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特開2024-19091ロック装置及びロック装置を有する車両用シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019091
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ロック装置及びロック装置を有する車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240201BHJP
   B60N 2/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121526
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】63/369,551
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平塚 亘
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を提供する。
【解決手段】ロック装置10は、ストライカ8が突入可能なスロット45を備えたケース21と、係止位置と解除位置との間で回動可能にケースに支持されたラッチ22と、係止位置にあるラッチと係合してラッチを係止位置に維持するロック位置と離脱位置との間で回動可能にケースに支持されたロック部材23と、ピニオン24Aを有する電動アクチュエータ24と、ピニオンと噛み合うと共にロック部材に第1リンク31を介して接続され、第1位置と第2位置との間で移動するラック26と、ラックと係合することによって、ラックが第1位置から第2位置に移動するときにラックが通過する往路と、ラックが第2位置から第1位置に移動するときにラックが通過する復路とを異ならせるガイド部27と、ラックを第1位置に付勢する付勢部材33とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカに着脱可能に結合するロック装置であって、
前記ストライカが突入可能なスロットを備えたケースと、
前記スロット内に突出して前記ストライカを係止する係止位置と、前記スロット外に退避した解除位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたラッチと、
前記係止位置にある前記ラッチと係合して前記ラッチを前記係止位置に維持するロック位置と、前記ラッチから離れた離脱位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたロック部材と、
前記ケースに支持され、出力部としてのピニオンを有する電動アクチュエータと、
前記ピニオンと噛み合うと共に前記ロック部材に第1リンクを介して接続され、第1位置と第2位置との間で移動するラックと、
前記ケースに設けられ、前記ラックと係合することによって、前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動するときに前記ラックが通過する往路と、前記ラックが前記第2位置から前記第1位置に移動するときに前記ラックが通過する復路とを異ならせるガイド部と、
前記ラックを前記第1位置に付勢する付勢部材とを有し、
前記ラックが前記第1位置にあるときに前記ラッチは前記係止位置にあり、前記ラックが前記第2位置にあるときに前記ラッチは前記解除位置にあり、
前記ラックが前記往路にあるときに前記ラックと前記ピニオンとが噛み合い、前記ピニオンの回転に応じて前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動し、
前記ラックが前記復路にあるときに前記ラックが前記付勢部材の付勢力によって前記第1位置側に移動するロック装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記ケースに設けられた環状のガイド溝であり、
前記ラックは、前記ガイド溝に係合するガイドピンを有し、
前記ガイド溝は、第1方向に沿って互いに平行に延びる第1溝及び第2溝と、前記第1溝の第1端と前記第2溝の第1端とを接続する第1接続溝と、前記第1溝の第2端と前記第2溝の第2端とを接続する第2接続溝とを有し、
前記第2溝は前記第1溝より前記ピニオンから離れて配置され、
前記第1溝及び前記第1接続溝は、前記ラックの前記往路を規定し、
前記第2溝及び前記第2接続溝は、前記ラックの前記復路を規定する請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記電動アクチュエータは、電動モータと、減速機とを有し、
前記ラッチ、前記ロック部材、前記ラック、前記ピニオン、前記ガイド部、及び前記付勢部材は、前記ケースの基板部の内面に設けられ、
前記電動モータ及び前記減速機は、前記ケースの前記基板部の外面に設けられ、
前記減速機の出力軸は、前記基板部を貫通して前記ピニオンと結合している請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記ピニオンの回転軸、前記ロック部材の回転軸、前記ラッチの回転軸は、互いに平行に延び、かつ前記第1方向に並んで配置され、
前記ラッチの回転軸と平行な方向から見て、前記電動アクチュエータの少なくとも一部が前記ラッチと重なりを有する請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記ラッチは、前記ラッチが前記解除位置にあるときに前記スロット内に突出する当接部を有し、
前記当接部が前記ストライカに押されることによって、前記ラッチが前記解除位置から前記係止位置に回動する請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
前記ラッチには、第2リンクが回動可能に支持され、
前記第2リンクは、接続孔を有し、
前記ロック部材は、前記接続孔内に突入する接続ピンを有し、
