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特開2024-19400糖質コンジュゲートRNA剤およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019400
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】糖質コンジュゲートRNA剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/02 20060101AFI20240202BHJP
   C07H 5/06 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240202BHJP
   C07C 235/74 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C07C231/02
C07H5/06
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/54
C07C235/74
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197391
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2022076642の分割
【原出願日】2013-08-06
(31)【優先権主張番号】61/680,069
(32)【優先日】2012-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/794,114
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511112478
【氏名又は名称】アルニラム・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナンナイール・ケー・ジャヤプラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ヴィ・ケリン
(72)【発明者】
【氏名】パチャムトゥ・カンダサミ
(72)【発明者】
【氏名】ラジーヴ・ジー・カランソッタティル
(72)【発明者】
【氏名】ムティア・マノハラン
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、iRNA剤のインビボ送達に有利である、糖質がコンジュゲートされたiRNA剤を提供することである。
【解決手段】本発明により、向上した純度を有し、かつiRNA剤のインビボ送達に有利である、糖質がコンジュゲートされたiRNA剤を提供することが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VIII):
【化1】
(式中、
Aが、C~C14アルキレンリンカーであり;
各Rが、独立して、酸保護基であり;
が、酸保護基である)
の化合物を調製するための方法であって;
式(IX):
【化2】
の化合物を、式(X):
【化3】
の化合物と反応させて、式(VIII)、Halがハロゲンである、の化合物を得るステップを含む方法。
【請求項2】
Rがt-ブチルであり、HalがClであり、AがC10アルキレンリンカーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応が、N,N-ジイソプロピルエチルアミンの存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
式(II):
【化4】
(式中、Zが酸保護基であり、nが0~20であり、rおよびsのそれぞれが、独立して、1~7である)の化合物を調製するための方法であって;
式(XII):
【化5】
(式中、Pが除去されることができるアミノ保護基である)の化合物をスルホン酸と反応させるステップを含む方法。
【請求項5】
前記スルホン酸が、p-トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I):
【化6】
(式中、
Xがヒドロキシル保護基であり;
Yがアミン保護基であり;
Prtがヒドロキシル保護基であり;
nが0~15であり;
q、rおよびsがそれぞれ、独立して、1~7であり;
【化7】
が固体担体である)の化合物を調製するための方法であって;
(1)塩基の存在下で、式II:
【化8】
の化合物を、式III:
【化9】
の化合物で処理して、式(IV):
【化10】
(式中、Zが酸保護基である)の化合物を得るステップと;
(2)式(IV)の前記化合物中のZを脱保護した後、式(V):
【化11】
のヒドロキシルプロリンと連結するステップと;
(3)ステップ(2)の前記生成物を、無水コハク酸と連結するステップと;
(4)ステップ(3)の前記生成物を固体担体に連結して、式(I)の化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項7】
Xが、BzもしくはAcであり、ならびに/または
YがAcであり、ならびに/または
nが7であり;q、r、およびsがそれぞれ1であり、ならびに/または
Prtが4,4’-ジメトキシトリチル保護基である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年8月6日に出願された米国仮特許出願第61/680,069号明細書、および2013年3月15日に出願された同第61/794,114号明細書の利益を主張するものであり、これらの仮出願のそれぞれの全体が参照により援用される。
【0002】
本発明は、糖質コンジュゲートの改良された調製方法に関する。本発明は、向上した純度を有し、かつiRNA剤のインビボ送達に有利であるこれらの糖質コンジュゲートを含む糖質がコンジュゲートされたiRNA剤にも関する。
【背景技術】
【0003】
インビボでの細胞への効率的な送達には、特異的な標的化および細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護が必要とされる。特異的な標的化を達成する一方法は、標的化部分をiRNA剤にコンジュゲートさせることである。標的化部分は、iRNA剤を、所要の標的部位に標的化するのに役立つ。標的化部分が送達を向上させ得る一方法は、受容体を介したエンドサイトーシス活性によるものである。この取り込み機構は、膜構造の陥入または送達系と細胞膜との融合による、膜によって囲まれた領域の内部への、膜受容体に結合されたiRNA剤の移動を伴う。このプロセスは、受容体への特異的リガンドの結合後の細胞表面受容体または膜受容体の活性化によって開始される。ガラクトース、マンノース、マンノース-6-リン酸などの糖類、ペプチドならびにトランスフェリン、アシアロ糖タンパク質、ビタミンB12、インスリンおよび上皮成長因子(EGF)などのタンパク質を認識するものを含む、受容体を介した多くのエンドサイトーシス系が、公知であり、研究されている。アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)は、肝細胞に非常に多く存在する高容量受容体である。ASGP-Rは、N-アセチル-D-ガラクトシルアミン(Galactosylamine)(GalNAc)に対してD-Galより50倍高い親和性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、特定の糖質コンジュゲートが、siRNA送達のためのリポソームの代わりに有益な送達であることが示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、糖質コンジュゲート、および糖質がコンジュゲートされたiRNA剤の改良された調製方法に関する。本明細書に記載される方法は、より少ない不純物(例えば、より少ない金属汚染物質)を含有する糖質コンジュゲート生成物を可能にする。本発明はまた、Pd炭素などの触媒を用いた高コストの水素化反応の必要性をなくし、薬学的に許容できる生成物を得るための精製ステップの数を減少させる。
【0006】
本発明の方法、中間体、および生成物は、下式:
【化1】
(式中、
Xのそれぞれが、ヒドロキシ保護基または水素であり;
Yのそれぞれが、アミン保護基(例えば、アセチル)であり;
nが0~20(例えば、0~15または4~15、好ましくは7)であり;
q、rおよびsのそれぞれが、独立して、1~7であり;
Lが連結基であり;
がiRNA剤である)で表されるものなどの糖質がコンジュゲートされたiRNA剤を調製するのに有用である。一実施形態において、Xの全てが同じであり、Yの全てが同じであり、qの全てが同じであり、rの全てが同じであり、sの全てが同じである。一実施形態において、Xのそれぞれが水素である。他の実施形態において、Yのそれぞれがアセチルである。一実施形態において、Xのそれぞれが水素であり、Yのそれぞれがアセチルである。
【0007】
好ましい一実施形態において、nが6であり、qが1であり、rが1であり、sが1である。別の好ましい実施形態において、nが7であり、qが1であり、rが1であり、sが1である。糖質がコンジュゲートされたiRNA剤は、好ましくは、金属(金属イオンなど)を実質的に含まない。
【0008】
本発明の一実施形態は、式(A)の化合物であり、ここで、この化合物は、
(i)金属不純物(パラジウム、白金、およびルテニウムなど)、
(ii)以下の2つの尿素副生成物のそれぞれ
【化2】
(iii)以下の糖化合物のそれぞれ
【化3】
のうちの1つ以上を含まないかまたは実質的に含まない。
【0009】
好ましい一実施形態において、式(A)の化合物は、約0.5%以下、またはより好ましくは、約0.2%以下の、上記の任意の個々の尿素副生成物または糖化合物を含有する。例えば、化合物は、約0.1または約0.05%以下の上記の任意の個々の尿素副生成物または糖化合物を含有し得る。式(A)の化合物は、好ましくは、約1000ppm以下(例えば、約400、約300、約200、約100、約50、約10、約5、または約1ppm以下)の任意の個々の金属(パラジウム、白金またはルテニウムなど)も含有する。一実施形態において、式(A)の化合物は、約1000ppm以下(例えば、約400、約300、約200、約100、約50、約10、約5、または約1ppm以下)の(i)ルテニウム、(ii)パラジウム、(iii)白金または(iv)それらの任意の組合せを含有する。
【0010】
本発明の一実施形態は、式(VI)の化合物を式(VII)の化合物に転化するための方法に関する:
【化4】
この方法は、
(i)式(VI)の化合物を、金属アルコキシド塩基(例えば、NaOMe)などの塩基と反応させるステップと;
(ii)ステップ(i)の生成物(例えば、NaBHで)を還元するステップと;
(iii)ステップ(ii)の生成物を、酸(例えば、HCl)と反応させるステップと
を含み得る。この方法は、単一のポットで、高収率(例えば、>80%)で行われ得る。
【0011】
例えば、一実施形態において、式(VI)の化合物は、金属アルコキシド(ナトリウムメトキシドなど)と反応される。ステップ(ii)は、ボロヒドリド、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤との反応を含み得る。一実施形態において、ステップ(ii)は、2~5当量(例えば、3当量)などの1当量超の還元剤を含む。さらなる実施形態において、ステップ(iii)に使用される酸は、鉱酸、例えば、塩酸である。好ましい実施形態において、ステップ(i)、(ii)および(iii)は、同時に行われ、すなわち、この方法は、一ステップ方法である。本発明者らは、化合物(VII)を調製するこの方法が、水素化ステップおよび高コストの試薬(例えば、クロロギ酸ベンジルおよびPd炭素)の使用を省略することを意外にも見出した。得られる生成物は、結晶性であり、式(A)または(I)の化合物を汚染する合成中に残り得るより少ない量の重金属不純物(パラジウムおよびルテニウムなど)を含有する。(式(I)の化合物は、以下にさらに示される)。
【0012】
式(VII)の化合物は、式(A)または(I)の化合物に転化され得る。
【0013】
他の実施形態は、式(VIII):
【化5】
(式中、
Aが、C~C14アルキレンリンカー(例えば、-(CH10-などのC~C12アルキレンリンカー)であり;
各Rが、独立して、酸保護基(例えば、置換または非置換アルキル(例えば、t-ブチル)または置換または非置換アリール)であり;
が、置換または非置換アルキル(例えば、メチル)または置換または非置換アリールなどの酸保護基である。好ましくは、Rが、全てのR基と異なる)
の化合物を調製するための方法に関する。
【0014】
この方法は、式(IX):
【化6】
の化合物を、式(X):
【化7】
の化合物と反応させて、式(VIII)(ここで、Halがハロゲン(例えば、Cl)である)の化合物を得るステップを含む。
【0015】
一実施形態において、各Rがt-ブチルである。他の実施形態において、HalがClである。さらなる実施形態において、AがC10アルキレンリンカーである。好ましい実施形態において、各Rがt-ブチルであり、HalがClであり、AがC10アルキレンリンカーである。
【0016】
一実施形態において、式(VIII)の化合物を調製するための方法は、DIEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で、式(IX)の化合物を、式(X)の化合物と反応させるステップを含む。本出願人は、式(X)の酸ハロゲン化物の使用により、この反応が、DIEA(このようなカップリング反応を促進するのに通常使用される試薬であるジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)とは対照的に)の存在下で行われるのが可能になり、向上した純度を有する生成物が意外にも得られることを意外にも見出した。生成物は、例えば、より少ない量の置換された尿素副生成物を含有し(または尿素副生成物を含まないかまたは実質的に含まない)、より少ない残留溶媒(例えば、t-ブタノールなどのアルコール)を含有し得る。形成され得る置換された尿素副生成物は、以下に示される。
【化8】
【0017】
他の実施形態において、式(VIII)の化合物は、式(A)または(I)の化合物に転化される。
【0018】
さらに他の実施形態は、下式:
【化9】
(式中、Zが酸保護基であり、n、rおよびsが上に定義されるとおりである)の化合物を調製するための方法に関する。化合物(II)は、存在する対イオン(CFSO など)とともに形成され得る。この方法は、式(XII):
【化10】
(式中、Pがアミノ保護基(例えば、Boc)である)の化合物を、スルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸)と反応させるステップを含む。例えば、一実施形態において、式(XII)の化合物は、約30℃~約60℃の温度(例えば、約50℃)で、アルコール溶媒(例えば、メタノール)中でp-トルエンスルホン酸と反応される。
【0019】
ジクロロメタンなどのハロゲン化溶媒へのトリアミンの部分溶解性は、式(XII)の化合物の不完全な脱保護をもたらし得る。本発明者らは、(メタノールなどのアルコール溶媒中における)スルホン酸の使用が、おそらくアルコールへのトリアミンの向上した溶解性のため、式(XII)の化合物のより高い脱保護を可能にする(すなわち、不完全な脱保護の可能性を低下させる)ことを意外にも見出した。
【0020】
他の実施形態において、式(II)の化合物は、式(A)または(I)の化合物に転化される。
【0021】
さらに他の実施形態は、式(XIII):
【化11】
(式中、
X、Y、n、q、r、およびsが、式(A)に関して上に定義されるとおりであり;
Prtがヒドロキシル保護基である)の化合物を調製するための方法に関する。
【0022】
この方法は、アミン(好ましくは、トリエチルアミンなどの第三級アミン)の存在下で、式(XIV)
【化12】
の化合物を、ジヒドロフラン-2,5-ジオンと反応させるステップを含む。本出願人は、スクシニル化反応が、DMAP(ジメチルアミノピリジン)または固定化DMAP(PS-DMAP、ポリスチレンが結合されたDMAPの同等物など)などのこの反応に通常使用される高価な触媒なしで行われ、それによって、コストを大幅に削減し得ることを意外にも見出した。さらに、(オリゴマー化反応による)生成物中の潜在的な不純物の数が減少され、重金属(触媒として使用される場合、PdまたはRuなど)による汚染の可能性がなくなる。一実施形態において、反応は、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジクロロエタン)中で行われる。
【0023】
他の実施形態において、式(XIII)の化合物は、式(A)または(I)の化合物に転化される。
【0024】
本発明の中間体および生成物のいずれかが、GalNAc部分を含有する、式(A)の糖質がコンジュゲートされたiRNA剤へと転化され得る。
【0025】
さらに他の実施形態は、(i)本明細書に開示される中間体または生成物(例えば、式(I)の化合物)のいずれかを得て、(ii)それを、式(A)の糖質がコンジュゲートされたiRNA剤に転化することによって、式(A)の糖質がコンジュゲートされたiRNA剤を調製する方法である。例えば、この方法は、(i)式(I)の化合物におけるPrtによって保護されたヒドロキシル基を脱保護するステップと、(ii)ヒドロキシル基を-L-R(上の式(A)において定義されるような)に転化するステップと、(iii)固体担体およびコハク酸リンカー(固体担体とプロリノール部分のヒドロキシル基との間に位置する)を除去して、式(A)の化合物を得るステップとを含み得る。
【0026】
一実施形態において、本明細書に記載される中間体および生成物(例えば、式(A)または(I)の化合物)は、金属(金属イオン、例えば、パラジウム、白金またはルテニウムなど)を実質的に含まない。本明細書において使用される際の「金属を実質的に含まない」は、約800ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下または約1ppm以下の金属などの、約1000百万分率(ppm)以下の金属を含有することを含む。
【0027】
一実施形態において、本発明は、金属(金属イオンなど)を実質的に含まず、例えば、約800ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下または約1ppm以下の金属などの、約1000百万分率(ppm)以下の金属を含有する式(A)または(I)の化合物に関する。
【0028】
他の実施形態において、本明細書に記載される中間体および生成物(例えば、式(A)または(I)の化合物)は、対イオン(例えば、OSO )を実質的に含まない。本明細書において使用される際の「対イオンを実質的に含まない」は、約800ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下または約10ppm以下の対イオンなどの、約1000百万分率(ppm)以下の対イオンを含有することを含む。
【0029】
さらに他の実施形態は、対イオンを実質的に含まず、例えば、約800ppm以下、約500ppm以下、約400ppm以下、約300ppm以下、約200ppm以下、約100ppm以下、約50ppm以下、約10ppm以下または約1ppm以下の対イオンなどの、約1000百万分率(ppm)以下の対イオンを含有する式(A)または(I)の化合物である。
【0030】
さらに他の実施形態は、約7.5重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満または約0.1重量%未満など、約10重量%未満の、以下の2つの尿素副生成物のそれぞれを含有する式(A)または(I)の化合物である。
【化13】
【0031】
さらに他の実施形態は、約7.5%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満など、(化合物の100%の総重量を基準にして)約10%未満の、以下の化合物の1つ以上を含有する式(A)または(I)の化合物である。
