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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019144
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123495
(22)【出願日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2022122260
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022150674
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 千晴
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ03
4C047JJ06
4C047JJ10
4C047JJ13
4C047JJ15
4C047JJ22
4C047JJ33
(57)【要約】
【課題】本開示の薬剤払出し装置は、ロボット機構を有さない小型の薬剤払出し装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る薬剤払出し装置1は、一処方分以上の薬剤が貯留された薬剤容器と、薬剤容器を載置する薬剤フィーダと、一処方分の薬剤がホッパに投入され、ホッパと連通するトラフから投入された薬剤が排出される粉体フィーダと、薬剤フィーダ及び粉体フィーダから排出される薬剤が投入される薬剤投入溝を有する分配皿とを備えたものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一処方分以上の薬剤が貯留された薬剤容器と、薬剤容器を載置する薬剤フィーダと、一処方分の薬剤がホッパに投入され当該ホッパと連通するトラフから投入された薬剤が排出される粉体フィーダと、薬剤フィーダ及び粉体フィーダから排出される薬剤が投入される薬剤投入溝を有する分配皿とを備えた薬剤払出し装置。
【請求項2】
分配皿の周りに、一つの粉体フィーダと、複数の薬剤フィーダとが配置された請求項1に記載の薬剤払出し装置。
【請求項3】
薬剤投入溝から薬剤が掻き出されて投入される散薬投入ホッパをさらに有し、
散薬投入ホッパは、複数の薬剤フィーダの間の位置に対して対向する位置に配置され、
粉体フィーダは、分配皿の周りにおいて、散薬投入ホッパから最も遠い位置に配置されている請求項2に記載の薬剤払出し装置。
【請求項4】
薬剤容器は、底面壁に薬剤を薬剤投入溝に排出する第1の散薬排出部を有し、
トラフは、先端に薬剤を薬剤投入溝に排出する第2の散薬排出部を有し、
第1の散薬排出部は薬剤フィーダの位置における分配皿の接線に対して第1傾斜角度で鋭角に傾斜しており、第2の散薬排出部は粉体フィーダの位置における分配皿の接線に対して第2傾斜角度で鋭角に傾斜しており、
第1傾斜角度と第2傾斜角度とが同じである請求項1又は2に記載の薬剤払出し装置。
【請求項5】
薬剤フィーダは分配皿に対して法線方向に向いており、粉体フィーダは分配皿に対して法線方向に向いている請求項1又は2に記載の薬剤払出し装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の薬剤払い出し装置から払い出された薬剤を包装する薬剤包装装置をさらに備え、薬剤包装装置に装着される薬剤分包用芯管に帯状の薬剤分包用シートが巻き付けられた薬剤包装用シートロール。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の薬剤払い出し装置から払い出された薬剤を包装する薬剤包装装置をさらに備え、薬剤包装装置に装着される帯状の薬剤分包用シートを供給するために、中心に軸方向に貫通する貫通孔を有し、外周において薬剤分包用シートをロール状に巻き付けるための薬剤分包用芯管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤を所定量計量して排出する薬剤フィーダを内蔵した薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包装置又は散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。
【0003】
従来技術の薬剤払出し装置は、特許文献1、2に開示されている。従来技術の薬剤払出し装置は、薬剤容器と容器載置装置とが組み合わされてなる薬剤フィーダを採用している。容器載置装置は、水平姿勢の振動部材と、薬剤容器の重量を測定する重量測定手段を有している。そして薬剤容器を容器載置装置の振動部材に載置し、振動部材を振動させて薬剤容器の側面の散薬排出部から薬剤を少量ずつ分配皿に排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知する。
【0004】
従来技術の薬剤払出し装置では、数多くの薬剤容器を保管可能な薬剤容器保管棚を備えている。従来技術の薬剤払出し装置は、ロボット機構によって、複数の薬剤容器を保管した薬剤容器保管棚から、処方箋の情報に基づき1つの薬剤容器を保持し、3次元的に薬剤容器を移動させて、薬剤フィーダの容器載置装置に薬剤容器を載置させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-35001号公報
【特許文献2】WO2015/076267/A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の薬剤払出し装置は、ロボット機構により3次元的に薬剤容器を移動させるので、装置全体が大型化し、部品点数も増加するので、小規模の薬局等には導入が難しいという改良の余地があった。
【0007】
本開示は、ロボット機構を有さない小型の薬剤払出し装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための本開示の一つの態様は、一処方分以上の薬剤が貯留された薬剤容器と、薬剤容器を載置する薬剤フィーダと、一処方分の薬剤がホッパに投入され当該ホッパと連通するトラフから投入された薬剤が排出される粉体フィーダと、薬剤フィーダ及び粉体フィーダから排出される薬剤が投入される薬剤投入溝を有する分配皿とを備えた薬剤払出し装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、ロボット機構を有さない小型の薬剤払出し装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1における薬剤払出し装置の概略斜視図であって、上蓋を開いた状態を示す。
図2図1の薬剤払出し装置における分配皿周辺の概略斜視図である。
図3図2の薬剤フィーダの概略の平面図である。
図4】実施形態1における薬剤フィーダの概略の斜視図である。
図5】実施形態1における薬剤フィーダの概略の正面図である。
図6】上記した実施形態とは異なる方向から観察した実施形態1に係る薬剤容器を示す斜視図であり、(a)は、蓋部材を閉状態とした様子を示し、(b)は、蓋部材を開状態とした様子を示す。
図7図6(a)の薬剤容器を別方向からみた様子を示す斜視図である。
図8】実施形態1に係る薬剤容器の概略の断面図であり、(a)は、実施形態1の薬剤容器全体を示す断面図で、(b)は、底面壁の拡大図である。
図9】実施形態1の一態様の薬剤容器の分解斜視図である。
図10図8の仕切り部材を示す図である。
図11】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外した状態の斜視図である。
図12】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外した状態の正面図である。
図13】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外し、図11とは異なる方向から観察した斜視図である。
図14】フィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外し、図13とは異なる方向から観察した斜視図であり、シャッター開閉機構の概要を拡大して示す。
図15】薬剤容器から薬剤を排出する概略の動作図であり、(a)、(b)、(c)は、薬剤容器をフィーダ本体に装着し、薬剤を排出するに至るまでの様子を示す説明図、及びその一部の拡大断面図である。
図16】係合片の動きを示す動作図であり、(a)は、左図がフィーダ本体の係合用部材を示す斜視図であり、右図がシャッター開閉機構の係合片保持部を示す斜視図である。(b)は、左図がフィーダ本体の係合片が開口内に没入している様子を示す説明図であり、右図がフィーダ本体の係合片が開口から突出している様子を示す説明図である。
図17】薬剤容器のシャッターの動作を示す説明図であり、(a)は、シャッターを閉じた状態における斜視図であり、(b)は、シャッターを開いた状態における斜視図である。
図18】薬剤フィーダと分配皿との位置関係を示す模式図で、(a)は薬剤容器の伝動部材の係合部が、シャッター開閉機構の係合部と係合した状態を示す斜視図であり、(b)は薬剤フィーダと分配皿との位置関係を示す説明図である。
図19】実施形態1の一態様の薬剤容器のシャッターの分解斜視図である。
図20】実施形態1におけるシャッター部材の動作を表す概略の動作図で、(a)は、シャッターを全開にした際における薬剤容器の底面図であり、(b)は、シャッターを半開にした際における薬剤容器の底面図であり、(c)は、シャッターを閉じた際における薬剤容器の底面図である。
図21】実施形態1における粉体フィーダの概略の斜視図である。
図22】分配皿周辺における実施形態1のホッパを取り除いた粉体フィーダの概略の斜視図である。
図23】実施形態1の平面視における、一態様の薬剤フィーダの散薬排出部と分配皿との位置関係を表した模式図である。
図24】実施形態1の平面視における、別の態様の薬剤フィーダの散薬排出部と分配皿との位置関係を表した模式図である。
図25】実施形態1の平面視における、一態様の粉体フィーダの散薬排出部と分配皿との位置関係を表した模式図である。
図26】実施形態1の平面視における、別の態様の粉体フィーダの散薬排出部と分配皿との位置関係を表した模式図である。
図27】実施形態1の掻出装置の動作を表す模式的な動作図である。
図28図1の錠剤手撒き装置を姿勢変更させた様子を示す斜視図である。
図29】実施形態2の薬剤払出し装置の概略斜視図であって、上蓋を開いた状態を示す。
図30図29の薬剤払出し装置における分配皿周辺の概略斜視図である。
図31】実施形態2の位置決め部材周辺の概略斜視図である。
図32】実施形態2の薬剤フィーダを示す概略図であって、(a)は、実施形態2の薬剤フィーダをモデル化して表示した正面図であり、(b)はそのシャッター開閉機構の分解斜視図である。
図33】実施形態2の薬剤容器の装着を示す図であって、(a)、(b)、(c)は、第2実施形態の薬剤フィーダであって、薬剤容器をフィーダ本体に装着する際の様子を示す説明図である
図34】実施形態2の薬剤容器の取り外しの動作を示す動作図であって、(a)、(b)、(c)は、第2実施形態の薬剤フィーダであって、薬剤容器をフィーダ本体から取り外す際の様子を示す説明図である
図35】実施形態2の薬剤容器の概略断面図であって、(a)は、実施形態2の薬剤容器全体を示す断面図であり、(b)は、シャッターを開いた状態におけるシャッターの近傍の断面図である。
図36】電光表示の正面図である。
図37】変形例2の薬剤容器の概略図であって、(a)は薬剤容器の概略斜視図であり、(b)は蓋部材を解除する動作図であり、(c)は蓋側係止部が閉じた状態を示す図であり、(d)は蓋側係止部が開いた状態を示す図である。
図38】変形例3の薬剤容器の概略断面図である。
図39】変形例4の薬剤容器の概略断面図である。
図40】変形例5の薬剤容器の概略斜視図である。
図41】(a)、(b)は、変形例5の薬剤容器の概略斜視図である。
図42】実施形態1の薬剤払出し装置を含む薬剤払い出しシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のより具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
尚、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、あくまで下記実施形態は一態様を表すもので、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
尚、本開示の包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体のいずれかで実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0012】
(実施形態1)
本開示の実施形態1の薬剤払出し装置1について説明する。理解を容易にするため、先に薬剤払出し装置1の概要について説明し、その後に各部材や装置を詳細に説明する。
本開示の実施形態において、薬剤とは、散薬、錠剤を潰して粉状にしたもの、又は、それらの混合物のことである。本開示の実施形態では、薬剤を単に、散薬と呼ぶ場合がある。
【0013】
図1は、薬剤払出し装置1の概略の斜視図である。図1の薬剤払出し装置1は、上蓋3を開いた状態を示している。
図1に示す様に、薬剤払出し装置1は、筐体2によって囲まれており、その内部は、錠剤手撒き領域300と、散薬分割領域301と、薬剤包装領域302に分かれている。
筐体2には、図1の様に上蓋3がある。上蓋3は、図示しないヒンジで筐体2の本体部に取り付けられている。上蓋3には表示装置35が取り付けられている。
錠剤手撒き領域300には錠剤手撒き装置303が設けられている。錠剤手撒き装置303は公知であるから、詳細な説明を省略する。
【0014】
図2は、図1の薬剤払出し装置1における分配皿6周辺の概略の斜視図である。
散薬分割領域301は、図2の様に、分配皿6が設置された領域であり、その周辺に薬剤フィーダ5(5a~5e)と、粉体フィーダ900と、清掃装置

が配置されている。また散薬分割領域301には、掻出装置8が設けられている。
分配皿6及び掻出装置8は公知であり、簡単に説明する。
分配皿6は、「凹溝」とも称され薬剤投入溝13(投入溝)が設けられた円板状の部材である。薬剤投入溝13は、分配皿6の外縁を環状に取り巻いている。分配皿6は、中央に機材収納開口15が設けられている。なお図2ではその大部分が蓋で覆われている。
機材収納開口15に、前記した散薬投入ホッパ310が設置されている。
分配皿6は、一定速度で回転させることができる。また所定の角度だけ回転させることもできる。
【0015】
図2に示す様に、薬剤払出し装置1は、分配皿6の周りに、反時計回りに、5つの薬剤フィーダ5(5a~5e)と、1つの粉体フィーダ900とが、分配皿6の半周より短い距離の間で、高密度で手前側に配置されている。分配皿6は、薬剤投入溝13を有し、反時計周りに回転する。
5つの薬剤容器420a~420eには、例えば、小規模の薬局において、何人もの患者に対応できる様に、使用頻度が高い薬剤が、一処方分以上貯留されている。
尚、薬剤容器420の個数は、1つでもよいし、複数でもよい。
【0016】
散薬投入ホッパ310は、掻出装置8により、薬剤投入溝13から薬剤が掻き出されて投入されるものである。
図2に示す様に、散薬投入ホッパ310は、複数の薬剤フィーダ5の間の位置に対して対向する位置に配置されている。図2の場合、散薬投入ホッパ310は、薬剤フィーダ5cと薬剤フィーダ5dとの間の位置(掻出装置8の回転板12の位置)に対して対向する位置に配置されている。
粉体フィーダ900は、分配皿6の周りにおいて、散薬投入ホッパ310から最も遠い位置に配置されている。図2の場合、粉体フィーダ900は、薬剤フィーダ5eの右隣に配置されている。尚、粉体フィーダ900は、薬剤フィーダ5aの位置に配置されていてもよい。
