(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019122
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】銀ニッケルナノワイヤー
(51)【国際特許分類】
B22F 1/00 20220101AFI20240201BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20240201BHJP
B22F 1/17 20220101ALI20240201BHJP
B22F 1/10 20220101ALI20240201BHJP
C22C 5/06 20060101ALI20240201BHJP
C22C 19/03 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B22F1/00 M
B22F1/00 K
B22F1/054
B22F1/17
B22F1/10
C22C5/06 Z
C22C19/03 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023122597
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2022121081
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】竹田 裕孝
(72)【発明者】
【氏名】三代 真澄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 菜保
(72)【発明者】
【氏名】浅井 文雄
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018BA01
4K018BA04
4K018BB02
4K018BB04
4K018BB05
4K018BC22
4K018BD04
4K018KA33
(57)【要約】
【課題】イオンマイグレーションが起こりにくく、インク中のナノワイヤーの分散性および大気環境下でのナノワイヤーの安定性(耐酸化性)に優れ、加えて導電性にも優れたナノワイヤーを提供すること。
【解決手段】ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した、1本の銀ニッケルナノワイヤーであって、ICP-AES法により測定した前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率が10~95質量%であり、前記ナノワイヤー中の銀の質量比率が5~90質量%である、銀ニッケルナノワイヤー。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した、1本の銀ニッケルナノワイヤーであって、
ICP-AES法により測定した前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率が10~95質量%であり、前記ナノワイヤー中の銀の質量比率が5~90質量%である、銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項2】
前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率は50~90質量%であり、
前記ナノワイヤー中の銀の質量比率は10~40質量%である、請求項1に記載のナノワイヤー。
【請求項3】
前記ナノワイヤーは、主成分が銀である表面層を有する、請求項1に記載のナノワイヤー。
【請求項4】
前記ナノワイヤーは、前記表面層に覆われた内部をさらに有し、
前記表面層において銀の質量比率は50質量%超であり、
前記内部においてニッケルの質量比率は90質量%以上である、請求項3に記載のナノワイヤー。
【請求項5】
前記ナノワイヤーは1.0×10-4Ω・cm以下の体積抵抗率を有する、請求項1に記載のナノワイヤー。
【請求項6】
前記ナノワイヤーは5μm以上の長さを有する、請求項1に記載のナノワイヤー。
【請求項7】
前記ナノワイヤーは、粒子連結状を有し、前記ナノワイヤー1本における直径の最大値をA(nm)、最小値をB(nm)とした場合に、1.1以上のA/B値を有する、請求項1に記載のナノワイヤー。
【請求項8】
ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した、複数のニッケルナノワイヤーであって、
ICP-AES法により測定した前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率が10~95質量%であり、前記ナノワイヤー中の銀の質量比率が5~90質量%である、複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項9】
前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率は50~90質量%であり、
前記ナノワイヤー中の銀の質量比率は10~40質量%である、請求項8に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項10】
前記ナノワイヤーは、主成分が銀である表面層を有する、請求項8に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項11】
前記ナノワイヤーは、前記表面層に覆われた内部をさらに有し、
前記表面層において銀の質量比率は50質量%超であり、
前記内部においてニッケルの質量比率は90質量%以上である、請求項10に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項12】
前記ナノワイヤーは1.0×10-4Ω・cm以下の体積抵抗率を有する、請求項8に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項13】
前記ナノワイヤーは5μm以上の平均長を有する、請求項8に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項14】
前記ナノワイヤーは、粒子連結状を有し、前記ナノワイヤー1本における直径の最大値をA(nm)、最小値をB(nm)とした場合に、1.1以上のA/B平均値を有する、請求項8に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
【請求項15】
請求項8~14のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーを含むインク。
【請求項16】
請求項8~14のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法であって、
