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特開2024-1935樹脂処理装置、樹脂ペレットの製造方法および樹脂材料の処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001935
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】樹脂処理装置、樹脂ペレットの製造方法および樹脂材料の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20231228BHJP
   B29C 48/39 20190101ALI20231228BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
C08J11/12 ZAB
B29C48/39
B29B9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100813
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅之
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
4F401
【Fターム(参考)】
4F201AA50
4F201AR06
4F201BA02
4F201BC01
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BL08
4F201BL29
4F207AA50
4F207AR06
4F207KA01
4F207KA17
4F207KJ09
4F207KK12
4F207KL41
4F207KL45
4F207KL64
4F401BA06
4F401BA13
4F401CA70
4F401CA79
4F401CB31
4F401DA08
4F401DC06
4F401FA01Y
(57)【要約】
【課題】廃プラスチックなどの樹脂材料を効率的に処理する。
【解決手段】樹脂処理装置1は、樹脂材料51が供給される押出機11と、押出機11が連結され、押出機11から排出される残渣樹脂が供給される押出機21と、を含んでいる。押出機1のシリンダ12の温度は、混練部61よりも下流側は樹脂材料51の熱分解温度より高く設定される。押出機21のシリンダ22の温度は、残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は残渣樹脂の熱分解温度より低く設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の樹脂材料が供給される第1の押出機と、
前記第1の押出機が連結され、前記第1の押出機から排出される残渣樹脂が供給される第2の押出機と、
を含み、
前記第1の押出機のシリンダの温度は、第1混練部よりも下流側は前記第1の樹脂材料の熱分解温度より高く設定され、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記残渣樹脂の熱分解温度より低く設定される、樹脂処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機のシリンダの前記第1混練部で前記第1の樹脂材料が可塑化される、樹脂処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機は、
前記第1の押出機のシリンダ内に前記第1の樹脂材料を供給するための第1供給部と、
前記第1の押出機のシリンダに設けられた、前記第1の押出機のシリンダ内で生成されたガスを排出するための第1ガス排出部と、
を有し、
前記第1混練部は、前記第1の押出機のシリンダにおいて、前記第1供給部よりも下流側で、かつ、前記第1ガス排出部よりも上流側に位置する、樹脂処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機のシリンダと前記第2の押出機のシリンダとが、接続部を介して連結されており、
前記第1の押出機のシリンダの先端から排出された前記残渣樹脂は、前記接続部を通って前記第2の押出機のシリンダに供給される、樹脂処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の樹脂処理装置において、
前記接続部に、前記第1の押出機のシリンダ内で生成されたガスを排出するための第2ガス排出部が設けられている、樹脂処理装置。
【請求項6】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第2の押出機は、前記第2の押出機のシリンダ内に第2の樹脂材料を供給するための第2供給部を有し、
前記第2供給部は、前記第2の押出機のシリンダにおいて前記残渣樹脂が供給される位置よりも上流側に位置する、樹脂処理装置。
【請求項7】
請求項6記載の樹脂処理装置において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第2の樹脂材料の熱分解温度より低く設定される、樹脂処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の樹脂処理装置において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第1の押出機のシリンダ内で生成されるモノマガスの液化温度よりも高く設定される、樹脂処理装置。
【請求項9】
請求項6記載の樹脂処理装置において、
前記第2の押出機は、前記第1の押出機のシリンダから前記第2の押出機のシリンダに流入したガスを排出するための第2ガス排出部を有し、
前記第2ガス排出部は、前記第2の押出機のシリンダにおいて前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側に位置する、樹脂処理装置。
【請求項10】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機のシリンダの長軸方向と前記第2の押出機のシリンダの長軸方向とは、互いに同じである、樹脂処理装置。
【請求項11】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機のシリンダの長軸方向と前記第2の押出機のシリンダの長軸方向とは、互いに直交している、樹脂処理装置。
【請求項12】
請求項1記載の樹脂処理装置において、
前記第1の押出機のシリンダの長さは、前記第2の押出機のシリンダの長さよりも長い、樹脂処理装置。
【請求項13】
以下の工程を含む、樹脂ペレットの製造方法:
(a)第1の樹脂材料を第1の押出機のシリンダ内に供給する工程;
(b)前記(a)工程の後、前記第1の押出機のシリンダから排出される残渣樹脂を、前記第1の押出機のシリンダが連結された第2の押出機のシリンダに供給する工程;および
(c)前記(b)工程の後、前記第2の押出機から押し出された材料を切断して、樹脂ペレットを形成する工程、
ここで、
前記第1の押出機のシリンダの温度は、第1混練部よりも下流側は前記第1の樹脂材料の熱分解温度より高く設定され、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記残渣樹脂の熱分解温度より低く設定される。
【請求項14】
請求項13記載の樹脂ペレットの製造方法において、
(a1)前記(a)工程の後で、前記(b)工程の前に、前記第1の押出機のシリンダ内において、前記第1の樹脂材料を搬送し、かつ溶融させる工程、
を更に含み、
前記(a1)では、前記第1の押出機のシリンダの前記第1混練部で前記第1の樹脂材料が可塑化される、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の樹脂ペレットの製造方法において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第1の押出機のシリンダ内で生成されるモノマガスの液化温度よりも高く設定される、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項16】
請求項14記載の樹脂ペレットの製造方法において、
(d)第2の樹脂材料を前記第2の押出機のシリンダ内に供給する工程;および
(e)前記(b)工程および前記(d)工程の後、前記第2の押出機のシリンダ内において、前記第2の樹脂材料と前記第1の押出機のシリンダから供給された前記残渣樹脂とを混練して樹脂混練物を形成する工程、
を更に含み、
前記(c)工程では、前記樹脂混練物が前記第2の押出機から前記材料として押し出される、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項17】
請求項16記載の樹脂ペレットの製造方法において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第2の樹脂材料の熱分解温度より低く設定される、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項18】
請求項14記載の樹脂ペレットの製造方法において、
前記第1の押出機から排出されるモノマガスは、熱交換機で液化される、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項19】
請求項14記載の樹脂ペレットの製造方法において、
前記第1の樹脂材料は、廃プラスチックからなる、樹脂ペレットの製造方法。
【請求項20】
以下の工程を含む、樹脂材料の処理方法:
