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特開2024-19143極性非依存イオン閉じ込めのためのイオンガイド電極構成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019143
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】極性非依存イオン閉じ込めのためのイオンガイド電極構成
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H01J49/06 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023123492
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】17/877,781
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503363806
【氏名又は名称】サーモ フィニガン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Thermo Finnigan LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダブリュ.センコ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イオンガイドの構造及び動作を簡略化する。
【解決手段】イオンガイドは、第1の表面上の第1の電極の配列と、第2の表面上の第2の電極の配列と、それらの間の間隙内のイオン閉じ込め空間とを含む。第1の配列は、第1の電極及び第2の電極を含む。各第1の電極は、第1の主要部分と、第1のエッジ部分とを含む。第1のエッジ部分は、第1の主要部分よりも幅広である。第2の配列は、第3の電極及び第4の電極を含む。各第4の電極は、第4の主要部分及び第4のエッジ部分を含む。第4のエッジ部分は、第4の主要部分よりも幅広である。第1のエッジ部分は、第4のエッジ部分に対向して位置付けられる。第1の電極及び第3の電極は、第1のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極は、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取るように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンガイドであって、
間に間隙を有して互いに面する第1の表面及び第2の表面と、
前記第1の表面上の第1の電極の配列及び前記第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、前記第1の電極の配列及び前記第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、前記間隙内にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、
前記第1の電極の配列が、前記イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って前記第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、
各第1の電極が、
前記イオン閉じ込め空間の第1の側から前記イオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、
前記イオン閉じ込め空間の前記第1の側にある第1のエッジ部分であって、前記第1のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第1の主要部分よりも幅広である、第1のエッジ部分と、を備え、
前記第2の電極の配列が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って前記第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、
各第4の電極が、
前記イオン閉じ込め空間の前記第1の側から前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側まで延在する第4の主要部分と、
前記イオン閉じ込め空間の前記第1の側にある第4のエッジ部分であって、前記第4のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第4の主要部分よりも幅広である、第4のエッジ部分と、を備え、
前記第1の電極の前記第1のエッジ部分が、前記第4の電極の前記第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、
前記第1の電極及び前記第3の電極が、第1のRF電圧を受け取るように構成され、前記第2の電極及び前記第4の電極が、前記第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取るように構成されている、イオンガイド。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、L形状、T形状、又はY形状を有する、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項3】
各第3の電極が、第3の主要部分を備え、
前記第1の電極の前記第1の主要部分が、前記第3の電極の前記第3の主要部分に対向して位置付けられている、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項4】
前記第1の電極の前記第1の主要部分が、前記第4の電極の前記第4の主要部分に対向して位置付けられている、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項5】
各第2の電極が、第2の主要部分を備え、
各第3の電極が、第3の主要部分を備え、
前記第1の電極の前記第1の主要部分及び前記第2の電極の前記第2の主要部分が、前記第3の電極の前記第3の主要部分と前記第4の電極の前記第4の主要部分との間の間隙に対向して位置付けられている、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項6】
各第2の電極が、
前記イオン閉じ込め空間の前記第1の側から前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側まで延在する第2の主要部分と、
前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側にある第2のエッジ部分であって、前記第2のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第2の主要部分よりも幅広である、第2のエッジ部分と、を備え、
各第3の電極が、
前記イオン閉じ込め空間の前記第1の側から前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側まで延在する第3の主要部分と、
前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側にある第3のエッジ部分であって、前記第3のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第3の主要部分よりも幅広である、第3のエッジ部分と、を備え、
前記第2の電極の前記第2のエッジ部分が、前記第3の電極の前記第3のエッジ部分に対向して位置付けられている、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項7】
前記第2の電極及び前記第3の電極が、L形状、T形状、又はY形状を有する、請求項6に記載のイオンガイド。
【請求項8】
各第1の電極が、前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側に第2のエッジ部分を更に備え、前記第2のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第1の主要部分よりも幅広であり、
各第4の電極が、前記イオン閉じ込め空間の前記第2の側に第3のエッジ部分を更に備え、前記第3のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、前記第4の主要部分よりも幅広であり、
前記第1の電極の前記第2のエッジ部分が、前記第4の電極の前記第3のエッジ部分に対向して位置付けられている、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項9】
前記第1の電極及び前記第4の電極が、LL形状、TT形状、又はYY形状を有する、請求項8に記載のイオンガイド。
【請求項10】
第1の電極の前記第1のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、隣接する第2の電極の前記第2の主要部分の全部又は一部を越えて延在する、請求項1に記載のイオンガイド。
【請求項11】
第4の電極の前記第4のエッジ部分が、前記イオン閉じ込め空間の前記長手方向軸に沿って、隣接する第3の電極の前記第3の主要部分の全部又は一部を越えて延在する、請求項10に記載のイオンガイド。
【請求項12】
前記第1の表面及び前記第2の表面のうちの一方又は両方が、プリント回路基板(PCB)を備える、請求項1に記載のイオンガイド。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イオンガイドは、静電場及び電気力学的場の印加によって、及び/又はキャリアガスによって、イオン経路に沿ってイオンを誘導するデバイスである。イオンガイドは、例えば、質量分析計内でイオンを輸送するために、又はイオンモビリティデバイス内でイオンを分離するために使用され得る。従来のイオンガイドは、線形四重極デバイスなどの多重極配列、又はプリント回路基板(printed circuit boards、PCB)などの対向する表面上の電極の配列から形成される。PCBイオンガイドは、それらの低いコスト、及びかなり単純な印刷プロセスで複雑な幾何形状を作成する可能性のために、魅力的である。しかしながら、PCBイオンガイドの従来の構成は、様々な欠点を有する。例えば、イオン経路内にイオンを維持するために、一部のPCBイオンガイドは、無線周波数(radio frequency、RF)電圧を内側RF電極に印加してY(垂直)方向にトラッピング電位を提供し、かつ直流(direct current、DC)電圧を外側ガード電極に印加してX(水平)方向にトラッピング電位を提供する。イオンは、Z軸に沿ったイオン経路に沿って誘導される。しかしながら、DCガード電極によって生成されるトラッピング電位は、単一の極性のみのイオンをトラップすることができる。他のPCBイオンガイドは、上部PCBと下部PCBとの間の空間に位置付けられた追加のRF電極を使用して、X軸に沿った極性非依存トラッピングを提供する。しかしながら、これらの追加のRFガード電極は、追加の駆動電子機器を必要とし、イオンガイドの設計及び製造を複雑にする。
【発明の概要】
【0002】
以下の説明は、本明細書で説明される方法及びシステムの1つ以上の態様の基本的な理解を提供するために、かかる態様の簡略化された概要を提示する。本概要は、全ての企図された態様の広範な概観ではなく、全ての態様の主要又は重要な要素を特定することも、任意又は全ての態様の範囲を線引きすることも意図されていない。その唯一の目的は、以下で提示されるより詳細な説明に対する前置きとして、簡略化された形態で本明細書に記載される方法及びシステムの1つ以上の態様のいくつかの概念を提示することである。
【0003】
