(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019117
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】測定装置、干渉法による測定方法、処理方法、光学要素及びリソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240201BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240201BHJP
G01B 9/02015 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
G01B11/24 D
G03F7/20 521
G01B9/02015
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122424
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】10 2022 207 884.5
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シュルツ
(72)【発明者】
【氏名】ブラダン ブラーニク
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ペシュカ
【テーマコード(参考)】
2F064
2F065
2H197
【Fターム(参考)】
2F064AA09
2F064BB00
2F064CC10
2F064EE05
2F064FF05
2F064FF07
2F064GG20
2F064GG22
2F064HH08
2F064JJ01
2F065AA53
2F065BB05
2F065CC19
2F065DD06
2F065FF52
2F065FF61
2F065GG22
2F065GG24
2F065HH03
2F065HH13
2F065JJ03
2F065LL04
2F065LL12
2F065LL19
2F065LL30
2F065LL46
2F065MM02
2F065PP12
2F065PP22
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065RR08
2F065UU07
2H197AA05
2H197CA06
2H197CA10
2H197DC16
2H197GA05
2H197GA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】測定装置、干渉法による測定方法、処理方法、光学要素及びリソグラフィシステムを提供する。
【解決手段】干渉法によって試験物体(3)の表面(2)、特に光学要素の光学面(2)の形状を測定するための測定装置(1)であって、-照明波(6)を生成するための照明源(5)を備える照明装置(4)と、-前記照明波(6)を、前記表面(2)に向けられた試験波(9)と基準波(10)とに分割し、測定される前記表面(2)と相互作用した前記戻り試験波(9)を前記基準波(10)と結合するための分割要素(8)を備える干渉計装置(7)と、-測定される前記表面(2)の前記形状の目標形状からのずれを決定するために、干渉パターンを登録し、前記干渉パターンを評価するための登録装置(11)と、-測定される前記表面(2)を測定される複数の個々のエリア(13)に分割するように構成された制御装置(12)と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉法によって試験物体(3)の表面(2)、特に光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の光学面(2)の形状を測定するための測定装置(1)であって、
照明波(6)を生成するための照明源(5)を備える照明装置(4)と、
前記照明波(6)を、前記表面(2)に向けられた試験波(9)と基準波(10)とに分割し、測定される前記表面(2)と相互作用した前記戻り試験波(9)を前記基準波(10)と結合するための分割要素(8)を備える干渉計装置(7)と、
測定される前記表面(2)の前記形状の目標形状からのずれを判定するために、干渉パターンを登録し、前記干渉パターンを評価するための登録装置(11)と、
測定される前記表面(2)を測定される複数の個々のエリア(13)に分割するように構成された制御装置(12)と、
前記それぞれの個々のエリア(13)が完全に照明されるように、測定される前記表面(2)上に前記試験波(9)を位置決めするように構成された位置決め装置(14)と、を有し、
前記登録装置(11)は、前記個々のエリア(13)からのデータに基づいて、測定される前記表面(2)の少なくとも一部の前記形状の前記目標形状からのずれを判定するように構成され、
前記照明装置(4)は、前記干渉計装置(7)の部分開口部(16)を画定し、それぞれの場合に測定される前記個々のエリア(13)にそれを適合させるように構成された少なくとも1つの調整可能な絞り装置(15)を備えることを特徴とする、測定装置(1)。
【請求項2】
前記分割要素(8)は、前記試験波(6)の非球面波面を形成するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の測定装置(1)。
【請求項3】
前記分割要素(8)は、試験波(6)として非点収差及び/又はトロイダル波面を形成するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の測定装置(1)。
【請求項4】
交換可能な分割要素(8)のセット(8a)が、前記試験物体(3)の前記表面(2)を測定するために設けられ、前記セット(8a)の前記分割要素(8)は、測定される前記個々のエリア(13)の前記目標形状に適合した分割要素(8)が測定される個々のエリア(13)ごとに選択可能であるように具現化されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項5】
前記干渉計装置(7)は、フィゾー干渉計の形態であり、前記分割要素(8)は、基準面(17)と、前記基準面(17)の反対側の裏側面(18)とを備えるフィゾー要素の形態であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項6】
前記フィゾー要素(8)の前記基準面(17)は非点収差及び/又はトロイダル形状を有することを特徴とする、請求項5に記載の測定装置(1)。
【請求項7】
前記フィゾー要素(8)の前記裏側面(18)は、好ましくは平面である前記照明波(6)が、前記照明波(6)の断面の各点で前記基準面(17)に少なくともほぼ垂直に入射するような形状であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の測定装置(1)。
【請求項8】
前記照明波(6)の断面の各点において、前記照明波(6)は、前記表面法線に対して少なくとも0.1°、好ましくは少なくとも0.3°の角度で前記フィゾー要素(8)の前記裏側面(18)に入射することを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項9】
前記絞り装置(15)は、調整可能な直径を有する円形絞り、及び/又は調整可能な辺の長さを有する矩形絞り(19)、及び/又は多羽根絞りを備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項10】
前記登録装置(11)は、前記個々のエリア(13)から前記表面(2)の前記形状を再構築するように構成されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項11】
前記制御装置(12)は、測定パラメータが最適化されるように、前記個々のエリア(13)の数、位置、形状及び/又は重なりを判定するように構成されることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項12】
前記制御装置(12)は、前記それぞれの個々のエリア(13)内に生じる最大勾配が1mrad、好ましくは0.1mradの限界勾配を超えないように、前記個々のエリア(13)の前記数、位置及び/又は形状を判定するように構成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項13】
低減装置(30)は、前記照明波(6)の空間コヒーレンスを低減するために設けられることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項14】
前記測定装置(1)の全ての光学構成要素は、反射及び/又は屈折構成要素の形態であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項15】
前記位置決め装置(14)は、6自由度を有することを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項16】
前記分割要素(8)及び/又は前記位置決め装置(14)は、前記試験波(9)の断面の各点において、前記試験波(9)が測定される前記表面(2)に少なくともほぼ垂直に入射するように設計されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の測定装置(1)。
【請求項17】
干渉法によって試験物体(3)の表面(2)、特に光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の光学面(2)の形状を測定する方法であって、それによって、
分割要素(8)によって、照明波(6)は、前記表面(2)に向けられた試験波(9)と基準波(10)とに分割され、それによって、
測定される前記表面(2)と相互作用した前記戻り試験波(9)は前記基準波(10)と結合され、干渉パターンが生成され、それによって、
前記干渉パターンは、測定される前記表面(2)の前記形状の目標形状からのずれを判定するために評価され、それによって、
測定される前記表面(2)は、連続して測定される複数の個々のエリア(13)に分割され、それによって、
前記試験波(9)は、前記それぞれの個々のエリア(13)が少なくともほぼ垂直に完全に照明されるように、測定される前記表面(2)上に位置決めされ、
前記個々のエリア(13)を照明するために、前記試験波(9)のサイズを画定する部分開口部(16)は、それぞれの場合に測定される前記個々のエリア(13)に適合されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
測定される前記個々のエリア(13)の前記目標形状に適合される前記試験波(9)の非球面波面は、前記分割要素(8)によって形成されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面(2)の前記形状は、前記個々のエリア(12)から再構築されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
交換可能な分割要素(8)のセット(8a)は、前記試験物体(3)の前記表面(2)を測定するために設けられ、前記セット(8a)の前記分割要素(8)は、測定される前記個々のエリア(13)の前記目標形状に適合した分割要素(8)が前記個々のエリア(13)の各々に利用可能であるように、測定される前記試験物体(3)の前記表面(2)の前記個々のエリア(13)に適合した方法で具現化され、前記個々のエリア(13)の前記目標形状に適合した分割要素(8)は、前記個々のエリア(13)の各々を測定する目的で、前記セット(8a)から選択されることを特徴とする、請求項17、18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記分割要素(8)の基準面(17)において、前記照明波(6)の一部は前記試験波(9)として送信され、前記照明波(6)の一部は前記基準波(10)として反射されることを特徴とする、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記分割要素(8)は、前記表面(2)から0.1cm~10cm、好ましくは0.5cm~3cm、特に好ましくは1.5cm~2.5cmの距離に位置決めされることを特徴とする、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記分割要素(8)はフィゾー要素として具現化されることを特徴とする、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記基準面(17)は、測定される前記試験物体(3)の前記表面(2)の前記目標形状に適合するように具現化されることを特徴とする、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記試験波(9)の非点収差及び/又はトロイダル波面が形成されることを特徴とする、請求項17~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記それぞれの個々のエリア(13)の各場所において、前記試験波(9)は、局所平均表面法線に対して可能な限り平行に、及び/又は前記表面(2)に対して可能な限り垂直に誘導されることを特徴とする、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記個々のエリア(13)を測定するために、前記照明波(6)を形成する照明装置(4)と、前記基準波(10)及び前記試験波(9)を形成する干渉計装置(7)と、干渉パターンを登録する登録装置(11)とは、前記試験波(9)が可能な限り垂直に前記表面(2)に当たるように、前記表面(2)に対して位置決めされることを特徴とする、請求項17~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記部分開口部(16)は、調整可能な直径を有する円形絞り、及び/又は調整可能な辺の長さを有する矩形絞り(19)、及び/又は多羽根絞りによって、絞り装置(15)によって画定されることを特徴とする、請求項17~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記表面(2)の前記個々のエリア(13)は、前記それぞれの個々のエリア(13)に割り当てられた部分開口部(16)による登録によって測定されることを特徴とする、請求項17~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
測定パラメータが最適化されるように、前記個々のエリア(13)の数、位置、形状及び/又は重なりが決定されることを特徴とする、請求項17~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記個々のエリア(13)の前記数、位置及び/又は形状は、前記それぞれの個々のエリア(13)内に生じる最大勾配が5mrad、好ましくは1mrad、特に好ましくは0.5mradの限界勾配を超えないように決定されることを特徴とする、請求項17~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