(a)第1の樹脂材料を第1の押出機のシリンダ内に供給する工程;
(b)前記(a)工程の後、前記第1の押出機のシリンダから排出される残渣樹脂を、前記第1の押出機のシリンダが連結された第2の押出機のシリンダに供給する工程;および
(c)前記(b)工程の後、前記第2の押出機から前記残渣樹脂を含む材料を押し出す工程、
(d)前記第1の押出機から排出されたモノマガスを、熱交換機で液化する工程、
ここで、
前記第1の押出機のシリンダの温度は、第1混練部よりも下流側は前記第1の樹脂材料の熱分解温度より高く設定され、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記残渣樹脂の熱分解温度より低く設定される。
【請求項21】
請求項20記載の樹脂材料の処理方法において、
(a1)前記(a)工程の後で、前記(b)工程の前に、前記第1の押出機のシリンダ内において、前記第1の樹脂材料を搬送し、かつ溶融させる工程、
を更に含み、
前記(a1)では、前記第1の押出機のシリンダの前記第1混練部で前記第1の樹脂材料が可塑化される、樹脂材料の処理方法。
【請求項22】
請求項21記載の樹脂材料の処理方法において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第1の押出機のシリンダ内で生成されるモノマガスの液化温度よりも高く設定される、樹脂材料の処理方法。
【請求項23】
請求項21記載の樹脂材料の処理方法において、
(d)第2の樹脂材料を前記第2の押出機のシリンダ内に供給する工程;および
(e)前記(b)工程および前記(d)工程の後、前記第2の押出機のシリンダ内において、前記第2の樹脂材料と前記第1の押出機のシリンダから供給された前記残渣樹脂とを混練して樹脂混練物を形成する工程、
を更に含み、
前記(c)工程では、前記樹脂混練物が前記第2の押出機から前記材料として押し出される、樹脂材料の処理方法。
【請求項24】
請求項23記載の樹脂材料の処理方法において、
前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記第2の樹脂材料の熱分解温度より低く設定される、樹脂材料の処理方法。
【請求項25】
請求項21記載の樹脂材料の処理方法において、
前記第1の樹脂材料は、廃プラスチックからなる、樹脂材料の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂処理装置、樹脂ペレットの製造方法および樹脂材料の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-106758号公報(特許文献1)および特開平11-50072号公報(特許文献2)には、廃プラスチックの処理に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-106758号公報
【特許文献2】特開平11-50072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
廃プラスチックなどの樹脂材料を処理してリサイクルすることが、近年進められてきており、樹脂材料の処理を効率的に行うことが望まれる。
【0005】
廃プラスチックなどの樹脂材料を処理する手法として、その樹脂材料を熱分解してモノマを生成し、生成されたモノマを回収することが考えられる。樹脂材料の熱分解には、押出機を用いることが可能である。例えば、押出機のシリンダ内に処理すべき樹脂材料を供給し、シリンダ内のスクリュにより樹脂材料を前方に搬送しながら溶融させるとともに、押出機のシリンダ内で溶融樹脂を熱分解してモノマガスを生成する。押出機のシリンダ内で生成されたモノマガスは、シリンダのガス排出部から熱交換機へ送って液化し、液化されたモノマを回収することができる。
【0006】
この場合、押出機のシリンダの先端からは、樹脂材料の処理後の残渣物が押し出される。処理対象の樹脂材料にフィラーが含有されていた場合には、そのフィラーも、押出機のシリンダの先端から押し出される残渣物に含有されている。シリンダの先端から押し出される残渣物に対処するために、押出機のシリンダの先端に貯蔵用の容器を接続しておき、その貯蔵用の容器内に、押出機のシリンダの先端から押し出される残渣物を貯えることが考えられる。しかしながら、貯蔵用の容器が満杯になると、それ以上、押出機を用いた樹脂材料の処理を行うことができなくなる。このため、シリンダの先端に接続した貯蔵用の容器が満杯になる前に、その容器内に貯えられた残渣物を容器から取り出して、貯蔵用の容器内を空にする作業が必要になる。この作業を行う間は、押出機の動作を停止しておく必要があるが、これは、押出機の稼働効率を低下させ、廃プラスチックなどの樹脂材料の処理効率を低下させてしまう。また、この作業が必要になることに伴い、廃プラスチックなどの樹脂材料の処理コストが増加する虞がある。また、貯蔵用の容器から残渣物を取り出す際には、貯蔵用の容器内のモノマガスが周囲に拡散することを防ぐことが望まれることから、貯蔵用の容器から残渣物を取り出す作業は、行いにくく、作業の負担が大きいものとなる。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態によれば、樹脂処理装置は、第1の樹脂材料が供給される第1の押出機と、前記第1の押出機が連結され、前記第1の押出機から排出される残渣樹脂が供給される第2の押出機と、を含む。前記第1の押出機のシリンダの温度は、第1混練部よりも下流側は前記第1の樹脂材料の熱分解温度より高く設定される。前記第2の押出機のシリンダの温度は、前記残渣樹脂が供給される位置よりも下流側は前記残渣樹脂の熱分解温度より低く設定される。
【発明の効果】
【0009】
一実施の形態によれば、廃プラスチックなどの樹脂材料を効率的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態における樹脂処理装置の模式的な構成を示す説明図である。
図2】一実施の形態の樹脂処理装置を用いたペレット製造システムの構成例を示す説明図である。
図3】本発明者が検討した廃プラスチックの処理システムの構成を示す説明図である。
図4】第1変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図5】第2変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図6】第3変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図7】第3変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図8】第4変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図9】第5変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
図10】第6変形例の樹脂処理装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
<樹脂処理装置の構成について>
本実施の形態における樹脂処理装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態における樹脂処理装置1の模式的な構成を示す説明図(側面図)である。
【0013】
図1に示される樹脂処理装置1は、押出機11と押出機21を含んでおり、それらの押出機11,21を連結した構成を有している。
【0014】
押出機11は、シリンダ(バレル)12と、シリンダ12内に回転可能に配置されたスクリュ13と、シリンダ12内のスクリュ13を回転させるための回転駆動機構14と、シリンダ12の上流側(後端側)に配置されたホッパ(材料投入部、材料供給部)15と、押出機11の動作を制御するための制御部18と、を備えている。押出機21は、シリンダ(バレル)22と、シリンダ22内に回転可能に配置されたスクリュ23と、シリンダ22内のスクリュ23を回転させるための回転駆動機構24と、シリンダ22の上流側(後端側)に配置されたホッパ(材料投入部、材料供給部)25と、シリンダ22の下流側先端に取り付けられたダイ(金型)26と、押出機21の動作を制御するための制御部28と、を備えている。シリンダ12は、複数のシリンダブロックからなり、それら複数のシリンダブロックは、上流側から下流側に向かう方向に配列して連結されている。シリンダ22は、複数のシリンダブロックからなり、それら複数のシリンダブロックは、上流側から下流側に向かう方向に配列して連結されている。シリンダ12の先端には、成形用のダイ(ダイ26に相当するもの)は取り付けられていない。また、図1に示される樹脂処理装置1は、押出機11のシリンダ12と押出機21のシリンダ22とを連結して押出機11のシリンダ12から押し出された材料を押出機21のシリンダ22に供給するための接続部31を、更に有している。
【0015】
ホッパ15は、シリンダ12の上面に接続されており、ホッパ15を介してシリンダ12内に処理用の樹脂材料51(廃プラスチックなど)を供給できるようになっている。廃プラスチックとしては、一般家庭などで使用された後に廃棄されたプラスチック製品や、プラスチック製品を製造する過程で生じるプラスチックの廃棄物(製品として使用できない部分)などがある。
【0016】