ニッケルナノワイヤーを作製したのち、該ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルを銀で置換する、複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法。
【請求項17】
前記ニッケルナノワイヤーを、銀イオンを含む水溶液と混合することより、前記ニッケルナノワイヤー表面のニッケルを銀で置換する、請求項16に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀ニッケルナノワイヤー(特にニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤー)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜等の導電材料や電磁吸収材料として、ナノワイヤーを用いることが検討されている。ナノワイヤーとしては、銀ナノワイヤー、銅ナノワイヤー、ニッケルナノワイヤー(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
銀ナノワイヤーは、イオンマイグレーションが起こりやすいという問題点がある。銅ナノワイヤーは、インク中のナノワイヤーの分散性が悪いという問題点がある。ニッケルナノワイヤーは、透明導電膜等の導電材料や電磁吸収材料に用いるには、さらなる導電性の向上が求められている。
【0005】
本発明は、前記の問題点を解決しようとするものであり、イオンマイグレーションが起こりにくく、インク中のナノワイヤーの分散性および大気環境下でのナノワイヤーの安定性(耐酸化性)に優れ、加えて導電性にも優れたナノワイヤーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルを銀で置換することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
本発明の要旨は、以下の通りである。
<1> ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した、1本の銀ニッケルナノワイヤーであって、
ICP-AES法により測定した前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率が10~95質量%であり、前記ナノワイヤー中の銀の質量比率が5~90質量%である、銀ニッケルナノワイヤー。
<2> 前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率は50~90質量%であり、
前記ナノワイヤー中の銀の質量比率は10~40質量%である、<1>に記載のナノワイヤー。
<3> 前記ナノワイヤーは、主成分が銀である表面層を有する、<1>または<2>に記載のナノワイヤー。
<4> 前記ナノワイヤーは、前記表面層に覆われた内部をさらに有し、
前記表面層において銀の質量比率は50質量%超であり、
前記内部においてニッケルの質量比率は90質量%以上である、<3>に記載のナノワイヤー。
<5> 前記ナノワイヤーは1.0×10-4Ω・cm以下の体積抵抗率を有する、<1>~<4>のいずれかに記載のナノワイヤー。
<6> 前記ナノワイヤーは5μm以上の長さを有する、<1>~<5>のいずれかに記載のナノワイヤー。
<7> 前記ナノワイヤーは、粒子連結状を有し、前記ナノワイヤー1本における直径の最大値をA(nm)、最小値をB(nm)とした場合に、1.1以上のA/B値を有する、<1>~<6>のいずれかに記載のナノワイヤー。
<8> ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した、複数のニッケルナノワイヤーであって、
ICP-AES法により測定した前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率が10~95質量%であり、前記ナノワイヤー中の銀の質量比率が5~90質量%である、複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<9> 前記ナノワイヤー中のニッケルの質量比率は50~90質量%であり、
前記ナノワイヤー中の銀の質量比率は10~40質量%である、<8>に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<10> 前記ナノワイヤーは、主成分が銀である表面層を有する、<8>または<9>に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<11> 前記ナノワイヤーは、前記表面層に覆われた内部をさらに有し、
前記表面層において銀の質量比率は50質量%超であり、
前記内部においてニッケルの質量比率は90質量%以上である、<10>に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<12> 前記ナノワイヤーは1.0×10-4Ω・cm以下の体積抵抗率を有する、<8>~<11>のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<13> 前記ナノワイヤーは5μm以上の平均長を有する、<8>~<12>のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<14> 前記ナノワイヤーは、粒子連結状を有し、前記ナノワイヤー1本における直径の最大値をA(nm)、最小値をB(nm)とした場合に、1.1以上のA/B平均値を有する、<8>~<13>のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤー。
<15> <8>~<14>のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーを含むインク。
<16> <8>~<14>のいずれかに記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法であって、
ニッケルナノワイヤーを作製したのち、該ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルを銀で置換する、複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法。
<17> 前記ニッケルナノワイヤーを、銀イオンを含む水溶液と混合することより、前記ニッケルナノワイヤー表面のニッケルを銀で置換する、<16>に記載の複数の銀ニッケルナノワイヤーの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、イオンマイグレーションが起こりにくく、インク中のナノワイヤーの分散性と大気環境下でのナノワイヤーの安定性に優れ、加えて導電性にも優れたナノワイヤーを提供することができる。
