(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019203
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体デバイス及び電位測定装置
(51)【国際特許分類】
H03F 3/45 20060101AFI20240201BHJP
H03F 3/68 20060101ALI20240201BHJP
H03M 1/56 20060101ALI20240201BHJP
H03M 1/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H03F3/45 210
H03F3/45 220
H03F3/68 220
H03M1/56
H03M1/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198206
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2019551161の分割
【原出願日】2018-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2017204295
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018043463
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐理
(57)【要約】
【課題】セル回路面積を縮小して高解像度化を実現することが可能な半導体デバイスを提供する。
【解決手段】差動増幅器を構成する入力トランジスタの一方を有するセルがアレイ状に配列された第1の領域と、前記差動増幅器を構成する入力トランジスタのもう一方を有するセルがアレイ状に配列された第2の領域と、を有し、前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されている、半導体デバイスが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動増幅器を構成する入力トランジスタの一方を有する読み出しセルがアレイ状に配列された第1の領域と、
前記差動増幅器を構成する入力トランジスタのもう一方を有する参照セルがアレイ状に配列された第2の領域と、
を有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されている、半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1の領域は信号の電位を測定する領域であり、
前記第2の領域は参照電位を設定する領域である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記差動増幅器は、カレントミラー回路及び電流源を有する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の領域と前記第2の領域のそれぞれから、前記カレントミラー回路及び前記電流源までの距離が略等しい、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第2の領域に配置される1つの前記参照セルに対して複数の前記読み出しセルが対応して前記差動増幅器を構成する、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記差動増幅器は、ダイオード接続されたカレントミラー回路に接続される入力トランジスタに電極が接続され、他方の入力トランジスタに出力が容量を介して接続される、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記他方の入力トランジスタの入力部と、前記差動増幅器との間に、動作点をリセットするスイッチを有する、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
参照電位が設定され、上記他方の入力トランジスタの入力部に容量を介して接続される参照電極を有する、請求項7に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記第2の領域に配置される1つの前記参照セルに対して複数の前記読み出しセルが対応して前記差動増幅器を構成する、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記差動増幅器からの出力信号線を複数並列に備え、複数の前記差動増幅器を同時に動作状態とすることで複数の前記差動増幅器からの出力を同時に読み出す、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体デバイスと、
前記半導体デバイスの読み出しセル及び参照セルを選択する水平選択回路と、
前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、
を備える、電位測定装置。
【請求項12】
前記第1の領域を挟み、前記A/D変換回路が設けられる領域の反対側に前記第2の領域が設けられる、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項13】
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ前記A/D変換回路を備える、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項14】
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ複数の前記A/D変換回路を備える、請求項13に記載の電位測定装置。
【請求項15】
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域を挟む位置に備える、請求項13に記載の電位測定装置。
【請求項16】
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域と直交する位置に備える、請求項13に記載の電位測定装置。
【請求項17】
前記半導体デバイスの一辺の側に複数の前記A/D変換回路を備える、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項18】
前記A/D変換回路は、所定の参照電位と、前記半導体デバイスからの出力とを比較するコンパレータ回路を備え、
前記コンパレータ回路は、1段目の増幅器と、2段目の増幅器と、前記1段目の増幅器および前記2段目の増幅器の間に接続されるミラー容量と、を含む、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項19】
前記A/D変換回路は、前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号に対してオーバーサンプリングによりデジタル信号に変換する、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項20】
前記A/D変換回路は、nビット(nは1以上の整数)のA/D変換処理をW回(Wは2以上の整数)繰り返して行なうデジタル積分処理を実行するように駆動される、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項21】
前記A/D変換回路の一部または全部が形成される第1のチップと、
前記第1のチップが積層されるとともに、前記第1のチップに形成された構成以外の構成が形成される第2のチップと、
を備える、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項22】
複数の前記第1のチップが、前記第2のチップに積層される、請求項21に記載の電位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体デバイス及び電位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年CMOS(Complementary MOS)集積回路技術を用いて、電極と増幅器・AD変換器などを一つのチップにまとめ、多点で同時に電位を測定するデバイスが注目されている(非特許文献1、2等参照)。このようなデバイスにおいて、電位発生点から遠い溶液内に置いた「参照電極」と、電位発生点近傍に有る「読み出し電極」との電位差を差動型の増幅器で増倍して出力するデバイスが報告されている(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE Journal of Solid State Circuits Vol.45 (2010) No.2 pp.467-482
