(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001932
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】自動取引装置、自動取引プログラムおよび自動取引方法
(51)【国際特許分類】
G07D 11/00 20190101AFI20231228BHJP
G06Q 40/02 20230101ALI20231228BHJP
【FI】
G07D11/00
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100808
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 勝
【テーマコード(参考)】
3E141
5L055
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA08
3E141CA14
5L055BB08
(57)【要約】
【課題】口座間の取引を簡便にすることができる。
【解決手段】自動取引装置10は、第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、現金保持装置へ現金を放出し、第1口座の残高を減額する。そして、自動取引装置10は、現金保持装置から現金を取り込み、第2口座の残高を増額する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金の放出と取込みとをする現金処理部と、
第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、前記現金処理部に現金保持装置へ現金を放出させ、前記第1口座の残高を減額し、前記現金処理部に前記現金保持装置から現金を取り込ませ、前記第2口座の残高を増額する制御部と、
を有する自動取引装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記出金取引に続く前記入金取引を受け付けた場合、前記現金処理部に、開閉部が開いた状態で利用者が現金を出し入れ可能であり、前記開閉部が閉じた状態で前記利用者が現金を出し入れ不可能である前記現金保持装置へ、前記開閉部が閉じた状態で現金を放出させる、
請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記出金取引の出金額と前記入金取引の入金額とが異なる場合、前記現金処理部に前記現金保持装置へ現金を放出させ、前記開閉部が開いた状態で前記現金保持装置の現金が補充または取出しをされてから、前記現金処理部に前記現金保持装置から現金を取り込ませる、
請求項2記載の自動取引装置。
【請求項4】
自動取引装置に、
第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、現金の放出と取込みとをする現金処理部に現金保持装置へ現金を放出させ、
前記第1口座の残高を減額し、
前記現金処理部に前記現金保持装置から現金を取り込ませ、
前記第2口座の残高を増額する、
処理を実行させる自動取引プログラム。
【請求項5】
自動取引装置が、
第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、現金保持装置へ現金を放出し、
前記第1口座の残高を減額し、
前記現金保持装置から現金を取り込み、
前記第2口座の残高を増額する、
自動取引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、自動取引プログラムおよび自動取引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行口座を持っている利用者は、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)を用いて取引ができる。利用者は、ATMを操作することで、銀行口座への入金および出金をすることができる。
【0003】
ATMに関する技術としては、例えば、簡単に振込取引を行うことができる自動振込装置が提案されている。また、例えば、顧客が取引の途中で自動取引装置の前から離れてしまった場合でも、他人に現金を持ち去られるという危険を回避する自動取引装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-261137号公報
【特許文献2】特開2002-260071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある銀行口座から別の銀行口座に資金を移動する場合、例えば、利用者は、ATMで移動元の銀行口座から出金し、出金した現金を取り出してから、取り出した現金をATMに投入して移動先の銀行口座に入金する。このように、現金の取り出しなどの操作があると取引が煩雑となる。
【0006】