特にリソグラフィシステム用、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置(100、200)用の、試験物体(3)、特に光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)を処理するための処理方法であって、前記試験物体(3)の表面(2)、特に前記光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の光学面(2)の形状は、前記表面(2)の前記形状が少なくとも目標形状に近似するように処理され、
前記表面(2)の前記形状は、請求項1~16のいずれか一項に記載の測定装置(1)によって、及び/又は請求項17~31のいずれか一項に記載の方法を使用して決定されることを特徴とする、処理方法。
【請求項33】
前記処理方法は、1つ以上の処理ステップで実行され、前記表面(2)の前記形状は、各処理ステップの後に決定されることを特徴とする、請求項32に記載の処理方法。
【請求項34】
前記後続の処理ステップの前記処理方法は、前記表面(2)の前記決定された形状に基づいて決定されることを特徴とする、請求項32又は33に記載の処理方法。
【請求項35】
前記処理方法は、研磨方法であることを特徴とする、請求項32~34のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項36】
特にリソグラフィシステム用、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置(100、200)用の光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)であって、
前記光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の前記表面(2)は、請求項1~16のいずれか一項に記載の測定装置(1)及び/又は請求項17~31のいずれか一項に記載の方法を使用して測定され、及び/又は請求項32~35のいずれか一項に記載の処理方法を使用して処理されることを特徴とする、光学要素。
【請求項37】
放射線源(102)と、少なくとも1つの光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)を備える光学ユニット(103、109、206)とを有する照明システム(101、201)を有するリソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置(100、200)であって、
前記光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の少なくとも1つは、
請求項1~16のいずれか一項に記載の測定装置(1)によって少なくとも部分的に測定される光学面(2)を備え、及び/又は
請求項17~31のいずれか一項に記載の方法を使用して少なくとも部分的に測定される光学面(2)を備え、及び/又は
請求項32~35のいずれか一項に記載の処理方法によって処理され、及び/又は
請求項36に記載の光学要素(116、118、119、120、121、122、Mi、207)であることを特徴とする、リソグラフィシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉法によって試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状を測定するための測定装置であって、照明波を生成するための照明源を備える照明装置と、照明波を、表面に向けられた試験波と基準波とに分割するための分割要素を備える干渉計装置と、測定される表面と相互作用した戻り試験波を基準波と結合し、測定される表面の形状の目標形状からのずれを決定するために、干渉パターンを登録し、干渉パターンを評価するための登録装置と、測定される表面を測定される複数の個々のエリアに分割するように構成された制御装置と、それぞれの個々のエリアが完全に照明されるように、測定される表面上に試験波を位置決めするように構成された位置決め装置と、を有し、登録装置は、個々のエリアからのデータに基づいて、測定される表面の少なくとも一部の形状の目標形状からのずれを決定するように構成される、測定装置に関する。
【0002】
本発明はまた、干渉法によって試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状を測定する方法であって、それによって、-分割要素によって、照明波は、表面に向けられた試験波と基準波とに分割され、それによって、測定される表面と相互作用した戻り試験波は基準波と結合され、干渉パターンが生成され、それによって、干渉パターンは、測定される表面の形状の目標形状からのずれを決定するために評価され、それによって、測定される表面は、連続して測定される複数の個々のエリアに分割され、それによって、試験波は、それぞれの個々のエリアが少なくともほぼ垂直に完全に照明されるように、測定される表面上に位置決めされる、方法に関する。
【0003】
本発明はまた、特にリソグラフィシステム用、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置用の、試験物体、特に光学要素を処理するための処理方法であって、試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状は、表面の形状が少なくとも目標形状に近似するように処理される、方法に関する。
【0004】
本発明はまた、特にリソグラフィシステム用の光学要素に関する。
【0005】
更に、本発明は、放射線源と、少なくとも1つの光学要素を備える光学ユニットとを有する照明システムを有するリソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0006】
投影露光装置において放射線を誘導及び成形するための光学要素は、従来技術から知られている。既知の光学要素では、光学要素の表面は、当該光学要素に入射する光波を誘導して成形することが多い。したがって、所望の特性を有する正確な波面を形成するために、表面の形状の正確な制御が特に有利である。
【0007】
従来技術は、マイクロリソグラフィ構造を最高の精度で製造するために、紫外線、特にDUV(深紫外線)及び/又はEUV(極紫外線)光を使用するリソグラフィシステムを開示している。ここで、放射線源の光は、複数のミラーを介して露光されるウェハに導かれる。ミラーの表面形状の正確な実施形態は、ここで露光の品質に決定的な貢献をする。
【0008】
リソグラフィシステムの光学要素、特に鏡面の精度に関する要求は、例えばナノメートルの分数に達するため、従来技術は、リソグラフィシステムの光学要素の品質を検証する目的で干渉測定方法及び装置を使用する実施を開示している。
【0009】
従来技術は、干渉計を使用してミラーの光学面を検証する実施を開示しており、干渉計からの試験光波は、いずれの場合もミラーの部分領域のみを走査する。従来技術によれば、部分領域内のミラーの目標形状からのずれは、干渉法によって決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3476463号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008009600A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0132747A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第1614008B1号明細書
【特許文献5】米国特許第6573978号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0074303A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術から知られている装置及び方法の欠点は、所望の信頼性及び精度で表面の形状を決定することを可能にする目的で、光学面の部分領域ベースの走査が多くの時間を必要とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、干渉法によって試験物体の表面の形状を測定するための測定装置を開発する目的に基づいており、それは従来技術の欠点を回避し、特に表面の形状の時間効率的且つ正確な決定を可能にする。
【0013】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する測定装置によって達成される。
【0014】
本発明はまた、干渉法によって試験物体の表面の形状を測定するための方法を開発する目的に基づいており、それは従来技術の欠点を回避し、特に表面の形状の時間効率的且つ正確な決定を可能にする。
【0015】
本発明によれば、この目的は、請求項17に記載の特徴を有する方法によって達成される。
【0016】
本発明はまた、従来技術の欠点を回避し、特に表面の時間効率的且つ正確な処理を可能にする、試験物体を処理するための処理方法を開発する目的に基づく。
【0017】
本発明によれば、この目的は、請求項32に記載の特徴を有する処理方法によって達成される。
【0018】
本発明はまた、従来技術の欠点を回避し、特に正確に処理された表面を含む光学要素を開発する目的に基づいている。
【0019】
本発明によれば、この目的は、請求項36に記載の特徴を有する光学要素によって達成される。
【0020】
本発明はまた、従来技術の欠点を回避する、特にウェハを露光するための非常に正確な形状の波面を有するリソグラフィシステムを開発する目的に基づいている。
【0021】
本発明によれば、この目的は、請求項37に記載の特徴を有するリソグラフィシステムによって達成される。
【0022】
干渉法によって試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状を測定するための本発明による測定装置は、少なくとも以下の構成部品:
-照明波を生成するための照明源を備える照明装置と、
-照明波を、表面に向けられた試験波と基準波とに分割するための分割要素を備える干渉計装置と、
-測定される表面と相互作用した戻り試験波を基準波と結合し、測定される表面の形状の目標形状からのずれを決定するために、干渉パターンを登録し、干渉パターンを評価するための登録装置と、
-測定される表面を測定される複数の個々のエリアに分割するように構成された制御装置と、
-それぞれの個々のエリアが完全に照明されるように、測定される表面上に試験波を位置決めするように構成された位置決め装置と、を備え、
登録装置は、個々のエリアからのデータに基づいて、測定される表面の少なくとも一部の形状の目標形状からのずれを決定するように構成される。
【0023】
本発明によれば、干渉計装置の部分開口部を画定し、それぞれの場合に測定される個々のエリアにそれを適合させるように構成された少なくとも1つの調整可能な絞り装置を照明装置が備えることが実現される。
【0024】
本発明による測定装置は、部分開口部が、好ましくは動的に、それぞれの場合に測定される個々のエリアに適合可能であるという点で有利である。結果として、部分開口部のサイズを個々のエリアのそれぞれの予想される表面形状に適合させることができるので、表面を時間に関して特に経済的に測定することができる。
【0025】
測定される個々のエリアのサイズ及び/又は形状が、それぞれの場合に測定される個々のエリアの領域における、測定される表面の予想される形状の干渉測定可能性に適合するように、測定される表面を測定される複数の個々のエリアに分割するように制御装置を構成することができる。特に、測定される個々のエリアが、測定されることが困難な測定される光学面の部分よりも高い精度で干渉法によって測定可能な測定される表面の領域において、より大きな面積範囲を有するようにすることができる。
【0026】
測定される表面のそれぞれの広がりに対する個々のエリアのそのような好ましくは動的な適合の結果として、及びそのような方法で選択された個々のエリアに対する部分開口部のその後の適合の結果として、表面の測定を時間に関して又は時間最適化された方法で経済的に進めることが可能である。換言すれば、本発明による測定装置は、測定される表面の各広がりにおいて、測定される表面の形状についての所望の有効性を得るために必要な量以下のデータが収集されることによって、それぞれの個々のエリアにおける測定精度に対するそれぞれの要求に最適化された量のデータが収集されることを可能にする。
【0027】
本発明による測定装置の有利な展開では、分割要素が試験波の非球面波面を形成するように構成されるようにすることができる。
【0028】
分割要素が試験波の非球面波面を形成するように構成されている結果として、測定される非球面の場合、形成される表面にほぼ合わせられた波面が更に可能であり、測定精度が向上する。
【0029】
照明装置及び登録装置が干渉計装置の一部として形成されるようにすることができる。
【0030】
分割要素が一体に形成されることを好ましく実現することができる。
【0031】
或いは、分割要素が多数の部品で形成されるようにすることもできる。
【0032】
特に多くの部品で形成された分割要素の場合、干渉計装置がマイケルソン干渉計及び/又はマッハツェンダ干渉計の形態であるようにすることができる。
【0033】
部分開口部は、試験波が干渉計装置によって供給される、及び/又は戻り試験波が干渉計装置によって記録される、測定される表面上の領域を意味すると理解することができる。
【0034】
個々の部分開口部は、可能な限り最高の空間分解能を得るために、表面、例えば試験物体の自由曲面の直径よりも著しく小さいことが好ましい。表面、特に試験物体の自由曲面を測定することは、CGH(計算機合成ホログラム)を使用する全エリア試験よりも大きな利点を有し、特に著しく優れた空間分解能をもたらし、更に、高周波波面収差を発生させ得る干渉反射は存在しない。
【0035】
調整可能な絞り装置は、好ましくは、測定装置又は干渉センサの照明装置内の可変視野絞りの形態であり得る。
【0036】
調整可能な絞り装置は、1つ以上の絞り、特に視野絞りを備えることができる。第2の絞り又は複数の絞り、特に視野絞り又は虹彩絞りは、原則として必要とされないが、視野サイズ及び視野形状、したがって測定精度を最適化するための更なる自由度を提供する。
【0037】
更に、可変インコヒーレント照明設定が提供されてもよい。コヒーレント及び/又はインコヒーレントな設定を全ての測定タスクにそれぞれ使用することが有利であり得る。
【0038】
照明波が平面波面を有し、したがって平面照明波であるようにすることができる。
【0039】
本発明による測定装置の有利な展開では、分割要素が試験波として非点収差又はトロイダル波面を形成するように構成されるようにすることができる。
【0040】
試験波の可能性のある非球面波面から、非点収差及び/又はトロイダル波面は、EUVリソグラフィシステムのミラーを測定するのに特に適している。これらは、表面のほぼ非点収差及び/又はトロイダル表面形状及び/又は目標形状を有することが多く、その結果、設計された分割要素は、試験波の波面を測定される表面の表面形状に近づけることを可能にする。
【0041】
