IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

特開2024-19092細分化信号を識別するための方法及びシステム
<>
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図1
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図2A
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図2B
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図3A
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図3B
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図4
  • 特開-細分化信号を識別するための方法及びシステム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019092
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】細分化信号を識別するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20240201BHJP
   A61B 5/343 20210101ALI20240201BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/343
A61B5/287
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121609
(22)【出願日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】63/392,521
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/219,740
(32)【優先日】2023-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127GG10
4C127GG13
4C127GG16
4C127HH13
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】心臓内の位置で発生した細分化信号を識別すること。
【解決手段】方法、装置、及びコンピュータプログラム製品であって、方法は、遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ第1の電極が心腔壁に接触していない時に、カテーテルから第1の電気信号を取得することと、第1の電気信号の統計的分析を実行して、第1の電気信号の第1の特性を取得することと、第2の電極が心腔壁の点に接触している時に、カテーテルから第2の電気信号を取得することと、第2の電気信号の統計的分析を実行して、第2の電気信号の第2の特性を取得することと、第1の特性と第2の特性との間の類似性尺度を決定することと、類似性が所定の閾値未満であることを条件として、領域が心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すことと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリユニットに結合されたプロセッサを有する、コンピュータ化された装置であって、前記プロセッサは、
(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ前記第1の電極が前記心腔の壁に接触していない時に、前記カテーテルから第1の電気信号を取得するステップと、
(b)前記第1の電気信号の統計的分析を実行して、前記第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得するステップと、
(c)第2の電極が前記心腔の前記壁の点に接触している時に、前記カテーテルから第2の電気信号を取得するステップと、
(d)前記第2の電気信号の統計的分析を実行して、前記第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得するステップと、
(e)前記少なくとも1つの第1の特性と前記少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定するステップと、
(f)前記類似性が所定の閾値未満であることを条件として、前記領域が前記心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すステップと、
を実行するように適合されている、コンピュータ化された装置。
【請求項2】
前記統計的分析は、前記第1の信号の自己相関及び前記第2の信号の自己相関を含み、前記少なくとも1つの第1の特性及び前記少なくとも1つの第2の特性は、それぞれ前記第1の信号及び前記第2の信号の自己相関係数を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記心腔の前記壁の複数の点についてステップ(c)~(f)を繰り返し、
前記複数の点のうちの少なくともいくつかの前記少なくとも1つの第2の特性と前記少なくとも1つの第1の特性との間の類似性が閾値未満であることに基づいて、前記心臓又はその一部の異常な電気的活動を表すマップを生成する、
ように更に適合されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の電気信号は、複数の第1の信号の集合体であり、前記第1の信号は、前記カテーテル上で遠位に配置された複数の電極から取得され、前記第1の信号は、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかが前記心腔の壁に接触していない時に取得される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記集合体は、平均又は外れ値が除去された平均である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の電気信号は、前記心腔壁に接触していない電極から取得される第1の信号のみに基づく、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の電極は前記第1の電極である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
プログラム命令を保持する非一時的コンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、前記命令は、プロセッサによって読み取られると、前記プロセッサに、
(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ前記第1の電極が前記心腔の壁に接触していない時に、前記カテーテルから第1の電気信号を取得することと、
