(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019071
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】EMIエンクロージャを有する電力コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/66 20060101AFI20240201BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20240201BHJP
【FI】
H01R13/66
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120511
(22)【出願日】2023-07-25
(31)【優先権主張番号】17/876325
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】エヴァン ローレンス クレイグ
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB21
5E021FC16
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5E021MA11
5E021MA18
5E021MA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】EMIシールドを提供し電力コネクタのコンポーネントの効率的な熱管理を有する電力コネクタを提供する。
【解決手段】電力コネクタ100は電力プラグを受け入れるよう構成されるソケット102を含む前壁112を有するハウジング110を含みソケットにおける電力コンタクトに電気的に接続される、ハウジングにより保持される発熱する電気コンポーネント104を含む。電力コネクタのハウジングに結合するEMIエンクロージャはチャンバを画定する複数の壁を有する。ハウジング、電力コンタクト、電気コンポーネントはチャンバに受容される。EMIエンクロージャの複数の壁は電気コンポーネントの為のEMIシールドを提供する。EMIエンクロージャは電気コンポーネントからの熱を放散するために電気コンポーネントに熱的に結合するフラップ熱インターフェースを有する、EMIエンクロージャの1つの壁からチャンバへと延びるフラップを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力コネクタ(100)であって、
- 電力プラグを受け入れるように構成されているソケット(102)を含む前壁(112)を有するハウジング(110)と、
- 前記ハウジングにより保持されている複数の電力コンタクト(120)であって、前記複数の電力コンタクトは、前記電力プラグと嵌合するための前記ソケットにおける嵌合端部を有する、複数の電力コンタクト(120)と、
- 前記ハウジングにより保持されている電気コンポーネント(104)であって、前記電気コンポーネントは、前記複数の電力コンタクトのうちの少なくとも1つに電気的に接続され、前記電気コンポーネントは、発熱コンポーネントである、電気コンポーネント(104)と、
- 前記ハウジングに結合するEMIエンクロージャ(200)であって、前記EMIエンクロージャは、チャンバ(204)を画定する複数の壁(202)を有し、前記ハウジングは、前記チャンバに受け入れられ、前記複数の電力コンタクトは、前記チャンバに受け入れられ、前記電気コンポーネントは、前記チャンバに受け入れられ、前記EMIエンクロージャの前記複数の壁(202)は、前記電気コンポーネントのためのEMIシールドを提供し、前記EMIエンクロージャは、前記複数の壁(202)のうちの第1の壁(214)から前記チャンバへと延びる第1のフラップ(230)を含み、前記第1のフラップは、前記第1の壁(214)に対して屈曲可能であり、前記第1のフラップは、前記電気コンポーネントからの熱を放散するために前記電気コンポーネントに熱的に結合するフラップ熱インターフェース(250)を含む、EMIエンクロージャ(200)と、
を備える電力コネクタ(100)。
【請求項2】
前記第1のフラップ(230)は、前記第1の壁(214)からスタンピングされている、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項3】
スロット(232)が、前記第1の壁(214)において前記第1のフラップ(230)と前記第1の壁の第1の壁部との間に画定され、
前記スロットは、前記第1のフラップを前記第1の壁部から熱的に分離する、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項4】
前記第1のフラップ(230)と前記電気コンポーネント(104)との間の電気絶縁体をさらに備え、
前記電気絶縁体は、熱伝導性である、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項5】
前記電気絶縁体は、可撓膜を含み、前記可撓膜は、前記可撓膜上にサーマルパッド(146)を有し、
前記サーマルパッドは、熱伝導性であり、
前記サーマルパッドは、前記第1のフラップ(230)と前記電気コンポーネント(104)との間に位置する、
請求項4に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項6】
前記第1の壁は、第1の側壁(214)であり、
前記複数の壁は、前記第1の側壁とは反対側の第2の側壁(216)、前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延びる第1の端壁(210)、および前記第1の側壁と前記第2の側壁との間に延びる第2の端壁(212)を含み、
前記複数の壁は、後壁(218)および前記チャンバ(204)の後部を含む、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項7】
前記EMIエンクロージャ(200)は、前記複数の壁のうちの第2の壁(216)から前記チャンバ(204)へと延びる第2のフラップ(230)を含み、
前記第2のフラップは、第2のフラップ熱インターフェース(250)を含む、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項8】
前記第2の壁(216)は、前記第1の壁(214)に平行であり、前記第1の壁とは前記チャンバ(204)の反対側にある、