いくつかの例示的な実施例では、イオンガイドは、第1の表面と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、それらの間にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、各第1の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第1のエッジ部分と、を備え、第1のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広であり、第2の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、各第4の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第4の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第4のエッジ部分であって、第4のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広である、第4のエッジ部分と、を備え、第1の電極の第1のエッジ部分は、第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、第1の電極及び第3の電極は、第1のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極は、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取るように構成されている。
【0004】
いくつかの例示的な実施例では、イオンを誘導する方法は、イオンガイドにイオンを導入することであって、イオンガイドが、第1の表面と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、それらの間にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、各第1の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第1のエッジ部分と、を備え、第1のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広であり、第2の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に交互に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、各第4の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第4の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第4のエッジ部分であって、第4のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広である、第4のエッジ部分と、を備え、第1の電極の第1のエッジ部分は、第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられている、導入することと、RF電圧を複数の電極に印加することと、を含み、第1の電極及び第3の電極は、第1のRF電圧を受け取り、第2の電極及び第4の電極は、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取る。
【0005】
いくつかの例示的な実施例では、イオンガイドは、第1の表面と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、それらの間にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、第2の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に交互に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、第1の電極及び第3の電極は、同じ位相のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極は、同じ位相を有し、第1の電極及び第3の電極によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成され、第1の電極及び第3の電極の対向する主要部分、並びに第2の電極及び第4の電極の対向する主要部分は、イオン閉じ込め空間内のイオンの第1の表面及び第2の表面に向かう移動を抑制する表面閉じ込め電場を生成するように構成され、第1の電極及び第4の電極の対向するエッジ部分は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、イオン閉じ込め空間内のイオンのイオン封じ込め空間の第1の側に向かう移動を抑制する第1のエッジ閉じ込め電場を生成するように構成されている。
【0006】
いくつかの例示的な実施例では、イオンガイドは、第1の表面と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極と、第1の電極の配列と第2の電極の配列との間のイオン閉じ込め空間とを含み、第1の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、第2の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、第1の電極の第1の主要部分は、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分は、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられ、第1の電極の第1のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の第1の側で第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、第1の電極及び第3の電極は、RF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極は、第1の電極及び第3の電極によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成されている。
【0007】
いくつかの例示的な実施例では、イオンガイドを作製する方法は、第1の電極及び第2の電極を第1の電極の配列で第1の表面上に配列することと、第2の表面上に第2の電極の配列で第3の電極及び第4の電極を配列することと、第1の電極の配列及び第2の電極の配列がそれらの間にイオン閉じ込め空間を画定するように、第1の表面を第2の表面に対向して位置付けることと、を含み、第1の電極の第1の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分が、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられ、イオン閉じ込め空間の第1側において、第1の電極の第1のエッジ部分が第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられるように、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が位置付けられ、第1の電極及び第3の電極を、RF電圧を受け取るように構成された第1の回路に接続することと、第2の電極及び第4の電極を、第1の回路によって受け取られたRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成された第2の回路に接続することと、を含む。
【0008】
いくつかの例示的な実施例では、イオンガイドは、対向する表面上に配列され、対向する表面間にイオン閉じ込め空間を画定する複数の電極を備え、複数の電極の各電極は、細長い主要部分及び主要部分の端部にあるエッジ部分を備え、エッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、主要部分よりも幅広であり、複数の電極は、RF電圧を受け取るように構成され、複数の電極は、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように配列されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面は、様々な実施形態を例解し、本明細書の一部である。例解された実施形態は単なる例であり、本開示の範囲を制限するものではない。図面全体を通して、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の要素を指示する。
図1】例示的なイオンガイドの斜視図である。
図2図1のイオンガイドの平面図を示す。
図3A図2においてそれぞれIIIA及びIIIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた、図1及び図2のイオンガイドの断面図を示す。
図3B図2においてそれぞれIIIA及びIIIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた、図1及び図2のイオンガイドの断面図を示す。
図4A図2においてそれぞれIVA、IVB、及びIVCとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた、図1及び図2のイオンガイドの断面図を示す。
図4B図2においてそれぞれIVA、IVB、及びIVCとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた、図1及び図2のイオンガイドの断面図を示す。
図4C図2においてそれぞれIVA、IVB、及びIVCとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた、図1及び図2のイオンガイドの断面図を示す。
図5図1及び図2のイオンガイドの断面図と、電極がRF電圧を受け取るときにイオンガイドの電極によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。
図6A図1及び図2のイオンガイドの断面図と、電極108がRF電圧を受け取るときに電極108によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。
図6B図1及び図2のイオンガイドの断面図と、電極108がRF電圧を受け取るときに電極108によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。
図7】表面上の電極の代替構成を示す。
図8】表面上の電極の代替構成を示す。
図9】別の例示的なイオンガイドの斜視図を示す。
図10図9のイオンガイドの平面図を示す。
図11A図10においてそれぞれXIA及びXIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた図9及び図10のイオンガイドの断面図と、電極がRF電圧を受け取るときにイオンガイドの電極によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。
図11B図10においてそれぞれXIA及びXIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られた図9及び図10のイオンガイドの断面図と、電極がRF電圧を受け取るときにイオンガイドの電極によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。
図12】表面上の電極の代替構成を示す。
図13】表面上の電極の代替構成を示す。
図14】表面上の電極の代替構成を示す。
図15】イオンを誘導する例示的な方法のフロー図を示す。
図16】イオンガイドを作製する例示的な方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
