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  • 特開-レート適合を用いたフレーム同期検出 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019121
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】レート適合を用いたフレーム同期検出
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   H04L 7/033 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H04L7/00 700
H04L7/033
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122543
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】17/876,194
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ レイ
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA13
5K047HH15
5K047KK12
5K047MM38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非整数サンプルレートでフレーム同期検出を実行する方法及びワイヤレスデバイスを提供する。
【解決手段】ワイヤレスデバイスの通信インタフェースは、第1の周波数でチャネルを介してパケットを受信し、第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、サンプリングされたデータストリームを生成するRF回路を含む。データリサンプラは、第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)分割サンプルレートとの間の分数比を用いて、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を含むリタイマ値を決定するリタイマエンジンと、を含む。相関(回路)は、リサンプリングされたデータ値、疑似クロック及びリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、パケットのフレームデリミタにおいて検出された対応するデータパターンに整合させる。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスデバイスであって、前記ワイヤレスデバイスは、
第1の周波数でチャネルを介してパケットをワイヤレスで受信するとともに、前記第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、前記パケットからサンプリングされたデータストリームを生成する受信機と、
前記受信機に結合されたデータリサンプラ回路と、
前記データリサンプラ回路に結合された相関回路と、
を備え、
前記データリサンプラ回路は、リタイマエンジンと時間シフト回路とを備え、
前記リタイマエンジンは、前記第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)整数分割サンプルレートとの間の分数変換比率を用いて、前記XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、前記第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を備える複数のリタイマ値を決定し、
前記時間シフト回路は、前記複数のリタイマ値の位置に関連付けられた前記サンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングし、
前記相関回路は、前記リサンプリングされたデータ値、前記疑似クロックおよび前記複数のリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、前記パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させる、
ワイヤレスデバイス。
【請求項2】
前記XO整数分割サンプルレートは、整数分割XOサンプルレートの周波数の分数を平均し、前記第1のサンプルレートは、前記チャネルに特有の非整数サンプルレートである、
請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項3】
前記時間シフト回路は、複数のデジタル分数遅延フィルタを備え、前記複数のデジタル分数遅延フィルタは、前記疑似クロックを用いて、前記複数のリタイマ値のうちの対応するリタイマ値に基づいて、前記データ値をリサンプリングする、
請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項4】
前記データリサンプラ回路は、前記疑似クロックを生成する疑似クロックジェネレータをさらに備え、前記疑似クロックジェネレータは、
前記クロックに基づいて導出される位相ロックループ(PLL)クロックを受信し、
前記リタイマエンジンからの各除去コマンドに応答して、前記PLLクロックからパルスを除去し、
前記除去されたパルスを用いて、前記PLLクロックを備える前記疑似クロックを生成し、
前記疑似クロックは、平均して、前記XO整数分割サンプルレートに対応する、
請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項5】
前記リタイマエンジンは、さらに、
閾値を満たす、前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を検出し、
前記検出に応答して、前記疑似クロックジェネレータに対する除去コマンドをトリガする、
請求項4に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項6】
前記リタイマエンジンは、
前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を格納するレジスタと、
前記分数変換比率を前記リタイマ値に加算し、分数リタイマ値を決定する加算器と、
前記分数リタイマ値を所定の負のデシマル値と比較する比較器と、
スイッチと、
を備え、
前記分数リタイマ値が前記所定の負のデシマル値以下になることに応答して、前記スイッチによって、1値を前記分数リタイマ値に加算し、正のリタイマ値を生成させ、
前記1値が加算されることに応答して、前記比較器は、前記疑似クロックジェネレータに対する除去コマンドをトリガする、
請求項4に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項7】
前記相関回路は、さらに、
前記リサンプリングされたデータ値内かつ前記予想されるデータパターンの対応するピークの閾値内にあるピークを検出し、
検出した前記ピークに時間的に最も近接して対応する、前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を決定し、
少なくとも前記リタイマ値を用いて、前記ピークの位置を修正し、
修正位置での前記ピークを、前記対応するピークに相関させる、
請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項8】
前記ピークの前記位置を修正するために、前記相関回路は、
前記疑似クロックの周期に関連付けられた数値的分数値を決定し、