請求項7に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項9】
前記第2の壁(212)は、前記第1の壁(214)から延び、前記第1の壁に垂直な向きに配されている、
請求項7に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項10】
前記第2のフラップ(230)は、前記チャンバ(204)に配置されている第2の電気コンポーネント(104)に熱的に結合する、
請求項7に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項11】
前記第1の壁は、前記チャンバへと延びる第2のフラップを含み、
前記第2のフラップは、前記第1のフラップから独立して屈曲可能である、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項12】
前記第2のフラップは、前記第1のフラップに埋め込まれている、
請求項11に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項13】
前記電気コンポーネントは、前記ハウジングに保持されているヒューズに電気的に接続されているヒューズコンタクトであり、
前記第1のフラップの前記フラップ熱インターフェースは、前記ヒューズコンタクトからの熱を放散するために前記ヒューズコンタクトに熱的に結合する、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項14】
前記第1のフラップは、前記第1のフラップの近位端におけるヒンジ、および前記第1のフラップの遠位端における先端部を含み、
前記フラップ熱インターフェースは、前記先端部の近傍に配置され、
前記第1のフラップは、前記近位端と前記遠位端との間の側縁部を有する台形形状であり、
前記側縁部は、互いに非平行に傾斜しており、
前記近位端は、前記遠位端よりも長い、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【請求項15】
前記第1の壁は、スロットにより前記第1のフラップから分離されている壁部を含み、
前記スロットは、前記第1のフラップを前記壁部から熱的に分離し、
前記壁部は、前記第1のフラップが前記電気コンポーネントからの熱を放散している場合、前記第1のフラップよりも低い温度を有する、
請求項1に記載の電力コネクタ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の主題は、概して電力コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電力コネクタは、機器において、機器に電力を供給するために用いられる。例えば、電力コネクタは、電力プラグからの電力供給を受け取る電力ソケットにおける電力端子を有するパワーエントリーモジュールであってよい。ある機器の場合には、電力コネクタのコンポーネントを導電性エンクロージャの内側に配置することで、それらのコンポーネントまたは外部の電気コンポーネントを電磁干渉(EMI)から保護することが望ましいことがある。ある機器の場合には、電力コネクタのEMIフィルタにコモンモードコイルを設けることが望ましいことがある。ある機器の場合には、例えば電力コネクタにおいて電力回路をオンまたはオフにするために、電力コネクタにスイッチを設けることが望ましいことがある。ある機器の場合には、電力コネクタにヒューズを設けることが望ましいことがある。
ヒューズは、ヒューズを通過する電流が特定のアンペア数を超えた場合に溶融して回路を遮断するワイヤまたはストリップからなる電気的な安全コンポーネントである。ヒューズが溶断すると、すなわちワイヤまたはストリップが溶融すると、回路を再構築するためにヒューズを交換する必要がある。電力コネクタ内のコンポーネントは、熱を発生させる。例えば、端子、ヒューズ、スイッチ、コモンモードコイル、または他のコンポーネントは、電力コネクタ内に熱を発生させる場合がある。
【0003】
コンポーネントが、例えばエンクロージャ内に収まるように、小さいパッケージに配置される場合には特に、コンポーネントの熱管理が困難である。エンクロージャは、熱伝導性材料から作製される連続的な表面を含む。エンクロージャの表面は、表面にわたってより高温の領域からより低温の領域へと容易に熱を伝達し、それにより、より低温の領域を加熱し、より高温の領域を冷却する。しかしながら、そのような熱伝達は、エンクロージャ内の一部のコンポーネントまたは材料をエンクロージャ内の他のコンポーネントまたは材料よりも低い温度に意図的に維持する能力の妨げとなる場合がある。加えて、エンクロージャの剛性の表面は、内部のコンポーネントおよび材料の位置に対して適応することができない。この結果、熱伝導性の低い空隙が生じ、それにより、コンポーネントとエンクロージャとの間の熱伝達が妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EMIシールドを提供し、電力コネクタのコンポーネントの効率的な熱管理を有する電力コネクタが、依然必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解決策は、電力コネクタにより提供され、電力プラグを受け入れるように構成されるソケットを含む前壁を有するハウジングを含む。電力コネクタは、ハウジングにより保持される複数の電力コンタクトを含む。電力コンタクトは、電力プラグと嵌合するためのソケットにおける嵌合端部を有する。電力コネクタは、ハウジングにより保持される電気コンポーネントを含む。電気コンポーネントは、電力コンタクトのうちの少なくとも1つに電気的に接続される。電気コンポーネントは、発熱コンポーネントである。電力コネクタは、ハウジングに結合するEMIエンクロージャを含む。EMIエンクロージャは、チャンバを画定する複数の壁を有する。ハウジングは、チャンバに受け入れられる。電力コンタクトは、チャンバに受け入れられる。
電気コンポーネントは、チャンバに受け入れられる。EMIエンクロージャの壁は、電気コンポーネントのためのEMIシールドを提供する。EMIエンクロージャは、壁のうちの第1の壁からチャンバへと延びる第1のフラップを含む。第1のフラップは、電気コンポーネントからの熱を放散するために電気コンポーネントに熱的に結合するフラップ熱インターフェースを含む。
【0006】
