減少する。ドライバンドアーク放電は、碍子100の高通電の上端部102Aに近接して発生しやすい。
【0023】
図2に、本発明の実施形態による碍子100のカバー200が示されている。本明細書でさらに詳細に説明するように、本発明の実施形態によれば、カバー200は、本明細書で説明する配電線(すなわち、
図3~
図4Bに示すアセンブリ300)の碍子100に使用するように構成されて、ドライバンドアーク放電が碍子100に沿って発生すること、例えば、碍子100の高電圧上端部102Aに近接して発生することを軽減するのを助けることができる。
【0024】
図2~
図4Bに示すように、カバー200は、本体またはシュラウド部201を含む。本体201は、キャビティ203を共に画定する側壁202と上壁206とを含む。一部の実施形態において、側壁202は円筒形である。
図4Bに示すように、カバー200のキャビティ203は、碍子100の環状シェッドまたはスカート118のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成されている。例えば、
図3および
図4Bに示すように、一部の実施形態において、キャビティ203は、碍子100の環状シェッド118のうちの2つまたは3つを受け入れるようにサイズ決めおよび構成されている。他の実施形態において、キャビティ203は、環状シェッド118のうちの4つ以上を受け入れるようにサイズ決めおよび構成されている(例えば、
図6参照)。
一般に、カバー200の本体201は、碍子100の上部の1つまたは複数の環状シェッド118を覆い、すなわち、カバー200は、碍子100の上端部102Aに取り付けられている。カバー200のキャビティ203の内径(D)は、異なるサイズのシェッド118に適応するように変化してよい。例えば、一部の実施形態において、キャビティ203の内径は、約2インチ~約7インチであってよい。
【0025】
側壁202の下縁部は、キャビティ203に連通する下部開口部207を画定する。一部の実施形態において、上壁206は、同様にキャビティ203に連通する上部開口部205を含む。一部の実施形態において、本体201は、上壁206から上方に延びるカラー204をさらに含む。一部の実施形態において、カラー204の上縁部は、キャビティ203に連通する上部開口部205を画定する。一部の実施形態において、上部開口部205は、碍子100の上部接合部114と締まり嵌めを形成するようにサイズ決めおよび構成されている。一部の実施形態において、カバー200は、一体部品または単体部品として形成されてよい。カバー200は、シリコーンゴム、EVA、EPDM、または他の適切なゴムまたは他のエラストマー材料および/またはポリマー材料から形成されてよい。一部の実施形態において、カバー200は射出成形によって形成される。
【0026】
図2、
図3、および
図4Bに示すように、一部の実施形態において、上壁206の上面は、テーパ状であるか、または角度が付けられてよい。一部の実施形態において、上壁206は、円錐台形状であってよい。例えば、一部の実施形態において、上壁206の上面は、カラー204から下方にテーパ状になっていてよい。上壁206のテーパ状または角度の付いた上面または円錐台形状により、水および/または他の環境汚染物質が上壁206から、かつ碍子100から離れるように流れることができる。前述したように、碍子100が濡れると、水の膜が表面(例えば、ハウジング112および/または環状シェッド118)に形成され、小さい漏れ電流が流れ始めることがある。
この水の膜が大気温度の上昇により蒸発すると、電流の流れを妨げる「ドライバンド」が表面に形成され、ドライバンドにわたって電圧勾配が現れる。この電圧勾配は、表面にわたって静電応力を及ぼし、さらなる蒸発とドライバンド幅の増加とを生じさせるため、より大きい電圧勾配を作り出して、小さいアーク放電(すなわち、ドライバンドアーク放電)を生じさせる。カバー200は、(例えば、
図3~
図4Bに示すアセンブリ300の一部としての)碍子100に配置されると、水の膜が碍子100のハウジング112および/またはシェッド118に形成されることを防ぐのを助け、したがって、ドライバンドアーク放電を生じさせ得る状態を軽減するのを助ける。
加えて、カバー200は、碍子100の導電性端部間における碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離を増加させ、それにより、碍子100の損傷および最終的な故障を生じさせ得る電流漏れを軽減するのを助ける。
【0027】
図4A、
