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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001915
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】薪割り具
(51)【国際特許分類】
   B26B 23/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B26B23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100783
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】393032125
【氏名又は名称】MCCアドバンスドモールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 元気
(72)【発明者】
【氏名】麻生 素行
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061BA03
3C061BB01
3C061BB02
3C061BB06
3C061DD14
3C061EE09
(57)【要約】
【課題】軽量で使いやすく、安全に薪を割ることができる薪割り具を開発する。
【解決手段】繊維状物を含む熱可塑性樹脂を材料して成形される柄3の先端に金属製の楔2を一体に設けて薪割り具1を構成する。楔2は柄3の端部に接合する根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした形状のものを用いる。柄3の先端側左右両側部には、後方に向けた漸次太さを大きくした拡幅部33,33を設ける。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の柄の先端に金属製の楔が一体に設けられた薪割り具。
【請求項2】
楔は柄の端部に接合する断面略円形の根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした形状を有する請求項1に記載の薪割り具。
【請求項3】
楔は、その刃幅が10mm以上30mm以下、その根元部側から刃先に向けて先細りする左右両側の勾配(θ)が10°以上20°以下である請求項1又は2に記載の薪割り具。
【請求項4】
楔は、その刃先の上下端部からその根元部側に向けてそれぞれ0°以上20°以下の勾配(φ)をつけて、刃先の上下両側も先細りさせた形状である請求項3に記載の薪割り具。
【請求項5】
楔は、その柄の端部に接合する断面略円形の根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした楔本体の後端に前記柄に埋め込まれる軸部を突出させてなり、この軸部は前記根元部よりも細く、且つその軸方向に沿って外周面に凹部と凸部を複数配してその太さが不連続である請求項1又は2に記載の薪割り具。
【請求項6】
柄は、その外周面に軸方向に沿って指を添える凹凸部を配した握り部を有し、その後端部に幅広鍔状の打撃受け部が設けられているとともに、前記握り部よりも当該柄の先端側に、楔との接合部側からその太さを握り部側に向けて漸次大きくした拡幅部を有する請求項1又は2に記載の薪割り具。
【請求項7】
握り部に複数の凹溝が設けられた請求項6に記載の薪割り具。
【請求項8】
柄は熱可塑性樹脂に繊維状物を含ませた材料からなる請求項1又は2に記載の薪割り具。
【請求項9】
繊維状物が炭素繊維である請求項8に記載の薪割り具。
【請求項10】
熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である請求項9に記載の薪割り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪を細く割る作業で使用する薪割り具に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、手頃なレジャーとしてキャンピングや、川辺や公園でのバーベキューなどを楽しむ人が増えている。キャンピングでの炊事やバーベキューでは、薪をくべた焚き火が熱源として利用されている。薪は伐採した木を手ごろな長さに切断したものであり、これをさらに長細く割って火にくべられる。
薪を細く割る用具としては、鉈や鋼製の楔、たがねが利用されている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3222957号公報
【特許文献2】意匠登録第1710327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉈や楔、たがねは、従来から薪を割るときに用いられているが、普段は使わない用具であり、何れも金属製で重量なため、うまく使いこなせないことが多い。
キャンピング初心者や子供、女性が、重い鉈を振り回し過ぎてケガをしたり、楔やたがねを薪の上面にハンマーで打設した際に誤ってハンマーを手に当ててしまったりすることも多い。薪の上面に割り込ませた楔やたがねをさらに打設したときに、細く分岐した薪を、楔やたがねに添えた手に突き刺してしまうこともある。
【0005】