ここで、添付の図面を参照して、例として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的実施形態に係る電力コネクタの斜視図である。
【
図2】例示的実施形態に係る電力コネクタのハウジングおよび他のコンポーネントを示すための、スナップ式フェイスプレートおよびスナップ式クリップ(
図1)を有する電力コネクタの一部分の前面斜視図である。
【
図3】ハウジングにより保持される様々な電気コンポーネントを示す、例示的実施形態に係る電力コネクタの一部分の後面斜視図である。
【
図4】ハウジングにより保持される様々な電気コンポーネント、および電気コンポーネントを取り囲む電気絶縁体を示す、例示的実施形態に係る電力コネクタの一部分の後面斜視図である。
【
図5】例示的実施形態に係る電気絶縁体の斜視図である。
【
図6】例示的実施形態に係るEMIエンクロージャの前面斜視図である。
【
図7】例示的実施形態に係るEMIエンクロージャの後面斜視図である。
【
図8】例示的実施形態に係る電力コネクタの一部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態において、電力コネクタが提供され、電力プラグを受け入れるように構成されるソケットを含む前壁を有するハウジングを含む。電力コネクタは、ハウジングにより保持される複数の電力コンタクトを含む。電力コンタクトは、電力プラグと嵌合するためのソケットにおける嵌合端部を有する。電力コネクタは、ハウジングにより保持される電気コンポーネントを含む。電気コンポーネントは、電力コンタクトのうちの少なくとも1つに電気的に接続される。電気コンポーネントは、発熱コンポーネントである。電力コネクタは、ハウジングに結合するEMIエンクロージャを含む。EMIエンクロージャは、チャンバを画定する複数の壁を有する。ハウジングは、チャンバに受け入れられる。電力コンタクトは、チャンバに受け入れられる。
電気コンポーネントは、チャンバに受け入れられる。EMIエンクロージャの壁は、電気コンポーネントのためのEMIシールドを提供する。EMIエンクロージャは、壁のうちの第1の壁からチャンバへと延びる第1のフラップを含む。第1のフラップは、電気コンポーネントからの熱を放散するために電気コンポーネントに熱的に結合するフラップ熱インターフェースを含む。
【0009】
別の実施形態においては、デバイスのための電力コネクタが提供される。電力コネクタは、提供され、電力プラグを受け入れるように構成されるソケットを含む前壁を有するハウジングを含む。電力コネクタは、提供され、ハウジングにより保持される電力コンタクトを含む。電力コンタクトは、電力プラグと嵌合するためのソケットにおける嵌合端部を有する。電力コネクタは、提供され、ハウジングにより保持される電力端子を含む。電力端子は、デバイスに電力を供給するためにデバイスのデバイス電力回路に電気的に接続されるように構成される終端端部を有する。電力コネクタは、提供され、ハウジングに結合するヒューズホルダを含む。ヒューズホルダは、ヒューズを保持するヒューズポケットを含む。ヒューズは、複数のエンドキャップ、およびエンドキャップの間のヒューズ線を有する。電力コネクタは、提供され、電力コンタクトに結合する入力ヒューズコンタクトを含む。
入力ヒューズコンタクトは、ヒューズの対応するエンドキャップに結合する入力コンタクトアームを含む。電力コネクタは、提供され、電力端子に結合する出力ヒューズコンタクトを含む。出力ヒューズコンタクトは、ヒューズの対応するエンドキャップに結合する出力コンタクトアームを含む。電力コネクタは、提供され、ハウジングに結合するEMIエンクロージャを含む。EMIエンクロージャは、チャンバを画定する複数の壁を有する。チャンバは、ヒューズ、入力ヒューズコンタクト、および出力ヒューズコンタクトを受け入れる。EMIエンクロージャの壁は、ヒューズのためのEMIシールドを提供する。EMIエンクロージャは、壁のうちの第1の壁からチャンバへと延びる第1のフラップを含む。第1のフラップは、入力ヒューズコンタクトおよび出力ヒューズコンタクトのうちの少なくとも1つに熱的に結合するフラップ熱インターフェースを含む。
【0010】
さらなる実施形態においては、電力コネクタのためのEMIエンクロージャが提供され、チャンバを画定する複数の壁を含む。壁は、第1の端壁、第2の端壁、第1の端壁と第2の端壁との間に延びる第1の側壁、および第1の端壁と第2の端壁との間に延びる第2の側壁を含む。壁は、チャンバの後部における後壁を含む。EMIエンクロージャは、第1の側壁からスタンピングされ、第1の側壁からチャンバへと延びる第1のフラップを含む。第1のフラップは、固定端および自由端を含む。第1のフラップは、第1のフラップの内面におけるフラップ熱インターフェースを含む。フラップ熱インターフェースは、電気コンポーネントからの熱を放散するために、チャンバに配置される電力コネクタの電気コンポーネントに熱的に結合するように構成される。
【0011】
図1は、例示的実施形態に係る電力コネクタ100の斜視図である。電力コネクタ100は、機器において、機器に電力を供給するために用いられる。例示的実施形態において、電力コネクタ100は、機器に電力を供給するために用いられるパワーエントリーモジュールである。電力コネクタ100は、器具、医療機器、コンピュータシステム、または他のタイプの機器において用いられてよい。例示的実施形態において、電力コネクタ100は、電源プラグを受け入れるように構成される電力ソケット102を含む。
【0012】
電力コネクタ100は、様々な電気コンポーネント104を保持するハウジング110を含む。電力コネクタ100は、電気コンポーネント104のための電気シールドを提供するEMIエンクロージャ200を含む。ハウジング110は、EMIエンクロージャ200に受け入れられる。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104の熱管理に用いられる。例えば、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104からの熱を放散するために用いられる。例示的実施形態において、電力コネクタ100は、ハウジング110の前部に結合するフェイスプレート106を含む。フェイスプレート106は、電力コネクタ100を機器に、例えば機器のシャーシ、筐体、またはパネルに装着するために用いられてよい。
【0013】
加えて
図2を参照すると、
図2は、電力コネクタ100のハウジング110および他のコンポーネントを示すための、スナップ式フェイスプレート106(