(b)前記第1の電気信号の統計的分析を実行して、前記第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得することと、
(c)第2の電極が前記心腔の前記壁の点に接触している時に、前記カテーテルから第2の電気信号を取得することと、
(d)前記第2の電気信号の統計的分析を実行して、前記第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得することと、
(e)前記少なくとも1つの第1の特性と前記少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定することと、
(f)前記類似性が所定の閾値未満であることを条件として、前記領域が前記心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すことと、
を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年7月27日に出願された「Method and System for Identification of Fractionated Signals」という名称の米国特許仮出願第63/392521号の利益を主張するものであり、この仮出願は、否認を生じさせることなくその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、電気生理学的(electrophysiological、EP)信号の分析に関し、具体的には、心臓内の位置で発生した細分化信号を識別するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
不整脈は、心臓の電気伝導系、特に、心腔の壁の1つ以上の点又は領域における電気的活動に関する問題によって引き起こされ得る。心房細動は、心房(左心房及び/又は右心房)を非常に速く非同期的な心調律で収縮させる無秩序な信号を特徴とする不整脈である。
【0004】
A-fibとも呼ばれる心房細動の一般的な治療は、無秩序な信号に寄与する誤った電気信号を遮断し、典型的な心拍を回復させるために、エネルギーを使用して心臓壁の1つ以上の活性領域に瘢痕を形成するアブレーションである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の本開示の実施例の詳細な説明を図面と併せ読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
図1】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、カテーテルベースの電気生理学的(electrophysiological、EP)マッピング及びアブレーションシステムの概略描写図である。
図2A】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、対象の心房内のマッピングカテーテルの2つの例示的な位置を示す。
図2B】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、対象の心房内のマッピングカテーテルの2つの例示的な位置を示す。
図3A】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、関数300x(t)のグラフを示す。
図3B】x(t)の自己相関係数Rの対応するグラフを示す。
図4】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、心臓内の領域が細分化信号を生成するかどうかを判定するための方法におけるステップのフローチャートである。
図5】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、心臓内の領域が細分化信号を生成するかどうかを判定し、心臓のマップに注釈を付けるためのコンピューティングプラットフォームの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明には、本発明の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細なしでも実施され得ることは、当業者に明らかであろう。他の例では、本発明を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0007】
本発明の態様を具体化するソフトウェアプログラミングコードは、典型的には、コンピュータ可読媒体などの永久記憶装置に維持される。クライアント-サーバ環境では、かかるソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバに記憶させることができる。ソフトウェアプログラミングコードは、データ処理システムで使用するための様々な既知の媒体のうちのいずれかで具体化され得る。これには、ディスクドライブ、磁気テープ、コンパクトディスク(compact disc、CD)、デジタルビデオディスク(digital video disc、DVD)などの磁気及び光学記憶デバイス、及び信号が変調される搬送波の有無にかかわらず、伝送媒体に具現化されたコンピュータ命令信号が含まれるが、これらに限定されない。例えば、伝送媒体は、インターネットなどの通信ネットワークを含み得る。加えて、本発明は、コンピュータソフトウェアで具体化され得るが、本発明を実施するために必要な機能は、代替的に、特定用途向け集積回路又は他のハードウェアなどのハードウェアコンポーネント、又はハードウェアコンポーネントとソフトウェアのいくつかの組み合わせを使用して、一部又は全体的に具体化され得る。
【0008】
概論
心房細動に関連する催不整脈性組織は、心房壁、例えば内壁に沿った1つ以上の位置での心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)を検査して、1つ以上の位置の各々における脱分極によって引き起こされる局所電位を検出することによって識別することができる。IEGMが細分化信号を生成した位置は、心房細動に関連する催不整脈性組織を含む位置を示し得る。
【0009】
IEGMは、典型的には、心臓内カテーテルの遠位先端部上の1つ以上の電極、及び/又は1つ以上の電極対で検出される。いくつかの例示的な実施形態では、心臓内カテーテルは、遠位先端部の位置を追跡するように構成された位置センサを更に含む。任意選択的に、心臓内カテーテルはまた、接触又は力感知能力、例えば、遠位先端部と心房壁との間の接触の有無、又は遠位先端部によって心房壁に加えられる力を感知するように構成された力センサを含んでもよい。
【0010】
信号内のノイズの存在は、IEGMから催不整脈性組織を識別しようとする際に重大な課題をもたらす。ノイズは、典型的には、周囲環境で動作する電気デバイス、並びに周囲組織の脱分極(遠距離場信号)に起因する。ノイズ、例えば周囲ノイズ又は遠距離場信号から局所電位を分離することは困難であることが多く、したがって、健康な組織から捕捉されたノイズの多い信号と催不整脈性組織から捕捉された細分化信号とを正確に区別することは困難である。
