(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019139
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】開封性が確保されたリサイクル可能なポリエチレン系積層包装材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20240201BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240201BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/00 H
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123010
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2022-0093700
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】515215276
【氏名又は名称】エスケー ジオ セントリック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジェ ミョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ビュン チョン
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジュ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ベク ウン ジュン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086AA23
3E086AD01
3E086AD06
3E086BA15
3E086BB90
3E086CA01
3E086CA40
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03D
4F100AK04B
4F100AK04C
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4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA21C
4F100BA21D
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA04
4F100JA04A
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4F100JD01E
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4F100JK02
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4F100JL12C
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4F100JL16
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
(57)【要約】
【課題】本開示は、開封性が確保されたリサイクル可能なポリエチレン系積層包装材およびその製造方法に関する。
【解決手段】本開示は、表面層Aおよびシーラント層Bが互いに結合した多層構造のポリエチレンフィルムCとして、前記シーラント層Bは、ポリオレフィンプラストマー層b1、高密度ポリエチレン樹脂および低密度ポリエチレン樹脂を混合した混合樹脂層b2および中密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを混合した樹脂組成物を含む組成物b3層が順に積層された層で構成された開封性が確保されたリサイクル可能なポリエチレン系積層包装材およびその製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層Aおよびシーラント層Bが互いに結合した多層構造のポリエチレンフィルムCとして、
前記表面層Aは、単層または多層構造であり、前記表面層Aの最外側層a1の融点は128℃以上であり、
前記シーラント層Bは、多層構造であり、前記シーラント層Bの最内側層の融点が103℃以下であり、
前記シーラント層Bの1つの層は、密度0.900~0.940g/cm
3のポリエチレン樹脂組成物を含む第1フィルム層b1、
前記シーラント層Bの他の1つの層として、密度0.925~0.970g/cm
3のポリエチレン樹脂組成物を含む第2フィルム層b2および前記シーラント層Bの最内側層としてはポリオレフィン樹脂を含む第3フィルム層b3が積層された層であり、
前記表面層Aの破断伸び率は、下記式1を満たし、
前記表面層Aの最外側層a1とシーラント層の最内側層b3との融点の差が下記式2を満たす、リサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
[式1]
【数1】
[式2]
25℃≦TA-TB
(前記式1中、それぞれの破断伸び率は、ASTM D-638-03に準じて測定された値であり、前記式2中、TAは、表面層Aの最外側層a1の融点であり、TBは、シーラント層Bの最内側層の融点である。)
【請求項2】
前記表面層Aは、最外側層である第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3が順に積層された層を含む、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項3】
前記表面層Aの2%割線弾性係数(secant modulus)方式で測定した弾性係数の値は、MDが12,000kg/cm2以上である、請求項2に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項4】
前記表面層Aの引裂強度値は、MD方向に3.0g/μm以下であり、前記シーラント層Bの引裂強度値は、MD方向に7.0g/μm以下である、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項5】
前記表面層Aの層の厚さは1~100μmである、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項6】
前記表面層Aは、直鎖状低密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレンのいずれか一つ以上の樹脂を含む層が1層以上さらに含まれ、前記樹脂は、2.16kgの荷重で、190℃の条件で、ASTM D1238による溶融指数が0.5~1.2g/10minである、請求項2に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項7】
前記表面層Aの単層または多層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含む、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項8】
前記表面層Aの各a1、a2およびa3層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含む、請求項2に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項9】
前記表面層Aの各層は、低密度ポリエチレンを0~30wt%さらに含む、請求項8に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項10】
前記シーラント層Bにおいて、第1フィルム層b1、第2フィルム層b2および第3フィルム層b3の厚さの比率が1:0.2~10:0.2~2である、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項11】
前記第1フィルム層b1は、低密度ポリエチレン樹脂0~50wt%未満を含む、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項12】