前記クロックを用いて、かつ、前記リタイマ値に基づいて、検出した前記ピークのエッジに対応するリタイマ分数値を決定し、
前記数値的分数値および前記リタイマ分数値を前記位置に組み合わせ、前記ピークの前記修正位置を生成する、
請求項7に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項9】
前記リサンプラ回路および前記相関回路の組み合わせは、さらに、
前記リサンプリングされたデータ値の同相直交値に基づいて、ソフト周波数サンプルを取得し、
前記疑似クロックのシンボルレートの倍数で、前記ソフト周波数サンプルのオーバーサンプリング周波数サンプルを推定し、
前記フレームデリミタのフレーム同期パターンのシンボルに等しい定数のシンボルに、前記オーバーサンプリング周波数サンプルをバッファし、
バッファされた前記オーバーサンプリング周波数サンプルを、前記予想されるデータパターンの予想される周波数シンボルに相関させて、相関ピークを検出する、
請求項1に記載のワイヤレスデバイス。
【請求項10】
ワイヤレスデバイスを動作する方法であって、
前記ワイヤレスデバイスは、受信機と、前記受信機に結合されたデータリサンプラ回路と、前記データリサンプラ回路に結合された相関回路と、を備え、
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
前記受信機によって、第1の周波数でチャネルを介してパケットをワイヤレスで受信するステップと、
前記受信機によって、前記第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、前記パケットからサンプリングされたデータストリームを生成するステップと、
前記データリサンプラ回路によって、前記第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)整数分割サンプルレートとの間の分数変換比率を用いて、前記XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、前記第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を備える複数のリタイマ値を決定するステップと、
前記データリサンプラ回路によって、前記複数のリタイマ値の位置に関連付けられた前記サンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングするステップと、
前記相関回路によって、前記リサンプリングされたデータ値、前記疑似クロックおよび前記複数のリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、前記パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させるステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記XO整数分割サンプルレートは、整数分割XOサンプルレートの周波数の分数を平均し、前記第1のサンプルレートは、前記チャネルに特有の非整数サンプルレートである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、複数の分数遅延フィルタを使用するステップをさらに含み、前記複数の分数遅延フィルタは、前記疑似クロックを用いて、前記複数のリタイマ値のうちの対応するリタイマ値に基づいて、前記データ値をリサンプリングする、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
前記データリサンプラ回路によって、前記クロックに基づいて導出される位相ロックループ(PLL)クロックを受信するステップと、
リタイマエンジンから受信した各除去コマンドに応答して、前記PLLクロックからパルスを除去するステップと、
前記データリサンプラ回路によって、前記除去されたパルスを用いて、前記PLLクロックを備える前記疑似クロックを生成するステップと、
をさらに含み、
前記疑似クロックは、平均して、前記XO整数分割サンプルレートに対応する、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
閾値を満たす、前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を検出するステップと、
前記検出に応答して、前記リタイマエンジンによって、除去コマンドをトリガするステップと、
をさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値をレジスタ内に格納するステップと、
分数リタイマ値を決定する加算器によって、前記分数変換比率を前記リタイマ値に加算するステップと、
比較器によって、前記分数リタイマ値を所定の負のデシマル値と比較するステップと、
前記分数リタイマ値が前記所定の負のデシマル値以下になることに応答して、スイッチを用いて、1値を前記分数リタイマ値に加算し、正のリタイマ値を生成させるステップと、
前記1値が加算されることに応答して、前記比較器によって、除去コマンドをトリガするステップと、
をさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
前記相関回路によって、前記リサンプリングされたデータ値内かつ前記予想されるデータパターンの対応するピークの閾値内にあるピークを検出するステップと、
検出した前記ピークに時間的に最も近接して対応する、前記複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を決定するステップと、
少なくとも前記リタイマ値を用いて、前記ピークの位置を修正するステップと、
前記相関回路によって、修正位置での前記ピークを、前記対応するピークに相関させるステップと、
をさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ピークの前記位置を修正するステップは、
前記疑似クロックの周期に関連付けられた数値的分数値を決定するステップと、
前記クロックを用いて、かつ、前記リタイマ値に基づいて、検出した前記ピークのエッジに対応するリタイマ分数値を決定するステップと、
前記数値的分数値および前記リタイマ分数値を前記位置に組み合わせ、前記ピークの前記修正位置を生成するステップと、
を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ワイヤレスデバイスを動作する前記方法は、
前記リサンプリングされたデータ値の同相直交値に基づいて、ソフト周波数サンプルを取得するステップと、
前記疑似クロックのシンボルレートの倍数で、前記ソフト周波数サンプルのオーバーサンプリング周波数サンプルを推定するステップと、
前記フレームデリミタのフレーム同期パターンのシンボルに等しい定数のシンボルに、前記オーバーサンプリング周波数サンプルをバッファするステップと、
バッファされた前記オーバーサンプリング周波数サンプルを、前記予想されるデータパターンの予想される周波数シンボルに関連させて、相関ピークを検出するステップと、
をさらに含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項19】
フレームデリミタを含む送信データによってセキュアな筐体へのアクセスを得るように構成される第1のワイヤレスデバイスと、
前記セキュアな筐体内に位置する第2のワイヤレスデバイスと、
を備えるシステムであって、
前記第2のワイヤレスデバイスは、
