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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019090
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】時計文字盤
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/14 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G04B19/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121510
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】22187649.3
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パヴィナト, アラン
(72)【発明者】
【氏名】タビュイ,オーレリアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】力をかけることなく、または非常に無視可能な量の力をかけることにより、クロックワークムーブメントに取り付け及び除去可能な文字盤を提案する。
【解決手段】文字盤足22は、切欠き23といった成形231であって、文字盤板に向けられ、板をクロックワークムーブメント10のフレーム11に対して押圧する機械的作用を受けることが意図され、成形に機械的作用が付与されると、足の軸A1に主として平行な方向に、弾性的及びまたは塑性的に変形するよう構成または配置された低剛性の第一区域40と、を含み、低剛性の第一区域は、成形に機械的作用が付与されると、主として変形または変形の大部分を経験可能な文字盤の部分を構成するように、低素材輪郭が設けられた部分を有するよう配置及びまたは構成され、より少ない剛性の第一区域は、足の軸に実質的に垂直に延長し、その一端で足の残部に組み入れられる、柔軟ブレードを形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字盤板(21)と、
足軸(A1)に沿って延長する少なくとも1つの文字盤足(22)であって、前記足軸(A1)は、例えば、前記文字盤板に垂直または実質的に垂直である、文字盤足と、
を含む、時計(300)用文字盤(20)であって、
前記少なくとも1つの足は、
成形(231)、とりわけ切欠き(23)といった成形(231)であって、前記文字盤板に向けられ、前記板をクロックワークムーブメント(10)に対して、特にクロックワークムーブメント(10)のフレーム(11)に対して押圧する機械的作用を受けることが意図される、前記成形(231)と、
前記成形(231)に前記機械的作用が付与されると、前記足の前記軸(A1)に主として平行な方向に、弾性的及びまたは塑性的に変形するよう構成または配置された低剛性の第一区域(40)と、
を含み、
前記低剛性の第一区域(40)は、前記成形(231)に前記機械的作用が付与されると、主として変形または前記変形の大部分を経験可能な前記文字盤の部分を構成するように、低素材輪郭が設けられた部分を有するよう配置及びまたは構成され、
前記低剛性の第一区域(40)は、前記足の前記軸(A1)に実質的に垂直に延長し、その一端で前記足の残部に組み入れられる、柔軟ブレードを形成する、
時計(300)用文字盤(20)。
【請求項2】
前記低剛性の第一区域(40)は、前記足(22)の末端端部に位置され、
前記成形(231)と、
前記足(22)の前記末端端部と、
の間の厚さ(e1)を有し、
前記第一厚さは、前記成形(231)と前記板(21)との間に発見される前記足の断面の最小の厚さ(e2)の、少なくとも2倍小さいまたは少なくとも3倍小さい
請求項1に記載の文字盤(20)。
【請求項3】
前記板と前記少なくとも1つの足は、一体鋳造である、または一体として成形される、
請求項1または2に記載の文字盤(20)。
【請求項4】
前記足(22)は、位置決め表面(221、241)を含み、前記表面(221、241)は、取り付け具(50)に対して及びまたはクロックワークムーブメント(10)に対して、特にクロックワークムーブメント(10)のフレーム(11)に対して、最小量の遊びを持って前記文字盤を位置決めすることが意図される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の文字盤(20)。
【請求項5】
前記位置決め表面(221、241)の1つまたは一部、または前記位置決め表面(221、241)の全ては、前記足の基部端部に配置される、
請求項4に記載の文字盤(20)。
【請求項6】
前記足(22)は、その上に前記位置決め表面(241)が形成される基部(24)を含み、前記基部は、前記足を横断する断面を有し、その断面積は、前記足の他の区域の断面積よりも大きい、
請求項4または5に記載の文字盤(20)。
【請求項7】
前記文字盤は、複数の足を、とりわけ2つの足または3つの足を含み、前記文字盤足は、互いに対して及びまたは前記文字盤に対して、60μmより小さい、または40μmより小さい、そして好ましくは20μmより小さい位置決め許容誤差により、位置決めされる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の文字盤(20)。
【請求項8】