前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって、前記ラッチが前記係止位置から前記解除位置に回動可能になる請求項5に記載のロック装置。
【請求項7】
前記ロック部材は、前記ロック部材の回動軸と同軸に配置されたリング部を有し、
前記ラッチが前記係止位置にあり、かつ前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに、前記第2リンクが前記リング部の外周面に当接することによって、前記ラッチの前記解除位置への回動を規制する請求項6に記載のロック装置。
【請求項8】
前記付勢部材は、引っ張りコイルばねであり、前記ラックと前記第2リンクとに接続され、前記第2リンクが前記リング部と当接するように前記第2リンクを付勢する請求項7に記載のロック装置。
【請求項9】
前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって前記第2リンクが回動して前記リング部から離れる請求項8に記載のロック装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つの項に記載された前記ロック装置を有する車両用シートであって、
車体に対して回動可能に設けられたシートバックを有し、
前記ストライカは前記車体に設けられ、
前記ロック装置は前記シートバックに設けられている車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置及びロック装置を有する車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車体に対して回動可能に設けられたシートバックを車体に対して固定するためのロック装置を開示している。ロック装置は、ストライカを係止するラッチと、ラッチを係止位置に維持するロック部材と、ロック部材を回動させる電動モータとを有する。ロック部材はラッチに当接するロック位置と、ラッチから離れた離脱位置との間で回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1787857号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動モータによってロック部材を回動させる場合、ロック部材が離脱位置に到達した後も電動モータが駆動すると電動モータに過負荷が加わるという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を提供することを課題とする。また、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を有する車両用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、ストライカ(8)に着脱可能に結合するロック装置(10)であって、前記ストライカが突入可能なスロット(45)を備えたケース(21)と、前記スロット内に突出して前記ストライカを係止する係止位置と、前記スロット外に退避した解除位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたラッチ(22)と、前記係止位置にある前記ラッチと係合して前記ラッチを前記係止位置に維持するロック位置と、前記ラッチから離れた離脱位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたロック部材(23)と、前記ケースに支持され、出力部としてのピニオン(24A)を有する電動アクチュエータ(24)と、前記ピニオンと噛み合うと共に前記ロック部材に第1リンク(31)を介して接続され、第1位置と第2位置との間で移動するラック(26)と、前記ケースに設けられ、前記ラックと係合することによって、前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動するときに前記ラックが通過する往路と、前記ラックが前記第2位置から前記第1位置に移動するときに前記ラックが通過する復路とを異ならせるガイド部(27)と、前記ラックを前記第1位置に付勢する付勢部材(33)とを有し、前記ラックが前記第1位置にあるときに前記ラッチは前記係止位置にあり、前記ラックが前記第2位置にあるときに前記ラッチは前記解除位置にあり、前記ラックが前記往路にあるときに前記ラックと前記ピニオンとが噛み合い、前記ピニオンの回転に応じて前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動し、前記ラックが前記復路にあるときに前記ラックが前記付勢部材の付勢力によって前記第1位置側に移動する。
【0007】
この態様によれば、ラックが第2位置に到達すると、ラックがピニオンから離れるため、電動モータに過負荷が加わることが抑制される。これにより、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を提供することができる。
【0008】
上記の態様において、前記ガイド部は、前記ケースに設けられた環状のガイド溝(61)であり、前記ラックは、前記ガイド溝に係合するガイドピン(62)を有し、前記ガイド溝は、第1方向に沿って互いに平行に延びる第1溝(61A)及び第2溝(61B)と、前記第1溝の第1端と前記第2溝の第1端とを接続する第1接続溝(61C)と、前記第1溝の第2端と前記第2溝の第2端とを接続する第2接続溝(61D)とを有し、前記第2溝は前記第1溝より前記ピニオンから離れて配置され、前記第1溝及び前記第1接続溝は、前記ラックの前記往路を規定し、前記第2溝及び前記第2接続溝は、前記ラックの前記復路を規定してもよい。
【0009】
この態様によれば、ラックの往路と復路とを異ならせることができる。これにより、ラックが第2位置に到達したときに、ラックをピニオンから離すことができる。
【0010】
上記の態様において、前記電動アクチュエータは、電動モータ(24B)と、減速機(24C)とを有し、前記ラッチ、前記ロック部材、前記ラック、前記ピニオン、前記ガイド部、及び前記付勢部材は、前記ケースの基板部(21A)の内面に設けられ、前記電動モータ及び前記減速機は、前記ケースの前記基板部の外面に設けられ、前記減速機の出力軸(24D)は、前記基板部を貫通して前記ピニオンと結合してもよい。