第1の周波数でチャネルを介してパケットをワイヤレスで受信するとともに前記第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、前記パケットからサンプリングされたデータストリームを生成する受信機と、
前記受信機に結合されたデータリサンプラ回路と、
前記データリサンプラ回路に結合された相関回路と、
を備え、
前記データリサンプラ回路は、リタイマエンジンと時間シフト回路とを備え、
前記リタイマエンジンは、前記第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)整数分割サンプルレートとの間の分数比を用いて、前記XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、前記第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を備える複数のリタイマ値を決定し、
前記時間シフト回路は、前記複数のリタイマ値の位置に関連付けられた前記サンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングし、
前記相関回路は、前記リサンプリングされたデータ値、前記疑似クロックおよび前記複数のリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、前記パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させる、
システム。
【請求項20】
前記XO整数分割サンプルレートは、整数分割XOサンプルレートの周波数の分数を平均し、前記第1のサンプルレートは、前記チャネルに特有の非整数サンプルレートである、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ワイヤレスネットワークに関するものであり、より詳しくは、ワイヤレスデバイス間のレート適合を用いたフレーム同期検出に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)、例えば、ブルートゥース(R)(BT)、ブルートゥース(R)ローエナジー(BLE)、ジグビー(R)、赤外線などは、さまざまな個人的、産業的、科学的および医療的な用途のためのワイヤレス接続を提供する。PANは、概して、パケットベースプロトコルを使用し、中央デバイス(CD)および周辺デバイス(PD)を含むアーキテクチャを有する。CDは、複数のPDと通信することができる。
【0003】
例えば、BLE技術に基づいたいくつかのPANは、BTネットワークに類似の通信範囲を有するが、かなり小さい電力消費およびコストを有する。さらに、データ通信が起ころうとするとき、BLEデバイスは、しばしばスリープモードのままであり、アクティブモードに移行する。BLEプロトコルはまた、メッシュネットワークをサポートし、メッシュネットワークにおいて、データは、複数の経路を通じて流れることができ、デバイスの固定した階層構造に依存せず、しばしば、特定のネットワーク状況およびトポロジに応じて、同じデバイスは、CDまたはPDとして機能することができる。
【0004】
加えて、いくつかのPANは、筐体(例えば、住宅、車両、車庫、小屋など)のロック機構内に含まれるかまたはロック機構に関連付けられたワイヤレスデバイス(例えば、CD)において用いられ、例えば、キーレスエントリとも称されるセキュアなキーレスアクセスを、鍵のついたPDを所有している人に提供するために用いられる。(例えば、スマートフォンのようなモバイル機器とすることができる)鍵のついたPDは、パケットのフレームデリミタ内で特定のデータパターンを送信してもよい。ある筐体に関連付けられたワイヤレスCDデバイスは、次に、フレーム同期検出を実行し、特定のデータパターンが、セキュリティのレベルをキーレスエントリに提供するために部分的に用いられる、予想されるデータパターンに整合することを検証してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】例示的実施形態に従う、CDとして作用するワイヤレスデバイスとPDとして作用するワイヤレスデバイスとの間で、レート適合を用いたフレーム同期検出のために用いることができるシステムのブロック図である。
図1B】少なくとも1つの実施形態に従う、図1AのCDベースのワイヤレスデバイスの通信インタフェースの簡略ブロック図である。
図2】少なくとも1つの実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法のフロー図である。
図3A】少なくとも1つの実施形態に従う、CDのデータリサンプラ回路のブロック図である。
図3B】少なくとも1つの実施形態に従う、データリサンプラ回路のリタイマエンジンのブロック図である。
図4】少なくとも1つの実施形態では、水晶発振器(XO)分割サンプルレートと局部発振器(LO)ベースのサンプルレートとの間のリタイミングを示すグラフである。
図5】さまざまな実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法のフロー図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明は、PANに関連付けられたワイヤレスデバイス間のフレーム同期検出のさまざまな実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、デバイス、構成要素、方法などの例のような多数の具体的な詳細を記載する。開示された原則は、概して、非ガウス周波数シフトキーイング(GFSK)変調に、周波数のないこの種の変調(modulations without frequency)にさえ適用されてもよい。フレーム同期検出は、スタートフレームデリミタ(SFD)とも称されるフレームデリミタを検出するものとして理解されてもよく、フレームデリミタは、ネットワークパケットにおいて、データがパケットのフレーム内で続くことを識別または信号送信している。この場合、いくつかのパケットは、ペイロードのないフレームデリミタ(またはSFD)を含んでもよく、特に、ここでは、フレームデリミタ自体は、例えば、PDワイヤレスデバイスの検証を実行するために、セキュリティ目的のために最初に使用される。したがって、本願明細書において参照されるパケットのデータは、単にプリアンブルおよびフレームデリミタを参照してもよいかまたはパケット内のデータのフレームまたはペイロードを参照してもよい。
【0007】
特定のPANデバイスにおいて、フレーム同期検出は、ラウンドトリップタイム(RTT)を推定するために、本質的に使用されてもよく、ラウンドトリップタイム(RTT)は、位置決めするためにBLEにおいて用いられてもよい。データ位置決めを用いる一例は、キーレスエントリに用いられるBLEの高精度距離測定(HADM)であり、例えば、ここでは、(携帯電話のような)BLEデバイスは、デジタルの車のキーとして作用する。例えば、BLEにおいて定義されるフレーム同期パターンを用いて、パケットのRTTを推定し、筐体からの距離を推定してもよい。したがって、HADM(および関連した方法)は、位相ベースの測距技術と理解されてもよく、この技術は、2つのBT対応デバイスの間でセキュアな距離測定を行う物理層(PHY)セキュリティ機能によって強化可能である。BLEは、フレーム同期検出を用いるプロトコルの一例であり、フレーム同期検出は、測距またはローカライゼーションを実行するための距離推定が要求されうる他の文脈またはプロトコルに適用可能でもよい。
【0008】
