(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019104
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】移動可能な運転者ステーションを有する車両
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20240201BHJP
B60K 26/00 20060101ALI20240201BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240201BHJP
【FI】
B60N2/07
B60K26/00
B60N2/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122121
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022000016149
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファブリツィオ ファヴァレット
【テーマコード(参考)】
3B087
3D037
【Fターム(参考)】
3B087BA03
3B087BB02
3B087BC17
3B087DE10
3D037EA01
3D037EC01
3D037EC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートの調整、またはコンフィギュアビリティを改善する。
【解決手段】本体と、ひいては運転者用のシート(7)を備えるシートアセンブリ(10)と、移動方向に沿ったシートアセンブリ(10)の並進運動を可能にするように本体に対してシートアセンブリ(10)を拘束するように本体およびシートアセンブリ(10)に結合されたガイド(17)と、を備える車両であって、移動方向が、車両の運転方向に対して横方向である、ことを特徴とする、車両。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(2)と、ひいては運転者用のシート(7)を備えるシートアセンブリ(10)と、移動方向(K)に沿った前記シートアセンブリ(10)の並進運動を可能にするように前記本体(2)に対して前記シートアセンブリ(10)を拘束するように前記本体(2)および前記シートアセンブリ(10)に結合されたガイド(17)と、を備える車両(1)であって、前記移動方向(K)が、前記車両(1)の運転方向(X)に対して横方向である、ことを特徴とする、車両。
【請求項2】
前記ガイド(17)および前記移動方向(K)が、前記本体(2)に対して固定されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記シートアセンブリ(10)が、前記移動方向(K)に沿って前記ガイド(17)によってガイドされるスライド(20)を備え、前記シート(7)が、前記スライド(20)によって担持される、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記シート(7)が、前記スライド(20)に対して固定されている、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記車両(1)を駆動するための制御アセンブリ(11、13)をさらに備え、前記制御アセンブリ(11、13)が、前記スライド(20)によって担持された基部(25)を有する、請求項3または4に記載の車両。
【請求項6】
前記制御アセンブリ(11、13)が、前記基部(25)に結合された、例えばブレーキペダルおよび/またはアクセルペダルなどの1つまたは複数のペダル(14、15)を有するペダルのセット(13)を備える、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記基部(25)が、前記車両(1)の前記運転方向(K)にしたがって前記スライド(20)に対して選択的に移動可能な態様で前記スライド(20)に結合される、請求項5または6に記載の車両。
【請求項8】
前記シートアセンブリ(10)が、前記ガイド装置(17)によって第1の限界位置と第2の限界位置との間で移動可能であり、前記第2の限界位置が、前記車両(1)の前記運転方向(X)に応じて、前記第1の位置に対してより前方にあり、より中心から外れていない、請求項1から7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記移動方向(K)が直線であり、好ましくは前記運転方向(X)に対して斜めである、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