【化14】
一実施形態において、式(A)または(I)の化合物は、約0.5%、0.4%、または0.3%以下の、上記の化合物の1つ以上を含有する。他の実施形態において、式(A)または(I)の化合物は、約0.2%以下の、上記の化合物の1つ以上を含有する。さらに他の実施形態において、式(A)または(I)の化合物は、約0.1%以下の、上記の化合物の1つ以上を含有する。さらに他の実施形態において、式(A)または(I)の化合物は、約0.05%以下の、上記の化合物の1つ以上を含有する。
【0032】
さらに他の実施形態は、式(I):
【化15】
(式中、
X、Y、n、q、r、およびsが、上に定義されるとおりであり;
Prtがヒドロキシル保護基であり;
【化16】
が固体担体である)の化合物を調製するための方法に関する。Prtは、好ましくは、全てのXヒドロキシル保護基と異なる。
【0033】
一実施形態において、Xの全てが同じであり、Yの全てが同じであり、qの全てが同じであり、rの全てが同じであり、sの全てが同じである。この方法は、以下のステップ:
(1)塩基の存在下で、式II:
【化17】
の化合物を、式III:
【化18】
の化合物で処理して、式(IV):
【化19】
(式中、Zが酸保護基である)の化合物を得るステップ;
(2)式(IV)の化合物中のZを脱保護した後、ヒドロキシルプロリン(V):
【化20】
と連結するステップ;
(3)ステップ(2)の生成物を、無水コハク酸と連結するステップ;および
(4)ステップ(3)の生成物を固体担体に連結して、式(I)の化合物を得るステップ
のうちの1つ以上を含む。この方法がステップ(4)を含まない場合、形成される中間体は、その後、式(I)または(A)の化合物に転化される。式(I)の化合物は、式(A)のものなどの糖質がコンジュゲートされたiRNA剤を調製するのに有用である。
【0034】
一実施形態において、この方法は、(i)ステップ(2)(ステップ(1)、(3)、および(4)を必ずしも含むとは限らないが)と、(ii)ステップ(2)において形成されるプロリノール中間体を式(A)または(I)の化合物に転化するステップとを含む。
【0035】
一実施形態において、この方法は、ガラクトサミン塩酸塩から25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15以下のステップで行われる。
【0036】
一実施形態において、この方法は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから出発して、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、または15以下のステップで行われる。
【0037】
一実施形態において、ステップ(1)は、塩基の存在下で、ペプチドカップリング剤を用いて行われる。任意選択的に、ガラクトサミン部分(例えば、XおよびY)の保護基の交換は、第1の保護基を脱保護し、次に、新たな保護基を再導入することによって行われる。例えば、ベンゾイル保護基が、アセチル保護基で置換される。
【0038】
他の実施形態において、ステップ(2)は、まず、Zを脱保護した後、塩基の存在下で、ペプチドカップリング剤を用いて、対応する酸を、ヒドロキシルプロリン(V)
【化21】
と連結することによって行われる。
【0039】
一例において、Zが、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールなどの酸保護基である。上記の定義にしたがう例示的なZ基としては、以下に限定はされないが、メチル、エチル、sec-ブチル、tert-ブチル、クロロメチル、ブロモメチル、2-ヨードエチル、2-フルオロプロピル、フェニル、2-ブロモフェニル、4-クロロフェニル、4-メトキシフェニル、p-トリル、o-トリル、4-ベンジルオキシフェニル、3-カルバミルフェニル(carbamylphenyl)、4-クロロ-3-シアノフェニル、4-メトキシ-2-トリル、4-トリフルオロメチルフェニル、ベンジル、4-メトキシベンジル、4-ヨードベンジル、3-メタンスルホンアミドベンジル、3-ニトロベンジル、3-クロロ-4-ベンジルオキシベンジル、2-エチルベンジル、フェノキシメチル、4-ブロモフェノキシメチル、2-メトキシフェノキシメチル、4-トリルオキシメチル、4-クロロフェノキシメチル、4-カルバミルフェノキシメチル、3-クロロ-4-エトキシフェノキシメチルなどの基が挙げられる。Rはまた、2-フリルメチル、2-チエニルメチル、3-チエニルメチル、シクロヘキサジエニルメチル、カルボメトキシ、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、およびベンズヒドリルオキシカルボニルであり得る。
【0040】
一実施形態において、Xが、ベンジル(Bz)またはアセチル(Ac)である。
【0041】
一実施形態において、YがAcである。
【0042】
一実施形態において、nが6であり、q、r、およびsが1である。
【0043】
他の実施形態において、nが7であり、q、r、およびsが1である。
【0044】
一実施形態において、本明細書に記載される方法は、金属がない条件下で行われる。
【0045】
一実施形態において、式(II)の化合物から式(I)の化合物を調製するための方法の全収率は、出発材料としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたはガラクトサミン塩酸塩を用いて計算して、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%など、少なくとも約15%である。
【0046】
他の実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれか1つ、または本明細書に記載される方法に記載される任意の1つ以上のステップを含む方法によって調製される、式(I):
【化22】
(式中、X、Y、Prt、n、q、r、s、および
【化23】
が上に定義されるとおりである)の化合物である。
【0047】
さらに他の実施形態は、本明細書に記載される方法のいずれか1つ、または本明細書に記載される方法に記載される任意の1つ以上のステップを含む方法によって調製される、式(A):
【化24】
(式中、L、R、X、Y、n、q、r、およびsが、式(A)に関して上に定義されるとおりである)の化合物である。
【0048】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物は、固体担体を用いて、金属試薬を全く用いずに、トリス、GalNAc、およびトランス-4-OH-Pro-OHから調製される。
【0049】
一実施形態において、本明細書に記載される方法のいずれかが、1キログラムを超える規模などの式(I)の化合物の大規模な合成に使用される。
【0050】
一実施形態において、本明細書に記載される方法のいずれかが、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、メタノール、ピリジン、アセトニトリル、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン;エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなど)、およびそれらの混合物などの不活性溶媒中で行われる。
【0051】
他の態様において、本発明は、式(A)または(I)の化合物の中間体の生産収率の向上および式(A)または(I)の化合物の大規模な生成にさらに関する。式(I)の化合物は、糖質がコンジュゲートされたiRNA剤(式(A)など)の合成における特に有用な中間体である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
定義
「連結基」という用語は、iRNA剤をGalNAc部分に連結するための任意の好適な基を指す。連結基の例が、国際公開第2009/082607号パンフレットおよび米国特許出願公開第2012/0136042号明細書に提供され、これらは両方とも、参照により本明細書に援用される。
【0053】
「iRNA剤」という用語は、標的遺伝子(例えば、siRNA)、好ましくは、内在性または病原体標的RNAの発現を下方制御することができるRNA剤(または開裂されてRNA剤になり得る剤)を指す。理論によって制約されるのを望むものではないが、iRNA剤は、標的mRNA(当該技術分野においてRNAiと呼ばれる)の転写後開裂、または転写前機序もしくは翻訳前機序を含むいくつかの機序のうちの1つ以上によって作用し得る。iRNA剤は、一本鎖を含むことができ、または二本以上の鎖を含むことができ、例えば、iRNA剤は、二本鎖iRNA剤であり得る。iRNA剤が一本鎖である場合、iRNA剤は、1つ以上のリン酸基またはリン酸基の1つ以上の類似体を含む5’修飾を含み得る。好ましい一実施形態において、iRNA剤は二本鎖である。
【0054】
iRNA剤は、通常、標的遺伝子と十分に相同な領域を含み、iRNA剤、またはその断片が標的遺伝子の下方制御を媒介し得るように、ヌクレオチドに関して十分な長さのものである。iRNA剤は、少なくとも部分的に、ある実施形態において、完全に、標的RNAと相補的な領域であるかまたはそのような領域を含む。iRNA剤と標的との間に完全な相補性が存在する必要はないが、iRNA剤、またはその開裂産物が、例えば、標的RNA、例えば、mRNAのRNAi開裂によって、配列特異的サイレンシングを指向することができるほど十分に一致するのが好ましい。
【0055】
iRNA剤中のヌクレオチドは、修飾されていてもよく(例えば、1つ以上のヌクレオチドが2’-Fまたは2’-OCH基を含み得る)、またはヌクレオチドサロゲート(surrogate)であり得る。iRNA剤の一本鎖領域は、修飾されていてもよく、またはヌクレオシドサロゲート、例えば、ヘアピン構造の1つまたは複数の非対合領域、例えば、2つの相補的領域を連結する領域を含んでいてもよく、修飾またはヌクレオシドサロゲートを有し得る。例えば、エクソヌクレアーゼに対して、iRNA剤の1つ以上の3’-または5’-末端を安定化させる修飾。修飾は、C3(またはC6、C7、C12)アミノリンカー、チオールリンカー、カルボキシルリンカー、非ヌクレオチドスペーサ(C3、C6、C9、C12、脱塩基、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール)、ホスホルアミダイトとして生じ、かつ別のDMT保護されたヒドロキシル基を有して、RNA合成中の複数のカップリングを可能にする特殊なビオチンまたはフルオレセイン試薬を含み得る。修飾は、例えば、リボース糖の2’OH基における修飾の使用、例えば、リボヌクレオチドの代わりに、デオキシリボヌクレオチド、例えば、デオキシチミジンの使用、およびリン酸基中の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾も含み得る。ある実施形態において、異なる鎖は、異なる修飾を含む。
【0056】
ある実施形態において、iRNA剤が分子の一端または両端に一本鎖または非対合領域を含むように鎖が選択されるのが好ましい。二本鎖iRNA剤は、オーバーハング、例えば、1つまたは2つの5’または3’オーバーハング(好ましくは、2~3ヌクレオチドの少なくとも3’オーバーハング)を有するように対合されるその鎖を有するのが好ましい。好ましいiRNA剤は、各端に1または好ましくは2もしくは3ヌクレオチド長の、一本鎖オーバーハング、好ましくは、3’オーバーハングを有する。オーバーハングは、一方の鎖が他方より長いことの結果であり得、または同じ長さの2つの鎖が互い違いになっていることの結果であり得る。
【0057】
iRNA剤の鎖の間の二重領域の好ましい長さは、6~30ヌクレオチド長である。好ましい二重領域は、15~30、最も好ましくは、18、19、20、21、22、および23ヌクレオチド長である。他の好ましい二重領域は、6~20ヌクレオチド、最も好ましくは、6、7、8、9、10、11および12ヌクレオチド長である。
【0058】
本明細書において使用される際の「固体担体」という用語は、特に、オリゴヌクレオチドの合成が行われ得る任意の粒子、ビーズ、または表面を表す。本明細書に記載される方法の異なる実施形態に使用され得る固体担体は、例えば、無機担体および有機担体から選択され得る。無機担体は、好ましくは、シリカゲルおよび制御多孔質ガラス(CPG)から選択される。有機担体は、好ましくは、高架橋ポリスチレン、Tentagel(ポリエチレングリコール(PEGまたはPOE)がグラフト化される低架橋ポリスチレンマトリックスからなるグラフト化コポリマー)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、Poros-ポリスチレン/ジビニルベンゼンのコポリマー、アミノポリエチレングリコールおよびセルロースから選択される。本発明に適した好ましい固体担体は、疎水性の固体担体を含む。本発明の好ましい実施形態は、ポリスチレンベースの固体担体を用いる。多くの他の固体担体が市販されており、本発明に適している。
【0059】
本明細書において使用される際の「ヒドロキシ保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応からヒドロキシル基を保護する不安定な化学部分を指す。合成手順の後、ヒドロキシ保護基は、選択的に除去され得る。当該技術分野において公知のヒドロキシ保護基は、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に一般に記載されている。ヒドロキシル保護基の例としては、以下に限定はされないが、ベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ブロモベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2-フルフリルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t-ブチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、3-メチル-3-ブテニル、アリル、ベンジル、パラ-メトキシベンジルジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフリル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ-トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、およびトリイソプロピルシリルが挙げられる。本発明に好ましいヒドロキシル保護基は、アセチル(Acまたは--C(O)CH)、ベンゾイル(Bzまたは--C(O)C)、およびトリメチルシリル(TMSまたは--Si(CH)である。
【0060】
本明細書において使用される際の「アミノ保護基」という用語は、合成手順中の望ましくない反応からアミノ基を保護する不安定な化学部分を指す。合成手順の後、本明細書に記載されるアミノ保護基は、選択的に除去され得る。当該技術分野において公知のアミノ保護基は、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley & Sons,New York(1999)に一般に記載されている。アミノ保護基の例としては、以下に限定はされないが、アセチル、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、およびベンジルオキシカルボニルが挙げられる。
【0061】
「カルボン酸保護基」という用語は、化合物の他の官能部位に関与する反応が行われる間、カルボン酸官能基をブロックまたは保護するのに用いられるカルボン酸保護基を指す。このようなカルボキシ保護基は、加水分解方法または水素化分解(hydrogenolytic)方法による、対応するカルボン酸への開裂しやすさで知られている。カルボン酸エステル保護基の例としては、以下に限定はされないが、メチル、tert-ブチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、C2~C6アルカノイルオキシメチル、2-ヨードエチル、4-ニトロベンジル、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、フェナシル、4-ハロフェナシル、ジメチルアリル、2,2,2-トリクロロエチル、トリ(C1~C3アルキル)シリル、スクシンイミドメチルなどのエステル形成部分が挙げられる。カルボキシ基のエステル保護に加えて、このような基はまた、第三級アミン塩基の存在下で、塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化イソブチリルおよび他の酸塩化物とともに形成されるものなどの混合無水物として保護され得る。E.Haslam in Protective Groups in Organic Chemistry、上掲、第5章に記載されているものなどの他の公知のカルボキシ保護基が好適である。エステル形成保護基が好ましい。
【0062】
上記の定義中で、ヒドロキシおよびカルボキシ保護基は、網羅的に定義されているわけではない。このような基の機能は、調製ステップ中に反応性官能基を保護し、次に、分子の残りを分断せずに後のある時点で除去されることである。多くの保護基が、当該技術分野において公知であり、上記で特に言及されていない他の保護基の使用が同様に適用可能である。
【0063】
好適なペプチドカップリング剤としては、以下に限定はされないが、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、DIC(ジイソプロピルカルボジイミド)、ジ-p-トルオイルカルボジイミド、BDP(1-ベンゾトリアゾールジエチルホスフェート-1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニルエチル)カルボジイミド)、EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩)、フッ化シアヌル、塩化シアヌル、TFFH(テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート)、DPPA(アジドリン酸ジフェニル)、BOP(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、TBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、TSTU(O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、HATU(N-[(ジメチルアミノ)-1-H-1,2,3-トリアゾロ[4,5,6]-ピリジン-1-イルメチレン]-N-メチルメタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN-オキシド)、BOP-Cl(ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド)、PyBOP((1-H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)-トリス(ピロリジノ)ホスホニウムテトラフルオロホスフェート)、BrOP(ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DEPBT(3-(ジエトキシホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン)PyBrOP(ブロモトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)が挙げられる。EDC、HOAT、BOP-ClおよびPyBrOPが、好ましいペプチドカップリング剤である。ペプチドカップリング剤の量は、約1.0~約10.0当量の範囲である。アミド結合形成反応に使用され得る任意選択の試薬としては、約1.0~約10.0当量の範囲の量の、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)またはHOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、HOAT(ヒドロキシアザベンゾトリアゾール)、HOSu(ヒドロキシスクシンイミド)、HONB(エンド-N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキサミド)などの活性エステル試薬が挙げられる。