クロックワークムーブメント(10)上に、特にクロックワークムーブメント(10)のフレーム(11)上に搭載されることが意図される、固定要素(30)、特にねじまたはラッチまたはキーまたは偏心器であって、前記固定要素(30)は、文字盤足(22)の成形(231)に対して押圧することが意図される押圧区域(31)を含み、前記固定要素(30)は、前記押圧区域(31)から文字盤足(22)の前記成形(231)へ機械的作用が付与されると、弾性的及びまたは塑性的に変形するよう構成または設計される低剛性の第二区域(41)を含む、
固定要素(30)。
【請求項9】
前記低剛性の第二区域(41)は、一端においてフレーム(11)に接続されることが意図される柔軟ブレードの形状の部分を示すよう配置及びまたは構成され、前記柔軟ブレードは、
足の軸(A1)に実質的に垂直に延長することが意図され、
前記成形(231)へ前記機械的作用が付与されると、とりわけ屈曲に、主として変形可能である、
請求項8に記載の固定要素(30)。
【請求項10】
足(22)を受ける少なくとも1つのハウジング(12)を含むクロックワークムーブメント(10)または足(22)を受ける少なくとも1つのハウジング(51)を含む取り付け具(50)と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の文字盤(20)及びまたは請求項8または9に記載の少なくとも1つの固定要素(30)と、
を含む、組立体(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの位置決め表面(221、241)と、
前記ハウジング(12、51)の1つと、
の間の半径方向間隙(j1)は、40μmより小さい、または25μmより小さい、そして好ましくは10μm以上である、
及びまたは
前記表面(221、241)を外接する最小円の直径(d1)の、
前記表面(221、241)と前記ハウジング(12、51)との間の前記半径方向間隙(j1)、
に対する比率は、好ましくは25より大きい、または50より大きい、または100より大きい、
請求項10に記載の組立体(100)。
【請求項12】
前記ハウジング(12、51)の少なくとも1つは、他の前記ハウジング(12)の前記方向に向けた長円断面を有する、
請求項10または11に記載の組立体(100)。
【請求項13】
請求項1から7のいずれか一項に記載の文字盤(20)、及びまたは
請求項8または9に記載の少なくとも1つの固定要素(30)、及びまたは
請求項10から12のいずれか一項に記載の組立体(100)
を含む、時計(300)、とりわけ腕時計。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計文字盤に関する。本発明はまた、文字盤を、時計のクロックワークムーブメントに固定する固定要素に関する。本発明はまた、当該文字盤及びまたは当該固定要素を含む、組立体に関する。本発明は最後に、当該組立体及びまたは当該文字盤及びまたは当該固定要素を含む、時計に関する。
【背景技術】
【0002】
文字盤足は、一般的には、溶接またはろう付けにより文字盤板に取り付けられる。文字盤板上へのこれら足の位置決めは、比較的不正確である。その結果、足は、一般的には、ムーブメントへ文字盤を組み立てる際に、文字盤の位置決めを修正するために、時計士が足をわずかに変形可能なように、寸法づけられている。
【0003】
スカートを用いて文字盤の周囲を介してムーブメント上へ文字盤を中央揃えさせることは既知の方法である。スカートは、ムーブメント上に、または文字盤上に配置されてもよい。当該解決策は、比較的正確な中央揃えを提供するものの、これら2つの部品は、このタイプの中央揃えの恩恵を受けるために同等のサイズである必要があることから、必然的にムーブメントのサイズに対して文字盤のサイズを抑制する。
【0004】
非特許文献1は、ハウジングに対して垂直に配置されたねじを単純に使用することにより、ハウジング内で文字盤足を横方向にクランプすることからなる、当業者に既知の解決策を開示する。足に対するねじの圧力は、足の半径方向変形を引き起こすことができる。
【0005】
特許文献1及び特許文献2は、当業者に既知の他の2つの解決策を開示する。これら文献は、それぞれキーと偏心器の形状を取るラッチが設けられた固定装置に関する。これらラッチは、装置が固定構成にあるときに、文字盤足を貫きそこに切欠きを形成することが意図されるナイフ形部分が設けられる。切欠きは、必然的に足の半径方向変形をもたらす。
【0006】
近年、一般的に用いられる固定装置は、特に足のせん断または加工硬化により、文字盤足を半径方向または横方向に変形する傾向にある。上述の半径方向変形は、以降の、文字盤を除去して文字盤をムーブメント上へ再取り付けする作業を複雑にしがちな永続的変形を暗示する。特に、これら変形は、クロックワークムーブメントに対する文字盤の組み立て/取り外しのために、機械的力が付与されなければならないことを意味する。更に、文字盤上の装飾の繊細な性質とその脆弱性のため、組み立てまたは取り外しの際に加えられる力が文字盤を変形または損傷しかねないため、文字盤にあらゆる感知可能な力が加えられることを防止することが最重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スイス国特許出願公開第1775367号明細書
