(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019107
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】フォーカスリング及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240201BHJP
C04B 35/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
C04B35/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122246
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0094874
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523285649
【氏名又は名称】ハナ マテリアルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 濟 根
(72)【発明者】
【氏名】安 娥 蘭
(72)【発明者】
【氏名】崔 王 基
(72)【発明者】
【氏名】李,銀 英
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
(57)【要約】
【課題】優れた耐久性を有する異種素材が積層されたフォーカスリング及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のフォーカスリングは、第1素材からなる第1リングと、前記第1リングによってカバーされる第2リングとからなり、前記第2リングは前記第1素材とは異なる第2素材で構成され、前記第1リングと前記第2リングを互いに結合する締結部材と、を含み、前記締結部材は、前記第2リングを貫通する貫通部と、前記第1リングの下部に埋め込まれる埋立部とを含み、前記貫通部は第1直径を有し、前記埋立部は前記第1直径より大きいか同じである第2直径を有することを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素材からなる第1リングと、前記第1リングによってカバーされる第2リングとからなり、
前記第2リングは前記第1素材とは異なる第2素材で構成され、
前記第1リングと前記第2リングを互いに結合する締結部材と、を含み、
前記締結部材は、前記第2リングを貫通する貫通部と、前記第1リングの下部に埋め込まれる埋立部とを含み、
前記貫通部は第1直径を有し、
前記埋立部は前記第1直径より大きいか同じである第2直径を有することを特徴とするフォーカスリング。
【請求項2】
前記第2直径は前記第1直径より大きく、
前記第1直径に対する前記第2直径の比は1.1乃至2であることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項3】
前記締結部材は複数個の締結部材を含み、
前記複数個の締結部材は前記第2リングに沿って一定間隔に配列されることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項4】
前記複数個の締結部材の個数は4乃至24であることを特徴とする請求項3に記載のフォーカスリング。
【請求項5】
前記締結部材は第1締結部材と第2締結部材とを含み、
前記第1リングの内周面から前記第1締結部材の中心までの距離は第1距離であり、
前記第1リングの内周面から前記第2締結部材の中心までの距離は第2距離であり、
前記第1距離と前記第2距離は互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項6】
前記締結部材は時計回りに順次に配列される第1締結部材と、第2締結部材と、第3締結部材とを含み、
前記第1締結部材と前記第2締結部材との間隔は第1距離であり、
前記第2締結部材と前記第3締結部材との間隔は第2距離であり、
前記第1距離と前記第2距離は互いに異なることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項7】
前記第1リングの中心を通る第1中心線が定義され、
前記締結部材は前記第1中心線より外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項8】
前記第2リングは、静電チャックに安着される内側領域と、カバーリングに安着される外側領域とを含み、
前記締結部材は前記外側領域内に配置されることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項9】
前記第1リングは前記第2リングをカバーするカバー部を含み、
前記カバー部は第2厚さを有し、
前記埋立部は第4厚さを有し、
前記第2厚さに対する前記第4厚さの比は0.1乃至0.7であることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項10】
前記第1素材及び前記第2素材は、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)、及び炭化ホウ素からなる群よりそれぞれ異なる素材として選択されることを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項11】
前記締結部材は、
ジルコニウム酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物、アルミニウム酸化物、イットリウム酸化物、マグネシウム酸化物、炭化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つのセラミック素材、または
有機高分子を含むことを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項12】
前記締結部材はリセスされた底面を有することを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項13】
前記リセスされた底面はその縁に最低面とその中央に最高面とを含み、
前記最低面は前記第2リングの底面と同じレベルに位置するかより高いことを特徴とする請求項12に記載のフォーカスリング。
【請求項14】
前記貫通部の下部は前記第1直径より大きい第3直径を有することを特徴とする請求項1に記載のフォーカスリング。
【請求項15】
前記貫通部の前記下部は直径が増加するテーパ状を有することを特徴とする請求項14に記載のフォーカスリング。
【請求項16】
第1素材からなる第1リングにリセスを形成するステップと、
前記第1素材とは異なる第2素材からなる第2リングに貫通孔を形成するステップと、
前記リセスと前記貫通孔が互いに整列するように前記第1リングと前記第2リングを互いに積層するステップと、
前記リセスと前記貫通孔は互いに連通して締結溝を形成し、前記締結溝内にボンド組成物を提供するステップと、