前記第2フィルム層b2は、低密度ポリエチレン樹脂0~50wt%未満を含む、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項13】
前記多層構造のポリエチレンフィルムCは、ドライラミネーション工法で貼り合わされる、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項14】
フィルムの全厚が30~300μmである、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項15】
前記表面層Aの各層の間または表面または前記シーラント層Bの各層の間または表面に遮断層1層以上をさらに含む、請求項1に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項16】
前記遮断層は、酸素透過遮断層を含む、請求項15に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
【請求項17】
前記第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3の密度が下記式5を満たす、請求項2に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材。
[式5]
【数2】
(前記式5中、前記M
1は、第1高密度ポリエチレン層a1の密度であり、前記M
2は、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2の密度であり、前記M
3は、第2高密度ポリエチレン層a3であり、前記密度は、ASTM D 792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/cm
3である。)
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材を含む、成形品。
【請求項19】
液状/粉末/固形物の内容物の包装のうち流通/販売過程で開封性が求められ選択される、請求項18に記載の成形品。
【請求項20】
アイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋、冷蔵食品容器、収縮フィルム、重包装フィルム、自動包装フィルム、ストレッチラップおよびバッグ(bag)から選択されるいずれか一つである、請求項19に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開封性が確保されたリサイクル可能なポリエチレン系積層包装材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材は、主に、樹脂材料で構成される樹脂フィルムにより製造されている。中でも、ポリオレフィンで構成される樹脂フィルムは、適当な柔軟性、透明性に優れることから、包装材料に広く使用されている。
【0003】
ポリオレフィンで構成される樹脂フィルムは、機械的物性および熱的物性がより優れたポリエステル、ポリアミドなどで構成される樹脂フィルムなどとポリウレタン系接着剤またはアクリル系接着剤などで接合して使用されており、したがって、通常の包装材料は、基材とヒートシール層が異種の材料からなる積層フィルムで構成されている。そのため、従来の包装材は、異種の樹脂材料を分離することが難しく、リサイクルが現実的に不可能であり、環境の面で大きな社会問題として捉えられている。
【0004】
このような問題を解決するために、リサイクル可能な包装材を実現するための技術の開発、特に、ポリオレフィン系単一材料のみからなる樹脂フィルムにより包装材を実現するための技術の開発が行われ続けている。しかし、上述のように、ポリオレフィン樹脂は、従来、基材として使用されていた樹脂に比べて機械的物性が劣るため、形成される包装材の耐久性が低下して、包装材の印刷工程で不良が発生する可能性が高く、運送および保管などの使用過程で包装材が損傷しやすい問題がある。また、ポリオレフィン樹脂は、従来、基材として使用されていた樹脂に比べて耐熱性が劣るため、包装材を形成するためのヒートシール過程で不良が発生する可能性が高く、ヒートシール性が低下する問題がある。
【0005】
そのため、ポリオレフィン系単一材料のみを使用し、且つ、密度、添加剤、組成比などの差に基づいて、相違する機械的、熱的物性を有するポリオレフィン樹脂が積層された多層構造のフィルムが開発され続けているが、優れた機械的、熱的物性を得ることは依然として難しく、費用の面でも商用化が容易でない問題があり、特に、低温でも活用可能な包装材を実現するには限界があり、改善が求められている。
【0006】
例えば、日本特開2020-037189号は、フィルム全体に対するポリオレフィンの含有量が80重量部以上である包装材料用積層フィルムについて開示しているが、低温での耐久性が低下する問題が依然として存在しており、日本登録特許6814287号は、リサイクル可能なポリエチレン単一材料積層フィルムについて開示しているが、優れた耐熱性を得ることが難しく、ヒートシール性が低下する問題が依然として存在する。
【0007】
したがって、単一材料のみからなる樹脂フィルムとして、リサイクルが容易であることから環境問題を解決することができ、且つ、従来の異種材料の貼り合わせフィルムに比べて機械的、熱的物性があまり低下せず、様々な温度範囲で優れた物性が維持されて商用化が可能であり、加工性にも優れた新規のフィルムおよび包装材の開発が求められている。
【0008】
また、包装材の場合、消費者が容易に開封することができる引裂強度を有する必要があるが、引裂強度が低すぎる場合、包装紙が裂けるか、破れるなどの問題が発生して内容物が外部に流出する可能性があり、引裂強度が高すぎると、開封が難しい問題が発生し得る。
【0009】
また、多層構造のポリエチレンフィルムで製造される包装材が低温条件で使用される場合、振動や落下などによって衝撃を受けると、フィルム面部位の裂け、破れ、ホールまたはスクラッチなどが発生し、内容物が外部に流出する問題が頻繁に発生している。
【0010】
したがって、低温条件でも機械的強度に優れ、特に、適切な引裂強度を有しており、消費者が開封しやすい多層構造のポリエチレンフィルムで製造される包装材が求められている状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】日本特開第2020-037189号(2020.03.12)
【特許文献2】日本登録特許第6814287号(2020.12.22)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示は、リサイクル可能であることから環境汚染を引き起こさず、既存の異種材料の貼り合わせフィルムおよびこれより製造された包装材に比べて機械的物性および熱的物性があまり低下せず、加工および商用化の過程で損傷を最小化することができる多層構造のポリエチレンフィルムおよびこれより製造された包装材を提供する。
【0013】
また、本開示は、消費者が開封を容易に行うことができる程度の引裂強度を有し、且つ機械的強度に優れることから、包装材の破損によって内容物が外部に流出することを防止することができる包装材を提供する。
【0014】
また、本開示は、アイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋および冷蔵食品容器などのように、低温状態で使用される成形品への活用に適する多層構造のポリエチレンフィルムおよびこれより製造された包装材を提供する。
【0015】
また、本開示は、フィルムが損傷するか、その物性が低下しない低い温度範囲内でもフィルムのヒートシール性および高速製袋加工性が非常に優れた多層構造のポリエチレンフィルムおよびこれより製造された包装材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、表面層Aおよびシーラント層Bが互いに結合した多層構造のポリエチレンフィルムCとして、前記表面層Aは、単層または多層構造であり、前記表面層Aの最外側層a1の融点は128℃以上であり、前記シーラント層Bは、多層構造であり、前記シーラント層Bの最内側層の融点が103℃以下であり、前記シーラント層Bの1つの層は、密度0.900~0.940g/cm