【特許文献2】スイス国特許発明第610705号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「時計学理論(Theoried’horlogerie)」、Reymondin他、Federation des Ecoles Techniques出版、1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、本発明の目的は、従来技術から既知の文字盤を改善可能な時計文字盤を提供することである。特に、本発明は、力をかけることなく、または非常に無視可能な量の力をかけることにより、クロックワークムーブメントに取り付け及び除去可能な文字盤を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、時計文字盤は請求項1で定義される。
【0011】
文字盤の実施形態は、請求項2から7で定義される。
【0012】
本発明によれば、固定要素は請求項8で定義される。
【0013】
固定要素の一実施形態は、請求項9で定義される。
【0014】
本発明によれば、組立体は請求項10で定義される。
【0015】
組立体の実施形態は、請求項11及び12で定義される。
【0016】
本発明によれば、時計は請求項13で定義される。
【0017】
添付の図面は、例として、本発明にかかる時計の2つの実施形態を図示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明にかかる時計の第一実施形態の概略図である。
図2図2は、文字盤をムーブメント上に保持する構成にある、本発明にかかる組立体の第一実施形態の、部分的断面図である。
図3図3は、文字盤をムーブメントから解放する構成にある、本発明にかかる組立体の第一実施形態の、部分的断面図である。
図4図4は、文字盤と取り付け具とにより形成される組立体の、部分的断面図である。
図5図5は、図2及び3に図示する組立体の実施形態の変形例の、分解組立図である。
図6図6は、文字盤の一実施形態の、部分的断面図である。
図7図7は、文字盤をムーブメント上に保持する構成にある、本発明にかかる組立体の第二実施形態の、部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
時計300の第一実施形態を、図1から6を参照して以下に詳細に説明する。
【0020】
時計300は、例えば小型時計、特に腕時計である。時計300は、
- クロックワークムーブメント10と、
- 文字盤20と、
- 少なくとも1つの固定要素30、好ましくは2つまたは3つの固定要素30と、
を含む、組立体100を含む。
【0021】
固定要素30は、クロックワークムーブメント10上に文字盤20を固定することが意図される。
【0022】
組立体100は、外的環境から自身を保護するために、時計ケース内に搭載されることが意図される。
【0023】
クロックワークムーブメント10は、機械式ムーブメント、とりわけ自動ムーブメントであってもよく、ハイブリッドムーブメントであってもよい。代替的に、ムーブメントは、電子式ムーブメントであってもよい。
【0024】
文字盤20は、
- 文字盤板21と、
- 足軸A1沿いに延長する、少なくとも1つの文字盤足22と、
を含み、
少なくとも1つの足は、
- 成形231、とりわけ切欠き23といった成形231であって、文字盤板に向けられ、板をクロックワークムーブメント10に対して、特にクロックワークムーブメント10のフレーム11に対して押圧する機械的作用を受けることが意図される成形231と、
- 成形231に機械的作用が付与されると、足の軸A1に主として平行な方向に、弾性的及びまたは塑性的に変形するよう構成または配置された、低剛性の第一区域40と、
を含む。
【0025】
成形231は、ムーブメント10上へ文字盤を保持する機械的作用を、接触により、受けることが意図される面または表面を含む。成形231は、機械的作用を受けることが意図される面または表面が、作用の作用点において、(作用の作用点における成形の素材から発生する法線ベクトルNが)板に向けられた方向付けを有するという意味において、文字盤板に向けられる。好みにより、当該方向付けは、可能な限り、軸A1に平行である。
【0026】
好みにより、足の軸または複数の軸A1は、文字盤板に垂直または実質的に垂直である。更なる好みにより、軸または複数の軸A1は、足または複数の足の断面または複数の断面の中心を実質的に通過する。
【0027】
板21は、クロックワークムーブメント10のフレーム11に対して押圧することが意図される。文字盤20は、固定要素30を含む、1以上の固定装置により、フレーム11上に保持される。板21は、好ましくは、小型時計の装着者が見ることができる面を含む。当該面は、装飾されてもよい。板21はまた、好ましくは、時間情報または時間から派生する情報を示すために、針及びまたは円板といったインジケータと協働する、1以上の目盛り及びまたは1以上の窓を含む。
【0028】
文字盤20は、好ましくは、図示した第一実施形態のように2つの足22を、または3つの足を含む。少なくとも1つの足22は、フレーム11内に製造された、特に機械加工された、ハウジング12内に存在することが意図される。
【0029】
フレームに文字盤を固定するための少なくとも1つの装置、または各固定装置は、足22と固定要素30を含む。単純化のため、1つの固定装置のみを以下に詳細に説明する。しかしながら、組立体100または時計300は、好ましくは、文字盤足22と同数の固定装置を含む。
【0030】