有利には、分割要素が、好ましくは可能な限り最良の方法で、測定される個々のエリアの目標形状に適合されるようにすることができる。
【0042】
結果として、試験波の波面は、それぞれの個々のエリアの領域において測定される光学面に既に大部分が対応するように、設計することができる。この場合、試験波の波面から測定される表面の形状の、所望及び/又は望ましくない可能性のあるずれを小さく保つことができ、ずれの干渉検出が容易になる。これにより、測定される表面の形状を特に確実に求めることができる。
【0043】
完全な適応に対応しないように、分割要素を測定される個々のエリアの目標形状に可能な限り最適に適応させることができる。これは、特に、目標形状が非常に複雑な実施形態を有するが、主にあまり複雑でない基本形状、特に非点収差及び/又はトロイダル基本形状に基づいている場合に当てはまり得る。この場合、分割要素は、基本形状に適合されてもよい。
【0044】
本発明による測定装置の有利な展開では、交換可能な分割要素のセットが、試験物体の表面を測定するために設けられ、セットの分割要素は、測定される個々のエリアの目標形状に適合した分割要素が測定される個々のエリアごとに選択可能であるように具現化され得る。
【0045】
分割要素のセットを提供することにより、特に、異なる領域において異なる支配的な基本形状を有する測定される表面を特に効率的に測定することが可能である。これらの異なる支配的な基本形状は、分割要素が測定される個々のエリアが位置する測定される表面の領域に従って選択されるならば、様々な分割要素によって形成される試験波によって特に良好に近似され得る。
【0046】
測定される表面又は自由曲面の使用領域全体に対して単一の分割要素又は基準要素を設けることができる。測定される非常に不利な形状の表面又は自由曲面が存在する場合、測定される個々の表面又は自由曲面を試験するための2つ以上の分割要素又は基準要素を提供することが可能であり、それによって、測定される表面又は自由曲面の異なる領域が2つ以上の分割要素又は基準要素によって測定される。
【0047】
測定装置の簡単な設計のために、異なる領域がそれぞれの場合に個々の部分開口部のみから構成されない場合、そうでなければ測定方法が不経済になるので有利である。
【0048】
本発明による測定装置の有利な展開では干渉計装置は、フィゾー干渉計の形態であり、分割要素は、基準面と、基準面の反対側の裏側面とを備えるフィゾー要素の形態であるようにすることができる。
【0049】
フィゾー干渉計としての干渉計装置及びフィゾー要素としての分割要素の実施形態は、干渉計装置をフィゾー干渉計として特にコンパクトに設計することができるという点で有利である。基準波及び試験波は、実質的に同じビーム経路に沿って伝播し、その結果、膨大な干渉計アームは必要とされない。
【0050】
トロイダル半径及び/又は非点収差半径に関して、フィゾー要素は、測定される試験物体又は測定される表面又は選択された個々のエリア、例えば自由曲面(FFS)に特に有利に適合させることができる。
【0051】
代替的な構成では、フィゾー要素として具体化されていない分割要素が裏側面及び/又は基準面を有するようにすることもできる。フィゾー要素に関連して説明された裏側面及び/又は基準面の特性は、その場合、フィゾー要素として具体化されていない分割要素の裏側面及び/又は基準面に向けられていると理解されるべきである。
【0052】
本発明による測定装置の有利な展開では、フィゾー要素の基準面が非点収差及び/又はトロイダル形状を有するようにすることができる。
【0053】
試験波の非球面波面又は非点収差及び/又はトロイダル波面は、非点収差及び/又はトロイダル形状の基準面によって特に容易に実現することができる。非点収差及び/又はトロイダル形状の試験波及び基準波の形態は、フィゾー要素によって完全に保証され、これは干渉計装置のコンパクトな構造に有利である。
【0054】
基準面は、表面の予想される形状ごとに別々の方法で、表面の予想される形状に可能な限り最良の方法で適合されたトーラスとして形成されるようにすることができる。
【0055】
トロイダル及び/又は非点収差のフィゾー要素を使用する結果として、最適に適合されたトロイダル及び/又は非点収差のフィゾー要素を、例えば測定される各表面について、特に各自由曲面について設計することができる。結果として、測定される表面の最大の自由曲面成分は、追加の試験光学系なしで既に補償することができ、残っているのは、部分開口部内の測定される表面の高次成分及び測定される表面にわたって局所的に変化する非点収差のより小さい成分である。
【0056】
フィゾー要素の基準面がトロイダルの実施形態を有するようにすることができる。
【0057】
純粋にトロイダルの実施形態は、特に容易に製造することができるという点で有利である。
【0058】
基準面のトロイダルの実施形態の場合、基準面が互いに垂直に延びる2つのトロイダル半径を有するようにすることができる。これに関連して、基準面のトロイダル半径は、広い範囲にわたって変化させることができる。
【0059】
トロイダル半径が、測定される表面の頂点半径と少なくともほぼ対応して形成されるようにすることができる。これにより、頂点の領域ではより大きく、縁部の領域ではより小さく構成された部分開口部の形成が可能になる。トロイダル半径の変化によって達成することができるのは、部分開口部を表面の他の領域ではより大きくなるように形成することができ、頂点の領域ではより小さくなるように形成することができることである。
【0060】
第1に、測定時間が最小化され、第2に、帯域幅、特に空間周波数スペクトルが最大化されるように、部分開口部又は個々のエリアの全体数が決定されると有利である。上述のパラメータ間の妥協点は、タスクごとに異なるように選択することができる。
【0061】
基準面の非点収差又は純粋に非点収差の実施形態は、これが基準面を特に容易に較正することを可能にするという点で有利である。非点収差面は、半径中心の周りの球形化に関してほぼ不変である。これにより、対向面による絶対較正が可能になる。
【0062】
特に、トロイダル及び/又は非点収差基準面がシフトシフト較正によってゼルニケ多項式Z1~Z6から離れて絶対的に較正されるようにすることができる。
【0063】
本発明による測定装置の有利な展開では、フィゾー要素の裏側面は、好ましくは平面である照明波が、照明波の断面の各点で基準面に少なくともほぼ垂直に入射するような形状であるようにすることができる。
【0064】
屈折フィゾー要素によって非球面、特に非点収差及び/又はトロイダル波面を有する試験波の形成をもたらすために、照明波が基準面に垂直に入射する場合、特に有利である。これを達成するために、裏側面はそれに応じて有利に成形される。裏側面及び基準面のこのような実施形態の結果として、照明波は、最初に、裏側面を通過するときにフィゾー要素によって省スペースで変換することができ、その結果、当該波は、基準面に垂直に入射し、基準面を通過するときに非球面、特に非点収差及び/又はトロイダル波面に変換される。
【0065】
基準面への照明波の垂直入射は、測定される表面から戻る試験波の基準波への正確な重畳を更に可能にし、当該試験波は、基準面を通る新たな通過後に基準波に少なくともほぼ平行に位置合わせされる。
【0066】
特に、マルチフリンジ法に基づく干渉測定法を使用する場合、基準波と試験波との間に含まれるか又は導入される小さな、画定された傾斜又は角度を提供することができる。
【0067】
本発明による測定装置の有利な展開では照明波の断面の各点において、照明波は、表面法線に対して少なくとも0.1°、好ましくは少なくとも0.3°の角度でフィゾー要素の裏側面に入射するようにすることができる。
【0068】
垂線からずれる裏側面への入射角は、裏側面からの厄介な再帰反射が回避されるという点で有利である。このようにして、フィゾー干渉法にとって重要な楔角が導入される。
【0069】
トロイダル基準面を含むフィゾー要素の裏側面は、平面照明波のビーム断面の各点で入射平面照明波が基準面に対して垂直になるように成形されるようにすることができる。特に、入射ビームがビーム断面内のいかなる点においても裏側面に対して垂直であり、垂直入射に対する特定の最小角度、特に0.3度がアンダーシュートされないようにすることができる。これは、干渉反射を回避するための楔角を導入することができる。
【0070】
本発明による測定装置の有利な展開では照明波の断面の各点において、照明波は、表面法線に対して0.1°~45°、好ましくは1°~10°の角度でフィゾー要素の裏側面に入射するようにすることができる。
【0071】
本発明による測定装置の有利な展開では、絞り装置は、調整可能な直径を有する円形絞り、及び/又は調整可能な辺の長さを有する矩形絞り、及び/又は多羽根絞りを備えるようにすることができる。
【0072】
多羽根絞りが、部分開口部を成形するために互いに独立して、好ましくは互いに平行に変位することができる複数の個々の羽根を備えるビーム画定装置の形態であるようにすることができる。
【0073】
部分開口部は、円形絞りによって特に容易に画定することができる。しかしながら、測定される表面を完全に登録するために、部分開口部又は測定される個々のエリアは、大きな重なりを有さなければならず、これは、時間効率の低下をもたらす可能性がある。
【0074】
調整可能な辺の長さを有する矩形絞りを使用して部分開口部を形成することは、矩形の位置によって測定される表面をギャップなく容易に測定することができ、矩形のサイズを個々のエリアの所与のサイズに特に容易に適合させることができるという点で有利である。
【0075】
更に、好ましくはこれらの2つの方向における残留波の勾配に応じて、2次元で部分開口部のサイズを適合させるために矩形絞りを使用することができる。
【0076】
絞り装置が、好ましくは独立して調整可能な辺の長さを有する矩形に形成された可変視野絞りを照明装置内に有する場合、照明は、測定される表面の領域、すなわち個々のエリアに制限することができ、その結果、上述の干渉反射を回避することができる。矩形の視野絞りに加えて、虹彩絞りを、その近傍に配置された矩形絞りと直列に接続するように設けることができ、その結果、2つの絞りの組合せの結果として、測定視野形状を更なる自由度で最適化することができる。
【0077】
多羽根絞りとしての絞り装置の実施形態は、制御装置が個々の測定される領域を画定するときに特に大きな幾何学的自由度を有し、その結果、個々のエリアが測定される表面の異なる領域において異なる幾何学的形状をとることができるという点で有利である。しかしながら、個々のエリアが矩形として成形される場合と比較して、測定される表面をギャップなしで登録するために、より大きな重なりが必要とされる場合がある。
【0078】
測定装置の絞り装置は、2つの直交方向に調整可能な円形視野絞り又は好ましくは矩形視野絞りを有してもよく、又は直列に接続された両方の絞りタイプを有してもよい。
【0079】
絞り装置が試験物体及び/又は試験物体の表面上に光学的に画像化されるようにすることができる。これにより、照射領域又は部分開口部のサイズを設定することができる。特に、表面上への絞り装置のそのような撮像は、勾配基準に従って部分開口部又は完全に照明された領域のサイズの調整を可能にする。
【0080】
本発明による測定装置の有利な展開では、登録装置が個々のエリアから表面の形状を再構築するように構成されるようにすることができる。
【0081】
一例として、表面の全体形状は、ステッチ方法によって個々のエリアの登録された形状から再構築されてもよい。更に、他の補間方法及び/又は機械学習が使用されてもよい。
【0082】
本発明による測定装置の有利な展開では、制御装置は、測定パラメータが最適化されるように、個々のエリアの数、位置、形状及び/又は重なりを決定するように構成されるようにすることができる。
【0083】
測定される表面に関連して登録される情報に応じて、測定パラメータは異なる形態を有してもよい。
【0084】
少なくとも1つの測定パラメータは、好ましくは、特に個々のエリア及び/又は登録装置における測定精度及び/又は測定速度及び/又は光度、及び/又は測定スループットであり得る。
【0085】
特に、少なくとも1つの測定パラメータは、測定される表面の全体的な表面形状の測定精度とすることができる。
【0086】
測定される表面に関連して登録される情報に応じて、「測定パラメータ最適化」という用語はまた、異なって理解され得る。
【0087】
一例として、互いに大きな重なりを有する多数の小さな個々のエリアは、測定が困難な表面、すなわち、小さな空間において非点収差及び/又はトロイダル形状からの大きなずれを有する表面の非常に正確な測定値を得るために有利であり得る。これは、登録された情報に大きな冗長性をもたらし、その結果、表面を非常に正確に決定することができる。この場合、測定精度は、測定される表面に対する最適化された測定パラメータを表す。
【0088】
特に、測定精度は、個々のエリアにおける勾配分布によって決定することができる。部分開口部のサイズによって、測定視野内の最大勾配を調整又は最小化することが可能である。
【0089】
別の例では、時間効率のために、表面形状の解像度に関する要求を低減することができる。この場合、制御装置は大きな個々のエリアを指定し、その結果、測定される表面をわずかな記録のみを使用して完全に登録することができる。この場合、測定の最適化は時間効率に関連し、測定精度にはあまり関連しない。
【0090】
本発明による測定装置の有利な展開では、制御装置は、それぞれの個々のエリア内に生じる最大勾配が5mrad、好ましくは1mrad、特に好ましくは0.5mradの限界勾配を超えないように、個々のエリアの数、位置及び/又は形状を決定するように構成されるようにすることができる。
【0091】
特に、限界勾配を考慮することは、個々のエリアの選択及び定義の基準として使用することができる。これらの基準によれば、個々のエリアは、試験波の入射形状と比較して、測定される表面形状が個々のエリア内で5mrad未満、好ましくは1mrad未満、特に好ましくは0.5mrad未満の勾配を有するように選択されるべきである。
【0092】
したがって、個々のエリアは、特定の限界勾配未満の勾配を有する部分領域のみを依然として含むように、測定される表面の大きく変化する広がり内のその形状及び位置に関して適合される。測定される広がりの更なる領域は、その後、各々が限界勾配基準を満たす更なる個々のエリアで満たされる。
【0093】
上述の限界勾配基準を観察することは、特に、登録装置のカメラ上の干渉反射及び過剰な局所干渉縞密度を回避するのに役立ち得る。高い局所干渉縞密度は、例えば、著しい帰線誤差をもたらし、したがって測定精度を低下させる可能性がある。
【0094】
試験波と基準波との波面差の最大勾配を可変にすることができる。波面差の勾配のパラメータは、部分開口部又は個々のエリアのサイズと直接相関し、特にX方向及びX方向に垂直なY方向の一次に対して線形に、及び/又は部分開口部の直径に関して一次に対して線形に相関する。波面差の最大勾配のパラメータは、照明装置内の絞り装置によって各部分開口部に対して個別に更に調整することができる。結果として、限界勾配、したがって個々のエリア又は部分開口部のサイズは、測定精度、特に帰線誤差の補正不可能な成分に対してバランスをとることができる。
【0095】