前記ボンド組成物を硬化し、前記第1リングと前記第2リングを互いに結合する締結部材を形成するステップと、を含み、
前記貫通孔は第1直径で形成され、
前記リセスは前記第1直径より大きいか同じである第2直径で形成されることを特徴とするフォーカスリングの製造方法。
【請求項17】
前記第2直径は前記第1直径より大きく、
前記第1直径に対する前記第2直径の比は1.1乃至2であることを特徴とする請求項16に記載のフォーカスリングの製造方法。
【請求項18】
前記第1リングのカバー部の厚さに対する前記リセスの深さの比は0.1乃至0.7であることを特徴とする請求項16に記載のフォーカスリングの製造方法。
【請求項19】
前記ボンド組成物に対する硬化工程は、80℃乃至200℃の温度下で1時間乃至10時間行われることを特徴とする請求項16に記載のフォーカスリングの製造方法。
【請求項20】
前記リセスは前記第1リングの中心を通る第1中心線より外側に形成されることを特徴とする請求項16に記載のフォーカスリングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーカスリング及びその製造方法に係り、より詳しくは、半導体プラズマエッチングに利用されるフォーカスリング及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子はシリコンウェハの上に加工工程を繰り返し施され完成される。半導体の加工工程は、その素材となるウェハに対する酸化、マスキング、フォトレジスト塗布、エッチング、拡散、及び積層工程などを含む。また、上記工程の前後で補助的に洗浄、乾燥、及び検査などの工程が行われる。特に、エッチング工程は実質的にウェハの上にパターンを形成する重要な工程である。エッチング工程は大きくウェットエッチングとドライエッチングに区分される。
ドライエッチング工程は、フォト工程の後に形成されるフォトレジストパターンの暴露された部位を除去するための工程である。密閉されている内部空間に所定間隔で離隔されて設置される上部電極及び下部電極に高周波電力を印加して電場を形成し、上記電場で密閉空間の内部に供給される反応ガスを活性化してプラズマ状態にした後、プラズマ状態のイオンが下部電極の上に位置するウェハをエッチングする工程である。
【0003】
プラズマはウェハの上面の全体領域を暴露するようにすることが好ましい。そのために、下部電極の上部にあるチャック本体の周縁を囲むようにフォーカスリングが配置される(特許文献1を参照)。
フォーカスリングはチャック本体の上部に形成される高周波電力の印加による電場形成領域をウェハが位置する領域に集中させ、ウェハはプラズマが形成される領域の中心に置かれて全体が均一にエッチングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、優れた耐久性を有する異種素材が積層されたフォーカスリング及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフォーカスリングは、第1素材からなる第1リングと、前記第1リングによってカバーされる第2リングとからなり、前記第2リングは前記第1素材とは異なる第2素材で構成され、前記第1リングと前記第2リングを互いに結合する締結部材と、を含み、前記締結部材は、前記第2リングを貫通する貫通部と、前記第1リングの下部に埋め込まれる埋立部とを含み、前記貫通部は第1直径を有し、前記埋立部は前記第1直径より大きいか同じである第2直径を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のフォーカスリングの製造方法は、第1素材からなる第1リングにリセスを形成するステップと、前記第1素材とは異なる第2素材からなる第2リングに貫通孔を形成するステップと、前記リセスと前記貫通孔が互いに整列するように前記第1リングと前記第2リングを互いに積層するステップと、前記リセスと前記貫通孔は互いに連通して締結溝を形成し、前記締結溝内にボンド組成物を提供するステップと、前記ボンド組成物を硬化し、前記第1リングと前記第2リングを互いに結合する締結部材を形成するステップと、を含み、前記貫通孔は第1直径で形成され、前記リセスは前記第1直径より大きいか同じである第2直径で形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると本発明の実施例によるフォーカスリングはエッチング耐性が高い第1リングが第2リングの代わりにプラズマに暴露されるため、フォーカスリングの耐久性を向上させることができる。第2リングは第1リングに比べ安価な素材を使用することができるため、フォーカスリングの経済性を向上させることができる。
第1リングと第2リングは締結部材によって物理的及び科学的に固く結合されるが、締結部材を物理的結合方式ではなく化学的硬化方式で形成されることができるため、フォーカスリングの製造が容易で、第1リングと第2リングを安定的に結合することができる。
上記締結部材は焼却工程で選択的に除去することができ、プラズマに暴露されて摩耗された第1リングを容易に新しい第1リングに取替えることができるため、フォーカスリングの経済性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例によるプラズマ装置を概略的に説明するための図である。
【
図2】本発明の実施例によるエッジリングを説明するための図であって、
図1におけるM領域の拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
【
図5】
図3のフォーカスリングの一部を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施例によるフォーカスリングを製造する方法を説明するための図であって、
図3のA-A’線に対応する断面図である。
【
図7】本発明の実施例によるフォーカスリングを製造する方法を説明するための図であって、
図3のA-A’線に対応する断面図である。
【
図8】本発明の実施例によるフォーカスリングを製造する方法を説明するための図であって、
図3のA-A’線に対応する断面図である。
【
図9】本発明の実施例によるフォーカスリングを製造する方法を説明するための図であって、
図3のA-A’線に対応する断面図である。
【
図10】本発明の他の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
【
図12】本発明の一実施例による第1リングの取替方法を説明するための断面図である。
【
図13】本発明の一実施例による第1リングの取替方法を説明するための断面図である。
【
図14】本発明の他の実施例によるフォーカスリングを説明するための図であって、
図3のA-A’線による断面図である。
【
図15a】
図14の締結部材の位置が外側領域内で変更される場合を説明するための図であり、締結部材が外側領域の第1サイドに配置され、締結部材の第1側壁が内側領域と外側領域との間の境界に位置した図である。
【
図15b】
