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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019408
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】グリットブラスト
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
G21F9/28 531A
G21F9/28 522
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023199817
(22)【出願日】2023-11-27
(62)【分割の表示】P 2020550809の分割
【原出願日】2019-03-12
(31)【優先権主張番号】62/649,894
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ハイレマリアム、レラフ メンギスル
(72)【発明者】
【氏名】マジャマ、カタリーナ
(57)【要約】
【課題】ブラスト洗浄方法を提供すること。
【解決手段】作業面をブラスト流に接触させることを含むブラスト洗浄方法であって、作業面が1つ以上の放射性部分で汚染された金属であり、ブラスト流が水と1種以上の樹脂粒子を含む方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面をブラスト流に接触させることを含むブラスト洗浄方法であって、
前記作業面が1つ以上の放射性部分で汚染された金属であり、
前記ブラスト流が水と1種以上の樹脂粒子を含む、方法。
【請求項2】
前記金属が鋼である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射性部分がコバルト、ニッケル、又はクロムのうちの1種以上の放射性同位体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射性部分が60Coを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂粒子がスチレン樹脂を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂粒子が、
共有結合しているスルホン酸基を有するイオン交換樹脂;
共有結合しているカルボキシル酸基を有するイオン交換樹脂;
共有結合している二級アミン基を有するイオン交換樹脂;
共有結合している三級アミン基を有するイオン交換樹脂;
共有結合している四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂;
及びこれらの混合物;
からなる群から選択される1種以上のイオン交換樹脂の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ブラスト流のpHが4以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブラスト流が15℃~35℃の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
放射性同位体で汚染された金属表面を除染することがしばしば望まれる。例えば、原子炉が部分的に又は完全に廃止される場合、金属部品から放射能を除去することが望まれることになる。特に、中性子放射線に曝露された鋼材はコバルト-60で汚染されることになり、その汚染の多くは鋼材の表面近くに位置する。これまでに知られている除染方法には様々な技術が含まれるが、それらそれぞれは例えば次のような重大な欠点を有している:作業面から層を除去する化学的又は電気化学的方法、これは望ましくない多量の二次廃棄物を生成する;剥離可能なコーティングを洗浄又は塗布することを含む機械的方法、これは望ましくない大量の集中的な肉体労働を伴う。いくつかの除染技術が提案されているものの、例えば、微生物、マイクロ波、レーザー、超臨界流体、発熱粉末、又は作業面の電気加熱を含む方法は広く使用されていない。いくつかの除染方法は、水を用いたブラスト、又はゼオライトと空気などの研磨材の混合物を用いたドライブラストのいずれかを含む。水のみでブラストを行うと、大量の汚染水が発生し、深刻な廃棄の問題が生じる。全てのドライブラストプロセスは、浮遊塵埃の問題を引き起こすことが知られている。