【0011】
典型的には、捕捉される信号は、カテーテル上の近接して離間した2つの電極間の電位差として検出される双極信号である。
【0012】
いくつかの例示的な実施形態によれば、細分化信号の検出を改善し、偽陽性検出を低減するための統計的アプローチが提供される。必要に応じて、細分化信号の検出位置は、それらの臨床的意義を決定するための更なる分析のために医師に報告されてもよい。
【0013】
いくつかの例示的実施形態によれば、統計的方法は、ノイズのみを含む信号、例えば周囲ノイズ及び遠距離場信号のみを含む信号を特徴付ける目的で、関心領域の近傍の血液プールに浸漬された電極から捕捉された信号に対して自己相関を実行することを含む。電極は、心腔壁に接触しているのではなく血液プールに浸漬されているので、局所電位は捕捉された信号中に出現するとは予想されない。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態によれば、統計的方法は、心腔壁上の関心領域、例えば、細分化されたように見える形態を有するIEGMを生成する領域に接触している電極で捕捉された信号に対して自己相関を実行することを更に含む。関心領域内で捕捉された信号の自己相関は、細分化されている可能性のある信号、例えば局所電位、並びにノイズ(周囲ノイズ及び遠距離場信号)を特徴付けることを可能にする。
【0015】
いくつかの例示的な実施形態によれば、血液プール内で捕捉された信号の自己相関から取得された特徴は、心腔壁上で捕捉された信号の自己相関から取得された特徴と比較される。任意選択的に、自己相関係数が比較される。
【0016】
統計的分析は、複数の電極によって提供される複数の信号の集合体に対して実行されてもよいことが理解される。信号の集合体は、以下に詳述するように、平均信号、外れ値が除去された平均などであってもよい。
【0017】
比較結果が、二組の自己相関係数が類似している、例えば、いくつかの所定のメトリックによるそれらの間の距離が所定の閾値よりも小さいことを示している場合、心腔壁から捕捉されたIEGMの細分化されたように見える形態は、主にノイズによるものであると仮定することができる。
【0018】
しかしながら、2組の自己相関係数が実質的に異なる場合、心腔壁から捕捉されたIEGMの細分化されたように見える形態は、催不整脈性である可能性のある組織に起因し得ると仮定することができる。そのような場合、心腔壁上で検出されたIEGMは、細分化信号として識別されてもよく、次いで、更に精査されてもよい。
【0019】
次いで、同じ心腔壁上の他の位置で、心腔壁に接触している異なる電極によって更なる信号を感知してもよい。更なる信号に対する自己相関結果はまた、最初に取得されたノイズ信号の既に利用可能な自己相関係数と比較されてもよい。心臓の他の心腔を調べるために更に移動すると、新たに訪れた心腔の壁に接触していない電極で取得された新しいノイズ信号が取得されて処理され、これを1つ以上の電極が壁に接触している時に取得された1つ以上の他の信号と比較することができる。
【0020】
したがって、本方法は、心臓の特定の領域が細分化信号を生成するかどうかをロバストな方法で判定することを可能にし得る。任意選択的に、心臓の解剖学的マップ上で細分化領域に注釈を付けることができる。この場合、注釈は、心臓のどの領域をアブレーションすべきかを決定する際に有用であり得る。
【0021】
システムの説明
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。システム10は、患者の血管系を通って、心臓12の心腔又は血管構造内に医師24によって経皮的に挿入される1つ以上のカテーテルを含む。複数のカテーテルは、心内電位図(IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知及びアブレーション双方のためのカテーテルを含んでもよい。IEGMを検知するように構成された例示的なカテーテル14が本明細書に示されている。医師24は、心臓12の標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部28を心臓壁と接触させる。アブレーションのために、医師24は、同様に、アブレーションカテーテルの遠位端をアブレーションのための標的部位に運ぶ。
【0022】
カテーテル14は、遠位先端部28において複数のスプライン22にわたって任意選択で分布し、IEGM信号を検知するように構成された1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに取り付けられた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0023】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。カテーテル14のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって検知される磁場に基づいて追跡されてもよい。
【0024】
任意選択的に、システム10は、位置パッド25の位置参照及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上に配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、パッチ38で感知される。
【0025】
レコーダ11が、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)とを表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含んでもよく、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続されてもよい。
【0026】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。
【0027】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30が、カテーテルと、電気生理学的機器と、システム10の動作を制御するように構成されたワークステーション55との電気通信を確立するように構成されている。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含んでもよい。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を更に含む。
【0028】