【0064】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかの基を指す。
【0065】
「アルキル」という用語は、示される数の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖であり得る飽和および不飽和非芳香族炭化水素鎖(これらとしては、以下に限定はされないが、プロピル、アリル、またはプロパルギルが挙げられる)を指し、これは、N、O、またはSで任意に介在され得る。例えば、C~C10は、基がその中に1~10個(1と10を含む)の炭素原子を有し得ることを示す。「アルキレン」という用語は、二価アルキル(すなわち、-R-)を指す。
【0066】
「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル基を指す。
【0067】
「アルキレンジオキソ」という用語は、構造-O-R-O-(式中、Rがアルキレンを表す)の二価種を指す。
【0068】
「アミノアルキル」という用語は、アミノ基で置換されるアルキルを指す。
【0069】
「メルカプト」という用語は、-SH基を指す。
【0070】
「チオアルコキシ」という用語は、-S-アルキル基を指す。
【0071】
「アリール」という用語は、各環の0個、1個、2個、3個、または4個の原子が置換基で置換され得る、6-炭素の単環式または10-炭素の二環式芳香環系を指す。アリール基の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0072】
「アリールアルキル」および「アラルキル」という用語は、アリールで置換されるアルキルを指す。
【0073】
「アリールアルコキシ」という用語は、アリールで置換されるアルコキシを指す。
【0074】
本明細書において用いられる際の「シクロアルキル」という用語は、3~12個の炭素、例えば、3~8個の炭素、例えば、3~6個の炭素を有する飽和および部分的不飽和の環状炭化水素基を含み、ここで、シクロアルキル基は、さらに、任意に置換され得る。シクロアルキル基としては、以下に限定はされないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0075】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式である場合1~3個のヘテロ原子、二環式である場合1~6個のヘテロ原子、または三環式である場合1~9個のヘテロ原子を有する、芳香族5~8員単環式、8~12員二環式、または11~14員三環式環系を指し、ここで、ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子およびそれぞれ単環式、二環式、または三環式である場合、1~3個、1~6個、または1~9個の、N、O、またはSのヘテロ原子)、各環の0個、1個、2個、3個、または4個の原子が、置換基で置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、およびチアゾリルが挙げられる。
【0076】
「ヘテロアリールアルキル」および「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールで置換されるアルキルを指す。
【0077】
「ヘテロアリールアルコキシ」という用語は、ヘテロアリールで置換されるアルコキシを指す。
【0078】
「ヘテロシクリル」という用語は、単環式である場合1~3個のヘテロ原子、二環式である場合1~6個のヘテロ原子、または三環式である場合1~9個のヘテロ原子を有する、非芳香族5~8員単環式、8~12員二環式、または11~14員三環式環系を指し、ここで、ヘテロ原子は、O、N、またはSから選択され(例えば、炭素原子およびそれぞれ単環式、二環式、または三環式である場合、1~3個、1~6個、または1~9個の、N、O、またはSのヘテロ原子)、各環の0個、1個、2個または3個の原子が、置換基で置換され得る。ヘテロシクリル基の例としては、トリゾリル(trizolyl)、テトラゾリル、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、およびテトラヒドロフラニルが挙げられる。
【0079】
「オキソ」という用語は、酸素原子を指し、これは、炭素に結合されるとカルボニルを形成し、窒素に結合されるとN-オキシドを形成し、硫黄に結合されるとスルホキシドまたはスルホンを形成する。
【0080】
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、それらのいずれも、1つ以上の置換基でさらに置換され得る。
【0081】
「置換」という用語は、所与の構造における、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、ホスホン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環、および脂肪族を含むがこれらに限定されない特定の置換基のラジカルによる1つ以上の水素ラジカルの置換を指す。置換基がさらに置換され得ることが理解される。
【0082】
反応スキーム
以下のスキーム1~8のいずれかに示されるように、AcおよびBzは、本明細書に記載されるように、任意のヒドロキシ保護基で置換され得る。Bocは、本明細書に記載されるように、任意のアミノ保護基で置換され得る。
【0083】
化合物1から化合物7Aへの転化
化合物1が、以下のスキーム1に示される一連の反応を介して化合物7Aに転化され得る。
スキーム1
【化25】
【0084】
化合物1が、例えば、BocOおよびトリエチルアミンとの反応を介して、化合物2Aなどの窒素保護された化合物に転化される。その後、メチルエステル化合物2Aは、THFなどの極性溶媒中で、例えば、還元剤として水素化ホウ素リチウムを用いて、対応するアルコールへと還元される。3Aと塩酸との反応により、塩酸塩4Aが得られる。1~4Aのこの3ステップの転化の全収率は約62%である。
【0085】
プロリノール化合物4Aの窒素原子は、トリエチルアミンなどのアミンの存在下における、アセトニトリル中のCFCOEtとの反応などを介して、例えば、5Aにあるような-COCF基で保護される。化合物5Aのヒドロキシメチル基は、例えば、DMAPおよびピリジンの存在下におけるDMTrCl(4,4’-ジメトキシトリチルクロリド)との反応を介して、6Aの-CH-ODMTrに転化される。次に、化合物6Aの窒素原子は、例えば、アルコール(例えば、メタノール)中の塩基(例えば、水酸化カリウム)と6Aとの反応によって脱保護されて、化合物7Aが得られる。
【0086】
スキーム1に記載されるプロセスの利点は、(i)水素化反応が含まれず、それによって、Pd炭素などの高コストの試薬を使用する必要がなくなること、(ii)化合物4Aが結晶性であるため、取り扱いおよび精製がより容易であること、および(iii)重金属汚染物質(Pdなど)が系に導入されないことを含む。
【0087】
化合物1から化合物4Aへの代替的な転化
あるいは、化合物1を、ナトリウムメトキシドなどのアルコキシドと反応させ、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)を加え、次に、塩酸を加えることによって、化合物1が、1ステッププロセスで化合物4Aに転化され得る。この1ステッププロセスの全収率は84%である。
【0088】
化合物8から化合物13Aへの転化
化合物8が、以下のスキーム2に示される一連の反応を介して化合物13Aに転化され得る。
スキーム2
【化26】
【0089】
糖化合物8の1位、3位、4位、および6位のヒドロキシル基が、例えば、アセチル(Ac)基で保護され、2位のアミノ基が、例えば、アセチル基で置換されて、化合物9が得られる。例えば、化合物8が、トリエチルアミンの存在下で、AcOおよびDMAPと反応されて、化合物9が得られる。次に、1位のヒドロキシル基が、例えば、ジクロロエタン中のTMSOTfとの反応によって化合物9を化合物10に転化することによって活性化される。化合物10と化合物11A(バレロラクトンおよびメタノールから形成され得る)との反応により、化合物12Aが得られる。次に、3位、4位、および6位のヒドロキシル基が、例えば、メタノール中のトリエチルアミンとの反応によって脱保護されて、化合物12Bが得られる。アルコール基は、DMAPおよびピリジンの存在下におけるBzOとの反応によって例えば、ベンジル基で再度保護されて、化合物12Cが得られる。次に、化合物12C中のメチルエステル基が、例えば、ヨウ化リチウムおよびピリジンとの反応、続いて、トリエチルアミン、塩化ナトリウムおよび水の添加によって、加水分解されて、化合物13Aが得られる。
【0090】
スキーム2に記載されるプロセスの利点は、(i)重金属(ルテニウムなど)の酸化ステップが含まれないこと、および(ii)化合物12Bおよび12Cが結晶性であるため、取り扱いおよび精製がより容易であることを含む。
【0091】
化合物16から化合物19Aへの転化
化合物16が、以下のスキーム3に示される一連の反応を介して化合物19Aに転化され得る。
スキーム3
【化27】
【0092】
化合物16が、例えば、アクリル酸t-ブチルおよび水酸化ナトリウムとの反応によって、化合物17Aに転化される。ペプチドカップリング剤(EDCなど)、HCl、DIEAおよびt-ブタノールの存在下における化合物17Aと化合物15Aとの反応により、化合物18Aが得られ、これが、例えば、メタン酸との反応によって、トリス-酸19Aに転化される。
【0093】
スキーム3に記載されるプロセスの利点は、(i)クロロギ酸ベンジルの使用が省略されること、(ii)水素化反応が必要とされないこと(それによって、Pdなどの重金属の導入の可能性が避けられる)、および(iii)化合物19Aが結晶性であることを含む。さらに、市販されている化合物15Aの使用により、1,12-ドデカン酸から調製され得る12-(ベンジルオキシ)-12-オキソドデカン酸などのモノエステル保護された類似体を調製するための追加の合成ステップが必要とされないため、合成ステップの数が減少される。
【0094】
化合物19Aから化合物25Aへの転化
化合物16が、以下のスキーム4に示される一連の反応を介して化合物19Aに転化され得る。
スキーム4
【化28】
【0095】
ペプチドカップリング剤(EDCなど)、HCl、DIEAおよびt-ブタノールの存在下における化合物19Aと化合物21との反応により、化合物24Aが得られる。化合物24Aの末端アミノ基が、例えば、TFA(トリフルオロ酢酸)との反応によって脱保護されて、化合物25Aが得られる。
【0096】
あるいは、化合物24Aが、アルコール溶媒中のスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸)との反応によって脱保護され得る。(メタノールなどのアルコール溶媒中の)スルホン酸の使用により、おそらく、アルコールへのトリアミンの向上した溶解性のため、化合物24Aの化合物のより高い脱保護が得られる(すなわち、不完全な脱保護の可能性が低下される)。
【0097】
化合物25Aから化合物26Aへの転化
化合物25Aが、以下のスキーム5に示される一連の反応を介して化合物26Aに転化され得る。
スキーム5
【化29】
【0098】
ペプチドカップリング剤(EDCなど)、ジメチルホルムアミド中のDIEAおよびt-ブタノールとの化合物25Aの反応により、化合物26Aが得られる。カップリング剤としてのEDCの使用により、化合物26Aのより高い収率が可能になる。
【0099】
化合物26Aから化合物27Aへの転化
化合物26Aが、以下のスキーム6に示される一連の反応を介して化合物27Aに転化され得る。
スキーム6
【化30】
【0100】
化合物26A中のカルボン酸末端が脱保護されて、化合物27Aが得られる。化合物26Aは、(i)アルコール(例えば、メタノール)中のアルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド)、(ii)水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)および(iii)ピリジン中のAcOとの反応によって、化合物27Aに転化され得る。26Aから27Aへのこの転化の際に水素化ステップは必要とされない。
【0101】
化合物27Aから化合物29Aへの転化
化合物27Aが、以下のスキーム7に示される一連の反応を介して化合物29Aに転化され得る。
スキーム7
【化31】
【0102】
ペプチドカップリング剤(HBTUなど)、DIEAおよびt-ブタノールの存在下における化合物27Aと化合物7A(上述されるように調製され得る)との反応により、化合物29Aが得られる。スキーム7に記載されるプロセスの利点は、(i)フッ化物塩(すなわち、フッ化物イオン)の使用が必要とされず、それによって、塩基性フッ化物イオンの存在のため起こり得る可能な副反応による不純物(以下に示される化合物29-1および29-2など)の形成がなくなること、および(ii)ピリジンおよびフッ化水素酸の費用のかかる使用がなくなることを含む。
【化32】
【0103】
化合物29Aから化合物31への転化
化合物29Aが、以下のスキーム8に示される一連の反応を介して化合物31に転化され得る。
スキーム8
【化33】
【0104】
塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下における化合物29Aと無水コハク酸との反応により、化合物30が得られ、これが、固体担体上に充填されて、化合物31が得られる。
【0105】
スキーム8に示されるプロセスの利点は、(i)DMAP(ジメチルアミノピリジン)または固定化DMAP(PS-DMAP、ポリスチレンが結合されたDMAPの同等物など)などのこの反応に通常使用される高価な触媒の使用がなくなること、(ii)(オリゴマー化反応による)生成物中の潜在的な不純物の数が減少されること、および(iii)重金属(触媒として使用される場合、PdまたはRuなどの)による汚染の可能性がなくなることを含む。
【0106】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、実施例は、さらなる限定として解釈されるものではない。本出願全体を通して引用される全ての参照文献、係属中の特許出願および公開特許の内容は、参照により本明細書に明示的に援用される。
【実施例0107】
実験手順:GalNAcプロセス
実施例1-化合物2の合成
【化34】
ジエチルエーテルおよびアセトニトリル中のジメチルエステル1(200g、774.65mmol)の撹拌溶液に、MeOHに溶解されたKOH(891.4mmol)を、1時間にわたって0~5℃で滴下して加え、反応混合物を、同じ温度でさらに48時間撹拌した。焼結式漏斗を用いて白色の固体をろ過した後、それをジエチルエーテル(100mL)で洗浄し、3時間吸引乾燥させた。上で得られた白色の固体を、水(500mL)に溶解させた後、1NのHClを用いてpH約3~4まで酸性化し、白色の固体をろ過によって収集した後、それを水(50mL×2)で洗浄した。この材料を1日空気乾燥させた後、Pの存在下で乾燥させたところ、生成物2(166g、88%)が白色の粉末として得られた。
【0108】
実施例2-化合物5の合成
【化35】
試薬および条件:(i)[1].BocO、EtN、DCM、(i)[2].LiBH、THFおよび(i)[3].エーテル中のHCl。(ii)[1]トリフルオロ酢酸エチル、EtN;(ii)[2]DMTr-Cl/PyまたはDMTr-Cl、DMAP/Pyおよび(ii)[3]KOH水溶液
【0109】
化合物4の合成
ステップ(i)[1]:DCM(3L)中のトランスヒドロキシプロリンメチルエステル・HCL3(100g、552.3mmol)およびBocO(132.5g、607.57mmol)の懸濁液に、EtNを、1時間にわたって約0~5℃で滴下して加え、一晩、ゆっくりと室温にした。水(50mL)を加え、有機溶媒を濃縮した後、溶媒を濃縮したところ、粗材料(約115g)が得られ、それを精製せずに次のステップに使用した。H NMR(CDCl):1.42、1.46(s,9H)、1.75~1.77(m,2H)、2.07~2.11(m,1H)、2.26~2.34(m,1H)、3.44~3.67(m,3H)、3.74(s,3H)、4.4(t,J=8.0Hz、1H)、4.48~4.51(m,1H)。
【0110】
ステップ(i)[2]:約0℃で、THF中のNBoc保護されたプロリノールメチルエステル(115g、469mmol)の撹拌溶液に、LiBHを1時間にわたって何回かに分けて(portion wise)加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。50mLの1NのNaOH溶液を加え、溶媒を濃縮した後、水および塩水で洗浄しながら、DCM(2×500mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗ジオール(92g)が無色油(92g)として得られた。H NMR(CDCl):1.48(s,9H)、1.74(br s,1H)、2.02~2.08(m,1H)、2.63(br s,2H)、3.42~3.75(m,4H)、4.11~4.17(m,1H)、4.38~4.39(m,1H)。
【0111】
ステップ(i)[3]:エーテル(150mL)中のNBocジオール(57g、262.52mmol)の撹拌溶液に、エーテル(50mL)中のHClを加え、一晩撹拌した。白色の固体をろ過し、エーテル(50mL)で洗浄した。ろ液を6時間にわたって約0℃に保持し、固体をろ過し、エーテル(25mL)で洗浄した。両方のバッチを組み合わせて、Pの存在下で、減圧下で一定重量の4(31g)が得られるまで乾燥させた。H NMR(DO):1.94~2.01(m,1H)、2.14~2.19(m,1H)、3.30~3.48(m,2H)、3.71~3.76(m,1H)、3.93~4.08(m,2H)、4.67~4.75(m,1H)。
【0112】
化合物5の合成
ステップ(ii)[1]:氷浴上で、オーバーヘッド撹拌機を備えた五つ口の15Lのガラス反応器中で反応を行った。アセトニトリル(8L)中の4(450g、2.94モル)の撹拌溶液に、EtN(1L、7.2モル)およびトリフルオロ酢酸エチル(1000g、7.04モル)を加え、室温で一晩撹拌した。白色の固体(EtN.HCl)を焼結式漏斗でろ過し、酢酸エチル(4L)で洗浄した。有機溶液を濃縮した後、トルエン(2L×2)と同時蒸発させ、22Lのロータリーエバポレータ中で、減圧下で一晩乾燥させたところ、粗生成物がゴム状の塊(約600g)として得られた。
【0113】
ステップ(ii)[2]:上で得られた粗化合物(2.94モル)を、2Lの無水ピリジンに溶解させ、四つ口の15Lのフラスコに移した。さらに6Lの無水ピリジンを加えた。この溶液を、氷浴を用いて約5℃に冷却した後、DMTr-Cl(1000g、2.95)を、20分間にわたって窒素雰囲気下で何回かに分けて加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。12Lの水を、撹拌しながら加え、それを6時間静置しておいた。化合物は、褐色がかったゴム状の塊としてフラスコの底に沈降した。水-ピリジン層を、移送ポンプを用いてデカントし、水層を、酢酸エチル(2×5L)で抽出した。水層をデカントした後、粘着性材料と組み合わされた酢酸エチル抽出物が、反応器中に残った。溶媒の濃縮により、対応する生成物が粘性油として得られ、それを精製せずに次のステップに使用した。