1つの側面では、本件は、口座間の取引を簡便にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、現金処理部と制御部とを有する自動取引装置が提供される。現金処理部は、現金の放出と取込みとをする。制御部は、第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、現金処理部に現金保持装置へ現金を放出させ、第1口座の残高を減額し、現金処理部に現金保持装置から現金を取り込ませ、第2口座の残高を増額する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、口座間の取引を簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る自動取引装置の一例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図3】ATMのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図7】入出金処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】ATMの表示画面の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係る自動取引装置の一例を示す図である。第1の実施の形態は、自動取引装置10が取引を受け付けるものである。自動取引装置10は、ユーザの操作に従って金融取引を実行する装置である。自動取引装置10は、例えば、金融機関等に設置されたATMである。
【0012】
自動取引装置10は、現金処理部11および制御部12を有する。現金処理部11は、現金の放出と取込みとをする。現金処理部11は、例えば、自動取引装置10が有する硬貨処理ユニットおよび紙幣処理ユニットである。制御部12は、自動取引装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。制御部12は、例えば、自動取引装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。
【0013】
また、自動取引装置10には、現金保持装置1が設置されている。現金保持装置1は、内部に現金を格納可能な装置である。現金保持装置1は、例えば、現金処理部11が現金を放出と取込みとをする入出金口の上部に設置され、入出金口からの現金の取込みと入出金口への現金の放出とをする。
【0014】
現金保持装置1は、開閉部1aを有する。現金保持装置1は、開閉部1aが開いた状態で利用者が現金を出し入れ可能であり、開閉部1aが閉じた状態で利用者が現金を出し入れ不可能である。例えば、開閉部1aは、入出金口と接する側と反対側に設けられる。制御部12は、第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、以下の処理を実行する。
【0015】
制御部12は、現金処理部11に現金保持装置1へ現金を放出させる。ここで、制御部12は、現金処理部11に、開閉部1aが閉じた状態で現金保持装置1へ現金を放出させる。例えば、制御部12は、現金処理部11に入出金口から出金取引の出金額の現金を放出させる。制御部12は、現金保持装置1を制御して、現金処理部11が放出した現金を現金保持装置1内に取り込ませる。なお、現金保持装置1は、センサ等で入出金口から放出される現金を検知し、自動で現金保持装置1内に取り込んでもよい。
【0016】
また、制御部12は、第1口座の残高を減額する。例えば、制御部12は、第1口座の残高を管理するサーバにアクセスし、出金取引の出金額を第1口座の残高から減額するよう依頼する。
【0017】
次に、制御部12は、現金処理部11に現金保持装置1から現金を取り込ませる。例えば、制御部12は、現金保持装置1を制御して、現金保持装置1内の現金を入出金口に放出させる。制御部12は、現金処理部11に入出金口から現金保持装置1内の現金を取り込ませる。
【0018】
なお、制御部12は、出金取引の出金額と入金取引の入金額とが異なる場合、開閉部1aが開いた状態で現金保持装置1の現金が補充または取出しをされてから、現金処理部11に現金保持装置1から現金を取り込ませる。例えば、制御部12は、出金取引の出金額と入金取引の入金額とが異なる場合、現金保持装置1を制御して開閉部1aを開いた状態にし、出金取引の出金額と入金取引の入金額との差額が補充または取出しをされるまで待機する。そして、制御部12は、現金が補充または取出しをされてから、現金処理部11に現金保持装置1から現金を取り込ませる。
【0019】
また、制御部12は、第2口座の残高を増額する。例えば、制御部12は、第2口座の残高を管理するサーバにアクセスし、入金取引の入金額だけ第2口座の残高を増額するよう依頼する。
【0020】
第1の実施の形態によれば、現金処理部11は、現金の放出と取込みとをする。制御部12は、第1口座からの出金取引に続く第2口座への入金取引を受け付けた場合、現金処理部11に現金保持装置1へ現金を放出させ、第1口座の残高を減額し、現金処理部11に現金保持装置1から現金を取り込ませ、第2口座の残高を増額する。
【0021】
これにより、自動取引装置10は、出金取引と入金取引との間に現金を取り出さなくても、口座間で資金を移動する取引を実行できる。よって、自動取引装置10は、口座間の取引を簡便にすることができる。
【0022】
また、現金保持装置1は、開閉部1aが開いた状態で利用者が現金を出し入れ可能であり、開閉部1aが閉じた状態で利用者が現金を出し入れ不可能である。制御部12は、出金取引に続く入金取引を受け付けた場合、現金処理部11に、現金保持装置1へ、開閉部1aが閉じた状態で現金を放出させる。これにより、自動取引装置10は、取引時の防犯効果を向上できる。
【0023】
また、制御部12は、出金取引の出金額と入金取引の入金額とが異なる場合、現金処理部11に現金保持装置1へ現金を放出させ、開閉部1aが開いた状態で現金保持装置1の現金が補充または取出しをされてから、現金処理部11に現金保持装置1から現金を取り込ませる。これにより、自動取引装置10は、利用者が手元の現金を加えて入金する場合や出金した現金の一部を手元に残す場合でも、適切に取引を実行できる。
【0024】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、ATMを操作して入出金するものである。
【0025】