【0011】
この態様によれば、ケースの側壁部の両面を利用してロック装置の各要素を配置することができるため、ロック装置を小型化することができる。
【0012】
上記の態様において、前記ピニオンの回転軸、前記ロック部材の回転軸、前記ラッチの回転軸は、互いに平行に延び、かつ前記第1方向に並んで配置され、前記ラッチの回転軸と平行な方向から見て、前記電動アクチュエータの少なくとも一部が前記ラッチと重なりを有してもよい。
【0013】
この態様によれば、ロック装置を小型化することができる。
【0014】
上記の態様において、前記ラッチは、前記ラッチが前記解除位置にあるときに前記スロット内に突出する当接部(22C)を有し、前記当接部が前記ストライカに押されることによって、前記ラッチが前記解除位置から前記係止位置に回動してもよい。
【0015】
この態様によれば、ストライカがスロット内に押し込まれたときに、ラッチが解除位置から係止位置に回動し、ストライカがラッチに係止される。
【0016】
上記の態様において、前記ラッチには、第2リンク(32)が回動可能に支持され、前記第2リンクは、接続孔(32A)を有し、前記ロック部材は、前記接続孔内に突入する接続ピン(23E)を有し、前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって、前記ラッチが前記係止位置から前記解除位置に回動可能になってもよい。
【0017】
この態様によれば、ロック部材がロック位置から離脱位置に回動することによって、ラッチが係止位置から解除位置に回動する。
【0018】
上記の態様において、前記ロック部材は、前記ロック部材の回動軸と同軸に配置されたリング部(23D)を有し、前記ラッチが前記係止位置にあり、かつ前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに、前記第2リンクが前記リング部の外周面に当接することによって、前記ラッチの前記解除位置への回動を規制してもよい。
【0019】
この態様によれば、第2リンクによってラッチが係止位置に確実に維持される。
【0020】
上記の態様において、前記付勢部材は、引っ張りコイルばねであり、前記ラックと前記第2リンクとに接続され、前記第2リンクが前記リング部と当接するように前記第2リンクを付勢してもよい。
【0021】
この態様によれば、第2リンクがリング部に当接した状態に維持される。
【0022】
上記の態様において、前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって前記第2リンクが回動して前記リング部から離れてもよい。
【0023】
この態様によれば、電動アクチュエータの駆動力がピニオン、ラック、第1リンクを介してロック部材に伝達され、ロック部材が回動することによってラッチの解除位置への回動が可能になる。
【0024】
本発明の他の態様は、上記の前記ロック装置を有する車両用シートであって、車体に対して回動可能に設けられたシートバック(4)を有し、前記ストライカは前記車体に設けられ、前記ロック装置は前記シートバックに設けられてもよい。
【0025】
この態様によれば、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を有する車両用シートを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のある態様は、ストライカ(8)に着脱可能に結合するロック装置(10)であって、前記ストライカが突入可能なスロット(45)を備えたケース(21)と、前記スロット内に突出して前記ストライカを係止する係止位置と、前記スロット外に退避した解除位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたラッチ(22)と、前記係止位置にある前記ラッチと係合して前記ラッチを前記係止位置に維持するロック位置と、前記ラッチから離れた離脱位置との間で回動可能に前記ケースに支持されたロック部材(23)と、前記ケースに支持され、出力部としてのピニオン(24A)を有する電動アクチュエータ(24)と、前記ピニオンと噛み合うと共に前記ロック部材に第1リンク(31)を介して接続され、第1位置と第2位置との間で移動するラック(26)と、前記ケースに設けられ、前記ラックと係合することによって、前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動するときに前記ラックが通過する往路と、前記ラックが前記第2位置から前記第1位置に移動するときに前記ラックが通過する復路とを異ならせるガイド部(27)と、前記ラックを前記第1位置に付勢する付勢部材(33)とを有し、前記ラックが前記第1位置にあるときに前記ラッチは前記係止位置にあり、前記ラックが前記第2位置にあるときに前記ラッチは前記離脱位置にあり、前記ラックが前記往路にあるときに前記ラックと前記ピニオンとが噛み合い、前記ピニオンの回転に応じて前記ラックが前記第1位置から前記第2位置に移動し、前記ラックが前記復路にあるときに前記ラックが前記付勢部材の付勢力によって前記第1位置側に移動する。
【0027】
この態様によれば、ラックが第2位置に到達すると、ラックがピニオンから離れるため、電動モータに過負荷が加わることが抑制される。これにより、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を提供することができる。
【0028】
上記の態様において、前記ガイド部は、前記ケースに設けられた環状のガイド溝(61)であり、前記ラックは、前記ガイド溝に係合するガイドピン(62)を有し、前記ガイド溝は、第1方向に沿って互いに平行に延びる第1溝(61A)及び第2溝(61B)と、前記第1溝の第1端と前記第2溝の第1端とを接続する第1接続溝(61C)と、前記第1溝の第2端と前記第2溝の第2端とを接続する第2接続溝(61D)とを有し、前記第2溝は前記第1溝より前記ピニオンから離れて配置され、前記第1溝及び前記第1接続溝は、前記ラックの前記往路を規定し、前記第2溝及び前記第2接続溝は、前記ラックの前記復路を規定してもよい。