本発明は従来の技術が有するこのような問題点に鑑み、軽量で使いやすく、且つ安全に薪を割ることができる薪割り具を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記の課題を解決するための薪割り具を鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕合成樹脂製の柄の先端に金属製の楔が一体に設けられた薪割り具。
〔2〕前記楔は、柄の端部に接合する断面略円形の根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした形状を有する前記〔1〕に記載の薪割り具。
〔3〕前記楔は、その刃幅が10mm以上30mm以下、その根元部側から刃先に向けて先細りする左右両側の勾配(θ)が10°以上20°以下である前記〔1〕又は〔2〕に記載の薪割り具。
〔4〕前記楔は、その刃先の上下端部からその根元部側に向けてそれぞれ0°以上20°以下の勾配(φ)をつけて、刃先の上下両側も先細りさせた形状である前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の薪割り具。
[5]前記楔は、その柄の端部に接合する断面略円形の根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした楔本体の後端に前記柄に埋め込まれる軸部を突出させてなり、この軸部は前記根元部よりも細く、且つその軸方向に沿って外周面に凹部と凸部を複数配してその太さが不連続である前記[1]から[4]のいずれかに記載の薪割り具。
[6]前記柄は、その外周面に軸方向に沿って指を添える凹凸部を配した握り部を有し、その後端部に幅広鍔状の打撃受け部が設けられているとともに、前記握り部よりも当該柄の先端側に、楔との接合部側からその太さを握り部側に向けて漸次大きくした拡幅部を有する前記〔1]から[5]のいずれかに記載の薪割り具。
[7]前記握り部に複数の凹溝が設けられた前記[1]から[6]のいずれかに記載の薪割り具。
[8]前記柄は、熱可塑性樹脂に繊維状物を含ませた材料からなる前記[1]から[7]のいずれかに記載の薪割り具。
[9]前記繊維状物が炭素繊維である前記[8]に記載の薪割り具。
[10]前記熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂である前記[8]又は[9]に記載の薪割り具。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軽量で使いやすく、且つ安全に薪を割ることができる薪割り具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の薪割り具の外観図である。
図2図1の薪割り具の上面図(A)と右側面図(B)である。
図3図1の薪割り具の先端に設けられた楔の上面図(A)と右側面図(B)である。
図4図3の楔を柄の先端に埋め込んだ状態を示す薪割り具の内部を透過した要部拡大図である。
図5】(A),(B)は本発明の薪割り具で薪を割る作業手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で適宜に変更して実施することができる。
【0011】
前述のとおり、本発明の薪割り具は、合成樹脂製の柄の先端に金属製の楔が一体に設けられた構成を有することを特徴とするものである。
かかる構成の薪割り具は、柄を成形する金型内に金属製の楔をセットしたインサート成形により形成することができ、手で持つ柄の部分が合成樹脂材料からなるので、全体が金属材料からなる従来の楔やたがねよりも軽く、簡便に取り扱うことが可能である。
【0012】
前記構成の薪割り具で薪を割るには、薪の端部上面に楔の先端をあてがって薪割り具を立て向きに支持した状態で、薪割り具の後端部をハンマーで打設して楔の先端を薪の上面から軸方向内部に進入させることにより行われる。
楔の刃先が薪の中にスムーズに進入して薪が割れるように、前記金属製の楔として、柄の端部に接合する断面略円形の根元部側からその左右両側が先端に向けて先細りした形状のものを用いることが好ましい。
【0013】
薪を効率よく割るには、前記楔の刃先を薪の端部上面に打ち入れる際に、楔が薪の中に進入する力と、楔が進入することによって薪を横に広げる力のバランスが重要であると考えられる。楔の刃先部分の角度の違いで薪割り具を打設したときに楔に加わる負荷も大きく異なる。
より少ない力で薪を効率的に割ることのできる楔の刃先の態様を本発明者が楔の試作と薪を割る試験を繰り返して検討したところ、楔の刃先の幅(w)と楔の根元部側から前記刃先に向けて先細りする当該楔の左右両側の勾配(θ)が以下の範囲に設定されていれば、薪を小さな抵抗でスムーズに割ることができることが確認された。
【0014】
すなわち、楔の刃幅(w)の好ましい範囲は、10mm以上30mm以下である。
楔の刃幅(w)が10mm以上であれば、刃幅(w)が細くなりすぎずに薪を割ることができ、また、刃幅(w)が30mm以下であれば、薪を割る際に刃先が薪侵入する際の抵抗が大きくなりすぎないため好ましい。より好ましくは刃幅(w)が12mm以上28mm以下、さらに好ましくは15mm以上25mm以下である。
【0015】
また、前記刃先に向けて先細りする楔の左右両側の勾配(θ)の好ましい範囲は、10°以上20°以下である。
楔の刃先に向けた勾配(θ)が10°以上であれば、薪割の際に刃先がもろくなりすぎず、また、20°以下であれば、薪割の際に刃先が侵入する際の抵抗が大きくなりすぎないため好ましい。より好ましい勾配(θ)は12°以上18°以下である。
