(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019217
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】パッケージ基板およびそれを備えた半導体複合装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240201BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240201BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240201BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240201BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240201BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H01F27/00 S
H01F17/00 A
H01G4/40 321A
H01L23/12 B
H01L23/12 E
H01L23/12 N
H01L25/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199933
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2021186370の分割
【原出願日】2018-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2017251203
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018029690
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018108409
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姫田 高志
(72)【発明者】
【氏名】北村 達矢
(72)【発明者】
【氏名】榊 千春
(72)【発明者】
【氏名】清野 紳弥
(72)【発明者】
【氏名】藤田 頌
(72)【発明者】
【氏名】山本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】古川 剛史
(72)【発明者】
【氏名】西山 健次
(72)【発明者】
【氏名】舟木 達弥
(72)【発明者】
【氏名】青木 欣也
(57)【要約】
【課題】半導体複合装置の特性低下を抑制しつつ小型化を実現する。
【解決手段】パッケージ基板200は、半導体複合装置10に用いられ、負荷300が搭載される第1面と、第1面に対向する第2面とを有する。パッケージ基板200は、貫通孔を有するキャパシタ230が形成された第1層210と、貫通孔を貫通するスルーホール導体260,262,264と、貫通孔とスルーホール導体260,262,264との間に配置された絶縁部225とを備える。貫通孔内において、キャパシタ230とスルーホール導体260,262,264は、絶縁部225により互いに導通しない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体複合装置に用いられ、負荷が搭載される第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有するパッケージ基板であって、
貫通孔を有する第1キャパシタが形成された第1層と、
前記貫通孔を貫通する第1スルーホール導体と、
前記貫通孔と前記第1スルーホール導体との間に配置された第1絶縁部とを備え、
前記貫通孔内において、前記第1キャパシタと前記第1スルーホール導体は、前記第1絶縁部により互いに導通しない、パッケージ基板。
【請求項2】
前記第1キャパシタは、前記第1スルーホール導体を介して前記負荷もしくはグランドラインに電気的に接続されている、請求項1に記載のパッケージ基板。
【請求項3】
前記第1層は、前記パッケージ基板の厚さ方向において、前記第2面に比べて前記第1面に近接している、請求項1に記載のパッケージ基板。
【請求項4】
インダクタを有する第2層と、
前記第2層を貫通する第2スルーホール導体とをさらに備える、請求項1に記載のパッケージ基板。
【請求項5】
前記第2層は、前記パッケージ基板の厚さ方向において、前記第1面に比べて前記第2面に近接している、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項6】
前記第1スルーホール導体と前記第2スルーホール導体とは共通している、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項7】
前記パッケージ基板の厚さ方向から前記パッケージ基板を平面視した場合に、前記インダクタと前記第1キャパシタとは少なくとも一部が重なっている、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項8】
前記第2層は、
コイルを形成する金属配線と、
前記金属配線を取り囲み、樹脂および磁性体を含む複合材料とを含んで形成される、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項9】
前記インダクタおよび前記第1キャパシタのいずれとも接続されていない、少なくとも1つの第3スルーホール導体をさらに備える、請求項4~請求項8のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項10】
前記第3スルーホール導体は、外部のグランドラインに接続される、請求項9に記載のパッケージ基板。
【請求項11】
前記第3スルーホール導体は、外部の信号ラインに接続される、請求項9に記載のパッケージ基板。
【請求項12】
前記第3スルーホール導体の内径は、前記第1スルーホール導体または前記第2スルーホール導体の内径よりも小さい、請求項11に記載のパッケージ基板。
【請求項13】
前記第3スルーホール導体は、外部のヒートシンクに接続される、請求項9に記載のパッケージ基板。
【請求項14】
前記第3スルーホール導体は複数であり、
前記パッケージ基板は、内部に絶縁材料が充填されるとともに、前記第1層および前記第2層を貫通するように形成されたビアをさらに含み、
前記第3スルーホール導体は、前記ビア内に形成される、請求項9に記載のパッケージ基板。
【請求項15】
前記第3スルーホール導体は、前記負荷の直下において前記負荷に接続される、請求項9~請求項14のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項16】
複数の配線パターンが形成された端子層をさらに備え、
前記端子層は、前記第2層における前記第1層とは反対の面に配置される、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項17】
前記第1キャパシタとは異なる第2キャパシタが形成された第3層をさらに備え、
前記第1キャパシタの陽極電極に接続される導電部材は、前記第1層において前記第1キャパシタに対して前記第1面側に配置されており、
前記第2キャパシタの陽極電極に接続される導電部材は、前記第2層において前記第2キャパシタに対して前記第1面とは反対側に配置されている、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項18】
前記第1キャパシタとは異なる第2キャパシタが形成された第3層をさらに備え、
前記第2層は、前記第1層と前記第3層との間に配置される、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項19】
複数の配線パターンが形成された回路層をさらに備え、
前記回路層は、前記パッケージ基板の厚さ方向において、前記第2面に比べて前記第1面に近接している、請求項1~請求項18のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項20】
前記回路層は、第2コア基材を含む、請求項19に記載のパッケージ基板。
【請求項21】
前記第1スルーホール導体および前記第2スルーホール導体の内面には、メタライズ層が形成されており、
前記パッケージ基板の表面には、前記メタライズ層と電気的に接続された金属配線層が形成されており、
前記第1スルーホール導体および前記第2スルーホール導体の少なくとも1つにおいて、前記メタライズ層と前記金属配線層との接続部分の厚みは、前記金属配線層の厚みよりも厚い、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項22】
前記第1スルーホール導体および前記第2スルーホール導体の内面には、メタライズ層が形成されており、
前記パッケージ基板の表面には、前記メタライズ層と電気的に接続された金属配線層が形成されており、
前記第1スルーホール導体および前記第2スルーホール導体の少なくとも1つにおいて、前記メタライズ層の厚みは、前記金属配線層の厚みよりも厚い、請求項4に記載のパッケージ基板。
【請求項23】
前記第1スルーホール導体および前記第2スルーホール導体の少なくとも1つにおける端部は、面取りされている、請求項21または請求項22に記載のパッケージ基板。
【請求項24】
前記第1キャパシタは、電解コンデンサである、請求項1~請求項23のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項25】
前記第1層は、内部にガラスクロスを含有する第1コア基材を含む、請求項1~請求項24のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項26】
前記第1コア基材の少なくとも一方の表面には、銅を含む金属層が配置される、請求項25に記載のパッケージ基板。
【請求項27】
前記第1コア基材の少なくとも一方の表面には、凹部が形成されている、請求項25に記載のパッケージ基板。
【請求項28】
前記第1絶縁部は、
前記第1キャパシタに接触し、かつ前記第1キャパシタの周囲に配置された第1絶縁部材と、
前記第1絶縁部材を取り囲むように配置された第2絶縁部材とを含み、
前記第1キャパシタの線膨張係数と前記第1絶縁部材の線膨張係数との間の差は、前記第1キャパシタの線膨張係数と前記第2絶縁部材の線膨張係数との間の差よりも小さい、請求項1~請求項27のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項29】
前記第1面に配置されたボルテージレギュレータをさらに備える、請求項1~請求項28のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項30】
前記第1面に垂直な方向から前記パッケージ基板を平面視した場合に、前記負荷は前記ボルテージレギュレータと重なる、請求項29に記載のパッケージ基板。