本発明のニッケルナノワイヤーは、透明導電膜等の導電材料や熱伝導性材料として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1で得られた銀ニッケルナノワイヤーのSEM写真を示す。
【
図2】実施例1で得られた銀ニッケルナノワイヤーのSEM写真におけるNi原子の存在分布を示すEDSマッピング像である。
【
図3】実施例1で得られた銀ニッケルナノワイヤーのSEM写真におけるAg原子の存在分布を示すEDSマッピング像である。
【
図4】本発明に係る銀ニッケルナノワイヤーの一例の模式的断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ナノワイヤー]
本発明はナノワイヤーを提供する。本発明のナノワイヤーは1本のナノワイヤーであってもよいし、または複数のナノワイヤーであってもよい。以下、本発明のナノワイヤーが1本のナノワイヤーである場合について説明するが、特記しない限り、1本のナノワイヤーについての説明は複数のナノワイヤーの説明に準用・適用できるものとする。
【0011】
本発明のナノワイヤーはニッケルと銀から構成されるナノワイヤーである。本発明は、詳しくは、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケル(原子)を銀(原子)で置換した、ナノワイヤーを提供するものであり、結果として、銀ニッケルナノワイヤーを提供する。本発明は、より詳しくは、ニッケルナノワイヤーの表面にニッケル(原子)と銀(原子)を配した、ナノワイヤーを提供するものであり、結果として、銀ニッケルナノワイヤーを提供する。鉄ニッケルナノワイヤーの一部のニッケル(原子)をさらに銀(原子)で置換しても、十分な導電性は得られない。
【0012】
本発明のナノワイヤーにおいて、ICP-AES法により測定したナノワイヤー中のニッケルの質量比率は、10~95質量%とすることが必要であり、イオンマイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上ならびに製造の容易さの観点から、好ましくは20~90質量%であり、より好ましくは30~90質量%、さらに好ましくは50~90質量%、十分に好ましくは60~90質量%、より十分に好ましくは70~85質量%である。一方、ICP-AES法により測定したナノワイヤー中の銀の質量比率は、5~90質量%とすることが必要であり、イオンマイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上ならびに製造の容易さの観点から、好ましくは10~80質量%であり、より好ましくは10~70質量%、さらに好ましくは10~50質量%、十分に好ましくは10~40質量%、より十分に好ましくは15~30質量%である。銀の質量比率が60質量%以上とすることでナノワイヤーの色が黒から灰色(銀色)に変化するため、着色等が可能になる。ニッケルの質量比率が多すぎる場合、または銀の前記質量比率が少なすぎる場合、導電性が十分に向上しないので好ましくない。一方、ニッケルの質量比率が少なすぎる場合、銀の質量比率が多すぎる場合、イオンマイグレーションを抑制できないので好ましくない。
【0013】
イオンマイグレーション耐性とは、金属間に電圧を印加しても、金属間の絶縁空間を金属が移行し難い特性のことである。通常はプリント基板配線に長時間電圧を印加して評価する。本発明では、その加速試験として、希薄電解液浸漬法にて実施している。
分散性は、ナノワイヤーを液体と混合し分散液化できるかの評価である。本発明では、液体と混合した際、ナノワイヤーの特性を維持したまま、分散できるかをナノワイヤーから溶出する金属イオンの量で評価する。ナノワイヤーから溶出する金属イオンの量が多いと、金属としての特性を維持できないだけでなく、ナノワイヤーの形状を維持できない場合がある。
安定性は、ナノワイヤーの安定性であって、ナノワイヤーを大気環境下、100℃で6時間の熱処理に供しても、ナノワイヤー(特に当該ナノワイヤーを構成する金属原子)が酸化され難い特性のことである。
導電性は、ナノワイヤーの導電性であって、ナノワイヤーの体積抵抗率がより低い特性のことである。
【0014】
ナノワイヤー中の銀の質量比率およびニッケルの質量比率はナノワイヤー全体に対する比率である。詳しくは、ナノワイヤー中の銀およびニッケルの質量比率はそれぞれ、ナノワイヤーを構成する原子全量に対する銀およびニッケルの含有比率のことである。ナノワイヤー中のニッケルおよび銀の質量比率の合計は通常、50質量%以上、特に70質量%以上であり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である。
【0015】
ナノワイヤー中の銀およびニッケルの質量比率は、複数のナノワイヤーを希塩酸希硝酸混合溶液に溶解し、ICP-AES法により、Ag、Ni、Cu標準液を用いて検量線法により、測定された値を用いている。
【0016】
本発明のナノワイヤーは、ニッケルナノワイヤー表面のニッケル(原子)を銀(原子)で置換してなるので、結果として、コアにニッケルを配し、かつ、表面(または表面層)にニッケルと銀(またはそれらの混合物)を配してなっている。コアとは、表面層に覆われた部分のことであり、「内部」とも称され得る。コアにニッケルを配し、かつ、表面(または表面層)にニッケルと銀(またはそれらの混合物)を配することにより、ナノワイヤー間の接触抵抗を低減し、導電性を向上させることができるとともに、マイグレーション耐性、分散性および安定性を向上させることができる。ニッケルと銀を含む表面層は、コア(または当該コアのニッケル)の表面を完全に被覆してもよいし、または部分的に被覆してもよい。
【0017】
本発明において、表面層は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、断面視において、コア(内部)をほぼ完全に被覆していることが好ましい。このとき、断面視は、ナノワイヤーの長手方向に対して垂直または平行な断面視等のような、あらゆる方向の断面視であってもよい。詳しくは、表面層は、いずれか1つの任意方向の断面視(例えばナノワイヤーの長手方向に対して垂直な断面視)において、コア(内部)を完全(ほぼ完全)に被覆していることが好ましい。なお、表面層がコア(内部)の表面を「部分的」に被覆するとは、コア表面における表面層の被覆状態について、例えば、ナノワイヤーの長手方向に対して垂直な断面視において、表面層がコア外周の50%以上を被覆している状態であってもよい。
【0018】
本発明のナノワイヤーにおけるニッケル(原子)と銀(原子)の状態(または配置)は、SEMやTEMのEDSによるマッピングを行うことにより把握できる。例えば、本発明の銀ニッケルナノワイヤーの一例のSEM写真を
図1に示す。また例えば、
図1で示す銀ニッケルナノワイヤーのSEM写真におけるNi原子およびAg原子それぞれの存在分布を示すEDSマッピング像を
図2および