【0002】
特開平05-87983号公報には、ゼオライトと空気との混合物を表面に吹き付けることにより表面から放射性物質を除去する方法が記載されている。ドライブラストにより生じる粉塵の問題を回避し、且つ除染プロセスで使用される水の汚染も低減する除染方法を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下は本発明の説明である。
【0004】
本発明の第1の態様は、作業面をブラスト流に接触させることを含むブラスト洗浄方法であって、作業面が1つ以上の放射性部分で汚染された金属であり、ブラスト流が水と1種以上の樹脂粒子を含む、洗浄方法である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下は本発明の詳細な説明である。
【0006】
本明細書で使用される場合、文脈によりそうではないと明らかに示されていない限り、以下の用語は、指定された定義を有する。
【0007】
本明細書で使用される「樹脂」は、「ポリマー」の同義語であり、これは、より小さい化学的繰り返し単位の反応生成物から構成される比較的大きな分子である。ポリマーは、直鎖状、分岐状、星形状、ループ状、超分岐状、架橋又はそれらの組み合わせである構造を有する可能性がある;ポリマーは、単一タイプの繰り返し単位(「ホモポリマー」)を有する可能性がある、又は2つ以上のタイプの繰り返し単位(「コポリマー」)を有する可能性がある。コポリマーは、ランダムに、順序正しく、ブロックで、他の配列で、又は任意の混合若しくはそれらの組み合わせで配列された、様々なタイプの繰り返し単位を有する可能性がある。
【0008】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は、「モノマー」として本明細書では認識される。そのようにして形成された繰り返し単位は、モノマーの「重合単位」として本明細書では認識される。
【0009】
ビニルモノマーは、構造
【化1】
(式中、R、R、R、及びRのそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えばアルキル基など)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換若しくは無置換有機基、又はそれらの任意の組み合わせである)
を有する。ビニルモノマーは、フリーラジカル重合してポリマーを形成することができる。
【0010】
いくつかのビニルモノマーは、R、R、R及びRのうちの1つ以上に組み込まれた1つ以上の重合性炭素-炭素二重結合を有し、そのようなビニルモノマーは、本明細書では多官能性ビニルモノマーとして認識される。厳密に1つの重合性炭素-炭素二重結合を有するビニルモノマーは、本明細書では一官能性ビニルモノマーとして認識される。
【0011】
スチレン系モノマーは、R及びRのそれぞれが水素であり、Rが水素又はアルキルであり、-Rが構造
【化2】
(式中、R、R、R、R、及びRのそれぞれは、独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えばアルキル基又はビニル基など)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、別の置換若しくは非置換有機基、又はそれらの任意の組み合わせである)
を有するビニルモノマーである。
【0012】
アクリルモノマーは、ビニルモノマーであって、各R及びRが水素であり、Rが水素及びメチルのいずれかであり、-Rが、次の構造:
【化3】
(式中、R11、R12、及びR14のそれぞれは、独立して、水素、C~C14アルキル基、又は置換C~C14アルキル基である)
の1つを有する、ビニルモノマーである。
【0013】
ビニルモノマーの重合した単位を90重量%以上有する樹脂はビニル樹脂である。スチレンモノマーの重合した単位を80重量%以上有する樹脂はスチレン樹脂である。アクリルモノマーの重合した単位を55重量%以上有する樹脂はアクリル樹脂である。樹脂が多官能性ビニルモノマーの重合した単位を0.5重量%以上含む場合、本明細書では樹脂は架橋しているとみなされる。架橋樹脂の典型的なサンプルにおいて、樹脂の20重量%以下が任意の溶媒に溶解する場合、その架橋樹脂は本明細書では「完全に」架橋されているとみなされる。
【0014】