【請求項31】
前記負荷をさらに備える、請求項1~請求項30のいずれか1項に記載のパッケージ基板。
【請求項32】
請求項1~請求項31のいずれか1項に記載のパッケージ基板を備えた、半導体複合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パッケージ基板およびそれを備えた半導体複合装置に関し、より特定的には、直流電圧変換装置に用いられる半導体複合装置に使用されるパッケージ基板の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2011/0050334号明細書(特許文献1)は、インダクタあるいはキャパシタのような受動素子(パッシブ素子)の一部または全部が埋め込まれたパッケージ基板、および、スイッチング素子のような能動素子(アクティブ素子)を含む電圧制御装置(以下、「ボルテージレギュレータ」とも称する。)を有する半導体装置を開示する。特許文献1の半導体装置においては、ボルテージレギュレータ、および、電源電圧を供給すべき負荷が、パッケージ基板上に実装されている。電圧調整部で調整された直流電圧は、パッケージ基板内の受動素子で平滑化されて負荷に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0050334号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなボルテージレギュレータを有する半導体装置は、たとえば、携帯電話やスマートフォンなどの電子機器に適用される。近年、電子機器の小型化,薄型化が進められており、それに伴って半導体装置自体の小型化が望まれている。
【0005】
特許文献1の半導体装置においては、インダクタおよびキャパシタは、パッケージ基板の同一層内にレイアウトされて埋め込まれている。この場合、半導体装置の小型化のためにパッケージ基板の実装面の面積を縮小すると、パッケージ基板内に形成されるインダクタのインダクタンスおよびキャパシタのキャパシタンスを十分に確保できなくなってしまい、所望の特性を実現できなくなることが考えられる。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、半導体複合装置に用いられ、キャパシタが埋め込まれたパッケージ基板において、半導体複合装置の特性低下を抑制しつつ小型化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るパッケージ基板は、半導体複合装置に用いられ、負荷が搭載される第1面と、第1面に対向する第2面とを有する。パッケージ基板は、貫通孔を有する第1キャパシタが形成された第1層と、貫通孔を貫通する第1スルーホール導体と、貫通孔と第1スルーホール導体との間に配置された第1絶縁部とを備える。貫通孔内において、第1キャパシタと第1スルーホール導体は、第1絶縁部により互いに導通しない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によるパッケージ基板においては、パッケージ基板内のキャパシタを貫通するスルーホール導体を用いることによって、負荷へ供給される電力経路を短くして、負荷に至るまでの電力経路の抵抗値を低減することができる。したがって、半導体複合装置の特性低下を抑制しつつ小型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に従う半導体複合装置のブロック図である。
【
図2】実施の形態1に従う半導体複合装置の平面図である。
【
図3】
図2の半導体複合装置のIII-III線矢印方向から見た断面図である。
【
図4】
図2の半導体複合装置のIV-IV線矢印方向から見た断面図である。
【
図7】半導体複合装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図8】C層の形成プロセス(S100)を説明するための図である。
【
図9】L層の形成プロセス(S110)を説明するための図である。
【
図10】C層とL層との接合プロセス(S120)を説明するための図である。
【
図11】スルーホールの形成プロセス(S130)を説明するための図である。
【
図12】電極パターンの形成プロセス(S140)および機器実装プロセス(S150)を説明するための図である。
【
図13】実施の形態2に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図14】実施の形態3に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図15】実施の形態4に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図16】実施の形態5に従う半導体複合装置の第1の例の断面図である。
【
図17】実施の形態5に従う半導体複合装置の第2の例の断面図である。
【
図18】実施の形態6に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図19】実施の形態7に従う半導体複合装置のC層の平面図である。
【
図20】
図19の半導体複合装置のXIX-XIX線矢印方向から見た断面図である。
【
図21】実施の形態8に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図22】
図21の半導体複合装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図23】
図21の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第1の図である。
【
図24】
図21の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第2の図である。
【
図25】
図21の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第3の図である。
【
図26】
図21の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第4の図である。
【
図27】
図21の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第5の図である。
【
図28】実施の形態8の変形例1に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図29】
図28の半導体複合装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図30】実施の形態8の変形例2に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図31】実施の形態9に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図32】
図31の半導体複合装置の製造プロセスを示すフローチャートである。
【
図33】
図31の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第1の図である。
【
図34】
図31の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第2の図である。
【
図35】
図31の半導体複合装置の製造プロセスの詳細を説明するための第3の図である。
【
図36】実施の形態10に従う半導体複合装置におけるスルーホールのメッキ工程の第1の例を説明するための図である。
【
図37】実施の形態10に従う半導体複合装置におけるスルーホールのメッキ工程の第2の例を説明するための図である。
【
図38】実施の形態10に従う半導体複合装置におけるスルーホールの部分の変形例を説明するための図である。
【
図39】実施の形態11に従う半導体複合装置におけるC層の平面図である。
【
図44】実施の形態12に従う半導体複合装置におけるC層の断面図である。
【
図45】実施の形態13に従う半導体複合装置の断面図である。
【
図46】実施の形態14に従う半導体複合装置の断面図の第1の例である。
【
図47】実施の形態14に従う半導体複合装置の断面図の第2の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[実施の形態1]
(装置の構成)
図1は、本実施の形態1に従う半導体複合装置10のブロック図である。
図1を参照して、半導体複合装置10は、電圧制御装置(ボルテージレギュレータ(Voltage Regulator:VR))100と、パッケージ基板200と、負荷300とを備える。ここで、負荷300は、たとえば、論理演算回路あるいは記憶回路などの半導体集積回路(Integrated Circuit:IC)である。
【0012】
ボルテージレギュレータ100は、半導体スイッチング素子のようなアクティブ素子(図示せず)を含んでおり、当該アクティブ素子のデューティを制御することによって、外部から供給される直流電圧を負荷300に適した電圧レベルに調整する。
【0013】
パッケージ基板200は、その表面にボルテージレギュレータ100および負荷300を実装し、半導体複合装置10を1つのパッケージ部品として構成する。パッケージ基板200の内部には、
図2以降で詳述するように、インダクタL1およびキャパシタCP1が形成される。
【0014】
インダクタL1は、パッケージ基板200の入力端子INと出力端子OUTとの間に接続される。インダクタL1は、入力端子INにおいてボルテージレギュレータ100に接続され、出力端子OUTにおいて負荷300に接続される。キャパシタCP1は、出力端子OUTと接地端子GNDとの間に接続される。ボルテージレギュレータ100と、パッケージ基板200内のインダクタL1およびキャパシタCP1とで、チョッパ型の降圧スイッチングレギュレータが形成される。インダクタL1およびキャパシタCP1は、降圧スイッチングレギュレータのリップルフィルタとして機能する。当該スイッチングレギュレータによって、たとえば、外部から入力される5Vの直流電圧が1Vに降圧されて、負荷300に供給される。
【0015】
なお、パッケージ基板200には、ボルテージレギュレータ100および負荷300に加えて、ノイズ対策のためのデカップリング用コンデンサ、チョークインダクタ、サージ保護用のダイオード素子、および分圧用の抵抗素子などの電子機器が実装されてもよい。
【0016】
次に
図2~
図6を用いて、半導体複合装置10の詳細な構成について説明する。
図2は、半導体複合装置10をパッケージ基板200の実装面から見た平面図である。また、
図3は
図2におけるIII-III線矢印方向から見た断面図であり、
図4は
図2におけるIV-IV線矢印方向から見た断面図である。
図5はキャパシタCP1を構成するC層210の部分の平面図であり、
図6はインダクタL1を形成するL層250の部分の平面図である。
【0017】