3のポリエチレン樹脂組成物を含む第1フィルム層b1、前記シーラント層Bの他の1つの層として、密度0.925~0.970g/cm
3のポリエチレン樹脂組成物を含む第2フィルム層b2および前記シーラント層Bの最内側層としてはポリオレフィン樹脂を含む第3フィルム層b3が積層された層であり、
前記表面層Aの破断伸び率は、下記式1を満たし、前記表面層Aの最外側層a1とシーラント層の最内側層b3との融点の差が下記式2を満たすリサイクル可能な多層構造のポリエチレンフィルム包装材を提供する。
[式1]
【数1】
[式2]
25℃≦TA-TB
(前記式1中、それぞれの破断伸び率は、ASTM D-638-03に準じて測定された値であり、前記式2中、TAは、表面層Aの最外側層a1の融点であり、TBは、シーラント層Bの最内側層の融点である。)
【0017】
本開示の一様態によって、前記表面層Aは、最外側層である第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3が順に積層された層を含むことができる。
【0018】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの2%割線弾性係数(secant modulus)方式で測定した弾性係数の値は、MDが12,000kg/cm2以上であることができる。
【0019】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの引裂強度値は、MD方向に3.0g/μm以下であり、前記シーラント層Bの引裂強度値は、MD方向に7.0g/μm以下であることができる。
【0020】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの層の厚さは1~100μmであることができる。
【0021】
本開示の一様態によって、前記表面層Aは、直鎖状低密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレンのいずれか一つ以上の樹脂を含む層が1層以上さらに含まれることができ、前記樹脂は、2.16kgの荷重で、190℃の条件で、ASTM D1238による溶融指数が0.5~1.2kg/10minであることができる。
【0022】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの単層または多層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含むことができる。
【0023】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの各a1、a2およびa3層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含むことができる。
【0024】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの各層は、低密度ポリエチレンを0~30wt%さらに含むことができる。
【0025】
本開示の一様態によって、前記シーラント層Bにおいて、第1フィルム層b1、第2フィルム層b2および第3フィルム層b3の厚さの比率が1:0.2~10:0.2~2であることができる。
【0026】
本開示の一様態によって、前記第1フィルム層b1は、低密度ポリエチレン樹脂0~50wt%未満を含むことができる。
【0027】
本開示の一様態によって、前記第2フィルム層b2は、低密度ポリエチレン樹脂0~50wt%未満を含むことができる。
【0028】
本開示の一様態によって、前記多層構造のポリエチレンフィルムCは、ドライラミネーション工法で貼り合わされることができる。
【0029】
本開示の一様態によって、前記フィルムの全厚が30~300μmであることができる。
【0030】
本開示の一様態によって、前記表面層Aの各層の間または表面または前記シーラント層Bの各層の間または表面に遮断層1層以上をさらに含むことができる。
【0031】
本開示の一様態によって、前記遮断層は、酸素透過遮断層を含むことができる。
【0032】
本開示の一様態によって、前記第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3の密度が下記式5を満たすことができる。
[式5]
【数2】
(前記式5中、前記M
1は、第1高密度ポリエチレン層a1の密度であり、前記M
2は、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2の密度であり、前記M
3は、第2高密度ポリエチレン層a3であり、前記密度は、ASTM D 792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/cm
3である。)
【0033】
本開示の一様態によって、前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材を含む成形品を提供することができる。
【0034】
本開示の一様態によって、前記成形品は、液状/粉末/固形物の内容物の包装のうち流通/販売過程で開封性が求められ選択されるものを含む。
【0035】
本開示の一様態によって、前記成形品は、アイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋、冷蔵食品容器、収縮フィルム、重包装フィルム、自動包装フィルム、ストレッチラップおよびバッグ(bag)から選択されるいずれか一つを含むことができる。
【発明の効果】
【0036】
本開示は、多層構造のポリエチレンフィルム包装材を提供しており、前記包装材は、ポリエチレン単一材料で構成されるフィルムから製造されてリサイクル可能であることから環境汚染を引き起こさない効果がある。
【0037】
また、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルム包装材は、既存の異種材料の貼り合わせフィルムおよびこれより製造された包装材に比べて機械的物性および熱的物性があまり低下せず、加工および商用化の過程で損傷を最小化することができる。
【0038】
また、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルム包装材が表面層Aおよびシーラント層Bで所定の数値範囲のMDまたはTD引裂強度数値と適切な剛性数値の値を満たすことで、消費者が開封することが容易であり、且つ包装材自体の機械的物性に優れた包装材を提供することができる。
【0039】
また、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルム包装材は、低温での耐久性に優れることから、アイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋および冷蔵食品容器などのように、低温状態で使用される成形品への活用に適することができる。
【0040】
また、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルム包装材は、フィルムが損傷するか、その物性が低下しない低い温度範囲内でも、フィルムのヒートシール性および高速製袋加工性が非常に優れることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルム包装材について詳細に説明する。
【0042】
ここで、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本開示において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本開示を制限することを意図しない。
【0043】
また、明細書で特別に記載しない添加物の単位は、重量%であることができる。
【0044】
また、明細書および添付の請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むものと意図することができる。
【0045】