【0029】
この態様によれば、ラックの往路と復路とを異ならせることができる。これにより、ラックが第2位置に到達したときに、ラックをピニオンから離すことができる。
【0030】
上記の態様において、前記電動アクチュエータは、電動モータ(24B)と、減速機(24C)とを有し、前記ラッチ、前記ロック部材、前記ラック、前記ピニオン、前記ガイド部、及び前記付勢部材は、前記ケースの基板部(21A)の内面に設けられ、前記電動モータ及び前記減速機は、前記ケースの前記基板部の外面に設けられ、前記減速機の出力軸(24D)は、前記基板部を貫通して前記ピニオンと結合してもよい。
【0031】
この態様によれば、ケースの側壁部の両面を利用してロック装置の各要素を配置することができるため、ロック装置を小型化することができる。
【0032】
上記の態様において、前記ピニオンの回転軸、前記ロック部材の回転軸、前記ラッチの回転軸は、互いに平行に延び、かつ前記第1方向に並んで配置され、前記ラッチの回転軸と平行な方向から見て、前記電動アクチュエータの少なくとも一部が前記ラッチと重なりを有してもよい。
【0033】
この態様によれば、ロック装置を小型化することができる。
【0034】
上記の態様において、前記ラッチは、前記ラッチが前記解除位置にあるときに前記スロット内に突出する当接部(22C)を有し、前記当接部が前記ストライカに押されることによって、前記ラッチが前記解除位置から前記係止位置に回動してもよい。
【0035】
この態様によれば、ストライカがスロット内に押し込まれたときに、ラッチが解除位置から係止位置に回動し、ストライカがラッチに係止される。
【0036】
上記の態様において、前記ラッチには、第2リンク(32)が回動可能に支持され、前記第2リンクは、接続孔(32A)を有し、前記ロック部材は、前記接続孔内に突入する接続ピン(23E)を有し、前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって、前記ラッチが前記係止位置から前記解除位置に回動可能になってもよい。
【0037】
この態様によれば、ロック部材がロック位置から離脱位置に回動することによって、ラッチが係止位置から解除位置に回動する。
【0038】
上記の態様において、前記ロック部材は、前記ロック部材の回動軸と同軸に配置されたリング部(23D)を有し、前記ラッチが前記係止位置にあり、かつ前記ロック部材が前記ロック位置にあるときに、前記第2リンクが前記リング部の外周面に当接することによって、前記ラッチの前記解除位置への回動を規制してもよい。
【0039】
この態様によれば、第2リンクによってラッチが係止位置に確実に維持される。
【0040】
上記の態様において、前記付勢部材は、引っ張りコイルばねであり、前記ラックと前記第2リンクとに接続され、前記第2リンクが前記リング部と当接するように前記第2リンクを付勢してもよい。
【0041】
この態様によれば、第2リンクがリング部に当接した状態に維持される。
【0042】
上記の態様において、前記ロック部材が前記ロック位置から前記離脱位置に回動するときに、前記接続ピンが前記接続孔の縁部を押すことによって前記第2リンクが回動して前記リング部から離れてもよい。
【0043】
この態様によれば、電動アクチュエータの駆動力がピニオン、ラック、第1リンクを介してロック部材に伝達され、ロック部材が回動することによってラッチの解除位置への回動が可能になる。
【0044】
本発明の他の態様は、上記の前記ロック装置を有する車両用シートであって、車体に対して回動可能に設けられたシートバック(4)を有し、前記ストライカは前記車体に設けられ、前記ロック装置は前記シートバックに設けられてもよい。
【0045】
この態様によれば、電動モータの過負荷を抑制することができるロック装置を有する車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施形態に係るシートの斜視図
図2】リッドを省略した、ロック装置の斜視図
図3】ロック装置の分解斜視図
図4】ロック装置の縦断面図
図5】ロック装置の要部を示す斜視図
図6】ロック状態におけるロック装置の説明図
図7】解除状態におけるロック装置の説明図
図8】ロック状態から解除状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
図9】ロック状態から解除状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
図10】ロック状態から解除状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
図11】ロック状態から解除状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
図12】解除状態からロック状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
図13】解除状態からロック状態に変化する過程におけるロック装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係るロック装置及びロック装置を備えた車両用のシートの実施形態について説明する。シートは、ワンボックスカー等の後列シートであってよい。
【0048】
図1に示すように、シート1は、フロア2に結合されたシートクッション3と、シートクッション3の後端に回動可能に支持されたシートバック4とを有する。シートバック4はシートクッション3の後端に左右方向に延びる軸線を中心として回動可能に支持されている。
【0049】
シートバック4は、シートクッション3の後端から上方に延びた使用位置と、シートクッション3の後端から前方に延び、シートクッション3上に折り重なった収納位置との間で回動する。
【0050】