フレーム同期検出は、データシンボルレートの単純倍数、例えば、4、6、12などの倍数であるサンプルレートで、典型的には1または2メガビット/秒(Mbps)で最良に実行され、これらのレートは、典型的には、例えば、24メガヘルツ(MHz)、32MHzまたは48MHzである水晶発振器(XO)周波数分割(またはサンプリング)レートである。データシンボルの次の処理は、周知のXO整数分割サンプルレートで実行される際に直接的でもよく、(例えば、デジタル「0s」および「1s」の)同期データパターンは、ブール論理に従ってビット決定を用いてより容易に相関可能である。代替的には、サインドソフトシンボル(signed soft symbol)を用いてより正確な結果を取得してもよく、その場合、相関は、多数の加算および減算として記載可能である。したがって、実際には、同期フレームの到着時間(ToA)推定は、受信機クロックの最も近いエッジと同程度正確であるか(粗いタイミング)、または、受信機クロックの周期の分数(fraction)と同程度正確である(分数タイミング)。この方法のいくつかの欠点は、XO整数分割サンプルレートで動作する受信機が、例えば、クロックスプール(clock spur)の形の、重要な無線機の干渉問題を経験することを含み、受信機の非検知を引き起こし、例えば、受信機の感作に影響を与える。
【0009】
したがって、これらの無線機の干渉問題を回避するために、ワイヤレスデバイスの受信機は、その代わりに、局部発振器(LO)周波数から分割(分周)されたサンプルレートを用いることができる。LO周波数は、ほとんどの場合(ただし必ずしも常にではなく)、例えば、XO整数分割サンプルレートの変調ビットレートの非倍数である。この方法は、いくつかの受信機の非検知問題を回避するが、この解決案はまた、LO周波数から導出されるサンプルレートとXO整数分割サンプルレートとの間のレート適合を必要とする。この種の適合は、典型的には、先入れ先出し(FIFO)バッファを用いて、ドメイン間でデータを転送する。ToA測定は、FIFOバッファを通して正確かつ制御可能なレイテンシを必要とするので、この解決案は、完全に満足であるというわけではない。
【0010】
LOベース(または元)のサンプルレートで受信したパケットを、XO整数分割サンプルレートにリサンプリング(再サンプリング)するとき、レート適合によって経験される欠点を解消するために、FIFOバッファは除外されてもよい。このシナリオにおいて、データリサンプラ回路は、パルス除去(例えば、スワロー)またはパルス挿入を用いて、平均して、データシンボルレートの倍数であるレートを近似する、クロックを形成してもよい。データシンボルレートの望ましい倍数の近似値は、例えば、8、6でもよいし、または、4倍のデータシンボルレートおよび分割XOレートでもよい。例えば、シンボルレートは、1MHzでもよく、用いられるXO周波数は、24MHzでもよく、一方、平均レートは、6MHzに近似するか、または、4で除算されるXOサンプルレートに近似する。したがって、XO整数分割サンプルレートは、整数分割XOサンプルレートの周波数の分数を平均してもよい。これらの値は、説明のために例としてのみ提供される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、受信機は、第1の周波数でチャネルを介してパケットをワイヤレスで受信するとともに、第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、パケットからサンプリングされたデータストリームを生成する。少なくともいくつかの実施形態では、データリサンプラ回路は、第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)整数分割サンプルレートとの間の分数変換比率を用いて、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を備える複数のリタイマ値を決定するリタイマエンジンを含む。リサンプラ回路は、複数のリタイマ値の位置に関連付けられたサンプリングされたデータストリームのリサンプルデータ値をリサンプリングする時間シフト回路をさらに含んでもよい。これらの実施形態では、リサンプラ回路に結合された相関回路は、リサンプリングされたデータ値、疑似クロックおよび複数のリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させるように構成されてもよい。追加の実施態様の詳細は、現在の図面を参照して述べられる。
【0012】
データが、実際には、XO整数分割サンプルレートでリサンプリングされないという事実にもかかわらず、相関回路が、フレーム同期検出に関連付けられた相関を依然として実行するために強化されうるので、本開示は、多くの利点を含む。その代わりに、さらに詳細に後述するように、リサンプリングされたデータによる疑似クロックを用いて、リサンプリングされたデータ値をLOサンプルレートのタイミングに相関させてもよい。いくつかの実施形態では、疑似クロックは、XO分割クロックのパルスに近接して対応するより高速のLO分割サンプルレートから臨時の(occasional)パルスを除去(例えば、スワロー)することによって生成される。これらの正確なリタイマ値を保持することによって、相関回路は、(完全にはXO整数分割サンプルレートでリサンプリングされない)入力データのピークを、予想されるデータパターンのピークに、より正確に相関させてもよい。例えば、相関回路148は、入力データパターンのピークを検出し、ピークに関連付けられたクロックエッジまたはリタイマ値を位置決めし、(ピークに関連付けられた)このリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンに整合させてもよい。このようにして、LO分割サンプルレートに関連付けられた正確なタイミングが保持されながら、ピークの検出のための後の相関は、XO分割疑似データ信号レートを用いて実行される。さらに、受信機は、非整数サンプルレート(例えば、非XO整数分割サンプルレート)で動作することができ、上述した無線機の干渉問題を回避することができる。
【0013】
図1Aは、例示的実施形態に従う、CDとして作用するワイヤレスデバイス101とPDとして作用するワイヤレスデバイス150との間で、レート適合を用いたフレーム同期検出のために用いることができるシステム100のブロック図である。システム100は、例えば、ロック機構60を用いてセキュアにされるセキュアな筐体50を含んでもよく、ワイヤレスデバイスは、ロック機構60を介してセキュアな筐体へのアクセスを得るように構成される。セキュアな筐体50は、例えば、車両、建物、住宅、車庫、小屋、金庫室などでもよい。セキュアな筐体50は、例えば、デジタルロック機構でもよいロック機構60を介したセキュアなアクセスを必要とするコンピュータシステム、産業器材または他のアイテムでもよい。いくつかの実施形態では、ロック機構60は、ワイヤレスデバイス101とともに統合される。
【0014】
さまざまな実施形態では、ワイヤレスデバイス150は、複数の周辺ワイヤレスデバイスPD1(150A)…PDN(150N)の任意の1つであり、ワイヤレスデバイス101は、周辺ワイヤレスデバイスPD1(150A)…PDN(150N)の一部または全部と通信するように構成されてもよい。異なる実施形態では、ワイヤレスデバイス150は、モバイル機器、例えば、携帯電話、スマートフォン、ポケットベル、電子トランシーバ、タブレットなどである。これらの実施形態では、ワイヤレスデバイス150は、フレームデリミタおよび閉鎖(enclosed)フレームを含む送信データによってセキュアな筐体50へのアクセスを得るように構成されてもよい。
【0015】