以下、本の明細書で特別な定義がない限り、用語「重合体」は、単量体を重合することで製造された重合性化合物を意味し得る。具体的には、単独重合体、共重合体、三元共重合体および交互重合体などを含むことができる。前記「交互重合体」は、二つ以上の相違する単量体を重合させることで製造された重合体を意味する。したがって、交互重合体という総称は、共重合体だけでなく、三元共重合体を含むことができる。前記共重合体は、二つの相違する単量体から製造された重合体を意味し、三元共重合体は、三つの相違する単量体から製造された重合体を意味する。
【0046】
以下、本明細書で特別な定義がない限り、層、膜、薄膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるとしたときに、これは、他の部分の「すぐ上に」ある場合だけでなく、その間にさらに他の部分がある場合も含むことができる。
【0047】
本開示は、ポリエチレン単一材料を活用することからリサイクル可能であり、環境汚染を引き起こさず、既存の異種材料の貼り合わせフィルムおよびこれより製造された包装材に比べて機械的物性および熱的物性があまり低下せず、加工および商用化の過程で損傷を最小化することができ、特に、消費者が開封を容易に行うことができる程度の引裂強度を有し、且つ機械的強度に優れ、包装材の破損によって内容物が外部に流出することを防止できる包装材を提供することができる。
【0048】
本開示を具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0049】
本開示は、表面層Aおよびシーラント層Bが互いに結合した多層構造のポリエチレンフィルムCとして、前記表面層Aは、単層または多層構造であり、前記表面層Aの最外側層a1の融点は、128℃以上であり、前記シーラント層Bは、多層構造であり、前記シーラント層Bの最内側層の融点が103℃以下であり、前記シーラント層Bの1つの層は、密度0.900~0.940g/cm3のポリエチレン樹脂組成物を含む第1フィルム層b1、前記シーラント層Bのさらに他の1つの層として、密度0.925~0.970g/cm3のポリエチレン樹脂組成物を含む第2フィルム層b2および前記シーラント層Bの最内側層としては、ポリオレフィン樹脂を含む第3フィルム層b3が積層された層であり、前記表面層Aの破断伸び率は、下記式1を満たし、前記表面層Aの最外側層a1とシーラント層の最内側層b3との融点の差が下記式2を満たす多層構造のポリエチレンフィルム包装材を提供する。
【0050】
【0051】
[式2]
25℃≦TA-TB
【0052】
(前記式1中、それぞれの破断伸び率は、ASTM D-638-03に準じて測定された値であり、前記式2中、TAは、表面層Aの最外側層a1の融点であり、TBは、シーラント層Bの最内側層の融点である。)
【0053】
前記表面層Aは、前記条件を満たすことにより、従来のナイロンまたはPETなどの樹脂と類似する機械的強度を有することができ、フィルムが簡単に伸びず、易引裂(easy tear)性能に優れるという利点がある。
【0054】
前記表面層Aの多層は、2層以上、具体的には、3層以上であることができ、具体的には、前記表面層Aは、最外側層として、第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3が順に積層された層を含む構造であることができる。
【0055】
前記表面層Aが前記積層構造である場合には、伸びる過程で、単層構造より破断の発生がより少ないことができる。
【0056】
前記破断伸び率は、前記式1を満たすことができ、具体的には、下記式3を満たすことができ、具体的には、下記式4を満たすことができるが、これに制限されるものではない。
【0057】
【0058】
【0059】
前記式3~式4中、それぞれの破断伸び率は、ASTM D-638-03に準じて測定された値である。
【0060】
また、従来のポリエチレンフィルムとPETまたはナイロンフィルム層が混合された異種の複合フィルム層とは異なり、本開示は、表面層Aおよびシーラント層Bが互いに同一であるポリエチレン樹脂で構成されており、リサイクルしやすい利点がある。
【0061】
また、前記表面層Aとシーラント層Bの融点の差が前記範囲を満たすことにより、高速製袋加工性を実現することができる。
【0062】
以下、各構成について具体的に説明する。
【0063】
[表面層A]
本開示によって、前記表面層Aは、単層または多層であることができ、具体的には、多層構造であることができ、具体的には、2層以上であることができ、具体的には、3層以上であることができ、具体的には、前記表面層Aは、最外側層である第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3が順に積層された層であることができ、前記第1高密度ポリエチレン層a1は、高密度ポリエチレン樹脂を含む層であることができ、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2のうち、直鎖状低密度ポリエチレン層は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む層であることができ、中密度ポリエチレン層は、中密度ポリエチレン樹脂を含む層であることができ、第2高密度ポリエチレン層a3は、高密度ポリエチレン樹脂を含む層であることができるが、これに制限されるものではない。
【0064】
前記高密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.941~0.965g/cm3である樹脂であり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、密度が0.910~0.925g/cm3である樹脂であることができる。
【0065】
本開示によって、前記表面層Aにおいて、第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3の厚さの比率が1:0.1~10:0.1~2であることができ、具体的には、1:0.2~0.7:0.5~1.5であることができ、具体的には、1:0.3~0.6:0.8~1.2であることができるが、これに制限されるものではない。
【0066】
前記表面層Aの各層が厚さの範囲を満たすことにより、機械的強度にも優れ、且つ低い引裂強度を有することができ、前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材を提供することができる。
【0067】
本開示によって、前記第1高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、50,000~500,000g/molであることができ、具体的には、100,000~300,000g/molであることができ、具体的には、120,000~200,000g/molであることができるが、これに制限されるものではない。
【0068】
第1高密度ポリエチレン樹脂の溶融指数は、0.1~10g/10minであることができ、具体的には、0.3~5g/10minであることができ、具体的には、0.5~1g/10minであることができるが、これに制限されるものではない。
【0069】
また、前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、50,000~500,000g/molであることができ、具体的には、70,000~200,000g/molであることができ、具体的には、80,000~150,000g/molであることができるが、これに制限されるものではない。
【0070】
前記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の溶融指数は、0.1~10g/10minであることができ、具体的には、0.3~5g/10minであることができ、具体的には、0.5~3g/10minであることができるが、これに制限されるものではない。
【0071】
前記第2高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、50,000~500,000g/molであることができ、具体的には、100,000~300,000g/molであることができ、具体的には、120,000~200,000g/molであることができるが、これに制限されるものではない。