図14の締結部材の位置が外側領域内で変更される場合を説明するための図であり、締結部材が外側領域の第2サイドに配置され、締結部材の第2側壁は外側領域の外周面OSWに位置した図である。
【
図16】本発明の他の実施例によるフォーカスリングを説明するための図であって、
図3のA-A’線による断面図である。
【
図17】本発明の他の実施例によるフォーカスリングを説明するための図であって、
図3のA-A’線による断面図である。
【
図18】本発明の他の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
【
図19】本発明の他の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付した図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すると明確になるはずである。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限らず、互いに異なる様々な形態に具現されるはずであるが、但し、本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は特許請求の範囲によってのみ定義される。明細書全文にわたって、同じ符号は同じ構成要素を指す。
本明細書で使用された用語は実施例を説明するためのものであって、本発明を制限するものではない。本明細書において、単数形は文の中で特に言及されない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は言及された構成要素、ステップ、動作、及び/または装置は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作、及び/または装置の存在または追加を排除しない。以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0011】
本発明の実施例として、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)方式でプラズマを生成し基板を処理するプラズマ装置について説明する。しかし、本発明はこれに限らず、容量結合プラズマ(CCP:Conductively Coupled Plasma)方式またはリモートプラズマ方式など、プラズマを利用して基板を処理する多様な種類の装置に適用することができる。
また、本発明の実施例では支持ユニットとして静電チャックを例に挙げて説明する。しかし、本発明はこれに限らず、支持ユニットは機械的クランピングによって基板を支持するか、真空によって基板を支持してもよい。
【0012】
図1は、本発明の実施例によるプラズマ装置を概略的に説明するための図である。
図1に示したとおり、プラズマ装置10はプラズマを利用して基板Wを処理する。例えば、プラズマ装置10は基板Wに対してプラズマを利用してエッチングを行う。プラズマ装置10は、チェンバ100と、支持ユニット200と、ガス供給ユニット300と、プラズマソース400と、排気ユニット500とを含む。
チェンバ100は内部に基板Wを処理する処理空間を有する。チェンバ100は筐体110とカーバ120とを含む。
筐体110は上面が開放される。つまり、筐体110の内部空間は開放される。筐体110の内部空間は基板処理工程が行われる処理空間として提供される。
筐体110は金属材質を含む。例えば、筐体110はアルミニウムを含み、筐体110は接地される。
【0013】
筐体110の底面には排気孔102が提供される。排気孔102は排気ライン151と連結される。工程過程で発生した反応副産物及び筐体110の内部に残留するガスは排気ライン151を介して外部に排出される。排気過程によって筐体110の内部は所定圧力に減圧される。
カバー120は筐体110の開放された上面を覆う。カバー120は板状を有し、筐体110の内部空間を密閉する。カバー120は誘電体(dielectric substance)ウィンドウを含む。
【0014】
ライナー130が筐体110の内部に提供される。ライナー130は上面及び底面が開放された内部空間を有する。言い換えれば、ライナー130は円筒状を有する。ライナー130は筐体110の内側面に相応する半径を有する。ライナー130は筐体110の内側面に沿って下に延長される。
ライナー130はその上部に支持される支持リング131を含む。支持リング131はリング状を有し、ライナー130の周縁に沿ってライナー130の外側に突出される。支持リング131は筐体110の上部に提供されてライナー130を支持する。
【0015】
ライナー130は筐体110と同じ材質を含むことが好ましい。例えば、ライナー130はアルミニウムを含む。ライナー130は筐体110の内側面を保護する。例えば、工程ガスが励起される過程でチェンバ100の内部にはアーク(Arc)放電が発生する。アーク放電は周辺装置を損傷する恐れがある。ライナー130は筐体110の内側面を保護し、筐体110の内側面がアーク放電で損傷することを防止する。また、基板処理工程の途中で発生する反応副産物が筐体110の内側壁に蒸着することを防止する。ライナー130は筐体110に比べコストが安価であり、交換が容易にできる。よって、アーク放電でライナー130が損傷すれば、損傷したライナー130は新しいライナー130に取替えることができる。
【0016】
支持ユニット200はチェンバ100内部の処理空間内で基板Wを支持する。例えば、支持ユニット200は筐体110の内部に配置される。支持ユニット200は静電気力(electrostatic force)を利用して基板Wを吸着する静電チャック方式で提供される。他の方法として、支持ユニット200は機械的クランピングのような多様な方式で基板Wを支持してもよい。以下では静電チャック方式で提供される支持ユニット200について説明する。
支持ユニット200は、チャック220、230、250とエッジリング240とを含む。チャック220、230、250は工程を行う際に基板Wを支持する。チャック220、230、250は支持板220と、流路形成板230と、絶縁プレート250とを含む。
【0017】
支持板220は支持ユニット200の上部に位置する。支持板220は円盤状の誘電体で提供される。例えば、支持板220はクォーツを含む。支持板220の上面には基板Wが配置される。支持板220の上面は基板Wより小さい半径を有する。支持板220には基板Wの底面に熱伝達ガスが供給される通路として利用される第1供給流路221が提供される。支持板220内には静電電極223とヒータ225が埋め込まれる。
静電電極223はヒータ225の上に配置される。静電電極223は第1下部電源223aと電気的に連結される。静電電極223に印加される電流によって静電電極223と基板Wとの間には静電気力が作用し、静電気力によって基板Wは支持板220に吸着される。
【0018】
ヒータ225は第2下部電源225aと電気的に連結される。ヒータ225は第2下部電源225aで印加された電流に抵抗することで熱を発生する。発生した熱は支持板220を介して基板Wに伝達される。ヒータ225から発生した熱によって基板Wは設定温度に維持される。ヒータ225は螺旋状のコイルを含む。