図3に示す。
図1より、本発明のナノワイヤーにおいて表面層と内部とが明確に区別され得ることが明らかである。
図2および
図3より、内部(コア)にニッケルが配され、表面層にニッケルと銀(またはそれらの混合物)が配されていることが明らかである。
図1、
図2および
図3に示すように、内部(コア)の一部のニッケルも銀で置換されていてもよい。なお、
図1のSEM写真は、本発明に係る銀ニッケルナノワイヤーの長手方向に対して垂直な断面視写真である。
【0019】
本発明のナノワイヤーは、例えば
図4に示すように、後で詳述する粒子連結形状を有しつつ、銀を含む表面層11および当該表面層11に覆われ、かつニッケルを含む内部(すなわち上記コア)12を有する。本発明のナノワイヤー1においては通常、内部(コア)12自体が、
図4に示すように、後述の粒子連結形状を有している。
図4は、本発明に係る銀ニッケルナノワイヤーの一例の長手方向に対して平行な断面模式図を示す。
【0020】
本発明のナノワイヤーは、内部にニッケルを配し、かつ、表面に銀を主成分としたニッケルと銀(またはそれらの混合物)を配することが好ましい。コアにニッケルを配し、かつ、表面(または表面層)に銀を主成分としたニッケルと銀(またはそれらの混合物)を配することにより、ナノワイヤー間の接触抵抗を低減し、導電性をより一層、向上させることができるとともに、マイグレーション耐性、分散性および安定性をより一層、向上させることができる。ニッケルと銀を含む表面層は、コア(または当該コアのニッケル)の表面を完全に被覆してもよいし、または部分的に被覆してもよい。
【0021】
表面層は、詳しくは、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、上記ように、主成分が銀であることが好ましい。主成分が銀であるとは、表面層における銀の質量比率が50質量%超、特に60質量%以上であることをいう。表面層における銀の質量比率は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。表面層における銀の質量比率の上限値は特に限定されず、表面層における銀の質量比率は通常、100質量%以下、特に95質量%以下である。
【0022】
表面層におけるニッケルの質量比率は通常、50質量%未満、特に40質量%以下であり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。表面層におけるニッケルの質量比率の下限値は特に限定されず、表面層におけるニッケルの質量比率は通常、0質量%以上、特に5質量%以上である。
【0023】
表面層において、銀の質量比率からニッケルの質量比率を減じた値は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上であり、十分に好ましくは70質量%以上であり、より十分に好ましくは80質量%以上である。
【0024】
表面層における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は、ナノワイヤー断面において表面から3nmの距離にある任意の5点のSEM-EDSによる元素分析により得られた値の平均値を用いている。ナノワイヤー断面は、ナノワイヤーの長手方向に対して垂直または平行な断面等のあらゆる方向の断面であってもよい。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、表面層における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0025】
表面層における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は測定点における原子全量に対する比率である。詳しくは、表面層における銀およびニッケルの質量比率はそれぞれ、測定点(または測定領域)に含まれる原子全量に対する銀およびニッケルの含有比率のことである。表面層におけるニッケルおよび銀の質量比率の合計は通常、50質量%以上、特に70質量%以上であり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、表面層におけるニッケルおよび銀の質量比率の合計は、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0026】
表面層は通常、5~20nm、特に6~15nmの厚みを有している。表面層の厚みは、SEM画像における任意の5点での平均値を用いている。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、表面層の厚みは、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0027】
内部におけるニッケルの質量比率は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、十分に好ましくは95質量%以上であり、より十分に好ましくは98質量%以上であり、最も好ましくは100質量%である。内部におけるニッケルの質量比率の上限値は特に限定されず、内部におけるニッケルの質量比率は通常、100質量%以下である。
【0028】
内部における銀の質量比率は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下であり、十分に好ましくは5質量%以下であり、より十分に好ましくは2質量%以下であり、最も好ましくは0質量%以下である。内部における銀の質量比率の下限値は特に限定されず、内部における銀の質量比率は通常、0質量%以上である。
【0029】
内部における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は、ナノワイヤー断面において中心から3nmの距離にある領域(中心部)の任意の5点のSEM-EDSによる元素分析により得られた値の平均値を用いている。なお、中心とは、等質の材料(例えば、紙)を当該断面領域の形状に基づく輪郭で切り取り、均衡をとって点で支えたときの点(すなわち重心)のことである。ナノワイヤー断面は、ナノワイヤーの長手方向に対して垂直または平行な断面等のあらゆる方向の断面であってもよい。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、内部における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0030】