【0072】
第2高密度ポリエチレン樹脂の溶融指数は、0.1~10g/10minであることができ、具体的には、0.3~5g/10minであることができ、具体的には、0.5~3g/10minであることができるが、これに制限されるものではない。
【0073】
前記第1高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂および第2高密度ポリエチレン樹脂が前記条件を満たすことにより、従来、表面層Aに使用されていた高分子樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンなどの樹脂と類似する水準の寸法安定性、耐熱性、インク接着力を有することができる。
【0074】
本開示によって、前記表面層Aの弾性係数は、2%割線弾性係数(secant modulus)方式で測定しており、MDが12,000kg/cm2以上であることができ、具体的には、MDは、13,000kg/cm2以上、TDは、8,000kg/cm2以上であることができ、具体的には、MDは、13,000~25,000kg/cm2、TDは、8,000~16,000kg/cm2であることができ、具体的には、TDは、14,000~16,000kg/cm2、具体的には、TDは、11,000~14,000kg/cm2であることができるが、これに制限されるものではない。前記表面層Aが前記範囲の弾性係数値を満たすことにより、消費者が開封時に包装材が伸びず、適当な力で包装材を開封することができる。
【0075】
本開示によって、前記表面層Aは、MD方向に3倍以上伸びることができ、具体的には、MD方向に5倍~10倍伸びることができ、具体的には、MD方向に5倍~8倍伸びることができるが、これに制限されるものではない。
【0076】
本開示によって、前記表面層Aの引裂強度は、MD方向に3.0g/μm以下であることができ、具体的には、TD方向に5.0g/μm以下、MD方向に3.0g/μm以下であることができ、前記シーラント層Bの引裂強度は、TD方向に10.0g/μm以下、MD方向に7.0g/μm以下であることができ、具体的には、前記表面層Aの引裂強度は、TD方向に3.0g/μm以下、MD方向に1.0g/μm以下であることができ、前記シーラント層Bの引裂強度は、TD方向に10.0g/μm以下、MD方向に2.0g/μm以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0077】
前記表面層Aが前記引裂強度値を満たすことにより、前記表面層Aおよび後述するシーラント層Bが互いに結合した多層構造のポリエチレンフィルムCは、開封性に優れ、引張強度および破断伸び率にはより優れるという利点がある。
【0078】
本開示によって、前記表面層Aの層の厚さは、1~100μmであることができ、具体的には、5~70μmであることができ、具体的には、10~50μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0079】
前記表面層Aの層の厚さが前記範囲を満たすことにより、前記表面層Aを含む多層構造のポリエチレンフィルムの柔軟性に優れ、且つ機械的物性にも優れるという利点がある。
【0080】
本開示によって、前記表面層Aは、直鎖状低密度ポリエチレンまたは中密度ポリエチレンのいずれか一つ以上の樹脂を含む層が1層以上をさらに含まれることができるが、これに制限されるものではない。前記低密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンは、2.16kgの荷重で190℃の条件でASTM D1238による溶融指数が0.5~1.2g/10minであることができ、具体的には、0.9~1.1g/10minであることができるが、これに制限されるものではない。
【0081】
本開示によって、前記表面層Aの単層または多層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含むことができ、具体的には、前記表面層Aのa1、a2およびa3層から選択されるいずれか一つ以上の層に低密度ポリエチレン樹脂をさらに含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0082】
具体的には、前記表面層Aの第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3の各層の樹脂は、必要に応じて、低密度ポリエチレン樹脂をさらに含む混合樹脂であることができるが、これに制限されるものではない。
【0083】
本開示によって、前記表面層Aの各層の低密度ポリエチレンの含量は、0~50wt%であることができ、具体的には、0~30wt%であることができるが、これに制限されるものではない。
【0084】
[シーラント層B]
前記多層構造のポリエチレンフィルムCに含まれる前記シーラント層Bは、多層構造であり、前記シーラント層Bの最内側層の融点は、103℃以下であり、
【0085】
前記シーラント層Bの1つの層は、密度0.900~0.940g/cm3のポリエチレン樹脂組成物を含む第1フィルム層b1、前記シーラント層Bの他の1つの層として、密度0.930~0.970g/cm3のポリエチレン樹脂組成物を含む第2フィルム層b2および前記シーラント層Bの最内側層としてはポリオレフィン樹脂を含む第3フィルム層b3が積層された層であることができる。
【0086】
具体的には、第1フィルム層b1、第2フィルム層b2および第3フィルム層b3が順に積層された形態を有しており、前記第1フィルム層b1は、中密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを、第2フィルム層b2は、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンを混合した混合樹脂を含むことができる。また、前記第3フィルム層b3は、ポリオレフィン系樹脂を含み、具体的には、ポリオレフィンプラストマーを含むことができる。
【0087】
また、表面層Aの最外側層とシーラント層Bの最内側層との融点の差が前記式2の範囲を満たすことで、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルムCは、表面層Aが損傷するか、その物性が低下しない十分に低い温度範囲でもヒートシール工程が行われることができる。
【0088】
本開示によって、表面層Aが従来の異種材料の貼り合わせフィルムにおいて主に使用されていたポリエステル、ポリアミドなどに比べて相対的に低い融点を有しても、フィルムが損傷するか、その物性が低下する問題が発生せず、優れたフィルムのヒートシール性および高速製袋加工性を実現することができる。
【0089】
特に、高速製袋加工性が低下する場合、これは、つまり、生産される包装材の単価の向上につながるため、フィルムおよび包装材の生産性と経済性が大幅に低下するが、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルムCは、前記表面層Aとシーラント層Bとの融点の差が大きく維持されるようにして、フィルムの製袋加工性の向上およびこれによる経済的効果を得ることができる。
【0090】
また、本開示において、前記シーラント層Bの融点は、160℃以下、具体的には、140℃以下であることができ、具体的には、40~130℃、具体的には、50~120℃であることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0091】
また、本開示の一様態において、前記シーラント層Bを熱接着させるための熱接着開始温度は、40~140℃であることができ、好ましくは、50~110℃、さらに好ましくは、50~100℃であることができるが、必ずしもこれに限定するものではない。
【0092】
ここで、前記熱接着開始温度は、前記シーラント層BをASTM F2029およびASTM F88に準じて測定した接着強度が1000gf以上である時の温度を意味する。
【0093】