上記により、粉体フィーダ900のホッパ910に薬剤を投入する際、薬剤が飛散して、散薬投入ホッパ310に薬剤が混入するのを防止できる(図21参照)。又、粉体フィーダ900を振動させた際、ホッパ910またはトラフ920から薬剤が飛散して、散薬投入ホッパ310に薬剤が混入するのを防止できる。
【0017】
図3は、図1の薬剤払出し装置1における分配皿6周辺の概略の平面図である。
図3において、分配皿6の回転中心は、P3である。5つの薬剤フィーダ5a~5eと1つの粉体フィーダ900とは、分配皿6の回転中心P3を中心として放射状に配置されている。
【0018】
ここで、放射状に配置されているという意味について説明する。
まず、薬剤フィーダ5aの場合について説明する。
図3に示す様に、薬剤フィーダ5aの薬剤容器420aの長手方向の中心軸をP5aとする。中心軸P5aと分配皿6の外周との交点をXaとする。
交点Xaにおける分配皿6の法線Haと中心軸P5aとが重なるように、薬剤フィーダ5aが配置される。
【0019】
薬剤フィーダ5b~5eも同様に、薬剤容器420b~420eの中心軸P5b~P5eと分配皿6の外周との交点Xb~Xeにおける分配皿6の法線Hb~Heと中心軸P5b~P5eとが重なるように、配置される。
この様に、本開示の薬剤フィーダ5a~5eは、分配皿6の回転中心P3を中心として放射状に配置されている。薬剤フィーダ5a~5eのそれぞれは、薬剤容器420a~420eのそれぞれから分配皿6の薬剤投入溝13に薬剤が排出される。
【0020】
次に、粉体フィーダ900の場合について説明する。
粉体フィーダ900は、ホッパ910とトラフ920とを有する(図21)。粉体フィーダ900のトラフ920の長手方向の中心軸をP9aとする。P9aと分配皿6の外周との交点をXfとする。
粉体フィーダ900は、交点Xfにおける分配皿6の法線Hfと中心軸P9aとが重なるように、配置される。
そして、粉体フィーダ900において、ホッパ910に一処方分の量の薬剤が投入され、ホッパ910に投入された一処方分の量の薬剤がトラフ920から分配皿6の薬剤投入溝13に排出される。
上記態様の様に、薬剤フィーダ5及び粉体フィーダ900が分配皿6に対して法線方向に向いているので、分配皿6の外周の所定の領域に可能な限り多くの薬剤フィーダ5を設置でき、且つ、分配皿6の外周に設置された薬剤フィーダ5及び粉体フィーダ900から払い出される薬剤の薬剤投入溝13に対する落下条件がいずれも同じになるような配置ができる。
【0021】
(1)薬剤フィーダ
図4は、実施形態1における薬剤フィーダ5の概略の斜視図である。図5は、実施形態1における薬剤フィーダ5の概略の正面図である。
薬剤フィーダ5は、図4に示す様に、フィーダ部22と、容器支持部23とを有する。
フィーダ部22は、薬剤容器420と、薬剤容器420を保持するフィーダ本体10とを有する。フィーダ本体10は、図5に示す様に、機構上、容器支持部23と、重量測定部24と、土台部26に分けられる。
容器支持部23は、図5に示す様に、支持台27と、振動部材16(容器保持部)及び加振手段30a,30bを有している。加振手段30a,30bは、圧電素子であり、板状を呈している。この振動部材16及び加振手段30a,30bは、薬剤容器420を振動させる振動装置でもある。
【0022】
支持台27及び振動部材16は、共に側面形状が「L」型の部材であり、水平部と垂直壁部を有している。
即ち支持台27は、図5に示す様に、支持側水平部30と、支持側垂直壁部31を有している。
振動部材16は、容器保持部としても機能するものであり、振動側水平部32と、振動側垂直壁部33(縦壁)を有している。振動側垂直壁部33には、図14に示す様に、薬剤容器420と係合する係合部(台形の係合部47)と、係合片50の2つ。
【0023】
支持台27と、振動部材16の間が、二枚の加振手段30a,30bによって接続されている。
振動側水平部32と支持側水平部30との間は実質的に非接触である。従って、加振手段30a,30bに通電すると、振動部材16が振動する。
【0024】
図5に示す様に、容器支持部23の下部に重量測定部24が配されている。重量測定部24は、重量測定手段25と防振手段18を備えている。重量測定手段25は、公知のロードセルである。防振手段18は防振部材28を有している。
重量測定手段25の検知部に容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)が接続されている。また土台部26は、重量測定部24の防振部材28を介して、上部の部材(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)を支持している。
容器支持部23の重量は、重量測定手段25で検知される。防振手段18の重量は、土台部26に掛かるが、重量測定手段25には掛からない。従って、容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)の重量は、重量測定手段25によって検知される。
【0025】
薬剤容器420は、薬剤が充填される容器であり、その形状は、側面形状が略正方形の直方体である。
薬剤容器420は、正面壁435と、背面壁436と、左右側面壁437と、天面壁438及び底面壁440に囲まれている。
薬剤容器420の底面壁440であって、正面壁435近傍に開閉可能な散薬排出部411がある。
また背面壁436の縦辺と、下部に係合部(係合溝130、係合凹部131、図11参照)がある。
【0026】
薬剤容器420には薬剤が充填され、図4図5に示す様に、フィーダ本体10に固定される。即ち薬剤容器420の背面壁436が容器保持部たる振動部材16の、振動側垂直壁部33(竪壁)と接し、薬剤容器420の底面壁440の背面壁436側が振動側水平部32と接し、薬剤容器420の大部分が、片持ち状に張り出した状態で、フィーダ本体10に固定される。つまり、振動側水平部32は、薬剤容器420の少なくとも一部が載置される載置部材(載置台)でもある。
また薬剤容器420の係合部が、それぞれ振動部材16の二か所の係合部(図14に示す様に、溝状の係合部48と係合片50の2つ)と係合している。そのため、薬剤容器420は、振動部材16と一体化されており、振動部材16と共に振動する。
【0027】
ここで、2つの左右側面壁437の一方には、情報記憶手段65が設けられている(図4参照)。情報記憶手段65には、薬剤容器420に関する情報(薬剤容器420に収容されている薬剤に関する情報)が記憶されている。例えば、収容された薬剤を特定する識別情報(薬剤名や各種コード等の情報)や、収容された薬剤の現在の残量に関する残量情報が記憶されている。情報記憶手段65に記憶された情報は、処方データ等と関連付けて使用可能な情報であり、情報記憶手段65に記憶された情報を取得することで、薬剤容器420に収容された薬剤の種類を特定する動作等が可能となる。この情報記憶手段65は、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
【0028】
なお、薬剤フィーダ5は、情報記憶手段65に対して情報の読み取り及び書き込みが可能な情報読書手段66(図示せず)を有する。実施形態1では、この情報読書手段66としてRFIDリーダライタを採用しており、無線通信によって情報記憶手段65に対する情報の読書が可能である。そして、情報記憶手段65からカセット情報を読み取る動作と、薬剤容器420から薬剤を払い出した後に残量を書き込む(書き換える)動作が可能となっている。なお、カセット情報は、上記した薬剤容器420に関する情報であり、例えば、薬剤名と残量が挙げられる。
この情報読書手段66は、フィーダ本体10に薬剤容器420が取り付けられた状態において、情報記憶手段65の外側となる位置であり、情報記憶手段65からやや離れた位置に配される。なお、情報読書手段66に替わって、情報の読取と書き込みのそれぞれが可能な情報読取手段、情報書込手段等を設けることも考えられる。
【0029】
実施形態1では、分配皿6の周囲に、薬剤フィーダ5が5基、設置されている。薬剤容器420は、正面壁435側が分配皿6に向かって突き出しており、散薬排出部411(第1の散薬排出部とも言う)は、薬剤投入溝13の真上の位置にある。
【0030】
実施形態1の薬剤払出し装置1では、あらかじめ各薬剤フィーダ5の薬剤容器420に異なる薬剤が充填されている。
そして処方箋に基づき、特定の薬剤フィーダ5が駆動され、薬剤が分配皿6に投入される。具体的には、図1に配置された制御装置960の信号によって、特定の薬剤フィーダ5の加振手段30a,30bに一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動部材16(容器保持部)を振動させる。尚、制御装置960は、薬剤払出し装置1の任意の位置に配置されてよい。
また振動開始と前後して、分配皿6を回転させる。
【0031】
また振動開始と前後して、薬剤容器420の重量が測定される。薬剤容器420の重量は、重量測定手段25の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器420の重量は、重量測定手段25の検知重量から、容器支持部23の重量を引いたものである。
散薬排出前の薬剤容器420の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器420の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器420の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0032】
振動部材16が振動を開始すると、薬剤容器420が共に振動する。ここで、実施形態1では、薬剤容器420は、二か所に設けられた係合部(図14に示す様に、係合部48と係合片50の2つ)によって強固に振動部材16の振動側垂直壁部33(縦壁)に接合されており、且つ振動部材16との密着度合いも高いから、薬剤容器420は、振動部材16と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器420に貯留された薬剤が、散薬排出部411側に向かってゆっくりと移動する。
【0033】
そして薬剤は、散薬排出部411から落下し、下の分配皿6の薬剤投入溝13に入る。
【0034】
薬剤が落下中であることは、薬剤容器420の重量が減少することによって確認される。即ち実施形態1では、薬剤が薬剤容器420から落下中においても、薬剤容器420の現在の重量が、現重量gとして監視され続けている。そして振動部材16に設置直後の薬剤容器420の原重量Gと、現重量gとを比較し、薬剤の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして薬剤の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動部材16の振動を停止する。
【0035】
その後の動作は、掻出装置8の回転板12を分配皿6の薬剤投入溝13内に落とす(図2参照)
さらにその後、分配皿6を分配個数に応じた角度だけ回転させ、一服用分の薬剤を回転板12の前面側に集める。そして回転板12を回転し、薬剤を分配皿6の外に掻き出して、散薬投入ホッパ310に投入する。散薬投入ホッパ310から落下した薬剤は、薬剤包装装置305で一服用分ずつ包装される。
【0036】
振動側垂直壁部33は、図12乃至図14の様に、金属で形成された本体部63に樹脂で形成された内張り部材46が設けられたものである。
内張り部材46は、図14の様に、全体形状が概ね長方形の板状であり、表面側に係合部47が設けられている。
係合部47は、正面視が、長方形に近い台形である。ただし、一方の斜辺の下部には膨らみ部58がある。そして当該台形形状の斜辺に相当する辺に、あり溝状の係合部(保持部側係合部)48が設けられている。
【0037】
振動側垂直壁部33の裏面には、四角形の凹部が上下2か所に設けられている。また各凹部の下辺部は、傾斜面となっている。傾斜面は、上辺側に比べて下辺側が奥側となる様に傾斜している。当該傾斜面は、加振手段30a,30bを取り付ける座面として機能する。
【0038】
また係合部47の正面であって、その下部には、図14図15の様に、略四角形の係合片開口51が設けられている。そして当該係合片開口51から係合片50が突出している。
【0039】
振動側水平部32は、金属で作られた板状の部材である。
振動側水平部32の一方の辺部には、図14図15の様に、シャッター開閉機構55(開閉機構部)が設けられている。シャッター開閉機構55は、薬剤容器420から薬剤を定量排出するための開閉機構である。
シャッター開閉機構55は、図14-17の様に、係合片保持部56とアーム57によって構成されている。また、アーム57を動作(直線移動)させる動力部を有する。この動力部は、モータ等から構成されている。
係合片保持部56は、略直方体形状であり、上面に係合部60となる凹部が設けられている。
アーム57は、一端側が係合片保持部56に接続されており、他端側は、振動側垂直壁部33内に収容されている。
【0040】
なお、実施形態1において、実施形態1のフィーダ本体10は、係合用部材210(図16(a)左図参照)を有しており、この上部が係合片50を構成する。つまり、係合用部材210は、係合片50を形成する上側の係合片形成部210aと、下側の当接部210bと、これらを繋ぐ中間部210cとを有する。この係合用部材210は、コイルバネ等の付勢部材により、支持側垂直壁部31から振動側垂直壁部33へ向かう方向に常時付勢されている。
また、係合片保持部56は、側面に押圧突起部56a(図16(a)右図参照)を有する。
そして、係合片保持部56が振動側垂直壁部33の近傍に位置した状態では、図16(b)の左図で示されるように、押圧突起部56aが当接部210bを振動側垂直壁部33に向かう方向に押圧する。このことにより、係合用部材210が付勢力に抗して押圧され、係合片50が係合片開口51に没入された状態となる。
対して、係合片保持部56が振動側垂直壁部33から離れた位置に移動した状態では、図16(b)の右図で示されるように、係合用部材210が付勢部材によって押圧されて移動し、係合片50が係合片開口51から突出した状態となる。このように、係合用部材210が振動側水平部32に形成された溝(凹部)内で移動する。
【0041】
支持台27の外観形状は、図15図16の通りであり、略「L」形状である。即ち支持台27は、支持側水平部30と、支持側垂直壁部31を有している。
支持側垂直壁部31の前面側にも、図示されない傾斜面があり、当該傾斜面は、加振手段30a,30bを取り付ける座面として機能する
【0042】
振動部材16が支持台27の上に設置され、支持側水平部30の上に振動側水平部32がある。また支持側垂直壁部31の凹面側に、振動側垂直壁部33の凸面側が面している。
そして、支持側垂直壁部31の凹面側と、振動側垂直壁部33の凸面側の間が、二枚の加振手段30a,30bで接続されている。加振手段30a,30bは、いずれも、支持側垂直壁部31側が上、振動側垂直壁部33側が下となる方向に傾斜して取り付けられている。
振動側水平部32と支持側水平部30との間は実質的に非接触である。
【0043】
土台部26は、金属で作られた板状の部材であり、中央に凹部が設けられている。
重量測定部24の重量測定手段25の上面に、容器支持部23が固定されている。
また重量測定部24の防振部材28が、土台部26に設置されている。
実施形態1では、重量測定手段25の上面に載置されているのは、容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)であり、重量測定手段25は、これらの重量を正確に測定することができる。
【0044】
