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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019353
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F01N3/28 301W
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206799
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2022103635の分割
【原出願日】2019-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津島 幸平
(57)【要約】
【課題】排気浄化装置をエンジン本体の上方に容易に支持することができるエンジンを提供する。
【解決手段】エンジンは、エンジン本体と、排気ガス浄化装置を支持する支持台と、を備える。支持台は、排気ガス浄化装置の外周面の下方に設けられた湾曲部を有するとともに、湾曲部の下方にブラケット取付部を有する。ブラケット取付部は、エンジン本体に上下方向に取り付けられるブラケットに固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置を有するエンジンであって、
エンジン本体と、
前記排気ガス浄化装置を支持する支持台と、を備え、
前記支持台は、前記排気ガス浄化装置の外周面の下方に設けられた湾曲部を有するとともに、前記湾曲部の下方にブラケット取付部を有し、
前記ブラケット取付部は、前記エンジン本体に上下方向に取り付けられるブラケットに固定される、エンジン。
【請求項2】
前記支持台は、前記排気ガス浄化装置の外周面の下方に設けられた湾曲部を有するとともに、ブラケット取付部は、前記湾曲部の下方に設けられる、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記支持台の前記湾曲部が、前記排気ガス浄化装置を支持する、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記支持台は、複数の前記ブラケットを介して前記エンジン本体に取り付けられ、
前記複数のブラケットのうちの1つが、前記支持台に対して上下方向に取り付けられる、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記の1つのブラケットが、さらに前記エンジン本体に対して水平方向に取り付けられる、請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記の1つのブラケットにおいて、前記エンジン本体との取付位置は、前記支持台との取付位置よりも前記エンジン本体寄りにある、請求項5に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置を備えるエンジンに関する。詳細には、排気浄化装置をエンジンに取り付ける構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、排気浄化装置を用いてエンジンの排気ガスを浄化する構成が知られている。特許文献1は、この種の構成を有する建設機械を開示する。
【0003】
特許文献1の建設機械は、エンジンと、エンジンとは別途に設けられた排気浄化装置と、をエンジンルーム内に配置し、排気浄化装置を支持部材により油圧ポンプの上方に支持する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2012/056643号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の構成においては、排気浄化装置がエンジンとは別途に設けられているので、エンジン及び排気浄化装置の配置スペースを要していた。省スペースの観点から、排気浄化装置をエンジンの上側に配置して当該排気浄化装置をエンジンに支持する構造が提案されているが、エンジン本体の構造が複雑であるため、排気浄化装置を簡単にエンジン本体に取り付けることができる取付構造が望まれていた。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、排気浄化装置をエンジン本体の上方に容易に支持することができるエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るエンジンは、排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置を有するエンジンであって、エンジン本体と、前記排気ガス浄化装置を支持する支持台と、を備え、前記支持台は、前記排気ガス浄化装置の外周面の下方に設けられた湾曲部を有するとともに、前記湾曲部の下方にブラケット取付部を有し、前記ブラケット取付部は、前記エンジン本体に上下方向に取り付けられるブラケットに固定される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排気浄化装置をエンジン本体の上方に容易に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの構成を示す斜視図。
図2】エンジンにおける吸気及び排気の流れを示す概念図。
図3】ATD及び支持台をエンジン本体に取り付ける様子を示す分解斜視図。
図4】ATD及び支持台を示す分解斜視図。
図5】ATD及び支持台を示す斜視図。
図6】第1補助部材を支持台に取り付ける様子を示す分解斜視図。
図7】第2補助部材を支持台に取り付ける様子を示す分解斜視図。
図8】ATDを支持台に取り付ける様子を示す斜視図。
図9】前側支持ブラケット及び吸気側支持ブラケットをエンジン本体に取り付ける様子を示す分解斜視図。
図10】後側支持ブラケット及び排気側支持ブラケットをエンジン本体に取り付ける様子を示す分解斜視図。
図11】センサ支持ブラケットを示す斜視図。
図12】変形例の支持台の構成を示す斜視図。
図13】ATDが変形例の支持台に取り付けられた様子を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン100の構成を示す斜視図である。図2は、エンジン100における吸気及び排気の流れを示す概念図である。
【0011】
図1に示すエンジン100は、ディーゼルエンジンであって、例えばトラクタ等の農業機械及びスキッドステアローダ等の建設機械等に搭載される。エンジン100は、例えば、4つの気筒を有する直列4気筒エンジンとして構成される。なお、気筒の数は、4つに限定されない。
【0012】
初めに、エンジン100が備えるエンジン本体1の基本的な構成について説明する。なお、以下の説明では、図1に示すエンジン100の上下方向を高さ方向と称する。エンジン100は平面視で細長い略長方形となっており、その長手方向は、クランク軸10が延びる方向と一致している。以下の説明では、エンジン100の長手方向というときは、クランク軸10の回転軸の方向を意味する。また、高さ方向及び長手方向の何れとも直交する方向をエンジン100の幅方向と称する。エンジン100の高さ方向は第1方向に相当し、長手方向は第2方向に相当し、幅方向は第3方向に相当する。
【0013】
エンジン本体1は、図1等に示すように、主として、下から順に配置された、オイルパン11と、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14と、から構成されている。