ワークステーション55は、メモリ、処理及びユーザインターフェース機能を含む。ワークステーション55は、複数の機能を提供してもよく、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデル化し、そのモデル又は解剖学的マップ20を第1の表示デバイス27に表示するためにレンダリングすることと、(2)表示デバイス27上に、記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的印又は画像で表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの場所及び配向を表示することと、(4)アブレーションエネルギーが印加されたところなどの関心部位を表示デバイス27上に表示することとを含む。システム10の要素を具現化する1つの市販の製品は、カリフォルニア州91765、ダイヤモンドバー、ダイヤモンドキャニオンロード、3333のBiosense Webster,Inc.から市販されているCARTO 3システムとして入手可能である。
【0029】
ここで図2A及び図2Bを参照すると、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、患者の心腔200内のカテーテル14のスプライン22上に配置された複数の電極26を有するカテーテルの2つの例示的な位置が示されている。
【0030】
図2Aは、カテーテル14の遠位先端部28に配置された電極26を示し、電極26は、組織から変位し、例えば、心腔200の内部容積内に位置し、例えば、心腔の壁に接触することなく血液プール内に浸漬されている。追加的又は代替的に、電極26は、電気的活性化がない静脈又は動脈の内側に位置してもよい。したがって、電極は、一般にノイズと呼ばれる周囲ノイズ及び遠距離場信号などを感知する。
【0031】
図2Bは、1つ以上の電極26’が、例えば心房などの心腔200の壁に接触し、したがって、図2Aの電極26によって感知されるノイズに加えて、組織から生じる電気信号を感知する電極26を示している。感知された信号が細分化されていない場合、感知された信号の細分化されたように見える形態は、図2Aの電極26によって感知された信号の統計的特性と同様の統計的特性を有することが予想され、実質的にノイズから構成されている。
【0032】
本明細書で使用される「相関」という用語は、二組の関数間の類似性の尺度を指し、尺度は、一方の組の関数の他方に対する変位の関数である。
【0033】
自己相関とは、様々な変位における一組の関数(集合的に関数と呼ばれる)とそれ自体との間の同上の類似性の尺度を指す。換言すれば、自己相関は、存在する場合には、異なる時間的距離だけ離れた観測値間の相関を測定し、したがって、信号などの関数の有用な記述情報を提供する。したがって、関数は、各係数が時間的変位kにおける関数のそれ自体に対する類似性を示す、一組の自己相関係数rとして特徴付けることができ、kは組のインデックス、関数の実数などであってもよい。
【0034】
変位kにおける関数xの自己相関係数は、以下の式によって近似することができる:
【0035】
【数1】
式中、
Nは、試験対象の観測値の数であり、必要とされる分解能に従って設定することができ、
【0036】
【数2】
は、関数の平均値、関数の一区分にわたる自己回帰移動平均(autoregressive moving average、ARMA)、又は自己回帰積分移動平均(autoregressive integrated moving average、ARIMA)であり、及び
【0037】
【数3】
は、[-1..1]の範囲内の正規化された値を取得するために、x及びxt+kから減算される。
【0038】
図3Aは、関数300x(t)のグラフを示し、図3Bは、x(t)の自己相関係数rの対応するグラフを示す。
【0039】
変位が導入されない場合、関数はそれ自体と同一であるので、グラフ304に示すように、任意の関数について、rは常に1であることが理解される。
【0040】
x(t)の複数の領域は、領域308、312、316、320及び324に示すように、時間的に近接し(例えば、1又は2時間単位離れ)、かつ同様の値を有する一連の値を含むことが分かる。これは、r及びrの比較的高い値を説明しており、これらの小さな変位における信号のそれ自体に対する類似性を表している。
【0041】
ここで図4を参照すると、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、心臓内の領域が細分化信号を生成するかどうかを判定するための方法におけるステップのフローチャートが示されている。
【0042】
ステップ400において、カテーテル処置動作中に、プローブの遠位先端部に接続された電極が血液プール内に位置し、心腔壁から変位している時に、第1の電気信号、例えば、IEGM信号を取得することができる。
【0043】
1つ以上のスプライン上に配置された複数の電極を使用して複数の信号を提供することができるので、第1の電気信号は複数の信号の任意の集合体であってもよい。集合方法は、信号の平均、外れ値が除去された後の平均、又は任意の他の集合方法であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、心腔壁に接触している電極によって提供される信号を集合体に含めないようにするために、各電極が心腔壁に接触しているかどうかをタッチセンサを使用して判定してもよい。そのような機構は、力センサ、電極26を用いたインピーダンス検出、又は任意の他の好適なセンサを含むことができる。心腔壁に接触している電極によって提供される信号は、ノイズを特徴付けるための他の信号と集合されなくてもよく、例えば、第1の電気信号を生成する際に除外されてもよい。
【0045】
ステップ404では、ステップ400で取得された信号に対して統計的分析を実行することができる。統計的分析によって、信号の1つ以上の特性、例えば、上記の図3A及び図3Bに関連して例示したような信号の自己相関係数rを取得することができる。例えば、一組の係数、例えば最大10個の係数を、数十秒、例えば0~約20秒、0~約60秒などの時間窓にわたって計算してもよい。複数の電極は、短時間にわたって大量のデータを同時収集することを可能にすることが理解される。したがって、より多くの電極が使用されるほど、データ収集に必要な時間は短くなる。
【0046】
ステップ408では、カテーテル処置中に、電極のうちの1つ以上が心腔壁に接触するように配置されている時に、1つ以上の第2の電気信号を取得することができる。電極が心臓壁と接触しているかどうかの判定は、上記で詳述したように、力センサなどのセンサによって行われてもよい。
【0047】
ステップ412では、ステップ404で実行されたのと同じ統計的分析を、ステップ408で取得された1つ以上の信号に対して実行してもよい。1つ以上の信号は、選択された領域をカバーする互いに近接した複数の電極によって捕捉されてもよい。統計的分析によって、各信号の1つ以上の特性、例えば、上記の図3A及び図3Bに関連して詳述したような自己相関係数rを取得することができる。例えば、一組の係数を、上で詳述したように時間窓にわたって計算してもよい。
【0048】
ステップ416では、第1及び第2の信号についてそれぞれステップ404及び412で取得された特性を比較することができる。
【0049】