内部における銀の質量比率およびニッケルの質量比率は測定点における原子全量に対する比率である。詳しくは、内部における銀およびニッケルの質量比率はそれぞれ、測定点(または測定領域)に含まれる原子全量に対する銀およびニッケルの含有比率のことである。内部におけるニッケルおよび銀の質量比率の合計は通常、50質量%以上、特に70質量%以上であり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、十分に好ましくは98質量%以上、より十分に好ましくは100質量%である。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、内部におけるニッケルおよび銀の質量比率の合計は、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0031】
本発明のナノワイヤーの形状は、棒状であっても、または粒子連結状であってもよい。本発明のナノワイヤーは、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、粒子連結形状を有することが好ましい。ナノワイヤーの形状が粒子連結状の場合、特に、可視光を含む電磁波の全反射を抑制することができるので、透明導電膜の用途においてはギラツキ等を防止することができ、電波吸収材の用途においては反射ノイズを抑制することができる。
【0032】
粒子連結形状とは、換言すると、例えば
図4に示すように複数の粒子が直列かつ連続的に連結されてなる、全体として線状の形状のことである。両端の粒子はそれぞれ隣接する1つ以上の粒子と連結され、その他の各粒子は隣接する2つ以上の粒子と連結されている。このような粒子連結形状においては通常、連結部分(粒子の境界部分)で凹部を形成し、粒子部分で凸部を形成し、粒子の連結方向(ナノワイヤーの長手方向)において凹部と凸部とが連続的に繰り返されている。本発明のナノワイヤーが粒子連結形状を有する場合、本発明のナノワイヤーは、厳密かつ明確に上記のような粒子連結形状を有さなければならないというわけではなく、ナノワイヤーの長手方向において凹部と凸部とが連続的に繰り返されて、後述のような特定の凹凸の関係を有していればよい。
【0033】
本発明のナノワイヤーが粒子連結形状を有する場合、本発明のナノワイヤーを構成する各粒子は略球形状を有する。略球形状とは円形断面を有する球形状だけでなく、三角形以上の多角形、楕円形またはそれらの複合形状の断面を有する立体形状を包含して意味するものとする。
【0034】
本発明のナノワイヤーが粒子連結形状を有する場合、本発明のナノワイヤーは特定の凹凸の関係を有する。詳しくは、本発明のナノワイヤーは、
図4に示すように、ナノワイヤー1本における直径の最大値をA(nm)、最小値をB(nm)とした場合に、A/B値は、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、1.1以上であることが好ましく、より好ましくは1.3以上であり、さらに好ましくは1.5以上であり、十分に好ましくは1.6以上である。A/B値の上限値は特に限定されず、A/B値は通常、10以下であり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下であり、さらに好ましくは4以下であり、十分に好ましくは3以下であり、より十分に好ましくは2以下である。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、A/B値は、任意の100本のナノワイヤーについてのA/B値の平均値である。
【0035】
本発明のナノワイヤーにおいて、直径の最大値Aは通常、50~500nm、特に50~400nmであり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは50~300nm、より好ましくは60~200nm、さらに好ましくは80~200nm、最も好ましくは100~150nmである。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、最大値Aは、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0036】
本発明のナノワイヤーにおいて、直径の最小値Bは通常、10~200nm、特に20~200nmであり、マイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性のさらなる向上の観点から、好ましくは30~150nm、より好ましくは30~90nm、さらに好ましくは40~90nmである。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、最小値Bは、任意の100本のナノワイヤーについての平均値である。
【0037】
本発明において直径は、ナノワイヤーの長手方向に対する垂直断面における直径を意味し、直径の最大値および最小値はナノワイヤーのTEM画像において読み取ることができる。本発明のナノワイヤーは、1本のナノワイヤーにおいて端部ではないところで直径の最大値Aを提供する。端部とはナノワイヤーの端から100nm以内のところである。
【0038】
本発明のナノワイヤーの平均径は、製法上50nm以上となる。前記平均径は、300nm以下とすることが好ましく、インクが作製しやすいため、75~200nmとすることがより好ましい。
【0039】
平均径は、本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合において、SEM写真において任意の10視野の各々における任意の10点(合計100点)での直径の平均値である。
【0040】
本発明のナノワイヤーの長さは、5μm以上とすることが好ましい。特に透明導電膜の用途で用いる場合、少ない目付量で導電パスを作製するため、10μm以上とすることがより好ましく、15μm以上とすることがさらに好ましく、20μm以上とすることが十分に好ましい。一方、本発明のナノワイヤーの長さは、50μm以下とすることが好ましく、分散時の切断等を抑制するため、30μm以下とすることがより好ましい。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、長さは、SEM写真において任意の10視野の各々における任意の10点(合計100点)での長さの平均値(平均長)である。
【0041】
本発明のナノワイヤーのアスペクト比(長さ/直径)は、50以上とすることが好ましく、100以上とすることがより好ましい。特に透明導電膜のような透明性を求める用途に用いる場合、アスペクト比は大きい方が好ましい。アスペクト比の上限値は特に限定されず、アスペクト比は通常、1000以下、特に500以下であってもよい。アスペクト比を算出する際の直径は最大値Aと最小値Bの平均値を用いている。本発明のナノワイヤーが複数のナノワイヤーである場合、アスペクト比は、平均長/平均径で算出される値である。
【0042】
ナノワイヤーのイオンマイグレーション耐性は、後述するイオンマイグレーション耐性の評価方法に記載の方法で析出量を測定することにより評価することができる。前記析出量は少ない方が好ましく、具体的には、10ppm以下であることが好ましく、7ppm以下であることがより好ましく、6ppm以下であることがさらに好ましい。前記前記析出量が10ppm以下であれば、実用上問題ないと判断できる。