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理システムは、ATM100およびホストサーバ21,22を有する。ATM100は、利用者による入力操作をタッチパネルから受け付け、受け付けた入力に基づいて、入金、出金等の取引を実行する装置である。
【0026】
ATM100は、ネットワーク20を介してホストサーバ21,22に接続されている。ネットワーク20は、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。また、ネットワーク20は、専用回線であってもよい。ホストサーバ21は、銀行Aの口座を管理するためのサーバコンピュータである。ホストサーバ21は、ATM100から銀行Aの口座についての取引内容を取得し、取得した取引内容に基づいて口座の情報を更新する。ホストサーバ22は、銀行Bの口座を管理するためのサーバコンピュータである。ホストサーバ22は、ATM100から銀行Bの口座についての取引内容を取得し、取得した取引内容に基づいて口座の情報を更新する。
【0027】
図3は、ATMのハードウェアの一構成例を示す図である。ATM100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス108を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0028】
メモリ102は、ATM100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0029】
バス108に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、ネットワークインタフェース104、表示処理ユニット105、タッチパネル処理ユニット106およびI/O(Input/Output)インタフェース107がある。
【0030】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、ATM100の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および取引履歴情報等を含む各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0031】
ネットワークインタフェース104は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース104は、ネットワーク20を介して、ホストサーバ30との間でデータの送受信を行う。
【0032】
表示処理ユニット105には、ディスプレイ111が接続される。表示処理ユニット105は、プロセッサ101からの命令に従って、操作案内等の各種情報をディスプレイ111の画面に表示させる。ディスプレイ111としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0033】
タッチパネル処理ユニット106には、タッチパネル112が接続される。タッチパネル112は、例えば、ディスプレイ111の前面に配置される。タッチパネル処理ユニット106は、利用者の指がタッチパネル112に接触あるいは接近した画面上の位置を検出し、プロセッサ101に通知する。
【0034】
I/Oインタフェース107には、カード処理ユニット113、通帳処理ユニット114、硬貨処理ユニット115、紙幣処理ユニット116および現金保持装置117が接続される。I/Oインタフェース107は、プロセッサ101の命令に従って、接続する各部にプロセッサ101からの指示を通知する。また、I/Oインタフェース107は、各部から取得した情報をバス108経由でプロセッサ101に通知する。
【0035】
カード処理ユニット113は、カードの取り込みおよび放出を制御する。カード処理ユニット113は、取り込んだカードに付された磁気で記録された情報(口座番号等)を読み込む。
【0036】
通帳処理ユニット114は、通帳の取り込みと放出を制御する。また、通帳処理ユニット114は、取り込んだ通帳に付された磁気で記録された情報(口座番号等)を読み込む。また、通帳処理ユニット114は、通帳に印字を行う機能も備えており、通帳の記帳が可能である。
【0037】
硬貨処理ユニット115は、プロセッサ101の指示に従って硬貨の放出および取込みと、硬貨の出入口の扉の開閉とを制御する。紙幣処理ユニット116は、プロセッサ101の指示に従って紙幣の放出および取込みと、紙幣の出入口の扉の開閉とを制御する。紙幣処理ユニット116は、紙幣の種別および記番号を読み取る機能を備える。紙幣処理ユニット116は、入出金の際に出し入れした紙幣の記番号を読み取り、プロセッサ101に出力する。
【0038】
現金保持装置117は、内部に現金を格納可能な装置である。現金保持装置117は、開閉部を有し、開いた状態の開閉部から内部の現金を出し入れ可能であり、閉じた状態では、開閉部から内部の現金を出し入れ不可能である。現金保持装置117は、開閉部の反対側の面において、通帳処理ユニット114および硬貨処理ユニット115が現金を放出と取込みとをする入出金口からの現金の取込みと、入出金口への現金の放出とをする。
【0039】
また、I/Oインタフェース107は、可搬型記録媒体31からデータを読み込みまたは、可搬型記録媒体31にデータを書き込むことができる。可搬型記録媒体31は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)やCD(Compact Disc)等の記録媒体である。可搬型記録媒体31は、取引履歴情報等を格納できる。
【0040】
なお、第1の実施の形態に示した自動取引装置10も、