【非特許文献2】Lab on a Chip Vol.9 (2009) pp.2647-2651
【非特許文献3】Proceedings of the IEEE Vol.99, No.2, February 2011, pp.252-284
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、「参照電極」と、電位発生点近傍に有る「読み出し電極」との電位差を差動型の増幅器で増倍して出力するデバイスでは、1つのセル回路内に差動増幅器回路を構成する入力トランジスタ(アンプトランジスタ)を2つ有する必要がある。これは、セル回路面積の縮小、すなわち高解像度化におけるボトルネックとなる。従って、差動増幅器を採用した場合、低ノイズを維持したまま高解像度化することが困難となっていた。
【0005】
そこで、本開示では、セル回路面積を縮小して高解像度化を実現することが可能な、新規かつ改良された半導体デバイス及び電位測定装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、差動増幅器を構成する入力トランジスタの一方を有するセルがアレイ状に配列された第1の領域と、前記差動増幅器を構成する入力トランジスタのもう一方を有するセルがアレイ状に配列された第2の領域と、を有し、前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されている、半導体デバイスが提供される。
【0007】
また本開示によれば、上記半導体デバイスと、前記半導体デバイスの前記第1の領域のセル及び前記第2の領域のセルを選択する水平選択回路と、前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、を備える、電位測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本開示によれば、セル回路面積を縮小して高解像度化を実現することが可能な、新規かつ改良された半導体デバイス及び電位測定装置を提供することが出来る。
【0009】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】1つのセル回路に、2つの入力トランジスタを有する差動増幅器回路を備える例をしめす説明図である。
【
図2】
図1に示した差動増幅器回路の構成をより詳細に示す説明図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る差動増幅器の構成例を示す説明図である。
【
図4】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図5】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図6】同実施の形態に係る半導体デバイスにおける差動増幅器回路の構成例を示す説明図である。
【
図7】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図8】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図9】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図10】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図11】同実施の形態に係る半導体デバイスの構成例を示す説明図である。
【
図12】同実施の形態に係る半導体デバイスの回路構成例を示す説明図である。
【
図13】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図14】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図15】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図16】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図17】
図16に示した電位測定装置に用いられる比較器(コンパレータ)の回路構成例を示す説明図である。
【
図18】同実施の形態に係る半導体デバイスの回路構成例を示す説明図である。
【
図19】
図9に示した半導体デバイスを用いた電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図20】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図21】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図22】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図23】オーバーサンプリングの例を示す説明図である。
【
図24】同実施の形態に係る電位測定装置の構成例を示す説明図である。
【
図25】
図24で示した電位測定装置で実行される、多重ADCの動作方法を示す説明図である。
【
図26】チップを積層した構造の実施例を示す説明図である。
【
図27】チップを積層した構造の実施例を示す説明図である。
【
図28】チップを積層した構造の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.概要
1.2.構成例
2.まとめ
【0013】
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.概要]
本開示の実施の形態について詳細に説明する前に、まず本開示の実施の形態の概要について説明する。
【0014】
上述したように、近年CMOS(Complementary MOS)集積回路技術を用いて、電極と増幅器・AD変換器などを一つのチップにまとめ、多点で同時に電位を測定するデバイスが注目されている(非特許文献1、2等参照)。そのようなデバイスは、例えば溶液の電位を電気化学的に計測する用途に用いられる。特開2002-31617号公報には、微小電極をアレイ状に並べてその上の溶液の電位を電気化学的に計測するデバイスにおいて、その中でも微小電極上を培養液で満たして生体細胞を乗せ、生体細胞が発生する活動電位を測定するデバイスの技術が開示されている。
【0015】
従来のCMOS集積回路技術を用いたデバイスには大きく2種類あり、読み出し電極一つ一つの配線を動的につなぎ変えて、電極からは独立した増幅器につないで電位を測定するもの(非特許文献1)と、電極一つに対し一つの増幅器を持つもの(非特許文献2)が有る。
【0016】
このようなデバイスにおいて、電位発生点から遠い溶液内に置いた「参照電極」と、電位発生点近傍に有る「読み出し電極」との電位差を差動型の増幅器で増倍して出力するデバイスが報告されている(非特許文献3参照)。このようなデバイスでは、差動増幅器以降の回路ノイズが増幅器の増幅ゲインの逆数倍に抑えられるため、デバイスの低ノイズ化が期待できる。
【0017】
しかしながら、「参照電極」と、電位発生点近傍に有る「読み出し電極」との電位差を差動型の増幅器で増倍して出力するデバイスは、差動増幅器回路を構成する入力トランジスタ(アンプトランジスタ)を1つのセル回路内に2つ有する必要がある。
図1は、1つのセル回路10に、2つの入力トランジスタを有する差動増幅器回路11を備える例をしめす説明図である。差動増幅器回路11は、読み出し電極12の電位と、参照電極(図示せず)からの参照電位(Vref)を比較してその比較結果を出力するものである。
【0018】
図2は、差動増幅器回路11の構成をより詳細に示す説明図である。差動増幅器回路11は、カレントミラー回路を構成するMOSFET Tr1a、1bと、読み出し電極12からの電位がゲートに入力される入力トランジスタTr2aと、参照電極からの参照電位(Vref)がゲートに入力される入力トランジスタTr2bと、電流源14と、が示されている。ここで、MOSFET Tr1a、1bはPMOSトランジスタであり、MOSFET Tr2a、2bはNMOSトランジスタである。
【0019】
このように、入力トランジスタ(アンプトランジスタ)を1つのセル回路内に2つ有することはセル回路面積の縮小、すなわち高解像度化におけるボトルネックとなる。特に入力トランジスタ(アンプトランジスタ)はノイズ低減のため比較的サイズの大きなトランジスタを搭載する必要があり、セル回路の多くの面積を占めている。従って、差動増幅器を採用した場合、低ノイズを維持したまま高解像度化が困難となる。
【0020】