複数の方向において極性非依存トラッピングを提供する例示的なイオンガイドが、本明細書において説明される。いくつかの例では、イオンガイドは、第1の表面(例えば、第1のPCB)と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面(例えば、第2のPCB)と、複数の電極とを含む。複数の電極は、第1の表面上の第1の電極の配列と、第2の表面上の第2の電極の配列とを含む。第1の電極の配列及び第2の電極の配列は、互いに対向して位置付けられ、イオンが閉じ込められ得るイオン閉じ込め空間をそれらの間に画定する。第1の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を含む。各第1の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第1のエッジ部分とを含む。第1のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広である。第2の電極の配列は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を含む。各第4の電極は、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第4の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第4のエッジ部分とを含む。第4のエッジ部分は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広である。第1の電極の第1のエッジ部分は、第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられる。第1の電極及び第3の電極は、第1のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極は、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取るように構成される。
【0011】
本明細書で説明されるイオンガイドは、従来のイオンガイドを超えて様々な利点を有する。例えば、本明細書で説明される電極構成は、イオンの極性とは独立して、それぞれ、第1の軸(例えば、X(水平)軸)及び第2の軸(例えば、Y(垂直)軸)に沿って、イオンをイオン閉じ込め空間内に閉じ込める、エッジ閉じ込め電場及び表面閉じ込め電場を生成する。更に、本明細書で説明されるイオンガイドは、X軸に沿ったイオン閉じ込めが、Y軸に沿ったイオン閉じ込めを提供する同じ電極によって提供されるので、単純な構造を有する。更に、同じRF電圧、したがって同じ電子駆動回路が、エッジ閉じ込め電場及び表面閉じ込め電場を生成するために使用され、したがって、イオンガイドの構造及び動作を簡略化する。
【0012】
ここで、図面を参照して、様々な実施形態をより詳細に説明する。本明細書で説明されるシステム及び方法は、上述の利点のうちの1つ以上、並びに/若しくは本明細書で明らかにされる様々な追加の及び/又は代替の利点を提供し得る。
【0013】
図1図4Cは、例示的なイオンガイド100の様々な視図を示す。図1は、イオンガイド100の斜視図を示す。図2は、イオンガイド100の平面図を示す。図3A及び図3Bは、図2においてそれぞれIIIA及びIIIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られたイオンガイド100の断面図を示す。図4A図4Cは、図2においてそれぞれIVA、IVB、及びIVCとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られたイオンガイド100の断面図を示す。
【0014】
イオンガイド100は、第1の表面102と、第2の表面104と、第1の表面102と第2の表面104との間のイオン閉じ込め空間106と、第1の表面102上に配列された第1の電極108-1及び第2の電極108-2と第2の表面104上に配列された第3の電極108-3及び第4の電極108-4とを含む複数の電極108と、を含む。図1及び図2において、第1の表面102上の電極108は、電極108が第2の表面104に面する第1の表面102の側に位置付けられていることを示すために破線で示されている。図示されていないが、イオンガイド100は、第1の表面102と第2の表面104との間の間隔を維持するスペーサ、電極108を電圧源に接続するための配線、及び電極108に印加される電圧を制御するための電子機器など、特定の実装に適し得る他の構成要素を含み得る。
【0015】
イオンガイド100は、任意の他の数及び配列の電極108を有し得るので、図1図4Cは、イオンガイド100の単なる代表例である。例えば、図1図2、及び図4Aは、第1の表面102及び第2の表面104が各々10個の電極108を有することを示しているが、第1の表面102及び第2の表面104は、特定の実装に適し得るように、任意の他の数の電極108を有してもよい。
【0016】
図1図4Cは、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸(例えば、イオンガイド100が伝達デバイスであるときのイオン伝搬方向)がZ軸に沿って延在し、第1の表面102及び第2の表面104が各々XZ平面内にあり、Y軸に沿って互いに対向して位置付けられるように任意に配向されている3D座標系の凡例Lを示す。本明細書で使用されるように、X、Y、又はZ軸は、凡例LのX、Y、又はZ軸、又は凡例Lと同様に配向された任意の他の3D座標系を指す。例えば、「X軸」は、凡例LのX軸又は凡例LのX軸に平行な任意の他の軸を指すことができ、「Y軸」は、凡例LのY軸又は凡例LのY軸に平行な任意の他の軸を指すことができ、「Z軸」は、凡例LのZ軸又は凡例LのZ軸に平行な任意の他の軸を指すことができる。
【0017】
第1の表面102及び第2の表面104は、互いに実質的に平行に位置付けられ、それらの間に間隙を有して互いに面する平面状表面である。第1の表面102及び第2の表面104は各々、PCB又は固体基板(例えば、ガラス基板、セラミック基板、ポリマー基板等)などの任意の好適な平面構造によって実装され得る。他の実施形態では、第1の表面102及び第2の表面104は、平面ではなく、特定の実装に適し得るように、湾曲した形状、起伏のある形状、又は他の非平面形状を有する。
【0018】
イオン閉じ込め空間106は、第1の表面102と第2の表面104との間の間隙内の容積であり、その中にイオンが閉じ込められ得る(例えば、捕捉され、誘導される、等)。以下でより詳細に説明されるように、イオン閉じ込め空間106を横切って対向する電極108の対は、RF電圧を受け取り、表面閉じ込め電場及びエッジ閉じ込め電場を生成して、イオンをイオン閉じ込め空間106内に閉じ込める。イオン閉じ込め空間106は、真空、低圧、又は高圧下にあってもよい。
【0019】
いくつかの例では、イオンガイド100は、イオン閉じ込め空間106が、イオンが誘導されるイオン経路を形成する伝達型デバイスである。イオンは、DC及び/又はRF電圧を電極108(又は図示されない他の電極)に印加して、DC勾配場(例えば、分圧器を使用することによる)、DC進行波(例えば、1つの電極から次の電極に移動するDCパルス)、及び/又はRF場を閉じ込め電場に重畳させることによってなど、任意の好適な方式でイオン閉じ込め空間106を通して誘導(例えば、駆動)され得る。追加的又は代替的に、イオンは、キャリアガスをイオン閉じ込め空間106に通すことによって、イオン閉じ込め空間106を通って誘導されてもよい。他の例では、イオンガイド100は、イオン閉じ込め空間106が、イオンがイオン閉じ込め空間106から放出されるまでイオンをトラップするトラッピング容積である、トラッピング型デバイスである。
【0020】
ここで図2を参照すると、イオン閉じ込め空間106は、入口開口部202、出口開口部204、第1の側206、及び第2の側208を含む。入口開口部202は、イオンをイオン閉じ込め空間106に導入するための開口部であり、出口開口部204は、イオンがイオン閉じ込め空間106から出るか又は放出され得る開口部である。入口開口部202は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸の上流端に位置し、出口開口部204は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸の下流端に位置する。しかしながら、入口開口部202及び/又は出口開口部204は、特定の実装に適し得るように、任意の他の場所に位置してもよい。第1の側206及び第2の側208は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸(例えば、Z軸)に沿って互いに対向して延在する。例えば、図2に示されるように、第1の側206はイオン閉じ込め空間106の-X側に位置し、第2の側208はイオン閉じ込め空間106の+X側に位置する。
【0021】
再び図1図4Cを参照すると、電極108は、導電性材料(例えば、金属)から形成され、RF電圧を受け取るように構成される。各電極108は、主要部分110とエッジ部分112とを有する。例えば、各第1の電極108-1は、第1の主要部分110-1と第1のエッジ部分112-1とを有し、各第2の電極108-2は、第2の主要部分110-2と第2のエッジ部分112-2とを有する、などである。
【0022】
図示のように、各主要部分110は、細長い長方形形状を有し、X軸に沿って(例えば、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に垂直であり、第1の表面102及び第2の表面104に平行である軸に沿って)、イオン閉じ込め空間106の第1の側206から第2の側208まで延在する。しかしながら、主要部分110は、この構成に限定されず、任意の他の好適な形状(例えば、湾曲、楕円形、卵形、波状、又は不規則)及び/又はイオン閉じ込め空間106の長手方向軸に対する配向を有してもよい。以下に説明するように、同じ位相のRF電圧を受け取る一対の対向する主要部分110は、イオンがイオン閉じ込め空間106内で第1の表面102及び第2の表面104に向かって移動するのを抑制する表面閉じ込め電場を生成する。
【0023】
各エッジ部分112は、主要部分110の(X軸に沿った)端部に形成され、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って(例えば、Z軸に沿って)、主要部分110よりも幅広である。図1及び図2に示されるように、電極108はL形状を有するが、他の形状も考えられ、それらのうちのいくつかは代替例において以下に説明される。主要部分110が長方形又は直線でない(例えば、楕円形、湾曲、波状、又は不規則である)例では、エッジ部分112は、エッジ部分112が接続される主要部分110の直接隣接する端部よりも幅広であり得る。追加的又は代替的に、エッジ部分112は、主要部分110の平均又は最大幅よりも幅広であり得る。図1図4Cに示されるように、各エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する電極108の主要部分110の全部又は一部を越えて延在する(例えば、X方向に沿って見たときに主要部分110の全部又は一部に重なる)。以下に説明するように、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取る対向するエッジ部分112は、イオンがイオン閉じ込め空間106の第1の側206及び第2の側208に向かって移動するのを抑制するエッジ閉じ込め電場を生成する。
【0024】
上述したように、第1の表面102は、電極108の第1の配列114を含み、第2の表面104は、第1の配列114に対向して位置付けられた電極108の第2の配列116を含む。第1の配列114及び第2の配列116は、それらの間にイオン閉じ込め空間106を画定する。
【0025】