足または複数の足22は、有利には、板21と一体に形成される。特に、足または複数の足22は、固体から文字盤板21と一体に機械加工されてもよい。このため、文字盤を得るために適用される機械加工技術は、文字盤20を製造するために使用される素材に依拠してもよい。このため、
- 板と、
- 足または複数の足と、
を含む文字盤20は、好ましくは、一体鋳造である。
【0031】
代替として、足または複数の足22は、
- 足ブランクを板ブランクへ取り付ける、とりわけ溶接またはろう付けにより取り付ける、その後
- 足が全体的にまたは主として、足ブランクの素材により形成され、板が全体的にまたは主として板ブランクの素材により形成されるように、全体を、または少なくとも足または複数の足を、機械加工する、
ことにより得られてもよい。
【0032】
代替的に、足または複数の足22は、電鋳法により、またはあらゆる鋳造技術により、板21と一体に形成されてもよい。必要に応じて、足は、機械加工を用いて仕上げられてもよい。
【0033】
このように、足または複数の足と板とは、(主として)異なる素材により製造されてもよい。
【0034】
文字盤は、有利には、真鍮といった、銅基素材製である。代替として、文字盤は、金または白金といった、他の、好ましくは延性の、素材製であってもよい。好みにより、ねじまたは固定要素30は、有利には、低剛性の区域40が大部分はまたは主として変形される区域であるように、例えば鋼など、文字盤よりも硬い素材から機械加工される。
【0035】
一般に、板は、とりわけ、以下の素材の1つから製造されてよい。
- 真鍮といった、銅基素材、
- 金または白金といった、貴金属。
【0036】
一般に、足または複数の足は、とりわけ、以下の素材の1つから製造されてよい。
- 真鍮といった、銅基素材、
- 金または白金といった、貴金属。
【0037】
上述の技術を用いて足または複数の足を得ることは、足または複数の足22が板21上に非常に正確に位置決めされることを可能にする。特に、当該足または複数の足は、例えば溶接またはろう付けにより取り付けられた場合に比べて、その後の機械加工による修正なくして、板上に(そして互いに対して)はるかに正確に位置決めされる。換言すれば、これら特性は、板21上の足または複数の足22の位置決めに高い度合いの正確性を享受することを可能にする。例えば、文字盤足は、互いに対して、60μmより小さい、または40μmより小さい、そして好ましくは20μmより小さい位置決め許容誤差により、位置決めされる。更なる例として、各文字盤足は、板に対して、60μmより小さい、または40μmより小さい、そして好ましくは20μmより小さい位置決め許容誤差により、位置決めされる。このため、これら位置決め許容誤差は、クロックワークムーブメント内での1つのブランクの他のブランクに対する位置決めの許容誤差と同程度である。足の位置決めにおける正確性は、40μmより小さい、または25μmより小さい、そして好ましくは10μm以上の、足22とハウジング12との間の半径方向間隙j1の恩恵を受けることを可能にする。
【0038】
図2は、文字盤足22の軸A1とフレーム11の中心を通過する平面Pに沿った断面を図示する。ここでは固定装置は、文字盤20をフレーム11上で又は上へ、保持及びまたは押圧するために、係止する第一構成E1にある、すなわち固定要素30が足22と協働する、とりわけ障害として作用する。
【0039】
ハウジング12は、有利には、文字盤のフレーム内への高い正確性の組立を保証するため、最小限の間隙j1により足22を包含するように、フレーム内に機械加工される。足22とハウジング12との間の精密な嵌め合わせは、ムーブメントに対する文字盤の位置決めのあらゆる修正が無用となるというものである。更に、足22とフレーム11のハウジング12との間の間隙J1は、文字盤に対して力を付与する必要なくして、または非常に無視可能な力のみを付与することにより、文字盤を組立または取り外し可能にするほど大きい。
【0040】
固定要素30は、足22上に、とりわけ機械加工により、形成された成形231と協働する傾向にある。固定要素30は、少なくとも2つの別個の構成に位置決めされてもよい。
【0041】
係止第一位置P1において、固定要素30は、文字盤をフレーム11に固定するため、成形231と、とりわけ足のスロットまたは切欠き23内において、接触で噛み合い、固定要素を図2に図示する係止する第一構成E1に構成する。
【0042】
解除第二位置P2において、固定要素30は、力を付与する必要なくして、または非常に無視可能な力のみを付与することにより、文字盤を解放可能にするため、成形231から、とりわけ足の切欠き23から、解放され、固定要素を図3に図示する解除第二構成E2に構成する。
【0043】
より具体的には、成形231は、固定要素30内に含まれる第一部分31と協働可能である。当該第一部分31が、係止第一構成E1において成形231と噛み合い、解除第二構成E2において成形231から解放される。有利には、固定要素30が第二から第一位置へ移動されると、当該第一部分31及びまたは成形231は、移動が進むにつれて、軸A1に沿って、足に対して軸方向の力が漸進的に付与されることを可能にする形状を有する。換言すれば、これら形状のおかげで、足に対する軸方向の力は、固定要素30の係止第一位置P1に向けた移動と共に漸進的に増加する。成形231と第一部分31との協働は、カム-31-フォロワ231型の連携に例えることができる。
【0044】
こうした形状または複数の形状は、有利には、
- 足の少なくとも一部のせん断、
- 足の少なくとも一部の、つぶれまたは加工硬化、あるいは