そこで本件開示者は、上述した点に鑑み、多点で同時に電位を検出することが可能なデバイスにおいて、セル回路面積を縮小させて、かつ高解像度化を実現するための技術について、鋭意検討を行った。その結果、本件開示者は、以下で説明するように、多点で同時に電位を検出することが可能なデバイスにおいて、セル回路面積を縮小させて、かつ高解像度化を実現する技術を考案するに至った。
【0021】
以上、本開示の実施の形態の概要について説明した。続いて、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
[1.2.構成例]
本実施形態では、上述のように1つのセル回路に入力トランジスタを2つ備える差動増幅器回路を設けるのでは無く、差動増幅器を構成するトランジスタを2つのセル回路に分けて配置することを特徴とする。1つのセル回路は読み出し電極を有する読み出しセル、もう1つのセル回路は参照電位の入力を受ける参照セルとする。なお参照セルにおいては、セルの内部に参照電極が設けられても良く、セルの外部に参照電極が設けられてもよい。このように、差動増幅器を2つのセル回路に分けて配置することで、セル回路面積を縮小させて、かつ高解像度化を実現することが出来る。
【0023】
図3は、本開示の実施の形態に係る差動増幅器の構成例を示す説明図である。本実施形態では、
図3に示したように読み出しセル110及び参照セル120のそれぞれにトランジスタが配置された差動増幅器回路130によって、参照電極と読み出し電極との電位差を測定する。読み出しセル110には読み出し電極111が設けられ、参照セル120には参照電極121が設けられる。なお本開示では、差動増幅器回路130を構成するアンプトランジスタは、対応する読出しセル110及び参照セル120にそれぞれ設けられている読出し電極12と参照電極の下方に設けられてもよいし、隣接するセルやその他のセルの電極の下方に設けられていてもよい。なおこの前述の“下方”とは、読出し電極12や参照電極の表面を基準として、基板の深さ方向のことを指す。なお上述したように、参照電極121は参照セル120の内部に設けられていなくても良い。
【0024】
そして本実施形態では、このように差動増幅器を構成するトランジスタを2つのセル回路に分けて配置した上で、読み出しセル110が配置される領域と参照セル120が配置される領域とを別々の領域とすることを特徴としている。
図4は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の構成例を示す説明図である。
図4に示した半導体デバイス100は、多点で同時に電位を検出することが可能なデバイスであり、複数の読み出しセル110がマトリクス状に配置された読み出しセル領域101と、複数の参照セル120がマトリクス状に配置された参照セル領域102とを有する。読み出しセル領域101は、差動増幅器の入力トランジスタの一方を構成する回路要素を配置した領域である。読み出しセル領域101は、例えば、直上に生体細胞を培養し、その活動電位を取得する領域である。参照セル領域102は、差動増幅器の入力トランジスタのもう一方を構成する回路要素を配置した領域である。
【0025】
図4に示した半導体デバイス100において、左端の一列について参照すると、読み出しセル領域101には、4つの読み出しセル110-1~110-4が配置されており、参照セル領域102には、4つの参照セル120-1~120-4が配置されている。
【0026】
本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、このように読み出しセル領域101と参照セル領域102とを配置した構成とすることで、活動電位を測定する読み出しセル領域101に配列された読み出しセルのユニットセルには差動増幅器を構成する入力トランジスタを1つ有すれば良い。従って、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、差動増幅器による低ノイズを維持したままセルサイズ縮小による高解像度化を実現することが可能になる。
【0027】
図4に示した半導体デバイス100は、読み出しセルの数と参照セルの数とが同数である。このような構成とすると参照セル領域102の面積が大きくなり、結果的に回路面積が増大することになる。そこで、参照セルの数を削減することで、参照セル領域102の面積を縮小させて、回路面積の増大を抑えることが可能になる。
【0028】
図5は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の構成例を示す説明図である。
図5に示した半導体デバイス100は、
図4に示した半導体デバイス100と比較して、参照セル領域102に配置された参照セル120の数が減少している。すなわち、
図5に示した半導体デバイス100は、1つの参照セルを複数の読み出しセルで共有することを特徴としている。
【0029】
図5に示した半導体デバイス100において、左端の一列について参照すると、読み出しセル領域101には、4つの読み出しセル110-1~110-4が配置されており、参照セル領域102には、1つの参照セル120-1が配置されている。すなわち、参照セル120-1のトランジスタは、複数の読み出しセル110-1~110-4のトランジスタと共有されることになる。
【0030】
このように、1つの参照セルを複数の読み出しセルで共有することで、
図5に示した半導体デバイス100は、
図4に示した半導体デバイス100と比較して回路面積を削減できる。
【0031】
図6は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100における差動増幅器回路の構成例を示す説明図である。
図6に示したのは、PMOSカレントミラーを負荷抵抗とする差動増幅器において、PMOSトランジスタのダイオード接続側、すなわち増幅ゲインがかからない側の入力トランジスタを読み出し電極に接続し、増幅ゲインがかかる側に差動増幅器の出力を入力に帰還する閉ループを構成することを特徴としたものである。
【0032】
図6に示した差動増幅器回路130は、カレントミラーを構成するMOSFET Tr1a、1bと、読み出し電極111からの電位がゲートに入力される入力トランジスタTr2aと、参照電極121からの参照電位(Vref)がゲートに入力される入力トランジスタTr2bと、電流源140と、が示されている。また差動増幅器回路130の出力は参照電極121からの出力が入力される入力トランジスタTr2bへ帰還する。容量C11、C12は、参照電極121を容量結合するために設けられ、容量C11、C12によって読み出し電極と参照電極に同相で混入するノイズ成分を差動増幅器でキャンセルすることができる。スイッチSW11は、差動増幅器回路130の出力と、参照電極121の側の入力トランジスタTr2bの入力を短絡するためのスイッチである。スイッチSW11は、例えばMOSFET等のスイッチング素子が用いられる。スイッチSW11により、参照電極の入力トランジスタTr2bと読み出し電極の入力トランジスタTr2aの電圧閾値のミスマッチをキャンセルすることも出来る。
【0033】
図7は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の構成例を示す説明図であり、
図6に示した差動増幅器回路130のそれぞれの入力トランジスタを2つのセル回路に分けて配置した上で、読み出しセル110が配置される領域と参照セル120が配置される領域とを別々の領域としたものである。
【0034】
図7に示した半導体デバイス100において、左端の一列について参照すると、読み出しセル領域101には、4つの読み出しセル110-1~110-4が配置されており、参照セル領域102には、4つの参照セル120-1~120-4が配置されている。もちろん、
図5に示したように1つの参照セルを複数の読み出しセルで共有する構成を採用しても良い。
【0035】
図8は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図8に示したのは多点で同時に電位を検出することが可能なデバイスである。
図8に示した電位測定装置20は、A/D変換回路21と、垂直走査回路22と、半導体デバイス100と、を含んで構成される。そして半導体デバイス100は、読み出しセル領域101と、参照セル領域102と、を有する。
【0036】
A/D変換回路21は、半導体デバイス100によって測定されたアナログのデータをデジタルのデータに変換する回路である。A/D変換回路21の構成は特定のものに限定されない。垂直走査回路22は、半導体デバイス100に対して電位の測定に使用される読み出しセルや参照セルの選択を行うための信号を出力する回路である。