本明細書においては、「ビーズ」は、25℃での固体粒子である。球形のビーズは、その直径により特徴付けられる。球形ではないビーズは、実際のビーズと同じ体積の仮想球と等しい直径を有するとみなされる。ビーズの集合体は、体積平均直径によって特徴付けられる。樹脂を80重量%以上含むビーズは樹脂ビーズである。樹脂ビーズは、マクロポーラスビーズであってもよく、或いはゲルビーズであってもよい。
【0015】
マクロポーラス樹脂ビーズは、平均孔径が20nm以上の多孔質構造を有する。孔径は、窒素ガスを使用するBrunauer-Emmett-Teller(BET)法を使用して測定される。
【0016】
ゲル樹脂ビーズでは、細孔は、ポリマービーズの絡み合った、場合によっては架橋されたポリマー鎖の中の原子間の自由体積である。ゲルタイプのポリマービーズの細孔は20nm未満である。場合によっては、ゲルタイプの樹脂中の細孔は小さすぎてBET法の使用では検出できない。
【0017】
本明細書において使用される「限外濾過」(UF)は、不純物を含む水が、永久細孔を有する膜を通る圧力勾配によって押し出されるプロセスを指す。UF膜は半透性であり、直径50nm以上の粒子の通過を阻止する(つまり保持する)。水、溶存物質、及びより小さい粒子は、細孔からUF膜を通過する。膜貫通圧力は、典型的には10~100キロパスカル(kPa)(1.45~14.5psig)である。
【0018】
本明細書で使用される「逆浸透」(RO)は、限外濾過と同様に、不純物を含む水が膜を通る圧力勾配によって押し出されるプロセスを指す。RO膜は半透性であるものの、永久細孔を有さない。RO膜は全ての粒子の通過を阻止する。水は、膜材料を通る拡散によってRO膜を通過する。ROは、典型的には、一価イオンを含むほぼ全ての溶質を保持するのに非常に効果的である。
【0019】
本明細書で使用される「イオン交換」は、溶解しているイオンを含む水がイオン交換樹脂粒子の固定床を通過するプロセスである。水中に溶解しているイオンは、イオン交換樹脂粒子内に存在していた同じ電荷のイオンと交換される(つまり、他のカチオンとのカチオン交換、及び他のアニオンとのアニオン交換)。例えば、水中に存在する溶解しているコバルトカチオンは、イオン交換樹脂に存在していたナトリウムイオンと交換されることができ、その後、水は、イオン交換樹脂粒子の固定床を通過した後、元の溶解していたコバルトイオンの一部又は全ての代わりに、溶解しているナトリウムイオンを有することになる。
【0020】
鋼は、鉄と炭素との様々な合金のうちのいずれかである。例えばマンガン、ニッケル、クロム、モリブデン、ホウ素、チタン、バナジウム、タングステン、コバルト、及びニオブなどのその他の元素も鋼の中に存在していてもよい。鉄は鋼の組成の常に50重量%以上である。
【0021】
比は、次の通り本明細書では記載される。例えば、比が3:1以上であるとされる場合、その比は、3:1又は5:1又は100:1であり得るが、2:1であり得ない。この考え方の一般的な表現の仕方は、次の通りである:本明細書で比がX:1以上であるとされる場合、それは比がY:1でありYがX以上であることを意味する。同様に、例えば、比が15:1以下であるとされる場合、その比は、15:1又は10:1又は0.1:1である可能性があるが、20:1である可能性はない。一般的に言えば:本明細書で比がW:1以下であるとされる場合、それは比がZ:1でありZがW以下であることを意味する。
【0022】
本発明は、水と1種以上の樹脂粒子の両方を含むブラスト流の使用を含む。好ましくは、樹脂粒子はスラリーを形成し、その中で樹脂粒子は水を含む連続媒体全体に分配される。好ましくは、ブラスト流は、6以下;より好ましくは5以下;より好ましくは4以下;より好ましくは3以下のpHを有する。好ましくは、ブラスト流は0以上;より好ましくは1以上のpHを有する。
【0023】
好ましくは、樹脂粒子の量は、水と樹脂粒子の総重量を基準として、2重量%以上;より好ましくは5重量%以上;より好ましくは8重量%以上である。好ましくは、樹脂粒子の量は、水と樹脂粒子の総重量を基準として45重量%以下;より好ましくは35重量%以下である。
【0024】
好ましくは、樹脂粒子は、100μm以上;より好ましくは200μm以上;より好ましくは400μm以上の体積平均径を有する。好ましくは、樹脂粒子は2000μm以下;より好ましくは1000μm以下の体積平均径を有する。
【0025】