支持板220の下に流路形成板230が提供される。支持板220の底面と流路形成板230の上面は接着剤236によって互いに接着される。流路形成板230内に第1循環流路231、第2循環流路232、及び第2供給流路233が提供される。第1循環流路231は熱伝達ガスが循環する通路として提供される。第2循環流路232は冷却流体が循環する通路として提供される。第2供給流路233は第1循環流路231と第1供給流路221を互いに連結する。例えば、流路形成板230はクォーツを含む。
【0019】
一実施例として、第1循環流路231は流路形成板230の内部に螺旋状に提供される。他の実施例として、第1循環流路231は互いに異なる半径を有するリング状の流路を含んでもよい。上記リング状の流路は同じ中心軸を有するように配置される。
第1循環流路231は熱伝達媒体供給ライン231bを介して熱伝達媒体貯蔵部231aと連結される。熱伝達媒体貯蔵部231aには熱伝達媒体が貯蔵される。熱伝達媒体は不活性ガスを含む。一実施例として、熱伝達媒体はヘリウム(He)ガスを含む。ヘリウムガスは供給ライン231bを介して第1循環流路231に供給され、第2供給流路233と第1供給流路221を順次に経て基板Wの底面に供給される。ヘリウムガスは基板Wと支持板220との間の熱交換を助ける媒介体の役割をする。よって、基板Wは全体的に温度が均一である。
【0020】
第2循環流路232は冷却流体供給ライン232cを介して冷却流体貯蔵部232aと連結される。冷却流体貯蔵部232aには冷却流体が貯蔵される。冷却流体貯蔵部232a内には冷却器232bが提供される。冷却器232bは冷却流体を所定温度に冷却する。それとは異なり、冷却器232bは冷却流体供給ライン232cの上に設置されてもよい。冷却流体供給ライン232cを介して第2循環流路232に供給された冷却流体は、第2循環流路232に沿って循環して流路形成板230を冷却する。流路形成板230は冷却されながら支持板220と基板Wを共に冷却させて基板Wを所定温度に維持する。上記の理由によりエッジリング240の下部は上部に比べ温度が低い。
【0021】
流路形成板230の下に絶縁プレート250が提供される。絶縁プレート250は絶縁物質を含み、流路形成板230と下部カバー270を互いに電気的に絶縁させる。
支持ユニット200の下に下部カバー270が提供される。下部カバー270は筐体110の底から垂直に離隔されて配置される。下部カバー270は上面が開放された内部空間を有する。下部カバー270の上面は絶縁プレート250によって覆われる。よって、下部カバー270の断面の外部半径は絶縁プレート250の外部半径と同じ長さで提供される。下部カバー270の内部空間には搬送される基板Wを外部の搬送部材から伝達されて支持板220に安着させるリフトピンが位置する。
【0022】
下部カバー270は連結部材273を含む。連結部材273は下部カバー270の外側面と筐体110の内側壁を互いに連結する。連結部材273は下部カバー270の外側面に一定間隔で複数個で提供される。連結部材273は支持ユニット200を支持する。また、連結部材273は筐体110の内側壁と連結されることで下部カバー270が接地(grounding)されるようにする。第1下部電源223aと連結される第1電源ライン223c、第2下部電源225aと連結される第2電源ライン225c、熱伝達媒体貯蔵部231aと連結される熱伝達媒体供給ライン231b、並びに冷却流体貯蔵部232aと連結される冷却流体供給ライン223cは、連結部材273の内部空間を介して下部カバー270の内部に延長される。
【0023】
ガス供給ユニット300はチェンバ100内部の処理空間に工程ガスを供給する。ガス供給ユニット300は、ガス供給ノズル310と、ガス供給ライン320と、ガス貯蔵部330とを含む。ガス供給ノズル310はカバー120の中央部に提供される。ガス供給ノズル310の底面には噴射口が形成される。噴射口を介してチェンバ100の内部に工程ガスが供給される。
ガス供給ライン320はガス供給ノズル310とガス貯蔵部330を互いに連結する。ガス供給ライン320はガス貯蔵部330に貯蔵された工程ガスをガス供給ノズル310に供給する。ガス供給ライン320には弁321が提供される。弁321はガス供給ライン320を開閉し、ガス供給ライン320を介して供給される工程ガスの流量を調節する。
【0024】
プラズマソース400はチェンバ100内に供給される工程ガスからプラズマを生成する。プラズマソース400はチェンバ100の処理空間の外部に提供される。一実施例として、プラズマソース400として誘導結合プラズマ(ICP)ソースが使用される。プラズマソース400は、アンテナシール410と、アンテナ420と、プラズマ電源430とを含む。
アンテナシール410は下部が開放された円筒状を有する。アンテナシール410はチェンバ110と対応する直径を有する。アンテナシール410の下端はカバー120に脱着可能に提供される。
【0025】
アンテナ420はアンテナシール410の内部に配置される。アンテナ420は螺旋状のコイル状を有する。アンテナ420はプラズマ電源430と連結される。アンテナ420はプラズマ電源430から電力を印加される。プラズマ電源430はチェンバ100の外部に位置する。電力が印加されたアンテナ420はチェンバ100の処理空間に電磁場を形成する。工程ガスは電磁場によってプラズマ状態に励起される。
排気ユニット500は筐体110の内側壁と支持ユニット200との間に提供される。排気ユニット500は貫通孔511が形成される排気板510を含む。排気板510は環状のリング状を有する。排気板510には複数の貫通孔511が提供される。筐体110内に提供された工程ガスは排気板510の貫通孔511を通過して排気孔102に排気される。排気板510の形状及び貫通孔511の形状によって工程ガスの流れが制御される。
【0026】
図2は、本発明の実施例によるエッジリングを説明するための図であって、
図1のM領域の拡大断面図である。
図1及び
図2を参照すると、エッジリング240は支持ユニット200の縁領域の上に配置される。エッジリング240はリング状を有し、支持板220の縁を囲むように提供される。例えば、エッジリング240は支持板220の縁に沿って配置される。
エッジリング240はシース(Sheath)及び/またはプラズマの界面を調節する。エッジリング240はフォーカスリングFCRと、カバーリングCVRとを含む。カバーリングCVRはフォーカスリングFCRの下に提供される。カバーリングCVRはその上面で垂直に突出される突出部PRPを含む。例えば、カバーリングCVRはクォーツのような絶縁体を含む。
【0027】
フォーカスリングFCRは、その上部に位置する第1リングRIN1と、その下部に位置する第2リングRIN2と、第1リングRIN1と第2リングRIN2を互いに結合する少なくとも一つの締結部材FTMとを含む。締結部材FTMはボルトと類似した形状を有するが、これについては後ほど詳細に説明する。