【0014】
オイルパン11は、エンジン100の下部(下側の端部)に設けられている。オイルパン11は、上部が開放された容器状に形成されている。オイルパン11の内部には、エンジン100を潤滑するためのエンジンオイルが貯留されている。
【0015】
シリンダブロック12は、オイルパン11の上側に取り付けられている。シリンダブロック12の下部には、クランク軸10等を収容するための凹部が形成されている。図1においては省略されているが、シリンダブロック12の上部には、図2に示すように、複数のシリンダ30が形成されている。4つのシリンダ30は、クランク軸10の軸方向に沿って並べて配置されている。
【0016】
それぞれのシリンダ30には、ピストンが収容されている。シリンダ30の内部のピストンは、上下方向に移動することができる。ピストンは、図略のコンロッドを介して、クランク軸10と連結されている。クランク軸10は、それぞれのシリンダ30においてピストンが往復運動することにより回転する。
【0017】
図1等に示すように、シリンダヘッド13は、シリンダブロック12の上側に取り付けられている。シリンダヘッド13及びシリンダブロック12により、図2に示す燃焼室31がそれぞれのシリンダ30に対応して形成される。
【0018】
ヘッドカバー14は、シリンダヘッド13の上側に設けられる。ヘッドカバー14の内部には、図略の吸気弁及び排気弁を動作させるための図略のプッシュロッド及びロッカーアーム等からなる動弁機構が収容されている。
【0019】
エンジン100の長手方向一側には、冷却ファン6が回転可能に取り付けられている。冷却ファン6は、クランク軸10の動力が伝達されることにより回転する。冷却ファン6は、回転することによって空気の流れを発生させ、エンジン100の冷却水を冷却するためのラジエータ(図示しない)に空気を通過させるとともに、エンジン100に風を当てる。この結果、エンジン100が冷却される。
【0020】
エンジン100の長手方向において、冷却ファン6と反対側には、フライホイールハウジング61が配置されている。図示しないが、フライホイールハウジング61の内部には、エンジン100のフライホイールが配置されている。従って、以下の説明でフライホイールハウジング61側というときは、フライホイール側と実質的に同義である。
【0021】
続いて、吸気及び排気の流れに着目しながら、本実施形態のエンジン100の構成について、図2等を参照して簡単に説明する。
【0022】
図2に示すように、エンジン100は、吸気部2と、動力発生部3と、排気部4と、を主要な構成として備えている。
【0023】
吸気部2は、外部から空気を吸入する。吸気部2は、吸気管21と、スロットル弁22と、吸気マニホールド23と、過給機24と、を備える。
【0024】
吸気管21は、吸気通路を構成し、外部から吸入された空気を内部に流すことができる。
【0025】
スロットル弁22は、吸気通路の中途部に配置されている。スロットル弁22は、図略の制御装置からの制御指令に従ってその開度を変更することにより、吸気通路の断面積を変化させる。これにより、吸気マニホールド23へ供給する空気量を調整することができる。
【0026】
吸気マニホールド23は、吸気が流れる方向において、吸気管21の下流側端部に接続されている。吸気マニホールド23は、吸気管21を介して供給された空気を、シリンダ30の数に応じて分配し、それぞれのシリンダ30に形成された燃焼室31へ供給する。
【0027】
動力発生部3は、複数(本実施形態においては4つ)のシリンダ30から構成される。動力発生部3は、各シリンダ30に形成された燃焼室31において、燃料を燃焼させることによって、ピストンを往復運動させる動力を発生する。
【0028】
具体的には、各燃焼室31では、吸気マニホールド23から供給された空気が圧縮された後に、図略の燃料供給部から供給された燃料が噴射される。これにより、燃焼室31で燃焼が発生し、ピストンを上下往復運動させることができる。こうして得られた動力は、クランク軸10等を介して、動力下流側の適宜の装置へ伝達される。
【0029】
過給機24は、図2に示すように、タービン25と、シャフト26と、コンプレッサ27と、を備える。コンプレッサ27は、シャフト26を介してタービン25と連結されている。このように、燃焼室31から排出された排気ガスを利用して回転するタービン25の回転に伴って、コンプレッサ27が回転することにより、図略のエアクリーナによって浄化された空気が圧縮され強制的に吸入される。
【0030】
排気部4は、燃焼室31内で発生した排気ガスを外部に排出する。排気部4は、排気管41と、排気マニホールド42と、ATD(排気ガス浄化装置)43と、を備える。ATDは、After Treatment Deviceの略称である。
【0031】
排気管41は、排気ガス通路を構成し、その内部には、燃焼室31から排出された排気ガスを流すことができる。排気管41は、過給機導入管51と、接続管52と、排出管53と、を備える。
【0032】
排気マニホールド42は、排気ガスが流れる方向において、排気管41の上流側端部に接続されている。排気マニホールド42は、各燃焼室31で発生した排気ガスをまとめて排気管41(具体的には、過給機導入管51)へ導く。
【0033】
排気マニホールド42は、図1に示すように、概ね直方体状に形成されるシリンダヘッド13の横向きの面に取り付けられている。以下では、エンジン本体1に対して排気マニホールド42が取り付けられる側を、排気側と呼ぶことがある。一方、前述の吸気マニホールド23は、シリンダヘッド13が有する横向きの面のうち、排気マニホールド42とは反対側の面に取り付けられている。以下では、エンジン本体1に対して吸気マニホールド23が取り付けられる側を、吸気側と呼ぶことがある。排気側と吸気側は、エンジン100の幅方向で対向している。
【0034】
排気マニホールド42の排気ガスは、過給機導入管51を通過して、過給機24に流れる。排気ガスは過給機24のタービン25を駆動した後、接続管52を通過して、ATD43に流れる。
【0035】
ATD43は、排気ガスの後処理を行う装置である。ATD43は、排気管41の中途部に配置されている。ATD43は、排気ガス内に含まれるNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等の有害成分及び粒子状物質(Particulate Matter)を除去することによって、排気ガスを浄化する。
【0036】
ATD43は、DPF装置44と、SCR装置45と、を備える。DPFは、Diesel Particulate Filterの略称である。SCRは、Selective Catalytic Reductionの略称である。
【0037】
DPF装置44は、図1等に示すDPFケース44a内に収容されている図略の酸化触媒、フィルタを介して、排気ガスに含まれる一酸化炭素、一酸化窒素、粒子状物質等を除去する。酸化触媒は、白金等で構成され、排気ガスに含まれる未燃燃料、一酸化炭素、一酸化窒素等を酸化(燃焼)するための触媒である。フィルタは、酸化触媒より排気ガスの下流側に配置され、例えばフォールフロー型のフィルタとして構成される。フィルタは、酸化触媒で処理された排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集する。
【0038】