図4Bに示すように、一部の実施形態において、カバー200は、上壁206から半径方向外方に延びる環状フランジ縁部208Aを含むことができる。一部の実施形態において、カバー200は、側壁202の下縁部から半径方向外方に延びる第2の環状フランジ縁部208Bをさらに含むことができる。一部の実施形態において、環状フランジ縁部208A、208Bは、約3インチ~約10インチの幅を有することができる。環状フランジ縁部208A、208Bは、碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離をさらに増加させる。加えて、環状フランジ縁部208A、208Bは、水および/または他の環境汚染物質の流れをカバー200の表面から、さらには碍子100から離れるように導くのを助ける(すなわち、水がカバー200から転がり落ちるのを助ける)。
【0028】
カバー200を、以下の方法で碍子100に取り付けてアセンブリ300を形成することができる。一部の実施形態において、カバー200は、碍子100に工場で装着される。他の実施形態において、カバー200は、既存の碍子100に現場で後付け可能である。工場におけるカバー200の装着は、碍子100のタイプによって決まり、端部取付具104、106が碍子100のコア110に取り付けられる前または取り付けられた後にカバー200を装着することができる。オーバモールド碍子の場合、端部取付具104、106が碍子100のコア110に取り付けられ、ポリマーハウジング112がコア110の周りに成形された後に、カバー200が装着される。
非オーバモールド碍子(すなわち、端部取付具104、106が組み付けられる前にハウジング112がコア110に成形される碍子)の場合、端部取付具104、106が碍子100のコア110に取り付けられる前に、カバー200がハウジング112上へ下方に押されて、1つまたは複数の環状シェッド118がキャビティ203に受け入れられ、上端部114の一部が上部開口部205を通って受け入れられるようになっている。上端部114が上部開口部205を通って受け入れられると、カバー200と碍子100との間に、また一部の実施形態においては、上端部114と上部開口部205との間に締まり嵌めを形成することができる。締まり嵌めは、水がカバー200の上部開口部205を通って、ハウジング112および/またはシェッド118の上部に入ることを防ぐのを助ける。
一部の実施形態において、カバー200を形成するポリマー材料は、カバー200にある程度の可撓性を与え、小さい直径を有する上部開口部205が偏向または伸張して、ハウジング112の大きい直径の上端部114を挿入できるようになっている。上端部114がカバー200の上部開口部205内に位置決めされると、カバー200のポリマー材料の弾力性により、上部開口部205は元の直径に戻ることができ、それにより、カバー200を碍子100に固定する。カバー200の後付け装着は、端部取付具104、106が組み付けられた後に行われ、コア110の上端部110Aに取り付けられた既存の端部取付具104上にカバー200を伸張させることによって、または、2部品構成を有するカバー、例えば、さらに詳細に後述するカバー400を使用することによって、実現することができる。
【0029】
図5A~
図5Cを参照すると、本発明の実施形態による碍子100の代替カバー400が示されている。
図6は、本発明の実施形態による、
図5A~
図5Cに示すカバー400を使用した、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリ500を示す。カバー400またはアセンブリ500の特性および/または機構は、
図2~
図4Bに示すカバー200またはアセンブリ300に関して前述したものと同様であってよく、
図5A~
図5Cおよび
図6を説明する目的で、重複する説明は本明細書において省略されることがある。
【0030】
カバー400は、カバー400が2部品構成を含む点で、本明細書に記載のカバー200とは異なる。2部品構成により、カバー400を、既存の碍子100、例えば、現場に既に設置されている碍子100に後付けすることができる。
図5A~
図5Cに示すように、カバー400は、互いに係合(接続、engage)および結合するように構成されている2つの略同一の部材400A、400Bを含む。
図5Aに示すように、部材400A、400Bが互いに係合しているとき、カバー400は側壁402と上壁406とを有する。上壁406は、碍子100の上端部102Aを受け入れるように構成されている上部開口部405を有する。一部の実施形態において、カバー400は、上壁406から上方に延びるカラー404をさらに含む。