【0016】
楔は、さらにその刃先の上下端部からその根元部側に向けてそれぞれ勾配をつけて、好ましくは0°以上20°以下の勾配(φ)をつけて、刃先の上下両側も先細りさせた形状とすることが好ましい。
前記刃先の上下両側の勾配(φ)が0°以上であれば、楔の根本幅と同じ幅を確保できるので、刃先剛性を保つことができ、また、勾配(φ)が15°以下であれば、刃先の幅が細くなりすぎないため刃先にかかる負荷を抑えることができて好ましい。より好ましくは勾配(φ)が13°以下、さらに好ましくは勾配(φ)が10°以下である。
【0017】
また、楔は、その柄の端部に接合する根元部側の後端に前記柄に埋め込まれる軸部を突出させ、この軸部を前記根元部よりも細く、且つその軸方向に沿って外周面に凹部と凸部を複数配してその太さが不連続となるように設けてあることが好ましい。
上記のように軸部を設けることで、インサート成形によって柄の内部に埋め込まれる軸部に凹部と凸部を複数配することで、柄の樹脂材料部との接触面積が大きく確保され、柄に対する楔の固着強度を高めることができる。
【0018】
また、前記構成の薪割り具の柄は、その外周面に軸方向に沿って指を添える凹凸部を配した握り部を有し、その後端部に幅広鍔状の打撃受け部を有する形状に設けることができる。さらに、前記握り部よりも当該柄の先端側に、楔との接合部側からその太さを、握り部側に向けて漸次大きくした拡幅部を有する形状であることが好ましい。
【0019】
これによれば、握り部に指を添える凹凸部が設けてあるので、薪を割る際に片手で柄をしっかりと把持することが可能である。凹凸部に指を添えて柄を握ることで、柄をハンマーで打設したときの衝撃が手にかかっても把持位置をずらさずに柄を手で確実に保持して、ハンマーの打設力を柄の先端の楔を介して薪に伝えることができる。
また、柄の後端部に設けられた打撃受け部は幅広な鍔状に設けられ、ハンマーで打ち叩く部分の面積を大きくしてあるので、ハンマーを当該部分に強く正確に打ち当てて楔を薪の中に効率よく押し入らせることができ、また、ハンマーで打ち叩く柄の後端部が広くなっているので、柄を持つ方の手にハンマーを当ててしまうような事故が起こりにくくなる。
【0020】
さらに、柄の握り部よりも先端側の部分に、先端の楔との接合部側から柄の後方へ向けて太さを漸次大きくした拡幅部が設けてあるので、薪の端部上面に楔の刃先を割り込ませた状態で前記柄の後端部をハンマーで打ち叩けば、薪の中に楔が押し入って薪が分岐し、さらに楔に続いて柄の部分が薪の中に押し入った際に薪は前記拡幅部に沿って薪が割り広がるので、柄を持つ手に薪が当たって手を傷つけるようなことはなく、安全に薪割り作業を進めることができる。
前述のように、楔がその刃先に向けて先細りする勾配が当該楔の左右両側に設けられている場合に、前記楔の刃先を薪の端部にあてがって前記柄の後端部をハンマーで打ち叩くと、薪は前記楔の左右両側の勾配に沿って左右に割り広がり、同時に薪割り具の柄を持つ手もハンマーで殴打された薪割り具とともに下方へ変位する。柄を持つ手が下方へ変位したときに前記割り広がった薪の端部に手が接触することがないように、少なくとも前記柄の各幅部は、前記楔の左右両側の勾配に沿って同じ側となる柄の左右両側に沿って設けられていることが好ましい。
【0021】
また、前記柄の握り部には、軽量化を図るとともに握り部の肉厚が均等となるように、複数の凹溝が設けられていることが好ましい。凹溝は握り部を手で持ったときに手の表面の摩擦力を増加させるようにも機能する。
【0022】
前記構成の薪割り具は、その柄の剛性を高めるため、柄は熱可塑性樹脂に繊維状物を含ませた材料からなることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂がポリアミド系樹脂であることが好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂が芳香族環をもつポリアミド系樹脂からなることが好ましく、繊維状物が炭素繊維であることが好ましい。
【0023】
前記柄の成形樹脂である熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテリイミド、ポリエーテルサルフォンなどの耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックなどを用いることができる。特に加工コストの面と、機械的特性及び耐衝撃強度に優れている面とのバランスからポリアミド系樹脂が好ましい。
【0024】
上記ポリアミド系樹脂としては、公知のものを用いることができる。
具体的には、例えば、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ-ω-アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ-ω-アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーがあげられる。また、共重合ポリアミド系樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω-アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ-P-フェニレンテレフタルアミドや、ポリ-P-フェニレン・3-4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等があげられる。