シーラント層Bの融点および熱接着開始温度が前記のような範囲を満たすことで、本開示によって、多層構造のポリエチレンフィルムおよびこれより製造された包装材は、フィルムの表面層Aが損傷するか、その物性が低下する問題が発生しない十分に低い温度範囲でも、フィルムのヒートシール性および高速製袋加工性が非常に優れた効果がより高度に実現されることができる。
【0094】
本開示によって、前記第1フィルム層b1において低密度ポリエチレン樹脂の含量が50%未満であることができ、具体的には、40%以下であることができ、具体的には、0~30wt%であることができるが、これに制限されるものではない。
【0095】
本開示によって、前記第2フィルム層b2において、低密度ポリエチレン樹脂の含量が50%未満であることができ、具体的には、40%以下であることができ、具体的には、0~30wt%以下であることができるが、これに制限されるものではない。
【0096】
前記第1フィルム層b1および第2フィルム層b2の低密度ポリエチレン樹脂の含量が前記範囲を満たすことにより、前記多層構造のポリエチレンフィルムCは、消費者が開封を容易に行う程度の低い引裂強度を有することができる。
【0097】
本開示によって、前記シーラント層Bにおいて第2フィルム層b2の下端に追加の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層をさらに含むことができる。前記第2フィルム層b2の下端に、必要に応じて、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂層をさらに含むことにより、より優れた機械的強度および接着強度を有することができる。
【0098】
本開示によって、前記多層構造のポリエチレンフィルムCは、前記表面層Aと前記シーラント層Bが接着剤塗布またはラミネーション工法で貼り合わされることができ、具体的には、ラミネーション工法で貼り合わされることができ、具体的には、ドライラミネーション工法で貼り合わされることができるが、これに制限されるものではない。
【0099】
本開示によって、前記シーラント層Bにおいて、第1フィルム層b1、第2フィルム層b2および第3フィルム層b3の厚さの比率が1:0.2~10:0.2~2であることができるが、これに制限されるものではない。
【0100】
本開示によって、前記フィルムの全厚が30~300μmであることができ、具体的には、70~250μmであることができ、具体的には、100~200μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0101】
本開示によって、前記表面層Aの各層の間または表面または前記シーラント層Bの各層の間または表面に遮断層1層以上をさらに含むことができる。
【0102】
前記遮断層は、紫外線遮断層、可視光遮断層、酸素透過遮断層および水分遮断層などを含むことができ、具体的には、酸素透過遮断層を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0103】
前記酸素透過遮断層の素材としては、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ乳酸共重合体またはポリヒドロキシルブチレート共重合体などから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物であることができ、具体的には、エチレンビニルアルコール共重合体を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0104】
本開示によって、前記第1高密度ポリエチレン層a1、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2および第2高密度ポリエチレン層a3の密度が下記式5を満たすことである、多層構造のポリエチレンフィルム包装材であることができる。
【0105】
【0106】
(前記式5中、前記M1は、第1高密度ポリエチレン層a1の密度であり、前記M2は、直鎖状低密度ポリエチレン層または中密度ポリエチレン層a2の密度であり、前記M3は、第2高密度ポリエチレン層a3であり、前記密度は、ASTM D 792に準じて測定され、前記密度の単位は、g/cm3である。)
【0107】
前記表面層Aの各層の密度が前記式5を満たすことにより、機械的強度が従来のナイロンまたはPETなどの樹脂と類似する機械的強度を有することができ、これにより、シーラント層Bと同一のポリエチレン樹脂を使用することで、リサイクルが容易である利点がある。
【0108】
また、前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材は、引裂強度がMD方向に3.0g/μm以下、TD方向に3.0g/μm以下であることができ、具体的には、MD方向に0.1~3.0g/μm、TD方向に0.1~3.0g/μm以下であることができ、具体的には、MD方向に0.3~2.0g/μmであることができ、TD方向に0.5~3.0g/μmであることができるが、これに制限されるものではない。
【0109】
本開示のさらに他の様態は、上述の多層構造のポリエチレンフィルムから製造される包装材およびこれを含む成形品を提供することができる。
【0110】
前記成形品は、液状/粉末/固形物の内容物の包装のうち流通/販売過程で開封性が求められ選択されることができ、具体的には、前記成形品としては、アイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋、冷蔵食品容器、収縮フィルム、重包装フィルム、自動包装フィルム、ストレッチラップおよびバッグ(bag)などを含むことができる。
【0111】
本開示によって、包装材は、常温での製造工程、高温でのヒートシール工程および低温での流通および保管過程などで継続した温度の変化にもかかわらず、低温をはじめ、広い温度範囲で、優れた耐久性および機械的物性を維持することができる。したがって、前記包装材がアイスパック、冷凍食品包装袋、冷凍食品容器、冷蔵食品包装袋、冷蔵食品容器などのように、低温で活用される成形品に適用されることが、本開示によって効果を考慮する時に、より好ましいが、これは、非限定的な一例であって、必ずしもこれに限定するものではない。
【0112】
以下、実施例および比較例に基づいて、本開示をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例および比較例は、本開示をより詳細に説明するための一つの例示であって、本開示が下記の実施例および比較例によって制限されるものではない。
【0113】
[物性の測定方法]
(1)密度
密度は、ASTM D792による置換方法を使用して測定される。
【0114】
(2)溶融指数(Melt Index)
溶融指数は、2.16kg荷重で190℃の条件でASTM D1238に準じて測定される。
【0115】
(3)引裂強度
引裂強度は、エルメンドルフ(Elmendorf)方式の測定器(Toyoseiki社製)でKS M ISO 1974に準じて測定される。
【0116】
(4)引張強度
引張強度は、ASTM D882に準じて測定される。
【0117】
(5)破断伸び率
破断伸び率は、ASTM D-638-03に準じて測定される。
【0118】
(6)弾性係数
弾性係数は、2%割線弾性係数(secant modulus)方式で測定し、具体的には、縦方向(MD)および横方向(TD)は、ASTM D882に準じて測定される。
【0119】
(7)ヘイズ
ヘイズは、ASTM D1003に準じて測定される。
【0120】
[表面層Aフィルムの製造]
[製造例A-1]