本開示のフィーダ本体10は、薬剤容器420を保持する容器保持部と、立設状の支持部(支持側垂直壁部31)を有し、前記容器保持部は、縦部材(振動側垂直壁部33)を有し、前記支持部と前記縦部材との間に加振手段30a,30bが設けられたものである。
【0045】
本開示のフィーダ本体10は、薬剤容器420の一つの側面側に加振手段30a,30bがある。即ち薬剤容器420と加振手段30a,30bが並立している。
そのため加振手段30a,30bが薬剤容器420の下にあるようなレイアウトに比べて薬剤容器420を低い位置に置くことができ、薬剤容器420の散薬排出部411を分配皿6に近づけることができ、薬剤の跳ねを少なくすることができる。
【0046】
(2)薬剤容器
次に薬剤容器420について説明する。以下の説明において、縦横の方向は、薬剤容器420がフィーダ本体10に設置された姿勢を基準とする。
薬剤容器420は、密閉可能な容器本体70を有している。
また薬剤容器420は、図6に示す様に、容器本体70は、正面壁435と、背面壁436と、左右側面壁437と、天面壁438及び底面壁440が囲まれている。
正面壁435及び背面壁436とは、小面積側側面62であり、縦長の長方形である。左右側面壁437は、正方形に近い長方形であり、大面積側側面61である。天面壁438及び底面壁440は長方形である。
薬剤容器420は、内部に仕切り板68(仕切り部材)と、シャッター構造部473とを有している(図8参照)。
【0047】
容器本体70の外観形状は、フィーダ本体10の容器支持部23に取り付けられた姿勢を基準として正面壁435側(散薬排出部411側)から見ると、細長い箱状の部材である。
容器本体70は、側面形状が略正方形の直方体である。即ち薬剤容器420は、大面積側側面61と小面積側側面62を有していて、幅Wに対して高さHiが高い(図11参照)。
【0048】
薬剤容器420は、図6で示されるように、蓋部材475が各壁のうちで天面壁438を構成している。上面が開口した箱部471に対して蓋部材475が取り付けられ、蓋部材475がヒンジ421によって揺動可能となっている。そして、蓋部材475を開状態とすることで上側から散薬の充填が可能であり、閉状態とすることで薬剤容器420を密閉することが可能である。なお、薬剤容器420は、フィーダ本体10に保持させた状態のまま散薬の充填が可能となる。
【0049】
蓋部材475は、図8で示されるように、蓋本体部475aと小蓋部475bを有している。そして、小蓋部475bが蓋本体部475aの下側(閉状態としたときの下側)に取り付けられ、ヒンジ421aによって揺動可能となっている。
ここで、蓋部材475は、乾燥剤等を収容可能な空間である蓋内収容部527を有している。蓋内収容部527には、調湿剤が収納される。そして、小蓋部475bを揺動させることで蓋内収容部527の開閉が可能となる。即ち、蓋内収容部527は、蓋本体部475aと小蓋部475bの間に形成される空間である。詳細には、蓋部材475を閉状態とし、小蓋部475bを閉状態としたとき、小蓋部475bの大部分の上方に位置する空間である。
【0050】
また、蓋部材475は、図7図8で示されるように、箱部471との連結部分とは逆側に、蓋側係止片部476を有する。蓋側係止片部476は、ヒンジによって揺動可能な状態で、蓋本体部475aの正面側の端部に連結される。
蓋側係止片部476は、図8で示されるように、立てた姿勢で内側となる面に係止突起476aを有する。この係止突起476aは、蓋部材475を閉状態としたとき、正面側から背面側に向かって延びる突起であり、箱部471に形成された突起部600と係合可能な突起である。つまり、係止突起476aと突起部600は、対となる係合部であって互いに係合する。そして、これらが係合することで、蓋部材475がロック状態(強固に閉状態を維持した状態)となる。なお、箱部471には、蓋部材475を操作するための操作用切欠部601(図7)参照)が形成されている。この操作用切欠部601は、蓋部材475をロック状態としたとき、蓋部材475の側方(幅方向の片側側方)に位置する。
【0051】
箱部471は、図9で示されるように、箱部本体605に対して正面側の開口部分から仕切り部材606を挿入し、押さえ板部材607を取り付け、さらにシャッター構造部473を取り付けることで形成されている。
仕切り部材606は、平板状の本体部606aと、本体部606aの上面から上方に突出する被押さえ板部606bと、本体部606aの下面側に形成された整流部材472(図10参照)を有する。
仕切り部材606を境として下部側が散薬通路517となっている。散薬通路517は、散薬排出部411に至る通路であり、箱部471の底部と、側壁下部と、仕切り部材606で囲まれている(図8参照)。
【0052】
本体部606aは、背面壁436側に連通孔形成部546を有する。連通孔形成部546は、小孔(開口)547が多数設けられる部分であり、長孔列が形成されている。なお、この長孔列は、複数の長孔が前後方向に並んで形成されている。それぞれの長孔は、本体部606aを厚さ方向に貫通している。
【0053】
押さえ板部材607は、図8図9で示されるように、2つの取付用操作部610を有する。取付用操作部610は、使用者が操作することで弾性変形する摘み部である。2つの取付用操作部610は、幅方向で離れた位置にそれぞれ形成されており、いずれも幅方向外側に突出する突起部分を有する。
ここで、図9で示されるように、箱部本体605の左右側面壁のそれぞれには、箱側係合部612が形成されている。箱側係合部612は、側面壁を貫通する孔であり、取付用操作部610の突起部分と係合する。つまり、2つの取付用操作部610と、2つの箱側係合部612が係合することで、押さえ板部材607が箱部本体605に取り付けられる。
【0054】
押圧突起部611は、図8で示されるように、前側から後側に延びる突起部分であり、仕切り部材606の被押さえ板部606bに前方から当接する部分である。具体的には、突出端の面が、被押さえ板部606bの前面と面接触する。このことにより、仕切り部材606の意図しない位置ずれを防止できる。
【0055】
薬剤容器420の内部では、図8(a)で示されるように、平板状の部分である連通孔形成部546が、仕切り板部(仕切り部材)となる。即ち、散薬を貯留する貯留空間613と、散薬通路517の境界に仕切板部(仕切り部材)が配される。散薬通路517は、散薬を排出する際に散薬が通過する部分であり、連通孔形成部546の下側に位置する空間であって、連通孔形成部546と底面壁440の間の部分を含む空間である。
【0056】
なお、散薬通路517の底部分(底面壁440の上面)は傾斜している。以下、詳細について説明する。
図8(b)は、底面壁440の断面の拡大図である。図8(b)の拡大図の一点鎖線は、底面壁440の底面(下面)に対して平行な線である。図8(b)の拡大図に示す様に、底面壁440の上面は、一点鎖線に対して角度θで傾いている。つまり、底面壁440の上面の左端の点M2は、底面壁440の上面の右端の点M1より、角度θほど高い位置にある。角度θは、1度程度である。
上記構成により、少量ずつ払い出しが必要な場合は、開口547を散薬通路517の幅方向全域に設けて、滝のようにカセット底面の幅方向全域から薬剤投入溝13に滝状に落下するよりも、図9の開口547のようにして、底面壁440の一か所から線状に薬剤投入溝13に落下した方が払い出し量の制御が正確になる。
尚、少量で払い出す際は、薬剤容器420に与える振動を通常の払い出しより弱くすることにより、上記傾斜の効果が活かされ、傾斜させた底面壁440の一か所から薬剤投入溝13に払い出されるようになる。
一方、通常の量を払い出す場合は、薬剤容器420に与える振動を上記よりも強く行うので、1度程度の底面壁440の傾斜の影響は受けずに、滝状に払い出されることとなる。
【0057】
連通孔形成部546は、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させたとき、水平姿勢となる部分である。また、仕切り板となる連通孔形成部546と隣接する部分には、大傾斜部543と小傾斜部545が設けられている。
【0058】
大傾斜部543と、小傾斜部545は、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させた際、共に連通孔形成部546に向かって傾斜する傾斜面を形成する。大傾斜部543は、小傾斜部545よりも長く、それぞれの傾斜角度は同等である。つまり、大傾斜部543と小傾斜部545の間の空間(貯留空間613の下側部分)は、連通孔形成部546に向かって収斂する。
【0059】
薬剤容器420から薬剤を排出する際には、フィーダ本体10に薬剤容器420を保持させた状態で散薬排出部411を開状態とし、薬剤容器420を振動させる。このとき、薬剤容器420内の散薬は、散薬通路517の薬剤が排出によって少なくなると、連通孔形成部546の上側の空間である貯留空間613から散薬通路517に移動し、散薬排出部411に向かって進む。そして、散薬排出部411から排出される。
薬剤容器420を振動させることで、散薬が貯留空間613内で攪拌される。この際、貯留された薬剤の一部が大傾斜部543を上る方向に移動し、連通孔形成部546よりも上方向で、連通孔形成部546側へと移動する。つまり、上記と同様に、連通孔形成部546に対して散薬による押し付ける力が掛かり難く、連通孔から散薬通路側へ適切に散薬が落下され、整流部材472の周囲を通過し清流化された薬剤の円滑な排出が可能となる。
【0060】
背面壁436には、図11図13の様に、一対の係合溝130と、一つの係合凹部131が設けられている。
係合溝130は、背面壁436の左右の縦辺に沿って設けられた内側に向かって開く縦溝である。
係合凹部131は、背面壁436の下部に設けられたくぼみである。
【0061】
図19の様に、正面壁435の下部から底面壁440の正面壁435側にかけての領域に、欠落部77がある。底面壁440の正面壁435側の部位は、斜めに欠落している。そのため底面壁440の正面壁435側の端部は、図20の様に斜辺となっている。
【0062】
図19は、実施形態1の薬剤容器420のシャッター部材491の概略の分解斜視図である。
シャッター構造部473は、図19に示すように、ガイド部材90と、シャッター部材491(開閉部材)と、伝動部材492及び付勢部材93によって構成されている。
ガイド部材90は、側面形状が凹形の部材であり、上部側水平壁95と、下部側水平壁96と、両者を繋ぐ奥壁97を有している。
【0063】
シャッター部材491は、図17に示す様に、閉鎖壁110と、ガイド壁部111と、連結壁112と、ガイド壁部113を有している。また、閉鎖壁110の上側となる位置にシール部材(パッキン)が取り付けられる。
閉鎖壁110は、取り付けられた状態では水平姿勢となるものである。閉鎖壁110は、図20に示す様に、傾斜辺138を有している。
ガイド壁部111は、閉鎖壁110に対して平行となる壁面である。連結壁112は、ガイド壁部111と閉鎖壁110を接続する垂直壁である。
閉鎖壁110と連結壁112とガイド壁部111によって凹形が形成されている。
ガイド壁部113は、ガイド壁部111の自由端側から垂直に立ち上がる小壁である。
【0064】
伝動部材492は、スティック状の部材である。実施形態1では、細長い金属板によって作られている。
伝動部材492の一端には、シャッター側取り付け部118が設けられている。伝動部材492の他端には、切り欠き部115があり、切り欠き部115よりも先の部分が係合部116となっている。
伝動部材492は、シャッター側取り付け部118がシャッター部材491に取り付けられており、シャッター部材491と一体となっている。
【0065】
付勢部材93は、ばねである。
【0066】
仕切り板68(仕切り部材)は、容器本体70内に収容されている。シャッター構造部473は、大部分が容器本体70内にあり、伝動部材492だけが容器本体70の外面に沿ってのびている。
【0067】
仕切り板68(仕切り部材)は、接壁部142が、容器本体70の正面壁435の内側に固定されている(図18(b)参照)。
図18(b)に示す様に、仕切り板68(仕切り部材)の接壁部142、傾斜部543、545及び連通孔形成部546は、容器本体70の正面壁435から背面壁436まで連続した壁を形成している。仕切り板68(仕切り部材)の大傾斜部543は、正面壁435から容器本体70の中心に至る位置にある。
連通孔形成部546は、容器本体70の底面壁440の近傍にあるが、底面壁440とは接しておらず、両者の間に薬剤が通過する散薬通路517が形成されている。
【0068】
図19に示す様に、シャッター構造部473は、大傾斜部543の下部側に収容されている。
シャッター構造部473のガイド部材90は、奥壁97を背面壁436側に向けた姿勢で配置されている。
シャッター部材491は閉鎖壁110と連結壁112とガイド壁部111によって構成される凹形部分が、ガイド部材90の凹部と噛み合う様な姿勢となっている。即ち、シャッター部材491のガイド壁部111の下面が、ガイド部材90の下部側水平壁96と接している。
またシャッター部材491の閉鎖壁110は、容器本体70の底面壁440の外側と接している。
【0069】
付勢部材93は、容器本体70の正面壁435の内面と、シャッター部材491のガイド壁部113の間にあり、シャッター部材491をガイド部材90の奥壁97に向かって付勢している。
伝動部材492は、容器本体70の外にあり、側面壁に沿って背面壁436側にのびている。
【0070】
伝動部材492は、シャッター部材491と一体であり、伝動部材492を容器本体70の前後方向に摺動させると、シャッター部材491も直線移動する。
シャッター部材491は、凹部がガイド部材90と、容器本体70に接しており、これらに規制されて直線移動する。
伝動部材492が、最も背面壁436側にある際は、シャッター部材491の閉鎖壁110が、容器本体70の下部の欠落部77を覆い、薬剤が排出される開口部であるところの当該欠落部77を封鎖する。
伝動部材492が、最も正面壁435側にある際は、シャッター部材491の閉鎖壁110が、容器本体70の下部の欠落部77の傾斜辺(背面壁436側の斜辺)を離れ、容器本体70の下部が開く。
図20は、シャッター部材491の動作を表す概略の動作図である。
容器本体70の欠落部77の開口端(欠落部77の底面壁440の正面壁435側の部位)は、傾斜であり、シャッター部材491の自由端も傾斜辺138であるから、散薬排出部411となる開口は、図20(a)、(b)の様な斜め姿勢のスリット148となる。
本開示の薬剤フィーダ5は、スリット148の幅の開き具合を調整可能であり、制御装置960からの信号に基づいて開き具合の変更(開き具合を調整する制御)が可能となっている。この制御は、伝動部材492の移動距離の制御でもある。なお、スリット148の開き具合は、薬剤容器420から排出させる薬剤の種類(薬剤の種類であり、流れ易さや粒径等)や、薬剤の排出量に応じて(基づいて)変更してもよい。
シャッター部材(開閉部材)491は、付勢部材93によって散薬排出部411が閉じる方向に押圧されており、伝動部材492を正面壁435側に移動させることによって散薬排出部411が開く。
【0071】
実施形態1の薬剤フィーダ5は、散薬排出部411の形状がスリット状であり、且つ薬剤容器420に対して傾斜している。
【0072】
次に、薬剤フィーダ5の動作について説明する。
実施形態1の薬剤払出し装置1では、前記した様に、あらかじめ各薬剤フィーダ5の薬剤容器420に異なる薬剤が充填されている。
【0073】
続いて、図15の様に薬剤容器420をフィーダ本体10に装着する。
その際、フィーダ本体10は、図15(a)の様に待機状態となっている。具体的には、フィーダ本体10の出し入れ機構が収納姿勢となっており、振動側垂直壁部33の係合片50は係合片開口51から突出している。