1つまたは複数のバックミラー(41)と、前記シートアセンブリ(10)の並進運動の関数として前記バックミラー(41)の姿勢を調整するように構成された制御装置(40)とをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年7月29日に出願されたイタリア特許出願第102022000016149号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、車両、特に道路上および軌道上で使用するためのスポーツ車両に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの車両では、シートのうちの少なくとも1つ、例えば運転者のシートは、調整または設定されることができる。
【0004】
特に、ユーザ、すなわちシートに座っている人は、シートの高さ、シートの長手方向位置、ならびに背もたれおよび基部のそれぞれの傾斜、すなわち着座時にユーザの下肢を支持するように配置されたシートの部分を調整することができる。
【0005】
他の車両、典型的にはレース車両では、シートは完全に固定されている。
【0006】
一般に、公知のシートの調整、またはコンフィギュアビリティを改善する必要がある。
【0007】
本発明の1つの目的は、好ましくは単純且つ確実な方法で、上述した必要性のうちの少なくとも1つを満たすことである。
【発明の概要】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0009】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の実施形態をよりよく理解するための説明を行う。
【0011】
【
図2】
図1の車両の車室内のシートアセンブリの拡大斜視図である。
【
図3】
図2のシートアセンブリとは反対の斜視図にかかる
図2のシートアセンブリを示している。
【
図4】異なる構成にしたがってそれぞれ配置された
図2のシートアセンブリを有する
図1の車両の平面図である。
【
図5】異なる構成にしたがってそれぞれ配置された
図2のシートアセンブリを有する
図1の車両の平面図である。
【
図6】
図2のシートアセンブリの前部の平面図である。
【
図7】明確にするために部品を取り除いた
図6の前部の斜視図である。
【
図8】線VIII-VIIIによって
図6に示される平面断面にかかる
図6の前部の斜視断面図である。
【
図9】線IX-IXによって
図6に示される平面断面にかかる
図6の前部の斜視断面図である。
【
図10】線X-Xによって
図6に示されている平面断面にかかる
図6の前部の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、参照符号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0013】
車両1は、車両1のロール軸として知られる軸Xによって
図1に示される前方方向または長手方向を有する。
【0014】
図はまた、車両1のピッチ軸およびヨー軸としても知られる、車両1の別の2つの軸Y、Zを示している。
【0015】
軸Yは、車両1の前進方向に直交する、すなわち軸Xに直交する水平軸である。軸Zは、軸X、Yと直交し、少なくとも1つの垂直成分を有する。一般に、軸Zは、車両1が走行する路面と直交する。
【0016】
車両1は、車室3を画定する本体2を備える。
【0017】
公知のように、本体2は、車両1の構造部品として理解されるフレームと、車体、すなわち車両1の外側から審美的に見える部品とを含む。
【0018】
特に、本体2は、ルーフ8およびフロア9を備え、より具体的には、それぞれ車室3の上部カバーおよび底部を画定する。
【0019】
さらに、本体2はまた、運転者が本体2によって画定された側部開口部を介して車室3に入り、側部開口部をそれぞれ閉じることを可能にするように選択的に開閉されることができるサイドドア4を備える。
【0020】
図2を参照すると、車室3の内側に、車両1は、運転者用のステーションを備える。
【0021】
車両1は、運転者ステーションにシートアセンブリ10を備える。シートアセンブリ10は、運転者を着座姿勢で収容する少なくとも1つのシートアセンブリ7を備える。
【0022】
運転者ステーションでは、車両1は、さらに、詳細には、車両を操舵するための、特にステアリングホイール12を含むステアリングアセンブリ11と、軸Xにしたがって車両1の前方移動を制御するための、少なくとも2つのペダル14、15を有する、独立してまたは接続されたペダルのセット13とを備える。
【0023】