一定サイズの部分開口部又は個々のエリアが使用される従来技術の装置と比較して、本発明による測定装置は、視野サイズ又は部分開口部を局所的な最大勾配に適合させることができるという点で有利である。適応オプションがないため、従来技術から知られている装置では、ほとんどの個々の視野は不必要に小さい。これは、視野サイズが、特に傾斜調整後に、測定される試験物体の表面上の任意の点で最大に生じる勾配によって与えられるためである。勾配基準によって測定視野サイズ又は個々のエリアのサイズ又は部分開口部のサイズを制限することは、大きすぎる勾配が大面積の干渉反射を引き起こし、これが分析される波面に重なる可能性があり、大きな測定誤差を引き起こす可能性があるため、有利である。
【0096】
勾配が大きすぎる結果としての大規模な測定誤差を回避するための1つの選択肢は、それぞれの個々のエリアの中央領域のみを評価し、勾配が大きすぎる領域を無視することにある。そのような手順は、測定装置の光学ユニットの結果として、それらの領域から戻る試験波もまた、個々の表面又は部分開口部の中央領域において登録装置のカメラチップ上で干渉を引き起こす可能性があるため、大きすぎる勾配を有する領域の照明を回避することによって改善することができる。特に、そのような干渉は、基準面と測定される表面との間の二重反射によって実質的に引き起こされ得、当該二重反射は、これらの2つの表面間の基本的な傾斜によって基準傾斜とは反対方向に反射される。更に、プロセス中に生じる試験物体の表面での2倍の反射のために、個々のエリアの2倍の非球面性が戻り試験波に印加される。
【0097】
本発明による測定装置の有利な展開では、照明波の空間コヒーレンスを低減するために、低減装置が設けられることが提供され得る。
【0098】
結果として、測定される表面の空間コヒーレンス長の範囲内でのみ干渉現象が依然として発生するので、照明波の空間コヒーレンスの減少は、干渉反射を回避する目的で有利であり得る。一例として、これは、二次光源を画定する干渉計装置の瞳内の照明の形態によって与えられてもよい。
【0099】
特に、上述の空間コヒーレンス低減は、干渉計装置の他の光学面における反射及び/又は散乱によって生じるコヒーレント干渉を低減する。更に、上述の空間コヒーレンス低減はまた、試験物体の反射又は試験波及び/又は基準波とは著しく異なる光路を登録装置、特にカメラまでとる大面積干渉を低減する。例として、これはまた、測定される表面からの2倍の反射であってもよい。
【0100】
特に、低減装置が、照明波のコヒーレンス低減の程度を変える複数の低減要素を備えるようにすることができる。低減要素は、試験波の波面から測定される表面の予想されるずれに基づいて選択され使用されてもよい。
【0101】
特に、上述の低減装置は、コヒーレント干渉を回避するために空間的に広範な照明設定を形成するように構成することができる。
【0102】
求められた後の広範囲に平坦な照明波は、有利には、所与の直径内、特に使用される最大インコヒーレント照明瞳直径内で少なくともほぼ均一であり得る。この点で照明装置の設計が最適化されるようにすることができる。照明波の均質化は、照明源、特にファイバ出力における、照明波のガウス強度の少なくともほぼトップハット又は矩形の分布への再分布によって実施される。このようにして、瞳の縁部での光損失を回避することができる。この点に関して、特に特許文献1が参照される。
【0103】
照明波IPV/Imaxの均一性は、1%、5%、10%、又は20%にすることができる。この場合、均質度IPV/Imaxは、最大強度と最小強度(山対谷強度)との差と最大強度との比として決定され、これはパーセンテージとして表される。代替又は追加として、均一性が20%未満、好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満、非常に特に好ましくは1%未満であるようにすることができる。
【0104】
低減装置が回転拡散板及び/又は回転マイクロレンズアレイを備えるようにすることができる。
【0105】
回転マイクロレンズアレイが、照明波を形成するための二次照明源を形成するように構成されるようにすることができる。
【0106】
低減装置は、レンズ要素群を有する内側旋回光学ユニットを備えるようにすることができる。内側旋回光学ユニットを内側及び/又は外側に枢動させることによって、表面の空間的コヒーレント照明と空間的に部分的なコヒーレント照明とを切り替えることが可能である。
【0107】
内側旋回光学ユニットによってレンズ要素群を旋回させることにより、コヒーレントな焦点から平面照明に切り替えることが可能であり、平面照明の場合、比較的小さいビームずれは重要ではない。その結果、コヒーレントな焦点位置は、切り替え機構の影響を受けず、安定したままである。特に、内側旋回光学ユニットにおける旋回によって引き起こされるビームずれはそれほど重要ではないので、外側に旋回した内側旋回光学ユニットを有する状態、したがってコヒーレント照明の状態に対して照明装置を最適化することができる。
【0108】
低減装置がディフューザを備えること、及び/又は内側旋回光学ユニットもまたディフューザを備えることが実現され得る。
【0109】
内側旋回光学ユニットを、照明装置の撮像特性を変換するように構成することができる。特に、点から点への結像、特に照明源から照明装置の照明瞳へと実施される結像を、点から無限遠へと実施される結像に変換するように、内側旋回光学ユニットを設けることができる。
【0110】
照明装置が、好ましくは測定装置の照明瞳内に交換可能に配置された1つ以上の照明マスク要素を有する、好ましくは切り替え可能な透過マスク装置を備えることが実現され得る。
【0111】
この場合、それぞれ選択された照明マスク要素は二次照明源を形成し、その正確な外観は照明マスク要素の一実施形態によって決定される。
【0112】
測定装置のいくつかの実施形態においてのみ、低減装置が提供されるようにすることができる。
【0113】
本発明による測定装置の有利な展開では、測定装置の全ての光学構成要素が反射及び/又は屈折部品の形態であるようにすることができる。
【0114】
反射及び/又は屈折構成要素としての測定装置の光学構成要素の一実施形態は、特に高い光効率、したがって照明波、基準波及び試験波の信号強度を可能にする。その結果、より弱い照明源及び/又はより短い露光時間が使用される場合、回折成分が使用される場合よりも、表面の形状に関するより信頼性の高い情報を決定することができる。
【0115】
反射及び/又は屈折成分のみを提供する結果として、従来技術で使用されるシステムと比較して利用可能な光の量を増加させることが可能である。回折成分、特に大きな光損失を発生させる試験塔における自由曲面の全エリア試験のための多重符号化計算機合成ホログラムを分散させると、利用可能な光の量が増加する。結果として、所望の広範囲の照明設定は、光学的観点から、例えば、Sigma=0.5の透過率を有することができる拡散板の大面積照明によって、非常に容易に生成することができる。更に、例えば回転マイクロレンズアレイによって形成される二次光源の中間画像における単純なマスキングが可能になる。
【0116】
本発明による測定装置の有利な展開では、位置決め装置が6自由度を有するようにすることができる。
【0117】
位置決め装置が6自由度を有する場合、及び/又は位置決め装置が6軸ロボットの形態である場合、干渉計装置は、測定される表面に対して任意の所望の向き及び任意の所望の位置に配置することができる。これにより、測定される光学面上の試験波の目標とする位置合わせが可能になる。
【0118】
6軸ロボットによって、干渉計装置、特に分割要素は、測定される表面、特に個々のエリアに入射する試験波の、好ましくはトロイダル波面が、(画定される最大局所勾配を除いて)個々のエリアに対して実質的に垂直であるように、特に有利に配置されることができる。フィゾー要素の方位は、個々のエリア、特に自由曲面の基本非点収差が、フィゾー要素又はフィゾー面の基準面の非点収差によって最適に補償され得るように、6軸ロボットによって調整することができ、すなわち、フィゾー要素の非点収差は、測定される自由曲面又は個々のエリアの基本非点収差と実質的に同じ方位を有する。この場合、フィゾー要素又は試験波の全ての方位角配向が、試験波の主光線を中心に+/-90度の角度範囲で調整可能であることが提供され得るか、又は有利である。
【0119】
位置決め装置が、照明装置、登録装置、及び干渉計装置が同じように互いに対して配置されたままであるように、6自由度に沿って試験物体に対して照明装置、登録装置、及び干渉計装置を一緒に位置決めするように構成されるようにすることができる。
【0120】
代替又は追加として、位置決め装置が、6自由度に沿って試験物体に対して分割要素及び/又は干渉計装置を単に位置決めするように構成されるようにすることができ、特に上述の角度の下で分割要素の場所及び位置合わせを変更する場合であっても、分割要素に照明波を適切に向けるためにビームステアリング装置を設けることができる。
【0121】
位置決め装置は、試験物体の表面から0.1cm~10cm、好ましくは0.5cm~3cm、特に好ましくは1.5cm~2.5cmの一定の作動距離で離間して基準面を位置決めするように構成されることが実現され得る。基準面と測定される表面との間のこのような短いキャビティ長の結果として、例えば、従来技術と比較して著しく大きな面積照明設定を設定することが可能である。結果として、コヒーレント干渉の非常に高い抑制係数を得ることができる。
【0122】
本発明による測定装置の有利な展開では、分割要素及び/又は位置決め装置は、試験波の断面の各点において、試験波が測定される表面に少なくともほぼ垂直に入射するように設計されるようにすることができる。
【0123】
可能な限り垂直である測定される光学面上への試験波の入射は、測定される表面の信頼できる干渉測定を可能にする。できるだけ垂直な入射を得るために、分割要素は、測定される表面に可能な限り適合された試験波を形成するように構成されてもよい。更に、位置決め装置が、測定される表面に適合された試験波を測定表面に対して整列させるように構成されるようにすることができる。
【0124】
分割要素のセット、特にフィゾー要素を測定装置の一部として利用可能にすることができ、当該分割要素のセットの各々は、異なる非点収差及び/又はトロイダル試験波面を形成することができる。測定される光学面、特に測定される表面の予想される基本形状に応じて、この目的のために設けられる位置決め装置及び/又は交換装置は、例えば、適切な分割要素を選択し、それを表面の測定に使用するように構成され得る。
【0125】
本発明はまた、請求項17に記載の特徴を有する方法に関する。
【0126】
干渉法によって試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状を測定する本発明による方法において、分割要素によって、照明波は、表面に向けられた試験波と基準波とに分割され、それによって、測定される表面と相互作用した戻り試験波は基準波と結合され、干渉パターンが生成され、それによって、干渉パターンは、測定される表面の形状の目標形状からのずれを決定するために評価され、それによって、測定される表面は、連続して測定される複数の個々のエリアに分割され、それによって、試験波は、それぞれの個々のエリアが少なくともほぼ垂直に完全に照明されるように、測定される表面上に位置決めされる。本発明によれば、個々のエリアを照明するために、それぞれの場合に測定される個々のエリアに適合される試験波のサイズを規定する部分開口部が設けられる。
【0127】
本発明による方法は、試験波のサイズを測定される個々のエリアに適合させることによって、それぞれの個々のエリアの領域における測定される表面の測定可能性を考慮することができるという点で有利である。これにより、高い光度で表面全体の時間的に効率的で正確な位置合わせが可能になる。
【0128】
本発明による方法の有利な展開では、測定される個々のエリアの目標形状に適合される試験波の非球面波面は、分割要素によって形成されるようにすることができる。
【0129】
この展開は、試験波の非球面波面の形成が、試験波を測定面に適合させることを既に可能にするという点で有利である。これにより、高い光度で表面全体を更に時間的に効率的且つ更に正確に位置合わせすることができる。
【0130】
個々の測定対象領域のサイズ、数、位置、及び重なりが、試験波の波面の非球形からの個々のエリアの領域内の測定対象表面のずれに基づいて選択されるように、測定対象表面が連続的に測定される複数の個々のエリアに細分化されるようにすることができる。
【0131】
部分開口部が、干渉センサの照明システム内の少なくとも1つの可変視野絞りによって配置及び形成されるようにすることができ、測定される表面の部分照明が、可変視野絞りによって可能になる。
【0132】
表面に入射する試験波のトロイダル及び/又は非点収差波面が測定される表面に対して実質的に垂直であるように、干渉計装置を測定対象の表面の各点に位置決めすることができる6軸ロボット又は6軸位置決め機として位置決め装置を具体化することができる。
【0133】
測定される表面に入射するトロイダル及び/又は非点収差波面が、規定されるべき最大局所勾配まで、測定される表面に対して垂直であるようにすることができる。
【0134】
測定される表面の基本的な非点収差が基準面の非点収差によって最適に補償されるように、フィゾー要素の方位を位置決め装置によって調整可能にすることができる。
【0135】
特に、基準面の非点収差が測定される表面の基本非点収差と実質的に同じ配向を有するように、基準面が位置決め装置によって位置決め可能であるようにすることができる。
【0136】
照明波及び/又は試験波の主光線の周りの干渉計装置の全ての方位角配向が、-90度~+90度の角度範囲で調整可能であることが有利である。
【0137】
本発明による方法の有利な展開及び本発明による測定装置の有利な展開では、個々のエリアから再構築される表面の形状を提供することができる。
【0138】
個々のエリアからの表面の形状の再構築は、個々のエリアに関する個々の情報から表面に関するグローバル情報を決定することを可能にする。
【0139】
本発明による方法は、部分開口部ステッチ法による自由曲面、特にEUV投影露光装置のミラーの表面の全エリア測定に特に適している。特に、本発明による方法によって、0.1mm~50mmの空間波長の帯域で測定される表面の変動に対して8ピコメートル~12ピコメートルの測定精度を達成することが可能である。
【0140】
この場合、個々の部分開口部又は個々のエリアが、それぞれの場合に測定される表面の自由直径よりも大幅に小さくなるようにすることができる。その結果、高い空間分解能を実現することができる。
【0141】
従来技術から知られている方法と比較して、本発明による方法は、個々のエリア又は部分開口部が検査される表面、特に自由曲面の自由直径よりも著しく小さいため、空間分解能が向上するという利点を有する。
【0142】
更に、本発明による方法は、歪み効果があまり顕著ではないため、高い空間分解能を得る。
【0143】
本発明による方法の更なる利点は、高周波波面収差を生成し得る干渉反射を回避することにある。本発明による方法又は本発明による測定装置が計算機合成ホログラムの使用を省き、ビーム断面内の任意の点で入射照明波に対して垂直に配向された表面の使用が回避される場合、干渉反射を効率的に低減することが可能である。