またシャッター開閉機構55は、アーム57が振動側垂直壁部33側に引き寄せられており、係合片保持部56は、振動側垂直壁部33の近傍にある。
一方、薬剤容器420は、伝動部材492を背面壁436側に引き、容器本体70の下部の開口を封鎖しておく。
【0074】
この状態で、図15(a)の様に薬剤容器420の背面壁436をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込む。
ここで、振動側垂直壁部33には、台形の係合部47があり、当該台形形状の斜辺に相当する辺に、あり溝状の係合部(保持部側係合部)48がある。一方、容器本体70の背面壁436には、一対の係合溝130がある(図14参照)。
そのため、薬剤容器420の背面壁436をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込むことにより、容器本体70の係合溝130を、振動側垂直壁部33の係合部48に係合させることができる。
振動側垂直壁部33の係合片50は、通常は、ばねで付勢されて突出している。薬剤容器420の背面壁436がフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込まれていくと、係合片50は、一旦、振動側垂直壁部33に没入する。薬剤容器420の係合部48への挿入が完了すると、係合片50は、ばねの付勢力で、薬剤容器420と嵌合する。
【0075】
またこのとき、図15(b)の様に伝動部材492の係合部116をフィーダ本体10の係合片保持部56と係合させる。ここで、実施形態1では、薬剤容器420を装着するとき、上記したように、あり溝状の係合部48が薬剤容器420の移動方向を規制するガイドとして機能する。このため、薬剤容器420を係合部48に沿って移動させるだけで、薬剤容器420の装着が可能であり、且つ、伝動部材492の係合部116と係合片保持部56の係合が可能となる。つまり、伝動部材492の係合部116と係合片保持部56を係合させるために細かな位置合わせをすることなく(係合させるための作業を意識することなく)、薬剤容器420を装着するだけで自然に係合させることが可能となる。
そして前記した様に、処方箋に基づき、特定の薬剤フィーダ5が選択されて駆動される。
また出し入れ機構が突出姿勢となることにより、図15(c)の様に、係合片保持部56が正面壁435側に移動し、伝動部材492が前方に摺動して、シャッター部材491を移動させ、容器本体70の下部の散薬排出部411が開く。
【0076】
続いて振動部材16の振動を開始し、前記した様に、薬剤容器420が共に振動する。ここで、実施形態1では、薬剤容器420は、二か所に設けられた係合部によって強固に振動部材16に接合されており、且つ振動部材16との密着度合いも高いから、薬剤容器420は、振動部材16と同一周波数で振動する。
図18に示す様に、実施形態1の薬剤容器420では、内部に仕切り板68(仕切り部材)が設けられており、容器本体70の中が上下に仕切られている。そして、仕切り板68の下部に、散薬が通過する空間(散薬通路517)が確保されている。
そのため、散薬通路517内の散薬に、上部側の散薬の重量が掛かりにくく、散薬が動きやすい。
【0077】
実施形態1の薬剤容器420は、幅が狭いので、散薬を収容する容積を確保する必要から、高さが高い。散薬に掛かる圧力は、高さと相関する関数であり、散薬の積み重ね高さが高いほど下部側の散薬は、強い力で押し付けられる。
そのため、仕切り板68(仕切り部材)が無ければ、底面壁440の近傍の散薬は、上部の散薬に押し付けられて固まり、動きが悪くなる懸念がある。
実施形態1では、上部側の散薬の重量を、仕切り板68で支持するので、底面壁440の近傍の散薬が押し付けられず、振動による流れが円滑である。さらには、散薬の排出動作の際に薬剤容器420を振動させることで、薬剤容器420内の散薬は、仕切り板68(連通孔形成部546)の上側の空間である貯留空間内で攪拌される。この際、貯留された散薬の一部が大傾斜部543を上る方向に移動し、連通孔形成部546よりも上方向で、連通孔形成部546側へと移動することとなる。このため、連通孔形成部546の小孔(スリット)547上において、散薬による上方から下方に押し付ける力が掛かり難く、攪拌によって流れる散薬が適切に小孔(スリット)547から落下するので、散薬の円滑な排出が可能となる。
散薬通路517内の散薬が不足すると、連通孔形成部546に設けられた小孔547から散薬通路517に散薬が落下し、散薬が散薬通路517に補充される。
【0078】
また、実施形態1では、散薬通路517への散薬の補充は、連通孔形成部546からのみ行われる。連通孔形成部546は、水平方向には、正面壁435よりも背面壁436に近い位置にあり、排出部から離れている。
また連通孔形成部546と正面壁435との間には、大傾斜部543があるので、散薬の進行方向の前側は、空間がより広くなっている。具体的には、空間の高さが高くなっている。そのため、散薬通路517を流れる散薬の上に空間ができる。そのため散薬は、散薬通路517を進むうちに散薬の流れが整流され、層流化が進み、高度に層流化する。
【0079】
また実施形態1では、閉鎖壁110端面に傾斜辺138を有する構成とすることにより、有効な開度を調節することができる(図20参照)。
即ち、実施形態1の薬剤フィーダ5は、散薬排出部411の形状がスリット状であり、且つ散薬排出部411は、容器本体70に対して傾斜している。
そのため、前記した様に散薬排出部411は、薬剤投入溝13の幅A方向に広がりがある。散薬は、薬剤投入溝13の幅A方向に広がりをもって落下するから、薬剤投入溝13の幅A方向にまんべんなく落下する(図18(b)参照)。
そのため、後の工程で散薬をかき寄せる際に、かき寄せた散薬の集合が崩れにくい。
【0080】
また、容器本体70の欠落部77の端部(150,151)は、傾斜している(図20参照)。
そのため、図20(a)の様に、閉鎖壁110の移動量を大きくすると、底面壁440の全幅から薬剤を落下させることができる。
これに対して、図20(b)の様に、閉鎖壁110の移動量が少ないと、閉鎖壁110の傾斜辺138と底面壁440の斜辺150との間だけが開口するので、有効な開口幅が狭くなる。
薬剤を大量に排出する必要がある場合には、図20(a)の様に、閉鎖壁110の移動量を大きくして底面壁440から薬剤を落下させ、薬剤の排出量が少ない場合には、図20(b)の様に閉鎖壁110の移動量を少なくして狭い幅から薬剤を落下させる。
図20(c)は、シャッター部材491を閉じた時の薬剤容器420の底面図である。
【0081】
所定量の薬剤が排出されると振動部材16の振動を停止する。
伝動部材492が後方に摺動して、シャッター部材491を移動させ、容器本体70の下部の開口が閉じる。
【0082】
(3)粉体フィーダ
図21は、実施形態1における粉体フィーダ900の概略の斜視図である。
図21に示す様に、粉体フィーダ900は、上部に開口部を有するホッパ910と、ホッパ910の下に設けられたトラフ920とを有する。そして、2つの圧電素子930が、トラフ920の下に配置されている。2つの圧電素子930は、ホッパ910とトラフ920とを振動させるものである。
【0083】
ユーザは、ホッパ910の開口部に薬剤を投入する。ユーザ(作業者)により薬剤が投入されると、圧電素子930が振動し、薬剤がホッパ910からトラフ920に落下する。さらに、トラフ920に落下した薬剤は、トラフ920の先端に移動し、トラフ920の先端から分配皿6に落下する。
【0084】
図22は、分配皿周辺における実施形態1のホッパを取り除いた粉体フィーダ900の概略の斜視図である。
図22に示す様に、トラフ920の先端部が分配皿6の上に配置されている。よって、トラフ920に落下した薬剤は、トラフ920の先端に移動し、分配皿6に落下することができる。
粉体フィーダ900の主な構成は、従来の粉体フィーダの構成が使用可能である。
【0085】
(4)薬剤フィーダ及び粉体フィーダと分配皿との位置関係
図23は、一態様として、平面視における薬剤フィーダ5eの散薬排出部411と分配皿6との位置関係を表した模式図である。
薬剤フィーダ5eは、分配皿6の法線H1方向を向いている。
つまり、薬剤容器420eの長手方向の中心軸P5eと法線H1とが一致している。
図23における薬剤容器420eは、図8の仕切り板68及び整流部材472を取り除いて、底面壁440が見えている状態を表している。
矢印A方向の底面壁440の先端部は、薬剤が分配皿6の薬剤投入溝13に落下する散薬排出部411である。
薬剤容器420eの先端部は、シャッター部材491の閉鎖壁110である。散薬排出部411と閉鎖壁110とで、スリット148が形成されている。
図23は、一態様として、散薬排出部411(第1の散薬排出部)が、薬剤フィーダ5eにおける分配皿6の接線S1と平行である場合を表した図である。つまり、散薬排出部の右端411aと散薬排出部の左端411bの線分と接線S1とが、平行になっている。
図23の場合、薬剤は、底面壁440上を矢印Aの方向に移動する。そして、散薬排出部411において、薬剤が薬剤投入溝13に落下する。この場合、図23に示す様に、薬剤投入溝13に落下した薬剤の幅はW1となり、狭い幅で薬剤が積み重なっている。
【0086】
図24は、別の態様を示すもので、散薬排出部411が接線S1に対して鋭角の傾斜角αで傾斜している場合を表した図である。
図24の場合、散薬排出部411が、傾斜角αで傾斜しているので、散薬排出部の右端411aから散薬排出部の左端411bに渡って、薬剤が薬剤投入溝13に落下する。この場合、薬剤投入溝13に落下した薬剤の幅はW2となる。幅W2は、幅W1より広くなり、図23の場合より、図24の薬剤投入溝13の薬剤の高さが低く、薬剤が均一に形成される。
【0087】
以上説明した様に、図24の態様によると、広い幅で薬剤が積み重なっているので、薬剤の山崩れによる掻き出し誤差を低減できるので、散薬排出部411が接線S1に対して、傾斜している方が好ましい。
【0088】
図25は、平面視における一態様の粉体フィーダ900のトラフ920と分配皿6との位置関係を表した模式図である。
図25における粉体フィーダ900は、ホッパ910を取り除いて、トラフ920が見えている状態を表している。
粉体フィーダ900は、分配皿6の法線H2方向を向いている。つまり、トラフ920の長手方向の中心軸P9aと法線H2とが一致している。
矢印A方向のトラフ920の先端部は、薬剤が分配皿6の薬剤投入溝13に落下するトラフ排出部940(第2の散薬排出部とも言う)である。
図25は、一例として、トラフ排出部940が、粉体フィーダ900における分配皿6の接線S2と平行である場合を表した図である。つまり、トラフ排出部の右端940aとトラフ排出部の左端940bの線分と接線S2とが、平行になっている。
【0089】
図25の場合、薬剤は、トラフ920上を矢印Aの方向に移動する。そして、トラフ排出部940において、薬剤が薬剤投入溝13に落下する。この場合、図25に示す様に、薬剤投入溝13に落下した薬剤の幅はW3となり、狭い幅で薬剤が積み重なっている。
【0090】
図26は、別の一態様を示すもので、トラフ排出部940が接線S2に対して鋭角の傾斜角βで傾斜している場合を表した図である。
図26の場合、トラフ排出部940が、傾斜角βで傾斜しているので、トラフ排出部の左端940aからトラフ排出部の右端940bに渡って、薬剤が薬剤投入溝13に落下する。この場合、薬剤投入溝13に落下した薬剤の幅はW4となる。幅W4は、幅W3より広くなり、図25の場合より、図26の薬剤投入溝13の薬剤の高さが低く、薬剤が均一に形成される。
【0091】
以上説明した様に、図26の態様によると、広い幅で薬剤が積み重なっているので、薬剤の山崩れによる掻き出し誤差を低減できるので、トラフ排出部940が接線S2に対して、傾斜している方が好ましい。
【0092】
良く使用する動作では、薬剤フィーダ5a~5eのいずれか、又は全ての薬剤フィーダ5a~5eから薬剤を分配皿6に排出し、図24の様な幅W2の薬剤を形成した後、粉体フィーダ900から薬剤を分配皿6に排出し、上記幅W2の薬剤の上に重ねて、図26の様な幅W4の薬剤を形成する。
【0093】
この様に、薬剤フィーダ5による薬剤の幅W2と、粉体フィーダ900による薬剤の幅W4とが同じであることが望ましい。よって、薬剤フィーダ5の傾斜角αと粉体フィーダ900の傾斜角βとが同じ角度であることが好ましい。
【0094】
ここで、粉体フィーダ900の動作について、説明する。
薬剤容器420は、あらかじめ薬種ごとに薬剤容器420内に所定量の薬剤が貯留されており、処方情報に基づいて使用する薬剤が、薬剤包装装置305に設けられた表示画面等に表示、指示され、作業者は棚等から該当する薬剤容器420を取り出し、薬剤フィーダ5に装着する。
また、処方された薬剤の中に薬剤容器420にあらかじめ収容されていない薬剤、例えば通常の使用量が少ない、消耗頻度が低い薬剤、冷所での保存が必要な薬剤、あるいは劇薬等については、薬剤容器420での保存を行わないものもある。このような薬剤が処方として出された場合には、上記表示画面には粉体フィーダ900に、当該薬剤を投入するように指示が出される。この時、作業者は、薬剤包装装置305とは別の薬剤秤量装置を備えた散薬鑑査システムを用いて、処方情報に基づく量を薬剤瓶等から取り出して計量する。計量し終わった処方量の薬剤を粉体フィーダ900のホッパ910に投入することで、薬剤包装装置305によって、薬剤容器420が装着された薬剤フィーダ5と共に分包を実施することが可能となる。
【0095】
(5)掻出装置
図27に示す様に、掻出装置8は、掻出用アーム950の先端に回転板12を有する。具体的には、掻出用アーム950の先端にモータによって回転駆動可能な取付基台(図示しない)が設けられており、この取付基台に掻き板等(図示しない)を有する回転板12を取り付けられている。即ち、回転板12は、モータの動力によって回転する。
掻出装置8の根本部分は、分配皿6の機材収納開口15内に設置されている。そして分配皿6の内側から、掻出装置8の掻出用アーム950が突出している。なお、掻出装置8は、ターンテーブルを設けず、全体が旋回しないものであって、掻出用アームが揺動可能であるものでもよい。
ここで、実施形態1の薬剤払出し装置1は、散薬投入ホッパ310の薬剤投入口となる上部開口が分配皿6の内側に位置する。即ち、散薬投入ホッパ310の外側で分配皿6が環状(円環状)に連続しており、平面視において分配皿6で囲まれた領域に散薬投入ホッパ310が位置する。そして、掻出装置8もまた、分配皿6の内側に位置させている。
そして、掻出装置8によって分配皿6上の薬剤を掻き出して散薬投入ホッパ310に投入する際、薬剤を分配皿6の内側に向かって掻き出している。即ち、分配皿6上の薬剤を分配皿6の内側に移動させるように、回転板12を回転させて掻き板を移動させている(掻き板が分配皿6の外縁側から内縁側に向かって横断する方向で移動するように、回転板12を回転させている)。
実施形態1では、分配皿6の内側に掻出装置8を設け、分配皿6の内側に向かって薬剤を掻き出すことで、分配皿6の外側の部材数を少なくしている。即ち、分配皿6の外側であり、薬剤フィーダ5の周辺に広いスペースを確保し、フィーダ本体10に対する薬剤容器420の着脱を手作業で行う際、作業をやり易くすると共に、薬剤払出し装置1の装置全体の小型化に寄与している。
【0096】
図27は、実施形態1における掻出装置8の動作を表す模式的な動作図である。
図27において、掻出装置8は、掻出用アーム950の先端に回転板12を備えている。掻出装置8は、以下の動作を行う制御装置960を薬剤払出し装置1の内部のいずれかに備えている。
【0097】
前提条件としては、分配皿6の薬剤投入溝13には、薬剤フィーダ5又は粉体フィーダ900により、薬剤が貯留している。
【0098】
(STEP1)