図1)およびスナップ式クリップを有する電力コネクタ100の一部分の前面斜視図である。ハウジング110は、前壁112、および前壁112から後方に延びる本体114を含む。本体114は、EMIエンクロージャ200に受け入れられる。ハウジング110は、ソケット102を画定する開口部またはレセプタクルを含む。
【0014】
例示的実施形態において、電気コンポーネント104は、電力コンタクト120、電力端子122(
図4に示す)、およびEMIコイルもしくはフィルタ124(
図4に示す)、スイッチ126、ヒューズ130、ヒューズコンタクト132(
図4に示す)、または、サーキットブレーカ、ソリッドステートコンポーネント、もしくは他の発熱コンポーネントなどの他のコンポーネントを含む。代替的実施形態においては、他のタイプの電気コンポーネント104が設けられてもよい。電力コンタクト120は、電力プラグに結合するように構成され、電力コネクタ100に対する電力入力部を画定する。電力端子122は、機器に電力を供給するために、機器に電気的に接続されるように構成される。例えば、電力端子122は、機器のワイヤまたは別の電気コネクタに接続されてよい。EMIフィルタ124は、RF放射を減衰させる受動回路である。
EMIフィルタ124は、電力コンタクト120および/または電力端子122に接続されてよい。スイッチ126は、電力コネクタ100を通した電力潮流を制御するために、電力コネクタ100をオンまたはオフにするために用いられる。ヒューズ130は、電力コンタクト120と電力端子122との間のヒューズ接続を提供する。ヒューズコンタクト132は、ヒューズ130を電力コンタクト120および電力端子122に電気的に接続する。例えば、ヒューズコンタクト132は、ヒューズ130の両端部に結合してよい。例示的実施形態において、ヒューズ130は、ハウジング110に対して移動可能なヒューズホルダ134に保持される。例えば、
図2に示すように、例えばハウジング110をEMIエンクロージャ200から取り外すことなくヒューズ130を交換するために、つなぎ留め式のヒューズホルダ134がハウジング110へと延びていてよい。
【0015】
電気コンポーネント104の一部または全ては、電力が電力コネクタ100を通して伝達されるときに、熱を発生させる場合がある。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104のうちの1つまたは複数からの熱を放散する。例えば、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104のうちの1つまたは複数に熱的に結合してよい。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104のうちの1つまたは複数からの熱放散を対象とする。例えば、EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104からの熱を放散するために、電気コンポーネント104を熱的に対象とする機構を含む。EMIエンクロージャ200は、様々な電気コンポーネント104の温度の増大を防止するために、様々な電気コンポーネント104を熱的に隔離する機構を含んでよい。例えば、EMIエンクロージャ200は、EMIエンクロージャ200の特定の領域への熱拡散を防止するための熱障壁を含んでよい。
【0016】
図3は、ハウジング110により保持される様々な電気コンポーネント104を示す、例示的実施形態に係る電力コネクタ100の一部分の後面斜視図である。
図4は、ハウジング110により保持される様々な電気コンポーネント104、および電気コンポーネント104を取り囲む電気絶縁体140を示す、例示的実施形態に係る電力コネクタ100の一部分の後面斜視図である。
図5は、例示的実施形態に係る電気絶縁体140の斜視図である。
図3および
図4は、電力コネクタ100の電気コンポーネント104を示すために、EMIエンクロージャ200を取り除いている。
【0017】
ハウジング110の本体114は、前壁112の後方に配置される。本体114は、様々な電気コンポーネント104を受け入れる空洞部118を形成する複数の壁116を含む。例えば、スイッチ126は、空洞部118のうちの1つに受け入れられてよい。他の空洞部は、EMIフィルタ124(
図4)および/または電力端子122(
図4)を保持してよい。壁116はまた、ソケット102を画定し、ソケット102へと延びる電力コンタクト120(
図3)を支持する。例示的実施形態において、壁116は、ヒューズコンタクト132を支持するポスト117を含む。ヒューズホルダ134(
図3)は、例えばポスト117の間において、空洞部118のうちの1つに受け入れられてよい。代替的実施形態においては、他の配置も可能である。
例えば、ハウジング110は、ハウジング110内の電気コンポーネント104を支持するための、他の壁116および/または空洞部118または他のタイプの支持機構を含んでもよい。
【0018】
例示的実施形態において、ヒューズホルダ134は、ハウジング110に摺動可能に結合し、伸長位置(
図2)と後退位置(
図3)との間で移動可能な摺動体である。ヒューズホルダ134は、ヒューズ130を保持する1つまたは複数のヒューズポケット135を画定するホルダクラスプを含む。例示的実施形態において、各ヒューズ130は、複数のヒューズエンドキャップ131、およびエンドキャップ131の間のヒューズ線133を含む。ヒューズ線133は、エンドキャップ131の間のヒュージブルリンクを画定する。ヒューズ線133は、過度に加熱された場合に溶融または溶断してよい。代替的実施形態においては、他のタイプのヒューズが用いられてもよい。
【0019】
ヒューズコンタクト132は、ヒューズ130の対応するエンドキャップ131に電気的に接続されるように構成される。様々な実施形態において、ヒューズコンタクト132のうちの一方は、ヒューズ130の入力側におけるエンドキャップ131に接続してよく、他方のヒューズコンタクト132は、エンドキャップ131およびヒューズ130の出力側に接続してよい。そのようなヒューズコンタクト132は、入力ヒューズコンタクト132aおよび出力ヒューズコンタクト132bと称されてよい。
【0020】
