IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソフトバンクモバイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-システム及びプログラム 図1
  • 特開-システム及びプログラム 図2
  • 特開-システム及びプログラム 図3
  • 特開-システム及びプログラム 図4
  • 特開-システム及びプログラム 図5
  • 特開-システム及びプログラム 図6
  • 特開-システム及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019170
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/431 20110101AFI20240201BHJP
   H04N 21/234 20110101ALI20240201BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/234
G06F3/0481
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190082
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2022083966の分割
【原出願日】2022-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大塚 哲治
(57)【要約】
【課題】ユーザが競技の進行状況をリアルタイムで把握しつつ、競技の仮想現実映像を視聴可能とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るシステム(1)は、サーバ(10)とデバイス(20)とを備え、サーバ(10)は、第1競技者が球を移動させたときにおける、球の移動を特定する移動情報を取得する第1取得部(12)と、第1仮想現実映像を生成する生成部(13)と、を備え、生成部(13)は、第2仮想現実映像を、第1取得部(12)が球の移動情報を取得する前に生成し、第1仮想現実映像を生成し、デバイス(20)は、競技の撮影映像と第1仮想現実映像と第2仮想現実映像とを取得する第2取得部(22)と、撮影映像と第1仮想現実映像とを同時に表示する表示部(27)と、を備え、表示部(27)は、撮影映像において球の移動を表示した後に、第1仮想現実映像において、撮影映像において表示した球の移動を再現するように表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバとデバイスとを備えるシステムであって、
前記サーバは、
競技において前記競技に参加する第1競技者が球を移動させたときにおける、前記球の移動を特定する移動情報を取得する第1取得部と、
前記移動情報を参照して、前記競技に参加する第2競技者の視点に基づく第1仮想現実映像を生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、前記第1競技者が前記球を移動させる前の姿の画像を含み、前記第2競技者の視点に基づく第2仮想現実映像を、前記第1取得部が前記球の移動情報を取得する前に生成し、さらに、前記第2仮想現実映像に対して、前記移動情報に準拠して移動する球の画像を合成することにより前記第1仮想現実映像を生成し、
前記デバイスは、
前記競技の撮影映像と前記第1仮想現実映像と前記第2仮想現実映像とを取得する第2取得部と、
単一の前記デバイスにおいて、前記撮影映像と前記第1仮想現実映像とを同時に表示する表示部と、を備え、
前記表示部は、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第1仮想現実映像において、前記撮影映像において表示した前記球の移動を再現するように表示する、システム。
【請求項2】
前記競技は第1チームと第2チームが対戦する競技であって、前記第1競技者と前記第2競技者は前記第1チームに属し、前記競技に参加する第3競技者は前記第2チームに属する場合であって、
前記生成部は、前記第1競技者が前記球を移動させる前の姿の画像を含み、前記第3競技者の視点に基づく第3仮想現実映像を、前記第1取得部が前記球の移動情報を取得する前に生成し、さらに、前記第3仮想現実映像に対して、前記移動情報に準拠して移動する球の画像を合成することにより、前記第3競技者の視点に基づく第4仮想現実映像を生成し、
前記第2取得部は、前記第3仮想現実映像及び前記第4仮想現実映像をさらに取得し、
前記表示部は、前記撮影映像において前記球の移動を表示する前に、前記第2仮想現実映像又は前記第3仮想現実映像を、前記撮影映像とともに表示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表示部は、
前記撮影映像において前記球の移動を表示する前に前記第2仮想現実映像を表示した場合、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第1仮想現実映像において、前記撮影映像において表示した前記球の移動を再現するように表示し、