一部の実施形態において、カバー400は、側壁402の下縁部および/または上壁406から半径方向外方に延びる環状フランジ縁部408を含むことができる。環状フランジ縁部408は、碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離をさらに増加させる。加えて、環状フランジ縁部408は、水および/または他の環境汚染物質の流れをカバー400の表面から、さらには碍子100から離れるように導くのを助ける(すなわち、水がカバー400から転がり落ちるのを助ける)。
【0031】
一部の実施形態において、各部材400A、400Bは、複数の固定機構410を含む移行壁411を含む。移行壁411は、側壁402、上壁406、およびカラー404(該当する場合)に結合され、またはこれらと一体である。さらに詳細に後述するように、各部材400A、400Bの移行壁411は、碍子100において互いに係合し固定される部材400A、400Bの接触面を提供する。
【0032】
図5Bに、一方の部材400Aが示されている。本実施形態において、部材400A、400Bは、互いの鏡像であり、したがって、時には一方の部材400Aのみを詳細に説明することがあり、そのような説明は他方の部材400Bにも同様に当てはまることを理解されたい。
図5Bに示すように、部材400Aは、本体またはシュラウド部401Aを有する。本体401Aは、キャビティ403Aを共に画定する側壁402Aと上壁406Aとを含む。一部の実施形態において、本体401Aは、上壁406Aから上方へ延びるカラー404Aをさらに含む。一部の実施形態において、本体401Aは移行壁411Aを含み、この移行壁411Aは、側壁402A、上壁406A、およびカラー404Aに結合され、またはこれらと一体である。
【0033】
一部の実施形態において、側壁402Aは、1つまたは複数の環状凹部409A、412Aを含む。凹部409A、412Aにより、カバー400は、碍子100のシェッド118に適合し、追加の沿面距離も提供することができる。本体401A(例えば、移行壁411A)は、他方の本体401Bの対応する固定機構410に係合するように構成されている複数の固定機構410を含む。一部の実施形態において、固定機構410は、ボールまたはシリンダスナップインまたは延長スナップインなどのスナップ嵌め機構を含むことができる。一部の実施形態において、非導電性材料から形成されたリベットまたはねじを使用して、カバー400の本体401A、401Bを互いに固定することができる。
あるいは、一部の実施形態において、カバー400の本体401A、401Bを互いに接着または他の方法で密閉することができる。各部材400A、400Bの本体401A、401B(例えば、移行壁411)が係合する(すなわち、互いに固定される)と、それぞれのキャビティ403A、403Bが共に、カバー400の主キャビティ403を画定する。本明細書で説明したカバー200のキャビティ203と同様に、カバー400の主キャビティ403は、碍子100の環状シェッドまたはスカート118のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成されている(例えば、
図6参照)。一般に、カバー400は、碍子100の上部の1つまたは複数の環状シェッド118を覆い、すなわち、カバー400は、碍子100の上端部102Aに取り付けられている。
【0034】
一部の実施形態において、側壁402A、402Bの下縁部は共に、主キャビティ403に連通する下部開口部507を画定する。一部の実施形態において、上壁406A、406Bは、互いに協働して、同様に主キャビティ403に連通する上部開口部405を画定する。一部の実施形態において、カラー404A、404Bの上縁部は、互いに協働して、主キャビティ403に連通する上部開口部405を画定する。本明細書で説明したカバー200と同様に、一部の実施形態において、上壁406A、406Bの上面は、テーパ状であるか、または角度が付けられてよく、水および/または他の環境汚染物質がカバー400から、かつ碍子100から離れるように流れることができる。カバー400は、シリコーンゴム、EVA、EPDM、または他の適切なゴムまたは他のエラストマー材料および/またはポリマー材料から形成されてよい。一部の実施形態において、カバー400は射出成形によって形成される。
【0035】
カバー400を、以下の方法で既存の碍子100に取り付けてアセンブリ500を形成することができる。2つの部材400A、400Bは、それぞれの上壁406A、406Bの内面が碍子100の最上シェッド118の上方に位置決めされ、各部材400A、400Bの対応する固定機構410が位置合わせされるように、位置合わせされる。2つの部材400A、400Bは、互いに押し合わされ(例えば、互いに押圧または接着され)て、移行壁411の対応する固定機構410が係合し、2つの部材400A、400Bを互いに固定するようになっている。一部の実施形態において、2つの部材400A、400Bは、室温加硫シリコーン(RTV)シーラントにより互いに固定されて、2つの部材400A、400B間の水分を防ぐのを助ける。