少なくともいくつかの実施形態では、ワイヤレスデバイス101は、これらに限定されるものではないが、送信機102またはTX(例えば、PAN送信機)、受信機104またはRX(例えば、PAN受信機)、通信インタフェース106、1つまたは複数のアンテナ110、メモリ114、1つまたは複数の入出力(I/O)デバイス118(例えば、ディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、キーパッドなど)およびプロセッサ120を含む。これらの構成要素のすべては、通信バス130に結合されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、別々のアンテナは、送信機102および受信機104の各々のために使用され、それゆえ、アンテナ110は、説明を簡単にするために示される。少なくともいくつかの実施形態では、メモリ114は、プロセッサ120によって実行可能な命令および/または通信インタフェース106によって生成されるデータを格納するための記憶装置を含んでもよい。さまざまな実施形態では、本願明細書において記載されている1つまたは複数のアンテナ(例えば、アンテナ110)は、さまざまなデバイス内で、PANベースの周波数バンドのために、例えば、ブルートゥース(R)(BT)、BLE、Wi-Fi(R)、ジグビー(R)、Z-wave(R)などのために用いられてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、通信インタフェース106は、例えば、ワイヤレスデバイス101のフロントエンドとして、送信機102および受信機104に統合される。通信インタフェース106は、プロセッサ120によって指示されるとき、パケットを周辺ワイヤレスデバイス150から要求/受信するために調整してもよい。通信インタフェース106は、プロセッサ120がさらなる処理を実行することができるように、受信機104によって受信されるデータシンボルをさらに処理してもよく、さらなる処理は、本願明細書において述べられるように、パケットのフレームから取得されるデータ値の位相ベースのサンプルと、セキュリティプロトコルの一部としての予想されるデータパターンと、の間の相関を検証することを含む。
【0018】
図1Bは、少なくとも1つの実施形態に従う、図1Aのワイヤレスデバイス101の通信インタフェース106の簡略ブロック図である。少なくともいくつかの実施形態では、通信インタフェース106は、ベースバンドチャネル推定器134を含み、ベースバンドチャネル推定器134を用いて、チャネルを推定し、したがって検出し、受信機104がチャネルを介してパケットを受信することを可能にする。チャネルを推定することは、例えば、チャネル状態情報(CSI)および各チャネルのための受信信号強度指示(RSSI)を推定することを意味してもよい。CSIは、振幅および位相情報を有する詳細なチャネルインパルス応答(例えば、チャネル特性を含む)を含んでもよい。受信機104は、ベースバンドチャネル推定器134によって、サンプリングチャネル特性のレートを調節してもよい。したがって、受信機104またはベースバンドチャネル推定器134は、局部発振器(LO)を含んでもよく、局部発振器(LO)は、しばしばサンプルレートの非整数倍である、特定チャネルのための特定のサンプリングレートでサンプリングする。
【0019】
さまざまな実施形態では、通信インタフェース106は、RF回路140を含むが、本願明細書において述べられるRF回路140はまた、通信インタフェース106に結合されてもよく、したがって、ワイヤレスデバイス101のフロントエンド内の他の場所に位置してもよい。少なくともいくつかの実施形態では、RF回路140は、水晶発振器(XO)142を含み(または結合され)、データリサンプラ回路144および相関回路148を含む。データリサンプラ回路144は、リタイマエンジン154を含み、フレーム同期検出を実行するために、相関回路148によって用いられるリタイマ値を生成する(かまたは生成させ)てもよい。相関回路148はまた、分数時間推定器149を含んでもよい。
【0020】
XO142は、クロックを提供し、XOベースの設計においてサンプリングおよび処理を管理してもよいが、XOベースの周波数ドメインのデータの直接の変換は、上述した欠点を有する。いくつかの実施形態では、RF回路は、プログラマブルプロセッサとして、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、処理ユニット(例えば、CPUまたはGPU)、または、回路ベースのハードウェア、論理、ファームウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせを含んでもよい他のマイクロプロセッサデバイスとして実施される。
【0021】
さまざまな実施形態では、データリサンプラ回路144は、LO周波数から導出されるサンプルレートで受信機104によってすでにサンプリングされていた入力データを、XO周波数から導出される疑似サンプルレートにリサンプリングするように構成される。このXO周波数から導出される疑似サンプルレートは、疑似クロックによって管理されてもよく、疑似クロックは、平均して、XO整数分割周波数、例えば、4MHz、6MHz、12MHz、24MHzなどに対応するように生成される。相関回路148は、疑似クロックを用いて、予想されるデータパターンを、例えば、フレーム同期検出によって、パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させてもよい。
【0022】
図2は、少なくとも1つの実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法200のフロー図である。方法200は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作または実行される命令)またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、方法200は、通信インタフェース106によって、ならびに、潜在的に通信インタフェース106およびプロセッサ120の組み合わせによって実行される。
【0023】
動作210において、パケットのデータは、図1Aから図1Bを参照して述べられたように、推定されるチャネルに特有の局部発振器(LO)サンプルレートでサンプリングされる。このLOサンプルレートは、いかなるXO整数分割周波数にも特有ではない。単なる説明のための一例として、LOサンプルレートが6.42MHzであると仮定する。
【0024】
動作220において、データリサンプラ回路144は、データサンプルレートを増加(内挿)または減少させる(間引き)方法で、データをリサンプリングする。次に、データリサンプラ回路144から出力されるデータのサンプルレートは、平均して、XO整数分割サンプルレートとすることができ、したがって、XO整数分割周波数での「疑似」クロックに対応することができる。単なる説明のための一例として、XO整数分割サンプルレートが6.0MHzであり、したがって、LO分割サンプルレートより僅かに遅いと仮定する。以下で詳細に述べられる図4は、LO分割サンプルレートに対応する非整数クロックおよびXO整数分割サンプルレートに対応するXO整数分割クロックの両方を示す。
【0025】
動作220において、データリサンプラ回路144(例えば、リタイマエンジン154)は、例えば、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、LO分割サンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分として、LO分割サンプルレートとXO整数分割サンプルレートとの間の分数比(fractional rate)を用いて、リタイマ値を決定してもよい。これらのリタイマ値は、相関回路148に提供されてもよい。