図8に示した構成では、A/D変換回路21と参照セル領域102とは、読み出しセル領域101を挟んで対向するような位置に形成されている。言い換えれば、読み出しセル領域101を挟み、A/D変換回路21が設けられる領域の反対側に参照セル領域102が設けられる。
【0037】
電位測定装置20は、
図8に示したような構成を有することで、差動増幅器による低ノイズを維持したままセルサイズ縮小による高解像度化を実現することが可能になる。また
図8に示したように、半導体デバイス100における読み出しセル領域101が、電位測定装置20における中心領域に配置されていることで、電位測定装置20は電位の測定時における測定領域を広く確保することが出来る。
【0038】
ここまでは、上述したようにカレントミラー回路と参照セル領域との間に読み出しセル領域が配置された半導体デバイスの例を示したが、本開示は係る例に限定されるものではない。例えば、参照セル領域を、カレントミラー回路が配置される辺に垂直の方向に配置して、読み出しセル領域を参照セル領域の間に配置するような構成が採用されても良い。
【0039】
図9は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の回路構成例を示す説明図である。
図9に示した半導体デバイス100は、PMOSカレントミラー回路が配置されている辺に垂直の方向に参照セル領域102を配置し、2つの参照セル領域102に挟まれるように読み出しセル領域101が配置されている。言い換えれば、
図9に示した半導体デバイス100は、読み出しセル及び参照セルそれぞれから、PMOSカレントミラー回路及び電流源への距離が略等しくなるように読み出しセル領域101および参照セル領域102を配置している。
【0040】
このように配置することで、
図9に示した半導体デバイス100は、配線による電圧ドロップ量の差分を低減することができる。すなわち、
図9に示した半導体デバイス100は、差動増幅器回路の差動対の対称性を向上することができる。その結果、
図9に示した半導体デバイス100は、電圧ドロップによる回路動作レンジの低下を防ぐことができる。
【0041】
図9に示したのは、読み出しセルと参照セルとの数が1:1である半導体デバイス100であるが、上述したように参照セルは複数の読み出しセルと共用されてもよい。
図10は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の構成例を示す説明図である。
図10に示したのは、参照セルを複数の読み出しセルで共用することで、
図9に示した例から参照セルの数を削減した半導体デバイス100の例である。
図10に示した半導体デバイス100は、このように複数の読み出しセルで参照セルを共用することで、上述したような配線による電圧ドロップ量の差分の低減、差動対の対称性の向上、電圧ドロップによる回路動作レンジの低下を防ぐといった効果を得つつ、
図9に示した構成に比べてさらに回路面積を削減することができる。
【0042】
さらに、
図6や
図7で示したように、PMOSカレントミラーを負荷抵抗とする差動増幅器において、PMOSトランジスタのダイオード接続側を読み出し電極に接続し、増幅ゲインがかかる側に差動増幅器の出力を入力に帰還する閉ループを構成してもよい。
図11は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の構成例を示す説明図である。
図11に示したのは、
図9に示した半導体デバイス100において、
図6や
図7で示したような、PMOSカレントミラーを負荷抵抗とする差動増幅器において、PMOSトランジスタのダイオード接続側を読み出し電極に接続し、増幅ゲインがかかる側に差動増幅器の出力を入力に帰還する閉ループを構成した例を示す説明図である。このような構成とすることで、
図11に示した半導体デバイス100は、
図9に示した半導体デバイス100における効果だけで無く、
図6や
図7で示したような構成の効果を得ることも出来る。
【0043】
図11に示した例では、読み出しセルと参照セルとの数が1:1であるが、本開示は係る例に限定されるものでは無く、もちろん、
図10のように、参照セルが複数の読み出しセルと共用されてもよい。
【0044】
本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、垂直信号線を複数配置することで、複数行の差動増幅器を同時に動作状態とするような構成を有していても良い。
【0045】
図12は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の回路構成例を示す説明図である。
図12に示したのは、セル領域を読み出しセル領域101と参照セル領域102とに分離した状態で、読み出しセル領域101および参照セル領域102のそれぞれのセルが異なる垂直信号線に接続されている半導体デバイス100の回路構成例である。
図12の例では、4組の垂直信号線が配置されており、読み出しセル領域101および参照セル領域102のそれぞれのセルから同時に差動増幅器に出力することが可能となっている。もちろん、垂直信号線の組の数は4つに限定されるものでは無い。
【0046】
本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、垂直信号線の組を増やすことで、複数行の差動増幅器を同時に動作状態とすることができる。本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、複数行の差動増幅器を同時に動作状態とすることで、データの読出しを高速に行うことが可能となる。そして、このような半導体デバイス100を電位測定装置に設けることで、電位測定装置の電位測定の高速化に寄与する。
【0047】
本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は、複数のA/D変換回路に出力を振り分けるような構成を有していても良い。
【0048】
図13は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図13に示したのは、電位測定装置20において対向するような位置に(図中におけるセルアレイ領域の上下に)2つのA/D変換回路21a、21bを有する電位測定装置20の構成例である。また
図13には垂直選択回路23を示している。垂直選択回路23は、読み出しセル領域101と参照セル領域102とのそれぞれに対してセルを選択するための信号を出力する回路である。
【0049】
図13に示した例では、セル領域を読み出しセル領域101と参照セル領域102とに分離しているのは上述した例と同様であるが、2つのA/D変換回路21a、21bに出力を振り分けるため、信号線が中央部で分離されている。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の上下のA/D変換回路21a、21bに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21bからデータを出力できるので、電位測定の結果を高速に装置外に出力することができる。
【0050】
図13の例では、電位測定装置20において対向するような位置に2つのA/D変換回路21a、21bが設けられていたが、本開示は係る例に限定されるものでは無い。
図14は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図14に示したのは、電位測定装置20において、図中におけるセルアレイ領域の上部に2つのA/D変換回路21a、21bを有する電位測定装置20の構成例である。
【0051】
読み出しセル領域101と参照セル領域102とに位置する各セルは、接続される差動増幅器が決められており、差動増幅器からの出力は、それぞれのA/D変換回路21a、21bに入力される。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の2つのA/D変換回路21a、21bに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21bからデータを出力できるので、電位測定の結果を高速に装置外に出力することができる。
【0052】
本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、
図13に示した構成と、
図14に示した構成とを組み合わせることで、A/D変換回路の数をさらに増やすことができる。
図15は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図15に示したのは、電位測定装置20において対向するような位置に(図中におけるセルアレイ領域の上下に)それぞれ2つ、合計4つのA/D変換回路21a、21b、21c、21dを有する電位測定装置20の構成例である。