ポリアミド系樹脂でも、芳香族ポリアミド、直鎖型ポリアミドが好ましく、芳香族環を有するものであれば曲げ弾性率、曲げ強度が高く、さらに好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂に含有する繊維状物としては、炭素繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、アラミド繊維などを用いることができる。強度が高く、樹脂との密着性が良好な点で炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維や石油精製時の残渣であるピッチを原料とするピッチ系炭素繊維のいずれも使用できる。
炭素繊維の径については特に制限は無いが、通常平均繊維径1~30μmであり、好ましくは3~20μmであり、さらに好ましくは5~15μmである。
含有量としては、高ければ高いほど強度的には好ましく、熱可塑性樹脂の全量を100質量%とした場合に10質量%以上、さらには20質量%以上、よりさらには25質量%以上を含有していることが好ましい。なお、一般に60質量%を超えると、樹脂が溶融しても繊維の流動性が低くなり、成形が困難となりやすいので、60質量%以下、さらには50質量%以下、よりさらには45質量%以下の含有率であることが好ましい。
【0026】
前記構成の薪割り具は、例えば、インサート成形の射出成形金型に金属製の楔をセットした状態で、前記繊維状物を含む溶融した熱可塑性樹脂を射出充填し、金型内で溶融樹脂を冷却固化させることにより成形することができる。
【0027】
以下、本発明の薪割り具の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下に説明する形態のものには限定されない。
【0028】
図1は本発明の薪割り具の一実施形態の外観図、図2はその側面図と平面図をそれぞれ示しており、図示した本形態の薪割り具1は、楔2を合成樹脂製の柄3の先端に一体に設けて構成したものである。
【0029】
詳しくは、柄3は繊維強化樹脂材料を用いて形成された片手で把持可能な太さ及び長さを有する棒状体であり、その前端に金属製の楔2を、インサート成形により一体に取り付けてある。
【0030】
楔2は、図3に示されるように、切削刃を構成する楔本体21の後端に、柄3の中に埋め込まれる軸部22を突出させた形状に形成してある。
【0031】
楔本体21は、柄3の端部に接合する断面略円形の根元部2a側からその左右両側が先端に向けて先細りした形状を有し、その先端が平形の刃先21aとなっている。また、刃先21aの上下両側も前記根元部2a側から先細りさせてある。
本形態では、楔2の刃幅wを20mm、刃先21aの楔2の中心軸Oに対する左右両側の勾配θと、当該刃先21aの上下両側の勾配φをともに15°に設定してある。
【0032】
軸部22は、前記楔2の根元部2aよりも細く、その軸方向に沿って外周面に凹部22aと凸部22bを交互に複数配してその太さが不連続してあり、図4に示されるように、インサート成形によって柄3の内部に埋め込まれた状態で柄3の樹脂材料部との接触面積が大きく確保されるようにしてある。
【0033】
柄3は、その外周面に軸方向に沿って指を添える凹凸部31aを配した握り部31を備え、その後端部には幅広鍔状の打撃受け部32を設けてある。
また、前記握り部31よりも先端側には、前記楔2との接合部側からその左右両側面間の太さを握り部31側に向けて漸次大きくした拡幅部33,33を設けてある。
さらに、前記握り部31の左右両側には複数の複数の凹溝34を設けてある。
【0034】
このように構成される薪割り具1は、柄3を成形する金型内に前記楔2をセットし、インサート成形により、繊維状物を含む溶融した熱可塑性樹脂を金型内に射出充填し、金型内で溶融樹脂を冷却固化させることにより成形することができる。
【0035】
本形態の薪割り具1は、手で持つ柄3の部分が合成樹脂材料からなるので、全体が軽く、簡便に取り扱うことが可能である。
薪割り具1で薪を割るには、図5に示されるように、適宜な台座P上に薪FWを立てて載せ、同図(A)中に破線で示すように手で薪割り具1の握り部31を把持して、薪割り具1を薪FWの端部上面に楔2の先端をあてがって立て向きに支持した状態で、薪割り具1の後端の打撃受け部32をハンマーHで打設して楔2の先端の刃先21aを薪FWの上面から軸方向内部に進入させ、楔2を薪FWの中に食い込ませて薪FWを縦に割ることにより行われる。
【0036】
この際、薪FWの端部上面に楔2の刃先21aを割り込ませた状態で柄3の後端部をハンマーで打ち叩けば、薪FWの中に楔2が押し入って薪FWが分岐し、さらに楔2に続いて柄3の部分が薪FWの中に押し入ったときには、図5(B)に示されるように、薪FWは柄3に設けた拡幅部33,33に沿って割り広がるので、柄3を持つ手に薪FWが当たるようなことはなく、安全に薪割り作業を進めることが可能である。
【0037】
なお、図示した薪割り具及びこれを構成する楔と柄の形態は一例であり、本発明はこれに限定されず、形成や成形寸法品などを変えて適宜な形態に設けることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 薪割り具、2 楔、21 楔本体、21a 刃先、22 軸部、3 柄、31 握り部、32 打撃受け部、33 拡幅部、34 凹溝、FW 薪、P 台座、H ハンマー
図1
図2
図3
図4
図5