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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019391
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/06 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
F03D3/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122393
(22)【出願日】2022-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】393002623
【氏名又は名称】島崎 健児
(71)【出願人】
【識別番号】510168874
【氏名又は名称】島崎 康正
(71)【出願人】
【識別番号】517372003
【氏名又は名称】島崎 哲伸
(74)【代理人】
【識別番号】100154195
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 敬子
(74)【代理人】
【識別番号】100171826
【弁理士】
【氏名又は名称】丸林 啓介
(72)【発明者】
【氏名】島崎 健児
(72)【発明者】
【氏名】島崎 康正
(72)【発明者】
【氏名】島崎 哲伸
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA13
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB46
3H178CC03
3H178CC05
3H178CC22
3H178DD12Z
3H178DD26X
(57)【要約】
【課題】強風からの損傷を防ぐ風力発電装置を提供する。
【解決手段】通常の風力時は、抗力羽根6が回転軸2及び防風体4と共に支柱1を中心として回転すると共に揚力羽根8が抗力羽根6の回転に対し補助として働くように回転する。そして、強風時には、強風から受ける揚力羽根8の揚力で下側腕部7が支点25を中心として実線で示す位置から仮想線で示す位置の側へと上方に持ち上げられるに伴い、上側腕部5が支点22を中心として実線で示す位置から仮想線で示す位置の側へと上方に持ち上げられ、抗力羽根6が防風体4の外部から開口部10を経由して内部空間17に収容され、抗力羽根6が強風に晒されず回転力を減速し、抗力羽根6の過回転を防止しかつ損傷を防ぐことができる。揚力羽根8は微回転となり強風による適切な回転を得ることになる。従って、強風時も特に回転軸2の回転を止めることなく適切な回転を受けて発電をすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風の流れに対し垂直に設置される支柱と、前記風の流れに対し水平に回転し得るように前記支柱に装着された回転軸と、この回転軸の下部に発電可能に連結された発電機と、前記回転軸と一緒に回転するように当該回転軸に固定されかつ前記回転軸の周囲を覆う内部空間を有する防風体と、前記内部空間における前記回転軸に支点を中心として上下動可能に取り付けられた上側腕部と、この上側腕部の外端部に固定にされた抗力羽根と、前記回転軸の前記上側腕部と前記発電機との間に位置する部分に支点を中心として上下動可能に取り付けられた下側腕部と、この下側上部の外端部に固定にされた揚力羽根と、前記上側腕部と前記下側腕部部とを上下動可能に連結した連結体と、前記防風体の周壁に前記抗力羽根を前記防風体の外部と内部空間とに通過可能とするように設けられた開口部と、を備えたことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記防風体の周壁と前記回転軸とには梁が前記上側腕部と前記抗力羽根と前記下側上部並びに前記揚力羽根の上下移動に邪魔にならない位置に掛け渡されて、前記防風体が前記回転軸と一緒に回転するように前記回転軸に固定されたことを特徴とする請求項1記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風の流れに対し垂直な回転軸を有する風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、揚力羽根にスポイラと錘とねじりバネとを備え、通常の風力の場合はスポイラがねじりバネの弾性により揚力羽根に収納され、強風の場合はスポイラがねじりバネの張力や錘の遠心力に抗して開き、揚力羽根の外側表面の気流を乱すことで、ブレードの揚力を減じて風車の過回転を防止する構造が開示されているが、揚力羽根にスポイラと錘とねじりバネとが等の回転部分の全体が強風に晒されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-229685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、強風からの損傷を防ぐ風力発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、風の流れに対し垂直に設置される支柱と、前記風の流れに対し水平に回転し得るように前記支柱に装着された回転軸と、この回転軸の下部に発電可能に連結された発電機と、前記回