図6に示すように、2つの部材400A、400Bが互いに押し合わされると、1つまたは複数の環状シェッド118の少なくとも一部が、それぞれのキャビティ403A、403Bに受け入れられて、カバー400の嵌合した部材400A、400Bが、碍子100の環状シェッド118のうちの少なくとも1つ以上を覆うようになっている。一部の実施形態において、碍子100のハウジング112の上端部114の一部は、上部開口部405を通って受け入れられる。2つの部材400A、400Bが互いに嵌合すると、上端部114は、カバー400の上壁406に形成された上部開口部405を通って受け入れられる。
【0036】
カバー400は、(例えば、
図6に示すアセンブリ500の一部としての)碍子100に配置されると、水の膜が碍子100のハウジング112および/またはシェッド118に形成されることを防ぐのを助け、したがって、ドライバンドアーク放電を生じさせ得る状態を軽減するのを助ける。加えて、カバー400は、碍子100の導電性端部間における碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離を増加させ、それにより、碍子100の損傷および/または最終的な故障を生じさせ得る電流漏れを軽減するのを助ける。
【0037】
図6、
図7を参照すると、本発明の実施形態による、ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリ600が示されている。アセンブリ600の特性および/または機構は、
図2~
図4Bおよび
図5に示すアセンブリ300、400に関して前述したものと同様であってよく、
図6、
図7を説明する目的で、重複する説明は本明細書において省略されることがある。
【0038】
アセンブリ600は、アセンブリ600が3部品カバー700を含む点で、アセンブリ300、400とは異なる。本明細書で説明した2部品カバー400と同様に、カバー700の3部品構成により、カバー700を、既存の碍子100、例えば、現場に既に設置されている碍子100に後付けすることができる。
【0039】
図7および
図8に示すように、本明細書で説明したカバー200と同様に、カバー700は、本体またはシュラウド部701を含む。本体701は、キャビティ703を共に画定する側壁702と上壁706とを含む。一部の実施形態において、側壁702は円筒形である。
図8に示すように、カバー700のキャビティ703は、碍子100の環状シェッドまたはスカート118のうちの1つまたは複数を受け入れるように構成されている。一般に、カバー700の本体701は、碍子100の上部の1つまたは複数の環状シェッド118を覆い、すなわち、カバー700は、碍子100の上端部102Aに取り付けられている。
【0040】
側壁702の下縁部は、キャビティ703に連通する下部開口部707を画定する。一部の実施形態において、上壁706は、同様にキャビティ703に連通する上部開口部705を含む。一部の実施形態において、本体701は、上壁706から上方に延びるカラー704をさらに含む。一部の実施形態において、カラー704の上縁部は、キャビティ703に連通する上部開口部705を画定する。一部の実施形態において、上壁706またはカラー704は、上部開口部705の周りに環状リップ709を含む。一部の実施形態において、カバー700の本体701は、一体部品または単体部品として形成されてよい。カバー700は、シリコーンゴム、EVA、EPDM、または他の適切なゴムまたは他のエラストマー材料および/またはポリマー材料から形成されてよい。
一部の実施形態において、カバー700は射出成形によって形成される。
図7および
図8に示すように、一部の実施形態において、上壁706の上面は、テーパ状であるか、または角度が付けられてよい。例えば、一部の実施形態において、上壁706の上面は、カラー704から下方にテーパ状になっていてよい。上壁706のテーパ状または角度の付いた面により、水および/または他の環境汚染物質が上壁706から、かつ碍子100から離れるように流れることができる。
【0041】
図7に示すように、カバー700は、2つのカラー部材710A、710Bをさらに含む。本実施形態において、カラー部材710A、710Bは、互いの鏡像であり、したがって、時には一方のカラー部材710Aのみを詳細に説明することがあり、そのような説明は他方のカラー部材710Bにも同様に当てはまることを理解されたい。
【0042】