まず、図27(a)に示す様に、STEP1において、制御装置960は、掻出用アーム950の先端の回転板12を分配皿6の上で待機させている。この時、回転板12は薬剤投入溝13とはまだ接触していない。掻き出し板955は、仮に回転板12が降下して薬剤と接触しても、薬剤に触れない待機位置(例えば、図27(a)の9時の位置)にある。
【0099】
(STEP2)
次に、図27(b)に示す様に、制御装置960は、掻出装置8の動作開始の信号が与えられると、回転板12を分配皿6に降下させる。この時、回転板12は、薬剤投入溝13に貯留している薬剤と接触し、薬剤投入溝13の底面に向けて押し付けながら降下する。掻き出し板955は、薬剤に触れない待機位置を維持している。
【0100】
(STEP3)
次に、図27(c)に示す様に、制御装置960は、分配皿6を回転させずに、回転板12を矢印Bの方向に回転させる。薬剤投入溝13の左側において、回転板12の下にある薬剤を移動させて、回転板12と薬剤投入溝13とを密着させる。
この時、掻き出し板955は、待機位置から掻き出し開始位置(まだ、薬剤を掻き出していないが次の動作で掻き出すことが可能な位置)まで移動することで、回転板12がしっかりと薬剤投入溝13の底と接触する。掻き出し板955が待機位置から掻き出し開始位置まで回転する回転角度は、最大180度である。
【0101】
(STEP4)
最後に、図27(d)に示す様に、制御装置960は、回転板12と分配皿6とを同時に回転させて、一包分の量の薬剤を散薬投入ホッパ310に投入する。回転板12の回転方向は、矢印Bの方向である。分配皿6の回転方向は、反時計回りの方向である。
【0102】
STEP1からSTEP4を繰り返して、一処方分の包装を行う。
従来では、掻き出し板955で一包目の薬剤を薬剤投入溝13から掻き出す時、分配皿6と回転板12を同時に回転させていたので、完全に回転板12が薬剤投入溝13に降下していない状態での掻き出しである。その結果、一包目の薬剤の掻出し量が最終包の薬剤の掻出し量より少なくなるという誤差が生じていた。
上記態様によれば、STEP3において、分配皿6を回転させずに回転板12のみを回転させて、回転板12と薬剤投入溝13とを密着させる。その結果、回転板12がスリップすることなく、一包目の薬剤の量を正確に散薬投入ホッパ310に投入でき、一包目の薬剤の量と最終包の薬剤の量との誤差を少なくできる。
【0103】
(6)薬剤包装装置
薬剤包装領域302には、図2に概念的に表示した様に薬剤包装装置305が内蔵されている。薬剤包装装置305は、薬剤を一服用分ずつ包装する機械であり、分包紙供給装置306(分包紙供給部)と、分包装置308(シール部)を有する。また薬剤包装装置305には、分包装置308の上方に、薬剤を投入する散薬投入ホッパ310が設けられている。
作図の関係上、散薬投入ホッパ310を分配皿6から離れた位置に図示しているが、実際には、散薬投入ホッパ310の上端は、分配皿6の機材収納開口15内にある。
【0104】
薬剤包装装置305は、分包紙供給装置306の本体(図示しない)の円柱状装着部に、薬剤分包用シート370を装着して使用する。薬剤分包用シートロールは、帯状の薬剤分包用シート370(分包紙、包装紙)を管状の薬剤分包用芯管360に巻いてロール状に巻き付けられたものである。前記円柱状装着部にロールの管状部分が挿入され、薬剤包装装置305の制御装置により所定のテンションをコントロールされながら分包紙の紙送りがされ、ロールが回転して散薬投入ホッパ310から薬剤を受け取る位置に搬送される。なお、特に限定されるものではないが、本開示の薬剤分包用シート370は、二つ折りされた状態で帯状となった分包紙であり、散薬投入ホッパ310の先端が二つ折りの間に挿入され、分包紙内で薬剤が投入されるものである。
薬剤分包用芯管360は、薬剤包装装置305に装着される帯状の薬剤分包用シート370を供給するために、中心に軸方向に貫通する貫通孔を有し、外周において薬剤分包用シート370をロール状に巻き付けるための芯管である。
また、薬剤包装装置305は、図示しない印刷機構(印刷部)を有している。
薬剤包装装置305では、薬剤分包用シート370から繰り出された分包紙が印刷機構に導入され、患者名、薬剤名称、服用日時等の情報(処方に関する情報であり、提供する薬剤に関する情報)が印刷される。その後、所定の情報が印刷された分包紙は、上向きに開口された状態にされる。そして、その状態で、散薬投入ホッパ310から落下(供給)された薬剤を受け入れる。
さらに、薬剤を受け入れた分包紙が、シール部(分包装置308)に導入され、シール部で分包紙の幅方向となる縦方向と長手方向となる横方向に、一服用分ずつの薬剤が投入されるごとにシールされ、受け入れた薬剤を順次包装していく。このことにより、薬剤を一服用分内包した薬剤包装が形成され、薬剤包装が装置外部まで搬送される。
このとき、薬剤包装が複数包連続した薬剤包装帯を形成し、装置外部まで搬送する。しかしながら、薬剤包装帯ではなく、一又は複数の個別の薬剤包装を形成し、装置外部まで搬送してもよい。
【0105】
また、上記した薬剤分包用シート370の薬剤分包用芯管は、識別子が装着されていてもよい。識別子は、薬剤分包用シート370を個別に識別可能な情報(製造メーカー等に関する情報(メーカー名等)や、製造年月日等に関する情報、当該芯管に巻かれた薬剤分包用シート370の種類、受注No.、出荷日、納品先の顧客情報、当該薬剤分包用シート370が装着される分包機の機種名、機種コード、その他ID等)の一つまたはいずれかが記憶された記憶手段であり、例えば、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
そして、薬剤分包用シート370を分包紙供給装置306に装着するとき、装着しようとする装置との照合、即ち、所定の薬剤分包用シート370が正しく装置に装着されようとしているか否かを判別する動作を実行してもよい。また、識別子に薬剤分包用シート370が未使用であることを識別するための情報を記憶させ、装着する際に、薬剤分包用シート370が未使用か否かを判別する動作を実行してもよい。さらに、薬剤分包用シート(分包紙ロール)370を分包紙供給装置306の本体に装着したときの分包紙の残量に関する情報を記憶させてもよい。また、薬剤を包装する分包動作が実行されたとき、分包動作中の適宜な時点での残量を記憶させてもよい。この残量に関する情報は、例えば、分包動作中に記憶させてもよい。この他、分包動作後に分包動作の終了時の残量を記憶させてもよい。即ち、薬剤払出し装置1を運用する際、適宜なタイミングで残量に関する情報を記憶させていってもよい。これにより、当該分包紙のロールがすべて使用された後においては、薬剤分包用芯管360に巻かれた分包紙の残量がゼロになった、すなわち使い切ったという情報を記録することができる。
【0106】
上記態様のように、実施形態1の薬剤払出し装置1は、従来技術である薬剤容器を3次元的に移動させるロボット機構を有していない。又、薬剤払出し装置1は、粉体フィーダ900を備えることで、処方箋に記載ある薬剤が薬剤容器420にない場合でも、粉体フィーダ900に薬剤容器420にない薬剤を投入することにより、多様に対応することが可能である。
又、薬剤払出し装置1の前面側に、薬剤フィーダ5a~5eを配置しているので、薬剤容器420a~420eの脱着及び装着が作業者のタイミングで作業者の動作によって行うことができる。
又、薬剤払出し装置1の前面側に、薬剤フィーダとは別に粉体フィーダ900を配置しているので、薬剤フィーダに常時収容保存する必要がなかったり、常時保存できない薬剤が処方で発生した際には、別途実施する散薬鑑査システムによって秤量された、処方に基づく対象の散薬をユーザがホッパ910に投入することができたりするので、薬剤が手元に準備ができないから処方全体の完了が遅延するといった事態が発生しない。
【0107】
図9は、実施形態1の一態様のシャッター構造部473の概略の斜視図である。
シャッター構造部473は、図9で示されるように、シャッター部材491(開閉部材)と、伝動部材492とを有する。即ち、図9のシャッター構造部473は、主に、図19のガイド部材90、付勢部材93、ガイド壁部113を有していない。そして、上記した実施形態と同様に、伝動部材492が直線移動することで、シャッター部材491が移動し、散薬排出部411が開閉する。即ち、上記した実施形態と同様に、伝動部材492の背面壁436側の一部分が外部に露出した状態となっており、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させることで、伝動部材492がシャッター開閉機構55と係合する。
【0108】
なお、薬剤容器420は、図7に示す様に、伝動部材492の中途部分を保持する保持突起部525と、係止突起部526を有している。この係止突起部526は、薬剤容器420をフィーダ本体10から取り外して持ち運ぶ際に、散薬排出部411が(シャッターが)不用意に開かないように閉鎖状態を維持するロック機構を形成する部分である(図7参照)。
保持突起部525は、上下それぞれから互いに近づく方向に延びる一対の突起部分である。この保持突起部525の内側に形成された溝状部分に、伝動部材492の一部が挿通されている。
係止突起部526は、前後に位置する板ばね部材520の平板状部分と一体に形成された突起であり、2つの平板状部分の間で側面視略V字状に延びる板状の部分である。この係止突起部526は、前後の平板状部分と共に薬剤容器420の幅方向外側に片持ち状に張り出しており、平板状部分と共に弾性変形する。この係止突起部526は、伝動部材492の上方(係合部116の上方)に形成された切欠部分(係止部)と係合することで、伝動部材492の意図しない移動を規制する。
【0109】
そして、薬剤容器420をフィーダ本体10に取り付けることで、係止突起部526と伝動部材492との係合(ロック状態)が解除され、伝動部材492が移動可能な状態となる。具体的には、薬剤容器420がフィーダ本体10に装着されることで、上記と同様に、係合片保持部56の係合部60(図15図16等参照)と、伝動部材492の係合部116が係合する(伝動部材492の一部である係合部116よりも後方側の部分が、係合片保持部56の係合部60に上側から挿入された状態となる)。即ち、この際に、係止突起部526の後側(背面壁436側)の平板状部分が、下方から持ち上げられた状態となる。このことにより、係止突起部526と平板状部分が共にしなるように弾性変形し、係止突起部526と伝動部材492の係合が解除される。
【0110】
(実施形態2)
実施形態2の薬剤フィーダ700について、図29-30、図32-35を参照しつつ説明する。薬剤フィーダ700は、実施形態2の薬剤容器701と、薬剤容器701を保持する実施形態2のフィーダ本体702とを有している。
薬剤容器701及びフィーダ本体702の基本構成と、機能は前記した薬剤容器420及びフィーダ本体10と同じであるから、改良点のみ説明する。
図29は、実施形態2の薬剤払出し装置1の概略斜視図であって、上蓋を開いた状態を示す。図30は、図29の薬剤払出し装置1における分配皿6周辺の概略斜視図である。
実施形態2のフィーダ本体702は、薬剤容器701を取り外す際に使用する離脱補助部材705を備えている。またフィーダ本体702は、シャッター開閉機構706に、シャッター707をロックする機能が付加されている。
一方、実施形態2の薬剤容器701には前記した離脱補助部材705が係合する係合部710が設けられている。また薬剤容器701も散薬排出部(シャッター)711が、不用意に開かないように閉鎖状態を維持するロック機構を備えているが、その構造は、前記した薬剤容器420とは異なる。
さらに、薬剤容器701は、図35の様に、散薬排出部711及びシャッター構造部713の構造が前記した薬剤容器420とは異なる。以下、説明する。
【0111】
実施形態2のフィーダ本体702では、振動部材16(容器保持部)の振動側垂直壁部33(縦壁)に、薬剤容器701を取り外す際に使用する離脱補助部材705が設けられている。
離脱補助部材705は、図32図33図34の様に、水平に設けられた軸720を中心として回動するレバーであり、操作部721と作用部722を有している。
操作部721は、上向きの弓状であり、係合用押圧部723と解除用押圧部725とを有している。
作用部722は、爪である。
【0112】
操作部721と作用部722は、略「L」状の連結部726で結合されている。連結部726は、薬剤容器701が振動部材16(容器保持部)に装着されている状態を基準として、垂直姿勢となる縦辺部727と水平姿勢となる横辺部728を有している。そして縦辺部727と横辺部728の接続部分に軸720が相通されている。
縦辺部727と横辺部728の接続部分であって外側の部分は、着座部731として機能する部分であり、平面である。
【0113】
振動側垂直壁部33(縦壁)には、ばね等の付勢部材732が設けられており、離脱補助部材705を常時付勢している。具体的には、付勢部材732は横辺部728を上方に押圧しており、離脱補助部材705を回動方向に付勢している。
【0114】
またフィーダ本体702のシャッター開閉機構706は、前記した実施形態と同様に、係合片保持部735とアーム57によって構成されている。前記した実施形態と同様に、係合片保持部735の上面に係合部60となる凹部が設けられている。
実施形態2では、それに加えて、係合片保持部735の上面に突起物737が設けられている。突起物737は、傾斜面738を有している。傾斜面738の傾斜方向は、アーム57の突出方向側を基準として前側が低く,後方が高い。
【0115】
薬剤容器701は、前記した実施形態1の薬剤容器420と同様に、上面が開口した箱部471に対して蓋部材475が取り付けられ、蓋部材475がヒンジ421によって揺動可能となっている。
前記した様に、薬剤容器701には前記した離脱補助部材705が係合する係合部710が設けられている。係合部710は、背面壁436に設けられた凸部である。係合部710の位置は任意であり、側面壁437や底面壁440にあってもよい。
【0116】
図32に示すように、シャッター構造部713は、前記した実施形態1と同様に、シャッター707と、シャッター部材740(開閉部材)と、伝動部材741とを有する。そして、伝動部材741が直線移動することで、シャッター部材740が移動し、散薬排出部711が開閉する。
伝動部材741の上辺には、実施形態1の薬剤容器420と同様、図32(b)の様に、切り欠き742が設けられている。切り欠き742の前方側傾斜743は緩傾斜であり、後方側傾斜745は急傾斜である。
また実施形態2の薬剤容器701も、板ばね部材748と、係止突起部747を有している。
板ばね部材748は、薬剤容器701の幅方向外側に片持ち状に取り付けられている。係止突起部747は、概略三角形の部材であり、板ばね部材748に一体的に固定されている。
係止突起部747の下面には、図32(b)の様に前方側傾斜750と、後方側傾斜751がある。係止突起部747の前方側傾斜750は緩傾斜であり、後方側傾斜751は急傾斜である。
【0117】
シャッター部材740(開閉部材)は、図35の様に、散薬排出部711を閉鎖したときに薬剤容器701側に突出する突出部760を有している。
突出部760の断面形状は、図35の様な略三角形であり、上面761が略水平であり、下面762が傾斜面である。突端部763は、略垂直面である。
下面762が傾斜角度は、30度以下である。下面762の傾斜角度は、薬剤容器701に収容する散薬の安息角よりも小さいことが望ましい。
【0118】
薬剤容器701内には、散薬排出部711に繋がる散薬通路517があり、散薬通路517を移動して薬剤が散薬排出部711から排出される。
実施形態2では、散薬通路517の天井壁に相当する仕切り部材620に、散薬通路517側(下側)に向かって突出する仕切部766がある(図35参照)。仕切部766の高さ(垂下量)は、1.2mm~3.0mm、もしくは、通路高さに対して、5分の1~5分の3の高さである。