- 軸A1に対する足の横方向屈曲、
といった足の望ましくない変形を防ぐ、第一部分31と成形231との間の協働を可能にする。
【0045】
これを達成するため、当該形状または複数の形状は、軸方向変形の方向に対して、より具体的には軸A1に対して、傾斜する、とりわけ直角に傾斜する、直線または曲線線分が与えられる断面を有する。当該形状または複数の形状は、固定要素30の第一部分31の移動を、軸A1に沿った足22の軸方向移動及びまたは軸A1に沿った足22への軸方向の力、より具体的には軸A1に沿った成形231の軸方向移動及びまたは軸A1に沿った成形231への軸方向の力に変換することを可能にする。
【0046】
固定要素30は、時計士が固定要素30を、第一または第二位置P1、P2の少なくとも1つに位置させるよう、特に第一及び第二位置の1つから他方への移行を可能にするよう、作動することを可能にする、第二部分32を含む。第二部分32は、ねじ回し、またはピンセット、または木製またはプラスチック製合わせ釘といった時計製造工具と協働することが意図される。固定要素30は、フレーム11内に形成された雌ねじ切りねじ山と協働する、ねじ山を含んでもよい。
【0047】
固定要素30はまた、フレーム11に重みをかけがちな止め部33を含む。当該止め部33は、軸A1に対する足22の横方向または半径方向変形を引き起こす、固定要素30の過度の移動を防止するために、装置が係止第一構成E1にあるときに固定要素30の移動を制限する。
【0048】
前述のように、1つの足、いくつかの足、または全ての足は、有利には、低剛性のまたは好ましい変形の区域40を含む。当該低剛性の区域40は、固定要素30が係止第一構成E1にあるときに、軸方向に、即ち好ましくは軸A1に沿って、変形することが意図される。
【0049】
解除第二構成E2において、当該区域40は、圧迫されない。区域は、自身が製造される素材の弾性の影響下で、初期または静止構成に復帰可能である。
【0050】
有利には、区域40の形状は、
- 足または複数の足のフレーム11内への案内、
- 足または複数の足のフレーム11内の位置決めの正確性、
- ムーブメント内の文字盤の解体及びまたは組立が無視されること、
を引き起こしかねない、足22の横方向または半径方向変形を引き起こさないよう、足の軸方向変形を好むことが意図される。
換言すれば、係止第一構成E1において、区域40の変形は、(軸A1に垂直な)変形の他の方向の成分よりも実質的に大きな、軸A1に沿った、主として軸方向の変形の成分を含む。
【0051】
軸A1に沿った、主として軸方向の変形の成分は、区域40の屈曲及びまたは加工硬化の結果であってもよい。
【0052】
小さな半径方向間隙j1は、足の許容横方向または半径方向変形が、最小であり、当該間隙j1より小さくなければならないことを要求し、このため主として軸A1に沿って軸方向に変形することが意図される低剛性区域40を活用することが重要となる。
【0053】
区域40は、主として軸方向の力を足22に付与するように変形され、当該力は、文字盤20のクロックワークムーブメント10に対する最適な押圧を保証するように向けられる。
【0054】
区域40の変形は、塑性及びまたは弾性であってもよい。好みにより、変形は、文字盤の最適な押圧を保証するため、少なくとも部分的に弾性である。
【0055】
このため、区域40は、板21と足22の残部が、区域40に対してとりわけ無限に剛性であると見做されるように、文字盤の残部よりも低い軸方向剛性を有するように設計される。
【0056】
当該変形を理由として、低剛性の区域40は、有利には、第一構成E1において文字盤に付与される軸方向の力を制限することも可能にし、このため文字盤20の審美性を、そして特にその装飾を損なう可能性のある、板21の平坦性への欠陥を引き起こすことを防止することを可能にする。
【0057】
足22をより硬くし、区域40の軸方向変形を促進するため、足は、有利には、自身が文字盤板21と接触する領域に、基部24を含んでもよい。板との接合点は、足の基部端部に存在する。当該基部24は、より硬くするために、足22の他の区域の断面積よりも大きな断面積の、断面を有する。
【0058】
有利には、低剛性の区域40は、足の末端端部に形成される。
【0059】
好みにより、文字盤足の表面とこれら足を収容するハウジングの正確な創造の結果、文字盤20をフレーム11上に、平衡的態様で(そして静的に不確定(hyperstatic)な態様ではなく)位置決めすることを可能にする。特に、足22のそれぞれを収容することが意図されたハウジングは、別個の形状またはフォーマットを有してもよい。例えば、第一ハウジング12は円形または実質的に三角形であり、第二ハウジング12’は長円形状を、とりわけ少なくとも実質的に第一ハウジング12の方向に向けられた長円形状を有してもよい。換言すれば、第一ハウジング12は中央揃えを可能にしてもよく、第二ハウジング12’はフレーム11上の文字盤20の方向付けまたは整列を可能にしてもよい。このようなハウジングの長円形状は、図5に図示する。
【0060】
同じ目的のため、異なる形状またはフォーマットを有する複数の足22に関する静定された組立も認められる。
【0061】
上記の実施形態において、フレーム11はブランク、またはより具体的には、クロックワークムーブメント10のムーブメント板11である。
【0062】
足22は、ハウジング12と協働することが意図される全体的に円筒形状を有し、ハウジング12は、ムーブメント板11内に機械加工される円筒形穴の形状を取ってもよい。