第1高密度ポリエチレン層a1として、第1高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.963g/cm3、融点133℃、溶融指数0.7g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 8300、SKGC]を使用し、直鎖状低密度ポリエチレン層a2として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.915g/cm3、融点114℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Smart 151、SKGC]を使用し、第2高密度ポリエチレン層a3として、第2高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.963g/cm3、融点133℃、溶融指数0.7g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 8300、SKGC]]を使用した。ここで、溶融されていない樹脂が通過することができないようにフィルタリングしながら、前記樹脂をスクリューサイズが24パイである押出機を計3個使用して、各層別の加工温度を165℃から195℃に調節しながら吹込み(Blown)フィルム成形で共押出して、フィルムの層構成が(a1)/(a2)/(a3)の3層構成である表面層Aフィルムを形成した。
【0121】
ここで、ダイ直径は50mm、ダイギャップは0.7mm、フィルムの製造時にバブルの膨張比は2.6:1になるようにし、空気によって冷却した冷却線は、ダイ基準に高さ12cmになるようにした。冷却および固化したフィルムは、ニップローラによって引き取られてフィルムロールで巻き取った。フィルムの各層の厚さおよび全厚は8.3μm/8.3μm/8.3μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は6倍である。
【0122】
得られた表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0123】
[製造例A-2]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は8.3μm/8.3μm/8.3μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は7倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0124】
[製造例A-3]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は10μm/5μm/10μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は6倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0125】
[製造例A-4]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は10μm/5μm/10μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は7倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0126】
[製造例A-5]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は10.43μm/4.17μm/10.43μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は6倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0127】
[製造例A-6]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は6.25μm/12.5μm/6.25μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は6倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0128】
[製造例A-7]
前記製造例A-1において、フィルムの各層の厚さおよび全厚は6.25μm/12.5μm/6.25μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は7倍である以外は、製造例A-1と同じ方法で表面層Aを製造した。前記製造された表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0129】
[製造例A-8]
前記製造例A-1において、表面層Aフィルムを3層構造ではなく、単一のa1層(厚さ25μm、延伸比6.2)のみで構成する以外は、 製造例A-1と同じ方法で多層構造のポリエチレンフィルムを製造した。
【0130】
得られた表面層Aフィルムの物性を下記表2に示した。
【0131】
[製造例A-9]
製造例A-1と同じ方法で多層構造のポリエチレンフィルムを製造した。
【0132】
フィルムの各層の厚さおよび全厚は8.3μm/8.3μm/8.3μm(合計25μm)であり、MD方向への延伸比は1倍である。
【0133】
得られた表面層Aフィルムの物性を下記表1に示した。
【0134】
[シーラント層Bフィルムの製造]
[製造例B-1]
第1フィルム層b1として、中密度ポリエチレン樹脂[密度:0.935g/cm3、融点127℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)FN800M、SKGC]70wt%と低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.918~0.921g/cm3、融点113℃、溶融指数3.1~3.5g/10分(190℃、2.16kg)SEETEC BS500、LGCHEM]30wt%を混合した樹脂組成物[平均密度:0.9305g/cm3]を使用し、第2フィルム層b2として、高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.955g/cm3、融点131℃、溶融指数0.8g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 3301、SKGC]70wt%と低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.918~0.921g/cm3、融点113℃、溶融指数3.1~3.5g/10分(190℃、2.16kg)SEETEC BS500、LGCHEM]30wt%を混合した樹脂組成物[平均密度:0.9445g/cm3]を使用し、
第3フィルム層b3として、ポリオレフィンプラストマー樹脂[密度:0.885g/cm3、融点74℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Supreme891、SKGC]を使用した。ここで、溶融されていない樹脂が通過することができないようにフィルタリングしながら、前記樹脂をスクリューサイズが24パイである押出機を計3個使用して各層別加工温度を165℃から195℃に調節しながら吹込み(Blown)フィルム成形で共押出して、フィルムの層構成が(b1)/(b2)/(b3)の3層構成である多層構造のシーラント層Bフィルムを形成した。
【0135】
ここで、ダイ直径は50mm、ダイギャップは0.7mm、フィルムの製造時にバブルの膨張比は2.6:1になるようにし、空気によって冷却した冷却線は、ダイ基準に高さ12cmになるようにした。冷却および固化したフィルムは、ニップローラによって引き取られてフィルムロールで巻き取った。フィルムの各層の厚さおよび全厚は23.3μm/34.8μm/11.6μm(合計70μm)であった。
【0136】
得られたシーラント層Bフィルムの物性を下記表2に示した。
【0137】
[製造例B-2]
前記製造例B-1で第1フィルム層b1として、高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.955g/cm3、融点131℃、溶融指数0.8g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 3301、SKGC]を使用し、第2フィルム層b2として、中密度ポリエチレン樹脂[密度:0.935g/cm3、融点127℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)FN800M、SKGC]を使用し、第3フィルム層(b3)として、ポリオレフィンプラストマー樹脂[密度:0.885g/cm3、融点74℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Supreme891、SKGC]を使用した以外は、同様に実施した。前記シーラント層Bのフィルムの各層の厚さおよび全厚は17.5μm/35μm/17.5μm(合計70μm)であった。