【0114】
ステップ(ii)[3]:MeOH(5L)中のトリフルオロアセチル化合物(2.94モル)の撹拌溶液に、水(2L)に溶解されたKOH(330g、5.88モル)を、30分間にわたって滴下して加え、室温で1時間撹拌した。3Lの体積になるまで濃縮した後、15Lの水を加え、一晩静置させた。生成物が、赤褐色の粘性油として底に沈降した。移送ポンプを用いて水をデカントした後、6LのDCMを加えて溶解させ、5Lの水で洗浄し、有機溶媒を分離した。溶媒の濃縮の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(4Kgのシリカ、溶離剤:ヘキサン/酢酸エチルおよび酢酸エチル/MeOH)精製により、化合物5(1000g、81%)が泡状の黄白色の固体として得られた。H NMR(CDCl):1.35~1.42(m,1H)、1.65~1.70(m,1H)、2.33(br s,1H)、2.59~2.62(m,1H)、2.72~2.75(m,1H)、2.82~2.91(m,2H)、3.36~3.41(m,1H)、3.71(s,6H)、4.1(br s,1H)、4.525(d,J=4.0Hz、1H)。
【0115】
実施例3:化合物31の合成
【化36】
試薬および条件:(i)[1].EDC.HCl、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはEDC.HCl、DIEA、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはEDC.HCl、DIEA、ペンタフルオロフェノールまたはDCC、DMAP/DCM-DMFまたはアミド化/エステル化のための任意の他のカルボン酸活性剤およびモノメチルドデカン二酸(i)[2]エーテル/ジオキサン/ジオキサン-DMFまたはTFA中のHCOOHまたはHCl、(ii)[1].ステップ(i)[1]およびモノBoc1,3-プロパンジアミンおよび(ii)[2]THF水溶液中のLiOHまたはNaOHまたはKOH;(iii)[1]ステップ(i)[1]および化合物5および(iii)[2].ステップ(i)[2];(iv)(i)[1]および化合物9;(v)DMTr-Cl/PyまたはDMTr-Cl、DMAP/py。
【0116】
化合物7の合成
ステップ(i)[1]:市販の化合物6(1081g、2.139mol)、ドデカン酸モノメチルエステル(653g、2.673モル)およびHOBt(433.5g、3.209mol)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた12Lの三つ口丸底フラスコ中で、DCM(6L)とDMF(1L)との混合物に溶解させた。反応混合物を氷水浴中で冷却し、約10℃の温度を維持した。EDAC.HCl(531g、2.673mol)を何回かに分けてゆっくりと加えた後、30分間の期間にわたってDIEA(1.12L、6.42mol)を加えた。反応混合物を、アルゴン下で2日間撹拌し続けた。KMnO染色を用いて2日後にTLCを確認し、ロータリーエバポレータフラスコに移し、揮発物を減圧下で除去した。ジクロロメタンの大部分を除去した後、フラスコをフードに移し、撹拌しながら15Lの水を加え、混合物を一晩沈降させ続けた。上層をデカントし、粘性の底層を、4LのEtOAcに溶解させ、水(2×4L)、10%のクエン酸水溶液(2×3.5L)、2×4LのNaHCO水溶液、続いて、飽和塩水(2.5L)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。粗生成物を高真空下で一晩乾燥させ、他の精製を伴わずに次の反応に使用した(1641g、定量的)。LC-MS、C3869NO12についての計算値、分子量:731.48;実測値732.3(M+H)。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 6.85(s,1H)、3.53(dd,J=12.9、6.9Hz、16H)、3.30(s,1H)、2.49(dd,J=3.5、1.7Hz、2H)、2.37(t,J=6.1Hz、7H)、2.26(t,J=7.4Hz、2H)、2.02(t,J=7.3Hz、2H)、1.56~1.44(m,3H)、1.44~1.34(m,32H)、1.21(s,13H)。
【0117】
ステップ(i)[2]:ステップ(i)[1]からの上記の化合物(1560g、2.134モル)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた22Lの三つ口丸底フラスコに取り込んだ。ギ酸(10Kg)を酸に加え、混合物を24時間撹拌した。TLCにより、少量の出発材料が残ったことが示された。さらなるギ酸(4L)を加え、さらに24時間撹拌し続けた。TLCおよび質量スペクトルにより、反応の完了が示され、混合物を20Lのロータリーエバポレータに移し、揮発物を減圧下で除去した。ギ酸の除去の後、残渣を、トルエン(4.5L×2)と同時蒸発させた。上記の残渣に、8Lの50%のEtOAc/ヘキサンを、ゆっくりと回転させながら加えたところ、白色の固体が、溶液から沈殿し、混合物を2時間撹拌した。混合物をろ過し、4Lの50%のEtOAc/ヘキサン、続いて、4Lの無水エーテルで洗浄した。化合物7を、一定重量(収量1096g、91%)に達するまで45℃で空気乾燥させた。LC-MS C2645NO12についての計算値、分子量:563.29;実測値564.3(M+H)。H NMR(400MHz、DMSO)δ 12.08(bs,3H)、6.89(s,1H)、3.65~3.43(m,7H)、2.41(dt,J=12.7、6.3Hz、3H)、2.26(t,J=7.4Hz、1H)、2.02(t,J=7.3Hz、1H)、1.44(ddd,J=19.5、13.3、6.7Hz、2H)、1.21(s,5H)。
【0118】
化合物8の合成
ステップ(ii)[1]:DCM/DMF(1.5L/0.5L)中の7(89.5g、158.7)、NBocプロパンジアミン(103.6g、595mmol)、EDC(113.7g、595mmol)、HOBt(96.4g、630mmol)の撹拌溶液に、DIEA(207.4mL、1190mmol)を、10分間にわたって滴下して加え、室温で14時間撹拌した。100mLの水を加え、DCMを減圧下で蒸発させた。さらに1Lの水を加えた後、水層を注意深くデカントし、この手順を2回繰り返した。得られた粘性油をDCM(500mL)に溶解させた後、水(500mL)、10%のクエン酸(500mL)、飽和NaHCO(250mL)、塩水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、対応する生成物(157g)が無色の粘性油として得られた。LCMS:計算値:1031.67(M)、実測値:1066.4(M+Cl
【0119】
ステップ(ii)[2]:1.5LのTHF中のメチルエステル(135g、131mmol)の撹拌溶液に、LiOH水溶液(0.5Lの水中の13g、309.5mmol)を加え、室温で14時間撹拌した。溶媒を約1Lになるまで蒸発させた後、2Lの水を加えた。この水溶液を酢酸エチル(1L×2)で洗浄した後、20%のクエン酸を用いて、pHを、2~3に調整し、DCM(1L×2)で抽出し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、溶媒を濃縮したところ、8(107g)が無色の粘性油として得られた。化合物8についてのLCMS:計算値:1017.66(M)、実測値:1016.6(M-1)
【0120】
化合物9の合成
ステップ(iii)[1]:DCM/DMF(250mL/250mL)中の酸8(28g、27.514mmol)トランスヒドロキシルプロリノール4(6.3g、41.27mmol)およびHOBt(16.84g、110.06mmol)の撹拌溶液に、DIEA(17.75g、137.57mmol)を、室温で5分間にわたって滴下して加え、30分間撹拌した。上記の溶液に、HBTU(13.05、34.39mmol)を、10分間にわたって何回かに分けて加え、3時間撹拌した。100mLの水を加えた後、DCMを蒸発させ、次に、500mLの水を加え、1時間静置しておいた。濁った溶液をデカントし、粘着性の固体を水(100mL×3)ですすいだ。ゴム状の材料をDCM(500mL)中の20%のMeOHに溶解させ、濃縮した後、トルエン(100ml×2)と同時蒸発させたところ、対応する生成物(31g)が、黄色がかった泡状の固体として得られた。LCMS:計算値:1116.73(M)、実測値:1117.7(M+1)、1139.6(M+Na)。
【0121】
ステップ(iii)[2]:150mLのMeOH中の上記の化合物(29g、25.9mmol)の撹拌溶液に、ジエチルエーテル中の2MのHClを、10分間にわたって滴下して加え、3時間撹拌した。300mLの無水ジエチルエーテルを加え、それを30分間静置しておいた。有機溶媒をデカントし、ジエチルエーテル(200mL×2)で洗浄した。ゴム状の材料を減圧下で乾燥させたところ、白色の粉末9(23.2g)が得られた。化合物9についてのLCMS:計算値:816.57(M)、実測値:817.4(M+1)、839.3(M+Na)
【0122】
ステップ(iii)[2]の代替的方法:
(A)上記のNBoc化合物(0.475g、0.425mmol)を10mLの95%のHCOOHに溶解させ、3時間撹拌した。有機溶媒を濃縮したところ、対応する生成物が定量的収率で得られた。化合物9についてのLCMS:計算値:816.57(M)、実測値:817.4(M+1)、839.3(M+Na)
(B)上記のNBoc化合物(0.475g、0.425mmol)をDCM中の10mLの20%のTFAに溶解させ、3時間撹拌した。有機溶媒を濃縮したところ、対応する生成物が定量的収率で得られた。化合物9についてLCMS:計算値:816.57(M)、実測値:817.4(M+1)、839.3(M+Na)
【0123】
化合物31の合成
ステップ(iv):DCM(200mL)中の25(10g、15.79)、EDC(3.79g、19.84mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(2.27g、19.73mmol)の撹拌溶液に、DIEA(5.09g、39.46mmol)を、5分間にわたって滴下して加え、室温で14時間撹拌した。50mLの水を加えた後、DCM(2×100mL)で抽出し、水、10%のクエン酸(100mL)、飽和NaHCO(250mL)、塩水(200mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、対応する生成物(12g)が、黄色がかった固体として得られ、それを精製せずに次のステップに使用した。
【0124】
DMF(500mL)中のアミン9(22g、23.8mmol)の撹拌溶液に、滴下してEtNおよびNHS-糖(55.6g、76.16mmol、上記のステップから得られる)を一回で加え、反応混合物を室温で一晩(12時間)撹拌した。1Lの水を反応混合物に加え、1時間静置しておいた。濁った水/DMF溶液をデカントし、水(100mL×2)ですすいだ。ゴム状の材料をDCM(約500mL)に溶解させ、NaSO上で乾燥させた。溶媒の濃縮により、粗材料が得られ、それをカラムクロマトグラフィー(DCM中0~20%のMeOH)によって精製したところ、対応する生成物(27.5g、48%)が得られた。MALDI:計算値:2662.20(M)、実測値:2686.08(M+Na)、2702.74(M+K)。
【0125】
ステップ(v):乾燥ピリジン(10mL)中のアルコール(420mg、0.158mmol)の撹拌溶液に、DMTrCl(64mg、0.19mmol)およびDMAP(10mg、0.08mmol)を加えた。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。さらに107mg(0.32mmol)のDMTrClを加え、6時間撹拌した。反応を水(10mL)でクエンチした後、10mLの体積になるまで濃縮した。水層をデカントし、ゴム状の材料を10mLの水で2回すすいだ。この材料をDCM(10mL)に溶解させ、NaSO上で乾燥させ、溶媒を濃縮したところ、粗材料が得られ、それをカラムクロマトグラフィーによって精製したところ、11(250mg、収率74%)が得られた。化合物11についてのMALDI:計算値:2964.33(M)、実測値:2988.85(M+Na)、3002.77(M+K)。
【0126】
実施例4-モノカルボン酸30の合成
【化37】
試薬および条件:(i)[1].AcO、DMAP、ETN/Pyおよび(i)[2].TMSOTf/1,2-ジクロロエタン;(ii)MeOH、EtN;(iii)[1].TMSOTf/1,2-ジクロロエタンおよび(iii)[2].ETN/MeOH;(iv)[1].BzO、DMAP/Pyおよび(iv)[2].LiI/Py、R=Bzの場合の還流;(v)[1].NaOH水溶液および(v)[2].AcO、R=Acの場合のDMAP/Py;(vii)[1].EDC.HCl、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはEDC.HCl、DIEA、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはEDC.HCl、DIEA、ペンタフルオロフェノールまたはDCC、DMAP/DCM-DMFまたはアミド化/エステル化のための任意の他のカルボン酸活性剤およびモノBoc1,3-プロパンジアミン(vii)[2].TFA、アニソール、室温;または60~70℃で、HCl/MeOH/ジオキサンまたはp-トルエンスルホン酸/MeOH(viii)[1].ステップ(vii)[1]、[2].NaOMe/MeOH、(viii)[3].NaOH水溶液および(viii)[4].AcO/Py。
【0127】
化合物21の合成
ステップ(i)[1]:無水ピリジン(7.2L)を、Ar雰囲気下で、40Lの反応器中で、無水酢酸(5.3L)中のガラクトサミン.HCl20(1.63kg、7.55mol)の撹拌および(氷浴上で)冷却された懸濁液に加えた。DMAP(79g)、およびトリエチルアミン(1.05L、7.55mol)を連続して加え、混合物を氷浴上で一晩撹拌し、その間、20の溶解、続いて、過アセチル化(peracetylated)糖およびトリエチルアミン塩酸塩の結晶化が、最初の2時間の間に30℃までの発熱効果を伴って起こった。混合物を焼結式ガラスフィルタに通してろ過し、残渣を、トルエン(約4L×2)、続いて水(約3L×2)で洗浄した。結晶性残渣をガラスフィルタ上で一晩乾燥させ、乾燥皿に移し、ホットプレート上で、70℃で2日間にわたって空気中で乾燥させたところ、2.53kg(86%)の純粋な化合物過アセチル化化合物が得られた。
【0128】
ステップ(i)[2]:反応をAr雰囲気下で20Lの反応器中で行った。TMSOTf(1.40L、7.74mol)を、Ar雰囲気下で、無水DCE(4.0L)中の過アセチル化糖中間体(2.52kg、6.49mol)の撹拌懸濁液にゆっくりと(10分間)加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、移送管路を介して、開放された40Lの反応器中のNaHCO(1.64kg、19.4mol)と、氷(5.5L)と、水(5.5L)との激しく撹拌された混合物に移した。40分間撹拌し続け、有機層を分離し、水層をDCMで(2回)洗浄し、組み合わされた有機抽出物を無水NaSO上で乾燥させた。混合物をろ過し、溶媒を蒸発させ、油状の残渣を、ロータリーエバポレータ(30℃で15ミリバール)で乾燥させ、無水DCE(4.0L)に再溶解させ、溶媒を再度蒸発させ、ロータリーエバポレータ(30℃の浴温度で3ミリバール)で乾燥させたところ、2.14kgの粗製の21が得られた。ロータリーエバポレータ中の粗化合物を、無水DCE(4.0L)に再溶解させ、得られた溶液を次のステップに使用した。
【0129】
ヒドロキシ酸23の合成
アルゴンをゆっくりと流しながら、20Lの回転蒸発フラスコ中で反応を行った。乾燥メタノール(4L)中のバレロラクトン22(98%の純度(TCI)、1.0kg、10mol)およびトリエチルアミン(140mL、1mol)の溶液を室温で1時間撹拌し、その間、わずかな発熱効果(28℃まで)が観察された。混合物を真空中で濃縮し(25℃の加熱浴)、乾燥トルエン(4L)で希釈し、減圧下で蒸発させ、残渣を、4ミリバール/25℃のロータリーエバポレータで乾燥させた後、高真空(0.4~0.6トル、室温)下で一晩撹拌したところ、23が1%未満のトルエンを含有する無色の液体、1.39kg(100%)として得られた。
【0130】
化合物24の合成
ステップ(iii)[1]:Ar雰囲気下で、冷却ジャケットを備えた20Lの反応器中で反応を行った。TMSOTf(250mL、1.38mol)を、無水DCE(6.5L)中の粗製の21(2.14kg、≦6.49mol)およびヒドロキシエステル23(0.94L、7.14mol)の撹拌および冷却された(12℃)溶液に加えた。直後の発熱効果(23℃まで)が観察され、冷却器をオフにし、混合物を室温で3時間撹拌し、NaHCO(168g、2.0mol)と、水(3L)と、いくらかの氷との激しく撹拌された混合物を含む22Lの開放されたフラスコに移した。有機相を分離し、無水NaSO上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、油状の残渣を、12ミリバール/30℃のロータリーエバポレータで乾燥させたところ、3.09kgの粗生成物が得られ、それをさらに精製せずに次のステップに使用した。
【0131】
ステップ(iii)[2]:加熱/冷却ジャケットを備えた20Lのろ過反応器中で反応を行った。前のステップから得られた粗生成物(3.09kg、≦6.49mol)を、Ar雰囲気下で無水メタノール(10L)に溶解させ、トリエチルアミン(0.90L、6.49mol)を加えた。混合物を50℃で2日間加熱し、トルエン(4L)を加え、溶液を一晩、室温に冷まし、その間にバルク結晶化が起こった。スラリーを0℃に冷却し、一晩撹拌し、ろ過し、固体をトルエン(8.8L)中の10%のメタノールで洗浄し、ホットプレート上で、65℃で、空気中で乾燥させたところ、0.97kgの24が得られた。ろ液を、バルク結晶化するまで真空中で濃縮し、乾燥エチルアルコール(4.0L)を加えた。スラリーを、室温で一晩、ロータリーエバポレータで研和し、ろ過し、固体をトルエン-エタノール混合物(1:1、約2L)で洗浄したところ、ホットプレート上で、65℃で、空気中で乾燥させた後、さらに191gの24が得られた。全収量:1.16kg、9を基準にして54%、約95%の純度。
【0132】
化合物25(R=Bz)の合成
ステップ(iv)[1]:化合物24(1.06kg、3.15mol、約95%の純度)およびDMAP(384g、3.15mol)を、Ar雰囲気下で、無水ピリジン(9.0L)に溶解させた。安息香酸無水物(2.49kg、11.02mol)を加え、混合物を一晩撹拌し、水(200mL)を加え、さらに0.5時間撹拌し続けた。ピリジンを蒸発させ、残渣を、35℃を超える浴温度(結晶化が起こった)で10ミリバールのロータリーエバポレータで乾燥させた。固体が完全に溶解するまで、残渣をロータリーエバポレータフラスコ中で水(2L)とEtOAc(4L)とに分液し、抽出容器に移し、さらなるEtOAc(8L)および水(5L)で希釈した。有機層を分離し、水(10L)、飽和NaHCO(5L×2)、および再度、水(5L×2)で連続して洗浄した。有機層を分離し、溶媒を、粘性の塊になるまで真空中で蒸発させ、油状の残渣をエタノール(3.8L)に再溶解させ、溶媒を再度蒸発させ、残渣を、20ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで乾燥させた。残渣を35℃でエタノール(10.6L)に再溶解させ、加熱/冷却ジャケットを備えた20Lのろ過反応器に移した。水(6.0L)を何度かに分けて加え、混合物を22℃に冷まし、生成物のシードを加えた。一晩撹拌した後、バルク結晶化が起こり;混合物を0℃に冷却し、さらに5時間撹拌し、ろ過した。一晩空気を通すことによって沈殿物を予備乾燥させ、乾燥皿に移し、ホットプレート上で、65℃で2日間にわたって(一定の質量になるまで)空気中で乾燥させたところ、1.70kg(84%)のベンゾイル化生成物(約97%の純度)が得られた。