前記撮影映像において前記球の移動を表示する前に前記第3仮想現実映像を表示した場合、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第4仮想現実映像において、前記撮影映像において表示した前記球の移動を再現するように表示する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記表示部は、
前記撮影映像において前記球の移動を表示する前に前記第2仮想現実映像を表示した場合、ユーザの指定に応じて、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第4仮想現実映像を表示し、
前記撮影映像において前記球の移動を表示する前に前記第3仮想現実映像を表示した場合、ユーザの指定に応じて、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第1仮想現実映像を表示する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記競技は野球であって、
前記第1競技者、第2競技者、及び第3競技者はそれぞれ投手、捕手、及び打者であり、前記第1競技者による前記球の移動は、前記第1競技者から前記第2競技者に向かって行われる投球における球の移動である、請求項1から4までの何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
サーバとデバイスとを備えるシステムであって、
前記サーバは、
対象となる競技が進行したときにおける、前記競技に関与する物体の移動を特定する移動情報を取得する第1取得部と、
前記移動情報を参照して、前記競技の仮想現実映像を生成する生成部と、を備え、
前記デバイスは、
前記競技の撮影映像と前記仮想現実映像とを取得する第2取得部と、
単一の前記デバイスにおいて、前記撮影映像と前記仮想現実映像とを同時に表示する表示部と、を備え、
前記生成部は、
前記競技に関与する物体が所定の移動を行ったことを前記移動情報が示している場合に限り、当該移動情報に応じて、前記仮想現実映像の一部を自動的に生成し、
前記競技に関与する物体が所定の移動を行ったことを前記移動情報が示していない場合には、当該仮想現実映像の一部を生成せず、
前記表示部は、前記生成部が前記仮想現実映像の一部を生成した場合、前記撮影映像において前記競技に関与する物体の移動を表示した後に、前記仮想現実映像において、前記撮影映像において表示した前記競技に関与する物体の移動を再現するように自動的に表示する、システム。
【請求項7】
前記表示部は、前記仮想現実映像において前記競技に関与する物体の移動を表示したタイミングにおいて、前記撮影映像において、前記競技に関与する物体の前記移動より未来の前記競技の進行状況を表示する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記生成部は、前記仮想現実映像内の一部を、前記第1取得部が前記移動情報を取得する前に生成する、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記生成部は、
前記競技の同一場面における、互いに異なる複数の視点からの前記仮想現実映像をそれぞれ生成し、
前記表示部は、
前記複数の仮想現実映像のうち、ユーザが指定した1又は複数の前記仮想現実映像を、任意のタイミングで表示する、請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項10】
サーバ及びデバイスにおいて実行されるプログラムであって、
対象となる競技が進行したときにおける、前記競技に関与する物体の移動を特定する移動情報を取得する第1取得ステップと、
前記移動情報を参照して、前記競技の仮想現実映像を生成する生成ステップと、を前記サーバに実行させ、
前記競技の撮影映像と前記仮想現実映像とを取得する第2取得ステップと、
単一の前記デバイスにおいて、前記撮影映像と前記仮想現実映像とを同時に表示する表示ステップと、を前記デバイスに実行させ、
前記生成ステップにおいては、
前記競技に関与する物体が所定の移動を行ったことを前記移動情報が示している場合に限り、当該移動情報に応じて、前記仮想現実映像の一部を自動的に生成し、
前記競技に関与する物体が所定の移動を行ったことを前記移動情報が示していない場合には、当該仮想現実映像の一部を生成せず、
前記表示ステップにおいては、前記生成ステップにおいて前記仮想現実映像の一部が生成された場合、前記撮影映像において前記競技に関与する物体の移動が表示された後に、前記仮想現実映像において、前記撮影映像において表示された前記競技に関与する物体の移動が再現されるように自動的に表示される、プログラム。
【請求項11】