例示的実施形態において、各ヒューズコンタクト132は、ハウジング110に結合する、例えば対応するポスト117に結合するヒューズクリップ基部を画定する基部136を含む。各ヒューズコンタクト132は、基部136から延びる1つまたは複数のヒューズクリップコンタクトアーム137を含む。コンタクトアーム137は、エンドキャップ131に係合するように構成される。例えば、コンタクトアーム137は、エンドキャップ131に対してばね付勢されてよい。様々な実施形態において、コンタクトアーム137は、エンドキャップ131にクリップ留めされる。コンタクトアーム137は、分離可能な接合部においてエンドキャップ131に係合し、それにより、ヒューズ130を電力コネクタ100から容易に取り外すことが可能となる。
例示的実施形態において、各ヒューズコンタクト132は、ワイヤ139に結合するワイヤコンタクトまたはヒューズクリップステーク端子138を含む。ワイヤ139は、スイッチ126および/または電力端子122および/または電力コンタクト120などの別の電気コンポーネント104に配線されるジャンパ線であってよい。例示的実施形態において、入力ヒューズコンタクト132aは、電力コンタクト120に電気的に接続され、出力ヒューズコンタクト132bは、電力端子122に電気的に接続される。様々な実施形態において、ワイヤコンタクト138は、絶縁変位コンタクトであってよく、ワイヤ139は、ワイヤコンタクト138におけるワイヤスロットに圧入されてよい。代替的実施形態において、ワイヤコンタクト138は、ワイヤ139にはんだ付けされる。
【0021】
動作中、電力が電力コネクタ100を通して伝送されることに伴い、ヒューズ130および/またはヒューズコンタクト132が熱を発生させる。例えば、電力がヒューズ130およびヒューズコンタクト132を通して伝送されることに伴い、ヒューズ130および/またはヒューズコンタクト132の温度が増大する。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200(
図1および
図2)は、ヒューズコンタクト132およびヒューズ130からの熱を放散するために、ヒューズコンタクト132に熱的に結合するように構成される。例えば、基部136は、EMIエンクロージャ200をヒューズコンタクト132に熱的に接続するための熱インターフェースを画定する、ポスト117の外面に露出する大きい表面積を有する。
【0022】
動作中、電力が電力コネクタ100を通して伝送されることに伴い、電力コンタクト120および電力端子122が熱を発生させる。例えば、電力が電力コネクタ100を通して伝送されることに伴い、電力コンタクト120および電力端子122の温度が増大する。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、電力コンタクト120および/または電力端子122に熱的に結合するように構成される。例えば、電力コンタクト120の一部分および/または電力端子122の一部分が、EMIエンクロージャ200との熱的な接続のために、ハウジング110の外面の近傍に配置されてよい。
【0023】
例示的実施形態において、電力コネクタ100の組立て中、例えば電気コンポーネント104の全てがハウジング110に結合した後に、電気絶縁体140が、ハウジング110および/または電気コンポーネント104に結合してよい。電気絶縁体140は、電気コンポーネント104をEMIエンクロージャ200から電気的に絶縁するために用いられる。例えば、電気絶縁体140は、非導電性である。電気絶縁体140は、電気コンポーネント104を覆うようにハウジング110の外面を包囲してよい。
【0024】
例示的実施形態において、電気絶縁体140は、マイラーフィルムなどの可撓膜である。様々な実施形態において、電気絶縁体140は、可撓性回路基板であってよい。電気絶縁体140は、内面142および外面144を含む。例示的実施形態において、電気絶縁体140は、内面142および/または外面144に設けられる1つまたは複数のサーマルスプレッダパッド146を含む。サーマルパッド146は、熱伝導性である。例示的実施形態において、サーマルパッド146は、電気絶縁体140の材料よりも高い熱伝導性を有する。例えば、サーマルパッド146は、銅パッドまたは銀パッドなどの金属パッドであってよい。サーマルパッド146は、可撓膜に施される塗装または他の層であってよい。サーマルパッド146は、可撓膜におけるプリント回路であってよい。
サーマルパッド146は、発熱電気コンポーネント104と位置合わせされるように構成される電気絶縁体140の領域に効果的に配置される。例えば、サーマルパッド146は、ヒューズコンタクト132および/または電力コンタクト120および/または電力端子122に隣接する位置に設けられてよい。サーマルパッド146は、発熱電気コンポーネント104に熱的に結合し、発熱電気コンポーネント104からの熱を伝導し拡散するための大きい表面積を有してよい。他の実施形態において、電気絶縁体140は、サーマルパッド146を画定するための所定の領域に施される型抜きされた感圧金属テープの領域と配列される絶縁膜であってよい。
【0025】
様々な実施形態において、サーマルパッド146は、発熱電気コンポーネント104に直接係合するように内面142に設けられてよく、それにより、電気絶縁性の可撓膜は、EMIエンクロージャ200をサーマルパッド146から電気的に隔離するために、サーマルパッド146とEMIエンクロージャ200との間に配置されるように構成される。他の様々な実施形態において、サーマルパッド146は、EMIエンクロージャ200においてサーマルパッド146の間で熱を伝達するために、EMIエンクロージャに直接係合するように外面144に設けられる。そのような実施形態において、電気絶縁性の可撓膜は、サーマルパッド146と発熱電気コンポーネント104との間に配置されるように構成される。
様々な実施形態において、サーマルペースト、サーマルグリス、または他の熱インターフェース材料が、部品間の熱伝達を向上させるために、サーマルパッド146および/またはEMIエンクロージャ200(例えばサーマルフラップ)および/または電気コンポーネント104に設けられてよい。
【0026】
図6は、例示的実施形態に係るEMIエンクロージャ200の前面斜視図である。
図7は、例示的実施形態に係るEMIエンクロージャ200の後面斜視図である。
図7は、EMIエンクロージャ200により熱が放散されることに伴う、温度の異なる領域を示すサーモグラフである。EMIエンクロージャ200は、エンクロージャチャンバ204を画定する複数のエンクロージャ壁202を含む。チャンバ204は、ハウジング110および電気コンポーネント104(