【0133】
ステップ(iv)[2]:得られた過ベンゾイル化生成物(608g、0.938mol)と、無水LiI(「超乾燥(ultra dry)」-Alfa-Aesar、503g、3.75mol)と、無水ピリジン(1.6L)との混合物を、Ar雰囲気下で、穏やかな還流で24時間にわたって加熱し、室温に冷まし、水(0.5L)で希釈した。ピリジンを蒸発させ、油状の残渣を、4ミリバール/30℃のロータリーエバポレータで乾燥させ、冷却された20%のHPO(5L)と酢酸エチル-ヘキサン混合物(2:1、5L)とに分液した。有機相を分離し、5%のNaCl水溶液(2L)、3%の重亜硫酸ナトリウム水溶液(2L)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。溶液(総体積6L)を乾燥剤からデカントし、焼結式ガラスフィルタ漏斗上で酢酸エチル-ヘキサン混合物(2:1)中に湿式充填された900gのシリカゲルのプラグに通してろ過した。ろ液中の実質的な量の酸がTLCによって観察されなくなるまで(18L)、シリカゲルケーキをAcOEt-ヘキサン2:1混合物で洗浄した。組み合わされたろ液を蒸発させ、泡状の生成物をACN(1.6L)に溶解させ、ACNを蒸発させた。最後の手順を繰り返し、生成物を0.4トルで1日乾燥させたところ、25(584.3g、98%)が得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ 1.54(S,4H)、1.71(S,3H)、2.22(t,2H)、3.54(m,1H)、3.81(m,1H)、4.39(m,2H)、4.48(m,2H)、4.74(d,1H)、5.37(dd,1H)、5.76(d,1H)、7.40(t,2H)、7.50(t,2H)、7.58(m,3H)、7.65(t,1H)、7.73(m,3H)、7.92(t,4H)、8.11(d,2H)、12.11(s,1H)。13C NMR(100MHz、DMSO-d6):δ 21.0、22.6、28.3、33.2、49.7、62.0、67.9、68.4、70.0、71.8、100.8、128.5、128.6、128.9、129.0、129.1、133.4、133.6、164.8、165.1、169.3、174.3。LC-MS:634(M+1)+。
【0134】
化合物25(R=Ac)の合成
ステップ(v)[1]:化合物24(12.70g、38mmol)を、メタノール(50mL)および水(5mL)中のNaOH(1.88g、47mmol)の溶液に溶解させ、混合物を一晩撹拌し、酢酸(0.51mL、9mmol)で中和し、無水エタノール(200mL)で希釈し、蒸発させて乾燥させた。0.4トルで一晩乾燥させた後、15.38gの白色の発泡体が得られ、それを150mLの無水ピリジン、続いて、無水酢酸(30mL、152mmol)で研和した。混合物を30℃で一晩撹拌し、0℃に冷却し、水(14mL)を加えた。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌し、溶媒の大部分を真空中で除去し、残渣を、飽和塩水(150mL)と酢酸エチル(100mL)とに分液し、有機層を分離し、20%のリン酸と20%の塩水との混合物(1:1、250mL)、飽和塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で蒸発させた。残渣を、n-ブタノール(3回)、続いて、ACN(3回)と同時蒸発させたところ、14.46g(83%)の25が得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d6):δ 1.54(S,4H)、1.71(S,3H)、2.22(t,2H)、3.54(m,1H)、3.81(m,1H)、4.39(m,2H)、4.48(m,2H)、4.74(d,1H)、5.37(dd,1H)、5.76(d,1H)、7.40(t,2H)、7.50(t,2H)、7.58(m,3H)、7.65(t,1H)、7.73(m,3H)、7.92(t,4H)、8.11(d,2H)、12.11(s,1H)。13C NMR(100MHz、DMSO-d6):δ 21.0、22.6、28.3、33.2、49.7、62.0、67.9、68.4、70.0、71.8、100.8、128.5、128.6、128.9、129.0、129.1、133.4、133.6、164.8、165.1、169.3、174.3。LC-MS:634(M+1)+。
【0135】
化合物29の合成
ステップ(vii)[1]:化合物7(1090g、1.936mol)およびHOBt(1170g、8.667mol)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた22Lのフラスコに取り込んだ。4LのDCMおよび2LのDMFを、撹拌しながら加え、混合物を氷水混合物中で約10℃に冷却した。2LのDCM中のモノbocプロピルアミン21(1265g、7.260mol)の溶液を、撹拌しながら上記の溶液に加えた。ゆっくりと全ての試薬を溶液に入れた。4LのDCM中のEDAC.HCl(1439g、7.260mol)のスラリーを、約10℃の温度を維持しながら、反応混合物にゆっくりと加えた。DIEA(2.40L、13.55mol)を、1.5時間の期間にわたってゆっくりと加えた。反応混合物をアルゴン下で一晩撹拌し続けた。TLCを確認し、反応混合物をロータリーエバポレータ漏斗に移し、揮発物を減圧下で除去した。フラスコをフードに移し、10Lの水を、撹拌しながら残渣に加え、混合物を一晩沈降させた。2つの層を一晩分離し、上層をデカントした。底層を8LのEtOAcに溶解させ、分液漏斗に移し、水(2×4L)、NaHCO水溶液(2.5L)および10%のクエン酸水溶液(2×3.5L)および水(1×4L)および飽和塩水(2.5L)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、トルエンおよびジクロロメタンと同時蒸発させ、高真空下で乾燥させた(収量2026g、定量的)。LC-MS C509315についての計算値、分子量:1031.67;実測値1032.6(M+H)。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 7.79(t,J=5.6Hz、1H)、6.94(s,1H)、6.72(t,J=5.3Hz、1H)、3.61~3.45(m,5H)、3.01(dd,J=12.8、6.6Hz、2H)、2.89(dd,J=12.7、6.5Hz、2H)、2.26(t,J=6.3Hz、3H)、2.03(t,J=7.3Hz、1H)、1.55~1.38(m,3H)、1.36(d,J=10.7Hz、8H)、1.21(s,3H)。
【0136】
ステップ(vii)[2]:ステップ(vii)[1]からの化合物(52g、50.40mmol)を、20mLのアニソールとともに100mLのDCMに溶解させた。上記の混合物に、TFA(200mL)を加え、混合物を一晩撹拌した。溶媒を除去し、残渣をトルエン(2×100mL)と同時蒸発させたところ、ゴム状の液体が得られた。この残渣をMeOH(30mL)に溶解させ、無水エーテルで沈殿させた。混合物を低温の部屋に一晩入れておき、沈降させ、デカントした。化合物を高真空下で乾燥させたところ、白色のふんわりした固体29がそのTFA塩(収量52.10g、96%)として得られた。LC- MS C3569についての計算値、分子量:731.52;実測値732.50(M+H)。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.04(t,J=5.6Hz、1H)、7.82(s,3H)、3.65~3.42(m,5H)、3.18~3.02(m,2H)、2.84~2.69(m,2H)、2.28(dt,J=12.2、6.9Hz、2H)、2.03(t,J=7.3Hz、1H)、1.78~1.57(m,2H)、1.56~1.35(m,1H)、1.21(s,3H)。
【0137】
化合物30(R=Ac)の合成
アセテートのためのステップ(viii)[1]:DCM(500mL)中のGalNAc酸25-Ac(50.65g、113.27mmol)、HBTU(52g、136mmol)およびHOBt(19g、135mmol)の溶液に、DIEA(52ml、10当量)を加え、混合物を15℃で10分間撹拌した。この混合物に、DMF(100mL)中のアミン29(32g、29.80mmol)の溶液を加え、混合物を4時間撹拌した。TLCを確認し、溶媒を除去した。残渣に水を加え、EtOAcで抽出した。有機層を、水(2×200mL)、重炭酸塩水溶液(1×200mL)および塩水(200mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。溶離剤としてEtOAc/MeOH混合物を用いた短いシリカゲルカラムによって、粗生成物を精製したところ、化合物がオフホワイトの固体26a(収量、42.3g、70%)として得られた。MALDI-MS C921501039についての計算値 分子量:2019.01;実測値2042.10(M+Na)。
【0138】
ベンゾエートのためのステップ(viii)[1]:
方法A:DCM(200mL)中のGalNAc酸25-Bz(35.86g、56.63mmol)、HBTU(28g、73.61mmol)およびHOBt(11.48g、84.90mmol)の溶液に、DIEA(26ml、10当量)を加え、混合物を15℃で10分間撹拌した。この混合物に、DMF(50mL)中のアミン29(15.70g、14.90mmol)の溶液を加え、混合物を4時間撹拌した。TLCを確認し、溶媒を除去した。残渣に水を加え、EtOAcで抽出した。有機層を、水(2×100mL)、重炭酸塩水溶液(1×100mL)および塩水(150mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。溶離剤としてEtOAc/MeOH混合物を用いた短いシリカゲルカラムによって、粗生成物を精製したところ、化合物がオフホワイトの固体26b(収量、25.20g、67%)として得られた。MALDI-MS C1371681039についての計算値、分子量:2577.15;実測値3000.10(M+Na)。1H NMR(400MHz、DMSO)δ 8.04~7.80(m,1H)、7.79~7.33(m,2H)、6.96(s,1H)、5.74(d,J=3.3Hz、1H)、5.36(dd,J=11.1、3.3Hz、1H)、4.73(d,J=8.5Hz、1H)、4.55~4.19(m,1H)、4.01(q,J=7.1Hz、1H)、3.86~3.73(m,1H)、3.64~3.45(m,1H)、3.31(s,1H)、3.02(d,J=5.0Hz、1H)、2.36~2.15(m,1H)、2.13~1.99(m,1H)、1.69(s,1H)、1.61~1.35(m,1H)、1.31~1.02(m,1H)。
【0139】
方法B:DCM/DMF(2:1)(200mL)中のGalNAc酸25-Bz(30.78、48.62mmol)、EDAC.HCl(10.70g、54mmol)およびHOBt(9.11g、67.5mmol)の溶液に、DIEA(24ml、10当量)を加え、混合物を15℃で15分間撹拌した。この混合物に、DMF(100mL)中のアミン29A(14.50g、13.50mmol)の溶液を加え、混合物を一晩撹拌した。TLCを確認し、溶媒を除去した。残渣に水を加えたところ、化合物が沈殿した。沈殿した残渣をEtOAcに溶解させ、有機層を、水(2×200mL)、重炭酸塩水溶液(1×200mL)、5%のリン酸(1×200mL)および塩水(150mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。溶離剤としてEtOAc/MeOH混合物を用いた短いシリカゲルカラムによって、粗生成物を精製したところ、化合物がオフホワイトの固体26b(収量、30.10g、87%)として得られた。MALDI-MS C1371681039についての計算値、分子量:2577.15;実測値3000.10(M+Na)。
【0140】
ステップ(viii)[2-4]:エステル26aからの三本鎖(triantennary)GalNAc酸30
【化38】
0℃で、無水メタノール(20mL)中の三本鎖エステル26a(10.2g、5mmol)の溶液に、Ar雰囲気下で、NaOMe(5.7mL、25mmol)の25重量%の溶液を加えた。混合物を5分間撹拌し、粘性の油状の残渣が得られるまで真空中で蒸発させ、それを15mLのメタノールおよび2mLの水に再溶解させた。混合物を室温で一晩撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩(3.44g、25mmol)で中和し、無水ピリジン(60mL)で希釈した。粘性の油状の残渣が得られるまで溶媒を蒸発させ、それをAr雰囲気下で無水DMF(30mL)に再溶解させ、溶液を、カニューレを介して、ピリジン(32mL)と無水酢酸(18.9mL、200mmol)との激しく撹拌された混合物に移した。混合物を室温で一晩撹拌し、0℃に冷却し、水(11mL)を加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌し、粘性の油状の残渣が得られるまで45℃で蒸発させた。残渣を、水(10mL×2)、続いて、n-ブタノール(100mL×2)と同時蒸発させたところ、15.0gの残渣が得られた。これを酢酸エチル-イソプロパノール(5:1、150mL)に溶解させ、酢酸エチル中の2%のTEAで非活性化されたシリカゲル(45g)を含むろ過カラムに充填した。ろ過カラムを、150mLのそれぞれ:酢酸エチル-イソプロパノール(5:1、×2)、酢酸エチル-メタノール(5:1、×2)、(2:1、×2)、および(1:1、×2)で溶出した。生成物を含有する画分を収集し、真空中で蒸発させ、残渣をACN(30mL)に再溶解させ、セライトに通してろ過し、蒸発させた。生成物を0.4トルで一晩乾燥させたところ、9.45g(94%)の30-Acが得られた。H NMR(400MHz、DMSO-D6):δ 1.21~1.15(m,12H)、1.49~1.46(m,22H)、1.76(s,9H)、1.88(s,9H)、1.98(s,12H)、2.01(m,9H)、2.09(s,9H)、2.21(t,2H)、2.27(t,6H)、2.9(m,1H)、3.02(m,14H)、3.52(m,12H)、3.70(m,10H)、3.88(q,3H)、4.0(s,9H)、4.1(m,1H)、4.48(d,3H)、4.7~4.5(m,1H)、4.98(d,3H)、5.21(d,3H)、6.84(m,4H)、7.02(s,1H)、7.17(m,5H)、7.28(m,4H)、7.79(m,3H)、7.88(m,6H)。MALDI-MS:2429(M+Na)+。
【0141】
ステップ(viii)[2-4]:エステル26bからの三本鎖GalNAc酸30
【化39】
0℃で、無水メタノール(60mL)中の三本鎖エステル26b(13.5g、5.2mmol)の溶液に、Ar雰囲気下で、NaOMe(1.2mL、5.2mmol)の25重量%の溶液を加えた。冷却浴を除去し、混合物を室温で1時間撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩(0.85g、6.2mmol)で中和し、真空中で蒸発させ、残渣を、1%のNaCl水溶液(70mL)と酢酸エチル(40mL)とに分液した。水層を分離し、40mLの酢酸エチルで洗浄し、約60mLの溶液が残るまでロータリーエバポレータで真空にかけた。NaOH(0.64g、16mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩(2.48g、18mmol)で中和し、60mLのピリジンで希釈し、粘性の油状の残渣が得られるまで溶媒を真空中で蒸発させ、それをさらなる60mLのピリジンと同時蒸発させ、60mLのピリジンに再度溶解させた。沈殿物をろ過し、ピリジンで洗浄し、組み合わされたろ液を真空中で蒸発させ、4ミリバール/30℃で3時間乾燥させたところ、11.06gの残渣が得られた。それをAr雰囲気下で無水ピリジン(40mL)に溶解させ、溶液を、カニューレを介して、ピリジン(50mL)と無水酢酸(25mL、260mmol)との激しく撹拌された混合物に移した。混合物を室温で一晩撹拌し、0℃に冷却し、水(30mL)を加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌し、粘性の油状の残渣が得られるまで45℃で蒸発させ、それを4ミリバール/45℃で1.5時間乾燥させた。残渣を、酢酸エチル(50mL)と、イソプロパノール(15mL)と、25%の塩化ナトリウム(50mL)との撹拌された混合物に溶解させ、トリエチルアミンを一定のpH=7になるまで滴下して加え(8mL)、液体を、固体NaClから分液漏斗へとデカントした。有機層を分離し、25%のNaCl(50mL)、飽和NaCl(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、残渣を、ACNと(2回)同時蒸発させ、0.4トルで一晩乾燥させたところ、9.95g(96%)の30が得られた。
【0142】
実施例5-固体に担持されたGalNAcモノマー32の合成
【化40】
試薬および条件:(i)EDC.HCl、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA/DCM-DMFまたはHBTU、DIEA、HOBt/DCM-DMFまたはEDC.HCl、DIEA、N-ヒドロキシスクシンイミドまたはEDC.HCl、DIEA、ペンタフルオロフェノールまたはDCC、DMAP/DCM-DMFまたはアミド化/エステル化のための任意の他のカルボン酸活性剤;(ii)(1).無水コハク酸、DMAPまたは無水コハク酸および任意の固体担体に固定されたDMAPまたは無水コハク酸、ピリジンまたは無水コハク酸およびDIEAまたは無水コハク酸およびETNおよび(ii)(2)ステップ(i)およびヒドロキシまたはアミノ官能化固体担体(例えば、制御多孔質ガラスまたは任意のポリマー担体)
【0143】
三本鎖誘導体31(Ac):
ステップ(i):無水DCM(50mL)中の三本鎖酸30(5.00g、2.5mmol)、ヒドロキシプロリノール誘導体5(1.17g、2.8mmol)、HBTU(1.14g、3.0mmol)、HOBt(1.01g、7.5mmol)の撹拌された混合物に、DIEA(1.3mL、7.5mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌し、水(60mL)でクエンチし、有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させたところ、9.21gの残渣が得られた。それを、酢酸エチル(80mL)とDCM(30mL)との混合物に溶解させ、酢酸エチル中の2%のTEAで非活性化されたシリカゲル(20g)を含むろ過カラムに充填した。ろ過カラムを、90mLのそれぞれ:酢酸エチル-TEA(2%)(×6)、酢酸エチル-メタノール(10:1、×1)、および(3:1、×3)で溶出した。生成物を含有する画分を収集し、真空中で蒸発させ、残渣を、ACNと(2回)同時蒸発させた。生成物を0.4トルで一晩乾燥させたところ、4.77g(80%)の31(Ac)が得られた。H NMR(400MHz、DMSO-D6):δ 1.21~1.15(m,12H)、1.49~1.46(m,22H)、1.76(s,9H)、1.88(s,9H)、1.98(s,12H)、2.01(m,9H)、2.09(s,9H)、2.21(t,2H)、2.27(t,6H)、2.9(m,1H)、3.02(m,14H)、3.52(m,12H)、3.70(m,10H)、3.88(q,3H)、4.0(s,9H)、4.1(m,1H)、4.48(d,3H)、4.7~4.5(m,1H)、4.98(d,3H)、5.21(d,3H)、6.84(m,4H)、7.02(s,1H)、7.17(m,5H)、7.28(m,4H)、7.79(m,3H)、7.88(m,6H)。MALDI-MS:2429(M+Na)+。