前記表示ステップにおいては、前記仮想現実映像において前記競技に関与する物体の移動が表示されたタイミングにおいて、前記撮影映像において、前記競技に関与する物体の前記移動より未来の前記競技の進行状況が表示される、請求項10に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想現実映像を表示するためのシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツの試合映像に基づいて、試合で用いられる球等の物体がどのように移動しているかをトラッキングし、物体の移動を再現した仮想現実映像を生成して、ヘッドマウントディスプレイ等の画面に表示する技術が知られている。非特許文献1では、野球の試合における投球の軌道をトラッキングし、仮想現実映像として提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Baseboy TRACKING TECHNOLOGY,[online],Qoncept,[2022年5月10日検索],インターネット<URL:https://baseboy.qar.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、ユーザが立体映像の仮想現実映像を視聴する場合に、専用のヘッドマウントディスプレイ或いはゴーグルを着用することを要し、仮想現実映像を視聴している間は、リアルタイムの試合映像を視聴することが出来ない。よって、例えば、投手の直前の投球を仮想現実映像で再度すぐに見てみたいが、同時に試合状況からは目が離せないというユーザのニーズを満たすことができない。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザが競技の進行状況をリアルタイムで把握しつつ、競技の仮想現実映像を視聴可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るシステムは、サーバとデバイスとを備えるシステムであって、前記サーバは、競技において前記競技に参加する第1競技者が球を移動させたときにおける、前記球の移動を特定する移動情報を取得する第1取得部と、前記移動情報を参照して、前記競技に参加する第2競技者の視点に基づく第1仮想現実映像を生成する生成部と、を備え、前記生成部は、前記第1競技者が前記球を移動させる前の姿の画像を含み、前記第2競技者の視点に基づく第2仮想現実映像を、前記第1取得部が前記球の移動情報を取得する前に生成し、さらに、前記第2仮想現実映像に対して、前記移動情報に準拠して移動する球の画像を合成することにより前記第1仮想現実映像を生成し、前記デバイスは、前記競技の撮影映像と前記第1仮想現実映像と前記第2仮想現実映像とを取得する第2取得部と、単一の前記デバイスにおいて、前記撮影映像と前記第1仮想現実映像とを同時に表示する表示部と、を備え、前記表示部は、前記撮影映像において前記球の移動を表示した後に、前記第1仮想現実映像において、前記撮影映像において表示した前記球の移動を再現するように表示する。
【0007】
コンピュータを本発明の各態様に係るサーバ又はデバイスが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記サーバ又はデバイスをコンピュータにて実現させるサーバ又はデバイスの制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0008】
また、前記制御プログラムは、コンピュータを前記各部として動作させる処理又はその他の処理において、各種の機械学習手法を用いてもよい。この場合、機械学習手法を用いるプログラムはサーバ又はデバイスで動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ユーザが競技の進行状況をリアルタイムで把握しつつ、競技の仮想現実映像を視聴可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】システムの機能的構成を示すブロック図の一例である。
図2】計測用映像を撮影する撮影装置の配置例を示している。
図3】仮想現実映像の一例を示している。
図4】システムの処理例に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
図5】表示部に表示される画面の一例を示している。
図6】表示部に表示される仮想現実映像の一例を示している。
図7】仮想空間中に再現された競技場の内外を、アバターを操作して移動させるモードにおける画面例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
〔1.システム1の構成例〕
図1は、本開示に係るシステム1の機能的構成を示すブロック図の一例である。システム1は、対象となる競技の仮想現実映像を生成及び表示するためのシステムであって、サーバ10及び1又は複数のデバイス20を備えている。
【0013】