転軸と一緒に回転するように当該回転軸に固定されかつ前記回転軸の周囲を覆う内部空間を有する防風体と、前記内部空間における前記回転軸に支点を中心として上下動可能に取り付けられた上側腕部と、この上側腕部の外端部に固定にされた抗力羽根と、前記回転軸の前記上側腕部と前記発電機との間に位置する部分に支点を中心として上下動可能に取り付けられた下側腕部と、この下側上部の外端部に固定にされた揚力羽根と、前記上側腕部と前記下側腕部部とを上下動可能に連結した連結体と、前記防風体の周壁に前記抗力羽根を前記防風体の外部と内部空間とに通過可能とするように設けられた開口部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、通常の風力時は、抗力羽根が回転軸及び防風体と共に支柱を中心として回転すると共に揚力羽根が抗力羽根の回転に対し補助として働くように回転する。そして、強風時には、揚力羽根が強風から受ける揚力で下側腕部が回転軸の側の支点を中心として上方に持ち上げられるに伴い、上側腕部が回転軸の側の支点を中心として上方に持ち上げられ、抗力羽根が防風体の外部から開口部を経由して内部空間に収容され、抗力羽根が強風に晒されず回転力を減速し、抗力羽根の過回転を防止しかつ損傷を防ぐことができるうえ、揚力羽根は微回転となり強風による適切な回転を得ることになる。従って、強風時も特に回転軸の回転を止めることなく適切な回転を受けて発電をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図3の101-101線に沿う縦断面図。
図2図3の102-102線に沿う横断面図。
図3】発明を実施するための形態に係る風力発電装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図3を用いて、発明を実施するための形態に係る風力発電装置の構造を説明する。図1に示すように、この発明を実施するための形態に係る風力発電装置は、支柱1と回転軸2と発電機3と防風体4と上側腕部5と抗力羽根6と下側腕部7と揚力羽根8と連結体9と開口部10とを備えた、全方向の風向きに対応可能な構造になっている。
【0009】
支柱1は、風の流れ11に対し垂直となるように、装置本体12で設置場所に設置される。回転軸2は、風の流れ11に対し平行な水平方向に回転し得るように支柱1に外嵌装着され、例えば、支柱1の下部で支柱1より外側に突出した突部13又は図示にされていない止輪で下方に移動しないようにかつ回転可能に支持されている。
【0010】
発電機3は、回転軸2の下部に発電可能に連結されている。例えば、発電機3のケーシングが装置本体12に固定され、発電機3の発電機軸14に固定された歯車15と回転軸2に固定された歯車16とが互いに回転可能に連結されたことにより、回転軸2が回転するに伴い、発電機3の発電機軸14が回転し、発電機3が発電可能となる。
【0011】
防風体4は、回転軸2と一緒に回転するように回転軸2の上部に回転可能に被せられかつ回転軸2の周囲を覆う内部空間17を形成している。具体的には、防風体4は、筒状の下端が開口され、筒状の上端が閉じられた構造であって、筒状の下端が回転軸2の上部から被せられて装置本体12の周辺部に配置された環状のベアリング18の上に搭載され、筒状の閉じられた上端の中央部が回転軸2の上部に回転可能に被せられ、筒状の閉じられた上端及び筒状の周壁が回転軸2の周囲を覆う内部空間17を形成している。筒状の閉じられた上端の中央部が回転軸2の上部に被せられて固定されることで、防風体4が回転軸2と一緒に回転するように構成しても適用可能である。
【0012】
上側腕部5は、回転軸2から直径方向外側に直線的に延びた形状になっている。上側腕部5の回転軸2の側の内端部は、回転軸2の中間部に形成された上面の開放された凹部21に上下移動可能に収容されて支点22を中心として上下動可能に取り付けられている。上側腕部5の支点22の周りの下面が凹部21の底部23に受け止められることで、上側腕部5がそれより下方に移動することがないようになっている。上側腕部5における回転軸2の直径方向外側に延びた外端部には抗力羽根6が固定されている。
【0013】
図2に示す上下方向で対峙する一対の抗力羽根6において、上の抗力羽根6が上方から見て風の流れ11に対し凹形になっており、下の抗力羽根6が上方から見て風の流れ11に対し凸型なっていることから、左方よりより風が吹いてくると、上の抗力羽根6の受け取る力つまり抗力が下の抗力羽根6の受け取る力つまり抗力より強く、この上の抗力羽根6と下の抗力羽根6との抗力差により、上から見て、矢印A方向に回転する。抗力羽根6の凹型及び凸型は、図示したV字形に限定されるものではなく、竹を割ったような弧形、中空な球形を割った半円形又は欠球でも適用可能である。図3に示すように、抗力羽根6の横幅H1が抗力羽根6の高さH2より小さく(H1<H2)、抗力羽根6が縦長な形状であれば、抗力羽根6が半円形又は欠球で形成された場合よりも、開口部10の横幅を小さくすることができる。また、抗力羽根6の凹型及び凸型が、上から見て、図2に示したようなV字形であれば、左方よりより風が吹いてきた場合において、下の抗力羽根6の受け取る抵抗が少なくつまり抗力が小さくなり、上の抗力羽根6と下の抗力羽根6との抗力差が大きくなり、抗力羽根6が円滑に回転することができる。
【0014】