【0026】
また、動作220において、データリサンプラ回路144は、リタイマ値の位置に関連付けられたサンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングしてもよく、また、これらのリサンプリングされたデータ値を相関回路148に提供してもよい。データリサンプラ回路144の機能は、疑似クロックの生成を含み、さらに詳細に記載されている。
【0027】
動作230において、XO整数分割サンプルレートでのデータ(例えば、リサンプリングされたデータ値)は、相関回路148に提供される。
【0028】
動作240において、パケットのフレームデリミタ内のデータパターンと、信頼された周辺デバイス(PD)からの予想されるデータパターンと、の間の相関は、相関回路148によって実行される。より詳しくは、相関回路148は、リサンプリングされたデータ値、疑似クロックおよびリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、フレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させてもよい。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、分数時間推定器149は、フレームデリミタの到着時間(ToA)をさらに確立する。分数時間の分解能は、典型的には、この場合、疑似クロックの平均周期であるクロックの周期よりはるかに良好である。
【0029】
図3Aは、少なくとも1つの実施形態に従う、CDのデータリサンプラ回路344のブロック図である。図4は、少なくとも1つの実施形態では、水晶発振器(XO)分割サンプルレートと局部発振器(LO)ベースのサンプルレートとの間のリタイミングを示すグラフであり、これも参照される。データリサンプラ回路344によって生成されるタイミングおよびデータは、相関回路148(図2B)に提供されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、データリサンプラ回路344は、図2Bのデータリサンプラ回路144である。
【0030】
少なくともいくつかの実施形態では、データリサンプラ回路344は、LOクロック302、バッファ305、位相ロックループ(PLL)317、疑似クロックジェネレータ320、時間シフト回路325、リタイマエンジン354を含む。いくつかの実施形態では、PLL317は、通信インタフェース106の他の部分に位置するか、または、ワイヤレスデバイス101のフロントエンドに位置し、例えば、データリサンプラ回路344内に組み込まれる必要はない。少なくとも1つの実施形態では、リタイマエンジン354は、図2Bのリタイマエンジン154である。
【0031】
さまざまな実施形態では、バッファ305は、遅延線を含み、受信機104によって用いられる局部発振器(LO)の周波数に適合するLO整数分割クロック302を用いて、入力データ(例えば、受信機104からのサンプリングされたデータストリーム)をサンプリングする。これらの実施形態では、バッファ305は、上述したように、パケットが受信されると推定されるチャネルに特有でもよい、単純な整数分割器(除算器)によってLOから導出された第1の周波数に対応する遅延してサンプリングされたデータストリームのデータを出力する。この遅延およびさらなるサンプリングによって、他の構成要素は、後述するように、次のサンプリングされたストリームに対応する異なるタイミングおよびデータ値を生成することができる。図4は、LO整数分割サンプルレートに対応する非整数クロックに関連付けられた曲線を示し、プラス記号(+)は、受信機104によって実行されるサンプリングから保存された元のサンプルをマークする。
【0032】
少なくともいくつかの実施形態では、リタイマエンジン354は、(入力データの)入力サンプリングレートとXO整数分割サンプルレートとの間のデータのタイミング関係を追跡する。前からの例を用いると、分数比は、6.42Mspsと6.00Mspsとの間の分数差分であり、-0.0660であり、例えば、図4のグラフの最初の2つのサンプル間の距離である。次に、リタイマエンジン354は、この分数比を用いて、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、次のサンプルレートに対応するクロック、例えば、LOクロック302の最も近い対応するパルスと、の間の差分である複数のリタイマ値を決定してもよい。図4の例に従う説明のために、リタイマ値は、次のサンプリングされたストリームにおいて、サンプル位置に対応する横座標番号(グラフのx軸に沿う)である。いくつかの実施形態では、リタイマ値は、除去された(またはスワローされた)パルスなしで、LOクロック302から適合されるクロックエッジであると理解可能である。したがって、リタイマ値は、第1のサンプルレートのサンプリングデータがXO整数分割サンプルレートでデータを出力するのに必要な時間シフトまたは時間内挿を推定してもよい。図4のグラフにおいて、リタイマ値は、簡単にするため四捨五入されるが、実際は、多くの(例えば、最高12の)少数位に保持されてもよい。これらの実施形態では、リタイマエンジン354は、リタイマ値を時間シフト回路325に提供し、リタイマ値は、時間シフト回路325に対する分数内挿コマンドに等しいものとして後述される。
【0033】
いくつかの実施形態では、疑似クロックジェネレータ320は、上述した疑似クロックを生成するように構成される。PLL317は、例えば、LOクロック302に基づいて導出されるPLLクロックを生成してもよい。PLL317は、入力基準としてLOクロック302を用いるように構成されてもよく、PLL317は、LOクロック302の周波数および位相をロックし、非整数サンプルレートでできるだけ正確なPLLベースのクロックを提供する。
【0034】
これらの実施形態では、疑似クロックジェネレータ320は、LO整数分割クロックを受信し、リタイマエンジン354からの各除去コマンドに応答して、LO整数分割クロックからパルスを除去し(例えば、スワローし)、これは、以下で述べられる。これらの実施形態では、疑似クロックジェネレータ320は、除去されたパルス(または技術分野で説明されるように、スワローされたパルス)を用いて、PLLクロックとして疑似クロックをさらに生成し、疑似クロックは、平均して、XO整数分割サンプルレートに対応する。
【0035】
少なくともいくつかの実施形態では、リタイマエンジン354はまた、複数のリタイマ値のうちの、閾値を満たす(例えば、少なくとも満足するか上回る)1つのリタイマ値を検出し、例えば、それは、ほぼ整数値(例えば、1値(「1」))マイナス分数比値の経時的なリタイマ値の間のクロスオーバが存在することを示す。この種の検出に応答して、リタイマエンジン354は、疑似クロックジェネレータ320に対して除去コマンド(例えば、パルススワローコマンド)をトリガすることができる。図4に示すように、リタイマ値クロスオーバが-0.490と+0.440との間に存在し、ほぼ+1のジャンプを示す。
【0036】