【0144】
更に、長いキャビティ長及び/又は異なる距離を有する測定構造の使用は、本発明による方法において、特に中及び高空間周波数で誤差について光学面を測定する場合に、回避又は低減することができる。
【0145】
検査される表面、特に検査される非球面と関連する干渉基準面との間の距離が小さい試験幾何学的形状又は測定構造、すなわち、短いキャビティ長を有する試験幾何学的形状又は測定構造は、いくつかの利点を有する。第1の利点は、空気縞による小さな干渉しかないという事実にある。更なる利点は、較正ミラーが一般に、短いキャビティ長を有するそのような試験幾何学的形状又は測定構造の場合に試験物体と同じ作動距離を有することができるという事実にある。その結果、スペックル伝播効果に起因する誤差、及び較正中の登録装置、特に干渉計カメラへの干渉計装置又は干渉センサの光学面の異なる鮮明な撮像に起因する誤差を回避することが可能である。
【0146】
本発明による方法の結果として、計算機合成ホログラムの使用、したがって計算機合成ホログラムの高次回折によって引き起こされる干渉反射の発生を回避することが更に可能である。これにより、光学面を測定する際の位相誤差を有利に低減することができる。
【0147】
このような測定構造を回避することにより、基準面の較正が試験物体の測定自体と同じ距離で実施されるため、スペックル伝播効果又は計算機合成ホログラムの書き込みストリップのぼやけによる誤差を回避することも可能である。距離が小さく一定であるように選択される場合、特に効果的な誤差回避がある。
【0148】
本発明による方法及び本発明による測定装置の更なる利点は、標準的な周囲雰囲気での実施の可能性、特に真空を不要にする可能性にあり、標準的な周囲雰囲気での実施の場合でも、数ピコメートルまでの精度を達成することができる。
【0149】
特に、基準面が安定して絶対的に較正可能に形成され、基準面と測定される表面との間に配置された干渉位相測定に干渉を導入する可能性がある更なる補償光学ユニットが存在しないようにすることができる。したがって、試験波が基準面と測定される表面との間で自由に伝播するようにすることができる。
【0150】
本発明による方法の有利な展開では、交換可能な分割要素のセットは、試験物体の表面を測定するために設けられ、セットの分割要素は、測定される個々のエリアの目標形状に適合した分割要素が個々のエリアの各々に利用可能であるように、測定される試験物体の表面の個々のエリアに適合した方法で具現化され、個々のエリアの目標形状に適合した分割要素は、個々のエリアの各々を測定する目的で、セットから選択されるようにすることができる。
【0151】
分割要素のセットを提供し、それぞれ最適に適合された分割要素を適切に選択することにより、特に、異なる領域において異なる支配的な基本形状を有する測定される表面を特に効率的に測定することが可能である。これらの異なる支配的な基本形状は、それぞれの場合に分割要素が測定される個々のエリアが位置する測定される表面の領域に従って選択されるならば、様々な分割要素によって形成される試験波によって特に良好に近似され得る。
【0152】
分割要素の基準面において、本発明による方法の有利な展開では、照明波の一部が試験波として送信され、照明波の一部が基準波として反射されるようにすることができる。透過及び反射によって分割要素の基準面に試験波及び基準波を形成することにより、光の損失が少なく、費用がほとんどかからず、光度の高い試験波及び基準波を生成することができる。
【0153】
本発明による方法の有利な展開では、分割要素は、表面から0.1cm~10cm、好ましくは0.5cm~3cm、特に好ましくは1.5cm~2.5cmの距離に位置決めされるようにすることができる。
【0154】
一例として、分割要素と表面との間の距離が小さいことにより、照明波の空間コヒーレンスの低減が可能になり、それによって、より遠く離れた非関与領域の反射が、ある意味で干渉的に有利にマスクされ、その結果、改善された干渉信号が生じる。
【0155】
試験物体の表面及び/又は図形の全エリア測定のために、固定作動距離に配置される個々の部分開口部のための干渉センサを設けることができる。このプロセスでは、試験波が可能な限り垂直に表面に当たるようにすることができる。特に、干渉センサ又は干渉計装置は、6DOF(自由度)位置決め機又は6軸ロボットによって別個の個々のエリア上に位置決めされてもよい。
【0156】
それぞれの場合に個々のエリアによって反射される試験波の波面形状は、ここでは局所的な表面形状に非常に強く依存し、表面全体にわたって著しく変化し得る。
【0157】
前述の距離の場合、空気縞は試験波の伝播にわずかな影響しか及ぼさない。
【0158】
本発明による方法の有利な展開では、分割要素がフィゾー要素として具体化されるようにすることができる。
【0159】
分割要素をフィゾー要素として具現化することは、フィゾー干渉法の使用を可能にし、特に省スペースで信頼性の高い表面の測定を可能にするという点で有利である。
【0160】
本発明による方法の有利な展開では、測定される試験物体の表面の目標形状に適合するように具体化される基準面を提供することができる。
【0161】
フィゾー要素の基準面がトロイダル及び/又は非点収差の実施形態を有するようにすることができる。
【0162】
トロイダル及び/又は非点収差基準面を有する交換可能なフィゾー要素の使用が提供されてもよい。有利には、フィゾー要素は、測定される試験物体、特に自由曲面に対するトロイダル半径に関して適合させることができる。
【0163】
フィゾー要素の基準面を測定される表面の目標形状に適合させることは、結果として、試験波の波面が測定される面の形状に幾何学的に類似した形状を受けるという点で有利である。
【0164】
本発明による方法の有利な展開では、形成される試験波の非点収差及び/又はトロイダル波面を提供することができる。
【0165】
試験波の非点収差及び/又はトロイダル波面は、ミラー、特にEUV投影露光装置のミラーの幾何学的形状に既にかなりの程度対応しているという点で有利である。
【0166】
それぞれの個々のエリアの各場所において、本発明による方法の有利な展開では、試験波は、局所平均表面法線に対して可能な限り平行に、及び/又は表面に対して可能な限り垂直に誘導されるようにすることができる。
【0167】
表面に対して可能な限り垂直な入射は、表面上の垂直入射からの不可避の局所的ずれが最小化される試験波の入射を意味すると理解されるべきである。目標形状が試験波の波面形状からずれる場合、ずれは常に避けられない。
【0168】
局所平均表面法線に対して可能な限り平行な入射は、特定の周囲内で、例えば10mm×10mm以上のエリアで、試験波面の入射方向の平均表面法線からのずれがこのエリアで最小になるように、表面への試験波の入射を意味すると理解されるべきである。
【0169】
本発明による方法の有利な展開では、個々のエリアを測定するために、照明波を形成する照明装置と、基準波及び試験波を形成する干渉計装置と、干渉パターンを登録する登録装置とは、試験波が可能な限り垂直に表面に当たるように、表面に対して位置決めされるようにすることができる。
【0170】
本発明による方法の表面形状の決定への適用は特に有利であり、表面形状は基本形状から生じ、調整は基本形状に適用される。調整が方法によって決定されるべきであるが、基本形状が既知である表面の形状への方法の適用は、特に有利である。この場合、試験波の非球面波面は、予め知られている基本形状に適合した方法で形成することができる。基本形状と比較した調整が表面に小さなずれしか導入しない場合、ずれは、本方法を使用して特に迅速に、容易に、且つ確実に決定することができる。
【0171】
基本形状が非点収差形状を有する表面の表面形状への本方法の適用は、特に有利である。更に、個々のエリア内で、調整が5mrad未満、好ましくは1mrad未満、特に好ましくは0.5mrad未満の基本形状に対する勾配を有するようにすることができ、調整も同様に事前に知られている。これは、表面全体を測定するために使用され得る全てが、表面の基本形状に適合された分割要素又は表面の基本形状に適合された試験波であり、一方、わずかな調整は、方法によってそれらの正確さに関して干渉的に定量化及び検証され得るという点で有利である。
【0172】
本発明による方法の有利な展開では、絞り装置は、調整可能な直径を有する円形絞り、及び/又は調整可能な辺の長さを有する矩形絞り、及び/又は多羽根絞りによって、絞り装置によって部分開口部が画定されるようにすることができる。
【0173】
部分開口部の多数の幾何学的形状は、絞り装置の前述の実施形態によって画定することができ、それによって、特に、以下に説明する限界勾配基準を簡単な方法で観察することが可能になる。
【0174】
従来技術は、回折要素によってリング状照明を生成する実施を開示している。
【0175】
本発明による方法は、複数のリング及び/又はリング形状からわずかにずれた複数の領域が、1つ以上の絞り、特に1つ以上の照明マスク要素によって同時に生成されることによって開発することができる。
【0176】
この場合、照明マスク要素は二次光源を形成し、その正確な外観は照明マスク要素の一実施形態によって決定される。
【0177】
この場合、絞り込みに伴う光損失は高い入力強度によって補償することができるので、照明源、特にファイバ出力、特に照明装置の入力において少なくとも500mWの実現可能な強度は、使用されるべき上述の意味のある照明設定の実現を可能にする。
【0178】
更に上述したように、作動距離又はキャビティ長は、好ましくは0.1mm~100mm、好ましくは0.1mm~20mm、特に好ましくは1mm~5mmに設計されるので、照明マスク要素内の透過領域は、コントラストが悪くなることなく比較的大きくなるように設計することができる。
【0179】
本発明による方法の有利な展開では、測定パラメータが最適化されるように、別個の個々のエリアの数、位置、形状及び/又は重なりを決定するようにすることができる。
【0180】
例として、測定パラメータの最適化は、戻って記録された試験波の光度の最適化、表面の記録速度又は測定持続時間の最適化、及び/又は測定精度の最適化を意味すると理解することができる。
【0181】
本発明による方法の有利な展開では、それぞれの個々のエリア内に生じる最大勾配が5mrad、好ましくは1mrad、特に好ましくは0.5mradの限界勾配を超えないように、個々のエリアの数、位置及び/又は形状を決定するようにすることができる。
【0182】
限界勾配を超えることが回避されれば、個々のエリア内に登録されたデータ品質を得ることが可能である。試験波が光学面の基本形状に適合されている場合、限界勾配を超えると、調整の基本形状からのずれの干渉的決定又は試験波の形状からの表面形状のずれの干渉的決定がより困難になる。したがって、上述の方法ステップの目的は、個々のエリアの範囲を制限することによって、ずれを干渉的に確実に決定可能な量に制限することである。
【0183】
本発明による上述の方法及び本発明による上述の測定装置は、特に、高い空間分解能を有するEUVリソグラフィ用の光学要素の自由曲面の全エリア図形測定を可能にする。特に、本発明による方法及び本発明による測定装置は、全エリアにわたって測定する試験システムと比較して空間分解能の改善、及び処理プロセスの改善を達成することができる。
【0184】
また、内側旋回光学ユニットを使用することにより、レンズ要素群を内側旋回又は外側旋回させることによって、コヒーレントな照明とインコヒーレントな照明とを切り替えることができるため、第2の独立照明システムを用いることなく対応することができる。
【0185】
本発明はまた、請求項32に記載の特徴を有する処理方法に関する。
【0186】
本発明による処理方法において、特にリソグラフィシステム用、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置用の、試験物体、特に光学要素を処理するための処理方法であって、試験物体の表面、特に光学要素の光学面の形状は、表面の形状が少なくとも目標形状に近似するように処理される。本発明によれば、本発明による上述の測定装置又はその好ましい実施形態のいずれかによって、及び/又は本発明による上述の方法又はその実施形態のいずれかを使用して、表面の形状が決定されることが実現される。
【0187】
処理方法は、光学要素の処理及びEUV投影露光装置に特に適している。
【0188】
本発明による処理方法は、本発明による測定装置及び/又は本発明による方法を使用して特に正確且つ迅速な測定によって、試験物体又は表面の反復処理を特に確実且つ迅速に行うことができるという点で有利である。これにより、高精度に成形された光学要素、特にEUV投影露光装置用のミラーの時間効率及び費用効率の高い製造が可能になる。
【0189】
本発明による処理方法の有利な展開では、1つ以上の処理ステップで実施される処理方法、及び各処理ステップ後に決定される表面の形状を提供することができる。
【0190】
各処理ステップの後及び/又は前の表面の形状の反復的な決定は、表面の決定に続く処理ステップを、表面の形状の決定中に得られた情報に適合させることができるという点で有利である。
【0191】
本発明による処理方法の有利な展開では、1つ以上の処理ステップで実施される処理方法、及び各処理ステップ後に決定される表面の形状を提供することができる。
【0192】
決定された形状に基づいて処理方法を選択することは、例えば、表面の決定された形状が目標形状から著しくずれている場合に、強く修正する処理方法を選択することができるという点で有利である。これにより、時間効率及び費用効率の高い光学要素の製造が可能になる。
【0193】
本発明による処理方法の有利な展開では、処理方法が研磨方法であることを提供することができる。
【0194】
研磨方法は、本発明による測定装置及び/又は本発明による方法によって分解及び登録することができる大規模表面処理に特に適している。
【0195】
本発明による処理方法の結果として、特に、1mm~10mmの空間波長の帯域幅で決定論的補正なしに表面を処理することができる一般的な従来技術で使用される平滑化プロセスを回避することが可能である。
【0196】
本発明は更に、請求項36に記載の特徴を有する光学要素に関する。
【0197】
本発明による光学要素、特にリソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用投影露光装置では、本発明による測定装置又は本発明による測定装置の任意の好ましい実施形態を使用して、及び/又は本発明による方法又は本発明による方法の任意の好ましい実施形態を使用して測定される光学要素の表面が提供され、及び/又は本発明による上述の処理方法又は任意の好ましい実施形態を使用して処理される。
【0198】
本発明による光学要素は、非常に正確な形成された光学面を有し、同時に費用効果が高く時間効率の良い方法で製造されるという点で有利である。
【0199】
特に、光学要素は、EUV投影露光装置用のミラーとすることができる。
【0200】
本発明は更に、請求項37に記載の特徴を有するリソグラフィシステムに関する。
【0201】