シリンダ12は、ヒータなどの図示しない温度調節機構(温度調整手段)を有している。制御部18がシリンダ12の温度調節機構を制御することにより、シリンダ12の温度を制御することができる。ホッパ25は、シリンダ22の上面に接続されており、ホッパ25を介してシリンダ22内に樹脂材料52を供給できるようになっている。シリンダ22は、ヒータなどの図示しない温度調節機構(温度調整手段)を有している。制御部28がシリンダ22の温度調節機構を制御することにより、シリンダ22の温度を制御することができる。
【0017】
なお、シリンダ12およびスクリュ13に関して「下流側」および「上流側」と称する場合、「下流側」とは、シリンダ12内の材料(樹脂)の流れの下流側を意味し、「上流側」とは、シリンダ12内の材料(樹脂)の流れの上流側を意味する。このため、シリンダ12およびスクリュ13において、シリンダ12の先端に近い側が下流側であり、シリンダ12の先端から遠い側(すなわちホッパ15に近い側)が上流側である。なお、シリンダ12の先端は、シリンダ12において、樹脂が押し出される側の端部に対応しており、従って接続部31に接続された側の端部に対応している。
【0018】
また、シリンダ22およびスクリュ23に関して「下流側」および「上流側」と称する場合、「下流側」とは、シリンダ22内の材料(樹脂)の流れの下流側を意味し、「上流側」とは、シリンダ22内の材料(樹脂)の流れの上流側を意味する。このため、シリンダ22およびスクリュ23において、シリンダ22の先端に近い側が下流側であり、シリンダ22の先端から遠い側(すなわちホッパ25に近い側)が上流側である。なお、シリンダ22の先端は、シリンダ22において、樹脂が押し出される側の端部に対応しており、従ってダイ26が接続された側の端部に対応している。
【0019】
シリンダ12の内部には、2本のスクリュ13が回転可能に挿入されて内蔵されている。また、シリンダ22の内部には、2本のスクリュ23が回転可能に挿入されて内蔵されている。このため、押出機11,21のそれぞれは、二軸押出機とみなすこともできる。シリンダ12内において、2本のスクリュ13は、互いに噛み合うように配置されて回転し、また、シリンダ22内において、2本のスクリュ23は、互いに噛み合うように配置されて回転する。シリンダ12内において、回転するスクリュ13によって樹脂材料が搬送され、混練される。また、シリンダ22内において、回転するスクリュ23によって樹脂材料が搬送され、混練される。
【0020】
本実施の形態では、シリンダ12内のスクリュ13の数が2本の場合について説明しているが、他の形態として、シリンダ12内のスクリュ13の数を1本とすることもできる。また、本実施の形態では、シリンダ22内のスクリュ23の数が2本の場合について説明しているが、他の形態として、シリンダ22内のスクリュ23の数を1本とすることもできる。
【0021】
シリンダ12は、ホッパ15が接続された位置に開口部を有しており、その開口部に連通するようにホッパ15が接続されている。これにより、ホッパ15に投入した樹脂材料51は、シリンダ12の開口部からシリンダ12内に供給されるようになっている。
【0022】
シリンダ12は、シリンダ12内で生成された(発生した)ガスをシリンダ12外へ排出するガス排出部(ガス排気口、ガス回収機構)17を有している。シリンダ12において、ガス排出部17は、ホッパ15の接続位置よりも下流側に位置している。シリンダ12内で生成されたガスは、ガス排出部17からシリンダ12外へ排出(排気)され、後述するガス配管46を通って後述する熱交換機44へ送られる。
【0023】
シリンダ22は、ホッパ25が接続された位置に開口部(ホッパ用開口部)を有しており、そのホッパ用開口部に連通するようにホッパ25が接続されている。これにより、ホッパ25に投入した樹脂材料52は、シリンダ22のホッパ用開口部からシリンダ22内に供給されるようになっている。
【0024】
押出機11は、押出機11から排出される残渣樹脂が押出機21に供給されるように、押出機21に連結されている。具体的には、押出機11のシリンダ12は、接続部31を介して押出機21のシリンダ22に連結されている。シリンダ12の先端部が接続部31に接続されており、シリンダ12の先端部の開口部は接続部31に連通している。接続部31は、シリンダ12の先端部から排出された材料(残渣樹脂)が通過可能な通過経路(空洞)を有している。シリンダ22は、接続部31が接続された位置に開口部(接続部31用開口部)を有しており、その開口部に連通するように接続部31が接続されている。これにより、押出機11から排出される材料(残渣樹脂)、すなわちシリンダ12の先端部から排出された材料(残渣樹脂)は、接続部31内を通過してシリンダ22の開口部(接続部31用開口部)からシリンダ22内に供給されるようになっている。接続部31は、シリンダ12の先端部から排出された材料(残渣樹脂)がシリンダ22内に至る(供給され)までの経路として機能することができる。シリンダ22において、接続部31の接続位置は、ホッパ25の接続位置よりも下流側に位置している。また、図1の場合は、シリンダ12の高さ位置はシリンダ22の高さ位置よりも高く、接続部31はシリンダ22の上面側に接続されており、シリンダ12の先端部から押し出された材料(残渣樹脂)は、接続部31を通って、シリンダ22の上面側からシリンダ22内に供給される。
【0025】
押出機21のシリンダ22は、シリンダ12からシリンダ22内に流入したガスをシリンダ22外へ排出するガス排出部(ガス排気口、ガス回収機構)27を有している。シリンダ22において、ガス排出部27は、ホッパ25の接続位置よりも下流側に位置し、かつ、接続部31の接続位置よりも下流側に位置している。シリンダ12から接続部31を通ってシリンダ22内に流入したガスは、ガス排出部27からシリンダ22外へ排出(排気)され、後述するガス配管46を通って後述する熱交換機44へ送られる。
【0026】
ダイ26は、シリンダ22から押し出されてくる樹脂混練物(溶融樹脂)を、所定の断面形状(例えば紐状)に成形して吐出するように機能することができる。このため、ダイ26は、押出成形用のダイ(ダイス、金型)である。シリンダ22の先端から押し出される樹脂混練物は所定の形状(ここでは紐状)に成形する必要があるため、シリンダ22の先端には、樹脂成形用のダイ26が取り付けられている。しかしながら、シリンダ12の先端から押し出された材料は、接続部31を介してシリンダ22内へ供給できればよいため、シリンダ12の先端には樹脂成型用のダイ(金型)は取り付けられていない。
【0027】
<ペレット製造システムについて>
図2は、本実施の形態の樹脂処理装置1を用いた樹脂処理システムとして、ペレット製造システム(樹脂ペレット製造装置)41の構成例を示す説明図である。本実施の形態のペレット製造システム41は、樹脂ペレットの製造システム(製造装置)であるが、廃プラスチックなどの樹脂材料の処理システム(処理装置)としても機能することができる。
【0028】
図2に示されるペレット製造システム41は、上述した樹脂処理装置1に加えて、更に、冷却槽(ストランドバス)42と切断装置43と、熱交換機44と、回収容器45と、を備えている。
【0029】
次に、図1および図2を参照して、樹脂処理装置1を含むペレット製造システム41の動作について説明する。なお、樹脂処理装置1を構成する押出機11は制御部18によって制御され、樹脂処理装置1を構成する押出機21は制御部28によって制御されるが、押出機11と押出機21とを共通の制御部によって制御することもできる。
【0030】
ホッパ15からシリンダ12内に樹脂材料51が供給され、ホッパ25からシリンダ22内に樹脂材料52が供給される。
【0031】
ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51は、樹脂成分を含んでおり、例えば、使用済みの種々の樹脂製品を破砕したものであり、廃プラスチックを適用することができる。ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51は、樹脂成分に加えて、樹脂成分以外のフィラー(例えば無機フィラー)を含有していてもよい。フィラーとしては、ガラスファイバ、炭素繊維、タルクまたは炭酸カルシウムなどを例示できる。
【0032】
また、以下では、樹脂材料51の熱分解温度Tについて言及するが、樹脂材料51の熱分解温度Tは、ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51に含まれる樹脂成分が熱分解する温度に対応している。
【0033】
押出機11において、ホッパ15からシリンダ12内に供給された樹脂材料51は、シリンダ12内でスクリュ13の回転により前方へ搬送されながら可塑化されて溶融樹脂となる。図1および図2では、押出機11のシリンダ12における混練部(可塑化部)61を点線で囲んで示してある。混練部61は、ホッパ15からシリンダ12内に供給された樹脂材料51が、シリンダ12内で可塑化されて溶融樹脂となる領域に対応しており、可塑化部とみなすことができる。押出機11のシリンダ12において、混練部61は、ホッパ15の接続位置よりも下流側で、かつ、ガス排出部17よりも上流側に位置している。
【0034】
シリンダ12内において、混練部61よりも上流側では、シリンダ12内の樹脂材料51は、まだ溶融しておらず固体状態であるが、混練部61で樹脂材料51は可塑化されて溶融状態(溶融樹脂)となり、混練部61よりも下流側では、シリンダ12内の樹脂材料51は溶融樹脂となっている。従って、図2の矢印71は、固体状態の樹脂材料51の流れを示し、図2の矢印72は、溶融状態の樹脂材料51(溶融樹脂)の流れを示している。ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51にフィラーが含まれていた場合は、シリンダ12内の溶融樹脂は、フィラーを含有している。