【0053】
図15に示した例では、A/D変換回路21a、21bと、A/D変換回路21c、21dと、に出力を振り分けるため、信号線が中央部で分離されている。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の上下のA/D変換回路21a、21b、21c、21dに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21b、21c、21dからデータを出力できるので、電位測定の結果をより高速に装置外に出力することができる。
【0054】
ここまでの説明において、差動増幅器の出力アナログ信号を、A/D変換するA/D変換回路は、例えば、スロープ生成器、コンパレータ回路、カウンタ回路、ラッチ回路、水平転送走査回路、タイミング制御回路から構成されている。本実施形態では、そのコンパレータ回路において、1段目の増幅器と2段目の増幅器の間にミラー容量が接続されている構成を有していても良い。コンパレータ回路にミラー容量を備える構成を有することで、A/D変換回路の帯域を狭くすることができる。A/D変換回路の帯域を狭くすることにより、帯域外の高周波のノイズ成分(主に差動増幅器で発生する熱ノイズ成分)を削減することができ、低ノイズ化を実現できる。
【0055】
図16は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置200の構成例を示す説明図である。
図16に示した電位測定装置200は、セルアレイ部210、垂直走査回路220、水平転送走査回路230、タイミング制御回路240、および画素信号読み出し部としてのADC群250を有する。また電位測定装置200は、DAC(デジタル-アナログ変換装置)261を含むDACおよびバイアス回路、アンプ回路(S/A)270、信号処理回路280を有する。これらの構成要素のうち、セルアレイ部210、垂直走査回路220、水平転送走査回路230、ADC群250、DACおよびバイアス回路、並びにアンプ回路(S/A)270はアナログ回路により構成される。また、タイミング制御回路240、および信号処理回路280はデジタル回路により構成される。
【0056】
セルアレイ部210には、上述したいずれかの半導体デバイス100が設けられ得る。タイミング制御回路240は、セルアレイ部210の信号を順次読み出すための制御回路として内部クロックを生成する。垂直走査回路220はセルアレイ部210の行アドレスや行走査を制御する。そして水平転送走査回路230はセルアレイ部210の列アドレスや列走査を制御する。
【0057】
ADC群250は、複数のA/D変換回路からなり、各A/D変換回路は、DAC261により生成される参照電圧を階段状に変化させたランプ波形(RAMP)である参照電圧Vslopと、行線毎に画素から垂直信号線を経由し得られるアナログ信号(電位VSL)とを比較する比較器(コンパレータ)251を有する。さらに、各A/D変換回路は、比較時間をカウントするカウンタ252と、カウント結果を保持するラッチ253とを有する。ADC群250は、nビットデジタル信号変換機能を有し、垂直信号線(列線)毎に配置され、列並列ADCブロックが構成される。各ラッチ253の出力は、たとえば2nビット幅の水平転送線LTRFに接続されている。そして、水平転送線LTRFに対応した2n個のアンプ回路270、および信号処理回路280が配置される。
【0058】
図17は、
図16に示した電位測定装置200に用いられる比較器(コンパレータ)300の回路構成例を示す説明図である。比較器300は、縦続接続された第1アンプ310、第2アンプ320、およびミラー効果を発現するためのキャパシタC230を有している。第1アンプ310は、pチャネルMOS(PMOS)トランジスタPT211~PT214、nチャネルMOS(NMOS)トランジスタNT211~NT213、およびAZレベルのサンプリング容量としての第1および第2のキャパシタC211,C212を有する。第2アンプ320は、PMOSトランジスタPT221、NMOSトランジスタNT221,NT222、およびAZレベルのサンプリング容量としての第3のキャパシタC221を有する。
【0059】
図17に示した比較器300の詳細な説明および動作については、例えば特開2014-017838号公報に記載されており、ここでは詳細な説明は割愛するが、
図17に示した比較器300は、第1アンプ310と第2アンプ320との間に、ミラー効果を発現するためのキャパシタC230を備えることで、ミラー効果を発現することができる。このミラー効果の発現により、ソース接地入力にゲイン倍の容量が接続されたことと等価になる。ミラー効果を発現するためのキャパシタC230を備えることにより、各比較器251の帯域は小さな容量で大きく狭められる。各比較器251は、行動作開始時にカラム毎に動作点を決めるために初期化(オートゼロ:AZ)してサンプリングする機能を有する。
【0060】
従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、
図17に示した比較器を備えることで、A/D変換回路の帯域を狭くすることができる。A/D変換回路の帯域を狭くすることにより、帯域外の高周波のノイズ成分(主に差動増幅器で発生する熱ノイズ成分)を削減することができ、低ノイズ化を実現できる。
【0061】
図12に示した、垂直信号線を複数配置することで、複数行の差動増幅器を同時に動作状態とするような構成を、例えば
図9のように参照セル領域を、カレントミラー回路が配置される辺に垂直の方向に配置して、読み出しセル領域を参照セル領域の間に配置するような構成を有する半導体デバイス100に適用しても良い。
【0062】
図18は、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100の回路構成例を示す説明図である。
図18に示したのは、セル領域を読み出しセル領域101と参照セル領域102とに分離した状態で、読み出しセル領域101および参照セル領域102のそれぞれのセルが1行おきに異なる垂直信号線に接続されている半導体デバイス100の回路構成例である。
図18の例では、各列に対してそれぞれ2組の垂直信号線が配置されており、読み出しセル領域101および参照セル領域102のそれぞれのセルから同時に差動増幅器に出力することが可能となっている。もちろん、各列に設けられる垂直信号線の組の数は2つに限定されるものでは無い。
【0063】
図19は、
図9に示した半導体デバイス100を用いた電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図19に示した電位測定装置20は、半導体デバイス100によって出力される信号をA/D変換回路21で変換して外部に出力することで、半導体デバイス100が検出した電位に対応するデジタルデータを出力する装置である。
【0064】
図20は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図20に示したのは、電位測定装置20において対向するような位置に(図中におけるセルアレイ領域の上下に)2つのA/D変換回路21a、21bを有する電位測定装置20の構成例である。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、図中の左右に参照セル領域102を設け、図中におけるセルアレイ領域の上下に2つのA/D変換回路21a、21bを備える構成を採ることもできる。
【0065】
そして、
図20に示した電位測定装置20は、2つのA/D変換回路21a、21bに出力を振り分けるため、信号線が中央部で分離されている。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の上下のA/D変換回路21a、21bに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、
図20に示した本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21bからデータを出力できるので、電位測定の結果を高速に装置外に出力することができる。
【0066】
図21は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図21に示したのは、電位測定装置20において、図中におけるセルアレイ領域の上部に2つのA/D変換回路21a、21bを有する電位測定装置20の構成例である。
【0067】