【0043】
インク中のナノワイヤーの分散性は、後述するインク中のナノワイヤーの分散性の評価方法に記載の方法により、インクからナノワイヤーを除去した上澄み液の金属イオン量を測定することで評価することができる。前記金属イオン量は、小さい方が好ましく、具体的には、0.300ppm以下であることが好ましく、0.100ppm以下であることがより好ましく、0.050ppm以下であることがさらに好ましく、0.010ppm以下であることが十分に好ましい。前記金属イオン量が0.300ppm以下であれば、ナノワイヤーの劣化を抑制できる。
【0044】
ナノワイヤーの導電性は、後述する体積抵抗率の評価方法に記載の方法で成形体を作製し、その成形体の体積抵抗率を測定することにより評価することができる。前記体積抵抗率は、小さい方が好ましく、具体的には、1.0×10-3Ω・cm以下であることが好ましく、1.0×10-4Ω・cm以下であることがより好ましく、7.0×10-5Ω・cm以下であることがさらに好ましく、5.0×10-5Ω・cm以下であることが十分に好ましい。前記導電性が1.0×10-3Ω・cm以下(特に1.0×10-4Ω・cm以下)であれば、銀ナノワイヤーで使用される用途で同等品として用いることができる。
【0045】
[ナノワイヤーの製造方法]
本発明のナノワイヤーの製造方法は特に限定されるものではないが、工業的に利用しやすいことから、ニッケルナノワイヤーを作製したのち、一部のニッケルを銀で置換する方法が好ましい。本発明のナノワイヤーの製造方法は複数のナノワイヤーの製造方法を提供する。
【0046】
ニッケルナノワイヤーは、磁場中でニッケルイオンを還元させて作製することができる。具体的には、ニッケル塩を溶媒に溶解した後、磁場中で還元剤を用いてニッケルイオンを還元することにより作製することができる。
【0047】
ニッケル塩としては、例えば、塩化ニッケル、硫酸ニッケルが挙げられる。ニッケル塩は、水和物であってもよい。
【0048】
溶媒中のニッケル塩は、10~100mmol/kg(特に30~60mmol/kg)の濃度で還元することが好ましい。前記濃度が10mmol/kg未満の場合、生成効率が悪くなる場合があり、前記濃度が100mmol/kgを超える場合、得られるナノワイヤーが凝集し分散性が不良となる場合がある。上記ニッケル塩の濃度は磁場を印加して撹拌するときの反応溶液での濃度である。
【0049】
溶媒は、沸点が80℃以上で極性の高い溶媒が好ましく、エチレングリコールやプロピレングリコール等のポリオール、水がより好ましい。
【0050】
還元剤は、還元電位やナノワイヤー作製後の溶媒の除去の観点から、ヒドラジン一水和物を用いることが好ましい。ホウ素系やリン系の還元剤を用いた場合、ホウ素やリンが金属に取り込まれナノワイヤーが得られない場合がある。還元剤は、ニッケル塩に対して1.1モル比以上添加することが好ましい。還元剤の濃度としては、25~150mmol/kg(特に30~70mmol/kg)とすることが好ましい。還元剤の濃度が25mmol/kg未満の場合、ニッケルイオンが還元せず、収率が著しく低下する場合がある。一方、還元剤の濃度が150mmol/kgを超える場合、還元効率が飽和する。上記還元剤の濃度は磁場を印加して撹拌するときの反応溶液での濃度である。
【0051】
ニッケルイオンを還元する際、ニッケル塩と還元剤以外に、水酸化ナトリウムとアンモニアを添加することが必要である。水酸化ナトリウムを添加することにより、反応溶液をアルカリ性とし、還元反応を促進させることができる。一方、水酸化ナトリウムは一部のニッケルイオンと反応し水酸化ニッケルを形成し、収率および精製の効率を低下させる。本発明においては、収率および精製効率の低下を抑制するため、アンモニアを用いることが必要である。アンモニアを用いることによりアンミン錯体が形成され水酸化ニッケルを溶解することができる。水酸化ナトリウムは、反応溶液のpHが11~13になるように添加することが好ましく、アンモニアは、反応溶液中で0.5~5質量%(特に0.8~3質量%)になるように添加することが好ましい。
【0052】
水酸化ナトリウムを添加して反応溶液のpHを11~13とすることで、ナノワイヤー形成後、すぐに表面に不働態層が形成させることができる。この不働態層により、後述する銀の形成を制御することができる。
【0053】
ナノワイヤーを作製する際、錯形成剤として、クエン酸三ナトリウムを、ニッケル塩に対して5~20モル比添加することが好ましい。
【0054】
還元反応は、85~95℃(特に90~95℃)でおこなうことが好ましい。還元反応の温度が85℃よりも低い場合、反応に時間がかかり、前記温度が95℃よりも高い場合、ナノワイヤーが生成されない場合がある。還元反応を85~95℃でおこなうことにより、ナノワイヤーは5~15分で得ることができる。
【0055】
還元反応中、磁場を印加する。磁場の印加は磁気回路等でおこなうことができ、50~150mT(特に100~150mT)程度の磁場をかければよい。
【0056】
得られたニッケルナノワイヤーは精製し、ニッケルの純度を90質量%以上とすることが好ましい。精製後のナノワイヤーのニッケルの純度が90質量%未満である場合、使用時にナノワイヤーに含まれる不純物の溶出などが起こる場合がある。
【0057】
精製したニッケルナノワイヤーを0.1~1.0質量%程度の濃度で、銀イオンを含む水溶液と混合することより、ナノワイヤー表面のニッケルを置換しながら銀を析出させることができる。ニッケルは銀よりも還元電位が小さいため、通常、ナノワイヤーのような細いものはすぐに置換され、ニッケルナノワイヤーは銀ナノワイヤーとなる。しかしながら、本発明では、ニッケルナノワイヤーの形成時に水酸化ナトリウムとアンモニア水を用いることでニッケルナノワイヤーの表面に不働態層を緻密に形成させることができ、ニッケルから銀への置換速度や置換率を制御することができる。そのため、本発明においては、コアにニッケル、表面にニッケルと銀の混合物を配したナノワイヤーを作製することができ、ナノワイヤー間の接触抵抗を低減し、導電性に優れたナノワイヤーを得ることができる。
【0058】
銀イオンを含む水溶液は、銀含有化合物を水に溶解させることにより得ることができる。銀含有化合物は、水への溶解により銀イオンを提供できる化合物であれば特に限定されず、例えば、硝酸銀、亜硝酸銀、酢酸銀等が挙げられる。反応溶液中の銀含有化合物の溶解量は、特に限定されず、例えば、0.1~5.0質量%、特に0.1~2.0質量%であってもよい。
【0059】
ニッケルナノワイヤーと銀イオンを含む水溶液との混合後は通常、1~60分間(特に3~40分間)撹拌する。
【0060】
本発明のナノワイヤー中の銀の量は、例えば、反応溶液中の銀含有化合物の溶解量、ならびにニッケルナノワイヤーと銀イオンを含む水溶液との撹拌時間を調整することにより制御できる。例えば、当該溶解量が多いほど、または当該撹拌時間が長いほど、ナノワイヤー中の銀の量は増加する。また例えば、当該溶解量が少ないほど、または当該撹拌時間が短いほど、ナノワイヤー中の銀の量は低減する。