【0144】
ステップ(ii)[1]-Ac:
【0145】
【表1】
【0146】
DCM中のステップ(i)からの化合物の溶液を、周囲温度で、窒素雰囲気下で、2Lの丸底フラスコ中で調製した。この溶液に、10分間の間にトリエチルアミンを加えた。次に、無水コハク酸をそれに加えた後、周囲温度でPS-DMAPを加えた。それを周囲温度で12時間撹拌した(TLCおよびHPLC)。反応塊をセライト床に通してろ過し、DCM(500ml)で洗浄した。次に、有機層をDCM(1L)で希釈し、水(3×4500ml)で洗浄した。炭(7.5g)を有機層に加え、15分間撹拌した。次に、それをセライト床に通してろ過し、DCM(500ml)で洗浄した。ろ液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、30℃で、減圧下で蒸発させたところ、化合物がオフホワイトの固体140g(86%)として得られた。H NMR(400MHz、DMSO-D):δ 1.21(m,12H)、1.47~1.51(m,22H)、1.78(s,9H)、1.89(s,9H)、1.99(s,9H)、2.05(m,8H)、2.10(s,9H)、2.29(m,3H)2.36(m,6H)、2.39(q,2H)、2.42(q,2H)、3.04(m,14H)、3.42(q,4H)、3.53(m,12H)、3.7(m,10H)、3.87~3.90(q,3H)、4.03(s,9H)、4.2(m,1H)、4.49~4.52(d,3H)、4.97~4.99(d,3H)、5.22(s,3H)、5.35(s,1H)、6.87(m,4H)、7.02(s,1H)、7.17(m,5H)、7.28(m,4H)、7.79(m,3H)、7.88(m,6H)。13C NMR(100MHz、DMSO-D):δ 10.51、2042、21.84、22.71、24.48、25.34、28.54、28.88、28.99、29.29、29.72、30.30、33.10、34.07、35.04、36.02、36.26、36.34、45.37、49.38、52.34、54.98、59.48、61.41、63.24、66.69、67.31、68.27、68.64、69.83、70.50、72.58、85.29、100.98、113.11、126.61、127.58、127.80、129.61、135.74、158.03、169.50、169.66、169.95,170.02、170.24、172.09、172.51、172.63、174.35。MALDI-MS:2529(M+Na)。
【0147】
ステップ(ii)[1]-Bz:
【0148】
【表2】
【0149】
ステップ(i)からの化合物-BzをDCMおよびトリエチルアミンに溶解させた。この溶液に無水コハク酸およびPS-DMAPを加え、溶液を48時間撹拌した。混合物をろ過し、水および塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去したところ、化合物がオフホワイトの固体(89.23g、95%)として得られた。MALDI-MS計算値3064.33;実測値3087.30(M+Na)。
【0150】
ステップ(ii)[2]:GalNAc固体担体32(AcまたはBz)-CPG、ポリスチレン-アミノ、ポリスチレン-アミノベースの担体)の合成のための一般的な方法。
ポリスチレンアミノベースの担体の例:ステップ(ii)[i]からのスクシネート(32.50g、12.46mmol)を、アセトニトリル(1000mL)に取り込み、それに、HBTU(11.80g、31.16mmol)およびDIEA(10mL、4当量)を加え、反応混合物を5分間混合した。アミノ末端ポリスチレン担体(160g)を加え、混合物を室温で24時間振とうした。それをろ過し、DCM、10%のMeOH/DCM、DCMおよびジエチルエーテルで連続して洗浄した。それを真空下で乾燥させ、充填量を確認した。乾燥された固体担体を、25%のAcO/Pyを用いて3時間キャッピングし、洗浄し、乾燥させたところ、所要の固体担体(186g、67μmol/gの充填量)が得られた。
【0151】
GalNAcスクシネートステップ(ii)[1)を異なる固体担体に充填するための反応条件
ステップ(ii)[2]:
【0152】
【表3】
【0153】
ポリスチレン固体担体を作製するのに3つの異なる条件を試験し、結果を以下に示す。
【0154】
ヒドロキシル末端ポリスチレン担体へのGalNAcスクシネートステップ(i)[1)の充填
上述されるのと同じプロトコルにしたがって、異なるヒドロキシル末端ポリマー担体を充填し、結果を以下に示す。
【0155】
【表4】
【0156】
ヒドロキシル末端ポリスチレン担体へのGalNAcスクシネートステップ(i)[1)の充填
上述されるのと同じプロトコルにしたがって、異なるヒドロキシル末端ポリマー担体を充填し、結果を以下に示す。
【0157】
【表5】
【0158】
実施例6-DMTr-プロリノール7Aの合成
【化41】
ステップ1.トランス-4-ヒドロキシプロリノール塩酸塩4A:
【化42】
【0159】
【表6】
【0160】
手順1:
ガス入口、温度計、還流冷却器および還流冷却器上に設置されたガス出口を備え、バブラーに連結された5Lのフラスコ中で反応を行った。MeOH(166mL、0.725mol)中のNaOMeの25重量%の溶液を、Ar雰囲気下で、無水MeOH(1.3L)中の1(131.6g、0.725mol)の冷却(0℃)および撹拌された溶液に加えた後、約1.5時間にわたってNaBH(90.8g、2.39mol)を何回かに分けて加えた。最初の1/3の分量のボロヒドリドの添加の際に著しい発熱効果が観察され、反応温度を20~25℃未満に維持するように添加の速度を調整した。氷水冷却浴を水道水冷却浴と交換し、水素発生が停止するまで(ガスバブラー監視)、温度を20~25℃未満に維持しながら混合物を一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し;ジオキサン(3.2mol、800mL)中のHClの4Mの溶液を加え(30℃までの発熱)、冷却浴を除去し、混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を微多孔性ガラスフィルタに通してろ過し、バルク結晶化が起こるまでろ液を減圧(80ミリバール、30℃)下で蒸発させた(約2Lの溶媒が除去された)。乾燥MeCN(1.5L)を加え、混合物をロータリーエバポレータ(20℃、2時間)で研和し、ろ過し、結晶性残渣をMeCNで1回洗浄し、窒素をゆっくりと流しながら、一晩乾燥させたところ、93.0g(84%)の純粋な4Aが得られた。さらなる分量の11.0g(9%)の4Aが、母液からゆっくりと沈殿し、これは、NHClおよび他の少量の不純物で汚染されていた。H NMR(DO):1.94~2.01(m,1H)、2.14~2.19(m,1H)、3.30~3.48(m,2H)、3.71~3.76(m,1H)、3.93~4.08(m,2H)、4.67~4.75(m,1H)。
【0161】
手順2:
上記の手順をより大きい規模で最適化するために、1から4Aへの転化を、3モルの規模で行い、この手順を以下に示す。
【0162】
【表7】
【0163】
トランス-4-ヒドロキシプロリンメチルエステル塩酸塩(1、544.86g、3mol)を、温度計、還流冷却器および固体添加漏斗を備えた20Lのジャケット付きのガラス反応器に加え;固体を、Ar雰囲気下で、無水メタノール(5L)に溶解させ、溶液を0℃に冷却した。MeOH(25重量%、686mL、3mol)中のNaOMeの溶液を、一定の撹拌およびArの一定の流れ下で低温の溶液に加えた後;約1.5時間にわたって固体添加漏斗に通してNaBH(300g、2.64mol)を何回かに分けて加えた。反応温度を20~25℃未満に維持するように添加の速度を調整した。水素発生が停止するまで(ガスバブラー監視)、温度を25~30℃に維持しながら、反応混合物を一晩撹拌した。混合物を再度5℃に冷却し;ジオキサン(12mol、3L)中のHClの4Mの溶液を撹拌しながらゆっくりと加え;微多孔性ガラスフィルタに通してろ過し、ろ液を減圧下で蒸発させた(8Lの溶媒が除去され、生成物の初期結晶化が観察された)。無水MeCN(4L)をスラリーに加え、混合物を室温で撹拌し;ろ過し、結晶性生成物をMeCN(1L)で1回洗浄し、真空オーブン中40℃で一晩乾燥させたところ、423.0g(92%)の4Aが得られた。しかしながら、生成物のNMR分析により、未反応のエステル1(<5%)の存在が示された。固体生成物を高温のメタノール(800mL)に溶解させ、高温でろ過して、非溶解固体(おそらくNaCl)を除去した。透明のろ液を4LのEtOAcで希釈し、溶液を氷浴上で冷却した。結晶化された生成物をろ過した後、乾燥したところ、純粋な生成物4A(第1の生成物270g+第2の生成物61g=合計331g、72%)が白色の結晶性固体として得られた。H NMR(500MHz、DMSO-d):δ 9.48(s,1H)、8.75(d,J=187.3Hz、1H)、5.34(dd,J=16.9、11.7Hz、2H)、4.37(s,1H)、3.83~3.59(m,2H)、3.61~3.42(m,1H)、3.15(t,J=26.0Hz、1H)、3.01(t,J=21.2Hz、1H)、1.98~1.61(m,2H)。13C NMR(126MHz、DMSO DMSO-d):δ 94.27、68.77、59.89、59.86、59.68、52.42、52.35、35.39。
【0164】
実施例7-化合物5Aの合成
【化43】
【0165】
【表8】
【0166】
氷浴上でオーバーヘッド撹拌機を備えた五つ口の15Lのガラス反応器中で反応を行った。アセトニトリル(8L)中の4A(450g、2.94mol)の撹拌溶液に、EtN(1L、7.2mol)およびトリフルオロ酢酸エチル(1000g、7.04mol)を加え、室温で一晩撹拌した。白色の固体(EtN.HCl)を焼結式漏斗でろ過し、EtOAc(4L)で洗浄した。有機溶液を濃縮した後、トルエン(2×2L)と同時蒸発させ、22Lのロータリーエバポレータ中で、減圧下で一晩乾燥させたところ、粗製の5Aがゴム状の塊(約600g)として得られた。このように得られた化合物5Aは、さらに精製せずに次のステップに使用され得る。
【0167】
実施例8-化合物7Aの合成
【0168】
【化44】
【0169】
【表9】
【0170】
氷浴上でオーバーヘッド撹拌機を備えた、窒素下の五つ口の15Lのガラス反応器中で反応を行った。粗化合物5A(2.94mol)を2Lの無水ピリジンに溶解させ、15Lのフラスコに移した。さらに6Lの無水ピリジンを加えた。この溶液を氷浴上で約5℃に冷却した後、DMTr-Cl(1000g、2.95mol)を、20分間にわたって窒素雰囲気下で何回かに分けて加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応の完了をTLCによって確認した。水(12L)を、撹拌しながら加え、それを6時間静置させた。化合物は、褐色がかったゴム状の塊としてフラスコの底に沈降した。水-ピリジン層を、移送ポンプを用いてデカントし、水層を、酢酸エチル(EtOAc、2×5L)で抽出した。水層をデカントした後、粘性の材料と組み合わされたEtOAc抽出物が、反応器中に残った。溶媒の濃縮により、化合物6Aが粘性油として得られ、それを精製せずに次のステップに使用した。
【0171】
反応(TFA脱保護)を、オーバーヘッド撹拌機を備えた五つ口の15Lのガラス反応器中で行った。MeOH(5L)中の6A(2.94mol)の撹拌溶液に、2Lの水中のKOH(330g、5.88mol)を、30分間にわたって滴下して加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で3Lの体積になるまで濃縮し;15Lの水を濃縮物に加え、一晩静置させた。生成物が、赤褐色の粘性油として底に沈降した。移送ポンプを用いて水層をデカントし、6Lのジクロロメタン(DCM)を加えて、沈降した生成物を溶解させ、5Lの水で洗浄し、有機溶媒を分離した。溶媒の濃縮の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(4Kgのシリカ、溶離剤:ヘキサン/酢酸エチルおよび酢酸エチル/MeOH、詳細については以下の表を参照)精製により、化合物7A(1000g、化合物4Aから81%)が泡状の黄白色の固体として得られた。H NMR(CDCl):1.35~1.42(m,1H)、1.65~1.70(m,1H)、2.33(br s,1H)、2.59~2.62(m,1H)、2.72~2.75(m,1H)、2.82~2.91(m,2H)、3.36~3.41(m,1H)、3.71(s,6H)、4.1(br s,1H)、4.525(d,J=4.0Hz、1H)。
【0172】
実施例9-BzGalNAc C酸13Bの合成
【化45】
ペンタアセチルD-(+)-2-アミノガラクトース(9)
【0173】
【化46】
【0174】
【表10】
【0175】
無水ピリジン(7.2L)を、Ar雰囲気下で、40Lの反応器中で、無水酢酸(5.3L)中のD-(+)-ガラクトサミン塩酸塩8(1.63kg、7.55mol)の撹拌および冷却された(氷浴)懸濁液に加えた。DMAP(79g)、およびトリエチルアミン(1.05L、7.55mol)を連続して加え、混合物を氷浴中で一晩撹拌し、その間、8の溶解の後、9およびトリエチルアミン塩酸塩の結晶化が、最初の2時間にわたって30℃までの発熱効果を伴って起こった。混合物を焼結式ガラスフィルタに通してろ過し、残渣を、トルエン(約4L×2)、続いて、水(約3L×2)で洗浄した。結晶性残渣をガラスフィルタ上で一晩乾燥させ、乾燥皿に移し、2日間にわたって(70℃のホットプレートで)空気中で乾燥させたところ、2.53kg(86%)の純粋な9が得られた。H NMR(400MHz、DMSO)δ 7.88(d,J=9.2Hz、1H)、5.63(d,J=8.8Hz、1H)、5.26(d,J=3.1Hz、1H)、5.05(dd,J=11.3、3.3Hz、1H)、4.34~3.82(m,4H)、2.11(s,3H)、2.03(s,3H)、1.98(s,3H)、1.90(s,3H)、1.77(s,3H)。
【0176】
メチル5-ヒドロキシペンタノエート11A
【0177】
【化47】
【0178】
【表11】
【0179】
アルゴンをゆっくりと流しながら、20Lの回転蒸発フラスコ中で反応を行った。乾燥メタノール(4L)中のバレロラクトン(98%の純度、TCIから購入した、1.0kg、10mol)およびトリエチルアミン(140mL、1mol)の溶液を室温で1時間撹拌し、その間、わずかな発熱効果(28℃まで)が観察された。混合物を真空中で濃縮し(25℃の加熱浴)、乾燥トルエン(4L)で希釈し、減圧下で蒸発させ、残渣を、4ミリバール/25℃のロータリーエバポレータで乾燥させた後、高真空(0.4~0.6トル、室温)下で一晩撹拌したところ、11Aが1%未満のトルエンを含有する無色の液体、1.39kg(100%)として得られた。H NMR(400MHz、CDCN)δ 3.61(s,3H)、3.49(t,J=6.2Hz、2H)、2.55(bs,1H)、2.31(t,J=7.4Hz、2H)、1.62(dt,J=14.9、7.1Hz、2H)、1.55~1.42(m,2H)。
【0180】
オキサゾリジン中間体10(粗製)
【0181】
【化48】
【0182】
【表12】
【0183】
Ar雰囲気下で、20Lの反応器中で反応を行った。TMSOTf(1.40L、7.74mol)を、Ar雰囲気下で、無水1,2-ジクロロエタン(DCE、4.0L)中の9(2.52kg、6.49mol)の撹拌懸濁液にゆっくりと(10分間)加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、移送管路を介して、開放された40Lの反応器中のNaHCO(1.64kg、19.4mol)と、氷(5.5L)と、水(5.5L)との激しく撹拌された混合物に移した。40分間撹拌し続け、有機層を分離し、水層をジクロロメタン(DCM0.5L×2)で洗浄し、組み合わされた有機抽出物を無水NaSO上で乾燥させた。混合物をろ過し、溶媒を蒸発させ、油状の残渣を、ロータリーエバポレータ(30℃で15ミリバール)で乾燥させ、無水DCE(4.0L)に再溶解させ、溶媒を再度蒸発させ、残渣をロータリーエバポレータ(3ミリバール、30℃)で乾燥させたところ、2.14kgの粗製の10が得られ、それを無水DCE(4.0L)に再溶解させ、このように得られた溶液を次のステップに使用した。
【0184】
過アセチル化GalNAcグリコシド12A(粗製)
【0185】
【化49】
【0186】
【表13】
【0187】
Ar雰囲気下で、冷却ジャケットを備えた20Lの反応器中で反応を行った。TMSOTf(250mL、1.38mol)を、無水DCE(6.5L)中の粗製の10(2.14kg、≦6.49mol)およびメチル5-ヒドロキシペンタノエート(11A、0.94L、7.14mol)の撹拌および冷却された(12℃)溶液に加えた。直後の発熱効果(23℃まで)が観察され、冷却器をオフにし、混合物を室温で3時間撹拌し、NaHCO(168g、2.0mol)と、水(3L)と、いくらかの氷との激しく撹拌された混合物を含む22Lの開放されたフラスコに移した。有機相を分離し、無水NaSO上で乾燥させ;溶媒を蒸発させ、油状の残渣を、12ミリバール/30℃のロータリーエバポレータで乾燥させたところ、3.09kgの粗製の12Aが得られ、それをさらに精製せずに次のステップに使用した。H NMR(400MHz、CDCl):δ 5.73(d,J=8.6Hz、1H)、5.35(d,J=3.1Hz、1H)、5.26(dd,J=11.2、3.3Hz、1H)、4.68(d,J=8.4Hz、1H)、4.34(t,J=5.6Hz、1H)、4.21~4.04(m,3H)、3.93(tdd,J=17.7、11.1、7.0Hz、3H)、3.72(s,3H)、3.70~3.62(m,4H)、3.57~3.41(m,2H)、2.55(t,J=6.9Hz、1H)、2.32(dt,J=23.8、11.7Hz、3H)、2.18~2.11(m,4H)、2.11~1.78(m,14H)、1.78~1.44(m,5H)。
【0188】
脱保護されたGalNAcメチルエステル12B
【0189】
【化50】
【0190】
【表14】
【0191】
加熱/冷却ジャケットを備えた20Lのろ過反応器中で反応を行った。粗製の12A(3.09kg、≦6.49mol)を、Ar雰囲気下で、無水メタノール(10L)に溶解させ、トリエチルアミン(0.90L、6.49mol)を溶液に加え、撹拌しながら50℃で2日間加熱した。反応混合物をトルエン(4L)で希釈し、溶液を一晩、室温に冷まし、その間にバルク結晶化が起こった。スラリーを0℃に冷却し、一晩撹拌し、ろ過し、固体をトルエン(8.8L)中の10%のメタノールで洗浄し、(ホットプレート上で、65℃で)空気中で乾燥させたところ、0.97kgの12Bが得られた。バルク沈殿が開始するまで、ろ液を減圧下で濃縮した。乾燥エタノール(4.0L)を濃縮物に加え、得られたスラリーを、ロータリーエバポレータ上で、室温で一晩研和し、ろ過し、固体をトルエン-エタノール混合物(1:1、約2L)で洗浄したところ、(ホットプレート上で、65℃で)空気中で乾燥させた後、さらなる191gの12Bが得られた。全収量:1.16kg、9を基準として54%、約95%の純度。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.58(d,J=9.1Hz、1H)、4.60~4.47(m,2H)、4.44(d,J=4.3Hz、1H)、4.20(d,J=8.4Hz、1H)、3.77~3.60(m,3H)、3.56(s,3H)、3.54~3.21(m,6H)、2.28(t,J=7.4Hz、2H)、1.78(d,J=6.6Hz、3H)、1.59~1.36(m,4H)。