DPFケース44aは、図1及び図3に示すように、細長い略円筒状の中空部材から構成されている。DPFケース44aは、その長手方向がエンジン100の長手方向と平行となるように、エンジン本体1の上側に取り付けられている。DPFケース44aは、後述のSCRケース45aよりも、エンジン100の幅方向において、排気側(過給機24及び排気マニホールド42が位置する側)に配置されている。
【0039】
DPF装置44内の内部においては、排気ガスが、冷却ファン6に近い側からフライホイールハウジング61に近い側に向かって流れる。DPF装置44を通過した排気ガスは、連結管54に流れる。連結管54は、DPF装置44及びSCR装置45と概ね平行に配置された直線状の部分を有している。排気ガスは、連結管54において、フライホイールハウジング61に近い側から冷却ファン6に近い側に向かって流れる。排気ガスは、連結管54において図略の尿素供給装置から供給された尿素と混合される。その後、排気ガスは連結管54からSCR装置45へ流れる。
【0040】
SCR装置45は、図1等に示すSCRケース45a内に収容されているSCR触媒、スリップ触媒を介して、排気ガスに含まれるNOxを除去する。SCR触媒は、アンモニアを吸着するセラミック等の素材から構成される。排気ガスに含まれるNOxは、アンモニアを吸着したSCR触媒に触れることで還元され、窒素と水に変化する。スリップ触媒は、アンモニアが外部へ放出されることを防止するために用いられる。スリップ触媒は、アンモニアを酸化させる白金等の触媒であり、アンモニアを酸化させて窒素と水に変化させる。
【0041】
SCRケース45aは、図1に示すように、DPFケース44aと同様に、細長い略円筒状の中空状部材から構成されている。SCRケース45aは、その長手方向がエンジン100の長手方向と平行になるように、エンジン本体1の上側に取り付けられている。SCRケース45aは、DPFケース44aよりも、エンジン100の幅方向において、吸気側に取り付けられている。即ち、DPFケース44aとSCRケース45aは、エンジン100の幅方向に並べて取り付けられている。
【0042】
SCR装置45の内部においては、排気ガスが、冷却ファン6に近い側からフライホイールハウジング61に近い側に向かって流れる。SCR装置45を通過した排気ガスは、SCRケース45aの排気ガスの出口に接続された排出管53を介して外部へ排出される。
【0043】
続いて、ATD43(即ちDPFケース44a及びSCRケース45a)をエンジン本体1の上方で支持するための支持構造について、図3等を参照して説明する。図3は、エンジン100の構成を示す分解斜視図である。
【0044】
なお、以下では、「前」とは、エンジン100の長手方向で冷却ファン6に近い側を意味し、「後」とは、エンジン100の長手方向でフライホイールハウジング61に近い側を意味する。ただし、これらの向きの呼び方は便宜的なものであり、エンジン100が機械に取り付けられる向き等を限定するものではない。
【0045】
本実施形態のエンジン100において、ATD43をエンジン本体1の上方に支持するための支持構造は、図1及び図3に示すように、支持台8と支持ブラケット9とから構成される。具体的には、図3に示すように、ATD43(即ち、DPFケース44a及びSCRケース45a)は、支持台8の上に載置された状態で、支持ブラケット9を介してエンジン本体1に取り付けられている。
【0046】
支持台8は、図4に示すように、略板状の鋳物から構成される。支持台8において、DPFケース44aの下部及びSCRケース45aの下部と対面する部分は、当該DPFケース44a及びSCRケース45aの外周面に沿った湾曲状に形成されている。言い換えれば、エンジン100の長手方向に沿う向きで見たとき、支持台8は、幅方向に並べられた2つの円弧状板から構成されている。
【0047】
支持台8は、平面視で細長い形状となっている。支持台8は、図1及び図3に示すように、厚み方向がエンジン100の高さ方向と一致し、長手方向がエンジン100の長手方向と一致し、幅方向がエンジン100の幅方向と一致するように、エンジン本体1(具体的には、ヘッドカバー14)の上方に位置して支持されている。
【0048】
支持台8は、図4に示すように、第1支持部70と、第2支持部80と、を長手方向に並べて取り付けることで構成されている。第1支持部70は前側に配置され、第2支持部80は後側に配置されている。なお、これに限定されず、支持台8は、一体型に形成されても良い。
【0049】
第1支持部70は、図4等に示すように、平面視で略T字状に形成されている。第1支持部70には、ケース前側取付部81と、前端ブラケット取付部83と、が形成されている。ケース前側取付部81には、DPFケース44a及びSCRケース45aの前端が取り付けられる。前端ブラケット取付部83には、支持ブラケット9が取り付けられる。
【0050】
第2支持部80は、平面視で略長方形に形成されている。第2支持部80には、ケース後側取付部82が形成されている。ケース後側取付部82には、DPFケース44a及びSCRケース45aの後端が取り付けられる。
【0051】
また、第2支持部80には、後端ブラケット取付部84と、排気側ブラケット取付部85と、吸気側ブラケット取付部86と、が形成されている。後端ブラケット取付部84、排気側ブラケット取付部85及び吸気側ブラケット取付部86には、それぞれ支持ブラケット9が取り付けられる。
【0052】
ケース前側取付部81は、支持台8の幅方向に2つ並べて形成されている。ケース後側取付部82も同様である。幅方向一側のケース前側取付部81及びケース後側取付部82には、DPFケース44aが取り付けられる。幅方向他側のケース前側取付部81及びケース後側取付部82には、SCRケース45aが取り付けられる。
【0053】
2つのケース前側取付部81の構成は、互いに実質的に同一である。また、2つのケース後側取付部82の構成は、互いに実質的に同一である。以下では、代表して、支持台8の幅方向における片側(具体的には、DPFケース44a側)に位置するケース前側取付部81及びケース後側取付部82について説明する。
【0054】
ケース前側取付部81には、図4から図7までに示すように、補助部材取付部81aと、ケース支持部81bと、が形成されている。
【0055】
補助部材取付部81aは、図6に示すように、支持台8(第1支持部70)の前端から更に前方に突出する平板状に形成されている。この補助部材取付部81aには、第1補助部材87がボルト等を介して取り付けられている。
【0056】
第1補助部材87は、図5及び図6等に示すように、ブロック状に形成されている。第1補助部材87は、図6に示すように、補助部材取付部81aの上面に載せられた状態で、上下方向に挿入されるボルト等を介して補助部材取付部81aに取り付けられている。これにより、第1補助部材87は、図4に示すように、補助部材取付部81aより上方に突出するように配置される。
【0057】
この第1補助部材87は、DPFケース44aの前端を固定するために用いられる。具体的には、図4及び図5に示すように、DPFケース44aの前端が、第1補助部材87に突き当たった状態で、エンジン100の長手方向に挿入されるボルト等を介して第1補助部材87に取り付けられている。このように、DPFケース44aの前端が第1補助部材87に固定される。
【0058】
ケース支持部81bは、第1支持部70の前端に位置している。ケース支持部81bの上面には、DPFケース44aの外周面と接触し、DPFケース44aを支持する支持突起81cが形成されている。この支持突起81cは、図6の下側に示すように、複数(本実施形態においては、2つ)形成されても良いし、図6の上側に示すように、幅方向に細長く連続的に形成された1つの突起から構成されても良い。