第1の配列114は、各エッジ部分112が、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する第1の電極108-1又は第2の電極108-2の主要部110の全部又は一部を越えて延在するように、交互に配列された第1の電極108-1及び第2の電極108-2を含む。図1図2図4B、及び図4Cに示されるように、第1の電極108-1の各第1のエッジ部分112-1は、(-Z方向に)次の(又は前の)隣接する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2を越えて延在する。同様に、第2の電極108-2の各第2のエッジ部分112-2は、(-Z方向に)次の(又は前の)隣接する第1の電極108-1の第1の主要部分110-1を越えて延在する。代替構成(図示せず)では、一対の隣接する電極108のエッジ部分112は、互いを越えて延在する。例えば、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、(-Z方向に)隣接する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の全部又は一部を越えて延在してもよく、第2の電極108-2の第2のエッジ部分112-2は、(+Z方向に)隣接する第1の電極108-1の第1の主要部分110-1の全部又は一部を越えて延在してもよい。
【0026】
第2の配列116は、各エッジ部分112が、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する第3の電極108-3又は第4の電極108-4の主要部分110の全部又は一部を越えて延在するように、交互に配列された第3の電極108-3及び第4の電極108-4を含む。図1図2図4B、及び図4Cに示されるように、第3の電極108-3の各第3のエッジ部分112-3は、(-Z方向に)次の(又は前の)隣接する第4の電極108-4の第4の主要部分110-4を越えて延在する。同様に、第4の電極108-4の各第4のエッジ部分112-4は、(-Z方向に)次の(又は前の)隣接する第3の電極108-3の第3の主要部分110-3を越えて延在する。代替構成(図示せず)では、一対の隣接する電極108のエッジ部分112は、互いを越えて延在する。例えば、第3の電極108-3の第3のエッジ部分112-3は、(-Z方向に)隣接する第4の電極108-4の第4の主要部分110-4の全部又は一部を越えて延在してもよく、第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4は、(+Z方向に)隣接する第3の電極108-3の第3の主要部分110-3の全部又は一部を越えて延在してもよい。
【0027】
今説明した構成では、各エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する電極108の主要部分110の全部又は一部を越えて延在する。したがって、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に沿って互いに隣接して位置付けられ、第2の電極108-2の第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に沿って互いに隣接して位置付けられる。同様に、第3の電極108-3の第3のエッジ部分112-3は、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に沿って互いに隣接して位置付けられ、第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4は、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に沿って互いに隣接して位置付けられる。
【0028】
述べたように、電極108は、RF電圧を受け取り、表面閉じ込め電場及びエッジ閉じ込め電場を生成して、イオンをイオン閉じ込め空間106内に閉じ込めるように構成される。上述の構成では、第1の電極108-1及び第3の電極108-3は、同じ位相を有するRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極108-2及び第4の電極108-4は、同じ位相であるが、第1の電極108-1及び第3の電極108-3によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成されている。図では、第1の位相の電極108(例えば、第1の電極108-1及び第3の電極108-3)は、白色で示され、第2の反対位相の電極108(例えば、第2の電極108-2及び第4の電極108-4)は、陰影を付けられている。いくつかの例では、第1の電極108-1及び第3の電極108-3によって受け取られるRF電圧は、第2の電極108-2及び第4の電極108-4によって受け取られるRF電圧と180°位相がずれている。したがって、第1の配列114及び第2の配列116は、対向する主要部分110の対が、同じ位相を有するか、又は互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112の対が、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、互いに対向して位置付けられ得る。
【0029】
例えば、図1図3A、及び図4Aに示されるように、第1の電極108-1の第1の主要部分110-1は、第3の電極108-3の第3の主要部分110-3に対向して位置付けられる。同様に、図1図3B、及び図4Aに示されるように、第2の電極108-2の第2の主要部分110-2は、第4の電極108-4の第4の主要部分110-4に対向して位置付けられる。図1図3A図3B、及び図4Bに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第1の側206において、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4に対向して位置付けられる。図1図3A図3B、及び図4Cに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第2の側208において、第2の電極108-2の第2のエッジ部分112-2は、第3の電極108-3の第3のエッジ部分112-3に対向して位置付けられる。
【0030】
いくつかの例では、第1の電極108-1及び第3の電極108-3は、電圧源(図示せず)から第1のRF電圧を供給するように構成された第1の回路(図示せず)に接続され、第2の電極108-2及び第4の電極108-4は、同じ電圧源又は異なる電圧源から第2のRF電圧を供給するように構成された第2の回路(図示せず)に接続される。第2のRF電圧は、第1のRF電圧に対して位相シフトされる。電圧源が第1の回路及び第2の回路に対して同じである例では、第1の回路又は第2の回路のいずれかは、任意の好適な位相シフト回路又は位相シフトモジュールを含み得る。
【0031】
図1に示されるように、第1の配列114のL形状電極108(例えば、第1の電極108-1及び第2の電極108-2)のエッジ部分112は、第2の配列116のL形状電極108(例えば、第3の電極108-3及び第4の電極108-4)のエッジ部分112と同じ方向(例えば、-Z方向)に延在する。代替構成では、第1の配列114のL形状電極108のエッジ部分112は、Z軸に沿って、第2の配列116のL形状電極108のエッジ部分112(例えば、-Z方向)とは反対の方向(例えば、+Z方向)に延在する。
【0032】
ここで、イオンガイド100の動作について、図5図6A及び図6Bを参照して説明する。図5は、図4Aと同様であり、イオンガイド100の断面図と、電極108がRF電圧を受け取ったときに電極108によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。図6A及び図6Bは、それぞれ図3A及び図3Bと同様であり、イオンガイド100の断面図と、電極108がRF電圧を受け取ったときに電極108によって生成される例示的な閉じ込め電場の等電位線とを示す。電極108がRF電圧を受け取ると、電極108の主要部分110及びエッジ部分112は、以下に説明するように、閉じ込め電場を生成してイオン502をイオン閉じ込め空間106内に閉じ込める。
【0033】
第1の電極108-1及び第3の電極108-3の対向する主要部分110の対は、表面閉じ込め電場を生成する。図5及び図6Aに示されるように、第1の表面102上の第1の電極108-1の第1の主要部分110-1は、第1の表面閉じ込め電場504-1を生成し、第2の表面104上の第3の電極108-3の第3の主要部分110-3は、第2の表面閉じ込め電場504-2を生成する。対向する第1の電極108-1の第1の主要部分110-1と第3の電極108-3の第3の主要部分110-3とは、同じ位相を有するRF電圧を受け取るが、それらは隣接する第2の電極108-2及び第4の電極108-4によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているので、イオン閉じ込め空間108内の低電位の領域が、第1の表面102と第2の表面104との間に形成される。
【0034】
対向する第2の電極108-2の主要部分110-2と第4の電極108-4の第4の主要部分110-4との対もまた、表面閉じ込め電場を生成する。図5及び図6Bに示されるように、第1の表面102上の第2の電極108-2の第2の主要部分110-2はまた、第1の表面閉じ込め電場504-1を生成し、第2の表面104上の第4の電極108-4の第4の主要部分110-4はまた、第2の表面閉じ込め電場504-2を生成する。対向する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2と第4の電極108-4の第4の主要部分110-4とは、同じ位相を有するRF電圧を受け取るが、それらは隣接する第1の電極108-1及び第3の電極108-3によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているので、低電位の領域が、第1の表面102と第2の表面104との間のイオン閉じ込め空間106内に形成される。
【0035】
第1の表面102上の第1の主要部分110-1と第2の主要部分110-2とによって生成される第1の表面閉じ込め電場504-1は、イオン502が第1の表面102に向かって移動することを抑制するトラッピング電位である。第2の表面104上の第3の主要部分110-3と第4の主要部分110-4とによって生成される第2の表面閉じ込め電場504-2は、またイオン502が第2の表面104に向かって移動することを抑制するトラッピング電位である。
【0036】
イオン閉じ込め空間106の第1の側206及び第2の側208において、対向するエッジ部分112がエッジ閉じ込め電場を生成する。図6Aに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第1の側206において、第1の表面102上の第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、第2の表面104上の第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4に対向して位置付けられる。第1のエッジ部分112-1及び第4のエッジ部分112-4は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るので、第1のエッジ閉じ込め電場602-1が第1の側206に生成される。第1のエッジ閉じ込め電場602-1は、イオン502が第1の側206に向かって移動し、第1の側206においてイオン閉じ込め空間106から逃げるのを抑制するトラッピング電位である。
【0037】
図6Bに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第2の側208において、第1の表面102上の第2の電極108-2の第2のエッジ部分112-2は、第2の表面104上の第3の電極108-3の第3のエッジ部分112-3に対向して位置付けられる。第2のエッジ部分112-2及び第3のエッジ部分112-3は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るので、第2のエッジ閉じ込め電場602-2が第2の側208に生成される。第2のエッジ閉じ込め電場602-2は、イオン502が第2の側208に向かって移動し、第2の側208においてイオン閉じ込め空間106から逃げるのを抑制するトラッピング電位である。