【0035】
押出機11のシリンダ12の温度は、混練部61よりも下流側は樹脂材料51の熱分解温度Tよりも高く設定されている。すなわち、混練部61よりも下流側におけるシリンダ12の温度は、樹脂材料51の熱分解温度Tよりも高い温度(例えば400℃)に設定されている。押出機11のシリンダ12の温度は、制御部18がシリンダ12の温度調節機構を制御することにより、制御され得る。以下では、「シリンダ12の設定温度」というときは、「混練部61よりも下流側におけるシリンダ12の温度」を意味する。混練部61よりも上流側におけるシリンダ12の温度は、必要に応じて適切な温度に設定することができ、樹脂材料51の熱分解温度T以下であってもよい。
【0036】
ホッパ15からシリンダ12内に供給された樹脂材料51は、シリンダ12の混練部61で可塑化されて溶融樹脂となり、スクリュ13の回転によりシリンダ12内を更に前方(下流側)へ送られる。シリンダ12の設定温度は、樹脂材料51の熱分解温度Tよりも高く設定されているため、混練部61よりも下流側では、シリンダ12内の溶融樹脂中の樹脂成分は、熱分解温度Tよりも高い温度に加熱されることで熱分解し、ガス化した(ガス状の)モノマ(以下「モノマガス」と称する)となる。シリンダ12内で生成されたモノマガスは、シリンダ12のガス排出部17からシリンダ12外へ排出され、ガス配管(ガス管路)46を通って熱交換機44へ送られる。
【0037】
シリンダ12内の溶融樹脂のうち、一部は熱分解されてモノマガスとなり、ガス排出部17からガス配管46を通って熱交換機44へ送られるが、残り(熱分解されなかった溶融樹脂)は、シリンダ12の先端部から押し出される。また、シリンダ12内において、溶融樹脂中に含まれているフィラーは、熱分解されない。このため、シリンダ12内の溶融樹脂に含まれているフィラーは、熱分解されなかった(モノマ化しなかった)溶融樹脂と一緒にシリンダ12の先端部から押し出される(排出される)。シリンダ12の先端部から押し出された材料である残渣樹脂(フィラーを含む樹脂材料)は、接続部31を通ってシリンダ22の開口部(接続部31用開口部)からシリンダ22内に供給される。図2の矢印73は、シリンダ12の先端部から押し出された残渣樹脂の流れを示している。シリンダ12の先端部から押し出された残渣樹脂(73)は、接続部31を通ってシリンダ22に供給される。
【0038】
また、シリンダ12内で生成されたモノマガスは、全部がガス排出部17からシリンダ12外へ排出され、ガス配管46を通って熱交換機44へ送られることが理想的である。しかしながら、実際には、シリンダ12内で生成されたモノマガスは、一部がガス排出部17からガス配管46を通って熱交換機44へ送られ、残りは、熱分解されなかった溶融樹脂やフィラーと一緒にシリンダ12の先端から排出されて接続部31内に流入する。シリンダ12から接続部31に流入したモノマガスのうち、一部は、接続部31に設けられたガス排出部(ガス排気口、ガス回収機構)32から接続部31外へ排出され、ガス配管46を通って熱交換機44へ送られ、残りは、溶融樹脂やフィラーと一緒に接続部31からシリンダ22内に流入する。
【0039】
ホッパ25からシリンダ22内に供給される樹脂材料52は、樹脂ペレット製造用の樹脂材料(原料)である。このため、ホッパ25からシリンダ22内に供給される樹脂材料52としては、樹脂ペレットの製造に適した樹脂材料を用いることができる。この樹脂材料52に含まれる樹脂成分は、ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51に含まれる樹脂成分と同種の樹脂であってもよい。また、樹脂材料52は、樹脂成分に加えて、樹脂ペレットの製造に適したフィラーを更に含有していてもよい。
【0040】
また、以下では、樹脂材料52の熱分解温度Tについて言及するが、樹脂材料52の熱分解温度Tは、ホッパ25からシリンダ22内に供給される樹脂材料52に含まれる樹脂成分が熱分解する温度に対応している。
【0041】
押出機21において、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52は、シリンダ22内でスクリュ23の回転により前方へ送られながら可塑化されて溶融樹脂となる。図1および図2では、押出機21のシリンダ22における混練部(可塑化部)62を点線で囲んで示してある。混練部62は、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52が、シリンダ22内で可塑化されて溶融樹脂となる領域に対応しており、可塑化部とみなすことができる。押出機21のシリンダ22において、混練部62は、ホッパ25の接続位置よりも下流側で、かつ、接続部31の接続位置よりも上流側に位置している。
【0042】
シリンダ22内において、混練部62よりも上流側では、シリンダ22内の樹脂材料52は、まだ溶融しておらず固体状態であるが、混練部62で樹脂材料52は可塑化されて溶融状態(溶融樹脂)となり、混練部62よりも下流側では、シリンダ22内の樹脂材料52は溶融樹脂となっている。従って、図2の矢印74は、固体状態の樹脂材料52の流れを示し、図2の矢印75は、溶融状態の樹脂材料52(溶融樹脂)の流れを示している。
【0043】
シリンダ12の先端から押し出された材料(残渣樹脂)が接続部31を通ってシリンダ22内に供給されるため、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52は、シリンダ12の先端から接続部31を通ってシリンダ22内に供給された材料(残渣樹脂)と、スクリュ23によって混練されて樹脂混練物が形成される。すなわち、シリンダ22内のスクリュ23によって、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52とシリンダ12から接続部31を通ってシリンダ22内に供給された材料(残渣樹脂)とを混練して樹脂混練物を形成し、形成された樹脂混練物をスクリュ23によってシリンダ22内を先端側(下流側)に向かって搬送する。形成された樹脂混練物は、溶融状態(溶融樹脂)となっている。図2の矢印76は、この樹脂混練物の流れを示している。
【0044】
このため、シリンダ22内において、接続部31の接続位置よりも上流側では、溶融樹脂は上記樹脂材料52に含まれる樹脂成分により構成されているが、接続部31の接続位置よりも下流側では、溶融樹脂(樹脂混練物)は、上記樹脂材料51に含まれる樹脂成分と、上記樹脂材料52に含まれる樹脂成分と、上記樹脂材料51に含まれるフィラーとが混練されたものとなっている。
【0045】
押出機21のシリンダ22の温度は、残渣樹脂(73)がシリンダ22に供給される位置(すなわち接続部31の接続位置)よりも下流側は残渣樹脂(73)の熱分解温度より低く設定されている。すなわち、残渣樹脂(73)が供給される位置(すなわち接続部31の接続位置)よりも下流側におけるシリンダ22の温度は、残渣樹脂(73)の熱分解温度よりも低い温度(例えば100~300℃)に設定されている。押出機21のシリンダ22の温度は、制御部28がシリンダ22の温度調節機構を制御することにより、制御され得る。以下では、「シリンダ22の設定温度」というときは、「押出機11のシリンダ12から押し出された残渣樹脂(73)がシリンダ22に供給される位置(すなわち接続部31の接続位置)よりも下流側におけるシリンダ22の温度」を意味する。残渣樹脂(73)が供給される位置(すなわち接続部31の接続位置)よりも上流側におけるシリンダ22の温度は、必要に応じて適切な温度に設定することができる。また、押出機11のシリンダ12から押し出された残渣樹脂(73)に含まれる樹脂成分は、樹脂材料51に含まれる樹脂成分と同じなので、押出機11から押出機21のシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)の熱分解温度は、樹脂材料51の熱分解温度Tと実質的に同じである。
【0046】
シリンダ22の設定温度を、残渣樹脂(73)の熱分解温度よりも低い温度に設定したことにより、押出機11のシリンダ12から押し出されて押出機21のシリンダ22に供給された残渣樹脂(73)は、シリンダ22内で残渣樹脂の熱分解温度以上の温度には加熱されないため、シリンダ22内でほとんど分解されない。このため、シリンダ22内で溶融樹脂(樹脂混練物)が熱分解してモノマガスが生成されるのを抑制または防止することができる。また、シリンダ22内において、溶融樹脂中に含まれているフィラーは、熱分解されない。
【0047】
また、シリンダ22の設定温度は、残渣樹脂の熱分解温度よりも低く、かつ、樹脂材料52の熱分解温度Tよりも低い温度(例えば100~300℃)に設定されていることが、より好ましい。これにより、シリンダ12内でスクリュ13の回転により前方へ送られる溶融樹脂(樹脂混練物)中の樹脂成分は、残渣樹脂(73)の熱分解温度以上の温度には加熱されず、また、樹脂材料52の熱分解温度T以上の温度にも加熱されないため、ほとんど熱分解されない。このため、シリンダ22内で溶融樹脂(樹脂混練物)が熱分解してモノマガスが生成されるのを更に抑制または防止することができる。
【0048】