比較は、任意の必要なメトリックに従ってもよい。一例では、メトリックは、所定の差内にある、又は互いに所定の比率内にある対応するr対の数であり得る。例えば、ステップ404で計算された第1の信号の第1の係数が、r1,0=0.75、r1,1=0.5、r1,2=0.8、r1,3=-0.4であり、ステップ412で計算された第2の信号の第2の係数がr2,0=0.7、r2,1=0.1、r2,2=-0.1、r2,3=-0.3であり、所定の差が0.2である場合、最初と最後の係数対(r1,0=0.75、r2,0=0.7)と(r1,3=-0.4、r2,3=-0.3)は所定の差内にある。そのような対の数、この例では2つが第2の閾値以上である場合、特性、したがって関連する信号は類似していると判定することができる。したがって、第2の所定の閾値が1又は2である場合、特性は類似していると見なされ、第2の所定の閾値が2より高い場合、特性は類似しているとは見なされない。
【0050】
上述のメトリックは例示的なものに過ぎず、非限定的な例として、差の二乗和の平方根など、任意の他の関連するメトリックが使用されてもよいことが理解される。
【0051】
心腔壁上で捕捉された信号の統計的シグネチャ、例えば、一組のr係数が、血液プール内で測定された統計的シグネチャから著しく逸脱していない場合、信号が取得された領域は、健康な組織を有する領域、例えば、細分化信号を生成しない領域としてマークされ得る。この場合、実行はステップ408に戻ることができ、ここで、プロセスは、心腔壁に接触している別の電極又は電極群に対して繰り返されてもよい。
【0052】
心腔壁上で捕捉された信号の統計的シグネチャが、血液プール内で測定された統計的シグネチャから著しく逸脱している場合、これは、信号が取得された心腔壁上の領域が、細分化信号を放出する心臓の催不整脈性領域であること示し得る。
【0053】
ステップ420では、電極の位置が示されてもよく、例えば、心臓の催不整脈性領域、例えば瘢痕領域及び/又は線維症領域に属する可能性があるものとして記憶デバイスに記憶されてもよい。
【0054】
ステップ424では、ステップ408で取得された信号を、その領域における不整脈を特徴付けるために更に処理してもよく、例えば、信号強度を取得することができる。
【0055】
この場合、実行は、心腔壁に接触している更なる電極又は電極群によって生成された信号を取得するために、ステップ408に戻ることができる。
【0056】
心腔壁に接触している電極によって提供された信号が処理されると、プローブは、1つ以上の電極が心腔壁上の更なる領域に接触している別の位置に動かされ、プロセスを繰り返すことができる。
【0057】
心腔壁に接触している電極によって取得された全ての信号を、心腔の血液プールで取得された信号と統計的に比較してもよいことが理解される。
【0058】
上記のステップは、心臓の1つ以上の更なる心腔に対して繰り返されてもよいことが理解される。
【0059】
1つ以上の電極が心臓壁に接触し、他の1つ以上の電極が心臓壁に接触していない状況では、ステップ400及び404は、医師がカテーテルを動かすことなく、ステップ408及び412と実質的に並行して実行されてもよいことも理解される。
【0060】
ステップ428では、心臓の電気的活動を表すマップが生成されてもよく、例えば、より催不整脈性である領域をより鮮明な色で示し、より催不整脈性でない領域をより淡い色で示し、催不整脈性ではない領域は無色で示す視覚的表現が生成されてもよい。パターン、陰影、グラフィックスなどを使用するなど、任意の他の視覚化を使用してもよいことが理解される。
【0061】
任意選択的に、医師は、提示されたマップに基づいてアブレーションする領域を選択することができる。
【0062】
ある領域のアブレーションは、その領域が催不整脈性であることを発見した後、心臓全体又はその一部をマッピングした後などに行われてもよいことが理解される。
【0063】
ここで図5を参照すると、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、心臓内の領域が細分化信号を生成するかどうかを判定し、心臓のマップに注釈を付けるためのコンピューティングプラットフォーム500のブロック図が示されている。
【0064】
コンピューティングプラットフォーム500は、コンソール30内に埋め込まれてもよいが、独立型コンピューティングプラットフォームであってもよく、又は他の場所に埋め込まれてコンソール30と動作可能に通信してもよいことが理解されよう。
【0065】
コンピューティングプラットフォーム500は、互いに動作可能に接続され得る1つ以上のコンピューティングプラットフォーム、例えば、クラウドコンピュータ上に実装され得る1つ以上のリモートコンピューティングプラットフォームとして実装され得る。他のコンピューティングプラットフォームは、関連する組織のコンピュータネットワークの一部であってもよい。他の実施形態では、全ての機能は、全てが組織ネットワークの一部である1つ以上のコンピューティングプラットフォームによって提供されてもよい。
【0066】
コンピューティングプラットフォーム500は、同じコンピューティングプラットフォーム上に位置するか否かにかかわらず、1つ以上の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、電子回路、集積回路(IC)などであってもよい1つ以上のプロセッサ504を含んでもよい。プロセッサ504は、例えば、以下に詳述する記憶デバイス512に格納されたソフトウェアモジュールをメモリにロードして起動することによって、必要な機能を提供するように構成されてもよい。
【0067】
コンピューティングプラットフォーム500は、例えば、カテーテル処置コントローラからの情報の取得、遠隔記憶デバイス上へのデータの記憶など、他のデバイス又は他のコンピューティングプラットフォームとの通信のための通信デバイス508を含んでもよい。通信モジュール508は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラーネットワークなどの任意の通信チャネルとインターフェースし、任意の関連する通信プロトコルを使用するように適合され得る。
【0068】
コンピューティングプラットフォーム500は、ハードディスクドライブ、フラッシュディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリチップなどの記憶デバイス512を含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、記憶デバイス512は、以下に列挙されるモジュールのいずれかに関連する動作、又は上記の図4の方法のステップをプロセッサ504に実行させるように動作可能なプログラムコードを保持することができる。プログラムコードは、以下に詳述する命令を実行するように適合された、関数、ライブラリ、独立型プログラムなどの1つ以上の実行可能ユニットを含んでもよい。
【0069】
代替的又は追加的に、提供される命令は、磁気メモリ、光メモリ、又は電子メモリなどの非一時的な有形のコンピュータ可読媒体上に記憶されていてもよい。
【0070】