特に、ペダル14、15は、例えば連続的な調整にしたがって、軸Xにしたがって車両1の制動および加速を制御するためのブレーキペダルおよびアクセルペダルである。図は2つのペダル14、15のみを示しているが、ペダルのセット13は、例えば車両1のクラッチ、特に手動ギアボックスを備えたものを制御するための追加のペダルを備えることができる。同様に、ペダル14、15のうちの一方は、その機能がなくてもよく、例えば、運転者のステーションの他の場所に配置された別のタイプの制御装置に移行されてもよい。
【0024】
ステアリングアセンブリ11およびペダルのセット13は、例えば電気制御信号のみを使用して、例えば車輪ステアリング機構、ブレーキ、車輪に動力を伝達するための推進アセンブリなど、車両1を制御するために必要な典型的な装置を制御するように構成されることができ、したがって、ドライブバイワイヤシステムを形成するか、または、例えば油圧式などの分野で知られているサーボアクチュエータを制御することによって構成されることができる。いずれの場合も、車両1を制御するために必要な装置の駆動のタイプに関係なく、ステアリングアセンブリ11およびペダルのセット13の双方は、場合によっては互いに独立して、電気ワイヤおよび/または油圧管、またはより一般的には可撓性電気および/または油圧接続要素などの電気および/または油圧接続部16を介して、必要な装置の1つまたは複数に、および/またはサーボアクチュエータに接続されてもよい。しかしながら、図示されていない変形例によれば、物理的な接続の代わりに無線接続が実装されることもできるため、これは必須ではない。
【0025】
運転者のステーションは、軸Xに対して横方向に、すなわち軸Xに対して横方向の移動の少なくとも1つの構成要素によって移動されることができる。
【0026】
運転者のステーションの移動を可能にするために、車両1はまた、本体2、より正確にはフロア9に結合されたガイド装置、またはより簡単にはガイド17を備える。
【0027】
ガイド17は、方向Kに沿って延在し、それに結合された構成要素を方向Kに沿ってガイドするように構成されている。
【0028】
この場合、ガイド17は、直線ガイドであるため、方向Kは、直線であるが、これは必須ではない。図示されていない変形例によれば、方向Kは、湾曲されることもできる。
【0029】
ガイド17は、好ましくは、本体2に対して固定され、特に、方向Kに延在するフロア9に固定され、次に本体2に対して、より正確にはフロア9に固定される。方向Kは、フロア9上に延在する。
【0030】
方向Kは、軸Xに対して横方向であり、すなわち、軸Xに対して横方向の少なくとも1つの成分を有する。好ましくは、方向Kは水平であり、すなわち、軸X、Yによって画定される平面上にあり、すなわち、軸Zに応じた成分を有さず、すなわち、換言すれば方向Kの軸Zに応じた成分は存在しない。
【0031】
特に、方向Kは、軸Xに対して斜めである。ここで、「斜め」とは、平行でなく、垂直でないことを意味する。
【0032】
方向Kは、2つの対向する端部を有するセグメントを含むか、またはそれによって画定されることがより好ましい。「セグメント」という表現は、直線セグメントに限定されず、曲線セグメントも含むが、図示の実施形態では、セグメントは直線である。
【0033】
車両1の車室3または例えば車両1の長手方向中心軸に沿って延在すると仮定される軸Xを参照すると、セグメントの一方の端部は、他方の端部と比較して、さらに前方且つ中心から外れていない、またはより内側の位置を有する。
【0034】
シートアセンブリ10は、ガイド17に結合され、その結果、本体2に対して、より正確にはフロア9に対してガイド17によって拘束される。
【0035】
より具体的には、シートアセンブリ10は、少なくとも1自由度の並進によって本体2またはフロア9に拘束される。換言すれば、シートアセンブリ10は、方向Kに沿って少なくとも1つの並進運動を有してもよい。
【0036】
ガイド17は、方向Kに沿ったシートアセンブリ10の並進運動を可能にしてガイドする。
【0037】
車両1は、好ましくは、例えば携帯電話、遠隔制御装置、車両1の外部または内部からアクセス可能なボタン、車両1の外部または内部からアクセス可能なレバーなどの図示されていない1つまたは複数の特別な制御装置を介して提供されるユーザコマンドに応答してシートアセンブリ10の並進を実行するように構成された、例えば既知のアクチュエータを備える、図示されていないアクチュエータアセンブリを備える。特別な制御装置のそれぞれは、例えば、遠隔制御装置または携帯電話の場合のように、車両1の一部、または車両1を含むより広いシステムの一部とすることができる。あるいは、一般性を失うことなく、例えば適切な機構を用いて、手動で移動が実行されることができる。
【0038】
便宜上、シートアセンブリ10は、ガイド17に結合されたスライド20を備え、それにより、ガイドは方向Kに移動することができる。