【0038】
イオンがイオン閉じ込め空間106に導入されると、第1の表面閉じ込め電場504-1は、イオン502が第1の表面102に向かって+Y方向に移動するのを抑制し、第2の表面閉じ込め電場504-2は、イオン502が第2の表面104に向かって-Y方向に移動するのを抑制する。第1のエッジ閉じ込め電場602-1は、イオン502が第1の側206に向かって-X方向に移動するのを抑制し、第2のエッジ閉じ込め電場602-2は、イオン502が第2の側208に向かって+X方向に移動するのを抑制する。
【0039】
この構成を用いて、電極108は、RF電圧を受け取り、表面閉じ込め電場504及びエッジ閉じ込め電場602を生成して、イオン502をイオン閉じ込め空間106内に閉じ込め得る。第1のエッジ閉じ込め電場602-1及び第2のエッジ閉じ込め電場602-2はRF電場であるので、電極108は、X軸に沿ってイオン閉じ込め空間106内にイオン502の極性非依存閉じ込めを提供する。更に、第1のエッジ閉じ込め電場602-1及び第2のエッジ閉じ込め電場602-2は、第1の表面閉じ込め電場504-1及び第2の表面閉じ込め電場504-2を生成する同じ電極から生成され、それによってイオンガイド100の設計及び構造を簡略化する。
【0040】
図1図4Cの例では、第1の表面102及び第2の表面104上のエッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸の周りで回転対称性を有する。すなわち、エッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相は、イオンガイド100の断面対角線にわたって同じである。例えば、図6A及び図6Bに示されるように、第1の側206における第1の表面102上の第1のエッジ部分112-1及び第2の側208における第2の表面104上の第3のエッジ部分112-3は、同じ位相を有するRF電圧を受け取るように構成され、第2の側208における第1の表面102上の第2のエッジ部分112-2及び第1の側206における第2の表面104上の第4のエッジ部分112-4は、同じ位相を有するが、第1のエッジ部分112-1及び第3のエッジ部分112-3によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成される。回転対称構成を使用することによって、同じ表面構成が、第1の表面102及び第2の表面104の両方に使用され得る。例えば、同一のPCBが、第1の表面102及び第2の表面104の両方に使用されてもよく、したがって、低複雑性及び低コストでのイオンガイド100の製造を容易にする。
【0041】
上述の例では、回転対称構成は、上述のようにL形状電極108を使用することによって達成される。しかしながら、回転対称構成は、他の電極形状を使用することによって達成されてもよい。次に、代替電極形状の例を、図7及び図8を参照して説明する。
【0042】
図7は、表面700上の電極108の代替構成を示す。表面700は、イオンガイド100の第1の表面102及び/又は第2の表面104を実装し得る。図7において、各電極108は、電極108の各エッジ部分112がイオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って両方向に電極108の主要部分110を越えて延在するT形状を有する。したがって、各エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向に沿って、電極108の主要部分110よりも幅広である。いくつかの例では、エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、両方の隣接する電極108の主要部分110の少なくとも一部を越えて延在する。イオンガイドは、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、一方の表面700をイオン閉じ込め空間106の長手方向軸の周りで回転させて、2つの表面700を互いに対向して位置付けることによって形成され得る。
【0043】
図8は、表面800上の電極108の別の代替構成を示す。表面800は、イオンガイド100の第1の表面102及び/又は第2の表面104を実装し得る。図8において、各電極108は、電極108の各エッジ部分112が主要部分110からフレア状に広がり(例えば、三角形の形状を有し)、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って両方向に電極108の主要部分110を越えて延在するY形状を有する。したがって、各エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向に沿って、電極108の主要部分110よりも幅広である。いくつかの例では、エッジ部分112は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、両方の隣接する電極108の主要部分110の少なくとも一部を越えて延在する。イオンガイドは、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、一方の表面800をイオン閉じ込め空間106の長手方向軸の周りで回転させて、2つの表面800を互いに対向して位置付けることによって形成され得る。
【0044】
図9図11Bは、別の例示的なイオンガイド900の様々な視図を示す。図9は、イオンガイド900の斜視図を示す。図10は、イオンガイド900の平面図を示す。図11A及び図11Bは、図10においてそれぞれXIA及びXIBとラベル付けされた一点鎖線に沿って取られたイオンガイド900の断面図を示す。イオンガイド900は、イオンガイド900において、第1の表面102及び第2の表面104上のエッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相がX鏡面対称性を有することを除いて、イオンガイド100と同様である。すなわち、エッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相は、イオンガイド100にわたって水平方向に(X軸に沿って)同じである。この鏡面対称構成は、ここで説明されるように、主要部分110の両端にエッジ部分112を有する電極108(例えば、第1の電極108-1)のセットによって達成される。
【0045】
図9及び図10に示されるように、第1の配列114は、第1の表面102上に交互に配列された第1の電極108-1及び第2の電極108-2を含む。図示のように、各第1の電極108-1は、第1の主要部分110-1の第1の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に対応する-X側の端部)に第1のエッジ部分112-1を含み、第1の主要部分110-1の第2の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に対応する+X側の端部)に第2のエッジ部分112-2を含む。第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2の両方は、第1の主要部分110-1よりも幅広であり、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って同じ方向(例えば、-Z方向)に第1の主要部分110-1を越えて延在する。これにより、第1の電極108-1は各々、ダブルL形状(「LL形状」)を有する。第2の電極108-2は、第2の主要部分110-2を有するが、エッジ部分を有さない。いくつかの例では、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の全部又は一部を越えて延在する。例えば、図9及び図10に示されるように、第2の電極108-2は、隣接する第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1と第2のエッジ部分112-2との間に位置付けられる。
【0046】
第2の配列116は、第2の表面104上に交互に配列された第3の電極108-3及び第4の電極108-4を含む。図示のように、第3の電極108-3は、第3の主要部分110-3を有するが、エッジ部分を有さない。各第4の電極108-4は、第4の主要部分110-4の第1の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に対応する-X側の端部)に第4のエッジ部分112-4を含み、第4の主要部分110-4の第2の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に対応する+X側の端部)に第3のエッジ部分112-3を含む。第3のエッジ部分112-3及び第4のエッジ部分112-4の両方は、第4の主要部分110-4よりも幅広であり、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って同じ方向(例えば、-Z方向)に第4の主要部分110-4を越えて延在する。これにより、第4の電極108-4は各々、第1の電極108-1と同様に、ダブルL形状(「LL形状」)を有する。いくつかの例では、第4の電極108-4の第3のエッジ部分112-3及び第4のエッジ部分112-4は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する第3の電極108-3の第3の主要部分110-3の全部又は一部を越えて延在する。例えば、図9及び図10に示されるように、第3の電極108-3は、隣接する第4の電極108-4の第3のエッジ部分112-3と第4のエッジ部分112-4との間に位置付けられる。
【0047】
今説明した構成では、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に沿って互いに隣接して位置付けられ、第1の電極108-1の第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に沿って互いに隣接して位置付けられる。同様に、第4の電極108-4の第3のエッジ部分112-3は、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に沿って互いに隣接して位置付けられ、第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4は、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に沿って互いに隣接して位置付けられる。
【0048】
イオンガイド900の電極108は、RF電圧を受け取り、表面閉じ込め電場及びエッジ閉じ込め電場を生成して、イオンをイオン閉じ込め空間106内に閉じ込めるように構成される。上述の構成では、第1の電極108-1及び第3の電極108-3は、同じ位相を有するRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極108-2及び第4の電極108-4は、同じ位相であるが、第1の電極108-1及び第3の電極108-3によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成されている。いくつかの例では、第1の電極108-1及び第3の電極108-3によって受け取られるRF電圧は、第2の電極108-2及び第4の電極108-4によって受け取られるRF電圧と180°位相がずれている。したがって、第1の配列114及び第2の配列116は、対向する主要部分110の対が、同じ位相を有するRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112の対が、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、互いに対向して位置付けられ得る。
【0049】