読み出しセル領域101と参照セル領域102とに位置する各セルは、接続される差動増幅器が決められており、差動増幅器からの出力は、それぞれのA/D変換回路21a、21bに入力される。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の2つのA/D変換回路21a、21bに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21bからデータを出力できるので、電位測定の結果を高速に装置外に出力することができる。
【0068】
本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、
図20に示した構成と、
図21に示した構成とを組み合わせることで、A/D変換回路の数をさらに増やすことができる。
図22は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20の構成例を示す説明図である。
図22に示したのは、電位測定装置20において対向するような位置に(図中におけるセルアレイ領域の上下に)それぞれ2つ、合計4つのA/D変換回路21a、21b、21c、21dを有する電位測定装置20の構成例である。
【0069】
図22に示した例では、A/D変換回路21a、21bと、A/D変換回路21c、21dと、に出力を振り分けるため、信号線が中央部で分離されている。本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、係る構成を有することにより、図中の上下のA/D変換回路21a、21b、21c、21dに、それぞれ差動増幅器の出力信号を入力することができる。従って、本開示の実施の形態に係る電位測定装置20は、A/D変換回路21a、21b、21c、21dからデータを出力できるので、電位測定の結果をより高速に装置外に出力することができる。
【0070】
上述したそれぞれの構成に対して、差動増幅器が出力するアナログ信号を、オーバーサンプリングによって(信号帯域よりも高速なサンプリング周波数で)A/D変換を実施して、デジタルデータを取得することで、信号帯域に分布するノイズ成分を低減することができる。
図23は、オーバーサンプリングの例を示す説明図である。
図23に示したように、サンプリング周波数fsでA/D変換を行った際には、熱ノイズなど周波数全域に渡って分布するノイズ成分は、折り返しノイズとなり、0~fs/2に分布する。一方で、オーバーサンプリングを行い、M倍のサンプリング周波数でサンプリングを行った場合、ノイズ成分は0~Mfs/2に分布する。従って、オーバーサンプリングによって、信号帯域に分布するノイズを低減することができる。
【0071】
このオーバーサンプリングは、上述した電位測定装置20および半導体デバイス100のいずれの構成においても採用しうる。特に、複数行の同時読み出しおよび複数のA/D変換回路によって読出し速度の高速化を図った構成では、必要な信号帯域に対してオーバーサンプリングを行うことで、ノイズはサンプリングした周波数帯域の広範囲に分布し、信号帯域に分布するノイズが減少する。そして、フィルタ処理を行い信号帯域の信号を抽出することで、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は低ノイズ化を実現できる。
【0072】
さらに、上記手段により読み出し速度の高速化が実現できるため、参照信号と差動増幅器の出力信号電圧を比較し、比較の結果に基づきカウントクロックをカウントする方式のAD変換器の場合、AD変換の多重化を行うことが出来る。比較の結果に基づきカウントクロックをカウントする方式のAD変換器の例としては、例えば特開2005-328135号公報で開示されている。またAD変換の多重化については、例えば特開2009-296423号公報で開示されている。
【0073】
AD変換の多重化とは、P相・D相のそれぞれについて、nビット(nは1以上の整数)のAD変換処理をW回(Wは2以上の整数)繰り返して行ない、それらを加算してデジタル積分処理を実行することである。AD変換を多重化することで、信号データはW倍となるがノイズは√W倍となると考えられる。これにより、半導体デバイス100は、アナログ領域での処理では存在し得ないAD変換に伴う量子化ノイズや回路ノイズなどのランダムノイズの問題が緩和され、さらなる低ノイズ化を実現できる。
【0074】
図24は、本開示の実施の形態に係る電位測定装置200の構成例を示す説明図で有り、
図16に示した電位測定装置200にスイッチ部290が追加された構成を有するものである。
図24に示した電位測定装置200は、差動増幅器の出力をスロープ型のAD変換器に入力し、デジタル変換して出力する構成である。ただし特開2005-328135号公報で示した構成と異なる点として、特開2005-328135号公報で開示された構成では、イメージセンサの画素からリセットレベルを出力され基準レベルとできるのに対し、本実施形態に係る電位測定装置200は、電極の信号を常に差動増幅器が出力し続けるため、リセットレベルを差動増幅器の外部から入力する必要がある。そのため、
図24に示した構成では、リセットレベルVrstをリセットレベルとし、スイッチ部290によるスイッチの切り替えにより、差動増幅器回路の出力信号VxとリセットレベルVrstとを交互にAD変換回路に入力することで、それぞれP相、D相のレベルを取得してAD変換を行う。
【0075】
図25は、
図24で示した電位測定装置200で実行される、多重ADCの動作方法を示す説明図である。電位測定装置200は、P相およびD相の各AD変換処理時に、それぞれ同一信号について、参照信号比較型のAD変換処理を複数回(W回とする:Wは2以上の正の整数)連続して行なうようにする。電位測定装置200は、2回目以降の処理時には、AD変換用の参照信号Vslopの変化のさせ方は1回目と同じにし、それ以前のAD変換結果をスタート点として、同一のカウントモードでカウント処理する。
【0076】
こうすることで、P相およびD相の各処理においては、同一信号のAD変換結果をW倍したデータ(加算データ)が得られる。P相とD相でカウントモードを逆にすることとの組合せにより、“-W・Drst+W・(Dsig+Drst)=W・Dsig”なる演算結果が得られることになる。また、カウンタ部がデジタル積分器の機能をなしていることが理解される。信号はW倍となるがノイズは√W倍となると考えられるので、ノイズ特性の向上が図られる。
【0077】
ウェハ製造のプロセス工程には電極部にしか必要無い工程や、周辺回路部(例えばAD変換部など)にしか必要無い工程が多数ある。そのため、電極部と周辺回路部を別々のウェハで製造し、それぞれ最適なサイズでウェハを個片化して得られた半導体素子同士を貼り合わせる方が、低コストで製造し得る。また、各ウェハに最適な世代のプロセスを適用することで、半導体デバイス100の性能向上を見込むことができる。
【0078】
例えばイメージセンサにおいては、このように画素部と周辺回路部とを別素子に分割し、CoC(Chip on Chip)積層する技術を適用した固体撮像装置としては、表面照射型センサを構成するセンサ半導体素子の受光面上における画素外の領域に、周辺回路部である周辺回路半導体素子をフリップチップ実装する構造のものが提案されている(例えば、国際公開第2010/073520号など)。
【0079】
このように、差動増幅器回路などアナログ領域の素子と、AD変換回路や制御回路などデジタル領域の素子とを別チップに搭載し、デジタル領域の素子に微細プロセスを適用することで、AD変換回路の高速化や高密度化を実現することができる。これにより半導体デバイス100は、サンプリング速度を高速化することができる。また半導体デバイス100は、読出しセルアレイと参照セルアレイを分離した構造と組み合わせることで、低ノイズかつ高解像度を維持したまま、高速化が実現可能で、またチップ面積を縮小させることが可能となる。
【0080】
図26は、2枚のチップを積層した構造の実施例を示す説明図である。
図26に示した例では、差動増幅器回路や水平選択回路などをチップAに搭載し、A/D変換回路をチップBに搭載する。A/D変換回路はデジタル領域で動作するため、チップBには微細プロセスを適用することが可能である。これにより半導体デバイス100は、A/D変換回路の高速動作と高密度化が可能になる。
【0081】
図27は、2枚のチップを積層した構造の実施例を示す説明図であり、
図24のスロープ型AD変換回路を適用した回路構成に対して、チップ積層構造を適用した場合の実施例を示す説明図である。信号の流れに対して、アナログ領域で動作する比較器(コンパレータ)以前をチップA、デジタル領域で動作するカウンタ以降をチップBに搭載している。半導体デバイス100は、このようなチップ積層構造とすることで、A/D変換器のアナログ領域とデジタル領域の境目をチップの境目とすることが出来、積層チップ化による微細化と高速化の恩恵を最大限に得られる。
【0082】
図28は、1つのチップ上に複数のチップを積層した構造の実施例を示す説明図であり、