また、押出機2のシリンダ22の設定温度は、押出機1のシリンダ12で生成されたモノマガスが液化する温度よりも高い温度であることが好ましい。言い換えると、シリンダ22の設定温度は、シリンダ12で生成されてシリンダ12から接続部31を通ってシリンダ22内に流入したモノマガスがシリンダ22内で液化しないような温度(例えば100~300℃)に、設定されている。これにより、シリンダ12で生成されてシリンダ12から接続部31を通ってシリンダ22内に流入したモノマガスがシリンダ22内で液化するのを抑制または防止することができる。シリンダ12で生成されてシリンダ12から接続部31を介してシリンダ22に流入したモノマガスは、シリンダ22のガス排出部27からシリンダ22外へ排出され、ガス配管46を通って熱交換機44へ送られる
シリンダ22内においてスクリュ23の回転により前方へ送られた溶融樹脂(樹脂混練物)は、シリンダ22の先端に取り付けられたダイ26から押し出される。この際、溶融樹脂(樹脂混練物)は、ダイ26で紐状に成形されてダイ26からストランド(樹脂ストランド)53として押し出される。ストランド53は、押出機21から押し出される材料であり、また、押出機11から押出機21に供給された残渣樹脂を含む材料でもある。
【0049】
ダイ26から押し出されたストランド53は、冷却槽42において冷却されて凝固(固化)する。凝固したストランド53は、切断装置43で所定の長さに切断される。これにより、樹脂ペレット54が製造される。ペレット製造システム41において、樹脂処理装置1は、ストランド製造装置として機能することができる。
【0050】
ホッパ15からシリンダ12内に供給される樹脂材料51がフィラーを含有していた場合は、シリンダ12の先端から押し出されて接続部31を通ってシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)もそのフィラーを含有しているため、ストランド53および樹脂ペレット54も、樹脂材料51が含有していたフィラーを含有している。また、ホッパ25からシリンダ22内に供給される樹脂材料52がフィラーを含有していた場合は、ストランド53および樹脂ペレット54も、樹脂材料52が含有していたフィラーを含有している。
【0051】
ガス排出部17,27,32からガス配管46を通って熱交換機44へ送られたモノマガスは、熱交換機44で冷却されて液化し、液状のモノマとなる。熱交換機44は、冷却水48との間で熱交換を行うことにより、モノマガスを冷却して液化することができる。熱交換機44で生成された液状のモノマは、配管(液体管路)47を通って回収容器45に送られて、回収容器45内に貯えられる。回収容器45に貯えられた液状のモノマは、必要に応じて取り出されて、再利用される。
【0052】
本実施の形態では、樹脂材料の処理方法として、押出機21から押し出されたストランド53を用いて樹脂ペレット54を製造する場合について説明した。他の形態として、押出機21から押し出されたストランド53を用いて樹脂ペレット54を製造するのではなく、押出機21から押し出されたストランド53を垂れ流す場合や、押出機21から押し出されたストランド53を容器(図示せず)などに入れて貯える場合などもあり得る。その場合、ストランド53が固化したものは、後で廃棄することができる。
【0053】
<検討の経緯>
図3は、本発明者が検討した廃プラスチックなどの樹脂材料の処理システム(処理装置)101の構成を示す説明図である。
【0054】
図3に示される処理システム101は、押出機111と熱交換機144と回収容器145とを備えている。押出機111は、シリンダ112と、シリンダ112に内蔵されたスクリュと、シリンダ112内のスクリュを回転させるための回転駆動機構114と、シリンダ112の上流側に配置されたホッパ115と、シリンダ112内で生成されたたガスをシリンダ112外へ排出するガス排出部117と、を備えている。また、押出機111のシリンダ112の先端には、残渣貯蔵用のタンク(容器)118が取り付けられている。
【0055】
次に、図3に示される処理システム101の動作について説明する。
【0056】
ホッパ115からシリンダ112内に樹脂材料151が供給される。ホッパ115からシリンダ112内に供給される樹脂材料151は、例えば使用済みの種々の樹脂製品を破砕したものであり、廃プラスチックを適用することができる。ホッパ115からシリンダ112内に供給される樹脂材料151は、樹脂成分に加えて、更にフィラーを含有している。
【0057】
ホッパ115からシリンダ112内に供給された樹脂材料151は、シリンダ112内でスクリュの回転により前方へ送られながら溶融されて溶融樹脂となる。この際、シリンダ112の温度は、樹脂材料151の熱分解温度より高い温度に設定される。これにより、シリンダ112内の溶融樹脂が熱分解して、モノマガスが生成される。シリンダ112内で生成されたモノマガスは、シリンダ112のガス排出部117からシリンダ112外へ排出され、ガス配管146を通って熱交換機144へ送られる。
【0058】
シリンダ122内の溶融樹脂のうち、一部は熱分解してモノマガスとなり、ガス排出部117からガス配管146を通って熱交換機144へ送られるが、残り(熱分解されなかった溶融樹脂)は、シリンダ112の先端部から残渣樹脂として押し出されて、タンク118内に流入する。また、シリンダ112内の溶融樹脂中に含まれていたフィラーも、熱分解されなかった溶融樹脂と一緒にシリンダ112の先端部からタンク118内に流入する。
【0059】
また、シリンダ112内で生成されたモノマガスは、一部がガス排出部117からガス配管146を通って熱交換機144へ送られ、残りは、熱分解されなかった溶融樹脂と一緒にシリンダ112の先端からタンク118内に流入する。シリンダ112からタンク118内に流入したモノマガスは、タンク118に設けられたガス排出部119からタンク118外へ排出され、ガス配管146を通って熱交換機144へ送られる。
【0060】
ガス排出部117,119からガス配管146を通って熱交換機144へ送られたモノマガスは、熱交換機144で冷却されて液化し、液状のモノマとなる。熱交換機144は、冷却水148との間で熱交換を行うことにより、モノマガスを冷却して液化することができる。熱交換機144で生成された液状のモノマは、配管147を通って回収容器145に送られて、回収容器145内に貯えられる。回収容器145に貯えられた液状のモノマは、必要に応じて取り出されて、再利用される。
【0061】
図3に示される処理システム101の稼働を継続すると、シリンダ112の先端部から押し出されてタンク118内に流入して貯蔵される残渣樹脂の量(以下、貯蔵量と称す)が増加していく。タンク118内の貯蔵量が増加すると、タンク118が満杯になる前に、タンク118内に貯えられた残渣樹脂をタンク118から取り出して、タンク118内を空にする作業が必要になる。
【0062】
この作業を行う間は、押出機111の動作を停止しておく必要があるが、これは、押出機111およびそれを用いた処理システム101の稼働効率を低下させ、廃プラスチックなどの樹脂材料の処理効率を低下させてしまう。また、この作業が必要になることに伴い、廃プラスチックなどの樹脂材料の処理コストが増加する虞がある。また、タンク118内に貯えられた残渣樹脂をタンク118から取り出す際に、タンク118内のモノマガスが周囲に拡散することが考えられる。モノマガスが、周囲へ拡散することが望ましくないガス種である場合は、タンク118内に貯えられた残渣樹脂をタンク118から取り出す際に、タンク118内のモノマガスが周囲に拡散することを防ぐ必要があるが、これは、タンク118内に貯えられた残渣樹脂を取り出す作業を行いにくくし、この作業に伴う負担を増大させてしまう。
【0063】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の樹脂処理装置1は、樹脂材料51が供給される押出機11と、押出機11が連結され、押出機11から排出される残渣樹脂(73)が供給される押出機21と、を含んでいる。具体的には、押出機11のシリンダ12の先端から排出される(押し出される)残渣樹脂が押出機11のシリンダ22内に供給されるように、押出機11のシリンダ12が押出機21のシリンダ22に連結されている。上記図1の場合は、押出機11のシリンダ12は、接続部31を介して押出機21のシリンダ22に連結されており、シリンダ12の先端から排出された(押し出された)残渣樹脂(73)は、接続部31を通って押出機21のシリンダ22内に供給される。
【0064】
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、押出機11のシリンダの温度は、混練部61よりも下流側は樹脂材料51の熱分解温度Tより高く設定され、押出機21のシリンダ22の温度は、残渣樹脂(73)が供給される位置よりも下流側は残渣樹脂(73)の熱分解温度より低く設定されることである。
【0065】
樹脂処理装置1を構成する押出機11,21のうち、押出機11は、樹脂材料51を熱分解するために用いられ、押出機21は、押出機11のシリンダ12から排出された残渣樹脂(すなわち熱分解後の残渣物)を処理するために用いられる。上記図2の場合は、押出機21は、押出機11のシリンダ12から排出された残渣樹脂を使用して樹脂ペレットを製造するために用いられる。
【0066】
本実施の形態とは異なり、シリンダ12の設定温度を、樹脂材料51の熱分解温度Tよりも低く設定した場合には、シリンダ12内で樹脂材料51はほとんど熱分解されないため、シリンダ12内でモノマガスはほとんど生成されない。この場合、ガス排出部17やガス排出部32からシリンダ12外にモノマガスはほとんど排出されず、熱交換機44で液化したモノマを回収することは困難となる。
【0067】