各カラー部材710A、710Bは、弧状側壁712A、712Bと、それぞれの側壁712A、712Bの下縁部から半径方向外方に延びるフランジ縁部714A、714Bとを含む。カラー部材710A、710Bの弧状側壁712A、712Bは、碍子100の上端部114を間に受け入れるようにサイズ決めおよび構成されている。側壁712A、712Bはまた、本体701の上部開口部705を通って受け入れられるようにサイズ決めおよび構成されている。さらに詳細に後述するように、カラー部材710A、710Bのフランジ縁部714A、714Bは、本体701の上部開口部705の周りに存在するリップ709に係合または接触するように構成されている。
【0043】
カバー700を、以下の方法で既存の碍子100に取り付けてアセンブリ600を形成することができる。本明細書で説明したカバー200と同様に、一部の実施形態において、カバー700は、碍子100に工場で装着される。他の実施形態において、カバー700は、既存の碍子100に現場で後付け可能である。工場におけるカバー700の装着は、碍子100のタイプによって決まり、端部取付具104、106が碍子100のコア110に取り付けられる前または取り付けられた後にカバー700を装着することができる。
【0044】
非オーバモールド碍子(すなわち、端部取付具104、106が組み付けられる前にハウジング112がコア110に成形される碍子)の場合、2つのカラー部材710A、710Bの側壁712A、712Bが、間にある碍子100のハウジング112の上端部114の少なくとも一部に位置合わせされる。本体701がハウジング112上へ下方に押されて、1つまたは複数の環状シェッド118がキャビティ703に受け入れられ、カラー部材710A、710Bの側壁712A、712Bおよびハウジング112の上端部114の一部が、上部開口部705を通って受け入れられるようになっている。本体701は、カラー部材710A、710Bのフランジ縁部714A、714Bが本体701の環状リップ709に係合または接触するまで下方に押される。
本体701の上壁706および/またはカラー704は、カラー部材710A、710Bの側壁712A、712Bに半径方向内向きの力を加え、それにより、ハウジング112の上端部114を側壁712A、712B間に固定する。
【0045】
オーバモールド碍子の場合、端部取付具104、106が碍子100のコア110に取り付けられ、ポリマーハウジング112がコア110の周りに成形された後に、カバー700が装着される。2つのカラー部材710A、710Bの側壁712A、712Bが、間にある碍子100のハウジング112の上端部114の少なくとも一部に位置合わせされる。カバー700は、コア110の上端部110Aに取り付けられた既存の端部取付具104上および2つのカラー部材710A、710B上に伸張される。本体701は、カラー部材710A、710Bのフランジ縁部714A、714Bが本体701の環状リップ709に係合または接触するまで下方に押される。本体701の上壁706および/またはカラー704は、カラー部材710A、710Bの側壁712A、712Bに半径方向内向きの力を加え、それにより、ハウジング112の上端部114を側壁712A、712B間に固定する。
【0046】
カバー700は、(例えば、
図6に示すアセンブリ600の一部としての)碍子100に配置されると、水の膜が碍子100のハウジング112および/またはシェッド118に形成されることを防ぐのを助け、したがって、ドライバンドアーク放電を生じさせ得る状態を軽減するのを助ける。加えて、カバー700は、碍子100の導電性端部間における碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離を増加させ、それにより、碍子100の損傷および/または最終的な故障を生じさせ得る電流漏れを軽減するのを助ける。
【0047】
一部の実施形態において、本明細書で説明したカバー200と同様に、カバー700は、上壁706から、かつ/または側壁の下縁部から半径方向外方に延びる1つまたは複数の環状フランジ縁部を含むことができ、碍子100の表面に沿った沿面距離または漏れ距離をさらに増加させるとともに、水および/または他の環境汚染物質の流れをカバー700の表面から、さらには碍子100から離れるように導くのを助ける。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバンドアーク放電を軽減するように構成されているアセンブリ(300)であって、前記アセンブリは、
配電線用ポリマー碍子(100)と、
カバー(200)と、を備え、
前記配電線用ポリマー碍子(100)は、
コア(110)と、
前記コアの両端部に取り付けられた2つの端部取付具(104、106)と、