記憶デバイス512は、心臓のマップ、電気信号のプロットなどの、表示デバイス27上に表示されるべき表示をユーザにレンダリングするためのI/Oモジュール516を含んでもよい。I/Oモジュール516はまた、ユーザによって操作される制御装置などから命令パラメータ及び動作パラメータを受信する際に動作可能であってもよい。
【0071】
記憶デバイス512は、カテーテル制御システム、外部記憶デバイスなどの他のシステムとの間でデータを送受信するための通信モジュール520を含んでもよい。
【0072】
記憶デバイス512は、電極から受信した信号などの信号の統計的分析のための1つ以上の方法を含むか又は実装してもよい統計的分析モジュール524を含んでもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、統計的分析モジュール524は、上記の図3A及び図3Bに関連して詳述したように、所与の信号の自己相関係数を決定するための自己相関計算モジュール526を含むか又は実装してもよい。
【0074】
記憶デバイス512は、統計的分析比較モジュール528を含んでもよく、統計的分析比較モジュール528は、統計的分析を2つの信号に適用した結果を比較し、それによって2つの信号間の類似性尺度を決定するための1つ以上の方法を含むか又は実装してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、統計的分析比較モジュール528は、電極が心臓壁から離れて配置されている時に取得される第1の信号及び電極が心臓壁上に配置されている時に取得される第2の信号などの2つの信号にわたって自己相関を実行することによって取得される2組の自己相関係数を比較するための自己相関比較モジュール530を含むか又は実装してもよい。
【0076】
記憶デバイス512は、2つの信号間の特定の比較結果が、電極が心臓壁に接触している催不整脈性領域を示すかどうかを判定するための催不整脈性領域判定モジュール532を含んでもよい。判定は、例えば、差が所定の値以下、所定の比率以下などである、2つの信号の対応する係数の数を計数することにより行ってもよい。そのような近似した係数対の数が第2の所定の閾値を超える場合、信号は類似していると仮定することができ、領域は非催不整脈性であると仮定することができる。
【0077】
記憶デバイス512は、例えば、統計的分析結果が2つの信号に対して利用可能になると統計的分析比較モジュール528を起動するなど、上記のモジュールを正しい順序で、かつ必要な入力で起動するためのデータ及び制御フロー管理モジュール536を含んでもよい。
【0078】
上記で開示されたステップ及びモジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又は他のモジュールに加えて、カテーテルを動作させること、カテーテル処置プロセスを表示すること、コンプレックス細分化電位図(complex fractionated electrogram、CFE)分析などの他の計算を実行すること、心臓マップを生成することなどに必要とされることが理解される。方法及びシステムについての更なる詳細は、例えば、米国特許第8676305号、米国特許第9629567号に見出すことができ、これらは、任意の目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
本発明は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
【0080】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置によって使用される命令を保持及び記憶することができる有形装置とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又は前述の任意の好適な組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、命令が記録されたパンチカード又は溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び上記の任意の適切な組み合わせを含む。本明細書で使用するコンピュータ可読記憶媒体とは、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は動線を通って伝送される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0081】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理デバイスに、又は、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、及び/又は無線ネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスのネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために転送する。
【0082】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は1つ以上のプログラミング言語、Java、C、C++、Pythonなどのプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、又は完全にリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、又は(例えばインターネットサービスプロバイダを利用したインターネットを介して)外部コンピュータ接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0083】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品の流れ図及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。流れ図及び/又はブロック図の各ブロック、並びに流れ図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることは理解されるであろう。
【0084】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理機器のプロセッサに提供されて、命令がコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理機器のプロセッサを介して実行され、流れ図及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を創出することができるように、機械を生成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスを特定の方法で機能させることができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、その結果、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体は、流れ図及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む製造物品を含む。