より詳しくは、図3Bは、少なくとも1つの実施形態に従う、データリサンプラ回路344のリタイマエンジン354のブロック図である。この少なくとも1つの実施形態では、リタイマエンジン354は、複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値を格納するレジスタ360を含む。いくつかの実施形態では、レジスタ360は、複数のリタイマ値をバッファすることができる。リタイマエンジン354は、加算器352をさらに含み、分数変換比率をリタイマ値に加算し、分数リタイマ値を決定してもよい。リタイマエンジン354は、分数リタイマ値を所定の負のデシマル値と比較する比較器364をさらに含んでもよく、所定の負のデシマル値は、例えば-0.5であるが、-0.4または-0.6のような他の値も想定される。所定の負のデシマル値として-0.5を使用する場合、リタイマ値は、-0.5と+0.5との間で揺れてもよい(図4参照)。リタイマエンジン354は、分数リタイマ値が所定の負のデシマル値以下になることに応答して、1値(「1」)を分数リタイマ値に加算し、正のリタイマ値を生成させるように構成されるスイッチ366をさらに含んでもよい。電荷ポンプのような電圧源370もまた含まれ、1値の追加を実行してもよい。これらの実施形態では、比較器364はまた、1値が加算されることに応答して、例えば、分数リタイマ値が所定の負のデシマル値以下になることに応答して、疑似クロックジェネレータ320に対する除去コマンドをトリガするように構成される。
【0037】
図3Aをさらに参照すると、さまざまな実施形態では、時間シフト回路325は、リタイマコマンド、例えば、分数内挿コマンドとして機能するリタイマ値に基づいて、(例えば、内挿または間引きを介して)入力されるサンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングするように構成される。この機能を実行するために、時間シフト回路325は、リタイマエンジン354からリタイミング値を受信し、疑似クロックジェネレータ320から疑似クロックを受信してもよい。図4に示すように、破線は、平均してXO整数分割サンプルレートで、疑似クロックジェネレータ320によって提供される疑似クロックのサンプル位置(例えば、パルス)に対応する。「X」位置は、時間シフト回路325が、疑似クロックの最も近い対応する位置(またはパルス)から、(第1のサンプルレートを有する)サンプリングされたデータストリームのパルス(またはクロックエッジ)の1つにおいて決定したリサンプリングされたデータ値として理解可能である(X位置に対する水平内挿線を参照)。いくつかの実施形態では、時間シフト回路325は、複数のデジタル分数遅延フィルタを含み、複数のデジタル分数遅延フィルタは、疑似クロックを用いて、複数のリタイマ値のうちの対応するリタイマ値に基づいて、データ値をリサンプル(または内挿)する。各分数遅延フィルタは、例えば、1つまたは複数のファロー構造を使用してもよい。
【0038】
図5は、さまざまな実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法500のフロー図である。方法500は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作または実行される命令)またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、方法500は、RF回路140によって、および、潜在的に通信インタフェース106およびプロセッサ120(図1B)の組み合わせによって実行される。
【0039】
動作510において、処理論理は、データ信号レート変換を実行し、リタイマ値を決定する。より詳しくは、データリサンプラ144は、サンプリングされたデータストリームの第1のサンプルレート(例えば、LOクロック302に対応する)とXO整数分割サンプルレートとの間の分数変換比率を決定してもよい。図4の例において、これは、単なる例として-0.0660(四捨五入した数としては-0.07)であるとして説明された。処理論理(例えば、リタイマエンジン354)は、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の差分を含む複数のリタイマ値(例えば、図4に示される)をさらに決定してもよい。
【0040】
動作520において、処理論理は、リサンプリングされたデータ値の同相直交(IQ)値に基づいて、ソフト周波数サンプルを取得する。ソフト周波数サンプルは、サンプリングされたデータ値内の周波数偏差であり、例えば、1または0ビットとしてまだ分解されるべきシンボルをキャプチャしてもよい。より詳しくは、時間シフト回路325(または類似の論理)である、複数のリタイマ値の位置に関連付けられたサンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングしてもよい。いくつかの実施形態では、バッファ305の遅延線は、サンプリングされたデータストリームの非回転同相直交(IQ)入力のセットを位相に変換し、位相サンプルのセットを生成し、第1のデータシンボルの複数の位相サンプルの隣接する位相サンプル間の位相差を決定してもよい。処理論理は、複数のシンボル間の差分を生成するために、第1のデータシンボルの各位相差を、第1のデータシンボルに隣接する第2のデータシンボルの対応する位相差分からさらに減算してもよい。処理論理は、ソフト周波数サンプルとして、第1のデータシンボルに対する複数の順次サンプリングされたシンボル全体の複数のシンボル間の差分をさらに累算してもよい。
【0041】
動作530において、処理論理は、疑似クロックのシンボルレートの倍数で、ソフト周波数サンプルのオーバーサンプリング周波数サンプルを推定し、例えば、ソフトサンプルを疑似クロックのドメインに変換してもよい。いくつかの実施形態では、シンボルレートの倍数は、疑似クロックのシンボルレートの2倍、4倍、6倍、8倍などでもよい。
【0042】
動作540において、処理論理は、オーバーサンプリング周波数サンプルを、フレームデリミタのフレーム同期パターンのシンボルに等しい定数のシンボルにバッファしてもよい。いくつかの実施形態では、フレーム同期パターンは、32のシンボルであり、したがって、32×6の全等距離のサンプルは、バッファされ、疑似クロックの6倍の倍数で動作する場合、フレームデリミタの予想されるデータパターンに対して相関するように用いられてもよい。32のシンボルが例として示唆されるが、他の数のシンボルも想定される。
【0043】
動作550において、処理論理(例えば、図1Bおよび図3Aの相関回路148)は、バッファされたオーバーサンプリング周波数サンプルを、予想されるデータパターンの予想される周波数シンボルに相関させ、相関ピークを検出してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、処理論理は、乗算および加算を含む数学演算に従って、リサンプリングされたデータ値内かつ予想されるデータパターンの対応するピークの閾値内にあるピークを検出する。処理論理は、検出したピークに時間的に最も近接して対応する(most closely corresponding in time)、複数のリタイマ値のうちの1つのリタイマ値をさらに決定してもよい。いくつかの実施形態では、処理論理は、少なくともリタイマ値を用いて、ピークの位置をさらに修正し、修正位置でのピークを対応するピークに相関させる(整合させることを含む)。
【0044】
いくつかの実施形態では、ピークの位置を修正するために、処理論理は、疑似クロックの周期に関連付けられた数値的分数値(numerical fractional value)を決定する。処理論理は、クロックを用いて、かつ、リタイマ値に基づいて、検出したピークのエッジに対応するリタイマ分数値をさらに決定してもよい。処理論理は、数値的分数値およびリタイマ分数値を位置とさらに組み合わせ、ピークの修正位置を生成してもよい。この文脈において、位置は、疑似クロックのエッジによって画定されるタイミングイベントに関連する。