【0039】
スライド20は、ガイド17によって方向Kに沿ってガイドされ、それにより、同じ方向Kに並進することができる。
【0040】
上述したアクチュエータアセンブリまたはシートアセンブリ10を移動させるのに適した機構は、好ましくは、スライド20上で動作する、すなわち、スライド20を方向Kに沿って並進させるように構成されている。
【0041】
スライド20は、特に固定位置においてシート7を担持する。換言すれば、シート7は、スライド20に対して固定されている。例えばシート7構成の調整要件のために、シート7が潜在的にスライド20に対してそれ自体の可動性を有する可能性もあるため、これは厳密には必要ではない。
【0042】
図示の実施形態では、スライド20は、スライド20がシート7の少なくとも一部を収容するキャビティまたはハウジング21を画定するように凹面を有する。
【0043】
キャビティ21は、好ましくは、ステアリングアセンブリ11の少なくとも一部およびペダルのセット13の少なくとも一部を収容する。
【0044】
特に、ステアリングアセンブリ11および/またはペダルのセット13は、スライド20によって担持される。換言すれば、ステアリングアセンブリ11および/またはペダルのセット13は、スライド20の移動に応答して方向Kに沿って移動するように、スライド20に結合される。
【0045】
例えば、ステアリングアセンブリ11の一部、特にステアリングホイール12がステアリング軸の周りに回転可能に結合されるコラムを含む部分は、スライド20に締結される。
【0046】
このようにして、運転者のステーションは、方向Kに沿って移動可能である。
【0047】
特に、運転者のステーションまたはシート7は、ガイド17によって決定または画定された2つの限界位置の間で移動可能である。
【0048】
実際に、ガイド17を使用して、シートアセンブリ10またはシート7は、特に車両1の中心長手方向軸として想定される軸Xにしたがって、一方がさらに前方で他方よりも中心から外れていない限界位置の間で移動可能である。
【0049】
限界位置の1つでは、シート7は、ドア4に隣接して配置されるか、または基本的にドア4を介して開閉されることができる、すなわちドア4に接続された開口部と連通して配置され、その結果、運転者は、開口部を通過する間にシート7に直接座っている車室3に入ることができる。換言すれば、シート7は、基本的に、ドア4に接続された開口部に隣接している。
【0050】
一方、他方の限界位置では、シート7は、軸Xにしたがって、車室3のより中心的な位置にまたはより中心から外れて配置される。
【0051】
実際に、詳細には、ステアリングアセンブリ11およびペダルのセット13を含む運転者のステーション全体が限界位置の間を移動するため、運転者は、道路車両について通常発生するような1つの中心から外れた、またはより外側の位置から、あるいはレース車両について発生するような1つまたは複数の中心から、またはより内側の位置から車両1をガイドすることができる。
【0052】
シートの可動性は、運転者がシート7を限界位置の1つにして車室3に入ることを可能にし、次いでレーシング構成、すなわちより中央の位置に移動し、シート7を他方の限界位置にすることを可能にする。
【0053】
シートアセンブリ10またはシート7、具体的にはステアリングアセンブリ11および/またはペダルのセット13の動きは、接続部16によってブロックされない。むしろ、同じ接続部16は、例えば既知の機能および構造を有する、例えば工作機械に適した典型的なケーブル支持チェーン24などの既知の装置を用いて、動き、例えば上方に集まるかまたは延伸するように適合されているため、より詳細には説明されない。
【0054】
ステアリングアセンブリ11および/またはペダルのセット13は、車両1をガイドするためのより一般的な制御アセンブリの一部と見なされ得る。制御アセンブリは、スライド20によって担持された少なくとも1つの基部25を備える。
【0055】
詳細には、基部25は、ペダルのセット13の一部である。ペダル14、15は、特に、基部に結合される。図示されていない特定の一実施形態によれば、ペダル14、15のそれぞれは、例えば、ペダル14、15を任意の可能な位置にロックするために解除および作動されることができるそれぞれのガイドおよび任意のロック装置を介して、軸Xにしたがって選択的に並進する基部25に結合される。後者の場合、ペダル14、15は、好ましくは、互いに独立して軸Xにしたがって移動可能である。すなわち、ペダル14、15の軸Xに応じた位置は、独立して調整されることができる。
【0056】
基部25は、好ましくは、スライド20に結合され、それにより、軸Xにしたがってスライド20に対して選択的に移動可能である。あるいは、基部25は、スライド20に対して固定されることもできる。