本開示において「競技」には、球技及びその他のスポーツ、並びに、競技に関与する物体の移動を伴う各種のゲームが含まれる。球技の一例としては、野球、ソフトボール、サッカー、ラグビー、バレー、バスケットボール、テニス、卓球、ゴルフ、ボーリング及びビリヤード等が挙げられる。球技以外のスポーツの一例としては、カーレース、競馬、競輪、ボートレース、オートレース、カーリング、バトミントン、水泳、スキー、スケート、陸上競技、体操競技、ダンス、柔道、剣道及び弓道等が挙げられる。また、前述した各種のゲームの一例としては、ダーツ、カルタ及び百人一首等が挙げられる。以下、一態様として、競技が野球の試合である場合を例に挙げて説明する。
【0014】
本開示において、競技に関与する「物体」には、競技に用いられる球、道具等に加え、競技に参加する人物又は動物が含まれ得る。また、競技の参加者は複数であることに限定されず、単数であってもよい。
【0015】
サーバ10は、競技の撮影映像及び仮想現実映像をデバイス20に供給するサーバとして機能する装置であって、制御部11、記憶部15及び通信部16を備えている。
【0016】
本開示において「撮影映像」とは、競技の放映等に用いられる、全般的な競技の様子を撮影した映像を意味し、例えばリアルタイムのテレビ放送のような中継映像であるが、必ずしもこの限りではなく、録画された映像であってもよい。また、撮影映像の一部又は全部が、後述する計測用映像として用いられてもよい。対して「仮想現実映像」とは、仮想的な3次元空間内または2次元平面内において、物体の移動等を、CG(Computer Graphics)を用いて再現した映像を意味する。なお、本開示におけるリアルタイムとは、被写体の撮影からデバイスに映像が表示されるまでの一連の処理(通信を含む)において、通
常要する時間の遅延を含むものである。
【0017】
制御部11は、サーバ10全体を統括する制御装置であって、取得部(第1取得部)12及び生成部13を備えている。
【0018】
取得部12は、対象となる競技が進行したときにおける、競技に関与する物体の移動を特定する移動情報を取得する。移動情報は、例えば競技中の各時点において各物体の座標及び速度を示す情報である。なお、移動情報は、或る時点において球等の物体が静止していることを示していてもよいし、バット又はラケット等の物体を人物が持った状態における、当該物体の動きを示す情報であってもよい。また、移動情報は、制御部11が、物体の移動をトラッキング(3次元計測)するための1又は複数の計測用映像を、図1には図示しない撮影装置3等から取得して、当該計測用映像を参照して算出する構成であってもよいし、取得部12が、移動情報を別の外部サーバ等から取得する構成であってもよい。
【0019】
例えば取得部12は、競技が球技である場合に、球技が進行したときにおける、球技に用いられる球の移動を特定する移動情報を取得する。
【0020】
図2は、計測用映像を撮影する撮影装置3の配置例を示している。多くの場合、撮影装置3は、図2に例示するように競技場で競技の参加者が移動する範囲を囲むように複数配置される。
【0021】
生成部13は、取得部12が取得した移動情報を参照して、競技の仮想現実映像を生成する。生成部13は、移動情報を参照することによって、計測用映像を撮影する撮影装置3の位置以外の視点から見た仮想現実映像を生成することができる。
【0022】
図3は、投手5の投球を、捕手の視点から見た場合における仮想現実映像の一例を示している。図3の例では、球6の移動が移動情報に基づいて再現されており、投手5の動作は、予め規定された所定の動作である。換言すると、図3の仮想現実映像は、球6以外の箇所のテンプレートとなる映像に対して、移動情報に準拠して移動する球6が合成された映像である。多くの場合、前記テンプレートとなる映像には、背景となる競技場内部等の映像又は静止画が含まれる。このように、仮想現実映像内の一部においては、取得部12が移動情報を取得する前に作成されたものであってよく、また、仮想現実映像内の一部の物体においては、移動情報が用いられずに動作が予め規定されていてもよい。また、特に移動情報に基づいて移動が再現される物体については、図3の球6に例示するように、移動の軌跡が表示される構成であってもよい。換言すると、生成部13は、移動情報を参照して移動を再現した物体の軌跡を描画した仮想現実映像を生成する構成であってもよい。
【0023】
また、単一の仮想現実映像には、移動情報に基づいて移動が再現される物体が複数含まれていてもよい。例えば生成部13は、投手5が投げた球6の移動を特定する移動情報と、図示しない打者がスイングしたバットの移動を特定する移動情報とに基づいて、球6及び前記バットの移動を略同じタイミングで再現した単一の仮想現実映像を生成してもよい。
【0024】
また、制御部11は、撮影装置3又は外部サーバ等から撮影映像を取得し、通信部16を介してデバイス20に送信する処理を行う。
【0025】
記憶部15は、各種情報を記憶する記憶装置であって、例えば生成部13が仮想現実映像を生成する場合に参照する情報であって、前述したテンプレートとなる映像を示す情報、及び競技場の形状を示す情報、並びに各映像を示す情報等を記憶する。
【0026】