図2を参照して、パッケージ基板200の実装面の3つの角には、入力端子INに対応するスルーホール260、出力端子OUTに対応するスルーホール262、および接地端子GNDに対応するスルーホール264が形成される。
【0018】
スルーホール260,262,264は、パッケージ基板200の厚み方向の表面から底面まで貫通しており、その貫通孔の内面は、銅(Cu)、金(Au)または銀(Ag)などの低抵抗の金属によってメタライズされる。加工の容易さから、たとえば、無電解Cuメッキ、電解Cuメッキによりメタライズすることができる。なお、スルーホールのメタライズについては、貫通孔の内面のみをメタライズする場合に限られず、金属あるいは金属と樹脂との複合材料などを充填してもよい。
【0019】
ボルテージレギュレータ100はスルーホール260と重なる位置に配置され、負荷300はスルーホール262と重なる位置に配置される。すなわち、スルーホール260,262は、それぞれボルテージレギュレータ100および負荷300の直下となる位置に形成されている。また、上述のように、パッケージ基板200の実装面には、ボルテージレギュレータ100および負荷300以外の他の電子機器350が実装される。
【0020】
図3~
図6を参照して、パッケージ基板200は、キャパシタCP1を構成するC層210と、インダクタL1を形成するL層250と、樹脂層226,227,228を含んで構成される。
【0021】
樹脂層226,227,228は、各層を互いに接合するための接合材料として使用されるとともに、C層210およびL層250の露出面を絶縁するための絶縁層として用いられる。C層210とL層250とは、樹脂層227によって接合されている。C層210の表面には樹脂層226が形成されており、L層250の底面には樹脂層228が形成されている。樹脂層226,227,228は、たとえば、エポキシ、あるいはエポキシとシリカなどの無機フィラーとの複合材料のような絶縁材料で形成される。スルーホールのメタライジング層との密着性を確保するために、樹脂層としてエポキシを主体とする材料を用いることが好ましい。あるいは、樹脂層226,227,228として、ガラスクロスあるいは炭素繊維のような繊維状補強材を含有するプリプレグを用いてもよい。特にガラスクロスのような線膨張係数の小さいプリプレグを用いることで、C層210およびL層250の反りを抑制し、これによってパッケージ基板200全体の反りを抑制することができる。
【0022】
樹脂層226の表面には、ボルテージレギュレータ100等の機器を実装するためのランドおよびそれらを接続するための配線を含む回路層205が形成されている。パッケージ基板200に実装される機器は、はんだバンプ120を介して、回路層205のランドあるいは端子と電気的に接続される。
【0023】
回路層205は、Cu、AuまたはAgなどの低抵抗の金属材料で形成される。なお、回路層205は、樹脂層226の表面のみに形成される場合には限られず、たとえば後述するように樹脂層226の内部に複数層にわたって形成されるものであってもよい。なお、回路層205の実装面に形成されるランドあるいは端子の表面は、機器の実装を容易にするために、ニッケル/金(Ni/Au)メッキ、ニッケル/鉛/金(Ni/Pb/Au)メッキ、あるいはプリフラックス処理などの表面処理が施されている。また、機器の表面実装時のはんだ流れを防止するために、回路層205の最表層部分にソルダーレジスト層を形成するようにしてもよい。
【0024】
C層210は、キャパシタCP1を形成するキャパシタ部230と、出力端子OUTのスルーホール262に電気的に接続される導電部220と、接地端子GNDのスルーホール264に電気的に接続される導電部240と、これらの周囲に設けられた絶縁部225を含む。キャパシタ部230は、弁作用金属基体の芯材で構成される陽極電極232、上記芯材の少なくとも一方主面に配置されて、表面に誘電体層ならびに固体電解質層を有した多孔質層234、及び、前記固体電解質層上に設けられた陰極電極236とを含み、電解コンデンサを形成している。誘電体層は、弁作用金属基体の多孔質層の表面に形成されている。多孔質層の表面に形成される誘電体層は、多孔質層の表面状態を反映して多孔質になっており、微細な凹凸状の表面形状を有している。誘電体層は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。本発明の電解コンデンサにおいて、固体電解質層を構成する固体電解質材料としては、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類等の導電性高分子等が挙げられる。これらの中では、ポリチオフェン類が好ましく、PEDOTと呼ばれるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。また、上記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等のドーパントを含んでいてもよい。なお、固体電解質層は、誘電体層の細孔(凹部)を充填する内層と、誘電体層を被覆する外層とを含むことが好ましい。
【0025】
導電部220,240は、たとえばAg、Au、またはCuのような低抵抗の金属を主体として構成される。層間の密着力向上を目的として、前記導電性フィラーと樹脂を混合した導電性密着材を導体部として設けても良い。多孔質層234は、たとえば酸化アルミニウム(AlO2)、あるいは酸化タンタル(Ta2O5)などで構成される。多孔質層234は、陽極電極232となるポーラス状の基材の金属(たとえば、Al,Ta)の表面を酸化被膜で覆うことにより形成される。陰極電極236は、たとえばAg、Au、またはCuのような低抵抗の金属により形成される。
【0026】
絶縁部225は、エポキシ、フェノール、ポリイミドなどの樹脂、あるいは、それら樹脂とシリカまたはアルミナなどの無機フィラーとで構成される。
【0027】
陽極電極232は平板形状を有しており、平板状の2つの多孔質層234の間に配置される。各多孔質層234の、陽極電極232とは反対の面には、陰極電極236が形成される。
【0028】
図2および
図5に示されるように、機器の実装面側の多孔質層234は、一部が切欠かれて陽極電極232が露出した状態とされており、当該切欠部235において、陽極電極232がビア222を介して導電部220に電気的に接続されている。また、陰極電極236は、ビア242を介して導電部240に電気的に接続されている。
【0029】
なお、キャパシタ部230として、チタン酸バリウムを用いたセラミックコンデンサ、あるいは、窒化ケイ素(SiN),二酸化ケイ素(SiO2)、フッ化水素(HF)などを用いた薄膜コンデンサを用いることも可能である。しかしながら、より薄型で比較的大きな面積のキャパシタ部を形成できること、および、パッケージ基板の剛性および柔軟性のような機械特性の観点から、アルミなどの金属を基材とする電解コンデンサとすることが好ましい。
【0030】
キャパシタ部230において、スルーホール260,262,264が形成される部分には貫通孔が形成されており、当該貫通孔とスルーホールとの間に絶縁部225の絶縁材料が充填されている。
【0031】
本実施の形態1においては、陽極電極232および多孔質層234の厚みをそれぞれおよそ50μmとし、導電部220,240の厚みをおよそ15μmとし、キャパシタ部230の上下の絶縁部225の厚みとし、C層210全体の厚みをおよそ200μmとしている。
【0032】
L層250は、
図6に示すように、インダクタL1を形成するコイル部252と、当該コイル部252の周囲を樹脂でモールドした絶縁部254とを含む。
【0033】
コイル部252は、電鋳法あるいは圧延法によって100μm程度に形成されたCuのコア材(Cu箔)を、フォトレジストなどでコイル状にパターニングした後にエッチングすることによって形成される金属配線である。コイル部252は、その一方端がスルーホール260に電気的に接続され、他方端がスルーホール262に電気的に接続される。
【0034】
なお、コイル部252のコア材として、アルミ(Al)を用いてもよい。特に、キャパシタ部230がアルミを基材とする電解コンデンサで形成される場合には、コイル部252のコア材を銅で形成すると、アルミと銅の線膨張係数の差により、パッケージ基板200全体に反りが生じる場合がある。そのため、このような場合には、コイル部252のコア材としてアルミを用いて線膨張係数差を低減することによって、基板全体の反りを抑制することができる。
【0035】
絶縁部254は、たとえば、エポキシ、フェノール、ポリイミドなどの樹脂、あるいは、それらの樹脂とフェライトもしくは珪素鋼などの無機磁性体フィラーとの混合材料で形成される。本実施の形態1のように、負荷300に直流電力を供給するための回路の場合、直流重畳特性の優れた珪素鋼などの金属系磁性材料のフィラーを用いることが好ましい。
【0036】
機磁性体フィラーは、磁気特性を向上させるために、異なる平均粒径を有するフィラーを分散配置させたり、磁気飽和防止のために分散濃度に勾配を持たせるように配置させてもよい。また、磁気特性に方向性を持たせるために、扁平状あるいは鱗片状のフィラーを用いてもよい。無機磁性フィラーとして珪素鋼などの金属系材料を用いる場合には、絶縁性を高めるために、フィラーの周囲を無機系絶縁被膜、有機系絶縁被膜などにより表面絶縁膜を施すようにしてもよい。
【0037】
なお、コイル部252との線膨張係数差の低減、放熱性・絶縁性の向上などの目的のために、磁性材料以外の無機フィラー、有機フィラーが混在されてもよい。
【0038】
絶縁部254の厚みを調整することによってインダクタンスを調整することができる。本実施の形態1の例においては、100μmのコイル部252の上下の絶縁部254をそれぞれ100μmとし、L層250全体の厚みをおよそ300μmとしている。
【0039】
L層250の底面に設けられる樹脂層228の表面には、当該半導体複合装置10をマザー基板(図示せず)に実装するための端子層270が形成される。端子層270には、上述の入力端子IN、出力端子OUT、および接地端子GNDが含まれる。また、端子層270は、C層210に形成される回路層205と同様に、端子の他に回路を構成する配線を含んでもよく、さらに複数の層で構成されてもよい。
【0040】
パッケージ基板200は、システムの薄層化、および負荷300の放熱性等の観点から、一般的には2mm以下の厚みが要求される。本実施の形態1の例においては、樹脂層226および回路層205を含む上部回路層を50μm、C層210を200μm、樹脂層227を20μm、L層を300μm、樹脂層228および端子層270を含む底部端子層を50μmとして、半導体複合装置10全体の厚みを0.6mm程度としている。
【0041】
以上のような構成を有する半導体複合装置10においては、リップルフィルタを構成するインダクタL1およびキャパシタCP1がパッケージ基板200の異なる層で形成されるため、インダクタとキャパシタとが同一層内に形成される従来の構成と比べて、インダクタおよびキャパシタを形成するために使用可能な面積を大きくできる。これにより、装置の小型化を行なう場合に、インダクタンスおよびキャパシタンスを確保しやすくなる。また、