【0057】
より正確には、基部25は、詳細には直線方向、特に軸Xに平行な方向に沿って並進されることができる。
【0058】
基部25の並進をガイドするために、シートアセンブリ10は、スライド20に対して固定位置にスライド20によって担持され、特に基部25の並進方向に沿って延在するガイド26を備える。
【0059】
さらに、シートアセンブリ10は、基部25の並進方向に沿ってスライドするようにガイド26に結合された1つまたは複数の支持体26aを備える。
【0060】
基部25は、支持体26aによって支持体26aに対して固定位置に担持される。具体的には、基部25は、
図8に見ることができるように、シートアセンブリ10の機械的接続要素26b、例えば支持体26aに形成された止まり孔内のねじ山付きねじなどのねじ要素を介して詳細に支持体26aに締結される。
【0061】
シートアセンブリ10は、好ましくは、基部25の移動を制御するように構成された制御アセンブリ27を備える。
【0062】
制御アセンブリ27は、制御ユニット28と、例えば電気アクチュエータ、より正確にはリニアアクチュエータなどのアクチュエータ装置29とを備える。
【0063】
アクチュエータ装置29は、スライド20に対して締結または固定された固定部分29aと、固定部分29aに対して、特に基部25の移動方向、より正確には並進方向に移動可能な可動部分29bとを有する。可動部分29bは、基部25に対して固定されている。特に、
図10に見られるように、可動部分29bは、シートアセンブリ10の少なくとも1つの機械的接続要素29c、例えばボルトなどのねじ要素を介して基部25に締結される。
【0064】
制御ユニット28は、運転者によって作動されることができる遠隔制御装置、ボタン、携帯電話、レバーなど、シートアセンブリ10または車両1の適切な制御装置(図示せず)を介して生成された信号の関数としてアクチュエータ装置29を制御するように構成されている。制御ユニット28は、運転者が制御装置をどのように作動させるかに対応して、制御装置によって生成された信号に基づいて、基部25、したがって詳細にはペダルのセット13の位置を調整する。制御装置は、車両1の外部または内部にあってもよく、携帯電話または遠隔制御装置の場合のように移動式であってもよい。
【0065】
方向Kに沿ってシートアセンブリ10を移動させるためのアクチュエータアセンブリは、上述した制御アセンブリ27と同様の方法で、必要とされ得る適切な適合を伴って構成されてもよく、これは、いずれにせよ、この説明に照らして、シートを取り扱う当業者によって直接的且つ一義的に導き出されることができる。
【0066】
シートアセンブリ10は、好ましくは、さらに、スライド20に対する基部25の可動性を解除可能にロックするように構成された解除可能ロック装置30を備え、それにより、解除可能ロック装置30が解除されたときに基部25が可動である。
【0067】
具体的には、解除可能ロック装置30は、基部25(
図7)に対して固定された少なくとも1つのラックギア31と、スライド20に、特に直接、ヒンジ軸Vを中心に、詳細には軸Zに平行に、1つの係合位置と係合解除位置との間で回転可能な方法でヒンジ結合された歯付き係合要素32とを備え、要素32の歯は、ラックギア31と係合および係合解除される。
【0068】
図9に見られるように、ラックギア31は、シートアセンブリ10の接続要素、例えばねじ要素31aを介して基部25に締結される。
【0069】
解除可能ロック装置30はまた、係合位置から係合解除位置に向かう要素32の回転に応答して要素32に弾性反応を及ぼすように構成された、例えば軸Xに平行に延在する円筒ばねなどの弾性要素33を備え、弾性反応は、要素32を係合位置に戻す傾向がある。
【0070】
特に、弾性要素33は、軸Yに応じて、スライド20に対して固定された一端33aと、ヒンジ軸Vに対して要素32の歯とラックギア31との間の係合ゾーンとは反対側に位置する一点において要素32に締結された一端33bとを有する。
【0071】
弾性要素33の弾性反応は、軸Vの周りの反力トルクに相当する。
【0072】
要素32は、スライド20にヒンジ止めされているため、同じ要素32は、軸Vの周りを回転することしかできず、スライド20に対して、特に軸Xにしたがって並進することはできない。したがって、要素32とラックギア31との間の係合は、ラックギア31に対して固定された基部25の並進を妨げる。実際に、ラックギア31は、要素32が並進することができないため、要素と係合されると並進することができない。
【0073】
さらに、解除可能ロック装置30は、例えば手動で、機械的制御を介して、または自動装置を用いて、運転者によって駆動されることができる解除要素34を備え、これは、次に、機械的または電子的制御を介して運転者によって制御されて、要素32を係合位置から係合解除位置に回転させるために、特に弾性要素33の反応に抗して、要素32に軸Vを中心として解除トルクを加えることができる。