通信部16は、制御部11による制御に基づいて、デバイス20等の外部装置との通信処理を行うインターフェースである。例えば通信部16は、撮影映像及び仮想現実映像をデバイス20に送信する処理を行う。
【0027】
デバイス20は、受信した撮影映像及び仮想現実映像を画面に表示するデバイスであって、例えばスマートフォン又はタブレット等の携帯通信端末である。デバイス20は、制御部21、記憶部25、通信部26、表示部27及び入力部28を備えている。
【0028】
制御部21は、デバイス20全体を統括する制御装置であって、取得部(第2取得部)22を備えている。取得部22は、サーバ10から送信された、競技の撮影映像と仮想現実映像とを取得する。
【0029】
記憶部25は、各種情報を記憶する記憶装置であって、デバイス20における表示設定を示す情報、及び通信先となるサーバ10を特定するための情報等を記憶する。
【0030】
通信部26は、制御部21による制御に基づいて、サーバ10等の外部装置との通信処理を行うインターフェースである。例えば通信部26は、撮影映像及び仮想現実映像をサーバ10から受信する。
【0031】
表示部27は、制御部21による制御に基づいて、静止画像又は映像等を画面に表示するディスプレイである。入力部28は、デバイス20に対するユーザの指示を受け付けるボタン等のインターフェースである。なお、表示部27及び入力部28は、これらが一体となったタッチパッドとして実現される構成であってもよいし、入力部28は、デバイス20本体とは別機器のリモコン又はコントローラ等であってもよい。
【0032】
なお、システム1が備える単一の部材の機能が、別の複数の部材によって実現されてもよく、システム1が備える複数の部材の機能が、別の単一の部材によって実現されてもよい。例えば、サーバ10は、データベースを有する第1のサーバと、デバイス20との通信を行う第2のサーバとによって実現される構成であってもよい。
【0033】
〔2.システム1の処理例〕
続いて、システム1が実行する処理の流れについて一例を挙げて説明する。図4は、本例に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
【0034】
S101(ステップS101)において、サーバ10の制御部11は、前述した撮影装置3等から、対象となる競技の撮影映像及び計測用映像を、通信部16を介して取得する。
【0035】
S102において、制御部11は、計測用映像を参照して移動情報を算出する。また、取得部12は、当該移動情報を取得する。
【0036】
S103において、生成部13は、取得部12が取得した移動情報を参照して、競技の仮想現実映像を生成する。S101~S103において制御部11が取得又は生成した各映像を示す情報は、少なくとも一時的に記憶部15に記憶される。
【0037】
S104において、デバイス20の制御部21は、撮影映像及び仮想現実映像の送信を要求する情報を、通信部26を介してサーバ10に送信する。このS104の処理は、撮影映像及び仮想現実映像の表示を開始するためのユーザの指示を、入力部28が受け付けた場合に実行される。
【0038】
S105において、サーバ10の制御部11は、撮影映像及び仮想現実映像を、要求元のデバイス20に対して送信する。
【0039】
S106において、デバイス20の制御部21は、サーバ10から受信して取得部22が取得した撮影映像及び仮想現実映像を、規定された位置にそれぞれ配置して表示部27に同時に表示させる。
【0040】
なお、図4の各処理が実行される順序は、前述した順序に限定されず、例えば、サーバ10が、撮影映像の取得と並行して仮想現実映像を生成する構成であってもよいし、S104の処理が、S101又はS102の前又は後のタイミングで実行される構成であってもよい。
【0041】
また、デバイス20が撮影映像の送信を要求するタイミングと仮想現実映像の送信を要求するタイミングとは同時でなくともよいし、サーバ10が撮影映像の送信を開始するタイミングと仮想現実映像の送信を開始するタイミングとは同時でなくともよい。また、仮想現実映像は、生成され次第、デバイス20からの要求に依らず、撮影映像を表示中のデバイス20に送信される構成であってもよい。
【0042】
なお、サーバ10は、撮影映像又は仮想現実映像を取得又は生成する前に、これら各映像の送信の要求を受け付けてもよい。前記の場合、サーバ10は、送信が可能となり次第、各映像をデバイス20に対して送信する。
【0043】
本例の構成によれば、ユーザが競技の進行状況をリアルタイムで把握しつつ、競技の仮想現実映像を視聴可能となる。
【0044】
〔3.表示画面例〕
続いて、デバイス20の表示部27に表示される画面例について説明する。制御部21は、入力部28に入力されたユーザの指示に応じた画面を生成して表示部27に表示させる。
【0045】
図5の画面31及び画面36は、前述したS106の処理において、表示部27である単一のディスプレイに表示される画面の一例を示している。
【0046】