シャッター部材740(開閉部材)が散薬排出部711を閉鎖したときに、突出部760の突端部763が仕切部766に極めて近づく。
また突出部760の上面761は、散薬通路517の天井壁に相当する仕切り部材620に、極めて近づく。
突出部760の下面762と散薬通路517の底面との間の角度Dは、散薬の安息角以下の角度をなす。
【0119】
そのため、シャッター部材740(開閉部材)を開いた直後において、薬剤Pの進行方向の先端の斜面の角度Eは、図35(b)の様に安息角以下の角度となっており、零れ落ちにくい。
またシャッター部材740の突出部760の上面761と散薬通路517の天井壁との間は散薬が入り込む空間が小さいので、突出部760の上面761に散薬が乗りにくく、シャッター部材740を開いたときに、突出部760の上面761から散薬が零れ落ちにくい。
シャッター部材740の突出部760の突端部763と仕切部766の間は散薬が入り込む空間が小さいので、突出部760の突端部763に散薬が付着しにくく、シャッター部材740を開いたときに、突出部760の突端部763から散薬が零れ落ちにくい。
【0120】
次に、薬剤容器701をフィーダ本体702に装着する際の動作について説明する。
薬剤容器701が取り付けられていない状態においては、フィーダ本体702は、図33(a)の様に待機状態となっている。具体的には、離脱補助部材705の横辺部728が、付勢部材732に押圧され、離脱補助部材705が全体的に傾斜姿勢となっている。
【0121】
この状態で、図33(b)の様に薬剤容器701の背面壁436をフィーダ本体702の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込む。
なおこの時、一旦、薬剤容器701の散薬排出部711が上になるように傾斜させてから振動側垂直壁部33に差し込むことが望ましい。こうすることにより、薬剤容器701の散薬通路517の散薬が、散薬排出部711から離れ、シャッター部材740を開いたときに、散薬が零れ落ちにくい。
【0122】
薬剤容器701の振動側垂直壁部33への差し込み方法は、実施形態1と同様である。
【0123】
薬剤容器701を差し込んでいくと、離脱補助部材705の作用部722が薬剤容器701の係合部710と接触する。
さらに薬剤容器701を差し込んでいくと、離脱補助部材705の作用部722が薬剤容器701に押されて回動し、縦辺部727が垂直姿勢となり、横辺部728が水平姿勢となって離脱補助部材705が安定した姿勢となる。
前記した様に、薬剤容器701を差し込んでいくことによって、離脱補助部材705を回動させることができるが、補助的に操作部721の係合用押圧部723を押して離脱補助部材705を回動させてもよい。
いずれにしても、薬剤容器701が正しくフィーダ本体702に装着されると、離脱補助部材705の横辺部728が図33(c)のように水平姿勢となる。そのため、上から見て操作部721が水平になっていることを目視で確認することによって、確実に薬剤容器701がフィーダ本体702に装着されたことを認識することができる。
【0124】
離脱補助部材705は、図31に示す様に、離脱補助部材705は、振動側垂直壁部33に設けられている。離脱補助部材705の操作部721は、係合用押圧部723と、解除用押圧部725と、係合用押圧部723と解除用押圧部725とを連結する連結部724とを有する。連結部724は、ほぼ中心部に先が尖った突出部990を有する。振動側垂直壁部33の幅方向の一端に、位置決め部材991が配置されている。
位置決め部材991は、傾斜部992と平坦部993とを有する。平坦部993の一部に、色のついた一定の領域である位置マーカ994(例えば、青色)が配置されている。薬剤容器701が押し込まれて、離脱補助部材705が回転して、位置マーカ994の領域に、突出部990が入った時、薬剤容器701が振動側垂直壁部33にしっかりと装着される。この位置マーカ994は、ユーザに色のついた一定の領域に移動されるまでしっかりと薬剤容器701を押し込んで下さいという指標である。
【0125】
薬剤容器701をフィーダ本体702から取り外す場合は、図34の矢印の様に、操作部721の解除用押圧部725を押す。その結果、離脱補助部材705が逆方向に回動して、離脱補助部材705の作用部722が上昇する。そのため、作用部722が薬剤容器701の係合部710に係合しているので薬剤容器701を押し上げ、薬剤容器701が上方に移動して、フィーダ本体702から外れる。
【0126】
実施形態2によると、フィーダ本体702から薬剤容器701を容易に取り外すことができる。
即ち本開示の薬剤払出し装置1では、薬剤フィーダ5、700が密に配置されているから、薬剤容器701間の隙間が少なく、指を入れにくい。実施形態2の薬剤フィーダ700によると、薬剤容器701の間に指を入れる必要が無いので、薬剤容器701の取り外しが容易である。
【0127】
次に、図32を用いて、薬剤容器701のシャッター707をロックする機構について説明する。薬剤容器701では、シャッター部材740が閉じた状態においては、伝動部材741が後退しており、伝動部材741の切り欠き742に、板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747が係合している。ここで、切り欠き742の後方側傾斜745及び係止突起部747の後方側傾斜751はともに急傾斜である。そのため、伝動部材741がシャッター707を開く方向に移動しようとしても、切り欠き742と係止突起部747の急斜面同士が係合し、伝動部材741のシャッター707を開く方向への移動が阻止される。
そのため、薬剤容器701のシャッター707は、ロック状態となり、シャッター707は開かない。
【0128】
一方、薬剤容器701から散薬を排出すべく、係合片保持部735を正面壁435側に移動させると、係合片保持部735が移動して突起物737が薬剤容器701の係止突起部747と当接する。この時の突起物737側の当接面は、傾斜面738であり、突起物737の前進に伴って薬剤容器701の係止突起部747を板ばね部材748に抗して上に押し上げる。
その結果、板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747が、伝動部材741の切り欠き742を離れ、板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747と伝動部材741の切り欠き742との係合が解除される。
このように、係合片保持部735が正面壁435側に移動すると、伝動部材741が前方に摺動して、シャッター707を移動させ、薬剤容器701の散薬排出部711が開く。
【0129】
以上説明した実施形態では、いずれも薬剤容器420(701)をフィーダ本体10(702)に取り付けて使用するものである。ここで、薬剤容器420(701)がフィーダ本体10(702)に正しく装着されているか否かを確認するセンサが設けられていることが望ましい。
センサの構造は任意であるが,光電センサや近接センサの様に、物体を検知することができるものが望ましい。センサの取り付け位置は任意であるが,フィーダ本体10の振動側垂直壁部33や振動側水平部32が取り付け位置の候補としてあげられる。
【0130】
以上説明した実施形態では、薬剤容器420に情報記憶手段65としてRFIDタグが取り付けられている。RFIDタグに代わって、あるいはRFIDタグに加えて、ARマーカーを設けてもよい。ARマーカーは、あらかじめ登録しておいた写真やイラストその他の図形である。ARマーカーを印刷したラベルを薬剤容器420の見える位置に貼付する。
ARマーカーは、カメラで認識することができる。ここで近年、薬剤の払い出し工程を監視し、後で確認することができるように、装置内にカメラが複数設置される傾向がある。例えば、薬剤フィーダ5の近くに、払い出し監視用のカメラが設置される場合がある。例えばそのカメラを利用してARマーカーを撮影し、薬剤容器420の識別を行う。
これにより処方情報に基づく薬剤情報と照合し正しく薬剤容器がセットされているかの確認を行うことができる。
RFIDタグは、検出距離を確保する必要があるのに対し、ARマーカーはそのような制約が少ない。また監視用カメラを、ARマーカーの撮影に兼用することができるので、RFIDタグに代わってARマーカーを採用すると、RFIDタグ読み取り用の部品を減らすことができる。
【0131】
上記した薬剤払出し装置1では、図1図2等で示されるように、複数の薬剤フィーダ5(5a~5e)が分配皿6の周囲に固定されている。また、これら複数の薬剤フィーダ5は、放射状に配置されている。即ち、図3で示されるように、それぞれの薬剤フィーダ5は、平面視において、自身の幅方向の中心と重なり、自身の長手方向と同方向に延びる仮想線が分配皿6の回転中心(図中P3で示す点)と重なるように配されている。
また、上記した薬剤払出し装置1では、一つの薬剤フィーダ5の薬剤容器420内に一種類の散薬が収容されている。つまり、一つの薬剤フィーダ5の薬剤容器420と予め決められた散薬とが一対一に割り付けされている。このとき、薬剤容器420には、一服用分以上の量を収容してもよい。そして、上記した散薬を排出する動作を実行する際には、複数の薬剤フィーダ5の中から排出する散薬が割り当てられた薬剤フィーダ5が選択され、選択された薬剤フィーダ5から一服用分の量の散薬を排出させることが可能である。
また、一又は複数の薬剤フィーダ5から一又は複数種類の散薬を排出させる際、選択された一又は複数の薬剤フィーダ5から所定量の散薬を分配皿6に排出(払い出し)してもよい。
【0132】
上記した実施形態の薬剤払出し装置1を使用し続けると、いずれかの薬剤フィーダ5において薬剤容器420内の散薬が無くなってしまう場合がある。即ち、消耗品である散薬が無くなってしまう場合がある。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、このような場合、使用者(薬剤師等)が薬剤容器420をフィーダ本体10から取り外し、薬剤容器420に散薬を充填した後、薬剤容器420を再度フィーダ本体10に取り付ける作業を行う。つまり、いずれかの薬剤フィーダ5で散薬が無くなった(又は無くなることが予測された)場合、報知動作等でその報知を受けた使用者が、上記の作業を行う。
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器420を再度取り付ける際、薬剤容器420が元々取り付けられていたフィーダ本体10に加え、他のフィーダ本体10にも取り付けが可能である。即ち、元々のフィーダ本体10の他に薬剤容器420が取り付けられていないフィーダ本体10があれば、そのフィーダ本体10にも取り付けが可能である。つまり、再度の取り付けをする際には、その時点で薬剤容器420を保持していない全てのフィーダ本体10から選択される任意の一つに対し、薬剤容器420の取り付けが可能である。このことから、使用者が薬剤容器420をどこに取り付ければよいか考える必要がなく、上記作業が容易となる。
【0133】
ところで、上記した薬剤払出し装置1は、小型化を想定したものである。ここで、装置全体が小型化すると、受ける衝撃が小さくても筐体2(装置全体)が傾いてしまうおそれがある。そして、薬剤払出し装置1を移動させたり、設置時に筐体2が衝撃を受けたりすることで筐体2が傾き、筐体2が傾いたまま薬剤払出し装置1を運用すると、各種動作(例えば、散薬の重量を測定する動作)で、不具合が生じてしまうおそれがある。
そこで、上記した薬剤払出し装置1は、ジャイロセンサ(傾き検知手段であり、水平器)を備えたものであってもよい。また、ジャイロセンサが検知した情報(ジャイロセンサから発信された信号)に基づいて、筐体2の傾きを報知する傾き報知動作を実行してもよい。
この傾き報知動作は、ジャイロセンサによって検知した装置全体の傾きが規定値を超過したことを条件として、その旨を報知する動作である。この動作は、薬剤払出し装置1の電源を投入したことを条件として実行される動作であってもよい。また、例えば、薬剤払出し装置1にスピーカ等の音声発生手段を設け、警告音(アラート)やメッセージを出力する動作であってもよい。
【0134】
また傾き検知手段として、3軸加速度センサを採用することも推奨される。例えば3軸加速度センサを実装した基板を、筐体2内の水平に支持された仕切や板に取り付ける。
3軸加速度センサは加速度の測定を目的とした慣性センサの1つで、3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動)を検出することができる。3軸加速度センサは、重力、動き、振動、衝撃を測定する事ができる。
例えば薬剤払出し装置1を所定の位置に設置し、筐体2の水平調整を行った後の3軸加速度センサの各軸に関する出力値を記憶しておく。3軸加速度センサは、重力加速度を検知することができ、垂直方向には常に重力加速度が掛かっているため、筐体2が傾くと、3軸の各検出値が変化する。
当該検出値の変化に基づいて、筐体2の傾き具合を演算し、筐体2の傾きを検出する。どの様に姿勢を修正すれば、水平姿勢に戻るかを表示してもよい。
逆に、3軸の各検出値の変化が一定未満である場合には、薬剤払出し装置1は傾いておらず姿勢が安定しいていると判断できる。
【0135】
ところで、上記した薬剤フィーダ5における散薬の排出動作は、散薬排出部411を閉状態としたまま(シャッターを閉じたまま)薬剤容器420を振動させ、その後に、散薬排出部411を開状態とし、薬剤容器420を振動させて薬剤を排出させる動作でもよい。つまり、散薬排出部411を開状態として薬剤容器420を振動させる動作(以下、開状態振動動作とも称す)に先立って、散薬排出部411を閉状態として薬剤容器420を振動させる動作(以下、閉状態振動動作とも称す)を実行してもよい。
ここで、閉状態振動動作は、開状態振動動作よりも薬剤容器420を強振動させる動作であってもよい。つまり、薬剤フィーダ5は、振動数(周波数)や振幅の大きさを変更可能な構成としてもよい。そして、閉状態振動動作を開状態振動動作よりも振動量(振動の大きさ)が大きな動作としてもよく、より単位時間当たりの振動回数が多い動作としてもよい。また、閉状態振動動作は、最も強い振動で薬剤容器420を振動させる動作、即ち、最大振動としたり、単位時間当たりの振動回数を最大としたりする動作でもよい。
詳細に説明すると、薬剤容器420に薬剤を充填した直後等では、散薬排出部411の付近に散薬がない状態となることがある。このような状態で通常の散薬の排出動作を実行したのでは、少量の散薬を排出させる場合に時間がかかってしまう可能性がある。即ち、散薬排出部411を開いて薬剤容器420を強振動で振動させると、散薬が実際に排出され始めた際に一度に多量の散薬が落下してしまうことがある。このため、少量の排出を行う際には、薬剤容器420を強振動で振動させることが難しい。また、振動を弱くすると、散薬が実際に排出され始めるまでに長い時間が必要となってしまう。
そこで、上記した閉状態振動動作、開状態振動動作を実行して散薬を排出させることで、上記した少量の散薬を排出させる場合においても、散薬の排出のために必要な時間を短縮できる。
【0136】
ここで、図1図28で示されるように、上記した錠剤手撒き装置303は、全体の概形が略直方体状の部材であって、揺動可能な状態で取り付けられている。即ち、上面の升状部分の開口が上方を向く通常姿勢(図1参照)と、同開口が前方上側を向く傾斜姿勢(図28参照)の間で姿勢変更が可能となっている。
また、図1図28で示されるように、上記した清掃装置7は、錠剤手撒き装置303の下側に配されている(図1参照)。ここで、清掃装置7は、図示しない吸引装置に接続された吸引口7aを有しており、負圧を発生させて空気と共に汚れ(残存散薬や塵等)を吸い込む装置である。詳細には、清掃装置7は、分配皿6の外側から内側に向かって延びる延設部7bを有し、この延設部7bに吸引口7aが形成されている。また、清掃装置7は、分配皿6を清掃するものであり、清掃時は、吸引口7aが下側を向いた状態となっている。