第1リングRIN1は上面が露出される。第1リングRIN1の上面は支持面SUSと最上面TTSとを含む。支持面SUSは支持板220の上面と同じ高さで提供され、基板Wの縁の底面と接する。他の実施例として、第1リングRIN1の支持面SUSは支持板220の上面より所定寸法だけ低く提供されてもよいが、それによって基板Wの縁の底面と支持面USUSが所定間隔で互いに離隔されてもよい。
【0028】
第1リングRIN1の最上面TTSは支持面SUSより高い。支持面SUSと最上面TTSの高さの差によって、シース、プラズマの界面、及び電場が調節される。結果的にフォーカスリングFCRはプラズマが基板Wの上に集中するように誘導する。
第2リングRIN2はフォーカスリングFCRの下部構造を構成する。第2リングRIN2は第1リングRIN1とは異なる素材を含む。例えば、第1リングRIN1は炭化ケイ素(SiC)を含み、第2リングRIN2はシリコン(Si)を含む。シリコン(Si)は炭化ケイ素(SiC)に比べコストが安価である。フォーカスリングFCR全体が炭化ケイ素(SiC)からなることに比べ、本発明のフォーカスリングFCRは外部に露出される第1リングRIN1のみ炭化ケイ素(SiC)からなるため経済的である。
【0029】
締結部材FTMは第2リングRIN2を貫通するボルト状を有する。締結部材FTMは第1及び第2リングRIN1、RIN2と接着されることで、第1及び第2リングRIN1、RIN2を互いに結合する。締結部材FTMは第1及び第2リングRIN1、RIN2とは異なる素材のセラミックまたは高分子を含む。
フォーカスリングFCRの下にカバーリングCVRが提供される。カバーリングCVRは支持板220の外周面を囲むリング状を有する。カバーリングCVRはフォーカスリングFCRの底がプラズマに暴露されることを防止する。カバーリングCVRの突出部PRPはフォーカスリングFCRのグルーブGRVと噛み合う。
【0030】
本発明の他の実施例として、図示していないが、カバーリングCVRの下にカプラーが更に提供されてもよい。カプラーは流路形成板230の上にカバーリングCVRを固定させる。カプラーは熱伝導性の高い素材を含む。一例として、カプラーはアルミニウムのような金属を含む。カプラーは熱伝導接着剤によって流路形成板230の上面に接合される。カバーリングCVRは熱伝送接着剤によってカプラーの上面に接合される。一例として、上記熱伝導接着剤はシリコンパッドを含む。
【0031】
本発明の一実施例として、フォーカスリングFCRの下に第1供給流路221が提供される。第1供給流路221を介してヘリウムガスが支持板220とフォーカスリングFCRとの間に供給される。ヘリウムガスはプラズマ装置10が動作する間にフォーカスリングFCRの温度を制御する。ヘリウムガスがフォーカスリングFCRの温度を制御することで、プラズマの均一性を制御することができる。
第1供給流路221を介して供給されたヘリウムガスは第2リングRIN2と支持板220との間のギャップに沿って流れる。プラズマ装置10が動作する間に支持板220と第2リングRIN2との間が密着されて、フォーカスリングFCRからヘリウムガスが漏れる現象を防止する。
【0032】
図3は、本発明の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
図4は、
図3のA-A’線による断面図である。
図5は、
図3のフォーカスリングの一部を示す斜視図である。
図3乃至
図5を参照すると、フォーカスリングFCRは、第1リングRIN1と、第2リングRIN2と、複数個の締結部材FTMとを含む。複数個の締結部材FTMは第1リングRIN1と第2リングRIN2を互いに結合する。
第1リングRIN1は第2方向D3への中心軸AXを有するリング状を有する。第2リングRIN2は第1リングRIN1と同じ中心軸AXを有するリング状を有する。一例として、第1リングRIN1は第1素材を含み、第2リングRIN2は上記第1素材とは異なる第2素材を含む。
【0033】
上記第1素材及び上記第2素材は、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)、及び炭化ホウ素からなる群よりそれぞれ異なる素材として選択される。上記炭化ホウ素はB
2C、B
3C、B
4C、B
5C、B
13C
2、B
13C
3、B
50C
2、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。例えば、第1リングRIN1は炭化ケイ素(SiC)を含み、第2リングRIN2はシリコン(Si)を含む。
第1リングRIN1は、第2リングRIN2の上に提供されて第2リングRIN2を覆うカバー部CVPと、カバー部CVPの内側に位置するローディング部LDPと、カバー部CVPの外側に位置する外側部ENPとを含む。本明細書で使用される「内側に位置する」とは、中心軸AX(
図3を参照)に更に近く位置することを意味する。本明細書で使用される「外側に位置する」とは、中心軸AXから更に遠く位置することを意味する。
【0034】
第1リングRIN1のローディング部LDPはカバー部CVPに比べ低いレベルに提供される。ローディング部LDPの上面は支持面SUSを含む。カバー部CVPの上面は最上面TTSを含む。ローディング部LDPの支持面SUSとカバー部CVPの最上面TTSとの間にこれらを連結する傾斜面ICSが提供される。傾斜面ICSは支持面SUSから最上面TTSに垂直にまたは斜めに延長される。
【0035】
図2に示したとおり、ローディング部LDPの支持面SUSは基板Wを安着させる。最上面TTSは支持面SUSより更に高く位置する。傾斜面ICSは支持面SUSと最上面TTSを連結するが、傾斜面ICSを介してシース、プラズマの界面、及び電場が調節される。言い換えれば、傾斜面ICSはプラズマが基板Wの上に集中するように誘導する。
フォーカスリングFCRは、上記
図1のプラズマ装置を利用して工程を行う際、その上部がプラズマによってエッチングされて次第にその厚さが薄くなる。フォーカスリングFCRの上部がエッチングされて薄くなれば、基板Wの外側の領域上でシース及びプラズマの界面が変更される。これは基板Wのプラズマ処理に影響を及ぼす恐れがある。よって、フォーカスリングFCRが一定の厚さ以下に薄くなったら取替えの時期と判断される。
【0036】
本発明の実施例によるフォーカスリングFCRは、第1リングRIN1が第2リングRIN2の上に提供されて第2リングRIN2をカバーする。これによって第1リングRIN1のみプラズマに暴露され、第2リングRIN2は第1リングRIN1によってプラズマに暴露されない。
第2リングRIN2(例えば、シリコン)は、第1リングRIN1(例えば、炭化ケイ素)に比べコストは安価である代わりに、プラズマに対するエッチング耐性が低い。本発明の実施例によると、プラズマに対する高いエッチング耐性を有する第1リングRIN1のみプラズマに暴露される。これによってフォーカスリングFCRの入替周期を延長することができる。また、フォーカスリングFCRの全体の体積の約1/3を第2リングRIN2が占めるため、本発明のフォーカスリングFCRを経済的に利用することができる。