本発明によるリソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィのための投影露光装置は、放射線源を有する照明システムと、少なくとも1つの光学要素を備える光学ユニットとを備える。本発明によれば、光学要素の少なくとも1つが、本発明による上述の測定装置又は本発明による測定装置の好ましい実施形態のいずれかによって、及び/又は本発明による上述の方法又は本発明による方法の好ましい実施形態のいずれかによって少なくとも部分的に測定される光学面を備えること、及び/又は本発明による上述の処理方法又は上述の処理方法の好ましい実施形態のいずれかによって処理される光学要素の少なくとも1つ、及び/又は本発明による上述の光学要素である光学要素の少なくとも1つが提供される。
【0202】
本発明によるリソグラフィシステムは、リソグラフィシステムの光学要素が特に正確に測定及び/又は処理されているため、ウェハの信頼性が高く高精度の露光を可能にするという点で有利である。同時に、本発明によるリソグラフィシステムは、その中で使用される光学要素の効率的な製造の結果として、特定のコスト上の利点を有する。
【0203】
本発明の主題の1つに関連して記載された特徴、具体的には、本発明による測定装置、本発明による方法、本発明による処理方法、本発明による光学要素、及び本発明によるリソグラフィシステムはまた、本発明の他の主題のために有利に実施可能である。同様に、本発明の主題の1つに関連して特定される利点も、本発明の他の主題に関して理解することができる。
【0204】
更に、「含む(comprising)」、「有する(having)」、又は「有する(with)」などの表現は、他の特徴又はステップを排除するものではないことに留意されたい。更に、単数形でステップ又は特徴を指す「a」又は「the」などの表現は、複数の特徴又はステップを排除するものではなく、その逆も同様である。
【0205】
しかしながら、本発明の目的の実施形態では、「含む(comprising)」、「有する(having)」、又は「有する(with)」という表現によって、本発明に導入された特徴が網羅的なリストを構成することも提供され得る。したがって、本発明の文脈において、特徴の1つ以上のリストは、例えば、各請求項についてそれぞれ自己完結型の形態で考慮することができる。例として、本発明は、請求項1に記載の特徴のみからなることができる。
【0206】
「第1」又は「第2」などの用語は、主にそれぞれの装置又は方法の特徴間の区別可能性のために使用され、特徴が相互に依存しているか又は互いに関連していることを示すことを絶対的に意図するものではないことに留意されたい。
【0207】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0208】
図はそれぞれ、本発明の個々の特徴が互いに組み合わせて示されている好ましい例示的な実施形態を示す。1つの例示的な実施形態の特徴はまた、同じ例示的な実施形態の他の特徴とは別個に実装されてもよく、したがって、他の例示的な実施形態の特徴との更なる有用な組合せ及び部分的組合せを形成するために専門家によって容易に組み合わせることができる。
【0209】
同一の機能の要素は、図中に同じ参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【
図3】本発明による測定装置の可能な実施形態の概略図である。
【
図4】本発明による測定装置の更なる可能な実施形態からの詳細の概略図である。
【
図5】本発明による測定装置の絞り装置の可能な実施形態の概略図である。
【
図6】測定される表面の複数の測定される個々のエリアへの可能な分割の概略図を示す。
【
図7】本発明による測定装置の更なる可能な実施形態の等角図の概略図である。
【
図8】本発明による測定装置の更に可能な実施形態の概略図を側面図で示す。
【
図9】本発明による測定装置の別の可能な実施形態の別の側面図の概略図である。
【
図10】空間的に折り畳まれた状態の
図9による測定装置の概略図である。
【
図11】照明マスク要素の可能な実施形態の概略図である。
【
図12】本発明による測定装置の照明装置の可能な実施形態の概略図である。
【
図13】
図12による照明装置の概略図を示し、外側旋回した内側旋回光学ユニットがビーム経路から取り外されている。
【
図14】本発明による測定装置の一部の別の概略図を側面図で示す。
【
図15】分割要素の領域及び測定される表面におけるビーム経路の詳細な概略図を示す。
【
図17】本発明による処理方法のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0211】
図1を参照して、リソグラフィシステムの一例としてのマイクロリソグラフィEUV投影露光装置100の必須構成要素を、以下で例示的に最初に説明する。EUV投影露光装置100及びその構成要素の基本構造の説明は、ここで限定的に解釈されるべきではない。
【0212】
EUV投影露光装置100の照明システム101は、放射線源102に加えて、物体平面105内の物体視野104を照明するための照明光学ユニット103を備える。ここで露出されているのは、物体視野104に配置されたレチクル106である。レチクル106はレチクルホルダ107に保持されている。レチクルホルダ107は、レチクル変位駆動装置108によって特に走査方向に変位可能である。
【0213】
図1では、説明を助けるためにデカルトxyz座標系がプロットされている。x方向は、図面の平面内に垂直に延びる。y方向は水平方向であり、z方向は垂直方向である。
図1では、走査方向はy方向に延びる。z方向は、物体平面105に垂直に延びる。
【0214】
EUV投影露光装置100は、投影光学ユニット109を備える。投影光学ユニット109は、物体視野104を画像平面111内の画像視野110に撮像する役割を果たす。画像平面111は、物体平面105と平行に延在する。或いは、物体平面105と画像平面111との間の、0°とは異なる角度も可能である。
【0215】
レチクル106上の構造は、画像平面111内の画像視野110の領域に配置されたウェハ112の感光層上に画像化される。ウェハ112は、ウェハホルダ113に保持されている。ウェハホルダ113は、ウェハ変位駆動装置114によって特にy方向に変位可能である。第1に、レチクル変位駆動装置108によるレチクル106の変位、第2に、ウェハ変位駆動装置114によるウェハ112の変位は、互いに同期するように実施することができる。
【0216】
放射線源102は、EUV放射線源である。放射線源102は、特に、使用される放射、照明放射線又は投影放射線とも呼ばれるEUV放射線115を放射する。特に、使用される放射線115は、5nm~30nmの範囲の波長を有する。放射線源102は、プラズマ源、例えばLPP源(「レーザ生成プラズマ」)又はGDPP源(「ガス放出生成プラズマ」)とすることができる。これはまた、シンクロトロンベースの放射線源であってもよい。放射線源102は、自由電子レーザ(FEL)とすることができる。
【0217】
放射線源102から出現する照明放射線115は、収集器116によって集束される。収集器116は、1つ以上の楕円形及び/又は双曲面状の反射面を有する収集器であってもよい。収集器116の少なくとも1つの反射面は、かすめ入射(GI)、すなわち45°より大きい入射角、又は直角入射(NI)、すなわち45°未満の入射角で照明放射線115に衝突することができる。収集器116は、第1に、使用される放射線115に対するその反射率を最適化するために、及び第2に、外光を抑制するために、構造化及び/又はコーティングすることができる。
【0218】
収集器116の下流では、照明放射線115は、中間焦平面117内の中間焦点を通って伝播する。中間焦平面117は、放射線源102及び収集器116を有する放射線源モジュールと照明光学ユニット103との間の分離を表すことができる。
【0219】
照明光学ユニット103は、偏向ミラー118と、ビーム経路の下流に配置された第1のファセットミラー119とを備える。偏向ミラー118は、平面偏向ミラーであってもよく、或いは、純粋な偏向効果を超えるビーム影響効果を有するミラーであってもよい。代替又は追加として、偏向ミラー118は、照明放射線115の使用光波長を、それからずれる波長の外光から分離するスペクトルフィルタの形態であってもよい。第1のファセットミラー119は、照明光学ユニット103の物体平面105と光学的に共役な面内に視野平面として配置される場合、視野ファセットミラーとも称される。第1のファセットミラー119は、以下で視野ファセットとも呼ばれる多数の個々の第1のファセット120を含む。これらのファセット120のうちのいくつかのみが例示的に
図1に示されている。
【0220】
第1のファセット120は、巨視的なファセットの形態、特に矩形ファセットの形態、又は円弧状の周辺輪郭若しくは円の一部の周辺輪郭を有するファセットの形態で具現化することができる。第1のファセット120は、平面ファセットとして、或いは凸状又は凹状に湾曲したファセットとして具現化されてもよい。
【0221】
例えば特許文献2から知られているように、第1のファセット120自体もまた、それぞれ複数の個々のミラー、特に複数のマイクロミラーから構成することができる。第1のファセットミラー119は、特に微小電気機械システム(MEMSシステム)の形態であってもよい。詳細については、特許文献2を参照されたい。
【0222】
照明放射線115は、収集器116と偏向ミラー118との間を水平に、すなわちy方向に移動する。
【0223】
照明光学ユニット103のビーム経路において、第1のファセットミラー119の下流には、第2のファセットミラー121が配置されている。第2のファセットミラー121が照明光学ユニット103の瞳面に配置されている場合、瞳ファセットミラーとも称される。第2のファセットミラー121は、照明光学ユニット103の瞳面から離間して配置することもできる。この場合、第1のファセットミラー119と第2のファセットミラー121との組合せを鏡面反射体ともいう。鏡面反射体は、特許文献3、特許文献4、及び特許文献5から知られている。
【0224】
第2のファセットミラー121は、複数の第2のファセット122を備える。瞳ファセットミラーの場合、第2のファセット122は瞳ファセットとも呼ばれる。
【0225】
第2のファセット122も同様に巨視的なファセットであってもよく、これは例えば円形、矩形、又は六角形の境界を有してもよく、或いはマイクロミラーで構成されたファセットであってもよい。この点に関して、特許文献2も同様に参照される。
【0226】
第2のファセット122は、平面反射面を有してもよく、或いは凸状又は凹状の曲率を有する反射面を有してもよい。
【0227】
これにより、照明光学ユニット103は、二重ファセットシステムとなる。この基本原理は、フライアイインテグレータとも呼ばれる。
【0228】
第2のファセットミラー121は、投影光学ユニット109の瞳平面と光学的に共役な面内に正確に配置されないことが有利であり得る。
【0229】
第2のファセットミラー121を用いて、個々の第1のファセット120が物体視野104内に結像される。第2のファセットミラー121は、物体視野104の上流のビーム経路内の照明放射線115の最後のビーム成形ミラー、又は実際には最後のミラーである。
【0230】
照明光学ユニット103の更なる実施形態(図示せず)では、特に第1のファセット120の物体視野104への結像に寄与する転送光学ユニットは、第2のファセットミラー121と物体視野104との間のビーム経路に配置されてもよい。転送光学ユニットは、照明光学ユニット103のビーム経路に連続して配置された正確に1つのミラー又は代替的に2つ以上のミラーを含むことができる。特に、転送光学ユニットは、直角入射用の1つ若しくは2つのミラー(NIミラー、「直角入射」ミラー)及び/又は斜め入射用の1つ若しくは2つのミラー(GIミラー、「かすめ入射」ミラー)を備えることができる。
【0231】
図1に示す実施形態では、照明光学ユニット103は、収集器116の下流に正確に3つのミラー、具体的には偏向ミラー118、視野ファセットミラー119、及び瞳ファセットミラー121を備える。
【0232】
照明光学ユニット103の更なる実施形態では、偏向ミラー118を省略することもでき、したがって、照明光学ユニット103は、収集器116の下流に正確に2つのミラー、具体的には第1のファセットミラー119及び第2のファセットミラー121を有することができる。
【0233】
第2のファセット122による、又は第2のファセット122及び転送光学ユニットを使用した物体平面105への第1のファセット120の撮像は、原則として、近似撮像のみである。
【0234】
投影光学ユニット109は、EUV投影露光装置100のビーム経路内の配置に応じて番号付けされた複数のミラーMiを備える。
【0235】
図1に示す例では、投影光学ユニット109は、6つのミラーM1~M6を備える。4個、8個、10個、12個又は任意の他の数のミラーMiを有する代替形態も同様に可能である。最後から2番目のミラーM5及び最後のミラーM6はそれぞれ、照明放射線115のための通路開口部を有する。投影光学ユニット109は、両面遮光された光学ユニットである。投影光学ユニット109は、0.5よりも大きく、0.6よりも大きくすることもでき、例えば0.7又は0.75とすることができる画像側開口数を有する。
【0236】
ミラーMiの反射面は、回転対称軸のない自由曲面の形態とすることができる。或いは、ミラーMiの反射面は、反射面形状の正確に1つの回転対称軸を有する非球面として設計することができる。照明光学ユニット103のミラーと同様に、ミラーMiは、照明放射線115のための高反射コーティングを有することができる。これらのコーティングは、特にモリブデンとケイ素との交互層を有する多層コーティングとして設計することができる。
【0237】
投影光学ユニット109は、物体視野104の中心のy座標と画像視野110の中心のy座標との間のy方向に大きな物体-画像オフセットを有する。y方向におけるこの物体-画像オフセットは、物体平面105と画像平面111との間のz距離とほぼ同じ大きさとすることができる。
【0238】
特に、投影光学ユニット109は、アナモルフィックな形態とすることができる。特に、これは、x方向及びy方向に異なる撮像スケールβx、βyを有する。投影光学ユニット109の2つの撮像スケールβx、βyは、(βx,βy)=(+/-0.25,+/-0.125)であることが好ましい。正の撮像スケールβは、画像反転を伴わない撮像を意味する。撮像スケールβの符号が負であることは、画像反転して撮像されていることを意味する。
【0239】
その結果、投影光学ユニット109は、x方向、すなわち走査方向に垂直な方向に4:1の割合で小型化される。
【0240】
投影光学ユニット109は、y方向、すなわち走査方向に8:1の小型化を実現する。
【0241】
他の撮像スケールも同様に可能である。x方向及びy方向において同じ符号及び同じ絶対値を有する撮像スケール、例えば0.125又は0.25の絶対値も可能である。
【0242】
物体視野104と画像視野110との間のビーム経路におけるx方向及びy方向の中間画像平面の数は、投影光学ユニット109の実施形態に応じて同じであっても異なっていてもよい。このような中間像の数がx方向及びy方向で異なる投影光学ユニットの例は、特許文献6から知られている。
【0243】