図3および
図4に示す)を受け入れるように構成される。EMIエンクロージャ200の壁202は、電気コンポーネント104のためのEMIシールドを提供する。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200の壁202は、チャンバ204内の発熱電気コンポーネント104からの熱を放散するために用いられる。
【0027】
例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、金属材料などの導電性材料から製造される。様々な実施形態において、EMIエンクロージャ200は、より熱伝導性の低い鋼鉄材料に代えて、熱伝導性の高い銅材料またはアルミニウム材料から製造される。代替的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、他の熱伝導性の高い材料から製造されてもよい。EMIエンクロージャ200は、例えばニッケルめっきにより、めっきが施されてよい。他の様々な実施形態において、EMIエンクロージャ200は、塗装、例えば粉体塗装が施されてよい。塗装は、赤外放射を増大させるために高い放射率を有してよい。様々な実施形態において、EMIエンクロージャ200は、絞り加工部品として形成されてよい。他の様々な実施形態において、EMIエンクロージャ200は、スタンピングされて成形された部品であってよい。
【0028】
例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、概してボックス形状である。EMIエンクロージャ200は、第1の端壁210、および第1の端壁210とは反対側の第2の端壁212を含む。EMIエンクロージャ200は、第1の側壁214、および第1の側壁214とは反対側の第2の側壁216を含む。第1の側壁214および第2の側壁216は、第1の端壁210と第2の端壁212との間に延びる。EMIエンクロージャ200は、EMIエンクロージャ200の後部における後壁218を含む。様々な実施形態において、EMIエンクロージャ200は、第1の端壁210がEMIエンクロージャ200の頂壁を画定し、第2の端壁212がEMIエンクロージャ200の底壁を画定するような向きに配されてよい。ただし、代替的実施形態においては、他の向きも可能である。
【0029】
例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、EMIエンクロージャ200の前部における前部開口部220を含む。前部開口部220は、チャンバ204へのアクセスを提供する。例えば、ハウジング110および電気コンポーネント104は、前部開口部220を通してチャンバ204に搭載される。代替的実施形態においては、EMIエンクロージャ200がより多数または少数の壁を含んでもよく、それによりEMIエンクロージャ200の形状が変化してもよい。例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、EMIエンクロージャ200の前部におけるエンクロージャ装着フランジ222を含む。装着フランジ222は、前部開口部220を取り囲む。装着フランジ222は、機器に装着されるように構成される。
【0030】
例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、後壁218における後部開口部224を含む。後部開口部224は、ハウジング110の一部分および/または電気コンポーネント104の一部分を受け入れてよい。例えば、電力端子122は、機器の電気コネクタまたは電力ケーブルなどの別のコンポーネントとの電気的接続のために、後部開口部224を通して延びていてよい。例示の実施形態において、後部開口部224は、第2の端壁212の近くに配置される。
【0031】
例示的実施形態において、EMIエンクロージャ200は、チャンバ204へと延びる保持機構226を含む。保持機構226は、ハウジング110をチャンバ204に保持するために用いられる。例示の実施形態において、保持機構226は、チャンバ204へと延びる屈曲可能なかかりまたはラッチである。代替的実施形態においては、他のタイプの保持機構が用いられてもよい。例示的実施形態において、保持機構226は、EMIエンクロージャ200の対応する壁202からスタンピングされる。例えば、保持機構226は、第1の側壁214および第2の側壁216からスタンピングされてよい。保持機構226は、EMIエンクロージャ200の前部の近傍に配置されてよい。ただし、代替的実施形態においては、他の位置も可能である。
【0032】
EMIエンクロージャ200は、対応する壁202からチャンバ204へと延びる1つまたは複数のフラップ230を含む。例示的実施形態において、フラップ230は、壁202からスタンピングされ、チャンバ204へと内方に曲げられる。例えば、フラップ230は、スタンピングおよび成形プロセス中に形成されてよい。フラップ230は、壁202と一体であり、壁202から作製される。例示的実施形態において、スタンピングプロセス中に、フラップ230を所定の形状で形成するようにスロット232が壁202に切り抜かれ、フラップ230に沿ってかつ/またはフラップ230の周囲に壁部234が残る。様々な実施形態において、フラップ230は、台形形状を有してよい。台形形状により、電気コンポーネント104または電気絶縁体140におけるサーマルパッド146と密接に嵌合するための、フラップ230の力およびたわみのプロファイルを改善することができる。
フラップ230は、チャンバ204内の発熱電気コンポーネント104のより近くに延びるように、チャンバ204へと内方に曲げられる。そのため、フラップ230は、熱を発熱電気コンポーネント104から離すように効率的に伝達するために用いられる。EMIエンクロージャ200の壁202は、電気コンポーネント104からの熱を放散するためのヒートシンクを画定する。EMIエンクロージャ200の壁202は、EMIエンクロージャ200の周囲の空気流により空冷されてよい。例えばEMIエンクロージャ200に接続される別のヒートシンクデバイスから、追加のフラップが設けられてもよい。
【0033】
例示的実施形態において、側壁214、216の各々は、サイドフラップ236と称され得る対応するフラップ230を含む。サイドフラップ236は、対応する電気コンポーネント104とのインターフェースとなるように、チャンバ204の両側部に沿って側壁214、216から内方に延びる。例示的実施形態において、サイドフラップ236は、ハウジング110の両側におけるヒューズコンタクト132(