車体にはストライカ8が設けられ、シートバック4にはストライカ8に着脱可能に結合するロック装置10が設けられている。ロック装置10がストライカ8と結合することによって、シートバック4は使用位置に維持される。ストライカ8は、車体の左右の側壁に設けられているとよい。ストライカ8は、側壁から左右内方に延びる棒状部を含み、略U字形に形成されているとよい。
【0051】
シートバック4は、シートバックフレーム14と、シートバックフレーム14に支持されたパッドと、パッドに被せられた表皮材とを有する。シートバックフレーム14は、上下に延びる左右のサイドメンバ17と、左右に延びて左右のサイドメンバ17の上端に結合されたアッパメンバ18と、左右に延びて左右のサイドメンバ17の下端に結合されたロアメンバ19とを有する。
【0052】
ロック装置10は、シートバック4のサイドメンバ17に結合されている。ロック装置10は、ケース21、ラッチ22、ロック部材23、電動アクチュエータ24、ラック26、ガイド部27、第1リンク31、第2リンク32、及び付勢部材33を有する。
【0053】
ケース21は、中空の箱形に形成されている。ケース21は、第1方向に沿って延びている。ケース21は、シートバック4のサイドメンバ17に結合される。ケース21は、ブラケット11によってサイドメンバ17に結合されているとよい。電動アクチュエータ24は、ケース21の外面に結合されているとよい。電動アクチュエータ24は、ケース21とサイドメンバ17との間に配置されるとよい。
【0054】
ケース21の延在方向である第1方向は、サイドメンバ17の延在方向と一致している。シートバック4が使用位置にあるとき、第1方向は上下方向と一致する。以下、シートバック4が使用位置にあるときを基準として、ロック装置10の各方向を説明する。
【0055】
図2図4に示すように、ケース21は、複数の部材を組み合わせて形成されているとよい。本実施形態では、ケース21は、アウタシェル41と、インナシェル42と、補強板43と、リッド44とによって構成されている。アウタシェル41は、第1方向に延びた板状の第1側壁41Aと、第1側壁41Aの縁部に設けられた第1縁壁41Bとを有する。インナシェル42は、板状の第2側壁42Aと、第2側壁42Aの縁部に設けられた第2縁壁42Bとを有する。インナシェル42は、アウタシェル41の内側に配置されている。第2側壁42Aは、補強板43を介して第1側壁41Aに結合されている。アウタシェル41及びインナシェル42は、樹脂によって形成されているとよい。補強板43は金属によって形成されているとよい。第1側壁41A、補強板43、及び第2側壁42Aは互いに積層され、ケース21の基板部21Aを形成している。他の実施形態では、アウタシェル41、インナシェル42、補強板43が単一の部材によって形成されてもよい。リッド44は、アウタシェル41の開口を閉じるように、アウタシェル41の第1縁壁41Bに結合される。
【0056】
ケース21には、ストライカ8が突入可能なスロット45が形成されている。スロット45は、ケース21の下部の後縁から前方に延びると共に、ケース21を左右方向に貫通している。スロット45は、アウタシェル41、インナシェル42、補強板43、及びリッド44に形成されている。補強板43は、スロット45の縁部の一部を画定しているとよい。図3に示すように、スロット45の底部には、可撓性を有するダンパ46が装着されているとよい。ダンパ46は、ゴム等によって形成され、補強板43に装着されているとよい。
【0057】
図2に示すように、ラッチ22は、ケース21に回動可能に支持されている。ラッチ22は、ケース21の内側に配置されている。ラッチ22は、ケース21に設けられた第1軸47に回動可能に支持されている。第1軸47は、インナシェル42の第2側壁42Aに設けられ、左右方向に延びている。第1軸47はラッチ22を左右方向に貫通している。ラッチ22は、左右方向に延びる第1軸47を中心として回動する。第1軸47は、スロット45より下方かつ前方に配置されているとよい。
【0058】
図6及び図7に示すように、ラッチ22は、スロット45内に突出してストライカ8を係止する係止位置と、スロット45外に退避した解除位置との間で回動可能である。ラッチ22は、第1軸47と直交する板状の本体部22Aを有する。本体部22Aの縁部には、外方に突出する係止爪22Bが設けられている。ラッチ22が係止位置にあるときに、係止爪22Bがスロット45内に突出してストライカ8を係止する。図7に示すように、ラッチ22が解除位置にあるときに、係止爪22Bはスロット45外に退避する。ラッチ22が解除位置から係止位置に回動するときに、係止爪22Bは上方に移動し、下方からスロット45内に突出する。ラッチ22の解除位置は、ラッチ22がケース21に当接することによって定まっている。ラッチ22は解除位置において、補強板43によって形成されるストッパ48に当接するとよい。
【0059】
ラッチ22は、ラッチ22が解除位置にあるときにスロット45内に突出する当接部22Cを有する。当接部22Cは、本体部22Aの縁部から外方に突出している。当接部22Cは、ストライカ8と当接するカム面を有する。ラッチ22が解除位置にあるときに、カム面は上方に向けて後方に傾斜している。ストライカ8がカム面を前方に押すと、当接部22Cには上向きの力が加わり、ラッチ22が解除位置から係止位置に回動する。すなわち、当接部22Cがストライカ8に押されることによって、ラッチ22が解除位置から係止位置に回動する。右方向から見て、ラッチ22は解除位置から係止位置に第1軸47を中心として時計回りに回転する。
【0060】
図2及び図6に示すように、ラッチ22の本体部22Aの縁部には、第1軸47側に凹むロック溝22Dが設けられている。ロック溝22Dは、ラッチ22を左右方向に貫通している。ロック溝22Dには、ロック部材23が係合する。ラッチ22が係止位置にあるときに、ロック溝22Dは第1軸47の上方に位置する。
【0061】
ロック部材23は、ケース21に回動可能に支持されている。ロック部材23は、ケース21の内側に配置されている。ロック部材23は、ケース21に設けられた第2軸51に回動可能に支持されている。第2軸51は、インナシェル42の第2側壁42Aに設けられ、左右方向に延びている。第2軸51はロック部材23を左右方向に貫通している。ロック部材23は、左右方向に延びる第2軸51を中心として回動する。第2軸51は、スロット45より上方かつ前方に配置されているとよい。第2軸51は、第1軸47の上方に配置されているとよい。