例えば、図9及び図11Aに示されるように、LL形状の第1の電極108-1の第1の主要部分110-1が、LL形状の第3の電極108-3の第3の主要部分110-3に対向して位置付けられるように、第1の配列114は、Z軸に沿って第2の配列116からオフセットされる。同様に、図9及び図11Bに示されるように、LL形状の第2の電極108-2の第2の主要部分110-2は、LL形状の第4の電極108-4の第4の主要部分110-4に対向して位置付けられる。図9並びに図11A及び図11Bに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第1の側206において、第1の電極108-1の第1のエッジ部分112-1は、第4の電極108-4の第4のエッジ部分112-4に対向して位置付けられる。図9並びに図11A及び図11Bに示されるように、イオン閉じ込め空間106の第2の側208において、第1の電極108-1の第2のエッジ部分112-2は、第4の電極108-4の第3のエッジ部分112-3に対向して位置付けられる。
【0050】
図9に示されるように、第1の配列114のLL形状電極108(例えば、第1の電極108-1)のエッジ部分112は、第2の配列116のLL形状電極108(例えば、第4の電極108-4)のエッジ部分112と同じ方向(例えば、-Z方向)に延在する。代替構成では、第1の配列114のLL形状電極108のエッジ部分112は、Z軸に沿って、第2の配列116のL形状電極108のエッジ部分112(例えば、-Z方向)とは反対の方向(例えば、+Z方向)に延在する。
【0051】
電極108がRF電圧を受け取ると、電極108の主要部分110及びエッジ部分112は、閉じ込め電場を生成してイオン502をイオン閉じ込め空間106内に閉じ込める。例えば、電極108の対向する主要部分の対は、同じ位相を有するRF電圧を受け取り、それによって、第1の表面閉じ込め電場504-1及び第2の表面閉じ込め電場504-2を生成する。イオン閉じ込め空間106の第1の側206において、対向する第1のエッジ部分112-1及び第4のエッジ部分112-4は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、それによって、第1のエッジ閉じ込め電場602-1を生成する。イオン閉じ込め空間106の第2の側208において、対向する第2のエッジ部分112-2及び第3のエッジ部分112-3は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、それによって、第2のエッジ閉じ込め電場602-2を生成する。
【0052】
図9図11Bの例では、第1の表面102及び第2の表面104上のエッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相は、イオン閉じ込め空間106にわたって(例えば、YZ平面にわたって)鏡面対称性を有する。すなわち、エッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相は、イオンガイド100にわたって水平方向に(X軸に沿って)同じである。例えば、図11A及び図11Bに示されるように、第1の側206における第1の表面102上の第1のエッジ部分112-1及び第2の側208における第1の表面102上の第2のエッジ部分112-2は、同じ位相を有するRF電圧を受け取るように構成され、第2の側208における第2の表面104上の第3のエッジ部分112-3及び第1の側206における第2の表面104上の第4のエッジ部分112-4は、同じ位相を有するが、第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成される。
【0053】
上述の例では、鏡面対称構成は、上述のように、LL形状電極108を使用することによって達成される。しかしながら、鏡面対称構成は、他の電極形状を使用することによって達成されてもよい。次に、代替電極形状の例を、図12図14を参照して説明する。
【0054】
図12は、表面1200上の電極108の別の代替構成を示す。表面1200は、イオンガイド900の第1の表面102及び/又は第2の表面104を実装してもよい。図12において、同じ電極108の第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2は、Z軸に沿って反対方向に延在する。図示のように、第1のエッジ部分112-1は-Z方向に延在し、一方、第2のエッジ部分112-2は+Z方向に延在する。したがって、第1の電極108-1は各々、二重L形状(「LL形状」)を有するが、第2の電極108-2はエッジ部分を有さない。いくつかの例では、第1のエッジ部分112-1は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、隣接する(+Z方向において)第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の少なくとも一部を越えて延在する。電極の第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、別の隣接する(-Z方向において)第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の少なくとも一部を越えて延在する。イオンガイドは、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、1つの表面1200がオフセットされた状態で2つの表面1200を互いに対向して位置付けることによって形成され得る。
【0055】
図13は、表面1300上の電極108の別の代替構成を示す。表面1300は、イオンガイド900の第1の表面及び/又は第2の表面104を実装してもよい。図13において、各第1の電極108-1は、第1の主要部分110-1の第1の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に対応する-X側の端部)に第1のエッジ部分112-1を含み、第1の主要部分110-1の第2の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に対応する+X側の端部)に第2のエッジ部分112-2を含む。第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2の両方は、Z軸に沿って両方向(例えば、+Z方向及び-Z方向)に主要部分110を越えて延在する。したがって、第1の電極108-1は各々、二重T形状(「TT形状」)を有し、一方、第2の電極108-2は、エッジ部分を有さない。第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、両方の隣接する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の少なくとも一部を越えて延在する。イオンガイドは、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、1つの表面1300がオフセットされた状態で2つの表面1300を互いに対向して位置付けることによって形成され得る。
【0056】
図14は、表面1400上の電極108の別の代替構成を示す。表面1400は、イオンガイド900の第1の表面及び/又は第2の表面104を実装してもよい。図14は、第1の電極108-1が二重Y形状(「YY形状」)を有することを除いて、図13と同様である。図14において、第1の電極108-1は、第1の主要部分110-1の第1の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第1の側206に対応する-X側の端部)に第1のエッジ部分112-1を含み、第1の主要部分110-1の第2の端部(例えば、イオン閉じ込め空間106の第2の側208に対応する+X側の端部)に第2のエッジ部分112-2を含む。第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2の両方は、第1の主要部分110-1から(例えば、三角形の形状で)フレア状に広がり、Z軸に沿って両方向(例えば、+Z方向及び-Z方向)に第1の主要部分110-1を越えて延在する。第2の電極108-2は、エッジ部分を有さない。第1のエッジ部分112-1及び第2のエッジ部分112-2は、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、両方の隣接する第2の電極108-2の第2の主要部分110-2の少なくとも一部を越えて延在する。イオンガイドは、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取り、対向するエッジ部分112が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って、1つの表面1400がオフセットされた状態で2つの表面1400を互いに対向して位置付けることによって形成され得る。
【0057】
本明細書で説明した装置に対して様々な修正を行うことができる。いくつかの例では、第1の配列114及び第2の配列116は、同じ位相のRF電圧を受け取る電極108の主要部分110が互いに直接対向して位置付けられないように、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って互いにオフセットされる。例えば、対向する主要部分110は、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取ることができる。したがって、第1の主要部分110-1は、第4の主要部分110-4に対向して位置付けられてもよく、第2の主要部分110-2は、第3の主要部分110-3に対向して位置付けられてもよい。他の構成では、第1の配列114及び第2の配列116は、第1の主要部分110-1及び第2の主要部分110-2が、隣接する第3の主要部分110-3と第4の主要部分110-4との間の間隙に部分的に又は全体的に対向して位置付けられるように、イオン閉じ込め空間106の長手方向軸に沿って互いからオフセットされる。同様に、第3の主要部分110-3及び第4の主要部分110-4は、隣接する第1の主要部分110-1と第2の主要部分110-2との間の間隙に部分的に又は全体的に対向して位置付けられる。電極108のエッジ部分112の形状のために、第1の配列114及び第2の配列116のオフセット構成は、対向するエッジ部分112によって受け取られるRF電圧の位相又はエッジ閉じ込め電場を変更しない。
【0058】
いくつかの例では、第1の表面102上の第1の配列114は、第2の表面104上の第2の配列116とは異なる。例えば、第1の配列114は、図2に示される構成を有してもよく、第2の配列116は、図7又は図8に示される構成を有してもよい。別の例として、第1の配列114は、図10及び図12図14のいずれか1つに示される構成を有してもよく、第2の配列116は、図10及び図12図14のいずれか他に示される任意の構成を有してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1の配列114及び/又は第2の配列116は、異なる電極形状の組み合わせを含む。例えば、第1の配列114及び/又は第2の配列116は、L形状電極108、T形状電極108、及びY形状電極108の任意の組み合わせを含んでもよい。別の例として、第1の配列114及び/又は第2の配列116は、LL形状電極108、TT形状電極108、及びYY形状電極108の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0060】
上述の例では、エッジ部分112は、長方形(L形状又はT形状電極)又は三角形(Y形状電極)である。しかしながら、エッジ部分112は、特定の実装に適し得るような任意の他の形状(例えば、丸みを帯びた形状、楕円形状、不規則な形状など)を有し得る。
【0061】
上述の例では、エッジ部分112は、主要部分110と一体的に形成されている。他の実施形態では、エッジ部分112及び主要部分110は、別々に形成されるが、同じRF電圧を受け取るように電気的に接続される(例えば、ビア、トレース、ワイヤ、リレー等によって)。