図13に示したA/D変換器を上下に配置した構成に対して、チップ積層構造を適用した場合の実施例を示す説明図である。このように、1つのチップに対して複数のチップを積層する構成も可能である。なお、チップの積層される順番や、積層されるチップの位置、積層されるチップの数は、
図26~28に挙げたものに限定されるものでは無い。
図26~28では、A/D変換回路を搭載したチップBを、チップAに重畳させているが、積層構造はその逆であっても良い。
【0083】
ここまで説明してきた半導体デバイス100の効果について、改めて説明する。
【0084】
(
図4)
図4に示した半導体デバイス100は、入力トランジスタを読み出しセルと参照セルとに分離して配列することによって、単位セル内に入力トランジスタ(アンプトランジスタ)を1つ配列すればよく、入力トランジスタのサイズを大きくすることでノイズを低減することができる。これにより、
図4に示した半導体デバイス100は、セルサイズを縮小することが出来、読み出しセルの高解像度化が実現できる。アンプトランジスタは差動増幅回路へのノイズ寄与が大きいため、アンプトランジスタは差動増幅回路を構成する面積に対して支配的である。したがってまた
図4に示した半導体デバイス100は、上述したような読み出しセルと参照セルとに入力トランジスタを分離することで、セルの面積を約1/2に縮小することができ、解像度を約2倍向上することができる。
【0085】
(
図5)
図5に示した半導体デバイス100は、参照セルを複数の読み出しセルで共有することによって、参照セルの面積を
図4に示した半導体デバイス100から削減することができ、読み出し領域の拡大やチップ面積の縮小よるコスト低減を実現することが出来る。
【0086】
(
図7)
図7に示した半導体デバイス100は、
図4、5に示した半導体デバイス100に、片側オートゼロ差動増幅器の効果をさらにもたらすことが可能となる。すなわち、
図7に示した半導体デバイス100における差動増幅器は、クローズドループ構成であるため、オープンループ型の差動増幅器の信号入力レンジの問題を解決しつつ、入力信号のS/N劣化がなく、読み出し電極の電位を変動させることができる。また
図7に示した半導体デバイス100における差動増幅器は、参照電極を容量結合することにより、読み出し電極と参照電極に同相で混入するノイズ成分をキャンセルすることができ、低ノイズ化を実現することができる。また
図7に示した半導体デバイス100における差動増幅器は、その出力と、参照電極側の入力トランジスタの入力を短絡することで、左右の対の電流を釣り合わせることができる。これにより、差動入力がゼロの状態を参照電極の入力電圧としてサンプルホールドすることができ、参照セルの入力トランジスタと読み出しセルの入力トランジスタのVthミスマッチをキャンセルすることも出来る。
【0087】
そして
図7に示した半導体デバイス100は、これらの効果に加えて、入力トランジスタを読み出しセル領域と参照セル領域に分けることで、低ノイズかつ高解像度化を実現できる。特にオートゼロ差動増幅器の参照セルは、追加素子による面積増加が避けられないため、このように読出しセルと参照セルを分離することで、参照セル側の素子追加による面積増加による読出し電極の解像度劣化を防ぐことが出来る。
【0088】
(
図9)
図9に示した半導体デバイス100は、入力トランジスタを読み出しセルと参照セルとに分離して配列する際に、2つの参照セル領域に挟まれるように読み出しセル領域が配置されている。このように配置することで、
図9に示した半導体デバイス100は、読み出しセル及び参照セルそれぞれからPMOSカレントミラー回路及び電流源への距離を合わせることができ、配線による電圧ドロップ量の差分を低減することができる。すなわち、
図9に示した半導体デバイス100は、差動増幅器回路の差動対の対称性を向上することができる。その結果、
図9に示した半導体デバイス100は、電圧ドロップによる回路動作レンジの低下を防ぐことができる。
【0089】
(
図10)
図10に示した半導体デバイス100は、参照セルを複数の読み出しセルで共有することによって、参照セルの面積を
図9に示した半導体デバイス100から削減することができ、読み出し領域の拡大やチップ面積の縮小よるコスト低減を実現することが出来る。
【0090】
(
図11)
図11に示した半導体デバイス100は、
図9に示した半導体デバイス100に、片側オートゼロ差動増幅器の効果をさらにもたらすことが可能となる。
【0091】
(
図12)
図12に示した半導体デバイス100は、垂直信号線を複数配置することで、複数行の差動増幅器を同時に動作状態として、セルアレイからの読み出し速度を高速化できる効果をもたらすことが可能となる。
【0092】
(
図13~
図15)
図13~
図15に示した半導体デバイス100は、複数のA/D変換回路を備えて、それぞれのA/D変換回路にセルアレイ領域からの出力を振り分けることで、セルアレイからの読み出し速度を高速化できる効果をもたらすことが可能となる。
【0093】
(
図16~17)
図16~17に示した構成では、コンパレータ回路において、1段目の増幅器と2段目の増幅器の間にミラー容量が接続されていることで、A/D変換回路の帯域を狭くすることができる。A/D変換回路の帯域を狭くすることにより、帯域外の高周波のノイズ成分(主に差動増幅器で発生する熱ノイズ成分)を削減することができ、低ノイズ化を実現できる。
【0094】
(
図18)
図12に示した半導体デバイス100は、垂直信号線を複数配置することで、複数行の差動増幅器を同時に動作状態として、セルアレイからの読み出し速度を高速化できる効果をもたらすことが可能となる。
【0095】
(
図20~
図22)
図20~
図22に示した半導体デバイス100は、複数のA/D変換回路を備えて、それぞれのA/D変換回路にセルアレイ領域からの出力を振り分けることで、セルアレイからの読み出し速度を高速化できる効果をもたらすことが可能となる。
【0096】
(
図23)
また、それぞれの構成において、A/D変換時にオーバーサンプリングを実施することで、信号帯域に分布するノイズを低減することができる。特に、
図12や
図18に示したような複数行の同時読み出しおよび複数のA/D変換回路によって読出し速度の高速化を図った構成では、必要な信号帯域に対してオーバーサンプリングを行うことで、ノイズはサンプリングした周波数帯域の広範囲に分布し、信号帯域に分布するノイズが減少する。そして、フィルタ処理を行い信号帯域の信号を抽出することで、本開示の実施の形態に係る半導体デバイス100は低ノイズ化を実現できる。
【0097】
(
図24、25)
スロープ型ADCを適用し、AD変換の多重化を行った場合、信号データはW倍となるがノイズはおおよそ√W倍となる。
図24のようにAD変換の多重化を行うことで、アナログ領域での処理では存在し得ないAD変換に伴う量子化ノイズや回路ノイズなどのランダムノイズの問題が緩和され、さらなる低ノイズ化を実現できる。
【0098】
(
図26~28)
さらに、
図26~28に示したように、半導体デバイス100に複数のチップを積層する製造プロセスを適用した場合、A/D変換回路の高速化や高密度化を実現することができる。これにより半導体デバイス100のサンプリング速度が高速化できる。また、読出しセルアレイと参照セルアレイとを分離した構造と組み合わせることで、半導体デバイス100は、低ノイズかつ高解像度を維持したまま、高速化が実現可能で、またチップ面積の縮小にも寄与する。
【0099】
<2.まとめ>
以上説明したように本開示の実施の形態によれば、多点で同時に電位を検出することが可能な半導体デバイスにおいて、セル回路面積を縮小させて、かつ高解像度化を実現した半導体デバイス100、及び半導体デバイス100を用いた電位測定装置20を提供することが出来る。
【0100】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0101】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0102】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
差動増幅器を構成する入力トランジスタの一方を有する読み出しセルがアレイ状に配列された第1の領域と、
前記差動増幅器を構成する入力トランジスタのもう一方を有する参照セルがアレイ状に配列された第2の領域と、
を有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されている、半導体デバイス。
(2)
前記第1の領域は信号の電位を測定する領域であり、
前記第2の領域は参照電位が設定される領域である、前記(1)に記載の半導体デバイス。