画面31に示す「スマホモード」は、デバイス20を、ユーザが手で把持して、又は机上のスタンドに配置して視聴するモードである。画面31においては、撮影映像33が、仮想現実映像34に重畳して表示されている。
【0047】
なお、各映像の配置は、逆であってもよく、仮想現実映像34が、画面全体に表示された撮影映像33に重畳する構成であってもよい。即ち、表示部27は、撮影映像と仮想現実映像とのうち一方を、他方に重畳させて表示してもよい。これにより、各映像の一覧性を向上させることができる。従って、例えばユーザが仮想現実映像34を注視している場合であっても、撮影映像33が同時にユーザの視界に入ることになるので、ユーザは競技の進行状況をリアルタイムに把握しやすくなる。
【0048】
一態様において、撮影映像33は、リアルタイムの中継映像であり、仮想現実映像34は、当該中継映像に対応する投球等のプレイを直後に再現した仮想現実映像である。また、撮影映像38A(38B)及び仮想現実映像39A(39B)についても、同様の説明が適用される。前記の態様においては、例えば、中継された撮影映像33におけるプレイを、直後に仮想現実映像34で確認することができる。
【0049】
仮想現実映像34の生成に時間を要するため、通常、撮影映像33と、仮想現実映像34との間においては、各プレイの表示タイミングに0.5秒程の時間差が生じるが、ユーザの指示に応じて、前記時間差分だけ撮影映像33の再生を遅らせることによって、表示タイミングを一致させてもよい。また、表示部27は、ユーザの指示に応じて、前記時間差を更に大きくして画面表示を行ってもよい。
【0050】
画面36に示す「VRモード(Virtual Realityモード)」は、デバイス20であるスマートフォンを、専用のゴーグル等のウェアラブルデバイスにセットして視聴するモード
である。つまり、VRモードは、デバイス20と前記ウェアラブルデバイスとが単一のデバイスを構成する状態において視聴を行うモードである。なお、デバイス20が、前記ウェアラブルデバイスを備えるものと見做しても構わない。
【0051】
画面36に含まれる仮想現実映像39Aと仮想現実映像39Bとは、互いに視差のある同内容の映像であり、ユーザは、仮想現実映像39A及び39Bを、奥行きのある立体映像として視聴することができる。即ち、専用のゴーグル等を用いて画面36を視聴した場合、投手の投球が、ユーザ側に迫ってくるように見える。
【0052】
なお、多くの場合、撮影映像38A及び38Bは、互いに視差が無い平面的な映像であるが、必ずしもこの限りではない。
【0053】
表示部27は、ユーザの指示に応じて、「スマホモード」の画面31と「VRモード」の画面36とを切り替えて表示する。また、表示部27は、ユーザの指示に応じて、撮影映像と仮想現実映像とのうち、撮影映像のみを画面に表示してもよいし、仮想現実映像のみを画面に表示してもよい。また、制御部21は、表示部27に表示させない映像については、サーバ10から取得せずともよい。
【0054】
図6は、表示部27に表示される仮想現実映像の他の一例であって、捕手の後方に位置する審判の視点から見た仮想現実映像の一例を示している。図6の画面には、撮影映像は表示されていない。
【0055】
図6に例示するように、仮想現実映像には、競技のスコア40、競技の参加者名である投手名41及び打者名42、次の打者名43、他の参加者の位置44、及び現競技中における成績45等の情報が画面に含まれていてもよい。換言すれば、生成部13は、制御部11が別途取得した前記情報を含む仮想現実映像を生成する構成であってもよい。
【0056】
また、図7は、競技の映像を表示する図6等に例示するモードとは別のモードであって、仮想空間中に再現された競技場50の内外を、アバター51を操作して移動させるモードにおける画面例を示している。
【0057】
図7において、ボタン53は、アバター51を移動させるためのボタンである。ボタン54及び55は、アバターに特定のアクションを実行させるためのボタンである。ボタン55に対しては、例えばジャンプ等のアクションが割り当てられる。ボタン57は、別個体のデバイス20を操作する他のユーザとチャットを行うためのボタンである。なお、前述した仮想空間は、他のユーザと共通する場所であってもよい。即ち、仮想空間内においては、他のユーザが操作する別のアバター51が表示されて、自身が操作するアバター51と会話等が可能な構成であってもよい。ボタン58は、仮想空間の地図を表示させるためのボタンである。ボタン59は、アバターの外観等の各種設定を行うためのボタンである。
【0058】
表示部27は、ユーザの指示に応じて、競技の映像を表示するモードと、アバター51を移動させるモードとを切り替えて表示する。また、アバター51を競技場の客席等の所定位置に移動させた場合に、自動的に競技の映像を表示するモードに遷移する構成であってもよい。図7に例示する構成によれば、デバイス20を用いた映像表示のゲーム性を向上させることに加え、没入感を向上させ、ユーザを実際に競技場に来ている気分にさせることに寄与する。
【0059】
〔4.変形例〕