【0062】
図6及び図7に示すように、ロック部材23は、係止位置にあるラッチ22と係合してラッチ22を係止位置に維持するロック位置と、ラッチ22から離れた離脱位置との間で回動可能となっている。右方から見て、ロック部材23は、第2軸51を中心とした反時計回りに回転することによってロック位置から離脱位置に移動する。
【0063】
ロック部材23は、第2軸51と直交する、板状の本体部23Aを有する。本体部23Aの縁部には第1凸部23B及び第2凸部23Cが設けられている。ロック部材23がロック位置にあり、かつラッチ22が係止位置にあるときに、第1凸部23Bはロック溝22Dに突入し、ロック溝22Dを係止する。ロック部材23がロック位置又は離脱位置にあるときに、第2凸部23Cは第1凸部23Bより上方に位置する。第2凸部23Cには、左右方向に延びる第3軸54が設けられている。
【0064】
図5に示すように、ロック部材23は、ロック部材23の回動軸と同軸に配置されたリング部23Dを有する。リング部23Dは本体部23Aから左方に突出し、第2軸51の外周に沿って延びている。リング部23Dの内周面は、第2軸51の外周面に摺接している。
【0065】
図2図4に示すように、電動アクチュエータ24は、ケース21に支持されている。電動アクチュエータ24は、出力部としてのピニオン24Aを有する。また、電動アクチュエータ24は、電動モータ24Bと、電動モータ24Bの回転を減速する減速機24Cとを有する。電動モータ24B及び減速機24Cは、ケース21の外側に配置されている。電動モータ24B及び減速機24Cは一体に形成されてもよい。電動モータ24B及び減速機24Cは、ケース21の外面に設けられている、電動モータ24B及び減速機24Cは、アウタシェル41の第1側壁41Aの外面に結合されているとよい。
【0066】
減速機24Cの出力軸24Dは、ケース21を貫通してピニオン24Aと結合している。減速機24Cの出力軸24Dは、アウタシェル41の第1側壁41Aを貫通しているとよい。ピニオン24Aは、ケース21の内側に配置されている。ピニオン24Aは、左右方向に延びる軸線を中心として回転する。ピニオン24Aは、第2軸51の上方に配置されているとよい。
【0067】
ピニオン24Aの回転軸、ロック部材23の回転軸である第2軸51、ラッチ22の回転軸である第1軸47は、互いに平行に延び、かつ上下方向(第1方向)に並んで配置されている。第1軸47、第2軸51、及びピニオン24Aは、上下方向に延びる仮想線上に配置されるとよい。ピニオン24Aは、インナシェル42の上方に配置されているとよい。ラッチ22の回転軸と平行な方向、すなわち左右方向から見て、電動モータ24Bの少なくとも一部がラッチ22と重なりを有するとよい。
【0068】
ラック26は、ピニオン24Aと噛み合うと共に、ロック部材23に第1リンク31を介して接続されている。ラック26は、上下方向に延び、ピニオン24Aの前方に配置されている。ラック26の下端には左右方向に延びる第4軸56が設けられている。第1リンク31の下端は第3軸54に回動可能に支持され、第1リンク31の上端は第4軸56に回動可能に支持されている。
【0069】
図6及び図11に示すように、ラック26は、第1位置と第2位置との間で移動する。第2位置は第1位置よりも上方に位置する。ガイド部27は、ラック26と係合することによって、ラック26の移動経路を規定する。ガイド部27は、ケース21に設けられている。ガイド部27は、ラック26と係合することによって、ラック26が第1位置から第2位置に移動するときにラック26が通過する往路と、ラック26が第2位置から第1位置に移動するときにラック26が通過する復路とを異ならせる。
【0070】
ガイド部27は、ケース21に設けられた環状のガイド溝61である。ガイド溝61は、アウタシェル41の第1側壁41Aの内面の上部に設けられているとよい。ガイド溝61は、ピニオン24Aの上方かつ前方に配置されているとよい。ガイド溝61は、左方に向けて凹み、右方に向けて開口している。ラック26は、ガイド溝61に係合するガイドピン62を有する。ガイドピン62は、ラック26の上端から左方に突出し、ガイド溝61に突入している。
【0071】
ガイド溝61は、上下方向(第1方向)に沿って互いに平行に延びる第1溝61A及び第2溝61Bと、第1溝61Aの上端(第1端)と第2溝61Bの上端(第1端)とを接続する第1接続溝61Cと、第1溝61Aの下端(第2端)と第2溝61Bの下端(第2端)とを接続する第2接続溝61Dとを有する。第2溝61Bは第1溝61Aよりピニオン24Aから離れて配置されている。第2溝61Bは、第1溝61Aの前方に配置されている。
【0072】
第1溝61Aの上端と第2溝61Bの上端とは、上下方向において同じ位置に配置されているとよい。右方から見て、第1接続溝61Cは、上方に向けて凸となるように湾曲しているとよい。第1溝61Aの下端は第2溝61Bの下端よりも下方に配置されている。第2接続溝61Dは後方に向けて下方に傾斜している。第1溝61A及び第1接続溝61Cは、ラック26の往路を規定する。第2溝61B及び第2接続溝61Dは、ラック26の復路を規定する。
【0073】
図6に示すように、ガイドピン62が第1溝61Aの下端に位置するとき、ラック26は第1位置に位置する。図11に示すように、ガイドピン62が第2溝61Bの上端に位置するとき、ラック26は第2位置に位置する。ラック26が第1位置から第2位置に移動するとき、ガイドピン62がラック26の往路を通過する。ラック26が第2位置から第1位置に移動するとき、ガイドピン62がラック26の復路を通過する。
【0074】
図6に示すように、ラック26が往路にあるとき、ラック26とピニオン24Aとは互いに噛み合っている。これにより、ピニオン24Aの回転に応じてラック26が移動する。一方、図7に示すように、ラック26が復路にあるとき、ラック26はピニオン24Aから離れている。これにより、ピニオン24Aが回転してもラック26は移動しない。