【0192】
過ベンゾイル化GalNAcグリコシド12C
【0193】
【化51】
【0194】
【表15】
【0195】
グリコシド12B(1.06kg、3.15mol、約95%の純度)およびDMAP(384g、3.15mol)を、Ar雰囲気下で無水ピリジン(9.0L)に溶解させた。安息香酸無水物(2.49kg、11.02mol)を加え、混合物を一晩撹拌し;水(200mL)を反応混合物に加え、さらに0.5時間撹拌し続けた。ピリジンを減圧下で反応混合物から除去し、残渣を、10ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで乾燥させた。固体が完全に溶解するまで、残渣を20Lのロータリーエバポレータフラスコ中で水(2L)とEtOAc(4L)とに分液し、抽出容器に移し、さらなるEtOAc(8L)および水(5L)で希釈した。有機層を分離し、水(10L)、飽和NaHCO(2×5L)、および再度、水(2×5L)で連続して洗浄した。有機層を分離し、溶媒を、粘性の塊になるまで減圧下で蒸発させた。油状の残渣をエタノール(3.8L)に再溶解させ、減圧下で再度蒸発させた。このように得られた残渣を約2時間にわたって20ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで乾燥させた。残渣を35℃でエタノール(10.6L)に再溶解させ、加熱/冷却ジャケットを備えた20Lのろ過反応器に移した。水(6.0L)を35℃で何度かに分けて加え、混合物を22℃に冷まし、12Cのシードを溶液に加えた。一晩撹拌した後、バルク結晶化が起こり;混合物を0℃に冷却し、さらに5時間撹拌し、ろ過した。一晩空気を通すことによって沈殿物を予備乾燥させ、乾燥皿に移し、一定の質量になるまで(2日間にわたってホットプレート上で、65℃で)空気中で乾燥させたところ、1.70kg(84%)の12C(約97%の純度、約3%の対応するメチルグリコシドを含有する)が得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.05~7.84(m,1H)、7.76~7.30(m,2H)、5.75(d,J=3.2Hz、1H)、5.35(dd,J=11.1、3.3Hz、1H)、4.73(d,J=8.5Hz、1H)、4.54~4.41(m,1H)、4.41~4.18(m,1H)、3.79(dd,J=10.0、4.7Hz、1H)、3.56(s,1H)、3.55~3.47(m,1H)、2.29(t,J=7.0Hz、1H)、1.69(s,1H)、1.55(dd,J=11.8、9.1Hz、1H)。
【0196】
BzGalNAc C酸ナトリウム塩13B
【0197】
【化52】
【0198】
【表16】
【0199】
無水LiI(「超乾燥(ultra-dry)」-Alfa-Aesar、1.41kg、10.52mol)を、ガス入口、温度計、還流冷却器、および加熱マントルを備えた12Lの四つ口フラスコ中で、Ar雰囲気下で、無水ピリジン(4.5L)中のメチルエステル12C(1.70kg、2.63mol)の撹拌溶液に、約30分間にわたって何度かに分けて加えた。添加中、70℃までの発熱効果が観察された。混合物を、穏やかな還流下(フラスコ中125℃)で25時間にわたってさらに加熱し、室温に冷まし、水(1.5L)で希釈した。ピリジンを蒸発させ;油状の残渣を、11ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで乾燥させ、再度、水(2L)で希釈し、蒸発させ、10ミリバール/35℃で3時間乾燥させた。残渣(4.86kg)を、冷却された20%のHPO(6L)と、水(2L)と、EtOAc-ヘキサン混合物(2:1、8L)とに分液した。有機相を分離し、水相を、EtOAc-ヘキサン混合物(2:1、3×3L)で再度洗浄した。組み合わされた有機抽出物を、5%のNaCl水溶液(6L)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。溶液(総体積約20L)を乾燥剤からデカントし、2.5kgのシリカゲル(6Lの焼結式ガラスフィルタ漏斗上でEtOAc-ヘキサン混合物(2:1)に湿式充填された)のプラグに通してろ過した。ろ液中の実質的な量の酸がTLCによって観察されなくなるまで(45L)、シリカゲルケーキをEtOAc-ヘキサン2:1混合物で洗浄した。組み合わされたろ液を蒸発させ、20ミリバール/35℃で乾燥させたところ、粗製の酸が軟質の発泡体(1.78kg)として得られ、それをEtOAc(4L)およびヘキサン(2L)に溶解させた。トリエチルアミン(384mL、2.76mol)、続いて、5%のNaCl溶液(2.3L)を加えた。酸13Bのトリエチルアンモニウム塩を含有する底部の水層を分離し、有機層を、5%のNaCl(0.5L×2)で洗浄した後に廃棄した。生成物を組み合わされた水層からEtOAcとイソプロパノールとの混合物(5:1、6L)中に抽出し;有機層を5%のNaCl(4L×3)、飽和NaCl(1L×2)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。溶媒を減圧下で蒸発させ;残渣を20ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで短時間乾燥させ、アセトニトリル(ACN、6L)に溶解させた。溶液を焼結式ガラスフィルタに通して無機沈殿物からろ過し、蒸発させ、20ミリバール/30℃のロータリーエバポレータで短時間乾燥させ、ACN(6L)に再溶解させ、再度蒸発させ、高真空下で乾燥させたところ、1.58kg(93%)の純粋なナトリウム塩13Bが得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.50(d,J=9.1Hz、1H)、7.90(dd,J=10.9、4.0Hz、4H)、7.82~7.28(m,11H)、5.75(d,J=3.2Hz、1H)、5.46~5.26(m,1H)、4.75(dd,J=32.1、8.6Hz、1H)、4.53~4.20(m,4H)、3.74(dt,J=11.1、5.7Hz、1H)、3.54(dt,J=10.6、5.5Hz、1H)、2.01~1.82(m,2H)、1.71(s,3H)、1.65~1.33(m,4H)。
【0200】
実施例9-トリス(tert-ブチル)-トリスアミン17Aの合成
(tert-ブチル-3,3’-(2-アミノ-2-((3-tert-ブトキシ-3-オキソプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ)ジプロパノエート)
【0201】
【化53】
【0202】
【表17】
【0203】
TRIS(500g)およびDMSO(830mL)を、アルゴン下で、氷水浴上で、オーバーヘッド撹拌機を備えた12Lの四つ口フラスコに加えた。反応混合物を約15℃に冷却し、混合物を約10分間撹拌して、TRISを完全に溶解させた(または反応混合物が均一な溶液になるまで)。5MのNaOH(83mL)を一度に加え、混合物を5分間撹拌した。アクリル酸tert-ブチル(2300mL)を、1時間の期間にわたって一定の撹拌下でゆっくりと上記の混合物に加え、添加中、反応温度を約15℃に維持した。混合物を周囲温度にゆっくりと温め、アルゴン下で24時間撹拌し続けた。24時間後の反応混合物のTLC(溶離剤:2%のMeOH/EtOAc-塩基性KMnO染色)および質量分析により、大幅に過剰な二付加生成物(二付加物)の存在(不完全なマイケル付加)が示された。
【0204】
反応を完了させるために、さらなる83mLの5MのNaOHを反応混合物に加えた後、1550mLのアクリル酸tert-ブチルを加えた。さらに24時間撹拌し続けた。反応混合物をロータリーエバポレータに移し、フラスコを2LのEtOAcで洗浄した。未反応のアクリル酸tert-ブチルを除去し、残渣を、トルエン(2×2L)と同時蒸発させた。得られた残渣を、EtOAc(4L)に溶解させ、等体積の水で洗浄したところ、層は十分に分離せず、2Lの飽和塩水を混合物に加えると、有機相および水相を分離した。洗浄プロセスをもう1回繰り返した。第1の水層を2Lの酢酸エチルで洗浄し、組み合わされた有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残渣(2.023Kg、粗重量)を、後述されるように、ろ過シリカゲルカラム、続いて、第2のカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0205】
ろ過カラムクロマトグラフィー:ヘキサン中の3Kgのシリカゲルのスラリーを充填し、粗化合物を充填し、ヘキサン(4L)1:3のEtOAc/ヘキサン(4L)および1:1のEtOAc/ヘキサン(8L)およびEtOAc(12L)中の2.5%のMeOHで連続して溶出した。二付加生成物(二付加物)を完全に除去した。所望の化合物17A(三付加物)を含有する全ての画分をプールし、蒸発させ(1530g-粗重量)、第2のカラムクロマトグラフィー精製のために二等分した。
【0206】
17Aの最終的な精製:ろ過カラムからの残渣を、第2の精製のために二等分した。
【0207】
カラム条件:ろ過カラムからの約765gの粗生成物を、最小量のEtOAc/ヘキサンに溶解させ、ヘキサン中に充填された3Kgのシリカゲル(3Kg)に充填した。ヘキサン(4L)、1:3のEtOAc/ヘキサン(4L)、3:7のEtOAc/ヘキサン(4L)、3:1のEtOAc/ヘキサン(4L);およびEtOAc(12L)中の2.5%のMeOHで連続して溶出した。
【0208】
カラムクロマトグラフィーを、同じ条件下で繰り返して、第2の分量から化合物17Aを単離した。プールされた純粋な画分を減圧下で蒸発させたところ、純粋な化合物17Aが粘性油(1087g、56%)として得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 3.54(t,J=6.0Hz、6H)、3.16(s,6H)、2.38(t,J=6.0Hz、6H)、1.39(s,27H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d):δ 171.06、80.30、73.13、67.46、56.42、40.21、40.21、39.89 39.58、36.50、28.40。
【0209】
実施例10-トリス(tert-ブチル)C12メチルエステル18Aの合成
【0210】
【化54】
【0211】
【表18】
【0212】
化合物17A(1081g、2.139mol)、モノメチルエステル15A(653g、2.673mol)およびHOBt(433.5g、3.209mol)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた12Lの四つ口丸底フラスコ中で、DCM(6L)とDMF(1L)との混合物に溶解させた。EDAC.HCl(531g、2.673mol)を、一定の撹拌下で反応混合物に何度かに分けて加えた。反応混合物を15分間(または反応混合物が均一な溶液になるまで)撹拌し、氷水浴上で約10℃に冷却した。DIEA(1.12L、6.42mol)を、約10℃の温度を維持しながら30分間の期間にわたって加えた。反応混合物を周囲温度にゆっくりと温め、アルゴン下で2日間撹拌した。TLC(溶離剤:35%のEtOAc/ヘキサン、塩基性KMnO染色)を確認し、溶液を、20Lのロータリーエバポレータに移し;溶媒および揮発物を減圧下で除去した。ジクロロメタンの大部分を除去した後、フラスコをフードに移し、オーバーヘッド撹拌機を装着した。水(15L)を、撹拌しながら加えたところ、ゴム状の液体が分離した。上記の混合物を、周囲温度で一晩沈降させ続けた。上層をデカントし、粘性の底層を、8LのEtOAcに溶解させ、水(2×4L)、10%のクエン酸水溶液(2×3.5L)、NaHCO水溶液(2×2.5L)、続いて、飽和塩水(2.5L)洗浄液で連続して洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を無水トルエン(2L)と同時蒸発させた。残渣を高真空下で一晩乾燥させたところ、化合物18Aが無色の粘性油(1641g、定量的収率より77g多い-同じ量のHOBtおよびトルエンが存在していた)として得られ、それを精製せずに次の反応に使用した。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 6.85(s,1H)、3.53(dd,J=12.9、6.9Hz、16H)、3.30(s,1H)、2.49(dd,J=3.5、1.7Hz、2H)、2.37(t,J=6.1Hz、7H)、2.26(t,J=7.4Hz、2H)、2.02(t,J=7.3Hz、2H)、1.56~1.44(m,3H)、1.44~1.34(m,32H)、1.21(s,13H)。MS C3869NO12についての計算値:731.48;実測値732.3(M+H)。
【0213】
実施例11-トリカルボン酸C12メチルエステル19Aの合成
【0214】
【化55】
【0215】
【表19】
【0216】
化合物18A(1560g、2.134mol)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた22Lの四つ口丸底フラスコに投入した。ギ酸(10Kg-8.2L)を反応フラスコに加え、全ての試薬を20分以内に溶液に入れ、アルゴン下で24時間撹拌した。TLC(溶離剤:35%のEtOAc/ヘキサン-塩基性KMnO染色)により、不完全な反応および未反応の18Aの存在が示された。さらなる4.1Lのギ酸を加え、さらに24時間撹拌し続けた。TLCおよび質量スペクトルにより、反応の完了が示され、混合物を20Lのロータリーエバポレータに移し、揮発物を減圧下で除去した。ギ酸の除去の後、残渣を、トルエン(2×4.5L)と同時蒸発させた。EtOAcとヘキサンとの混合物(1:1、8L)を、ゆっくりと回転させながらロータリーエバポレータにおける回転フラスコに投入したところ、白色の固体が溶液から沈殿し、混合物を、ロータリーエバポレータでさらに2時間(自由流動性の固体が分離するまで)ゆっくりと回転させた。固体をろ過し、EtOAc/ヘキサン(1:1、4L)、続いて、無水エーテル(4L)で洗浄した。固体をトレーに移し、一定重量に達するまで45℃で空気乾燥させたところ、化合物19Aが白色の粉末(収量1096g、91%として得られた。
【0217】
酢酸エチルからの19Aの再結晶化により、微量の部分的に脱保護されたtert-ブチルエステルを含まない生成物が得られた。19A(5.0g)を還流された酢酸エチル(25mL)に溶解させ、高温の透明な溶液を、残留固体を含有するフラスコからデカントした。フラスコを少量の酢酸エチルですすぎ、組み合わされたデカントされた溶液を一晩で室温に冷ました。沈殿物をろ過し、空気乾燥させたところ、4.75g(95%)の19Aが得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 12.08(bs,3H)、6.89(s,1H)、3.65~3.43(m,7H)、2.41(dt,J=12.7、6.3Hz、3H)、2.26(t,J=7.4Hz、1H)、2.02(t,J=7.3Hz、1H)、1.44(ddd,J=19.5、13.3、6.7Hz、2H)、1.21(s,5H)。13C NMR(101MHz、DMSO-d):δ 173.41、172.70、172.56、68.21、66.75、59.57、51.18、40.13、39.92、39.71、39.51、39.30、39.09、38.88、35.94、34.67、33.33、28.99、28.94、28.89、28.75、28.57、28.55、25.35、24.51。MS C2645NO12についての計算値:563.29;実測値564.3(M+H)。
【0218】
実施例12-トリス(Bocアミン)メチルエステル24Aの合成
【0219】
【化56】
【0220】
【表20】
【0221】
トリカルボン酸19A(1090g、1.936mol)およびHOBt(1170g、8.667mol)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた22Lの四つ口フラスコに取り込んだ。4LのDCMおよび2LのDMFを、一定の撹拌を行いながら混合物に加えた。反応混合物を、氷水浴上で約10℃に冷却した。2LのDCM中のモノBocプロパンジアミン21(1265g、7.260mol)の溶液を、撹拌しながら溶液に加えた。反応物は、15分間で均一になった。4LのDCM中のEDAC.HCl(1440g、7.260mol)のスラリーを、反応混合物にゆっくりと加えた後、DIEA(2.40L、13.55mol)を、1.5時間の期間にわたって、約10℃の温度を維持しながら、アルゴン下でフラスコにゆっくりと加えた。溶液の色が薄い黄褐色になり;混合物をゆっくりと周囲温度に温め、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。TLC(溶離剤:10%のMeOH/DCM、塩基性KMnO染色)を確認し、反応混合物を20Lのロータリーエバポレータに移し;DCMおよび揮発物を減圧下で除去した。フラスコをフードに移し、オーバーヘッド撹拌機を装着した。10Lの水を、撹拌しながら残渣に加えて、乳状の溶液を形成した。混合物を一晩沈降させ続けた。2つの層を一晩分離し、移送ポンプを用いて上層をデカントした。底層を8LのEtOAcに溶解させ、分液漏斗に移した。EtOAc層を、水(2×4Lの水+2Lの塩水)、NaHCO水溶液(2.5L+1Lの塩水)、10%のクエン酸水溶液(2×3.5L+1Lの塩水)、水(1×4L+2Lの塩水)および飽和塩水(2.5L)で連続して洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、トルエン(2.50L)およびジクロロメタン(6L)と連続して同時蒸発させた。残渣を高真空下で一晩乾燥させたところ、化合物24Aが淡黄色のゴム状の液体(2026g、定量的収率より30g多い、少量のHOBtおよび水で汚染された)が得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.79(t,J=5.6Hz、1H)、6.94(s,1H)、6.72(t,J=5.3Hz、1H)、3.61~3.45(m,5H)、3.01(dd,J=12.8、6.6Hz、2H)、2.89(dd,J=12.7、6.5Hz、2H)、2.26(t,J=6.3Hz、3H)、2.03(t,J=7.3Hz、1H)、1.55~1.38(m,3H)、1.36(d,J=10.7Hz、8H)、1.21(s,3H)。MS C509315についての計算値:1031.67;実測値1032.6(M+H)。
【0222】
実施例13-トリアミントリフルオロ酢酸塩25Aの合成
【0223】
【化57】
【0224】
【表21】
【0225】