前記コアを周方向に取り囲むハウジング(112)であって、前記ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部(114)および下端部(116)と、前記ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッド(118)とを含む、ハウジングと、
を含み、
前記カバー(200)は、側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)を含み、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が下部開口部(207)を画定し、前記上壁は上部開口部(205)を含み、前記下部開口部および前記上部開口部が前記キャビティに連通しており、
前記ハウジングの前記上端部の少なくとも一部が、前記カバーの前記上部開口部を通って受け入れられ、前記環状シェッドのうちの1つまたは複数が、前記カバーの前記キャビティ内に受け入れられている、アセンブリ。
【請求項2】
前記カバーは、前記上壁から上方に延びるカラー(204)をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記カラーの上縁部が、前記キャビティに連通する前記上部開口部を画定する、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記カバーの前記上部開口部は、前記碍子の前記ハウジングの前記上端部と締まり嵌めを形成するようにサイズ決めおよび構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記カバーの前記上壁の上面が、テーパ状であるか、または角度が付けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記カバーは、一体部品または単体部品として形成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記カバーは、前記上壁から半径方向外方に延びる第1の環状フランジ縁部(208A)をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記カバーは、前記側壁の前記下縁部から半径方向外方に延びる第2の環状フランジ縁部(208B)をさらに含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
配電線用碍子(100)のカバー(200)であって、前記カバーは、
側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)であって、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が、前記キャビティに連通する下部開口部(207)を画定し、前記カバーの前記上壁の上面が、テーパ状であるか、または角度が付けられている、本体と、
前記上壁から上方に延びるカラー(204)であって、前記カラーの上縁部が、前記キャビティに連通する上部開口部(205)を画定する、カラーと
を備え、
前記上部開口部は、前記碍子のハウジング(112)の少なくとも一部を受け入れるように構成され、前記キャビティは、前記碍子の前記ハウジングから半径方向外方に延びる1つまたは複数の環状シェッド(118)を受け入れるように構成されている、カバー。
【請求項10】
配電線用ポリマー碍子におけるドライバンドアーク放電を軽減するための方法であって、前記方法は、
コア(110)と、前記コアの両端部に取り付けられた2つの端部取付具(104、106)と、前記コアを周方向に取り囲むハウジング(112)とを含む、配電線用ポリマー碍子(100)であって、前記ハウジングは、それぞれの端部取付具にそれぞれ重なる上端部(114)および下端部(116)と、前記ハウジングの外面から半径方向外方に突出する、一連の軸方向に離間した環状シェッド(118)とを含む、碍子を設けることと、
側壁(202)と上壁(206)とを含む本体(201)を含むカバー(200)であって、前記側壁と前記上壁とは共にキャビティ(203)を画定し、前記側壁の下縁部が下部開口部(207)を画定し、前記上壁は上部開口部(205)を含み、前記下部開口部と前記上部開口部とは前記キャビティに連通している、カバーを設けることと、
前記カバーを前記碍子の前記ハウジング上へ下方に押して、前記碍子の1つまたは複数の環状シェッドが前記カバーの前記キャビティに受け入れられるようにすることと、
前記ハウジングの前記上端部の少なくとも一部が前記カバーの前記上部開口部を通って受け入れられるまで、前記カバーを下方に押し続けることと
を含む方法。
【外国語明細書】