【0037】
第1リングRIN1の外側部ENPはカバー部CVPの外周面に提供される。外側部ENPはカバー部CVPから下に延長される。外側部ENPは第2リングRIN2の外周面から水平に離隔される。第1リングRIN1の外側部ENPと第2リングRIN2との間にグルーブGRVが定義される。グルーブGRVは第1リングRIN1と同じ中心軸AXのリング状を有する。上記のとおり、グルーブGRVはカバーリングCVRの突出部PRPと結合される。
締結部材FTMは、第2リングRIN2を貫通する貫通部PEPと、貫通部PEP上の埋立部EXPとを含む。埋立部EXPは第1リングRIN1の下部に埋め込まれる。詳しくは、第2リングRIN2はそれを貫通する貫通孔PEHを含む。締結部材FTMの貫通部PEPは貫通孔PEH内に提供される。第1リングRIN1はその下部に円形のリセスRCSを含む。締結部材FTMの埋立部EXPはリセスRCS内に提供される。
【0038】
本発明の一実施例として、貫通部PEPは第1直径DI1を有し、埋立部EXPは第2直径DI2を有する。第2直径DI2は第1直径DI1より大きい。つまり、締結部材FTMはねじ山が省略されたボルト状を有する。第1直径DI1に対する第2直径DI2の比DI2/DI1は1.1乃至2である。後述する
図14の実施例を考慮すると、第1直径DI1に対する第2直径DI2の比DI2/DI1は1乃至2である。上記比DI2/DI1が2より大きければ、埋立部EXPがリセスRCSを完全に埋め込まれず、リセスRCS内にエアギャップが形成される。
締結部材FTMは第1及び第2リングRIN1、RIN2とは異なるセラミック素材を含むことができる。例えば、締結部材FTMは、ジルコニウム酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物、アルミニウム酸化物、イットリウム酸化物、マグネシウム酸化物、炭化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つを含む。
【0039】
本発明の一実施例として、締結部材FTMの限界温度(Temperature limit)は1300℃乃至1700℃である。一例として、締結部材FTMの限界温度はシリコン(Si)の融点と同じであるか更に高い。
本発明の他の実施例として、締結部材FTMの限界温度はシリコン(Si)の融点より低くてもよい。言い換えれば、シリコン(Si)の融点より低い温度で締結部材FTMを加熱して除去してもよい。この場合、シリコンである第2リングRIN2を損傷せずに締結部材FTMを除去することができる。よって、プラズマに暴露されて摩耗された(またはエッチングされた)第1リングRIN1を第2リングRIN2から分離し、第2リングRIN2はリサイクルすることができる。
【0040】
第1リングRIN1の中心を通る第1中心線CT_Rが定義される。
図3に示したとおり、第1中心線CT_Rは中心軸AXを有する円状である。第1リングRIN1の内周面から第1中心線CT_Rまでの距離は第1距離SP1である。第1リングRIN1は第1方向D1に第1幅WI1を有する。この際、第1距離SP1は第1幅WI1の半分(つまり、WI1/2)である。
締結部材FTMは第1中心線CT_Rより外側に位置する。締結部材FTMの中心を通る第2中心線CT_Fが定義される。第2中心線CT_Fは第1中心線CT_Rからオフセットされる。例えば、第2中心線CT_Fは第1中心線CT_Rから第1方向D1にオフセットされる。第1リングRIN1の内周面から第2中心線CT_Fまでの距離は第2距離SP2である。第2距離SP2は第1距離SP1より大きい。
【0041】
図2に示したとおり、締結部材FTMが第1中心線CT_Rより外側に位置することで、締結部材FTMは支持板220ではなくカバーリングCVRの上に位置する。もし締結部材FTMが支持板220(静電チャック)の上に位置すれば、支持板220とフォーカスリングFCRとの間の静電気力が減少する。これによってプラズマ装置10が作動するときフォーカスリングFCRが支持板220の上に不安定に固定される問題が発生する恐れがある。
一方、本発明による締結部材FTMは支持板220の外部のカバーリングCVRの上に位置するため、支持板220とフォーカスリングFCRとの間の静電気力がそのまま維持される。これによってプラズマ装置10が作動する間フォーカスリングFCRが支持板220上に安定的に固定される。
よって、締結部材FTMは支持板220の水平方向の端から、フォーカスリングの第2リングの水平方向の外郭の端部分の間に位置することがよい。
【0042】
図3乃至
図5に示したとおり、第1リングRIN1の最大厚さは第1厚さTK1である。言い換えれば、外側部ENPの厚さは第1厚さTK1である。第1リングRIN1のカバー部CVPの厚さは第2厚さTK2である。第2リングRIN2の厚さは第3厚さTK3である。第2厚さTK2と第3厚さTK3の和は第1厚さTK1である。例えば、第1厚さTK1は2mm乃至20mmであるが、これに限定されない。
【0043】
締結部材FTM貫通部PEPの第3方向D3への長さ(または厚さ)は第3厚さTK3と実質的に同じである。締結部材FTMの埋立部EXPの厚さは第4厚さTK4である。第4厚さTK4は第2厚さTK2より小さい。第2厚さTK2に対する第4厚さTK4の比TK4/TK2は0.1乃至0.7である。
上記比TK4/TK2が0.1より小さければ、第1及び第2リングRIN1、RIN2の間の結合力が減少して第1及び第2リングRIN1、RIN2が互いに脱着される。上記比TK4/TK2が0.7より大きければ、フォーカスリングFCRの上部がプラズマによってエッチングされることで、締結部材FTMがすぐに暴露される。これによってフォーカスリングFCRの入替周期が短くなる問題がある。
【0044】
図3に示したとおり、複数個の締結部材FTMの個数は少なくとも4つである。本発明に実施例によると、締結部材FTMの個数は4乃至24である。第1及び第2リングRIN1、RIN2の間の均一な結合力のために、複数個の締結部材FTMはフォーカスリングFCRの上に均一に分布される。
図6乃至
図9は、本発明の実施例によるフォーカスリングを製造する方法を説明するための図であって、
図3のA-A’線に対応する断面図である。
図6に示したとおり、第1素材からなる第1リングR1N1と第2素材からなる第2リングRIN2が準備される。第1リングRIN1を加工して丸いリセスRCSを形成する。リセスRCSは第1リングRIN1の中心を通る第1中心線CT_Rより外側に形成される。リセスRCSの第2中心線CT_Fは第1中心線CT_Rから水平的にオフセットされる。
【0045】
リセスRCSは第4厚さTK4に対応する深さを有するように形成される。第1リングRIN1のカバー部CVPの第2厚さTK2に対する第4厚さTK4の比TK4/TK2は0.1乃至0.7である。
第2リングRINを加工して第2リングRIN2を貫通する貫通孔PEHを形成する。貫通孔PEHは第1リングRIN1のリセスRCSと整列するように形成される。貫通孔PEHは第1直径DI1に形成され、リセスRCSは第1直径DI1より大きい第2直径DI2に形成される。例えば、第1直径DI1に対する第2直径DI2の比DI2/DI1は1.1乃至2である。