【0137】
ここで、清掃装置7の動作について説明する。清掃装置7は、自動で回転動作を実行する。具体的には、この回転動作は、延設部7bが一回転する動作であり、この際の回転軸は、延設部7bの延び方向と同方向となる。このことにより、吸引口7aが下側を向いた状態から、側方(通常時を基準として側方)を向いた状態、上側を向いた状態を経て、下側を向いた状態に戻る。これにより不使用時、すなわち散薬の分配溝への投入時等の分包動作中において、吸引口7aが上を向いているので、清掃装置7の入り口に付着した残薬があった場合でも投入溝に落下することはない。
【0138】
薬剤容器420の内部に水や洗浄液等を入れ、この状態で薬剤容器をフィーダ本体10に装着して薬剤容器420を振動させることによって、薬剤容器420の内部を洗浄することができる。
【0139】
次に上蓋3について説明する。上蓋3には、図36のような電光表示800が設けられている。
電光表示800は、複数の発光部802が列状に並んだ複数の発光群801aから801fがある。各発光群801aから801fは、散薬分割領域301の薬剤フィーダ5と粉体フィーダ900とに対応している。即ち散薬分割領域301には、薬剤フィーダ5が6基設置されている。
発光群801aは薬剤フィーダ5aに対応し、発光群801bは薬剤フィーダ5bに対応し、発光群801cは薬剤フィーダ5cに対応し、発光群801dは薬剤フィーダ5dに対応し、発光群801eは薬剤フィーダ5eに対応し、発光群801fは粉体フィーダ900に対応している。
本実施形態では、発光群801a-801fは、扇状に配列されている。
発光群801に属する発光部802は、色及び又は輝度が異なるものが混在しており、中心側から外側に向かって色等がなだらかに変化するよう段階的に配列されている。本実施形態では、中心側が淡い色であり、外側に向かうほど濃い色に発光する。
【0140】
発光群801は、使用者が薬剤払出し装置1の動作状況を把握しやすいように電光で知らせるものである。
薬剤払出し装置1を起動し、準備段階である場合は、準備状況に応じて発光群の発光部が順次発光してゆく。輝度や色彩が変わってもよい。例えばヒートシールのヒータの温度上昇に応じて順次発光する。錠剤手撒き装置303が準備段階である場合も同様に、準備段階に応じて発光状態が変化する。
薬剤払出し装置1の停止時は、ヒータを冷却するためのファンを駆動し、冷却状況に応じて、発光群の発光部を消灯してゆく。発光群が複数ある場合には、発光群ごと消灯してもよい。
【0141】
また各薬剤フィーダ5における薬剤容器420の装着状況に応じて発光状況が変わる。さらに薬剤容器420の取り外し忘れの警告がなされる。
一日の作業完了後は、薬剤容器420をフィーダ本体10から取り外すが、取り外し忘れがある場合は、該当する発光群801の発光部802を発光させて警告する。時間の経過とともに、発光させる発光部802や発光群801の数を減らしてゆくことが望ましい。発光色や輝度を変えてもよい。
【0142】
薬剤容器420から散薬が払い出されている場合は、対応する発光群801の発光部802が所定の順番で発光する。例えば奥から手前に向かって発光させたり、薄い色から濃い色に発光させたりする等が考えられる。
要求される払い出し量に対して、薬剤容器420が保有する薬剤量が足りない場合は、対応する発光群801の発光部802が通常とは異なる表示を行う。例えば、通常の場合とは逆に手前から奥に向かって発光させたり、濃い側から薄い側に向かって発光させたりする。
薬剤容器420の内の薬剤がすべて払い出されてしまい、薬剤容器420が空になってしまった場合は、対応する発光群801が特定の発光状態となる。
【0143】
何らかのエラーがある場合は、明らかに異なる表示を行う。例えばすべての発光部802を赤色に発光させる。
エラーの種類は限定されるものではなく、薬剤容器420の異常、フィーダ本体10の異常、その他の異常が考えられる。またその他の異常には錠剤手撒き装置303の異常も含まれる。
【0144】
薬剤容器420の取り付け状況に応じて発光群801を発光させることが望ましい。
以下に示す発光状態は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
例えば薬剤容器420が取り付けられていない場合は、対応する発光群801が所定の発光状態となり、薬剤容器420が取り付けられている場合は、これとは異なる発光状態となる。例えば、薬剤容器420が取り付けられていない場合は、対応する発光群801が消灯しており、薬剤容器420が取り付けられている場合は淡い色や、輝度が低い状態で発光する。
薬剤容器420から薬剤が払い出されている場合は、対応する発光群801が所定の発光状態となり、薬剤容器420からの払い出しを一時停止している場合は、これとは異なる発光状態となる。例えば、薬剤容器420から薬剤が払い出されている場合は、対応する発光群801の発光部802が連続点灯し、薬剤容器420からの払い出しを一時停止している場合は、対応する発光群801の発光部802が点滅する。
薬剤容器420の払い出しが終了した場合は、発光していた発光部802が消灯する。
特定のフィーダ本体10に薬剤容器420を設置すべき場合には、対応する発光群801が所定の発光状態となる。
【0145】
また分配皿6の回転に応じて、発光群801を順に発光させてもよい。
たとえば、yuyamaロゴに最も近い円弧の発光部802aが回転方向と同じ方向に細かく分割されて点灯点滅する。
メンテナンス要員が、所定の操作をすることにより、薬剤払出し装置1の状況に応じて所定の発光状態となるものであってもよい。
上記態様は、薬剤容器701に対しても適用される。
(変形例1)
【0146】
変形例1について、説明する。
実施形態1の図14では、内張り部材46を1枚の板材で構成している。
変形例1の内張り部材46は、図14の1枚の内張り部材46を内張り部材46の略中央部分で2つの部材に分離するように構成し、鉛直方向の上から順に、第1内張り部材と、第2内張り部材とで構成している。
【0147】
振動側垂直壁部33の上端部に、第1内張り部材を回動させる回動軸が設けられている。その回動軸を中心にして、第1内張り部材の全体が、振り子のように回動する。第2内張り部材は、振動側垂直壁部33に固定されている。
【0148】
第1内張り部材は、上記回動軸に設けられたコイルバネを用いることにより、通常は、振動側垂直壁部33に対して斜め前方、好ましくは、振動側垂直壁部33に対して、45度以上傾斜した状態で維持される。第1内張り部材を傾斜した状態で、第1内張り部材の上端部から、薬剤容器420の係合溝130と内張り部材46の係合部47とを係合させて、薬剤容器420を挿入する。この時、薬剤容器420は、薬剤容器420の散薬排出部411が上を向く状態で傾斜するので、薬剤が後方に集まる。
【0149】
第1内張り部材に薬剤容器420が挿入されると、第1内張り部材は、振動側垂直壁部33に向かって近づき、振動側垂直壁部33と接触するように回動して、振動側垂直壁部33と接触して静止する。この時、第1内張り部材の表面と、第2内張り部材の表面とは、略同一平面である。そして、さらに、薬剤容器420を下方向に移動させて、薬剤容器420を第2内張り部材に挿入させる。
【0150】
上記態様によれば、薬剤容器420をフィーダ本体10に装着するときは、薬剤容器420の背面壁436を上記傾斜した状態の第1内張り部材に沿うように宛がうことで、薬剤容器420内の薬剤は、自然に散薬排出部411から離れる方向に移動する。そして、散薬排出部411のスリット148付近の薬剤の層が薄くなる。その状態で、薬剤容器420を振動させると、薬剤の層が薄い状態で払い出しが行われるので、作業者は薬剤容器420をフィーダー本体10に装着する前に、薬剤容器420の散薬排出部411近傍にある薬剤を意識的に散薬排出部411から離れる方向に移動させるために、薬剤容器420を傾ける動作を実行しなくても、この装着方法の誘導によりそれを実現することができる。これにより、フィーダー本体10に装着後、実際の排出を開始するために散薬排出部411を開閉したときに、散薬排出部411付近に貯留した薬剤が、まとまって排出されることもなく、安定して最初から精度よく払い出すことができる。
(変形例2)
【0151】
変形例2について、説明する。
実施形態1及び実施形態2の蓋部材475は、蓋側係止片部476の係止突起476aと正面壁435の突起部600とが係合して閉じられる(図8及び図32参照)。実施形態1及び実施形態2の蓋部材475は、図7及び図32に示す様に、蓋側係止片部476を両側から手で摘まんで持ち上げることにより、係止突起476aと突起部600との係合を外して、蓋部材475が開くようになっている。
【0152】
図37は、変形例2の薬剤容器1010を示す概略図である。
図37(a)に示す様に、薬剤容器1010の蓋側係止片部476は、略四角錐の形状をしている。また、図37(c)に示す様に、薬剤容器1010において、蓋側係止片部476に設けられた係合凹部1110と正面壁435に設けられた突起部1120とが係合して、蓋部材475が閉じている。
薬剤容器1010の正面壁435と蓋側係止片部476との間には、小さな隙間を有している。薬剤容器1010の小さな隙間は、人の手が入ることができない様になっており、蓋部材475を人の手で開けられない様になっている。
【0153】
図37(b)に示す様に、蓋部材解除ピン1020は専用の工具であって、先が尖ったものであり、例えば工具の「のみ」の様な形状をしている。蓋側係止片部476の右側面の隙間から蓋部材解除ピン1020を挿入すると、進行するにつれて、蓋部材解除ピン1020の斜面角度の拡大に追随して、蓋側係止片部476が持ち上がり、係合凹部1110が突起部1120から外れ、蓋部材475が開く(図37(d)参照)。
尚、蓋側係止片部476の右側面の隙間から蓋部材解除ピン1020を挿入したが、蓋側係止片部476の左側面の隙間から蓋部材解除ピン1020を挿入してもよい。
上記態様によれば、専用の蓋部材解除ピン1020を使用しないと、蓋部材475を開けることができないので、薬剤容器1010に間違った薬剤を充填するのを防止できる。
(変形例3)
【0154】
変形例3について、説明する。
実施形態1の薬剤容器420及び実施形態2の薬剤容器701は、コンパクトな形状を想定したものである。薬剤容器420、701をコンパクトな形状にすると、図8に示す様に、散薬通路517の高さが低くなり薬剤の流量が制限され、薬剤容器420、701は、薬剤を払い出すのに時間がかかるという改善の余地がある。
【0155】
図38は、変形例3の薬剤容器1030を示す概略の断面図である。
図38に示す様に、図8図35に比べ、薬剤容器1030は、散薬通路517の高さを高くし、大傾斜部543にも第2開口547bを設けている。よって、薬剤容器1030の開口547は、連通孔形成部546には第1開口547aと、大傾斜部543には第2開口547bとで構成されている。そのことにより、図38の開口547(547a、547b)の合計の開口面積は、図8図35の開口547の合計の開口面積より大きくなっている。
【0156】
上記態様によれば、散薬通路517の高さを高くし、開口547(547a、547b)の合計の開口面積を大きくすることで、散薬通路517における薬剤のスピードを向上させ、薬剤を払い出すのに時間がかかるのを防止できる。
(変形例4)
【0157】
変形例4について、説明する。
変形例3では、散薬通路517の高さを高くし、開口547(547a、547b)の合計の開口面積を大きくすることで、散薬通路517における薬剤のスピードを改善している。しかし、散薬通路517の高さを高くすると、配分ムラが発生するという改善の余地がある。
【0158】
図39は、変形例4の薬剤容器1040を示す概略の断面図である。
図39に示す様に、散薬通路517は、上下方向の下から第1散薬通路517aと第2散薬通路517bの2段で構成されている。また、突出部760も2段構成とし、突出部760は、下から第1散薬通路517aの薬剤の漏れを防ぐ第1突出部760aと、第2散薬通路517bの薬剤の漏れを防ぐ第2突出部760bとで構成されている。
第1散薬通路517aには第1開口547aが設けられ、第2散薬通路517bには第2開口547bが設けられている。
【0159】
上記態様によれば、散薬通路517を2段構成にすることで、薬剤を払い出すスピードを向上させ、かつ配分ムラの発生を防止できる。
(変形例5)
【0160】
変形例5について、説明する。
上記した薬剤容器420等では、いずれも容器本体70の内部に仕切り板68(仕切り部材)が内蔵されている。そして当該仕切り板68は、いずれも硬質の樹脂で作られている。
そのためフィーダ本体10に薬剤容器420を保持させて振動すると、当該震度が直接的に中の散薬に伝わり、散薬が全体的に振動する。そのたる内部の散薬が全体的に沈下して散薬の粒子同士の間隔が詰まり、下部側が塊状になってしまう懸念がある。
これに対して変形例5の薬剤容器1050では、仕切り板68に相当する部材が樹脂フィルム1051で作られており、比較的柔らかく、容易に弾性変形する。そのため容器本体70が振動しても当該振動が樹脂フィルムで緩和される。そのため、本体容器70の振動に比べて散薬の振動が小さく、散薬の沈下が少ない。
【0161】
図40は、変形例5の薬剤容器1050を示す概略の斜視図である。
本実施形態の薬剤容器1050は、正面視が略正方形の本体容器70を有し、当該本体容器70内に、別途成型された仕切部材1052が配されている。
本実施形態の仕切り部材1052は、樹脂の薄板を曲げて塑性変形させたものであり、第1垂直壁部1053と、傾斜部1055と、連通孔形成部1056と、第2垂直壁部1057を有している。
【0162】
第1垂直壁部1053は、本体容器70の正面壁(小面積側側面62)435の内面に沿って設置される部位であり、形状は平面的である。
第1垂直壁部1053の下部は、傾斜部1055につながっている。さらに傾斜部1055の他方は、連通孔形成部1056につながっている。連通孔形成部1056は、湾曲した形状であり、下に凸の姿勢である。連通孔形成部1056の後半領域は上方に向かって反っている。
【0163】
連通孔形成部1056は、小孔(開口)1058が多数設けられる部分であり、長孔列が形成されている。
第2垂直壁部1057は、本体容器70の背面壁(小面積側側面62)436の内面に沿って設置される部位であり、形状は平面的である。
本実施形態の薬剤容器1050では、仕切り部材1052は本体容器70とは別体であり、直接的に接合されてはいない。
【0164】
図41に示す薬剤容器1060、1061は、容器を二重構造とし、内箱部1063、1065に、仕切り部材1052に相当する部位を設けたものである。
即ち、図41(a)(b)に示す薬剤容器1060、1061は、前記した本体容器70を外箱とし、この中に、樹脂フィルムで作られた内箱部1063、1065が内蔵されている。
前記した様に本体容器70は、正面壁435と、背面壁436と、左右側面壁437と、底面壁440を有している。
内箱部1063、1065は、正面壁435と接する内箱正面壁1070と、背面壁436と接する内箱背面壁1071と、左右側面壁437と接する内箱左右側面壁1072を有している。内箱部1063、1065の底は、傾斜部1055と連通孔形成部1056に相当する部材で塞がれている。内箱部1063、1065の天面は解放されている。
【0165】
図41(a)に示す薬剤容器1060の内箱部1063は、一枚のフィルムを折り曲げて作られたものである。即ち、内箱部1063は、展開形状のフィルムを折り曲げて作られた箱である。
これに対して、図41(b)に示す薬剤容器1061の内箱部1065は、金型を使用して成型されたものである。
【0166】