【0063】
前述のように、第二ハウジング12’は、他の形状を、とりわけ文字盤の静定された組立を可能にするため第二足22と協働する長円形穴の形状を取ってもよい。
【0064】
好みにより、基部24も同様に、円筒形または全体的に円筒形状を有する。更なる好みにより、基部24は、軸A1と同軸である。基部24の長さは、有利には、足が最適な横方向または半径方向剛性を有することを保証するよう選択される。
【0065】
固定要素30は、好みにより、足22に垂直に、成形231に実質的に対向するように配置された、ねじ30であってもよい。より具体的には、ねじ30は、ムーブメント板11内に機械加工された、ハウジング12に垂直な、少なくとも部分的に雌ねじ切りされたハウジング13に位置する。
【0066】
成形231は、有利には、切欠き23の一面により束縛される。当該切欠きは、例えば、足22の円筒形部に機械加工される。切欠きは、例えば、足22の軸A1に垂直にまたは実質的に垂直に延長する側壁を有する、及びまたは軸Aに平行にまたは実質的に並行に延長する端部壁を有する、長方形または実質的に長方形の断面の機械加工により形成される。
【0067】
第二部分32は、有利には、とりわけ窪まった受け口の、またはねじ30内に機械加工されたスロット32の形状を有する。当該受け口32は、時計製造工具と、とりわけ時計製造ねじ回しと協働することが意図される。固定要素30を少なくとも第一及び第二位置P1、P2に位置させるために、そして固定要素30を係止及び解除構成E1、E2にそれぞれ位置させるために、この受け口経由で、時計士が固定要素30に作用可能である。
【0068】
止め部33は、ねじ30が含む頭部33により定義されてもよい。係止第一位置P1において、ねじ頭部33は、有利には、フレーム11と当接する。これは、ねじ30が極端にねじ込まれ、これにより係止第一構成E1において足22を(軸A1に対して)半径方向または横方向に変形させることを防止する。
【0069】
図示した実施形態において、低剛性の区域40は、(基部24を有し、板21と接触する端部とは反対の端部である)足22の末端端部に位置する。より具体的には、足22の当該末端端部における足は、図6に図示するように、切欠き23と、特に成形231と、当該足22の当該末端端部との間に残された(軸A1に沿って測定された)厚さE1の素材を有する。当該厚さE1は、とりわけ、区域40が低軸方向剛性の区域を構成するよう、寸法付けられる。換言すれば、区域40は、足22の一部を形成し、足の残部からまたは足の(舌部に対する)補完部から軸A1に垂直または実質的に垂直に延長する舌部40からなる。好みにより、当該舌部は、その全長にわたり一定の、厚さE1を有する。代替として、舌部の厚さE1は、舌部がそれに沿って延長する平面内で変化してもよい。特に、舌部の厚さは、足の補完部に近づくにつれて増加してもよい。上述の成形231は、この例示的実施形態において、舌部40の表面である。このため、低剛性の第一区域40は、機械的作用が成形231に付与されると、主として変形する傾向にある、または変形の大部分を経験する文字盤の部分を構成するように、低素材輪郭の部分を有するように配置され及びまたは構成されてもよい。加えて、低剛性の第一区域40は、足の軸A1に垂直に延長し、その端部の1つにおいて足の残部に組み入れられる舌部または柔軟ブレードを形成してもよい。
【0070】
図2及び3の実施形態において、第一部分31は、円錐形または円錐台状形状を有するねじ30の端部31である。当該端部31が、低剛性の区域40と、とりわけ切欠き23により形成された成形231と協働する傾向にあるのである。このため、固定要素30が解除第二構成E2から係止第一構成E1へ移行すると、端部31は徐々に切欠き23内に噛み合い、好ましくは成形231に対する円錐台状形状の押圧の結果、区域40の漸進的変形を引き起こす。これは、足22への主として軸方向の力をもたらす。
【0071】
力の方向に、そして力の影響下での足の変形の方向付けに、影響を有する可能性のある要因は複数あり、特に、
- 端部31の円錐形または円錐台状形状により形成される角度、
- 端部31と成形231との間の、摩擦係数、
- 軸A1に対する成形231の方向付け、
がある。
【0072】
力の軸方向成分を最大化させるために、例えば、
- 最大限、端部31の円錐形または円錐台状形状により形成される角度を最小化する、
- 最大限、端部31と成形231との間の摩擦係数を可能な限り最小化する、
- 成形231に垂直な方向を、軸A1に平行になるように向ける、
ことが可能である。
【0073】
好みにより、要素は、力が舌部の自由端部にまたは舌部の自由端部の近くに、即ち舌部が足の残部と接する接点からある程度の距離において付与されるように、構成及びまたは配置される。
【0074】
板21の厚さは、標準であっても、とりわけ0.25mm以上、または0.35mm以上、または0.4mm程度であってもよい。
【0075】
足の直径d1は、0.7mm以上、好ましくは0.95mmより大きい。直径d1は、足の表面221の、または足の表面221に外接する(または足22の断面の輪郭に外接する)最小円の直径であり、表面221は、文字盤を、フレーム11またはムーブメントに対して、ハウジング12内に案内または位置決めすることを可能にする。表面または複数の表面221は、とりわけ、文字盤を、少量の遊びのみをもって位置決め可能にする。
【0076】