【0046】
図7を参照すると、ひっくり返された第1リングRIN1の上にひっくり返された第2リングRIN2が積層される。第2リングRIN2はその貫通孔PEHが第1リングRIN1のリセスRCSと整列するように配置される。第1リングRIN1の外側部ENPと第2リングRIN2との間にグルーブGRVが定義される。貫通孔PEHとリセスRCSは互いに連通して一つの締結溝FTHを構成する。締結溝FTHはボルト状の空き空間である。
【0047】
図8を参照すると、締結溝FTH内にボンド組成物CRBが提供される。ボンド組成物CRBは締結溝FTHを埋める。言い換えれば、ボンド組成物CRBは貫通孔PEHとリセスRCSを埋める。
本発明の一実施例として、ボンド組成物CRBは、ジルコニウム酸化物、ジルコニウムシリコン酸化物、アルミニウム酸化物、イットリウム酸化物、マグネシウム酸化物、炭化ケイ素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一つのセラミックを含有する接着組成物である。
【0048】
商業的に販売されるセラミックボンドの粘度はボンドの物性によって多様な粘度を有するが、本発明のボンド組成物CRBは、締結溝FTHの内部を完全に詰めるほどの粘度を有することが好ましい。よって、セラミックボンド自体の粘度が高すぎれば添加剤を加えて(またはセラミックボンドを希釈して)ボンド組成物CRBの粘度を変化させることで、適合した粘度に調合されたボンド組成物CRBを締結溝FTH内に注入する。
本発明の他の実施例として、締結溝FTH内に有機高分子基盤のボンド組成物CRBが提供されてもよい。例えば、ポリイミド基盤の高分子を含むボンド組成物CRBが締結溝FTH内に提供されてもよい。
【0049】
図9を参照すると、締結溝FTH内に詰められたボンド組成物CRBの硬化工程CUPが行われる。硬化工程CUPはボンド組成物CRBの上に熱硬化を行うことを含む。例えば、硬化工程CUPは80℃乃至200℃の温度下で1時間乃至10時間行われる。
図3乃至
図5に示したとおり、締結溝FTH内に埋められたボンド組成物CRBが硬化されてセラミックまたは有機高分子基盤の締結部材FTMが形成される。締結部材FTMで第1及び第2リングRIN1、RIN2を互いに結合することで、本発明によるフォーカスリングFCRが製造される。硬化されたボンド組成物CRBは高い強度、高い限界温度、及び低い熱膨張係数を有するため、プラズマ環境下でフォーカスリングFCRを安定的に維持することができる。
【0050】
図10は、本発明の他の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。
図11は、
図10のA-A’線による断面図である。本実施例では
図3乃至
図5を参照して説明した内容と重複する技術的特徴に関する説明は省略し、その差について詳細に説明する。
図10及び
図11を参照すると、フォーカスリングFCR内に提供される複数個の締結部材FTMの個数は6つである。複数個の締結部材FTMは時計回りに多様な規則性を有し、締結力が向上されるパターンに配列される。本発明の一実施例による締結部材FTMは一定な間隔で配列されることで、第1及び第2リングRIN1、RIN2の間の均一な結合力を提供することができる。
例えば、複数個の締結部材FTMは時計回りに順次に配列される第1、第2、及び第3締結部材FTM1、FTM2、FTM3を含む。第1締結部材FTM1と第2締結部材FTM2との間の間隔は第3距離SP3であり、第2締結部材FTM2と第3締結部材FTM3との間の間隔は第4距離SP4である。この際、第3距離SP3と第4距離SP4は実質的に同じである。
【0051】
図11に示したとおり、締結部材FTMはリセスされた底面RSB_Tを有する。締結部材FTMのリセスされた底面RSB_Tは埋立部EXPに向かう方向に窪む。リセスされた底面RSB_Tは、その縁に最低面RBS_Lとその中央に最高面RBS_Tとを含む。最高面RBS_Tは最低面RBS_Lより高い。最低面RBS_Lは第2リングRIN2の底面BSと同じレベルに位置するか更に高い。一実施例として、最低面RBS_Lは第2リングRIN2の底面BSより高い。
【0052】
図12及び
図13は、本発明の一実施例による第1リングの取替方法を説明するための断面図である。
図12を参照すると、使用されていないフォーカスリングFCRの最大厚さは第1厚さTK1である。つまり、使用されていない第1リングRIN1の最大厚さは第1厚さTK1である。
上記のとおり、フォーカスリングFCRが
図1のプラズマ装置内に取り付けられてプラズマに持続的に暴露されれば、第1リングRIN1がプラズマによってエッチングされて、カバー部CVPの最上面TTSが次第に低くなる。ローディング部LDPに近いカバー部CVPは少なくエッチングされ、外側部ENPに近いカバー部CVPはより多くエッチングされる。
摩耗された第1リングRIN1によって、使用されたフォーカスリングFCRの外側部ENPの厚さは第5厚さTK5を有する。第5厚さTK5は第1厚さTK1より小さい。第5厚さTK5が所定厚さより小さくなれば、第1リングRIN1はそれ以上使用せずに取替える時期と判断される。
【0053】
図13を参照すると、本実施例の締結部材FTMは、その限界温度がシリコン(Si)の融点より低いセラミックまたは有機高分子を含む。締結部材FTMの上に焼却工程BOPが行われ、締結部材FTMが選択的に除去される。焼却工程BOPは締結部材FTMの限界温度より高い温度で行われる。焼却工程BOPはシリコン(Si)の融点より低い温度で行われる。
シリコン(Si)の融点より低い温度で締結部材FTMを加熱して除去するため、シリコンである第2リングRIN2を損傷せずに締結部材FTMのみ選択的に除去することができる。よって、プラズマに暴露されて摩耗された(またはエッチングされた)第1リングRIN1から第2リングRIN2を分離し、第2リングRIN2をリサイクルすることができる。分離された第2リングRIN2は上記
図6の第2リングRIN2としてリサイクルされる。
【0054】
本実施例によると、第2リングRIN2を廃棄せずに摩耗された第1リングRIN1のみ新しい第1リングRIN1に取替えることで、第2リングRIN2をリサイクルすることができる。これによって本発明のフォーカスリングFCRの経済性が向上される。
図14、
図16、及び
図17それぞれは、本発明の他の実施例によるフォーカスリングを説明するための図であって、
図3のA-A’線による断面図である。
本実施例では
図3乃至
図5においてした説明と重複する技術的特徴については省略し、その差について説明する。
【0055】
図14を参照すると、締結部材FTMは、第2リングRIN2を貫通する貫通部PEPと、貫通部PEP上の埋立部EXPとを含む。貫通部PEPは第1直径DI1を有し、埋立部EXPは第2直径DI2を有する。本実施例によると、第2直径DI2は第1直径DI1と実質的に同じである。つまり、締結部材FTMはシリンダ状または棒(rod)状を有する。