各場合において、瞳ファセット122のうちの1つは、各場合において物体視野104を照明するための照明チャネルを形成するために、視野ファセット120のうちの正確に1つに割り当てられる。特に、これは、ケーラーの原理に従って照明をもたらすことができる。遠距離場は、視野ファセット120を用いて多数の物体視野104に分解される。視野ファセット120は、それにそれぞれ割り当てられた瞳ファセット122上の中間焦点の複数の画像を生成する。
【0244】
割り当てられた瞳ファセット122によって、視野ファセット120は、物体視野104を照明する目的で互いに重ね合わされた方法でレチクル106上にそれぞれ画像化される。物体視野104の照明は、特に可能な限り均一である。好ましくは2%未満の均一性誤差を有する。視野均一性は、異なる照明チャネルを重ね合わせることによって達成することができる。
【0245】
投影光学ユニット109の入射瞳の照明は、瞳ファセットの配置によって幾何学的に規定することができる。投影光学ユニット109の入射瞳における強度分布は、照明チャネル、特に光を導く瞳ファセットのサブセットの選択を介して設定することができる。この強度分布は、照明設定とも呼ばれる。
【0246】
規定された方法で照明される照明光学ユニット103の照明瞳の区画の領域における同様に好ましい瞳均一性は、照明チャネルの再分布によって達成することができる。
【0247】
物体視野104の照明、特に投影光学ユニット109の入射瞳の更なる態様及び詳細を以下に説明する。
【0248】
投影光学ユニット109は、特に、均質な入射瞳を有してもよい。入射瞳はアクセス可能であり得る。アクセスできない場合もある。
【0249】
投影光学ユニット109の入射瞳は、一般に、瞳ファセットミラー121によって正確に照明することができない。瞳ファセットミラー121の中心をウェハ112上にテレセントリックに撮像する投影光学ユニット109を撮像するとき、開口光線は単一の点で交差しないことが多い。しかしながら、対で決定される開口光線の間隔が最小である表面積を見出すことが可能である。この表面積は、入射瞳又はそれと共役である実空間の面積を表す。特に、この表面積は有限の曲率を有する。
【0250】
投影光学ユニット109は、タンジェンシャルビーム経路とサジタルビーム経路とで入射瞳の位置が異なる場合がある。この場合、第2のファセットミラー121とレチクル106との間に撮像要素、特に転送光学ユニットの光学構成要素を設ける必要がある。この光学構成要素の助けを借りて、タンジェンシャル入射瞳とサジタル入射瞳との異なる姿勢を考慮することが可能である。
【0251】
図1に示す照明光学ユニット103の構成要素の配置において、瞳ファセットミラー121は、投影光学ユニット109の入射瞳と共役な表面積に配置されている。第1の視野ファセットミラー119は、物体平面105に対して傾斜するように配置されている。第1のファセットミラー119は、偏向ミラー118によって規定される配置平面に対して傾斜するように配置されている。
【0252】
第1のファセットミラー119は、第2のファセットミラー121によって規定される配置平面に対して傾斜するように配置されている。
【0253】
図2は、例示的なDUV投影露光装置200を示しており、本発明の原理は、原則として、レンズを洗浄して異物を除去するためにも使用することができる。したがって、EUV特有の構成要素、例えば収集器ミラー116は、この目的のために必要とされず、又はそれに応じて置換されてもよい。DUV投影露光装置200は、照明システム201と、レチクル203を受け取り、正確に位置決めするためのレチクルステージ202として知られており、それによってウェハ204上の後の構造が決定される装置と、ウェハ204を保持し、移動させ、正確に位置決めするためのウェハホルダ205と、投影光学ユニット206のレンズハウジング209内のマウント208によって保持される複数の光学要素、特にレンズ要素207を有する撮像装置、具体的には投影光学ユニット206とを備える。
【0254】
図示されたレンズ要素207の代替として、又はそれに加えて、様々な屈折、回折及び/又は反射光学要素、とりわけミラー、プリズム、終端プレートなどを設けることができる。
【0255】
DUV投影露光装置200の基本的な機能原理は、レチクル203に導入された構造がウェハ204上に画像化されるように準備する。
【0256】
照明システム201は、ウェハ204上のレチクル203の撮像に必要な電磁放射線の形態の投影ビーム210又は投影放射線を提供する。この放射線に使用される光源は、レーザ、プラズマ源などであってもよい。放射線は、投影ビーム210がレチクル203に入射するときに波面の直径、偏光、形状などに関して所望の特性を有するように、光学要素によって照明システム201内で成形される。
【0257】
レチクル203の画像は、投影ビーム210によって生成され、投影光学ユニット206からウェハ204上に適宜縮小された形で転写される。この場合、レチクル203及びウェハ204は同期して移動することができ、その結果、レチクル203の領域は、いわゆる走査動作中に実質的に連続的にウェハ204の対応する領域上に画像化される。
【0258】
最後のレンズ要素207とウェハ204との間のギャップは、任意選択的に、1.0より大きい屈折率を有する液体媒体によって置き換えることができる。液体媒体は、例えば、高純度の水であり得る。このようなセットアップは液浸リソグラフィとも呼ばれ、フォトリソグラフィ分解能が向上している。
【0259】
本発明の使用は、投影露光装置100、200における使用に限定されず、特に記載された構造にも限定されない。本発明は、任意のリソグラフィシステムに適しているが、特に、記載された構造を有する投影露光装置に適している。本発明はまた、
図1の文脈で説明したものよりも小さい画像側開口数を有するEUV投影露光装置にも適している。特に、本発明は、0.25から0.5、好ましくは0.3から0.4、特に好ましくは0.33の画像側開口数を有するEUV投影露光装置にも適している。本発明及び以下の例示的な実施形態はまた、特定の設計に限定されると理解されるべきではない。以下の図は、単に例として、高度に図式化された形態で本発明を示す。
【0260】
以下に説明する本発明による測定装置、干渉法によって表面の形状を測定するための本発明による方法、試験物体を処理するための本発明による処理方法、及び光学要素は、特にリソグラフィシステムで使用することができ、この文脈では、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置で使用することができるが、正確な測定が重要であるか、又は試験物体、より具体的には光学要素を高精度に測定又は処理する必要がある他の分野での使用も使用することができることに留意されたい。
【0261】
以下に示される例示的な実施形態、特に
図3~
図17に基づいて説明される例示的な実施形態は、それに応じて理解されるべきである。
【0262】
図3は、本発明による測定装置1の可能な実施形態の概略図である。
【0263】
試験物体3の表面2、特に光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207のうちの1つであってもよい光学要素3の光学面2の形状を干渉法によって測定するための測定装置1は、
図3に実線で示されている、照明波6を生成するための照明源5を有する照明装置4と、照明波6を表面2に向けられた試験波9(
図3に点線で示されている)と基準波10(
図3に一点鎖線で示されている)とに分割するための分割要素8を有する干渉計装置7とを備える。
【0264】
更に、測定装置1は、測定される表面2の形状の目標形状からのずれを決定するために、干渉パターンを登録し、干渉パターンを評価するための登録装置11を備える。更に、測定装置1は、測定される表面2を複数の個々の測定されるエリア13(
図6参照)に分割するように構成された制御装置12と、それぞれの個々のエリア13が完全に照明されるように測定される表面2上に試験波9を位置決めするように構成された位置決め装置14とを備える。この場合、登録装置11は、個々のエリア13からのデータに基づいて、測定される表面2の少なくとも一部の形状の目標形状からのずれを決定するように構成される。
【0265】
干渉計装置7の部分開口部16(
図6参照)を画定し、それぞれの場合に測定される個々のエリア13にそれを適合させるように構成された少なくとも1つの調整可能な絞り装置15を照明装置4が備えることが実現される。
【0266】
好ましくは、分割要素8は、試験波9の非球面波面を形成するように更に構成される。
【0267】
図3に示す例示的な実施形態では、照明波6を分割要素8上に誘導し、基準波10及び試験波9から形成された戻り放射線が登録装置11の方向に通過することを可能にするためのビームスプリッタ24が設けられている。
【0268】
図3に示す例示的な実施形態では、位置決め装置14は、照明装置4、登録装置11、及び干渉計装置7が同じように互いに対して配置されたままであるように、6自由度に沿って試験物体3に対して照明装置4、登録装置11、及び干渉計装置7を位置決めするように構成される。
【0269】
代替又は追加として、一実施形態(図示せず)では、位置決め装置14が、6自由度に沿って試験物体3に対して分割要素8及び/又は干渉計装置7を単に位置決めするように構成されるようにすることができ、特に上述の角度の下で分割要素8の場所及び位置合わせを変更する場合であっても、分割要素8に照明波6を適切に向けるためにビームステアリング装置を設けることができる。
【0270】
図3に示す例示的な実施形態では、交換可能な分割要素8のセット8aが、試験物体3の表面2を測定するために好ましくは設けられ、分割要素8のセット8aは、測定される個々のエリア13の目標形状に適合した分割要素8が測定される個々のエリア13ごとに選択可能であるように具現化される。
【0271】
交換可能な分割要素8のセット8aを交換するために、
図3に示す例示的な実施形態では、交換装置8bが設けられることが好ましく、当該交換可能な装置は、好ましくは測定される個々のエリア13の目標形状に対して可能な限り最良に適合された試験波9を形成する分割要素8を選択するために、制御装置12に通信可能且つ動作可能に接続されることが好ましい。
【0272】
図3に示されていない好ましい実施形態では、交換装置8bは、センサ内に複数の分割要素8を担持しない。交換装置8bによって実行される自動交換の場合、第1の分割要素8を取り外し、次いで第2の分割要素8を保管装置、特に棚から回収し、第2の分割要素を干渉計装置7に取り付けるように構成されたハンドリング装置を交換装置8bが有するようにすることができる。
【0273】
図3に示す例示的な実施形態では、分割要素8は、個々のエリア13の目標形状に適合されることが好ましく、特に可能な限り適合されることが好ましい。
【0274】
図3に示す例示的な実施形態では、照明装置4、登録装置11、及び干渉計装置7は、好ましくは、ジョイントフレーム1a上にしっかりと配置され、ジョイントフレーム1aはまた、ハウジングの形態であってもよい。
【0275】
図3に示す例示的な実施形態では、測定装置1の全ての光学構成要素は、好ましくは反射及び/又は屈折構成要素の形態である。
【0276】
図4は、測定装置1の更に可能な実施形態の詳細を示す。
【0277】
図4に示す例示的な実施形態では、分割要素8は、試験波9の非点収差及び/又はトロイダル波面を形成するように構成されることが好ましい。
【0278】
図3及び
図4に示す例示的な実施形態では、干渉計装置7は、フィゾー干渉計の形態である。
図4は、分割要素8が、好ましくは基準面17と、基準面17の反対側の裏側面18とを備えるフィゾー要素の形態である実施形態を示す。
【0279】
図4に示す例示的な実施形態では、基準面17は、非点収差及び/又はトロイダル形状を有することが好ましい。
【0280】
更に、
図4に示す例示的な実施形態は、裏側面18が、好ましくは、照明波6が、照明波6の断面の各点において、基準面17に少なくともほぼ垂直に入射するような、好ましくは平面であるような形状である実施形態を示す。
【0281】
図4に示す例示的な実施形態における照明波6の断面の各点において、照明波6は、好ましくは、表面法線に対して少なくとも0.1度、好ましくは少なくとも0.3度の角度で裏側面18に入射する。
【0282】
図4に示す例示的な実施形態では、分割要素8及び/又は位置決め装置14は、試験波9の断面の各点において、試験波9が測定される表面2に少なくともほぼ垂直に入射するように設計される。
【0283】
図5は、絞り装置15の可能な実施形態の概略図を示す。
【0284】
図5に示す例示的な実施形態では、絞り装置15は、調整可能な辺の長さ19を有する矩形絞りの形態であることが好ましい。
図5では、調整可能な辺の長さ19は、両矢印として表されている。
図5では、矩形絞りによって有効にされる測定視野20が太枠で囲まれて示されている。
【0285】
この場合、測定視野20は、測定される個々のエリア13に適合された部分開口部16を画定する(
図6参照)。
【0286】
絞り装置15の代替又は追加の実施形態では、絞り装置15は、調整可能な直径を有する円形絞りを有することができる。更なる代替又は追加の実施形態では、絞り装置15は、多羽根絞りを備えてもよい。
【0287】
絞り装置15が円形絞り及び矩形絞りを含む実施形態は、個々のエリア13の特定の幾何学的形状を得るのに有利であり得る。直列接続では、絞り装置15のいくつか又は全ての実施形態の組合せが有利であり得る。
【0288】
図6は、測定される表面2の複数の測定される個々のエリア13への可能な分割の概略図を示す。
図6では、測定される表面2がハッチングを使用して示されている。
【0289】
登録装置11(
図3参照)は、好ましくは、個々のエリア13から表面2の形状を再構築するように構成される。
【0290】
個々のエリア13は、それぞれの部分開口部16によって画定される。
【0291】
制御装置12(
図1参照)は、測定パラメータが最適化されるように、数、位置、形状、及び/又は重なった個々のエリア13を決定するように更に構成されることが好ましい。
図6に示す本例示的実施形態の場合、測定パラメータは、測定される表面の全体的な表面形状の測定精度である。
【0292】
図3~
図6に示す例示的な実施形態では、制御装置12は、好ましくは、それぞれの個々のエリア13の最大勾配が5mrad、好ましくは1mrad、特に好ましくは0.5mradの限界勾配を超えないように、個々のエリア13の数、位置、及び/又は形状を決定するようにそれぞれ構成される。
【0293】
したがって、
図6は、試験される表面2、特に自由曲面上に配置された可変サイズの部分開口部16を示す。
図6に示す例示的な実施形態では、個々の部分開口部16のサイズは、個々のエリア13内の最大許容勾配によって制限される。
【0294】
図7は、測定装置1の更に可能な実施形態の概略図の等角図を示す。
【0295】
この場合、絞り装置15は、レンズ要素21によって形成された望遠鏡内に配置される。照明マスク要素22は、フーリエ面に配置されている。絞り装置15は、照明レンズ23によって測定される表面2(図示せず)上に画像化される。
【0296】
照明レンズ23を通過した後、照明波6は、ビームスプリッタ24を透過し、続いて、試験物体3の表面2に衝突する試験波9を形成する分割要素8(