【0085】
このコンピュータ可読プログラムの命令をコンピュータ、他のプログラマブルデータ処理機器、又は他のデバイス上にロードして、一連の操作工程をそのコンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実施させ、コンピュータ実施プロセスを生成させて、そのコンピュータ、他のプログラマブル機器、又は他のデバイス上で実行される命令が、流れ図及び/又はブロック図のブロックに定められている機能/動作を実施するようにしてもよい。
【0086】
図中の流れ図及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の考えられる実装形態の構造、機能性、及び動作を示すものである。この点に関して、流れ図又はブロック図における各ブロックは、示された論理機能を実施するための1つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得るものである。いくつかの代替的な実装形態において、ブロックに示される機能は、図に示される順序以外の順序で行われてもよい。例えば、連続して示す2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また留意されたい点として、ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースシステムによって実施されてもよく、あるいは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを動作させること又は実行することもできる。
【実施例0087】
(実施例1)
方法であって、(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ第1の電極が心腔の壁に接触していない時に、カテーテルから第1の電気信号を取得することと、(b)第1の電気信号の統計的分析を実行して、第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得することと、(c)第2の電極が心腔の壁の点に接触している時に、カテーテルから第2の電気信号を取得することと、(d)第2の電気信号の統計的分析を実行して、第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得することと、(e)少なくとも1つの第1の特性と少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定することと、(f)類似性が所定の閾値未満であることを条件として、領域が心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すことと、を含む、方法。
【0088】
(実施例2)
統計的分析は、第1の信号の自己相関及び第2の信号の自己相関を含み、少なくとも1つの第1の特性及び少なくとも1つの第2の特性は、それぞれ第1の信号及び第2の信号の自己相関係数を含む、実施例1に記載の方法。
【0089】
(実施例3)
第2の信号を処理して、催不整脈性領域内の電気的活動の特性を取得することを更に含む、実施例1に記載の方法。
【0090】
(実施例4)
心腔の壁の複数の点についてステップ(c)~(f)を繰り返すことと、複数の点のうちの少なくともいくつかの少なくとも1つの第2の特性と少なくとも1つの第1の特性との間の類似性が閾値未満であることに基づいて、心臓又はその一部の異常な電気的活動を表すマップを生成することと、を更に含む、実施例3に記載の方法。
【0091】
(実施例5)
複数の点は、心腔の壁に接触している1つ以上の電極が接触している点である、実施例4に記載の方法。
【0092】
(実施例6)
心臓の少なくとも2つの心腔内の複数の点についてステップ(a)~(f)を繰り返すことと、複数の点のうちの少なくともいくつかの少なくとも1つの第2の特性と対応する少なくとも1つの第1の特性との間の類似性が閾値未満であることに基づいて、心臓又はその一部の異常な電気的活動を表すマップを生成することと、を更に含む、実施例4に記載の方法。
【0093】
(実施例7)
点をアブレーションの候補として示すことを更に含む、実施例1に記載の方法。
【0094】
(実施例8)
第1の電気信号は、複数の第1の信号の集合体であり、第1の信号は、カテーテル上で遠位に配置された複数の電極から取得され、第1の信号は、複数の電極のうちの少なくともいくつかが心腔の壁に接触していない時に取得される、実施例1に記載の方法。
【0095】
(実施例9)
集合体は、平均又は外れ値が除去された平均である、実施例8に記載の方法。
【0096】
(実施例10)
第1の電気信号は、心腔壁に接触していない電極から取得される第1の信号のみに基づく、実施例8に記載の方法。
【0097】
(実施例11)
第2の電極は第1の電極である、実施例1に記載の方法。
【0098】
(実施例12)
類似性尺度が所定の閾値を超えていることが、少なくとも1つの第1の特性の少なくとも所定数の点の各々が、少なくとも1つの第2の特性の対応する点から所定の差内にあることによって判定される、実施例1に記載の方法。
【0099】
(実施例13)
メモリユニットに結合されたプロセッサを有する、コンピュータ化された装置であって、プロセッサは、(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ第1の電極が心腔の壁に接触していない時に、カテーテルから第1の電気信号を取得するステップと、(b)第1の電気信号の統計的分析を実行して、第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得するステップと、(c)第2の電極が心腔の壁の点に接触している時に、カテーテルから第2の電気信号を取得するステップと、(d)第2の電気信号の統計的分析を実行して、第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得するステップと、(e)少なくとも1つの第1の特性と少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定するステップと、(f)類似性尺度が所定の閾値未満であることを条件として、領域が心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すステップと、を実行するように適合されている、コンピュータ化された装置。
【0100】
(実施例14)
統計的分析は、第1の信号の自己相関及び第2の信号の自己相関を含み、少なくとも1つの第1の特性及び少なくとも1つの第2の特性は、それぞれ第1の信号及び第2の信号の自己相関係数を含む、実施例13に記載の装置。
【0101】
(実施例15)