【0075】
図5に示すように、第2リンク32は、ラッチ22に回動可能に支持されている。ラッチ22の本体部22Aには、左方に突出した第5軸64が設けられている。第5軸64は、第1軸47の前方に配置されている。第2リンク32は、第5軸64に回動可能に支持されている。第2リンク32は、第5軸64と直交する板状に形成されている。第2リンク32は、第5軸64から上方に延びている。第2リンク32は、接続孔32Aを有する。接続孔32Aは左右方向に貫通している。接続孔32Aは、上下方向に延びている。接続孔32Aは、上端に向けて前後幅が狭くなっている。また、接続孔32Aは、下端に向けて前後幅が狭くなっている。第2リンク32は、ラッチ22及びロック部材23よりも左方に配置されている。
【0076】
ロック部材23は、接続孔32A内に突入する接続ピン23Eを有する。接続ピン23Eは、ロック部材23の本体部23Aから左方に突出している。ラッチ22及びロック部材23は、第2リンク32を介して接続されている。
【0077】
付勢部材33は、ラック26を第1位置に付勢する。付勢部材33は、引っ張りコイルばねである。第2リンク32は、第5軸64から前方に延びた係止部32Bを有する。付勢部材33は、ラック26と第2リンク32とに接続されている。詳細には、付勢部材33は、係止部32Bと第4軸56とに接続されている。
【0078】
付勢部材33は、第2リンク32がリング部23Dと当接するように第2リンク32を付勢する。右方から見て、付勢部材33は係止部32Bを上方に引っ張り、第5軸64を中心とした反時計回りに第2リンク32を回動させる。これにより、第2リンク32がロック部材23のリング部23Dの外周面に当接する。
【0079】
図2に示すように、ケース21の内側には、第1ガイド凸部68及び第2ガイド凸部69が設けられている。第1ガイド凸部68及び第2ガイド凸部69は、ラック26の背面に当接してラック26の姿勢を規制する。第1ガイド凸部68及び第2ガイド凸部69は、アウタシェル41の第1縁壁41Bに設けられているとよい。第1ガイド凸部68は、ピニオン24Aの前方に配置され、上下に延びている。第1ガイド凸部68は、アウタシェル41の第1縁壁41Bから後方に突出し、かつ上下に延びたリブであるとよい。第2ガイド凸部69は、第1ガイド凸部68の下方に設けられている。第2ガイド凸部69は、第1ガイド凸部68の下端と接続してもよい。第2ガイド凸部69は、第1ガイド凸部68よりも後方に突出している。
【0080】
図6は、ロック装置10のロック状態(初期状態)を示す。ロック状態では、ラック26が第1位置にある。ラック26が第1位置にあるときにラッチ22は係止位置にある。また、ロック部材23はロック位置にあり、第1凸部23Bがロック溝22Dに係合している。また、第2リンク32の上端縁がロック部材23のリング部23Dの外周面に当接している。第1凸部23Bがロック溝22Dに係合し、かつ第2リンク32の上端縁がロック部材23のリング部23Dの外周面に当接していることによって、ラッチ22の解除位置への回動が規制されている。また、ラック26は、ピニオン24Aと噛み合っている。ロック装置10のロック状態において、ストライカ8はスロット45内に配置され、係止爪22Bに係止されている。ラッチ22の解除位置への回動が規制されているため、ストライカ8はスロット45から離脱することはできない。
【0081】
図7は、ロック装置10の解除状態を示す。解除状態では、ラッチ22が解除位置にあり、当接部22Cがスロット45内に突出している。ラッチ22は、付勢部材33によって付勢され、解除位置に維持されている。また、付勢部材33は、ラック26を第1位置側に付勢している。ラック26に第1リンク31を介して接続されたロック部材23はロック位置側に付勢されている。しかし、ロック部材23の接続ピン23Eが接続孔32Aの下縁に当接することによって、ロック部材23は離脱位置とロック位置との中間部に位置する。これにより、ラック26は復路上において第2位置と第1位置との間に位置する。ロック装置10の解除状態において、ストライカ8はスロット45内に進入することができると共に、スロット45から離脱することができる。
【0082】
ロック装置10がロック状態から解除状態に変化する過程について説明する。ロック装置10をロック状態から解除状態に変化させるために、電動モータ24Bは予め設定された回転数だけ回転する。電動モータ24Bの駆動は、ユーザのスイッチ操作に応じて開始されるとよい。電動モータ24Bが駆動することによって、右方から見てピニオン24Aが反時計回りに所定の回転数だけ回転する。
【0083】
図8図11に示すように、ピニオン24Aの回転に応じてラック26が第1位置から第2位置に移動する。詳細には、ピニオン24Aが反時計回りに回転することによって、ピニオン24Aに噛み合うラック26は往路上を第1位置から第2位置に向けて移動する。このとき、ガイドピン62は、第1溝61Aを上方に移動する。ラック26に第1リンク31を介して接続されたロック部材23はロック位置から離脱位置に回動する。これにより、ロック部材23の第1凸部23Bがラッチ22のロック溝22Dから離脱する。同時に、ロック部材23に設けられた接続ピン23Eが接続孔32Aの縁部を上方かつ前方に押すことによって、第2リンク32が時計回りに回転し、第2リンク32の上端縁がリング部23Dの外周面から離れる。これにより、ラッチ22のロック位置から解除位置への回転が可能になる。そして、図8に示すように、付勢部材33の付勢力を受けてラッチ22が係止位置から解除位置に向けて回動する。このように、ロック部材23がロック位置から離脱位置に回動するときに、接続ピン23Eが接続孔32Aの縁部を押すことによって、ラッチ22が係止位置から解除位置に回動可能になる。
【0084】