足の直径d1(そしてより一般的には表面221に外接する最小円の直径)の、間隙j1に対する比率(d1/j1)は、好ましくは、25より大きい、または50より大きい、または100より大きい。
【0077】
足の長さl1は、好ましくは、足の直径d1の2倍より小さい、または足の直径d1の1.5倍より小さい。足の長さl1は、足の基部端部と末端端部との間の長さである。
【0078】
基部24の寸法は、
- 一方では、(以下で詳細に説明するように)ハウジングと協働する足の形状を損傷する危険性なくして文字盤を取り付け具内に位置決め可能にする、
- 他方では、文字盤足の嵌め込みをより硬くする、
のに十分である必要がある。
【0079】
これを達成するため、基部直径d2は、基部が、直径d1の足と比べて、そしてより一般的には足22の残部と比較して、無限に硬いと見做されるよう、少なくとも直径d1より大きく、好ましくは直径d1より1.5倍大きい。同様に、基部高さh1は、好ましくは、少なくとも足の全長l1の0.25倍に等しい。
【0080】
切欠き高さhは、固定要素30の第一部分31を、この場合ねじ30の端部31を受け入れ可能なように寸法付けされる。切欠きの深さpは、足21の剛性をあまり大きく毀損しないように選択される。好みにより、残りの素材の厚さe2(切欠きの端部と直径d1の案内表面の間の最大距離)は、足の半径r1より大きいr1=d1/2、または足の直径d1の2/3より大きい。
【0081】
ここで、低剛性の区域40は、文字盤を最適に押圧するのに十分な厚さe1を有する。厚さは、例えば、0.15mmより大きい、または0.2mm程度である。好みにより、厚さe1はまた、足が低剛性の区域40と比較して無限に硬いと見做されるよう、厚さe2の3倍小さい。このような形状により、低剛性の区域40は、厚さe2が測定される部分の足の断面の、所定の軸に平行な軸周りの断面二次モーメント(または慣性モーメント)よりも著しく低い、軸A1に垂直な、また低剛性の区域40が延長する方向に垂直な、所定の軸周りに、断面二次モーメント(または慣性モーメント)を有する断面を有してもよい。
【0082】
最後に、固定要素30の第一部分31の、切欠き23内への侵入は、区域40の、0.2mmより小さい、または0.15mmより小さい、または0.1mmより小さい、局所的変形、より具体的には局所的屈曲及びまたは加工硬化を引き起こすよう設計される。低剛性の区域40の変形は、塑性及びまたは弾性変形であってもよい。
【0083】
こうすることで、低剛性の区域40の変形により、固定要素30により引き起こされる文字盤板変形は、典型的には、0.1mmより小さい、または0.05mmより小さい、または0.015mmより小さい、欠陥のある平坦性となる。
【0084】
上述の実施形態の代替である、図7に図示する第二実施形態において、文字盤は、硬質及びまたは脆性素材製であってもよい。このため、低剛性区域41は、
- 文字盤よりも硬質ではない及びまたはより柔軟である、素材製となる、または
- 文字盤よりも硬質ではない及びまたはより柔軟である素材製の部分を含む、
固定要素30内に配置される。
【0085】
換言すれば、文字盤は、工業銘柄セラミック製であってもよく、固定要素30は、固定要素が係止第一構成E1にあるときに、変形し、成形231に、とりわけ文字盤足22の切欠き23内に押圧して留まる、低剛性区域を有する、鋼製のキーまたはブレードであってもよい。この場合、固定要素30が押圧する成形は、図1から6に図示する実施形態に関して説明した、足に配置された、低剛性の区域よりも硬い形状及びまたは素材を有してもよい。従って、押圧区域31から文字盤足22の成形231に機械的作用が付与されると、弾性的及びまたは塑性的に変形するよう構成または配置される低剛性の区域41を含むのは、固定要素30である。低剛性の区域41は、端部の1つにおいてフレーム11に接続されることが意図される、柔軟ブレードの形状内に部分を有してもよく、柔軟ブレードは、
- 足の軸A1に垂直に延長することが意図され、
- 機械的作用が成形231に付与されると、主として変形する傾向にある。
【0086】
上述のものへの更なる代替として、変形が足と固定要素との間で分配されるように、低剛性の区域は、足内及び固定要素30内に配置されてもよい。換言すれば、低剛性の区域は、足内と固定要素30内の2つの部分にわたり分配されてもよく、これら2つの部分は、互いに接触することが意図される。
【0087】
実施形態または変形例が何であれ、低剛性の区域の少なくとも一部分は、足に、とりわけ足の端部に取り付けられてもよい。例として、取り付けられた弾性ブレードは、低剛性の区域を構成することができる。このため、足は、一体鋳造でなくてもよい。
【0088】
本明細書で説明する文字盤は、円形且つ平坦形状のものである。しかしながら、実施形態または変形例が何であれ、文字盤は、あらゆる形状であってよい。特に、文字盤は、四角、長方形、楕円形、円形、またはあらゆる外形を有してよい。更に、文字盤は、とりわけ、
- 平坦、または
- ドーム形及び窪んだ、または
- ドーム形
であってもよい。
【0089】
実施形態や変形例が何であれ、足及びまたはハウジングは、非円形の、例えば実質的に三角形の断面を有してもよい。もちろん、ムーブメント内への文字盤の静定及びまたは正確な位置決めを可能にする他の全ての形状も想定可能である。
【0090】
更に、実施形態や変形例が何であれ、足及びまたはハウジングは、完全に円筒形ではなく、少なくとも部分的に円錐台形状であってもよく、または端部表面が曲げることにより形成されてもよい。このため、文字盤をムーブメント上へ組み付ける場合、文字盤のハウジング内への噛み合わせを簡単にすることができる。