好ましい樹脂はビニル樹脂であり;アクリル樹脂及びスチレン系樹脂がより好ましく;スチレン系樹脂がより好ましい。好ましくは、スチレンモノマーの重合した単位の量は、樹脂の重量を基準として90重量%以上;より好ましくは95重量%以上である。
【0026】
好ましくは樹脂は架橋されており;より好ましくは樹脂は完全に架橋されている。好ましくは、樹脂中の多官能性ビニルモノマーの重合した単位の量は、樹脂の重量を基準として2重量%以上;より好ましくは4重量%以上である。好ましくは、樹脂中の多官能性ビニルモノマーの重合した単位の量は、樹脂の重量を基準として15重量%以下;より好ましくは10重量%以下である。
【0027】
樹脂は、共有結合した官能基を含んでいても含んでいなくてもよい。官能基は、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル中のエステル結合が官能基とはみなされないことを除いては、水素又は炭素以外の原子を含む任意の化学基である。官能基は中性の形態であってもイオン形態であってもよい。
【0028】
好ましくは、樹脂は、スルホン酸基、カルボキシル基、二級アミン基(窒素原子に結合している1つ以上の炭素原子がホスホン酸基で置換されているアルキル基の一部である二級アミン基を含む)、三級アミン基、及び四級アンモニウム基(窒素原子に結合している1つ以上の炭素原子がヒドロキシアルキル基の一部である四級アミン基を含む)から選択される共有結合している官能基を含む。より好ましくは、樹脂は、スルホン酸基、カルボキシル基、窒素に結合している各炭素原子(樹脂のポリマー鎖の一部である炭素原子を除く)が無置換アルキル基の一部である二級アミン基、窒素に結合している各炭素原子(樹脂のポリマー鎖の一部である炭素原子を除く)が無置換アルキル基の一部である三級アミン基、窒素原子に結合している1つ以上の炭素原子がホスホン酸基で置換されているアルキル基の一部である二級アミン基、から選択される共有結合している官能基を含む。
【0029】
適切且つ好ましい樹脂の混合物も適切であり好ましい。
【0030】
ブラスト洗浄プロセスは、ブラスト流を作業面と接触させることを含む。好ましくは、ブラスト流は作業面で発射される。ブラスト流は任意の方法で発射されてもよい。例えば、水と樹脂粒子との混合物が圧縮空気の流れと混合されて混合流を形成し、その後その混合流が作業面に向けられてもよい。別の例では、水と樹脂粒子との混合物がポンプによって発射されてもよい。
【0031】
空気がスラリーと混合される場合、空気対スラリーの好ましい比は、0.05:1以上;より好ましくは0.10:1以上である。空気がスラリーと混合される場合、空気対スラリーの好ましい比率は、0.5:1以下;より好ましくは0.3:1以下である。
【0032】
好ましくは、ブラスト流は、それが圧縮空気を含むか否かに関わらず、ノズルを通して押し出されて作業面に向けられる流れを生成する。好ましくは、ノズルの内部のブラスト流の圧力は、1メガパスカル(MPa)(145psi)以上;より好ましくは2MPa(290psi)以上;より好ましくは3MPa(435psi)以上である。好ましくは、ノズルの内部のブラスト流の圧力は、7MPa(1015psi)以下である。
【0033】
好ましくは、ブラスト流は0℃以上;より好ましくは10℃以上;より好ましくは15℃以上;より好ましくは18℃以上の温度である。好ましくは、ブラスト流は35℃以下;より好ましくは30℃以下の温度である。
【0034】
作業面は物品の表面である。好ましくは、物品は鋼製である。好ましくは、物品は1種以上の放射性同位体を含み;より好ましくは、物品は、クロム、ニッケル、又はコバルトのうちの1種以上の放射性同位体を含み;より好ましくは、物品はコバルト-60(60Coとも表される)を含む。好ましい物品は、中性子放射線に曝されたことのある現在又は過去の原子力発電所の部品である。
【0035】
作業面がブラスト流と接触した後、ブラスト流は、本明細書では「使用済み」と呼ばれる。本明細書における「使用済みブラスト流」という用語は、ブラストプロセスによって作業面から除去されたブラスト流及び材料を指す。作業面から除去された材料は、好ましくは使用済みブラスト流から回収される。
【0036】
好ましくは、使用済みブラスト流は、樹脂粒子、他の固体材料、及び溶存汚染物質から水を分離するために、例えば濾過及び/又は他のプロセスなどの分離プロセスを受ける。このようにして様々な汚染物質から分離された水は、例えば本発明のブラスト流で使用される水としての役割を果たすなど、工業プロセスでの使用に十分に純粋であると考えられる。