図3に示す)との熱的なインターフェースとなるように構成される。サイドフラップ236は、ヒューズコンタクト132からの熱を放散して、ヒューズ130からの熱を放散する。代替的実施形態においては、サイドフラップ236が他の電気コンポーネント104との熱的なインターフェースとなってもよい。各側壁214、216は、単一のサイドフラップ236または複数のサイドフラップ236を含んでよい。
【0034】
例示の実施形態において、側壁214、216は、サイドフラップ236に埋め込まれた入れ子サイドフラップまたは埋め込みサイドフラップ237を含む。例えば、埋め込みサイドフラップ237は、サイドフラップ236からスタンピングされる。埋め込みサイドフラップ237は、サイドフラップ236に対して独立して移動する。埋め込みサイドフラップ237は、サイドフラップ236とは異なる電気コンポーネント104または電気コンポーネント104の異なる領域との熱的なインターフェースとなってよい。例えば、サイドフラップ236は、対応するヒューズコンタクト132(例えば入力ヒューズコンタクト132a)との熱的なインターフェースとなってよく、埋め込みサイドフラップ237は、異なるヒューズコンタクト132(例えば出力ヒューズコンタクト132b)との熱的なインターフェースとなってよい。
【0035】
例示的実施形態において、第2の端壁212は、エンドフラップ238と称され得る、フラップ230のうちの1つまたは複数を含む。第2の側壁216は、単一のエンドフラップ238または複数のエンドフラップ238を含んでよい。エンドフラップ238は、電力端子122(
図4に示す)または他の電気コンポーネント104からの熱を放散するために、電力端子122または他の電気コンポーネント104との熱的なインターフェースとなってよい。代替的実施形態においては、第1の端壁210および/または後壁218などの他の壁が、フラップ230のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0036】
例示的実施形態において、各フラップ230は、フラップ230の近位端242におけるヒンジ240、およびフラップ230の遠位端246における先端部244を含む。例示的実施形態において、フラップ230は、近位端242と遠位端246との間の側縁部248を有する台形形状である。側縁部248は、互いに非平行に傾斜している。様々な実施形態において、遠位端246は、ヒンジ240に垂直に延びるフラップ230の中心軸に沿って近位端242に対して中心に配される。ただし、代替的実施形態においては、遠位端246が中心軸に対してオフセットされてもよい。近位端242は、遠位端246に概して平行な向きに配されてよい。様々な実施形態において、近位端242は、遠位端246よりも長い。ただし、代替的実施形態においては、遠位端246が近位端242よりも長くてもよい。
フラップ230は、ヒンジ240において壁部234にヒンジ結合する。フラップ230は、ヒンジ240においてチャンバ204へと内方に折り込まれてよい。ハウジング110および電気コンポーネント104がチャンバ204に搭載されると、フラップ230は、遠位端246をチャンバ204内に配置するようにチャンバ204へと内方に押し込まれて、ハウジング110および/または電気コンポーネント104とのインターフェースとなる。フラップ230は、電気コンポーネント104またはサーマルパッド146に係合すると、屈曲または変形することで、それらの間の熱伝達を向上させるために当該部品との接触を維持してよい。
【0037】
フラップ230は、先端部244の近傍に配置されるフラップ熱インターフェース250を含む。フラップ熱インターフェース250は、発熱電気コンポーネント104に熱的に結合するように構成される。フラップ熱インターフェース250は、発熱電気コンポーネント104とフラップ230との間で熱を効率的に伝達するための大きい表面積を有してよい。
【0038】
例示的実施形態において、埋め込みサイドフラップ237のヒンジ240は、サイドフラップ236のヒンジ240と一致する。ただし、代替的実施形態においては、埋め込みサイドフラップ237のヒンジ240は、サイドフラップ236のヒンジ240から離れていてもよく、例えばフラップ230内にあってもよく、または壁部234におけるフラップ237の外側を始点としていてもよい。様々な実施形態において、埋め込みサイドフラップ237の中心軸は、サイドフラップ236の中心軸と一致する。例えば、埋め込みサイドフラップ237およびサイドフラップ236のフラップ熱インターフェース250は、フラップ230の中心軸に沿って互いに位置合わせされてよい。ただし、代替的実施形態においては、埋め込みサイドフラップ237がサイドフラップ236に対してオフセットされてもよい。
【0039】
サイドフラップ236は、スロット232により壁部234から分離される。スロット232は、サイドフラップ236の3つの側部に沿って延びる。サイドフラップ236の第4の側部は、サイドフラップ236を壁部234に接続するヒンジ240を画定する。スロット232は、サイドフラップ236を壁部234から熱的に分離または隔離する。熱は、サイドフラップ236に沿って、フラップ熱インターフェース250から、サイドフラップ236の本体に沿ってかつヒンジ240にわたって、後壁部218へと伝達される。
【0040】
埋め込みサイドフラップ237は、スロット233によりサイドフラップ236から分離される。スロット233は、埋め込みサイドフラップ237の3つの側部に沿って延びる。埋め込みサイドフラップ237の第4の側部は、埋め込みサイドフラップ237をサイドフラップ236または壁部234に接続するヒンジ240を画定し、それにより、埋め込みサイドフラップ237は、サイドフラップ236とは相対的に独立して移動する。埋め込みサイドフラップ237は、電気コンポーネント104またはサーマルパッド146に接して独立して屈曲または変形してよい。入れ子になったスロット233は、埋め込みサイドフラップ237をサイドフラップ236から熱的に分離する。熱は、埋め込みサイドフラップ237に沿って、埋め込みフラップ熱インターフェース251から、埋め込みサイドフラップ237の本体に沿ってかつヒンジ240にわたって、サイドフラップ236および/または壁部234へと伝達される。