【0045】
さまざまな実施形態では、修正位置のピークが、(例えば、第1の閾値と比較してより近い)第2の閾値を満たす場合、または、サンプリングデータが、所定の分数分解能内で予想されるデータパターンの曲線のピークにあてはめられる場合、処理論理は、同期発見イベントを作成し、同期発見イベントに関して、修正ピーク位置に対応するリタイマ値を格納してもよい。相関の分数部分は、機能を、修正ピークの値にあてはめし、かつ、サンプリングされたデータストリームの2つの隣接するサンプル値にあてはめすることによって取得されてもよい。追加的または代替的に、他の論理、回路および/またはアルゴリズムを使用して、ピークのために決定される正確な位置を改善してもよい。
【0046】
図6は、少なくとも1つの実施形態に従う、レート適合を用いたフレーム同期検出の方法のフロー図である。方法600は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作または実行される命令)またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、方法600は、RF回路140によって、および、潜在的に通信インタフェース106およびプロセッサ120の組み合わせによって実行される(図1B)。
【0047】
動作610において、受信機104は、第1の周波数でチャネルを介してパケットをワイヤレスで受信する。
【0048】
動作620において、受信機104は、第1の周波数に対応する第1のサンプルレートで、パケットからサンプリングされたデータストリームを生成する。
【0049】
動作630において、処理論理(例えば、データリサンプラ回路344)は、第1のサンプルレートと水晶発振器(XO)整数分割サンプルレートとの間の分数比を用いて、XO整数分割サンプルレートに対応する疑似クロックのパルスと、第1のサンプルレートに対応するクロックの最も近い対応するパルスと、の間の差分を備える複数のリタイマ値を決定する。
【0050】
動作640において、処理論理(例えば、データリサンプラ回路344)は、複数のリタイマ値の位置に関連付けられたサンプリングされたデータストリームのデータ値をリサンプリングする。
【0051】
動作650において、処理論理(例えば、相関回路148)は、リサンプリングされたデータ値、疑似クロックおよび複数のリタイマ値を用いて、予想されるデータパターンを、パケットのフレームデリミタにおいて検出された、対応するデータパターンに整合させる。
【0052】
少なくともいくつかの実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実行されてもよいことは、当業者にとって明らかである。他の例において、周知の構成要素、要素または方法は、詳細に記載されないかまたは単純なブロック図形式で提示され、本願明細書において記載されている主題を不必要に不明瞭にすることを回避する。したがって、後述される具体的な詳細は、単に例示的なだけである。特定の実施態様は、これらの例示的な詳細から変化してもよく、依然として本実施形態の精神および範囲内にあるとみなされてもよい。
【0053】
説明において、「実施形態」、「一実施形態」、「例示的実施形態」、「いくつかの実施形態」および「さまざまな実施形態」に対する参照は、この(これらの)実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、ステップ、動作または特性が少なくとも1つの実施形態内に含まれることを意味する。さらに、説明のさまざまな箇所における「実施形態」、「一実施形態」、「例示的実施形態」、「いくつかの実施形態」および「さまざまな実施形態」というフレーズの出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を参照するというわけではない。
【0054】
説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面に対する参照を含む。図面は、例示的実施形態に従って図示例を示す。本願明細書において、「例」とも称されうるこれらの実施形態は、当業者が、本願明細書において記載されている請求項の主題の実施形態を実施することができるのに十分詳細に記載されている。実施形態を組み合わせてもよいし、他の実施形態を利用してもよいし、または、請求項の主題の精神および範囲を逸脱しない範囲で構造的、論理的および電気的な変化を行ってもよい。本願明細書において記載されている実施形態が、主題の範囲を制限することを意図するものではなく、むしろ、当業者が、主題を実行、作成および/または使用できることを意図するものであることを理解されたい。
【0055】
説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面に対する参照を含む。図面は、例示的実施形態に従って図示例を示す。本願明細書において、「例」とも称されうるこれらの実施形態は、当業者が、本願明細書において記載されている請求項の主題の実施形態を実施することができるのに十分詳細に記載されている。実施形態を組み合わせてもよいし、他の実施形態を利用してもよいし、または、請求項の主題の精神および範囲を逸脱しない範囲で構造的、論理的および電気的な変化を行ってもよい。本願明細書において記載されている実施形態が、主題の範囲を制限することを意図するものではなく、むしろ、当業者が、主題を実行、作成および/または使用できることを意図するものであることを理解されたい。
【0056】
特定の実施形態は、例えば、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリのような非一時的コンピュータ可読媒体上に格納されるファームウェア命令によって実施されてもよい。これらの命令を用いて、プロセッサ(例えば、CPU)または(例えば、処理コア、処理エンジン、マイクロコントローラなどのような)その等価物を含む1つまたは複数のデバイスをプログラムおよび/または構成してもよく、その結果、プロセッサまたはその等価物によって実行されるとき、命令は、デバイスに本願明細書において記載されているUSB-C/PDモード遷移アーキテクチャのための記載された動作を実行させる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、これらに限定されるものではないが、電磁記憶媒体、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリまたは情報を格納するのに適している現在周知であるか後で開発される非一時的なタイプの他の媒体を含んでもよい。
【0057】
本願明細書における回路およびブロックの動作は、特定の順序で図示および記載されているが、いくつかの実施形態では、各回路/ブロックの動作の順序は、特定の動作が逆順で実行されてもよいようにまたは特定の動作が少なくとも部分的に他の動作と同時におよび/または並列に実行されてもよいように変えられてもよい。他の実施形態では、異なる動作の命令またはサブ動作は、断続的および/または交互の方法で実行されてもよい。
【0058】
上述した明細書において、特定の例示的実施形態を参照して開示は記載されている。しかしながら、添付の請求項に記載した開示のより広い精神および範囲を逸脱しない範囲で、さまざまな修正および変更がなされてもよいことは明白である。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなくむしろ例示的な意味で考えられるべきである。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【外国語明細書】