図5および
図6で示したように、パッケージ基板200の実装面に垂直な面からパッケージ基板200を平面視した場合に、C層210におけるキャパシタ部230と、L層250におけるコイル部252とは、異なる層において少なくとも一部が重なるように配置されている。そのため、さらに装置の小型化をすることができる。
【0042】
本実施の形態1の構成においては、ボルテージレギュレータ100および負荷300と、パッケージ基板200内のインダクタL1およびキャパシタCP1との接続、ならびに、インダクタL1とキャパシタCP1との間の接続を、基板上の平面配線を用いることなく、パッケージ基板200を貫通するスルーホール260,262,264を用いて接続している。これによって、接続距離を短くして配線のインピーダンスを低減してパワーロスを低減することができるとともに、基板上の回路面のレイアウトを最小化することができる。したがって、装置の小型化に対する制約をさらに低減することができる。
【0043】
さらに、インダクタL1が形成されるL層250において、コイル部252を磁性材料を含む絶縁部254でモールドすることによって、発生する磁束密度を高めて、インダクタL1のQ値を向上することができる。これにより、インダクタL1による損失を低減することができる。また、磁性材料によって、インダクタL1とキャパシタCP1との間、および、インダクタL1とボルテージレギュレータ100のアクティブ素子との間の磁気結合を低減できるので、磁気結合に伴うノイズ伝搬を抑制することができる。そのため、装置特性をさらに向上させることができる。
【0044】
なお、上記の説明においては、パッケージ基板においてL層の上部にC層を配置する構成であったが、電気的な接続を維持すればL層とC層の順序を反対にしてもよい。
【0045】
また、上記では、チョッパ型の降圧スイッチングレギュレータに適用した例について説明したが、その他の昇降圧回路を含む電力送電ラインをシステム化した半導体複合装置についても、本実施の形態1の特徴を適用可能である。
【0046】
(装置の製造プロセス)
次に、
図7~
図12を用いて、本実施の形態1に従う半導体複合装置10の製造プロセスについて説明する。
図7は、当該製造プロセスの概要を説明するためのフローチャートであり、
図8~
図12は、
図7のフローチャートの各ステップの詳細を説明するための図である。
【0047】
図7を参照して、S100およびS110において、C層210およびL層250がそれぞれ個別に形成される。その後、S120にて、形成されたC層210およびL層250を、樹脂層226,227,228を用いて接合して一体化する。次に、S130にて、一体化されたC層210およびL層250にスルーホールを形成する。その後、実装面に電極および配線のパターンを形成し(S140)、完成したパッケージ基板200に、ボルテージレギュレータ100等の機器を実装する(S150)。
【0048】
図8は、S100におけるC層210の形成プロセスを説明するための図である。
図8(a)を参照して、まず陽極電極232となるアルミニウムの両面をポーラス状に加工し、その表面に酸化被膜を施すことによって多孔質層234を形成する。その後、多孔質層234の表面にCuペーストのような導電性ペーストの硬化膜を形成することによって陰極電極236を形成する。
【0049】
このとき、
図3におけるC層210のように、多孔質層234の一部を、たとえばダイシングプロセス等によって、陽極電極232のアルミニウムが露出するまで削り出し、露出したアルミニウムにCuペーストを焼き付ける。これによって、キャパシタ部230が形成される。
【0050】
その後、スルーホールが形成される部分に、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって貫通孔を形成する。
【0051】
次に、
図8(b)に示されるように、エポキシ、ポリイミド、またはフェノールなどの樹脂や、その樹脂と無機フィラーとの混合材料をキャパシタ部230にラミネート加工し、さらに熱硬化させることによってキャパシタ部230封止し、絶縁部225を形成する。封止処理後、スルーホールとキャパシタ部230の各電極とを接続するための導電部220,240を形成するための導電層212を、メッキ配線加工等によって、絶縁部225の表面に形成する。
【0052】
その後、エッチング等により導電層212を加工して導電部220,240を形成する。そして、当該導電部220,240にレーザ加工等によって、陽極電極232および陰極電極236まで到達する孔を開口し、そこにCu等の導電体を充填することによって、導電部220と陽極電極232とを電気的に接続するとともに、導電部240と陰極電極236とを電気的に接続する(
図8(c))。これによって、C層210が形成される。
【0053】
図9は、S110におけるL層250の形成プロセスを説明するための図である。
図9(a)を参照して、まず、コアとなるCu箔252#の両面に、フォトレジストなどによりパターニングを実施するとともに、フォトレジスト開口部をエッチングすることによってコイル部252を形成する(
図9(b))。
【0054】
その後、フェライトや珪素鋼などの金属磁性体フィラーが分散されたエポキシコンポジットシートを、真空ラミネータ等を用いてコイル部252の表面にラミネート加工し、熱プレス機によって平坦化およびエポキシ層の熱硬化処理を行なうことによって、絶縁部254を形成する(
図9(c))。
【0055】
そして、スルーホールが形成される部分にドリル加工あるいはレーザ加工などによって貫通孔を形成し、当該貫通孔を絶縁性の樹脂265を充填する(
図9(d))。これによって、L層250が形成される。
【0056】
図10は、S120における、C層210とL層250との接合プロセスを説明するための図である。
【0057】
図10(a)を参照して、S100およびS110で形成されたC層210およびL層250の上下面および中間面に、エポキシ、ポリイミドまたはフェノールなどの樹脂、あるいは、その樹脂と無機フィラーからなる混合材料をフィルム状にした樹脂層226,227,228を配置する。その後、積層されたこれらの層を、真空プレス等によって接合および硬化させることによって一体化させて、パッケージ基板200を形成する(
図10(b))。
【0058】
図11は、S130における、スルーホールの形成プロセスを説明するための図である。
【0059】
図11(a)を参照して、各層を一体化してパッケージ基板200を形成後、ドリル加工あるいはレーザ加工によって、スルーホールが形成される部分に貫通孔を形成する。そして、無電解Cuメッキ等により、貫通孔の内部および樹脂層226,228の表面をメタライジングする(
図11(b))。
【0060】
なお、このとき、さらに電解Cuメッキ処理を施して、樹脂層表面の金属層269の厚さを厚くしたり、スルーホール内をCuで充填したりしてもよい。
【0061】
図12は、S140およびS150に対応するプロセスを説明するための図である。
図12(a)を参照して、S140において、フォトレジストを用いて、樹脂層表面の金属層269をパターニングするとともに、エッチングを施して不要なCuを除去することによって、回路層205および端子層270を形成する配線、ランドおよび端子を樹脂層表面に形成する。このとき、機器の実装を容易にするために、ランドおよび端子等の金属表面には、Ni/Auメッキ、Ni/Pb/Auメッキ、あるいはプリフラックス処理などの表面処理が施される。また、機器の表面実装時のはんだ流れを防止するために、最表層部分にソルダーレジスト層を形成するようにしてもよい。
【0062】
このように形成されたパッケージ基板200において、C層210表面の回路層205に、ボルテージレギュレータ100、負荷300および他の電子機器350が実装されることによって、本実施の形態1に従う半導体複合装置10が形成される(
図12(b))。
【0063】
なお、本実施の形態において、「C層210」および「L層250」は、本開示における「第1層」および「第2層」の一例である。
【0064】
[実施の形態2]
実施の形態2においては、実施の形態1で示したパッケージ基板200の構成に加えて、実装面に実装される機器の信号用のグランドラインをスルーホールによって形成する構成について説明する。
【0065】
図13は、実施の形態2に従う半導体複合装置10Aの断面図である。
図13は、実施の形態1の
図4に対応する図であり、マザー基板400上に半導体複合装置10Aが実装された状態を示している。
【0066】
図13を参照して、半導体複合装置10Aに含まれるパッケージ基板200Aには、負荷300を基板上に実装した場合に、負荷300の信号用のグランドラインの端子に接続されるスルーホール266が設けられる。このスルーホール266は、C層210およびL層250に含まれるキャパシタ部230およびコイル部252とは電気的に接続されない状態で、底面の端子層270まで貫通している。そして、はんだバンプ380を介して、マザー基板400のグランドラインに接続される端子410に電気的に接続される。
【0067】
このように、実装された機器のグランドラインを、スルーホール266を経由して最短距離でマザー基板400のグランドラインに接続することによって、グランドを強化でき、ノイズに対する耐性を向上させることができる。また、スルーホールを用いているので、基板上のレイアウトを最小化することができ、小型化に対する影響を低減することができる。
【0068】
なお、
図13においては、負荷300のグランドラインのスルーホールについて説明したが、他の実装機器のグランドラインについても同様の構成としてもよい。
【0069】
[実施の形態3]
実施の形態2においては、スルーホールを介して実装された機器の信号用のグランドラインをマザー基板400のグランドラインに接続する構成について説明したが、機器とマザー基板400との間の信号ラインが必要である場合には、当該信号ラインについてもスルーホールを用いて接続するようにしてもよい。
【0070】
図14は、実施の形態4に従う半導体複合装置10Eの断面図である。
図14を参照して、半導体複合装置10Eに含まれるパッケージ基板200Eには、実装面に配置された負荷300あるいはボルテージレギュレータ100の信号ラインの端子にされるスルーホール267が設けられる。このスルーホール267は、実施の形態2における信号用のグランドライン用のスルーホール266と同様に、C層210およびL層250に含まれるキャパシタ部230およびコイル部252とは電気的に接続されない状態で、底面の端子層270まで貫通している。そして、スルーホール267は、はんだバンプ380および端子410を介して、マザー基板400の実装面に形成された機器(図示せず)のI/O端子に接続するための信号ラインに電気的に接続される。
【0071】