【0059】
この支持突起81cを介して、DPFケース44aの前端が、ケース支持部81b(ひいては支持台8)の上面と接触しない状態で上記第1補助部材87に取り付けられる。言い換えれば、図5に示すように、DPFケース44aの前端の下面と第1支持部70の上面との間に隙間C1が形成される。
【0060】
ケース後側取付部82は、図6等に示すように、支持台8の長手方向における第2支持部80の中途部に形成されている。ケース後側取付部82は、第1ケース取付部(固定部)821と、第2ケース取付部(固定部)822と、を備える。第1ケース取付部821と第2ケース取付部822は、支持台8の長手方向に並べて配置されている。
【0061】
第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822は、実質的に同一の構成である。第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822のそれぞれは、例えば、支持台8の幅方向に適宜の間隔をあけて並べられた1対の取付ボスから構成される。それぞれの取付ボスには、取付孔が上下方向に形成される。取付孔同士の間隔は、例えば、DPFケース44a及びSCRケース45aの外径を考慮して定めることができる。
【0062】
なお、第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822の構成は、上記の構成に限定されず、後述の第2補助部材88を固定できる他の構造から構成されても良いし、第2補助部材88と一体的に形成されても良い。
【0063】
第1ケース取付部821は、第2ケース取付部822より前方(冷却ファン6側)に設けられている。第1ケース取付部821は、長さが相対的に短いDPFケース44aを取り付ける場合に用いられる。
【0064】
第2ケース取付部822は、第1ケース取付部821より後方(フライホイールハウジング61側)に設けられている。第2ケース取付部822は、長さが相対的に長いDPFケース44aを取り付ける場合に用いられる。
【0065】
第2補助部材88を取り付ける場所として、第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822の何れかが択一的に選択される。これにより、支持台8は、仕様に応じて長さが異なるDPFケース44aのそれぞれに対応することができる。即ち、異なる仕様のDPFケース44aに対して、共通の支持台8を兼用することができる。
【0066】
以下では、DPFケース44aの取付けに関する説明において、代表して、第2ケース取付部822を用いる場合を説明する。図7には、第2ケース取付部822に第2補助部材88が取り付けられる様子が示されている。
【0067】
DPFケース44aの後端部が、図4等に示すように、第2補助部材(取付部材)88を介して、ケース後側取付部82(第2ケース取付部822)に取り付けられている。
【0068】
次に、DPFケース44aを第2ケース取付部822に取り付けるための構成について、図8等を参照して簡単に説明する。図8は、ATD43を支持台8に取り付ける様子を示す斜視図である。
【0069】
図8に示すように、DPFケース44aの後端(SCRケース45aの後側)には、外周面から更に径方向外側に延設されたフランジ部46が形成されている。このフランジ部46は、第2ケース取付部822に取り付けるために用いられる。
【0070】
フランジ部46は、例えば、板部材から形成された略円環状の部材をDPFケース44aの外周に取り付けることにより形成することができる。しかし、これに限定されず、フランジ部46は、例えば、DPFケース44aの下側における外周面(即ち、外周面の一部)から更に下方に延出するように構成されても良い。
【0071】
支持台8の第2支持部80には、当該フランジ部46を通過させるための開口部71が形成されている。開口部71は、図6等に示すように、第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822を構成する1対の取付孔の間であって、支持台8を厚み方向に貫通するように形成されている。
【0072】
DPFケース44aが支持台8の上に載置されている状態において、図8に示すように、フランジ部46は開口部71を通過して、支持台8の下方から露出される。
【0073】
第2補助部材88は、図7等に示すように、細長いブロック状に形成されている。第2補助部材88は、その長手方向がエンジン100の幅方向と一致するように、ケース後側取付部82(第2ケース取付部822)に固定されている。
【0074】
第2補助部材88の長手方向両端部が、上下方向に挿入されるボルト等を介して、ケース後側取付部82(図7の例では、第2ケース取付部822)に取り付けられている。
【0075】
第2補助部材88の後端には、DPFケース44a(具体的には、フランジ部46)を取り付けるための取付穴が形成されている。当該取付穴は、エンジン100の長手方向を向くように開口している。
【0076】
DPFケース44aが支持台8の上に載置されている状態において、図8に示すように、DPFケース44aのフランジ部46が、第2補助部材88の後側の面(取付穴が形成された部分)に接触している。この状態で、フランジ部46は、エンジン100の長手方向に挿入されるボルト等を介して、第2補助部材88に取り付けられる。このように、DPFケース44aの後端は、第2補助部材88を介して、支持台8に固定される。
【0077】
本実施形態のエンジン100においては、フランジ部46が第2補助部材88に取り付けられている状態において、DPFケース44aが第2支持部80との間に図5の隙間C2を形成するように、フランジ部46に形成されるボルト孔の位置が定められている。
【0078】
この構成により、図5に示すように、DPFケース44aが支持台8に載置されている状態において、当該DPFケース44aの前端の一部だけが支持台8(支持突起81c)に直接接触することとなる。即ち、DPFケース44aは、ほぼ支持台8の上方に浮いた状態で支持されている。この結果、DPFケース44aの外周面と支持台8の上面との間の隙間C1,C2に、回転する冷却ファン6が生成する空気(風)を流すことができる。この結果、ATD43の放熱効果が良好である。
【0079】
また、本実施形態の支持台8の第2支持部80には、図6に示すように、通気窓部72が複数(本実施形態においては8つ)形成されている。この通気窓部72は、厚み方向に支持台8を貫通するように形成されている。これにより、ATD43の放熱効果を更に高めることができる。
【0080】
本実施形態の支持台8においては、3角形状の通気窓部72が複数並べて配置された構成となっている。しかし、通気窓部72の形状及び数は、特に限定されない。例えば、スリット状の通気窓部が形成されても良い。
【0081】
前端ブラケット取付部83は、図8等に示すように、支持台8の前端において、支持台8の下側面から更に下方に突出するように形成されている。前端ブラケット取付部83は、支持台8の幅方向に所定の距離をあけて複数(本実施形態においては2つ)形成されている。前端ブラケット取付部83は、例えば略筒状に形成されても良いし、略漏斗状に形成されても良く、その形状が特に限定されない。
【0082】
前端ブラケット取付部83の下面には、ボルト等を下側から差し込むための取付穴が形成されている。この取付穴は、図9に示すように、後述の前側支持ブラケット91に形成された上下取付ボス91aの位置に対応して形成されている。
【0083】