図8及び
図9を用いて説明したとおり、締結部材FTMはボンド組成物が硬化されて形成されたものであるため、締結部材FTMが
図4のようなボルト状を有しなくても第1及び第2リングRIN1、RIN2を互いに結合することができる。
【0056】
第2リングRIN2は、
図2の支持板220(静電チャック)に安着される内側領域INRと、カバーリングCVRに安着される外側領域OTRとを含む。外側領域OTRの外周面OSWはグルーブGRVの内側面である。上記のとおり、支持板220とフォーカスリングFCRと間の静電気力を維持するために、締結部材FTMは外側領域OTR内に位置する。締結部材FTMが提供される位置は、外側領域OTR内で多様に変化することができる。
【0057】
図15aと
図15bは、
図14の締結部材の位置が外側領域OTR内で変更される場合を例示する図である。
図15aを参照すると、締結部材FTMは外側領域OTRの第1サイドに配置される。締結部材FTMの第1側壁SW1は内側領域INRと外側領域OTRとの間の境界に位置する。
図15bを参照すると、締結部材FTMは外側領域OTRの第2サイドに配置される。締結部材FTMの第2側壁SW2は外側領域OTRの外周面OSWに位置する。
【0058】
図16を参照すると、締結部材FTMの貫通部PEPは、第2リングRIN2の底面BSに露出される下部LPを含む。貫通部PEPの下部LPは傾斜した側壁TSWを有する。貫通部PEPの下部LPは、第2リングRIN2の底面BSに行くほど直径が増加するテーパ形状を有する。
貫通部PEPの下部LPの最大直径は第3直径DI3である。第3直径DI3は貫通部PEPの第1直径DI1より大きい。第3直径DI3は埋立部EXPの第2直径DI2と同じであるか、小さいか、または大きい。締結部材FTMはテーパ形状の下部LPを更に含むことで、第1及び第2リングRIN1、RIN2をより強く結合させることができる。
【0059】
図17を参照すると、締結部材FTMの貫通部PEPは、第2リングRIN2の底面BSに露出される下部LPを含む。貫通部PEPの下部LPは第1直径DI1より大きい第3直径DI3を有する。貫通部PEPの下部LPは第1直径DI1から第3直径DI3に急激に変化する。これによって貫通部PEPの下部LPはボルトの形状を有する。第3直径DI3は埋立部EXPの第2直径DI2と同じであるか、小さいか、または大きい。締結部材FTMはボルトのヘッド状の下部LPを更に含むことで、第1及び第2リングRIN1、RIN2をより強く結合させる。
【0060】
図18及び
図19それぞれは、本発明の他の実施例によるフォーカスリングの底面を示す平面図である。本実施例では
図10を参照して説明したことと重複する技術的特徴については省略し、その差について詳細に説明する。
図18を参照すると、複数個の締結部材FTMは時計回りに順次に配列される第1、第2、及び第3締結部材FTM1、FTM2、FTM3を含む。第1リングRIN1の内周面から第1締結部材FTM1の中心までの距離は第5距離PS5である。第1リングRIN1の内周面から第2締結部材FTM2の中心までの距離は第6距離PS6である。第1リングRIN1の内周面から第3締結部材FTM3の中心までの距離は第7距離PS7である。第5距離SP5、第6距離SP6、及び第7距離SP7は互いに異なる。つまり、本実施例によると、複数個の締結部材FTMは中心軸AXから同じ距離に位置するのではなく、互いに異なる距離に位置する。言い換えれば、複数個の締結部材FTMの配置は不規則である。
【0061】
図19を参照すると、複数個の締結部材FTMは時計回りに順次に配列される第1乃至第4締結部材FTM1-FTM4を含む。第1締結部材FTM1と第2締結部材FTM2との間の間隔は第8距離SP8であり、第2締結部材FTM2と第3締結部材FTM3との間の間隔は第9距離SP9であり、第3締結部材FTM3と第4締結部材FTM4との間の間隔は第10距離SP10である。この際、第8距離SP8、第9距離SP9、及び第10距離SP10は互いに異なる。
本実施例によると、複数個の締結部材FTMは不規則な間隔で配列される。例えば、第1及び第2リングRIN1、RIN2の間に強い結合力が必要な領域には締結部材FTMが狭い間隔で配列される。
【0062】
これまで添付した図面を参考して本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施され得ることを理解できるはずである。よって、上記の実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【符号の説明】
【0063】
10:プラズマ装置
100:チェンバ
102:排気孔
110:筐体
120:カバー
130:ライナー
131:支持リング
151:排気ライン
200:支持ユニット
220:(静電)チャック、支持板
221:第1供給流路
223:静電気極
223a:第1下部電源
223c:第1電源ライン、冷却流体供給ライン
225:ヒータ
225a:第2下部電源
225c:第2電源ライン
230:チャック、流路形成板
231:第1循環流路
231a:熱伝達媒体貯留部
231b:熱伝達媒体供給ライン
232:第2循環流路
232a:冷却流体貯留部
232b:冷却器
232c:冷却流体供給ライン
233:第2供給流路
236:接着剤
240:エッジリング
250:チャック、絶縁プレート
270:下部カバー
273:連結部材
300:ガス供給ユニット
310:ガス供給ノズル
320:ガス供給ライン
321:弁
330:ガス貯留部
400:プラズマソース
410:アンテナシール
420:アンテナ
430:プラズマ電源
500:排気ユニット
510:排気板
511:貫通孔
AX:中心軸
BOP:焼却工程
BS:底面
CRB:ボンド組成物
CT_F:第2中心線
CT_R:第1中心線
CUP:硬化工程
CVP:カバー部
CVR:カバーリング、グルーブ
D1:第1方向
D2:第2方向
D3:第3方向
DI1:第1直径
DI2:第2直径
DI3:第3直径
ENP:外側部
EXP:埋立部
FCR:フォーカスリング
FTH:締結溝
FTM:締結部材
FTM1:第1締結部材
FTM2:第2締結部材
FTM3:第3締結部材
FTM4:第4締結部材
GRV:グルーブ
ICS:傾斜面
INR:内側領域
LDP:ローディング部
LP:下部
OTR:外側領域
OSW:外側面
PEP:貫通部
PEH:貫通孔
PRP:突出部
RCS:リセス
RIN1:第1リング
RIN2:第2リング
RBS_L:最低面
RBS_T:最高面
RSB_T:リセスされた底面
SP1:第1距離
SP2:第2距離
SP3:第3距離
SP4:第4距離
SP5:第5距離
SP6:第6距離
SP7:第7距離
SP8:第8距離
SP9:第9距離
SP10:第10距離
SUS:支持面
SW1:第1側壁
SW2:第2側壁
TK1:第1厚さ
TK2:第2厚さ
TK3:第3厚さ
TK4:第4厚さ
TK5:第5厚さ
TSW:傾斜した側壁
TTS:最上面
W:基板
WI1:第1幅