なお、スルーホール267に流れる電流は、キャパシタ部230およびコイル部252と接続される電力用のスルーホール260,262,264に流れる電流よりも小さいため、スルーホール267の内径は、スルーホール260,262,264よりも小さくすることができる。
【0072】
このように、実装された機器とマザー基板400との間で信号をやりとりするための信号ラインが必要である場合に、スルーホール267を経由してこれらを接続することによって最短距離でマザー基板400に接続することができる。また、電力用のスルーホールに比べて信号用のスルーホールを小さくすることによって、基板上のレイアウトを最小化することができ、小型化に対する影響を低減することができる。
【0073】
なお、
図14には、信号ライン用のスルーホール267に加えて、実施の形態2で説明したグランドライン用のスルーホール266も記載されているが、当該スルーホール266がなく信号ライン用のスルーホール267のみが設けられる構成であってもよい。
【0074】
[実施の形態4]
実施の形態4においては、実施の形態1で示したパッケージ基板200の構成に加えて、実装面に実装される各機器の放熱性を高めるために、外部のヒートシンクに接続されるスルーホールを有する構成について説明する。
【0075】
図15は、実施の形態4に従う半導体複合装置10Bの断面図である。
図15は、実施の形態1の
図4に対応する図であり、マザー基板400上に半導体複合装置10Bが実装された状態を示している。
【0076】
図15を参照して、パッケージ基板200Bは、負荷300の端子に接続され、かつ、C層210およびL層250に含まれるキャパシタ部230およびコイル部252とは電気的に接続されないスルーホール268を少なくとも1つ含む。スルーホール268は、負荷300の直下において、負荷300の端子に接続される。また、スルーホール268は、パッケージ基板200Bの底面において、はんだバンプ380を介して、マザー基板400に設けられたヒートシンク450に接続される。
【0077】
ヒートシンク450は、たとえばAlやCuのような、熱伝導率の高い金属で形成される。このように、スルーホール268を介して、負荷300等の実装機器とヒートシンク450とを接続することによって、負荷300で発生する熱を効率的に外部に逃がすことができる。また、スルーホール268によって、パッケージ基板200B内のインダクタ等で発生する熱についても放熱することができる。
【0078】
なお、負荷300以外の実装機器についても、ヒートシンク450に接続するためのスルーホール268を設けるようにしてもよい。また、スルーホール268の数は、
図15に記載されている数に限定されるものではなく、接続される実装機器に必要とされる放熱能力に応じて数を決定するようにしてもよい。
【0079】
[実施の形態5]
実施の形態1~4の例においては、パッケージ基板内にC層およびL層がそれぞれ1層含まれる構成について説明した。
【0080】
しかしながら、半導体複合装置のサイズの制約等によって、実装面の面積が制限される場合があり得る。そのような場合に、特にC層における電極の面積が十分に確保できず、所望のキャパシタンスが得られない状態となる可能性がある。
【0081】
そこで、実施の形態5においては、パッケージ基板内に複数のC層を備えることによって、所望のキャパシタンスを確保する構成について説明する。
【0082】
図16は、実施の形態5に従う半導体複合装置10Cの断面図である。
図16は、実施の形態1の
図4に対応する図である。
図16のパッケージ基板200Cにおいては、キャパシタCP1を構成する層として、C1層210AおよびC2層210Bの2つの層が設けられている。C1層210AおよびC2層210Bの構成については、基本的には実施の形態1のC層210と同様であるため、その詳細については繰り返さないが、C1層210AおよびC2層210Bは、同じスルーホールを共有しており、電気的には出力端子OUTと接地端子GNDとの間に並列に接続されている。これにより、半導体複合装置10Cの高さ方向には若干高くなるものの、パッケージ基板の実装面積を変更することなくキャパシタCP1のキャパシタンスを増加させることができる。
【0083】
なお、
図16においては、C1層210AおよびC2層210BがL層250の上部に配置された構成となっているが、電気的な接続関係が同じであれば各層の順序については特に制限されず、たとえば
図17のパッケージ基板200CAに示されるように、C1層210AとC2層210Bとの間にL層250が配置される構成であってもよい。あるいは、C1層210AおよびC2層210BがL層250の下部に配置される構成であってもよい。
図17のようにC1層210AとC2層210Bとの間にL層250を配置する構成においては、積層方向に上下対称な構造となるため、パッケージ基板全体の反りを抑制することができる。
【0084】
また、
図16の例では、キャパシタンスを増加させるためにC層を複数層設ける構成であったが、インダクタンスを増加する必要がある場合には、L層を複数層設ける構成とすることも可能である。
【0085】
[実施の形態6]
実施の形態5においては、キャパシタンスおよび/またはインダクタンスを増加させるために、C層またはL層を多層化する構成について説明した。
【0086】
一方で、半導体複合装置の高さ方向のサイズが制限されるような場合には、実施の形態4のように多層化を行なえない場合も生じ得る。
【0087】
実施の形態6においては、高さ方向のサイズの制限が厳しい一方で、平面方向についてのサイズの制限がやや緩やかな状態のもとで、キャパシタンスおよび/またはインダクタンスの増加が必要である場合に、複数のC層およびL層を平面的に結合させることによって、所望のキャパシタンスおよびインダクタンスを確保する構成について説明する。
【0088】
図18は実施の形態6に従う半導体複合装置のパッケージ基板200Dの断面図である。
図18のパッケージ基板200Dにおいては、実施の形態1で示したパッケージ基板200に対応する2つのパッケージ基板200D-1,200D-2が、接地端子GNDにつながるスルーホールを共有して、平面方向に結合された構成となっている。
【0089】
このような構成とすることによって、パッケージ基板の実装面積は広くなるものの、高さ方向の寸法を維持しながら、キャパシタンスおよびインダクタンスを増加させることが可能となる。このような構成は、低背化に対する要求が特に厳しい場合に有効となり得る。
【0090】
[実施の形態7]
図13~
図15で示したスルーホール266~268については、パッケージ基板に実装される機器ごとに設けられる場合がある。スルーホールを形成する場合、パッケージ基板内に形成されるコイル、キャパシタおよび配線パターンのような導電体からスルーホールを絶縁するために、スルーホールの周囲を絶縁材料で囲うことが必要となる。そのため、スルーホール266~268をパッケージ基板のあちこちに個別に形成すると、その周囲において絶縁材料が占める部分が多くなってしまう。そのため、パッケージ基板の実装面の面積を低減することが制限されて小型化が阻害されたり、所望のキャパシタンス,インダクタンスが実現できなくなったりする可能性がある。
【0091】
実施の形態7においては、パッケージ基板のメインの電流が流れるスルーホール260,262,264以外の
図13~
図15で説明したようなスルーホール266~268を近接して配置し、共通の絶縁材料で囲う構成について説明する。
【0092】
図19は実施の形態7に従う半導体複合装置10FのC層210の平面図であり、
図20は
図19におけるXIX-XIX線矢印方向から見た断面図である。
【0093】
図19および
図20を参照して、C層210のキャパシタの各電極およびL層250のコイル部252と重ならない部分に、内部が絶縁材料で充填されたビア223が形成されている。そして、信号用のスルーホール266,267が当該ビア223内に形成されている。なお、
図19においては、ビア223内に、スルーホール266,267以外のスルーホールも設けられる例が示されている。
【0094】
このように、実装機器についての信号用のスルーホールを、絶縁材料が充填された共通のビア内に形成することによって、実装面において、スルーホール266~268を形成するために必要となる絶縁材料の割合を低減できるので、小型化を阻害する要因を少なくすることができる。また、共通のビア内について絶縁加工を行なえばよいので、個々のスルーホールについての絶縁加工を行なう場合に比べて、工程を削減することができる。
【0095】
[実施の形態8]
上述の実施の形態1~7においては、ボルテージレギュレータ100および負荷300を実装するための回路層205、および当該半導体複合装置10をマザー基板に実装するための端子層270が、パッケージ基板200の表裏面に1つの層として形成される構成について説明した。
【0096】
実施の形態8においては、当該回路層および/または端子層が多層構成である場合の例について説明する。
【0097】
図21は、実施の形態8に従う半導体複合装置10Gの断面図である。半導体複合装置10Gのパッケージ基板200Gにおいては、C層210においてL層250に面していない側の面に、複数の配線パターンを含む多層構造の回路層205Aが配置されており、回路層205Aの表面に、負荷300および他の電子機器350が実装されている。
【0098】
また、L層の250においてC層210に面していない側の面に、複数の配線パターンを含む多層構造の端子層270Aが配置される。
【0099】
図21のパッケージ基板200Gにおいては、スルーホール262,264,266,267は、C層210およびL層250を貫通しているが、回路層205Aおよび端子層270Aについては貫通していない。すなわち、C層210およびL層250が接合された後にスルーホール262,264,266,267が形成され、その後にC層210の上面に回路層205AおよびL層の下面に端子層270Aが形成される。
【0100】
このように、回路層205Aおよび端子層270Aを多層構造に形成することによって、実装面(回路層205Aの表面)に実装される機器と接続するための配線パターンを、回路層205Aの内部の層に形成して、実装面に形成される配線パターンを削減することが可能となる。したがって、C層210のキャパシタ部230のキャパシタンスおよびL層250のコイル部252のインダクタンスを阻害しない範囲で、実装面の表面積を削減することができるので、単層で回路層および端子層を形成する場合と比べて半導体複合装置を小型化することが可能となる。
【0101】
図22~
図27を用いて、本実施の形態8に従う半導体複合装置10Gの製造プロセスについて説明する。
図22は、当該製造プロセスの概要を説明するためのフローチャートであり、
図23~
図27は、
図22のフローチャートのステップの詳細を説明するための図である。
【0102】
なお、
図22のフローチャートにおいて、ステップS200~S230,S240,S250は、
図7で示したフローチャートにおけるステップS100~S130,S140,S150にそれぞれ対応しており、実質的には実施の形態1で説明した