【0138】
得られたシーラント層Bフィルムの物性を下記表2に示した。
【0139】
[製造例B-3]
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.915g/cm3、融点114℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Smart 151、SKGC]を使用して厚さ70μmのシーラント層Bフィルムを製造した。
【0140】
[製造例B-4]
ポリオレフィンプラストマー樹脂[密度:0.885g/cm3、融点74℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Supreme891、SKGC]を使用して厚さ70μmのシーラント層Bフィルムを製造した。
【0141】
[製造例B-5]
高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.955g/cm3、融点131℃、溶融指数0.8g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 3301、SKGC]を使用して厚さ70μmのシーラント層Bフィルムを製造した。
【0142】
[製造例B-6]
前記製造例B-1で組成物層b1として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.915g/cm3、融点114℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Smart 151S、SKGC]]を使用し、混合樹脂層(b2)として、高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.955g/cm3、融点131℃、溶融指数0.8g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 3301、SKGC]を使用し、ポリオレフィンプラストマー層(b3)として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.915g/cm3、融点114℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Smart 151S、SKGC]を使用した以外は、同様に実施した。前記シーラント層Bのフィルムの各層の厚さおよび全厚は17.5μm/35μm/17.5μm(合計70μm)であった。
【0143】
得られたシーラント層Bフィルムの物性を下記表2に示した。
【0144】
[製造例B-7]
高密度ポリエチレン樹脂[密度:0.955g/cm3、融点131℃、溶融指数0.8g/10分(190℃、2.16kg)YUZEX 3301、SKGC]70wt%と直鎖状低密度ポリエチレン樹脂[密度:0.915g/cm3、融点114℃、溶融指数1.0g/10分(190℃、2.16kg)Smart 151、SKGC]30wt%を混合した樹脂組成物を使用して厚さ70μmのシーラント層Bフィルムを製造した。
【0145】
[実施例1]
前記製造例A-4(表面層A)と前記製造例B-1(シーラント層B)を貼り合わせて多層構造のポリエチレンフィルム包装材を製造した。前記表面層Aフィルムの(a3)面と前記シーラント層Bフィルムの(b1)面を貼り合わせて乾燥ラミネーション機械に投入し、150℃で熱接着して、多層構造のポリエチレンフィルム包装材を製造した。
【0146】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0147】
[実施例2]
前記実施例1において、シーラント層BフィルムのB-1の代わりにB-2を使用した以外は、同様に実施した。
【0148】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0149】
[実施例3]
前記実施例1において、表面層AフィルムのA-4の代わりにA-8を使用した以外は、同様に実施した。
【0150】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0151】
[比較例1]
前記実施例1において、シーラント層BフィルムのB-1の代わりにB-6を使用した以外は、同様に実施した。
【0152】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0153】
[比較例2]
前記実施例1において、表面層AフィルムのA-4の代わりにA-6を使用した以外は、同様に実施した。
【0154】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0155】
[比較例3]
前記実施例1において、表面層AフィルムのA-4の代わりにA-7を使用した以外は、同様に実施した。
【0156】
[比較例4]
前記実施例1において、表面層Aフィルムを3層構造ではなく、ナイロン(25μm、NYフィルム、JKマテリアル)のみで構成される以外は、実施例1と同じ方法で多層構造のポリエチレンフィルムを製造した。
【0157】
得られた表面層Aフィルムの物性を下記表2に示した。得られたシーラント層Bフィルムの物性を下記表2に示した。得られたポリエチレンフィルムの物性を下記表3に示した。
【0158】
[比較例5]
前記実施例1において、シーラント層BフィルムのB-1の代わりにB-5を使用した以外は、同様に実施した。
【0159】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0160】
[比較例6]
前記実施例1において、表面層AフィルムのA-4の代わりにA-9を使用した以外は、同様に実施した。
【0161】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0162】
[比較例7]
前記実施例1において、シーリング層BフィルムのB-1の代わりにB-3を使用した以外は、同様に実施した。
【0163】
前記多層構造のポリエチレンフィルム包装材の物性を下記表3に示した。
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
前記表3に記載のように、実施例1~3の場合、シーリング(sealing)作業性および開封性がいずれも優れていることが分かる。
【0168】
また、比較例2および3は、開封時に貼り合わせ原反が伸びやすくて簡単に引き裂かれない欠点があった。比較例5は、表面層Aの最外側フィルムa1の融点と、シーラント層Bの最内側フィルムb3の融点の差が25℃より低くて、実際包装材を製造するためのシーリングウィンドウ(Sealing Window)区間が確保されず、最終包装材を製造し難い欠点がある。
【0169】
比較例6の場合、表面層Aが伸びないフィルムで構成されることによって開封性が容易でない欠点がある。
【0170】
比較例1~3および比較例5~7の場合、MDまたはTD方向の引裂強度が3.0g/μm以上であるため、開封性が非常に難しいことが分かる。
【0171】
以上、本開示では、特定の事項と限定された実施例によって説明されているが、これは、本開示のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本開示は、前記の実施例に限定されるものではなく、本開示が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0172】
したがって、本開示の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的な変形があるすべてのものなどは、本開示の思想の範疇に属すると言える。