なお、前端ブラケット取付部83は、上記の構成に限定されず、例えば、支持台8を上下方向に貫通する貫通穴から構成されても良いし、別の取付構造から構成されても良い。
【0084】
後端ブラケット取付部84は、図4及び図8に示すように、支持台8の後端において、更に後方に突出する略筒状に形成されている。後端ブラケット取付部84は、支持台の幅方向に所定の距離をあけて複数(本実施形態においては3つ)形成されている。
【0085】
後端ブラケット取付部84には、ボルト等を水平方向後側から差し込むための取付穴が形成されている。この取付穴は、図10に示すように、後述の後側支持ブラケット92に形成された水平取付ボス92aの水平孔の位置に対応して形成されている。
【0086】
排気側ブラケット取付部85は、支持台8の幅方向において、DPFケース44aが取り付けられる側の支持台8の端部に配置されている。排気側ブラケット取付部85は、支持台8の下側面から更に下方に突出する略筒状に形成されている。排気側ブラケット取付部85は、支持台8の長手方向において、所定の距離をあけて複数(本実施形態においては2つ)形成されている。
【0087】
排気側ブラケット取付部85には、ボルト等を上側から差し込むための取付孔が形成されている。この取付孔は、図10に示すように、後述の排気側支持ブラケット93に形成された取付穴の位置に対応して形成されている。
【0088】
吸気側ブラケット取付部86は、支持台8の幅方向において、SCRケース45aが取り付けられる側の支持台8の端部に配置されている。吸気側ブラケット取付部86は、排気側ブラケット取付部85と同様に、支持台8の下側面から更に下方に突出する略筒状に形成されている。吸気側ブラケット取付部86は、支持台8の長手方向において、所定の距離をあけて複数(本実施形態においては2つ)形成されている。
【0089】
吸気側ブラケット取付部86の下面には、ボルト等を上側から差し込むための取付孔が形成されている。この取付孔は、図9に示すように、後述の吸気側支持ブラケット94に形成された取付穴の位置に対応して形成されている。
【0090】
排気側ブラケット取付部85及び吸気側ブラケット取付部86は、支持台8の幅方向において、互いに対称でないそれぞれの位置に形成されることが好ましい。即ち、排気側ブラケット取付部85及び吸気側ブラケット取付部86は、支持台8の長手方向における異なる位置に配置されることが好ましい。
【0091】
本実施形態においては、排気側ブラケット取付部85は、長手方向における支持台8のやや後方側に形成され、吸気側ブラケット取付部86は、長手方向における支持台8のやや前方側に形成されている。
【0092】
これにより、後述の排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94を介して、支持台8を支持するとき、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94のそれぞれが小さい場合でも、支持台8(ひいてはATD43)をバランス良くかつ安定して支持することができる。
【0093】
上述したそれぞれの取付部(ボルトを差し込む場所)の位置は、支持台8を好適に支持できるように、適切に設定することができる。前端ブラケット取付部83における所定の距離、後端ブラケット取付部84における所定の距離、排気側ブラケット取付部85における所定の距離、及び吸気側ブラケット取付部86における所定の距離は、同じ値に設定されても良いし、互いに異なる値に設定されても良い。
【0094】
続いて、図9及び図10等を参照して、支持台8をエンジン本体1に取り付けるための支持ブラケット9について説明する。図9は、前側支持ブラケット91及び吸気側支持ブラケット94をエンジン本体1に取り付ける様子を示す分解斜視図である。図10は、後側支持ブラケット92及び排気側支持ブラケット93をエンジン本体1に取り付ける様子を示す分解斜視図である。
【0095】
支持ブラケット9は、前側支持ブラケット(第1支持ブラケット)91と、後側支持ブラケット(第2支持ブラケット)92と、排気側支持ブラケット(第3支持ブラケット)93と、吸気側支持ブラケット(第4支持ブラケット)94と、を備える。前側支持ブラケット91、後側支持ブラケット92、排気側支持ブラケット93、及び吸気側支持ブラケット94のそれぞれは、例えば鋳物から形成されている。
【0096】
前側支持ブラケット91は、図9に示すようにブロック状に形成されている。前側支持ブラケット91は、冷却ファン6側において、エンジン本体1に取り付けられ、支持台8を支持する。
【0097】
前側支持ブラケット91の下部には、ボルトをエンジン100の長手方向に差し込むための取付孔が複数形成されている。前側支持ブラケット91は、図9に示すように、形成された上記複数の取付孔と、エンジン本体1(例えば、シリンダヘッド13)の対応位置に形成された穴と、を合わせた状態で、ボルト等をエンジン100の長手方向に差し込んで取り付けることで、エンジン本体1に固定される。
【0098】
前側支持ブラケット91の上側には、上下取付ボス(上下取付部)91aが、前端ブラケット取付部83の位置及び数に応じて複数形成されている。それぞれの上下取付ボス91aには、ボルト等を上下方向に差し込むことが可能な上下孔が形成されている。上下取付ボス91aの上面は、支持台8の前端ブラケット取付部83の下面に接触することで、上下方向での支持台8の位置決めを行う位置決め面となっている。
【0099】
それぞれの上下孔と、上述した複数の前端ブラケット取付部83のそれぞれに形成された取付穴と、を合わせた状態で、ボルト等を上下方向に差し込んで取り付けることで、当該前側支持ブラケット91に支持台8が固定される。
【0100】
後側支持ブラケット92は、図10に示すようにブロック状に形成されている。後側支持ブラケット92は、フライホイールハウジング61側において、エンジン本体1に取り付けられ、支持台8を支持する。
【0101】
後側支持ブラケット92の下側には、ボルト等をエンジン100の長手方向に差し込むための取付孔が複数形成されている。後側支持ブラケット92は、図10に示すように、形成された上記複数の取付孔と、エンジン本体1(例えば、シリンダヘッド13)の対応位置に形成された穴と、を合わせた状態で、ボルト等をエンジン100の長手方向に差し込んで取り付けることで、エンジン本体1に固定される。
【0102】
後側支持ブラケット92の上端には、水平取付ボス(水平取付部)92aが、後端ブラケット取付部84の位置及び数に対応して複数形成されている。それぞれの水平取付ボス92aには、ボルト等をエンジン100の長手方向に差し込むことが可能な水平孔が形成されている。水平取付ボス92aの前面は、支持台8の後端ブラケット取付部84の後面に接触することで、長手方向での支持台8の位置決めを行う位置決め面となっている。
【0103】
水平取付ボス92aに形成された水平孔と、上述した複数のケース後側取付部82のそれぞれに形成された取付穴と、を合わせた状態で、ボルト等を水平方向に差し込んで取り付けることで、当該後側支持ブラケット92に支持台8が固定される。
【0104】
排気側支持ブラケット93は、図10に示すように、エンジン100の幅方向において、排気マニホールド42が配置された排気側に配置されている。排気側支持ブラケット93は、異なる高さに配置された2つの部品から構成されている。
【0105】
排気側支持ブラケット93は、支持台側ブロック(第2部品)96と、エンジン本体側ブロック(第1部品)97と、を備える。
【0106】