【0041】
フラップ熱インターフェース250および絶縁体サーマルパッド146のサイズ(例えば表面積)は、発熱電気コンポーネント104からEMIエンクロージャ200の壁202により画定されるヒートシンクへの熱伝達率に影響を及ぼす。例えば、フラップ熱インターフェース250および/または絶縁体サーマルパッド146のサイズが大きいほど、フラップ230への熱伝達負荷が大きくなり、フラップ230からの熱の放散が大きくなる。より大きいフラップ230は、発熱電気コンポーネント104からの熱をより迅速に放散することができる。同様に、フラップ230の断面が大きいほど、フラップ熱インターフェースからフラップの近位端242への熱伝達率が大きくなる。これに対し、スロット232は、フラップ230と壁部234との間の断熱層を形成する。
スロット232内の空気、および、それを内部コンポーネント104から分離し得る隣接する電気絶縁体140の材料が、断熱層を形成する。スロット232の形状により、フラップ230と壁部234との間における断熱層の配置が定まる。スロット232は、EMIエンクロージャ200内のより低温の領域を形成するために用いられてよい。より低温の領域は、EMIエンクロージャ200のチャンバ204内の熱に弱いコンポーネントに隣接して配置されるように設計されてよい。そのため、EMIエンクロージャ200は、互いに対して温度勾配の異なる領域、例えば高温の領域および低温の領域を有してよい。フラップ230およびスロット232の配置により、高温の領域およびより低温の領域の位置を制御することができる。
例えば、フラップ236および237は、ヒンジ240に隣接する後壁218への放散および伝導により冷却される高温の領域であってよく、一方でエンドフラップ238は、スロット232を越えヒンジ240から離れた壁部234への放散および伝導により冷却される低温の領域であってよい。
【0042】
例示的実施形態において、サイドフラップ236は、対応するスロット232により取り囲まれ、エンドフラップ238は、対応するスロット232により取り囲まれる。エンドフラップ238は、両方のスロット232、ならびに側壁202および端壁202の壁部234により、サイドフラップ236から分離される。壁部234は、熱を放散する。フラップ236、238は、発熱コンポーネントから壁202の壁部234へと熱を伝達する。例示的実施形態において、サイドフラップ236は、対応する近位端242および遠位端246を有し、エンドフラップ238は、対応する近位端242および遠位端246を有する。サイドフラップ236の遠位端246は、EMIエンクロージャ200の前部のより近くに配置される。
サイドフラップ236の近位端248は、後部および後壁218のより近くに配置される。サイドフラップ236からの熱は、側壁214、216の後部および後壁218へと伝達される。エンドフラップ238の遠位端246は、EMIエンクロージャ200の後部のより近くに配置される。エンドフラップ238の近位端248は、前部のより近くに配置される。エンドフラップ236からの熱は、端壁212の前部へと伝達される。熱はEMIエンクロージャの壁202を通して、例えばフラップ236、238の近位端248(例えば固定端)の間で壁部234により画定される、細長いまたは曲がりくねった経路を通して、放散される。この長い経路は、例えばフラップ236または238の一方が他方のフラップ236または238により加熱されることを抑制または回避するための、熱放散のための十分な表面積を提供する。
例示的実施形態において、サイドフラップ236の近位端248は、サイドフラップ236の(近位端248と遠位端246との間に画定される)第1の長さよりも大きく、エンドフラップ238の(近位端248と遠位端246との間に画定される)第2の長さよりも大きい離隔距離だけ、エンドフラップ238の近位端248から離れている。
【0043】
図8は、例示的実施形態に係る電力コネクタ100の一部分の断面図である。
図8は、ハウジング110および発熱電気コンポーネント104を取り囲むEMIエンクロージャ200を示す。EMIエンクロージャ200は、電気コンポーネント104のための電気シールドを提供する。EMIエンクロージャ200は、発熱電気コンポーネント104からの熱を放散するために用いられる。
【0044】
例示の実施形態においては、対応する電気コンポーネント104に熱的に結合する、サイドフラップ236のうちの一方および埋め込みサイドフラップ237のうちの一方が示されている。例示の実施形態において、サイドフラップ236および埋め込みサイドフラップ237は、それぞれ入力ヒューズコンタクト132aおよび出力ヒューズコンタクト132bに熱的に結合する。フラップ熱インターフェース250a、250bは、それぞれ入力ヒューズコンタクト132aおよび出力ヒューズコンタクト132bに熱的に結合する。フラップ236、237は、フラップ236、237とヒューズコンタクト132a、132bとの間の効率的な熱伝達を確実にするように、ヒューズコンタクト132a、132bに向かってばね付勢される。電気コンポーネント104との(例えば近接度に基づく)熱伝達を向上させるために、遠位端246a、246bは、壁部234よりも電気コンポーネント104の近くに配置される。
【0045】
電気絶縁体140は、フラップ236、237とヒューズコンタクト132a、132bとの間に配される。電気絶縁体140は、フラップ236、237をヒューズコンタクト132a、132bから電気的に隔離する。例示的実施形態において、サーマルパッド146a、146bは、フラップ236、237とヒューズコンタクト132a、132bとの間の熱伝達を向上させるために、電気絶縁体140の充填材料に沿って設けられる。例示の実施形態において、サーマルパッド146a、146bは、内面144に沿って設けられる。ヒューズコンタクト132a、132bは、サーマルパッド146a、146bに直接係合する。サーマルパッド146a、146bは、外面144に直接施される銅層であってよい。
サーマルパッド146a、146bは、フラップ236、237および/またはヒューズコンタクト132a、132bとの効率的な熱伝達を実現するための大きい表面積を有する。代替的実施形態においては、サーマルパッド146a、146bが外面144に沿って設けられてもよい。他の代替的実施形態においてはサーマルパッド146a、146bが、電気絶縁膜を間に挟んで内面142および外面144の両方に沿って設けられてもよい。
【外国語明細書】