プロセッサは、心腔の壁の複数の点についてステップ(c)~(f)を繰り返し、複数の点のうちの少なくともいくつかの少なくとも1つの第2の特性と少なくとも1つの第1の特性との間の類似性が閾値未満であることに基づいて、心臓又はその一部の異常な電気的活動を表すマップを生成するように更に適合されている、実施例13に記載の装置。
【0102】
(実施例16)
第1の電気信号は、複数の第1の信号の集合体であり、第1の信号は、カテーテル上で遠位に配置された複数の電極から取得され、第1の信号は、複数の電極のうちの少なくともいくつかが心腔の壁に接触していない時に取得される、実施例13に記載の装置。
【0103】
(実施例17)
集合体は、平均又は外れ値が除去された平均である、実施例16に記載の装置。
【0104】
(実施例18)
第1の電気信号は、心腔壁に接触していない電極から取得される第1の信号のみに基づく、実施例16に記載の装置。
【0105】
(実施例19)
第2の電極は第1の電極である、実施例13に記載の装置。
【0106】
(実施例20)
プログラム命令を保持する非一時的コンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、命令は、プロセッサによって読み取られると、プロセッサに、(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ第1の電極が心腔の壁に接触していない時に、カテーテルから第1の電気信号を取得することと、(b)第1の電気信号の統計的分析を実行して、第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得することと、(c)第2の電極が心腔の壁の点に接触している時に、カテーテルから第2の電気信号を取得することと、(d)第2の電気信号の統計的分析を実行して、第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得することと、(e)少なくとも1つの第1の特性と少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定することと、(f)類似性尺度が所定の閾値未満であることを条件として、領域が心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すことと、を実行させる、コンピュータプログラム製品。
【0107】
本明細書に記載の実施例は、主に心臓診断用途に対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、他の医療用途にも使用することができる。
【0108】
上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で具体的に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本開示の範囲は、本明細書の上記した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0109】
〔実施の態様〕
(1) メモリユニットに結合されたプロセッサを有する、コンピュータ化された装置であって、前記プロセッサは、
(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ前記第1の電極が前記心腔の壁に接触していない時に、前記カテーテルから第1の電気信号を取得するステップと、
(b)前記第1の電気信号の統計的分析を実行して、前記第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得するステップと、
(c)第2の電極が前記心腔の前記壁の点に接触している時に、前記カテーテルから第2の電気信号を取得するステップと、
(d)前記第2の電気信号の統計的分析を実行して、前記第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得するステップと、
(e)前記少なくとも1つの第1の特性と前記少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定するステップと、
(f)前記類似性が所定の閾値未満であることを条件として、前記領域が前記心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すステップと、
を実行するように適合されている、コンピュータ化された装置。
(2) 前記統計的分析は、前記第1の信号の自己相関及び前記第2の信号の自己相関を含み、前記少なくとも1つの第1の特性及び前記少なくとも1つの第2の特性は、それぞれ前記第1の信号及び前記第2の信号の自己相関係数を含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記プロセッサは、
前記心腔の前記壁の複数の点についてステップ(c)~(f)を繰り返し、
前記複数の点のうちの少なくともいくつかの前記少なくとも1つの第2の特性と前記少なくとも1つの第1の特性との間の類似性が閾値未満であることに基づいて、前記心臓又はその一部の異常な電気的活動を表すマップを生成する、
ように更に適合されている、実施態様1又は2に記載の装置。
(4) 前記第1の電気信号は、複数の第1の信号の集合体であり、前記第1の信号は、前記カテーテル上で遠位に配置された複数の電極から取得され、前記第1の信号は、前記複数の電極のうちの少なくともいくつかが前記心腔の壁に接触していない時に取得される、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記集合体は、平均又は外れ値が除去された平均である、実施態様4に記載の装置。
【0110】
(6) 前記第1の電気信号は、前記心腔壁に接触していない電極から取得される第1の信号のみに基づく、実施態様4又は5に記載の装置。
(7) 前記第2の電極は前記第1の電極である、実施態様1に記載の装置。
(8) プログラム命令を保持する非一時的コンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品であって、前記命令は、プロセッサによって読み取られると、前記プロセッサに、
(a)遠位に配置された第1の電極を含むカテーテルが心臓の心腔内に挿入されており、かつ前記第1の電極が前記心腔の壁に接触していない時に、前記カテーテルから第1の電気信号を取得することと、
(b)前記第1の電気信号の統計的分析を実行して、前記第1の電気信号の少なくとも1つの第1の特性を取得することと、
(c)第2の電極が前記心腔の前記壁の点に接触している時に、前記カテーテルから第2の電気信号を取得することと、
(d)前記第2の電気信号の統計的分析を実行して、前記第2の電気信号の少なくとも1つの第2の特性を取得することと、
(e)前記少なくとも1つの第1の特性と前記少なくとも1つの第2の特性との間の類似性尺度を決定することと、
(f)前記類似性が所定の閾値未満であることを条件として、前記領域が前記心臓の催不整脈性領域に属する可能性があることを示すことと、
を実行させる、コンピュータプログラム製品。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【外国語明細書】