図7のフローチャートにステップS235が追加されたものとなっている。
【0103】
図22を参照して、S200およびS210において、C層210およびL層250がそれぞれ個別に形成される(
図23(a))。その後、S220にて、形成されたC層210およびL層250は、樹脂層226,227,228を用いて接合して一体化される(
図23(b))。
【0104】
次に、S230にて、一体化されたC層210およびL層250にスルーホールが形成される。より詳細には、まず、
図24(a)に示されるように、接合されたC層210およびL層250においてスルーホールを形成する位置に、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって貫通孔が形成される。そして、無電解Cuメッキ等により、貫通孔の内部をメタライジングすることによってスルーホールが形成される(
図24(b))。
【0105】
その後、S235にて、樹脂層226上に回路層205Aが形成されるとともに、樹脂層228上に端子層270Aが形成される。具体的には、まず、フォトレジストを用いて、樹脂層226,228表面の金属層269をパターニングし、エッチングを施して不要なCuを除去することによって配線パターンが形成される(
図25(a))。そして、その上に樹脂層229Aおよび金属層269Aが配置される(
図25(b))。
【0106】
さらに、金属層269Aをパターニングすることによって配線パターンが形成され(
図26(a))、パターニングされた金属層269Aの上に、さらに樹脂層229Bおよび金属層269Bが配置される(
図26(b))。
【0107】
図25および
図26のような工程を繰り返して、所望の数の配線層が形成されると、S240において、最表面の金属層269Bをパターニングおよびエッチングして、機器の実装および実装基板のはんだバンプとの接続のための電極パターン、ならびに、これらの電極パターン間を接続する配線パターンが形成される。これによって、回路層205Aおよび端子層270Aが形成され、パッケージ基板200Gが完成する(
図27(a))。
【0108】
その後、S250にて、完成したパッケージ基板200Gに、ボルテージレギュレータ100等の機器が実装される(
図27(b))。
【0109】
なお、上記の説明においては、回路層205Aおよび端子層270Aの双方を多層構造とする例について説明したが、回路層205Aおよび端子層270Aのいずれか一方のみを多層構造とするようにしてもよい。また、回路層205Aと端子層270Aとを異なる層数としてもよい。
【0110】
このように、パッケージ基板の表裏面に多層構造の回路層および/または端子層を用いることによって、実装される機器間の配線についての配線幅および配線間ピッチを確保することができるので、実装面の表面積を低減でき、さらなる小型化のニーズに対応することが可能となる。
【0111】
(変形例1)
図28は、実施の形態8で示した多層構造の回路層を有する半導体複合装置の第1の変形例(変形例1)の断面図である。
【0112】
図28を参照して、変形例1に従う半導体複合装置10Hにおいては、パッケージ基板200Hの多層構造の回路層205B内に、ガラスクロスを含有するコア基材280が配置される。
【0113】
パッケージ基板の製造プロセスにおいては、各層を接合する際に圧縮力が加えられるため、当該圧縮力の影響により歪みが生じて、割れなどが生じる可能性がある。特に、回路層においては、C層210の電極232,236あるいはL層250のコイル部252のような剛性のある金属部材が含まれていないため、外力による歪みが生じやすい。そのため、このようなコア基材280を回路層内に配置することにより、回路層の強度を確保することができる。
【0114】
なお、コア基材280の材料は、絶縁性と剛性とを有する材料であればガラスクロスには限定されない。コア基材280の材料として、たとえば、表面に絶縁処理を施した金属部材(たとえば、Cu)を含むメタルコアなどを使用することができる。
【0115】
図29は、
図28の半導体複合装置10Hの製造プロセスを示すフローチャートである。
図29を参照して、S300およびS310において、C層210およびL層250が、それぞれ個別に形成される。さらに、実施の形態8においては、S315において、回路層205Bのコア基材280を含む部分が形成される。ここで、S315においては、回路層205Bのうち、C層210およびL層250とともにスルーホールが形成される部分のみが形成される。
【0116】
その後、S320において、S300,310,315において個別に形成されたC層210,L層250および回路層205Bの一部が、樹脂層を用いて接合される。そして、S330において、一体化されたC層210,L層250および回路層にスルーホールが形成される。
【0117】
スルーホールを形成後、S335にて、必要に応じて、接合された回路層上にさらに樹脂層および金属層を配置して追加の配線層を形成する。なお、
図28のパッケージ基板200Hにおいては、端子層が単層である例が示されているが、実施の形態8の
図21のように、端子層についても多層構造としてもよい。その場合には、S335において、端子層にも追加の配線層が形成される。
【0118】
その後、S340において、回路層205Bおよび端子層270の表面の金属層をパターニングして、電極パターンおよび配線パターンを形成する。これにより、パッケージ基板200Hが完成する。そして、S350にて、完成したパッケージ基板200Hの実装面にボルテージレギュレータ100,負荷300等の機器を実装することにより、半導体複合装置10Hが完成する。
【0119】
(変形例2)
図30は、実施の形態8で示した多層構造の回路層を有する半導体複合装置の第2の変形例(変形例2)の断面図である。
【0120】
図30を参照して、変形例2に従う半導体複合装置10Jにおいては、多層構造の回路層205C内に、ボルテージレギュレータ100の半導体アクティブ素子105が埋め込まれた構成を有している。アクティブ素子105は、外力等による歪みの影響(反り,割れ)を低減するために、変形例1で示したコア基材280が形成される層に配置されることが好ましい。
【0121】
製造プロセスにおいては、変形例1で説明した
図29のステップS315においてコア基材280を含む回路層を形成する際に、コア基材280の一部を除去して、除去された部分にアクティブ素子105が配置される。なお、アクティブ素子105は、小型化の観点から、パッケージ基板200Jを実装面の法線方向から平面視した場合に、負荷300と重なるように配置することが好ましい。
【0122】
このように、ボルテージレギュレータ100のアクティブ素子105を回路層205C内に埋め込むことによって、ボルテージレギュレータ100からL層250およびC層210を通って負荷300へと至る電気経路の距離を短縮できるので、当該電気経路で生じる損失を低減することが可能となる。
【0123】
なお、回路層205C内には、アクティブ素子105だけでなく、ボルテージレギュレータ100の全体が埋め込まれてもよい。
【0124】
[実施の形態9]
実施の形態1~8においては、いずれも、スルーホールがC層210およびL層250の双方を貫通する構成について説明した。
【0125】
実施の形態9においては、パッケージ基板に、C層210およびL層250の双方を貫通するスルーホールに加えて、C層210あるいはL層250の一方のみを貫通するスルーホールが含まれる構成の例について説明する。
【0126】
図31は、実施の形態9に従う半導体複合装置10Kの断面図である。半導体複合装置10Kのパッケージ基板200Kには、C層210と回路層205Dの一部とを貫通しているが、L層250を貫通していないスルーホール267Aが形成されている。このようなスルーホールは、たとえば、回路層に実装されたボルテージレギュレータ100の回路内もしくは入力部にキャパシタが必要になる場合に、L層に対する影響なくC層への接続を行うことを目的として形成される。
【0127】
次に、
図32~
図35を用いて、本実施の形態9に従う半導体複合装置10Kの製造プロセスについて説明する。
図32は、当該製造プロセスの概要を説明するためのフローチャートであり、
図33~
図35は、
図32のフローチャートのステップの詳細を説明するための図である。
【0128】
図32を参照して、S400においてC層210が形成され、S410において回路層205Dのうちの一部である回路層205Eが形成される。そして、S420にて、S400およびS410でそれぞれ形成されたC層210および回路層205Eが、樹脂層292を用いて接合される。また、C層210の回路層205Eに対向する面とは反対の面に樹脂層291を介して金属層269Cが形成され、回路層205EのC層210に対向する面とは反対の面に樹脂層293を介して金属層269Cが形成される(
図33(a))。
【0129】
その後、S430にて、一体化されたC層210および回路層205Eにスルーホール267Aが形成される。具体的には、スルーホール267Aが形成される位置に、ドリル加工あるいはレーザ加工などによって貫通孔が形成される(
図33(b))。そして、無電解Cuメッキ等により貫通孔の内部をメタライジングすることによって、スルーホール267Aが形成される(
図33(c))。なお、
図33(c)においては、樹脂層291,293の表面の金属層269Cがエッチングされて、配線パターンが形成されている。
【0130】
C層210および回路層205Eを貫通するスルーホール267Aが形成されると、次に、S440にてL層250が個別に形成され(
図34(a))、S450にて当該L層250が樹脂層227を用いてC層210に接合される(
図34(b))。また、L層250のC層210に対向する面とは反対の面に、樹脂層228を介して金属層269が配置される。回路層205Eの表面には、樹脂層294を介して金属層269が配置される。
【0131】
その後、S460にて一体化された回路層205E、C層210およびL層250を貫通するスルーホールが形成されるとともに、S470にて表面の金属層269をエッチングして電極パターンあるいは配線パターンが形成される(
図35(a),(b))。これによりパッケージ基板200Kが完成する。なお、
図35には示されていないが、回路層についてはさらに多くの配線層を形成してもよい。また、端子層270についても多層構造としてもよい。
【0132】
そして、S480にて、回路層205Dの実装面に負荷300等の機器が実装されて、半導体複合装置10Kが形成される。
【0133】
なお、上記の例においては、C層210を貫通するがL層250を貫通していないスルーホール267Aが形成される構成について説明したが、回路構成によっては、逆にC層210は貫通しないがL層250を貫通するスルーホールを形成してもよい。この場合には、L層250を形成後にスルーホールを形成し、その後C層210と接合してさらにスルーホールを形成するプロセスとなる。
【0134】
[実施の形態10]
(実施例1)