支持台側ブロック96は、図10に示すように、エンジン本体側ブロック97より上側に配置されている。支持台側ブロック96の下端には、エンジン本体側ブロック97と連結するための取付孔が形成されている。当該取付孔は、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むように形成されている。支持台側ブロック96の上端には、支持台8に取り付けるための取付穴が形成されている。当該取付穴は、ボルト等を上下方向に差し込むように形成されている。
【0107】
エンジン本体側ブロック97は、図10に示すように、支持台側ブロック96より下側に配置されている。エンジン本体側ブロック97の上端には、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むための取付穴が形成されている。この取付穴は、エンジン本体側ブロック97を支持台側ブロック96と連結するために用いられる。エンジン本体側ブロック97の下端には、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むための取付孔が形成されている。この取付孔は、エンジン本体側ブロック97をエンジン本体1(具体的には、シリンダヘッド13)に取り付けられるために用いられる。
【0108】
支持台側ブロック96は、その下端に形成された取付孔と、エンジン本体側ブロック97の上端に形成された取付穴と、を合わせた状態でボルト等を取り付けることで、エンジン本体側ブロック97に固定される。
【0109】
このように、排気側支持ブラケット93は、支持台8を、シリンダヘッド13に対して連結する構成となっている。大きなブロック状の部品であるシリンダヘッド13に排気側支持ブラケット93が取り付けられることで、支持台8及びATD43を安定して支持することができる。
【0110】
上記のように構成された排気側支持ブラケット93は、図10に示すように、エンジン本体側ブロック97の下側に形成された取付孔と、エンジン本体1の対応位置に形成された穴と、を合わせた状態でボルト等を取り付けることで、エンジン本体1に固定される。
【0111】
吸気側支持ブラケット94は、図9に示すように、エンジン100の幅方向において、吸気マニホールド23が配置された吸気側に配置されている。吸気側支持ブラケット94は、異なる高さに配置された2つの部品から構成されている。
【0112】
吸気側支持ブラケット94は、上側ブロック(第2部品)98と、下側ブロック(第1部品)99と、を備える。
【0113】
上側ブロック98は、図9に示すように、下側ブロック99より上側に配置されている。上側ブロック98の下端には、下側ブロック99と連結するための取付孔が形成されている。当該取付孔は、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むように形成されている。上側ブロック98の上端には、支持台8に取り付けるための取付穴が形成されている。当該取付穴は、ボルト等を上下方向に差し込むように形成されている。
【0114】
下側ブロック99は、図9に示すように、上側ブロック98より下側に配置されている。下側ブロック99の上端には、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むための取付穴が形成されている。この取付穴は、下側ブロック99を上側ブロック98と連結するために用いられる。下側ブロック99の下端には、ボルト等をエンジン100の幅方向に差し込むための取付孔が形成されている。この取付孔は、下側ブロック99をエンジン本体1(具体的には、シリンダブロック12)に取り付けられるために用いられる。
【0115】
上側ブロック98は、その下端に形成された取付孔と、下側ブロック99の上端に形成された取付穴と、を合わせた状態でボルト等を取り付けることで、下側ブロック99に固定される。
【0116】
このように、吸気側支持ブラケット94は、支持台8を、シリンダブロック12に対して連結する構成となっている。大きなブロック状の部品であるシリンダブロック12に吸気側支持ブラケット94が取り付けられることで、支持台8及びATD43を安定して支持することができる。
【0117】
上記のように構成された吸気側支持ブラケット94は、図9に示すように、下側ブロック99の下側に形成された取付孔と、エンジン本体1(例えば、シリンダブロック12)の対応位置に形成された穴と、を合わせた状態でボルト等を取り付けることで、エンジン本体1に固定される。
【0118】
以上のようにして、前側支持ブラケット91、後側支持ブラケット92、排気側支持ブラケット93、及び吸気側支持ブラケット94は、エンジン本体1に取り付けられる。
【0119】
図3に示すように、前側支持ブラケット91においては、下側からボルト等を上下方向に差し込んで取り付けることで、当該前側支持ブラケット91に支持台8の前端ブラケット取付部83が固定される。
【0120】
後側支持ブラケット92においては、ボルト等を水平方向に差し込んで取り付けることで、当該後側支持ブラケット92に支持台8の吸気側支持ブラケット94が固定される。
【0121】
排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94においては、上方からボルト等を上下方向に差し込んで取り付けることで、当該排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94のそれぞれに、支持台8の排気側ブラケット取付部85及び吸気側ブラケット取付部86のそれぞれが固定される。
【0122】
このようにして、支持台8が、エンジン本体1の上方に位置した状態で、エンジン本体1によって支持される。また、細長いATD43は、エンジン100の長手方向に沿って配置され、支持台8に固定される。これにより、仮にエンジン100の仕様によってATD43の長さが上述のように変化しても、エンジン100の幅方向の長さを短くすることができる。従って、本実施形態のエンジン100は、幅方向におけるコンパクト化を実現できており、例えば、細いボンネットの内部にエンジンを収容することが必要な小型トラクタ等へ適用することが好適である。
【0123】
本実施形態のエンジン100においては、支持台8をエンジン本体1に取り付けるとき、事前に前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92をエンジン本体1に取り付けた後、支持台8を前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92に取り付ける。その後、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94が、エンジン本体1及び支持台8に取り付けられる。
【0124】
このように、前側支持ブラケット91により、上下方向における支持台8の位置決めを行い、後側支持ブラケット92により、エンジン100の長手方向における支持台8の位置決めを行うことができる。従って、ATD43の支持台8をエンジン本体1の上方に取り付けるとき、その3次元的な取付位置を簡単かつ正確に決めることができる。即ち、支持台8の位置決め治具などを要せずに、支持台8を正確な位置に容易に取り付けることができる。
【0125】
本実施形態において、上下取付ボス91aは、後側支持ブラケット92ではなく、前側支持ブラケット91に配置されている。従って、前側支持ブラケット91が図3に示すように冷却ファン6とエンジン本体1との間に位置しても、支持台8を前側支持ブラケット91に取り付けるためのボルトを差し込む作業等の際に、冷却ファン6が邪魔になりにくい。従って、組立作業性が良好である。