図40図41に示す薬剤容器1056、1060、1061は、剛性を有する容器本体70を有し、当該容器本体70の中に、弾性を有する仕切り部材1052が配されたものである。
また図41に示す薬剤容器1060、1061は、剛性を有する外箱と、外箱よりも剛性が低い素材で作られた内箱部1063、1065を有し、当該内箱部1063、1065に仕切り部材1052が設けられたものである。
【0167】
R5-290散薬カセット共有R5-289カセットマスタ共有
R5-373手撒き混合2種以上は取り込まないモード
R5-373手撒き混合2種以上は取り込まないモード
【0168】
薬剤払出し装置1は、図1の様に単体で使用することもできるが、図42の様に薬剤容器420を収容する棚装置(容器収容装置)220を追加してもよい。棚装置220は、薬剤払出し装置1から独立している。なお、棚装置220は、薬剤払出し装置1のものであってもよい。作業者は棚装置220から該当する薬剤容器420を取り出し、薬剤フィーダ5に装着する。
また図42の様に複数台の薬剤払出し装置1と、容器収容装置220及び統括制御装置223で、薬剤払い出しシステム230を構築してもよい。図42に示す薬剤払い出しシステム230では、薬剤払出し装置1を2台有し、さらに他の散薬分包装置231、232を含んでいる。
【0169】
棚装置220には、マトリクス状に仕切られた区画235があり、当該区画235内に薬剤容器420が一個ずつ収納される。さと
各区画235には、RFIDリーダ等の情報読み取り装置(図示せず)があり、収容されている薬剤容器420のRFIDから情報を得て、区画235内の薬剤容器420が何であるかを認識することができる。
そして通信手段等によって、棚装置220のいずれの区画235に、いずれの薬剤容器420が収容されているのかという情報が、統括制御装置223及び薬剤払出し装置1に送信される。
【0170】
統括制御装置223又は外部の危機の記憶装置には薬剤マスターテーブルがあり、薬剤払い出しシステム230では、共通の薬剤マスターテーブルが使用される。即ち薬剤払い出しシステム230では、複数台の薬剤払出し装置1に対して、共通した薬剤容器420が使用されるため、薬剤マスターテーブルが共有される。
【0171】
統括制御装置223は、統括制御装置223は、通信機能を有し、外部のサーバーや、薬剤払出し装置1、及び容器収容部材(棚装置)220と相互通信することができる。
本実施形態では、統括制御装置223から薬剤払出し装置1に処方箋が送信され、薬剤払出し装置1の制御装置960に処方箋の情報が蓄積される。
また所定の操作を行うことによって、薬剤払出し装置1の表示装置35の画面に未処理の処方箋が表示される。
表示の仕方として、次のものがある。また表示された処方箋をソートして並べ替えたり、所定の表示をすることができる。
【0172】
(1)未処理処方の全表示
表示画面に未処理の処方箋をすべて一覧表にして表示することができる。
そして、次の条件に基づいて、並べ替えたり、特定の印を付することができる。
(a)準備の容易性による並べ替え
本実施形態では、今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋を選択して、一覧表の前側に置き換えることができる。また今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋に丸印等の特定の記号を付したり、色分けし目立つ表示にすることができる。
ここで、「今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋」とは、当該処方箋に記された薬剤が、現に薬剤払出し装置1の薬剤フィーダ5に装着されている薬剤容器420に収容された薬剤だけである場合があげられる。
また「今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋」には、当該処方箋に記された薬剤が、前記した薬剤フィーダ5に装着されている薬剤容器420に収容された薬剤と、他の薬剤払出し装置5で使用されておらず、現に棚装置(容器収容装置)220に残っている薬剤容器420に収容された薬剤だけである場合も含まれる。
さらに「今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋」には、当該処方箋に記された薬剤が、他の薬剤払出し装置で使用されておらず、現に棚装置(容器収容装置)220に残っている薬剤容器420に収容された薬剤だけである場合も含まれる。
もちろん前記した3パターンを区別して表示してもよい。
【0173】
本実施形態では、薬剤払い出しシステム230に含まれる機器の内、薬剤容器420を使用する機器について、複数台が連携で使用中の薬剤容器420を確認する。
即ち、薬剤容器420が使用中かどうかを、薬剤容器420の薬剤払出し装置1への実装情報を共有するマスタのテーブル上に各薬剤容器420の使用状況のフラグを設け、未処理一覧内の処方で使用中の薬剤容器420を含まない処方を抽出することにより実現できる。
【0174】
なお、この未処理処方に関する情報は、例えば「更新」を意味するボタン等を表示画面に設け、それを押下することにより、常に最新の薬剤容器420の使用状況を加味した、未処理処方一覧を確認することができる。
これにより、複数台の薬剤払い出しシステム230で薬剤容器420を共有使用していても、直ちに、分包作業が実行可能な処方かどうかが一目で確認でき、作業時間を効率化することができる。
【0175】
また前記した様に、薬剤容器420が使用中かどうかを、薬剤容器420の薬剤払出し装置1への実装情報を共有するマスタのテーブル上で確認する構成を採用すると、例えば
システムに容器収容部材(棚装置)220を含まない場合であっても、処方情報で使用すべき薬剤容器420が例えば薬剤払出し装置1の1号機にあるのか2号機にあるのか、あるいはいずれにも装着されておらず、他の場所に置かれているのかの違いがわかる。
【0176】
(b)薬剤師が処理すべき処方と、その他の者により処理が可能な処方の区別
本実施形態では、薬剤師が処理すべき処方箋を選択して、一覧表の前に置き換えることができる。また薬剤師が処理すべき処方箋に丸印等の特定の記号を付したり、色分けし目立つ表示にすることができる。逆に、テクニシャン等の非薬剤師でも処理できる処方箋を選択して、一覧表の前に順番を変えることができる。またテクニシャン等の非薬剤師でも処理できる処方箋に丸印等の特定の記号を付したり、色分けして目立つ表示にすることができる。
【0177】
薬剤師が処理すべき処方の一つとして前記した粉体フィーダ900を使用することが必要な処方であって、且つ複数の散薬を混合して粉体フィーダ900のホッパ910に投入することが必要な処方がある。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、薬剤フィーダ5とは別に粉体フィーダ900を配置しているので、薬剤容器420に収容されていない薬剤が処方に含まれる場合は、別途秤量及び鑑査が行われた散薬を、ユーザの手でホッパ910に投入することとなる。
【0178】
しかしながら、本実施形態の薬剤払出し装置1は、粉体フィーダ900が一基しかないので、薬剤容器420に収容されていない薬剤が二種類である場合は、複数の散薬を混合して粉体フィーダ900のホッパ910に投入することが必要となる。
ところが、散薬の相性によって、混合することに不都合がある場合がある。例えば散薬の粒子径が大きく異なるような場合は、均一に分散させることが困難である。
そこで本実施形態では、薬剤容器420に収容されていない薬剤が二種類含まれている処方は、薬剤師が処理すべき処方に区分される。
逆に薬剤容器420に収容されていない薬剤が一種類である場合は、テクニシャン等の非薬剤師でもが処理できる処方に区分される。
【0179】
テクニシャン等の非薬剤師でも処理できる処方は、処理が簡単な処方に限られ処方を取得するモードとして、粉体フィーダ900を含まない処方のみを取得するという場合においては、次の通りである。
ア:処方箋に記された薬剤が、薬剤容器420に収容されている散薬だけである場合。
イ:処方箋に記された薬剤が、薬剤容器420に収容されている散薬と、薬剤容器420に収容されていない一種類の散薬だけである場合。
ウ:処方箋に記された薬剤が、薬剤容器420に収容されていない一種類の散薬だけである場合。
エ:上記したア、イ、ウに錠剤手撒き装置303を使用する固形薬剤が含まれる場合。
オ:錠剤手撒き装置303を使用する固形薬剤だけである場合。

また薬剤払出し装置1の付属装置として、錠剤等の固形薬剤を自動的に払い出す、錠剤払い出し装置を設ける場合がある。
錠剤払い出し装置だけで処理できる処方や、前記したア、イ、ウ、エ、オの要件に加えて錠剤払い出し装置を使用することができる処方についても、テクニシャン等の非薬剤師でもが処理できる処方に区分される。
【0180】
(2)未処理処方であって、今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋のみを表示。
処方箋に含まれている薬剤が、現に薬剤払出し装置1の薬剤フィーダに装着されている薬剤容器420に収容された薬剤と、現に容器収容装置に収容されている薬剤容器420の薬剤だけで薬剤の払い出しを行うことができる処方だけを選び出して表示することができる。
(3)テクニシャン等の非薬剤師でも処理できる処方だけを表示。
前記したア乃至オの条件を満足するものだけを表示することができる。
(4)熟練度の低い非薬剤師でも処理できる処方だけを表示。
最も簡単な処方のみを表示する。例えば、「ア:処方箋に記された薬剤が、薬剤容器420に収容されている散薬だけである場合」に限って表示する。
【0181】
本実施形態では、所定の操作により、表示装置35の表示モードを前記した(1)乃至(4)に選択することができる。即ち本実施形態では、所定の操作により、「未処理処方であって、今すぐ薬剤払い出しを実施することができる処方箋」だけを表示することもできる。
【0182】
以上の説明では、統括制御装置から送信された全処方箋を一旦薬剤払出し装置1に取り込み、薬剤払出し装置1で所定の選別をして表示する旨を説明したが、各条件を満足する処方箋だけを取り込む構成であってもよい。
【0183】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器420を使用して散薬を秤量しつつ散薬を分配皿6に投入する方法と、外部の秤量装置で散薬を秤量しその散薬を粉体フィーダ900のホッパ910に導入して分配皿6に投入する方法がある。
もちろん、薬剤容器420を使用する方が効率がよい。
しかしながら、薬剤容器420の個数や、薬剤容器420の収納場所、薬剤の使用頻度や消費期限等の関係から、すべての散薬を薬剤容器420に入れておくことは適切ではない。
【0184】
そこで本実施形態の薬剤払出し装置1では、散薬の使用頻度や薬剤容器420の使用頻度が記録されており、当該記録を薬剤容器420に入れておくことが適切であるか否かを検討したり、新たに薬剤容器420に入れるべき薬剤を選定する参考資料とすることができる。
本実施形態では、使用頻度が低い薬剤容器420のリストを「ワースト」として表示することができる。
【0185】
また薬剤容器420に入っていない散薬であって、使用頻度が高い散薬を「トップ」として表示することができる。
ここで、使用頻度が高い散薬を決める元データは、当該薬剤払出し装置1の使用状況だけに頼ってもよいが、システム全体の散薬の使用頻度によることが望ましい。
例えば大規模の薬局等では、複数の散薬払い出し装置や分包機を保有し、これらがネットワークで接続されてシステム化されている。例えば図42に示すような薬剤払い出しシステム230が構築されている。
薬剤払い出しシステム230に含まれる散薬払い出し装置や分包機には、本実施形態の薬剤払出し装置1以外の機種であって、薬剤容器から散薬を自動的に分配皿に排出するものや、薬剤容器を持たず、外部の秤量装置で秤量した散薬を散薬フィーダで分配皿に投入するものや、ブイ桝方式と称される形式のものもある。
これらすべての装置における散薬の使用頻度を元データとして使用頻度が高い散薬を「トップ」として表示することが望ましい。
【0186】
本実施形態の薬剤払い出し装置1は、薬剤容器420をフィーダ本体10に装着して振動させ、薬剤を移出させる。ここで薬剤の単位時間あたりの排出量は、振動強度と相関し、振動が強いほど、単位時間あたりの排出量が多い。
そのため、流れの悪い散薬が薬剤容器内に収容されている場合には、排出時の振動強度を強くしている。
また本実施形態では、薬剤容器420の重量を監視しつつ薬剤容器420を振動させるが、薬剤容器420の重量変化が小さく、散薬の単位時間あたりの排出量が少ないと判断され場合は、次第に振動強度を強くする制御が採用されている。
【0187】
しかしながら、振動を強くすると各機器が発する音が大きくなる。特に、薬剤容器420内の散薬の残量が少なくなると、薬剤容器420がびびり、さらに散薬容器42が共鳴して騒音が強くなる傾向がある。
そこで本実施形態では、薬剤容器420の総重量を監視し、当該総重量が軽い場合には、薬剤容器420に強い振動をかけない。
【0188】
即ち、本実施形態では、薬剤容器420の総重量が軽く、薬剤の残量が少なくなった場合は、過度に振動強度を上げることをしない。
即ち、本実施形態では、薬剤容器420の総重量が一定以下である場合は、通常の場合に比べて振動強度の上限を低くなるように制御されている。
【産業上の利用可能性】
【0189】
本願発明は、薬剤を調剤する装置であり、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
本開示の薬剤払い出し装置は、薬剤師のような有資格者が実施すべき散薬秤量等の散薬監査作業を無くすことで、テクニシャン等の非薬剤師においても実施できる装置である。具体的には、作業者は薬剤であることを意識することなく、処方情報に基づいて指定された薬剤容器の番号、または棚等に配置されている場合はランプ等で指定された薬剤容器を取り出して、薬剤払い出し装置に載置するだけで、処方に必要な分包作業を確実に実行し完了できるものである。これにより、有資格者である薬剤師は調剤作業という対物業務から、患者と向き合う対人業務にシフトできると共に、必要な調剤作業を非薬剤師等で実施できることから、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
また本開示は、人件費を低減し、経済生産性を向上させることができる。これによっても、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0190】
1;薬剤払出し装置、5,700;薬剤フィーダ、6;分配皿、8;掻出装置、10,702;フィーダ本体、411,711;散薬排出部(第1の排出部)、13;薬剤投入溝、16;振動部材(容器保持部)、420,701;薬剤容器、22;フィーダ部、23;容器支持部、24;重量測定部、25;重量測定手段、26;土台部、27;支持台、28;防振部材、30;支持側水平部、30a;加振手段、30b;加振手段、31;支持側垂直壁部、32;振動側水平部、33;振動側垂直壁部(縦壁)、440;底面壁、56;係合片保持部、61;大面積側側面、62;小面積側側面、68;仕切り板、70;容器本体、471;箱部、72;整流部材、473;シャッター構造部、475;蓋部材、91,491、740;シャッター部材(開閉部材)、110,510;閉鎖壁、148;スリット、301;散薬分割領域、302;薬剤包装領域、310;散薬投入ホッパ、305;薬品包装装置、360;薬剤分包用芯管、370;薬剤分包用シート、900;粉体フィーダ、910;ホッパ、920;トラフ、940;トラフ排出部(第2の排出部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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