上述の半導体複合装置においては、ボルテージレギュレータからの電力が、パッケージ基板のスルーホールを経由して負荷に供給される。半導体複合装置の効率をさらに向上させるためには、ボルテージレギュレータから負荷に至るまでの等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance:ESR)を低下させることが必要となる。ESRを低減させる1つの手法として、スルーホールにおける抵抗値を低減することが考えられる。
【0135】
パッケージ基板に形成されるスルーホールは、その内面が金属などの導電材料によってメタライズされている。スルーホールにおけるメタライズ層の厚みを厚くすることで、スルーホールの抵抗値を低減させることが可能である。
【0136】
スルーホールの抵抗値を低減させるために、理想的にはスルーホールの内孔をCu等の金属で充填することが望ましいが、一般的に、底のない貫通孔をメッキ処理により金属を充填することは技術的に困難であることが知られており、さらに、金属を充填するまでメッキ処理を行なうには長い処理時間が必要となる。
【0137】
スルーホールのメタライズは、上述のようにCu等によるメッキ処理によって行なわれるが、
図11等で説明したように、スルーホールをメタライズする際には、パッケージ基板の表面の配線を形成するための金属層(金属配線層)も同時に形成される。そのため、スルーホールのメタライズ層の厚みを厚くすると、パッケージ基板表面に形成される金属配線層の厚みも厚くなる。
【0138】
一方で、金属配線層において微細な配線を形成するためには、金属配線層の厚みを薄くすることが好ましく、金属配線層の厚みが厚くなることで、配線と、配線同士の間隔との比率であるL/S(Line and Space)の悪化が懸念される。
【0139】
そこで、本実施の形態10においては、スルーホールのメタライズ層の厚みを厚くする一方で、パッケージ基板表面に形成される金属配線層の厚みを薄くする構成を採用する。これにより、スルーホールの抵抗値を低減するとともに、パッケージ基板表面に形成される金属配線の微細化が可能となる。
【0140】
ただし、この場合、スルーホール内面のメタライズ層とパッケージ基板表面の金属配線層とは、スルーホールの端部(接続部分)において接続された状態となる。このような接続部分において導電部材の厚みが異なると、当該接続部分において電流密度が集中したり、誘電体基板との線膨張率の違いによる熱応力が集中したりすることによって断線等の不具合が生じる可能性がある。
【0141】
そのため、実施の形態10においては、さらに、メタライズ層と金属配線層とが接続される接続部分の厚みを、金属配線層の厚みよりも厚くする。これにより、接続部分における品質不具合の発生を抑制することができる。
【0142】
図36を用いて、実施の形態10の実施例1に従う半導体複合装置におけるスルーホールのメッキ工程について説明する。なお、
図36および後述する
図37,
図38においては、スルーホールの部分のみに着目して説明を行なうため、スルーホール以外の構成については記載が省略されている場合がある。
【0143】
図36を参照して、
図11(a)および
図24(a)で説明したように、ドリル加工等によってパッケージ基板200に貫通孔が形成されると(
図36(a))、次に、貫通孔の内部およびパッケージ基板200の表面を無電解Cuメッキ等によりメタライジングして、メタライズ層290および金属配線層295を形成する(
図36(b))。このとき、Cuのメッキ層の厚みは、スルーホール260の内面に形成すべきメタライズ層290の厚みに適した厚みとされる。したがって、この段階においては、パッケージ基板200の表面に形成される金属配線層295としては、所望の厚みよりも厚く形成されることになる。
【0144】
Cuメッキ処理が行なわれた後、スルーホール260の内部の空間に、印刷法などにより樹脂296が充填される(
図36(c))。このとき、スルーホール260の近傍の金属配線層295の一部についても樹脂296により覆われるようにする。
【0145】
その後、金属配線層295に対してウェットエッチングを施して、金属配線層295を所望の厚さまで薄くする(
図36(d))。このとき、樹脂296に覆われている部分については、エッチングされずにメッキ層の厚みが維持される。したがって、金属配線層295の厚みよりもメタライズ層290の厚みのほうが厚くなる。
【0146】
エッチング処理後、バフロール研磨等の処理により、樹脂296の不要な部分が除去される(
図36(e))。
【0147】
このように、金属配線層295の厚みよりもメタライズ層290の厚みを厚くすることによって、スルーホール260の導通抵抗を低減するとともに、金属配線層295の加工性を良くすることができる。
【0148】
なお、金属配線層295においても、スルーホール260の近傍の部分については、樹脂296のためにエッチングがされずにメッキ層の厚みが維持される。これにより、メタライズ層290と金属配線層295との境界部分(接続部分)のメッキ層の厚みを厚くできるので、熱応力等による不具合を抑制することが可能となる。
【0149】
(実施例2)
実施例1においては、最初のメッキ処理において、メタライズ層に適した厚みにメッキ層を形成し、その後、エッチング処理によって金属配線層の厚みを低減する例について説明した。
【0150】
実施例2においては、逆に、最初のメッキ処理において、金属配線層に適した厚みにメッキ層を形成し、その後、スルーホールのメタライズ層の厚みを増加させる例について説明する。
【0151】
図37は、実施の形態10の実施例2に従う半導体複合装置におけるスルーホールのメッキ工程を説明するための図である。
図37を参照して、パッケージ基板200に貫通孔が形成されると(
図37(a))、次に、貫通孔の内部およびパッケージ基板200の表面を無電解Cuメッキ等によりメタライジングして、メタライズ層290および金属配線層295を形成する(
図37(b))。Cuのメッキ層の厚みは、金属配線層295に適した厚みとされる。
【0152】
メッキ処理後、金属配線層295の表面に、フォトリソグラフィによりレジストマスク297を形成する(
図37(c))。なお、このとき、金属配線層295におけるスルーホール260の近傍部分については、レジストマスク297を形成しないようにする。
【0153】
その後、電解Cuメッキ処理によって、スルーホール260の内面、および、金属配線層295においてレジストマスク297が形成されていない部分に、追加的にメッキ処理が行なわれる(
図37(d))。これによって、レジストマスク297が形成されていない部分については、レジストマスク297が形成されている部分よりもCuメッキ層の厚みが厚くなる。なお、スルーホール260内のメタライズ層290は、金属配線層295の厚みよりも厚ければ、不均一な厚みであってもよく、たとえば、
図37(d)のようにスルーホール260の貫通方向の中央部の厚みが、端部に比べて厚くなっていてもよい。
【0154】
追加的なメッキ処理が完了すると、有機剥離等の手法によって、レジストマスク297が除去される。その後、実施例1と同様に、スルーホール260の内部に樹脂296が充填されるとともに(
図37(e))、バフロール研磨等の処理により、樹脂296の不要な部分が除去される(
図37(f))。
【0155】
このようなプロセスにおいても、金属配線層295の厚みよりもメタライズ層290の厚みを厚くすることができ、さらに接続部分のメッキ層の厚みも厚くすることができる。
【0156】
(実施例3)
実施例1および実施例2においては、スルーホール260の端部とパッケージ基板200の表面とがほぼ直角となる形状であったが、このような形状は、電流密度や熱応力は集中しやすい傾向にある。
【0157】
そこで、実施例3においては、スルーホール260の端部に面取りを施すことによって角度を緩やかにし、電流密度あるいは熱応力の集中を緩和させる構成とする。
【0158】
図38は、実施の形態10の実施例3に従うスルーホールの部分を説明するための図である。
図38を参照して、実施例3においては、パッケージ基板200に貫通孔が形成されると、ショットブラストあるいはリーマ加工により、貫通孔の端部の部分に面取りが施される。
【0159】
その後は、実施例1あるいは実施例2と同様のプロセスによって、スルーホールのメタライズ層290および金属配線層295が形成される。
図38においては、
図36の実施例1と同様に、金属配線層295をエッチングにより薄くする場合の例が示されている。
【0160】
このようにすることによって、スルーホールの抵抗値を低減するとともに、スルーホールと金属配線層との境界部分における電流密度あるいは熱応力の集中を緩和させることが可能となる。
【0161】
なお、実施の形態10の実施例1~実施例3については、パッケージ基板に形成されたすべてのスルーホールに対して適用してもよいし、一部の(少なくとも1つの)スルーホールに適用してもよい。
【0162】
本実施の形態における半導体複合装置のパッケージ基板は、上述のように、キャパシタが形成されるC層とインダクタが形成されるL層とが積層された構成となっている。このような積層構造において、C層全体としての線膨張係数とL層全体としての線膨張係数とが異なると、製造プロセスの際などの温度変化によってパッケージ基板に反りが生じ得る。また、C層およびL層の各層においても、各層の構造によって層単体でも反りが生じる場合がある。
【0163】
以下の実施の形態11~14においては、パッケージ基板の反りを抑制するための構成について説明する。
【0164】
[実施の形態11]
実施の形態1において説明したように、C層210におけるキャパシタ部230を形成する陽極電極232および多孔質層234は、たとえばアルミ(Al)を主成分として形成される。一方で、L層250においてインダクタL1を形成するコイル部252は、たとえば銅(Cu)を主成分として形成される。
【0165】
パッケージ基板の製造プロセスにおいて、加熱プレスによってC層210とL層250とを接合する場合がある。一般的に、アルミの線膨張係数は銅の線膨張係数よりも大きいため、アルミを主成分とするC層210のほうが銅を主成分とするL層250よりも冷却過程での収縮量が大きくなる。このような収縮量の違いによって、パッケージ基板の反りや、プレス工程における割れ等が生じるおそれがある。
【0166】
そこで、実施の形態11においては、アルミよりも線膨張係数が小さいコア基材をC層の内部に配置することによってC層の収縮を低減し、基板の反りおよび割れ等を抑制する。
【0167】
図39および
図40は、それぞれ実施の形態11に従う半導体基板におけるC層210Cの平面図および断面図である。
図39および
図40を参照して、C層210Cにおいては、
図5で示したC層210のキャパシタ部230の周囲を取り囲むようにコア基材245が配置された構成となっている。
【0168】