それに対して、本実施の形態では、樹脂材料51の熱分解が目的の押出機11においては、シリンダ12内で樹脂材料51の熱分解が的確に行われるように、シリンダ12の設定温度(混練部61よりも下流側におけるシリンダ12の設定温度)を、樹脂材料51の熱分解温度Tよりも高くしている。これにより、ホッパ15からシリンダ12内に供給された樹脂材料51に含まれる樹脂成分が熱分解温度Tよりも高い温度に加熱されることによって熱分解してモノマガスが生成され、生成されたモノマガスの少なくとも一部を、シリンダ12に設けられたガス排出部17や接続部31に設けられたガス排出部32から排出させることができる。ガス排出部17やガス排出部32から排出されたモノマガスは、熱交換機44で液化することができる。熱交換機44で液化されたモノマは、回収容器45などに貯えて再利用することができる。
【0068】
一方、押出機21のシリンダ22の設定温度については、押出機11から排出されてシリンダ22に供給された残渣樹脂(73)が、シリンダ22内で熱分解しないように、残渣樹脂の熱分解温度よりも低い温度に設定される。押出機11からシリンダ22に供給された残渣樹脂(73)だけでなく、樹脂材料52についても熱分解が行われないように、押出機21のシリンダ22の設定温度は、残渣樹脂の熱分解温度よりも低く、かつ、樹脂材料52の熱分解温度Tよりも低い温度に設定されることが好ましい。
【0069】
本実施の形態とは異なり、シリンダ22の設定温度を、押出機11からシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)の熱分解温度以上の温度に設定した場合と、シリンダ22の設定温度を樹脂材料52の熱分解温度T以上の温度に設定した場合とにおいては、シリンダ22内で樹脂成分が熱分解されることによりモノマガスが生成されるため、モノマガスの生成の分だけ、シリンダ22内で形成される樹脂混練物中の樹脂成分の比率が低下してしまう。シリンダ22内で形成される樹脂混練物中の樹脂成分の比率が低下すると、シリンダ22内で樹脂混練物をスクリュ23によって安定的に搬送することが難しくなり、また、シリンダ22の先端に接続されたダイ26から樹脂混練物を安定して押し出すことが難しくなる。また、シリンダ22内でモノマガスが生成されると、シリンダ22内で生成されたモノマガスがシリンダ22から大気中に流出する可能性が生じ得る。
【0070】
それに対して、本実施の形態では、押出機21のシリンダ22の設定温度は、押出機11からシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)の熱分解温度よりも低い温度に設定される。押出機21のシリンダ22の設定温度を、残渣樹脂(73)の熱分解温度よりも低く、かつ、樹脂材料52の熱分解温度Tよりも低い温度に設定すれば、より好ましい。これにより、シリンダ22内において樹脂成分の熱分解を抑制または防止することができる。すなわち、シリンダ22の設定温度を、残渣樹脂(73)の熱分解温度よりも低く設定したことで、押出機11から排出されてシリンダ22に供給された残渣樹脂(73)に含まれる樹脂成分が、シリンダ22内で熱分解することを抑制または防止することができる。更に、シリンダ22の設定温度を、樹脂材料52の熱分解温度Tよりも低い温度に設定したことで、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52に含まれる樹脂成分がシリンダ22内で熱分解することを抑制または防止することができる。これにより、シリンダ22内で樹脂成分の熱分解によりモノマガスが生成されるのを的確に抑制または防止することができるため、シリンダ22内で生成されたモノマガスがシリンダ22から大気中に流出するのをより的確に防ぐことができる。また、シリンダ22内で形成される樹脂混練物中の樹脂成分の比率が、熱分解に起因して低下することを抑制または防止することができるため、シリンダ22内で樹脂混練物をスクリュ23によって安定して的確に搬送することが可能となり、また、シリンダ22の先端に接続されたダイ26から樹脂混練物を安定して的確に押し出すことが可能となる。ダイ26から押し出された樹脂混練物(ストランド53)を切断装置43などで切断することにより、樹脂ペレット54を的確に形成することができる。このため、樹脂処理装置1の動作が安定し、樹脂ペレット54を安定して製造することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52と、シリンダ12から押し出されてシリンダ22内に供給された残渣樹脂(73)とを、スクリュ23によって混練して樹脂混練物を形成し、その樹脂混練物をシリンダ22の先端に接続されたダイ26から押し出す。シリンダ12から押し出されてシリンダ22内に供給される残渣樹脂(73)は、樹脂成分の含有率がかなり低い。なぜなら、シリンダ12内で樹脂材料51を熱分解してモノマガスを生成しているため、ホッパ15からシリンダ12内に供給された段階での樹脂材料51の樹脂成分の含有率に比べて、シリンダ12から押し出されてシリンダ22内に供給される残渣樹脂(73)における樹脂成分の含有率は、かなり低くなっているからである。このため、本実施の形態とは異なり、ホッパ25からシリンダ22内に樹脂材料を供給しない場合には、シリンダ12から押し出されてシリンダ22内に供給された残渣樹脂(すなわち樹脂成分の含有率がかなり低い材料)をスクリュ23によって搬送してシリンダ22の先端に接続されたダイ26から押し出すことになる。しかしながら、樹脂成分の含有率がかなり低い材料をスクリュ23で安定して搬送することや、樹脂成分の含有率がかなり低い材料をダイ26から安定して押し出すことは、難しい。
【0072】
それに対して、本実施の形態では、ホッパ25からシリンダ22内に樹脂材料52を供給している。ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52とシリンダ12から押し出されてシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)とを、シリンダ22内でスクリュ23によって混練して樹脂混練物を形成している。このため、シリンダ12からシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)における樹脂成分の含有率がかなり低かったとしても、シリンダ22内で形成される樹脂混練物における樹脂成分の含有率は、シリンダ12からシリンダ22に供給される残渣樹脂(73)における樹脂成分の含有率よりも高くすることができる。これにより、シリンダ22内で形成された樹脂混練物をスクリュ23で安定して搬送することができ、また、シリンダ22の先端に接続されたダイ26から安定して押し出すことができる。このため、樹脂処理装置1の動作が安定し、樹脂ペレット54を安定して製造することができる。
【0073】
本実施の形態とは異なり、シリンダ12の先端に成形用のダイを接続して、そのダイから押し出されたストランドを切断してペレットを製造する場合を仮定する。この場合、シリンダ12の先端に接続したダイから押し出さそうとする材料は、樹脂成分の含有率が低くなっているため、シリンダ12の先端に接続したダイから安定して押し出すことは困難である。また、シリンダ12で生成されたモノマガスが、ダイから大気中に流出する可能性が生じ得る。また、シリンダ12の先端に接続したダイから押し出そうとする材料における樹脂成分の含有率を高くするには、シリンダ12での樹脂材料51の熱分解を抑制する必要があるが、それは、シリンダ12内でもモノマガスの生成量を少なくすることになるため、モノマガスを熱交換機44で液化して回収されるモノマの量を少なくしてしまう。また、シリンダ12の設定温度は、樹脂材料51を的確に熱分解できるように、樹脂材料51の熱分解温度Tよりも高い温度に設定されているため、シリンダ12から押し出される材料に含まれる樹脂成分の含有率を厳格に制御することは難しい。このため、シリンダ12の先端に成形用のダイを接続して、そのダイから押し出されたストランドを切断してペレットを製造することは、得策ではない。
【0074】
それに対して、本実施の形態では、樹脂処理装置1を構成する押出機11,21のうち、シリンダ12を備える押出機11は、樹脂材料51を熱分解するために用いられ、シリンダ22を備える押出機21は、押出機11のシリンダ12から押し出された残渣樹脂を使用して樹脂ペレットを製造するために用いられる。そして、押出機11のシリンダ12から押出機21のシリンダ22に供給された残渣樹脂を使用して樹脂ペレットを製造することができるように、ホッパ25から押出機21のシリンダ22内に樹脂材料52を供給している。これにより、ホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52とシリンダ12からシリンダ22に供給された残渣樹脂とを混練して樹脂混練物を形成し、その樹脂混練物をシリンダ22の先端に接続されたダイ26から安定して押し出すことができる。また、シリンダ12内で生成されたモノマガスが大気中に流出するのをより的確に防ぐことができる。
【0075】
上記検討例の処理システム101の場合は、押出機111のシリンダ112の先端部から押し出された残渣樹脂をタンク118内に貯蔵するため、タンク118内の貯蔵量が増加すると、タンク118が満杯になる前に、タンク118内に貯えられた残渣樹脂をタンク118から取り出して、タンク118内を空にする作業が必要になる。
【0076】