競技の撮影映像は、サーバ10がデバイス20に供給する構成に限定されない。換言すれば、デバイス20が撮影映像を取得する取得先は、仮想現実映像を供給するサーバ10とは別の外部サーバ等であってもよい。
【0060】
また、撮影映像及び仮想現実映像を画面に配置する処理であって、例えば撮影映像と仮想現実映像とのうち一方を他方に重畳させる処理は、デバイス20側ではなく、サーバ10の制御部11が行う構成であってもよい。
【0061】
また、図6に関連して、競技のスコア40等の情報を仮想現実映像に配置する処理は、デバイス20の制御部21が、前記情報をサーバ10等から取得して行う構成であってもよい。
【0062】
また、デバイス20が表示部27として複数のディスプレイを備え、第1のディスプレイが撮影映像を表示し、第2のディスプレイが仮想現実映像を表示する構成であってもよい。また、図5の画面36に関連して、第1のディスプレイが撮影映像38A及び仮想現実映像39Aを表示し、第2のディスプレイが撮影映像38B及び仮想現実映像39Bを表示する構成であってもよい。
【0063】
また、表示部27は、撮影映像と仮想現実映像とを同じサイズで表示してもよいし、互いに異なるサイズで表示してもよい。加えて、表示部27は、撮影映像と仮想現実映像とのうち少なくとも一方を、ユーザの指示に応じたサイズで表示してもよい。また、各映像の配置も特定の配置に限定されず、ユーザの指示によって変更可能な構成であってもよい。
【0064】
また、サーバ10の生成部13が複数の仮想現実映像を生成し、デバイス20の表示部27が、前記複数の仮想現実映像のうち、ユーザが指定した1又は複数の仮想現実映像を、任意のタイミングで表示する構成であってもよい。前記の構成は、サーバ10の制御部11が、記憶部15に蓄積した仮想現実映像のうち、ユーザに指定された仮想現実映像をデバイス20に送信することによって実現する。また、複数の仮想現実映像は、或る競技の1試合の映像を複数に分割した映像であってもよい。これにより、例えば特定の打者に対応する仮想現実映像、又は各打者に対して投げられた初球に対応する仮想現実映像等を、ユーザがまとめて視聴することが可能となる。
【0065】
また、生成部13が生成する、前述した複数の仮想現実映像は、競技の同一場面における、互いに異なる視点からの仮想現実映像であってもよい。また、表示部27は、複数の仮想現実映像を同時に表示してもよい。例えば表示部27は、野球全体の撮影映像と、捕手の視点から見た仮想現実映像と、打者、走者、監督、又は審判の視点から見た仮想現実映像とを同時に表示してもよい。
【0066】
また、表示部27は、競技に関与する物体が所定の移動を行った場合、即ち前記物体の移動が所定条件を満たした場合に限り、仮想現実映像を表示する構成であってもよい。一態様において、生成部13は、競技に関与する物体が所定の移動を行ったことを移動情報が示していない場合には、仮想現実映像を生成しない構成であってもよい。例えば、表示部27は、撮影映像と仮想現実映像とのうち、撮影映像のみを常時表示し、投球の球速が所定速度を超えた場合に限り、前記投球を再現する仮想現実映像を、撮影映像に重畳させて表示してもよい。
【0067】
〔5.付記事項〕
本発明の一態様に係るシステムは、サーバとデバイスとを備えるシステムであって、前記サーバは、対象となる競技が進行したときにおける、前記競技に関与する物体の移動を特定する移動情報を取得する第1取得部と、前記移動情報を参照して、前記競技の仮想現実映像を生成する生成部と、を備え、前記デバイスは、前記競技の撮影映像と前記仮想現実映像とを取得する第2取得部と、当該単一のデバイスにおいて、前記撮影映像と前記仮想現実映像とを同時に表示する表示部と、を備える。
【0068】
本発明の他の態様に係るデバイスは、対象となる競技の撮影映像と、前記競技の仮想現実映像とを取得する取得部と、当該単一のデバイスにおいて、前記撮影映像と前記仮想現実映像とを同時に表示する表示部と、を備える。
【0069】
〔6.ソフトウェアによる実現例〕
サーバ10及びデバイス20(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11又は制御部21に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0070】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0071】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0072】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0073】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
1 システム
10 サーバ
11、21 制御部
12 取得部(第1取得部)
13 生成部
15、25 記憶部
16、26 通信部
20 デバイス
22 取得部(第2取得部)
27 表示部
28 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7