図3に示したATM100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、プロセッサ101は、第1の実施の形態に示した制御部12の一例である。また、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116は、第1の実施の形態に示した現金処理部11の一例である。
【0041】
ATM100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。ATM100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、ATM100に実行させるプログラムを、ストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またATM100に実行させるプログラムを、可搬型記録媒体31に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体31に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体31から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0042】
次に、ATM100の外観について説明する。
図4は、ATMの外観の一例を示す図である。ATM100は、水平な第1面と利用者の正面に配置される第2面とを有する。第1面には、ディスプレイ111、タッチパネル112および入出金口43が配置される。また、現金保持装置117が入出金口43の上部に設置されている。ディスプレイ111は、ATM100の操作画面を表示する。タッチパネル112は、ディスプレイ111の前面に配置される。タッチパネル112は、ディスプレイ111が表示した画面に対する利用者のタッチ操作を検知する。これにより、ディスプレイ111およびタッチパネル112は、ATM100による取引操作の案内と利用者からの指示の受付とを行う。
【0043】
入出金口43は、利用者による硬貨および紙幣の投入と、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116による硬貨および紙幣の放出とに用いられる出入口である。硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116は、入出金口43に投入された硬貨および紙幣の取込みを行う。また、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116は、硬貨および紙幣を入出金口43から放出する。
【0044】
現金保持装置117は、開閉部117aを有する。現金保持装置117は、開閉部117aの反対側の面で入出金口43に接している。現金保持装置117は、入出金口43から放出された現金を現金保持装置117の内部に取り込む。また、現金保持装置117は、現金保持装置117の内部の現金を入出金口43へ放出する。開閉部117aが開いた状態では、利用者が現金保持装置117の内部の現金を出し入れ可能であり、開閉部117aが閉じた状態では、利用者が現金保持装置117の内部の現金を出し入れ不可能である。
【0045】
第2面には、カード出入口41および通帳出入口42が配置される。カード出入口41は、利用者によるキャッシュカードの挿入とカード処理ユニット113によるキャッシュカードの放出とに用いられる出入口である。カード処理ユニット113は、カード出入口41に挿入されたキャッシュカードから口座番号等の情報を読み取る。また、カード処理ユニット113は、取引終了後にキャッシュカードをカード出入口41から放出する。
【0046】
通帳出入口42は、利用者による通帳の挿入と通帳処理ユニット114による通帳の放出とに用いられる出入口である。通帳処理ユニット114は、通帳出入口42に挿入された通帳から口座番号等の情報を読み取る。また、通帳処理ユニット114は、通帳出入口42から挿入された通帳に印字を行う。また、通帳処理ユニット114は、取引終了後に通帳を通帳出入口42から放出する。なお、ATM100の形状や各部の配置は、
図4に示したものに限られない。
【0047】
第2の実施の形態では、このようなATM100が利用者の取引を受け付ける。ところで、利用者は、自身の口座から出金し、自身の別の口座に入金して資金を移動させることがある。ATM100を用いて口座から出金し、別の口座に入金する場合、例えば、利用者は、出金処理をし、出金した現金をATM100から取り出してから、取り出した現金をATM100に投入して入金処理をする。このような、現金を取り出す操作は、煩雑である。そこで、第2の実施の形態では、ATM100は、出金取引に続く入金取引の実行を受け付けると、出金処理をして現金保持装置117に現金を放出し、現金保持装置117から現金を取り込んで入金処理をする。なお、以下では、銀行Aの口座から銀行Bの口座へ資金移動する場合について説明するが、同じ銀行の別の口座へ資金移動してもよい。次に、ATM100の機能について詳細に説明する。
【0048】
図5は、ATMの機能例を示すブロック図である。ATM100は、操作受付部120、現金管理部130および通信部140を有する。操作受付部120、現金管理部130および通信部140は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。
【0049】
操作受付部120は、利用者による選択操作や入力操作を受け付ける。操作受付部120は、取引内容の選択を受け付ける。また、操作受付部120は、入出金額の入力を受け付ける。また、操作受付部120は、出金取引に続く入金取引において、出金した現金と入金する現金との差額を補正する(差額補正する)か否かの選択を受け付ける。
【0050】