【0062】
上述の例では、電極108は、線形(直線)イオン経路を形成するように配列される。他の実施形態では、電極108は、非線形イオン経路を形成するように配列される。例えば、イオン経路は、1つ以上の屈曲部、転回部、湾曲部、及び/又は角度を含んでもよい。更に、本明細書で説明されるイオンガイドは、複数のイオン経路及び他のイオン経路との1つ以上の接合部又は交差部を含んでもよい。
【0063】
図15は、イオンを誘導する例示的な方法1500のフロー図を示す。図15は、一実施形態による例示的な動作を示すが、他の実施形態は、図15に示される方法1500の1つ以上の動作を省略、追加、再順序付け、及び/又は修正することができる。図15に示される方法1500の各動作は、本明細書で説明される任意の様態で実行され得る。
【0064】
動作1502において、RF電圧が、本明細書に説明されるように構成されたイオンガイド(例えば、イオンガイド100又はイオンガイド900)内に含まれる電極に印加される。例えば、イオンガイドは、第1の表面と、第1の表面に対向して位置付けられた第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極とを含み、第1の電極の配列及び第2の電極の配列は、互いに対向して位置付けられ、それらの間にイオン閉じ込め空間を画定する。複数の電極は、本明細書に説明されるように構成される。例えば、複数の電極に含まれる電極は、主要部分と、主要部分よりも幅広であるエッジ部分とを有する。
【0065】
動作1504において、イオンがイオンガイドに導入される。複数の電極がRF電圧を受け取ると、複数の電極は、イオンガイドの長手方向軸(例えば、Z軸)に垂直な第1の軸(例えば、Y軸)に沿って、かつ第2の軸(例えば、X軸)に沿ってイオン閉じ込め空間内にイオンの極性非依存閉じ込めを提供する、表面閉じ込め電場及びエッジ閉じ込め電場を生成する。
【0066】
図16は、イオンガイド(例えば、イオンガイド100又はイオンガイド900)を作製する例示的な方法1600のフロー図を示す。図16は、一実施形態による例示的な動作を示すが、他の実施形態は、図16に示される方法1600の1つ以上の動作を省略、追加、再順序付け、及び/又は修正することができる。図16に示される方法1600の各動作は、本明細書で説明される任意の様態で実行され得る。
【0067】
動作1602において、第1の複数の電極は、第1の表面(例えば、第1の表面102)上に第1の配列(例えば、第1の配列114)で第1の軸(例えば、Z軸)に沿って配列される。複数の電極は、本明細書に説明されるように配列される。第1の複数の電極に含まれる電極は、主要部分と、第1の軸に沿って主要部分よりも幅広であるエッジ部分とを含む。いくつかの例では、電極は、L形状、T形状、Y形状、LL形状、TT形状、又はYY形状を有する。
【0068】
動作1604において、第2の複数の電極は、第2の表面(例えば、第2の表面104)上に第2の配列(例えば、第2の配列116)で第2の軸(例えば、Z軸)に沿って配列される。第2の複数の電極は、本明細書に説明されるように配列される。第2の複数の電極に含まれる電極は、主要部分と、第2の軸に沿って主要部分よりも幅広であるエッジ部分とを含む。いくつかの例では、電極は、L形状、T形状、Y形状、LL形状、TT形状、又はYY形状を有する。
【0069】
動作1606において、第1の電極の配列及び第2の電極の配列がそれらの間にイオン閉じ込め空間を画定するように、第1の表面が第2の表面に対向して位置付けられる。第1の軸及び第2の軸は、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って延在する。
【0070】
一方、前述の説明において、様々な例示的な実施形態が添付の図面を参照して説明されてきたことが、当業者によって認識されるであろう。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がそれに対して行われてもよく、追加の実施形態が実装されてもよいことは明らかであろう。例えば、本明細書に記載される一実施形態の特定の特徴は、本明細書に記載される別の実施形態の特徴と組み合わされてもよく、又はそれらの特徴と置換されてもよい。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されるべきである。
【0071】
本開示の利点及び特徴は、以下の実施例によって更に説明することができる。
実施例1.イオンガイドであって、間に間隙を有して互いに面する第1の表面及び第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、間隙内にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、各第1の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第1のエッジ部分であって、第1のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広である、第1のエッジ部分と、を備え、第2の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、各第4の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第4の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第4のエッジ部分であって、第4のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広である、第4のエッジ部分と、を備え、第1の電極の第1のエッジ部分が、第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、第1の電極及び第3の電極が、第1のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極が、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取るように構成されている、イオンガイド。
実施例2.第1の電極及び第2の電極が、L形状、T形状、又はY形状を有する、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例3.各第3の電極が、第3の主要部分を備え、第1の電極の第1の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられている、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例4.第1の電極の第1の主要部分が、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられている、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例5.各第2の電極が、第2の主要部分を備え、各第3の電極が、第3の主要部分を備え、第1の電極の第1の主要部分及び第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分と第4の電極の第4の主要部分との間の間隙に対向して位置付けられている、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例6.各第2の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第2の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第2の側にある第2のエッジ部分であって、第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第2の主要部分よりも幅広である、第2のエッジ部分と、を備え、各第3の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第3の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第2の側にある第3のエッジ部分であって、第3のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第3の主要部分よりも幅広である、第3のエッジ部分と、を備え、第2の電極の第2のエッジ部分が、第3の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられている、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例7.第2の電極及び第3の電極が、L形状、T形状、又はY形状を有する、実施例6に記載のイオンガイド。
実施例8.第2の電極の第2の主要部分が、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられている、実施例6に記載のイオンガイド。
実施例9.第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられている、実施例6に記載のイオンガイド。
実施例10.第1の電極の第1の主要部分及び第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分と第4の電極の第4の主要部分との間の間隙に対向して位置付けられている、実施例6に記載のイオンガイド。
実施例11.各第1の電極が、イオン閉じ込め空間の第2の側に第2のエッジ部分を更に備え、第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広であり、各第4の電極が、イオン閉じ込め空間の第2の側に第3のエッジ部分を更に備え、第3のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広であり、第1の電極の第2のエッジ部分が、第4の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられている、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例12.第1の電極及び第4の電極が、LL形状、TT形状、又はYY形状を有する、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例13.第1のエッジ部分及び第2のエッジ部分が、イオン封じ込め空間の長手方向軸に沿って反対方向に延在する、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例14.各第2の電極が、第2の主要部分を備え、各第3の電極が、第3の主要部分を備え、第1の電極の第1の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分が、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられている、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例15.各第2の電極が、第2の主要部分を備え、各第3の電極が、第3の主要部分を備え、第1の電極の第1の主要部分が、第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分に対向して位置付けられている、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例16.各第2の電極が、第2の主要部分を備え、各第3の電極が、第3の主要部分を備え、第1の電極の第1の主要部分及び第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分と第4の電極の第4の主要部分との間の間隙に対向して位置付けられている、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例17.第1の電極の第1のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、隣接する第2の電極の第2の主要部分の全部又は一部に延在する、実施例11に記載のイオンガイド。