【0061】
ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルを銀に置換したあと、ナノワイヤーはフィルター等で精製することが好ましい。
【0062】
精製後、バインダー、増粘剤、レベリング剤、溶剤等の各種材料と混合することにより導電性インクや放熱性インクとすることができる。
【0063】
本発明のナノワイヤーは、透明導電膜等の導電材料や熱伝導材料として好適に用いることができる。
【実施例0064】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0065】
A.各種評価
(1)ナノワイヤーの金属比率
乾燥したナノワイヤー(任意の複数のナノワイヤー約50mg)を希塩酸希硝酸混合溶液に溶解し、ICP-AES法により、Ag、Ni、Cu標準液を用いて検量線法により、Ni、Ag、Cuの含有量を定量した。
【0066】
(2)ナノワイヤーの平均長、平均径、アスペクト比
乾燥したナノワイヤーを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察しやすい倍率で撮影した。任意の10視野について、各視野中における任意の10点において、ナノワイヤーの長さ、径を測定し、アスペクト比を算出し(合計100点)、長さ、径、アスペクト比それぞれの平均値を算出した。
【0067】
(3)ナノワイヤーの形状
乾燥したナノワイヤーを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察しやすい倍率で撮影し、棒状か粒子連結状かを判断した。
ナノワイヤー1本における径の最大値と最小値を任意の100本について測定し、最大値/最小値を求め、その平均値を算出した。また最大値の平均値を算出した。
【0068】
(4)ナノワイヤーの断面の元素分析
乾燥したナノワイヤー1gをエポキシ接着剤10gと混合し、硬化後切削したナノワイヤーの断面をSEM-EDSで元素分布をマッピングした。詳しくは、任意の100本のナノワイヤーの各々について、以下の測定を行った。マッピング図の各元素の濃淡から表面層(表面から3nmに光線をあてる)と内部(中心部に光線をあてる)の主金属元素を決定した。また、表面層および内部の各々において任意の5点の元素分析により、銀の質量比(平均値)およびニッケルの質量比(平均値)を算出した。それらの結果より、任意の100本のナノワイヤーについての平均値を求めた。
【0069】
(5)イオンマイグレーション耐性
ナノワイヤー150mgとレオコートSP-5F032(固形分30%)100mgを混合(ナノワイヤー:アクリル系ポリマー=固形分比5:1)、乾燥してシートを作製した。シートを直径6mmに円状に打ち抜き、片面に金配線を取り付け、ナノワイヤー電極を作製した。
クォーツクリスタルマイクロバランス装置にはセイコー社製EG&G製QCA922、ポテンショスタッドにはECstat-301を用いて、金蒸着した水晶子を作用電極、ナノワイヤー電極を対極、Ag/AgClを参照電極として、水晶子とナノワイヤー電極の間を1mmに設定し、0.1M過塩素酸テトラエチルアンモニウム水溶液中で、25℃の環境にて、-1Vの電圧を印加し、水晶子への金属の移動をモニターした。印加1500秒の対極から作用電極への金属移動量から、下記の式によりイオンマイグレーション析出量を算出した。
イオンマイグレーション析出量=金属移動量/直径6mm径×100μm厚中のナノワイヤーの質量
また、以下の評価を行った。
◎:6ppm以下=最良;
○:6ppm超7ppm以下=良好;
△:7ppm超10ppm以下=使用可(実用上問題なし);
×:10ppm超=多湿、高電圧での使用不可(実用上問題あり)。
【0070】
(6)インク中でのナノワイヤーの分散性
イソプロパノール中において、ナノワイヤーの濃度を0.5質量%に調整したインクを作製し、3日間保管した。その後、上澄み液を回収し、フィルターを用いてナノワイヤーを除去し、上澄み液中のナノワイヤーから溶出した金属イオン量をICP-AES法にて定量し、以下のように評価した。
◎:0.010ppm以下=金属が少なく、液中で安定である(最良);
○:0.010ppm超0.100ppm以下=良好;
△:0.100ppm超0.300ppm以下=実用上問題なし;
×:0.300ppm超=金属の溶出が起きており使用不可(実用上問題あり)。
【0071】
(7)ナノワイヤーの体積抵抗率(導電性)
ナノワイヤー(任意の複数のナノワイヤー)1gを吸引ろ過によりシート状に圧縮し、室温かつ真空下で乾燥して作製した不織布の体積抵抗率をロレスタMCP-T610で測定した。
◎:5×10-5以下=最良な体積抵抗率;
○:5×10-5超1×10-4以下=良好な体積抵抗率;
△:1×10-4超1×10-3以下=実用上問題なし;
×:1×10-3超=高い体積抵抗率であり、用途がかなり限定される(実用上問題あり)。
【0072】
(8)ナノワイヤーの大気環境下での安定性(耐酸化性)
大気環境下で100℃6時間熱処理後のナノワイヤー(任意の複数のナノワイヤー)約50mgを希塩酸希硝酸混合溶液に溶解し、ICP-AES法により、Ag、Ni、Cu標準液を用いて検量線法により、Ni、Ag、Cuの合計含有量を定量し、処理前後での変化率を算出し、以下のように評価した。
◎;0.8%未満=最良;
○:0.8%以上1%未満=良好;
△:1%以上1.2%未満=実用上問題なし;
×:1.2%以上=実用上問題あり。
【0073】
(9)総合評価
イオンマイグレーション耐性、分散性、安定性および導電性の評価結果のうち、最も悪い評価結果を総合評価の結果として採用した。
【0074】
実施例1
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。反応溶液中、ニッケル塩の濃度は42.1mmol/kgであり、還元剤の濃度は49.9mmol/kgであった。反応溶液のpHは12であり、反応溶液中でのアンモニアの添加量は1.54質量%であった。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように0.4質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、5分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0075】
実施例2