【0126】
前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92が取り付けられた後、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94が取り付けられる。排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94は何れも高さ方向で分割された構成となっており、上下の部品をボルトで互いに連結するための取付孔に適宜の遊びが形成されている。従って、前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92によって正確に位置決めされた支持台8を、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94によって、ガタ等を生じさせずに支持することができる。
【0127】
次に、本実施形態のエンジン100が備えるセンサ支持構造について説明する。この支持構造は、ATD43の熱がセンサ類に及ぼす影響を抑制することができる。
【0128】
このセンサ支持構造は、主として、スペーサ62を備えるセンサ支持ブラケット60から構成される。
【0129】
センサ支持ブラケット60は、図11に示すように、エンジン100の幅方向で見たとき、略門形状に形成され、DPFケース44aの排気ガス出口側(フライホイールハウジング61側)端部に取り付けられている。
【0130】
センサ支持ブラケット60の上面には、例えば、DPF装置44が備えるフィルタの上流側及び下流側の圧力差を検出する差圧センサ48が支持されている。エンジン100(DPF装置44)の長手方向において、センサ支持ブラケット60のDPFケース44aとは反対側の側面には、ATD43の温度を検出する温度センサ49が取り付けられている。
【0131】
エンジン100(DPF装置44)の長手方向で、センサ支持ブラケット60においてDPFケース44aと対面する側面には、当該センサ支持ブラケット60がDPFケース44aと所定距離離れて配置されるためのスペーサ62が複数(本実施形態においては2つ)設けられている。
【0132】
スペーサ62は、例えば、エンジン100の幅方向に並べて配置され、溶接等によって、センサ支持ブラケット60と一体に形成されている。スペーサ62は、例えば、円筒状に形成され、センサ支持ブラケット60をDPFケース44aに取り付けるための取付け部としても機能する。
【0133】
センサ支持ブラケット60は、スペーサ62を介して、ボルト等によって、DPFケース44aのスティフナー47に取り付けられている。エンジン100の幅方向におけるセンサ支持ブラケット60の一方側(例えば吸気側における端部)が、ボルト等を介して、ATD43とは別途に設けられたフレーム50に固定されている。これにより、センサ支持ブラケット60を安定した姿勢で取り付けることができる。
【0134】
スティフナー47は、DPFケース44aの外周面から更に径方向外側(本実施形態においては上側)に延設されることで形成されている。スティフナー47は、例えば、板部材から形成されたフランジ部材をDPFケース44aの外周に取り付けることにより形成することができる。
【0135】
これにより、センサ支持ブラケット60は、DPFケース44aの外周面と離れた位置に取り付けることができるので、DPFケース44aからの輻射熱による影響を抑制することができる。
【0136】
そして、上記のように、センサ支持ブラケット60は、スペーサ62を介してスティフナー47に取り付けられているので、センサ支持ブラケット60とDPFケース44aと直接接続する面積をスペーサ62のサイズに制限することができる。従って、DPFケース44aで発生する熱がセンサ支持ブラケット60に直接伝達することを抑制できる。
【0137】
即ち、上記の防熱支持構造により、差圧センサ48等のセンサ類に対して、DPFケース44aからの熱による熱害を回避することができる。センサ類をATD43の近傍に配置することもでき、配線のコンパクト化及びセンサ類のレイアウトの自由度の向上を図ることができる。
【0138】
以上に説明したように、本実施形態のエンジン100は、排気ガスを浄化するATD43を有する。エンジン100は、エンジン本体1と、支持台8と、前側支持ブラケット91と、後側支持ブラケット92と、を備える。支持台8は、ATD43を支持する。前側支持ブラケット91は、エンジン本体1の一方側に配置されて当該エンジン本体1に取り付けられ、支持台8を支持する。後側支持ブラケット92は、エンジン本体1を挟んで前側支持ブラケット91とは反対側に配置されてエンジン本体1に取り付けられ、支持台8を支持する。前側支持ブラケット91は、エンジン本体1の一方側に配置され、支持台8に対して上下方向に取り付けられる上下取付ボス91aを有する。後側支持ブラケット92は、エンジン本体1を挟んで前側支持ブラケット91とは反対側に配置され、支持台8に対して水平方向に取り付けられる水平取付ボス92aを有する。
【0139】
これにより、ATD43をエンジン本体1の上方に容易に支持することができる。また、エンジン本体1を挟む両側から支持台8を支持することで、支持台8を安定した状態で支持することができる。前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92に上下取付ボス91aと水平取付ボス92aとを振り分けて配置することで、位置決め治具を要せずに、支持台8(ひいてはATD43)の位置を正確に決めることができる。従って、組立作業性が良好である。
【0140】
また、本実施形態のエンジン100は、フライホイールと、冷却ファン6と、を備える。冷却ファン6は、冷却のために回転する。冷却ファン6とフライホイールは、エンジン本体1を挟んで互いに反対側に配置される。前側支持ブラケット91は、冷却ファン6側に配置される。後側支持ブラケット92は、フライホイール側に配置されている。
【0141】
これにより、支持台8は前側支持ブラケット91に対して上下方向に取り付けられるので、ボルトを差し込んで取り付ける作業の際に、冷却ファン6が邪魔になりにくい。従って、エンジン本体1に固定された前側支持ブラケット91に対して、支持台8を容易に固定することができる。
【0142】
また、本実施形態のエンジン100は、排気側支持ブラケット93と、吸気側支持ブラケット94と、を備える。排気側支持ブラケット93は、エンジン本体1の、前側支持ブラケット91が配置された側及び後側支持ブラケット92が配置された側の何れとも異なる側(排気側)に配置される。吸気側支持ブラケット94は、エンジン本体1を挟んで排気側支持ブラケット93とは反対側(吸気側)に配置される。排気側支持ブラケット93は、エンジン本体1と支持台8とを連結する方向に並べられた支持台側ブロック96及びエンジン本体側ブロック97から構成される。吸気側支持ブラケット94は、エンジン本体1と支持台8とを連結する方向に並べられた上側ブロック98及び下側ブロック99から構成される。
【0143】
これにより、支持台8を4つの側で支持することができるので、一層安定した支持を実現することができる。また、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94において部品同士の位置変化を許容する構成とすることで、前側支持ブラケット91及び後側支持ブラケット92による支持台8の位置決めを維持しながら、支持台8を良好に支持することができる。