現金管理部130は、硬貨処理ユニット115、紙幣処理ユニット116および現金保持装置117を制御して現金を管理する。現金管理部130は、操作受付部120が出金取引の選択を受け付けると、現金を開閉部117aが閉じた状態の現金保持装置117に充填する。例えば、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、出金額の現金を入出金口43から放出させる。そして、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、入出金口43から放出された現金を現金保持装置117の内部に取り込ませる。
【0051】
現金管理部130は、操作受付部120が出金取引に続く入金取引の選択を受け付けると、現金保持装置117から現金を取り込む。例えば、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、現金保持装置117の内部の現金を入出金口43へ放出させる。そして、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、入金額の現金を入出金口43から取り込ませる。
【0052】
なお、現金管理部130は、操作受付部120が差額補正をする選択を受け付けていた場合、現金保持装置117を開放する。例えば、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、開閉部117aを開いた状態にさせる。現金管理部130は、現金保持装置117への現金補充または現金保持装置117からの現金の取出しを受け付ける。現金管理部130は、現金補充または取出しがされてから現金保持装置117から現金を取り込む。
【0053】
通信部140は、出金取引をする口座の残高を減額し、入金取引をする口座の残高を増額する。例えば、通信部140は、銀行Aの口座からの出金取引では、ホストサーバ21にアクセスし、銀行Aの口座の残高から、出金額を減額するよう依頼する。また、例えば、通信部140は、銀行Bの口座への入金取引では、ホストサーバ22にアクセスし、銀行Bの口座の残高を入金額だけ増額するよう依頼する。
【0054】
なお、
図5に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、ATM100の表示画面について詳細に説明する
図6は、ATMの表示画面の一例を示す図である。操作受付部120は、カード処理ユニット113が、カード出入口41に挿入された銀行Aのキャッシュカードから口座番号を読み取ると、画面51をディスプレイ111に表示させる。画面51は、利用者が銀行Aの口座に関する取引内容を選択するための画面である。画面51は、取引内容を選択するための「入金」、「出金」、「振込」および「通帳記帳」ボタンを有する。また、画面51は、取引を中止するための「中止」ボタンを有する。
【0055】
操作受付部120は、タッチパネル112から画面51の「出金」ボタンの押下を受け付けると、画面52をディスプレイ111に表示させる。画面52は、利用者が出金後に現金を取り出すか否かを選択するための画面である。画面52は、出金後に現金を取り出すか否かを選択するための「現金を取り出す」および「現金を取り出さない」ボタンを有する。また、画面52は、前の画面(画面51)に戻るための「戻る」ボタンおよび取引を中止するための「中止」ボタンを有する。
【0056】
操作受付部120は、タッチパネル112から画面52の「現金を取り出す」ボタンまたは「現金を取り出さない」ボタンの押下を受け付けると、利用者が出金額を入力するための画面をディスプレイ111に表示させる。操作受付部120が出金額を入力するための画面において出金額の入力を受け付けると、通信部140は、ホストサーバ21にアクセスし、銀行Aのキャッシュカードから読み取った口座番号の口座の残高から出金額を減額するよう依頼する。また、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、出金額の現金を入出金口43から放出させる。そして、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、入出金口43から放出された現金を開閉部117aが閉じた状態の現金保持装置117の内部に取り込ませる。
【0057】
ここで、操作受付部120が画面52の「現金を取り出す」ボタンの押下を受け付けていた場合、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、開閉部117aを開いた状態にさせる。そして、利用者は、現金保持装置117から現金を取り出し、処理が終了する。
【0058】
操作受付部120が画面52の「現金を取り出さない」ボタンの押下を受け付けていた場合、カード処理ユニット113は、次のキャッシュカードの挿入を受け付ける。操作受付部120は、カード処理ユニット113が、カード出入口41に挿入された銀行Bのキャッシュカードから口座番号を読み取ると、画面53をディスプレイ111に表示させる。
【0059】
画面53は、利用者が銀行Bの口座に関する取引内容を選択するための画面である。画面53は、取引内容を選択するための「入金」、「出金」、「振込」および「通帳記帳」ボタンを有する。また、画面53は、取引を中止するための「中止」ボタンを有する。
【0060】
操作受付部120は、タッチパネル112から画面53の「入金」ボタンの押下を受け付けると、画面54をディスプレイ111に表示させる。画面54は、差額補正するか否かを利用者が選択するための画面である。画面54は、差額補正をするか否かを選択するための「差額補正する」および「差額補正しない」ボタンを有する。また、画面54は、前の画面(画面53)に戻るための「戻る」ボタンおよび取引を中止するための「中止」ボタンを有する。