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。反応溶液中、ニッケル塩の濃度は42.1mmol/kgであり、還元剤の濃度は49.9mmol/kgであった。反応溶液のpHは12であり、反応溶液中でのアンモニアの添加量は1.54質量%であった。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように1.0質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、5分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0076】
実施例3
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。反応溶液中、ニッケル塩の濃度は42.1mmol/kgであり、還元剤の濃度は49.9mol/kgであった。反応溶液のpHは12であり、反応溶液中でのアンモニアの添加量は1.54質量%であった。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように1.0質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、30分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0077】
実施例4
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。反応溶液中、ニッケル塩の濃度は42.1mmol/kgであり、還元剤の濃度は49.9mol/kgであった。反応溶液のpHは12であり、反応溶液中でのアンモニアの添加量は1.54質量%であった。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように0.3質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、10分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0078】
比較例1
Sigma-Aldrich社製銀ナノワイヤー分散液を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水、メタノールでそれぞれ3回ずつ洗浄し、銀ナノワイヤーを得た。
【0079】
比較例2
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
【0080】
比較例3
水酸化ナトリウム108.0質量部(2.7モル部)、硝酸銅三水和物0.15質量部(0.00062モル部)、エチレンジアミン0.81質量部(0.0135モル部)を水に溶解し、295質量部に調整した。
この液に、4.4%アスコルビン酸水溶液1.2質量部(0.0003モル部)を添加し、70℃で15分間加熱攪拌した。そのあと、さらに、4.4%アスコルビン酸水溶液4.8質量部(0.0012モル部)を添加し、70℃で15分間加熱攪拌をおこなった。
その後、析出した固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄して銅ナノワイヤーを得た。
【0081】
比較例4
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように1.0質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、5時間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0082】
比較例5
塩化ニッケル六水和物10.0質量部(0.0421モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄してニッケルナノワイヤーを得た。
得られたニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように0.1質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、5分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0083】
比較例6
塩化ニッケル六水和物6.48質量部(0.0273モル部)、硝酸銀2.52質量部(0.0148モル部)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.935質量部(0.00318モル部)をエチレングリコールに溶解し、500質量部に調製した。
水酸化ナトリウム2.50質量部(0.0625モル部)をエチレングリコールに溶解し、442質量部に調製した。
2つの液を混合し、中心磁場が130mTの磁気回路に入れ、28%アンモニア水55.0質量部(0.904モル部)、ヒドラジン一水和物2.50質量部(0.0499モル部)の順で添加し、90~95℃で15分間加熱攪拌した。
その後、磁場の印加を停止し、生じた黒色の固体を、商品名「T100A090C」(アドバンテック社製)のPTFE製フィルターを用いてろ過し、水で3回洗浄して銀ニッケルナノワイヤーを得た。
得られた銀ニッケルナノワイヤーが0.5質量%になるように0.3質量%硝酸銀水溶液に混ぜ、10分間撹拌した。
その後、再度フィルターで回収し、水で3回洗浄して、銀ニッケルナノワイヤーの一部のニッケルが銀で置換されている銀ニッケルナノワイヤーを得た。
【0084】
得られたナノワイヤーの特性値およびその評価を表1に示す。
【0085】
【0086】
実施例1~4のナノワイヤーは、ニッケルナノワイヤー表面のニッケルを銀で置換したものであるので、ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配したナノワイヤー(すなわち銀ニッケルナノワイヤー)である。このような銀ニッケルナノワイヤーは、以下の特性を有していた:
・イオンマイグレーション析出量が少なくイオンマイグレーション耐性に優れていた;
・インクを3日間保管後、ナノワイヤーを除去した後の上澄み液の金属イオン量が少なく、インク中のナノワイヤーの分散性に優れていた;
・大気環境下での安定性(耐酸化性)に優れていた;
・体積抵抗率が小さく導電性に優れていた。
特に実施例1は全ての評価項目が良好であり、実施例2は体積抵抗率が特に優れていた。
【0087】
比較例1の銀ナノワイヤーは、イオンマイグレーション析出量が多かった。
比較例2のニッケルナノワイヤーは、体積抵抗率が大きく、また、大気環境下での安定性が劣っていた。
比較例3の銅ナノワイヤーは、インクを3日間保管後、ナノワイヤーを除去した後の上澄み液の金属イオン量が多く、また、大気環境下での安定性が劣っていた。
比較例4は銀の量が多すぎたため、イオンマイグレーション析出量が多かった。
比較例5は銀の量が少なすぎたため、体積抵抗率が劣っていた。
比較例6のナノワイヤーは、銀ニッケルナノワイヤー表面のニッケルを銀で置換したものであるので、ニッケルナノワイヤーの表面にニッケルと銀を配した銀ニッケルナノワイヤーではない。よって、体積抵抗率が劣っていた。