図9及び図10に示すように、ガイドピン62が第1溝61Aの上端、すなわち第1接続溝61Cの後端に到達すると、ラック26の上端は前方への移動が可能になる。この状態でピニオン24Aが回転すると、図11に示すように、ラック26はピニオン24Aに押され、ラック26の上端が前方に移動する。このとき、ガイドピン62は第1接続溝61Cを前方に移動する。ガイドピン62が第1接続溝61C内を前方に移動するにつれて、ピニオン24Aとラック26とが徐々に離れる。ガイドピン62が第1接続溝61Cの中央部を前方に越えると、ラック26はピニオン24Aから完全に離れる。ラック26がピニオン24Aから離れると、ラック26は付勢部材33の付勢力によって下方に移動する。すなわち、ラック26が復路にあるときに、ラック26は付勢部材33の付勢力によって第1位置側に移動する。このとき、ガイドピン62は第1接続溝61Cの前部を前方かつ下方に移動し、その後に第2溝61Bを下方に移動する。接続ピン23Eが接続孔32Aの下縁に当接したときに、ラック26の下方への移動が停止する。これにより、ロック装置10は、図7に示す解除状態になる。電動モータ24Bの回転数(駆動量)は、少なくともラック26が第2位置に到達できるように設定されている。ガイドピン62が第2溝61Bを下方に移動するとき、ラック26の背部が第1ガイド凸部68に摺接することによって、ラック26の姿勢が定まる。
【0085】
ロック装置10が解除状態からロック状態に変化する過程について説明する。ストライカ8がスロット45に挿入されたときに、ロック装置10は解除状態からロック状態に変化する。ユーザは、シートバック4を収納位置から使用位置に回動させることによって、スロット45内にストライカ8を挿入させることができる。
【0086】
図12に示すように、スロット45内に挿入されたストライカ8は、スロット45内に突出した当接部22Cを前方に押す。これにより、ラッチ22は、付勢部材33の付勢力に抗して解除位置からロック位置に回動する。このとき、ラッチ22の本体部22Aの縁部はロック部材23の第1凸部23Bの縁部を押し、ロック部材23を反時計回りに少し回動させる。これにより、ラック26は、少し上方に移動する。
【0087】
図13に示すように、ラッチ22がロック位置に到達すると、係止爪22Bがスロット45内に突出してストライカ8を係止する。また、付勢部材33に付勢されて、第2リンク32が反時計回りに回動し、第2リンク32の上端縁がロック部材23のリング部23Dの外周面に当接する。このとき、第2リンク32はラッチ22のロック位置への回動に応じて下方に移動しているため、接続ピン23Eは接続孔32Aの下縁から上方に離れている。これにより、ロック部材23のロック位置への回動が可能になる。この状態で、付勢部材33の付勢力を受け、かつガイド部27にガイドされることによって、ラック26は第1位置に移動する。このとき、ガイドピン62は、第2溝61Bを下方に移動し、その後に第2接続溝61Dを下方かつ後方に移動する。また、ラック26が第1位置に移動する間に、ラック26の背部が第2ガイド凸部69と摺接することによって、ラック26の下部が後方に導かれる。第2接続溝61Dが下方に向けて後方に傾斜しているため、付勢部材33の付勢力を受けてラック26は下方かつ後方に移動して第1位置に到達する。第1リンク31を介してラック26に接続されたロック部材23は、ラック26の第1位置への移動に応じてロック位置に回動する。これにより、ロック部材23の第1凸部23Bがラッチ22のロック溝22Dに係合する。その結果、ロック装置10は、図6に示すロック状態になる。
【0088】
実施形態に係るロック装置10によれば、ラック26が第2位置に到達すると、ラック26がピニオン24Aから離れるため、電動モータ24Bに過負荷が加わることが抑制される。これにより、電動モータ24Bの過負荷を抑制することができるロック装置10、及びロック装置10を備えたシート1を提供することができる。また、ロック装置10が解除状態からロック状態に変化するときには、ラック26がピニオン24Aから離れているため、ラック26の移動に電動モータ24Bの回転抵抗が加わることがない。そのため、ストライカ8をスロット45に挿入するときの抵抗が小さくなり、シートバック4の回動操作が容易になる。ロック装置10をロック状態から解除状態にするときに、電動モータ24Bは、ラック26を少なくとも第2位置に移動させるまで回転を継続するとよい。
【0089】
環状のガイド溝61は、ラック26の往路と復路とを異ならせることができる。これにより、ラック26が第2位置に到達したときに、ラック26をピニオン24Aから離すことができる。
【0090】
ケース21の基板部21Aの内面にラッチ22、ロック部材23、ラック26、ピニオン24A、ガイド部27、及び付勢部材33が設けられ、基板部21Aの外面に電動アクチュエータ24が設けられている。そのため、ケース21の基板部21Aの両面を利用してロック装置10の各要素を配置することができ、ロック装置10を小型化することができる。また、左右方向から見て、電動アクチュエータ24の少なくとも一部がラッチ22と重なりを有するため、ロック装置10を一層小型化することができる。
【0091】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、ロック装置10の向きは、ストライカ8の位置に応じて任意に変更してよい。
【符号の説明】
【0092】
1 :シート
3 :シートクッション
4 :シートバック
8 :ストライカ
10 :ロック装置
14 :シートバックフレーム
21 :ケース
21A :基板部
22 :ラッチ
22B :係止爪
22C :当接部
22D :ロック溝
23 :ロック部材
23B :第1凸部
23C :第2凸部
23D :リング部
23E :接続ピン
24 :電動アクチュエータ
24A :ピニオン
24B :電動モータ
24C :減速機
24D :出力軸
26 :ラック
27 :ガイド部
31 :第1リンク
32 :第2リンク
32A :接続孔
32B :係止部
33 :付勢部材
45 :スロット
47 :第1軸
51 :第2軸
54 :第3軸
56 :第4軸
61 :ガイド溝
61A :第1溝
61B :第2溝
61C :第1接続溝
61D :第2接続溝
62 :ガイドピン
64 :第5軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13