図7に簡略化してプレートとして示されている)に衝突する。戻り試験波9及び基準波10は、ビームスプリッタ24で放物面集束ミラー25に反射される。
【0297】
放物面集束ミラー25は、基準波10が重ね合わせられた試験波9によって形成された放射線を二次絞り装置26に集束させ、それによって個々のエリア13の形状を更に画定することができる。
【0298】
試験波9と基準波10との重ね合わせによって形成された放射線は、二次絞り装置26を通過した後、センサチップ28上で放射線を反射する放物面接眼ミラー27に当たる。放物面集束ミラー25、二次絞り装置26、放物面接眼ミラー27、及びカメラチップ28は、この場合、登録装置11の一部である。
【0299】
図8は、測定装置1の更に可能な実施形態の概略図を側面図で示す。
【0300】
参照符号に関しては、
図7の参照符号及び割り当てのリストを参照する。
【0301】
分割要素8が少なくともほぼ矩形の実施形態を有するようにすることができ、辺の長さは50mm~200mm、好ましくは120mm~140mmである。
【0302】
図9は、測定装置1の更なる可能な実施形態の更なる側面図の概略図を示す。
【0303】
図9に示す例示的な実施形態では、照明源5は光導波路29によって形成される。照明波6は、レンズ要素21によって低減装置30に集束される。
【0304】
この場合、低減装置30が設けられ、照明波6の空間コヒーレンスを低減するように構成される。
【0305】
図9に示す例示的な実施形態では、低減装置30は、回転拡散板30aとして具体化される。
【0306】
代替又は追加として、低減装置30が、二次光源として機能することができる回転マイクロレンズアレイの形態であるようにすることができる。
【0307】
図8及び
図9に示す例示的な実施形態では、照明レンズ23は、いずれの場合もレンズ要素の形態である。代替又は追加として、照明レンズ23がレンズ要素系の形態であるようにすることができる。
【0308】
図9に示す例示的な実施形態では、二次絞り装置26は、好ましくはマスクプレートの形態であり、これは、放射線がマスクプレートの適切な開口部を通過するように、ビーム経路内の適切な変位装置によって位置決めすることができる。
【0309】
照明波6は、ビームスプリッタ24及び試験物体3に入射する前に偏向ミラー31によって偏向される。
図9に示されているビーム経路は、測定装置1の構造が特定の意味で3次元であり、折り畳み式又は拡張式で示されているので、単純化されている。
【0310】
図10は、空間的に折り畳まれた状態の
図9による測定装置1の概略図を示す。偏向ミラー31及び放物面ミラー25及び27は、測定装置1の空間的折り畳みを可能にする。参照符号の割り当てに関しては、
図9に関連する宣言及び説明が参照される。
【0311】
図11は、照明マスク要素22の可能な実施形態の概略図を示す。
【0312】
図11に示す実施形態では、黒色に着色された照明マスク要素22の領域はそれぞれ不透明である。したがって、左側に示されている照明マスク要素22は、3つの薄い不透明なリングのみを有するが、右側に示されている照明マスク要素22は、実質的に閉じた絞りに対応する。中央に描かれた中間形態は、照明波6を異なる範囲に遮断する。
【0313】
特に、干渉パターンのコントラストは、
図11に示す照明マスク要素22によって増加及び改善することができる。
【0314】
図12は、照明装置4の可能な実施形態の概略図を示す。
【0315】
図12に示す例示的な実施形態では、低減装置30は、内側旋回光学ユニット32及びディフューザ32aを備える。
【0316】
内側旋回光学ユニット32は、次に、一群のレンズ要素21を備え、レンズ要素群は、望遠鏡を通る照明波6の通過後にディフューザ32aが均一に照明されるように配置及び構成される。
【0317】
旋回光学ユニット32によって、内側旋回光学ユニット32が測定装置1のビーム経路内に旋回されるか、又はそこから旋回されることによって、照明波6によってコヒーレント照明とインコヒーレント照明とを切り替えることができる。
図12に示す例示的な実施形態では、内側旋回光学ユニット32は、3つのレンズ要素21を備え、したがって、2つの別個の光学システムを使用する必要はない。
【0318】
内側旋回光学ユニット32を、照明装置4の撮像特性を変換するように構成することができる。特に、点から点への撮像、特に照明源5から照明瞳5aへと実施される撮像を、点から無限遠へと実施される撮像に変換するように、内側旋回光学ユニット32を設けることができる。
【0319】
図13は、
図12による照明装置4の概略図を示し、内側旋回光学ユニット32がビーム経路から取り外されている。これにより、ディフューザ32aは点状に照明される。したがって、空間的コヒーレント照明と部分的なコヒーレント照明との間の切り替えは、内側旋回光学ユニット32の枢動によって実施される。二次光源の正確な外観は、照明瞳5a内の適切な照明マスク要素22(
図11参照)の配置によって決定される。
【0320】
図14は、測定装置1の一部の更なる概略図を側面図で示す。
【0321】
特に、撮像ビーム経路が
図14に示されている。
図14は、絞り装置15の場所における照明波6の強度分布が、測定される試験物体3の表面2の平面上に画像化されることを明らかにする。更に、
図14は、絞り装置15及び照明マスク要素22も示している。複数の照明マスク要素22が示されているという事実は、照明マスク要素22用の交換装置が、これらを簡単な方法で交換することを可能にするために設けられていることを示すべきである。
【0322】
【0323】
図15は、分割要素8及び測定される表面2の領域におけるビーム経路の詳細な概略図を示す。
【0324】
分割要素8が、測定される表面2に対して作業角33で傾斜していることは明らかである。これにより、戻り試験波9と戻り基準波10との間の基準角度34が得られる。
【0325】
干渉反射波35が基準波10及び試験波9のビーム経路から離れるように偏向されることが、
図15から更に明らかである。
【0326】
図3~
図15に関連して説明される測定装置1の実施形態は、干渉法によって試験物体3の表面2の形状を測定するための方法を実行するのに特に適している。
【0327】
図16は、干渉法によって、試験物体3の表面2、特に光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207のうちの1つとすることができる光学要素3の光学面2の形状を測定するための方法のブロック図を示す。
【0328】
照明ブロック36において、照明波6は、分割要素8によって表面2に向けられた試験波9と基準波10とに分割される。
【0329】
干渉ブロック37では、測定される表面2と相互作用した戻り試験波9が基準波10と合成されて干渉パターンが生成される。
【0330】
評価ブロック40では、測定される表面2の形状の目標形状からのずれを判定するために干渉パターンを評価する。
【0331】
分割ブロック38において、測定される表面2は、連続して測定される複数の個々のエリア13に分割される。
【0332】
位置決めブロック39において、試験波9は、それぞれの個々のエリア13が少なくともほぼ垂直に完全に照明されるように、測定される表面2上に位置決めされる。
【0333】
個々のエリア13を照明するために、試験波9のサイズを画定する部分開口部16は、視野絞りブロック41においてそれぞれ測定される個々のエリア13に適合される。好ましくは、視野絞りブロック41は、分割ブロック38の後で位置決めブロック39の前に時間的に配置される。
【0334】
ブロック36から41は、好ましくは、指定された時系列で実行される。異なるシーケンス又は複数のブロックの並列実行、特に
図16に示すブロック36から41の時系列シーケンスも有利であり得る。
【0335】
図16に示す例示的な実施形態では、好ましくは、測定される個々のエリア13の目標形状に適合された試験波9の非球面波面が、照明ブロック36の一部として分割要素8によって形成されるようにも設けられる。
【0336】
照明ブロック36の範囲内で、好ましくは更に、交換可能な分割要素8のセット8aは、試験物体3の表面2を測定するために設けられ、セット8aの分割要素8は、測定される個々のエリア13の目標形状に適合した分割要素8が個々のエリア13の各々に利用可能であるように、測定される試験物体3の表面2の個々のエリア13に適合した方法で具現化され、個々のエリア13の目標形状に適合した分割要素8は、個々のエリア13の各々を測定する目的で、セット8aから選択されるようにすることができる。交換可能な分割要素8のセット8aは、好ましくは、保管装置、特に棚に格納される。
【0337】
評価ブロック40の一部として、好ましくは、個々のエリア13から再構築される表面2の形状が設けられる。
【0338】
照明ブロック36の一部として、分割要素8の基準面17において、試験波9として送信される照明波6の一部と、基準波10として反射される照明波6の一部とが更に設けられることが好ましい。
【0339】
位置決めブロック39の範囲内で、分割要素8が表面2から0.1cm~10cm、好ましくは0.5cm~3cm、特に好ましくは1.5cm~2.5cmの距離に位置決めされるようにすることが好ましい。
【0340】
照明ブロック36の一部として、好ましくは、分割要素8がフィゾー要素として具体化されるようにすることができる。
【0341】
同様に、照明ブロック36の範囲内で、フィゾー要素の基準面17が、測定される試験物体3の表面2の、好ましくは平均及び/又は平均の目標形状に適合するように具体化されるようにすることができる。
【0342】
更に、試験波9の非点収差及び/又はトロイダル波面の形成は、照明ブロック36の一部として提供することができる。
【0343】
位置決めブロック39及び/又は照明ブロック36は、試験波9が表面2に対して可能な限り垂直に、及び/又はそれぞれの個々のエリア13の各場所において平均表面法線に対して可能な限り平行に誘導されるようにすることができる。
【0344】
位置決めブロック39は、好ましくは、個々のエリア13を測定するために、絞り装置15を備え、照明波6、基準波10、及び試験波9を形成する干渉計装置7を、試験波9が可能な限り垂直に表面2に当たるように表面2に対して位置決めする方法ステップを含むことができる。
【0345】
照明ブロック36の範囲内で、調整可能な直径を有する円形絞り及び/又は調整可能な辺の長さを有する矩形絞りによって、及び/又は多羽根絞りによって、部分開口部16が絞り装置15によって画定されるようにすることが好ましい。
【0346】
ブロック36から41の少なくとも1つは、表面2の個々のエリア13が、それぞれの個々のエリア13に割り当てられた部分開口部16を通る位置合わせによって測定される方法ステップを提供することができる。
【0347】
分割ブロック38は、測定パラメータが最適化されるように、別個の個々のエリア13の数、位置、形状及び/又は重なりが決定される方法ステップを含むことができる。
【0348】
特に、分割ブロック38は、好ましくは、個々のエリア13の数、位置及び/又は形状は、それぞれの個々のエリア13内に生じる最大勾配が5mrad、好ましくは1mrad、特に好ましくは0.5mradの限界勾配を超えないように決定される方法ステップを含むことができる。
【0349】
図17は、試験物体3、特にリソグラフィシステム100、200用の光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置200、300を処理するためのブロック図を示す。処理ブロック42において、試験物体3の表面2、特に光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207の光学面2の形状は、表面2の形状が少なくとも目標形状に近似するように処理される。
【0350】
決定ブロック43において、表面2の形状は、
図3~
図15の文脈で説明した測定装置1の1つ以上によって、及び/又は説明した好ましい実施形態の1つ以上において上述した方法を使用して決定される。
【0351】
反復ブロック44では、好ましくは、処理方法が処理ブロック42の範囲内の1つ以上の処理ステップで実行され、各処理ステップに続いて、決定ブロック43の範囲内で決定される表面2の形状が提供される。
【0352】
決定ブロック43の一部として、決定された表面2の形状に基づいて決定される後続の処理ステップの処理方法を提供することができる。
【0353】
特に、処理ブロック42において、処理方法が研磨方法であるようにすることができる。
【0354】
図3~
図15に示す例示的な実施形態では、表面2及び試験物体3は、結果として、特にリソグラフィシステム用の光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207を形成する。この場合、光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207の表面2は、測定装置1又は上述の実施形態による方法を使用して測定されている。代替又は追加として、上述の処理方法の実施形態のうちの1つを使用して処理される光学要素116、118、119、120、121、122、Mi、207の表面2を設けることができる。
【符号の説明】
【0355】
1 測定装置
1a フレーム
2 表面
3 試験物体
4 照明装置
5 照明源
5a 照明瞳
6 照明波
7 干渉計装置
8 分割要素
8a 分割要素のセット
8b 交換装置
9 試験波
10 基準波
11 登録装置
12 制御装置
13 個々のエリア
14 位置決め装置
15 絞り装置
16 部分開口部
17 基準面
18 裏側面
19 辺の長さ
20 測定視野
21 レンズ要素
22 照明マスク要素
23 照明レンズ
24 ビームスプリッタ
25 放物面集束ミラー
26 二次絞り装置
27 放物面接眼ミラー
28 カメラチップ
29 光導波路
30 低減装置
30a 回転拡散板
31 偏向ミラー
32 内側旋回光学ユニット
32a ディフューザ
33 作業角
34 基準角度
35 干渉反射波
36 照明ブロック
37 干渉ブロック
38 分割ブロック
39 位置決めブロック
40 評価ブロック
41 視野絞りブロック
42 処理ブロック
43 決定ブロック
44 反復ブロック
100 EUV投影露光装置
101 照明システム
102 放射線源
103 照明光学ユニット
104 物体視野
105 物体平面
106 レチクル
107 レチクルホルダ
108 レチクル変位駆動装置
109 投影光学ユニット
110 画像視野
111 画像平面
112 ウェハ
113 ウェハホルダ
114 ウェハ変位駆動装置
115 EUV/使用済み/照明放射線
116 収集器
117 中間焦平面
118 偏向ミラー
119 第1のファセットミラー/視野ファセットミラー
120 第1のファセット/視野ファセット
121 第2のファセットミラー/瞳ファセットミラー
122 第2のファセット/瞳ファセット
200 DUV投影露光装置
201 照明システム
202 レチクルステージ
203 レチクル
204 ウェハ
205 ウェハホルダ
206 投影光学ユニット
207 レンズ要素
208 マウント
209 レンズハウジング
210 投影ビーム
Mi ミラー
【外国語明細書】