(3)
前記差動増幅器は、カレントミラー回路及び電流源を有する、前記(1)または(2)に記載の半導体デバイス。
(4)
前記第1の領域と前記第2の領域のそれぞれから、前記カレントミラー回路及び前記電流源までの距離が略等しい、前記(3)に記載の半導体デバイス。
(5)
前記第2の領域に配置される1つの前記参照セルに対して複数の前記読み出しセルが対応して前記差動増幅器を構成する、前記(3)または(4)に記載の半導体デバイス。
(6)
前記差動増幅器は、ダイオード接続されたカレントミラー回路に接続される入力トランジスタに電極が接続され、他方の入力トランジスタに出力が容量を介して接続される、前記(3)~(5)のいずれかに記載の半導体デバイス。
(7)
前記他方の入力トランジスタの入力部と、前記差動増幅器との間に、動作点をリセットするスイッチを有する、前記(6)に記載の半導体デバイス。
(8)
参照電位が設定され、上記他方の入力トランジスタの入力部に容量を介して接続される参照電極を有する、前記(7)に記載の半導体デバイス。
(9)
前記第2の領域に配置される1つの前記参照セルに対して複数の前記読み出しセルが対応して前記差動増幅器を構成する、前記(1)または(2)に記載の半導体デバイス。
(10)
前記差動増幅器からの出力信号線を複数並列に備え、複数の前記差動増幅器を同時に動作状態とすることで複数の前記差動増幅器からの出力を同時に読み出す、前記(1)~(9)のいずれかに記載の半導体デバイス。
(11)
前記(1)~(10)のいずれかに記載の半導体デバイスと、
前記半導体デバイスの読み出しセル及び参照セルを選択する水平選択回路と、
前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、
を備える、電位測定装置。
(12)
前記第1の領域を挟み、前記A/D変換回路が設けられる領域の反対側に前記第2の領域が設けられる、前記(11)に記載の電位測定装置。
(13)
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ前記A/D変換回路を備える、前記(11)に記載の電位測定装置。
(14)
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ複数の前記A/D変換回路を備える、前記(13)に記載の電位測定装置。
(15)
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域を挟む位置に備える、前記(13)または(14)に記載の電位測定装置。
(16)
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域と直交する位置に備える、前記(13)に記載の電位測定装置。
(17)
前記半導体デバイスの一辺の側に複数の前記A/D変換回路を備える、前記(13)に記載の電位測定装置。
(18)
前記A/D変換回路は、所定の参照電位と、前記半導体デバイスからの出力とを比較するコンパレータ回路を備え、
前記コンパレータ回路は、1段目の増幅器と、2段目の増幅器と、前記1段目の増幅器および前記2段目の増幅器の間に接続されるミラー容量と、を含む、前記(11)~(17)のいずれかに記載の電位測定装置。
(19)
前記A/D変換回路は、前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号に対してオーバーサンプリングによりデジタル信号に変換する、前記(11)~(18)のいずれかに記載の電位測定装置。
(20)
前記A/D変換回路は、nビット(nは1以上の整数)のA/D変換処理をW回(Wは2以上の整数)繰り返して行なうデジタル積分処理を実行するように駆動される、前記(11)~(19)のいずれかに記載の電位測定装置。
(21)
前記A/D変換回路の一部または全部が形成される第1のチップと、
前記第1のチップが積層されるとともに、前記第1のチップに形成された構成以外の構成が形成される第2のチップと、
を備える、前記(11)~(20)のいずれかに記載の電位測定装置。
(22)
複数の前記第1のチップが、前記第2のチップに積層される、前記(21)に記載の電位測定装置。
【符号の説明】
【0103】
20 電位測定装置
100 半導体デバイス
101 読み出しセル領域
102 参照セル領域
110 読み出しセル
120 参照セル
130 差動増幅器回路
140 電流源
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動増幅器を構成する第1の入力トランジスタを有する読み出しセルがアレイ状に配列された第1の領域と、前記差動増幅器を構成する第2の入力トランジスタを有する参照セルがアレイ状に配列された第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されている半導体デバイスと、
前記半導体デバイスの前記読み出しセル及び前記参照セルを選択する水平選択回路と、
前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路と、
を備える、電位測定装置。
【請求項2】
前記第1の領域を挟み、前記A/D変換回路が設けられる領域の反対側に前記第2の領域が設けられる、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項3】
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ前記A/D変換回路を備える、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項4】
前記半導体デバイスを挟む位置にそれぞれ複数の前記A/D変換回路を備える、請求項3に記載の電位測定装置。
【請求項5】
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域を挟む位置に備える、請求項3に記載の電位測定装置。
【請求項6】
前記半導体デバイスの第1の領域を、第2の領域が挟む位置に備え、前記A/D変換回路を、前記第2の領域と直交する位置に備える、請求項3に記載の電位測定装置。
【請求項7】
前記半導体デバイスの一辺の側に複数の前記A/D変換回路を備える、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項8】
前記A/D変換回路は、所定の参照電位と、前記半導体デバイスからの出力とを比較するコンパレータ回路を備え、
前記コンパレータ回路は、1段目の増幅器と、2段目の増幅器と、前記1段目の増幅器および前記2段目の増幅器の間に接続されるミラー容量と、を含む、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項9】
前記A/D変換回路は、前記半導体デバイスから出力されるアナログ信号に対してオーバーサンプリングによりデジタル信号に変換する、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項10】
前記A/D変換回路は、nビット(nは1以上の整数)のA/D変換処理をW回(Wは2以上の整数)繰り返して行なうデジタル積分処理を実行するように駆動される、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項11】
前記A/D変換回路の一部または全部が形成される第1のチップと、
前記第1のチップが積層されるとともに、前記第1のチップに形成された構成以外の構成が形成される第2のチップと、
を備える、請求項1に記載の電位測定装置。
【請求項12】
複数の前記第1のチップが、前記第2のチップに積層される、請求項11に記載の電位測定装置。
【請求項13】
差動増幅器を構成する第1の入力トランジスタを有する読み出しセルがアレイ状に配列された第1の領域と、
前記差動増幅器を構成する第2の入力トランジスタを有する参照セルがアレイ状に配列された第2の領域と、
を有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されており、
前記第2の領域に配置される1つの前記参照セルに対して複数の前記読み出しセルが対応して前記差動増幅器を構成する、
半導体デバイス。
【請求項14】
差動増幅器を構成する第1の入力トランジスタを有する読み出しセルがアレイ状に配列された第1の領域と、
前記差動増幅器を構成する第2の入力トランジスタを有する参照セルがアレイ状に配列された第2の領域と、
を有し、
前記第1の領域と前記第2の領域とがそれぞれ分離されており、
前記差動増幅器からの出力信号線を複数並列に備え、複数の前記差動増幅器を同時に動作状態とすることで複数の前記差動増幅器からの出力を同時に読み出す、
半導体デバイス。