【0061】
操作受付部120がタッチパネル112から画面54の「差額補正する」ボタンの押下を受け付けると、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、開閉部117aを開いた状態にさせる。そして、利用者は、出金した現金と入金する現金との差額分の現金を補充または取出しする。
【0062】
操作受付部120が「差額補正しない」ボタンの押下を受け付けた場合および「差額補正する」ボタンの押下受付後、現金の補充または取出しがされた場合、操作受付部120は、利用者が入金額を入力するための画面をディスプレイ111に表示させる。操作受付部120が入金額を入力するための画面において入金額の入力を受け付けると、通信部140は、ホストサーバ22にアクセスし、銀行Bのキャッシュカードから読み取った口座番号の口座の残高を入金額だけ増額するよう依頼する。また、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、現金保持装置117の内部の現金を入出金口43へ放出させる。そして、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、入金額の現金を入出金口43から取り込ませる。
【0063】
このような画面51~54を表示することで、操作受付部120は、取引内容を取得する。利用者は、画面52において、「現金を取り出さない」ボタンを押下することで、現金の取出し操作をすることなく、銀行Aの口座から出金した現金を銀行Bの口座へ入金することができる。このように、ATM100は、口座間の取引を簡便にすることができる。
【0064】
次に、ATM100による入出金処理手順について説明する。
図7は、入出金処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図7に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0065】
[ステップS11]操作受付部120は、出金選択を受け付ける。例えば、操作受付部120は、カード処理ユニット113が、カード出入口41に挿入された銀行Aのキャッシュカードから口座番号を読み取ると、画面51をディスプレイ111に表示させる。そして、操作受付部120は、タッチパネル112から画面51の「出金」ボタンの押下を受け付ける。
【0066】
[ステップS12]操作受付部120は、現金取出し有無の選択を受け付ける。例えば、操作受付部120は、画面52をディスプレイ111に表示させる。そして、操作受付部120は、タッチパネル112から画面52の「現金を取り出す」ボタンまたは「現金を取り出さない」ボタンの押下を受け付ける。
【0067】
[ステップS13]通信部140は、出金処理をする。例えば、通信部140は、ホストサーバ21にアクセスし、銀行Aのキャッシュカードから読み取った口座番号の口座の残高から、操作受付部120が出金額を入力するための画面において入力を受け付けた出金額を減額するよう依頼する。
【0068】
[ステップS14]現金管理部130は、現金を開閉部117aが閉じた状態の現金保持装置117に充填する。例えば、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、出金額の現金を入出金口43から放出させる。そして、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、入出金口43から放出された現金を現金保持装置117の内部に取り込ませる。
【0069】
[ステップS15]操作受付部120は、現金取出しありが選択されたか否かを判定する。例えば、操作受付部120は、ステップS12において、タッチパネル112から画面52の「現金を取り出す」ボタンの押下を受け付けた場合、現金取出しありが選択されたと判定する。また、操作受付部120は、ステップS12において、タッチパネル112から画面52の「現金を取り出さない」ボタンの押下を受け付けた場合、現金取出しありが選択されていないと判定する。操作受付部120は、現金取出しありが選択されたと判定した場合、処理をステップS16に進め、現金取出しありが選択されなかったと判定した場合、処理をステップS18に進める。
【0070】
[ステップS16]現金管理部130は、現金保持装置117を開放する。例えば、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、開閉部117aを開いた状態にさせる。
【0071】
[ステップS17]現金管理部130は、現金保持装置117からの現金の取出しを受け付ける。そして、処理が終了する。
[ステップS18]操作受付部120は、入金選択を受け付ける。例えば、操作受付部120は、カード処理ユニット113が、カード出入口41に挿入された銀行Bのキャッシュカードから口座番号を読み取ると、画面53をディスプレイ111に表示させる。そして、操作受付部120は、タッチパネル112から画面53の「入金」ボタンの押下を受け付ける。
【0072】
[ステップS19]操作受付部120は、差額補正有無の選択を受け付ける。例えば、操作受付部120は、画面54をディスプレイ111に表示させる。そして、操作受付部120は、タッチパネル112から画面54の「差額補正する」ボタンまたは「差額補正しない」ボタンの押下を受け付ける。
【0073】