実施例18.第4の電極の第4のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、隣接する第3の電極の第3の主要部分の全部又は一部を越えて延在する、実施例17に記載のイオンガイド。
実施例19.第1の表面及び第2の表面のうちの一方又は両方が、プリント回路基板(PCB)を備える、実施例1に記載のイオンガイド。
実施例20.イオンを誘導する方法であって、イオンガイドにイオンを導入することであって、イオンガイドが、間に間隙を有して互いに面する第1の表面及び第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、間隙内にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、各第1の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第1の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第1のエッジ部分であって、第1のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第1の主要部分よりも幅広である、第1のエッジ部分と、を備え、第2の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に交互に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、各第4の電極が、イオン閉じ込め空間の第1の側からイオン閉じ込め空間の第2の側まで延在する第4の主要部分と、イオン閉じ込め空間の第1の側にある第4のエッジ部分であって、第4のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、第4の主要部分よりも幅広である、第4のエッジ部分と、を備え、第1の電極の第1のエッジ部分が、第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられている、導入することと、RF電圧を複数の電極に印加することと、を含み、第1の電極及び第3の電極が、第1のRF電圧を受け取り、第2の電極及び第4の電極が、第1のRF電圧に対して位相シフトされている第2のRF電圧を受け取る、方法。
実施例21.イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿ってイオンを駆動すること、を更に含む、実施例20に記載の方法。
実施例22.イオンをイオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って駆動することが、キャリアガスをイオン閉じ込め空間に通過させることを含む、実施例21に記載の方法。
実施例23.イオンをイオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って駆動することが、DC電圧を複数の電極に印加して、DC勾配場又はDC進行波を生成することを含む、実施例21に記載の方法。
実施例24.RF電圧が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿ってイオンを駆動するように構成されている、実施例21に記載の方法。
実施例25.イオン閉じ込め空間内にイオンをトラップすること、を更に含む、実施例20に記載の方法。
実施例26.イオンガイドであって、間に間隙を有して互いに面する第1の表面及び第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極であって、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が、互いに対向して位置付けられ、間隙内にイオン閉じ込め空間を画定する、複数の電極と、を備え、第1の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に交互に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、第2の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に交互に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、第1の電極及び第3の電極が、同じ位相のRF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極が、同じ位相を有し、第1の電極及び第3の電極によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成され、第1の電極及び第3の電極の主要部分と、第2の電極及び第4の電極の主要部分とが、イオン閉じ込め空間内のイオンの第1の表面及び第2の表面に向かう移動を抑制する表面閉じ込め電場を生成するように構成され、第1の電極及び第4の電極の対向するエッジ部分が、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、イオン閉じ込め空間内のイオンのイオン封じ込め空間の第1の側に向かう移動を抑制する第1のエッジ閉じ込め電場を生成するように構成されている、イオンガイド。
実施例27.第2の電極及び第3の電極の対向するエッジ部分が、互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取り、イオン閉じ込め空間内でイオン閉じ込め空間の第2の側に向かうイオンの移動を抑制する第2のエッジ閉じ込め電場を生成するように構成されている、実施例26に記載のイオンガイド。
実施例28.第1の電極及び第4の電極の追加の対向するエッジ部分が、イオン閉じ込め空間内のイオンのイオン閉じ込め空間の第2の側に向かう移動を抑制する第2のエッジ閉じ込め電場を生成する、実施例26に記載のイオンガイド。
実施例29.各第1の電極が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、隣接する第2の電極まで延在し、各第4の電極が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、隣接する第3の電極まで延在する、実施例26に記載のイオンガイド。
実施例30.第1の電極及び第4の電極が、L形状、T形状、又はY形状を有する、実施例26に記載のイオンガイド。
実施例31.第1の電極及び第4の電極が、LL形状、TT形状、又はYY形状を有する、実施例26に記載のイオンガイド。
実施例32.イオンガイドであって、間に間隙を有して互いに面する第1の表面及び第2の表面と、第1の表面上の第1の電極の配列及び第2の表面上の第2の電極の配列を含む複数の電極と、第1の電極の配列と第2の電極の配列との間の間隙内のイオン閉じ込め空間と、を備え、第1の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第1の表面上に配列された第1の電極及び第2の電極を備え、第2の電極の配列が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って第2の表面上に配列された第3の電極及び第4の電極を備え、第1の電極の第1の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分又は第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分又は第4の電極の第4の主要部分の他方に対向して位置付けられ、第1の電極の第1のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第1の側で第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、第1の電極及び第3の電極が、RF電圧を受け取るように構成され、第2の電極及び第4の電極が、第1の電極及び第3の電極によって受け取られるRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成されている、イオンガイド。
実施例33.第2の電極の第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第2の側において、第3の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられる、実施例32に記載のイオンガイド。
実施例34.第1の電極の第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第2の側において、第4の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられる、実施例32に記載のイオンガイド。
実施例35.イオンガイドを作製する方法であって、第1の表面上に第1の電極の配列で第1の電極及び第2の電極を配列することと、第2の表面上に第2の電極の配列で第3の電極及び第4の電極を配列することと、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が間隙内にイオン閉じ込め空間を画定するように、間に間隙を有して第2の表面に面して第1の表面を位置付けることと、含み、第1の電極の第1の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分又は第4の電極の第4の主要部分に対向して位置付けられるように、第1の電極の配列及び第2の電極の配列が位置付けられ、第2の電極の第2の主要部分が、第3の電極の第3の主要部分又は第4の電極の第4の主要部分の他方に対向して位置付けられ、第1の電極の第1のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第1側において第4の電極の第4のエッジ部分に対向して位置付けられ、第1の電極及び第3の電極を、RF電圧を受け取るように構成された第1の回路に接続することと、第2の電極及び第4の電極を、第1の回路によって受け取られたRF電圧に対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように構成された第2の回路に接続することと、を含む、イオンガイドを作製する方法。
実施例36.第1の電極の配列及び第2の電極の配列は、第2の電極の第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第2の側で第3の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられるように更に位置付けられる、実施例35に記載の方法。
実施例37.第1の電極の配列及び第2の電極の配列は、第1の電極の第2のエッジ部分が、イオン閉じ込め空間の第2の側で第4の電極の第3のエッジ部分に対向して位置付けられるように更に位置付けられる、実施例35に記載の方法。
実施例38.イオンガイドであって、対向する表面上に配列され、対向する表面間の間隙内にイオン閉じ込め空間を画定する複数の電極を備え、複数の電極の各電極が、細長い主要部分及び主要部分の端部にあるエッジ部分を備え、エッジ部分が、イオン閉じ込め空間の長手方向軸に沿って、主要部分よりも幅広であり、複数の電極が、RF電圧を受け取るように構成され、複数の電極は、対向するエッジ部分が互いに対して位相シフトされているRF電圧を受け取るように配列されている、イオンガイド。
実施例39.複数の電極は、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取るように配列されている、実施例38に記載のイオンガイド。
実施例40.複数の電極は、対向する主要部分が同じ位相のRF電圧を受け取らないように配列されている、実施例38に記載のイオンガイド。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】