それに対して、本実施の形態では、シリンダ12の先端部から押し出された残渣樹脂は、シリンダ12が連結されたシリンダ22に供給される。そして、シリンダ12からシリンダ22内に供給された残渣樹脂とホッパ25からシリンダ22内に供給された樹脂材料52とをスクリュ23によって混練して樹脂混練物を形成し、それをシリンダ22の先端に接続されたダイ26から押し出してから切断することにより、樹脂ペレット54を製造している。このため、上記検討例の処理システム101の場合で必要となった、タンク118内に貯えられた材料をタンク118から取り出してタンク118内を空にするような作業は必要ない。樹脂処理装置1は連続的に長時間稼働させることができるため、樹脂処理装置1およびそれを含むペレット製造システム41の稼働効率を高めることができる。また、樹脂材料51の処理効率を向上させることができる。樹脂材料51として廃プラスチックを用いた場合には、廃プラスチックの処理効率を向上させることができ、廃プラスチックの処理コストを抑制することができる。従って、廃プラスチックなどの樹脂材料を効率的に処理してリサイクルすることができる。また、シリンダ12の先端部から押し出された残渣樹脂は、シリンダ12が連結されたシリンダ22に供給されるため、シリンダ12で生成されたモノマガスが周囲に拡散することを防ぎやすくなる。
【0077】
次に、シリンダ12内で生成されたモノマガスが周囲へ拡散されるのを防止できることについて説明する。
【0078】
シリンダ12において、混練部61は、ホッパ15の接続位置よりも下流側で、かつ、ガス排出部17よりも上流側に位置している。後述の図1のようにガス排出部17が無い場合は、混練部61は、シリンダ12の先端部よりも下流側に位置している。シリンダ12における混練部61では、樹脂材料51が可塑化して形成された溶融樹脂がシリンダ12内の搬送空間(樹脂材料がスクリュ13によって搬送される空間)を満たしている。このため、シリンダ12内で溶融樹脂が熱分解することによって生成されたモノマガスは、シリンダ12内で混練部61を越えて混練部61よりも上流側に戻ることはできず、従って、モノマガスがホッパ15から外部に排出されることを防ぐことができる。シリンダ12内で溶融樹脂が熱分解することによって生成されたモノマガスは、ガス排出部17やガス排出部32から排出されるか、あるいは、シリンダ12の先端から接続部31を通ってシリンダ22内に供給される。
【0079】
また、シリンダ22において、混練部61は、ホッパ25の接続位置よりも下流側で、かつ、接続部31の接続位置よりも上流側に位置している。シリンダ22における混練部61では、樹脂材料52が可塑化して形成された溶融樹脂がシリンダ22内の搬送空間(樹脂材料がスクリュ23によって搬送される空間)を満たしている。このため、シリンダ12の先端から接続部31を通ってシリンダ22内に供給されたモノマガスは、シリンダ22内で混練部61を越えて混練部61よりも上流側に戻ることはできない。また、シリンダ22内で形成された樹脂混練物(溶融樹脂)は、ダイ26の孔部(樹脂吐出口)から押し出されるが、そのダイ26の孔部やその孔部の手前の樹脂流路部は、樹脂混練物(溶融樹脂)で満たされている。このため、シリンダ12の先端から接続部31を通ってシリンダ22内に供給されたモノマガスは、ダイ26の孔部や樹脂流路部を通過することができないので、ダイ26の孔部から外部に排出されない。従って、シリンダ12の先端から接続部31を通ってシリンダ22内に供給されたモノマガスは、ガス排出部27からシリンダ22外に排出されることになり、モノマガスがホッパ25やダイ26から外部に排出されることを防ぐことができる。
【0080】
また、シリンダ22内では、溶融樹脂が熱分解してモノマガスが生成されることを抑制または防止しているが、仮にシリンダ22内で溶融樹脂が熱分解することによってモノマガスが生成されたとしても、そのモノマガスは、シリンダ22内で混練部62を越えて混練部61よりも上流側に戻ることはできず、また、ダイ26の孔部や樹脂流路部を通過することもできない。このため、そのモノマガスは、ガス排出部27からシリンダ22外に排出される。
【0081】
このため、シリンダ12内で樹脂材料51の熱分解によって生成されたモノマガスの全量を、ガス排出部17,27,32からガス配管46を通って熱交換機44へ送って液化することができ、それを回収容器45に貯えて回収することができる。従って、シリンダ12内で熱分解によって生成されたモノマガスが周囲へ拡散されるのを防止することができる。また、仮にシリンダ22内で熱分解によってモノマガスが生成されたとしても、そのモノマガスの全量を、ガス排出部27からガス配管46を通って熱交換機44へ送って液化することができ、それを回収容器45に貯えて回収することができる。従って、仮にシリンダ22内で熱分解によってモノマガスが生成されたとしても、そのモノマガスが周囲へ拡散されるのを防ぐことができる。
【0082】
<変形例>
本実施の変形例について説明する。図4は、本実施の形態の樹脂処理装置1の第1変形例を示す説明図(側面図)である。図5は、本実施の形態の樹脂処理装置1の第2変形例を示す説明図(平面図)である。なお、図4では、簡略化のために、制御部18,28の図示は省略し、また、図5では、シリンダ12,22内のスクリュ13,23と制御部18,28の図示は省略している。また、図4および図5では、理解を簡単にするために、冷却槽42および切断装置43も図示している。
【0083】
なお、図1図4および図5と後述の図6および図7とには、X方向、Y方向およびZ方向のうちの2方向が示されているが、X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向である。このうち、X方向およびY方向は、水平方向であり、Z方向は、高さ方向である。
【0084】
上記図1の場合と図4(第1変形例)の場合とにおいては、シリンダ12の長軸方向とシリンダ22の長軸方向とは、互いに同じであり、ここではX方向である。但し、図1の場合は、シリンダ12内における樹脂材料の搬送方向と、シリンダ22内における樹脂材料の搬送方向とは、互いに同じであるが、図4(第1変形例)の場合は、シリンダ12内における樹脂材料の搬送方向と、シリンダ22内における樹脂材料の搬送方向とは、互いに反対方向である。
【0085】
すなわち、図1の場合は、シリンダ12における上流側から下流側に向かう方向と、シリンダ22における上流側から下流側に向かう方向とは、互いに同じである。具体的には、図1の場合は、シリンダ12内とシリンダ22内のいずれにおいても、図の左側から図の右側に向かって樹脂材料が搬送される。一方、図4(第1変形例)の場合は、シリンダ12における上流側から下流側に向かう方向と、シリンダ22における上流側から下流側に向かう方向とは、互いに反対方向である。具体的には、図4(第1変形例)の場合は、シリンダ12内では、図の右側から図の左側に向かって樹脂材料が搬送され、シリンダ22内では、図の左側から図の右側に向かって樹脂材料が搬送される。
【0086】
また、図5(第2変形例)の場合は、シリンダ12の長軸方向とシリンダ22の長軸方向とは、互いに交差する方向であり、例えば互いに直交する方向であり、ここではシリンダ12の長軸方向はY方向であり、シリンダ22の長軸方向はX方向である。
【0087】
なお、シリンダ12の長軸方向とは、シリンダ12の長辺方向または長手方向のことであり、筒状のシリンダ12は、シリンダ12の長軸方向に延びている。シリンダ12の長軸方向と、シリンダ12内のスクリュ13の長軸方向とは、互いに同じであり、スクリュ13の長軸方向は、スクリュ13の回転軸の軸方向に対応している。シリンダ12内において、樹脂材料は、回転するスクリュ13により、長軸方向に上流側から下流側に向かって搬送される。
【0088】
また、シリンダ22の長軸方向とは、シリンダ22の長辺方向または長手方向のことであり、筒状のシリンダ22は、シリンダ22の長軸方向に延びている。シリンダ22の長軸方向と、シリンダ22内のスクリュ23の長軸方向とは、互いに同じであり、スクリュ23の長軸方向は、スクリュ23の回転軸の軸方向に対応している。シリンダ22内において、樹脂材料は、回転するスクリュ23により、長軸方向に上流側から下流側に向かって搬送される。
【0089】
上記図1の場合と図4(第1変形例)の場合と図5(第2変形例)の場合とについて、それぞれの利点などを以下に説明する。
【0090】
図1の場合では、図5(第2変形例)の場合に比べて、樹脂処理装置1全体のY方向の寸法を抑制することができる。このため、図1の場合では、図5(第2変形例)の場合に比べて、樹脂処理装置1と冷却槽42と切断装置43とを設置するのに要する平面領域のY方向の寸法を抑制することができる。
【0091】
図4(第1変形例)の場合では、図5(第2変形例)の場合に比べて、樹脂処理装置1全体のY方向の寸法を抑制することができる。また、図4(第1変形例)の場合では、上記図1の場合に比べて、樹脂処理装置1全体のX方向の寸法を抑制することができる。このため、図4(第1変形例)の場合では、図5(第2変形例)の場合に比べて、樹脂処理装置1と冷却槽42と切断装置43とを設置するのに要する平面領域のY方向の寸法を抑制することができ、また、上記図1の場合に比べて、樹脂処理装置1と冷却槽42と切断装置43とを設置するのに要する平面領域のX方向の寸法を抑制することができる。
【0092】
図5(第2変形例)の場合は、シリンダ22に樹脂材料52を供給するためのホッパ25がシリンダ12と平面視で重ならないため、ホッパ25に樹脂材料52を投入するのに、シリンダ12が邪魔にならずに済む。このため、ホッパ25に樹脂材料52を投入しやすくなる。また、図5(第2変形例)の場合は、押出機21とX方向に隣り合う位置に冷却槽42と切断装置43とを配置するのに、押出機11が邪魔にならずに済む。このため、樹脂処理装置1と冷却槽42と切断装置43とを配置しやすくなる。