【0074】
例えば、解除要素34は、要素32に対して固定された端部と、解除トルクを加えるために、例えば前記機械的制御または自動装置を介して引っ張られるべき一端(図示せず)とを有するケーブルまたはテンションワイヤを備え得る。
【0075】
前記機械的制御または自動装置は、シートアセンブリ10の一部であってもよく、より一般的には、車両1の一部であってもよい。
【0076】
要素32が係合解除位置にあるとき、ラックギア31は、結果として、自由に移動するか、またはより正確には並進し、それによって基部25も移動する。
【0077】
図示の実施形態では、これは厳密には必須ではないが、要素32、弾性要素33、およびラックギア31は、軸Xに関して対称的に複製されている。解除要素34は、双方の要素32に固定されているため、双方の要素32に同時に作用する。
【0078】
解除可能ロック装置30とその機能および/または構造が類似する解除可能ロック装置は、潜在的に、必要な調整を行って、シートアセンブリ10、またはより正確にはスライド20の方向Kに沿った移動を解除可能にロックするために使用されてもよく、これは、いずれにせよ、この説明に照らして、シートの取り扱いの当業者によって直接的且つ一義的に理解されることができる。あるいは、アクチュエータアセンブリ自体が、シートアセンブリ10を移動させるために制動作用または解除可能ロック作用を及ぼすことができる。
【0079】
車両1は、好ましくは、例えばシートアセンブリ10の並進運動の関数として車両1のバックミラー41の姿勢または向きを調整するように構成された、シートアセンブリ10を移動させるためのアクチュエータアセンブリを含む追加の制御装置40を備える。
【0080】
より具体的には、制御装置40は、バックミラー41を移動させるために、すなわち、それらの姿勢または向きを変えるために、アクチュエータアセンブリ、例えばこの理由で図示されていない既知のものを備える。
【0081】
特に、バックミラー41は、車両1の中心に対してより収束していない位置とより収束している位置との間で本体2に対して回転し得る。換言すれば、言及された2つの構成では、バックミラー41は、実質的な条件を使用して(それぞれ、
図4および
図5)、車両1の中心に向かって多かれ少なかれ、またはより広くまたはより狭く回転される。
【0082】
バックミラー41用のアクチュエータアセンブリは、上述した2つの構成の間でバックミラー41を移動させるように構成されている。
【0083】
制御装置40は、運転者の後方視界がシートアセンブリ10の全ての位置に対して最適になるように、シートアセンブリ10のためのアクチュエータアセンブリと、バックミラー41のためのアクチュエータアセンブリとを調整して、バックミラー41の構成または姿勢または向きを方向Kに沿ったシートアセンブリ10の位置に自動的に適合させるように構成された制御ユニットを有する。
【0084】
特に、制御装置40は、シートアセンブリ10がより中心から外れていない位置にあるときはより収束した位置に、および/または、シートアセンブリ10がより中心から外れた位置にあるときはより収束していない構成に、バックミラー41を有する。
【0085】
上記により、本発明にかかる自動車1の利点は明らかである。
【0086】
例えば、本発明のおかげで、車両1は、本体2が特に合理化されて前方に延長されたレース車両とすることができる。この場合、レース車両に最適であるように、シート7が中央の前方位置においてフロア9に固定されている場合、サイドドア4を介したシート7への運転者のアクセスは、本体2のプロファイルに基づいて実際には不可能ではないにしても、特に複雑である。
【0087】
代わりに、本発明では、運転者がドア4によって入るシート7に座ることができるように、シート7は、サイドドア4に沿わせ得る。その後、運転者は、車室3内のシート7に着座した状態で、中央前方位置に移動することができる。
【0088】
さらに、明らかに、本発明のおかげで、車両1は、方向Kに沿って潜在的に連続的に調整可能なシートアセンブリ10の位置を有する軌道上および道路上での使用に適した車両であり得る。
【0089】
スライド20に対するペダルのセット13、したがってペダル14、15の位置を調整するオプションのおかげで、運転者の快適性がさらに向上する。
【0090】
最後に、本発明による自動車1には変更が加えられてもよく、それ対して生じる変形形態は、いずれの場合も、特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱しないことは明らかである。
【外国語明細書】