【0037】
水の除去後、廃棄物固体(樹脂粒子及びブラスト流の水に溶解していた化合物などの他の固体物質を含む)が、作業面から除去された放射性廃棄物を含むこと、及び廃棄物固体がその後十分に濃縮されて合理的な方法で廃棄できるようになることも期待される。
【0038】
本発明の利点の1つは、放射性の作業面が洗浄される際、除去された放射性物質が、従来の公知の方法よりも大幅に、水の中に留まらずにブラスト流の中の固体粒子(すなわち樹脂粒子)に付着する傾向を有していることであると考えられる。そのため、放射性廃棄物は主に固体形態で濃縮され、放射能で汚染された水の廃棄の問題が低減されると期待される。
【実施例0039】
以下は本発明の実施例である。
【0040】
放射性コバルトを含む金属表面をブラスト流と接触させる操作は、以下のようなモデル系を使用することにより再現した。撹拌パドルを高コバルト合金から製造し、パドルを水と樹脂ビーズとのスラリーの中で回転させた。同じ合金の長方形の試験片も撹拌されているスラリーの中にバッフルとして入れた。金属からコバルトを除去するプロセスの能力、及びコバルトが水にではなく樹脂ビーズに位置する優先傾向を測定した。
【0041】
これらの実施例で使用した水は、Millipore CorporationのMILLI-QTM水であった。この水は高純度であり、25℃で10メガオーム*cmの抵抗率を有する。
【0042】
金属サンプルは、Haynes InternationalのHAYNESTM188合金であり、これは以下の組成を有する:
【0043】
【表1】
【0044】
HClで溶液をpH2.1に調整した後に、様々な粒子の種類の10重量%水性スラリー約1500gを使用して撹拌フラスコ試験を行った。HAYNES(登録商標)188合金(UNS R30188)撹拌パドルを使用して、機械撹拌を500rpmに設定した。更に、HAYNES(登録商標)188合金試験片を含むバッフルを各フラスコの中に入れた。24時間後、25℃で、試験水と粒子(「試験樹脂」)の一定分量を取り出し、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して金属含有量を測定した。また、対照樹脂(どのテストでも使用されていないもの)もICP-MSで調べた。
【0045】
ICP-MSは、以下の通りに行った。各樹脂の3つのサンプル調製物の元素濃度(ng/g)(試験樹脂と対照樹脂の両方)を、MW分解した後に、ICP質量分析及び検量線へのフィッティングにより決定した。Milestone MWを使用して約0.25gの各樹脂を硝酸中で分解した。水で総重量を20gに(80倍のサンプル希釈)し、0.2mMのフィルターで濾過することにより、最終サンプルを調製した。これらのサンプルでは校正マトリックスはHClから構成した。ICP手順のパラメータは以下の通りであった:
【0046】
【表2】
【0047】
下の表は、試験水、対照樹脂、及び試験樹脂中でみられる対象の元素の特定の同位体の濃度(水又は樹脂1グラムあたりの特定の元素のナノグラム、ng/g)を示している。
【0048】
調べた粒子の種類は、砂と以下の5種のイオン交換樹脂であった。5種のイオン交換樹脂は全て完全に架橋されている。全てスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーとして製造されており、これらはその後様々な試薬と反応することで示されている官能基と結合した。全てthe Dow Chemical Companyの製品である。樹脂は、ゲル樹脂又はマクロポーラス(MP)樹脂のいずれかであった。「nt」は試験なしである。「<LOD」は検出レベル未満であることを意味する。
【0049】
【表3】
【0050】
結果は次の通りであった:
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
SBA樹脂を除き、元素Co、Cr、Ni、及びある程度までWは、試験水又は対照樹脂よりも試験樹脂で多量にみられる。したがって、樹脂はこれらの元素を除去及び保持することができた。例えば、IRC、WBA、SAC1、又はSAC2の樹脂のいずれかを使用した場合には、試験樹脂は合金からかなりの量のコバルト-59を取り込み、水中に残ったコバルト-59の量は比較的少なかった。これらの樹脂は、ブラスト処理中に鋼から除去されたコバルト-60の除去及び保持にも効果があると考えられる。
【外国語明細書】