【0093】
また、図1の場合は、シリンダ12とシリンダ22との高さの差が小さいと、ホッパ25に樹脂材料52を投入しにくくなるため、シリンダ12とシリンダ22との高さの差をある程度確保する必要がある。それに対して、図5(第2変形例)の場合は、シリンダ12とシリンダ22との高さの差が小さくても、ホッパ25に樹脂材料52を投入するのにシリンダ12は邪魔にならずに済む。このため、図5(第2変形例)の場合は、図1の場合に比べて、シリンダ12とシリンダ22との高さの差を小さくすることが可能である。
【0094】
また、図4(第1変形例)の場合は、押出機21とX方向に隣り合う位置に冷却槽42および切断装置43を配置しようとすると、その冷却槽42および切断装置43がシリンダ12と平面視で重なる虞があるため、シリンダ12が邪魔にならないように、シリンダ12とシリンダ22との高さの差を大きくすることが必要となる。このため、シリンダ12とシリンダ22との高さの差を小さくできるという観点では、図4(第1変形例)の場合よりも図1の場合の方が有利であり、図5(第2変形例)の場合が更に有利である。
【0095】
図6および図7は、本実施の形態の樹脂処理装置1の第3変形例を示す説明図である。
【0096】
上記図1図4(第1変形例)および図5(第2変形例)の場合は、シリンダ12の高さ位置はシリンダ22の高さ位置よりも高く、シリンダ12は接続部31を介してシリンダ22と連結されており、シリンダ12から押し出された材料は、接続部31を通ってシリンダ22内に供給されている。
【0097】
それに対して、図6および図7に示される第3検討例の場合は、シリンダ12の高さ位置はシリンダ22の高さ位置とほぼ同じであり、シリンダ12は上記接続部31に相当するものを介さずに直接的にシリンダ22と連結されており、シリンダ12の先端から押し出された材料は、シリンダ22内に直接的に供給される。
【0098】
具体的には、図6および図7に示される第3検討例の場合は、シリンダ12の長軸方向とシリンダ22の長軸方向とは、互いに交差する方向であり、好ましくは互いに直交する方向であり、ここではシリンダ12の長軸方向はY方向であり、シリンダ22の長軸方向はX方向である。シリンダ12の高さ位置はシリンダ22の高さ位置とほぼ同じであり、シリンダ12の先端はシリンダ22の側面に対向して、その側面に接続されている。シリンダ22は、シリンダ12が接続された位置に開口部(シリンダ12用開口部)を有しており、その開口部に連通するようにシリンダ12が接続されている。これにより、シリンダ12の先端部から押し出された材料は、シリンダ22の開口部(シリンダ12用開口部)からシリンダ22内に供給されるようになっている。
【0099】
図6および図7に示される第3検討例の樹脂処理装置1の場合も、上記図1の樹脂処理装置1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。また、図6および図7に示される第3検討例の樹脂処理装置1の場合は、シリンダ12の高さ位置とシリンダ22の高さ位置とがほぼ同じであるため、樹脂処理装置1を構成する押出機11,21の高さ位置を互いに同じとすることができる。このため、樹脂処理装置1を構成する押出機11,21の配置(設置)が容易である。一方、上記図1に示される樹脂処理装置1の場合は、シリンダ12を接続部31を介してシリンダ22に連結しているため、シリンダ12をシリンダ22に連結しやすくなり、また、シリンダ12とシリンダ22の相対的な位置関係を調整しやすくなる。
【0100】
また、図1の場合、図4(第1変形例)の場合、図5(第2変形例)の場合、図6(3検討例)の場合のいずれにおいても、シリンダ12の長さ(長軸方向の長さ)は、シリンダ22の長さ(長軸方向の長さ)よりも長いことが好ましい。シリンダ12では、樹脂材料51を十分に熱分解してモノマガスの生成量を増加させることが望ましく、そのためにはシリンダ12の長さはある程度長いことが望ましい。一方、シリンダ22においては、ホッパ15からシリンダ22に供給された樹脂材料52とシリンダ12からシリンダ22に供給された材料とを、ストランド42形成に不具合が生じない程度に混練できればよい。このため、シリンダ12の長さは、それほど長くする必要はない。このため、シリンダ12の長さを長くすることにより、シリンダ12内でのモノマガスの生成量を増加させることができ、シリンダ12の長さよりもシリンダ22の長さを短くすることにより、樹脂処理装置1全体の寸法を抑制することができる。
【0101】
図8は、本実施の形態の樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の第4変形例を示す説明図である。図9は、本実施の形態の樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の第5変形例を示す説明図である。図10は、本実施の形態の樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の第6変形例を示す説明図である。図8図10は、それぞれ上記図2に相当するものである。
【0102】
図8(第4変形例)の場合は、押出機21のシリンダ22にガス排出部27は設けられておらず、従って、ガス排出部27に接続されるガス配管46も設けられていない。図9(第5変形例)の場合は、押出機21のシリンダ22にガス排出部27は設けられておらず、また、接続部31にガス排出部32は設けられておらず、従って、ガス排出部27に接続されるガス配管46とガス排出部32に接続されるガス配管46も設けられていない。図10(第6変形例)の場合は、押出機21のシリンダ22にガス排出部27は設けられておらず、また、押出機11のシリンダ12にガス排出部17は設けられておらず、従って、ガス排出部17に接続されるガス配管46とガス排出部27に接続されるガス配管46も設けられていない。それ以外については、図8(第4変形例)の場合と図9(第5変形例)の場合と図10(第6変形例)の場合も、上記図2の樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の構成と同様である。
【0103】
図2の場合と図8(第4変形例)の場合と図9(第5変形例)の場合と図10(第6変形例)の場合とを比べると、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスの回収効率を最も高めやすいのは、図2の場合である。図2の場合は、押出機11のシリンダ12に設けられたガス排出部17と、接続部31に設けられたガス排出部32と、押出機21のシリンダ22に設けられたガス排出部27とから、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスを回収することができる。
【0104】
また、図8(第4変形例)の場合は、図9(第5変形例)の場合と図10(第6変形例)の場合よりも、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスの回収効率を最も高めやすい。なぜなら、図8(第4変形例)の場合は、押出機11のシリンダ12に設けられたガス排出部17と、接続部31に設けられたガス排出部32との両方から、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスを回収することができるからである。また、図8(第4変形例)の場合は、押出機21のシリンダ22にガス排出部27を設ける必要がなく、従って、ガス排出部27に接続されるガス配管46も必要ないため、図2の場合に比べて、樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の構成を簡略化することができる。
【0105】
また、図9(第5変形例)の場合は、押出機11のシリンダ12に設けられたガス排出部17から、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスを回収することができる。また、図10(第6変形例)の場合は、接続部31に設けられたガス排出部32から、樹脂処理装置1で生成されたモノマガスを回収することができる。図9(第5変形例)の場合と図10(第6変形例)の場合は、図8(第4変形例)の場合に比べて、樹脂処理装置1およびそれを用いたペレット製造システム41の構成を更に簡略化することができる。
【0106】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0107】
1 樹脂処理装置
11,21 押出機
12,22 シリンダ
13,23 スクリュ
14,24 回転駆動機構
15,25 ホッパ
26 ダイ
17,27 ガス排出部
18,28 制御部
31 接続部
32 ガス排出部
41 ペレット製造システム
42 冷却槽
43 切断装置
44 熱交換機
45 回収容器
46 ガス配管
47 配管
48 冷却水
51,52 樹脂材料
53 ストランド
54 樹脂ペレット
61,62 混練部
101 処理システム
111 押出機
112 シリンダ
114 回転駆動機構
115 ホッパ
117,119 ガス排出部
118 タンク
144 熱交換機
145 回収容器
146 ガス配管
147 配管
148 冷却水
151 樹脂材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10