前のステップからの化合物24A(1990g、ゴム状の液体)を、ロータリーエバポレータフラスコ中で、4LのDCMに溶解させた。混合物の重量を測定し、所要の量の溶液を、この反応のために別の20Lのロータリーエバポレータフラスコに移した。DCMを減圧下で除去し、残渣を高真空下で一晩乾燥させた。一晩乾燥させた後、残渣24A(750g、727mmol)を、無水DCM(2L)に溶解させ、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた12Lの四つ口フラスコに移した。ロータリーエバポレータフラスコを500mLのDCMで洗浄し、その溶液も反応フラスコに移した。アニソール(250mL)を反応混合物に加えた後、撹拌しながらトリフルオロ酢酸(3.5L)を加えた。トリフルオロ酢酸の添加中、反応からの副生成物であるブチレンガスの遊離により強い発泡が起こった。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。反応の完了を、MS分析によって監視した。混合物を20Lのロータリーエバポレータフラスコに移し、揮発物を減圧下に置いた。残渣を無水トルエン(2×2L)と同時蒸発させたところ、薄茶色のゴム状の液体が得られた。フラスコをフードに移し、オーバーヘッド撹拌機に連結した。残渣を無水MeOH(1L)に溶解させ;無水エーテル(8L)を、一定の撹拌下で溶液に加えた。エーテルの添加中、溶液は乳状になり、ゴム状の塊がフラスコの底で分離した。フラスコを低温の部屋(約4℃)に一晩入れておき、生成物全体をフラスコの壁および底に沈降させた。上層をデカントし、残渣を含むフラスコをロータリーエバポレータに移し;残留溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を高真空下で一晩乾燥させたところ、化合物25Aが白色のふんわりした固体として得られ、それは、真空除去すると、ゴム状の無色の液体(789g、定量的収率より9g多い)になった。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.06(t,J=5.6Hz、1H)、7.85(s,3H)、6.99(s,1H)、3.66~3.42(m,4H)、3.21~3.00(m,2H)、2.89~2.68(m,2H)、2.28(dt,J=12.4、6.9Hz、2H)、2.04(t,J=7.3Hz、1H)、1.76~1.59(m,2H)、1.56~1.35(m,1H)、1.21(s,3H)。MS C3569についての計算値:731.52;実測値732.50(M+H)。
【0226】
実施例14-トリス(BzGalNAc)-メチルエステル26Bの合成
【0227】
【化58】
【0228】
【表22】
【0229】
トリアミントリフルオロ酢酸塩25A(776g、0.7228モル)を、20Lのロータリーエバポレータフラスコ中で、2Lの無水DMFに溶解させた。化合物13B(1570g、2.476モル)およびHOBt(490g、3.630モル)を、アルゴン下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた22Lの四つ口フラスコに投入した。上記の混合物に、4LのDCMおよび2LのDMFを加え、固体の大部分が溶液になるまで撹拌した(30分間、わずかな濁りが持続した)。フラスコを氷水混合物上で約10℃に冷却した。2LのDMF中のEDAC.HCl(576g、2.904モル)のスラリー、続いて、DIEA(1260mL)を、約10℃の温度を維持しながら、15~20分間の期間にわたって滴下漏斗を用いて加えた。上記の混合物に、DMF中の25Aの溶液を、ゆっくりと加え、フラスコを1LのDMFですすぎ、この溶液も反応混合物に移した。反応混合物をゆっくりと周囲温度に温め、一晩撹拌し続けた。溶液の色が一晩で淡黄色から薄茶色に変わった。TLCを確認し、反応混合物を20Lのロータリーエバポレータに移して、揮発物の大部分を除去した。反応混合物をおよそ二等分し、それらの分量のそれぞれに、12Lの氷冷水を激しく撹拌しながら加えた。水の添加中、固体が沈殿し、溶液を低温の部屋に一晩入れておいた。上部に淡黄色の溶液および底部に淡褐色の沈殿物という2つの層が分離した。上層を、移送ポンプを用いてデカントし、残渣をEtOAc(9L)に溶解させた。この溶液を、5%のNaCl(5L)と、20%のHPO(1L)と、5%のNaCl(2×6L)と、飽和NaCl(3.5L)との混合物で連続して洗浄した。有機層を分離し、EtOAcで20Lになるまで希釈し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。この溶液を、20Lの漏斗中でEtOAcが予め湿式充填された7.5kgのシリカゲル(EMD、グレード62、60~200メッシュ)のろ過カラムに直接充填した。カラムを、40LのEtOAc(最初の12Lは純粋な溶媒であり、それを再利用した)、続いて、20Lの20:1のEtOAc-メタノールおよび60Lの3:1のEtOAc-メタノールで溶出した。生成物を含有するEtOAc-メタノール(3:1)画分を収集し、蒸発させ、残渣を2ミリバール/35℃で一晩乾燥させたところ、1.51kg(82%)の26Bがオフホワイトの発泡体として得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.00(d,J=9.3Hz、3H)、7.96~7.80(m,15H)、7.80~7.43(m,30H)、7.37(t,J=7.8Hz、6H)、6.98(s,1H)、5.76(d,J=3.2Hz、3H)、5.37(dd,J=11.1、3.2Hz、3H)、4.74(d,J=8.5Hz、3H)、4.55~4.40(m,6H)、4.40~4.20(m,6H)、4.01(q,J=7.1Hz、3H)、3.89~3.73(m,3H)、3.66~3.42(m,18H)、3.34(s,2H)、3.03(s,12H)、2.35~2.17(m,8H)、2.13~2.00(m,8H)、1.70(s,9H)、1.61~1.33(m,21H)、1.16(dd,J=12.4、5.2Hz、15H)。
【0230】
実施例15-トリス(AcGalNAc)-酸27Aの合成
【0231】
【化59】
【0232】
【表23】
【0233】
ステップ1
無水メタノール(6.5L)中のトリ-GalNAc(Bz)-メチルエステル26B(1.51kg、0.585mol)の溶液に、Ar雰囲気下で、メタノール(135mL、0.585mol)中のNaOMeの25重量%の溶液を加えた。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩(96.3g、0.70mol)で中和し、減圧下で蒸発させ、残渣を、分液漏斗中で、1%のNaCl水溶液(7.0L)とEtOAc(3.0L)とに分液して、安息香酸メチル(副生成物)を有機層中に抽出した(脱ベンゾイル化された(de-benzoylated)生成物26B-1は水への溶解性が高い)。EtOAc層を分離し、水層をさらなる3.0Lの酢酸エチルで洗浄した。ピリジン(2.0L)を水性抽出物に加え、酢酸エチルの全ての痕跡が除去されるまで(約2時間)、混合物を40ミリバール/35℃のロータリーエバポレータで蒸発させた。
【0234】
ステップ2
前のステップからの水抽出物を含有するロータリーエバポレータフラスコに、オーバーヘッド撹拌機を装着し、NaOH(70.0g、1.75mol)を加え、混合物を周囲温度で一晩撹拌し、トリエチルアミン塩酸塩(241g、1.75mol)で中和し、6.0Lのピリジンで希釈し、粘性の油状の残渣が得られるまで、溶媒を、20Lのロータリーエバポレータで、13ミリバール/35℃で蒸発させた。残渣をピリジン(6.0L)に再溶解させ、沈殿した塩化ナトリウムをろ過して取り除き、ピリジン(3×500mL)で洗浄し、組み合わされたろ液を、粘性の油状の残渣が得られるまで20ミリバール/45℃で蒸発させた。
【0235】
ステップ3
ステップ2からの残渣を、Ar雰囲気下で、無水ピリジン(6.0L)に再溶解させ、溶液を、約1.5時間にわたって無水ピリジン(5.6L)と無水酢酸(2.8L)との激しく撹拌された混合物にゆっくりと加えた。混合物を周囲温度で一晩撹拌し、氷水浴中で約4℃に冷却し、1.5Lの氷冷水を加えた。40℃までの発熱効果が観察され;混合物を周囲温度に冷まし(約0.5時間)、ロータリーエバポレータに移して、揮発物を除去した。油状の残渣を、一定重量(約1.82Kg)になるまで、2ミリバール/45℃で、真空下で乾燥させた。残渣を、酢酸エチル(5.0L)とイソプロパノール(1.0L)との撹拌された混合物に溶解させ、25%の塩化ナトリウム水溶液(6.0L)を加えた。トリエチルアミン(1.025L)をゆっくりと加えることによって、水相のpHを7に調整した。中和には、固体塩化ナトリウムの沈殿および中間層の分離が伴い、それを0.5Lのイソプロパノールの添加によって、有機相に戻した。液体を、移送ポンプを用いて、固体NaClから分液漏斗へとデカントした。有機層を分離し、25%のNaCl(6.0L×2)、飽和NaCl(3.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を蒸発させ、泡状の残渣を、無水アセトニトリル(6.0L×2)と同時蒸発させ、2ミリバール/40℃で24時間乾燥させたところ、1.11kg(95%)の27Aが得られた。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 8.00(d,J=9.3Hz、3H)、7.96~7.80(m,15H)、7.80~7.43(m,30H)、7.37(t,J=7.8Hz、6H)、6.98(s,1H)、5.76(d,J=3.2Hz、3H)、5.37(dd,J=11.1、3.2Hz、3H)、4.74(d,J=8.5Hz、3H)、4.55~4.40(m,6H)、4.40~4.20(m,6H)、4.01(q,J=7.1Hz、3H)、3.89~3.73(m,3H)、3.66~3.42(m,18H)、3.34(s,2H)、3.03(s,12H)、2.35~2.17(m,8H)、2.13~2.00(m,8H)、1.70(s,9H)、1.61~1.33(m,21H)、1.16(dd,J=12.4、5.2Hz、15H)。
【0236】
実施例16-Hyp-トリス(AcGalNAc)29Aの合成
【0237】
【化60】
【0238】
【表24】
【0239】
四つ口の22Lのフラスコ中で、無水DCM(10.0L)中の三本鎖GalNAc酸27A(1.107kg、0.552mol)の撹拌溶液に、アルゴン雰囲気下で、ヒドロキシプロリノール誘導体7A(256g、0.61mol)、HOBt一水和物(168g、1.1mol)およびHBTU(250g、0.66mol)を加えた。混合物を周囲温度で15分間撹拌し、DIEA(286mL、1.65mol)を加え、さらに3時間撹拌し続けた。TLCを確認し、混合物を4%のNaHCO水溶液(6.0L)でクエンチし、有機層を分離し、粘性のゴム状の残渣が残るまで減圧下で濃縮した。これを、酢酸エチル-イソプロパノールの混合物(5:1)(9.6L)と1%のNaCl水溶液(8.0L)とに分液し、有機層を分離し、飽和NaCl溶液(3.5L)で洗浄し、13Lの総体積になるまで、酢酸エチル-イソプロパノール(5:1)混合物で希釈し、無水NaSO上で乾燥させた。乾燥された溶液を、非活性化され、かつ酢酸エチル中の2%のTEAが予め湿式充填されたシリカゲル(7.2kg、EMD 60~200メッシュ)のろ過カラムに直接充填した。カラムを、酢酸エチル-イソプロパノール(5:1、30L)、続いて、酢酸エチル-メタノール(2:1、46L)で溶出した。少量の汚染された画分(6L)の前に、主な純粋な画分を別個に収集した。純粋な画分を真空中で蒸発させ、泡状の残渣を再溶解させ、無水アセトニトリル(6L×2)と同時蒸発させた。残渣を2ミリバール/30℃で一晩乾燥させたところ、1.145kgの29A(87%)が得られた。汚染された画分を蒸発させ、シリカゲル(325g)の小さいろ過カラム上で同様に精製したところ、さらなる46gの材料が得られた。29Aの全収量:1.19kg、90%。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.82(d,J=8.9Hz、2H)、7.73(t,J=5.5Hz、1H)、7.37~7.24(m,1H)、7.24~7.11(m,2H)、6.97(s,1H)、6.93~6.80(m,1H)、5.20(d,J=3.3Hz、1H)、5.01~4.85(m,1H)、4.48(d,J=8.5Hz、1H)、4.42~4.23(m,1H)、4.13(d,J=3.8Hz、1H)、4.06~3.96(m,3H)、3.86(dd,J=19.9、8.9Hz、1H)、3.77~3.64(m,3H)、3.62~3.46(m,5H)、3.46~3.28(m,2H)、3.15(dd,J=8.7、5.0Hz、1H)、3.11~2.92(m,6H)、2.34~2.15(m,3H)、2.09(s,3H)、2.08~2.00(m,5H)、1.98(s,3H)、1.91~1.85(m,3H)、1.76(s,3H)、1.48(dd,J=17.3、11.4、6.3Hz、7H)、1.30~1.11(m,6H)。
【0240】
実施例17-Hyp-トリス(AcGalNAc)スクシネート30の合成
【0241】
【化61】
【0242】
【表25】
【0243】
無水コハク酸(94.8g、0.948mol)およびPS-DMAP(充填量:1.57mmol/g、604g、0.948mol)を、アルゴン雰囲気下で、オーバーヘッド撹拌機を備えた12Lの四つ口フラスコ中で、無水DCM(6.0L)中の29A(1.14kg、0.474mol)およびトリエチルアミン(198mL、1.42mol)の溶液に連続して加えた。24時間撹拌した後、さらなる無水コハク酸(24g、0.24mol)を加えた。混合物をさらに24時間撹拌し、DCMに湿式充填されたCelite(0.5kg)に通してろ過し、固体をDCM(合計8L)で十分に洗浄した。組み合わされたろ液(約14L)を、約6Lの体積になるまで減圧下で蒸発させた。混合物を分液漏斗に移し、トリエチルアミン(200mL)を加えた。組み合わされた溶液を5%のNaCl水溶液(6L×2)で洗浄し、有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥させた。軟質の泡状の残渣が得られるまで、溶媒を、20Lのロータリーエバポレータで、減圧下で蒸発させ、それを、100mLのトリエチルアミンを含有する6Lの無水DCMに再溶解させ、溶媒を再度蒸発させ、このように得られた泡状の残渣を、1ミリバール/20℃で2日間乾燥させたところ、1.19kg(トリエチルアミン塩を基準にして96%)の30がガラス質の発泡体として得られた。H NMRにより、4.3質量%の残留溶媒(DCMおよび微量のトリエチルアミン)の存在が示された。H NMR(400MHz、DMSO-d):δ 7.93~7.72(m,1H)、7.28(dd,J=13.3、6.1Hz、1H)、7.24~7.12(m,1H)、6.99(s,1H)、6.94~6.80(m,1H)、5.33(s,1H)、5.20(d,J=3.3Hz、1H)、4.96(dd,J=11.2、3.3Hz、1H)、4.48(d,J=8.4Hz、1H)、4.18(d,J=3.4Hz、1H)、4.10~3.95(m,1H)、3.86(dd,J=19.8、8.9Hz、1H)、3.79~3.62(m,1H)、3.61~3.45(m,1H)、3.45~3.32(m,1H)、3.26~3.15(m,1H)、3.13~2.94(m,1H)、2.41~2.13(m,1H)、2.09(s,1H)、2.03(t,J=6.9Hz、1H)、1.98(s,1H)、1.88(s,1H)、1.76(s,1H)、1.57~1.35(m,2H)、1.31~1.06(m,2H)、0.93(t,J=7.1Hz、1H)。
【0244】
実施例18-化合物18Aを作製する代替的な方法-酸塩化物によるEDC/HOBtカップリングの置換
【化62】
塩化チオニル(低鉄、99%、19.7mL、0.27mol)を、無水トルエン(200mL)中のドデカン二酸-モノメチルエステル15A(55.6g、0.228mol)の懸濁液に加え、ガス発生が完了するまで(バブラー、3時間)、混合物を60℃で撹拌した。混合物を室温に冷まし;溶媒および揮発物を減圧下で蒸発させ、蒸発フラスコにアルゴンを補充した。残渣(酸塩化物15B)を無水DCM(200mL)で希釈し、無水DCM(500mL)中の17A(104.5g、0.207mol)およびDIEA(47mL、0.27mol)の冷却(0℃)および撹拌された溶液中に、40分間にわたって、カニューレを介してゆっくりと移した。0℃でさらに30分間撹拌し続け、混合物を、飽和NaHCO(400mL)の添加によってクエンチした。有機相を分離し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチルとヘキサンとの1:1混合物(600mL)に溶解させ、600mLのそれぞれ:2%のNaHCO水溶液、水、5%のHCl水溶液、水(×2)(注記2)、飽和NaClで連続して洗浄し、無水NaSO上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残渣を0.4トルで一晩撹拌することによって乾燥させたところ、143.5g(95%)の18Aが得られた。
【0245】
実施例19-トリアミントシル酸塩25Bの合成
1)対応するトシル酸塩25Bへのトリス(Bocアミン)メチルエステル24Aのp-トルエンスルホン酸(PTSAまたはトシル酸)脱保護
【化63】
乾燥メタノール(90mL)中のBoc保護されたアミン24A(9.36g、9.1mmol)およびp-トルエンスルホン酸一水和物(トシル酸、6.23g、32.8mmol)の溶液を、防水された(moisture-protected)フラスコ中で、50℃で一晩加熱した。反応の完了を、MS分析によって監視した。混合物を室温に冷まし、過剰なトシル酸を、DIEA(0.96mL、5.5mmol)の添加によって中和し、混合物をトルエン(180mL)で希釈した。溶媒を蒸発させ、得られた泡状の固体残渣を、2時間にわたって8ミリバール/30℃のロータリーエバポレータで乾燥させたところ、約5.5mmol(1.66g)のp-TSA-DIEA塩および微量の残留トルエンを含有する13.95gの25Bが得られた。
【0246】
2)トリアミントシル酸塩25Bからの三本鎖骨格26A
無水DMF(100mL)中のBzGalNAc C酸-ナトリウム塩13A(21.5g、32.8mmol)およびHOBt-一水和物(5.51g、36mmol)の冷却(10℃)および撹拌された溶液に、EDC塩酸塩(7.1g、36mmol)、続いて、DIEA(10.0mL、73mmol)を加え、EDC塩酸塩の完全な溶解が得られるまで(約15分間)、混合物を10℃で撹拌した。同時に、25B(13.95g、9.1mmol)を含有する前のステップからの固体を、無水DMF(70mL)に溶解させ、溶液を、カニューレを介して、上記の混合物に移した。混合物を一晩で室温に温め、0℃に冷却し、水(600mL)で希釈した。有機成分を0℃で一晩沈降させた後、水層を粘性の有機残渣からデカントし、これをEtOAc(200mL)に取り込み、5%のNaCl(200mL)と、20%のリン酸(20mL)と、5%の塩水(×2)と、飽和塩水との混合物で連続して洗浄し;有機層を、300mLの総体積になるまでEtOAcで希釈し、無水NaSO上で乾燥させた。この溶液を、EtOAc中に予め湿式充填された100gのシリカゲルの短いろ過カラムに直接充填した。カラムを、EtOAc(300mL×2)、続いて、3;1のEtOAc-メタノール(300mL×3)で溶出し、所望の生成物を含有する画分をプールし、蒸発させ、0.4トルで一晩乾燥させたところ、20.14g(86%)の26Aが得られた。HPLCプロファイル(87%)は、対照のバッチ(88%)と同等であった。
【0247】
実施例20-Hyp-トリス(AcGalNAc)スクシネート30の合成-DMAPまたは固定化DMAP(PS-DMAP)を用いないスクシニル化
【化64】
無水コハク酸(1.18g、11.8mmol)を、Ar雰囲気下で、無水DCM(60mL)中の29A(11.4g、4.7mmol)およびトリエチルアミン(1.95mL、14mmol)の溶液に加えた。混合物を室温で2日間撹拌し、その後、TLCにより、完全な転化が示された。混合物を、5%のNaCl水溶液で(2回)洗浄し、有機層を無水NaSO上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を0.4ミリバール/20℃で乾燥させたところ、11.8g(トリエチルアミン塩を基準にして96%)の30が得られた。ジエチルアミンも、トリエチルアミンの代わりに使用してもよく、より色の薄い生成物が得られる。
【外国語明細書】