【0144】
また、本実施形態のエンジン100は、第2補助部材88を備える。第2補助部材88は、ATD43を支持台8に取り付けるために用いられる。支持台8には、第2補助部材88を固定可能な第1ケース取付部821及び第2ケース取付部822が設けられている。
【0145】
これにより、支持台8に対するATD43の取付位置を段階的に変更することができるので、複数仕様のATD43に対して共通の支持台8を兼用することができる。この結果、製造コストを低減できるとともに、部品管理の手間を軽減することができる。
【0146】
次に、変形例の支持台8xについて、図12及び13を参照して説明する。図12は、変形例の支持台8xの構成を示す斜視図である。図13は、ATD43が変形例の支持台8xに取り付けられた様子を示す斜視図である。なお、本変形例の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0147】
変形例の支持台8xは、図12に示すように、本体部73と、前方補助部材74と、後方突起部75と、サイド取付部76と、から構成されている。
【0148】
本体部73は、略板状の鋳物から構成され、平面視で矩形(正方形)に形成されている。本体部73の中途部には、複数の通気窓部72が形成されている。本体部73の前方(エンジン100の冷却ファン6側)には、前方補助部材74がボルト等を介して取り付けられている。
【0149】
前方補助部材74は、上記実施形態の第1補助部材87とほぼ同一のブロック状に形成されている。前方補助部材74は、DPFケース44a(SCRケース45a)の前端を固定するために用いられる。具体的には、上記第1補助部材87と同じように、DPFケース44a(SCRケース45a)の前端が、前方補助部材74に突き当たった状態で、DPFケース44a(SCRケース45a)の長手方向に挿入されるボルト等を介して前方補助部材74に取り付けられる。
【0150】
前方補助部材74には、上記実施形態のケース支持部81bが形成されている。DPFケース44a(SCRケース45a)が前方補助部材74に取り付けられているとき、ケース支持部81bがDPFケース44a(SCRケース45a)の前端の外周面と接触し、DPFケース44a(SCRケース45a)が本体部73の上面と接触しないように、当該DPFケース44a(SCRケース45a)を支持する。これにより、DPFケース44a(SCRケース45a)の前端の下面と本体部73の上面との間に隙間が形成される。
【0151】
後方突起部75は、本体部73の後方側(エンジン100のフライホイールハウジング61側)において、本体部73の上面から更に上に突出するように形成されている。DPFケース44a(SCRケース45a)が支持台8xに取り付けられているとき、後方突起部75は、DPFケース44a(SCRケース45a)の後端の外周面と接触し、DPFケース44a(SCRケース45a)が本体部73の上面と接触しないように、当該DPFケース44a(SCRケース45a)を支持する。これにより、DPFケース44a(SCRケース45a)の後端の下面と本体部73の上面との間に隙間が形成される。
【0152】
この構成により、支持台8xにおいても、DPFケース44a(SCRケース45a)を、ほぼ支持台8xの上方に浮いた状態で支持することができ、放熱効果の向上を図ることができる。
【0153】
また、DPFケース44a(SCRケース45a)を支持台8xに取り付けるとき、ケースの外周に巻き掛けるバンド等の部材を要しない。このため、バンドの締付けに耐えるように剛性を増強する構造をDPFケース44a(SCRケース45a)に設ける必要がないので、コストの低減を図ることができる。
【0154】
エンジン100の長手方向において、フライホイールハウジング61側における後方突起部75の側面(即ち支持台8xの後側の面)には、DPFケース44a(SCRケース45a)を固定するための取付穴が形成されている。
【0155】
DPFケース44a(SCRケース45a)が支持台8xの上に載置されている状態において、図13に示すように、DPFケース44a(SCRケース45a)のフランジ部46が、支持台8xの後側の面(取付穴が形成された部分)に接触する。DPFケース44a(SCRケース45a)のフランジ部46が支持台8xの後側の面と接触している状態で、エンジン100の長手方向に挿入されるボルト等を介して、フランジ部46(即ちDPFケース44a及びSCRケース45a)が支持台8xに固定される。
【0156】
サイド取付部76は、エンジン100の長手方向で見たとき、略L字状に形成され、支持台8xをエンジン本体1に固定するために用いられる。サイド取付部76は、エンジン100の幅方向における支持台8xの両サイドのそれぞれに配置されている。
【0157】
エンジン100の幅方向及び高さ方向におけるサイド取付部76の側面のそれぞれには、取付穴が複数形成されている。サイド取付部76は、エンジン100の幅方向における側面に形成された取付穴に挿入されるボルト等を介して支持台8xに固定されている。サイド取付部76は、エンジン100の高さ方向における側面に形成された取付穴に挿入されるボルト等を介してエンジン本体1に固定されている。このように、支持台8xが簡単にエンジン本体1に取り付けることができる。
【0158】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0159】
上下取付ボス91aは、ボス状とすることに代えて、単に前側支持ブラケット91に取付孔が形成されただけの構成としても良い。水平取付ボス92aも同様に、ボス状とすることに代えて、単に後側支持ブラケット92に取付孔が形成されただけの構成としても良い。
【0160】
前側支持ブラケット91に水平取付ボスが形成され、後側支持ブラケット92に上下取付ボスが形成されても良い。
【0161】
前側支持ブラケット91、後側支持ブラケット92、排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94の形状は、他の部品との干渉等を考慮して、適宜変更することができる。
【0162】
排気側支持ブラケット93及び吸気側支持ブラケット94のうち少なくとも何れかが省略されても良い。
【0163】
DPFケース44a及びSCRケース45aのフライホイールハウジング61側の端部は、ケース後側取付部82に直接取り付けられても良い。ケース後側取付部82は、例えば、支持台8の長手方向における固定位置が変更可能な板状部材等の他の形状に変更しても良い。
【0164】
ケース後側取付部82は、支持台8の長手方向に並べられた3つ以上のケース取付部(固定部)を備えても良い。
【0165】
必要に応じて、第2補助部材88は支持台8の上側に取り付けられても良い。この場合、第2補助部材88の形状は、適宜変更することができる。
【0166】
ATD43は、DPF装置44のみから構成されても良い。
【0167】
平面視で見たときに、エンジン100の略長方形の長手方向は、クランク軸10が延びる方向と垂直であっても良い。また、平面視で見たときに、エンジン100が略正方形であっても良い。
【符号の説明】
【0168】
1 エンジン本体
8 支持台
43 ATD(排気ガス浄化装置)
91 前側支持ブラケット
91a 上下取付ボス
92 後側支持ブラケット
92a 水平取付ボス
100 エンジン
図1
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図13