[ステップS20]操作受付部120は、差額補正ありが選択されたか否かを判定する。例えば、操作受付部120は、ステップS19において、タッチパネル112から画面54の「差額補正する」ボタンの押下を受け付けた場合、差額補正ありが選択されたと判定する。また、操作受付部120は、ステップS19において、タッチパネル112から画面54の「差額補正しない」ボタンの押下を受け付けた場合、差額補正ありが選択されていないと判定する。操作受付部120は、差額補正ありが選択されたと判定した場合、処理をステップS21に進め、差額補正ありが選択されなかったと判定した場合、処理をステップS23に進める。
【0074】
[ステップS21]現金管理部130は、現金保持装置117を開放する。例えば、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、開閉部117aを開いた状態にさせる。
【0075】
[ステップS22]現金管理部130は、現金保持装置117への現金補充または現金保持装置117からの現金の取出しを受け付ける。現金管理部130は、現金補充または取出しがされてから処理をステップS23へ進める。
【0076】
なお、操作受付部120は、ステップS18~ステップS23において、取引中止の選択を受け付けた場合(例えば、「中止」ボタンの押下を受け付けた場合)、ステップS16に進める。
【0077】
[ステップS23]現金管理部130は、現金保持装置117から現金を取り込む。例えば、現金管理部130は、現金保持装置117を制御して、現金保持装置117の内部の現金を入出金口43へ放出させる。そして、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116を制御し、入金額の現金を入出金口43から取り込ませる。
【0078】
[ステップS24]通信部140は、入金処理をする。例えば、通信部140は、ホストサーバ22にアクセスし、銀行Bのキャッシュカードから読み取った口座番号の口座の残高を、操作受付部120が入金額を入力するための画面において入力を受け付けた入金額だけ増額するよう依頼する。
【0079】
このようにして、ATM100は、銀行Aの口座からの出金取引に続く銀行Bの口座への入金取引を実行する。銀行Aの口座からの出金取引に続く銀行Bの口座への入金取引を受け付けた場合、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116に現金保持装置117へ現金を放出させ、通信部140は、銀行Aの口座の残高を減額する。そして、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116に現金保持装置117から現金を取り込ませ、銀行Bの口座の残高を増額する。
【0080】
これにより、ATM100は、出金取引と入金取引との間に現金を取り出さなくても、口座間で資金を移動する取引を実行できる。よって、ATM100は、口座間の取引を簡便にすることができる。また、ATM100は、利用者が現金を触れることなく取引可能にすることができ、衛生的に取引ができる。
【0081】
また、現金管理部130は、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116に、現金保持装置117へ、開閉部117aが閉じた状態で現金を放出させる。これにより、ATM100は、取引中に利用者以外の人物が現金保持装置117から現金を抜き取ることを防止できる。よって、ATM100は、取引時の防犯効果を向上できる。
【0082】
また、出金取引の出金額と入金取引の入金額とが異なる場合、現金管理部130は、開閉部117aが開いた状態で現金が補充または取出しをされてから、硬貨処理ユニット115および紙幣処理ユニット116に現金保持装置117から現金を取り込ませる。これにより、ATM100は、利用者が手元の現金を加えて入金する場合や出金した現金の一部を手元に残す場合でも、適切に取引を実行できる。
【0083】
このような第2の実施の形態のATM100は、現金保持装置117を取り付けるだけで実現することができる。よって、ATM100は、低い導入コストで実現が可能である。
【0084】
〔その他の実施の形態〕
第2の実施の形態では、ATM100は、出金取引実行後に入金取引をする選択を受け付けていたが、出金取引に続く入金取引を実行する選択を受け付けるのは他のタイミングであってもよい。例えば、ATM100は、取引開始時に、出金取引に続く入金取引を実行する選択を受け付けてもよい。以下では、取引開始時に、出金取引に続く入金取引を実行する選択を受け付ける場合にATM100に表示される画面について説明する。
【0085】
図8は、ATMの表示画面の他の一例を示す図である。操作受付部120は、カード処理ユニット113が、カード出入口41に挿入された銀行Aのキャッシュカードから口座番号を読み取ると、画面61をディスプレイ111に表示させる。画面61は、利用者が取引内容を選択するための画面である。画面61は、取引内容を選択するための「入金」、「出金」、「振込」、「通帳記帳」、「出金→入金(差額補正しない)」および「出金→入金(差額補正する)」ボタンを有する。また、画面61は、取引を中止するための「中止」ボタンを有する。
【0086】
操作受付部120は、画面61において、「出金→入金(差額補正しない)」ボタンの押下を受け付けると、出金取引実行後に入金取引をし、差額補正をしない選択を受け付ける。また、操作受付部120は、画面61において、「出金→入金(差額補正する)」ボタンの押下を受け付けると、出金取引実行後に入金取引をし、差額補正をする選択を受け付ける。これにより、操作受付部120は、出金取引実行後に入金取引をするか否かの選択および差額補正の有無の選択を1回の画面表示で受け付けることができる。
【0087】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 現金保持装置
1a 開閉部
10 自動取引装置
11 現金処理部
12 制御部