コア基材245は、たとえば、エポキシ等の樹脂にガラスクロスを含有させた材料で形成されており、その線膨張係数はアルミよりも小さい。コア基材245の線膨張係数は、L層250の主成分である銅の線膨張係数に近くすることがより好ましい。このようなコア基材245をC層210C内部に配置することによって、C層210C自体の強度を向上することができるとともに、L層250との線膨張係数差が小さくなることで製造プロセスにおけるパッケージ基板の反りあるいは割れ等を抑制することができる。
【0169】
なお、C層210Cについては、概略的に以下のようなプロセスによって形成される。まず、略矩形形状を有する平板状のコア基材245の内側を除去して枠形状とし、その枠内に実施の形態1の
図8(a)で示したキャパシタ部230を配置する。そして、コア基材245およびキャパシタ部230を一括してエポキシ等の樹脂(絶縁部225)により封止処理を行なう。その後は、実施の形態1の
図8(b),(c)で示したプロセスに従って導電部220,240を形成することによって、C層210Cが形成される。
【0170】
(コア基材の変形例)
図39および
図40においては、コア基材が、その表面および裏面ともに略平坦な形状を有する場合の例について説明した。以下の実施の形態12,13でも後述するように、C層の構造上、C層の表面側と裏面側とにおいても線膨張係数が異なる場合がある。そうすると、製造プロセスにおいて、C層単体でも反りが生じる場合がある。
【0171】
以下の変形例においては、コア基材の表面と裏面の構造を異ならせることによって、C層の表面側および裏面側の線膨張係数を調整する構成について説明する。
【0172】
(変形例1)
図41は、
図39のコア基材254の第1の変形例(変形例1)を示す図である。変形例1においては、コア基材245の表面および/または裏面に、銅を含む金属層を形成されており、それによって、C層の表面側および裏面側の線膨張係数を調整する。
図41の例においては、コア基材245の一方の面(表面)にはメッシュ形状のパターンを有する金属層247が形成されており、他方の面(裏面)には全体に金属層246が形成されている。このように、コア基材245の表裏面における金属層の量を調整することによって、C層の表面側および裏面側の線膨張係数を調整することができる。
【0173】
なお、
図41においては、コア基材245の表面および裏面の双方に金属層が設けられる例について説明したが、表面および裏面のいずれか一方の面のみに金属層が設けられる場合であってもよい。すなわち、コア基材245の表面および裏面の少なくとも一方に金属層が設けられていればよい。また、金属層の態様についても、任意の形状を用いることができ、たとえば双方の面の金属層をメッシュ形状としてもよい。
【0174】
(変形例2)
図42は、
図39のコア基材の第2の変形例(変形例2)を示す図である。変形例2に従うコア基材245Aにおいては、コア基材245Aの一方の面に凹部248を形成することによってC層の表面側および裏面側の線膨張係数を調整する。なお、
図42においては、コア基材245Aの一方の面のみに凹部248が形成されているが、表面側および裏面側の双方の面に凹部248が形成されていてもよい。その場合には、表面側と裏面側とで、凹部248の形状あるいは個数を変更することによって、表面側および裏面側の線膨張係数を調整する。
【0175】
(変形例3)
図43は、
図39のコア基材の第3の変形例(変形例3)を示す図である。変形例3のコア基材245Bは、変形例1の金属層と変形例2と凹部を組み合わせた構成である。すなわち、コア基材245Bにおいては、一方の面に金属層247が設けられ、他方の面に凹部248が形成された構成となっている。
【0176】
[実施の形態12]
図44は、実施の形態12に従う半導体複合装置におけるC層210Dの断面図である。C層210Dにおいては、キャパシタ部230は2つの異なる絶縁材料によって覆われる構成を有している。
【0177】
図44を参照して、キャパシタ部230に接触する部分については絶縁部249(第1絶縁部材)が配置されており、絶縁部249を取り囲むように絶縁部225(第2絶縁部材)が配置されている。絶縁部249は、絶縁部225と同様に、エポキシ、フェノール、ポリイミドなどの樹脂、あるいは、それら樹脂とシリカまたはアルミナなどの無機フィラーとで構成されるが、絶縁部225とは異なる線膨張係数を有している。
【0178】
詳細には、キャパシタ部230の線膨張係数と絶縁部249の線膨張係数との間の差が、キャパシタ部230の線膨張係数と絶縁部225の線膨張係数との間の差よりも小さくなるように、絶縁部249の材料が選択される。好ましくは、絶縁部249の線膨張係数は、キャパシタ部230の線膨張係数と絶縁部225の線膨張係数との間の値となるようにする。
【0179】
このように、キャパシタ部230との線膨張係数差がより小さい絶縁部249をキャパシタ部230の周囲に配置することで、製造プロセスにおける加熱処理時にキャパシタ部230に加わる応力を緩和し、C層210Dの反りを抑制する。これによって、パッケージ基板全体の変形および割れを抑制することができる。
【0180】
[実施の形態13]
図45は、実施の形態13に従う半導体複合装置10Lのパッケージ基板200Lの断面図である。パッケージ基板200Lは、実施の形態6で説明したパッケージ基板200Dと類似した構成を有しており、2つのパッケージ基板200L-1,200L-2が、出力端子OUTにつながるスルーホールを共有して、平面方向に結合された構成となっている。
【0181】
図45の断面図において、パッケージ基板200L-1,200L-2のC層については、陽極電極232に接続されるビア222および導電部220が示されている。パッケージ基板200L-1のC層においては、ビア222および導電部220は、キャパシタ部230に対して実装面側(表面側)に配置されている。一方、パッケージ基板200L-2のC層においては、ビア222および導電部220は、キャパシタ部230に対して実装面とは反対側(裏面側)に配置されている。言い換えれば、パッケージ基板200L-1のC層とパッケージ基板200L-2のC層とは、互いに積層方向に反転した構成となるように配置されている。
【0182】
パッケージ基板200L-1,200L-2の各C層においては、陽極電極232に接続される導電部材(導電部220,ビア222)が、C層の一方の面側のみに形成されているため、積層方向には非対称の構成となっている。このため、C層の表面側と裏面側とで線膨張係数が異なり、製造プロセスの際の温度変化によって基板に反りが生じる可能性がある。
【0183】
実施の形態13におけるパッケージ基板200Lでは、隣り合う2つのパッケージ基板200L-1,200L-2において、C層が互いに積層方向に反転した構成に配置されている。これにより、パッケージ基板200L-1の反り方向と、パッケージ基板200L-2の反り方向とが互いに逆方向となるため、C層全体としての変形が抑制される。したがって、
図45に示すようなC層の構成とすることによって、パッケージ基板200Lの反りを抑制することができる。
【0184】
[実施の形態14]
図46は、実施の形態14に従う半導体複合装置10Mのパッケージ基板200Mの断面図である。パッケージ基板200Mにおいては、実施の形態5で説明したパッケージ基板100Cと同様に、キャパシタCP1としてC1層210EとC2層210Fが設けられている。パッケージ基板200Mにおいては、実装面側からC1層210E、C2層210F、L層250の順に積層されている。
【0185】
図46の断面図においては、C1層210EおよびC2層210Fの陽極電極232に接続されるビア222および導電部220が示されている。C1層210Eにおいては、ビア222および導電部220は、キャパシタ部230に対して実装面側に配置されている。一方、C2層210Fにおいては、ビア222および導電部220は、キャパシタ部230に対して実装面とは反対側に配置されている。言い換えれば、C1層210EとC2層210Fとは、互いに積層方向に反転した構成となるように配置されている。
【0186】
実施の形態13でも述べたように、C層においては、C層の表面側と裏面側とで線膨張係数が異なり、製造プロセスの際の温度変化によって基板に反りが生じる可能性がある。
【0187】
実施の形態14におけるパッケージ基板200Mでは、キャパシタCP1を2つのC層210E,210Fで形成し、2つのC層が互いに積層方向に反転した構成となるように配置されている。これにより、C層210Eにおける反り方向とC層210Fにおける反り方向が互いに逆方向となるため、C層全体としての変形が抑制される。したがって、
図45に示すようなC層の構成とすることによって、パッケージ基板200Mの反りを抑制することができる。
【0188】
なお、
図47のように、C1層210EとC2層210Fとの積層順が逆になっている構成であってもよい。
【0189】
実施の形態14においては、C1層210Eが本開示における「第1層」に対応し、L層250が本開示における「第2層」に対応し、C層210Fが本開示における「第3層」に対応する。
【0190】
なお、上述の実施の形態の説明においては、半導体複合装置が、ボルテージレギュレータ、パッケージ基板および負荷を有する構成について説明したが、本実施の形態のパッケージ基板の構成を含んでいれば、ボルテージレギュレータとパッケージ基板のみを含む構成、および、パッケージ基板と負荷のみを含む構成の半導体複合装置についても適用可能である。
【0191】
また、上記の説明では、C層210とL層250との配置について、負荷等が実装される実装面に近い側にC層210が配置される構成について説明したが、L層250をC層210よりも実装面に近い側に配置してもよい。
【0192】
本実施の形態における「スルーホール266~268」の各々は本開示における「第3スルーホール導体」の一例である。
【0193】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0194】
10,10A~10H,10J~10N,10CA 半導体複合装置、100 ボルテージレギュレータ、105 アクティブ素子、120,380 はんだバンプ、200,200A~200H,200J~200N,200CA パッケージ基板、205,205A~205E 回路層、210,210A~210F C層、250 L層、212 導電層、220,240 導電部、222,223,242 ビア、225,249,254 絶縁部、226~229,229A,229B,291~294 樹脂層、230 キャパシタ部、232 陽極電極、234 多孔質層、235 切欠部、236 陰極電極、245,245A,245B,280 コア基材、246,247,269,269A~269C 金属層、252 コイル部、252# Cu箔、260,262,264,266,267,267A,268 スルーホール、265,296 樹脂、270,270A 端子層、290 メタライズ層、295 金属配線層、297 レジストマスク、300 負荷、350 電子機器、400 マザー基板、410 端子、450 ヒートシンク、CP1 キャパシタ、GND 接地端子、IN 入力端子、L1 インダクタ、OUT 出力端子。