【0091】
実施形態や変形例が何であれ、切欠き23は、実質的に長方形の断面以外の断面を有してもよい。断面は、例えば、三角形及びまたは円形形状であってもよい。
【0092】
実施形態や変形例が何であれ、固定要素30は、特許文献1及び特許文献2から既知の態様の、文字盤キーまたは偏心器またはブレードであってもよい。当該特許文献で開示する文字盤キーまたは偏心器またはブレードもまた、低剛性の区域に作用することにより、足をせん断することなく、成形231と協働する。もちろん、文字盤を成形と協働することにより係止することを可能にする、あらゆる他の手段も想定可能である。例えば、文字盤キーまたは偏心器またはブレードは、低剛性の区域を含み、文字盤をムーブメントに対して押圧するため、固定要素が係止第一構成E1にあるときに軸方向に変形してもよい。このため、足は、当該実施例においては変形を経験せず、または変形は非常に無視可能なものである。
【0093】
実施形態や変形例が何であれ、文字盤20を有するムーブメント10を含む組立体100がケース胴に収められると、文字盤20は、固定装置によりフレーム11上に保持されることに加えて、ムーブメントに対して押圧されるために、当該ケース胴に対して、またはフランジに対して、押圧することもできる。これは、ムーブメント上への文字盤の組み立てをより強固にでき、その位置により堅固に保持されることを保証する。
【0094】
実施形態や変形例が何であれ、文字盤は1以上の足を含んでもよい。複数の足を含む場合、文字盤は、
- 1つの足のみ、または
- 特定の足のみ、または
- 全部の足、
により、上記のようにフレーム11上に保持されてもよい。
【0095】
本発明はまた、
- 足22を受けるハウジング51を含む、取り付け具50と、
- 上述の文字盤20と、
を含む、図4に図示する組立体に関する。
【0096】
この場合、上述の基部または複数の基部24は、有利には、取り付け具50のハウジング51内に、より正確に文字盤20を位置決めするために用いられる。当該取り付け具は、有利には、文字盤の機械加工、装飾、または仕上げの作業の実施を可能にするために用いられる。当該取り付け具のおかげで、足の表面221であってハウジング12と協働することが意図される表面は、有利には、損害を受け、そのためムーブメント内での文字盤の位置決めを損なうことを防止するため、これら作業中マスキングされてもよい。好みにより、基部24は、図4に図示するように、足22とハウジング12との間の半径方向間隙j1のように小さい半径方向間隙j2により、ハウジング51内に嵌め合わされてもよい。基部24または複数の基部24は、取り付け具50に対してハウジングまたは複数のハウジング51内で、最小限の間隙の量で、文字盤を位置決めすることが意図される、位置決め表面241を含む。表面または複数の表面241は、好ましくは、足の基部端部に位置される。
【0097】
フレーム11への文字盤20の組み立てに関して上述したように、(異なるフォーマットの足及びまたは異なるフォーマットのハウジングによる)同様の静定された組立が、取り付け具50上への文字盤の位置決めについても好まれる。
【0098】
好みにより、基部24の長さまたは高さh1もまた、有利には、取り付け具50内の最適な案内を保証するよう選択される。
【0099】
上述の解決策は、ムーブメントに対する文字盤の最適な位置決めを可能にする。様々な既知の固定装置、とりわけ足を有する文字盤を用いるものとは異なり、上記解決策は、組立体内で高いレベルの正確性を提供し、ムーブメントに対する文字盤の位置の修正を無用にする。
【0100】
加えて、スカートが存在しない場合、これら解決策は、ムーブメントと同等なサイズである必要のない文字盤を使用する自由を提供する。更に、これら解決策は、クロノグラフやチャイムムーブメントといった、いくつかの制御部材がその周囲に設けられている時計、特にムーブメントに、特に良く適している。
【0101】
まとめると、そして換言すれば、解決策は、足を含む文字盤の形状を取り、その位置決めは非常に正確なものである。その結果、足とムーブメントとの間の組立間隙または適合は、有利には、機能的最小限まで減少可能である。
【0102】
特に、提案する解決策が提供する減少された間隙を理由として、文字盤の固定により様々な適合及び除去ステップ中にムーブメント内の足の形状的完全性を維持することが必要となる。なぜならば、足の横方向または半径方向変形は、ムーブメント内で足が詰まらせる、及びまたは文字盤の位置決めを損なわせるかもしれないからである。
【0103】
有利には、提案する解決策は、こうした問題を克服可能であると同時に、文字盤をムーブメントに対して遊びなくして押圧可能にする固定を提供する。これを達成するために、文字盤足は、とりわけ文字盤板と平行または一致する平面内で、足とムーブメントとの適合にあらゆる影響なくして、文字盤の固定手段が定められた区域で主として軸方向変形のみを生成可能なように形付けられる。
【符号の説明】
【0104】
10 クロックワークムーブメント
11 フレーム
12 ハウジング
20 文字盤
21 文字盤板
22 足
23 切欠き
24 基部
30 固定要素
31 端部
40 低剛性区域
41 低剛性区域
50 取り付け具
51 ハウジング
100 組立体
221 表面
231 成形
241 位置決め表面
300 時計

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】