図1に戻り、下側腕部7は、上側腕部5の真下に位置し、回転軸2から直径方向外側に直線的に延びた形状になっている。下側腕部7の回転軸2の側の内端部は、回転軸2の抗力羽根6と発電機3との間に位置する部分に形成された下面の開放された凹部24に上下移動可能に収容されて支点25を中心として上下動可能に取り付けられている。下側腕部7が支点25を中心として実線で示す位置から仮想線で示す位置の側に上昇するのに伴い、下側腕部7の支点25の周りの上面が凹部24の頭部26に受け止められることで、下側腕部7の上昇が停止し、揚力羽根8が防風体4の外側に衝突しないよう停止する。下側腕部7における回転軸2の直径方向外側に延びた外端部には、揚力羽根8が固定されている。
【0015】
図3に示すように、揚力羽根8は、風の流れ11の上流側が高く下流側が低くなるよう斜めになっており、風の流れ11を受けることにより、抗力と揚力とを発生して回転するようになっている。
【0016】
図1に示すように、連結体9は上側腕部5と上側腕部5とを上下動可能に連結している。具体的には、連結体9は防風体4の内部空間17に配置されて防風体4の外部の風の流れ11の影響を受けにくくなっており、連結体9の上端部が軸27で上側腕部5に回転可能に連結され、連結体9の下端部が軸28で上側腕部5に回転可能に連結されたことにより、上側腕部5と下側腕部7とが連結体9を介して一体となって上下動可能になっている。
【0017】
開口部10は、防風体4の周壁に、上側腕部5と抗力羽根6と下側腕部7とを防風体4の外部と内部空間17とに通過可能とする形に設けられている。
【0018】
次に、図1及び図2を用いて、発明を実施するための形態に係る風力発電装置の動作を説明する。図1に実線で示す状態において、通常の風力の場合は、抗力羽根6が風の流れ11による風力を受けて回転軸2及び防風体4と共に支柱1を中心として第2図の矢印A方向に回転すると共に揚力羽根8が抗力羽根6の回転に対し補助として働くように第2図の矢印A方向に回転する。
【0019】
図2において、抗力羽根6が最上部の位置31から最下部の位置32の側に回転するに伴い、風が抗力羽根6の背中から斜め部分を流れて、最下部の位置32の側に回転した抗力羽根6が支柱1を中心として矢印A方向に円滑に回転する。
【0020】
そして、強風が吹くと揚力羽根8が強風から揚力を受け、下側腕部7が回転軸2に連結された支点25を中心として図1の実線で示す位置から仮想線で示す位置の側へと上方に持ち上げられるに伴い、上側腕部5が回転軸2に連結された支点22を中心として図1の実線で示す位置から仮想線で示す位置の側へと上方に持ち上げられ、抗力羽根6が防風体4の外部から開口部10を経由して内部空間17に収容されて、抗力羽根6の過回転を防止しかつ損傷を防ぐことができる。
【0021】
そして、揚力羽根8が図1に仮想線で示す位置まで上昇すると、揚力羽根8の下側腕部7が凹部24の頭部26に受け止められ、揚力羽根8が防風体4の外側に衝突しないよう停止する。これにより、抗力羽根6と揚力羽根8とが一緒に上昇しても、揚力羽根8が防風体4の外側に停止し、抗力羽根6が防風体4の内部空間17に収容されるだけである。
【0022】
また、図2に示すように、抗力羽根6の横幅L1が揚力羽根8の横幅L2よりも小寸法になっているので、開口部10の横幅が狭くでき、防風体4の強度が高くなる。
【0023】
揚力羽根8が図1に実線で示す位置から仮想線で示す位置の側へと上方に移行するに伴い、抗力羽根6が防風体4の中に入り、抗力羽根6の回転力が次第に弱まり、揚力羽根8が強風でも適切な回転を維持して、発電機3が発電を継続する。
【0024】
図2に示すように、抗力羽根6及び揚力羽根8は、4個ずつ設けられ、回転軸2を周方向に四等分する位置で放射状となるように配置されたが、五等分又は六等分又はそれ以上の個数であっても適用できる。なお、図2では右側の1個の上側腕部5の一部及び抗力羽根が図示されいない状態である。防風体4の周壁と回転軸2とには複数の梁29が抗力羽根6及び揚力羽根8の上下移動に邪魔にならない位置に掛け渡されたことにより、防風体4が回転軸2と一緒に回転するように回転軸2に固定されたので、防風体4の強度が高くなる。なお、図1において防風体4が回転軸2の上部に被せられて固定される構造、図1及び図2において防風体4が梁29を介して回転軸2に固定される構造の何れか一方の構造又は双方の構造を採用しても適用可能である。防風体4が梁29を介して回転軸2に固定される構造を採用すれば、防風体4の強度を向上すると共に回転軸2の回転を防風体4に伝達することができる。防風体4は、はずみ車としての役目を備えている。
【0025】
図3に示すように、揚力羽根8は風上から風下に行くにしたがって上り勾配となるように構成されている。
【0026】
図1及び図2において、支柱1と回転軸2との間に図示のされていないベアリングを設けてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 支柱
2 回転軸
3 発電機
4 防風体
5 上側腕部
6 抗力羽根
7 下側腕部
8 揚力羽根
9 連結体
10 開口部
11 風の流れ
12 装置本体
13 突部
14 発電機軸
15 歯車
16 歯車
17 内部空間
18 ベアリング
21 凹部
22 支点
23 底部
24 凹部
25 支点
26 頭部
27 軸
28 軸
29 梁
31 位置
32 位置
図1
図2
図3